JP2004181691A - ロール状インキリボンの移送装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ロール状のインキリボンを帯状に繰り出しての移送に伴い、リボン巻取軸におけるロール径に応じて軸にかかる駆動トルクを変化させ、インキリボンにかかる張力をその繰り出し開始から終了まで、できる限り一定とすることができ、印字の伸びを極力小さくすることができるロール状インキリボンの移送装置を提供する
【解決手段】駆動軸34の角回転速度を光学式エンコーダ37で検出し、リボン巻取軸17の角回転速度を光学式エンコーダ37,40で検出し、この二者の角回転速度の比を時刻を追って検出しながら、この比の値を一定範囲とするように駆動軸34を駆動する。
【選択図】 図2
【解決手段】駆動軸34の角回転速度を光学式エンコーダ37で検出し、リボン巻取軸17の角回転速度を光学式エンコーダ37,40で検出し、この二者の角回転速度の比を時刻を追って検出しながら、この比の値を一定範囲とするように駆動軸34を駆動する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はロール状インキリボンの移送装置にかかるもので、特にインキリボン熱転写型のプリンタなどに装備されるロール状インキリボンの移送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のインキリボン熱転写型のプリンタ、およびそのロール状インキリボンの移送装置について図8および図9に基づき概説する。
【0003】
図8は、インキリボン熱転写型のプリンタ1の構成概略図であって、インキリボン熱転写型のプリンタ1は、用紙移送装置2と、印字装置3と、ロール状インキリボンの移送装置4と、を有する。
【0004】
用紙移送装置2は、ロール状の印字用紙5を保持する用紙保持軸6を有する用紙保持機構7と、移送ローラ、およびこれを回転駆動する印字用紙移送用モータ(共に図示せず)と、を有する。
【0005】
印字装置3は、サーマルヘッド8と、プラテンローラ9と、プラテンローラ9を回転駆動するモータ10と、を有する。
【0006】
ロール状インキリボンの移送装置4は、リボン保持機構11と、リボン巻取機構12と、バックテンション機構13と、スリップ機構14と、を有する。
【0007】
リボン保持機構11は、ロール状のサーマルインキリボン15(インキリボン)を保持するリボン保持軸16を有するとともに、ガイドローラ等を介して、印字装置3にサーマルインキリボン15を帯状に繰り出す。
【0008】
リボン巻取機構12は、リボン保持機構11から帯状に繰り出されたサーマルインキリボン15を印字装置3を介してリボン巻取軸17にロール状に巻き取る。
【0009】
スリップ機構14は、リボン巻取軸17に設けるとともに、サーマルインキリボン15の巻取り操作にスリップを発生させることにより、リボン巻取軸17への巻取りロール径が増加しても一定量の移送量(巻取り量)を保証するものである。
【0010】
なお、プラテンローラ9を駆動するには、前記モータ10に歯付ベルト18を介してプラテンローラ9のプーリー19を回転させる。
また、インキリボン15の巻取りには、プラテンローラ9のプーリー19とスリップ機構14のプーリー20とを歯付ベルト21で連結して動力源とする。
【0011】
こうした構成のインキリボン熱転写型のプリンタ1において、用紙保持軸6から印字用紙5を、リボン保持機構11からサーマルインキリボン15をそれぞれ印字装置3(サーマルヘッド8とプラテンローラ9との間)に供給して重ね合わせ、サーマルヘッド8に印字情報データを供給してサーマルインキリボン15を印字用紙5上に熱転写し、所定の情報を印字用紙5に印字する。
【0012】
ところで、ロール状インキリボンの移送装置4においては、サーマルインキリボン15の使用開始から使い切りまでの間、所定の張力をもってリボン保持機構11側からリボン巻取機構12側に引っ張られ、所定の搬送量(巻取量)を維持できることが望まれる。
【0013】
しかしながら、上記従来技術には以下の問題がある。
▲1▼[インキリボンのテンションの変化]
図9において、リボン巻取軸17が小径のときの半径をr1、インキリボン15が大径に巻き取られたときの半径をr2、インキリボン15がリボン巻取機構12側に引っ張られる張力をFで表すものとする。
