JP4832048B2 - 窒化アルミニウム粉末及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、窒化アルミニウム粉末の製造方法に関する。
窒化アルミニウム粉末(AlN粉末)は、主にAlN焼結体を製造するための焼結用粉末として用いられている。AlN焼結体は、AlN粉末を焼結助材とともに成形し、焼結することにより製造される。このAlN焼結体は、半導体基板、半導体パッケージ基材等をはじめ、各種の用途に使用されている。特に、AlN焼結体は、一般のアルミナセラミックス等に比べて高い熱伝導率を有するとともに、その熱膨張係数がシリコンとほぼ同じであることから、ICの放熱基板用の材料として脚光を浴びている。
ところが、AlN焼結体は、その焼結温度が1800℃前後と高温であるため、アルミナセラミックス等に比して製造コストが高くなる。従って、焼結温度を下げることができれば、AlN焼結体の製造コストの削減につながる。
焼結温度を下げる方法としては、一般的にはAlN粉末の平均粒子径を小さくすることが考えられる。ところが、平均粒子径を小さくすると、比表面積の増加に伴い、AlN粉末の酸素含有量が増加し、AlN焼結体の特徴である高熱伝導性が損なわれるという問題が起こる。しかも、比表面積の増加により、焼結時に多量のバインダーが必要となるため、コスト高となるばかりでなく、焼結体の寸法精度の低下も引き起こされる。
ところで、AlN粉末の工業的な製造方法としては、直接窒化法(以下「直接法」といい、これにより得られる粉末を「直接法粉末」という。)と還元窒化法(以下「還元法」といい、これにより得られる粉末を「還元法粉末」という。)に大別できる。
還元法は、アルミナ粉末とカーボン粉末との混合物を窒素又はアンモニア雰囲気中で加熱し、アルミナを還元して窒化する方法である。しかし、還元法では、アルミナの中でも高価な粉末を原料とする上、還元が吸熱反応で進行することから、1500℃以上の高温で12時間以上処理する必要がある。加えて、還元法では、各粉末粒子が雰囲気中の窒素と均等に反応させるため、還元処理に際してアルミナ粉末を層状に薄く充填する必要があり、一回で還元処理できる量が制約される。これらの点から、還元法は、製造コストが高くなるという欠点がある。
一方、直接法は、金属アルミニウム粉末を窒素雰囲気下で加熱して窒化合成させる方法である。直接法粉末は、直接法で得られた塊状AlNを粉砕することにより得られる。直接法は発熱反応であり、還元法に比べてはるかに低温でかつ短時間で製造することができることから、より安価でAlN粉末を供給することができる。
ただし、直接法粉末は、一般的に還元法粉末に比べて酸素含有量が多く、高い熱伝導率を有する焼結体を得ることが困難とされている。その理由は、直接法では、合成時の反応熱により粒成長又は合体が進行するので、平均粒子径を細かくするために窒化工程後に生成窒化物の粉砕工程が必要となるからである。すなわち、この粉砕工程では、生成される新しい面は、きわめて反応性が高く、雰囲気中のごく微量の酸素又は水分と反応する。そして、粉砕された粒子表層では水和物又は酸化物が形成されやすく、その結果として酸素含有量を増加させる。また、粉砕された粉末には多数の凹凸又は亀裂が導入されており、その形状も角張ったものであり、粉砕によって生じる微細粉の発生も相俟って比表面積が大きくなり、これらも酸素含有量を増加させる要因となっている。
以上のことから、直接法は安価な粉末製造法であるものの、それにより得られる粉末からは十分な熱伝導率を有する焼結体を得ることが困難である。
これに対し、粗製窒化アルミニウム粉末にカーボンブラック粉末を混合した後、NHを含む非酸化性雰囲気中において1200〜1700℃で加熱することにより酸素含有量及び炭素含有量を低減させる方法(特許文献1)が知られている。
しかしながら、この方法では、NHを使用するため、コスト面と作業性において問題がある。また、上記技術では、高い熱伝導性を有する焼結体基板が得られるとされているが、十分なものとは言えない。
また、窒化アルミニウムと遊離炭素、炭素含有有機物質及びこれらの混合物からなる群より選ばれた炭素質添加剤とからなる粒状混合物をアルゴン、窒素及びこれらの混合物からなる群より選ばれた非酸化性雰囲気中において1350〜1750℃で加熱することにより、酸素量を低減する方法(特許文献2)が記載されている。
しかしながら、この方法では、炭素量の正確な添加が必要であり、その制御が難しい。
