JP2010018445A - フィルム蒸着用ペレット体、その製造方法、及び酸化珪素蒸着フィルムの製造方法 - Google Patents

フィルム蒸着用ペレット体、その製造方法、及び酸化珪素蒸着フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安定してスプラッシュ頻度を少なくさせ、しかも酸化珪素蒸気の蒸発速度も高め、信頼性の高いガスバリアフィルムを製造するためのフィルム蒸着用ペレット体、その製造方法、及び酸化珪素蒸着フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】主にSiとOとからなり、O含有量が37〜45質量%、BET比表面積0.1〜20m2/g、嵩密度が0.5〜1.5g/cm3、最大寸法が2〜50mmの範囲であることを特徴とするペレット体。
【選択図】なし

Description

本発明は、食品、医療品及び医薬品などを包装するガスバリア性に優れたフィルムを製造する際に使用するフィルム蒸着用ペレット体、その製造方法、及び酸化珪素蒸着フィルムの製造方法に関する。
従来、食品においては、油脂やたんぱく質の劣化を防ぐため、包装材料を透過する酸素や水蒸気に起因する酸化による品質の劣化を抑制することが求められている。また、医療品及び医薬品においては、更に高い基準での内容物の変質、劣化の抑制が求められている。従来、上記用途の包装用材料としては、アルミニウム箔やアルミニウム蒸着膜を有する包装材料が使用されてきたが、廃棄する際の環境上の問題から見直しがされている。
かかる点から、近年では、廃棄焼却する際に特に問題がなく、高いガスバリア性を有する包装材料として、酸化珪素を高分子フィルム上に蒸着した酸化珪素蒸着膜が注目されるようになってきた。このようなガスバリア性に優れた酸化珪素蒸着膜フィルムは、酸化珪素を蒸着材料として、酸化珪素を抵抗加熱、電子ビーム加熱により昇華させ、昇華させたガスを高分子フィルム上に蒸着させて製造している。
この蒸着材料として使用される酸化珪素は、従来、種々の方法により製造されており、例えば、特開平9−110412号公報(特許文献1)に、析出基体を粗に処理した金属を用いて酸化珪素を析出、製造する方法、特開2002−97567号公報(特許文献2)に、平均嵩密度が2.0g/cm3以上、かつビッカース硬さが500以上の一酸化珪素材料及びその製造方法について開示されている。これら従来技術については、いずれも酸化珪素蒸着時の問題点であるスプラッシュ(加熱時に原料が飛散する)によるフィルム上のピンホール発生を防止することを目的としている。
しかしながら、上記従来の方法では、スプラッシュの程度は低減し、フィルム上のピンホール等の欠陥は低減されるものの、本発明者らの検討では不十分であり、未だ改善の余地があった。即ち、上記従来技術の方法で得られる酸化珪素は、主に酸化珪素蒸気を蒸着基体に析出させた後、基体から剥離させたものであり、形状、寸法、厚さほか物性に統一性がなく、バラバラであった。そのため、このような材料を蒸着材料とした場合、蒸着ロット間のバラツキが大きくなり、スプラッシュを安定して減少させることが困難であった。また、酸化珪素蒸発速度も不十分であり、ガスバリア性の優れた安定膜の生成といった点でも問題があった。
特開平9−110412号公報 特開2002−97567号公報
本発明は、上記事情を鑑みなされたものであり、安定してスプラッシュ頻度を少なくさせ、しかも酸化珪素蒸気の蒸発速度も高め、信頼性の高いガスバリアフィルムを製造するためのフィルム蒸着用ペレット体、その製造方法、及び酸化珪素蒸着フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、(1)安定してスプラッシュ頻度を低減させること、(2)酸化珪素蒸気の蒸発速度を高めることで、より信頼性の高いガスバリアフィルムを製造することを目的に、蒸着材料として用いられる酸化珪素について種々検討を行った。その結果、一定の寸法を有し、しかもO含有量、嵩密度、BET比表面積を特定範囲とした酸化珪素系ペレット体を蒸着材料として用いることで、スプラッシュが殆ど発生せず、酸化珪素蒸気の蒸発速度が高まり、高信頼度のガスバリアフィルムが得られることを見出した。
