JPH092015A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
空気入りラジアルタイヤInfo
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- JPH092015A JPH092015A JP7159430A JP15943095A JPH092015A JP H092015 A JPH092015 A JP H092015A JP 7159430 A JP7159430 A JP 7159430A JP 15943095 A JP15943095 A JP 15943095A JP H092015 A JPH092015 A JP H092015A
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Abstract
ス層に用いた空気入りラジアルタイヤに於いて、耐久性
及び経済性に優れた空気入りラジアルタイヤを提供す
る。 【構成】 1本又は複数本のスチールワイヤから構成さ
れるスチールコード表面に、フェノール系化合物、メチ
レン供与体及び有機酸コバルト塩を含むゴム組成物から
なるゴムセメントを被覆してなるスチールコードが、ゴ
ムマトリックス中に複数本実質的に平行に埋設されたベ
ルト層及び/又はカーカス層を有する空気入りラジアル
タイヤ。
Description
ト層及び/又はカーカス層に用いた空気入りラジアルタ
イヤに関し、更に詳しくは、耐久性と経済性に優れた空
気入りラジアルタイヤに関する。
イアスタイヤに比較し、操縦安定性、低転がり抵抗性、
耐摩耗性等に優れているため、幅広く用いられている。
かかる空気入りラジアルタイヤのベルト層やカーカス層
には、その強度や剛性の点からスチールコードが多く用
いられている。スチールコードは繊維コードに比較し、
単位断面積当たりの引張強度や引張弾性率が高いため、
タイヤの操縦安定性、低転がり抵抗性、耐摩耗性などを
改良できるという利点がある。
ゴムとの接着性に乏しいという問題があり、また水分に
よって容易に腐食し、更にゴムとの接着劣化や疲労性の
低下などを生じやすいという問題がある。このような問
題に対して、接着性の向上の観点からは、スチールワイ
ヤにブラス等のメッキを施し、ゴムとの接着性を高める
とともに、スチールコードを埋設するゴムマトリックス
に接着性を促進する接着助剤が添加されている。一方、
水分によるスチールコードの腐食に対しては、スチール
ワイヤを複数本撚り合わせるに際して、特殊な型付けを
行うオープン構造や平行撚り構造を用いてスチールコー
ドの撚り合わせの空隙部にゴムを浸透しやすくし、空隙
部に露出したスチールコード表面をゴムで覆うことで外
傷等による水の浸入によるスチールコードの腐食を抑制
する方法が行われている。
ゴムとの接着性改良の第一の方法では、スチールコード
表面とゴムとの極薄い界面で形成される接着層に対して
スチールコードが埋設される多量のゴムマトリックス全
体に高価な接着助剤を添加しなければならず、これは、
極めて不経済なことである。また、前記したスチールコ
ードの腐食に対する対策には、特殊な撚りコード構造を
用いなければならないという煩雑さや、撚りコード全長
にわたってコード空隙内にゴムが充分に浸透しなければ
ならず、また空隙部に露出したスチールコード表面がゴ
ムで覆われるように厳密な管理をしなければならないと
いう問題がある。特に、ゴム浸透性が良好なオープン構
造のスチールコード等を用いる場合には、スチールコー
ドをゴムに埋設する圧延工程などでスチールコードに加
えられる張力が高いと、コードが伸張されてコードがす
ぼみ、クローズ構造になりゴムが浸透しにくくなり、空
隙部のスチールコード表面がゴムで覆われにくくなると
いう問題がある。
は、前述の従来のスチールコードとゴムとの接着性の向
上及び水の浸入によるスチールコードの腐食防止技術の
問題点を排除し、スチールコードをベルト層及び/又は
カーカス層に用いた空気入りラジアルタイヤに於いて、
耐久性及び経済性に優れた空気入りラジアルタイヤを提
供することにある。
は複数本のスチールワイヤから構成されるスチールコー
