JP3686473B2 - 高酸価を有する重合体およびその用途 - Google Patents
高酸価を有する重合体およびその用途 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性に優れること、および、特定の酸価とガラス転移点分布とを持つことを特徴とする重合体、および、その用途に関する。本発明の重合体は、種々の成形材料、特に、フィルム、シートなどの分野で用いた場合に有用である。フィルムは、包装袋、粘(接)着シート、窓あき封筒および各種加工紙として用いた場合に特に有用であり、また、他の各種樹脂との積層フィルムとして用いることもできる。本発明の重合体は、コーティング剤としても用いることができ、各種の紙およびフィルムの上にコーティングした場合に有用である。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ビニル系重合体の多くは、狭い温度範囲、20℃程度でガラス転移し、示差走査熱量計(以下、DSCと略す)で測定して得られる微分曲線はガラス転移温度(以下、Tgと略す)に対応する1つのピークのみを有する。特にアクリル系フィルムなどの場合には、フィルムを構成している重合体組成物のTgは20〜40℃である。そのために、これらのフィルムは、▲1▼温度による強度の変化が大きく、▲2▼高温でブロッキングし易く、▲3▼低温で柔軟性が低く、▲4▼引っ張り強度および引き裂き強度が低いという問題点も有している。
【0003】
従来からポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンおよびポリスチレン等のフィルムと粘(接)着剤とからなる粘(接)着シートがあり、このようなシートはガラスビン等のラベルとして使用されるが、単にアルカリ洗浄を行っただけでは、ラベルを除去することはできないため、ガラスビンのリサイクルが非常に困難であるという問題がある。また、特開昭60−161045号公報には、窓あき封筒の窓部フィルムとして上述のフィルムを用いた例が開示されているが、これらのフィルムはいずれも水溶性および/またはアルカリ可溶性でないので、封筒を故紙として回収利用する際の障害となっている。窓あき封筒については、特開平6−161045号公報および特開平7−41585号公報に、ポリビニルアルコール系フィルムを用いることが開示されているが、これらのフィルムは耐水性が不十分である、あるいは溶解するのに長時間かかる、あるいは吸湿によって容易にブロッキングしてしまうという問題がある。
【0004】
このような状況からビニル系重合体においても、水溶性および/またはアルカリ可溶性であると、リサイクルを念頭に置いた場合、ラベルの他、種々の用途に使用することができるため、最近、水溶性および/またはアルカリ可溶性のビニル系重合体の必要性が高くなっている。
1つのTgを有するビニル系重合体として、たとえば、特開平1−165685号公報には、アルカリ水に溶ける(メタ)アクリレート・(メタ)アクリル酸重合体のフィルムおよびラベルが開示されている。また、特開平5−96689号公報には、α,β−不飽和カルボン酸またはビニル基含有酸無水物を含むアクリル酸エステル系重合体を主成分とし、アルカリ性溶液に可溶なプラスチックの層を紙に積層した積層紙が開示されている。これらのフィルム、ラベルおよび積層紙は、共に、重合体がTgを1つだけ有するものであるため、上記▲1▼〜▲4▼の問題点を有する。これらの問題点を解決するための方法として、Tgを1つだけではなく、複数有する重合体を設計することが考えられる。
【0005】
複数のTgを有するアクリル樹脂組成物として、特開昭59−215365号公報には、Tgが20〜50℃のアクリル樹脂エマルジョンとTgが−10〜15℃のアクリル樹脂エマルジョンとの混合物を主体とする樹脂組成物が開示されている。この樹脂混合物は、複数のTgを有しているので剥離性および密着性に優れるが、単一の重合体ではなく混合物であるため分子レベルで見ると均一ではなく、従って、この樹脂混合物から得られるフィルムは透明性が悪く、引っ張ると白化し易く、引き裂き強度も低い。さらに、このアクリル樹脂エマルジョンは水溶性でもアルカリ可溶性でもない。
【0006】
また、ブレンド物以外で複数のTgを有していると思われる重合体としては、特開平5−179092号公報および特公平6−51860号公報に示されているものがある。これらの技術は乳化重合に関するものである。一般的に、乳化重合で用いることのできる単量体は重合性単量体の一部に過ぎず、そのために重合体の設計には大きな制約があり、得られる被膜の物性にも限界がある。
【0007】
また、前記特開平5−179092号公報および特公平6−51860号公報では、多段乳化重合法によって、いわゆる“コア−シェル”構造をもつ乳化重合物が合成されているが、このような“コア−シェル”構造をもつ乳化重合物を用いて被膜を作成した場合には、通常、シェルの部分は融着するが、コアは殆どそのまま残る。その結果として被膜は、シェルの部分から生じた連続相にコアが分散した、不均質な構造となる。そのために、“コア−シェル”構造をもつ乳化重合物を用いて作成された被膜は、一般的に、機械的強度が弱い、引っ張り時や吸水時に白化しやすいなどの問題点を有する。前記特開平5−179092号公報および特公平6−51860号公報に示されている乳化重合物は、主として塗料用被膜などを形成する重合体に関するものであり、塗料などに用いるための乳化重合物としては従来のものより機械的強度や耐水性などが改良されているものの、包装袋やラベル基材などの特に透明性が要求される分野に用いるフィルムとしては、透明性と機械的強度が不足しており、吸水時の白化も問題となる。
【0008】
さらに、前記特開平5−179092号公報および特公平6−51860号公報に示されている乳化重合物は、水溶性でもアルカリ可溶性でもない。
また、柔軟性と引張強度を併せもたせるための別の方法として、広い温度範囲でガラス転移を起こす重合体を用いることがある。そのような重合体を得る方法として、特開昭50−63085号公報に示されている通常パワーフィード法と称される方法がある。この方法によって得られる重合体は、DSCで測定して得られる微分曲線はブロードな1つのピークを示す。この方法によって得られるフィルム用ビニル系重合体は、引張強度および柔軟性などのバランスの点から考えて、必然的に20℃〜40℃にTgを持つ重合体を成分として多く有することになる。そのためにこのフィルム用重合体は、通常フィルムが使用される温度範囲において機械的強度などが著しく変化する問題点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
特公平6−51860号公報に記載された乳化重合法を用いて、水溶性および/またはアルカリ可溶性となるような酸価の高い重合体を合成することを試みると、必須成分であるα,β−不飽和カルボン酸単量体の一部が水中に溶解し、水溶液重合する。このようにして、当初の設計よりα,β−不飽和カルボン酸単位を多く含む重合体が副生し、その結果として、重合体の耐水性が当初の設計より悪くなる。また、このようなα,β−不飽和カルボン酸単位を多く含む重合体は、乳化重合で同時に生成する別の重合体とは溶解度パラメーターが大きく異なり、相溶しない。その結果として得られる重合体は、全体として均質ではなく、不透明で、機械的強度も弱い。
【0010】
このような事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、温度変化による物性変化が少なく、水溶性および/またはアルカリ可溶性を有し、透明性に優れ、引っ張り時や吸水時の白化が少ない重合体を提供することである。
本発明が解決しようとする別の課題は、印刷可能で、高温でブロッキングしにくく、低温で柔軟性が高く、水溶性および/またはアルカリ可溶性で、透明性および光沢に優れ、引っ張り時や吸水時の白化が少ないコーティング層を形成できる、コーティング剤を提供することである。
【0011】
本発明が解決しようとするさらに別の課題は、印刷可能で、温度変化による強度変化が少なく、高温でブロッキングしにくく、低温で柔軟性が高く、引っ張り強度および引き裂き強度が高く、引っ張り時や吸水時の白化が少なく、水溶性および/またはアルカリ可溶性で、透明性に優れた、フィルムからなる包装袋を提供することである。
【0012】
本発明が解決しようとするさらに別の課題は、印刷可能で、温度変化による強度変化が少なく、高温でブロッキングしにくく、低温で柔軟性が高く、引っ張り強度および引き裂き強度が高く、引っ張り時や吸水時の白化が少なく、水溶性および/またはアルカリ可溶性で、透明性に優れたフィルムを備え、故紙として容易に回収利用できる窓あき封筒を提供することである。
【0013】
