JP3706176B2 - 窒化アルミニウム顆粒及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒化アルミニウム顆粒、詳しくは乾式プレス法により、窒化アルミニウム焼結体を製造するプロセスにおいて、効率的で、且つ、安価な製造を行うのに好適な窒化アルミニウム顆粒に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近のLSIの集積度の飛躍的な向上に伴うICチップの発熱量増大により、セラミックス基板は、従来より使用されているアルミナ製では熱特性が不十分で、放熱が限界に達しつつある。
【0003】
これに対し、窒化アルミニウム粉末は、高熱伝導率、高絶縁性を有し、パッケ−ジ材料等のエレクトロニクス材料として極めて有用な窒化アルミニウム焼結体の原料として脚光を浴びている。こうしたなか、特開平4−50107号公報には、窒化アルミニウム焼結体を得る方法として、窒化アルミニウム粉末を結合剤等の有機成分の存在下、顆粒に造粒した後、乾式プレス法により成形してプレス成形体を得、焼成する方法が知られている。こうした方法は、クラックがなく高密度の窒化アルミニウム焼結体が得られ、有用である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記方法では、該窒化アルミニウム顆粒を用いてプレス成形を行い、プレス体を得た後に、該プレス体から結合剤等の有機成分を除去するために、数百度で数時間に及ぶ脱脂工程を施さなければ、良好な物性を有する窒化アルミニウム焼結体が得られないものであった。しかも、この脱脂工程を施したとしても、脱脂の際にクラックが生じたり、脱脂後においても粉末成形体中にカーボンが残留して得られる窒化アルミニウム焼結体に変色やマイクロポアの発生が生じたりし易いものであった。そのため、かかる方法は、窒化アルミニウム焼結体を効率的、且つ、安価に製造する面において、今一歩満足できるものではなかった。
【0005】
一方、特公平5−83482号公報には、アルミナ粉末とカ−ボン粉末の混合粉末を造粒したペレットを窒素含有ガスの雰囲気下、1400〜1800℃で焼成し、次いで、酸素含有ガスの雰囲気下、650〜750℃で脱炭処理して窒化アルミニウム粉末を製造する方法が示されている。しかし、この方法では、前記酸素含有ガスの雰囲気下での焼成時に、ペレットは解砕されて窒化アルミニム粉末となっており、本発明のような窒化アルミニウム顆粒は得られていない。
【0006】
また、特開平7−81911号公報においては、アルミナとカ−ボンとバインダ−からなる顆粒を用い、炭窒化反応によって窒化アルミニムを連続的に得る製造方法が示されている。しかしこの方法においても、炭窒化反応後、顆粒は最終工程でエアジェットミルにより粉砕されており、窒化アルミニウムは粉末状で得られている。
【0007】
以上の背景にあって、本発明は、乾式プレス法による窒化アルミニウム焼結体の製造を、脱脂工程を施すことなく効率的に実施するための、原料となる窒化アルミニウム顆粒を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、有機成分を実質的に含まず、特定の顆粒物性を有する窒化アルミニウム顆粒が上記の目的を達成することを見い出し、本発明を提案するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、カーボン含有量が0.1重量%以下であり、平均粒径が0.02〜8mmであり、破壊強度が0.002〜0.4kgf/mm2であることを特徴とする窒化アルミニウム顆粒である。
【0010】
また、本発明は、平均粒径が0.02〜8mmのアルミナとカーボンブラックとの造粒体を、非酸化性の窒素ガス含有雰囲気下1300〜1700℃で還元窒化し、次いで、水分濃度が400〜10000ppmの酸化性雰囲気下500〜800℃で脱炭処理することを特徴とする上記窒化アルミニウム顆粒の製造方法、更には、
上記窒化アルミニウム顆粒を乾式プレスにより成形し、次いで、脱脂工程を経ることなく、焼成することを特徴とする窒化アルミニウム焼結体の製造方法も提供する。
【0011】
