JP2004175982A - 粉体塗料用ポリエステル樹脂、粉体塗料用樹脂組成物、およびこれを用いた粉体塗料 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温で焼き付けすることができ、優れた塗膜外観を与える柔軟性と良好な耐ブロッキング性を有する粉体塗料用ポリエステル樹脂組成物を提供する。
【解決手段】主として芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコールからなるポリエステル樹脂であって、アルキレングリコール中のジエチレングリコールの割合が10〜35mol%、全酸成分に対する3官能以上のカルボン酸化合物Aの割合が3〜15mol%であり、極限粘度が0.10〜0.30dl/g、酸価が40〜120mgKOH/gであることを特徴とする粉体塗料用ポリエステル樹脂。およびこの樹脂とエポキシ樹脂系硬化剤、硬化促進剤とからなる粉体塗料用樹脂組成物、並びに粉体塗料。
【選択図】なし
【解決手段】主として芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコールからなるポリエステル樹脂であって、アルキレングリコール中のジエチレングリコールの割合が10〜35mol%、全酸成分に対する3官能以上のカルボン酸化合物Aの割合が3〜15mol%であり、極限粘度が0.10〜0.30dl/g、酸価が40〜120mgKOH/gであることを特徴とする粉体塗料用ポリエステル樹脂。およびこの樹脂とエポキシ樹脂系硬化剤、硬化促進剤とからなる粉体塗料用樹脂組成物、並びに粉体塗料。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた柔軟性を有し、かつ、低温での焼付けが可能な粉体塗料用ポリエステル樹脂組成物、並びにこれを用いた粉体塗料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
粉体塗料は、従来の溶剤型塗料と比較してVOC発生がない無公害型塗料であること、一度で厚塗り塗装が可能であること、塗装直後でも利用に供しうること、比較的安価であること、回収利用が可能であることなどの利点が認められ、家電製品、建材、自動車部品等の部材の保護装飾用塗料として、近年急速に需要が拡大している。
【0003】
粉体塗料は主として、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ポリエステル樹脂系のものが使用されているが、その中でもポリエステル粉体塗料はバランスのとれた塗膜性能を有する塗料として知られている。
【0004】
ところで、ポリエステル粉体塗料は溶剤型塗料と比較して一般に高温の焼付け温度が必要となっているが、焼付け温度が低温化されると、溶剤塗装ラインの塗装設備をそのまま転用できたり、発生熱量の減少により、作業性の向上や作業環境の改善が図れるとともに、省エネルギーによるランニングコストの削減というメリットが得られる。また、耐熱性が十分でないために、従来粉体塗装できなかった材料への塗装が可能になる等、被塗物の拡大が可能になる。このような点からポリエステル粉体塗料における焼付けの低温化が強く要望されている。
【0005】
しかしながら、例えば、特許文献1に開示されているような従来のポリエステル粉体塗料は、140℃程度の低温で焼付けた場合、硬化反応性の不足を解消しようと硬化促進剤を多量に添加すると、塗膜外観が著しく悪化したり、あるいは、塗膜外観を実用的なレベルにするため、脂肪族の二塩基酸などの柔軟性成分を共重合すると、樹脂のガラス転移点が低下し、塗料の貯蔵安定性が悪化するなど実用に供するものを得ることが困難であった。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−060681号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような問題を解決し、140℃での焼き付けが可能な優れた硬化反応性を備え、かつ、優れた塗膜外観を与える柔軟性を有する粉体塗料用ポリエステル樹脂を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために研究を重ねた結果、本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は次の通りである。
(1)主として芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコールからなるポリエステル樹脂であって、アルキレングリコール中のジエチレングリコールの割合が10〜35mol%、全酸成分に対する3官能以上のカルボン酸化合物Aの割合が3〜15mol%であり、極限粘度が0.10〜0.30dl/g、酸価が40〜120mgKOH/gであることを特徴とする粉体塗料用ポリエステル樹脂。
(2)前記(1)のポリエステル樹脂、エポキシ樹脂系硬化剤と、ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂系硬化剤の合計100重量部に対して0.15〜1.0重量部の硬化促進剤とからなる粉体塗料用樹脂組成物。
