JP3509137B2 - 窒化アルミニウム粉末及びその製造方法、並びにその粉末から製造した窒化アルミニウム焼結体 - Google Patents
窒化アルミニウム粉末及びその製造方法、並びにその粉末から製造した窒化アルミニウム焼結体Info
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Description
熱基板等として有用な高熱伝導性の窒化アルミニウム焼
結体、及びその製造に原料粉末として用いる窒化アルミ
ニウム粉末、並びにその製造方法に関する。
性で熱伝導率が極めて大きいという特徴を持つため、窒
化アルミニウム焼結体がアルミナ焼結体に代わって半導
体素子搭載用の放熱基板として利用されている。最近で
は、半導体素子の大容量化に伴って更に熱伝導率の良
い、放熱性に優れた窒化アルミニウム焼結体の提供が望
まれている。
は、酸素の固溶によって大きく低下することが知られて
いる。その理由の一つとして、酸素が窒化アルミニウム
の結晶粒内に拡散侵入すると窒素と置換され、その結果
アルミニウム原子が結晶格子から離脱して空孔が形成さ
れるが、このAl空孔によって熱伝導に寄与するフォノ
ンの伝播が阻害されることが考えられる。
導率に影響を与えることを述べた文献として、G.A.S
lack、J. Phys. Chem. Solids, v
ol34, pp321〜335(1973)には、酸素
等の原子が固溶することによって空孔が生成すると、そ
の重量変化及び格子歪によりフォノンの散乱断面積が増
加することが実験的に示されている。又、G.A. Sl
ack&R.A. Tanzilli、J. Phys. C
hem. Solids, vo48, No.7, pp64
1〜647(1987)には、固溶した酸素等の原子の
量と熱伝導率との関係を実験的に求めた関係式が示され
ている。
体の製造に原料粉末として使用されている窒化アルミニ
ウム粉末は、大気中では不安定な物質であるため、合成
後に粉末粒子が大気中の水分や酸素と反応して酸化さ
れ、表面にAl(OH)3等の酸化層が形成されている。
又、還元窒化法により製造された窒化アルミニウム粉末
の場合には、製造時の過剰炭素を除去するため酸素ガス
を含む雰囲気中で脱炭素処理を行うので、表面にはAl
2O3を主とする酸化層が形成され、その酸化層にはAl
NとAl2O3との熱膨張率の差により多数の亀裂が存在
している。
は、焼結に伴う加熱工程で、表面に存在する酸化層中の
酸素が粉末粒子内部の窒化アルミニウム結晶粒内に拡散
して侵入し、結晶粒内の酸素固溶量が増加することが避
けられない。その結果、得られる窒化アルミニウム焼結
体の熱伝導率が低下するほか、焼結体の色調に変化が生
じたり、表面の酸素量減少に伴う液相量の減少や不均一
な分布によって焼結性が低下する等の問題が起こってい
た。
め、窒化アルミニウム粉末の表面に存在する酸化層を炭
素等で還元して除去したり、粉末表面を安定な酸化物層
で被覆することが行われている。例えば、特開平2−2
96708号公報及び特開平3−5311号公報には、
酸化処理した窒化アルミニウム粉末をジアミン又はジア
ミン誘導体の溶液に分散させ、粉末粒子の表面で重合反
応させることにより、表面をポリアミド樹脂被膜で覆う
技術が開示されている。
窒化アルミニウム粉末を炭素と混合して窒素雰囲気中で
反応させ、その後アルカリ土類金属及び希土類金属の化
合物を添加して酸素雰囲気中で焼成することにより、酸
素含有量が少なく大気中で安定な酸化物被覆層を有する
窒化アルミニウム粉末が開示されている。更に、特開平
2−34566号公報には、窒化アルミニウム粉末の表
面酸化膜の上に、アルカリ金属やアルカリ土類金属の酸
化物の被覆層を形成してそれ以上の酸化を防ぐと同時