本発明が解決しようとするさらに別の課題は、印刷可能で、高温でブロッキングしにくく、低温で柔軟性が高く、水溶性および/またはアルカリ可溶性で、透明性および光沢に優れたフィルム層を有する、再生可能加工紙および再生可能剥離紙を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の重合体は、α,β−不飽和カルボン酸単量体とビニル系単量体とを重合して得られる酸価が70mgKOH/g以上の重合体であって、示差走査熱量計(DSC)で測定して得られる微分曲線が−80〜120℃の間に2つ以上のピークトップを有し、平行光線透過率が70%以上である。
【0015】
前記微分曲線が、−30〜20℃の間と、40〜100℃の間のそれぞれにピークトップを有し、前記平行光線透過率が80%以上であると好ましい。
前記ビニル系単量体の30重量%以上がアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルであり、非水系で重合して得られると好ましい。
【0016】
前記α,β−不飽和カルボン酸単量体がアクリル酸および/またはメタクリル酸であり、前記α,β−不飽和カルボン酸単量体の構造単位が重合体中の9重量%以上であると好ましい。
前記重合体は多価金属塩を含む組成物の形であるとさらに好ましい。
本発明のコーティング剤は、前記重合体または重合体組成物と、有機溶媒とを含む。
【0017】
本発明の包装袋は、前記重合体または重合体組成物を含むフィルムからなる。
本発明の窓あき封筒は、窓部を有する封筒本体と、前記重合体または重合体組成物を含み前記窓部を塞ぐフィルムとを備える。
【0018】
本発明の再生可能加工紙は、紙基材と、前記重合体または重合体組成物を含み前記紙基材に積層されたフィルムとを備える。
本発明の再生可能剥離紙は、紙基材と、前記重合体または重合体組成物を含み前記紙基材に積層されたフィルムと、前記フィルムに積層された剥離剤層とを備える。
【0020】
【発明の実施の形態】
高酸価を有する重合体およびその製造方法
本発明の重合体は、α,β−不飽和カルボン酸単量体とビニル系単量体とを重合して得られる酸価が70mgKOH/g以上の重合体である。
前記α,β−不飽和カルボン酸単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等のα,β−不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸無水物;マレイン酸モノエステル、フマル酸モノエステル、イタコン酸モノエステル等のα,β−不飽和ジカルボン酸モノエステルを挙げることができる。これらのα,β−不飽和カルボン酸単量体の2種類以上を併用してもよい。
【0021】
α,β−不飽和カルボン酸単量体として、アクリル酸および/またはメタクリル酸を使用すると、柔軟性および靱性が向上するため好ましい。
前記ビニル系単量体の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ステアリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等の炭素数1〜18の一価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系単量体;ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等の水酸基含有ビニル系単量体;グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有ビニル系単量体;アクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛等のα,β−不飽和カルボン酸の金属塩;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;酢酸ビニル等の脂肪族ビニル系単量体;塩化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有ビニル系単量体;アリルエーテル類;無水マレイン酸、マレイン酸のモノおよびジアルキルエステル等のマレイン酸誘導体;フマル酸のモノおよびジアルキルエステル等のフマル酸誘導体;マレイミド、N−メチルマレイミド、ステアリルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド誘導体;イタコン酸のモノおよびジアルキルエステル、イタコンアミド類、イタコンイミド類、イタコンアミドエステル類等のイタコン酸誘導体;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等のジエン類等を挙げることができる。これらのビニル系単量体の2種類以上を併用してもよい。
【0022】
ビニル系単量体として、アクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルを使用すると、柔軟性、靱性、光沢、耐候性および透明性に富んだフィルムが得られるため好ましい。また、その配合量が使用されるビニル系単量体全体の30重量%以上であると、柔軟性、靱性、光沢、耐候性および透明性がさらに上がるために好ましい。さらに、アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルが、炭素数1〜18の一価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステルであると、柔軟性、靱性、光沢、耐候性がさらに向上するため好ましい。
【0023】
前記α,β−不飽和カルボン酸単量体およびビニル系単量体の合計量に対するα,β−不飽和カルボン酸単量体の使用割合が、前記合計量の9重量%以上であると、α,β−不飽和カルボン酸単量体が重合して得られるα,β−不飽和カルボン酸単量体の構造単位が、重合体中の9重量%以上となり、溶解性が十分な重合体が得られるため好ましい。α,β−不飽和カルボン酸単量体の使用割合が前記合計量の9〜40重量%であると、潮解性、耐水性および柔軟性のバランスがとれた重合体が得られるためさらに好ましい。
【0024】
本発明の重合体は、高酸価を有するため水溶性および/またはアルカリ可溶性であり、その酸価は70mgKOH/g以上である。耐水性が要求される場合には、70〜250mgKOH/gであると好ましい。なお、酸価測定の具体的手法については特に限定はないが、たとえば、平沼産業(株)製の自動滴定装置(COMTE−980)を用い、フィルム1gをメタノール100gに溶解させた溶液を0.1N水酸化ナトリウム水溶液で滴定して求める方法が挙げられる。
【0025】
本発明の重合体の数平均分子量は10000以上である。前記重合体を特にフィルムなどの用途に用いる場合には、成形加工性の点から考えて数平均分子量が10000〜500000であると好ましい。
本発明の重合体においては、そのTgの分布が最も重要である。重合体のTgの分布はDSCで測定して得られる微分曲線から判断される。一般的にDSCで測定して得られる微分曲線は、ノイズや微小なピークを多数有しているが、本発明でいうピークトップは、明らかに主なピークであると認められる大きさのピークにおいて、最も大きい微分値を示す部分のことである。
【0026】
上記主なピークとしては、ピークトップの高さが50μW/min以上で、半値幅が5℃以上で30℃以下であるものが好ましい。半値幅が5℃以上が好ましい理由は、添加剤等から由来するピークは半値幅が5℃未満の小さいものが多く、これらを本発明の重合体に由来するピークと区別することができるためである。
【0027】
前記微分曲線においては、それぞれの温度でのベースラインからのピークの高さは、その温度における単位時間あたりの吸熱量がどれだけ大きく変化しているかを表しており、その温度がTgである個々の成分重合体がどれだけ多いかを示していると考えられる。従って、ピークの高さを比較することにより、その温度がTgである成分重合体の多さを比較することもでき、微分曲線全体の面積と個々のピークの面積を比較することにより、それぞれの温度がTgである個々の成分重合体が全体の中で占める割合を判断することもできる。このようなことから、DSCでの測定は非常に重要であり、一定条件で測定を行うことが肝要である。なお、DSCの測定方法の具体的手法については特に限定はないが、たとえば、セイコー電子工業(株)製のDSC220Cで、10mgの試料を使用して窒素雰囲気下で測定する。測定条件として、150℃まで昇温した後、5分間保持した後、−100℃まで急冷して、5分間保持してから、150℃まで10℃/minで昇温する方法が挙げられ、これによって、DSC曲線およびDSC微分曲線が得られる。微分曲線に対するベースラインは、微分値が0μW/minの位置を結んで引かれる。
【0028】
本発明の重合体では、DSCで測定して得られる微分曲線が−80〜120℃の間に2つ以上のピークトップを有している。前記微分曲線が、−30〜20℃の間と、40〜100℃の間のそれぞれにピークトップを有していると好ましい。低温側のピークトップが−30〜20℃の間にあると、重合体を含むフィルムなどは、低温での柔軟性が高く、引き裂き強度が強く、しかもブロッキングもあまり問題にならない。また、高温側のピークトップが40〜100℃の間にあると、重合体を含むフィルムなどは、引張強度および腰が強く、ブロッキングが生じない。
