JP2004181640A - 支持体の製造方法及び空気入りランフラットタイヤ - Google Patents

支持体の製造方法及び空気入りランフラットタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】支持部材にゴム製の脚部を接着するために必要となる工程を簡略化すると共に、支持部材と脚部とを安定的に高強度に接着する。
【解決手段】シェル26の成形工程にて、シェル26における少なくともサイド部26D、26Eの表層部をCu/Zn合金により形成した後、脚部28の成形工程にて、サイド部26D、26Eをインサートコアとして脚部28を原料ゴムによりモールド内で加硫成形すると同時に、脚部28における接着反応層をコバルト塩が添加された原料ゴムを用いて脚部28をサイド部26D、26Eに接着する。これにより、シェル26におけるサイド部26D、26Eの脚部28との接着領域に加硫接着剤を予め塗布しておかなくとも、脚部28の加硫成形と同時に、この脚部28がサイド部26D、26Eに高い強度で安定的に接着される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤパンク時に、パンク状態のまま相当の距離を走行し得るように空気入りタイヤの内部に配設される環状の支持体の製造方法及び、この製造方法により製造された支持体を用いた空気入りランフラットタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
空気入りタイヤでランフラット走行が可能、即ち、パンクしてタイヤ内圧が略0気圧(ゲージ圧)になっても、ある程度の距離を安全に走行(ランフラット走行)が可能なタイヤ(以下、「ランフラットタイヤ」という。)としては、タイヤの空気室内におけるリムの部分に、例えば、環状の支持体を取り付けた、所謂、中子タイプのものが知られている。また、この種のランフラットタイヤに用いられる支持体としては、環状の支持部材であるシェルと、このシェルの両端部にそれぞれ加硫接着されたゴム製の脚部とを備えたものがあり、シェルとしては、リムに取り付けられるタイヤの径方向断面において2個の凸部を有する形状(二山形状)のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−297226号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなランフラットタイヤの支持体は、例えば、金属材料や樹脂材料等を素材としてシェルを成形した後に、このシェルの両端部をそれぞれインサートコアとしてモールド内へ装填し、ゴムにより一対の脚部を加硫成形すると同時に、この一対の脚部をシェルの両端部にそれぞれ加硫接着することにより製造される。このとき、シェルと脚部との接着強度を十分に大きくするため、予め、シェルの両端部には塩素ゴム系の加硫接着剤が塗布される。
【0005】
しかしながら、ランフラットタイヤ用支持体のシェルのサイド部ような比較的面積が大きい領域に所要量の加硫接着剤を、均一に塗布することは困難な作業であるため、相当の作業時間が必要となり、また塗布完了後にシェルに所要量の加硫接着剤が均一に塗布されていることを確認するための検査も必要となる。ここで、加硫接着剤の塗布状態のバラツキを十分に小さくするために、シェルに加硫接着剤を塗布する作業を自動化することが考えられるが、シェルの種類、サイズが多数あることから、加硫接着剤の塗布作業を完全に自動化することも困難である。このため、ランフラットタイヤ用支持体の製造工程では、現在、シェルに加硫接着剤を塗布する塗布工程がコスト低減及び生産性の向上を図る上で障害の一つになっている。
【0006】
またシェルに塗布された加硫接着剤の検査を簡略化し、又は省略しようとすると、シェルの両端部に所要量の加硫接着剤が均一に塗布されておらず、シェルと脚部との接着強度が不足した支持体が製造されるおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、上記事実を考慮して、支持部材にゴム製の脚部を接着するために必要となる工程を簡略化できると共に、支持部材と脚部とを安定的に高強度に接着できる支持体の製造方法及び、この支持体を用いた高耐久性を有するランフラットタイヤを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る支持体の製造方法は、径方向断面において、径方向外側に突出する凸部及び、幅方向両端部にそれぞれ径方向内側へ延出するサイド部が一体的に設けられた略円筒状の支持部材と、前記サイド部に固着されたゴム製の脚部とを有し、空気入りタイヤの