ド表面に、フェノール系化合物、メチレン供与体及び有
機酸コバルト塩を含むゴム組成物からなるゴムセメント
を被覆してなるスチールコードが、ゴムマトリックス中
に複数本実質的に平行に埋設されたベルト層及び/又は
カーカス層を有する空気入りラジアルタイヤが提供され
る。
タイヤ用に用いられる炭素含有量が0.7%以上の高炭
素鋼からなる直径が0.1〜0.6mmで、引張強度が2
80kg/mm2 以上のメッキワイヤを1本乃至複数本撚り
合わせたものである。本発明においても、メッキはゴム
との接着性を確保するために必要であり、メッキ組成と
しては、銅と亜鉛が6/4乃至7/3の合金比(重量
比)からなるブラスメッキが通常用いられるが、これに
ニッケルやコバルトを加えた三元合金メッキや、亜鉛メ
ッキ、銅と錫の合金であるブロンズメッキ等も用いるこ
とができるが、ブラスメッキの使用がゴムとの接着性の
観点でより好ましい。
してはスチールワイヤ1本から構成される単線コードや
複数本撚り合わせた撚りコードを用いることが可能であ
る。撚りコードの場合、通常の1×n,n×m,n+
m、またはl+n+m等(l,m,n:1以上の整数)
の撚り構造が用いられる。また、これらの構造で特殊な
型付けを施し、ゴム浸透性の良好なコードを用いること
もできる。例えばゴム浸透の良好な所謂オープン構造を
持つスチールコードにおいても、コード全長にわたっ
て、コード撚り合わせ中心部の空隙にゴムマトリックス
を完全に充填することや、空隙部に露出したスチールコ
ード表面をゴムで完全に覆うことは難しいが、本発明に
係るゴムセメントを用いればその空隙部に露出したスチ
ールワイヤの表面を完全にゴムで被覆することができ
る。
数本のスチールワイヤを撚り合わせてなるスチールコー
ドの表面を、フェノール系化合物、メチレン供与体及び
有機酸コバルト塩を含むゴム組成物からなるゴムセメン
トを用いて、被膜し、スチールコードをゴムマトリック
スに埋設することが必要である。ここで、フェノール系
化合物、メチレン供与体及び有機酸コバルト塩を含むゴ
ム組成物を用いるのは、スチールコードとゴムとを強固
に接着させるためと、ゴム組成物の硬度及び破断物性を
改良するためである。特に、フェノール系化合物とメチ
レン供与体は、ゴムの加硫中に反応し、ゴムの補強性を
高めるという効果とスチールコードとの接着性を高める
という効果がある。また、有機酸コバルト塩は特に初期
接着性向上を促進する効果がある。また、かかるゴム組
成物からなるゴムセメントを用いるのは、スチールコー
ドの表面に必要最小限の接着性ゴムを付与するため、か
つ特殊な構造のスチールコードを用いることなく、スチ
ールコード撚り合わせ中心の空隙部に容易にゴムを浸透
させるためである。
物、メチレン供与体及び有機酸コバルト塩を含むゴム組
成物は、メッキスチールコードとゴムとの接着性を高め
るために用いられるものであり、フェノール系化合物と
しては、例えばレゾルシン、β−ナフトール、レゾルシ
ンとアルデヒド類との縮合物(レゾルシン樹脂)、m−
クレゾールとアルデヒド類との縮合物(m−クレゾール
樹脂)、フェノールとアルデヒド類との縮合物(フェノ
ール樹脂)、その他フェノール性有機化合物とアルデヒ
ド類との縮合物があげられ、任意の市販のものを用いる
ことができる。レゾルシン樹脂としては、例えばインド
スペック社製のペナコライト(商標)樹脂B−18−
S,B−20,住友化学工業(株)製スミカノール(商
標)600、ユニロイヤル社製R−6、スケネクタディ
ー化学社製SRF1501、アッシュランド化学社製A
rofene(商標)7209等があげられる。また、
m−クレゾール樹脂として、住友化学工業(株)製スミ
カノール(商標)610等があげられる。
サメチレンテトラミン、ヘキサメトキシメチロールメラ
ミン及びそれらの誘導体、アザーディオキサービシクロ
オクタン、パラホルムアルデヒド等があり、市販のもの
を使用することができる。例えば、市販品としてはバイ
エル社製Cohedur(商標)A、アメリカンサイア
ナミッド社製サイレッツ(商標)966、964、住友
化学工業(株)製スミカノール(商標)507、ユニロ
イヤル社製M−3等があげられる。
