JP2004173551A - 水飴の風味改良方法 - Google Patents
水飴の風味改良方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004173551A JP2004173551A JP2002342222A JP2002342222A JP2004173551A JP 2004173551 A JP2004173551 A JP 2004173551A JP 2002342222 A JP2002342222 A JP 2002342222A JP 2002342222 A JP2002342222 A JP 2002342222A JP 2004173551 A JP2004173551 A JP 2004173551A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- flavor
- ion exchange
- improving
- starch syrup
- resin layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Confectionery (AREA)
- Jellies, Jams, And Syrups (AREA)
Abstract
【課題】アミノ酸やミネラルなどの栄養素を失うことなく、アミノ酸・ミネラル含有水飴の異臭を除去し、風味を改良することができる方法を提供すること。
【解決手段】穀類を糖化原料とする水飴の製造において、前記穀類を加水分解することにより得られる糖化液を、両性イオン交換樹脂又は無極性樹脂からなる多孔性樹脂層に、SVが0.01〜5の範囲内となる速度で通液する。
【選択図】 なし
【解決手段】穀類を糖化原料とする水飴の製造において、前記穀類を加水分解することにより得られる糖化液を、両性イオン交換樹脂又は無極性樹脂からなる多孔性樹脂層に、SVが0.01〜5の範囲内となる速度で通液する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、穀類を糖化原料とする水飴の風味改良方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水飴は、従来、デンプンを酸糖化法、酵素糖化法などにより加水分解することによって製造されてきた。酸糖化法は、デンプンを水に分散させた生デンプン乳液に塩酸、硫酸、シュウ酸などの酸を添加して加熱することにより加水分解する方法である。酵素糖化法は、まず生デンプン乳液に液化型α−アミラーゼを添加、加熱して加水分解(液化)し、次に麦芽又はβ−アミラーゼを作用させ、さらに加水分解(糖化)する方法である。
デンプンは、加水分解によって、最終的には構造単位であるグルコースにまで分解するが、その分解条件を調節することにより、各種の中間分解物(マルトース等の二糖類(G2);マルトトリオース等の三糖類(G3);デキストリン等の、四糖類以上の糖類(G4)など)の混合物が得られる。例えば、酸糖化法により得られる水飴(酸糖化水飴)の糖組成の代表的な例として、グルコース20%程度、マルトース15%程度、マルトトリオース12%程度、デキストリン50%程度の組成をもつものが製造できる。また、酵素糖化法により、グルコース3%以下、マルトース50%程度、マルトトリオース20%程度、デキストリン27%程度の組成をもつ水飴(酵素糖化水飴)を製造できる。
【0003】
現在、デンプン源すなわち糖化原料の1つとして、穀類又はその粉砕物を利用する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
穀類は、デンプンのほか、タンパク質、ミネラルなど多様な栄養素を含んでいる。例えば、精白米の場合、可食部100gあたり、タンパク質が約6.8%、ミネラルとしてリン140mg、カリウム110mg、ナトリウム2mg、鉄0.5mg程度が含まれている(香川芳子監修、四訂日本食品成分表、女子栄養大学出版部、1998年、54頁)。