即ち、本発明者らは、上記スプラッシュ防止を目的にスプラッシュの原因について種々検討・解析を行った。その結果、スプラッシュ発生頻度は蒸着ロット間でバラツキがあり、その原因は蒸着材料の寸法が一定していないこと、並びに強度が不足することに起因している可能性が高いことが判明した。そこで、本発明者らは、蒸着材料の寸法を一定とし、強度を向上させることに着目し検討を行い、その結果、一定の寸法に成形した主にSiとOとからなる酸化珪素系粉末を所定の方法にて焼結したペレット体を蒸着材料として用いることで蒸着ロット間のバラツキが飛躍的に減少すること、及び焼結体の強度を向上させることで著しくスプラッシュが減少すること、一定寸法以下としたことで酸化珪素蒸気の蒸発率が向上することを見出した。
そして、このようなペレット体として、主にSiとOとからなり、O含有量が37〜45質量%、BET比表面積0.1〜20m2/g、嵩密度が0.5〜1.5g/cm3であることを特徴とするペレット体が有効であり、このペレット体がSiOx(1≦x<1.2)で表わされる酸化珪素粉末と二酸化珪素(SiO2)粉末との混合物を最大寸法が2〜50mmの範囲であるペレット状に成形後、非酸化性ガス雰囲気で700〜1,400℃の温度域で焼結することで製造できること、そして、このペレット体を加熱し、酸化珪素の蒸気をフィルム基材表面に蒸着させて酸化珪素蒸着膜を形成することにより、信頼性の高いガスバリアフィルムとして、酸化珪素蒸着フィルムを製造することができることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記のペレット体、その製造方法、及び酸化珪素蒸着フィルムの製造方法を提供する。
〔請求項1〕
主にSiとOとからなり、O含有量が37〜45質量%、BET比表面積0.1〜20m2/g、嵩密度が0.5〜1.5g/cm3、最大寸法が2〜50mmの範囲であることを特徴とするペレット体。
〔請求項2〕
フィルム蒸着用である請求項1記載のペレット体。
〔請求項3〕
SiOx(1≦x<1.2)で表わされる酸化珪素粉末と二酸化珪素(SiO2)粉末との混合物を最大寸法が2〜50mmの範囲であるペレット状に成形後、非酸化性ガス雰囲気で700〜1,400℃の温度域で焼結することを特徴とするペレット体の製造方法。
〔請求項4〕
SiOx(1≦x<1.2)で表わされる酸化珪素粉末と二酸化珪素(SiO2)粉末との質量混合比SiO2/SiOxが0.03≦SiO2/SiOx≦1.0であることを特徴とする請求項3記載の製造方法。
〔請求項5〕
SiOx(1≦x<1.2)で表わされる酸化珪素粉末の平均粒子径が0.3〜100μmであることを特徴とする請求項3又は4記載の製造方法。
〔請求項6〕
二酸化珪素(SiO2)のBET比表面積が30m2/g以上であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項記載の製造方法。
〔請求項7〕
請求項1記載のペレット体を加熱し、酸化珪素の蒸気をフィルム基材表面に蒸着させて酸化珪素蒸着膜を形成することを特徴とする酸化珪素蒸着フィルムの製造方法。
本発明のペレット体をフィルム蒸着材料として用いることにより、従来、問題となっているスプラッシュによるフィルム上のピンホール等欠陥の発生が安定して防止でき、しかも従来に比べ酸化珪素蒸気の蒸発速度が速いため、ガスバリア性に優れ、かつ信頼性に優れた包装材料を安定的に製造することができる。また、本発明のペレット体の製造方法も、特殊な技術を必要とせず、量産化が可能であり、低コストの酸化珪素フィルム蒸着材料を市場に供給できるものである。
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明のペレット体は、珪素及び酸素と珪素とからなる酸化珪素、二酸化珪素等の原料粉末を混合した混合物をペレット状に成形後、焼結して得られる主にSiとOとからなる組成物である。
所定の寸法、形状のペレット状とすることで、これらペレット体を容器に入れて蒸発させる際に、各ペレット間の空隙より酸化珪素蒸気が通過し易く、著しく酸化珪素蒸気の蒸発速度が高まる。
このペレット体は、O含有量が37〜45質量%、特に37.5〜44質量%が好ましい。ペレット体に含有されるOは焼結時のバインダーとしての役割を果たしており、O含有量が37質量%より少ないと、バインダー不足により強度が低下し、結果としてスプラッシュが発生する。逆に45質量%より多いと、強度は向上するものの、Siが不足し、酸化珪素蒸気の発生速度が低下する。なお、酸素含有量の測定はセラミック中酸素分析装置(不活性気流下溶融法)により行う。