に、この酸化物を焼結助剤として利用することが記載さ
れている。
末の場合には、表面層の厚さや分布が不均一となるの
で、この粉末を室温で大気中に放置すると表面層と内部
との熱膨張率の差に伴う熱応力によって表面層にマイク
ロクラック等が生じ、時間の経過と共に又は後の加熱時
に大気中の水分や酸素がマイクロクラックを通して粉末
内部に侵入し、酸素含有量が増加してしまう。このた
め、得られる窒化アルミニウム焼結体の結晶粒内の酸素
固溶量が増加して、200W/mK以上の熱伝導率を持
つ窒化アルミニウム焼結体を安定して製造することは困
難であった。
の事情に鑑み、加熱時等に表面被覆層から結晶粒内へ拡
散固溶する酸素量を低減させ、又表面被覆層と内部との
熱膨張率の差によるマイクロクラックの発生をなくして
酸素量の増加を抑え、更には液相生成時に表面被覆層の
酸素が効率的に利用されて焼結性の向上に寄与すること
のできる表面被覆層を備えた窒化アルミニウム粉末、及
びその製造方法、並びにこの窒化アルミニウム粉末を原
料として製造される高熱伝導率の窒化アルミニウム焼結
体を提供することを目的とする。
め、本発明が提供する窒化アルミニウム粉末は、窒化ア
ルミニウム粉末粒子の表面に層厚が0.1〜30nmの
酸窒化物層を有することを特徴とするものである。又、
上記酸窒化物層のO/Nモル比は2〜8の範囲にあるこ
とが好ましい。
物のみからなっていても、アルミニウムの酸窒化物の外
に他の酸窒化物を含んでいても良い。その場合の他の酸
窒化物としては、Li、Na、K等のアルカリ金属、M
g、Ca、Ba等のアルカリ土類金属、及びSc、Y、
Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Yb等の遷移金属
からなる群から選ばれた少なくとも1種の金属元素の酸
窒化物を含むことができる。
からなる場合、窒化アルミニウム粉末の製造には合成直
後の大気に触れていない窒化アルミニウム粉末を使用
し、その粉末をガス温度500℃以上の二酸化炭素ガス
か、又はメタン等の気相で供給される炭素源と二酸化炭
素ガスとの混合ガスに接触させることにより、表面に酸
窒化物層を形成する。特に炭素源が同時に存在する場合
には、二酸化炭素による酸化と同時に還元反応が生じる
ため、酸窒化物層の形成が容易である。
る市販の窒化アルミニウム粉末を使用しても、アルミニ
ウムの酸窒化物からなる酸窒化物層を粉末粒子の表面に
形成することができる。即ち、既に存在する酸化層を除
去した後、酸窒化物層を改めて形成する方法等があり、
例えば市販の窒化アルミニウム粉末を塩素ガス中で加熱
して酸化層をエッチング除去した後、加湿アンモニアガ
ス雰囲気中で加熱する方法がある。
物以外の他の酸窒化物も含む窒化アルミニウム粉末の製
造は、表面に酸化層が存在する市販の窒化アルミニウム
粉末を、炭素やCa等の還元剤の存在下に窒素ガス又は
アンモニアガス中で加熱すれば良い。簡単で安価に実施
できる最も好ましい方法は、市販の表面に酸化層を有す
る窒化アルミニウム粉末に、アルカリ金属、アルカリ土
類金属及び遷移金属の酸化物、炭化物及びフッ化物から
なる群から選ばれた少なくとも1種の表面改質剤と炭素
源とを混合し、窒素ガス雰囲気中において1600℃以
下の温度に加熱して固相反応させる方法である。この方
法により形成される酸窒化物層は、アルミニウムの酸窒
化物以外に上記金属の酸窒化物も含んでいる。
ム粉末を原料粉末として使用して製造された本発明の窒
化アルミニウム焼結体は、原料粉末表面に存在する酸窒
化物に由来する酸窒化物の微小結晶粒、即ちアルミニウ
ムの酸窒化物の微小結晶粒、及び好ましくは更にアルカ
リ金属、アルカリ土類金属又は遷移金属の酸窒化物から
なる微小結晶粒を窒化アルミニウムの結晶粒内に含み、