本発明の窒化アルミニウム顆粒は、平均粒径が0.02〜8mmであることが重要であり、好ましくは、0.04〜4.0mm、更に好ましくは、0.05〜2.0mmの平均粒径が好適である。顆粒の平均粒子径は、プレス体の大きさや形状に合わせて、任意に選択されるが、例えば、φ15cm、厚さ5cm等の大型形状品の場合でも、平均粒子径が8mmを越えると、個々の顆粒間の空隙が大きくなり、焼結後に内部空隙が残存し、良好な焼結体が得られず好ましくない。また、平均粒径が、0.02mm未満のときは、静電反発などにより、嵩高くなるために、前記のような不都合が生じるために好ましくない。
【0012】
本発明の窒化アルミニウム顆粒は、破壊強度が0.002〜0.4kgf/mm2の範囲でなければならない。破壊強度が0.002kgf/mm2より小さい場合には、輸送等の取り扱い中に容易に顆粒が破壊し粉末状となったり、更に、プレス成形の際には、早期に顆粒が破壊されることにより、プレス成形体の密度が上昇せず、且つ、不均一となるために良好な焼結体が得られず好ましくない。また、破壊強度が0.4kgf/mm2を越える場合には、プレス成形によって窒化アルミニウムプレス体を製造する際に、スプリングバックが大きくなるためにクラックが入りやすく、更に、窒化アルミニウム顆粒の粒界による空隙の多数残存により焼結体物性が低下するために好ましくない。窒化アルミニウム顆粒の破壊強度は、プレス成形体の密度向上を勘案すると、0.005〜0.2kgf/mm2の範囲であることが特に好ましい。
【0013】
また、本発明の窒化アルミニウム顆粒は、焼結体内部の空隙が少なく、より良好な密度で焼結体を得ことを勘案すれば嵩比重が、0.4〜1.3g/cm3の範囲であることが好ましい。特に、高密度の窒化アルミニウムプレス体を工業的に得るためには、嵩比重0.5〜1.0g/cm3の範囲であることが好適である。
【0014】
更に、本発明の窒化アルミニウム顆粒の形状は何ら制限されず、任意の形状であってよいが、製造方法に由来して球状またはそれに近い形状のものが一般的である。本発明において空隙の少ない高密度の窒化アルミニウム顆粒は真球状であることが好ましく、例えば、短径と長径の比から求めた真球度が0.9以上のものが好ましい。
【0015】
そして更に、上記窒化アルミニウム顆粒は、顆粒を構成する窒化アルミニウム粉末の凝集粒子径が小さいものが揃っているのが好ましい。例えば、超音波分散等の分散処理を顆粒に十分に施して得た窒化アルミニウム粉末のレーザー回析法により求めた凝集粒子の平均粒子径は、5μm以下、さらには3μm以下であることが好ましい。
【0016】
以上の諸物性を有する窒化アルミニウム顆粒において、本発明は、構成成分として有機成分を実質的に含まず、酸素気流中で燃焼させ、発生したCO、CO 2 ガス量から定量する不純物カーボン量が0.1重量%以下であることを最大の特徴とする。そのため、かかる窒化アルミニウム顆粒によれば、乾式プレス法による窒化アルミニウム焼結体の製造に際し、プレス成形後の脱脂工程を施す必要がなくなり、該窒化アルミニウム焼結体を効率的、且つ安価に製造することが可能になる。
【0017】
また、この窒化アルミニウム顆粒には、一般に熱伝導性に優れた窒化アルミニウム焼結体を得るためには、上記有機成分を実質的に含まない他、酸素含有量や熱伝導性に悪影響を与える陽イオン不純物も少ないことが好ましい。ここで、該陽イオン不純物には、後述する焼結助剤として配合し得る化合物の陽イオン成分であるカルシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属やイットリウム、ランタン等の希土類金属からのものは除外される。また、窒化アルミニウム粉末の表面は空気中で不可避的に酸化され、Al−N結合がAl−O結合に置き換っているが、この結合Alは陽イオン不純物とみなさない。本発明では、AlNを窒化アルミニウム組成とするとき、不純物となる酸素含有量が1.5重量%以下、前記熱伝導性に悪影響を与える陽イオン不純物が0.3重量%以下である窒化アルミニウム粉末が好適である。さらに、酸素含有量が0.4〜1.3重量%、前記陽イオン不純物が0.2重量%以下である窒化アルミニウム粉末がより好適である。
【0018】
なお、本発明の窒化アルミニウム顆粒には、窒化アルミニウム粉末の焼結に使用することが公知の焼結助剤が含有されていても良い。こうした焼結助剤としては、例えば、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム等のアルカリ土類金属酸化物;酸化イットリウム、酸化ランタン等の希土類酸化物;アルミン酸カルシウム等の複合酸化物等が挙げられる。その含有量は、窒化アルミニウム顆粒中に占める割合で0.1〜10重量%の範囲が好適である。
