JP2014208827A - 塗装体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プラスチック基材と該プラスチック基材の表面に形成された塗膜とを有する塗装体であって、該塗膜が、セルロース誘導体を含む塗料により得られ、且つ式(I):X−Y=ΔH≦2等級[式中、Xは、薬品処理前の鉛筆硬度であり、Yは、薬品処理後の鉛筆硬度であり、ΔHは、薬品処理前後での鉛筆硬度の等級差であり、ここで、薬品処理とは、塗装体の塗膜表面に紫外線吸収剤を含む日焼け止め剤を2.0g/100cm2の割合で塗布し、60±2℃の温度にて5時間放置する処理であり、鉛筆硬度とは、JIS K 5600−5−4:1999(ISO/DIS 15184:1996)に準拠して測定される鉛筆硬度である]の関係を満たすことを特徴とする塗装体である。
【選択図】なし
Description
X−Y = ΔH ≦ 2等級 ・・・ (I)
[式中、Xは、薬品処理前の鉛筆硬度であり、Yは、薬品処理後の鉛筆硬度であり、ΔHは、薬品処理前後での鉛筆硬度の等級差であり、ここで、薬品処理とは、塗装体の塗膜表面に紫外線吸収剤を含む日焼け止め剤を2.0g/100cm2の割合で塗布し、その後、60±2℃の温度にて5時間放置する処理であり、鉛筆硬度とは、JIS K 5600−5−4:1999(ISO/DIS 15184:1996)に準拠して測定される鉛筆硬度である]の関係を満たすことを特徴とする。
X−Y = ΔH ≦ 2等級 ・・・ (I)
[式中、Xは、薬品処理前の鉛筆硬度であり、Yは、薬品処理後の鉛筆硬度であり、ΔHは、薬品処理前後での鉛筆硬度の等級差であり、ここで、薬品処理とは、塗装体の塗膜表面に紫外線吸収剤を含む日焼け止め剤を2.0g/100cm2の割合で塗布し、その後、60±2℃の温度にて5時間放置する処理であり、鉛筆硬度とは、JIS K 5600−5−4:1999(ISO/DIS 15184:1996)に準拠して測定される鉛筆硬度である]の関係を満たすことを特徴とする。ここで、本発明の塗装体は、耐薬品性、特に日焼け止め剤に対する耐性に優れるため、人の肌・手が長時間接触するようなプラスチック成形品、具体的には、自動車及び二輪車の内装部材及び外装部材、オーディオ、ビデオ、テレビ等の家電製品用部材、携帯電話、プリンター、パソコン等の事務機器用部材に有用である。
X ≧ Y ・・・ (II)
[式中、X及びYは、上記式(I)において定義した通りである]の関係を満たす。ここで、薬品処理前後における塗膜の鉛筆硬度の等級差が2等級以下であれば、薬品処理後においても塗膜の硬度を高度に維持できるため、塗装体に優れた耐薬品性、特には日焼け止め剤に対する耐性を付与することができる。なお、薬品処理前後における塗膜の鉛筆硬度の等級差を2等級以下に抑えるためには、塗膜を形成する塗料にセルロース誘導体を用いることが好ましい。更には、セルロース誘導体の使用と、特定のガラス転移温度を持つ樹脂を組み合わせることによって、薬品処理前後における塗膜の鉛筆硬度の等級差をより確実に2等級以下に抑えることができる。
例えば、メチルメタクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドメチルエーテル、N−メチロールアクリルアミドブチルエーテル等が挙げられる。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wi/Tgi+・・・+Wn/Tgn
上記FOX式において、Tgは、n種類のモノマーからなるポリマーのガラス転移温度(K)であり、Tg(1、2、i、n)は、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度(K)であり、W(1、2、i、n)は、各モノマーの質量分率であり、W1+W2+・・・+Wi+・・・+Wn=1である。
樹脂固形分1g中の遊離水酸基を無水酢酸で完全にアセチル化した後、それを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を定量した。
加熱残分は、約3グラムの樹脂溶液、前駆体溶液又は塗料をアルミカップに精秤し、これを150℃オーブンで30分間乾燥させ、次いで、残留物の質量を精秤し、元の質量に対する残留物の質量の割合を加熱残分(質量%)として求めた。
数平均分子量(Mn)の測定は、TSKgelカラム(東ソー(株)社製)を用い、RIを装備したGPC(東ソー(株)社製;HLC−8220GPC)により求めた。GPCの条件として、展開溶媒にテトラヒドロフランを用い、流速0.35ml/分、温度40℃にて測定を行った。なお、TSK標準ポリスチレン(東ソー(株)社製)を標準物質として用いた。
下記に示す調製例に従い、アクリル変性セルロース誘導体、ポリウレタン/アクリル変性セルロース誘導体、及びポリウレタン/ポリエステル変性セルロース誘導体を合成した。
1−1.樹脂溶液A
(第1工程)
攪拌機、温度計、還流冷却器等を備えた反応容器中に、メチルエチルケトン64質量部、及びセルロースエステル[EastmanTM Cellulose Acetate Butyrate(CAB−171−15),イーストマンケミカル社製]16質量部を入れ、これらを加熱撹拌し、75℃に達してから、2−イソシアナトエチルメタクリレート0.1質量部を加え、第1混合物を得た。第1混合物をさらに75℃で1時間攪拌させ、次いで、該第1混合物中に、スチレン7.5質量部、メチルメタクリレート7.5質量部及びベンゾイルパーオキサイド1質量部を予め混合して得た混合物を3時間かけて滴下し、第2混合物を得た。
滴下終了後、75℃を保持したまま、第2混合物中に、ベンゾイルパーオキサイド0.5質量部及びメチルエチルケトン5質量部を予め混合して得た混合物を1時間かけて滴下し、第3混合物を得た。さらに75℃で3時間撹拌を続けた後、冷却した。第3混合物にメチルエチルケトン29質量部を加えて、攪拌し、樹脂溶液Aを得た。なお、樹脂溶液Aの加熱残分は25.0質量%であり、樹脂溶液A中に含まれるアクリル変性セルロース誘導体の数平均分子量は7300であった。
表1に示す化合物を用いる以外は、樹脂溶液Aと同様の方法により、樹脂溶液B〜Eを調製した。なお、樹脂溶液の加熱残分及び樹脂溶液中に含まれるアクリル変性セルロース誘導体の数平均分子量を表1に示す。
*2 酢酸酪酸セルロース,EastmanTM Cellulose Acetate Butyrate(CAB−381−2),イーストマンケミカル社製.
