JP2004173624A - 歩行型薬液散布機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】広幅で大径の単一駆動輪3と幅狭小径の後輪4を備えて自走する走行フレーム2の上部であって前記駆動輪3の後方に薬液タンク32を設け、前記走行フレーム2の前部に立設した支柱40には左右横方向に延設された薬液散布ブーム38を高さ調節自在に取り付ける。また、前記薬液タンク32は前記後輪4の略上方に設ける。駆動輪3の左右両側には着脱自在に荷台27,27を装着する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、畦畔を自走しながら除草剤等を散布する歩行型薬液散布機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、圃場やハウス内を走行させながら、防除ブームに設けた薬液散布ノズルから除草剤や消毒液を散布するものが知られている。(例えば、特許文献1参照)
前記特許文献1に記載されたものは、エンジン取付フレーム4の上にエンジンEを載置すると共に、この前方に薬液を収容する主タンク20を設け、さらにその前方に施肥装置と防除装置を設けるように構成している。
【0003】
【特許文献1】
実開平6−70574号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記特許文献1に記載されたものは比較的大径で、エンジン動力によって駆動される後輪2の上方に主タンク20が設けられているために全体の重心が高くなる欠点があり、更に高い位置に設けられた主タンク20の前方に施肥、防除の装置が設けられているために前方視界が悪くなるという欠点を有していた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の欠点を解消するために提案するものであり、畦畔の上を安定して走行すると共に除草剤等の薬液の散布が容易に行なえる歩行型薬液散布機を提供することを目的とする。
【0006】
このため、次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、広幅で大径の単一駆動輪3と幅狭小径の後輪4を備えて自走する走行フレーム2の上部であって前記駆動輪3の後方に薬液タンク32を設け、前記走行フレーム2の前部に立設した支柱40には左右横方向に延設された薬液散布ブーム38を高さ調節自在に取り付けたことを特徴とする歩行型薬液散布機の構成とする。
【0007】
請求項2の発明は、薬液タンク32は前記後輪4の略上方に設けられていることを特徴とする請求項1記載の歩行型薬液散布機とした。
請求項3の発明は、前記駆動輪3の左右両側に荷台27,27が設けられていることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の歩行型薬液散布機とした。
【0008】
これにより、薬液散布作業時には、重量物である薬液タンク32を小径後輪4の上において重心を低くした状態で薬液タンク32を支持でき、畦畔上を安定した良好な状態で走行できる。
また、走行フレーム2の前部に立設した支柱40に沿わせて薬液散布ブーム38を上下スライドさせるだけで噴霧高さを調節できるので畦畔の高さに応じて噴霧高さを簡単に調節することができるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1及び図2は薬液散布機1を示し、除草剤を畦畔の表面へ散布する歩行型の形態としている。この歩行型の散布機1は、断面L字型のアングル材を左右に配し、これら左右のアングル材を、適宜補強部材で連結して構成したフレーム2に、前輪3及び後輪4からなる走行車輪、薬液を畦畔へ散布する散布装置5及び後端部に操縦ハンドル6を備えて構成される。
【0010】
上記フレーム2の前部は側面視やや上向角を呈するよう成形し、フレーム2前部を板体7で連結してこの板体7の上にバッテリ17を載置している。
また、フレーム2の後部左右にはハンドルフレーム9,9を立設し、その上端にパイプ材で形成された2本のハンドル6,6を後方へ向けて延設している。6L,6Rはこのハンドルのグリップ部である。
【0011】
前記前輪3は大径幅広の空気入りタイヤにて形成され、後述する電動モータ14により駆動される。このタイヤは低圧タイヤに構成される一方その側壁部が分厚く成形されていて、左右方向の傾動によっては主として荷重を支持し得る。
後輪4は前輪3より小径で幅方向においても前輪3よりやや幅狭であり樹脂車輪で形成されている。
【0012】
もって前輪3による接地部と後輪4による接地部との関係は、平面視において、三角形の底辺部と頂点部との関係となり、駆動輪3が前方にあって広幅であっても低圧タイヤのため地面の凹凸による影響を受け難くかつ後輪4の狭幅仕様は畦面の凹凸を拾い難く走行時の姿勢を安定させ、両輪3,4で安定走行をなし得る。
【0013】