【0019】
次に、本発明の窒化アルミニウム顆粒は、乾式プレス法による窒化アルミニウム焼結体の製造に用いるのが好適である。即ち、この窒化アルミニウム顆粒は、金型に顆粒を充填し、プレス成形するいわゆる加圧成形法やゴム型に顆粒を充填し、流体圧力を利用して加圧成形するいわゆる静水圧成形及び前者と後者の併用等の公知の方法によって、任意の形状に成形される。一般には、0.3〜2.0t/cm2の成形圧力が好ましく採用される。次いで、得られた窒化アルミニウムプレス体は、有機成分を実質的に含まないため、脱脂工程を施すことなく焼成すれば良い。焼成雰囲気としては、非酸化雰囲気中であれば良いが、一般に、窒素ガスが採用され、1700〜1950℃の範囲の任意の温度で焼成される。
【0020】
このようにして、本発明の窒化アルミニウム顆粒を乾式プレス成形し、次いで、脱脂工程を経ることなく、焼成することにより、効率的で、且つ、安価に窒化アルミニウム焼結体を得ることができる。
【0021】
本発明の窒化アルミニウム顆粒は、如何なる方法により製造されても良い。好適には、アルミナとカ−ボンブラックの造粒体を、アルミナ還元窒化法により、還元窒化し、更には、余剰のカ−ボンを脱炭処理する方法が好適である。特に、平均粒径が0.02〜8mmのアルミナとカーボンブラックとの造粒体を、非酸化性の窒素ガス含有雰囲気下1300〜1700℃で還元窒化し、次いで、水分濃度が400〜10000ppmの酸化性雰囲気下500〜800℃で脱炭処理する方法により得るのが好適である。ここで、得られる窒化アルミニウム顆粒の平均粒径は、アルミナとカ−ボンブラックとからなる造粒体の平均粒径に、実質的に同じである。以下、この窒化アルミニウム顆粒の製造方法について説明する。
【0022】
本発明においてアルミナは、αアルミナ、γアルミナ等の公知のものが何等制限なく使用できる。通常、αアルミナが使用される。また、その純度は99.0重量%以上、好ましくは99.5重量%以上で、平均粒子径が5μm以下、好ましくは3μm以下のものが好適である。さらに、その比表面積は、窒素吸着法で1〜30m2/g、好ましくは5〜15m2/gのものが好適である。
【0023】
一方、本発明においてカーボンブラックは、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等の公知のものが何等制限なく使用できる。その純度は、灰分1.0重量%以下、好ましくは0.5重量%以下で、平均粒子径が1μm以下のものを用いるのが好適である。また、その比表面積は、窒素吸着法で20〜200m2/g、好ましくは70〜150m2/gが好適である。さらに、DBP吸油量が、50〜150ml/100g、好ましくは、80〜130ml/100gのものが好適である。
【0024】
本発明において、アルミナとカーボンブラックは、如何なる配合比で混合させても良いが、得られる窒化アルミニウム顆粒の嵩比重を勘案すると、アルミナ100重量部に対し、カーボンブラックを35.0〜150重量部を配合することが好ましく、さらに好ましくはアルミナ100重量部に対し、カーボンブラックを40〜70重量部配合させるのが良い。必要に応じて、該窒化アルミニウム顆粒を乾式プレス成形し焼成する際の焼結助剤用として、前記の金属酸化物を加えて混合しても良い。
【0025】
これらのアルミナとカ−ボンブラックとから造粒体を得るためには、転動造粒法が平均粒径が0.1〜8mmの範囲の顆粒を得る方法として好ましく採用され、また、噴霧造粒法、即ち、スプレ−ドライヤ−法が、平均粒径が0.02〜0.5mmの範囲の顆粒を得る方法として好ましく採用される。この転動造粒法及びスプレ−ドライヤ−法においては、上記アルミナとカーボンブラックを水を媒体として造粒されるが、さらに、界面活性剤や必要に応じて、水溶性高分子バインダ−の他、前記焼結助剤等が使用されても良い。
【0026】