リボン巻取軸17の回転トルクTが一定だと仮定すると、以下の関係が成り立つ。
F(小)=T/r1 > F(大)=T/r2 (式1)
ただし、
F(小):リボン巻取軸17が小径のときの張力
F(大):リボン巻取軸17が大径のときの張力
▲2▼[インキリボンの搬送量の変化]
プラテンローラ9の直径をd、該プラテンローラ9の1回転当たりのインキリボン15の送り量をVpとすると、
Vp≒
V(小)=Z2/Z1 × 2πr1 < V(大)=Z2/Z1 × 2πr2 (式2)
ただし、
V(小):リボン巻取軸17が小径のときの巻取量
V(大):リボン巻取軸17が大径のときの巻取量
Z1:プラテンローラのプーリー19の歯数
Z2:スリップ機構のプーリー20歯数
上記式1、式2は、リボン巻取軸17が小径のときには、インキリボン15への張力は大きく、巻取量は少なくなろうとし、リボン巻取軸17が大径になったときには、インキリボン15への張力が小さく、巻取量が多くなろうとすることを示している。
【0014】
実際には、スリップ機構14を設けてリボン巻取軸17に常にスリップを発生させることにより、プーリ20からリボン巻取軸17へと伝わる回転トルクTを減少させ、インキリボン15の張力Fと搬送量(巻取量)の変動を、許容範囲内となるように調整している。
【0015】
しかしながら、バックテンション機構13およびスリップ機構14は、摩擦部材と押圧機構からなるものであるため、使用している間に摩耗等や緩み等が生じ特性変化を来してしまう。そして、その都度調整が必要であったり寿命が短い等、取り扱いが煩雑であるという欠点があった。
【0016】
また、ある程度インキリボンの張力と搬送量(巻取量)の変動を許容せざるを得ず、この変動幅が大きいとインキリボン15が印字用紙5を移送方向に引っ張ってしまい、印字(画像)に伸びか発生するという欠点があった。
【0017】
上記問題点に対し、特許文献1が知られている。
【0018】
【特許文献1】
特開2002−254784号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、本発明はロール状のインキリボンを帯状に繰り出しての移送に伴い、リボン巻取軸におけるロール径に応じて軸にかかる駆動トルクを変化させ、インキリボンにかかる張力をその繰り出し開始から終了まで、できる限り一定とすることができ、印字の伸びを極力小さくすることができるロール状インキリボンの移送装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明によると、ロール状のインキリボンを保持するリボン保持軸を有するリボン保持機構と、このリボン保持機構から帯状に繰り出された前記インキリボンをリボン巻取軸にロール状に巻き取るリボン巻取機構と、を有するロール状インキリボンの移送装置であって、前記インキリボン巻取機構のリボン巻取軸と、該リボン巻取軸を駆動する駆動軸との間にスリップ機構を設けたものにおいて、前記駆動軸の角回転速度を検出する第1の回転検出手段と、リボン巻取軸の角回転速度を検出する第2の回転検出手段とを設け、前記駆動軸の角回転速度とリボン巻取軸の角回転速度の比を検出し、この比の値が所定範囲になるように制御することを特徴とするロール状インキリボンの移送装置が提供される。
【0021】
ここで、前記スリップ機構は電磁クラッチとすることができる。
【0022】
また、前記第1の回転検出手段はパルスモータへ給電するパルスをカウントするカウンタで構成することができる。
【0023】
また、前記リボン保持機構にさらに電磁ブレーキを設けてもよい。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態によるロール状インキリボンの移送装置を図1ないし図7に基づき説明する。なお、上述した図8および図9で述べたのと同一の構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0025】
図1は、図9と同様の、インキリボン熱転写型のプリンタ30の概略構成図であって、インキリボン熱転写型のプリンタ30は、上述した用紙移送装置(図示せず)および前記印字装置3と、ロール状インキリボンの移送装置31と、を備えている。
【0026】
