JP2578113B2 - 高熱伝導性窒化アルミニウム焼結体の製造方法 - Google Patents

高熱伝導性窒化アルミニウム焼結体の製造方法

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JP2578113B2 JP62110811A JP11081187A JP2578113B2 JP 2578113 B2 JP2578113 B2 JP 2578113B2 JP 62110811 A JP62110811 A JP 62110811A JP 11081187 A JP11081187 A JP 11081187A JP 2578113 B2 JP2578113 B2 JP 2578113B2
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【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は、窒化アルミニウム焼結体の製造方法に関
し、さらに詳しくは、緻密で高熱伝導性を有する窒化ア
ルミニウム単相からなる窒化アルミニウム焼結体の製造
方法に関する。
(従来技術) 窒化アルミニウム(AlN)は高温まで強度低下が少な
く、化学的耐性にも優れているため、耐熱材料として用
いられる一方、その高熱伝導性、高電気絶縁性を利用し
て半導体装置の放熱板材料、回路基板用絶縁体材料とし
ても有望視されている。こうした窒化アルミニウムは常
圧下では融点を持たず、2500℃以上の高温で分解するた
め、薄膜などの用途を除いては焼結体として用いられ
る。
かかる窒化アルミニウム焼結体は通常、窒化アルミニ
ウム粉末を成形、焼結して得られる。超微粉(0.3μm
以下程度)のAlN粉末を用いた場合には単独でも緻密な
焼結体が得られるが、原料粉末表面の酸化層中の酸素が
焼結時にAlN格子中に固溶したり、Al−O−N化合物を
生成し、その結果無添加焼結体の熱伝導率はたかだか10
0w−mK程度である。また粒径0.5μm以上のAlN粉末を用
いた場合は焼結性が良好でないために、ホットプレス法
による以外には無添加では緻密な焼結体を得ることは困
難である。そこで常圧で焼結体を得ようとする場合、焼
結体の高密度化およびAlN原料粉末の不純物酸素のAlN粒
内への固溶を防止するために、焼結助剤として希土類酸
化物、アルカリ土類金属酸化物等を添加することが一般
に行なわれている(特開昭60−127267号、特開昭61−10
071号、特開昭60−71575号等)。これらの焼結助剤はAl
N原料粉末の不純物酸素と反応し液相を生成し焼結体の
緻密化を達成すると共に、この不純物酸素を粒界相とし
て固定(酸素トラップ)し、高熱伝導率化をも達成す
る。
このように焼結助剤を添加することにより確かに焼結
体は緻密化、高熱伝導率化するが、他方で、結果的に残
存する粒界相(主相であるAlN相に対し副相)の存在、
完全にトラップしきれなかった酸素等の存在により、Al
Nの理論熱伝導率320w/mKに対しかなり低いものであっ
た。
そのため、窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率の向上
を目的として種々の試みがなされているが未だ十分満足
すべきものは得られていない。
(発明が解決しようとする問題点) 現在半導体搭載用の回路基板、放熱基板等ではより高
い熱伝導率を有する材料が望まれている。しかしながら
酸素その他の不純物特に、助剤添加の結果として粒界に
生成する粒界相の存在により、窒化アルミニウム焼結体
の高熱伝導率化には限界があった。
本発明は、以上の点を考慮してなされたもので、熱伝
導性に優れた窒化アルミニウム焼結体を提供することを
目的とする。
〔発明の構成〕
(問題点を解決するための手段及び作用) 本発明者等は上記目的を達成すべく窒化アルミニウム
粉末に添加する焼結助剤や焼結条件、焼結体組成、焼結
体微細構造等と熱伝導率の関係について実験・検討を進
めた結果、以下に示す新規事項を発見し、本発明を完成
するに至った。
すなわち、焼結助剤としてイットリウムおよび/また
はカルシウム化合物をAlN粉末に添加し、窒素ガスを含
む還元性雰囲気中で焼成したところ粒界相(Y−Al−O
系化合物および/またはCa−Al−O系化合物相等)の存
在量が、従来の窒化アルミニウム焼結体に比べて減少す