また、ペレット体のBET比表面積は0.1〜20m2/g、好ましくは0.2〜10m2/gとする。BET比表面積が0.1m2/gより小さいと、ペレット体(焼結体)強度は向上するが必要以上であり、製造するためには焼結温度を高めたり、長時間を要したりし、効率的ではない。逆に20m2/gを超えると、強度が低下し、粉っぽくなることで、スプラッシュ発生の原因となる。ここで、強度とBET比表面積について説明すると、本発明においては上記ペレット体製造時に焼結助剤として、SiO2を所定量添加することが好ましい。このSiO2は焼結時にガラス状に溶融し、ペレット体の形状を保持するバインダーの役割を果たす。SiO2の溶融が十分であると、BET比表面積が低下し、強度が向上する。すなわち、BET比表面積と強度とは明らかな相関関係を有するといえる。なお、BET比表面積はN2ガス吸着量によって測定するBET1点法にて測定した値である(以下、同じ)。
また、ペレット体の嵩密度は0.5〜1.5g/cm3であり、0.6〜1.3g/cm3であることが好ましい。ペレット体の嵩密度が0.5g/cm3より小さいと蒸着装置内に仕込めるペレット体の質量が少なくなり、生産性が低下する。逆に1.5g/cm3より大きいと生産性は向上するが、ペレット体製造に高い焼結温度、長時間が必要となり、製造が困難である。なお、嵩密度の測定はパウダーテスターを用いた見掛け嵩密度測定により行う。
更に、ペレット体の形状は、一般的には円柱状、立方体等であればよく、蒸着装置により適宜選定される。ペレット体の寸法は、その最大寸法が2〜50mmであり、3〜40mmであることが好ましい。最大寸法が2mmより小さいものは粉体として扱われ、スプラッシュの原因となる。逆に50mmより大きいものは、蒸着装置に仕込んだ際のペレット体単位質量あたりの空隙率が低下し、酸化珪素蒸気の蒸発速度が低下する。なお、この寸法の測定はノギスを用いて行う。
本発明のペレット体は、上記物性を備えるものであるが、このようなペレット体は、SiOx(1≦x<1.2)で表わされる酸化珪素粉末と二酸化珪素(SiO2)粉末との混合物をペレット状に成形し、焼結することで製造できる。なおこの場合、必要により焼結助剤として珪素(Si)粉末を混合してもよい。
SiOx(1≦x<1.2)で表わされる酸化珪素粉末は、公知の方法により製造され、例えば、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ等の二酸化珪素系酸化物粉末とそれを還元する物質、例えば金属珪素、炭素との混合粉末を不活性ガス又は減圧下、1,100〜1,600℃の温度範囲で加熱し、一酸化珪素ガスを発生させ、この一酸化珪素ガスを冷却して基体表面に析出させ、この析出物を所定の粒度に粉砕することで得られる。
ここで、得られた酸化珪素粉末の物性は特に限定されるものではないが、平均粒子径が0.3〜100μm、特に0.5〜80μmであることが望ましい。平均粒子径が上記範囲より小さいと、粉砕コストが著しく高くなるのに対し、焼結体強度の向上はわずかである場合がある。逆に、平均粒子径が上記範囲より大きいと、粒子接触面積が低下し、ペレット体とした際の焼結体強度が低下するおそれがある。なお、平均粒子径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における重量平均値(又はメジアン径)として測定した値である。
一方、SiOx(1≦x<1.2)で表わされる酸化珪素粉末に混合する二酸化珪素(SiO2)粉末は、形状を保持する焼結助剤の役割を果たし、種類は特に限定されないが、比表面積の大きなヒュームドシリカやコロイダルシリカを用いることが好ましい。物性は限定されないが、BET比表面積が30m2/g以上、特に50m2/g以上であることが好ましい。BET比表面積が上記範囲より小さいと、焼結体強度が低下し、ハンドリング性に劣り、電子ビーム蒸着時に焼結体が破損し、スプラッシュ発生原因となる場合がある。なお、二酸化珪素粉末のBET比表面積の上限は、特に限定されないが、通常500m2/g以下である。
