JP2015048387A - インクジェットインク組成物、インクジェット記録方法、印刷物、成型印刷物の製造方法、及び、インクジェットインクセット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(成分A)N−ビニルカプロラクタム、(成分B)芳香環を有する単官能アクリレート、(成分C)脂肪族炭化水素環を有する単官能アクリレート、(成分D)分子中に2つの(メタ)アクリレート基を有するウレタンオリゴマー、(成分E)ポリエーテル変性シリコーン化合物、(成分F)ガラス転移温度(Tg)が50℃〜100℃であるアクリル樹脂、(成分G)顔料及び(成分H)光重合開始剤を含有し、成分A〜成分Cの総含有量が、重合性化合物全量の90質量%以上であり、成分Cの総含有量が、重合性化合物量の25〜60質量%であり、成分Dの含有量が、0.4〜4.0質量%であるインクジェットインク組成物。
【選択図】なし
Description
一方、インクジェット方式は、印刷装置が安価であり、かつ、印刷時に版を必要とせず、必要とされる画像部のみにインク組成物を吐出し被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インク組成物を効率よく使用でき、特に小ロット生産の場合にランニングコストが安い。更に、騒音が少なく、画像記録方式として優れており、近年注目を浴びている。
中でも、紫外線などの放射線の照射により硬化可能なインクジェットインク組成物(放射線硬化型インクジェットインク組成物)は、紫外線などの放射線の照射によりインク組成物中の成分の大部分が硬化するため、溶剤系インク組成物と比べて乾燥性に優れ、また、画像がにじみにくいことから、種々の基材に印字できる点で優れた方式である。
従来の立体的なプラスチック成型物は、スクリーン印刷によって画像形成し、それを真空成型によって加工する方法が一般的であった(例えば、特許文献1参照。)。それに対して、最近ではインクジェット方式も用いたプラスチック成型物の製造方法が開発されつつある(例えば、特許文献2〜5参照。)。
<1>(成分A)N−ビニルカプロラクタム、(成分B)芳香環を有する単官能アクリレート、(成分C)脂肪族炭化水素環を有する単官能アクリレート、(成分D)分子中に2つの(メタ)アクリレート基を有するウレタンオリゴマー、(成分E)ポリエーテル変性シリコーン化合物、(成分F)ガラス転移温度(Tg)が50℃〜100℃であるアクリル樹脂、(成分G)顔料、及び、(成分H)光重合開始剤、を含有し、成分A〜成分Cの総含有量が、インク組成物中における重合性化合物の全質量に対し、90質量%以上であり、成分Cの総含有量が、インク組成物中における重合性化合物の全質量に対し、25〜60質量%であり、成分Dの含有量が、インク組成物の全質量に対し、0.4〜4.0質量%であることを特徴とするインクジェットインク組成物、
<2>成分Dが、下記式(D1)〜式(D3)で表される構成単位を全て有するウレタンオリゴマーである、<1>に記載のインクジェットインク組成物、
<4>成分Gが、酸化チタンであり、かつ、成分Eが、下記式(1)又は式(2)表されるポリエーテル変性シリコーン化合物であり、成分Eの含有量が、インク組成物の全質量に対し、1.0〜2.0質量%である、<1>又は<2>に記載のインクジェットインク組成物、
<6>(a2)<1>〜<5>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物を支持体上にインクジェット方式により吐出して画像を形成する工程、(b2)得られた画像に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化させて、前記支持体上に硬化した画像を有する印刷物を得る工程、及び、(c2)前記印刷物を成型加工する工程、を含む成型印刷物の製造方法、
<7>(1)<1>〜<5>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物を支持体上にインクジェット方式により吐出して画像を形成する工程、(2)得られた画像に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化させて、前記支持体上に硬化した画像を有する印刷物を得る工程、(3)前記印刷物を70℃〜200℃の範囲で加熱する工程、(4)加熱した前記印刷物を金型に挿入し、少なくとも真空成型加工により3次元的な構造物に成型し成型印刷物を得る工程、並びに、(5)前記成型印刷物に対してトリミング加工を行う工程、を含む成型印刷物の製造方法、
<9>前記顔料インク組成物における成分Eが、(メタ)アクリレート基を有するポリエーテル変性シリコーン化合物である、<8>に記載のインクジェットインクセット、
<10>前記顔料インク組成物における成分Eの含有量が、インク組成物の全質量に対し、0.5〜3.0質量%である、<8>又は<9>に記載のインクジェットインクセット、
<11>前記酸化チタンインク組成物における成分Eが、下記式(1)又は(2)表されるポリエーテル変性シリコーン化合物である、<8>〜<10>のいずれか1つに記載のインクジェットインクセット、
<13>(1’)0.5〜5mmの厚みの熱可塑性基材に前記顔料インク組成物をインクジェット方式により吐出する工程、(2’)吐出された前記顔料インク組成物に対して紫外線を照射し一部又は全部を硬化させる工程、(3’)一部又は全部を硬化させた前記顔料インク組成物上に前記酸化チタンインク組成物をインクジェット方式により吐出する工程、及び、(4’)前記酸化チタンインク組成物に対して紫外線を照射し完全に硬化させる工程、を含み、<8>〜<12>のいずれか1つに記載のインクジェットインクセットを使用する、インクジェット記録方法、
<14><13>に記載のインクジェット記録方法により得られた印刷物、
<15>(5’)<13>に記載のインクジェット記録方法により得られた印刷物を成型加工する工程、を含む成型印刷物の製造方法。
なお、本明細書中、「xx〜yy」の記載は、xx及びyyを含む数値範囲を表す。また、「(成分A)N−ビニルカプロラクタム」等を単に「成分A」等ともいう。
「(メタ)アクリレート」等は、「アクリレート及び/又はメタクリレート」等と同義であり、以下同様とする。
また、本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本発明においては、好ましい態様の組み合わせもまた好ましい。
本発明のインクジェットインク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)は、(成分A)N−ビニルカプロラクタム、(成分B)芳香環を有する単官能アクリレート、(成分C)脂肪族炭化水素環を有する単官能アクリレート、(成分D)分子中に2つの(メタ)アクリレート基を有するウレタンオリゴマー、(成分E)ポリエーテル変性シリコーン化合物、(成分F)ガラス転移温度(Tg)が50℃〜100℃であるアクリル樹脂、(成分G)顔料、及び、(成分H)光重合開始剤、を含有し、成分A〜成分Cの総含有量が、インク組成物中における重合性化合物の全質量に対し、90質量%以上であり、成分Cの総含有量が、インク組成物中における重合性化合物の全質量に対し、25〜60質量%であり、成分Dの含有量が、インク組成物の全質量に対し、0.4〜4.0質量%であることを特徴とする。
本発明のインクジェットインク組成物は、成型加工用インクジェットインク組成物として好適に使用することができ、真空成型加工用インクジェットインク組成物としてより好適に使用することができ、真空成型加工及びトリミング加工用インクジェットインク組成物として特に好適に使用することができる。
本発明者が詳細な検討を行った結果、本発明のインクジェットインク組成物は、上記態様をとることにより、基材への密着性、得られる印刷物の耐ブロッキング性及び成型加工適性、特に真空成型加工適性に優れ、成型後の成型印刷物の後加工割れを抑制することができることを見いだした。
後加工割れとは、成型後の成型印刷物をトリミング加工(穴開け加工や切断加工など)を実施した場合に、膜の割れや剥がれなどが発生する現象を言う。従来のスクリーン印刷を用いた場合のインク膜の厚みは5〜10μmに対して、インクジェット印刷を用いた場合のインク膜の厚みは10〜20μmとなる。後加工割れは、厚みが増すに従って発生しやすくなるため、インクジェット印刷での特有の課題と言える。
また、後述する白色化とは、着弾位置ずれが大きい場合に、ドットとドットとの隙間が、延伸により目立ち、濃度低下が顕著に表れる現象を言い、従来のスクリーン印刷を用いた場合には無い、インクジェット印刷を用いた場合の特有の課題である。
本発明でいう「活性放射線」とは、その照射によりインク組成物中において開始種を発生させうるエネルギーを付与することができる活性放射線であれば、特に制限はなく、広くα線、γ線、X線、紫外線(UV)、可視光線、電子線などを包含するものであるが、中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点から紫外線及び電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。したがって、本発明のインク組成物は、放射線として、紫外線を照射することにより硬化可能なインク組成物であることが好ましい。
なお、本発明における「重合性化合物」は、ラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物であり、アルコールやカルボン酸等の重縮合性の化合物は含まれない。
本発明における重合性化合物は、ラジカル重合性化合物であることが好ましい。また、本発明における重合性化合物は、エチレン性不飽和化合物であることが好ましい。
本発明のインクジェットインク化合物は、(成分A)N−ビニルカプロラクタムを含有する。成分Aを含有すると、硬化性、及び、真空成型で一般的に使用されている基材であるポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル基材などへの密着性に優れ、また、得られる印刷物の耐ブロッキング性に優れる。なお、N−ビニルカプロラクタムは、下記構造の化合物である。
本発明のインクジェットインク化合物は、(成分B)芳香環を有する単官能アクリレートを含有する。成分Bを含有すると、基材への密着性に優れ、また、得られる印刷物の耐ブロッキング性に優れる。また、成分Aと成分Bとを併用することにより、硬化性に優れる。
成分Bが有する芳香環は、単環であっても、多環であってもよく、また、1つのみ有していても、2以上有していてもよい。
芳香環を有する単官能アクリレートとしては、1つ以上の芳香環と1つのアクリレート基とを有する化合物であれば特に制限はないが、下記式(B−1)で表される化合物であることが好ましい。
これらの中でも、フェニル基が好ましく挙げられる。
上記の芳香族基は、アルキル基、芳香族基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基、シロキサン基、炭素数30以下の置換基を1又は2以上有していてもよい。例えば無水フタル酸や無水フタルイミドのように芳香族基が有する2以上の置換基でO、N、S等のヘテロ原子を含む環状構造を形成してもよい。