*3 ニトロセルロース,RS1/8,KOREA CNC LTD.製,ニトロセルロース中における窒素含有量:12.2質量%,RS1/8中におけるイソブロピルアルコール含有量30質量%.
2−1.前駆体溶液X
2−1−1.樹脂溶液Xの調製例
(第1工程)
攪拌機、温度計、還流冷却器等を備えた反応容器中に、酢酸ブチル(溶剤)30質量部を入れ、これを加熱撹拌し、110℃に達してから、ここに、スチレン(モノマー)18質量部、メチルメタクリレート(モノマー)18質量部、2−エチルヘキシルアクリレート(モノマー)11質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(モノマー)1質量部、及びターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(重合開始剤)1.5質量部を予め混合して得た混合物を3時間かけて滴下し、第1混合物を得た。
滴下終了後、110℃を保持したまま、第1混合物中に、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(重合開始剤)0.5質量部及び酢酸ブチル(溶剤)5質量部を予め混合して得た混合物を1時間かけて滴下し、第2混合物を得た。さらに110℃で1.5時間撹拌を続けた後、冷却した。第2混合物に酢酸ブチル(溶剤)15質量部を加えて攪拌し、樹脂溶液Xを得た。なお、樹脂溶液Xの加熱残分は、50質量%であり、樹脂溶液X中に含まれる水酸基含有アクリル樹脂(アクリルポリオール)は、水酸基価が9mgKOH/gであり、数平均分子量が4500、ガラス転移温度が51℃(FOX式により計算)であった。
攪拌機、温度計、還流冷却器等を備えた反応容器中に、樹脂溶液X100質量部を入れ、これを加熱撹拌し、100℃に達してから、ここに、ヘキサメチレンジイソシアネート(ポリイソシアネート)1.4質量部、及び酢酸ブチル(溶剤)1.4質量部を予め混合して得た混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃で5時間撹拌を続けた後、冷却し、前駆体溶液Xを得た。なお、前駆体溶液Xの加熱残分は50質量%であり、前駆体溶液X中に含まれるイソシアネートプレポリマーの数平均分子量は4700であった。
2−2−1.樹脂溶液Yの調製例
バイロン200(東洋紡製ポリエステルポリオール、水酸基価:9mgKOH/g、ガラス転移温度:67℃)を酢酸ブチルに溶解させて、樹脂溶液Yを調製した。なお、樹脂溶液Yの加熱残分が50質量%となるように調整した。
攪拌機、温度計、還流冷却器等を備えた反応容器中に、樹脂溶液Y100質量部を入れ、これを加熱撹拌し、100℃に達してから、ここに、ヘキサメチレンジイソシアネート(ポリイソシアネート)1.4質量部、及び酢酸ブチル(溶剤)1.4質量部を予め混合して得た混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃で5時間撹拌を続けた後、冷却し、前駆体溶液Yを得た。なお、前駆体溶液Yの加熱残分は50質量%であり、前駆体溶液Y中に含まれるイソシアネートプレポリマーの数平均分子量は5000であった。
(第1工程)
攪拌機、温度計、還流冷却器等を備えた反応容器中に、メチルエチルケトン64質量部、及びセルロースエステル(CAB−171−15)16質量部を入れ、これらを加熱撹拌し、75℃に達してから、ここに、前駆体溶液X32質量部を3時間かけて滴下した。滴下終了後、IRによりイソシアネート基が確認できなくなるまで反応させ、次いで冷却し、反応混合物を得た。
冷却後、反応混合物にメチルエチルケトン16質量部を加えて、攪拌し、樹脂溶液Fを得た。なお、樹脂溶液Fの加熱残分は25.0質量%であり、樹脂溶液F中に含まれるポリウレタン/アクリル変性セルロース誘導体の数平均分子量は7200であった。
表2に示す化合物を用いる以外は、樹脂溶液Fと同様の方法により、樹脂溶液G〜Kを調製した。なお、樹脂溶液の加熱残分及び樹脂溶液中に含まれるポリウレタン/アクリル変性セルロース誘導体又はポリウレタン/ポリエステル変性セルロース誘導体の数平均分子量を表2に示す。