上記SiOx(1≦x<1.2)で表わされる酸化珪素粉末と二酸化珪素(SiO2)粉末とは混合され、混合物として用いられる。ここで、SiOx(1≦x<1.2)で表わされる酸化珪素粉末と二酸化珪素(SiO2)粉末との質量混合比SiO2/SiOxは0.03≦SiO2/SiOx≦1.0、特に0.07≦SiO2/SiOx≦0.9であることが好ましい。SiO2/SiOx比が上記範囲より小さいと、焼結助剤であるSiO2の割合が小さく、焼結体の強度が維持できないおそれがある。逆に、SiO2/SiOx比が上記範囲より大きいと、強度は維持できるものの、主蒸着材料であるSiOxの割合が小さくなり、フィルムへの効率的なガスバリア膜の蒸着ができないおそれがある。
本発明においては、珪素(Si)粉末を添加することもできる。この場合、珪素(Si)粉末は、焼結助剤である二酸化珪素(SiO2)粉末と反応してSiOガスが発生し(Si+SiO2→2SiO)、フィルム上にSiOx膜を生成する。なお、珪素(Si)粉末の添加量は、上記SiOx(1≦x<1.2)で表わされる酸化珪素粉末と二酸化珪素(SiO2)粉末との合計量(SiO2+SiOx)に対し、0〜10質量%であることが好ましい。10質量%よりも多く添加すると、SiO2と反応し、反応と共に焼結助剤の割合が少なくなり、強度を維持できなくなる場合がある。
SiOx(1≦x<1.2)で表わされる酸化珪素粉末と、二酸化珪素(SiO2)粉末と、場合により珪素(Si)粉末との混合において、混合する機器、方式については特に限定されず、容器回転式混合、機械攪拌式混合、流動攪拌式混合等、適宜選定される。また、成形を容易に行う目的で、水分を添加することもできる。この場合、水分添加量は混合粉体に対し20〜100質量%が好ましい。
次に、上記混合原料を所望の形状、寸法のペレット状に成形する。ペレット体の形状は、一般的には円柱状、立方体等であればよく、蒸着装置により適宜選定される。また、最大寸法は2〜50mmであり、特に3〜40mmが好ましい。最大寸法が2mmより小さいものは粉体として扱われ、スプラッシュの原因となる。逆に50mmより大きいものは、蒸着装置に仕込んだ際のペレット体単位質量あたりの空隙率が低下し、酸化珪素蒸気の蒸発速度が低下する。なお、ここで最大寸法とは、例えば楕円形の場合、長径をいい、円柱状の場合、一端面の外縁部の一点と、他端面の外縁部の上記一点との対向点を結んだ長さをいい、また、直方体の場合、最も長い対角線をいう。
ここで、ペレット状への成形方法については特に限定されず、鋳込み成形法、塑性成形法、射出成形法、低温等方圧圧密成形法、加圧成形法、押出し成形法等を適宜選定することができるが、この中で操作の容易さより押出し成形法が好ましい。なお、混合時に水分を添加した場合には、成形工程後に乾燥を行うが、この乾燥工程についても特に限定されず、真空中、大気中、不活性ガス中といった雰囲気で、80〜500℃の範囲で行うことができる。
更に、上記方法で得られた成形体を焼結することで、本発明のペレット体を得ることができる。焼結炉についても特に限定されるものではなく、連続法、回分法等から適宜選定される。ここで、雰囲気については非酸化性雰囲気であれば、特に限定されるものではなく、真空中、又はAr、He、H2といった不活性ガス中、通常、常圧付近で行うことができる。
なお、焼結温度は700〜1,400℃、特に800〜1,300℃が好ましい。焼結温度が上記範囲より低いと、添加した二酸化珪素粉末が焼結助剤として作用せず、焼結体強度が低下するおそれがある。逆に上記範囲より高いとSiOx(1≦x<1.2)で表わされる酸化珪素粉末が蒸発してしまい、焼結体中の気孔が多くなり、密度が低下すると同時に強度が低下する場合がある。特に、真空中の場合、1,200℃を超える高温で焼結した場合、成形体中のSiOx(1≦x<1.2)で表わされる酸化珪素粉末が蒸発するおそれがあるため、真空中の場合は、1,200℃以下で焼結することが好ましく、より高温での焼結を実施する場合は、不活性ガス中、常圧付近で焼結することがより好ましい。
本発明のペレット体は、有機高分子フィルムなどのフィルム基材表面に、蒸着により酸化珪素蒸着膜を形成するための酸化珪素原料として有用である。このフィルム基材として用いられる有機高分子材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン66、ナイロン12、ポリ塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニールアルコール、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイドなどの有機重合体やこれらを構成するモノマーの2種以上の共重合体、これら有機重合体や共重合体の2種以上の混合物などが挙げられる。