また、窒化アルミニウム原料粉末100重量部に対して炭素質物質1〜15重量部含む混合粉末を非酸化性雰囲気中1600〜1850℃で熱処理した後、酸化性雰囲気中600〜800℃で熱処理することことにより窒化アルミニウム粉末の製造方法(特許文献3)が知られている。
しかしながら、この方法で得られたAlN粉末は凝集が著しく、そのまま焼結に供することが困難なため粉砕工程が必要であった。粉砕工程の追加は、コストの上昇のみならず、酸素量の再増加を招き、結果として焼結性に優れたAlN粉末を得ることができない。
特開平5−310406号 特開昭60−71576号 特開2003−104777号
このように、いずれの方法においても、低コストで高い熱伝導率をもつAlN焼結体を得ることは困難である。
従って、本発明の主な目的は、平均粒子径及び比表面積が小さく、酸素含有量の少ないAlN粉末を効率的に製造することにある。また、さらなる本発明の目的は、高い熱伝導率をもつAlN焼結体を提供することにある。
本発明者は、かかる従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の方法により得られるAlN粉末が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の窒化アルミニウム粉末の製造方法に係るものである。
1. 窒化アルミニウム原料粉末100重量部及び炭素質物質0.01〜15重量部を含む混合粉末を、炭酸ガス濃度が5容量ppm〜10容量%及び残部が非酸化性ガスからなる非酸化性雰囲気中1400〜1600℃で第1の熱処理をするに際し、非酸化性ガスを系内に補給しながら炭酸ガス濃度5容量ppm〜10容量%を維持して熱処理した後、酸化性雰囲気中500〜800℃で第2の熱処理することを特徴とする窒化アルミニウム粉末の製造方法。
2. 窒化アルミニウム原料粉末の酸素含有量が1.2質量%以上である上記項1記載の製造方法。
本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法によれば、酸素含有量、炭素含有量等が特定範囲内に制御された窒化アルミニウム粉末を効率的に得ることができる。このため、本発明の窒化アルミニウム粉末は、優れた焼結性等を発揮することができる。
従って、本発明の窒化アルミニウム粉末は、比較的低い温度でも十分な焼結性を得ることができる。また、バインダーの使用量も比較的少なくて済む結果、高い寸法精度で焼結体を製造することもできる。
本発明の窒化アルミニウム焼結体は、高い熱伝導率を発揮することができる。このため、例えばIC等の電子機器等に使用される放熱板、その他の構造部材等として有効である。
1.窒化アルミニウム粉末の製造方法
本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法は、窒化アルミニウム原料粉末100重量部及び炭素質物質0.01〜15重量部を含む混合粉末を、炭酸ガス濃度が5容量ppm〜10容量%及び残部が非酸化性ガスからなる非酸化性雰囲気中1400〜1600℃で第1の熱処理をするに際し、非酸化性ガスを系内に補給しながら炭酸ガス濃度5容量ppm〜10容量%を維持して熱処理した後、酸化性雰囲気中500〜800℃で第2の熱処理することを特徴とする。
(1)窒化アルミニウム原料粉末
窒化アルミニウム原料粉末は、その組成(酸素含有量等)、平均粒子径等の制限はなく、どのようなAlN粉末も使用することができる。また、その製造法も限定されず、直接法、還元法等のいずれであっても良い。
特に、窒化アルミニウム原料粉末の平均粒子径は、0.7〜2μm程度のものが望ましい。粒度の調整は、公知の粉砕法、分級法等を用いて適宜実施することができる。
また、本発明では、特に、酸素含有量が1.2質量%以上の窒化アルミニウム原料粉末を好適に用いることができる。このようなAlN粉末は、一般的には直接法により製造することができる。すなわち、本発明方法は、直接法により得られるAlN粉末を窒化アルミニウム原料粉末として好適に用いることができる。
直接法は、公知の直接窒化法に従って実施することができる。例えば、純度99.9質量%以上のアルミニウム粉を窒素雰囲気中で加熱することよって得られた塊状物を粉砕することによってAlN粉末を得ることができる。加熱温度は限定的でないが、通常600〜1200℃程度、特に650〜1100℃とすることが望ましい。また、保持時間は加熱温度等に応じて適宜設定できるが、通常は10〜120分程度とすれば良い。また、粉砕方法は公知の方法に従えば良く、例えばボールミル、ロッドミル、振動ミル、ジョークラッシャー、ロールクラッシャー等による粉砕が挙げられる。