ここで、用いられる界面活性剤は、水溶性で、且つ、カーボンブラックの表面となじむことが可能な公知のものが何等制限なく使用される。陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤のいずれであっても良い。具体的には、例えば陰イオン界面活性剤では、脂肪酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩などがあげられ、陽イオン界面活性剤では、第4級アンモニウム塩などがあげられ、両性界面活性剤では、アルキルベタイン、アルキルアミドベタインなどがあげられ、非イオン界面活性剤では、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル、ポリエチレングルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリプロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリストール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキソエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミドなどが挙げられる。このうち非イオン界面活性剤、特にポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキソエチレンソルビタン脂肪酸エステルを用いるのが好ましい。また、これらの界面活性剤は、HLBが12〜20のものを用いるのが好適である。
【0027】
本発明において、界面活性剤は、特に制限されるものではないが、粒径及び粒度分布の良好さの効果を勘案すると、アルミナとカ−ボンからなる混合粉末に対して、0.01〜10重量部、好ましくは、0.02〜3.0重量部配合させるのが好適である。
【0028】
また、水溶性高分子系バインダーとしては、例えばポリビニールアルコール、アルギン酸塩、砂糖、セルローズエーテル、デキストリン、でんぷん、糖密、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。こうした水溶性高分子系バインダーは、使用する水100重量部に対し、0〜15重量部、好ましくは0〜5重量部配合させるのが好適である。
【0029】
転動造粒の場合、水は、通常、アルミナとカーボンブラック、必要に応じて焼結助剤との合計100重量部に対して、10〜100重量部が好適である。特に、アルミナとカーボンブラックの混合粉体中に含まれるカーボンブラックの重量%とそのカーボンブラックのDBP吸油量と水の比重の各々の積の±10重量部、好ましくは該値の−3〜+7重量部の範囲で配合させるのが良好である。また、造粒は、公知の運転条件を何等制限なく採用して実施できる。
【0030】
転動造粒機の形式としては、皿型の転動式造粒機、ドラム型の転動造粒機等が適宜使用できる。こうした造粒機への前記各成分の供給は、如何なる方法により行っても良いが、各々の成分を水に分散或いは溶解させた後に、この液を造粒機の皿、もしくは、ドラムに供給して実施するのが一般的である。通常は、アルミナとカーボンブラックとの混合粉体、及び界面活性剤さらには必要に応じて水溶性高分子系バインダーを分散或いは溶解させた水を予め、予備混合させたものを造粒機の皿、もしくは、ドラムに投入する。投入後、造粒機の皿、もしくは、ドラムを回転させ、核を生成させる。核生成後、造粒機の皿、もしくは、ドラムにアルミナとカーボンブラックの混合粉体、及び界面活性剤さらには必要に応じて水溶性高分子系バインダーを分散或いは溶解させた水を供給する方法により実施するのが好適である。なお、アルミナとカーボンブラックの混合方法としては、これらを均一に混合することが可能な任意の方法であれば特に限定されない。例えば、湿式のボールミル混合、乾式のボールミル混合、ミキサー式混合などが挙げられる。
【0031】
一方、スプレ−ドライヤ−法においては、水は、アルミナとカーボンブラック、必要に応じて焼結助剤との合計100重量部に対して、50〜300重量部が好適である。
【0032】
噴霧造粒機の形式としては、加圧型ノズル、回転円盤型噴霧機等の噴霧装置や向流型や並流型の乾燥機構などを備えた公知のものが適宜使用できる。こうした造粒機への前記各成分の供給は、如何なる方法により行っても良いが、通常は、原料粉体、及び界面活性剤さらには必要に応じて水溶性高分子系バインダーを分散或いは溶解させた水を混合し、一般に泥しょうと呼ばれる粘ちょうなスラリーとした後、噴霧造粒機に供給するのが好適である。
【0033】