は、例えばナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバル
ト、オクチル酸コバルト、オレイン酸コバルト、または
有機ホウ酸コバルト錯体があげられる。
メントとして用いるのは、以下の理由による。スチール
コード表面に単に上記ゴム組成物を被覆するには、チュ
ーバーとダイスを用いてスチールコード1本毎に被覆す
る方法が考えられる。しかしながら、このような方法で
はゴム組成物の流動性が乏しいために、スチールコード
表面には被覆できても、コードの撚り合わせ中心部での
空隙部を上記ゴムで充填することが困難であり、その結
果として、空隙部に露出したスチールコードの表面をゴ
ムで覆うことが難しくなる。これに対し、本発明では、
上記ゴム組成物を適当な有機溶剤に溶解したゴムセメン
トにして流動性を付与するので、スチールコード表面へ
の被覆とスチールコード撚り合わせ中心の空隙部への上
記ゴム組成物の充填や空隙部で露出したスチールコード
表面へのゴムの被覆が初めて可能となる。
分と、ゴム、硫黄、加硫促進剤、老化防止剤、カーボン
ブラック等の補強性充填剤とを予め混合したゴム組成物
をトルエン等の有機溶媒に溶解して製造する方法、また
はこれらの配合剤類をトルエン等の有機溶剤中で混合攪
拌溶解を連続的に行う等の方法を用いることができる。
また、スチールコードの表面に上記ゴム組成物の被膜を
形成する方法として、ゴムセメントに浸したり、ゴムセ
メントをスプレーにて塗布したり、ハケ等で塗布したり
する等の方法がある。例えば、浸漬方法の場合には、ス
チールコードを1本又は複数本平行に引きそろえながら
連続的に前記ゴム組成物からなるゴムセメントに浸漬、
引き取りを行い、空気、熱風等を吹きつけて溶媒を除去
することによって被膜を形成することが可能である。
連続的に未加硫のゴムマトリックス中に埋設する圧延加
工に付されるか、またはより連続的にタイヤ成形機上で
スチールコードにゴムセメントを被覆しながら、未加硫
ゴムマトリックス中に埋設することができる。
膜を形成したスチールコードを埋設するゴムマトリック
スは、その配合を特に規定するものではなく、従来から
一般に使われている任意のゴムとするとできる。ただ、
経済性の観点から、上記ゴム組成物に配合されたフェノ
ール系化合物、メチレン供与体及び有機酸コバルト塩を
除去した残りのゴムマトリックスを用いるのが好まし
い。
は、粘度が10〜10000PS(温度25℃)である
のが好ましい。ゴムセメントの粘度が10PS未満の場
合には、ゴムセメントを用いてスチールコード表面に形
成される被膜が薄いためにゴムマトリックスとの接着を
十分に確保できないおそれがあり、また、スチールコー
ドの撚り合わせ中心部に露出したスチールコード表面へ
のゴムの被膜厚みも薄くなりやすいためスチールコード
の腐食抵抗性が低下するおそれがあるので好ましくな
い。
Sを超えると、スチールコードの表面に厚い被膜の形成
が可能なためゴムマトリックスとの良好な接着が得られ
るが粘度が高すぎてスチールコードの撚り合わせ中心部
の空隙部へのゴムセメントの浸入性が低下し、タイヤの
外傷による水の浸入によるスチールコードの腐食抑制性
が低下してくるおそれがある。このゴムセメントの粘度
は、固形分を有機溶剤の使用量によって調整することが
でき、上記ゴム組成物100重量部に対して、好ましく
は有機溶剤70〜900重量部を用いて溶解することに
より調整される。かかる有機溶剤としては特に限定はな
いが、例えばトルエンなどを用いることができる。
形成される被膜の厚さには特に限定はないが、50〜5
00μmの被膜厚にするのがより好適である。被膜厚が
50μm未満ではゴムマトリックスとの接着が低下する
おそれがあり、逆に500μmを超えても接着力のそれ
以上の改善が得られず経済的でない。また、被膜厚さ
は、上記のセメントの粘度で調整可能であるが、セメン
トにスチールコードを浸漬した後、所定直径のダイス等
を通して調整することもできる。
被覆するフェノール系化合物、メチレン供与体及び有機
酸コバルト塩を含むゴム組成物は、ゴム100重量部に
対して、m−クレゾールとアルデヒド類との縮合物であ
るm−クレゾール樹脂のようなフェノール系化合物0.