るということがわかった。そして相対的に低温と高温の
2段階で焼結する多段階のプログラムからなる焼結をす
ると実質的に副相がなくAlN単相からなり、多結晶体と
しては非常に高い熱伝導率を有する窒化アルミニウム焼
結体が得られるという事実をみいだした。この効果は他
の希土類元素、アルカリ土類元素でも同様に認められ
た。
この事実に基づいて高熱伝導率化を達成する最適条件
を種々検討した結果が本発明である。
本発明の高熱伝導性窒化アルミニウム焼結体の製造方
法について述べる。
本発明の製造方法は、窒化アルミニウム原料粉末の純
度および平均粒径、焼結助剤、焼結容器、焼成時間およ
び焼成雰囲気を骨子とするものである。
主成分である窒化アルミニウム原料粉末としては、焼
結性、熱伝導性を考慮して酸素を7重量%以下、実用上
は0.01〜7重量%含有し、平均粒径が0.05〜5μmのも
のを使用する。
添加物としては希土類および/またはアルカリ土類元
素化合物(特にイットリウム、カルシウム化合物が好ま
しい)を用いる。希土類元素およびアルカリ土類元素の
化合物としては、酸化物、窒化物もしくは焼成によりこ
れらの化合物となる物質が望ましい。焼成によって酸化
物となる物質としては、これら元素の炭酸塩、硝酸塩、
シュウ酸塩、水酸化物などをあげることができる。
希土類および/またはアルカリ土類元素化合物の添加
は、希土類およびアルカリ土類元素の重量換算で0.01〜
15重量%の範囲で添加する。この添加量が、0.01重量%
未満であると、添加物の効果が十分に発揮されず、焼結
体が緻密化されなかったり、AlN結晶中に酸素が固溶し
高熱伝導焼結体が得られない。また、添加量が過度に多
いと、粒界相が焼結体中に残ったり、熱処理により除去
される粒界相の体積が大きいため、焼結体中に空孔が残
ったりして、収縮率が非常に大きくなり、形状がくずれ
る等の不利な点が生ずる。好ましくは、0.02〜10重量%
であり、より好ましくは0.05〜8重量%である。
焼成雰囲気に関しては、窒素ガスを含む還元性雰囲気
中で行なう。還元性雰囲気は、CO,H2ガスおよびC(ガ
スそして固相)のどを、一種または二種以上存在させる
ことによって作ることができる。
最も簡便なのは、N2雰囲気中でカーボン製容器を用い
て焼結する方法である。
焼成用容器に関しては、単に成形体を緻密化させるだ
けの目的ならば、窒化アルミニウム、アルミナ、Mo製等
でも十分である(特公昭58−49510号、特開昭61−14676
9号等)。しかし、これらの容器を用いたものでは、か
なり多量の(希土類元素)−Al−O化合物相および/ま
たは(アルカリ土類元素)−Al−O化合物相などが不均
一に焼結体に存在したままの状態となり、高熱伝導なAl
N焼結体は得られない。本発明では、焼成中にカーボン
ガス雰囲気をつくり出す容器を用いる。この様な焼成用
容器としては容器全体がカーボン製の物、容器全体がカ
ーボン製で試料を設置する箇所にAlN板、BN板、W板等
を敷いた物、窒化アルミニウム製の容器で上部蓋がカー
ボン製の物等を用いることができる。本発明でいうカー
ボンガス雰囲気とは、1550〜2050℃の焼結に蒸気圧で1
×10-5〜5×10-1Pa程度生成するガスをさす。このカー
ボンガスが、焼成中のAlNを還元するという作用が得ら
れ、さらに具体的には(希土類元素)−Al−Oおよび/
または(アルカリ土類元素)−Al−O三元系化合物等の
粒界相を焼結体中より除去する作用が働らき、窒化アル
ミニウム焼結体はAlN単相となり、高熱伝導性の焼結体
に変化していく。
この容器の内容積は、その内容積と窒化アルミニウム
成形体との体積の比(内容積/成形体の体積)が1×10
0〜1×107が良い。これ以上大きな容積を用いた場合、
試料近傍におけるカーボ蒸気圧が低く、カーボンによる
粒界相除去効果が小さくなる。この容積比は5×100
1×105が好ましい。
焼結時間および焼結温度については、使用するAlN原
料粉末の粒径、酸素量および焼結助剤の種類により異な
るが、第1段階目のステップとして1550〜1850℃で0.5
〜12時間焼結する。このステップでは、焼結体の緻密化
そして原料粉末表面の酸素を粒界相に固定するのが目的
である。また、希土類元素化合物を助剤として用いた場
合は、AlN粒間の陵および三重点に粒界相がわずかに残
る状態まで、焼結時間を長くしてやる。また、最初から