表3〜5に示す配合処方に従って、原料を混合し、公知の手法により分散させ、塗料を調製した。次に、4milアプリケーターを用い、乾燥膜厚が30〜40μmになるような塗布量にて該塗料をABS樹脂板に塗装し、10分間放置させ、その後、60℃にて30分間乾燥させ、参考例1〜12、実施例13〜18及び比較例1〜4の塗装体を得た。塗膜の鉛筆硬度及び窒素原子含有量を下記の方法で測定・評価した。結果を表3〜5に示す。
まず、JIS K 5600−5−4:1999(ISO/DIS 15184:1996)に準拠して、薬品処理前の塗膜の鉛筆硬度を引っかき硬度試験用鉛筆(Uni MITSUBISHI、三菱鉛筆社製)で判定した。次いで、塗装体の塗膜表面に、日焼け止め剤[商品名:ウルトラシアードライタッチ・サンブロックSPF45,ニュートロジーナ社製,紫外線吸収剤:サリチル酸エステル誘導体(10質量%)及びベンゾフェノン誘導体(5質量%)]を2.0g/100cm2の割合で塗布し、その後、強制対流のない乾燥機に60±2℃の温度にて5時間放置し、薬品処理を行った。その後、水洗して日焼け止め剤を除去し、最後に、薬品処理後の塗膜の鉛筆硬度を同一の手法で判定した。
塗膜中の窒素原子含有量は、JIS M8819:1997に準拠し、全自動元素分析装置(PerkinElmer社製2400II)を使用し、以下の測定手順で行った。
まず、2mg〜3mgの試料を用意し、キャリアガスとしてのヘリウム雰囲気下、約950℃の燃焼管に純粋な酸素を送り込み、該試料を構成する化合物を完全に燃焼させ、該化合物の炭素原子(C)をCO2に、窒素原子(N)をN2に、水素原子(H)をH2Oに変換させる。余分な酸素は、還元管の還元銅により酸化銅に変換し、ハロゲンと硫黄は、銀粒カラムを通してハロゲン化銀、硫化銀に変換し、それぞれトラップされる。よって、完全燃焼後に残る気体は、CO2、N2、H2O及びヘリウムの混合気体である。該混合気体は、測定セル中を順に通り抜ける。なお、測定セルにはフィラメントが置かれている。H2Oの吸収管を混合気体が通り、H2Oを取り除く。その前後には測定セルがあり、抵抗値の差が計数に変換され出力される。次いで、CO2の吸収管を気体が通り、CO2を取り除く。同様に、その前後の抵抗値の差が計数に変換され出力される。また、N2の計数を求める際には、ディレイコイル中のヘリウムが先に測定セルに送られ、ヘリウムの抵抗値が測定され、その後、混合気体が測定セルに送られ、混合気体の抵抗値が測定される。この抵抗値の差が変換され、N2の計数値を算出する。既知の組成比を持つ標準物質によって得られた計数を用い、気圧による補正を行い、元素ごとの感度係数を決定する。得られた感度係数を用いて、試料中の窒素含有量を計算する。
*5 顔料,TI−PURE R−960,デュポン(株)社製,二酸化チタン.
*6 顔料,MA−100,三菱化学(株)社製,カーボンブラック.
*7 顔料,F.X1690,東洋アルミニウム(株)社製,有機物により表面処理されたアルミニウムペースト.
Claims (3)
- プラスチック基材と該プラスチック基材の表面に形成された塗膜とを有する塗装体であって、該塗膜が、セルロース誘導体と、セルロース誘導体以外の樹脂であって、ガラス転移温度が50℃以上の樹脂とを含む塗料であって、該セルロース誘導体がニトロセルロースであり、該セルロース誘導体以外の樹脂がアクリル樹脂又はポリエステル樹脂である塗料により得られ、且つ下記式(I):
X−Y = ΔH ≦ 2等級 ・・・ (I)
[式中、Xは、薬品処理前の鉛筆硬度であり、Yは、薬品処理後の鉛筆硬度であり、ΔHは、薬品処理前後での鉛筆硬度の等級差であり、ここで、薬品処理とは、塗装体の塗膜表面に紫外線吸収剤を含む日焼け止め剤を2.0g/100cm2の割合で塗布し、その後、60±2℃の温度にて5時間放置する処理であり、鉛筆硬度とは、JIS K 5600−5−4:1999(ISO/DIS 15184:1996)に準拠して測定される鉛筆硬度である]の関係を満たすことを特徴とする塗装体。 - 前記塗膜が、窒素原子を0.2〜13質量%含むことを特徴とする請求項1に記載の塗装体。
- 前記塗料が、顔料を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の塗装体。
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