32はインキリボンの移送装置31を駆動するために新たに設けられたモータで、該モータ32はマイコン等からなる制御部33に繋がれ、回転数(角回転速度)を制御されるようになっている。
【0027】
34は前記モータ32にプーリ20、歯付ベルト21を介して連結された駆動軸であり、該駆動軸34には前述したスリップ機構14を介してリボン巻取軸17が連結されている。なお、図2中に示す35はスリップ機構14を構成する摩擦部材、36は押圧機構を示している。
【0028】
37は前記駆動軸34に設けられた第1の回転検出手段としての光学式エンコーダを示し、該光学式エンコーダ37は駆動軸34と一体回転するスリット円板38と、該スリット円板38を挟むように表裏側に発光素子と受光素子が対向配置されたフォトセンサ39とを備え、該フォトセンサ39の出力は前記制御部33へと接続されている。
【0029】
そして、駆動軸34の回転に伴ってスリット円板38が回転し、各スリットがフォトセンサ39の間を通過するときにパルスを発生する。制御部33は所定時間内のパルス数から駆動軸34の回転数(角回転速度)を検知するようになっている。
【0030】
40は前記リボン巻取軸17に設けられた第2の回転検出手段としての光学式エンコーダを示し、該光学式エンコーダ40は上述したエンコーダ37と同様に、リボン巻取軸17と一体回転するスリット円板41、該スリット円板41を挟むように配置されたフォトセンサ42とを備え、該フォトセンサ42の出力は前記制御部33に接続されている。
【0031】
そして、エンコーダ40は、リボン巻取軸17の回転に伴ってフォトセンサ42がパルスを発生し、このパルス数からリボン巻取軸17の回転数(角回転速度)を検知する。
【0032】
インキリボン熱転写型のプリンタ30およびロール状インキリボンの移送装置31は以上の構成を有するもので、次に制御部33が行う制御について図3を用いて説明する。
【0033】
まず、印字動作中にエンコーダ37、40の出力を検出し、駆動軸34の角回転速度と、リボン巻取軸17の角回転速度との比RΔを算出する(S1)。
【0034】
そして、この角回転速度の比RΔが規定値Rc(定数)に比べ拡大した場合には駆動軸34の回転数を減少させるように、モータ32を制御する(S3)。
【0035】
一方、RΔがRcに比べ縮小した場合には、駆動軸34の回転数を増大させるように、モータ32を制御する(S4)。
【0036】
また、RΔが変化しなかった場合には、モータ32の回転数は変更せず、S1に戻って駆動軸34の角回転速度と、リボン巻取軸17の角回転速度をサンプリングする。
【0037】
以上のように、駆動軸34の角回転速度と、リボン巻取軸17の角回転速度の比を時刻を追って検出しながら、この角回転速度の比が一定となるように駆動軸34を駆動するモータ32の回転数を制御したことにより、リボン巻取軸17に掛かるトルクの変動をを容易に適正範囲内に収めることができ、印字の伸びなどの弊害を解消できる。
【0038】
また、インキリボン15に張力Fが付与された状態で、バックテンション機構13やスリップ機構14のスリップ量を小さくすることができるので、スリップ機構14やバックテンション機構13にかかる負荷を著しく低減でき、異音の発生を抑えることができるのと共に、これらの摩耗等に伴うメンテナンスの手間やコストを低減できる。
【0039】
次に、図4および図5は第二の実施の形態に掛かるロール状インキリボンの移送装置50を示し、本形態の特徴は、スリップ機構14に替えて電磁クラッチ61を設け、エンコーダ37、40の出力を検出した制御部33が電磁クラッチ61を制御してモータ10の駆動力の伝達率を加減するように構成した点にある。
【0040】
図5中、電磁クラッチ61は、摩擦部材62と押圧機構63、該押圧機構63の摩擦部材62への押圧力を加減する電磁アクチュエータ64とからなる。
【0041】
そして、制御部33により前述した図3とほぼ同様の制御を行う。なお、本実施の形態では上述の第一の実施の形態における第二のモータ32に替えてモータ10の動力を分岐して用いるため、図3中のS3,S4における「モータの各回転速度」を「動力伝達率」と読み替えて適用する。
【0042】
本実施の形態による効果は第一の実施の形態とほぼ同様であるが、モータの数を減らすことが可能となる。
【0043】