高温にすると、アルカリ土類化合物添加の場合、アルカ
リ土類元素が揮散し、AlN成形体は緻密化しない。ま
た、希土類元素化合物を添加した場合には、(希土類元
素)−N化合物が生成し、焼結体中に残り易い。アルカ
リ土類元素化合物を添加助剤として用いた場合、焼結温
度および焼結時間は、1550〜1800℃、0.5〜6時間程度
が好ましい。また、希土類元素化合物を用いた場合、15
50〜1850℃、1〜12時間程度が好ましい。次に、第2段
階目のステップとして、第1段階目より高温の1750〜20
50℃で6時間以上焼結する。後のステップでは、粒界相
除去および粒成長による高熱伝導率化をするのが目的で
ある。希土類元素では、第1段階目で粒界相はほとんど
除去されており、第2段階目で、残りの粒界相を取り除
くと同時に、粒成長の速度を高める。アルカリ土類元素
でも、希土類元素と同じ理由である。第2段階目の焼結
時間は好ましくは20時間以上である。このような多段階
焼結によりAlN単相からなる高熱伝導AlN焼結体が得られ
る。
この様な方法で得られた窒化アルミニウム焼結体は多
結晶体としては非常に高い230w/m・Kを超える値の熱伝
導率を有し、この焼結体をX線回折および電子顕微鏡を
用いて構成相を観察してもAlN結晶粒のみ認められ、他
の相は観察されない。また成分分析を行なったところA
l,Nが主成分で、希土類および/またはアルカリ土類元
素5〜3000ppm、不純物酸素2000ppm未満を含有し、その
他の不純物陽イオン元素は1000ppm以下という高純度な
窒化アルミニウム焼結体であった。熱伝導率向上の観点
から希土類および/またはアルカリ土類元素は5〜1000
ppm、不純物酸素は1000ppm以下が好ましい。この希土類
および/またはアルカリ土類元素は結晶粒界では観察さ
れないことから、AlN結晶粒に固溶しているものと考え
られる。酸素元素も同様である。なお本発明焼結体にお
いては不純物酸素量は極力少ないことが望ましく、また
原料粉に起因する不純物陽イオンも熱伝導率低下の原因
となるため極力少ないことが望まれる。
次に本発明の窒化アルミニウム焼結体の熱伝導性の向
上効果および(希土類元素)−Al−O系および/または
(アルカリ土類元素)−Al−O系化合物相等の粒界の除
去による窒化アルミニウム焼結体の純化作用について説
明する。厳密なメカニズムは現在のところ完全に解明さ
れているわけではないが、本発明者等の研究によれば高
熱伝導率化の要因として次のように推定される。
まず、希土類および/またはアルカリ土類元素添加に
よるAlN原料粉末の不純物酸素のトラップ効果である。
すなわち、希土類および/またはアルカリ土類元素化合
物を焼結助剤として添加することにより、不純物酸素を
(希土類元素)−Al−O化合物および/または(アルカ
リ土類元素)−Al−O化合物等の形でAlN粒界の陵およ
び三重点に固定するため、AlN格子中への酸素の固溶が
防止され、Alの酸窒化物(AlON)、そしてAlNのポリタ
イプ(27R型)の生成を防止する。本発明者の研究結果
によれば、AlONそして27R型が生成した焼結体は、いず
れも熱伝導率が低いことがわかっている。この様な低熱
伝導率化の原因を抑制することが高熱伝導率化の一因と
して挙げられる。希土類元素としてYを選んだ場合は、
原料粉末の不純物酸素が3Y2O3・5Al2O3,Y2O3・Al2O3、2
Y2O3・Al2O3、Y2O3などの化合物として、アルカリ土類
元素としてCaを選んだ場合は1CaO・6Al2O3、1CaO・2Al2
O3、1CaO・1Al2O3、CaOなどの化合物としてトラップさ
れる。この状態は、焼結初期すなわち、焼結時間の0〜
3時間の間で起こり、熱伝導率が最高160w/mK程度に達
する。この効果は第1段階目の焼結ステップで主に働
く。
これ以降の焼結過程(第2段階目の焼結ステップ)で
カーボン雰囲気が粒界相を還元し、さらに粒界相を除去
し始める。次第に粒界相は窒化アルミニウム焼結体中に
は存在しなくなり、焼結体の系外へと移動する。そして
最終的に焼結体は他の相を実質的に含有しないAlN単相
となり、熱伝導率は大巾に上昇する。これは熱伝導率が
小さく熱抵抗として働いていた粒界相が除去されるため
である。また長時間の焼成により焼結体の粒子が成長す
る。AlN粒子が成長すると熱抵抗となる粒界の数が結果
