JP2004176135A - スパッタリングターゲット用材料およびその焼結体 - Google Patents
スパッタリングターゲット用材料およびその焼結体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004176135A JP2004176135A JP2002344262A JP2002344262A JP2004176135A JP 2004176135 A JP2004176135 A JP 2004176135A JP 2002344262 A JP2002344262 A JP 2002344262A JP 2002344262 A JP2002344262 A JP 2002344262A JP 2004176135 A JP2004176135 A JP 2004176135A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- silicon
- sputtering
- sputtering target
- density
- monoxide
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C04—CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
- C04B—LIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
- C04B35/00—Shaped ceramic products characterised by their composition; Ceramics compositions; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products
- C04B35/01—Shaped ceramic products characterised by their composition; Ceramics compositions; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products based on oxide ceramics
- C04B35/14—Shaped ceramic products characterised by their composition; Ceramics compositions; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products based on oxide ceramics based on silica
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C04—CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
- C04B—LIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
- C04B35/00—Shaped ceramic products characterised by their composition; Ceramics compositions; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products
- C04B35/622—Forming processes; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products
- C04B35/64—Burning or sintering processes
- C04B35/645—Pressure sintering
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C23—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
- C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
- C23C14/00—Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material
- C23C14/22—Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material characterised by the process of coating
- C23C14/34—Sputtering
- C23C14/3407—Cathode assembly for sputtering apparatus, e.g. Target
- C23C14/3414—Metallurgical or chemical aspects of target preparation, e.g. casting, powder metallurgy
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C04—CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
- C04B—LIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
- C04B2235/00—Aspects relating to ceramic starting mixtures or sintered ceramic products
- C04B2235/02—Composition of constituents of the starting material or of secondary phases of the final product
- C04B2235/30—Constituents and secondary phases not being of a fibrous nature
- C04B2235/42—Non metallic elements added as constituents or additives, e.g. sulfur, phosphor, selenium or tellurium
- C04B2235/428—Silicon
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C04—CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