次に、図6は第三の実施の形態を示し、本実施の形態は、リボン保持機構に電磁ブレーキ70を設け、この電磁ブレーキ70をエンコーダ37、40の出力を検出した制御部33が制御する構成とした例、図7は第四の実施の形態を示し、本実施の形態は、エンコーダ37に替えて、第1の回転検出手段はパルスモータへ給電するパルスをカウントするカウンタを用い、制御部33がバックテンションを発生させる電磁ブレーキ70を制御する構成とした例であり、前述のものとほぼ同様の効果を奏する。
【0044】
なお、本発明は実施の形態に述べた場合に限定されることなく、特許請求の範囲内において種々の変形が可能である。
【0045】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、リボン巻取軸に掛かるトルクを容易に適正範囲に変更できるので、印字の伸びなどの弊害を解消できる。
【0046】
また、スリップ機構にかかる負荷を著しく低減でき、異音の発生を抑え、摩耗等に伴うメンテナンスの手間やコストも低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態によるロール状インキリボンの移送装置の概略図である。
【図2】図1中の巻取機構を示す一部破断の詳細図である。
【図3】モータ制御部が行う処理を示すフロー図である。
【図4】他の実施の形態を示す図1と同様の概略図である。
【図5】他の実施の形態を示す図2と同様の概略図である。
【図6】他の実施の形態を示す図1と同様の概略図である。
【図7】他の実施の形態を示す図1と同様の概略図である。
【図8】従来のインキリボン熱転写型のプリンタの概略図である。
【図9】図8のリボン保持軸からリボン巻取軸へのインキリボンの巻取り状態を示す説明図である。
【符号の説明】
3…印字装置、8…サーマルヘッド、9…プラテンローラ、13…バックテンション機構、14…スリップ機構、17…リボン巻取軸、31…ロール状インキリボンの移送装置、32…モータ、33…制御部、34…駆動軸、37…光学式エンコーダ(第1の回転検出手段)、40…光学式エンコーダ(第2の回転検出手段)
【発明の属する技術分野】
本発明はロール状インキリボンの移送装置にかかるもので、特にインキリボン熱転写型のプリンタなどに装備されるロール状インキリボンの移送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のインキリボン熱転写型のプリンタ、およびそのロール状インキリボンの移送装置について図8および図9に基づき概説する。
【0003】
図8は、インキリボン熱転写型のプリンタ1の構成概略図であって、インキリボン熱転写型のプリンタ1は、用紙移送装置2と、印字装置3と、ロール状インキリボンの移送装置4と、を有する。
【0004】
用紙移送装置2は、ロール状の印字用紙5を保持する用紙保持軸6を有する用紙保持機構7と、移送ローラ、およびこれを回転駆動する印字用紙移送用モータ(共に図示せず)と、を有する。
【0005】
印字装置3は、サーマルヘッド8と、プラテンローラ9と、プラテンローラ9を回転駆動するモータ10と、を有する。
【0006】
ロール状インキリボンの移送装置4は、リボン保持機構11と、リボン巻取機構12と、バックテンション機構13と、スリップ機構14と、を有する。
【0007】
リボン保持機構11は、ロール状のサーマルインキリボン15(インキリボン)を保持するリボン保持軸16を有するとともに、ガイドローラ等を介して、印字装置3にサーマルインキリボン15を帯状に繰り出す。
【0008】
リボン巻取機構12は、リボン保持機構11から帯状に繰り出されたサーマルインキリボン15を印字装置3を介してリボン巻取軸17にロール状に巻き取る。
【0009】
スリップ機構14は、リボン巻取軸17に設けるとともに、サーマルインキリボン15の巻取り操作にスリップを発生させることにより、リボン巻取軸17への巻取りロール径が増加しても一定量の移送量(巻取り量)を保証するものである。
【0010】
なお、プラテンローラ9を駆動するには、前記モータ10に歯付ベルト18を介してプラテンローラ9のプーリー19を回転させる。
また、インキリボン15の巻取りには、プラテンローラ9のプーリー19とスリップ機構14のプーリー20とを歯付ベルト21で連結して動力源とする。