【0029】
前記微分曲線において、前記低温側のピークトップと前記高温側のピークトップとのベースラインからの高さの比〔低温側のピークトップの高さ/高温側のピークトップの高さ〕は、その用途によって好ましい比率がある。たとえば、本発明の重合体を、特にフィルム、ラベル等に使用される粘(接)着シートなどに用いる場合には、1/9〜6/4であると、機械的強度および耐ブロッキング性等のバランスからは好ましい。さらに具体的には、引き裂き強度、伸び率または低温での柔軟性を重視する場合は2/8〜6/4が好ましく、引張強度または耐ブロッキング性を重視する場合は1/9〜4/6が好ましい。
【0030】
また、DSCで測定して得られる微分曲線のピークトップが20〜40℃の間に存在しても構わないが、あまりピークが大きいと重合体から得られるフィルムなどは感温性が大きくなり、通常使用される温度範囲で機械的強度などの変化が大きいものとなる。従って、20〜40℃の間のピークが占める面積の割合は、全体のピーク面積の50%以下であるのが好ましい。
【0031】
ただし、低温側のピークトップを形成している成分と高温側のピークトップを形成している成分との相溶性が良くない場合には、両成分の中間的組成の成分である20〜40℃の間のピークを形成している成分が存在すると、前記両成分の相溶化剤として作用して充分な透明性が得られるために好ましい。この場合に、微分曲線において20〜40℃の間のピークが占める面積の割合は、全体の5%以上、より好ましくは全体の10%以上であるのが好ましい。
【0032】
本発明の重合体は均質な構造をもつために高い透明性を有することを特徴とする。透明性は、たとえば、ハロゲンランプと偏光フィルターとを備えている濁度計(日本電色工業(株)のND−101DP等)を用いて測定した400〜700nmの可視光線に対する平行光線透過率の値で評価される。平行光線透過率は、23℃、65%RHの雰囲気下で24時間放置して試料の状態を調整した厚さ65μmのフィルム試験片に対して、厚み方向に可視光線を照射して測定される。なお、測定に使用する試験片に対しては、エンボス加工等の表面を修飾する特殊な加工は一切施さない。
【0033】
本発明の重合体での平行光線透過率は70%以上である。さらに透明性の要求される用途に使用する場合には、平行光線透過率が80%以上であるとより好ましい。ただし、この平行光線透過率は試料の状態などによって測定結果に差が生じることがあるので、同一条件下で評価する必要がある。
本発明の重合体が多価金属塩をさらに含むと、機械強度(引っ張り強度および引き裂き強度)が高く、ブロッキングも起こしにくくなり、温度または湿度の変化に対してさらに安定した強度および寸法特性を有するようになるため好ましい。
【0034】
多価金属塩を構成する多価金属の具体例としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムのIIa 族金属;亜鉛、カドミウムおよび水銀のIIb 族金属;ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウムおよびタリウムのIIIb族金属を挙げることができる。これらの多価金属の2種類以上を併用してもよい。中でも、多価金属がマグネシウム、カルシウムおよび亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属であると、重合体を含むフィルムの伸び特性、耐水性、透明性および経済性の観点から好ましい。
【0035】
多価金属塩の具体例としては、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛、酢酸カドミウム、酢酸アルミニウム等の酢酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸カドミウム、炭酸アルミニウム等の炭酸塩;シュウ酸マグネシウム、シュウ酸カルシウム、シュウ酸亜鉛、シュウ酸カドミウム、シュウ酸アルミニウム等のシュウ酸塩;リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸カドミウム、リン酸アルミニウム等のリン酸塩;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸アルミニウム等のステアリン酸塩を挙げることができる。
【0036】
多価金属塩の中でも、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛を含むと、重合体を含むフィルムの伸び、耐水性、透明性および均質性の観点から好ましい。
本発明の重合体としては、非水系で重合して得られるものが好ましい。非水系での重合としては、たとえば、有機溶媒を用い水を使用しない溶液重合またはバルク重合が挙げられる。非水系での反応が好ましい理由は、水溶液中の重合では使用できる単量体に制約があり、また水系の乳化重合等で得られる高酸価を有する重合体を含むフィルムは構造が不均質であるために透明性が悪く、白化し易く、強度も十分ではないからである。重合方法の具体例としては、アニオン重合、カチオン重合およびラジカル重合を挙げることができるが、ラジカル重合が好ましい。
【0037】
ラジカル重合で使用されるラジカル重合開始剤については、特に限定はなく、その具体例として、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物系開始剤等を挙げることができる。これらのラジカル重合開始剤の2種類以上を併用してもよい。
【0038】
溶液重合で使用される溶媒としては、ラジカル重合反応を妨げない、水以外の溶媒であれば特に制限はなく、その具体例として、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の脂肪族エステル類等を挙げることができる。これらの溶媒の2種類以上を併用してもよい。
【0039】
本発明の重合体の製造に使用される反応容器は、任意の反応容器を使用することができる。反応容器の具体例としては、通常の槽型反応器のほか、ニーダーや、スタティックミキサー等の管式反応器等を挙げることができる。このような反応器を必要に応じて複数用いることができる。また、滴下槽も必要に応じて用いられる。
【0040】
前記重合体を製造する際の反応容器内の圧力は、減圧、常圧および加圧のいずれの圧力下であってもよい。
本発明の重合体の製造方法としては、たとえば、少なくとも9重量%以上のα,β−不飽和カルボン酸単量体と1種以上のその他のビニル系単量体とからなる複数の単量体成分(ただしそれぞれの単量体成分はガラス転移温度の異なる重合体を与える)を、多段階の重合工程を用いて非水系重合する重合体の製造方法であって、少なくとも1つの単量体成分Aの一部を重合する工程と、該単量体成分Aの残りと他の単量体成分とを、重合系で配合比を逐次変化させつつ重合することを特徴とするものであれば特に制限はない。
【0041】
ここで、本発明での各単量体成分が与える重合体のTgとは、単量体成分が1種類の単量体のみからなる場合には、一般に認められている各単独重合体のTgのことである。また、単量体成分が2種類以上の単量体からなる場合には、各単量体の単独重合体(A,B,C,・・・)のTgの値(Tga ,Tgb ,Tgc ,・・・単位はK)を用いて共重合体のガラス転移点を予測する際に一般的によく使われる次の式(1)によって計算されるTg(K)のことである。
【0042】
Tg=1/(a/Tga +b/Tgb +c/Tgc +・・・) ・・(1)
ただし、a,b,c,・・・は各単量体A,B,C,・・・の重量分率であり、a+b+c+・・・=1である。
式(1)を用いた計算の具体例を示すと、アクリル酸エチル80重量部、アクリル酸10重量部およびメタクリル酸メチル10重量部からなる単量体成分の場合には、各々の単独重合体のTgが249K、376Kおよび378Kであるので、計算上のTgは、
となる。
【0043】
本発明の重合体の製造方法としては、たとえば、以下の方法IまたはIIで製造すると、さらに容易かつ効率よく製造することができるために好ましい。
方法I:上記製造方法において、前記配合比を逐次変化させる手法として、単量体成分Aを重合率20〜80%まで非水重合した系に、他の単量体成分を滴下または分割投入しながらさらに行う方法。具体的には、単量体成分Aを重合率20〜80%まで非水系重合した系に、単量体成分AとはTgの異なる重合体を与える他の単量体成分Bを滴下しながらさらに重合を行い、その後さらに、必要に応じて単量体成分AおよびBとはTgの異なる重合体を与える他の単量体成分C,Dなどを滴下または分割投入しながら重合を行う。
【0044】
単量体成分Aが与える重合体のTgと、他の単量体成分C,Dなどが与える重合体とのTgが30℃以上異なると、種々の物性を兼ね備えることが可能となるため好ましい。