- C04B—LIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
- C04B2235/00—Aspects relating to ceramic starting mixtures or sintered ceramic products
- C04B2235/70—Aspects relating to sintered or melt-casted ceramic products
- C04B2235/74—Physical characteristics
- C04B2235/77—Density
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C04—CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
- C04B—LIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
- C04B2235/00—Aspects relating to ceramic starting mixtures or sintered ceramic products
- C04B2235/70—Aspects relating to sintered or melt-casted ceramic products
- C04B2235/74—Physical characteristics
- C04B2235/79—Non-stoichiometric products, e.g. perovskites (ABO3) with an A/B-ratio other than 1
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C04—CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
- C04B—LIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
- C04B2235/00—Aspects relating to ceramic starting mixtures or sintered ceramic products
- C04B2235/70—Aspects relating to sintered or melt-casted ceramic products
- C04B2235/80—Phases present in the sintered or melt-cast ceramic products other than the main phase
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Ceramic Engineering (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Manufacturing & Machinery (AREA)
- Structural Engineering (AREA)
- Inorganic Chemistry (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Metallurgy (AREA)
- Physical Vapour Deposition (AREA)
- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
Abstract
【課題】基体材料の表面にガスや水分に対するバリヤ性に優れる酸化珪素の薄膜を形成させ得るスパッタリングターゲット用材料、およびその焼結体を提供する。
【解決手段】一酸化珪素:30〜100%、および二酸化珪素:0〜70%(この中に、珪素:5%以下が含まれていてもよい)から構成される反応性スパッタに用いられるスパッタリングターゲット用材料、または、一酸化珪素:30〜90%および二酸化珪素:10〜70%(同じく、珪素:5%以下が含まれていてもよい)から構成される非反応性スパッタに用いられるスパッタリングターゲット用材料、および前記の材料を1250℃以上で加圧焼結して得られる焼結密度が理論密度の95%以上の酸化珪素焼結体。
【選択図】なし
【解決手段】一酸化珪素:30〜100%、および二酸化珪素:0〜70%(この中に、珪素:5%以下が含まれていてもよい)から構成される反応性スパッタに用いられるスパッタリングターゲット用材料、または、一酸化珪素:30〜90%および二酸化珪素:10〜70%(同じく、珪素:5%以下が含まれていてもよい)から構成される非反応性スパッタに用いられるスパッタリングターゲット用材料、および前記の材料を1250℃以上で加圧焼結して得られる焼結密度が理論密度の95%以上の酸化珪素焼結体。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスバリヤ性に優れる酸化珪素の薄膜をスパッタリングにより基体材料の表面に形成させる際に用いられるスパッタリングターゲット用材料およびその焼結体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶パネルをはじめとするフラットパネルディスプレイの基板が、ガラスから樹脂系のものへと移行しつつある。これは、特に、携帯機器をはじめ、壁掛けテレビ等に用いられる基板においてみられる傾向で、樹脂系の基板が、軽量で割れないという特徴を有していることによるものである。
【0003】
しかしながら、樹脂系の基板は、酸素や水蒸気に対するバリヤ性が低く、また、液晶、有機EL素子等は水分に極めて弱いことから、そのままでは使用することができない。そのため、樹脂系基板の表面に、例えば一酸化珪素(SiO)、二酸化珪素(SiO2)等からなる酸化珪素系のバリヤ膜を成膜して、前記基板の表面をガスや水分等からバリヤしてやることが必要となる。
【0004】
このための成膜方法として、例えば、金属珪素(Si)からなる蒸着用ターゲットを用い、雰囲気中に酸素を供給して基板側で反応させる反応性スパッタリングにより一酸化珪素の薄膜を形成する方法が知られている。また、特許文献1には、一酸化珪素を電子ビーム加熱により蒸発させ、酸素アシスト(酸素を供給)しながら真空蒸着してSiOx膜を形成させる方法が開示されている。
【0005】
特許文献2には、二酸化珪素と金属珪素とをモル比で4:6〜6:4の範囲内で含有し、かつこれらの合計量が50重量%以上である蒸着用ターゲットが記載され、これを用いて電子ビーム蒸着やスパッタリングを行う方法が示されている。