内部に配設され、かつ前記脚部を介して空気入りタイヤと共にリムに組み付けられ、該空気入りタイヤの内圧が低下したランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体の製造方法であって、前記支持部材における少なくとも前記サイド部の前記脚部との接着領域をCu/Zn合金により形成する第1の工程と、前記サイドをインサートコアとして前記脚部をゴムによりモールド中で加硫成形すると同時に、少なくとも前記サイド部との接着界面を形成する加硫ゴムとしてコバルト塩が添加されたものを用いて前記脚部を前記サイド部に接着する第2の工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る支持体の製造方法によれば、第1の工程にて、支持部材における少なくともサイド部の脚部との接着領域をCu/Zn合金により形成した後、第2の工程にて、サイド部をインサートコアとして脚部をゴムによりモールド内で加硫成形すると共に、少なくともサイド部との接着界面を形成する加硫ゴムとしてコバルト塩が添加されたものを用いて脚部を前記サイド部に接着することにより、支持部材におけるサイド部の脚部との接着領域に加硫接着剤を予め塗布しておかなくとも、脚部の加硫成形と同時に、この脚部がサイド部に高い強度で安定的に接着されるので、加硫接着剤をサイド部に塗布する作業及び加硫接着剤が塗布された支持部材を検査する作業を不要にできる。
【0010】
本発明に係る空気入りランフラットタイヤは、一対のビードコア間にわたってトロイド状に形成されたカーカスと、前記カーカスのタイヤ軸方向外側に配置されてタイヤサイド部を構成するサイドゴム層と、前記カーカスのタイヤ径方向外側に配置されてトレッド部を構成するトレッドゴム層とがそれぞれ設けられ、リムに装着されるタイヤと、前記タイヤの内側に配設され、前記タイヤと共にリムに組み付けられる支持体とを有し、前記支持体として、請求項1乃至4の何れか1項記載の支持体の製造方法により製造されたものを用いたことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る空気入りランフラットタイヤによれば、支持体として本発明に係る支持体の製造方法により製造されたものを用いることにより、支持体における支持部材と脚部とが高強度で安定的に接着されているので、ランフラット走行に伴って支持部材と脚部とが剥離してランフラット走行が不能になることを長期距離に亘り防止でき、また支持体の製造コスト低減に伴って、ランフラットタイヤ自体の製造コストも低減できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係るランフラットタイヤ及びその支持体の製造方法を図面に基づいて説明する。
【0013】
(ランフラットタイヤの構成)
ランフラットタイヤ10とは、図1に示されるように、リム12に空気入りタイヤ14と支持体16を組み付けたものをいう。リム12は、空気入りタイヤ14のサイズに対応した標準リムである。空気入りタイヤ14は、一対のビード部18と、両ビード部18に跨がって延びるトロイド状のカーカス20と、カーカス20のクラウン部に位置する複数(本実施形態では2枚)のベルト層22と、ベルト層22の上部に形成されたトレッド部24とを備える。
【0014】
空気入りタイヤ14の内部に配設される支持体16は、全体として一定の曲率で湾曲したリング状に形成されており、環状の支持部材であるシェル26と、このシェル26の両端部にそれぞれ接着された加硫ゴム製の脚部28とを備える。
【0015】
脚部28は、支持体16をリム組み付け時に空気入りタイヤ14の内側でリム12に組み付けられるものであり、径方向に沿った高さが20mm〜100m、好ましくは25mm〜40mmが好適である。
【0016】
一方、シェル26は、径方向に沿って所定の断面形状を有する薄肉プレート状に形成されており、径方向外側へ向ってそれぞれ凸状となる一対の凸部26A、26Bと、その間に形成された径方向内側へ向って凸状となる凹部26Cが形成されると共に、幅方向(矢印W方向)に沿って凸部26A、26Bの外側に、これらの凸部26A、26Bからの荷重を支持するサイド部26D、26Eが形成されている。サイド部26D、26Eの径方向内側の端部(リム側端部)には、略タイヤ回転軸方向に延出するフランジ部26F、26Gが全周に亘って形成されている。
【0017】
