JP5877684B2 - 窒化アルミニウム焼結顆粒の製造方法 - Google Patents
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例えば、特許文献4には球状アルミナ粒子の還元窒化によって球状窒化アルミニウム粒子を製造する方法、また、特許文献5には窒化アルミニウム粉末に焼結助剤、結合剤及び溶剤を加えて噴霧乾燥し、得られた球状造粒粉を焼結する方法、さらに、窒化アルミニウム粉末を、アルカリ土類元素、希土類元素の酸化物又は窒化物、加熱中の分解により上記のものを生じる塩、水酸化物、ハロゲン化物、アルコキシド等の前駆体よりなるフラックス中で熱処理或いはフラックス成分を予め加えて合成された窒化アルミニウム系の組成物を直接熱処理することにより球状化させた後、フラックスを溶解して単離する方法も提案されている(非特許文献)。
本発明の製造方法により、平均粒径10〜200μm、BET比表面積が0.05m2/g以上、0.5m2/g未満の緻密な窒化アルミニウム焼結顆粒を得ることができる。
本発明の窒化アルミニウム焼結顆粒の製造方法において、出発原料としては、多孔質アルミナ顆粒が使用される。具体的には、多孔質のアルミナ顆粒またはアルミナ水和物顆粒が挙げられる。更に具体的には、α、γ、θ、δ、η、κ、χ等の結晶構造を持つアルミナやベーマイトやダイアスポア、ギブサイト、バイヤライト、トーダイトなど加熱により脱水転移して最終的にα−アルミナに転移する材質が全て利用可能である。多孔質アルミナ顆粒は、上記材質の単独或いは種類の異なるものが混合された状態で用いてもよいが、特に反応性が高く、制御が容易なα−アルミナ、γ−アルミナ、ベーマイトが好適に用いられる。
本発明において、還元窒化工程は、多孔質アルミナ顆粒を還元剤の存在下に窒化して、多孔質窒化アルミニウム顆粒を製造する工程である。
本発明において、焼結工程は、前記還元窒化工程において得られた多孔質窒化アルミニウム顆粒を還元雰囲気下或いは中性雰囲気下で焼成することにより、かかる多孔質窒化アルミニウム顆粒を構成する窒化アルミニウム粒子を焼結せしめることにより緻密化し、窒化アルミニウム焼結顆粒を得る工程である。
本発明において、前記還元窒化工程と焼結工程とは、それぞれを別途実施することも可能であるが、温度を下げることなく、連続して実施することが、再加熱のためのエネルギーを低減できる等の効果を得ることができ、好ましい。
本発明において、還元窒化工程等において、カーボンを使用する場合、得られる窒化アルミニウム焼結顆粒にカーボンが残存するため、酸化処理を行いかかるカーボンを除去することが好ましい。かかる酸化処理を行う際の酸化性ガスとしては、空気、酸素、など炭素を除去できるガスならば何等制限無く採用できるが、経済性や得られる窒化アルミニウムの酸素含有率を考慮して、空気が好適である。また、処理温度は一般的に500〜900℃がよく、脱炭素の効率と窒化アルミニウム表面の過剰酸化を考慮して、600〜750℃が好適である。また、酸化処理の時間は、残存するカーボン量に応じて適宜決定すればよい。
本発明の窒化アルミニウム焼結顆粒は、窒化アルミニウムの性質を生かした種々の用途、特に放熱シート、放熱グリース、放熱接着剤、塗料、熱伝導性樹脂などの放熱材料用フィラーとして広く用いることができる。
比表面積は、BET一点法にて測定を行った。
試料をホモジナイザーにて5%ピロリン酸ソーダ水溶液中に分散させ、レーザー回折粒度分布装置(日機装株式会社製MICROTRAC HRA)にて平均粒径(D50)を測定した。
X線回折(CuKα、10〜70°)にて、窒化アルミニウム(AlN)の主要ピーク((100)面に由来するピーク)と各アルミナ成分(α−アルミナ,θ−アルミナ,γ−アルミナ、δ−アルミナ等)の主要ピークのピーク強度合計の比より検量線法を用いて求めた(式(1))。
α−アルミナ:(113)面に由来するピーク
γ−アルミナ:(400)面に由来するピーク
θ−アルミナ:(403)面に由来するピーク
δ−アルミナ:(046)面に由来するピーク。
電子顕微鏡の写真像から、任意の粒子100個を選んで、スケールを用いて粒子像の長径(DL)と短径(DS)を測定し、その比(DS/DL)の平均値を真球度とした。
細孔分布測定装置(マイクッロメリティックス社製、オートポアIV9510
(商社名))による水銀圧入法を用いて、窒化アルミニウム粉末の細孔径分布を求めた。