以上の如くの造粒法により得られたアルミナとカーボンブラックとの造粒体は、次いで、非酸化性の窒素ガス含有雰囲気中において1300〜1700℃で還元窒化され、さらに、酸化性雰囲気下において500〜800℃、より好ましくは600〜750℃で脱炭処理され、本発明の窒化アルミニウム顆粒とするのが好適である。
【0034】
ここで、本発明の窒化アルミニウム顆粒の構成要件である平均粒径は、上記製造方法において、主に、転動造粒機及びスプレ−ドライヤ−の運転条件により調整することができる。
【0035】
また、本発明の構成要件である破壊強度は、上記製造方法において、主に、アルミナとカ−ボンを主成分とする造粒体の脱炭処理条件により調整することができる。脱炭処理条件として、通常、本発明の破壊強度を得るためには、前記の脱炭処理温度に加えて、酸化性雰囲気中の水分濃度が400〜10000ppmであることが好適であり、特に500〜6000ppmの範囲から選択することが更に好ましい。
【0036】
さらに、窒化アルミニウム顆粒の嵩比重は、上記製造方法において、主に、アルミナとカ−ボンの配合比により調整することができ、転動造粒の場合は造粒時間、スプレ−ドライヤ−の場合は混合時間により調整することができる。
【0037】
このようにして、本発明の窒化アルミニウム顆粒を製造することができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明の窒化アルミニウム顆粒は、乾式プレス成形による窒化アルミニウム焼結体の製造原料として好適である。即ち、本発明の窒化アルミニウム顆粒を用いて乾式プレス成形により窒化アルミニウム焼結体を製造した場合、実質的に有機成分を含まないために、脱脂工程が不要となり、工程が簡略化される。その結果、工程の短縮による短納期化や、更に、脱脂の際に生じるクラックや脱脂後の粉末成形体中の残留カ−ボンによる焼結体の変色やマイクロポアの発生等が無くなるため、歩留り良く窒化アルミニウム焼結体を製造することが可能となる。
【0039】
従って、本発明の窒化アルミニウム顆粒は、窒化アルミニウム焼結体を工業的に効率良く、且つ、安価に製造するために、極めて有用な原料となる。
【0040】
【実施例】
本発明をさらに具体的に説明するために、以下に実施例及び比較例を揚げるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0041】
尚、以下の実施例及び比較例における各種の物性の測定は次の方法により行った。
【0042】
1) 比表面積
島津製作所製「フロ−ソ−ブ2300」を用いて、N2吸着によるBET法で求めた。
【0043】
2) 平均凝集粒径
5%ピロリン酸水溶液5ccを加えた水溶液95cc中に、窒化アルミニウム顆粒0.02〜0.03gを添加し、6分間ホモジナイザーにより超音波分散した後、得られた窒化アルミニウム粉末の凝集粒子の平均粒径を、LEEDS & NORTHRUP社製「MICROTRAC II」を用いてレーザー回析法により求めた。
【0044】
3) 不純物量
陽イオン不純物は、窒化アルミニウム粉末をアルカリ溶融後、酸で中和し、島津製作所製「ICPS−1000」を使用して溶液のICP発光分光分析によりアルカリ土類金属、希土類金属からのもの以外の陽イオン不純物を定量した。
【0045】
不純物カ−ボン量は、窒化アルミニウム顆粒を酸素気流中で燃焼させ、堀場製作所製「EMIA−110」を使用して、発生したCO、CO2ガス量から定量 した。
【0046】
不純物酸素量は、窒化アルミニウム粉末を堀場製作所製「EMGA−2800」を使用して、グラファイトるつぼ中での高温の熱分解法により発生したCOガス量から求めた。
【0047】
4) 顆粒嵩密度
筒井理化学機械(株)製「A・B・D粉体特性測定器」を用いて重装嵩密度を測定した。
【0048】
5) 顆粒破壊強度
測定に使用する3ケの顆粒の粒径の平均をDとしたとき、粒径がD×(1±0.05)の範囲の顆粒3ケを一辺10mmの正三角形の頂点に置き、上から静かに荷重をかけ、3ケ中1ケ以上破壊した時の荷重を測定した。その荷重をP、破壊強度をSとしたとき、下記式
S=2.8×(P/3)/(πD2)
より、破壊強度を算出した。測定は、10回繰り返し、最低値と最高値を除いた8点平均値を用いた。
【0049】
6) 顆粒平均粒径