200W/mK以上という高い熱伝導率を安定して達成
することができる。
図1に模式的に示すように、各AlN粉末粒子1の表面
に、アルミニウムの酸窒化物からなるか又はアルミニウ
ムの酸窒化物を主に含む酸窒化物層3を有し、この酸窒
化物層3はアモルファスで化学的に安定であって、酸素
の拡散係数が低く且つ酸化層の場合よりも酸素含有量が
低減しており、しかも粉末内部の結晶粒2内への酸素の
固溶量が著しく低減されている。
N粉末と、表面に酸窒化物層を有する本発明のAlN粉
末における、深さ方向の酸素濃度分布を示した。分析は
二次イオン質量分析法(SIMS)を用い、各AlN粉
末の成形体にArイオンのビーム径を絞って照射し、粉
末粒子を球形と仮定して補正を行ったうえで、1粒子当
たりの酸素濃度分布として表した。図2の結果から判る
ように、酸窒化物層を有する本発明のAlN粉末は酸素
の固溶が著しく少ないことが判る。
小さいので、酸窒化物層3にマイクロクラックが生じる
ことがなく、従って大気中に保存しても粉末中の酸素含
有量が増加しない。しかも、焼結時の液相形成に必要な
酸素量は酸窒化物層3内に存在しているので、焼結時の
液相の生成が安定し、粒界での気孔の生成が抑制される
うえ、焼結体の色調の変化を防止することが可能であ
る。
層の層厚を0.1〜30nmの範囲とする。層厚が0.1
μm未満では粉末粒子の表面に酸窒化物層の存在しない
領域が生じる可能性があるため、大気中において酸素や
水分と反応して酸化層を形成し、酸素の含有量が増大す
る。又、層厚が30μmを越えると、酸窒化物層が厚す
ぎるためにマイクロクラックが生じ易く、やはり大気中
で酸素含有量が増大する原因となるほか、マイクロクラ
ックのために粉末粒子の凝集が生じて均一な混合の妨げ
となる。
比、O/Nモル比は2〜8の範囲にあることが好まし
い。その理由は、O/Nモル比が2未満では粉末粒子の
表面に酸窒化物層の存在しない領域が生じる可能性があ
るうえ、酸素の含有量が少ないために焼結時の液相形成
に必要な酸素が不足するからであり、O/Nモル比が8
を越えると加熱時に酸素が結晶粒内に拡散固溶して、焼
結体の熱伝導率を低下させるからである。
酸素量は、焼結体の高い熱伝導率を達成するために、
0.2重量%以下であることが好ましい。固溶酸素量を
0.2重量%以下に抑えることにより、酸素原子と窒素
原子の置換によって生成され熱伝導率に影響する結晶粒
内のアルミニウム空孔の量を1×1018〜2×1020個
/cm3の範囲に抑えることができるので、高熱伝導率
を達成する上で特に望ましい。
好ましい製造方法について更に詳しく説明する。AlN
粉末に混合する表面改質剤は、Li、Na、K等のアル
カリ金属、Mg、Ca、Ba等のアルカリ土類金属及び
Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Yb等
の遷移金属の酸化物、炭化物、及びフッ化物からなる群
から選ばれた少なくとも1種であり、その添加量は1種
につき1.5重量%以下及び合計で6.0重量%以下とす
る。
る。炭素源は、使用するAlN粉末の酸素含有量に基づ
いて、余剰の炭素源が残らないように、予めO/Nモル
比が2〜8の範囲となるように計算して添加することが
好ましい。AlN粉末に表面改質剤と炭素源を混合する
方法として、粉末表面に転位を生じさせるようなアトラ
イターやボールミルを用いた混合は好ましくなく、各粉
末をアルコールに投入して超音波で撹拌する方法が好ま
しい。
において1600℃以下の温度に加熱して固相反応させ
る。加熱温度が高いほど酸窒化物層中の酸素がAlN結
晶粒内に固溶する量が増加するので、例えば結晶粒内の
固溶酸素量を0.2重量%以下に制御するためには、使