的に少なくなることを意味し、フォノンの散乱が小さな
焼結体になる。この効果は主に第2段階目の焼結ステッ
プで働く。
また、上述のような副相の除去そして粒成長以外に還
元雰囲気下で長時間焼成(特に第2段階目)することに
より、AlN結晶粒の鈍化、例えば不純物酸素固溶による
格子欠陥の減少による熱伝導率上昇効果も考えられる。
(実施例) 実施例1 不純物としての酸素を1.0重量%含有し、平均粒径が
0.7μmのAlN粉末に、添加物として平均粒径0.9μmのY
2O3をイットリウム元素の重量換算で4重量%添加し、
ポールミルを用いて混合を行ない原料を調整した。つい
で、この原料に有機系バインダーを4重量%添加して造
粒したのち500kg/cm2の圧力でプレス成形して38×38×1
0mmの圧粉体とした。この圧粉体を窒素ガス雰囲気中で7
00℃まで加熱してバインダーを除去した。更に、BN粉末
を塗布したAlN板を底板としてひいたカーボン製容器
(焼成容器A)に脱脂体を収容した。このとき容器Aの
形状および大きさは、12cmφ×6.4cmで内容積が720m3
度である。すなわちこの容器Aの内容積とAlN成形体の
体積の比が約5×101程度となっている。この容器を用
い常圧焼結を行なった。焼結温度および焼結時間は、第
1段階焼結が1850℃、10時間、引き続き、第2段階焼結
が1950℃、20時間である。雰囲気は窒素ガス1気圧中で
行なった。得られたAlN焼結体の密度および粒径を測定
した。また焼結体から、直径10mm、厚さ3.3mmの円板を
研削し、これを試験片としてレーザーフラッシュ法によ
り熱伝導率を測定した(真空理工製TC−3000使用)。測
定した温度は25℃である。
さらに、この焼結体の分析を行なった。イットリウム
は1CP発光分光法(セイコー電子工業製SPS−1200A使
用)により、陽イオン不純物の分析は化学分析により行
ない、不純物酸素に関しては速中性子放射化分析により
行なった(理化学研究所160cmサイクロトロン使用)。
上記焼結条件および得られた焼結体の特性を第1表に示
した。また、この焼結体のX線回折(理学電機製ロータ
フレックスRU−200、ゴニオメータCN2173D5、線源Cu 5
0KV、100mA 使用)を行なった結果を第1図に示す。ま
た、焼結体破面のSEM観察でも(日本電子製JSM−T20使
用)AlN単相であることが確認され高熱伝導率を有して
いる。
実施例2〜3 焼結添加物の添加量を種々に変えて上記実施例1と同
様にしてAlN焼結体を製造し、それぞれについて、同様
に評価を行なった。
実施例4 第1段階、第2段階の焼結温度を変えて上記実施例1
と同様にしてAlN焼結体を製造しそれぞれについて同様
に評価を行なった。
実施例5〜7 第1段階、第2段階の焼結時間を種々に変えて上記実
施例1と同様にしてAlN焼結体を製造し、それぞれにつ
いて同様に評価を行なった。
実施例8 内側の寸法が43×44×15mmの焼結容器Aを使用した点
を除き、上記実施例1と同様にして、AlN焼結体を製造
し、同様の評価を行なった。
実施例9 内側の寸法が、700φ×380mmの焼結容器Aを使用した
点を除き、上記実施例1と同様にして、AlN焼結体を製
造し、同様の評価を行なった。
実施例10 成形体の寸法が15φ×6mmで内側の寸法が700φ×380m
mの焼成用容器Aを使用した点を除き、上記実施例1と
同様にして、AlN焼結体を製造し、同様の評価を行なっ
た。
実施例11 BN板を底板としてひいたカーボン製容器(焼成用容器
B)を用いたことを除いて、上記実施例1と同様にし
て、AlN焼結体を製造し、同様の評価を行なった。
実施例12 内側の全体がカーボン製の容器(焼成用容器C)を用
いたことを除いて、上記実施例1と同様にしてAlN焼結
体を製造し、同様の評価を行なった。
実施例13 焼結雰囲気をN2+H2(5%)にしたことを除き上記実
施例1と同様にしてAlN焼結体を製造し同様の評価を行
なった。
実施例14 不純物としての酸素を1.0重量%含有し、平均粒径が
0.7μmのAlN粉末に、添加物としてCa(NO3・4H2O
をカルシウム元素の重量換算で0.7重量%添加し、ボー
ルミルを用いて混合を行ない原料を調整した。ついで、
この原料に有機系バインダーを4重量%添加して造粒し
たのち500kg/cm2の圧力でプレス成形して38×38×10mm
