JP5272656B2 - 珪素酸化物系多孔質成型体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、成膜用蒸着材料として使用する、珪素酸化物を含有する多孔質成型体に関するものである。
従来より、食品や医薬品等の包装材料に対しては、内容物の変質を防止することが求められている。例えば、食品用包装材料に対しては、タンパク質や油脂等の酸化や変質を抑制し、更に風味や鮮度を保持できることが求められ、また、無菌状態での取扱が必要とされる医薬品用包装材料に対しては、内容物の有効成分の変質を防止し、その薬効を保持できることが求められている。
このような内容物の変質は、包装材料を透過する酸素や水蒸気あるいは内容物と反応するような他のガスにより主として引き起こされている。
従って、食品や医薬品等の包装材料に対しては、酸素や水蒸気などのガスを透過させない性質(ガスバリア性)を備えていることが求められており、そのような性質を有する包装材料として、アルミニウムなどの金属、一酸化珪素(SiO)、珪素酸化物(SiOx)、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物あるいはこれらの複合酸化物、更には金属フッ化物などのガスバリア性物質を高分子フィルム基材に蒸着させたガスバリア性フィルム材料が知られているが、中でも高分子フィルム基材に一酸化硅素が蒸着された材料が、高い透明性と高いガスバリア性の点とから注目されている。
このような一酸化珪素膜の形成に使用される蒸着材料は、通常、真空蒸着法を用いて製造された一酸化珪素が使用される。真空蒸着法は、原料室内で金属シリコン(Si)と二酸化珪素(SiO2)とを混合して加熱し、原料室の上に連結された凝集室の内面に一酸化珪素を気相析出させることにより、一酸化珪素を製造する方法である。製造された一酸化珪素は緻密な析出体であり、これを所定のタブレット形状に切り出して蒸着材料に直接使用する場合もあれば、析出体を一旦破砕して粉末にし、これを所定のタブレット形状に焼結して使用する場合もある。嵩密度などの特性値を広範囲にコントロールするために、焼結体を蒸着材料として使用する場合が比較的多い。
しかし、このような方法により製造された蒸着材料は、以下の(1)及び(2)に示すような欠点を有している。
(1)真空蒸着法によって得られた析出体を一旦破砕して粉末にし、これを長時間、高温高圧のもとで所定の形状に焼結して蒸着材料を製造する方法は、大量生産に適した製造方法ではないので、蒸着材料の製造コストが高くなるという問題がある。
(2)真空蒸着法により析出した一酸化珪素等の析出体は真密度に非常に近い密度を有し、非常に緻密な構造となっている。このため、この析出体をそのまま蒸着材料として蒸着させてフィルム材料を製造した場合には、蒸着の際の加熱による熱衝撃や内部から発生するガスの圧力などにより、気化していない蒸着材料が、高温の微細な粒のまま飛散する現象(スプラッシュ現象)が生じやすいという問題がある。このような高温の微細粒が蒸着基材である高分子フィルムに衝突した場合には、一酸化珪素などの蒸着材料の蒸着により形成した薄膜にピンホールが生じてガスバリア性が低下するという問題や、蒸着材料の蒸着により形成した薄膜を有する包装材料をロールに巻き取る際に、その微細粒が包装材料の間に巻取られ、最終的に製品中に混入するという問題もある。また、場合により高分子フィルム基材に貫通孔を生じさせるという問題も生じる。
また、近年では、坩堝や加熱ヒーターなどを使用する従来の抵抗加熱蒸着法に代えて、蒸着材料を局部的且つ急速に加熱でき、しかも包装材料の生産性を高めるために蒸着材料の堆積速度を速めて巻取蒸着加工速度を向上させることのできる電子ビーム加熱蒸着法が採用される傾向があるが、この電子ビーム加熱蒸着法の場合、抵抗加熱蒸着法の場合に比べ、蒸着材料が受ける熱衝撃のレベルが格段と高くなるので、上記(2)の問題がいっそう顕著に現れるようになる。
このため、一酸化珪素蒸着膜形成作業では、スプラッシュの発生抑制が重要な技術課題になっており、その課題解決に向けて各方面からアプローチが試みられている。そして蒸着材料面からは、材料の密度や脆さといった物理的性質の改善が試みられている。