なお、ここでランフラットタイヤ10(空気入りタイヤ14)は標準リム12に組み付けられている。この標準リムとはJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2002年度版規定のリムであり、標準空気圧とはJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2002年度版の最大負荷能力に対応する空気圧であり、標準荷重とはJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2002年度版の単輪を適用した場合の最大負荷能力に相当する荷重である。
【0018】
日本以外では、荷重とは下記規格に記載されている適用サイズにおける単輪の最大荷重(最大負荷能力)のことであり、内圧とは下記規格に記載されている単輪の最大荷重(最大負荷能力)に対応する空気圧のことであり、リムとは下記規格に記載されている適用サイズにおける標準リム(または、”Approved Rim” 、”Recommended Rim”)のことである。
【0019】
規格は、タイヤが生産又は使用される地域に有効な産業規格によって決められている。例えば、アメリカ合衆国では、”The Tire and Rim Association Inc. のYear Book ”であり、欧州では”The European Tire and Rim Technical OrganizationのStandards Manual”である。
【0020】
(支持体の製造方法)
次に、上記のように構成されたランフラットタイヤ10における支持体16の製造方法について説明する。
【0021】
支持体16におけるシェル26は、金属材料や樹脂等を素材として一体的に成形されている。ここで、シェル26の素材となる金属材料としては、例えば、高張力鋼、アルミ合金、マグネシウム合金等を用いることができ、またシェル26の素材となる樹脂材料としては、例えば、PP(ポリプロピレン)、ABS(アクロル二トリル・ブタジエン・スチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等又は、これらの樹脂をカーボン、アラミド、ガラス繊維の何れかあるいはその組み合わせで補強されたものを用いることができる。
【0022】
シェル26は、例えば、50(Kgf/mm)以上の引張り強さを有する高張力鋼により成形する場合には、先ず、所定寸法に加工された高張力鋼からなる薄肉状の円筒材を用意し、この円筒材にヘラ絞り加工、ロールフォーミング加工、ハイドロフォーム加工等の塑性加工を施すことにより成形される。これ以外にも、例えば、アルミ合金、マグネシウム合金等の金属を素材とする場合には、合金を押出加工によりシェル26に対応する断面形状を有する薄肉プレート状の中間部品に成形した後、この中間部品をベンディング加工等で環状にすることにより、また強化繊維を含む樹脂を素材とする場合には、強化繊維を含む樹脂をシェル26に対応する形状にモールド成形した後、高温・高圧下で燒成することによっても、シェル26は成形可能である。
【0023】
次いで、上記のような方法により成形されたシェルには、サイド部26D、26E及びフランジ部26F、26Gを含む幅方向に沿った両端部にそれぞれブラス(Cu/Zn)めっきが施される。これにより、図2に示されるように、シェル26の両端部には、その表層部にブラス合金により0.1μm〜100μmの厚さを有するめっき層27が形成される。ここで、ブラス合金とは、銅(Cu)及び亜鉛(Zn)を主成分とする合金であり、本実施形態では銅の含有率が30wt%〜90wt%のものが用いられている。
【0024】
めっき層27が形成されたシェル26は、一対のサイド部26D、26Eがそれぞれ脚部28を成形するためのモールド内にインサートコアとして装填される。このモールドの内部には、図2の2点鎖線で示されるような、脚部28に対応する形状の空間であるキャビティ40が設けられており、シェル26のサイド部26D、26Eはそれぞれキャビティ40内へ挿入され所定位置に支持される。
【0025】
シェル26のサイド部26D、26Eをモールドへ装填完了後、溶融状態の原料ゴム、加硫剤等をキャビティ40内に注入し、この原料ゴムを所定の加硫時間に亘って加硫反応させることより、図3(A)に示されるように、サイド部26D、26Eの表面をそれぞれ覆うように一対の脚部28が加硫ゴムを素材として成形(加硫成形)されると同時に、これら一対の脚部28がそれぞれサイド部26D、26Eに接着される。
【0026】
ここで、脚部28の素材として好適なゴム成分としては、特に制限されないが、天然ゴムの含有量が50重量%以上であることが好ましい。また、合成ゴムとしては、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、とりわけ臭素化ブチルゴム、パラメチルスチレン基を有するブチルゴム(具体的には、イソブチレンとp−ハロゲン化メチルスチレンとの共重合体等)、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、イソプレンゴム等が適用可能である。