L1は単結合、アルキレンオキシ基又はポリアルキレンオキシ基であることが好ましく、単結合又はアルキレンオキシ基であることがより好ましく、エチレンオキシ基であることが特に好ましい。
これらの中でも、低臭気かつ低粘度であり、インクジェット適性に優れるため、2−フェノキシエチルアクリレートが特に好ましい。
成分Bの含有量は、インク組成物の全質量に対し、5〜70質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましく、10〜30質量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、保存安定性に優れ、また、得られる印刷物の耐ブロッキング性により優れる。
本発明のインクジェットインク化合物は、(成分C)脂肪族炭化水素環を有する単官能アクリレートを含有する。成分Cを含有すると、得られる印刷物の耐ブロッキング性に優れる。また、成分Aと成分Cとを併用することにより、硬化性に優れる。
成分Cが有する脂肪族炭化水素環は、単環であっても、縮合環や橋かけ環等の多環であってもよく、また、1つのみ有していても、2以上有していてもよい。
脂肪族炭化水素環を有する単官能アクリレートとしては、1つ以上の脂肪族炭化水素環と1つのアクリレート基とを有する化合物であれば特に制限はないが、下記式(C−1)で表される化合物であることが好ましい。
上記の脂肪族炭化水素環基は、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基、シロキサン基、炭素数30以下の置換基を1又は2以上有していてもよい。例えば、脂肪族炭化水素環基が有する2以上の置換基でO、N、S等のヘテロ原子を含む環状構造を形成してもよい。また、脂肪族炭化水素環基は、エチレン性不飽和結合を有していてもよい。
L2は単結合、単結合、アルキレンオキシ基又はポリアルキレンオキシ基であることが好ましく、単結合又はアルキレンオキシ基であることがより好ましく、単結合であることが特に好ましい。
これらの中でも、低臭気かつ低粘度であり、インクジェット適性及びトリミング適性の観点から、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、トリメチルシクロヘキシルアクリレートが特に好ましく、耐ブロッキング性とトリミング適性との両立の観点から、t−ブチルシクロヘキシルアクリレートが最も好ましい。
真空成型適正のうち特に加熱時の延伸性に優れる観点から、成分A〜成分Cの総含有量は、インク組成物中における重合性化合物の全質量に対し、90質量%以上であり、95質量%以上であることが好ましく、98質量%以上であることが特に好ましい。
耐ブロッキング性とトリミング適性との両立、及び、金型による擦過傷を防ぐ観点から、成分Cの含有量は、インク組成物中における重合性化合物の全質量に対し、25〜60質量%であり、25〜50質量%であることが好ましく、35〜45質量%であることが特に好ましい。
本発明のインクジェットインク組成物は、(成分D)分子中に2つの(メタ)アクリレート基を有するウレタンオリゴマーを含有する。成分Dを含有することにより、真空成型時における金型による擦過傷を抑制し、金型からの成型印刷物のリリース性(剥離性)に優れる。
また、成分Dが2官能の(メタ)アクリレート化合物であることにより、真空成型時における延伸性に優れる。
本発明のインクジェットインク組成物は、得られる画像の延伸性の観点から、(メタ)アクリレート基を3つ以上の有するウレタンオリゴマーを含有しないことが好ましい。
また、同様の理由で、成分Dのインク組成物中における含有量は、インク組成物の全質量に対し、0.4〜4.0質量%であり、0.5〜3.0質量%であることが好ましく、0.8〜2.5質量%であることがより好ましく、1.0〜2.0質量%であることが特に好ましい。
成分Dは、1種単独で使用しても、2種以上を使用してもよい。
RD3及びRD4はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
RD5は、水素原子又はアルキル基であることが好ましい。
RD1の炭素数は、1〜50であることが好ましい。
RD2の炭素数は、2〜50であることが好ましい。
また、RD5の炭素数は、0〜20であることが好ましい。
成分Dとしては、市販品を用いることもできる。具体的には、Sartomer社製CN961E75、CN962、CN963、CN963A80、CN963B80、CN963E75、CN963E80、CN963J85、CN964、CN964E75、CN964A85、CN965、CN965A80、CN966A80、CN966H90、CN966J75、CN966R60、CN980、CN981、CN982、CN982A75、CN982B88、CN982E75、CN983、CN985B88、CN996、CN9001、CN9002、CN972、CN973A80、CN973H85、CN973J75、CN978、CN9783、根上工業(株)製UN−1225、UN−6200、UN−9200A等が挙げられる。
中でも、上記式(D1)〜式(D3)で表される構成単位を全て有するウレタンオリゴマーである、CN962、CN965、UN−1225、UN−9200Aを特に好適に用いることができる。
本発明のインクジェットインク組成物は、(成分E)ポリエーテル変性シリコーン化合物を含有する。成分Eを含有すると、得られる印刷物の耐ブロッキング性及び真空成型適性に優れる。
ポリエーテル変性シリコーン化合物とは、ポリエーテル構造を少なくとも有するシリコーン化合物である。また、シリコーン化合物とは、シロキサン結合(Si−O−Si)を少なくとも有する化合物である。
成分Gが、イエロー、マゼンタ、シアン、又は、ブラック顔料である場合は、インクジェットインク組成物は直接に基材に対して印刷される。したがって、基材に対する濡れ性を向上させ、かつ、架橋を促進させるような成分E、例えば、(メタ)アクリレート基を有するポリエーテル変性シリコーン化合物であることが好ましい。(メタ)アクリレート基を有するポリエーテル変性シリコーン化合物を含有すると、硬化性に優れ、また、得られる印刷物の耐ブロッキング性及び真空成型適性に優れる。
また、顔料インク組成物の硬化膜上に、白色の無機顔料を含有するホワイトインク組成物を印刷されることが本発明のインク組成物が好適に用いることができる真空成型用の印刷の場合は一般的である。そのため顔料インク組成物の硬化膜の表面張力は、ホワイトインクよりも相対的に高い方が好ましい。したがって、イエロー、マゼンタ、シアン、又は、ブラック顔料である場合、インク組成物の表面張力は、22〜30mN/mの範囲であることが好ましい。成分Eを用いることにより表面張力を上記範囲に容易に調整することができる。
なお、本発明において、特に断りがない場合、「顔料インク組成物」とは、白色以外の顔料を含有するインク組成物を表すものとする。
また、(メタ)アクリレート基を有するポリエーテル変性シリコーン化合物におけるポリエーテル部位とポリシロキサン部位の質量比率としては、ポリエーテル部位:ポリシロキサン部位=1:1〜1:2の範囲であると、耐ブロッキング性を効果的に向上させることができ、好ましい。
(メタ)アクリレート基を有するポリエーテル変性シリコーン化合物における(メタ)アクリレート基の結合位置は、特に制限はなく、主鎖であっても、側鎖であってもよい。
また、(メタ)アクリレート基を有するポリエーテル変性シリコーン化合物におけるポリエーテル変性の位置は、特に制限はなく、主鎖の片末端であっても、両末端であってもよいし、側鎖であってもよい。
また、ホワイトインク組成物は、顔料インク組成物の硬化膜上に付与されることが一般的である。そのためホワイトインク組成物の硬化膜の表面張力は、顔料インクよりも相対的に低い方が好ましい。したがって、ホワイト顔料を含有する場合、インク組成物の表面張力は、22mN/m以下であることが好ましい。
上記を考慮するとホワイトインク組成物に好ましく用いることができる成分Eは、下記式(1)又は式(2)表されるポリエーテル変性シリコーン化合物である。
成分Eの含有量は、インク組成物の全質量に対し、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜4質量%であることがより好ましく、0.5〜3質量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、硬化性及び得られる印刷物の耐ブロッキング性により優れ、また、真空成型適性により優れる。
本発明のインク組成物が、成分Gとして、イエロー、マゼンタ、シアン又はブラック顔料を含有する場合、成分Eの含有量が、インク組成物の全質量に対し、0.5〜3.0質量%であることが好ましく、成分Eが、(メタ)アクリレート基を有するポリエーテル変性シリコーン化合物であり、かつ成分Eの含有量が、インク組成物の全質量に対し、0.5〜3.0質量%であることがより好ましい。
本発明のインクジェットインク化合物は、(成分F)ガラス転移温度(Tg)が50℃〜100℃であるアクリル樹脂を含有する。成分Fを含有すると、インクジェット吐出性、基材への密着性及び得られる印刷物の耐ブロッキング性に優れ、また、真空成型後のトリミング加工時における後加工割れを抑制することができる。
成分Fのガラス転移温度(Tg)は、50℃〜100℃であり、50℃〜95℃であることが好ましく、60℃〜90℃であることがより好ましい。上記範囲であると、インクジェット吐出性、密着性及び得られる印刷物の耐ブロッキング性により優れ、真空成型後のトリミング加工時における後加工割れをより抑制することができる。また、成分FのTgが50℃未満であると、密着性及び耐ブロッキング性が悪化する。成分FのTgが100℃を超えると、インクジェット吐出適性が悪化したり、真空成型後のトリミング加工時における後加工割れが生じやすくなる。
真空成型加工を行わない印刷物では大きな問題ではないが、本発明のインクジェットインク組成物を好適に用いることができる真空成型加工用の印刷物の場合、延伸によりドットとドットの隙間が大きくなり、濃度低下が顕著に表れる現象、すなわち、真空成型時の白色化を防ぐ観点では、成分Fの重量平均分子量は、5,000〜10,000であることが特に好ましい。
また、本発明における高分子化合物のガラス転移温度(Tg)は、実測によって得られる測定Tgを適用するものとする。具体的には、測定Tgは、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の示差走査熱量計(DSC)EXSTAR6220を用いて通常の測定条件で測定された値を用いることができる。
ただし、ポリマーの分解等により測定が困難な場合は、下記計算式で算出される計算Tgを適用する。計算Tgは、下記の式(T)で計算する。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi) ・・・(T)