すなわち、蒸着材料の物理的性質に関しては、緻密で硬いほどスプラッシュは発生し難いと考えられており、その考え方に沿って、低温焼結した成型体の機械的強度低下を防いだ一酸化珪素系蒸着材料は特許文献1に記載されている。また、粉末焼結型の一酸化珪素系蒸着材料に関しては、高温高圧のホットプレスにより嵩密度を1.60g/cm3以上に高めることの有効性が特許文献2に記載されている。
このような物性を改良された蒸着材料(緻密で硬い材料)は、使用中の破損が少なく、使用性は良好である。しかしながら、スプラッシュの抑制に関しては、期待されるような効果をあげることができていないのが実情である。
特開2006-348348号公報 特表2003/010112号公報
本発明の目的は、蒸着材料として使用した場合に、スプラッシュの発生を顕著に抑制できる、安価な、珪素酸化物系多孔質成型体ならびにその製造方法を提供することにある。
本発明者は、特定の平均粒径の勾配を有する珪素酸化物系多孔質成型体が上述の目的を達成することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、珪素酸化物を含有する粉末を成型してなる多孔質成型体であって、成型体をなす向かい合う二つの面の一方において、粉末の平均粒径を大きくし、他方の面方向に進むと共に粉末の平均粒径が小さくなるよう、前記二つの面に対し垂直な方向に、粉末の平均粒径が傾斜を有し
前記成型体をなす向かい合う二つの面において、粉末の平均粒径の差が3μm以上50μm以下であることを特徴とする珪素酸化物系多孔質成型体である。
また、請求項に記載の発明は、前記多孔質成型体において、粉末の累積99%径(D99、累積体積比率が99%になる粒径)が4μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の珪素酸化物系多孔質成型体である。
また、請求項に記載の発明は、スラリー化もしくは液状化した珪素酸化物粉末を型に鋳込んだ後、乾燥するまで静置することにより、成型体をなす上面側の粉末の平均粒径が小さくなり、下面方向に進むと共に前記粉末の平均粒径が大きくなり、粉末の平均粒径が傾斜を有するようになる工程を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の珪素酸化物系多孔質成型体の製造方法である。
本発明に係る珪素酸化物系多孔質成型体は、珪素酸化物を含有する粉末を成型してなる多孔質成型体であり、多孔質構造を有するために、蒸着材料として用いた場合に、耐熱衝撃性が良く、電子ビームによる熱衝撃に対して破壊されにくいため、スプラッシュ現象が抑制される。また、焼結によって成型された緻密な構造の成型体よりも熱伝導性が低いので、蒸着の際の急激な熱変化を抑制することができる。更に、蒸着材料が多孔質構造を有すると、電子ビーム加熱による蒸着の際に、粒子間の焼結やガラス相の生成を抑制することができる。このため、本発明の蒸着材料は、蒸発速度が低下することなく、その多孔質構造を保持することができる。このように、本発明の多孔質成型体を蒸着材料として使用することで、蒸着材料内部からの蒸気の突沸などによるスプラッシュ現象を抑制することができる。
また、前記成型体をなす向かい合う二つの面において、粉末の平均粒径の差が3μm以上50μm以下とした場合には、原料粉末をスラリー状にして注型するという簡単な操作によって作成することが可能である。
また、前記多孔質成型体において、粉末の累積99%径(D99、累積体積比率が99%になる粒径)が4μm以上100μm以下である場合には、粉末を安定したスラリー状とすることが容易に可能となる。
また、スラリー化もしくは液状化した珪素酸化物粉末を型に鋳込んだ後、乾燥するまで静置することにより、成型体をなす上面側の粉末の平均粒径が小さくなり、下面方向に進むと共に前記粉末の平均粒径が大きくなり、粉末の平均粒径が傾斜を有するようになる工程を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の珪素酸化物系多孔質成型体の製造方法にあっては、極めて簡単な工程によって平均粒径が傾斜を有する多孔質成型体が得られ、加圧・加熱による成型や焼成、バインダー等の他物質混合といった工程を省くことができ、安価な成型体を得ることが出来る。以上述べたように、本発明に係る、平均粒径を制御した珪素酸化物を含有する多孔質成型体は、安価であり、かつ、スプラッシュの発生を顕著に抑制できる。