具体的には、本発明の重合体を特にフィルム用として用いる場合には、単量体成分Aおよび他の単量体成分B,C,Dが与える重合体中の1つのTgが−30〜20℃であり、かつ、他の1つの重合体のTgが50〜120℃であると、得られるフィルムは引張強度が強く、ブロッキングも問題にならないので好ましい。また、単量体成分A,B,C,D等が、いずれも、7重量%以上のα,β−不飽和カルボン酸単量体を含み、かつ、これら単量体成分間で、α,β−不飽和カルボン酸単量体の含有量の差が10重量%以下であると、得られる重合体の相溶性が良いために、特に透明性に優れるようになり、溶解性および耐水性等の物性について、均一な物性の重合体となるため好ましい。たとえば、単量体成分Aが10重量%のα,β−不飽和カルボン酸単量体を含む場合には、他の単量体成分B等のα,β−不飽和カルボン酸単量体の含有量が20重量%以下であるのが好ましく、単量体成分Aおよび他の単量体成分B等のα,β−不飽和カルボン酸単量体の含有量がいずれも同じ量であると、得られる重合体の透明性が最も高くなるため好ましい。
【0045】
方法II:単量体成分Aおよび単量体成分AとはTgの異なる重合体を与える他の単量体成分B,C,Dなどを、それぞれ個別に重合率20〜80%まで非水系重合した後、単量体成分Aの反応容器中に、単量体成分A以外の単量体成分の反応容器の内容物を滴下または分割投入しながらさらに重合を行う。
方法Iと同様に方法IIにおいても、単量体成分Aが与える重合体のTgと、他の単量体成分C,Dなどが与える重合体とのTgが30℃以上異なると、種々の物性を兼ね備えることが可能となるため好ましい。
【0046】
具体的には、本発明の重合体を特にフィルム用として用いる場合には、単量体成分Aおよび他の単量体成分B,C,Dが与える重合体中の1つのTgが−30〜20℃であり、かつ、他の1つの重合体のTgが50〜120℃であると、得られるフィルムは引張強度が強く、ブロッキングも問題にならないので好ましい。また、方法Iと同様に方法IIにおいても、単量体成分A,B,C,D等が、いずれも、7重量%以上のα,β−不飽和カルボン酸単量体を含み、かつ、これら単量体成分間で、α,β−不飽和カルボン酸単量体の含有量の差が10重量%以下であると、得られる重合体の相溶性が良いために、特に透明性に優れるようになり、溶解性および耐水性等の物性について、均一な物性の重合体となるため好ましい。たとえば、単量体成分Aが10重量%のα,β−不飽和カルボン酸単量体を含む場合には、他の単量体成分B等のα,β−不飽和カルボン酸単量体の含有量が20重量%以下であるのが好ましく、単量体成分Aおよび他の単量体成分B等のα,β−不飽和カルボン酸単量体の含有量がいずれも同じ量であると、得られる重合体の透明性が最も高くなるため好ましい。
【0047】
本発明の製造方法においては、上記方法IおよびIIのいずれにおいても、前記重合率の制御が重要である。重合率は任意の方法で求めることができるが、より簡便な方法として、ガスクロマトグラフィーを用いる方法があり、重合率は残存する単量体成分量を定量して求めることができる。
本発明の重合体のTgの分布、すなわちDSCで測定して得られる微分曲線の形は、重合体の機械的強度、感温性および透明性などのバランスによって決定される。上記方法IおよびIIにおいて、重合体のTgの分布を制御する具体的手法について以下に説明する。
【0048】
上記の製造方法で得られる本発明の重合体において、より高レベルの透明性が必要な場合は、前記微分曲線で20〜40℃の間のピークが占める面積の割合を大きくする、すなわち10%以上、好ましくは20%以上となるようにする必要がある。このためには、方法Iにおいては単量体成分B,C,Dなどをゆっくりと、すなわち、1時間以上かけて加えればよく、方法IIにおいては単量体成分AおよびB,C,Dなどを別々に重合する段階での重合率が大きくなりすぎないように、すなわち、80%以下になるように重合すればよい。
【0049】
上記の製造方法で得られる本発明の重合体において、特に感温性を少なくする場合には、前記微分曲線で20〜40℃の間のピークが占める面積の割合を小さくする、すなわち、50%以下にする必要がある。このためには、上記の透明性が必要な場合とは逆で、方法Iにおいては単量体成分B,C,Dなどを比較的速く、すなわち、3時間以内に加えればよく、方法IIにおいては単量体成分AおよびB,C,Dなどを別々に重合する段階での重合率を大きくする、すなわち、50%以上にするように重合すればよい。
【0050】
また、上記の製造方法で得られる本発明の重合体において、引き裂き強度や伸び率あるいは低温での柔軟性が特に必要な場合は、前記微分曲線で低温側のピークトップを高くすればよい。このためには、方法Iにおいては、単量体成分Aがより低温のTgを有する重合体を与える単量体成分である場合には、単量体成分Aの重合での重合率を高く、すなわち、40%以上にすればよく、逆に単量体成分Aがより高温のTgを有する重合体を与える単量体成分である場合には、単量体成分B,C,Dなどをゆっくりと、すなわち、1時間以上かけて加えればよい。また、方法IIにおいては単量体成分AおよびB,C,Dなどを別々に重合する段階での重合率を大きくする、すなわち、50%以上にするように重合すればよい。
【0051】
さらに、上記の製造方法で得られる本発明の重合体において、引張強度および耐ブロッキング性が必要な場合は、前記微分曲線で高温側のピークトップを高くすればよい。このためには、方法Iにおいては、単量体成分Aがより高温のTgを有する重合体を与える単量体成分である場合には、単量体成分Aの重合での重合率を高く、すなわち、40%以上にすればよく、逆に単量体成分Aがより低温のTgを有する重合体を与える単量体成分である場合には、単量体成分B,C,Dなどをゆっくりと、すなわち、1時間以上かけて加えればよい。また、方法IIにおいては単量体成分AおよびB,C,Dなどを別々に重合する段階での重合率を大きくする、すなわち、50%以上にするように重合すればよい。
【0052】
以上のように、本発明の重合体の製造方法では、重合時の重合率および混合速度を制御することによって、用途によって異なる重合体の機械的強度、透明性、耐ブロッキング性および感温性のバランスを設計することができる。
上記方法IおよびIIにおいて、多価金属塩をさらに混合させる工程を含むと、得られた重合体は金属架橋が施されるために、得られる重合体のフィルムは機械強度(引っ張りおよび引き裂き強度)および耐ブロッキング性がさらに高くなり、温度または湿度の変化に対してさらに安定した強度および寸法安定性を有するようになる。金属架橋に使用される多価金属としては特に制限はなく、たとえば、前述の多価金属塩を挙げることができる。また、多価金属塩として好ましいものも前述と同じである。
高酸価を有する重合体の用途
〔コーティング剤〕
本発明のコーティング剤は、前記重合体または重合体組成物と有機溶媒とを含む。また、コーティング剤は必要に応じてこれら以外の添加物が含まれていてもよい。
【0053】
前記重合体であれば、いずれのものを使用してもよいが、中でも多価金属塩を含むものが、得られる被膜の機械的強度および耐ブロッキング性がより優れたものとなるため好ましい。
有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の脂肪族エステル類等を挙げることができる。
【0054】
前記添加物としては、たとえば、充填剤、可塑剤、滑剤等を挙げることができ、これらは適宜配合することができる。
前記充填剤の具体例としては、カオリン、アスベスト、マイカ等を挙げることができる。充填剤の配合量は、目的に応じて任意の量を配合することができるが、前記重合体100重量部に対して、0.1〜10重量部であるのが好ましい。
【0055】
前記可塑剤の具体例としては、フタル酸ジオクチル、アセチルクエン酸トリブチル等を挙げることができる。可塑剤の配合量は、前記重合体100重量部に対して、1〜50重量部であるのが好ましい。
前記滑剤の具体例としては、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ステアリン酸アミド、ステアリン酸カルシウム等を挙げることができる。滑剤の配合量は、前記重合体100重量部に対して、0.1〜30重量部であるのが好ましい。
【0056】
本発明のコーティング剤を各種物体の表面に塗布することによって、前記表面にフィルムまたは被膜が形成される。各種物体の具体例としては、フィルム、紙(紙基材)、シート、金属板、コンクリート等を挙げることができる。特に、本発明のコーティング剤をフィルム用または紙用に使用すると、使用時に光沢等が付与されるだけでなく、使用後の紙等の再利用が可能になるため好ましい。
〔フィルム〕
ここで説明するフィルムは本発明の前記重合体または重合体組成物を含む。このフィルムにはまた、必要に応じて充填剤、可塑剤、着色剤および滑剤等が含まれていてもよい。
【0057】
充填剤、可塑剤および滑剤としては、前記コーティング剤で説明してものをそのまま使用することができる。また、好ましい配合量についても同様である。