そのため、穀類を加水分解して得られる水飴は、穀類中のタンパク質の加水分解により生じるアミノ酸やミネラルなどの栄養成分をバランスよく含んでおり、栄養価の高い食品素材であり、今後、多様な食品への応用が期待されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−191316号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このようなアミノ酸やミネラルを含有する水飴(以下、アミノ酸・ミネラル含有水飴ということがある)は、アミノ酸やミネラルを活かす目的から、通常、十分な精製を行わないので、穀類や酵素類の持つ風味が残っている。例えば、糖化原料として米を用いた米飴の場合、米に由来する風味や、加熱により新たに生じるメイラード反応生成物の風味を有している。
これらの風味は、和菓子などの風味付けなどに用いる場合には問題にならないが、食品の中には、こうした風味が不要なものも多く、中には、せっかくの風味が異臭となってしまうものもある。そのため、アミノ酸・ミネラル含有水飴は、栄養価は高いものの、その風味のために、食品素材としての用途が限定されていた。したがって、アミノ酸・ミネラル含有水飴を多様な用途に利用するためには、その風味を改良する必要があった。
【0006】
一方、食品素材の風味を改良する方法としては、一般に、素材原液をイオン交換樹脂に通液し、脱色、脱臭を行う精製が行われている。
イオン交換樹脂による精製は、様々な食品素材に汎用されており、風味改良効果の高いものである。例えば柑橘果汁の場合、イオン交換樹脂によりクエン酸などの酸が吸着されて酸味が緩和されるほか、異臭も吸着されて風味が改善される。また、焼酎に使用した場合、異臭あるいは不快成分となるアルデヒド、有機酸、有機酸エステルなどが除去され、風味が改善される。
【0007】
しかしながら、イオン交換樹脂を用いる方法は、アミノ酸・ミネラル含有水飴の風味改善には適していない。
イオン交換樹脂として従来使用されていたのは、陽イオンを吸着する陽イオン交換樹脂と、陰イオンを吸着する陰イオン交換樹脂である。アミノ酸は、アミノ基(−NH2)とカルボキシル基(−COOH)とを同一分子内に有する両性イオンであり、溶液のpHにより陽イオン(−NH3 +)になったり、陰イオン(−COO−)になったりする。そのため、イオン交換樹脂で精製した場合、相当量のアミノ酸が吸着除去されてしまう。また、ミネラルも、溶液中では陽イオン又は陰イオンの形で存在しているので、やはり、イオン交換樹脂による精製の際に吸着除去されてしまう。つまり、アミノ酸・ミネラル含有水飴を、異臭除去・風味改善のためにイオン交換樹脂を用いて精製すると、せっかくのアミノ酸やミネラルなどの栄養素が吸着除去されてしまうという問題があった。
したがって、アミノ酸・ミネラル含有水飴の場合、アミノ酸やミネラルの含有量が低下することを防止するために、イオン交換樹脂による精製を行うことはできなかった。
【0008】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、アミノ酸やミネラルなどの栄養素をほとんど失うことなく、アミノ酸・ミネラル含有水飴の異臭を除去し、風味を改良することができる方法を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究した結果、穀類を加水分解することにより得られる糖化液を、両性イオン交換樹脂又は無極性樹脂からなる多孔性樹脂層に、所定の範囲内の速度で通液することにより、前記課題が達成されることを発見し、本発明を完成した。
すなわち、前記課題を解決する本発明は、穀類を糖化原料とする水飴の製造において、前記穀類を加水分解することにより得られる糖化液を、両性イオン交換樹脂又は無極性樹脂からなる多孔性樹脂層に、SVが0.01〜5の範囲内となる速度で通液することを特徴とする水飴の風味改良方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明をより詳細に説明する。
穀類を糖化原料とする水飴の製造は、例えば以下のようにして行うことができる。
まず、穀類又はその粉砕物に、プロテアーゼ、セルラーゼを配合したα−アミラーゼを作用させて、穀類中に含まれているデンプンを加水分解することにより液化する液化工程を行う。