【0006】
さらに、特許文献3には、mol%で、一酸化珪素:20〜90、二酸化珪素:10〜80から構成される原料に、さらに酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタニウムおよび酸化アルミニウムのうちの1種以上が混合されている蒸着用材料、およびその成形体(焼結体)の製造方法が記載され、これを電子ビーム加熱により蒸発させ、樹脂フィルム表面に蒸着させる方法が示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平2−122924号公報
【特許文献2】
特開昭63−166965号公報
【特許文献3】
特開平8−296036号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
樹脂系基板の表面に酸化珪素系のバリヤ膜を形成させるための方法としては、上記のような種々の方法が知られている。
【0009】
しかしながら、蒸着用ターゲットとして金属珪素または一酸化珪素を用い、雰囲気中に酸素を導入(酸素アシスト)しながらスパッタして一酸化珪素の薄膜やSiOx膜を形成させる方法においては、反応する酸素量の制御が難しく、膜の酸素比率がばらついてバリヤ性能が不均一になるという問題がある。また、多量の酸素を使用するため、基板が酸素により損傷を受けるような場合には、成膜が難しい等の問題も生じる。さらに、ディスプレイの基板として使用する場合、成膜を真空蒸着により行うとバリヤ性能が不十分となる、という問題点も指摘されている。
【0010】
また、特許文献2に記載される条件を満たす蒸着用ターゲットを用いてスパッタリングを行った場合、蒸着膜の組成制御が難しく、かつ、雰囲気中に酸素を導入しない場合は、珪素が成膜されて蒸着膜中に珪素が含まれることとなり、純粋な酸化膜にならないためバリヤ性能が低下する。
【0011】
特許文献3に記載される蒸着用材料の成形体(焼結体)の製造方法は、所定の条件を満たす蒸着用材料を成形した後、100〜1500℃で熱処理することを特徴としているが、この方法ではスパッタリングターゲットに求められる高密度の焼結体を得ることは難しい。
【0012】
本発明は、これら従来技術における問題点を解決し、ガスや水分に対するバリヤ性に優れる酸化珪素の薄膜をスパッタリングにより樹脂系の基板等の基体材料の表面に形成させる際に使用するスパッタリングターゲット用材料およびその焼結体を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明者は、あらかじめ目標とする膜組成、換言すれば、膜の「Si/O比」に応じて、一酸化珪素と二酸化珪素を所定量配合し、焼結することにより、スパッタリングターゲット用焼結体を製造するという考えのもとに検討を重ねた。
【0014】
その過程で、一酸化珪素を、高真空中で加圧しながら焼結した場合、昇華温度(約1200℃)を超えても蒸発せず、さらに加圧焼結時の焼結温度を1250℃以上(好ましくは、1250〜1350℃)にすることによって、一見溶融したごとく、ガラス質となり、焼結密度が上昇することを知見した。
【0015】
また、一酸化珪素と二酸化珪素の配合比についても、二酸化珪素の配合割合が0〜70%であれば、スパッタリングターゲット用焼結体として好ましい、理論密度の95%以上の高い密度(ただし、この密度は、一酸化珪素と二酸化珪素の配合比により異なる)をもった焼結体を製造できることを見いだした。
【0016】
さらに、珪素については、5%以下とすることにより、珪素の成膜を防止することができ、膜組成の制御性も良好であることが判明した。
【0017】
本発明はこれらの知見に基づいてなされたもので、その要旨は、下記(1)または(2)のスパッタリングターゲット用材料、および下記(3)の焼結体にある。なお、前記のスパッタリングターゲット用材料を構成する各成分の「%」は、「質量%」を意味する。
【0018】
(1)一酸化珪素:30〜100%および二酸化珪素:0〜70%から構成される反応性スパッタに用いられるスパッタリングターゲット用材料。
このスパッタリングターゲット用材料は、一酸化珪素:30〜100%ならびに二酸化珪素および珪素の合計量:0〜70%(ただし、珪素:5%以下)から構成されるものであってもよい。
【0019】
(2)一酸化珪素:30〜90%および二酸化珪素:10〜70%から構成される非反応性スパッタに用いられるスパッタリングターゲット用材料。
このスパッタリングターゲット用材料は、一酸化珪素:30〜90%ならびに二酸化珪素および珪素の合計量:10〜70%(ただし、珪素:5%以下)から構成されものであってもよい。
【0020】
(3)前記(1)または(2)に記載のスパッタリングターゲット用材料を加圧成形しながら1250℃以上で焼結することにより製造される、焼結密度が理論密度の95%以上である反応性スパッタまたは非反応性スパッタに用いられるスパッタリングターゲット用酸化珪素焼結体。
【0021】
ここで、「焼結密度」とは、前記スパッタリングターゲット用材料の焼結後の密度、すなわち酸化珪素焼結体の密度をいう。一般にいわれる「嵩密度」に相当する。
【0022】
「理論密度」とは、一酸化珪素、二酸化珪素等の結晶構造とこれらを構成するSi、O(酸素)原子の質量から求められる密度を意味する。また、ここでは、一酸化珪素および二酸化珪素の混合体、または、一酸化珪素、二酸化珪素および珪素の混合体の「理論密度」は、一酸化珪素、二酸化珪素および珪素のそれぞれの理論密度の加重平均とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明のスパッタリングターゲット用材料は、上記(1)に記載の、一酸化珪素:30〜100%および二酸化珪素:0〜70%から構成される、反応性スパッタに用いられるスパッタリングターゲット用材料、または、上記(2)に記載の、一酸化珪素:30〜90%および二酸化珪素:10〜70%から構成される、非反応性スパッタに用いられるスパッタリングターゲット用材料である。
【0024】
上記(1)に記載のスパッタリングターゲット用材料において、一酸化珪素が30〜100%、二酸化珪素が0〜70%の比率で含まれることとするのは、このような比率の範囲内であれば、反応性スパッタに用いられるスパッタリングターゲットの製作に好適な高密度の焼結体を製造することができるからである。なお、この場合、雰囲気内へ反応性ガス(酸素)を導入する反応性スパッタによって基板側で酸化反応を生じさせ、基板表面に形成される薄膜の組成を制御することができる。
【0025】