また、前記電動モータ14はバッテリ17を載せる板体7の下面側に設けられ、モータ軸10に設けられたスプロケット11と前輪軸12に設けられたスプロケット13との間にチェン15を介装連結して、電動モータ14が駆動されると駆動輪となる前輪3が回転駆動されるように構成している。
【0014】
前輪3の駆動方法について更に詳述すると、操縦ハンドル6,6を連結する操作パネル21には前後進切換のための電動モータ14の正逆切換スイッチ19、及び走行速度調整のために電動モータ14の回転数を制御する回転制御ダイヤル20が設けられている。
【0015】
電動モータ14を作動させるためのスイッチ18は右側ハンドルグリップ部6Rに設けられ、ハンドル把持と共に指で係合して把持部に接近させるときは電動モータ14がオンし、開放するとオフになって電動モータ14は駆動を停止する構成である。
【0016】
23は前記後輪4軸に支持されたU字状のスタンドで、機体の格納の際や長時間停止の際に後輪4側を持ち上げ支持し得る構成である。
26は畔越えローラであり、フレーム2の前端部にあって回転自在に支持される。このように畔越えローラ26が遊転する構造であるから畔越え時にはローラ26と前輪3とで機体の前部が支持されることになって畔越えが容易になる特徴を有する。
【0017】
また、符号27,27は駆動輪である前輪3の左右両側に着脱自在に設けた荷台(図3、図4参照)であり、細い複数個のロッド27aを用いて籠型に形成し、必要に応じて機体に装着し得るようにしている。そして、籠型荷台27,27の上方から薬液を収容している補給缶を収容するようにしている。この実施例では薬液を満たしている4リットルの缶を左右に夫々2缶ずつ載せて移動することができる。
【0018】
このように大径の駆動輪3のすぐ横に荷台27,27が左右一対設けてあるので左右バランスも良好に取れて歩行型薬液散布機の畦畔上での移動が容易になる。
次に薬液散布装置5について説明する。
【0019】
薬液散布装置5は薬液タンク32と散布ノズル34とポンプ36等からなり、薬液タンク32は後輪4の略上方に設けられ、その重量が後輪4に掛かるように構成している。薬液タンク32の上面には開閉蓋33が設けられ、これを外すことによって薬液を補給することができる。この実施例では28〜30リットルの薬液を充填できる。
【0020】
また、薬液を送り出すポンプ36は後輪4支持部の近傍に設けてあり、操作パネル21の中央部に設けたポンプ作動スイッチ37を入切することによって作動を開始乃至停止する。散布ノズル34は水平ブーム38に所定間隔をあけて設けられ、この実施例では4頭口形態としている。散布幅は約1.2mである。なお、ノズル34からの噴霧について1つの切替えレバーで全部同時に行なえるようにしてもよいが、ノズル毎に切替えレバーを設け、噴霧場所、噴霧位置に応じてオペレータが任意に切替えるように構成してもよい。切替えレバーを個々に設ければ畦畔の上面と側面を同時に散布したり畦畔の側面のみの散布も自由に行なえるものである。
【0021】
また、水平ブーム38は全体が上下方向に高さ調節できるようになっており、バッテリ17カバーの上部に設けた側面視L字型のブーム支持杆40にパイプ42が上下移動自在に嵌合されている。パイプ42には水平部43aと垂直部43bを有する逆L字型の補助支持杆43が固着されている。この補助支持杆43の垂直部43bにはパイプ44が上下摺動自在に嵌合されパイプ44は前記水平ブーム38と一体的に固着されている。なお、前記2つのパイプ42,44には位置決め用のボルト45,46が設けられ、これらのボルト45,46を夫々ねじ込んでいくことによって各支持杆に対する位置決めが行なえるように構成している。符号47はポンプ36とノズル34とを結ぶホース、48はウエイトである。
【0022】
次に作用について説明する。畦畔に対して除草剤を散布するときにはまずポンプ36を駆動させるスイッチ37をONにして薬液を吐出させる。
次いでハンドルグリップ6Rに設けたスイッチ18を握って走行運転を開始させる。
【0023】
正逆切換スイッチ19を前進側又は後進側に操作して進行方向を選択し、回転制御ダイヤル20を回して車速を決定する。この状態で除草剤の散布作業を開始する。
このとき、畦畔の高さに応じて水平ブーム38の高さを調節し、あるいは畦畔の除草剤を散布する場所に応じて切替えレバーを操作して噴霧させる散布ノズル34の数を選択する。ポンプ36から吐出された薬液は畦畔の上面や側面に噴霧され、土壌中に浸透する。
【0024】
特にこの発明では、前輪3を大径の駆動輪とし、後輪4は小径で幅狭とし、かつ後輪の上に重い薬液タンク32を載置する形態を採用したので走行時の直進安定性が良く、作業時の前後及び左右のバランスが崩れ難いのでオペレータは散布作業に専念できる。
【0025】