化学工学協会編「化学工学便覧 改訂4版」973頁記載の粒度分布の累積分布の50パ−セント値より求めた。
【0050】
7) 焼結体密度
東洋精機(株)製「高精密度比重計D−H」を使用し、アルキメデス法により求めた。
【0051】
8) 熱伝導率
理学電機(株)製「熱定数測定装置PS−7」を使用して、レ−ザ−フラッシュ法により測定した。厚さ補正は、検量線により行った。
【0052】
実施例1
平均粒子径2.8μmのαアルミナ100重量部、平均粒子径0.02μmのカーボンブラック40重量部、酸化イットリウム4重量部を乾式のボールミルで混合し混合粉末を得た。界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを1.0重量部含んだ水溶液40重量部用意した。これら混合粉末と界面活性剤水溶液をドラム型転動造粒機に供給し、ドラム回転数42rpm、解砕用チョッパーの回転数500rpm、造粒時間2時間の条件下で造粒した。次いで、この造粒体を黒鉛製るつぼに入れ、N2ガス気流下、窒化温度1550℃で、6時間加熱した。その後、水分濃度1790ppmの空気中で、700℃で10時間脱炭処理し、窒化アルミニウム顆粒とした。得られた顆粒を構成する窒化アルミニウム粉末物性と顆粒の嵩比重、粒径、破壊強度、真球度を測定した。
【0053】
この顆粒を用いて0.6t/cm2でφ20mm、厚さ2.5mmのプレス成形体を作製し、プレス成形体密度を測定した。その後、内面に窒化ホウ素を塗布したカ−ボン製るつぼに入れ、窒素雰囲気中1800℃で8時間焼成し、焼結体を得た。焼結体の密度、熱伝導率を測定し、その結果を表1に示した。
【0054】
比較例1
脱炭処理時に使用する空気中の水分濃度を30ppmにしたこと以外は実施例1と同様にして、窒化アルミニウム顆粒を得た。但し、得られた顆粒は容易に破壊するため、顆粒の多くは粉末状となった。次いで、実施例1と同様にしてプレス成形体を得、焼結体を得た。結果を表1に示した。
【0055】
比較例2
脱炭処理時に使用する空気中の水分濃度13800ppmとしたこと以外は実施例1と同様にして、窒化アルミニウム顆粒を得た。次いで、実施例1と同様にしてプレス成形体を得、焼結体を得た。結果を表1に示した。
【0056】
【表1】
【0057】
実施例2
実施例1において、転動造粒条件及び造粒体の脱炭処理条件を変えて、各種の窒化アルミニウム顆粒を作製した。実施例1と同様にして、窒化アルミニウム顆粒を製造した。次いで、実施例1と同様にして、プレス成形体を得、焼結体を得た。結果を表2の実験No.1〜4に示した。
【0058】
実施例3
平均粒子径2.8μmのαアルミナ100重量部、平均粒子径0.02μmのカーボンブラック40重量部、酸化イットリウム4重量部、ポリオキシエチレン0.7重量部、ポリビニルピロリドン2重量部に水150重量部を加えて、表2に示す混合条件でボールミル混合した後、黒色の泥しょう得た。
【0059】
こうして得られた泥しょうをスプレ−ドライヤ−法により造粒し、主に、アルミナとカ−ボンブラックからなる球状の造粒体を得た。この造粒体を、次いで、黒鉛製るつぼに入れ、N2ガス気流下で1550℃、6時間加熱した。その後、表2に示す条件により脱炭処理し、窒化アルミニウム顆粒とした。得られた顆粒の嵩比重、粒径、破壊強度、真球度を測定した。得られた窒化アルミニウム顆粒は、実施例1と同様にして、プレス成形体を得、焼結体を得た。結果を表2の実験No.5,6に示した。
【0060】
【表2】
Claims (3)
- カーボン含有量が0.1重量%以下であり、平均粒径が0.02〜8mmであり、破壊強度が0.002〜0.4kgf/mm2であることを特徴とする窒化アルミニウム顆粒。
- 平均粒径が0.02〜8mmのアルミナとカーボンブラックとの造粒体を、非酸化性の窒素ガス含有雰囲気下1300〜1700℃で還元窒化し、次いで、水分濃度が400〜10000ppmの酸化性雰囲気下500〜800℃で脱炭処理することを特徴とする請求項1記載の窒化アルミニウム顆粒の製造方法。
- 請求項1記載の窒化アルミニウム顆粒を乾式プレスにより成形し、次いで、脱脂工程を経ることなく、焼成することを特徴とする窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
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