前記着色剤の具体例としては、アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、黄鉛、群青およびカーボンブラック等の各種顔料や、アゾ染料、アントラキノン染料およびフタロシアニン染料等の各種染料等を挙げることができる。着色剤の配合量は、前記重合体100重量部に対して、0.1〜10重量部であるのが好ましい。
【0058】
このフィルムは、イ)前記コーティング剤を使用して常温または加熱下でコーティング剤中に含まれる溶媒を蒸発させる方法、いわゆるキャスト法でフィルムを製造してもよく、また、ロ)前記重合体をシート状に成形して製造してもよい。
コーティング剤を使用する方法では、得られるフィルムの機械的強度を一定に保つため、フィルムの膜厚は均一であるのが好ましい。フィルムの膜厚を均一に保つために、ロールコーター、リバースコーター、グラビアコーター、バーコーター等の一般に使用される塗工機が使用される。フィルムは、前記塗工機を使用して、コーティング剤を、紙、フィルム等の表面に塗工したのち、コーティング剤に含まれる溶媒を蒸発させて製造することができる。ここで、コーティング剤を塗工した紙、フィルム等の表面が剥離性を有していると、前記表面とフィルムを分離することができ、単独のフィルムを得ることができる。また、紙、フィルム等の表面に剥離性がなく、前記表面とフィルムとが密着すると、積層フィルムおよびフィルムの積層した紙、すなわち加工紙を得ることができる。
【0059】
また、前記重合体を成形する方法では、たとえば、重合体を押出機によって溶融押出しする、T−ダイ成形、インフレーション成形、ブロー成形、ラミネート成形等の押出し成形法、カレンダー加工法によってフィルムを製造することができる。必要に応じて、得られたフィルムをさらに1軸または2軸方向に延伸してもよい。
【0060】
フィルムの厚みについては特に限定はないが、通常10〜200μmである。フィルムの強度、成形性の観点からは、30〜100μmであると好ましい。
このフィルムは、印刷可能で、温度変化による強度変化が少なく、高温でブロッキングしにくく、低温で柔軟性が高く、引っ張り強度および引き裂き強度が高く、引っ張っても白化しにくく、水溶性および/またはアルカリ可溶性で、透明性に優れているため、以下に詳述する種々の用途に使用される。
〔包装袋〕
本発明の包装袋は前記フィルムからなる。
【0061】
包装袋として用いるためには、ヒートシール性、伸び、引張強度および引き裂き強度に優れている必要がある。
包装袋の製造方法としては、各種成形方法で成形して得られたフィルムを、さらにヒートシールすることによって包装袋は得られる。前記成形方法としては、インフレーション成形が最も簡便で好ましい。
【0062】
包装袋の大きさは特に制限はなく、その用途によって自由に設定することができる。このようにして得られた包装袋は、水溶性および/またはアルカリ可溶性であるため、農薬、洗剤等の個別包装袋、ランドリーバックとして使用することが可能であり、いちいち袋を開けて袋の中の内容物を取り出す際の手間を省き、薬害を防ぐことができる。
〔粘(接)着シート〕
粘(接)着シートは、前記フィルムと粘(接)着剤とを備える。粘(接)着シートとして、前記フィルムと、その表面に形成された粘(接)着剤からなる層とを備えるものが、粘(接)着性が高くなるため好ましい。粘(接)着剤からなる層は、フィルムの片面または両面のいずれに形成されてもよい。また、粘(接)着剤からなる層は、フィルム表面の片面または全面の全体に形成されているものでもよく、フィルム表面の片面または全面の一部分に形成されているものでもよい。
【0063】
粘(接)着シートは、フィルムまたはシートを被着体に貼着する用途全般に用いることができ、粘(接)着テープなどの用途の他、たとえば、ガラス用等のラベルとして用いられる。ラベルの表面は印刷されている場合がある。この場合は、フィルムは印刷時のテンションに耐えるだけの引張強度を有することが必要であるため、フィルムは均一な厚みを有し、30μm以上であるのが好ましい。印刷はフィルムのいずれの面に施されるものであってもよいが、裏面すなわち粘(接)着剤側に施されていると、耐候性が高いため好ましい。
【0064】
粘(接)着シートに用いられるフィルムの製造方法としては、T−ダイ押出成形、キャスト法等で行うのが好ましい。
粘(接)着剤としては、たとえば、天然ゴム系粘(接)着剤、SISやSBR系の合成ゴム系粘(接)着剤、アクリル系粘(接)着剤、シリコーン系粘(接)着剤、酢酸ビニル系粘(接)着剤、ポリビニルアルコール系粘(接)着剤、EVA系粘(接)着剤、ウレタン系粘(接)着剤およびアクリル系等のアルカリ可溶性粘(接)着剤等をを挙げることができる。中でも、粘(接)着剤がアクリル系等のアルカリ可溶性粘(接)着剤であると、シート全体が溶解して完全に除去することが可能であるため好ましい。
【0065】
粘(接)着シートの製造方法については特に限定はなく、たとえば、粘(接)着剤をそのままホットメルトコーター、リーバスコーター、グラビアコーター、バーコーター等の一般の塗工機で塗布した後に乾燥させることによって得られる。このようにして得られた粘(接)着シートは、たとえば、ビン用、紙製品用のラベル等に用いられ、使用後のアルカリ処理により容易に除去することができる。
【0066】
なお、上述のフィルムに印刷する方法については特に限定はなく、いずれの方法でも印刷可能である。印刷に用いられる印刷インキとしては、たとえば、凸版インキ、平版インキ、グラビアインキ、フレキソインキ、スクリーンインキ、凹版インキ、熱転写インキ、レジストインキ等を挙げることができる。
〔窓あき封筒〕
本発明の窓あき封筒は、窓部を有する封筒本体と、前記窓部を塞ぐ前記フィルムとを備える。
【0067】
封筒本体を構成する材質としては、通常封筒に用いられる素材であれば特に限定はなく、通常は、後述の紙基材であり、ポリプロピレン等であってもよい。封筒本体には封筒に入れられる内容物や、内容物に記載される宛て名等を外から見えるようにするために、封筒本体には窓部がある。
封筒本体の窓部を塞ぐフィルムは、粘(接)着シートに用いられるフィルムと同様の製造方法で得られるフィルムであってもよく、フィルムの表面が印刷されたものでもよい。
【0068】
窓あき封筒の製造方法については特に限定はないが、たとえば、前述の粘(接)着剤を用いて、封筒本体の窓部の周囲と、フィルムとを接着させることによって、封筒本体の窓部をフィルムで塞ぐ方法がある。なお、粘(接)着剤を用いることなく、フィルムと封筒本体の窓部の周囲とを加熱等によって溶着させて、封筒本体の窓部をフィルムで塞ぐものでもよい。このようにして得られた窓あき封筒は、使用後のアルカリ処理によりフィルムを容易に除去することができ、紙基材等の封筒本体を構成する素材を回収利用することが容易となる。
〔再生可能加工紙〕
本発明の再生可能加工紙は、紙基材と、前記紙基材に積層された前述のフィルムとを備える。
【0069】
再生可能加工紙を構成する紙基材については特に制限はなく、たとえば、普通紙、上質紙、クラフト紙、グラシン紙等からなる紙基材が用いられる。
フィルムの厚みについては特に制限はないが、10〜100μmであるのが好ましい。
再生可能加工紙の製造方法としては特に制限はなく、フィルムと紙基材とを積層することによって得られるが、たとえば、a)本発明のコーティング剤をロールコーター、グラビアコーター等の塗工機を使用して紙基材に塗工または含浸させた後、溶媒を蒸発させる方法、b)本発明のコーティング剤を脱揮して得られた重合体組成物をT−ダイ押出し成形すると同時に紙基材にラミネートする方法がある。
【0070】
本発明の再生可能加工紙は、非ブロッキング性で変形も少なく、中性の水またはアルカリ水、たとえば、1%水酸化ナトリウム水溶液中で攪拌すると、積層されたフィルムが容易に除去され、紙基材が離解するので再生可能である。
また、前記再生可能加工紙のフィルムに印刷することによって再生可能紙ラベル基材が得られる。
【0071】
印刷方法としては特に制限はなく、いずれの方法でも印刷可能である。印刷に使用される印刷インキとしては、たとえば、凸版インキ、平版インキ、グラビアインキ、フレキソインキ、スクリーンインキ、凹版インキ、熱転写インキ、レジストインキ等を挙げることができる。
再生可能紙ラベル基材も再生可能加工紙と同様に、非ブロッキング性で変形も少なく、中性の水またはアルカリ水、たとえば、1%水酸化ナトリウム水溶液中で攪拌すると、積層されたフィルムが容易に除去され、紙基材が離解するので再生可能である。
〔再生可能剥離紙〕
本発明の再生可能剥離紙は、紙基材と、前記紙基材に積層された前述のフィルムと、前記フィルムに積層された剥離剤層とを備える。つまり、再生可能剥離紙は、前記再生可能加工紙が有するフィルムにさらに剥離剤層を備えたものである。
【0072】
剥離剤としては、たとえば、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。再生可能加工紙に剥離剤層を積層する方法としては、たとえば、剥離剤をトルエン等の有機溶剤に分散させて塗工し、乾燥させる方法がある。剥離剤層の厚みは特に制限はないが、たとえば、0.5〜5μmであると、十分な剥離能と定着性とを有する剥離剤層を1回の塗工により得ることができるため好ましい。