ここで、計算対象となるポリマーはi=1からnまでのn種のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの質量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。なお、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)はPolymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley-Interscience、1989))の値を採用する。
また、成分Fは、不活性なアクリル樹脂であることが好ましい。本発明における、「不活性なアクリル樹脂」とは、アクリル樹脂が、更に連鎖重合反応可能な重合性の官能基をもたない、並びに、更に逐次架橋反応可能な架橋性及び/又は被架橋性の官能基をもたない重合体であることを意味する。すなわち、重合反応及び架橋反応を実質的に生じない状態のアクリル樹脂を指す。
また、成分Fは、Tgのコントロールが容易であること、インクへの相溶性が良好であること、また、安価であるという観点から、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、及び、t−ブチルメタクリレートよりなる群から選ばれた2種以上のメタクリル化合物の共重合体であることが好ましく、メチルメタクリレートと、n−ブチルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、及び、n−ラウリルメタクリレートよりなる群から選ばれたメタクリル化合物との共重合体であることがより好ましく、メチルメタクリレートとn−ブチルメタクリレートとの共重合体であることが更に好ましい。
また、成分Fとしては、市販品を用いることができ、例えば、ELVACITE 2013、2823(以上、Lucite社製)が挙げられる。
成分Fの含有量は、インク組成物の全質量に対し、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜8質量%であることがより好ましく、1〜5質量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、インクジェット吐出性、密着性及び得られる印刷物の耐ブロッキング性により優れる。
本発明のインクジェットインク組成物は、形成された画像部の視認性を向上させるため、(成分G)顔料を含有する。
本発明に用いることができる顔料としては、特に制限はなく、公知の顔料から任意に選択して使用することができるが、インクジェット記録方法での色設計を考慮すると、成分Gは、イエロー、マゼンタ、シアン若しくはブラック顔料、又は、ホワイト顔料であることが好ましい。また、ホワイト顔料としては、ホワイト無機顔料が好ましく、酸化チタンが特に好ましい。
上記顔料は、活性放射線による硬化反応の感度を低下させないという観点からは、硬化反応である重合反応において重合禁止剤として機能しない化合物を選択することが好ましい。
赤又はマゼンタ顔料としては、Pigment Red 3,5,19,22,31,38,42,43,48:1,48:2,48:3,48:4,48:5,49:1,53:1,57:1,57:2,58:4,63:1,81,81:1,81:2,81:3,81:4,88,104,108,112,122,123,144,146,149,166,168,169,170,177,178,179,184,185,208,216,226,257、Pigment Violet 3,19,23,29,30,37,50,88、Pigment Orange 13,16,20,36、
青又はシアン顔料としては、Pigment Blue 1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17−1,22,27,28,29,36,60、
緑顔料としては、Pigment Green 7,26,36,50、
黄顔料としては、Pigment Yellow 1,3,12,13,14,17,34,35,37,55,74,81,83,93,94,95,97,108,109,110,120,137,138,139,153,154,155,157,166,167,168,180,185,193、
黒顔料としては、Pigment Black 7,28,26、
白色顔料としては、Pigment White 6,18,21
などが目的に応じて使用できる。
本発明において、溶剤が硬化画像に残留する場合の耐溶剤性の劣化及び残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound:揮発性有機化合物)の問題を避けるためにも、顔料は、重合性化合物のような分散媒体に予め添加して、配合することが好ましい。なお、分散適性の観点のみを考慮した場合、顔料の添加に使用する重合性化合物は、最も粘度の低いモノマーを選択することが好ましい。
顔料の含有量は、色、及び使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の全質量に対し、0.01〜30質量%であることが好ましい。
本発明のインクジェットインク組成物は、(成分H)光重合開始剤を含有する。
光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤であることが好ましく、分子量が250以上の光ラジカル重合開始剤を含有する。
本発明で用いることができる光重合開始剤としては、公知の光重合開始剤を使用することができる。本発明に用いることができる光重合開始剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いることのできる光重合開始剤は、外部エネルギーを吸収して重合開始種を生成する化合物である。活性放射線としては、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線が例示できる。
分子量250以上のラジカル重合開始剤と、分子量250未満の重合開始剤を併用する場合、分子量250以上のラジカル重合開始剤の含有量は、重合開始剤総量の50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、100質量%が分子量250以上のラジカル重合開始剤であり、分子量250未満のラジカル重合開始剤を含有しないことが特に好ましい。
また、本発明において、分子量が250以上のラジカル重合開始剤とともに、分子量が250未満のラジカル重合開始剤を併用してもよい。なお、以下の説明において、分子量250未満のラジカル重合開始剤についても記載する。
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、化合物の構造中に式(7)又は式(8)の構造式を有するものが例示できる。
具体例としては、イソブチリルメチルホスフィン酸メチルエステル(MW:164.1)、イソブチリルフェニルホスフィン酸メチルエステル(MW:226.2)、ピバロイルフェニルホスフィン酸メチルエステル(MW:240.2)、2−エチルヘキサノイルフェニルホスフィン酸メチルエステル(MW:270.3)、ピバロイルフェニルホスフィン酸イソプロピルエステル(MW:268.3)、p−トルイルフェニルホスフィン酸メチルエステル(MW:274.3)、o−トルイルフェニルホスフィン酸メチルエステル(MW:274.3)、2,4−ジメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸メチルエステル(MW:288.3)、p−t−ブチルベンゾイルフェニルホスフィン酸イソプロピルエステル(MW:344.4)、アクリロイルフェニルホスフィン酸メチルエステル(MW:210.2)、イソブチリルジフェニルホスフィンオキサイド(MW:272.3)、2−エチルヘキサノイルジフェニルホスフィンオキサイド(MW:328.4)、o−トルイルジフェニルホスフィンオキサイド(MW:320.3)、p−t−ブチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(MW:350.4)、3−ピリジルカルボニルジフェニルホスフィンオキサイド(MW:307.3)、アクリロイルジフェニルホスフィンオキサイド(MW:256.2)、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(MW:306.3)、ピバロイルフェニルホスフィン酸ビニルエステル(MW:236.3)、アジポイルビスジフェニルホスフィンオキサイド(MW:514.5)、ピバロイルジフェニルホスフィンオキサイド(MW:286.3)、p−トルイルジフェニルホスフィンオキサイド(MW:320.3)、4−(t−ブチル)ベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(MW:362.4)、テレフタロイルビスジフェニルホスフィンオキサイド(MW:534.5)、2−メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(MW:320.3)、2−メチル−2−エチルヘキサノイルジフェニルホスフィンオキサイド(MW:342.4)、1−メチル−シクロヘキサノイルジフェニルホスフィンオキサイド(MW:326.4)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(MW:348.4)等が挙げられる。
具体例としては、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(MW:472.1)、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド(MW:500.1)、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド(MW:516.1)、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド(MW:514.2)、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2−ナフチルホスフィンオキサイド(MW:522.2)、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド(MW:522.2)、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−クロロフェニルホスフィンオキサイド(MW:506.5)、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,4−ジメトキシフェニルホスフィンオキサイド(MW:532.1)、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)デシルホスフィンオキサイド(MW:536.3)、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−オクチルフェニルホスフィンオキサイド(MW:584.3)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(MW:418.5)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド(MW:446.5)、ビス(2,6−ジクロロ3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド(MW:632.3)、ビス(2,6−ジクロロ−3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド(MW:696.3)、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド(MW:490.5)、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド(MW:506.5)、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2−ナフチルホスフィンオキサイド(MW:512.5)、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド(MW:504.6)、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド(MW:490.5)、ビス(2−メトキシ−1−ナフトイル)−4−工トキシフェニルホスフィンオキサイド(MW:506.5)、ビス(2−クロロ−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド(MW:531.4)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド(MW:426.5)等が挙げられる。