穀類としては、米のほか、大麦、小麦、そば、あわ、えんばく、きび、とうもろこし、はとむぎ、ひえ、もろこし、ライむぎ等が好適に用いられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0011】
液化後、液化したデンプンを糖化する糖化工程を行う。糖化工程は、上述のような酵素糖化法のほか、酸糖化法を用いてもよいが、好ましくは酵素糖化法を用いる。酵素糖化法において、液化したデンプンに作用させる糖化酵素としては、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ等の一般的に用いられているものが使用可能であり、製造しようとする水飴の糖組成に応じて使い分けるとよい。例えば、マルトースを主成分としたい場合にはβ−アミラーゼを用い、グルコースを主成分としたい場合にはグルコアミラーゼなどを用いる。
【0012】
糖化が十分に進んだ後、得られる糖化液に、必要に応じてプロテアーゼの至適pH、至適温度に調整した後、プロテアーゼを添加することにより、タンパク質を加水分解し、アミノ酸を含有する糖化液を得る(タンパク質分解工程)。
なお、ここでは糖化酵素により十分反応させた後、プロテアーゼを添加したが、糖化酵素とプロテアーゼを同時に添加し、同時に反応を行ってもよい。
【0013】
上述したようなアミノ酸・ミネラル含有水飴の製造方法は、特許文献1により詳しく説明されている。なお、特許文献1では、穀類として米を使用しているが、この方法は穀類一般に適用でき、添加するα−アミラーゼの量やプロテアーゼ、セルラーゼの配合比を、使用する穀類に含まれるデンプンやタンパク質の組成に応じて変化させることにより、同様の方法で液化することができる。
また、上述の液化工程−糖化工程−タンパク質分解工程という一連の加水分解工程においては、それぞれ、α−アミラーゼ−糖化酵素−プロテアーゼを触媒として用いているが、酸を触媒としてデンプンやタンパク質を加水分解することもできる。
【0014】
上述のようにして製造したアミノ酸及びミネラルを含有する糖化液は、多孔性樹脂層に通液する前に、任意に、特許文献1に記載されるように、遠心分離やフィルタープレスによる不溶部の除去や、可溶部をケイソウ土や活性炭などの濾過助剤を用いた濾過を行うことが好ましい。これらの処理を行うことにより、穀物臭やメイラード反応生成物による臭気は取り除けないものの、分解されずに残ったタンパク質や脂肪などの不純物を十分に取り除くことができる。
なお、こうした遠心分離やフィルタープレス、濾過のかわりに、セラミックなどを素材とする精密濾過を行ってもよい。
【0015】
次に、上述のようにして得られるアミノ酸及びミネラルを含有する糖化液の精製工程を行う。本発明において、精製工程は、糖化液を多孔性樹脂層に通液することによって行われる。多孔性樹脂層は、物理的吸着能が優れた吸着樹脂であり、その表面積が大きいものほど好ましく使用される。また、多孔性樹脂層としては、両性イオン交換樹脂又は無極性樹脂からなるものを用いる。
【0016】
両性イオン交換樹脂とは、アミノ基、イミノ基、アンモニウム基などの塩基性イオン交換基と、フェノール性ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基などの酸性イオン交換基の双方を有するもので、酸性物質、塩基性物質、中性物質など幅広い物質を物理的及び化学的に吸着することができる。本発明においては、弱塩基性イオン交換基及び弱酸性イオン交換基を有するものが好ましく用いられ、特に、アミノ基及びフェノール性ヒドロキシル基を有するものが好ましい。
両性イオン交換樹脂からなる多孔性樹脂層としては、例えば、味の素ファインテクノ(株)製の吸着樹脂DS(交換基:フェノール性ヒドロキシル基及びアミノ基;見かけ密度:700〜770g/l)や吸着樹脂KS(フェノール性ヒドロキシル基及びアミノ基;見かけ密度:700〜770g/l)、吸着樹脂HS(フェノール性ヒドロキシル基及びアミノ基;見かけ密度:700〜770g/l)等が市販されている。
【0017】