【0011】
こうした構成のインキリボン熱転写型のプリンタ1において、用紙保持軸6から印字用紙5を、リボン保持機構11からサーマルインキリボン15をそれぞれ印字装置3(サーマルヘッド8とプラテンローラ9との間)に供給して重ね合わせ、サーマルヘッド8に印字情報データを供給してサーマルインキリボン15を印字用紙5上に熱転写し、所定の情報を印字用紙5に印字する。
【0012】
ところで、ロール状インキリボンの移送装置4においては、サーマルインキリボン15の使用開始から使い切りまでの間、所定の張力をもってリボン保持機構11側からリボン巻取機構12側に引っ張られ、所定の搬送量(巻取量)を維持できることが望まれる。
【0013】
しかしながら、上記従来技術には以下の問題がある。
▲1▼[インキリボンのテンションの変化]
図9において、リボン巻取軸17が小径のときの半径をr1、インキリボン15が大径に巻き取られたときの半径をr2、インキリボン15がリボン巻取機構12側に引っ張られる張力をFで表すものとする。
リボン巻取軸17の回転トルクTが一定だと仮定すると、以下の関係が成り立つ。
F(小)=T/r1 > F(大)=T/r2 (式1)
ただし、
F(小):リボン巻取軸17が小径のときの張力
F(大):リボン巻取軸17が大径のときの張力
▲2▼[インキリボンの搬送量の変化]
プラテンローラ9の直径をd、該プラテンローラ9の1回転当たりのインキリボン15の送り量をVpとすると、
Vp≒
V(小)=Z2/Z1 × 2πr1 < V(大)=Z2/Z1 × 2πr2 (式2)
ただし、
V(小):リボン巻取軸17が小径のときの巻取量
V(大):リボン巻取軸17が大径のときの巻取量
Z1:プラテンローラのプーリー19の歯数
Z2:スリップ機構のプーリー20歯数
上記式1、式2は、リボン巻取軸17が小径のときには、インキリボン15への張力は大きく、巻取量は少なくなろうとし、リボン巻取軸17が大径になったときには、インキリボン15への張力が小さく、巻取量が多くなろうとすることを示している。
【0014】
実際には、スリップ機構14を設けてリボン巻取軸17に常にスリップを発生させることにより、プーリ20からリボン巻取軸17へと伝わる回転トルクTを減少させ、インキリボン15の張力Fと搬送量(巻取量)の変動を、許容範囲内となるように調整している。
【0015】
しかしながら、バックテンション機構13およびスリップ機構14は、摩擦部材と押圧機構からなるものであるため、使用している間に摩耗等や緩み等が生じ特性変化を来してしまう。そして、その都度調整が必要であったり寿命が短い等、取り扱いが煩雑であるという欠点があった。
【0016】
また、ある程度インキリボンの張力と搬送量(巻取量)の変動を許容せざるを得ず、この変動幅が大きいとインキリボン15が印字用紙5を移送方向に引っ張ってしまい、印字(画像)に伸びか発生するという欠点があった。
【0017】
上記問題点に対し、特許文献1が知られている。
【0018】
【特許文献1】
特開2002−254784号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、本発明はロール状のインキリボンを帯状に繰り出しての移送に伴い、リボン巻取軸におけるロール径に応じて軸にかかる駆動トルクを変化させ、インキリボンにかかる張力をその繰り出し開始から終了まで、できる限り一定とすることができ、印字の伸びを極力小さくすることができるロール状インキリボンの移送装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明によると、ロール状のインキリボンを保持するリボン保持軸を有するリボン保持機構と、このリボン保持機構から帯状に繰り出された前記インキリボンをリボン巻取軸にロール状に巻き取るリボン巻取機構と、を有するロール状インキリボンの移送装置であって、前記インキリボン巻取機構のリボン巻取軸と、該リボン巻取軸を駆動する駆動軸との間にスリップ機構を設けたものにおいて、前記駆動軸の角回転速度を検出する第1の回転検出手段と、リボン巻取軸の角回転速度を検出する第2の回転検出手段とを設け、前記駆動軸の角回転速度とリボン巻取軸の角回転速度の比を検出し、この比の値が所定範囲になるように制御することを特徴とするロール状インキリボンの移送装置が提供される。