5〜5重量部と、ヘキサメチロールメラミン系化合物な
どのようなメチレン供与体1〜6重量部及び有機酸コバ
ルト塩0.05〜0.8重量部を(コバルト元素とし
て)含むゴム組成物を用いるのが好ましい。その他、イ
オウ等の加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、オイル等を
適宜配合されるが特に限定されるものではない。
重量部未満の場合には、スチールコードとの接着性が充
分得られないおそれがあり、更にゴム組成物の硬度向上
が得られない場合があるために、剛性の高いスチールコ
ード表面と該ゴム組成物との界面に動的な歪みが加えら
れた場合に応力集中しやすくなりタイヤの耐久性が低下
するおそれがある。一方、フェノール系化合物の量が5
重量部を超えると該ゴム組成物の破断物性の低下と発熱
性が高くなるため、タイヤの耐久性が低下するおそれが
ある。メチレン供与体も同様に、その配合量が1重量部
未満の場合、接着性が充分得られないおそれがあり、ゴ
ム組成物の硬度向上が得られにくくなるおそれがある。
逆にメチレン供与体の配合量が7重量部を超えると該ゴ
ム組成物の破断物性が低下するおそれがある。また、有
機酸コバルト塩の配合量がコバルト元素として0.05
重量部未満の場合には、初期接着性が不十分になるおそ
れがあり、逆に0.8重量部を超えると特に吸湿時の接
着力の低下が起こりやすくなる。
が、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでは
ないことはいうまでもない。ここで図1は、本発明の空
気入りラジアルタイヤの一例の斜視断面図である。図1
において、1はトレッド部、2はサイド部、3はビー
ド、4はカーカス補強層、5はベルト補強層を示す。図
2は、本発明の具体例の空気入りラジアルタイヤのベル
ト部の拡大図である。図3は、従来の典型例の空気入り
ラジアルタイヤのベルト部の拡大図である。図2中、a
はスチールコードであり、bはその撚り合わせ中心部と
スチールコード表面を覆う本発明のゴム組成物であり、
cは被覆スチールコードが埋設されたゴムマトリックス
である。図3中、dはスチールコードであり、eはスチ
ールコードが埋設されたゴムマトリックスである。
ール系化合物及び有機酸コバルト塩を含むゴム組成物A
をトルエンに溶解したゴムセメントを製造した。トルエ
ン量を変えることで、ゴムセメントの粘度を変えた。ま
た、比較例として表IIに示すフェノール系化合物、メチ
レン供与体及び有機酸コバルト塩を含まないゴム組成物
を用いて、ゴムセメントを製造した。これらのゴムセメ
ントに1×5(0.25)のクローズドタイプのブラス
メッキスチールコードを浸漬し直ちに引き取り、50℃
の温風をあてて溶剤を揮発させた。
コードを、表IIに示す接着助剤を配合していないゴムマ
トリックスに埋設して加硫後、接着試験を実施した。ま
た、従来の典型的な標準例及び比較として、セメント処
理を施さないブラスメッキスチールコードを表I及び表
IIに示すゴムマトリックスにそのまま埋設し加硫後、接
着試験を行った。また、該ゴム被覆スチールコードを表
IIに示すゴムマトリックスに埋設加硫した後、ゴムマト
リックスからスチールコードを採取し、該スチールコー
ドの撚りをほぐして、撚りコードの撚り合わせ中心の空
隙部でのスチールコード表面のゴム被覆率を目視で測定
した。同様に従来の標準例及び比較例として、セメント
処理を施さないブラスメッキスチールコードのゴム埋設
加硫後の、撚りコードの撚り合わせ中心の空隙部でのゴ
ムの被覆率を測定した。尚、接着試験はASTM:D2
229に準拠した引き抜き試験法により行った。結果を
表III に示す。
フェノール系化合物、メチレン供与体及び有機酸コバル
ト塩を含むゴム組成物からなるゴムセメントを用いてス
チールコードを浸漬し、その表面に該ゴム組成物の被膜
を形成させることによって、スチールコードが埋設させ
るゴムマトリックスに高価な接着助剤を添加することな