無極性樹脂とは、スチレン−ジビニルベンゼン重合物等の、電気双極子をもたない分子により構成された樹脂、あるいは極性結合をもっていても分子の対称性からその双極子モーメントが打ち消された構造をもつ分子、またはそれに近い極性の低い極性結合を持つ分子により構成された樹脂を意味する。
無極性樹脂からなる多孔性樹脂層としては、例えば、日本錬水(株)製のHPシリーズやSPシリーズ、オルガノ(株)製のXADシリーズ等が市販されている。
【0018】
多孔性樹脂層に通液する糖化液のpHは、2〜8の範囲内であれば問題はなく、特に調整する必要はない。
通液温度は、糖化液の粘度、樹脂の吸着能の面からは、高いほど好ましいが、樹脂の安定性を考慮すると、15〜60℃程度が望ましい。
また、通液速度は、SV(1時間に、樹脂容積の何倍の容量の糖化液を通液するかを示す数値)が0.01〜5、好ましくは0.1〜5、より好ましくは1〜3の範囲内になる速度とする。SVをこの範囲内とすることにより、糖化液の穀物臭やメイラード反応生成物による臭気を十分に除去することができる。
【0019】
多孔性樹脂層に通液して精製した糖化液は、最後に濃縮することにより水飴とされる。
【0020】
【実施例】
以下、実施例及び試験例を示して本発明およびその効果を具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0021】
実施例1
カリフォルニア産インディカ米の粉砕物345gを純水655gに分散させた。これにシュウ酸を加えて、pHを6.0に調整した。さらに、アミラーゼSアマノ(天野製薬製、Bacillus Subtilis由来α−アミラーゼ)を100000U添加し、55℃で1時間反応させた。次に加熱して、1時間かけて90℃に昇温し、もう一度アミラーゼSアマノを100000U添加して、90℃で1時間反応することにより液化した。
次に、60℃まで冷却し、pHを変えずにハイマルトシン(阪急共栄物産製、小麦由来β−アミラーゼ)を1000U添加し、60℃で24時間糖化反応を行った。反応後、pHを7.0に調整し、Pアマノ3G(天野製薬製、Aspergillus melleus由来プロテアーゼ)を5000U添加して、60℃で24時間反応させた。反応液を遠心分離(9000G、20分)し、その上清を90℃以上に加熱した。これをろ紙No.5C(東洋濾紙製)上に20gの活性炭太閤AW−50(二村化学製)をコートしたヌッチェに通液した。この濾過液を直径50mm、長さ200mmのカラムに充填した両性イオン交換樹脂からなる多孔性樹脂層(吸着樹脂DS;味の素ファインテクノ(株)製)に、室温、SV=1で通液した。これを孔径0.45μのニトロセルロースタイプメンブランフィルター(東洋濾紙製)に通液した後、エバポレーターにてBx(ブリックス)75まで濃縮し、水飴を得た。
【0022】
実施例2
吸着樹脂DSに換えて、無極性樹脂からなる多孔性樹脂層(XRD1180;オルガノ製)を用いた以外は、実施例1と同様の条件で水飴を製造した。
【0023】
比較例1
多孔性樹脂層に通液しなかった以外は、実施例1と同様の条件で水飴を製造した。
【0024】
比較例2
吸着樹脂DSに換えて、活性炭(顆粒状、和光純薬製)を用いた以外は、実施例1と同様の条件で水飴を製造した。
【0025】
比較例3
ヌッチェに通液した濾過液を、吸着樹脂DSに換えて、強酸性イオン交換基(−SO3Na)を有する陽イオン交換樹脂(PK220;日本錬水製)を充填した直径50mm、長さ200mmのカラムと、弱塩基性イオン交換基(−CH2−N(CH3)2)を有する陰イオン交換樹脂(WA30;日本錬水製)を充填した直径50mm、長さ200mmのカラムとを直列に接続したものに通液した以外は、実施例1と同様の条件で水飴を製造した。
【0026】
比較例4
SV=10で通液した以外は、実施例1と同様の条件で水飴を製造した。
【0027】
試験例1
実施例1,2及び比較例1〜4で製造した水飴について、糖組成、アミノ酸濃度及びミネラルの分析並びに風味の評価を、以下の方法で行った。その結果を表1に示す。なお、pHは30w/v%に調製した20℃の水飴を堀場製作所製pHメーターDS−12を用いて測定した。
【0028】
<糖組成>
糖組成はHPLCを用い、以下の条件で測定した。