フィルム基材上に本発明のペレット体を原料として酸化珪素蒸着膜を蒸着させる方法は、従来公知の方法を適用することができ、真空チャンバー中、抵抗加熱、電子ビーム加熱等の加熱方法にてペレット体を昇華させ、昇華させたガスをフィルム基材上に蒸着させることにより、酸化珪素蒸着フィルムを製造することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
平均粒子径5μmの金属珪素粉末と、BET比表面積200m2/gのヒュームドシリカとの等モル混合品5kgを真空炉内に仕込み、真空中1,400℃で5時間反応させ、発生したSiOガスをSUS製基体上に析出させ、SiOx(x=1.03)塊状物を得た。次に、このSiOx(x=1.03)塊状物をボールミルにて粉砕し、平均粒子径8μmのSiOx(x=1.03)粉末を製造した。
次に、上記平均粒子径8μmのSiOx(x=1.03)粉末400gにBET比表面積200m2/gのヒュームドシリカ100gを添加し、攪拌混合機にて混合後、水を200g添加、更に混合し、SiOx(x=1.03)とヒュームドシリカとの混合物を得た。
次に、上記ヒュームドシリカ混合物をφ3mmの多数穴を有する押出し造粒機で加圧成形し、φ3mm×10〜20mmLの円柱状ペレットを連続的に製造した。次に得られたペレットを350℃で10hr大気乾燥し、その後、バッチ炉内に仕込み、Arを5NL/min流入させながら、常圧で1,300℃×3hrの焼結を行い、ペレット体を得た。
得られたペレット体は、O含有量が40.5質量%、BET比表面積が10.5m2/g、嵩密度が0.85g/cm3、寸法がφ2.5mm×10〜20mmLであった。なお、上記O含有量はセラミック中酸素分析装置(EMGA−2800、堀場製作所、不活性気流下溶融法)により測定したものであり、BET比表面積はN2ガス吸着量によって測定するBET1点法にて測定したものであり、嵩密度はパウダーテスター(セイシン企業)を用いた見掛け嵩密度(比重)測定により行ったものであり、寸法はノギスを用いた実測によるものである。
次に、このペレット体を状態が耐熱ガラスで観察できる抵抗加熱炉内に100g仕込み、100Paの減圧下、1,350℃で3hrの蒸発テストを行った。その結果、スプラッシュは殆ど見られず、反応残量;33.5g、蒸発率;66.5%の蒸発速度の高い、フィルム蒸着用酸化珪素として適した材料であることが確認された。
[比較例1〜5]
表1に示す条件にてペレット体を製造した。得られたペレット体の物性を実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。次にこのペレット体を用い、実施例1と同様な方法で蒸発テストを行った。結果を表2に併記する。
Figure 2010018445
Figure 2010018445

Claims (7)

  1. 主にSiとOとからなり、O含有量が37〜45質量%、BET比表面積0.1〜20m2/g、嵩密度が0.5〜1.5g/cm3、最大寸法が2〜50mmの範囲であることを特徴とするペレット体。
  2. フィルム蒸着用である請求項1記載のペレット体。
  3. SiOx(1≦x<1.2)で表わされる酸化珪素粉末と二酸化珪素(SiO2)粉末との混合物を最大寸法が2〜50mmの範囲であるペレット状に成形後、非酸化性ガス雰囲気で700〜1,400℃の温度域で焼結することを特徴とするペレット体の製造方法。
  4. SiOx(1≦x<1.2)で表わされる酸化珪素粉末と二酸化珪素(SiO2)粉末との質量混合比SiO2/SiOxが0.03≦SiO2/SiOx≦1.0であることを特徴とする請求項3記載の製造方法。
  5. SiOx(1≦x<1.2)で表わされる酸化珪素粉末の平均粒子径が0.3〜100μmであることを特徴とする請求項3又は4記載の製造方法。
  6. 二酸化珪素(SiO2)のBET比表面積が30m2/g以上であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項記載の製造方法。
  7. 請求項1記載のペレット体を加熱し、酸化珪素の蒸気をフィルム基材表面に蒸着させて酸化珪素蒸着膜を形成することを特徴とする酸化珪素蒸着フィルムの製造方法。
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