このスパッタリングターゲット用材料は、一酸化珪素:30〜100%ならびに二酸化珪素および珪素の合計量:0〜70%(ただし、珪素:5%以下)から構成されるものであってもよい。珪素の含有量が5%以下であれば、珪素の成膜を防止することができ、膜組成の制御性に影響することがないからである。
【0026】
上記(2)に記載のスパッタリングターゲット用材料において、一酸化珪素が30〜90%、二酸化珪素が10〜70%の比率で含まれることとするのは、このような比率の範囲内であれば、スパッタリングの際に雰囲気内への反応性ガス(酸素)の導入を行わず(すなわち、非反応性スパッタにより)、前記の一酸化珪素と二酸化珪素の比率を適宜調整して、基板表面に形成される薄膜の組成を制御することができるからである。
【0027】
このスパッタリングターゲット用材料は、一酸化珪素:30〜90%ならびに二酸化珪素および珪素の合計量:10〜70%(ただし、珪素:5%以下)から構成されものであってもよい。珪素の含有量を5%以下とするのは、前記(1)に記載のスパッタリングターゲット用材料の場合と同じ理由によるものである。
【0028】
上記(3)に記載のスパッタリングターゲット用酸化珪素焼結体は、前述の(すなわち、上記(1)または(2)に記載の)スパッタリングターゲット用材料を加圧成形しながら1250℃以上で焼結することにより製造される、焼結密度が理論密度の95%以上である反応性スパッタまたは非反応性スパッタに用いられる焼結体である。
【0029】
上記(1)または(2)に記載のスパッタリングターゲット用材料の形態は、一酸化珪素粉末と二酸化珪素粉末とが混合された粉末状で、このままではスパッタリングターゲットとして使用することはできない。そのため、通常は、この粉末状の材料を加圧成形した後、焼結し、焼結体とするのであるが、その焼結体の密度(嵩密度)が小さいと、スパッタ時にパーティクルが発生して基板表面に形成される薄膜に付着し、膜の特性が劣化する。
【0030】
そこで、本発明では、前記のスパッタリングターゲット用材料を加圧成形しながら1250℃以上で焼結する。
【0031】
このような条件の下で焼結を行うのは、先に述べたように、一酸化珪素が昇華温度(約1200℃)を超えても蒸発せず、ガラス質となり、焼結密度が上昇するからである。本発明のスパッタリングターゲット用材料は、一酸化珪素と二酸化珪素から構成されているが、この材料を、一酸化珪素を昇華させずに、加圧成形しながら1250℃以上で焼結すれば、高密度の焼結体を得ることができる。
【0032】
焼結温度は、1250℃以上、好ましくは1250〜1350℃である。1350℃で理論密度に等しい密度の焼結体が得られるので、この温度を超えて加熱する必要はない。なお、焼結時間は、被処理物の大きさによっても異なるが、1時間以上を目処に適宜定めればよい。
【0033】
加圧成形時のプレス圧力は、9.8MPa以上とするのが好ましい。なお、20MPaを超える加圧成形を行っても、その効果は飽和する。
【0034】
このようにして製造される本発明の酸化珪素焼結体は、スパッタリングターゲット用として必要な理論密度の95%以上の高い焼結密度を有している。したがって、スパッタ時にパーティクルが発生することもなく、基体材料表面に所期の性能の薄膜を形成させることができる。
【0035】
【実施例】
一酸化珪素、二酸化珪素および珪素の粉末(いずれも、粒径45μm以下)を表1または表2に示す種々の比率で混合し、加圧成形しながら焼結(以下、「加圧焼結」という)し、得られた焼結体をスパッタリングターゲットとして、反応性スパッタリングまたは非反応性スパッタリングにより基板(石英を使用)の表面に薄膜を形成させた。
【0036】
加圧焼結は、ホットプレス装置を用い、下記の条件で行った。
【0037】
プレス圧力 :9.8MPa(100kg/cm2)
焼結温度、時間 :1300℃×2時間
加圧焼結時の雰囲気:Ar雰囲気〔6.67×104Pa(500Torr)〕
スパッタリングは、RFスパッタ装置を用い、下記の条件で行った。
【0038】
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
前記の焼結体については、それぞれ密度比(焼結密度の理論密度に対する比)を求め、基板表面に形成させた薄膜については、それぞれ膜組成を求めるとともに、同一条件で複数回のスパッタリングを行った際の膜組成の安定性を評価した。
【0042】
得られた結果を表1および表2に示す。表1は非反応性スパッタリングを行った場合、表2はスパッタ装置内にO2(酸素)を導入して反応性スパッタリングを行った場合である。
【0043】
表1および表2において、「膜組成の安定性」とは、「膜組成」の欄に示す組成の酸化珪素がどの程度安定して得られるか、といういわば信頼度で、◎印、○印および×印の三段階で定性的に評価した。◎印は、「安定して得られる」ことを、○印は、「比較的安定して得られる」ことを、また、×印は、「組成のばらつきが大きい」ことをそれぞれ表す。なお、◎印または○印であれば、「膜組成の安定性」が良好とした。
【0044】
表1(非反応性スパッタリングを行った場合)に示した結果から明らかなように、一酸化珪素、二酸化珪素および珪素の粉末、すなわちスパッタリングターゲット用材料の混合比率が本発明で規定する条件を満たす実施例1〜5では、焼結体の密度比(焼結密度の理論密度に対する比)は95%以上で、混合比率に対応した膜組成を示した。また、それぞれの膜組成が得られる安定性は、珪素が材料中に含まれない実施例1〜4では◎印(安定して得られる)であり、珪素が材料中に5%含まれる実施例5の場合でも、○印(比較的安定して得られる)で、良好であった。
【0045】
これに対し、材料の混合比率が本発明で規定する条件から外れる比較例1では、焼結体の密度比が低く、スパッタリングターゲットとして使用できなかった。また、材料中に珪素が規定を超えて含まれる比較例2では、焼結体の密度比は高かったが、基板表面に形成される膜中に珪素が成膜される結果となった。
【0046】
表2は、反応性スパッタリングを行った場合の結果であるが、非反応性スパッタリングを行った場合と同様に、スパッタリングターゲット用材料の混合比率が本発明で規定する条件を満たす実施例6〜10では、焼結体の密度比は95%以上で、膜組成の安定性も良好であった。なお、この場合は、スパッタ装置内へのO2導入量をコントロールすることにより、膜組成が、材料の混合比率とは関係なくいずれもSiO1.7になるように制御した。
【0047】
これに対し、材料の混合比率が本発明の規定外の比較例3では、焼結体の密度比が低く、スパッタリングターゲットとして使用できず、また、材料中に珪素が規定を超えて含まれる比較例4では、基板表面に形成される膜組成のばらつきが大きかった。