の圧粉体とした。この圧粉体を窒素ガス雰囲気中で700
℃まで加熱してバインダーを除去した。更に、BN粉末を
塗布したAlN板を底板としてひいたカーボン製容器(焼
成用容器A)に脱脂体を収容した。このとき容器Aの形
状および大きさは、12cmφ×6.4cmで内容積が720m3程度
である。すなわちこの容器Aの内容積とAlN成形体の体
積の比が約5×101程度となっている。この容器を用
い、常圧焼結を行なった。焼結温度および焼結時間は第
1段階焼結が1800℃3時間、引き続き第2段階焼結が20
00℃、48時間である。雰囲気は、窒素ガス1気圧中で行
なった。得られたAlN焼結体の密度および粒径を測定し
た。また焼結体から、直径10mm、厚さ3.3mmの円板を研
削し、これを試験片としてレーザーフラッシュ法により
熱伝導率を測定した(真空理工製TC−3000使用)。測定
した温度は25℃である。
さらに、この焼結体の分析を行なった。カルシウムは
ICP発光分光法(セイコー電子工業製SPS−1200A使用)
により、陽イオン不純物の分析は化学分析により行な
い、不純物酸素に関しては速中性子放射化分析により行
なった(理化学研究所160cmサイクロトロン使用)。上
記焼結条件および得られた焼結体の特性を第1表に示し
た。また、この焼結体のX線回折(理学電機製ロータフ
レックスRU−200、ゴニオメータCN2173D5、線源Cu 50K
V,100mA 使用)を行なった結果、および、SEM観察の結
果(日本電子製JSM−T20 使用)よりAlN単相であるこ
とが確認され、高熱伝導率を有している。
比較例1 実施例1と同様な方法により得たAlN脱脂体を焼成用
容器Aにセットし、1950℃、30時間、N21気圧下の一段
階の常圧焼結をし、焼結体を得た。実施例1と同様の評
価を行なった。この焼結体の特性を第1表に示す。
高温で一段階で焼結すると、X線回折結果よりYN化合
物が、AlN焼結体中に生成し、高熱伝導率は得られな
い。
比較例2 焼結温度を低温の1750℃に変えた点を除いて比較例1
と同様の焼結条件で一段階焼結し、焼結体を製造し、同
様の評価を行なった。比較的低温で一段階焼結を行なっ
ても、粒界相の除去がほとんど行なわれずAlN単相とは
ならない。
比較例3 実施例1と同様な方法により得たAlN脱脂体を焼成用
容器Aにセットし、1850℃、2hr、N21気圧下で常圧焼結
し、焼結体を得た。この焼結体の特性を第1表に示す。
このように焼結時間が2時間と短い場合、カーボン製
容器を用いることによる粒界相の還元窒化および粒界相
の除去が十分でないことがわかり、高熱伝導率を有する
AlN焼結体を得るためには2段階以上の多段階焼結が必
要であることがわかる。
比較例4 実施例1と同様な方法により得たAlN脱脂体を内側の
全体がAlN製の容器(焼成用容器D)を用いた点を除
き、実施例1と同様の焼結条件で焼結体を得た。この焼
結体の特性を第1表に示す。X線回折およびSEM観察の
結果より(Y−Al−O)化合物が粒界相として存在し
た。
比較例5 実施例14と同様な方法により得たAlN脱脂体を焼成用
容器Aにセットし、1950℃、30時間、N21気圧下の一段
階の常圧焼結し、焼結体を得た。そして、実施例14と同
様の評価を行なった。
高温で一段階で焼結すると、助剤は揮散し、助剤とし
ての効力が非常に小さく緻密化せず、高熱伝導性焼結体
は得られない。
比較例6 焼結温度を低温を1750℃に変えた点を除いて比較例5
と同様の焼結条件で、一段階焼結し、焼結体を製造し、
同様の評価を行なった。比較的低温で一段階焼結を行な
っても、粒界相の除去がほとんど行われず(Ca−Al−
O)化合物が残りAlN単相とはならない。
比較例7 実施例14と同様な方法により得たAlN脱脂体を焼成用
容器Aにセットし、1850℃、2hr、N21気圧下で常圧焼結
し、焼結体を得た。この焼結体の特性を第1表に示す。
このように焼結時間が2時間と短い場合、粒界相除去が
十分でないことがわかり、高熱伝導率を有するAlN焼結
体を得るためには2段階の焼結が必要であることがわか
る。
比較例8 実施例14と同様な方法により、得たAlN脱脂体を内側
の全体がAlN製の容器(焼成用容器D)を用いた点を除
き、実施例14と同様の焼結条件で焼結体を得た。この焼
結体の特性を第1表に示す。X線回折およびSEM観察の
結果より(Ca−Al−O)化合物が粒界相として存在し