【0021】
ここで、前記スリップ機構は電磁クラッチとすることができる。
【0022】
また、前記第1の回転検出手段はパルスモータへ給電するパルスをカウントするカウンタで構成することができる。
【0023】
また、前記リボン保持機構にさらに電磁ブレーキを設けてもよい。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態によるロール状インキリボンの移送装置を図1ないし図7に基づき説明する。なお、上述した図8および図9で述べたのと同一の構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0025】
図1は、図9と同様の、インキリボン熱転写型のプリンタ30の概略構成図であって、インキリボン熱転写型のプリンタ30は、上述した用紙移送装置(図示せず)および前記印字装置3と、ロール状インキリボンの移送装置31と、を備えている。
【0026】
32はインキリボンの移送装置31を駆動するために新たに設けられたモータで、該モータ32はマイコン等からなる制御部33に繋がれ、回転数(角回転速度)を制御されるようになっている。
【0027】
34は前記モータ32にプーリ20、歯付ベルト21を介して連結された駆動軸であり、該駆動軸34には前述したスリップ機構14を介してリボン巻取軸17が連結されている。なお、図2中に示す35はスリップ機構14を構成する摩擦部材、36は押圧機構を示している。
【0028】
37は前記駆動軸34に設けられた第1の回転検出手段としての光学式エンコーダを示し、該光学式エンコーダ37は駆動軸34と一体回転するスリット円板38と、該スリット円板38を挟むように表裏側に発光素子と受光素子が対向配置されたフォトセンサ39とを備え、該フォトセンサ39の出力は前記制御部33へと接続されている。
【0029】
そして、駆動軸34の回転に伴ってスリット円板38が回転し、各スリットがフォトセンサ39の間を通過するときにパルスを発生する。制御部33は所定時間内のパルス数から駆動軸34の回転数(角回転速度)を検知するようになっている。
【0030】
40は前記リボン巻取軸17に設けられた第2の回転検出手段としての光学式エンコーダを示し、該光学式エンコーダ40は上述したエンコーダ37と同様に、リボン巻取軸17と一体回転するスリット円板41、該スリット円板41を挟むように配置されたフォトセンサ42とを備え、該フォトセンサ42の出力は前記制御部33に接続されている。
【0031】
そして、エンコーダ40は、リボン巻取軸17の回転に伴ってフォトセンサ42がパルスを発生し、このパルス数からリボン巻取軸17の回転数(角回転速度)を検知する。
【0032】
インキリボン熱転写型のプリンタ30およびロール状インキリボンの移送装置31は以上の構成を有するもので、次に制御部33が行う制御について図3を用いて説明する。
【0033】
まず、印字動作中にエンコーダ37、40の出力を検出し、駆動軸34の角回転速度と、リボン巻取軸17の角回転速度との比RΔを算出する(S1)。
【0034】
そして、この角回転速度の比RΔが規定値Rc(定数)に比べ拡大した場合には駆動軸34の回転数を減少させるように、モータ32を制御する(S3)。
【0035】
一方、RΔがRcに比べ縮小した場合には、駆動軸34の回転数を増大させるように、モータ32を制御する(S4)。
【0036】
また、RΔが変化しなかった場合には、モータ32の回転数は変更せず、S1に戻って駆動軸34の角回転速度と、リボン巻取軸17の角回転速度をサンプリングする。
【0037】
以上のように、駆動軸34の角回転速度と、リボン巻取軸17の角回転速度の比を時刻を追って検出しながら、この角回転速度の比が一定となるように駆動軸34を駆動するモータ32の回転数を制御したことにより、リボン巻取軸17に掛かるトルクの変動をを容易に適正範囲内に収めることができ、印字の伸びなどの弊害を解消できる。
【0038】
また、インキリボン15に張力Fが付与された状態で、バックテンション機構13やスリップ機構14のスリップ量を小さくすることができるので、スリップ機構14やバックテンション機構13にかかる負荷を著しく低減でき、異音の発生を抑えることができるのと共に、これらの摩耗等に伴うメンテナンスの手間やコストを低減できる。
【0039】