(3)前記(3)記載の粉体塗料用樹脂組成物を用いた粉体塗料。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるポリエステル樹脂を構成する成分として、ジエチレングリコールを含有し、その割合が10〜35mol%である必要がある。ジエチレングリコールの割合が10mol%未満では、ポリエステル樹脂の可撓性が不十分となり、機械的物性が低下する。一方、35mol%を超えるとポリエステル樹脂のガラス転移温度が大きく低下するため、耐ブロッキング性が悪化する。
【0010】
また、本発明におけるポリエステル樹脂を構成する成分として、3官能以上のカルボン酸化合物Aが共重合されており、Aの全酸成分に対する割合を3〜15mol%とする必要がある。Aの割合が3mol%未満では低温硬化性が不足し、機械的物性に乏しい塗膜となる。一方、15mol%を超えると、硬化反応性が増大しすぎるため、塗膜外観が低下する。
このような3官能以上のカルボン酸化合物としては、無水トリメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等が挙げられるが、なかでも、無水トリメリット酸は、コストや、硬化反応性、塗膜外観の面からより好ましい。
【0011】
さらに、本発明におけるポリエステル樹脂の酸成分は、芳香族ジカルボン酸を主体とするものであり、必要とする樹脂特性やコストパフォーマンスなどの理由から、主としてテレフタル酸とイソフタル酸が用いられる。必要に応じて、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、無水イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等のその他の芳香族ジカルボン酸を併用してもよい。また、前記の酸のエステル形成性誘導体を使用しても良い。さらには、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンなどのオキシカルボン酸を少量併用してもよい。
【0012】
本発明におけるポリエステル樹脂のジエチレングリコール以外のグリコール成分は、必要とする樹脂特性や、コストパフォーマンスなどの理由から、エチレングリコールとネオペンチルグリコールを主体とすることが好ましい。必要に応じて、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の直鎖型脂肪族グリコールや、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの脂環族グリコールや、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSのエチレンオキサイド付加物などの芳香族グリコールを併用しても良い。さらには、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリンなどの3官能以上のアルコールを少量使用しても良い。
【0013】
本発明におけるポリエステル樹脂の140℃での溶融粘度は、100〜800dPa・sとすることが好ましく、さらに好ましくは150〜500dPa・sである。ポリエステル樹脂の140℃での溶融粘度が100dPa・sに満たないと、焼付け時の流動性が過大となるため塗膜にタレを生じることがある。一方、ポリエステル樹脂の140℃での溶融粘度が800dPa・sを超えると、流動性が低下し、塗膜の平滑性が悪くなる場合がある。
【0014】
本発明におけるポリエステル樹脂の極限粘度は、0.10〜0.30dl/g、好ましくは0.10〜0.20dl/gの範囲のものである。ポリエステル樹脂の極限粘度が0.10dl/g未満の場合、樹脂の分子量が低いために、樹脂及び樹脂組成物の耐ブロッキング性や、塗膜の機械的強度が不足するため好ましくない。一方、0.30dl/gを超える場合、焼付け時の流動性が低下するため、塗膜の平滑性が悪くなる。
【0015】
本発明におけるポリエステル樹脂の酸価は、40〜120mgKOH/g、好ましくは、50〜100mgKOH/gの範囲のものである。酸価が40mgKOH/gに満たないと、樹脂の分子量が過大となり流動性が低下するため、塗膜の平滑性が低下し、120mgKOH/gを超えると、樹脂の分子量が過小となるため、塗膜の機械的強度が低下する。
【0016】
上記の条件を満足するポリエステル樹脂は、例えば、前記のようなカルボン酸成分、グリコール成分(それらのエステル形成性誘導体を含む)を原料とし、常法によって、200〜280℃の温度でエステル化又はエステル交換反応を行い、エステル化反応終了後、5hPa以下の減圧下、200〜300℃、好ましくは230〜290℃の温度で重縮合反応を行って高重合度のポリマーとし、さらに酸成分を添加して解重合反応を行う方法で調製することが出来る。
【0017】
また、常法にてエステル化又はエステル交換反応を行った後、常圧下、又は50〜100hpa程度の減圧下、200〜300℃、好ましくは220〜280℃の温度で所定の極限粘度となるまで重縮合反応を行った後、常圧下、220〜280℃の温度で所定量のカルボン酸を添加し、付加反応を行うことによって調製することもできる。
【0018】
また、エステル化、エステル交換反応及び重縮合反応においては、公知の反応触媒などを用いることができる。
【0019】
次に、本発明の粉体塗料用樹脂組成物は、上記のポリエステル樹脂にエポキシ樹脂を硬化剤として配合する必要があるが、ポリエステル樹脂の配合量はポリエステル樹脂とエポキシ樹脂の合計100重量部に対して30〜70重量部となることが好ましく、さらに好ましくは40〜65重量部である。ポリエステル樹脂の配合量が30重量部未満、または70重量部を超えると塗膜と平滑性と機械物性のバランスのとれたものが得られない。
【0020】
用いるエポキシ樹脂のエポキシ当量は特に限定されないが、500〜1000g/eqが好ましい。エポキシ当量が500g/eqに満たないものであると、塗料としたとき再度固化するなど耐ブロッキング性が低下する。また、エポキシ当量が1000g/eqを超えると、塗料中に分子量や軟化点の高いエポキシ樹脂の占める割合が多くなり、塗膜の平滑性が低下するなど塗膜性能のバランスが損なわれる。本発明に用いることのできるエポキシ樹脂としては、チバ・ガイギー社製の「アラルダイトAER6003」、東都化成社製の「エポトートYD−014」、シェル社製の「エピコート1003」等が挙げられる。本発明の粉体塗料用樹脂組成物におけるエポキシ樹脂の配合量は、ポリエステル樹脂のカルボキシル末端基量に対して0.8〜1.2倍当量とすることが好ましく、さらに好ましくは0.95〜1.05倍当量である。
【0021】
本発明における硬化促進剤の添加量は、ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂系硬化剤の合計100重量部に対して、0.15〜1.0重量部とする必要があり、好ましくは、0.2〜0.8重量部である。添加量が0.15重量部に満たないと十分な低温硬化性が得られず、1.0重量部を超えると硬化反応性が過大となるため塗膜外観の悪化や、得られる塗膜の色調低下を招く。
【0022】
硬化促進剤としては、リン系やイミダゾール系の化合物を使用することができる。リン系の硬化剤としてはイハラケミカル工業社製の「トリフェニルホスフィンPP−360」などが挙げられる。また、イミダゾール系の硬化促進剤としては四国化成社製の「キュアゾールC11Z」「キュアゾールC17Z」などが挙げられる。なかでも、「キュアゾールC11Z」は低温硬化性、外観に有利であり好ましい。
【0023】
また、本発明における粉体塗料用樹脂組成物の140℃におけるゲル化時間は8〜13分であることが好ましく、さらに好ましくは9〜12分の範囲である。樹脂組成物のゲル化時間が8分に満たないと、硬化反応が速くなりすぎるために、塗膜の平滑性が悪化しやすくなる。樹脂組成物のゲル化時間が13分を超えると、硬化反応性が遅いため十分に硬化せず、塗膜の機械的物性が低下することがある。
【0024】
上記したような特定の共重合成分、特定の極限粘度、酸価を有するポリエステル樹脂を、エポキシ樹脂、特定量の硬化促進剤と配合することによって、適度なゲル化時間を有し、低温での硬化反応性、耐ブロッキング性、焼き付け後の塗膜外観、塗膜の機械的物性がバランス良く備わった優れた粉体塗料用樹脂組成物とすることができる。
【0025】
ポリエステル樹脂と硬化促進剤及びエポキシ樹脂を混合する場合には、例えば、ニーダーまたはロールを用いて70〜110℃で混練することにより調製することができる。
【0026】
なお、本発明の粉体塗料用樹脂組成物には、必要に応じて公知のレベリング剤、その他の添加剤、顔料などを配合してもよい。
【0027】
本発明の粉体塗料用樹脂組成物を用いて得られる粉体塗料は、これを被塗物に塗装し、通常、140〜160℃の低温で、15〜25分間焼き付けることにより、光沢や平滑性などに優れた塗膜とすることができる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明する。
なお、実施例および比較例においてポリエステル樹脂及び塗膜の特性値は次に示す方法で測定した。
共重合成分の割合
ポリエステルを重水素化トリフルオロ酢酸に溶解させ、NMR(日本電子社製JNM−LA400)を用いて測定して求めた。
極限粘度
フェノールとテトラクロロエタンとの等重量混合物を溶媒とし、20℃で測定した。
酸価
ポリエステル樹脂0.5gをジオキサン/蒸留水=10/1(重量比)の混合溶媒50mlに溶解し、加熱還流後、0.1×103mol/m3の水酸化カリウムメタノール溶液で滴定して求めた。
溶融粘度
試料量15g、温度140℃にてブルックフィールド溶融粘度計(ブルックフィールド社製VISCO METER DV−1)で測定して求めた。
ガラス転移温度
示差走査型熱量計(セイコー電子工業社製DSC−220型)を用い、昇温速度10℃/minで求めた。
ゲル化時間
ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂と硬化促進剤及び酸化チタン顔料を33重量%混合し、試料量100g、温度140℃にてブラベンダー、プラスチコーダー(ブラベンダー社製PLV−340)で硬化曲線を求め、測定開始からトルク値が250m・gに達するまでの時間をゲル化時間とした。
耐ブロッキング性
直径3cm、高さ7cmの有底ガラス管に、得られた粉体塗料を高さ4cm程度入れ、40℃の恒温槽中に1週間放置し、その後、ガラス管を逆さにして粉体塗料を出し、塗料の状態で判定した。
○:塗料に塊がないか、もしくは塊が小さく、手で持ち上げられない。
×:塗料が凝集して固化した大きな塊があり、その塊を手で持ち上げられる。
平滑性
塗膜の平滑性を目視により評価した。
○:塗膜に凹凸が少なく平滑性が良好なもの
×:塗膜に大きな凹凸があり平滑性が良くないもの
60 度鏡面光沢度
JIS K 5400に準じて求めた。
耐衝撃性
JIS K 5400に準じ、直径1.27cmの球面を持つ撃ち台とそれにあう窪みを持った受け台との間に塗膜が球面に接触するように塗装鋼板を挟み込み、その上から1kgのおもりを垂直に落下させ、塗膜の破壊する高さを求め、20cm以上の高さから落としても、塗膜が割れないものを合格とした。
【0029】
実施例1〜5、比較例1〜5
表1に示した樹脂原料のうち三官能の酸を除いたものを、エステル化反応槽に仕込み、圧力0.3MPaG、温度260℃で4時間エステル化反応を行った。
エステル化反応終了後、原料の酸成分1モルあたりを2.5×10−4モルの三酸化アンチモン及び2.1×10−4モルのトリエチルホスフェートを添加し、0.5hPaに減圧し、280℃で3時間重縮合反応を行い、極限粘度0.45のポリエステルを得た。
次いで、このポリエステルに、それぞれ解重合成分として無水トリメリット酸またはトリメリット酸を表1に記載した量だけ添加し、常圧下、250℃で2時間解重合反応を行い、表1に示す特性値のポリエステル樹脂を得た。
【0030】
【表1】
【0031】
実施例6〜10、比較例6〜12
得られたポリエステル樹脂に、エポキシ当量が760geq/tのエピ・ビス型エポキシ樹脂硬化剤(チバ・ガイギー社製「アラルダイトAER6003」)、イミダゾール系硬化促進剤(四国化成社製「C11Z」:ウンデシルイミダゾール)、ブチルポリアクリレート系レベリング剤(ビー・エー・エス・エフ社製「アクロナール4F」)、ベンゾイン、及び、ルチル型二酸化チタン顔料(石原産業社製「CR−90」)を表2に示す量(重量部)添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池製作所製「FM10B型」)で粉砕後、140メッシュの金網(106μm)で分級して粉体塗料を得た。得られた粉体塗料をリン酸亜鉛処理鋼板上に膜厚が50〜60μmとなるように静電塗装して、140℃×20分間焼付けを行った。塗膜の性能を評価した結果を表2に示す。
【0032】
実施例6〜10及び比較例6〜12の結果をまとめて表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
実施例6〜10の結果より、実施例1〜5で得られたポリエステル樹脂は、エポキシ樹脂と混合し、適切な量の効果促進剤を用いて粉体塗料とすることで、いずれも強度、平滑性を満足した良好な塗膜が得られることがわかる。
これに対して、比較例では次のような問題があった。
比較例6では、ポリエステル樹脂のジエチレングリコールが共重量が少ないため、ポリエステル樹脂の加撓性が劣り、結果として塗膜の強度と平滑性が不十分であった。
比較例7では、ポリエステル樹脂のジエチレングリコールの共重合量が多いために、ポリエステル樹脂のガラス転移温度が低く、結果として塗料の耐ブロッキング性が劣るものであった。
比較例8では、ポリエステル樹脂の極限粘度が低く、3官能以上のカルボン酸の共重合量が多かったため、ポリエステル樹脂の酸価が高く、硬化反応性が上昇し、結果として塗膜の平滑性が不十分であるばかりか、塗膜の耐ブロッキング性に劣るものであった。
比較例9では、ポリエステル樹脂の極限粘度が高かったために、溶融粘度が高くなり、結果として、塗膜の平滑性が不十分であるばかりか、ポリエステル樹脂の酸価が低いために、硬化反応性が劣り、結果として塗膜の強度が不十分であった。
比較例10では、硬化促進剤の量が多かったために、硬化反応性が高すぎ、結果として塗膜の平滑性が不十分であった。
比較例11では、硬化促進剤の量が少なかったために、硬化反応性が劣り、結果として塗膜の強度が不十分であった。
比較例12では、ポリエステル樹脂に3官能以上のカルボン酸が含まれていなかったために、結果として塗膜の強度が不十分であった。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、良好な低温硬化性を備え、かつ、優れた塗膜外観を与える柔軟性と良好な耐ブロッキング性を有する粉体塗料用樹脂組成物を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた柔軟性を有し、かつ、低温での焼付けが可能な粉体塗料用ポリエステル樹脂組成物、並びにこれを用いた粉体塗料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
粉体塗料は、従来の溶剤型塗料と比較してVOC発生がない無公害型塗料であること、一度で厚塗り塗装が可能であること、塗装直後でも利用に供しうること、比較的安価であること、回収利用が可能であることなどの利点が認められ、家電製品、建材、自動車部品等の部材の保護装飾用塗料として、近年急速に需要が拡大している。
【0003】
粉体塗料は主として、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ポリエステル樹脂系のものが使用されているが、その中でもポリエステル粉体塗料はバランスのとれた塗膜性能を有する塗料として知られている。
【0004】
ところで、ポリエステル粉体塗料は溶剤型塗料と比較して一般に高温の焼付け温度が必要となっているが、焼付け温度が低温化されると、溶剤塗装ラインの塗装設備をそのまま転用できたり、発生熱量の減少により、作業性の向上や作業環境の改善が図れるとともに、省エネルギーによるランニングコストの削減というメリットが得られる。また、耐熱性が十分でないために、従来粉体塗装できなかった材料への塗装が可能になる等、被塗物の拡大が可能になる。このような点からポリエステル粉体塗料における焼付けの低温化が強く要望されている。
【0005】
しかしながら、例えば、特許文献1に開示されているような従来のポリエステル粉体塗料は、140℃程度の低温で焼付けた場合、硬化反応性の不足を解消しようと硬化促進剤を多量に添加すると、塗膜外観が著しく悪化したり、あるいは、塗膜外観を実用的なレベルにするため、脂肪族の二塩基酸などの柔軟性成分を共重合すると、樹脂のガラス転移点が低下し、塗料の貯蔵安定性が悪化するなど実用に供するものを得ることが困難であった。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−060681号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような問題を解決し、140℃での焼き付けが可能な優れた硬化反応性を備え、かつ、優れた塗膜外観を与える柔軟性を有する粉体塗料用ポリエステル樹脂を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために研究を重ねた結果、本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は次の通りである。
(1)主として芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコールからなるポリエステル樹脂であって、アルキレングリコール中のジエチレングリコールの割合が10〜35mol%、全酸成分に対する3官能以上のカルボン酸化合物Aの割合が3〜15mol%であり、極限粘度が0.10〜0.30dl/g、酸価が40〜120mgKOH/gであることを特徴とする粉体塗料用ポリエステル樹脂。
(2)前記(1)のポリエステル樹脂、エポキシ樹脂系硬化剤と、ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂系硬化剤の合計100重量部に対して0.15〜1.0重量部の硬化促進剤とからなる粉体塗料用樹脂組成物。
(3)前記(3)記載の粉体塗料用樹脂組成物を用いた粉体塗料。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるポリエステル樹脂を構成する成分として、ジエチレングリコールを含有し、その割合が10〜35mol%である必要がある。ジエチレングリコールの割合が10mol%未満では、ポリエステル樹脂の可撓性が不十分となり、機械的物性が低下する。一方、35mol%を超えるとポリエステル樹脂のガラス転移温度が大きく低下するため、耐ブロッキング性が悪化する。
【0010】
また、本発明におけるポリエステル樹脂を構成する成分として、3官能以上のカルボン酸化合物Aが共重合されており、Aの全酸成分に対する割合を3〜15mol%とする必要がある。Aの割合が3mol%未満では低温硬化性が不足し、機械的物性に乏しい塗膜となる。一方、15mol%を超えると、硬化反応性が増大しすぎるため、塗膜外観が低下する。
このような3官能以上のカルボン酸化合物としては、無水トリメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等が挙げられるが、なかでも、無水トリメリット酸は、コストや、硬化反応性、塗膜外観の面からより好ましい。
【0011】
さらに、本発明におけるポリエステル樹脂の酸成分は、芳香族ジカルボン酸を主体とするものであり、必要とする樹脂特性やコストパフォーマンスなどの理由から、主としてテレフタル酸とイソフタル酸が用いられる。必要に応じて、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、無水イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等のその他の芳香族ジカルボン酸を併用してもよい。また、前記の酸のエステル形成性誘導体を使用しても良い。さらには、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンなどのオキシカルボン酸を少量併用してもよい。
【0012】
本発明におけるポリエステル樹脂のジエチレングリコール以外のグリコール成分は、必要とする樹脂特性や、コストパフォーマンスなどの理由から、エチレングリコールとネオペンチルグリコールを主体とすることが好ましい。必要に応じて、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の直鎖型脂肪族グリコールや、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの脂環族グリコールや、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSのエチレンオキサイド付加物などの芳香族グリコールを併用しても良い。さらには、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリンなどの3官能以上のアルコールを少量使用しても良い。
【0013】
本発明におけるポリエステル樹脂の140℃での溶融粘度は、100〜800dPa・sとすることが好ましく、さらに好ましくは150〜500dPa・sである。ポリエステル樹脂の140℃での溶融粘度が100dPa・sに満たないと、焼付け時の流動性が過大となるため塗膜にタレを生じることがある。一方、ポリエステル樹脂の140℃での溶融粘度が800dPa・sを超えると、流動性が低下し、塗膜の平滑性が悪くなる場合がある。
【0014】
本発明におけるポリエステル樹脂の極限粘度は、0.10〜0.30dl/g、好ましくは0.10〜0.20dl/gの範囲のものである。ポリエステル樹脂の極限粘度が0.10dl/g未満の場合、樹脂の分子量が低いために、樹脂及び樹脂組成物の耐ブロッキング性や、塗膜の機械的強度が不足するため好ましくない。一方、0.30dl/gを超える場合、焼付け時の流動性が低下するため、塗膜の平滑性が悪くなる。
【0015】
本発明におけるポリエステル樹脂の酸価は、40〜120mgKOH/g、好ましくは、50〜100mgKOH/gの範囲のものである。酸価が40mgKOH/gに満たないと、樹脂の分子量が過大となり流動性が低下するため、塗膜の平滑性が低下し、120mgKOH/gを超えると、樹脂の分子量が過小となるため、塗膜の機械的強度が低下する。
【0016】
上記の条件を満足するポリエステル樹脂は、例えば、前記のようなカルボン酸成分、グリコール成分(それらのエステル形成性誘導体を含む)を原料とし、常法によって、200〜280℃の温度でエステル化又はエステル交換反応を行い、エステル化反応終了後、5hPa以下の減圧下、200〜300℃、好ましくは230〜290℃の温度で重縮合反応を行って高重合度のポリマーとし、さらに酸成分を添加して解重合反応を行う方法で調製することが出来る。
【0017】
また、常法にてエステル化又はエステル交換反応を行った後、常圧下、又は50〜100hpa程度の減圧下、200〜300℃、好ましくは220〜280℃の温度で所定の極限粘度となるまで重縮合反応を行った後、常圧下、220〜280℃の温度で所定量のカルボン酸を添加し、付加反応を行うことによって調製することもできる。
【0018】
また、エステル化、エステル交換反応及び重縮合反応においては、公知の反応触媒などを用いることができる。
【0019】
次に、本発明の粉体塗料用樹脂組成物は、上記のポリエステル樹脂にエポキシ樹脂を硬化剤として配合する必要があるが、ポリエステル樹脂の配合量はポリエステル樹脂とエポキシ樹脂の合計100重量部に対して30〜70重量部となることが好ましく、さらに好ましくは40〜65重量部である。ポリエステル樹脂の配合量が30重量部未満、または70重量部を超えると塗膜と平滑性と機械物性のバランスのとれたものが得られない。
【0020】
用いるエポキシ樹脂のエポキシ当量は特に限定されないが、500〜1000g/eqが好ましい。エポキシ当量が500g/eqに満たないものであると、塗料としたとき再度固化するなど耐ブロッキング性が低下する。また、エポキシ当量が1000g/eqを超えると、塗料中に分子量や軟化点の高いエポキシ樹脂の占める割合が多くなり、塗膜の平滑性が低下するなど塗膜性能のバランスが損なわれる。本発明に用いることのできるエポキシ樹脂としては、チバ・ガイギー社製の「アラルダイトAER6003」、東都化成社製の「エポトートYD−014」、シェル社製の「エピコート1003」等が挙げられる。本発明の粉体塗料用樹脂組成物におけるエポキシ樹脂の配合量は、ポリエステル樹脂のカルボキシル末端基量に対して0.8〜1.2倍当量とすることが好ましく、さらに好ましくは0.95〜1.05倍当量である。
【0021】
本発明における硬化促進剤の添加量は、ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂系硬化剤の合計100重量部に対して、0.15〜1.0重量部とする必要があり、好ましくは、0.2〜0.8重量部である。添加量が0.15重量部に満たないと十分な低温硬化性が得られず、1.0重量部を超えると硬化反応性が過大となるため塗膜外観の悪化や、得られる塗膜の色調低下を招く。
【0022】
硬化促進剤としては、リン系やイミダゾール系の化合物を使用することができる。リン系の硬化剤としてはイハラケミカル工業社製の「トリフェニルホスフィンPP−360」などが挙げられる。また、イミダゾール系の硬化促進剤としては四国化成社製の「キュアゾールC11Z」「キュアゾールC17Z」などが挙げられる。なかでも、「キュアゾールC11Z」は低温硬化性、外観に有利であり好ましい。
【0023】
また、本発明における粉体塗料用樹脂組成物の140℃におけるゲル化時間は8〜13分であることが好ましく、さらに好ましくは9〜12分の範囲である。樹脂組成物のゲル化時間が8分に満たないと、硬化反応が速くなりすぎるために、塗膜の平滑性が悪化しやすくなる。樹脂組成物のゲル化時間が13分を超えると、硬化反応性が遅いため十分に硬化せず、塗膜の機械的物性が低下することがある。
【0024】
上記したような特定の共重合成分、特定の極限粘度、酸価を有するポリエステル樹脂を、エポキシ樹脂、特定量の硬化促進剤と配合することによって、適度なゲル化時間を有し、低温での硬化反応性、耐ブロッキング性、焼き付け後の塗膜外観、塗膜の機械的物性がバランス良く備わった優れた粉体塗料用樹脂組成物とすることができる。
【0025】
ポリエステル樹脂と硬化促進剤及びエポキシ樹脂を混合する場合には、例えば、ニーダーまたはロールを用いて70〜110℃で混練することにより調製することができる。
【0026】
なお、本発明の粉体塗料用樹脂組成物には、必要に応じて公知のレベリング剤、その他の添加剤、顔料などを配合してもよい。
【0027】
本発明の粉体塗料用樹脂組成物を用いて得られる粉体塗料は、これを被塗物に塗装し、通常、140〜160℃の低温で、15〜25分間焼き付けることにより、光沢や平滑性などに優れた塗膜とすることができる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明する。
なお、実施例および比較例においてポリエステル樹脂及び塗膜の特性値は次に示す方法で測定した。
共重合成分の割合
ポリエステルを重水素化トリフルオロ酢酸に溶解させ、NMR(日本電子社製JNM−LA400)を用いて測定して求めた。
極限粘度
フェノールとテトラクロロエタンとの等重量混合物を溶媒とし、20℃で測定した。
酸価
ポリエステル樹脂0.5gをジオキサン/蒸留水=10/1(重量比)の混合溶媒50mlに溶解し、加熱還流後、0.1×103mol/m3の水酸化カリウムメタノール溶液で滴定して求めた。
溶融粘度
試料量15g、温度140℃にてブルックフィールド溶融粘度計(ブルックフィールド社製VISCO METER DV−1)で測定して求めた。
ガラス転移温度
示差走査型熱量計(セイコー電子工業社製DSC−220型)を用い、昇温速度10℃/minで求めた。
ゲル化時間
ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂と硬化促進剤及び酸化チタン顔料を33重量%混合し、試料量100g、温度140℃にてブラベンダー、プラスチコーダー(ブラベンダー社製PLV−340)で硬化曲線を求め、測定開始からトルク値が250m・gに達するまでの時間をゲル化時間とした。
耐ブロッキング性
直径3cm、高さ7cmの有底ガラス管に、得られた粉体塗料を高さ4cm程度入れ、40℃の恒温槽中に1週間放置し、その後、ガラス管を逆さにして粉体塗料を出し、塗料の状態で判定した。
○:塗料に塊がないか、もしくは塊が小さく、手で持ち上げられない。
×:塗料が凝集して固化した大きな塊があり、その塊を手で持ち上げられる。
平滑性
塗膜の平滑性を目視により評価した。
○:塗膜に凹凸が少なく平滑性が良好なもの
×:塗膜に大きな凹凸があり平滑性が良くないもの
60 度鏡面光沢度
JIS K 5400に準じて求めた。
耐衝撃性
JIS K 5400に準じ、直径1.27cmの球面を持つ撃ち台とそれにあう窪みを持った受け台との間に塗膜が球面に接触するように塗装鋼板を挟み込み、その上から1kgのおもりを垂直に落下させ、塗膜の破壊する高さを求め、20cm以上の高さから落としても、塗膜が割れないものを合格とした。
【0029】
実施例1〜5、比較例1〜5
表1に示した樹脂原料のうち三官能の酸を除いたものを、エステル化反応槽に仕込み、圧力0.3MPaG、温度260℃で4時間エステル化反応を行った。
エステル化反応終了後、原料の酸成分1モルあたりを2.5×10−4モルの三酸化アンチモン及び2.1×10−4モルのトリエチルホスフェートを添加し、0.5hPaに減圧し、280℃で3時間重縮合反応を行い、極限粘度0.45のポリエステルを得た。
次いで、このポリエステルに、それぞれ解重合成分として無水トリメリット酸またはトリメリット酸を表1に記載した量だけ添加し、常圧下、250℃で2時間解重合反応を行い、表1に示す特性値のポリエステル樹脂を得た。
【0030】
【表1】
【0031】
実施例6〜10、比較例6〜12
得られたポリエステル樹脂に、エポキシ当量が760geq/tのエピ・ビス型エポキシ樹脂硬化剤(チバ・ガイギー社製「アラルダイトAER6003」)、イミダゾール系硬化促進剤(四国化成社製「C11Z」:ウンデシルイミダゾール)、ブチルポリアクリレート系レベリング剤(ビー・エー・エス・エフ社製「アクロナール4F」)、ベンゾイン、及び、ルチル型二酸化チタン顔料(石原産業社製「CR−90」)を表2に示す量(重量部)添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池製作所製「FM10B型」)で粉砕後、140メッシュの金網(106μm)で分級して粉体塗料を得た。得られた粉体塗料をリン酸亜鉛処理鋼板上に膜厚が50〜60μmとなるように静電塗装して、140℃×20分間焼付けを行った。塗膜の性能を評価した結果を表2に示す。
【0032】
実施例6〜10及び比較例6〜12の結果をまとめて表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
実施例6〜10の結果より、実施例1〜5で得られたポリエステル樹脂は、エポキシ樹脂と混合し、適切な量の効果促進剤を用いて粉体塗料とすることで、いずれも強度、平滑性を満足した良好な塗膜が得られることがわかる。
これに対して、比較例では次のような問題があった。
比較例6では、ポリエステル樹脂のジエチレングリコールが共重量が少ないため、ポリエステル樹脂の加撓性が劣り、結果として塗膜の強度と平滑性が不十分であった。
比較例7では、ポリエステル樹脂のジエチレングリコールの共重合量が多いために、ポリエステル樹脂のガラス転移温度が低く、結果として塗料の耐ブロッキング性が劣るものであった。
比較例8では、ポリエステル樹脂の極限粘度が低く、3官能以上のカルボン酸の共重合量が多かったため、ポリエステル樹脂の酸価が高く、硬化反応性が上昇し、結果として塗膜の平滑性が不十分であるばかりか、塗膜の耐ブロッキング性に劣るものであった。
比較例9では、ポリエステル樹脂の極限粘度が高かったために、溶融粘度が高くなり、結果として、塗膜の平滑性が不十分であるばかりか、ポリエステル樹脂の酸価が低いために、硬化反応性が劣り、結果として塗膜の強度が不十分であった。
比較例10では、硬化促進剤の量が多かったために、硬化反応性が高すぎ、結果として塗膜の平滑性が不十分であった。
比較例11では、硬化促進剤の量が少なかったために、硬化反応性が劣り、結果として塗膜の強度が不十分であった。
比較例12では、ポリエステル樹脂に3官能以上のカルボン酸が含まれていなかったために、結果として塗膜の強度が不十分であった。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、良好な低温硬化性を備え、かつ、優れた塗膜外観を与える柔軟性と良好な耐ブロッキング性を有する粉体塗料用樹脂組成物を得ることができる。
Claims (3)
- 主として芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコールからなるポリエステル樹脂であって、アルキレングリコール中のジエチレングリコールの割合が10〜35mol%、全酸成分に対する3官能以上のカルボン酸化合物Aの割合が3〜15mol%であり、極限粘度が0.10〜0.30dl/g、酸価が40〜120mgKOH/gであることを特徴とする粉体塗料用ポリエステル樹脂。
- 請求項1記載のポリエステル樹脂30〜70重量部、エポキシ樹脂系硬化剤70〜30重量部と、ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂系硬化剤の合計100重量部に対して0.15〜1.0重量部の硬化促進剤とからなる粉体塗料用樹脂組成物。
- 請求項2記載の粉体塗料用樹脂組成物を用いた粉体塗料。
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WO2015074622A1 (zh) * | 2013-11-25 | 2015-05-28 | 蒋云 | 一种连续法制备粉末涂料用聚酯树脂的方法 |
CN106317391A (zh) * | 2016-09-05 | 2017-01-11 | 帝兴树脂(昆山)有限公司 | 一种粉末涂料用聚酯树脂的制备方法 |
-
2002
- 2002-11-28 JP JP2002345762A patent/JP2004175982A/ja active Pending
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