た。
比較例9 実施例1で用いたAlN粉末を、500kg/cm2の圧力でプレ
ス成形して、30×30×10mmの圧粉体とし、この圧粉体を
カーボン型中に入れ窒素ガス雰囲気中、温度1900℃、40
0kg/cm2の圧力下で1時間ホットプレス焼結し、焼結体
を得た。この焼結体の特性を第1表に示した。副相とし
てAl−O−N系化合物が観察され、結果として熱伝導率
も81w/mKという低い値であった。
この様に希土類元素化合物無添加では、AlN原料粉末
表面の不純物酸素とAlNが反応し、熱伝導をさまたげるA
l−O−N化合物が生成してしまうことから、希土類元
素および/またはアルカリ土類元素化合物の添加の有効
さがわかる。
〔発明の効果〕
以上述べた如く、本発明の窒化アルミニウム焼結体
は、実質的にAlN単相からなるもので、高純度かつ、高
熱伝導率を示すなど優れた性質を有するものでありその
工業的価値は極めて大きいものである。
【図面の簡単な説明】
第1図はAlN焼結体のX線回折パターン図である。 1……AlNの回折ピーク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上野 文雄 川崎市幸区小向東芝町1 株式会社東芝 総合研究所内 (72)発明者 佐藤 佳子 川崎市幸区小向東芝町1 株式会社東芝 総合研究所内 (72)発明者 柘植 章彦 川崎市幸区小向東芝町1 株式会社東芝 総合研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−132776(JP,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a) 不純物酸素量が7重量%以下であ
    り、平均粒径が0.05〜5μmである窒化アルミニウム粉
    末と、希土類およびアルカリ土類元素の重量換算で0.01
    〜15重量%の希土類元素化合物またはアルカリ土類化合
    物を少なくとも含む化合物とを混合したのち成形した成
    形体を、 (b) 窒素ガスを含む還元雰囲気中で、 (c) 第1段階目として1550〜1850℃の温度で0.5〜1
    2時間処理し、 (d) 第2段階目として、第1段階より温度が高い17
    50〜2050℃の温度で、第1段階より長時間の6時間以上
    処理して焼結し、 (e) 酸素含有量800ppm未満で、熱伝導率が230W/m・
    kを超える窒化アルミニウム焼結体を得ることを特徴と
    した、 高熱伝導性窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  2. 【請求項2】焼成雰囲気が窒素ガスおよび、水素、一酸
    化炭素、カーボンガス、カーボン固相から選ばれた少な
    くとも一種から成る特許請求範囲第1項記載の高熱伝導
    性窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】カーボンガスを生成する焼成容器および/
    または焼成時にカーボンガスを生成する物質を焼成容器
    内に含むことで還元雰囲気を具体化する特許請求範囲第
    1項記載の高熱伝導性窒化アルミニウム焼結体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】希土類元素および/またはアルカリ土類元
    素としてY,Sc,Ce,Dy,Ca,SrおよびBaから選ばれた少なく
    とも一種以上の元素が焼結助剤として添加されることを
    特徴とする特許請求範囲第1項記載の高熱伝導性窒化ア
    ルミニウム焼結体の製造方法。
  5. 【請求項5】成形体もしくは焼結体を配置する試料台と
    して窒化アルミニウム板、BN板、タングステン板カーボ
    ン板を敷いたカーボ容器中で焼成することを特徴とした
    特許請求の範囲第1項記載の高熱伝導性窒化アルミニウ
    ム焼結体の製造方法。
  6. 【請求項6】焼成容器の内容積と、前記成形体または焼
    結体との体積比1×10゜〜1×107であることを特徴と
    した特許請求の範囲第1項記載の高熱伝導性窒化アルミ
    ニウム焼結体の製造方法。
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