上記の構成とすることにより、硬化性、耐ブロッキング性により優れるインク組成物が得られる。
また、本発明のインク組成物に後述する増感剤を用いる場合、光重合開始剤の総使用量は、増感剤に対して、光重合開始剤:増感剤の質量比で、好ましくは200:1〜1:200、より好ましくは50:1〜1:50、さらに好ましくは20:1〜1:5の範囲である。
増感剤は、特定の活性放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、重合開始剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用が生じる。これにより光重合開始剤は化学変化を起こして分解し、ラジカル、酸又は塩基を生成する。
本発明に用いることができる増感剤としては、増感色素が好ましい。
好ましい増感色素の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)、チオキサントン類(例えば、チオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン)。
また、増感色素としては、特開2011−32348号公報の段落0091〜0104に記載されたものが例示できる。
これらの中でも増感剤としては、チオキサントン類が好ましい。
本発明のインク組成物中における増感剤の含有量は使用目的により適宜選択されるが、インク組成物の全質量に対し、0.05〜4質量%であることが好ましい。
本発明のインクジェットインク組成物は、(成分I)成分A〜成分E以外の重合性化合物を併用することが可能であるが、成分Iを含有しないことが好ましい。
成分Iとしては、公知の重合性化合物を用いることができ、例えば、特開2011−32348号公報の段落0038〜0042に記載の化合物が例示できる。
真空成型適性を考慮すると、膜中の架橋密度を低く設計する必要がある。硬化性及び真空成型適性を考慮した場合、成分Iとしては、単官能(メタ)アクリレート化合物、又は、単官能(メタ)アクリルアミド化合物であることが好ましく、保存安定性の観点から、単官能(メタ)アクリレート化合物であることが特に好ましい。
また、成分Iの含有量は、インク組成物中における成分D以外の重合性化合物の全質量に対し、10質量%未満であり、5質量%未満であることが好ましく、2質量%未満であることがより好ましく、含有しないことが特に好ましい。
本発明のインクジェットインク組成物は、顔料をインク組成物中に安定に分散させるため、(成分J)分散剤を含有することが好ましい。
本発明に用いることができる分散剤としては、高分子分散剤が好ましい。なお、本発明における「高分子分散剤」とは、重量平均分子量が1,000以上の分散剤を意味する。
組成物中における分散剤の含有量は使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の質量に対し、それぞれ0.05〜15質量%であることが好ましい。
本発明のインクジェットインク組成物には、必要に応じて、上記成分以外の他の成分を添加してもよい。
その他の成分としては、例えば、共増感剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、導電性塩類、溶剤、塩基性化合物等が挙げられる。
本発明のインク組成物は、共増感剤(「強増感剤」、又は、「強色増感剤」という場合もある。)を含有してもよい。
本発明において共増感剤は、増感剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、又は、酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
この様な共増感剤の例としては、アミン類、例えばM. R. Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、リサーチディスクロージャーNo.33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
本発明のインク組成物中における共増感剤の含有量は、使用目的により適宜選択されるが、インク組成物の全質量に対し、0.05〜4質量%であることが好ましい。
本発明に用いることができるインク組成物には、長時間安定した吐出性を付与するため、界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
本発明のインク組成物中における界面活性剤の含有量は使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の質量に対し、0.0001〜1質量%であることが好ましい。
本発明においては、得られる画像の耐候性向上、退色防止の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、インク組成物の全質量に対し、0.5〜15質量%であることが好ましい。
インク組成物の安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、欧州特許公開第223739号明細書、同309401号明細書、同309402号明細書、同310551号明細書、同310552号明細書、同459416号明細書、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、インク組成物の全質量に対し、0.1〜8質量%であることが好ましい。
本発明のインク組成物には、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。上記有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などが挙げられる。上記金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体などが挙げられ、具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643号の第VIIのI〜J項、同No.15162号、同No.18716号の650頁左欄、同No.36544号の527頁、同No.307105号の872頁、同No.15162号に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、インク組成物の全質量に対し、0.1〜8質量%であることが好ましい。
本発明のインク組成物には、被記録媒体との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤などが挙げられる。
この場合、耐溶剤性やVOC(Volatile Organic Compound)の問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量は、インク組成物の全質量に対し、0.1〜5質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましい。
本発明のインク組成物には、塩基性化合物は、インク組成物の保存安定性を向上させる観点から、塩基性化合物を添加してもよい。本発明に用いることができる塩基性化合物としては、公知の塩基性化合物を用いることができ、例えば、無機塩等の塩基性無機化合物や、アミン類等の塩基性有機化合物を好ましく用いることができる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などが例示できる。
本発明のインク組成物は、吐出性を考慮し、25℃における粘度が40mPa・s以下であることが好ましい。より好ましくは5〜40mPa・s、更に好ましくは7〜30mPa・sである。また吐出温度(好ましくは25〜80℃、より好ましくは25〜50℃)における粘度が、3〜15mPa・sであることが好ましく、3〜13mPa・sであることがより好ましい。本発明のインク組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク組成物の浸透を回避し、未硬化モノマーの低減が可能となるので好ましい。更に、インク組成物の液滴着弾時のインク組成物の滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善されるので好ましい。
本発明のインクジェットインクセット(以下、単に「インクセット」ともいう。)は、本発明のインクジェットインク組成物を少なくとも1種含むインクセットであること以外には、特に制限はないが、本発明のインクジェットインク組成物を少なくとも2種含むインクセットであることが好ましく、成分Gとして、イエロー、マゼンタ、シアン又はブラック顔料を含有する本発明のインクジェットインク組成物と、成分Gとして、酸化チタンを含有する本発明のインクジェットインク組成物とを少なくとも含むインクセットであることがより好ましい。
また、本発明のインクセットに含まれる本発明のインクジェットインク組成物の好ましい態様は、特に断りのない限り、前述した好ましい態様と同様である。
このようにして、本発明のインク組成物は、活性放射線の照射により高感度で硬化することで、被記録媒体表面に画像を形成することができる。
また、本発明のインクセットは、本発明のインクジェット記録方法に好適に用いることができる。
本発明のインク組成物を使用してフルカラー画像を得るためには、本発明のインクセットとして、少なくともイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックよりなる4色のインク組成物を組み合わせたインクセットであることが好ましく、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック、ホワイトよりなる5色のインク組成物を組み合わせたインクセットであることがより好ましい。