【0048】
【発明の効果】
本発明のスパッタリングターゲット用材料を所定の条件で加圧焼結して得られる焼結体は、スパッタリングターゲットとして好適で、これを用いれば、樹脂系の基板等の基体材料の表面にガスや水分に対するバリヤ性に優れる酸化珪素の薄膜を形成させることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスバリヤ性に優れる酸化珪素の薄膜をスパッタリングにより基体材料の表面に形成させる際に用いられるスパッタリングターゲット用材料およびその焼結体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶パネルをはじめとするフラットパネルディスプレイの基板が、ガラスから樹脂系のものへと移行しつつある。これは、特に、携帯機器をはじめ、壁掛けテレビ等に用いられる基板においてみられる傾向で、樹脂系の基板が、軽量で割れないという特徴を有していることによるものである。
【0003】
しかしながら、樹脂系の基板は、酸素や水蒸気に対するバリヤ性が低く、また、液晶、有機EL素子等は水分に極めて弱いことから、そのままでは使用することができない。そのため、樹脂系基板の表面に、例えば一酸化珪素(SiO)、二酸化珪素(SiO2)等からなる酸化珪素系のバリヤ膜を成膜して、前記基板の表面をガスや水分等からバリヤしてやることが必要となる。
【0004】
このための成膜方法として、例えば、金属珪素(Si)からなる蒸着用ターゲットを用い、雰囲気中に酸素を供給して基板側で反応させる反応性スパッタリングにより一酸化珪素の薄膜を形成する方法が知られている。また、特許文献1には、一酸化珪素を電子ビーム加熱により蒸発させ、酸素アシスト(酸素を供給)しながら真空蒸着してSiOx膜を形成させる方法が開示されている。
【0005】
特許文献2には、二酸化珪素と金属珪素とをモル比で4:6〜6:4の範囲内で含有し、かつこれらの合計量が50重量%以上である蒸着用ターゲットが記載され、これを用いて電子ビーム蒸着やスパッタリングを行う方法が示されている。
【0006】
さらに、特許文献3には、mol%で、一酸化珪素:20〜90、二酸化珪素:10〜80から構成される原料に、さらに酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタニウムおよび酸化アルミニウムのうちの1種以上が混合されている蒸着用材料、およびその成形体(焼結体)の製造方法が記載され、これを電子ビーム加熱により蒸発させ、樹脂フィルム表面に蒸着させる方法が示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平2−122924号公報
【特許文献2】
特開昭63−166965号公報
【特許文献3】
特開平8−296036号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
樹脂系基板の表面に酸化珪素系のバリヤ膜を形成させるための方法としては、上記のような種々の方法が知られている。
【0009】
しかしながら、蒸着用ターゲットとして金属珪素または一酸化珪素を用い、雰囲気中に酸素を導入(酸素アシスト)しながらスパッタして一酸化珪素の薄膜やSiOx膜を形成させる方法においては、反応する酸素量の制御が難しく、膜の酸素比率がばらついてバリヤ性能が不均一になるという問題がある。また、多量の酸素を使用するため、基板が酸素により損傷を受けるような場合には、成膜が難しい等の問題も生じる。さらに、ディスプレイの基板として使用する場合、成膜を真空蒸着により行うとバリヤ性能が不十分となる、という問題点も指摘されている。
【0010】
また、特許文献2に記載される条件を満たす蒸着用ターゲットを用いてスパッタリングを行った場合、蒸着膜の組成制御が難しく、かつ、雰囲気中に酸素を導入しない場合は、珪素が成膜されて蒸着膜中に珪素が含まれることとなり、純粋な酸化膜にならないためバリヤ性能が低下する。
【0011】
特許文献3に記載される蒸着用材料の成形体(焼結体)の製造方法は、所定の条件を満たす蒸着用材料を成形した後、100〜1500℃で熱処理することを特徴としているが、この方法ではスパッタリングターゲットに求められる高密度の焼結体を得ることは難しい。
【0012】
本発明は、これら従来技術における問題点を解決し、ガスや水分に対するバリヤ性に優れる酸化珪素の薄膜をスパッタリングにより樹脂系の基板等の基体材料の表面に形成させる際に使用するスパッタリングターゲット用材料およびその焼結体を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明者は、あらかじめ目標とする膜組成、換言すれば、膜の「Si/O比」に応じて、一酸化珪素と二酸化珪素を所定量配合し、焼結することにより、スパッタリングターゲット用焼結体を製造するという考えのもとに検討を重ねた。
【0014】
その過程で、一酸化珪素を、高真空中で加圧しながら焼結した場合、昇華温度(約1200℃)を超えても蒸発せず、さらに加圧焼結時の焼結温度を1250℃以上(好ましくは、1250〜1350℃)にすることによって、一見溶融したごとく、ガラス質となり、焼結密度が上昇することを知見した。
【0015】
また、一酸化珪素と二酸化珪素の配合比についても、二酸化珪素の配合割合が0〜70%であれば、スパッタリングターゲット用焼結体として好ましい、理論密度の95%以上の高い密度(ただし、この密度は、一酸化珪素と二酸化珪素の配合比により異なる)をもった焼結体を製造できることを見いだした。
【0016】
さらに、珪素については、5%以下とすることにより、珪素の成膜を防止することができ、膜組成の制御性も良好であることが判明した。
【0017】
本発明はこれらの知見に基づいてなされたもので、その要旨は、下記(1)または(2)のスパッタリングターゲット用材料、および下記(3)の焼結体にある。なお、前記のスパッタリングターゲット用材料を構成する各成分の「%」は、「質量%」を意味する。
【0018】
(1)一酸化珪素:30〜100%および二酸化珪素:0〜70%から構成される反応性スパッタに用いられるスパッタリングターゲット用材料。
このスパッタリングターゲット用材料は、一酸化珪素:30〜100%ならびに二酸化珪素および珪素の合計量:0〜70%(ただし、珪素:5%以下)から構成されるものであってもよい。
【0019】
(2)一酸化珪素:30〜90%および二酸化珪素:10〜70%から構成される非反応性スパッタに用いられるスパッタリングターゲット用材料。
このスパッタリングターゲット用材料は、一酸化珪素:30〜90%ならびに二酸化珪素および珪素の合計量:10〜70%(ただし、珪素:5%以下)から構成されものであってもよい。