ポンプ:DS−4(昭和電工製)
カラム:SCR−101N(7.9mm、φ×300mm;島津製作所製)、60℃
検出:示差式屈折率計SE−61(昭和電工製)
溶媒:純水
流量:0.8mL
サンプル:Bx10を10μL
表1に、各水飴の糖組成を質量比で示す。なお、表1中、G1は単糖類(グルコース)、G2は二糖類、G3は三糖類、G4は四糖類以上の糖類を示す。
【0029】
<アミノ酸濃度>
水飴中のアミノ酸濃度はホルモール滴定法(第4回改正国税庁所定分析法注解、日本醸造協会、23頁)に基づいて行った。すなわち、Bx30に希釈した水飴10mlにフェノールフタレイン指示薬2〜3滴を加えて0.1N水酸化ナトリウムで中和し、これに中性ホルマリン液5mlを加え、これにより遊離した酸を0.1N水酸化ナトリウムで淡桃色になるまで滴定した。この滴定数(ml)をaとし、次式によりアミノ酸濃度を計算した。表1に、各水飴中のアミノ酸濃度を示す。
アミノ酸濃度(質量%)=a×0.0075×10×1.1×75÷30
ここで、中性ホルマリン溶液は、ホルマリン50mlにフェノールフタレイン指示薬数滴を加え、0.1N水酸化ナトリウム溶液で淡桃色になるまで中和したものに水を加えて100mlとしたものである。
【0030】
<ミネラル>
ミネラルは、ICP発光分光分析装置を用い、以下の条件で、下記22元素(Al、B、Ba、Ca、Co、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Mn、Mo、Na、Ni、P、Pb、S、Si、Sn、Ti、V、Zn)について定性分析を行った。
機種:SPS4000(セイコーインスツルメンツ製)
高周波出力:1.3kW
プラズマガス流量:16L/min
補助ガス流量:0.5L/min
キャリアガス流量:1.0L/min
その結果、ピーク検出された元素(K、Ca、P、Si、Mg、Na、S)について、基準サンプルとの比較によってそれらの量を算出した。表1に、各水飴1kg中に含まれるミネラルの量(mg)を示す。
【0031】
<風味の評価>
水飴の風味は、10人のパネラーによる官能評価により、以下の5段階で評価した。表1に、10人の評価点数の平均値を示す。
5点:臭いが非常に気になる、4点:臭いが気になる、3点:臭いが少し気になる、2点:臭いがあまり気にならない、1点:臭いが全く気にならない
【0032】
【表1】
【0033】
実施例1の結果と、ヌッチェ通液後、精製操作を行わなかった比較例1の結果を比較すると、糖組成やアミノ酸濃度、ミネラルが除去されることなく、風味が大幅に改善(4.1→1.7)されたことがわかる。
また、無極性樹脂を用いた実施例2でも、糖組成やアミノ酸濃度、ミネラルが除去されておらず、また、両性イオン交換樹脂を用いた実施例1には及ばないものの、風味が改善(4.1→2.3)されたことがわかる。
一方、活性炭による精製を行った比較例2では、アミノ酸及びミネラルが減少しており、また、風味もほとんど改善されなかった(4.1→3.5)。
また、陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂による精製を行った比較例2では、風味は改善(4.1→2.2)されるものの、アミノ酸濃度が半分以下に減少し、ミネラルが完全に吸着除去されてしまい、残らなかった。
【0034】
【発明の効果】
本発明においては、穀類を糖化原料とする糖化液を、両性イオン交換樹脂又は無極性樹脂からなる多孔性樹脂層に、SVが0.01〜5の範囲内となる速度で通液することにより、アミノ酸及びミネラルはほとんど除去されることなく、穀物臭やメイラード反応生成物による臭気が取り除かれた、栄養的にも風味にも優れた水飴を製造することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、穀類を糖化原料とする水飴の風味改良方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水飴は、従来、デンプンを酸糖化法、酵素糖化法などにより加水分解することによって製造されてきた。酸糖化法は、デンプンを水に分散させた生デンプン乳液に塩酸、硫酸、シュウ酸などの酸を添加して加熱することにより加水分解する方法である。酵素糖化法は、まず生デンプン乳液に液化型α−アミラーゼを添加、加熱して加水分解(液化)し、次に麦芽又はβ−アミラーゼを作用させ、さらに加水分解(糖化)する方法である。