更に詳述すると、作業中において畦畔を走行するとき、駆動輪としての前輪3と補助的な車輪としての後輪4とが接地して回転するが、前輪3は空気入りタイヤを利用するものであるから、走行の際適宜のクッション性を維持して畦畔の上面を転動でき、後輪4の左右幅狭構成と相俟って畦畔上面の凹凸に左右され難い。又、前輪3を空気入りタイヤに構成するため、左右幅をやや広く構成できながら機体の側方への倒れを防止する。即ち、機体の側方への倒れ荷重は、前輪タイヤの分厚い側壁部で支えられるものとなるため、タイヤを低圧状態として畦畔凹凸による影響をなるべく小さくしてタイヤ自体の偏平に伴うふらつきを少なくできながら、当該方向の倒れを未然に防止できる特徴がある。また、この実施例では回転制御ダイヤル20を回すことによって作業速を無段階に変速することができるので畦畔の高さや幅等の条件に応じて、あるいはオペレータの熟練度に応じて散布速度を自由に設定でき、作業の容易化を図ることができる。
【0026】
次にバッテリ駆動に変えてエンジンで自走する薬液散布機1について説明する。
図5は図1に相当するものであり、図1と略同じ構成部材若しくは類似の構成部材については同一の符号を付し、新規な構成部材についてのみ新たに符号を付して説明するものとする。構成を説明すると、走行フレーム2の前上部にはリコイル式のエンジン50を搭載して設け、このエンジン50の前部に遠心クラッチ51を設け、この遠心クラッチ51を介して薬液散布用のポンプ36を駆動するように構成している。
【0027】
エンジン50後部にはVプーリ、ベルトからなる無段変速機構53を設け、無段変速機構53の下方には遠心クラッチ54を設け、この遠心クラッチ54を介した回転動力をギヤボックス55内の駆動機構56に伝達する。
駆動機構56の出力軸56a端部にはスプロケット11を取付け、駆動輪側には大径のスプロケット13を取付け、両スプロケット11,13の間にはチェン15を巻き掛けてエンジン50側の回転動力を前輪3に伝達する。
【0028】
なお、両方の遠心クラッチ51,54を操作する部材はハンドルグリップ6L,6Rの近傍に設けても良いが、操作パネル21の上面に設けるようにしても良い。
エンジン50の回転動力を遠心クラッチ51を介してポンプ36に伝達することによって散布ノズル34から薬液が噴霧され、エンジン50の動力を遠心クラッチ54を介してギヤボックス55側に伝えると、チェン15、スプロケット11,13を順次介して前輪3が駆動される。
【0029】
この実施例のようにエンジン50駆動方式においては、前進のみが可能で後進ができないという欠点がある。後進もエンジン50の動力で可能とするには、ギヤボックス55内に逆転切替機構(図示省略)を設ける必要がある。
【0030】
【発明の効果】
請求項1の発明は、広幅で大径の単一駆動輪3と幅狭小径の後輪4を備えて自走する走行フレーム2の上部であって前記駆動輪3の後方に薬液タンク32を設け、前記走行フレーム2の前部に立設した支柱40には左右横方向に延設された薬液散布ブーム38を高さ調節自在に取り付けたことを特徴とする歩行型薬液散布機としたので、畦畔の上を安定した状態で走行しながら、除草剤等の薬液を散布できる。
【0031】
また、請求項2の発明は、薬液タンク32は前記後輪4の略上方に設けられていることを特徴とする請求項1記載の歩行型薬液散布機としたので、重い薬液タンク32を安定性良く支持でき、しかも、前方視界も開けて散布作業が容易になる。
【0032】
また、請求項3の発明は、前記駆動輪3の左右両側に荷台27,27が設けられていることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の歩行型薬液散布機としたので、薬液散布機を利用して重量物を運ぶことができ、特に、この荷台27,27に予備の薬液缶を収容すれば薬液を充填するためにいちいち薬液保管場所まで引き返す必要がなく作業の能率が大幅に改善されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】薬液散布機の側面図である。
【図2】薬液散布機の平面図である。
【図3】薬液散布機の正面図である。
【図4】薬液散布機の平面図である。
【図5】別実施例の側面図である。
【符号の説明】
1…薬液散布機
2…フレーム
3…駆動輪(前輪)
4…後輪
5…散布装置
6…操縦ハンドル
14…電動モータ
17…バッテリ
18…スイッチ
27…荷台
30…薬液散布装置
34…散布ノズル
36…ポンプ
Claims (3)
- 広幅で大径の単一駆動輪3と幅狭小径の後輪4を備えて自走する走行フレーム2の上部であって前記駆動輪3の後方に薬液タンク32を設け、前記走行フレーム2の前部に立設した支柱40には左右横方向に延設された薬液散布ブーム38を高さ調節自在に取り付けたことを特徴とする歩行型薬液散布機。
- 薬液タンク32は前記後輪4の略上方に設けられていることを特徴とする請求項1記載の歩行型薬液散布機。
- 前記駆動輪3の左右両側に荷台27,27が設けられていることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の歩行型薬液散布機。
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