【0020】
(3)前記(1)または(2)に記載のスパッタリングターゲット用材料を加圧成形しながら1250℃以上で焼結することにより製造される、焼結密度が理論密度の95%以上である反応性スパッタまたは非反応性スパッタに用いられるスパッタリングターゲット用酸化珪素焼結体。
【0021】
ここで、「焼結密度」とは、前記スパッタリングターゲット用材料の焼結後の密度、すなわち酸化珪素焼結体の密度をいう。一般にいわれる「嵩密度」に相当する。
【0022】
「理論密度」とは、一酸化珪素、二酸化珪素等の結晶構造とこれらを構成するSi、O(酸素)原子の質量から求められる密度を意味する。また、ここでは、一酸化珪素および二酸化珪素の混合体、または、一酸化珪素、二酸化珪素および珪素の混合体の「理論密度」は、一酸化珪素、二酸化珪素および珪素のそれぞれの理論密度の加重平均とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明のスパッタリングターゲット用材料は、上記(1)に記載の、一酸化珪素:30〜100%および二酸化珪素:0〜70%から構成される、反応性スパッタに用いられるスパッタリングターゲット用材料、または、上記(2)に記載の、一酸化珪素:30〜90%および二酸化珪素:10〜70%から構成される、非反応性スパッタに用いられるスパッタリングターゲット用材料である。
【0024】
上記(1)に記載のスパッタリングターゲット用材料において、一酸化珪素が30〜100%、二酸化珪素が0〜70%の比率で含まれることとするのは、このような比率の範囲内であれば、反応性スパッタに用いられるスパッタリングターゲットの製作に好適な高密度の焼結体を製造することができるからである。なお、この場合、雰囲気内へ反応性ガス(酸素)を導入する反応性スパッタによって基板側で酸化反応を生じさせ、基板表面に形成される薄膜の組成を制御することができる。
【0025】
このスパッタリングターゲット用材料は、一酸化珪素:30〜100%ならびに二酸化珪素および珪素の合計量:0〜70%(ただし、珪素:5%以下)から構成されるものであってもよい。珪素の含有量が5%以下であれば、珪素の成膜を防止することができ、膜組成の制御性に影響することがないからである。
【0026】
上記(2)に記載のスパッタリングターゲット用材料において、一酸化珪素が30〜90%、二酸化珪素が10〜70%の比率で含まれることとするのは、このような比率の範囲内であれば、スパッタリングの際に雰囲気内への反応性ガス(酸素)の導入を行わず(すなわち、非反応性スパッタにより)、前記の一酸化珪素と二酸化珪素の比率を適宜調整して、基板表面に形成される薄膜の組成を制御することができるからである。
【0027】
このスパッタリングターゲット用材料は、一酸化珪素:30〜90%ならびに二酸化珪素および珪素の合計量:10〜70%(ただし、珪素:5%以下)から構成されものであってもよい。珪素の含有量を5%以下とするのは、前記(1)に記載のスパッタリングターゲット用材料の場合と同じ理由によるものである。
【0028】
上記(3)に記載のスパッタリングターゲット用酸化珪素焼結体は、前述の(すなわち、上記(1)または(2)に記載の)スパッタリングターゲット用材料を加圧成形しながら1250℃以上で焼結することにより製造される、焼結密度が理論密度の95%以上である反応性スパッタまたは非反応性スパッタに用いられる焼結体である。
【0029】
上記(1)または(2)に記載のスパッタリングターゲット用材料の形態は、一酸化珪素粉末と二酸化珪素粉末とが混合された粉末状で、このままではスパッタリングターゲットとして使用することはできない。そのため、通常は、この粉末状の材料を加圧成形した後、焼結し、焼結体とするのであるが、その焼結体の密度(嵩密度)が小さいと、スパッタ時にパーティクルが発生して基板表面に形成される薄膜に付着し、膜の特性が劣化する。
【0030】
そこで、本発明では、前記のスパッタリングターゲット用材料を加圧成形しながら1250℃以上で焼結する。
【0031】
このような条件の下で焼結を行うのは、先に述べたように、一酸化珪素が昇華温度(約1200℃)を超えても蒸発せず、ガラス質となり、焼結密度が上昇するからである。本発明のスパッタリングターゲット用材料は、一酸化珪素と二酸化珪素から構成されているが、この材料を、一酸化珪素を昇華させずに、加圧成形しながら1250℃以上で焼結すれば、高密度の焼結体を得ることができる。
【0032】
焼結温度は、1250℃以上、好ましくは1250〜1350℃である。1350℃で理論密度に等しい密度の焼結体が得られるので、この温度を超えて加熱する必要はない。なお、焼結時間は、被処理物の大きさによっても異なるが、1時間以上を目処に適宜定めればよい。
【0033】
加圧成形時のプレス圧力は、9.8MPa以上とするのが好ましい。なお、20MPaを超える加圧成形を行っても、その効果は飽和する。
【0034】
このようにして製造される本発明の酸化珪素焼結体は、スパッタリングターゲット用として必要な理論密度の95%以上の高い焼結密度を有している。したがって、スパッタ時にパーティクルが発生することもなく、基体材料表面に所期の性能の薄膜を形成させることができる。
【0035】
【実施例】
一酸化珪素、二酸化珪素および珪素の粉末(いずれも、粒径45μm以下)を表1または表2に示す種々の比率で混合し、加圧成形しながら焼結(以下、「加圧焼結」という)し、得られた焼結体をスパッタリングターゲットとして、反応性スパッタリングまたは非反応性スパッタリングにより基板(石英を使用)の表面に薄膜を形成させた。
【0036】
加圧焼結は、ホットプレス装置を用い、下記の条件で行った。
【0037】
プレス圧力 :9.8MPa(100kg/cm2)
焼結温度、時間 :1300℃×2時間
加圧焼結時の雰囲気:Ar雰囲気〔6.67×104Pa(500Torr)〕
スパッタリングは、RFスパッタ装置を用い、下記の条件で行った。
【0038】
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
前記の焼結体については、それぞれ密度比(焼結密度の理論密度に対する比)を求め、基板表面に形成させた薄膜については、それぞれ膜組成を求めるとともに、同一条件で複数回のスパッタリングを行った際の膜組成の安定性を評価した。
【0042】
得られた結果を表1および表2に示す。表1は非反応性スパッタリングを行った場合、表2はスパッタ装置内にO2(酸素)を導入して反応性スパッタリングを行った場合である。
【0043】