以下に本発明に係る珪素酸化物系多孔質成型体ならびにその製造方法の実施形態を説明する。本発明に係る多孔質成型体1は、図1に示したように、硅素酸化物を含有する粉末を成型してなる多孔質成型体であって、向いあう二つの面の一方において平均粒径の小さい面2を形成し、他方の面において平均粒径の大きい面3を形成しており、二つの面に垂直な方向に粉末の平均粒径が傾斜を有していることを特徴とするものであり、蒸着材料として好適に用いられる。
本実施形態では、次の工程を経て珪素酸化物系多孔質成型体が製造される。まず、第一工程は、一酸化珪素粉末を製造する工程である。これは、二酸化珪素を含む原料と、珪素を含む原料とを混合し、減圧下で加熱して、一酸化珪素気体を発生させ、この気体を冷却し、一酸化珪素固体を析出させる方法であり、下記の反応スキームに従って進行するものである。
Si + SiO2 → 2SiO ・・・ 冷却固化により回収
その際、一酸化珪素気体を冷却し固化させて、再加熱して気化させれば一酸化珪素を精製することが可能であり、この操作を複数繰り返すことにより、純度の一段と高い一酸化珪素気体を得ることが出来、結果的に純度の一段と高い一酸化珪素固体を得ることが出来
る。
二酸化珪素を含む原料と、珪素を含む原料の材料種やそれらの混合割合は、作製する薄膜に要求される特性により変化させてよく、特に限定されないが、ガスバリアフィルムへの応用を考えた場合には、例えば次の通りである。すなわち、珪素を含む原料は珪素単体が望ましく、二酸化珪素を含む原料は、二酸化珪素単体が望ましいが、それに限定するものではない。また、配合に関しては、珪素を含む原料100重量部に対して、二酸化珪素を含む原料は通常20〜400重量部、好ましくは50〜300重量部、更に好ましくは100〜250重量部である。また、この成分中に、本発明の効果が損なわれない範囲で、微量、例えば全成分に対して5重量%程度までなら他の成分を含んでいてもよい。
第二工程は得られた一酸化珪素体を微粉砕した後、篩い分けを行って所定の粒径、粒度分布に制御した後、水や、メタノール、エタノール等のアルコール類を添加し、混練してスラリー状とする。添加した水やアルコールの量が少なすぎると、スラリー状にならないが、その場合には振動を与え液状化現象をおこしながら攪拌すればよい。ただし、より一層水やアルコールの添加量が少なすぎた場合には、均一な攪拌をおこなうことができない。また、水の量が多すぎるとスラリーの粘度が低くなりすぎ、後工程の鋳込み時に取り扱いが困難になるので、水やアルコールの量は一酸化珪素固体粉末100重量部に対し、10〜50重量部とするのが好適である。
次いで、スラリー状もしくは液状化により均一になった分散体を成型する。この成型は、型枠に鋳込む鋳型成型などの湿式成型法によって行うのが実際的である。図2は、本発明に係る珪素酸化物系多孔質成型体の製造方法を示した模式図であり、型4にスラリー5を注型して静置した状態を示している。
鋳込んだ後は乾燥するまで、静置させることで、粒径の比較的大きな粒子が下面側7に沈降し、逆に小さな粒子は上面側6になった成型体を得ることができる。この方法により、加圧・加熱による成型や焼成、バインダー等の他物質混合といった工程を省くことができ、非常に安価な成型体を得ることが出来る。
本発明に係る多孔質成型体による蒸着材料は、多孔質構造を有するために、電子ビームによる熱衝撃に対して破壊されにくくなり、即ち、耐熱衝撃性が向上するために、スプラッシュ現象が抑制されるものと推定される。また、一般に、緻密構造よりも熱伝導性が低いので、蒸着の際に予め予備加熱しておけば、蒸着材料の移動時に温度の大幅な低下を防止することができ、急激な熱変化を抑制することができる。更に、蒸着材料が多孔質構造を有すると、電子ビーム加熱による蒸着の際に、隙間があるので粒子同士が結合する前に蒸着される。また同様に隙間があるので熱伝導しずらく、一気に気化するため、粒子間の焼結やガラス相の生成を抑制することができる。このため、本発明の蒸着材料は、蒸発速度が低下することなく、粒子間の焼結や溶融したガラス相も生じにくく、その多孔質構造を保持することができる。このように、本発明の多孔質成型体を蒸着材料として使用することで、蒸着材料内部からの蒸気の突沸などによるスプラッシュ現象を抑制することができる。