用する表面改質剤にもよるが、加熱温度を1400℃以
下とすることが好ましい。加熱処理を窒素ガスのプラズ
マ中において行えば、1000℃以下の温度で固相反応
を生起させることができ、結晶粒内の固溶酸素量が更に
低減されるので特に好ましい。
は、前記のごとく表面に化学的に安定で酸素の初期含有
量が低く抑えられた酸窒化物層を有し、結晶粒内への酸
素の固溶量が著しく少ないので、この粉末を原料粉末と
して窒化アルミニウム焼結体を製造することにより、焼
結体内の固溶酸素量を低減させ又アルミニウム空孔を少
なくでき、熱伝導率の高い焼結体を得ることができる。
又、酸窒化物層に含まれる表面改質剤の金属元素は焼結
助剤として働き、焼結体の緻密化や高熱伝導化に寄与す
る。
焼結によって窒化アルミニウムの結晶粒内に酸窒化物の
微小結晶粒として含有され、その際に結晶粒内に存在す
る酸素を取り込んで安定化するので、結晶粒内への酸素
の固溶を更に抑制することができる結果、200W/m
K以上の高い熱伝導率を安定して達成することができ
る。この微小結晶粒はアルミニウムの酸窒化物のほか、
表面改質剤を使用した場合にはその金属元素の酸窒化物
からなり、その大きさは焼結体の断面で観察したときの
最大寸法が500nm以下である。
は酸化バナジウム等のTi又はVの化合物を用いると、
上記酸窒化物層の効果に加えて、TiやVが窒化アルミ
ニウム焼結体の結晶の副格子中に100ppm以上固溶
することにより、250W/mKを越える非常に高い熱
伝導率の焼結体を得ることができる。
85重量%のα型AlN粉末に、0.20重量%の炭素
粉末と、表面改質剤としてYb2O3、Y2O3、Ca
F2,TiO2、Y2O3+TiO2の各粉末を各々1.5重
量%添加し、アルコール中で超音波撹拌により混合し
た。その後、アルコールを乾燥除去して得られた混合粉
末を、窒素ガス雰囲気中において1000〜1600℃
で1時間加熱処理した。
CaF2を添加した粉末試料について赤外吸収スペクト
ル(FT−IR)により表面層を同定した結果を図3に示
した。比較例として、炭素粉末と表面改質剤を添加する
ことなく、上記と同じAlN粉末のみを上記と同じ条件
で加熱処理して得られたAlN粉末試料についても、同
様に表面層を同定した結果を図3に示した。
粉末試料では、加熱処理温度が高くなるほどFT−IR
のピークが低エネルギー側にシフトしている。これは、
表面がAlの酸化層からなる場合は赤外線吸収ピークが
AlO4結合による710〜720cm-1にあるのに対
して、Alの酸窒化物が形成された場合にはAl−O−
N結合によって680〜710cm-1にピークが移るた
めであり、本発明のAlN粉末では加熱処理により粉末
粒子表面に酸窒化物層が形成されていることを示してい
る。
を添加して得られた本発明のAlN粉末試料と、表面改
質剤等を添加していない比較例のAlN粉末試料につい
て、結晶粒内の酸素量を電子スピン共鳴法(ESR)に
より測定し、結果を図4に示した。比較例のAlN粉末
試料の場合は加熱処理温度が高くなるに従って結晶粒内
酸素量が急激に増加するのに対し、本発明により表面改
質剤等を添加して加熱処理したAlN粉末試料は結晶粒
内酸素量が遥かに少なく、特に加熱温度が1400℃以
下では酸素量が0.2重量%以下に抑えられていること
が判る。
熱処理温度1400℃で得られた本発明の各AlN粉末
試料について、酸窒化物層の層厚と電子分光化学分析
(ESCA)法によりO/Nモル比を測定したところ、
Yb2O3を添加した粉末では層厚が15nm及びO/N
モル比が3.8、Y2O3を添加した粉末では層厚が10
nm及びO/Nモル比が5.2であった。他の本発明の
AlN粉末試料においても、酸窒化物層の層厚は0.1
〜30nmの範囲内にあり、O/Nモル比は2〜8の範