表1および表2において、「膜組成の安定性」とは、「膜組成」の欄に示す組成の酸化珪素がどの程度安定して得られるか、といういわば信頼度で、◎印、○印および×印の三段階で定性的に評価した。◎印は、「安定して得られる」ことを、○印は、「比較的安定して得られる」ことを、また、×印は、「組成のばらつきが大きい」ことをそれぞれ表す。なお、◎印または○印であれば、「膜組成の安定性」が良好とした。
【0044】
表1(非反応性スパッタリングを行った場合)に示した結果から明らかなように、一酸化珪素、二酸化珪素および珪素の粉末、すなわちスパッタリングターゲット用材料の混合比率が本発明で規定する条件を満たす実施例1〜5では、焼結体の密度比(焼結密度の理論密度に対する比)は95%以上で、混合比率に対応した膜組成を示した。また、それぞれの膜組成が得られる安定性は、珪素が材料中に含まれない実施例1〜4では◎印(安定して得られる)であり、珪素が材料中に5%含まれる実施例5の場合でも、○印(比較的安定して得られる)で、良好であった。
【0045】
これに対し、材料の混合比率が本発明で規定する条件から外れる比較例1では、焼結体の密度比が低く、スパッタリングターゲットとして使用できなかった。また、材料中に珪素が規定を超えて含まれる比較例2では、焼結体の密度比は高かったが、基板表面に形成される膜中に珪素が成膜される結果となった。
【0046】
表2は、反応性スパッタリングを行った場合の結果であるが、非反応性スパッタリングを行った場合と同様に、スパッタリングターゲット用材料の混合比率が本発明で規定する条件を満たす実施例6〜10では、焼結体の密度比は95%以上で、膜組成の安定性も良好であった。なお、この場合は、スパッタ装置内へのO2導入量をコントロールすることにより、膜組成が、材料の混合比率とは関係なくいずれもSiO1.7になるように制御した。
【0047】
これに対し、材料の混合比率が本発明の規定外の比較例3では、焼結体の密度比が低く、スパッタリングターゲットとして使用できず、また、材料中に珪素が規定を超えて含まれる比較例4では、基板表面に形成される膜組成のばらつきが大きかった。
【0048】
【発明の効果】
本発明のスパッタリングターゲット用材料を所定の条件で加圧焼結して得られる焼結体は、スパッタリングターゲットとして好適で、これを用いれば、樹脂系の基板等の基体材料の表面にガスや水分に対するバリヤ性に優れる酸化珪素の薄膜を形成させることができる。
Claims (5)
- 質量%で、一酸化珪素:30〜100%および二酸化珪素:0〜70%から構成されることを特徴とする反応性スパッタに用いられるスパッタリングターゲット用材料。
- 質量%で、一酸化珪素:30〜100%ならびに二酸化珪素および珪素の合計量:0〜70%(ただし、珪素:5%以下)から構成されることを特徴とする反応性スパッタに用いられるスパッタリングターゲット用材料。
- 質量%で、一酸化珪素:30〜90%および二酸化珪素:10〜70%から構成されることを特徴とする非反応性スパッタに用いられるスパッタリングターゲット用材料。
- 質量%で、一酸化珪素:30〜90%ならびに二酸化珪素および珪素の合計量:10〜70%(ただし、珪素:5%以下)から構成されることを特徴とする非反応性スパッタに用いられるスパッタリングターゲット用材料。
- 請求項1〜4の何れかに記載のスパッタリングターゲット用材料を加圧成形しながら1250℃以上で焼結することにより製造される、焼結密度が理論密度の95%以上であることを特徴とする反応性スパッタまたは非反応性スパッタに用いられるスパッタリングターゲット用酸化珪素焼結体。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002344262A JP2004176135A (ja) | 2002-11-27 | 2002-11-27 | スパッタリングターゲット用材料およびその焼結体 |
PCT/JP2003/014167 WO2004048289A1 (ja) | 2002-11-27 | 2003-11-06 | スパッタリングターゲット用酸化珪素焼結体 |
AU2003277586A AU2003277586A1 (en) | 2002-11-27 | 2003-11-06 | Silicon oxide sintered product for sputtering target |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002344262A JP2004176135A (ja) | 2002-11-27 | 2002-11-27 | スパッタリングターゲット用材料およびその焼結体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004176135A true JP2004176135A (ja) | 2004-06-24 |
Family
ID=32375942
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002344262A Pending JP2004176135A (ja) | 2002-11-27 | 2002-11-27 | スパッタリングターゲット用材料およびその焼結体 |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004176135A (ja) |
AU (1) | AU2003277586A1 (ja) |
WO (1) | WO2004048289A1 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008008948A (ja) * | 2006-06-27 | 2008-01-17 | Ulvac Japan Ltd | 無機配向膜の形成方法 |
JP2010018445A (ja) * | 2008-07-08 | 2010-01-28 | Shin-Etsu Chemical Co Ltd | フィルム蒸着用ペレット体、その製造方法、及び酸化珪素蒸着フィルムの製造方法 |
JP2013047364A (ja) * | 2011-08-29 | 2013-03-07 | Mitsubishi Materials Corp | スパッタリングターゲット及びその製造方法並びに該ターゲットを用いた薄膜、該薄膜を備える薄膜シート、積層シート |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7658822B2 (en) | 2005-08-11 | 2010-02-09 | Wintek Electro-Optics Corporation | SiOx:Si composite articles and methods of making same |