また、本発明のインクセットは、ライトシアン、ライトマゼンタ等の淡色インク組成物を組み合わせたインクセットであってもよい。
なお、本発明における「淡色インク組成物」とは、着色剤の含有量がインク組成物全体の1質量%以下であるインク組成物を意味する。上記着色剤としては、特に制限はなく公知の着色剤を用いることができ、顔料や油溶性染料が例示できる。
なお、上記顔料インク組成物、及び、酸化チタンインク組成物はいずれも、本発明のインクジェットインク組成物である。
また、本発明のインクジェットインクセットは、上記顔料インク組成物として、シアンインク組成物、マゼンタインク組成物、イエローインク組成物、及び、ブラックインク組成物の4種をそれぞれ含むことが更に好ましい。
更に、本発明のインクジェットインクセットにおける各顔料インク組成物、例えば、上記4種の顔料インク組成物は、いずれも同一の成分A〜成分Fに該当する化合物をそれぞれ少なくとも含有していることが特に好ましい。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクジェットインク組成物を支持体(被記録媒体、記録材料、基材等)上に吐出し、支持体上に吐出されたインク組成物に活性放射線を照射し、インク組成物を硬化して画像を形成する方法である。
本発明のインクジェット記録方法は、上記工程(a1)及び工程(b1)を含むことにより、支持体上において硬化したインク組成物により画像が形成される。
また、本発明の印刷物は、本発明のインクジェット記録方法によって記録された印刷物であることが好ましい。
より詳細には、本発明の成型印刷物の製造方法は、(a2)本発明のインクジェットインク組成物を支持体上にインクジェット方式により吐出して画像を形成する工程、(b2)得られた画像に活性放射線を照射して、上記インク組成物を硬化させて、上記支持体上に硬化した画像を有する印刷物を得る工程、及び、(c2)上記印刷物を成型加工する工程を含むことを特徴とする。成型加工としては、エンボス加工、真空成型加工、圧空成型加工、真空圧空成型加工、穴あけ加工、及び、切断加工が好ましく、真空成型加工、真空圧空成型加工、穴あけ加工、及び、切断加工がより好ましい。また、成型加工として、真空成型加工、圧空成型加工又は真空圧空成型加工を少なくとも行うことが好ましく、真空成型加工を少なくとも行うことがより好ましい。
本発明において、支持体(「基材」又は「記録媒体」ともいう。)としては、特に限定されず、被記録媒体や記録材料として公知の支持体を使用することができる。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされ又は蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。また、本発明における支持体として、非吸収性支持体が好適に使用することができる。
支持体は、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、テレフタル酸−イソフタル酸−エチレングリコール共重合体、テレフタル酸−エチレングリコール−1,4シクロヘキサンジメタノール共重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン9、ナイロン6,6等のポリアミド樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ三フッ化ビニリデン、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、ポリ四フッ化エチレン等のフッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート等を例示できる。上記アクリル系樹脂は、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、エチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)等の樹脂を単体又は2種以上の混合物で用いることができる。中でも、加飾印刷が容易なことや仕上がり成型物の諸耐性が優れている点で、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、及び、ポリカーボネートよりなる群から選ばれた樹脂のシートが好ましく用いられる。
また、本発明のインク組成物を用いた場合に、トリミング適性において特に顕著な効果が得られることから、支持体として、ポリカーボネートを特に好ましく用いることができる。
なお、本発明のおけるポリエチレンテレフタレートには、通常のポリエチレンテレフタレートだけでなく、いわゆるPETG等のポリエチレンテレフタレート共重合体も含まれるものとする。
支持体の層構成は、単層、或いは異種の樹脂を2層以上積層した積層体のいずれでもよい。
本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、目的とする解像度を達成しうる公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。すなわち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置であれば、いずれも、本発明のインクジェット記録方法の(a1)工程及び成型印刷物の製造方法の(a2)工程における支持体へのインクジェットインク組成物の吐出を実施することができる。
本発明で用いることのできるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、活性放射線源を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1〜100pl、より好ましくは8〜30plのマルチサイズドットを、好ましくは320×320〜4,000×4,000dpi、より好ましくは400×400〜1,600×1,600dpi、さらに好ましくは720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
本発明のインク組成物のような活性放射線硬化型インク組成物は、概して通常インクジェット記録用インクで使用される水性インク組成物より粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。インク組成物の粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。したがって、吐出時のインク組成物の温度はできるだけ一定に保つことが必要である。よって、本発明において、インク組成物の温度の制御幅は、好ましくは設定温度の±5℃、より好ましくは設定温度の±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。
支持体上に吐出されたインク組成物は、活性放射線を照射することによって硬化する。これは、本発明のインク組成物に含まれる光重合開始剤が活性放射線の照射により分解して、ラジカルなどの開始種を発生し、その開始種の機能に重合性化合物の重合反応が、生起、促進されるためである。このとき、インク組成物において光重合開始剤とともに増感剤が存在すると、系中の増感剤が活性放射線を吸収して励起状態となり、重合開始剤と接触することによって光重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
また、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を活性放射線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。更に一層短い波長が必要とされる場合、LEDとして、米国特許第6,084,250号明細書に開示されている300nmと370nmとの間に中心付けされた活性放射線を放出し得るLEDが例示できる。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい活性放射線源はUV−LEDであり、特に好ましくは350〜420nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
なお、LEDの被記録媒体上での最高照度は、10〜2,000mW/cm2であることが好ましく、20〜1,000mW/cm2であることがより好ましく、50〜800mW/cm2であることが特に好ましい。
活性放射線の照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インク組成物の吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性放射線の照射は、インク組成物の着弾後、一定時間(好ましくは0.01〜0.5秒、より好ましくは0.01〜0.3秒、更に好ましくは0.01〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク組成物の着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、被記録媒体に着弾したインク組成物が硬化前に滲むことを防止するこが可能となる。また、多孔質な被記録媒体に対しても光源の届かない深部までインク組成物が浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えることができるので好ましい。
更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させてもよい。国際公開第99/54415号パンフレットでは、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されており、このような硬化方法もまた、本発明のインクジェット記録方法及び成型印刷物の製造方法に適用することができる。
また、本発明のインクジェット記録方法は、下記工程(1’)〜工程(4’)を含む方法であることが特に好ましい。
(1’)0.5〜5mmの厚みの熱可塑性基材に前記顔料インク組成物をインクジェット方式により吐出する工程
(2’)吐出された前記顔料インク組成物に対して紫外線を照射し一部又は全部を硬化させる工程
(3’)一部又は全部を硬化させた前記顔料インク組成物上に前記酸化チタンインク組成物をインクジェット方式により吐出する工程
(4’)前記酸化チタンインク組成物に対して紫外線を照射し完全に硬化させる工程
工程(1’)におけるインクジェット方式による顔料インク組成物の吐出は、前述した工程(a1)と同様であり、好ましい態様も同様である。
工程(2’)における顔料インク組成物の硬化は、下記の示す点以外は、前述した工程(b1)と同様であり、好ましい態様も同様である。