デンプンは、加水分解によって、最終的には構造単位であるグルコースにまで分解するが、その分解条件を調節することにより、各種の中間分解物(マルトース等の二糖類(G2);マルトトリオース等の三糖類(G3);デキストリン等の、四糖類以上の糖類(G4)など)の混合物が得られる。例えば、酸糖化法により得られる水飴(酸糖化水飴)の糖組成の代表的な例として、グルコース20%程度、マルトース15%程度、マルトトリオース12%程度、デキストリン50%程度の組成をもつものが製造できる。また、酵素糖化法により、グルコース3%以下、マルトース50%程度、マルトトリオース20%程度、デキストリン27%程度の組成をもつ水飴(酵素糖化水飴)を製造できる。
【0003】
現在、デンプン源すなわち糖化原料の1つとして、穀類又はその粉砕物を利用する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
穀類は、デンプンのほか、タンパク質、ミネラルなど多様な栄養素を含んでいる。例えば、精白米の場合、可食部100gあたり、タンパク質が約6.8%、ミネラルとしてリン140mg、カリウム110mg、ナトリウム2mg、鉄0.5mg程度が含まれている(香川芳子監修、四訂日本食品成分表、女子栄養大学出版部、1998年、54頁)。
そのため、穀類を加水分解して得られる水飴は、穀類中のタンパク質の加水分解により生じるアミノ酸やミネラルなどの栄養成分をバランスよく含んでおり、栄養価の高い食品素材であり、今後、多様な食品への応用が期待されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−191316号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このようなアミノ酸やミネラルを含有する水飴(以下、アミノ酸・ミネラル含有水飴ということがある)は、アミノ酸やミネラルを活かす目的から、通常、十分な精製を行わないので、穀類や酵素類の持つ風味が残っている。例えば、糖化原料として米を用いた米飴の場合、米に由来する風味や、加熱により新たに生じるメイラード反応生成物の風味を有している。
これらの風味は、和菓子などの風味付けなどに用いる場合には問題にならないが、食品の中には、こうした風味が不要なものも多く、中には、せっかくの風味が異臭となってしまうものもある。そのため、アミノ酸・ミネラル含有水飴は、栄養価は高いものの、その風味のために、食品素材としての用途が限定されていた。したがって、アミノ酸・ミネラル含有水飴を多様な用途に利用するためには、その風味を改良する必要があった。
【0006】
一方、食品素材の風味を改良する方法としては、一般に、素材原液をイオン交換樹脂に通液し、脱色、脱臭を行う精製が行われている。
イオン交換樹脂による精製は、様々な食品素材に汎用されており、風味改良効果の高いものである。例えば柑橘果汁の場合、イオン交換樹脂によりクエン酸などの酸が吸着されて酸味が緩和されるほか、異臭も吸着されて風味が改善される。また、焼酎に使用した場合、異臭あるいは不快成分となるアルデヒド、有機酸、有機酸エステルなどが除去され、風味が改善される。
【0007】
しかしながら、イオン交換樹脂を用いる方法は、アミノ酸・ミネラル含有水飴の風味改善には適していない。
イオン交換樹脂として従来使用されていたのは、陽イオンを吸着する陽イオン交換樹脂と、陰イオンを吸着する陰イオン交換樹脂である。アミノ酸は、アミノ基(−NH2)とカルボキシル基(−COOH)とを同一分子内に有する両性イオンであり、溶液のpHにより陽イオン(−NH3 +)になったり、陰イオン(−COO−)になったりする。そのため、イオン交換樹脂で精製した場合、相当量のアミノ酸が吸着除去されてしまう。また、ミネラルも、溶液中では陽イオン又は陰イオンの形で存在しているので、やはり、イオン交換樹脂による精製の際に吸着除去されてしまう。つまり、アミノ酸・ミネラル含有水飴を、異臭除去・風味改善のためにイオン交換樹脂を用いて精製すると、せっかくのアミノ酸やミネラルなどの栄養素が吸着除去されてしまうという問題があった。