〔積層フィルム〕
前記フィルムをポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリジオキソラン等の水溶性樹脂フィルムや、ポリオレフィン、ポリエステル、フッ素樹脂等の疎水性樹脂等に積層することができる。
【0073】
この様にして得られた積層フィルムおよび加工紙は、強度や光沢、接着性、印刷性などの表面物性などが付与されているだけでなく、中性あるいはアルカリ性の水でコーティング層を処理することにより、再利用が可能であるため、非常に有用である。
【0074】
【実施例】
以下の実施例は、本発明の例示であり、本発明の特許請求の範囲を制限するものではない。なお、下記実施例および比較例中、「部」および「%」はそれぞれ「重量部」および「重量%」を示す。
−実施例1−
容量50Lの槽型反応器に、アクリル酸エチル2.4kg、アクリル酸0.45kg、メタクリル酸メチル0.15kg、メタノール3kgおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)12gからなる単量体成分A(単量体成分Aが与える重合体の計算上のTgは−6℃)を仕込み、窒素雰囲気下で65℃に加熱して20分間反応させて重合率が72%になるまで重合を行った。続けて、アクリル酸メチル2.1kg、アクリル酸1.05kg、メタクリル酸メチル3.85kg、メタノール7kgおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)28gからなる単量体成分B(単量体成分Bが与える重合体の計算上のTgは70℃)を2時間かけて均等に滴下し、引続き65℃で重合を行った。滴下終了後さらに65℃で2時間熟成のための重合を継続した。その結果、数平均分子量が9.2万で、図1に示すDSCで測定して得られる微分曲線で、低温(14.4℃、93μW/min、半値幅a:12.1℃)側のピークトップと高温(57.9℃、247μW/min、半値幅a:12.9℃)側のピークトップとの高さの比が約1:3となっている重合体を含むコーティング剤(1)が得られた。
【0075】
得られたコーティング剤(1)を2軸押出機を用いて減圧加熱下で脱揮し、得られた組成物を200℃でT−ダイ成形してフィルムが得られた。このフィルムをラベル基材として、DSCによる測定、機械的強度等を以下の方法で測定した。その結果を表1に示す。
また、下記の方法で合成した粘着剤溶液を離型紙に塗工、乾燥させて厚み25μmの粘着剤層を形成し、この上に実施例1で得た厚さ60μmのフィルムを圧着させて、粘着剤層が片面に形成された粘着シートを得た。この粘着シートをラベルとして用いた場合のアルカリ除去性を下記の方法で評価した。その結果を表1に示す。
【0076】
大きさが封筒本体の窓部よりもやや大きいフィルムを用意し、上記粘着シートと同様の方法で、このフィルムの周辺端部のみに粘着剤を塗工した後、フィルムを封筒本体の窓部に貼着して窓あき封筒を作製した。得られた窓あき封筒についてアルカリ叩解試験を行い、故紙としての回収性を評価した。その結果を表1に示す。
粘着剤溶液の合成
アクリル酸ブチル0.8kg、アクリル酸0.2kg、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3gおよび酢酸エチル1kgを、容量5Lの槽型反応器に仕込み、窒素雰囲気下、80℃に加熱して2時間重合を行った。得られた重合溶液に、重量平均分子量1000のポリエチレングリコール200gを添加し、粘着剤溶液を得た。
DSCによる測定
セイコー電子工業(株)製のDSC220Cで、10mgの試料を使用して窒素雰囲気下で測定して得られるDSC曲線および微分曲線を図1に示す。測定条件は、まず150℃まで昇温したのち、5分間保持し、その後、−100℃まで急冷して、5分間保持した。さらに150℃まで10℃/min.で昇温して微分曲線が得られた。微分値が0μW/minであるところを結んでベースラインを引いた。低温側のピークトップと高温側のピークトップとのベースラインからの高さの比率が1:3であることが認められる。
引張強度、伸び率および感温性
JIS K7127に準じて試験した。
【0077】
条件1では23℃、55%RHの雰囲気下で、試験に使用したフィルムの厚さは50μmで、試験速度は200mm/min.であった。
条件2では10℃、55%RH、条件3では40℃、55%RHの雰囲気下で測定した以外は条件1と同様にして引張強度を測定し、感温性を評価した。
引き裂き強度
JIS K7128に準じて試験した。試験に使用したフィルムの厚さは50μmで、試験速度は200mm/min.であった。
透明性
厚さ65μmの試験片を用い、日本電色工業(株)の濁度計ND−1001DPを用いて厚み方向に可視光線を照射して測定した平行光線透過率をもって評価した。
白化
条件1における引張強度測定時の外観を観察して評価した。評価基準は以下の通りである。
【0078】
○:破断する直前まで白化しなかった。
△:伸び率が150%に達するまでに白化した。
×:伸び率が100%に達するまでに白化した。
収縮率
30℃、80%RHの雰囲気下で72時間放置後の寸法変化の割合を測定した。
ブロッキング性
コイル状のフィルムを50℃で放置してブロッキングの程度を評価した。評価基準は以下の通りである。
【0079】
◎:巻き戻しが容易にできた。
○:巻き戻しに少し抵抗があった。
△:所々巻き戻しできないところがあった。
×:巻き戻しが全くできなかった。
酸価
平沼産業(株)製の自動滴定装置(COMTE−980)を用い、フィルム1gをメタノール100gに溶かした溶液を0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液で滴定して求めた。
アルカリ除去性
形態▲1▼:瓶の周囲にフィルムを1周巻きつけてヒートシールして、瓶にラベルとして張り付け、25℃、0.4%の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬した際に、溶解、除去されるまでに要した時間を測定した。
【0080】
形態▲2▼:離型紙が積層した10cm×10cmの大きさの粘着シートからなる試験片を用意し、離型紙と粘着シートとを剥離し、粘着シートをラベルとしてビールビン(直径7cm)に貼りつけた。ラベル付きビールビンを25℃、0.4%水酸化ナトリウム水溶液5リットル中に浸漬して攪拌し、ラベルが溶解除去されるまでに要した時間を測定した。
窓あき封筒の叩解試験
12cm×26cmの封筒に5cm×5cmの窓をあけ、この窓部に前述の粘着剤溶液を用いて、5.5cm×5.5cmの大きさのフィルムを封筒の内側から貼着し、窓あき封筒を作製した。得られた窓あき封筒を70℃、3%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して激しく攪拌し、フィルムの様子を観察し、以下の評価基準で評価した。
【0081】
○:完全に叩解された。
△:フィルムや紙の小片が残った。
×:フィルムがそのまま残った。
中性および酸性の水に対する溶解性
フィルム10gをイオン交換水および0.1Nの塩酸中に24時間浸漬した後、乾燥させ、重量減少の割合を測定し、溶出量(%)を求めて、耐水性を評価した。
印刷画像
RI−1型印刷試験機でオフセット印刷を行い、その外観(ズレ、シワ、にじみの程度)を観察して評価した。評価基準は以下の通りである。
【0082】
◎:非常に良好
○:良好
△:やや不良
×:不良
インキの定着性
インキとして大日本インキ化学工業製のF−Glossを使用し、RI−1型印刷試験機でオフセット印刷を行い、印刷後10分経ってから上質紙を重ね合わせて加圧し、上質紙に転移したインキの濃度を観察して評価した。評価基準は以下の通りである。
【0083】
○:全く転移しなかった。
△:わずかに転移した。
×:多量に転移した。
−実施例2−
実施例1で、単量体成分Aの重合時間を10分にし、重合率が40%になるまで重合を行った後に単量体成分Bを滴下する以外は、実施例1と同じ組成および方法で重合を行った。その結果、数平均分子量が9.8万で、DSCで測定して得られる微分曲線で、低温(14.1℃)側のピークトップと高温(52.3℃)側のピークトップとの高さの比が約1:9となっている重合体を含むコーティング剤(2)が得られた。
【0084】
得られたコーティング剤(2)を実施例1と同様に2軸押出機で脱揮し、210℃でT−ダイ成形してフィルムを得た。このフィルムをラベル基材、粘着シートおよび窓あき封筒として実施例1と同様の方法で機械的強度などを評価し、結果を表1に示す。
−実施例3−
実施例1で得られたコーティング剤(1)に、ステアリン酸カルシウム400gのトルエン分散液を加えて均一になるように攪拌し、さらに60℃に加熱して30分攪拌してコーティング剤(3)が得られた。得られたコーティング剤(3)を実施例1と同様に2軸押出機で脱揮し、200℃でT−ダイ成形してフィルムを得た。このフィルムをラベル基材、粘着シートおよび窓あき封筒として実施例1と同様の方法で機械的強度などを評価し、結果を表1に示す。