【0027】
また脚部28は、図3(A)に示されるように、サイド部26D、26Eとの接着界面Sから略一定の厚さ部分が接着反応層28Aとされており、この接着反応層28Aを形成する原料ゴム中には、接着プロモーターとしてCo塩が所定の割合で添加されている。これにより、脚部28の加硫成形時に、脚部28の接着反応層28Aとサイド部26D、26Eのめっき層27との接着反応が促進され、加硫成形の完了までに接着反応層28Aとめっき層27とが高強度に安定的に接着される。
【0028】
ここで、接着反応層28Aに添加されるCo塩としては、例えば、ナフテン酸−CoやPMMM−Coが好適であるが、これ以外にも、Co塩を構成する酸としては、バーサチック酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレイン酸、脱水ひまし油酸、樹脂酸、ヒドロキシステアリン酸、アビエチン酸、カブリル酸、2−エチルヘキサン酸、オクチル酸、安息香酸、ビバリン酸、n−ヘプタン酸、2,2−ジメチルペンタン酸、2−エチルペンタン酸、4,4−ジメチルペンタン酸、n−オクタン酸、2,2−ジメチルヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、4,4−ジメチルヘキサン酸、2,4,4−トリメチルペンタン酸、n−ノナン酸、2,2−ジメチルヘプタン酸、6,6−ジメチルペプタン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、n−デカン酸、2,2−ジメチルオクタン酸、7,7−ジメチルオクタン酸、などを用いたものが適用可能である。
【0029】
接着反応層28Aを形成する原料ゴムには、ゴム成分100重量部に対してCo塩が0.1〜10重量部とるようにCo塩が添加されている。このとき、Co塩が0.1重量部よりも少ないと、めっき層27(ブラス合金)との接着反応が十分に促進されず、加硫成形完了時の脚部28とサイド部26D、26Eとの接着力が不十分になり易く、またCo塩が10重量部よりも多いと、活性が高くなりすぎて、加硫反応とのバランスが取れなくなって接着不良が生じ易くなる。
【0030】
一方、サイド部26D、26Eのめっき層27を形成するブラス合金は、前述したように、銅(Cu)の含有率が30wt%〜90wt%のものが用いられている。このとき、銅の含有率が30wt%よりも低いと、活性が低くなりすぎて、接着反応層28Aとの接着反応が十分に促進されず、加硫成形完了時の脚部28とサイド部26D、26Eとの接着力が不十分になり易く、また銅の含有率が90wt%よりも高いと、活性が高くなりすぎて、加硫反応とのバランスが取れなくなって接着不良が生じ易くなる。
【0031】
従って、ブラス合金における銅の含有率と原料ゴムにおけるCo塩の添加量とは、サイド部26D、26Eと脚部28との接着性に対してそれぞれ影響し及ぼし合うことから、相互に最適な範囲にバランスさせる必要がある。なお、脚部28における接着反応層28A以外の部分のゴム原料は、基本的には、Co塩が添加されていない以外は接着反応層28Aと共通の成分組成を有している。また脚部28を成形する際には、接着反応層28Aを加硫成形した後に、その他の部分を成形することも考えられるが、接着反応層28Aと他の部分との接合性を良好とするため、接着反応層28Aを形成するCo塩が添加されたゴム原料と他の部分を形成するゴム原料をノズル内で合流させ、それぞれ層流状態でキャビティ40内へ注入することにより、接着反応層28Aと他の部分を同時に加硫成形すること好ましい。
【0032】
また、図3(B)に示されるように、脚部29全体を所定量のCo塩が添加されたゴム原料により成形するようしても良い。この場合には、1種類のゴム原料を他のゴム原料と混合したり、ゴム原料の流れの状態を制御することもなく、単純にゴム原料をキャビティ40内へ注入すれば、脚部29を加硫成形できるので、成形作業を非常に簡単なものにできる。但し、脚部29は、脚部28と比較してCo塩の使用量が増加することから、コスト的には不利になる場合がある。
【0033】
また、図2に示されるシェル26では、ブラス合金からなるめっき層27が脚部28との接着界面となるサイド部26D、26Eの表層部のみに形成されているが、図4に示されるように、シェル26の表層部全体にめっき層27を形成するようにしても良い。これによっても、脚部28との接着性を良好にできると共に、特に、シェル26の素材として錆の生じ易い鉄系の金属を用いた場合には、シェル26に錆が発生することを抑制できるようになる。またシェル26全体をブラス合金により成形し、脚部28との接着性を良好とするようにしても良い。