したがって、アミノ酸・ミネラル含有水飴の場合、アミノ酸やミネラルの含有量が低下することを防止するために、イオン交換樹脂による精製を行うことはできなかった。
【0008】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、アミノ酸やミネラルなどの栄養素をほとんど失うことなく、アミノ酸・ミネラル含有水飴の異臭を除去し、風味を改良することができる方法を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究した結果、穀類を加水分解することにより得られる糖化液を、両性イオン交換樹脂又は無極性樹脂からなる多孔性樹脂層に、所定の範囲内の速度で通液することにより、前記課題が達成されることを発見し、本発明を完成した。
すなわち、前記課題を解決する本発明は、穀類を糖化原料とする水飴の製造において、前記穀類を加水分解することにより得られる糖化液を、両性イオン交換樹脂又は無極性樹脂からなる多孔性樹脂層に、SVが0.01〜5の範囲内となる速度で通液することを特徴とする水飴の風味改良方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明をより詳細に説明する。
穀類を糖化原料とする水飴の製造は、例えば以下のようにして行うことができる。
まず、穀類又はその粉砕物に、プロテアーゼ、セルラーゼを配合したα−アミラーゼを作用させて、穀類中に含まれているデンプンを加水分解することにより液化する液化工程を行う。
穀類としては、米のほか、大麦、小麦、そば、あわ、えんばく、きび、とうもろこし、はとむぎ、ひえ、もろこし、ライむぎ等が好適に用いられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0011】
液化後、液化したデンプンを糖化する糖化工程を行う。糖化工程は、上述のような酵素糖化法のほか、酸糖化法を用いてもよいが、好ましくは酵素糖化法を用いる。酵素糖化法において、液化したデンプンに作用させる糖化酵素としては、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ等の一般的に用いられているものが使用可能であり、製造しようとする水飴の糖組成に応じて使い分けるとよい。例えば、マルトースを主成分としたい場合にはβ−アミラーゼを用い、グルコースを主成分としたい場合にはグルコアミラーゼなどを用いる。
【0012】
糖化が十分に進んだ後、得られる糖化液に、必要に応じてプロテアーゼの至適pH、至適温度に調整した後、プロテアーゼを添加することにより、タンパク質を加水分解し、アミノ酸を含有する糖化液を得る(タンパク質分解工程)。
なお、ここでは糖化酵素により十分反応させた後、プロテアーゼを添加したが、糖化酵素とプロテアーゼを同時に添加し、同時に反応を行ってもよい。
【0013】
上述したようなアミノ酸・ミネラル含有水飴の製造方法は、特許文献1により詳しく説明されている。なお、特許文献1では、穀類として米を使用しているが、この方法は穀類一般に適用でき、添加するα−アミラーゼの量やプロテアーゼ、セルラーゼの配合比を、使用する穀類に含まれるデンプンやタンパク質の組成に応じて変化させることにより、同様の方法で液化することができる。
また、上述の液化工程−糖化工程−タンパク質分解工程という一連の加水分解工程においては、それぞれ、α−アミラーゼ−糖化酵素−プロテアーゼを触媒として用いているが、酸を触媒としてデンプンやタンパク質を加水分解することもできる。
【0014】
上述のようにして製造したアミノ酸及びミネラルを含有する糖化液は、多孔性樹脂層に通液する前に、任意に、特許文献1に記載されるように、遠心分離やフィルタープレスによる不溶部の除去や、可溶部をケイソウ土や活性炭などの濾過助剤を用いた濾過を行うことが好ましい。これらの処理を行うことにより、穀物臭やメイラード反応生成物による臭気は取り除けないものの、分解されずに残ったタンパク質や脂肪などの不純物を十分に取り除くことができる。