熱伝導性シリコーンゴム組成物を10cm×6cm、厚さ3mmの大きさに成形し150℃の熱風循環式オーブン中で1時間加熱して硬化し、これを熱伝導率測定装置(京都電子(株)製QTM−500)を用いて熱伝導率を測定した。なお検出部からの漏電防止のため、厚さ10μmのポリ塩化ビニリデンフイルムを介して測定した。
多孔質アルミナ顆粒として、平均粒径63μm、比表面積164m2/gの顆粒状ベーマイトを空気流通下1200℃で5時間熱処理してα−アルミナ化したものを使用した。上記球状の多孔質アルミナ顆粒280gとカーボンブラック140gを混合した後、カーボン製容器に充填し、抵抗加熱式雰囲気炉装置内で、窒素流通下、焼成温度を1600℃として5時間焼成した(還元窒化工程)。
実施例1において、還元窒化工程における焼成温度を1450℃、焼結工程における焼成温度を1750℃とした以外は同様にして窒化アルミニウム焼結顆粒を得た。得られた窒化アルミニウム焼結顆粒の平均粒径及び比表面積、窒化アルミニウム転化率、真球度、細孔径分布の測定結果を表1に示す。
多孔質アルミナ顆粒として、平均粒径40μm、比表面積135m2/gの顆粒状ベーマイトを使用し、該多孔質アルミナ顆粒280gとカーボンブラック140gを混合した。次いで、上記混合粉末をカーボン製容器に充填し、抵抗加熱式雰囲気炉装置内で、窒素流通下焼成温度を1450℃として5時間焼成して還元窒化工程を実施した後、昇温して焼成温度を1750℃として5時間焼成することにより焼結工程を実施した。その後、空気流通下680℃で8時間酸化処理を行って窒化アルミニウム焼結顆粒を得た。得られた窒化アルミニウム焼結顆粒を前述の方法にて、平均粒径及び比表面積、窒化アルミニウム転化率、真球度、細孔径分布を測定した。結果を表1に示す。
実施例1において、還元窒化工程、焼成工程を通して、焼成温度を1450℃として5時間焼成した以外は同様にして窒化アルミニウム焼結顆粒を得た。得られた窒化アルミニウム焼結顆粒の平均粒径及び比表面積、窒化アルミニウム転化率、真球度、細孔径分布の測定結果を表2に示す。
実施例1において、還元窒化工程の焼成温度を1450℃、焼結温度を1550℃とした以外は同様にして窒化アルミニウム焼結顆粒を得た。得られた窒化アルミニウム焼結顆粒の平均粒径及び比表面積、窒化アルミニウム転化率、真球度、細孔径分布の測定結果を表2に示す。
実施例1において、還元窒化工程、焼成工程を通して、焼成温度を1800℃として10時間焼成した以外は同様にして窒化アルミニウム焼結顆粒を得た。得られた窒化アルミニウム焼結顆粒の平均粒径及び比表面積、窒化アルミニウム転化率、真球度、細孔径分布の測定結果を表2に示す。
ベーマイト粉末100重量部に対し、酸化イットリウム5重量部、トルエン溶媒100重量部、メタクリル酸ブチル5重量部、ヘキサグリセリンモノオレート2重量部を加えてボールミルで5時間混合し、得られたスラリーをスプレードライにより噴霧乾燥して平均粒径50μmの顆粒を得た。得られた顆粒を空気流通下1200℃で5時間熱処理してα−アルミナ化して多孔質アルミナ顆粒を得た。
酸化イットリウムに代わり炭酸カルシウムを5重量部添加した以外には実施例4と同様にして窒化アルミニウム焼結顆粒を得た。得られた窒化アルミニウム焼結顆粒の平均粒径及び比表面積、窒化アルミニウム転化率、真球度、細孔径分布の測定結果を表3に示す。得られた窒化アルミニウム焼結顆粒は、実施例1と同様にシートを作成、熱伝導率を測定した。結果を表3に示す。
Claims (4)
- 平均粒径が10〜200μm、BET比表面積が2〜250m 2 /gの多孔質アルミナ顆粒を1400℃以上、1700℃以下の温度で3〜8時間還元窒化して、BET比表面積が0.9〜5m 2 /gの多孔質窒化アルミニウム顆粒とする還元窒化工程と、上記還元窒化工程において得られた多孔質窒化アルミニウム顆粒を、1580℃以上、1900℃以下で3〜10時間焼結することにより、細孔直径2μm以下の細孔における全細孔容積が0.01cm 3 /g未満の窒化アルミニウム顆粒を得る焼結工程とを含むことを特徴とする窒化アルミニウム顆粒の製造方法。
- 前記還元窒化工程及び焼結工程を、多孔質アルミナ顆粒及び多孔質窒化アルミニウム顆粒にカーボン粉末を混合した状態で行う、請求項1に記載の窒化アルミニウム焼結顆粒の製造方法。
- 前記還元窒化工程と焼結工程とを連続して行う、請求項1に記載の窒化アルミニウム焼結顆粒の製造方法。
- 得られる窒化アルミニウム焼結顆粒が、平均粒径10〜200μm、BET比表面積が0.05〜0.5m2/gである、請求項1に記載の窒化アルミニウム焼結顆粒の製造方法。
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