【0085】
−比較例1−
容量50Lの槽型反応器を用い窒素雰囲気下65℃に加熱しながら、実施例1の単量体成分AおよびBを混合した単量体成分を2時間かけて一括重合して、数平均分子量が10.3万で、Tgが39℃の重合体を含む比較コーティング剤(1)を得た。実施例1と同様にして、比較コーティング剤(1)を2軸押出機で脱揮し、220℃でT−ダイ成形してフィルムを得た。このフィルムをラベル基材、粘着シートおよび窓あき封筒として実施例1と同様の方法で機械的強度などを評価し、結果を表1に示す。
【0086】
−比較例2−
混合物との比較を行うために、実施例1の単量体成分AおよびBをそれぞれ個別に窒素雰囲気下65℃に加熱して2時間かけて重合率95%以上まで重合させた。単量体成分Aからは数平均分子量が12.1万、Tgが13℃の重合体を含む溶液を得た。また、単量体成分Bからは数平均分子量が8.2万、Tgが65℃の重合体を含む溶液を得た。得られた重合体を含む溶液を混合して、比較コーティング剤(2)を得た。実施例1と同様にして、比較コーティング剤(2)を2軸押出機で脱揮し、220℃でT−ダイ成形してフィルムを得た。このフィルムをラベル基材、粘着シートおよび窓あき封筒として実施例1と同様の方法で機械的強度などを評価し、結果を表1に示す。
【0087】
−比較例3−
乳化重合物との比較を行うために、容量50Lの槽型反応器に、アクリル酸エチル2.4kg、アクリル酸0.45kg、メタクリル酸メチル0.15kg、水3kg、ラウリル硫酸ナトリウム45g、過硫酸アンモニウム7.5gおよびブロモトリクロロエタン90gからなる比較単量体成分Aを仕込み、窒素雰囲気下で80℃に加熱して重合率が69%になるまで重合を行った。続けて、窒素雰囲気下80℃で重合を行って重合率69%とした後、アクリル酸メチル2.1kg、アクリル酸1.05kg、メタクリル酸メチル3.85kg、水7kg、ラウリル硫酸ナトリウム105g、過硫酸アンモニウム17.5gおよびブロモトリクロロエタン210gからなる比較単量体成分Bを2時間かけて均等に滴下し、引続き80℃での重合を行った。滴下終了後さらに80℃で2時間熟成のための重合を継続した。重合体エマルジョンからなる得られた比較コーティング剤(3)をキャスト法でフィルムにした。このフィルムをラベル基材、粘着シートおよび窓あき封筒として実施例1と同様の方法で機械的強度などを評価し、結果を表1に示す。
【0088】
−比較例4−
酸価の低い重合体との比較を行うために、容量50Lの槽型反応器に、アクリル酸エチル2.4kg、アクリル酸0.15kg、メタクリル酸メチル0.45kg、メタノール3kgおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)12gからなる比較単量体成分Cを仕込み、窒素雰囲気下で65℃に加熱して重合率が68%になるまで30分間重合を行った。続けて、アクリル酸メチル2.1kg、アクリル酸0.35kg、メタクリル酸メチル4.55kg、メタノール7kgおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)28gからなる比較単量体成分Dを2時間半かけて均等に滴下し、引続き65℃での重合を行った。滴下終了後さらに65℃で2時間熟成のための重合を継続した。その結果、数平均分子量が8.1万の重合体を含む比較コーティング剤(4)が得られた。この比較コーティング剤(4)を実施例1と同様に2軸押出機で脱揮し、190℃でT−ダイ成形してフィルムを得た。このフィルムをラベル基材、粘着シートおよび窓あき封筒として実施例1と同様の方法で機械的強度などを評価し、結果を表1に示す。
【0089】
−比較例5−
市販のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)と実施例1で得られた粘着剤溶液とを用いて、実施例1と同様の方法で比較粘着シート(5)を作製し、ラベルとして評価した。前述と同様にして窓あき封筒も作製し、これについても評価し、結果を表1に示す。
【0090】
【表1】
【0091】
表1より、実施例1〜3に示されるフィルムは機械的強度および寸法特性に優れ、ブロッキングも起こさず、また印刷適性も良好でラベル基材として申し分ないことがわかる。また、比較例1の一括重合物と比較して温度による強度変化が少なく、比較例2のブレンド物や比較例3の乳化重合物に比較して引き裂き強度や伸び率などが大きく、透明性にも優れている。また、乳化重合物と比較して耐水性に優れるという特徴を有している。さらに、実施例のラベルは比較例2、4および5のラベルとは異なり、使用後のアルカリ処理によって容易に除去することができるので、非常に有用である。
【0092】
また、実施例1および2の結果にみられるように、ピークトップの比率を変化させることによって、機械的強度等を自由に設計することができる。
−実施例4−
容量50Lの槽型反応器に、アクリル酸メチル1.8kg、アクリル酸0.61kg、メタクリル酸メチル1.6kg、メタノール5kgおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)32gからなる単量体成分C(単量体成分Cが与える重合体の計算上のTgは55℃)を仕込み、窒素雰囲気下で65℃に加熱して重合率が73%になるまで45分間重合を行った。続けて、アクリル酸エチル2.3kg、アクリル酸0.4kg、メタノール3.3kgおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)22gからなる単量体成分D(単量体成分Dが与える重合体の計算上のTgは−11℃)を1時間半かけて均等に滴下し、引続き65℃での重合を行った。滴下終了後さらに65℃で2時間熟成のための重合を継続した。その結果、数平均分子量が7.2万で、低温側(18.7℃)と高温側(53.1℃)のピークトップの比率が1:1の重合体を含むコーティング剤(4)が得られた。コーティング剤(4)を実施例1と同様に2軸押出機で脱揮し、180℃でインフレーション成形して袋状のフィルムを得た。このフィルムを包装袋として実施例1と同様の方法および下記の方法で機械的強度などを評価し、結果を表2に示す。
洗剤水溶液および水に対する溶解性
水道水1リットルに粉末洗剤(アタック、花王株式会社製)5gを溶かした50℃の洗剤水溶液に、フィルムを浸漬し攪拌した時に溶解するまでの時間を測定した。また、水道水のみに対しても同様の試験を行った。
ヒートシール性
フィルム(大きさ:5cm×5cm)を2枚重ねて200℃のヒートシーラーで1秒間ヒートシールした後、剥離するのに要した力を測定した。
【0093】
−実施例5−
容量50Lの槽型反応器に、アクリル酸メチル1.8kg、アクリル酸1.53kg、メタクリル酸メチル0.68kg、メタノール5kgおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)32gからなる単量体成分E(単量体成分Eが与える重合体の計算上のTgは55℃)を仕込み、窒素雰囲気下で60℃に加熱して重合率が78%になるまで30分間重合を行った。続けて、アクリル酸ブチル0.5kg、アクリル酸エチル1.2kg、アクリル酸1.0kg、メタノール3.3kgおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)22gからなる単量体成分F(単量体成分Fが与える重合体の計算上のTgは4℃)を10等分して10分毎に分割投入し、引続き60℃での重合を行った。滴下終了後さらに60℃で2時間熟成のための重合を継続した。その結果、数平均分子量が9.5万で、低温側(18.1℃)と高温側(58.6℃)のピークトップの比率が1:1の重合体を含むコーティング剤(5)が得られた。コーティング剤(5)にステアリン酸アミド268gを加えた後、これを実施例4と同様に2軸押出機で脱揮し、200℃でインフレーション成形し、得られたフィルムを包装袋として実施例4と同様の方法で機械的強度などを評価し、結果を表2に示す。
【0094】
−実施例6−
容量50Lの槽型反応器を2つ準備し、それぞれに、アクリル酸メチル2.1kg、アクリル酸1.05kg、メタクリル酸メチル3.85kg、メタノール7kgおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)56gからなる単量体成分G(単量体成分Gが与える重合体の計算上のTgは55℃)と、アクリル酸エチル2.55kg、アクリル酸0.45kg、メタノール3kgおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)24gからなる単量体成分H(単量体成分Hが与える重合体の計算上のTgは−11℃)とを仕込み、それぞれ個別に窒素雰囲気下で65℃に加熱して、それぞれの重合率が58%および78%になるまで1時間重合を行った。続けて、モノマー成分Gの重合を行った槽型反応器に、モノマー成分Hの重合を行った槽型反応器からその内容物を1時間かけて均等に滴下し、引続き65℃で重合を行った。滴下終了後さらに65℃で1時間熟成のための重合を継続した。その結果、数平均分子量が7.5万で、低温側のピーク(10.2℃)と高温側のピーク(57.1℃)のピーク比が4:6である重合体を含むコーティング剤(6)が得られた。コーティング剤(6)を実施例4と同様に2軸押出機で脱揮し、190℃でインフレーション成形し、得られた袋状のフィルムを包装袋として実施例4と同様の方法で機械的強度などを評価し、結果を表2に示す。