工程(2’)において硬化させた顔料インク組成物の硬化度は、90%以上であることが好ましい。硬化度が90%以上であると、印刷物を形成する硬化膜全体の硬度が十分であり、金型による擦過傷の発生を防止することができる。より金型による擦過傷を防ぐ観点と印刷工程のハンドリング上、工程(2’)において硬化させた顔料インク組成物の硬化度は、95%を超えることがより好ましく、100%、すなわち、完全に硬化していることが特に好ましい。
本発明における硬化度は、インク組成物の硬化直後にサンプルを抜き取り、下記に示す転写試験によって基材に残留しているインク組成物の質量を測定することによって硬化率を計算するものとする。
硬化率=(転写試験後に基材上に残留しているインク組成物の質量)/(転写試験前の基材上のインク組成物の質量)
転写試験は、非浸透媒体として普通紙(富士ゼロックス(株)製コピー用紙C2、商品コードV436)を用いて実施した。抜き取った基材上の硬化直後のインク組成物に、均一な力(500〜1,000mN/cm2)で普通紙を押し付け、約1分間静置した。その後、静かに普通紙を剥がし、転写試験前後の普通紙の質量を測定した。
工程(2’)と工程(3’)との時間間隔は、24時間以内であることが好ましく、1時間以内であることが更に好ましく、10分以内であることが特に好ましい。上記時間間隔が24時間以内であると、一部又は全部を硬化させた顔料インク組成物に対する酸化チタンインク組成物の親和性が良好であり、均一な酸化チタンインク組成物の層の形成が容易である。
工程(4’)における酸化チタンインク組成物の硬化は、前述した工程(b1)と同様であり、好ましい態様も同様である。
また、工程(2’)において、顔料インク組成物の一部を硬化させた場合は、工程(4’)において、酸化チタンインク組成物を完全に硬化させるとともに、顔料インク組成物も完全に硬化させることが好ましい。
本発明のインクジェットインク組成物を用いて作製された印刷物は、エンボス加工、真空成型、圧空成型、真空圧空成型、穴あけ加工、又は、切断加工等の成型加工適性に優れ、特に真空成型加工適性、及び、真空成型加工後の穴あけ加工及び切断加工等のトリミング加工適性に優れる。印刷物を成型加工する装置としては、公知の装置を使用することができ、上記インクジェット記録装置と一体の装置であっても、別の装置であってもよい。
本発明の成型印刷物の製造方法は、(1)本発明のインクジェットインク組成物を支持体上にインクジェット方式により吐出して画像を形成する工程、(2)得られた画像に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化させて、前記支持体上に硬化した画像を有する印刷物を得る工程、(3)前記印刷物を70℃〜200℃の範囲で加熱する工程、(4)加熱した前記印刷物を金型に挿入し、少なくとも真空成型加工により3次元的な構造物に成型し成型印刷物を得る工程、を含むことが好ましく、(5)前記成型印刷物に対してトリミング加工を行う工程を更に含むことがより好ましい。
工程(3)は、真空成型加工のため、印刷物を70℃〜200℃の範囲で加熱し、印刷物の延伸性を得る工程である。加熱温度は、支持体や硬化したインク画像に応じて、これらが真空成型加工に適した硬度や延伸性となるような温度を選択すればよい。
工程(4)は、工程(3)により加熱された印刷物を使用し、金型に挿入して真空成型加工を行い3次元的な構造物に成型する工程である。また、印刷物に対し、真空成型加工だけでなく、エンボス加工や圧空成型加工を真空成型加工と同時、又は、逐次に行ってもよい。本発明のインクジェットインク組成物を用いた印刷物は、真空成型加工適性に優れ、特により延伸率の大きい真空成型加工を行った場合であっても、割れや白色化の発生がより抑制される。
工程(5)は、工程(4)により得られた3次元的に成型された成型印刷物に対し、穴あけ加工や切断加工等のトリミング加工を行う工程である。本発明のインクジェットインク組成物を用いた成型印刷物は、真空成型後においてトリミング加工を行っても、後加工割れを抑制することができる。
真空成型は、画像が形成された支持体を予め熱変形可能な温度まで予熱し、これを金型へ減圧によって吸引して延伸しながら金型に圧着冷却し成型する方法であり、圧空成型は、画像が形成された支持体を予め熱変形可能な温度まで予熱し、金型の反対側から加圧して金型に圧着冷却し成型する方法である。真空圧空成型は、上記減圧及び加圧を同時に行い成型する方法である。
詳しくは高分子大辞典(丸善株式会社)p.766〜768に記載されている「熱成型」の項目及び該項目に引用されている文献を参照することができる。加工温度は支持体種、支持体によって適宜決定されるが、支持体温度が70℃〜200℃で成型加工することが好ましく、80℃〜200℃がより好ましく、80℃〜190℃が更に好ましい。上記温度範囲であると、画像の色味変化が少なく、型への離型性に優れる加工が可能である。
トリミング加工とは、成型印刷物の不要部分を穴あけ加工や切断加工等により除去する加工である。
特に本発明のインクジェットインク組成物を使用して真空成型加工を行い成型印刷物を得た場合、真空成型後であってもトリミング加工(穴開け加工や切断加工など)における膜の割れや剥がれなどの後加工割れの発生を抑制することができる。
穴あけ加工とは、印刷物等を図形や文字等の任意の形状に穴をあける加工であり、従来公知のプレス機等を用いた打ち抜き加工、ドリル等による穴あけ加工、レーザーによる穴あけ加工方法がある。このうち、プレス機等を用いた打ち抜き加工が同じものを数多く作る場合に適した加工方法である。
プレス機等を用いた打ち抜き加工は、金型上に設置した印刷物に打ち抜き刃を設置したプレス機を用いてせん断する方法である。
切断加工とは、成型印刷物の不要部分を切断する加工であり、公知のプレス機や押し切りカッター、レーザー加工機等により好適に行うことができる。
本発明のインクジェットインク組成物を用いて作製した印刷物又は成型印刷物をトリミング加工する場合、20℃〜150℃の温度で行うことが好ましく、20℃〜100℃の温度で行うことがより好ましく、25℃〜60℃の温度で行うことが特に好ましい。上記範囲であると、画像の色味変化が少なく、型への離型性に優れる加工が可能である。
本発明の印刷物又は成型印刷物は、エンボス加工を行ってもよい。
エンボス加工は、印刷物等を図柄や文字等の任意の形状にくぼませて立体感を出す加工のことであり、例えば、ローラーやプレス機等を用いて加工することができる。
エンボス加工の一例としては、ホット・コールドプレス法が挙げられ、特開平10−199360号公報に記載の方法等を参照することができる。
ホット・コールドプレス法によるエンボス成型装置の一例を以下に示す。
上記エンボス成型装置は、下部定盤(下定盤)と上部定盤(上定盤)が相互に接近離隔可能に配置されている。そして、下部定盤上にはプレート型ヒータが固定されており、上部定盤の下面にもプレート型ヒータが固定されている。これにより、支持体を加熱しながらホットプレスを行うことができる。このホットプレス機において、その下定盤上のプレート型ヒータに、所定のエンボス形状に倣う凸部を有する金型を取付け、上定盤の下面に固定されたヒータに接触するように、上記凸部に整合する形状の凹部を有する金型を取付ける。そして、画像を形成した支持体を配置し、この支持体と凹部金型との間にクッションシートを配置して、上定盤を下降させる等して上定盤と下定盤との間で支持体及びクッションシートをプレスする。このホットプレス工程における加圧力は例えば30トンであり、プレート型ヒータによる加熱温度は例えば170℃である。そして、上定盤を下定盤に押圧し、支持体及びクッションシートを金型間で挟圧し、このホットプレスを約3分間保持する。支持体は金型を介してヒータにより加熱され、熱変形により複数個の凸部が形成される。次いで、この支持体及びクッションシートを金型間に挟持したまま、ヒータを具備しない内部水冷型定盤間に配置し、例えば加圧力30トン、保持時間約3分の条件で内部水冷型定盤により押圧し、コールドプレスする。これにより、支持体はホットプレスにより熱変形した凸形状が保持され、エンボス加工を施した成型印刷物が得られる。加圧力及び加熱温度は、用いる印刷物の材質や加工形状等の条件に応じ、適宜調整することができる。
本発明のインクジェットインク組成物を用いて作製した印刷物をエンボス加工する場合、20℃〜150℃の温度で行うことが好ましく、20℃〜100℃の温度で行うことがより好ましく、25℃〜60℃の温度で行うことが特に好ましい。上記温度範囲であると、画像の色味変化が少なく、型への離型性に優れる加工が可能である。
また、インク組成物の色を表すCMYKWはそれぞれ、C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー、K:ブラック、W:ホワイトを表す。
シアン顔料(PB15:4、C.I.Pigment Blue 15:4、HELIOGEN BLUE D 7110 F、BASF社製)
マゼンタ顔料(混結キナクリドン顔料、CINQUASIA MAGENTA L 4540、BASF社製)
イエロー顔料(PY155、C.I.Pigment Yellow 155、INK JET YELLOW 4GC、Clarinat社製)
ブラック顔料(CB、カーボンブラック、CABOT社製MOGUL E)
ホワイト顔料(TiO2、酸化チタン、KRONOS社製KRONOS 2300)
分散剤A(SOL32000、Luburizol社製SOLSPERSE 32000)
分散剤B(SOL41000、Luburizol社製SOLSPERSE 41000)
重合禁止剤(UV−12、ニトロソ系重合禁止剤、トリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミン)アルミニウム塩、FLORSTAB UV12、Kromachem社製)
PEA(2−フェノキシエチルアクリレート、SR339C、Sartomer社製)
IBOA(イソボルニルアクリレート、SR506D、Sartomer社製)
TMCHA(3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート、SR420、Sartomer社製)
TBCHA(t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、SR217、Sartomer社製)
CN962(式(D1)〜式(D3)で表される構成単位をいずれも有する2官能脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー、Sartomer社製)
CN965(2官能脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー、Sartomer社製)
UN−1225(2官能ウレタンアクリレートオリゴマー、根上工業(株)製)
CN989(3官能ウレタンアクリレートオリゴマー、Sartomer社製)
CN925(4官能ウレタンアクリレートオリゴマー、Sartomer社製)
HDDA(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、SR238、Sartomer社製)
TEGOGlide410(上記式(1)又は式(2)で表されるポリエーテル変性シリコーン化合物、Evonik社製)
BYK307(ポリエーテル変性シリコーン化合物、BYKケミー社製)