【0034】
次に、上記のように製造された支持体16及び、この支持体16を用いたこのランフラットタイヤ10の作用について説明する。
【0035】
ランフラットタイヤ10では、空気入りタイヤ14の内圧が低下した場合、空気入りタイヤ14のトレッド部24を支持体16の凸部26A、26Bが支持して走行可能とする。また、この際、路面からの衝撃がトレッド部24、支持体16、リム12を介して車体に伝達されるが、支持体16のリム12と当接する部分にはゴム製の脚部28が設けられているため、路面からの衝撃が緩衝されてランフラット走行時の乗り心地が向上すると共に、路面からの衝撃によって支持体16(シェル26)のサイド部26D、26Eが変形してしまうことを回避できる。
【0036】
また、ランフラット走行時に、シェル26のサイド部26D、26Eと脚部28との間に、主として径方向に沿った荷重及び振動が作用するが、本実施形態では、サイド部26D、26Eと脚部28とが十分に高い接着強度で接着されており、かつ任意の部位において単位面積当たりの接着強度の変動も十分に小さくなっているので、シェル26から脚部28が剥離してランフラット走行が不能になることを十分に長い距離に亘って確実に防止できる。
【0037】
以上説明した本実施形態に係る支持体16の製造方法によれば、シェル26の成形工程にて、シェル26における少なくともサイド部26D、26Eの表層部をCu/Zn合金により形成した後、脚部28の成形工程にて、サイド部26D、26Eをインサートコアとして脚部28を原料ゴムによりモールド内で加硫成形すると同時に、脚部28における接着反応層28Aをコバルト塩が添加された原料ゴムを用いて脚部28をサイド部26D、26Eに接着することにより、シェル26におけるサイド部26D、26Eの脚部28との接着領域に加硫接着剤を予め塗布しておかなくとも、脚部28の加硫成形と同時に、この脚部28がサイド部26D、26Eに高い強度で安定的に接着されるので、加硫接着剤をサイド部に塗布する作業及び加硫接着剤が塗布された支持部材を検査する作業をそれぞれ不要にできる。この結果、脚部28をシェル26に接着する作業を大幅に簡略化できると共に、脚部28とシェル26との間における接着力のバラツキを十分に小さくできる。
【0038】
【実施例】
ここでは、本発明の製造方法により製造された支持体(実施例1〜2)と、本発明の製造法による製造条件から外れた製造条件により製造された支持体(比較例1〜2)とを比較して評価するための試験(剥離試験)を行った。
【0039】
本試験は、JIS6256に規定される試験に準拠して行われたものであり、試験装置としては公知の剥離試験装置42を用いた。図5に示されるように、剥離試験装置42は、装置の支持基台44側に固定されたチャック部46と、駆動力が制御可能とされたリニアアクチュエータ(図示省略)に連結された把持部48とを備えている。また、この試験に用いられる試験片50としては、L状に屈曲された金属板からなる裏打ち材52に接着剤等により十分な強度で接着された加硫ゴムからなるゴム材54と、このゴム材54の成形(加硫成形)時にゴム材54の裏打ち材52とは反対側の剥離面54Aに接着(加硫接着)された肉厚平板状の支持板56からなるものを用いた。ここで、支持板56は、高張力鋼又はブラス合金を素材として、必要に応じてその表面にブラス合金をめっきした。
【0040】
剥離試験装置42を用いて比較例1〜2及び実施例1〜2に係る試験片をそれぞれ試験した結果を、下記(表1)に示す。この試験では、図5に示されるように、ゴム材54及び裏打ち材52の一端部をチャック部46によりチャックして支持基台44側へ連結固定すると共に、支持板56を把持部48により把持し、この状態でリニアアクチュエータにより把持部48を上方へ持ち上げ、ゴム材54と支持板56とが剥離するまでのリニアアクチュエータの駆動力を測定し、リニアアクチュエータによる駆動力の最大値を応力に換算し剥離力として評価した。
【0041】
【表1】
Figure 2004181640
【0042】
上記(表1)から明らかなように、高張力鋼からなる支持板56にブラスめっきを施さなっかた試験片(比較例1)及び、高張力鋼からなる支持板56にブラスめっきを施したが、ブラスめっき中のCu含有率が約20wt%の試験片(比較例2)では、ゴム材54と支持板56との間に殆ど接着力が発生せず、支持体におけるサイド部26D、26Eと脚部28との接着に用いた場合の接着性評価が不適と判定された。