(2)炭素質物質
炭素質物質としては炭素を主成分とするものであれば限定されず、例えばカーボンブラック、カーボンフレーク等の炭素単体、有機樹脂等を含む有機物等が使用できる。炭素質物質は、粉末状であることが好ましく、とりわけ平均粒子径10nm〜1μm程度の炭素質物質粉末を好適に用いることができる。
炭素質物質の使用量は、用いる炭素質物質の種類又は比表面積、AlN原料粉末の酸素含有量等に応じて適宜設定できるが、通常は窒化アルミニウム原料粉末100重量部に対して炭素質物質0.01〜15重量部程度(特に0.1〜7重量部)とすることが望ましい。炭素質物質が0.01重量部未満の場合は、酸素除去効果が不十分となるおそれがある。また、炭素質物質が15重量部を超える場合は、粉末の嵩密度が低くなり、生産性が低下するおそれがある。ただし、生産性に大きな支障を来さない場合は、15重量部を超えても良い。
(3)混合粉末の調製
混合粉末の調製方法は特に限定されない。例えば、窒化アルミニウム原料粉末と炭素質物質とを混合すれば良い。混合は、例えばブレンダー、ミキサー等の公知の装置を用いて均一になるように混合すれば良い。
(4)混合粉末の脱酸素処理
窒化アルミニウム原料粉末と炭素質物質とを混合して得られた混合粉末に対して第1の熱処理を実施する。すなわち、炭酸ガス濃度が5容量ppm〜10容量%及び残部が非酸化性ガスからなる非酸化性雰囲気中1400〜1600℃で第1の熱処理をするに際し、非酸化性ガスを系内に補給しながら炭酸ガス濃度5容量ppm〜10容量%を維持して熱処理を行う。
第1の熱処理によって、窒化アルミニウム原料粉末の脱酸素が主として行われる。これにより、主として酸素含有量及び比表面積の低減を図ることができる。一般に、第1の熱処理前の直接法粉末表面には、粉砕工程に起因する多数の凹凸があり、皺や亀裂が入った状態となっている。第1の熱処理を施すことにより、AlN粉末は表面エネルギーを小さくするべく表面の皺や亀裂を解消していくため、表面積が減少する。AlN粉末の表面では、炭素との還元反応により粒成長のエネルギーが奪われ、粒子径の増加が遅々として進まない一方で、先行して表面積の減少が進む結果、単位重量当たりの表面積である比表面積を所定値まで低下させることができる。
第1の熱処理の雰囲気は、前記のとおり、炭酸ガス濃度が5容量ppm〜10容量%及び残部が非酸化性ガスからなる非酸化性雰囲気とする。炭酸ガス濃度が10容量%を超えると、還元反応の進行が妨げられ、十分に酸素含有量を低減させることが困難になる。
非酸化性雰囲気としては、より具体的には、炭酸ガス濃度が5容量ppm〜10容量%であって、炭酸ガス以外の部分は、不活性ガス(アルゴン、ヘリウム、窒素等)又は還元性ガス(アンモニア等)のような非酸化性ガスである。非酸化性ガスとしては、不活性ガスが好ましく、特に窒素ガスが最も好ましい。
第1の熱処理中においては、一般的には、炭素質物質による還元反応によって炭酸ガスが発生する。このため、炭酸ガス濃度が10容量%を超えないように制御する。つまり、非酸化性ガス(好ましくは不活性ガス)を系内に補給しながら炭酸ガス濃度5容量ppm〜10容量%を維持する。これにより、炭酸ガス濃度(分圧)の上昇を効率良く抑えることができる。非酸化性ガスの補給は、連続的又は断続的に実施しても良いし、一時的に実施しても良い。連続的に実施する場合は、途中で単位時間あたりの非酸化性ガスの流入量を増減しても良い。
その他にも、一定量の非酸化性ガスを導入しながら第1の熱処理時間を長くすることにより非酸化性ガスのトータル使用量を増加させる方法、窒化アルミニウム原料粉末の処理量を減少させる方法等によっても、炭酸ガス濃度の上昇を抑制することが可能である。
なお、系内の炭酸ガス濃度は、公知のモニター装置等を用いて監視することができる。
本発明における炭酸ガス濃度は、以下の式により、CO換算として求めた値である。
A=C×100/B ( % )
B=D/22.4 ( mol )
C=E×(F−G)/16 ( mol )
ここで
D=第一処理中の不活性ガス総量(L)
E=窒化アルミニウム原料粉末の質量 (g)
F=窒化アルミニウム原料粉末の酸素量 (wt%)
G=第一処理後の混合粉末の酸素量 (wt%)