次に、図4および図5は第二の実施の形態に掛かるロール状インキリボンの移送装置50を示し、本形態の特徴は、スリップ機構14に替えて電磁クラッチ61を設け、エンコーダ37、40の出力を検出した制御部33が電磁クラッチ61を制御してモータ10の駆動力の伝達率を加減するように構成した点にある。
【0040】
図5中、電磁クラッチ61は、摩擦部材62と押圧機構63、該押圧機構63の摩擦部材62への押圧力を加減する電磁アクチュエータ64とからなる。
【0041】
そして、制御部33により前述した図3とほぼ同様の制御を行う。なお、本実施の形態では上述の第一の実施の形態における第二のモータ32に替えてモータ10の動力を分岐して用いるため、図3中のS3,S4における「モータの各回転速度」を「動力伝達率」と読み替えて適用する。
【0042】
本実施の形態による効果は第一の実施の形態とほぼ同様であるが、モータの数を減らすことが可能となる。
【0043】
次に、図6は第三の実施の形態を示し、本実施の形態は、リボン保持機構に電磁ブレーキ70を設け、この電磁ブレーキ70をエンコーダ37、40の出力を検出した制御部33が制御する構成とした例、図7は第四の実施の形態を示し、本実施の形態は、エンコーダ37に替えて、第1の回転検出手段はパルスモータへ給電するパルスをカウントするカウンタを用い、制御部33がバックテンションを発生させる電磁ブレーキ70を制御する構成とした例であり、前述のものとほぼ同様の効果を奏する。
【0044】
なお、本発明は実施の形態に述べた場合に限定されることなく、特許請求の範囲内において種々の変形が可能である。
【0045】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、リボン巻取軸に掛かるトルクを容易に適正範囲に変更できるので、印字の伸びなどの弊害を解消できる。
【0046】
また、スリップ機構にかかる負荷を著しく低減でき、異音の発生を抑え、摩耗等に伴うメンテナンスの手間やコストも低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態によるロール状インキリボンの移送装置の概略図である。
【図2】図1中の巻取機構を示す一部破断の詳細図である。
【図3】モータ制御部が行う処理を示すフロー図である。
【図4】他の実施の形態を示す図1と同様の概略図である。
【図5】他の実施の形態を示す図2と同様の概略図である。
【図6】他の実施の形態を示す図1と同様の概略図である。
【図7】他の実施の形態を示す図1と同様の概略図である。
【図8】従来のインキリボン熱転写型のプリンタの概略図である。
【図9】図8のリボン保持軸からリボン巻取軸へのインキリボンの巻取り状態を示す説明図である。
【符号の説明】
3…印字装置、8…サーマルヘッド、9…プラテンローラ、13…バックテンション機構、14…スリップ機構、17…リボン巻取軸、31…ロール状インキリボンの移送装置、32…モータ、33…制御部、34…駆動軸、37…光学式エンコーダ(第1の回転検出手段)、40…光学式エンコーダ(第2の回転検出手段)
Claims (4)
- ロール状のインキリボンを保持するリボン保持軸を有するリボン保持機構と、このリボン保持機構から帯状に繰り出された前記インキリボンをリボン巻取軸にロール状に巻き取るリボン巻取機構と、を有するロール状インキリボンの移送装置であって、前記インキリボン巻取機構のリボン巻取軸と、該リボン巻取軸を駆動する駆動軸との間にスリップ機構を設けたものにおいて、前記駆動軸の角回転速度を検出する第1の回転検出手段と、リボン巻取軸の角回転速度を検出する第2の回転検出手段とを設け、前記駆動軸の角回転速度とリボン巻取軸の角回転速度の比を検出し、この比の値が所定範囲になるように制御することを特徴とするロール状インキリボンの移送装置。
- 前記スリップ機構は電磁クラッチである請求項1に記載のロール状インキリボンの移送装置。
- 前記第1の回転検出手段はパルスモータへ給電するパルスをカウントするカウンタである請求項1に記載のロール状インキリボンの移送装置。
- さらに、リボン保持機構に電磁ブレーキを設けてなる請求項1に記載のロール状インキリボンの移送装置。
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