【0043】
一方、高張力鋼からなる支持板56にブラスめっきを施し、ブラスめっき中のCu含有率が約60wt%の試験片(実施例1)及び、Cu含有率が約60wt%のブラス合金からなる支持板56を用いた試験片(実施例2)では、ゴム材54と支持板56との間に90kgf/inchの接着力を得られ、支持体におけるサイド部26D、26Eと脚部28との接着に用いた場合の接着性評価が良子と判定された。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る支持体の製造方法によれば、支持部材にゴム製の脚部を接着するために必要となる工程を簡略化できると共に、支持部材と脚部とを安定的に高強度に接着できる。
【0045】
また本発明に係るランフラットタイヤによれば、支持体における支持部材とゴム製の脚部との剥離を長期に亘って防止でき、かつ製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る製造方法により製造された支持体が適用されたランフラットタイヤの構成を示す径方向に沿った断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る製造方法により製造されたシェルの一例を示す径方向に沿った断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る製造方法により製造されたシェル及び脚部からなる支持体の構成を示す径方向に沿った断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る製造方法により製造されたシェルの他の例を示す径方向に沿った断面図である。
【図5】本発明に係る支持体の製造方法を評価するための剥離試験に用いられる剥離試験装置及び試験片の構成を示す側面図である。
方向に沿った断面図である。
【符号の説明】
10 ランフラットタイヤ
12 リム
14 空気入りタイヤ
16 支持体
18 ビード部
18 両ビード部
20 カーカス
22 ベルト層
24 トレッド部
26 シェル
26A、26B 凸部
26C 凹部
26D、26E サイド部
26F、26G フランジ部
27 めっき層
28 脚部
28A 接着反応層
29 脚部
40 キャビティ

Claims (5)

  1. 径方向断面において、径方向外側に突出する凸部及び、幅方向両端部にそれぞれ径方向内側へ延出するサイド部が一体的に設けられた略円筒状の支持部材と、前記サイド部に固着されたゴム製の脚部とを有し、空気入りタイヤの内部に配設され、かつ前記脚部を介して空気入りタイヤと共にリムに組み付けられ、該空気入りタイヤの内圧が低下したランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体の製造方法であって、
    前記支持部材における少なくとも前記サイド部の前記脚部との接着領域をCu/Zn合金により形成する第1の工程と、
    前記サイドをインサートコアとして前記脚部をゴムによりモールド内で加硫成形すると同時に、少なくとも前記サイド部との接着界面を形成する加硫ゴムとしてコバルト塩が添加されたものを用いて前記脚部を前記サイド部に接着する第2の工程と、
    を含むことを特徴とする支持体の製造方法。
  2. 前記第1の工程では、前記支持部材における少なくとも前記サイド部の前記脚部との接着領域に、Cu/Zn合金によりめっきを施してCu/Zn合金からなるめっき層を形成することを特徴とする請求項1記載の支持体の製造方法。
  3. 前記Cu/Zn合金におけるCuの含有率を、30wt%以上、90wt%以下の範囲から選択された値とすることを特徴とする請求項1又は2記載の支持体の製造方法。
  4. 前記めっき層を、その厚さが0.1μm〜100μmの範囲内から選択された値となるように形成することを特徴とする請求項2又は3記載の支持体の製造方法。
  5. 一対のビードコア間にわたってトロイド状に形成されたカーカスと、前記カーカスのタイヤ軸方向外側に配置されてタイヤサイド部を構成するサイドゴム層と、前記カーカスのタイヤ径方向外側に配置されてトレッド部を構成するトレッドゴム層とがそれぞれ設けられ、リムに装着されるタイヤと、
    前記タイヤの内側に配設され、前記タイヤと共にリムに組み付けられる支持体とを有し、
    前記支持体として、請求項1乃至4の何れか1項記載の支持体の製造方法により製造されたものを用いたとを特徴とする空気入りランフラットタイヤ。
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