ELVACITE 2013(メチルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート共重合体、Lucite社製、Tg=80℃)
ELVACITE 2823(メチルメタクリレート共重合体、Lucite社製、Tg=50℃)
ELVACITE 2927(アクリル樹脂、Lucite社製、Tg=45℃)
OH−TEMP(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル、4−HYDROXY TEMPO、Evonik社製)
ITX(イソプロピルチオキサントン、SPEEDCURE ITX、Lambson社製)
TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、LUCIRIN TPO、BASF社製)
Irg819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、IRGACURE 819、BASF社製)
下記表1に記載の顔料以外の組成を混合し、SILVERSON社製ミキサーで撹拌し(10〜15分、2,000〜3,000回転/分)、均一な透明液(分散剤希釈液)を得た。この透明液(分散剤希釈液)に下記表1に記載の顔料を加え、更にミキサーで撹拌し(10〜20分、2,000〜3,000回転/分)、均一な予備分散液を500部得た。その後、ディスパーマット社製の循環型ビーズミル装置(SL−012C1)を用いて分散処理を実施した。分散条件は直径0.65mmのジルコニアビーズを200部充填し、周速を15m/sとした。分散時間は1〜6時間とした。上記条件により、各シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ホワイト顔料分散物1、及び、各シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック顔料分散物2をそれぞれ得た。
<顔料インクセットの作製>
表2〜表8に記載の組成のうち、重合開始剤、顔料分散物以外の成分をSILVERSON社製ミキサーで撹拌し(60分、3,000〜5,000回転/分)、均一な透明液を得た。この透明液に、重合開始剤及び顔料分散物を添加、撹拌し(10〜20分、2,000〜3,000回転/分)、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック顔料インクをそれぞれ得た。
前記で作製した顔料インクセットを市販インクジェットプリンタ(富士フイルム(株)製Acuity550)に充填し、これでプリントサンプル(100%)を作製した。基材はポリカーボネート(PC、厚み:0.75mm、Lexan Polycarbonate、Robert Horne社製)、ポリエチレンテレフタレート共重合体(PETG、厚み:1.00mm、Falcon Petg、Robert Horne社製)、ポリスチレン(PS、厚み:1.00mm、Falcon Hi Impact Polystyrene、Robert Horne社製)とした。なお、ここで100%とは、同機標準印刷条件を準拠して印刷した場合に得られる最高インク量の条件である。なお、ランプ強度は設定をLamp7に固定し、照射部に開口幅が調整できるスリットを設置することによって露光量を変更可能とした。
上記プリンターにてプリント物を作製し、プリント面にポリカーボネート(PC)、又は、コート紙を重ね合わせ、A4サイズあたり4kgの加重を与える重石を載せ24時間室温(25℃)で放置した。24時間後、重ねた基材をプリント面から剥がし、下記基準で耐ブロッキング性を評価した。
優秀:重ねた基材をプリント面から引き剥がした時に音もなく、転写もない
良好:重ねた基材をプリント面から引き剥がした時に音がするが、転写はない
普通:かすかに透明の転写がある
不良:着色の転写がある
上記プリンターにてプリント物を作製し、24時間室温(25℃)で放置した後に、クロスカット試験を実施し密着性を評価した。
優秀:JIS K5600−5−6(ISO2409)に基づいて0点
良好:JIS K5600−5−6(ISO2409)に基づいて1点
普通:JIS K5600−5−6(ISO2409)に基づいて2点
不良:JIS K5600−5−6(ISO2409)に基づいて3点以上
上記プリンターにてプリント物を作製し、24時間室温(25℃)で放置した後に、C.R.Clarke社製真空成型機(型番Vacuum Former 725FLB)を使用し、成型印刷物を作製した。ここで、印刷面が金型側になるように設置し、成型を実施した。
30秒以内に基材温度が180℃になるようにヒーターを設定し、加熱時間は60秒とした。3種類の金型(金型1:面積10cm×10cm、高さ3cmの直方体、金型2:面積10cm×10cm、高さ5cmの直方体、金型3:面積10cm×10cm、高さ10cmの直方体)を使用した。加熱工程と金型挿入工程と間に一定時間を置くことによって、金型を挿入する時の温度を一定の温度(180℃、170℃、165℃、160℃)となるようにした。真空成型後に下記基準で評価した。
優秀:金型1、2、3で膜に割れがなく、かつ、白色化がない
良好:金型1、2、3で膜に割れがない
普通:金型1、2で膜に割れがない
不良:金型1、2で膜に割れが発生
優秀:全ての温度で損傷なし
良好:165℃以上で損傷なし
普通:170℃以上で損傷なし
不良:170℃以上で損傷あり
優秀:圧力のみでのリリースが可能で、リリースで膜の変形なし
良好:圧力のみでのリリースが可能で、かつ、リリースで膜の変形なし。ただし、リリース時に音が発生
普通:圧力のみでのリリースが可能だが、リリースで膜の変形あり(成型後には正常の形である)
不良:圧力のみでのリリースが不可能、又は、リリースで膜の変形あり(成型後に正常な形に戻らない)
上記プリンターにてプリント物を作製し、24時間室温(25℃)で放置した後に、C.R.Clarke社製真空成型機(型番Vacuum Former 725FLB)を使用し、成型印刷物を作製した。ここで、印刷面が金型側になるように設置し、成型を実施した。
30秒以内に基材温度が180℃になるようにヒーターを設定し、加熱時間は30秒とした。3種類の金型(金型1:面積10cm×10cm、高さ3cmの直方体、金型2:面積10cm×10cm、高さ5cmの直方体、金型3:面積10cm×10cm、高さ10cmの直方体)を使用した。加熱工程と金型挿入工程と間に一定時間を置くことによって、金型を挿入する時の温度を一定の温度(150℃、140℃、135℃、130℃)となるようにした。真空成型後に下記基準で評価した。
優秀:金型1、2、3で膜に割れがなく、かつ、白色化がない
良好:金型1、2、3で膜に割れがない
普通:金型1、2で膜に割れがない
不良:金型1、2で膜に割れが発生
優秀:全ての温度で損傷なし
良好:135℃以上で損傷なし
普通:140℃以上で損傷なし
不良:140℃以上で損傷あり
優秀:圧力のみでのリリースが可能で、リリースで膜の変形なし
良好:圧力のみでのリリースが可能で、かつ、リリースで膜の変形なし。ただし、リリース時に音が発生
普通:圧力のみでのリリースが可能だが、リリースで膜の変形あり(成型後には正常の形である)
不良:圧力のみでのリリースが不可能、又は、リリースで膜の変形あり(成型後に正常な形に戻らない)
上記プリンターにてプリント物を作製し、24時間室温(25℃)で放置した後に、C.R.Clarke社製真空成型機(型番Vacuum Former 725FLB)を使用し、成型印刷物を作製した。ここで、印刷裏面が金型側になるように設置し、成型を実施した。
30秒以内に基材温度が180℃になるようにヒーターを設定し、加熱時間は25秒とした。3種類の金型(金型1:面積10cm×10cm、高さ3cmの直方体、金型2:面積10cm×10cm、高さ5cmの直方体、金型3:面積10cm×10cm、高さ10cmの直方体)を使用した。加熱工程と金型挿入工程と間に一定時間を置くことによって、金型を挿入する時の温度を一定の温度(140℃)となるようにした。真空成型後に下記基準で評価した。
優秀:金型1、2、3で膜に割れがなく、かつ、白色化がない
良好:金型1、2、3で膜に割れがない
普通:金型1、2で膜に割れがない
不良:金型1、2で膜に割れが発生
試験内容3(真空成型適性(PC))で作製したサンプルに対してトリミング処理を実施した。直方体の立ち上がりから0.5cm離れた部分を押し切りカッターで切断するとともに、直方体の上部をドリルで穴を開けた。
優秀:押し切りカッター切断面に割れなし、かつ、ドリル穴に割れなし
良好:押し切りカッター切断面に僅かな割れが発生、但し、ドリル穴に割れなし
普通:押し切りカッター切断面に明確な割れが発生、但し、ドリル穴に割れなし
不良:ドリル穴に明確な割れが発生
<顔料インク及び酸化チタンインクセットの作製>
表9又は表10に記載の組成のうち、重合開始剤、顔料分散物以外の成分をSILVERSON社製ミキサーで撹拌し(60分、3,000〜5,000回転/分)、均一な透明液を得た。この透明液に、重合開始剤及び顔料分散物を添加、撹拌し(10〜20分、2,000〜3,000回転/分)、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック顔料インク及び酸化チタンインクをそれぞれ得た。
前記で作製した顔料インク及び酸化チタンインクセットを市販インクジェットプリンタ(富士フイルム(株)製Acuity550)に充填し、CMYKでプリントサンプル(100%)を作製した。CMYKプリントサンプルの作成後、10分以内に、Wインクベタ画像(150%)をCMYKインク硬化膜の上に直接に印刷した。ここで、基材はポリカーボネート(PC、厚み:0.75mm、Lexan Polycarbonate、Robert Horne社製)、ポリエチレンテレフタレート共重合体(PETG、厚み:1.00mm、Falcon Petg、Robert Horne社製)、ポリスチレン(PS、厚み:1.00mm、Falcon Hi Impact Polystyrene、Robert Horne社製)とした。なお、100%とは、同機標準印刷条件を準拠して印刷した場合に得られる最高インク量の条件である。なお、ランプ強度は設定をLamp7に固定し、照射部に開口幅が調整できるスリットを設置することによって露光量を変更可能とした。
CMYKを印刷直後にサンプルを抜き取り、転写試験によって基材に残留するCMYKインクの質量を測定することによって硬化率を計算した。
硬化率=(転写試験後の残留のCMYKインクの質量)/(転写試験前のCMYKインクの質量)
なお、転写試験は非浸透媒体として普通紙(富士ゼロックス(株)製コピー用紙C2、商品コードV436)を用いて実施した。抜き取った基材上の硬化状態のインク膜に、均一な力(500〜1,000mN/cm2)で普通紙を押し付け、約1分間静置した。その後、静かに普通紙を剥がし、転写試験前後の普通紙の質量を測定した。なお、基材及び普通紙のサイズはA4サイズとした。
上記プリンターにてプリント物を作製し、プリント面にポリカーボネート(PC)、又は、コート紙を重ね合わせ、A4サイズあたり4kgの加重を与える重石を載せ24時間室温(25℃)で放置した。24時間後、重ねた基材をプリント面から剥がし、下記基準で耐ブロッキング性を評価した。