囲内にあった。又、各Al粉末試料における結晶粒内の
Al空孔量は、Yb2O3を添加した粉末では7.97×
1019個/cm3、Y2O3を添加した粉末では8.18×
1019個/cm3であった。
の酸窒化物層を形成した。即ち、アルキルAlをNH3
中で加熱分解して作製したアモルファス状のAlN粉末
を、大気に触れることなく窒素ガス中で1600℃に加
熱して平均粒径を0.3〜0.8μmにまで粒成長させ
た。このAlN粉末を大気に触れることなく、混合比
0.5:0.5のCH4とCO2の混合ガス中で600℃に
加熱した。
IRによる赤外線吸収ピーク位置は701cm-1にあ
り、表面に酸窒化物層が形成されていることを示してい
た。又、ESCAにより測定した酸窒化物層のO/Nモ
ル比は3.8であり、ESRにより測定した結晶粒内の
酸素量は0.2重量%以下であることが確認された。更
に、結晶粒内のAl空孔量は8.20×1019個/cm3
以下であった。
素粉末と、表面改質剤として1.5重量%のV2O5粉末
を添加し、実施例1と同様に混合した後、0.1〜10
Torrの窒素ガス雰囲気中で加熱し、800℃に達し
た時点で13.56MHzのRFプラズマを電圧400
Wにて印加し、そのまま800℃で1時間保持して加熱
処理を行った。
IRによる赤外線吸収ピーク位置は687cm-1にあ
り、表面に酸窒化物層が形成されていることを示してい
た。この酸窒化物層の層厚は8nmであって、O/Nモ
ル比は2.1であり、加熱処理前に比べて酸素量が0.4
8重量%減少していた。又、結晶粒内の酸素量は0.0
9重量%で全く増加しておらず、Al空孔量は3.68
×1019個/cm3であった。
本発明(加熱処理温度1400℃)の各AlN粉末試
料、実施例2で粉末作製直後に酸窒化物層を形成した本
発明のAlN粉末試料、実施例3でプラズマにより加熱
処理して得た本発明のAlN粉末試料、及び実施例1で
表面改質剤等を添加することなく加熱処理した比較例の
AlN粉末試料を、それぞれ原料粉末として使用した。
して得られたAlN粉末試料以外については更に焼結助
剤としてY2O3粉末を0.5重量%添加して混合したう
え、上記各AlN粉末試料をそれぞれ成形した後、いず
れも窒素ガス雰囲気中にて1850℃で5時間焼結し
た。
料粉末として用いた各AlN粉末試料の製法、その製法
で使用した表面改質剤の種類又はその他の特長と共に、
それぞれ測定した熱伝導率を表1に示した。
酸窒化物層を有するAlN粉末を用いて製造したAlN
焼結体は、比較例の表面に酸化層を有するAlN粉末を
用いて製造したAlN焼結体に比べて、優れた熱伝導率
を持つことが判る。特にTiやVを含む表面改質剤を用
いて作製した粉末から製造したAlN焼結体は、250
W/mK以上の極めて高い熱伝導率を達成できることが
判る。
添加した粉末試料を用いて製造した上記AlN焼結体試
料5について、透過型電子顕微鏡写真によるAlN結晶
粒子の結晶構造を図5に示した。図5から判るように、
AlN結晶粒内には酸窒化物の微小結晶粒が分散してお
り、その最大寸法は389nmであった。
等を有しない窒化アルミニウム粉末、又は酸素量が多く
成形しにくい高BET値を持つ市販の酸化層を有する窒
化アルミニウム粉末から、化学的に安定で且つ液相形成
に必要な酸素量しか含まない酸窒化物層を表面に有する
窒化アルミニウム粉末を製造できる。
は、加熱時等に結晶粒内へ拡散固溶する酸素量を低減さ
せ、内部との熱膨張率の差によるマイクロクラックの発
生をなくして酸素量の増加を抑え、更には液相生成時に
酸窒化物層中の酸素が効率的に利用されて焼結性の向上
に寄与するので、これを原料粉末とすることにより、熱
伝導率の高い窒化アルミニウム焼結体を製造することが
できる。