く良好な接着が得られることが明らかである。また、た
とえゴム浸透性の悪いクローズド構造のスチールコード
を用いても、その撚り合わせ中心の空隙にゴムを浸透さ
せ、露出したスチールコード表面をゴムで被覆すること
ができることも明らかである。一方、従来の典型例であ
る例7では、高価な接着助剤(フェノール系化合物、メ
チレン供与体及び有機酸コバルト塩)を含むゴムマトリ
ックスにスチールコードを埋設するために、良好な初期
接着は得られるが、ゴムがスチールコードの撚り合わせ
中心に浸透しないので、水等の浸入によりスチールコー
ドが腐食するという問題が発生することがわかる。また
比較例である例6から明らかなように、本発明のゴム組
成物をゴムセメントとして用いないと、コードの撚り合
わせ中心にゴムを充填できても良好な接着は得られな
い。また比較例8から明らかなように高価な接着助剤を
含まないゴムマトリックスに本発明のゴムセメントを用
いることなくスチールコードを埋設した場合には、接着
も低くまた、コードの撚り合せ中心にゴムを充填できな
いことがわかる。また、本発明の例1〜5から明らかな
ように、ゴムセメントの粘度は10〜10000PSが
ゴムの充填と接着の観点でより好ましい。
様にスチールコードを浸漬した。ここで、所定のダイス
を用いて、スチールコード表面へ形成される被膜厚さを
調整した。実施例1と同様に接着試験とゴム被覆率を測
定した。結果を表IVに示す。尚、被膜厚さは次のように
測定した。セメント処理後したスチールコードをゴムに
埋設加硫した後、この埋設物を硫黄中で加熱硬化してエ
ボナイト化したのちに、スチールコード断面を露出させ
て研磨し、顕微鏡にて被膜厚みを測定した。
れる被膜厚みは接着の観点で50μm以上がよりこの好
ましいことがわかる。一方、500μmを超えても接着
性の向上は得られない。
0PSに調整したゴムセメントを用いて、スチールコー
ドを浸漬し、ゴム被膜を形成させた。これを用いて、表
IIに示すゴムマトリックスに埋設し接着試験を実施し
た。尚、接着試験は実施例1と同様の初期接着力の測定
以外に、接着試験片を70℃の温水に4週間浸漬後に接
着力を測定する耐温水接着試験も実施した。結果を表V
に示す。
除きいずれも初期接着、ゴム被覆率は良好であるが、耐
温水接着は、m−クレゾール樹脂とヘキサメトキシメチ
ロールメラミンペンタメチルエーテルの部分縮合物及び
有機酸コバルト塩を含むゴム組成物をゴムセメントとし
てスチールコード表面へ被膜を形成させるのがより好ま
しいことがわかる。尚、例13(比較例)に示したよう
に有機コバルト塩が添加されていないと、初期接着、耐
温水接着ともに明らかに低く、本発明においてゴムセメ
ントとして用いられるゴム組成物に有機酸コバルト塩の
存在が必須であることが分かる。
ドを表IIのゴムマトリックスに埋設した補強層をベルト
層に用いた空気入りラジアルタイヤ(本発明例)と、実
施例1の従来の標準例(例No.7)と同様に何らの被
覆を施していないスチールコードを表Iの接着助剤を含
むゴム組成物に埋設した補強層をベルト層に用いた空気
入りラジアルタイヤ(標準例)を準備し、それらの耐久
性を測定した。使用したタイヤサイズは195/60R
14とした。試験タイヤは耐久試験を実施する前に、7
0℃×95RH%の雰囲気下で30日間湿熱老化させ
た。耐久試験はJIS D4230の高速耐久試験に準
拠し、耐久試験を実施し、タイヤが破壊するまでの走行
距離を測定した。走行距離を指数表示した結果を表VIに
示す。
来の標準例に比較して、湿熱老化後の耐久性が向上して
いることが明らかである。これは、前述の如く、本発明
に従えば、特定のゴム組成物からなるゴムセメントを用
いてスチールコードの表面に被膜を形成させることによ
り、スチールコードの撚り合わせ中心部へゴムが充分に
充填され、水分のスチールコード撚り合わせ内部への拡
散が抑制され、スチールコードの腐食が低減されるとと
もに、特定のゴム組成物からなる被膜がスチールコード