優秀:重ねた基材をプリント面から引き剥がした時に音もなく、転写もない
良好:重ねた基材をプリント面から引き剥がした時に音がするが、転写はない
普通:かすかに透明の転写がある
不良:着色の転写がある
上記プリンターにてプリント物を作製し、24時間室温(25℃)で放置した後に、クロスカット試験を実施し密着性を評価した。
優秀:JIS K5600−5−6(ISO2409)に基づいて0点
良好:JIS K5600−5−6(ISO2409)に基づいて1点
普通:JIS K5600−5−6(ISO2409)に基づいて2点
不良:JIS K5600−5−6(ISO2409)に基づいて3点以上
上記プリンターにてプリント物を作製し、24時間室温(25℃)で放置した後に、C.R.Clarke社製真空成型機(型番Vacuum Former 725FLB)を使用し、成型印刷物を作製した。ここで、印刷面が金型側になるように設置し、成型を実施した。
30秒以内に基材温度が180℃になるようにヒーターを設定し、加熱時間は60秒とした。3種類の金型(金型1:面積10cm×10cm、高さ3cmの直方体、金型2:面積10cm×10cm、高さ5cmの直方体、金型3:面積10cm×10cm、高さ10cmの直方体)を使用した。加熱工程と金型挿入工程と間に一定時間を置くことによって、金型を挿入する時の温度を一定の温度(180℃、170℃、165℃、160℃)となるようにした。
真空成型後に下記基準で評価した。
優秀:金型1、2、3で膜に割れがなく、かつ、白色化がない
良好:金型1、2、3で膜に割れがない
普通:金型1、2で膜に割れがない
不良:金型1、2で膜に割れが発生
優秀:全ての温度で損傷なし
良好:165℃以上で損傷なし
普通:170℃以上で損傷なし
不良:170℃以上で損傷あり
優秀:圧力のみでのリリースが可能で、リリースで膜の変形なし
良好:圧力のみでのリリースが可能で、かつ、リリースで膜の変形なし。ただし、リリース時に音が発生
普通:圧力のみでのリリースが可能だが、リリースで膜の変形あり(成型後には正常の形である)
不良:圧力のみでのリリースが不可能、又は、リリースで膜の変形あり(成型後に正常な形に戻らない)
上記プリンターにてプリント物を作製し、24時間室温(25℃)で放置した後に、C.R.Clarke社製真空成型機(型番Vacuum Former 725FLB)を使用し、成型印刷物を作製した。ここで、印刷面が金型側になるように設置し、成型を実施した。
30秒以内に基材温度が180℃になるようにヒーターを設定し、加熱時間は30秒とした。3種類の金型(金型1:面積10cm×10cm、高さ3cmの直方体、金型2:面積10cm×10cm、高さ5cmの直方体、金型3:面積10cm×10cm、高さ10cmの直方体)を使用した。加熱工程と金型挿入工程と間に一定時間を置くことによって、金型を挿入する時の温度を一定の温度(150℃、140℃、135℃、130℃)となるようにした。
真空成型後に下記基準で評価した。
優秀:金型1、2、3で膜に割れがなく、かつ、白色化がない
良好:金型1、2、3で膜に割れがない
普通:金型1、2で膜に割れがない
不良:金型1、2で膜に割れが発生
優秀:全ての温度で損傷なし
良好:135℃以上で損傷なし
普通:140℃以上で損傷なし
不良:140℃以上で損傷あり
優秀:圧力のみでのリリースが可能で、リリースで膜の変形なし
良好:圧力のみでのリリースが可能で、かつ、リリースで膜の変形なし。ただし、リリース時に音が発生
普通:圧力のみでのリリースが可能だが、リリースで膜の変形あり(成型後には正常の形である)
不良:圧力のみでのリリースが不可能、又は、リリースで膜の変形あり(成型後に正常な形に戻らない)
試験内容3(真空成型適性(PC)で作製したサンプルに対してトリミング処理を実施した。直方体の立ち上がりから0.5cm離れた部分を押し切りカッターで切断するとともに、直方体の上部をドリルで穴を開けた。
優秀:押し切りカッター切断面に割れなし、かつ、ドリル穴に割れなし
良好:押し切りカッター切断面にわずかな割れが発生、ただし、ドリル穴に割れなし
普通:押し切りカッター切断面に明確な割れが発生、ただし、ドリル穴に割れなし
不良:ドリル穴に明確な割れが発生
上記プリンターにてプリント物を作製し、24時間室温(25℃)で放置した後に、C.R.Clarke社製真空成型機(型番Vacuum Former 725FLB)を使用し、成型印刷物を作製した。ここで、印刷面が金型側になるように設置し、成型を実施した。
30秒以内に基材温度が180℃になるようにヒーターを設定し、加熱時間は30秒とした。3種類の金型(金型1:面積10cm×10cm、高さ3cmの直方体、金型2:面積10cm×10cm、高さ5cmの直方体、金型3:面積10cm×10cm、高さ10cmの直方体)を使用した。加熱工程と金型挿入工程と間に一定時間を置くことによって、金型を挿入する時の温度を一定の温度(150℃)となるようにした。なお、基材はPETGである。作製後サンプルを蛍光灯にかざし、白色インク(酸化チタンインク)の隠蔽性を目視評価した。
優秀:金型の高さが10cmのサンプルで蛍光灯の光の透過がほとんどなし
良好:金型の高さが10cmのサンプル蛍光灯の光の透過があるが、金型の高さが5cmのサンプルではなし
普通:金型の高さが5cmのサンプル蛍光灯の光の透過があるが、金型の高さが3cmのサンプルではなし
不良:金型の高さが3cmのサンプル蛍光灯の光の透過がある
Claims (15)
- (成分A)N−ビニルカプロラクタム、
(成分B)芳香環を有する単官能アクリレート、
(成分C)脂肪族炭化水素環を有する単官能アクリレート、
(成分D)分子中に2つの(メタ)アクリレート基を有するウレタンオリゴマー、
(成分E)ポリエーテル変性シリコーン化合物、
(成分F)ガラス転移温度(Tg)が50℃〜100℃であるアクリル樹脂、
(成分G)顔料、及び、
(成分H)光重合開始剤、を含有し、
成分A〜成分Cの総含有量が、インク組成物中における重合性化合物の全質量に対し、90質量%以上であり、
成分Cの総含有量が、インク組成物中における重合性化合物の全質量に対し、25〜60質量%であり、
成分Dの含有量が、インク組成物の全質量に対し、0.4〜4.0質量%であることを特徴とする
インクジェットインク組成物。 - 成分Gが、イエロー、マゼンタ、シアン又はブラック顔料であり、かつ、成分Eが、(メタ)アクリレート基を有するポリエーテル変性シリコーン化合物であり、成分Eの含有量が、インク組成物の全質量に対し、0.5〜3.0質量%である、請求項1又は2に記載のインクジェットインク組成物。
- 真空成型加工用インクジェットインク組成物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
- (a2)請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物を支持体上にインクジェット方式により吐出して画像を形成する工程、
(b2)得られた画像に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化させて、前記支持体上に硬化した画像を有する印刷物を得る工程、及び、
(c2)前記印刷物を成型加工する工程、を含む
成型印刷物の製造方法。 - (1)請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物を支持体上にインクジェット方式により吐出して画像を形成する工程、
(2)得られた画像に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化させて、前記支持体上に硬化した画像を有する印刷物を得る工程、
(3)前記印刷物を70℃〜200℃の範囲で加熱する工程、
(4)加熱した前記印刷物を金型に挿入し、少なくとも真空成型加工により3次元的な構造物に成型し成型印刷物を得る工程、並びに、
(5)前記成型印刷物に対してトリミング加工を行う工程、を含む
成型印刷物の製造方法。 - (成分A)N−ビニルカプロラクタム、(成分B)芳香環を有する単官能アクリレート、(成分C)脂肪族炭化水素環を有する単官能アクリレート、(成分D)分子中に2つの(メタ)アクリレート基を有するウレタンオリゴマー、(成分E)ポリエーテル変性シリコーン化合物、(成分F)ガラス転移温度(Tg)が50℃〜100℃であるアクリル樹脂、(成分G)顔料、及び、(成分H)光重合開始剤、を含有し、成分A〜成分Cの総含有量が、インク組成物中における重合性化合物の全質量に対し、90質量%以上であり、成分Cの総含有量が、インク組成物中における重合性化合物の全質量に対し、30〜60質量%であり、成分Dの含有量が、インク組成物の全質量に対し、0.4〜4.0質量%であり、成分Gが、イエロー、マゼンタ、シアン又はブラック顔料である顔料インク組成物と、
(成分A)N−ビニルカプロラクタム、(成分B)芳香環を有する単官能アクリレート、(成分C)脂肪族炭化水素環を有する単官能アクリレート、(成分D)分子中に2つの(メタ)アクリレート基を有するウレタンオリゴマー、(成分E)ポリエーテル変性シリコーン化合物、(成分F)ガラス転移温度(Tg)が50℃〜100℃であるアクリル樹脂、(成分G)顔料、及び、(成分H)光重合開始剤、を含有し、成分A〜成分Cの総含有量が、インク組成物中における重合性化合物の全質量に対し、90質量%以上であり、成分Cの総含有量が、インク組成物中における重合性化合物の全質量に対し、30〜60質量%であり、成分Dの含有量が、インク組成物の全質量に対し、0.4〜4.0質量%であり、成分Gが、酸化チタンである酸化チタンインク組成物と、を含むことを特徴とする
インクジェットインクセット。 - 前記顔料インク組成物における成分Eが、(メタ)アクリレート基を有するポリエーテル変性シリコーン化合物である、請求項8に記載のインクジェットインクセット。
- 前記顔料インク組成物における成分Eの含有量が、インク組成物の全質量に対し、0.5〜3.0質量%である、請求項8又は9に記載のインクジェットインクセット。
- 前記酸化チタンインク組成物における成分Eの含有量が、インク組成物の全質量に対し、1.0〜2.0質量%である、請求項8〜11のいずれか1項に記載のインクジェットインクセット。
- (1’)0.5〜5mmの厚みの熱可塑性基材に前記顔料インク組成物をインクジェット方式により吐出する工程、
(2’)吐出された前記顔料インク組成物に対して紫外線を照射し一部又は全部を硬化させる工程、
(3’)一部又は全部を硬化させた前記顔料インク組成物上に前記酸化チタンインク組成物をインクジェット方式により吐出する工程、及び、
(4’)前記酸化チタンインク組成物に対して紫外線を照射し完全に硬化させる工程、を含み、
請求項8〜12のいずれか1項に記載のインクジェットインクセットを使用する、
インクジェット記録方法。 - 請求項13に記載のインクジェット記録方法により得られた印刷物。
- (5’)請求項13に記載のインクジェット記録方法により得られた印刷物を成型加工する工程、を含む
成型印刷物の製造方法。
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