体は、原料粉末である窒化アルミニウム粉末の表面の酸
窒化物層に由来する酸窒化物の微小結晶粒を窒化アルミ
ニウムの結晶粒内に含んでいて、200W/mK以上の
高い熱伝導率を有し、半導体素子の大容量化に伴って要
望されている高熱伝導率の半導体搭載用放熱基板等とし
て特に有用である。
ニウム粉末粒子を模式的に示した断面図である。
ニウム粉末と、従来の表面に酸化層を有する窒化アルミ
ニウム粉末との、深さ方向における酸素濃度分布をSI
MSにより求めたグラフである。
理で得られた窒化アルミニウ粉末と、表面改質剤を添加
せずに加熱処理した窒化アルミニウム粉末について、加
熱処理温度ごとに赤外線吸収ピーク位置を比較したグラ
フである。
理で得られた窒化アルミニウ粉末と、表面改質剤を添加
せずに加熱処理した窒化アルミニウム粉末について、加
熱処理温度ごとに結晶粒内の酸素量を比較したグラフで
ある。
構造を示す透過型電子顕微鏡写真(18000倍)であ
る。
Claims (10)
- 【請求項1】 窒化アルミニウム粉末粒子の表面に、層
厚が0.1〜30nmの酸窒化物層を有することを特徴
とする窒化アルミニウム粉末。 - 【請求項2】 酸窒化物層のO/Nモル比が2〜8の範
囲にあることを特徴とする、請求項1に記載の窒化アル
ミニウム粉末。 - 【請求項3】 酸窒化物層が、アルミニウムの酸窒化物
のほかに、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金
属からなる群から選ばれた少なくとも1種の金属の酸窒
化物を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の
窒化アルミニウム粉末。 - 【請求項4】 窒化アルミニウム粉末の結晶粒内に固溶
している酸素量が、0.2重量%以下であることを特徴
とする、請求項1〜3のいずれかに記載の酸窒化物含有
表面層を有する窒化アルミニウム粉末。 - 【請求項5】 窒化アルミニウム粉末の結晶粒内に存在
するアルミニウム空孔の量が1×1018〜2×1020個
/cm3であることを特徴とする、請求項1〜4のいず
れかに記載の窒化アルミニウム粉末。 - 【請求項6】 窒化アルミニウム粉末に、アルカリ金
属、アルカリ土類金属及び遷移金属の酸化物、炭化物及
びフッ化物からなる群から選ばれた少なくとも1種の表
面改質剤と炭素源とを混合し、窒素ガス雰囲気中におい
て1600℃以下の温度に加熱して固相反応させること
により、窒化アルミニウム粉末の表面に層厚が0.1〜
30nmの酸窒化物層を形成することを特徴とする窒化
アルミニウム粉末の製造方法。 - 【請求項7】 窒化アルミニウム粉末の酸素含有量に基
づいて、形成される酸窒化物層のO/Nモル比が2〜8
の範囲となる量の炭素源を窒化アルミニウム粉末に添加
することを特徴とする、請求項6に記載の窒化アルミニ
ウム粉末の製造方法。 - 【請求項8】 窒素ガスのプラズマ中において1000
℃以下の温度に加熱して固相反応させることを特徴とす
る、請求項6に記載の窒化アルミニウム粉末の製造方
法。 - 【請求項9】 窒化アルミニウム粉末粒子の表面に層厚
が0 . 1〜30nmの酸窒化物層を有し、該酸窒化物層
のO/Nモル比が2〜8の範囲にある窒化アルミニウム
粉末を用いて製造された窒化アルミニウム焼結体であっ
て、窒化アルミニウムの結晶粒内に酸窒化物の微小結晶
粒を含有し、熱伝導率が200W/mK以上であること
を特徴とする窒化アルミニウム焼結体。 - 【請求項10】 酸窒化物の微小結晶粒の最大寸法が5
00nm以下であることを特徴とする、請求項9に記載
の窒化アルミニウム焼結体。
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