多孔質成型体を得るには、粉末の粒度分布を制御する必要がある。即ち、粒度が大きすぎると嵩密度が大きくなりすぎて、極端に熱伝導性が低下してしまうし、小さすぎると緻密すぎる成型体を構成してしまうことになる。鋭意検討の結果、成型体をなす向かいあう二つの面にて、粉末の平均粒径の差が3μm以上50μm以下であることが好ましく、更には粉末の累積99%径(D99)が4μm以上100μm以下であることが好ましい。
粉末の平均粒径の差が3μm未満の場合や、50μmより大きい場合には、スプラッシ
ュ現象が発生しやすくなり、D99が4μm未満の場合や、100μmより大きい場合には、安定したスラリーを得ることが困難になる。一酸化硅素粉末の平均粒径の差が3μm以上、50μm以下の場合にスプラッシュ現象が抑制される機序については、必ずしも明確でないが、実験的に確認された事実によって、上に述べたような理由と推定される。
スラリーを作成する際、一酸化珪素粉末の他、金属珪素や二酸化珪素等を添加してもよい。また、バインダーとしてシリカゾルまたはテトラエトキシシランなどのアルコキシシランや塩基性アルカリ金属化合物を使用することができる。特に、アルコキシシランを用いた場合には低温下で金属珪素と珪素酸化物の粉末を十分に結合させることができる。
鋳込んだ成型体を、室温から50℃程度の温度で乾燥させることで、本発明の珪素酸化物系多孔質成型体を得ることが出来る。また、成型体を乾燥し200〜1200℃程度の温度で焼成し、機械的強度等を向上させハンドリング性を向上させることも可能である。
このようにして得られる本発明の珪素酸化物系多孔質成型体は、従来の成型体と比較して、同様に真空蒸着法に適用することができるが、特に従来の成型体に対して適用することが困難であった電子ビーム加熱蒸着法に対しても、スプラッシュ現象を生じさせることなく適用することができる。
以下に、本発明に係る硅素酸化物系多孔質成型体について実施例に従って更に詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらに限定されるものではない。
金属珪素粉末と二酸化珪素粉末との混合物からなる原料を、真空中で加熱・反応させて生成した一酸化珪素塊を粉砕して一酸化珪素粉末(平均粒径:23μm、累積99%径D99:30μm)を作成し、これに水を加えて固形分50%のスラリーを調製、それを型(90×120×60mm)に流し込み、室温で2週間放置して乾燥させることにより実施例1の多孔質成型体を得た。
一酸化珪素粉末(平均粒径:60μm、累積99%径D99:90μm)の粒径を変更した以外は、実施例1と同様の操作にて実施例2の多孔質成型体を得た。
一酸化珪素粉末(平均粒径:85μm、累積99%径D99:120μm)の粒径を変更した以外は、実施例1と同様の操作にて実施例3の多孔質成型体を得た。
一酸化珪素粉末(平均粒径:1μm、累積99%径D99:3.5μm)の粒径を変更した以外は、実施例1と同様の操作にて実施例4の多孔質成型体を得た。
<比較例1>
一酸化珪素粉末(平均粒径:2.5μm、累積99%径D99:4μm)を変更した以外は、実施例1と同様の操作にて比較例1の多孔質成型体を得た。
<比較例2>
一酸化珪素粉末(平均粒径:50μm、累積99%径D99:100μm)を変更した以外は、実施例1と同様の操作にて比較例2の多孔質成型体を得た。
<比較例3>
一酸化珪素粉末(平均粒径:60μm、累積99%径D99:120μm)を変更した以外は、実施例1と同様の操作にて比較例3の多孔質成型体を得た。
<比較例4>
一酸化珪素粉末(平均粒径:8.5mm、累積99%径D99:10mm)を変更した以外は、実施例1と同様の操作にて比較例4の多孔質成型体を得た。
実施例1〜4および比較例1〜4にて得られた多孔質成型体について、乾燥時の成型体をなす上面側および下面側の粉末の平均粒径の差および累積99%径D99について測定した。なお測定は、レーザ回折式装置(島津製作所社製の粒度分布測定装置SALD-3100)を用いて測定した。