US7749406B2 (en) * | 2005-08-11 | 2010-07-06 | Stevenson David E | SiOx:Si sputtering targets and method of making and using such targets |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63166965A (ja) * | 1986-12-27 | 1988-07-11 | Koujiyundo Kagaku Kenkyusho:Kk | 蒸着用タ−ゲツト |
JPH05159241A (ja) * | 1991-12-03 | 1993-06-25 | Sharp Corp | 薄膜磁気ヘッドの製造方法 |
JP3828434B2 (ja) * | 2002-02-22 | 2006-10-04 | 住友チタニウム株式会社 | 一酸化ケイ素の焼結体およびその製造方法 |
JP7122082B2 (ja) * | 2016-09-20 | 2022-08-19 | 株式会社Nttドコモ | 送信装置、及び送信方法 |
-
2002
- 2002-11-27 JP JP2002344262A patent/JP2004176135A/ja active Pending
-
2003
- 2003-11-06 WO PCT/JP2003/014167 patent/WO2004048289A1/ja active Application Filing
- 2003-11-06 AU AU2003277586A patent/AU2003277586A1/en not_active Abandoned
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008008948A (ja) * | 2006-06-27 | 2008-01-17 | Ulvac Japan Ltd | 無機配向膜の形成方法 |
JP2010018445A (ja) * | 2008-07-08 | 2010-01-28 | Shin-Etsu Chemical Co Ltd | フィルム蒸着用ペレット体、その製造方法、及び酸化珪素蒸着フィルムの製造方法 |
JP2013047364A (ja) * | 2011-08-29 | 2013-03-07 | Mitsubishi Materials Corp | スパッタリングターゲット及びその製造方法並びに該ターゲットを用いた薄膜、該薄膜を備える薄膜シート、積層シート |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
AU2003277586A1 (en) | 2004-06-18 |
WO2004048289A1 (ja) | 2004-06-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5024226B2 (ja) | 酸化物焼結体およびその製造方法、スパッタリングターゲット、半導体薄膜 | |
JP4754612B2 (ja) | スパッタリングターゲットの製造方法 | |
JP3470633B2 (ja) | MgOを主成分とする蒸着材及びその製造方法 | |
JP2004176135A (ja) | スパッタリングターゲット用材料およびその焼結体 | |
JP5884001B1 (ja) | 酸化物焼結体及び該酸化物焼結体からなるスパッタリングターゲット | |
JP2011074479A (ja) | 透明導電性酸化亜鉛系薄膜製造用のイオンプレーティング用ターゲット、および透明導電性酸化亜鉛系薄膜 | |
WO1995018080A1 (fr) | Corps fritte a l'oxyde d'etain dope a l'indium, couche mince conductrice transparente d'oxyde d'etain dope a l'indium et son procede de formation | |
JP2008260660A (ja) | 高濃度酸化スズito焼結体の製造方法 | |
JP2005343758A (ja) | 単結晶酸化マグネシウム焼結体及びその製造方法並びにプラズマディスプレイパネル用保護膜 | |
JPWO2016017605A1 (ja) | 酸化物焼結体 | |
JP4419343B2 (ja) | Fpdの保護膜用蒸着材及びその製造方法 | |
WO2014148424A1 (ja) | Ti-Al合金スパッタリングターゲット | |
JPS63166965A (ja) | 蒸着用タ−ゲツト | |
JP2003100154A (ja) | 透明導電膜およびその製造方法並びにその用途 | |
JP4786282B2 (ja) | 蒸発材料の製造方法及び蒸発材料の保管方法 | |
TWI384523B (zh) | Fluorine-containing indium-tin oxide sintered body and manufacturing method thereof | |
JP2010513704A (ja) | 混合された酸化クロム−金属クロムスパッタリングターゲット | |
JP4196438B2 (ja) | 蒸着材料及びその製造方法 | |
JP7178707B2 (ja) | MgO-TiO系スパッタリングターゲットの製造方法 | |
JP2009256195A (ja) | Sr−Ca−O焼結体 | |
JP4051749B2 (ja) | 複合セラミックス薄膜の製造方法 | |
JPH0656503A (ja) | Ito焼結体 | |
JP2005035846A (ja) | ジルコニア粉末、ジルコニア焼結体及びその製造方法 | |
JPS63310961A (ja) | 蒸着用材料 | |
JP2007146034A (ja) | 蛍光体薄膜とその成膜方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050602 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20081007 |
|
A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20090224 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |