JP2004175858A - シュリンク包装用印刷インキ組成物、シュリンク包装用印刷物の製造方法およびシュリンク包装用印刷物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】顔料、樹脂成分および溶剤成分から主として構成されるシュリンク包装用印刷インキ組成物において、前記樹脂成分として、特定のモノマー組成の共重合体であり、分子量が30,000〜100,000、水酸基価が20〜110mgKOH/gのアクリル樹脂70〜90質量%およびニトロセルロース10〜30質量%(共に固形分換算)を含み、溶剤成分として、炭素数1〜4の低級アルコールを全溶剤成分に対して50〜70質量%含むことを特徴とするシュリンク包装用印刷インキ組成物。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シュリンク包装用印刷インキ組成物、それを用いたシュリンク包装用印刷物の製造方法およびシュリンク包装用印刷物に関し、さらに詳しくは、収縮性ポリスチレン(以下、PSという)フィルムおよび収縮性ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)フィルム両方に対して印刷可能なシュリンク包装用印刷インキ組成物、それを用いたシュリンク包装用印刷物の製造方法、および収縮ラベルなどとして使用するシュリンク包装用印刷物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
今日、飲料・化粧品などの分野における各種容器として、紙容器、スチール缶、アルミ缶、ガラス容器、プラスチック容器などがそれぞれの特性を生かしながら利用されている。そして、これら各種容器の表面には、内容物の表示などのための種々の印刷が施されている。上記各種容器のうち、紙容器の場合は、シートあるいは巻紙の状態で必要な印刷が行われた後、成形されるため、印刷効率は極めて高いものである。しかし、その他の容器の場合は、予め特別な形状に成型されたものであるため、通常の印刷方式が適用出来ず、ラベル印刷物を貼り付けたり、あるいはスクリーン方式、たこ印刷または缶用の特別な印刷方式を使用して、成型された容器に直接印刷される。しかし、これらの方式は、作業効率が極めて低いものであったり、あるいは多品種少量生産に適さないものであった。
【0003】
そのため、近年被印刷材として熱収縮性フィルムを使用し、これに印刷を行なって筒状にした印刷物を容器表面に熱収縮により装着して包装とする、いわゆるシュリンク包装が広く利用されている。
【0004】
従来、この熱収縮用フィルムの材料としては、安価な塩化ビニル樹脂(以下、PVCという)が主として利用されて来た。しかしながら、焼却処理時のダイオキシン問題に代表される廃棄物処理やリサイクルなどの環境問題の点から、脱塩化ビニル樹脂を目的として、PSフィルムまたはPETフィルムを使用することが多くなり、将来はこの2種が主流となるとみられている。
【0005】
一方、シュリンク包装の印刷においては、各種フィルムの持つ特性に適した有機溶剤とバインダー樹脂を用いて、別々に異なるタイプのインキが利用されている。
【0006】
PSフィルムは、PVCフィルムやPETフィルムと比較して耐溶剤性が低いために、通常のプラスチックフィルム用印刷インキの溶剤組成では、溶剤によるフィルムの劣化を起こし、経時収縮、フィルムの強度低下(伸び・引っ張り強度)、クラックなどが生じ、使用出来なくなる。それゆえ、PSフィルム用の印刷インキにおいては、フィルムを劣化させない溶剤組成、すなわちアルコールリッチのインキを設計することが必要となる。
【0007】
そこで、PSフィルム用の印刷インキとしては、溶剤組成をアルコール/エステル系として、その溶剤系での溶解性とフィルムに対する接着性で最もバランスの良い、アクリル樹脂とセルロースアセテートブタノエートとの混合バインダー樹脂を用いた印刷インキが使用されている(例えば、特許文献1)。
【0008】
一方、PETフィルムは、溶剤による劣化を起こすことがなく、通常のフィルム用印刷インキで用いられる芳香族系やケトン系溶剤でもほぼ利用が可能である。そこで、主にフィルムに対する接着性や印刷適性が良好なウレタン/アクリル系やウレタン/塩化ビニル系の樹脂を用いたインキが使用されている。
【0009】
このように、収縮フィルムとしてPSフィルムとPETフィルムを使用する場合は、別々に設計した印刷インキを用いてシュリンク包装体などを製造しているのが実情であり、その結果、インキメーカーにおいては、小ロット・多品種のインキを製造せねばならず、インキ材料の購入やインキ製品の販売、在庫管理が煩雑となり、また、印刷メーカーにおいても、フィルムごとにインキの交換が必要で、さらに在庫管理が煩雑になるなど、インキや印刷物の製造や流通の面で非常に効率の悪いものとなっていた。
【0010】
そこで、フィルムがPSフィルムとPETフィルムの2種に集約されつつあるのを機に、両方の収縮性フィルムで印刷が可能であるインキに対する要望が高まっている。
【0011】
【特許文献1】
特開平02−173075号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、先に記載した通り、PSフィルムに印刷するインキでは、PSフィルムを劣化させない溶剤組成とせねばならず、このことはPSフィルムとPETフィルムの両方の収縮性フィルムに印刷が可能であるタイプのインキであっても同様である。ところが、現在使用されているPSフィルム用印刷インキ(アクリル樹脂とセルロースアセテートブタノエートとの混合樹脂系)はPETフィルムには接着せず、フィルムの収縮に対するインキ皮膜の耐白化性が不良となるという問題がある。
【0013】
一方、現在使用されているPETフィルム用印刷インキの溶剤組成を、PSフィルムの劣化を起こさないような系とすると、バインダーとなる樹脂の溶解性が著しく低下するため、それに起因した顔料分散性、インキの経時安定性、さらにはソワリング、ドクター切れ、泳ぎなどの印刷適性が低下するという問題がある。
【0014】
このように、PSフィルム用インキをそのままPETフィルム用インキとして使用することも、PETフィルム用インキの溶剤組成の変更による対応も不可能というのが現状である。
【0015】
従って、本発明の課題は、上記問題点を解決すべく、収縮性PSフィルムと収縮性PETフィルムの両方に印刷できるシュリンク包装用印刷インキ組成物、それを用いたシュリンク包装用印刷物の製造方法、およびシュリンク包装用印刷物を提供しようとするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明はつぎのシュリンク包装用印刷インキ組成物、シュリンク包装用印刷物の製造方法およびシュリンク包装用印刷物を提供する。
【0017】
(1)顔料、樹脂成分および溶剤成分から主として構成されるシュリンク包装用印刷インキ組成物において、前記樹脂成分として、以下の条件Aを満足するアクリル樹脂70〜90質量%およびニトロセルロース10〜30質量%(共に固形分換算)を含み、溶剤成分として、炭素数1〜4の低級アルコールを全溶剤成分に対して50〜70質量%含むことを特徴とするシュリンク包装用印刷インキ組成物。
条件A:(メタ)アクリル酸の炭素数3〜8の直鎖アルキルエステル化合物50〜70質量%、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル5〜15質量%およびその他の共重合可能なビニルモノマー15〜45質量%からなるモノマー成分を共重合して得られ、分子量30,000〜100,000、水酸基価20〜110mgKOH/gのアクリル樹脂である。
【0018】
(2)前記アクリル樹脂として、(メタ)アクリル酸の炭素数3〜8の直鎖アルキルエステル化合物が、n−ブチルメタクリレートであり、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル化合物が、2−ヒドロキシエチルメタクリレートであるモノマー成分を共重合して得たアクリル樹脂を用いてなる前記(1)項に記載のシュリンク包装用印刷インキ組成物。
【0019】
(3)前記溶剤成分として、さらにエステル系溶剤を全溶剤成分に対して30質量%以上含有する前記(1)または(2)項に記載のシュリンク包装用印刷インキ組成物。
【0020】
(4)前記(1)〜(3)項のいずれかに記載のシュリンク包装用印刷インキ組成物を、収縮性ポリスチレンフィルムまたは収縮性ポリエチレンテレフタレートフィルムに印刷することを特徴とするシュリンク包装用印刷物の製造方法。
【0021】
(5)収縮性ポリスチレンフィルムに、前記(1)〜(3)項のいずれかに記載のシュリンク包装用印刷インキ組成物を印刷して得られたシュリンク包装用印刷物。
【0022】
(6)収縮性ポリエチレンテレフタレートフィルムに、前記(1)〜(3)項のいずれかに記載のシュリンク包装用印刷インキ組成物を印刷して得られたシュリンク包装用印刷物。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のシュリンク包装用印刷インキ組成物についてより詳しく説明する。
【0024】
本発明のシュリンク包装用印刷インキ組成物は、顔料、樹脂成分としてアクリル樹脂およびニトロセルロースを主成分とする混合物、ならびに炭素数1〜4の低級アルコールを主とする溶剤成分を用いた印刷インキ組成物である。
【0025】
まず顔料としては、印刷インキで一般的に用いられている各種無機顔料、有機顔料などが使用でき、具体的には無機顔料として、酸化チタン、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛などの有色顔料、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルクなどの体質顔料を挙げることができる。さらに、有機顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料などを挙げることができる。
【0026】
つぎに、樹脂成分のアクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸の炭素数3〜8の直鎖アルキルエステル化合物、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル化合物、およびその他の共重合可能なビニルモノマーからなるモノマー混合物を常法により共重合して得られるアクリル樹脂が使用できる。
【0027】
ここで、(メタ)アクリル酸の炭素数3〜8の直鎖アルキルエステル化合物の好ましい具体例としては、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、その中でもn−ブチル(メタ)アクリレートがより好ましい。(メタ)アクリル酸の炭素数3〜8の直鎖アルキルエステル化合物の含有量は全モノマー成分中に50〜70質量%である。該化合物の全モノマー成分中における含有量が前記範囲未満では、樹脂成分の相溶性、フィルムの収縮に対するインキ皮膜の耐白化性の点で問題があり、一方前記範囲を超えると、樹脂成分の相溶性の点で問題がある。(メタ)アクリル酸の炭素数3〜8の直鎖アルキルエステル化合物に代えて(メタ)アクリル酸の炭素数3〜8の分岐鎖アルキルエステル化合物を使用すると、フィルムの収縮に対するインキ皮膜の耐白化性が低下する。
【0028】
また、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル化合物の好ましい具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、その中でも2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル化合物の含有量は全モノマー成分中に5〜15質量%である。該化合物の全モノマー成分中における含有量が前記範囲未満では、樹脂成分の相溶性の点で問題があり、一方前記範囲を超えると、基材フィルムに対する接着性の点で問題がある。
【0029】
また、上記以外の共重合可能なビニルモノマーの具体例としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸の炭素数が2以下または炭素数が9以上のアルキルエステル化合物;N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどの少なくとも1個のN−置換メチロール基を含有する(メタ)アクリル酸アミド誘導体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリート、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリートなどの(メタ)アクリル酸のアミノアルキルエステル;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのグリコール類の(メタ)アクリル酸のモノまたはジエステル類;スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン誘導体などが挙げられ、その中でも、メチルメタクリレートおよび/またはスチレンがより好ましい。他の共重合可能なビニルモノマーの含有量は、全モノマー成分中に15〜45質量%である。該モノマーの全モノマー成分中における含有量が前記範囲未満では、基材フィルムに対する接着性の点で問題があり、一方前記範囲を超えると、樹脂成分の相溶性、フィルムの収縮に対するインキ皮膜の耐白化性の点で問題がある。
【0030】
以上のモノマーを共重合して得られるアクリル樹脂の分子量(重量平均分子量、以下同様)は、30,000〜100,000の範囲であり、この範囲未満では、ブロッキング性、接着性などの塗膜物性が不十分となり、この範囲を超えると、溶解性、後記するニトロセルロースとの相溶性の点で問題となる。
【0031】
また、アクリル樹脂の水酸基価は20〜110mgKOH/gの範囲であり、この範囲未満では、後記するニトロセルロースとの相溶性が不十分となり、この範囲を超えると塗膜物性の点で問題となる。
【0032】
また、上記アクリル樹脂は、ガラス転移温度(以下、Tgという)が35〜65℃の範囲にあるものが好ましく、Tgがこの範囲より低くなるとブロッキングなどの問題が生じる傾向があり、この範囲より高くなると印刷インキ層の基材であるフィルムの収縮に対するインキ皮膜の耐白化性の点で問題が生じる傾向にある。
【0033】
上記アクリル樹脂と併用するニトロセルロースとしては、印刷インキで一般的に用いられている、種々の重合度と窒素含有率を有するLタイプおよびHタイプのものが使用でき、その中でも、溶解性の面からLタイプのものがより好適である。
【0034】
なお、前記アクリル樹脂と前記ニトロセルロースとの混合比率(固形分質量比)は、90:10〜70:30であり、アクリル樹脂の比率が前記の範囲より少ない場合は、PSフィルムに対する接着性、耐白化性の面で問題があり、一方前記の範囲より比率が多くなると、ブロッキング、顔料分散性、インキの流動性などの面で問題が生じる。
【0035】
また、アクリル樹脂およびニトロセルロースの混合物にさらに併用できる樹脂としては、ポリウレタン樹脂やハードレジンなどが挙げられ、0〜20質量%の範囲で、かつ各樹脂成分が相溶する範囲内で併用することができる。
【0036】
本発明の印刷インキ組成物における溶剤成分は、炭素数1〜4の低級アルコールを溶剤成分中に50〜70質量%含むものであり、上記アルコールの具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどが挙げられる。
【0037】
その他、従来から印刷インキ用の溶剤として使用されている酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系、トルエン、キシレンなどの芳香族系、ヘキサンなどの脂肪族系、メチルエチルケトンなどのケトン系のような溶剤が併用できる。その中でも特に好ましいのはエステル系溶剤であり、全溶剤成分に対して30質量%以上含有することが好ましい。また、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤ならびにメチルエチルケトンなどのケトン系溶剤を使用する場合は、全溶剤成分中10質量%以下であれば使用してもかまわない。
【0038】
なお、全溶剤成分中における前記アルコールの含有量が前記の範囲より少なくなると、PSフィルムを浸食し、フィルムの白化・にごり、強度の低下(伸び、引っ張り強度)、クラックなど問題が生じ、前記アルコールの含有量が前記の範囲を超えるとPSフィルムとの接着性、ニトロセルロースとアクリル系樹脂との相溶性などの点で問題が生じる。
【0039】
本発明の印刷インキ組成物において使用できるその他の材料としては、添加剤として、脂肪酸エステルなどの可塑剤、ポリエチレン、アマイドなどのワックス類、帯電防止剤、顔料分散剤などの各種の配合剤が使用できる。本発明の印刷インキ組成物は、上述の各種材料を使用し、従来一般的に使用されている各種の分散・練肉装置を使用して分散・混練することにより製造することができる。
【0040】
つぎに本発明のシュリンク包装用印刷物の製造方法およびシュリンク包装用印刷物について説明する。
【0041】
本発明のシュリンク包装用印刷インキ組成物を、好ましくはグラビアもしくはフレキソ印刷機を用いて、被印刷体である収縮性フィルム、好ましくは収縮性PSフィルムまたは収縮性PETフィルムに所望の印刷を施すことによってシュリンク包装用印刷物を得ることができる。
【0042】
このようにして得られたシュリンク包装用印刷物は、溶剤シールなどの手段によりチュービングしてPET容器あるいはガラス容器などに装着した後、所定の収縮温度に加熱し印刷した収縮性フィルムを熱収縮させて容器に密着させたシュリンクラベルや、異形物の包装、商品の結束ならびに保証包装などの機能を有するラップ用フィルム印刷物など、各種のシュリンク包装の用途に使用することができる。
【0043】
ここで、シュリンク包装用印刷インキ組成物の被印刷体である収縮性フィルムとは、未延伸フィルムを種々の延伸装置で処理し、縦横のバランスがとれた収縮率を付与せしめたものである。本発明では従来から使用されている、上記の方法で得られたものをいずれも使用でき、具体的には、ポリスチレンやポリエチレンテレフタレートなどの素材フィルムを1軸乃至2軸延伸させた熱収縮性フィルムが使用できる。市販されている代表的な熱収縮性PSフィルムとしては、シーアイ化成(株)製のEPS−35、EPS−45T、グンゼ(株)製のGS7S、GMASなどが、熱収縮PETフィルムとしては、東洋紡績(株)製のスペースクリーンS−7042、S−7542、三菱樹脂(株)製のLX−10S、LX−15Sなどが例示できる。
【0044】
本発明のシュリンク包装用印刷インキ組成物を使用し、前記収縮性PSフィルムおよび収縮性PETフィルムに印刷して得られた印刷物は、両方のフィルムにおいて、フィルムに対する接着性およびフィルムの収縮に対するインキの追従性(収縮追従性)が良好であるシュリンク包装用印刷物である。
【0045】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0046】
アクリル樹脂の製造例
表1の配合に従い、それぞれのモノマーを所定の比率(質量比)で使用し、常法により溶液重合してアクリル樹脂1〜9を製造した。なお、得られたアクリル樹脂1〜9について、それぞれの分子量、ガラス転移温度および水酸基価を測定し、その結果を表1に示した。
【0047】
実施例1〜5および比較例1〜8
<シュリンク包装用印刷インキの製造>
アゾ系顔料(製品名:FBB02、クラリアント社製)10質量部、前記アクリル樹脂1〜9の12質量部、ニトロセルロース(製品名:NC 1/8L、旭化成工業(株)製)3質量部、溶剤として、イソプロピルアルコール/酢酸エチル=60/40(質量比)の混合溶剤75重量部を使用して、常法により練肉・分散して実施例1〜5および比較例1〜8の印刷インキ組成物を製造した。なお、比較例6においては、前記溶剤組成の混合溶剤ではなく、イソプロピルアルコール/酢酸エチル=80/20(質量比)の混合溶剤を使用した。表2に、実施例1〜5および比較例1〜8において使用したアクリル樹脂の種類、アクリル樹脂とニトロセルロースの混合比率(質量比)、およびイソプロピルアルコ−ル(IPA)と酢酸エチル(EtAc)の混合比率(質量比)を示した。
【0048】
なお、使用した樹脂混合物の相溶性、混合溶剤に対する溶解性をつぎのようにして調べた。
【0049】
(1)相溶性および溶解性
表2に示される混合比率のアクリル樹脂とニトロセルロースの混合物15質量部を表2に示される混合比率のイソプロピルアルコ−ル(IPA)と酢酸エチル(EtAc)の混合溶剤75質量部に混合し充分に撹拌し、得られた樹脂液の状態を目視観察し、さらにこの樹脂液をガラス板上に流延して形成した塗膜を目視観察して、つぎの基準のしたがって評価した。その結果を表2に示す。
3:樹脂液と塗膜の両方で全く白濁が認められない。
2:樹脂液と塗膜の両方で白濁が認められる。
1:樹脂液と塗膜の両方でかなりの白濁が認められるか、または完全に白濁している。
【0050】
<シュリンク包装用印刷物の製造>
前記で得られた実施例1〜5および比較例1〜8の各印刷インキ組成物を収縮性フィルムにグラビア印刷機で印刷してシュリンク包装用印刷物を得た。収縮性フィルムとしては、収縮性PSフィルム(製品名:EPS−35、シーアイ化成(株)製)および収縮性PETフィルム(製品名:LX−10S、三菱樹脂(株)製)を使用した。
【0051】
得られた各シュリンク包装用印刷物について、インキ皮膜のフィルムに対する接着性、耐熱水性、耐白化性をつぎのようにして調べた。その結果を表2に示す。
【0052】
(2)接着性
各シュリンク包装用印刷物についてインキ皮膜のセロハンテープ剥離試験を行ない、剥離の度合を目視観察し、下記の基準にしたがって接着性の評価を行なった。
3:インキが全く剥離しない。
2:インキが剥離する。
1:大部分のインキが剥離するか、完全にインキが剥離する。
【0053】
(3)耐熱水性
各シュリンク包装用印刷物をPET容器にチューブ状にして装着し、80℃の温水に15分間浸漬し、その後、印刷物のブロッキングの度合を目視観察し、下記の基準にしたがって耐熱水性の評価を行なった。
3:全くブロッキングが認められない。
2:ブロッキングが認められる。
1:かなりのブロッキングが認められるか、または完全にブロッキングしている。
【0054】
(4)耐白化性
各シュリンク包装用印刷物をPET容器にチューブ状にして装着し、90℃の温水に30分間浸漬して収縮処理を行ない、PET容器に密着したフィルムの外観の目視観察により、以下の基準にしたがって耐白化性を評価した。
3:全く白化していない。
2:白化状態が認められる。
1:かなりの白化状態が認められるか、または完全に白化している。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【発明の効果】
以上、実施例などに示したとおり、本発明のシュリンク包装用印刷インキ組成物は、収縮性PSフィルムおよび収縮性PETフィルムに適用した場合、フィルムを何ら劣化させることなく、十分な印刷適性を有するものであり、PSフィルムおよびPETフィルム両方の収縮性フィルムで印刷が可能であるインキとして使用できる。さらに、本発明のシュリンク包装用印刷インキ組成物を使用し上記フィルムに印刷したシュリンク包装用印刷物は、両方のフィルムにおいて、インキのフィルムに対する接着性およびフィルムの収縮に対するインキ皮膜の耐白化性が良好である。
Claims (6)
- 顔料、樹脂成分および溶剤成分から主として構成されるシュリンク包装用印刷インキ組成物において、前記樹脂成分として、以下の条件Aを満足するアクリル樹脂70〜90質量%およびニトロセルロース10〜30質量%(共に固形分換算)を含み、溶剤成分として、炭素数1〜4の低級アルコールを全溶剤成分に対して50〜70質量%含むことを特徴とするシュリンク包装用印刷インキ組成物。
条件A:(メタ)アクリル酸の炭素数3〜8の直鎖アルキルエステル化合物50〜70質量%、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル5〜15質量%およびその他の共重合可能なビニルモノマー15〜45質量%からなるモノマー成分を共重合して得られ、分子量30,000〜100,000、水酸基価20〜110mgKOH/gのアクリル樹脂である。 - 前記アクリル樹脂として、(メタ)アクリル酸の炭素数3〜8の直鎖アルキルエステル化合物が、n−ブチルメタクリレートであり、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル化合物が、2−ヒドロキシエチルメタクリレートであるモノマー成分を共重合して得たアクリル樹脂を用いてなる請求項1記載のシュリンク包装用印刷インキ組成物。
- 前記溶剤成分として、さらにエステル系溶剤を全溶剤成分に対して30質量%以上含有する請求項1または2に記載のシュリンク包装用印刷インキ組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のシュリンク包装用印刷インキ組成物を、収縮性ポリスチレンフィルムまたは収縮性ポリエチレンテレフタレートフィルムに印刷することを特徴とするシュリンク包装用印刷物の製造方法。
- 収縮性ポリスチレンフィルムに、請求項1〜3のいずれかに記載のシュリンク包装用印刷インキ組成物を印刷して得られたシュリンク包装用印刷物。
- 収縮性ポリエチレンテレフタレートフィルムに、請求項1〜3のいずれかに記載のシュリンク包装用印刷インキ組成物を印刷して得られたシュリンク包装用印刷物。
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