【0095】
−比較例6−
実施例4の単量体成分CおよびDをそれぞれ個別に窒素雰囲気下65℃に加熱して2時間かけて重合率95%以上まで重合させた。単量体成分Cからは数平均分子量が6.7万、Tgが51.3℃の重合体を含む溶液が得られ、単量体成分Dからは数平均分子量が7.9万、Tgが10.8℃の重合体を含む溶液を得た。得られた重合体を含む溶液を混合して、比較コーティング剤(5)を得た。実施例4と同様にして、比較コーティング剤(5)を2軸押出機で脱揮し、180℃でインフレーション成形し、得られた袋状のフィルムを包装袋として実施例4と同様の方法で機械的強度などを評価し、結果を表2に示す。
【0096】
−比較例7−
比較例4で得られたフィルムを包装袋として、実施例4と同様の方法で機械的強度などを評価し、結果を表2に示す。
【0097】
【表2】
【0098】
表2より実施例4〜6の包装袋は、強度、透明性およびヒートシール性は十分であり、白化もなく、包装袋として申し分ない。さらに、アルカリ溶解性を有しており、酸価が特に高い実施例5の包装袋は水溶性も備えている。
−実施例7−
実施例1で得られたコーティング剤(1)をバーコーターを用いて厚さ50μmの普通紙上に塗工した後、乾燥して、普通紙上に厚さ10μmのアルカリ可溶性フィルム層が形成された再生可能加工紙を得た。図2にこの再生可能加工紙の断面図を示す。再生可能加工紙6は普通紙5に積層されたアルカリ可溶性フィルム層4を有している。
【0099】
得られた加工紙を下記の方法で物性を測定し、その結果を表3に示す。
ブロッキング性
加工紙(大きさ:5cm×5cm)を2枚重ねて、1kgf/cm2 の荷重をかけ、室温下で放置してブロッキングの程度を評価した。評価基準は以下の通りである。
【0100】
○:剥離が容易である。
△:剥離に少し抵抗がある。
×:剥離が困難である。
カール
加工紙(大きさ:5cm×5cm)を30℃、80%RHの恒温恒湿機中に5時間放置後乾燥して、その外観を観察して評価した。
離解性
加工紙(大きさ:5cm×5cm)を0.1%水酸化ナトリウム水溶液1リットル中に浸漬しミキサーで攪拌した後、未離解物の有無を観察して評価した。
【0101】
○:完全に離解した。
△:一部離解しなかった。
×:全く離解しなかった。
−比較例8および9−
比較例1および4で得られた比較コーティング剤(1)および(4)を、実施例7と同様にして普通紙上に塗工した後、乾燥して、加工紙を得た。
【0102】
得られた加工紙を実施例7と同様の方法で物性を測定し、その結果を表3に示す。
−実施例8−
実施例7で得られた加工紙のアルカリ可溶性フィルム層にシリコーン樹脂をトルエンに分散させた溶液をバーコーターを用いて塗工した後、乾燥して、厚さ1μmの剥離層が形成された再生可能剥離紙を得た。図3にこの剥離紙の断面図を示す。再生可能剥離紙8は、普通紙5に積層されたアルカリ可溶性フィルム層4を有し、アルカリ可溶性フィルム層4に積層されたシリコーン樹脂層7を有している。得られた再生可能剥離紙を実施例7と同様の方法で物性を測定し、その結果を表3に示す。
【0103】
【表3】
【0104】
表3より、実施例7および8のコーティーング剤を使用して得られる再生可能加工紙および再生可能剥離紙は、樹脂の寸法安定性が優れているため、カールしにくく、非ブロッキング性でアルカリ処理による離解が容易である。
【0105】
【発明の効果】
本発明の重合体は、α,β−不飽和カルボン酸単量体とビニル系単量体とを重合して得られる酸価が70mgKOH/g以上の重合体であって、示差走査熱量計で測定して得られる微分曲線が−80〜120℃の間に2つ以上のピークトップを有し、平行光線透過率が70%以上であるため、温度変化による物性変化が少なく、水溶性および/またはアルカリ可溶性を有し、透明性に優れる。
【0106】
前記微分曲線が、−30〜20℃の間と、40〜100℃の間のそれぞれにピークトップを有し、前記平行光線透過率が80%以上であると、重合体は、より透明になり、低温での柔軟性が高く、引き裂き強度が強く、引張強度および腰が強く、ブロッキングが生じない。
前記ビニル系単量体の30重量%以上がアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルであり、非水系で重合して得られる重合体では、得られる重合体をフィルムにすると、柔軟性、靱性、光沢、耐候性および透明性が向上し、構造も均質で、透明性が高く、白化しにくく、強度も十分である。
【0107】
前記α,β−不飽和カルボン酸単量体がアクリル酸および/またはメタクリル酸であり、前記α,β−不飽和カルボン酸単量体の構造単位が重合体中の9重量%以上であると、柔軟性および靱性が向上し、溶解性、耐水性および柔軟性のバランスがとれた重合体となる。
多価金属塩をさらに含むと、機械強度がさらに高く、ブロッキングも起こしにくくなり、温度および湿度の変化に対してさらに安定した強度および寸法安定性を有するようになる。
【0108】
本発明のコーティング剤は、前記重合体と、有機溶媒とを含むため、印刷可能で、高温でブロッキングしにくく、低温で柔軟性が高く、水溶性および/またはアルカリ可溶性で、透明性および光沢に優れたコーティング層を形成できる。
【0109】
本発明の窓あき封筒は、前記フィルムを備えるため、印刷可能で、温度変化による強度変化が少なく、高温でブロッキングしにくく、低温で柔軟性が高く、引っ張り強度および引き裂き強度が高く、引っ張っても白化しにくく、水溶性および/またはアルカリ可溶性で、透明性に優れ、故紙として容易に回収利用できる。
【0110】
本発明の再生可能加工紙および再生可能剥離紙は、前記フィルム層を有するため、印刷可能で、高温でブロッキングしにくく、低温で柔軟性が高く、水溶性および/またはアルカリ可溶性で、透明性および光沢に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた重合体を示差走査熱量計で測定して得られるDSC曲線および微分曲線図。
【図2】実施例7で得られた再生可能加工紙の断面図。
【図3】実施例8で得られた再生可能剥離紙の断面図。
【符号の説明】
1 DSC曲線
2 DSC微分曲線
3 ベースライン
4 アルカリ可溶性フィルム層
5 普通紙
6 再生可能加工紙
7 シリコーン樹脂層
8 再生可能剥離紙
Claims (10)
- α,β−不飽和カルボン酸単量体とビニル系単量体とを重合して得られる酸価が70mgKOH/g以上の重合体であって、示差走査熱量計で測定して得られる微分曲線が−80〜120℃の間に2つ以上のピークトップを有し、平行光線透過率が70%以上である、ことを特徴とする、重合体。
- 前記微分曲線が、−30〜20℃の間と、40〜100℃の間のそれぞれにピークトップを有し、前記平行光線透過率が80%以上である、請求項1に記載の重合体。
- 前記ビニル系単量体の30重量%以上がアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルであり、非水系で重合して得られる、請求項1または2に記載の重合体。
- 前記α,β−不飽和カルボン酸単量体がアクリル酸および/またはメタクリル酸であり、前記α,β−不飽和カルボン酸単量体の構造単位が重合体中の9重量%以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の重合体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の重合体に多価金属塩を含ませてなる、重合体組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の重合体または請求項5に記載の重合体組成物と、有機溶媒と、を含む、コーティング剤。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の重合体または請求項5に記載の重合体組成物を含むフィルムからなる、包装袋。
- 窓部を有する封筒本体と、請求項1〜4のいずれかに記載の重合体または請求項5に記載の重合体組成物を含み前記窓部を塞ぐフィルムと、を備えた、窓あき封筒。
- 紙基材と、請求項1〜4のいずれかに記載の重合体または請求項5に記載の重合体組成物を含み前記紙基材に積層されたフィルムと、を備えた再生可能加工紙。
- 紙基材と、請求項1〜4のいずれかに記載の重合体または請求項5に記載の重合体組成物を含み前記紙基材に積層されたフィルムと、前記フィルムに積層された剥離剤層と、を備えた、再生可能剥離紙。
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