表面に形成されているために、ベルト層を形成するゴム
マトリックスとの接着も充分に確保されているためであ
る。一方、従来の標準例はベルト層を形成するゴムとス
チールコードとの接着は問題ないものの、スチールコー
ドの撚り合わせ中心にゴムが十分に充填されていないた
めに、水分、スチールコード内へ拡散しスチールの腐食
劣化を促進する結果、接着部での接着劣化も誘発し耐久
性を低下せしめたものと考えられる。尚、ここでは空気
入りラジアルタイヤのベルト層に本発明を適用した例を
示したが、カーカス層に適用した場合にも同様の効果が
得られることはいうまでもない。
ば、スチールコードをゴムマトリックスに複数本実質的
に平行に埋設した補強層を、ベルト層及び/またはカー
カス層に配置した空気入りラジアルタイヤに於いて、フ
ェノール系化合物、メチレン供与体及び有機酸コバルト
塩を含むゴム組成物を含むゴムセメントを用いて1本〜
複数本のスチールワイヤから構成されるスチールコード
表面に該ゴム組成物を被覆されたスチールコードを、ゴ
ムマトリックスに複数本平行に埋設したベルト層及び/
又はカーカス層を用いることで、安価でしかも耐久性の
実質的に良好な空気入りラジアルタイヤを提供すること
が可能となる。
断面図である。
ト部のいくつかの例(図2−A,2−B及び2−C)の
拡大図である。
ト部のいくつかの例(図3−A,3−B及び3−C)の
拡大図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 1本又は複数本のスチールワイヤから構
成されるスチールコード表面に、フェノール系化合物、
メチレン供与体及び有機酸コバルト塩を含むゴム組成物
からなるゴムセメントを被覆してなるスチールコード
が、ゴムマトリックス中に複数本実質的に平行に埋設さ
れたベルト層及び/又はカーカス層を有する空気入りラ
ジアルタイヤ。 - 【請求項2】 前記ゴムセメントの粘度が10〜100
00PSである請求項1に記載の空気入りラジアルタイ
ヤ。 - 【請求項3】 前記スチールコード表面に被覆されたゴ
ムセメント被膜の厚さが50〜500μmの被膜である
請求項1又は2に記載の空気入りラジアルタイヤ。 - 【請求項4】 前記ゴム組成物が、ゴム100重量部に
対して、m−クレゾールとアルデヒド類との縮合物であ
るm−クレゾール樹脂0.5〜5重量部、ヘキサメチロ
ールメラミン系化合物1〜5重量部及び有機酸コバルト
塩(コバルト元素として)0.05〜0.8重量部を含
む請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気入りラジア
ルタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7159430A JPH092015A (ja) | 1995-06-26 | 1995-06-26 | 空気入りラジアルタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7159430A JPH092015A (ja) | 1995-06-26 | 1995-06-26 | 空気入りラジアルタイヤ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH092015A true JPH092015A (ja) | 1997-01-07 |
Family
ID=15693579
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7159430A Pending JPH092015A (ja) | 1995-06-26 | 1995-06-26 | 空気入りラジアルタイヤ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH092015A (ja) |
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