次に、実施例1〜4および比較例1〜4にて得られた多孔質成型体について、20m/分の速度で巻き取られている12μm厚のポリエステルフィルムに、60nm厚の一酸化硅素が蒸着するように堆積速度100nm/分で真空蒸着させることによりガスバリア性包装材料を得た。同様に、200m/分の速度で流れている12μm厚のポリエステルフィルムに、60nm厚の一酸化珪素が蒸着するように堆積速度1000nm/分で真空蒸着させることによりガスバリア性包装材料を得た。
これらの蒸着の際のスプラッシュ現象の有無を目視にて観察し、以下の評価基準に従って評価した。
スプラッシュ現象評価基準
ランク 状態
◎ : 全くスプラッシュ現象が観察されない場合
○ : スプラッシュ現象がわずかに観察されたが実用上全く問題がない場合
△ : スプラッシュ現象が観察された場合
× : スプラッシュ現象が非常に多く観察され、実用に供せない場合
次に、堆積速度1000nm/分で真空蒸着させることにより得られたガスバリア性包装材料の酸素バリア性に関し、その酸素透過度(cm3/m2・day・MPa)を酸素透過度測定装置(Modern Control社製のOxtran2/21)を用いて30℃−70%RH雰囲気の条件で測定した。また、水蒸気バリア性に関し、その水蒸気透過度(g/m2・day)を水蒸気透過度測定装置(Modern Control社製のPermatoran3/31)を用いて40℃−90%RH雰囲気の条件で測定した。以上により得られた結果を表1に示す。
Figure 0005272656
表1から、実施例1〜4の蒸着材料は、非常に高い蒸発速度(電子ビームの出力レベルが高い場合)で蒸着された場合でも、スプラッシュ現象はほとんど観察されず、得られた包装材料のガスバリア性も良好であった。
一方、比較例1の蒸着材料は、粒径が小さく嵩密度が高いために、スプラッシュ現象が数多く観察された。また、得られた包装材料のガスバリア性も低下していることがわかる。比較例2〜4の蒸着材料では、粒径が大きいために、嵩密度が低く、気孔率の割合が高過ぎるために、スプラッシュ現象が非常に多く、基材に貫通孔が発生しているものもみられた。
本発明の多孔質成型体を蒸着材料として用いることにより、生産性向上のために高い出力レベルの電子ビーム加熱蒸着法を利用した場合でもスプラッシュ現象の発生を抑制でき
、非常に低コストでガスバリア性包装材料を製造することが可能である。
本発明に係る珪素酸化物系多孔質成型体の模式図である。 本発明に係る珪素酸化物系多孔質成型体の製造方法を示した模式図である。
符号の説明
1・・・多孔質成型体
2・・・平均粒径の小さい面
3・・・平均粒径の大きい面
4・・・型
5・・・スラリー
6・・・上面側
7・・・下面側

Claims (3)

  1. 珪素酸化物を含有する粉末を成型してなる多孔質成型体であって、成型体をなす向かい合う二つの面の一方において、粉末の平均粒径を大きくし、他方の面方向に進むと共に粉末の平均粒径が小さくなるよう、前記二つの面に対し垂直な方向に、粉末の平均粒径が傾斜を有し
    前記成型体をなす向かい合う二つの面において、粉末の平均粒径の差が3μm以上50μm以下であることを特徴とする珪素酸化物系多孔質成型体。
  2. 前記多孔質成型体において、粉末の累積99%径(D99、累積体積比率が99%になる粒径)が4μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の珪素酸化物系多孔質成型体。
  3. スラリー化もしくは液状化した珪素酸化物粉末を型に鋳込んだ後、乾燥するまで静置することにより、成型体をなす上面側の粉末の平均粒径が小さくなり、下面方向に進むと共に前記粉末の平均粒径が大きくなり、粉末の平均粒径が傾斜を有するようになる工程を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の珪素酸化物系多孔質成型体の製造方法。
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