第1の熱処理温度は、通常は1400〜1600℃程度とすれば良いが、特に1450〜1550℃とすることが望ましい。熱処理温度が1400℃未満になると、炭素質物質による還元反応によっても十分に酸素含有量を低減させることが困難になる。また、1600℃を超えると、AlN粉末が凝集し、第二熱処理に先立って凝集を解する粉砕工程を要する。粉砕工程中に酸素含有量及び比表面積が再増加し、脱酸素処理時の目的が達成できなくなる。
第1の熱処理の処理時間は、熱処理温度等によって適宜変更できるが、通常は1〜5時間程度とすれば良い。
(4)混合粉末の脱炭素処理
第1の熱処理を実施した後、酸化性雰囲気中500〜800℃で熱処理する。第2の熱処理では、主として第1の熱処理後において混合粉末に残存する炭素を除去することができる。
第2の熱処理雰囲気は、酸化性雰囲気とする。具体的には、酸素含有雰囲気、大気中(空気中)等のいずれであっても良い。本発明では、特に大気中であることが望ましい。
第2の熱処理温度は、通常500〜800℃程度、好ましくは550〜650℃とする。熱処理温度が500℃未満では、炭素質物質の燃焼反応が進行せず、炭素除去が困難となる。また、800℃を超える場合には、かえって酸素含有量を増加させることになる。
熱処理時間は、熱処理温度等によって適宜変更できるが、通常は3〜10時間程度とすれば良い。
本発明の製造方法は、本発明の窒化アルミニウム粉末の製造に適しており、特に焼結用窒化アルミニウム粉末の製造方法として有効である。
2.窒化アルミニウム粉末
本発明の窒化アルミニウム粉末は、酸素含有量0.9質量%以下、炭素含有量0.2重量%以下、平均粒子径3μm以下及び比表面積が4.0m/g以下である。
(1)酸素含有量
酸素含有量は、通常0.9質量%以下、好ましくは0.7質量%以下である。酸素含有量が0.9質量%を超えると、本発明粉末より得られる焼結体の熱伝導率が低くなり、例えば放熱基板等の用途に適さなくなる。なお、酸素含有量の下限値は限定されないが、一般的には0.5質量%程度とすれば良い。
本発明における酸素含有量は、不活性ガス中溶解赤外線吸収法(測定装置「EMGA−550」堀場製作所製)により測定した値を示す。
(2)炭素含有量
炭素含有量は、通常0.2質量%以下、好ましくは0.1質量%以下である。炭素含有量が0.2質量%を超えると、焼結時に焼結助材の働きを妨げ、焼結性に悪影響を与えるおそれがある。なお、炭素含有量の下限値は特に限定されないが、一般的には0.01質量%程度とすれば良い。
本発明における炭素含有量は、酸素気流中燃焼赤外線吸収法(測定装置「EMIA−510」堀場製作所製)により測定した値を示す。
(3)平均粒子径
平均粒子径は、通常3μm以下、好ましくは2μm以下である。平均粒子径が3μmを超えると、焼結温度が高くなる。なお、平均粒子径の下限値は特に限定されないが、一般的には0.5μm程度である。
本発明における平均粒子径は、粒度分布マイクロトラック粒度分布測定装置(「HRA9320−X100」日機装(株)製)により、水を分散媒として測定した。なお、本発明の粒度分布は、すベて重量基準である。
また、平均粒子径の参考値として、走査型電子顕微鏡の観察により任意に選び出した100個の粒子の平均値を示す。なお、それぞれの粒子の粒子径は、最長径と最短径の平均値とした。
(4)比表面積
比表面積は、通常4.0m/g以下、好ましくは3.5m/g以下である。比表面積が4.0m/gを超えると、比較的多量のバインダーが必要となり、コスト高となるばかりでなく、焼結体の寸法精度も低下する。なお、比表面積の下限値は特に限定されないが、一般的には1m/g程度である。
本発明における比表面積は、測定装置「NOVA2000」ユアサアイオニクス製を用い、BET法により測定した値を示す。
(5)AlN粉末の製造方法
本発明AlN粉末は、例えば前記1.の製造方法(すなわち、本発明の製造方法)により好適に製造することができる。すなわち、本発明の製造方法により得られるAlN粉末も本発明粉末に包含される。
本発明AlN粉末は、特に焼結用粉末として有効である。例えば、焼結放熱基板を製造するための原料粉末として本発明AlN粉末は最適である。
3.本発明AlN粉末から得られるAlN焼結体
本発明AlN粉末を公知の方法に従って成形し、焼結することによってAlN焼結体を得ることができる。例えば、本発明AlN粉末、必要に応じて焼結助材(Y、La、CaO等)、バインダー等を含む原料をプレス成形して得られた成形体を窒素雰囲気中1600〜2000℃程度で焼結することによってAlN焼結体を製造できる。
また、必要に応じて、例えば転動造粒法、攪拌造粒法等の公知の方法に従って本発明AlN粉末を造粒し、窒化アルミニウム顆粒とした後に、公知の方法に従って成形し、焼結することによってAlN焼結体を得ることができる。窒化アルミニウム顆粒の平均粒径は、一般的には10〜100μm程度の範囲内で適宜設定すれば良い。
AlN焼結体は、特に熱伝導率が高く(通常は150W/mK以上、好ましくは170W/mK以上)、高熱伝導性を利用する用途に好適に用いることができる。例えば、放熱基板、各種の構造部材等として有用である。
以下、実施例及び比較例により本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、焼結体の熱伝導率は、熱定数測定装置「LF/TCM−FA8510B」(リガク製)を用い、レーザーフラッシュ法により測定した。
製造例1
実施例及び比較例で用いる窒化アルミニウム原料粉末を調製した。これは、直接窒化法で得られた塊状AlNを粉砕することにより、直接法粉末を得た。この粉末は、平均粒子径1.2μm、比表面積7.8m/g、酸素含有量1.95質量%、炭素含有量0.03質量%であった。この粉末を窒化アルミニウム原料粉末として用いた。
実施例1
窒化アルミニウム原料粉末100重量部に対してカーボンブラック粉末(平均粒子径100nm)5重量部を添加・混合し、炭酸ガス濃度を0.5容量%とした窒素雰囲気中1400℃で4時間焼成した。このとき、反応系に窒素ガスを適宜注入することにより、上記炭酸ガス濃度の調整・維持を行った。焼成後、大気中600℃で8時間の加熱処理を行った。次いで、得られた粉末100重両部に対して焼結助剤(Y)5重量部及びアクリル系バインダー5重量部を配合した後、プレス成形にてφ10mm×3mmの成形体を作製し、これを450℃で2時間加熱することにより脱脂した。次いで、窒素雰囲気中1800℃で3時間常圧焼結することによってAlN焼結体を得た。AlN焼結体の熱伝導率を測定した。得られたAlN粉末及びAlN焼結体の物性を表1に示す。
実施例2〜9
製造条件を表1のように変更したほかは、実施例1と同様にしてAlN粉末を製造し、さらにAlN焼結体を製造した。AlN焼結体の熱伝導率を測定した。AlN焼結体の熱伝導率を測定した。得られたAlN粉末及びAlN焼結体の物性を表1に示す。
比較例1
窒化アルミニウム原料粉末100重量部に対してカーボンブラック粉末(平均粒子径100nm)5重量部を添加・混合し、炭酸ガス濃度を5容量%とした窒素雰囲気中1500℃で4時間焼成した。焼成後、大気中450℃で8時間の加熱処理を行った。次いで、得られた粉末100重両部に対して焼結助剤(Y)5重量部及びアクリル系バインダー5重量部を配合した後、プレス成形にてφ10mm×3mmの成形体を作製し、これを450℃で2時間加熱することにより脱脂した。次いで、窒素雰囲気中1800℃で3時間常圧焼結することによってAlN焼結体を得た。AlN焼結体の熱伝導率を測定した。得られたAlN粉末及びAlN焼結体の物性を表1に示す。
比較例2〜6
製造条件を表1のように変更したほかは、実施例1と同様にしてAlN粉末を製造し、さらにAlN焼結体を製造した。AlN焼結体の熱伝導率を測定した。得られたAlN粉末及びAlN焼結体の物性を表1に示す。
Figure 0004832048
表1の結果からも明らかなように、本発明の製造方法により、所定の物性を兼ね備えた窒化アルミニウム粉末が得られ、それにより優れた熱伝導性を発揮する窒化アルミニウム焼結体が得られることがわかる。上記焼結体は、150W/mK以上、特に170W/mK以上という高い熱伝導率を発揮できることがわかる。

Claims (2)

  1. 窒化アルミニウム原料粉末100重量部及び炭素質物質0.01〜15重量部を含む混合粉末を、炭酸ガス濃度が5容量ppm〜10容量%及び残部が非酸化性ガスからなる非酸化性雰囲気中1400〜1600℃で第1の熱処理をするに際し、非酸化性ガスを系内に補給しながら炭酸ガス濃度5容量ppm〜10容量%を維持して熱処理した後、酸化性雰囲気中500〜800℃で第2の熱処理することを特徴とする窒化アルミニウム粉末の製造方法。
  2. 窒化アルミニウム原料粉末の酸素含有量が1.2質量%以上である請求項1記載の製造方法。
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