なお、こうした遠心分離やフィルタープレス、濾過のかわりに、セラミックなどを素材とする精密濾過を行ってもよい。
【0015】
次に、上述のようにして得られるアミノ酸及びミネラルを含有する糖化液の精製工程を行う。本発明において、精製工程は、糖化液を多孔性樹脂層に通液することによって行われる。多孔性樹脂層は、物理的吸着能が優れた吸着樹脂であり、その表面積が大きいものほど好ましく使用される。また、多孔性樹脂層としては、両性イオン交換樹脂又は無極性樹脂からなるものを用いる。
【0016】
両性イオン交換樹脂とは、アミノ基、イミノ基、アンモニウム基などの塩基性イオン交換基と、フェノール性ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基などの酸性イオン交換基の双方を有するもので、酸性物質、塩基性物質、中性物質など幅広い物質を物理的及び化学的に吸着することができる。本発明においては、弱塩基性イオン交換基及び弱酸性イオン交換基を有するものが好ましく用いられ、特に、アミノ基及びフェノール性ヒドロキシル基を有するものが好ましい。
両性イオン交換樹脂からなる多孔性樹脂層としては、例えば、味の素ファインテクノ(株)製の吸着樹脂DS(交換基:フェノール性ヒドロキシル基及びアミノ基;見かけ密度:700〜770g/l)や吸着樹脂KS(フェノール性ヒドロキシル基及びアミノ基;見かけ密度:700〜770g/l)、吸着樹脂HS(フェノール性ヒドロキシル基及びアミノ基;見かけ密度:700〜770g/l)等が市販されている。
【0017】
無極性樹脂とは、スチレン−ジビニルベンゼン重合物等の、電気双極子をもたない分子により構成された樹脂、あるいは極性結合をもっていても分子の対称性からその双極子モーメントが打ち消された構造をもつ分子、またはそれに近い極性の低い極性結合を持つ分子により構成された樹脂を意味する。
無極性樹脂からなる多孔性樹脂層としては、例えば、日本錬水(株)製のHPシリーズやSPシリーズ、オルガノ(株)製のXADシリーズ等が市販されている。
【0018】
多孔性樹脂層に通液する糖化液のpHは、2〜8の範囲内であれば問題はなく、特に調整する必要はない。
通液温度は、糖化液の粘度、樹脂の吸着能の面からは、高いほど好ましいが、樹脂の安定性を考慮すると、15〜60℃程度が望ましい。
また、通液速度は、SV(1時間に、樹脂容積の何倍の容量の糖化液を通液するかを示す数値)が0.01〜5、好ましくは0.1〜5、より好ましくは1〜3の範囲内になる速度とする。SVをこの範囲内とすることにより、糖化液の穀物臭やメイラード反応生成物による臭気を十分に除去することができる。
【0019】
多孔性樹脂層に通液して精製した糖化液は、最後に濃縮することにより水飴とされる。
【0020】
【実施例】
以下、実施例及び試験例を示して本発明およびその効果を具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0021】
実施例1
カリフォルニア産インディカ米の粉砕物345gを純水655gに分散させた。これにシュウ酸を加えて、pHを6.0に調整した。さらに、アミラーゼSアマノ(天野製薬製、Bacillus Subtilis由来α−アミラーゼ)を100000U添加し、55℃で1時間反応させた。次に加熱して、1時間かけて90℃に昇温し、もう一度アミラーゼSアマノを100000U添加して、90℃で1時間反応することにより液化した。
次に、60℃まで冷却し、pHを変えずにハイマルトシン(阪急共栄物産製、小麦由来β−アミラーゼ)を1000U添加し、60℃で24時間糖化反応を行った。反応後、pHを7.0に調整し、Pアマノ3G(天野製薬製、Aspergillus melleus由来プロテアーゼ)を5000U添加して、60℃で24時間反応させた。反応液を遠心分離(9000G、20分)し、その上清を90℃以上に加熱した。これをろ紙No.5C(東洋濾紙製)上に20gの活性炭太閤AW−50(二村化学製)をコートしたヌッチェに通液した。この濾過液を直径50mm、長さ200mmのカラムに充填した両性イオン交換樹脂からなる多孔性樹脂層(吸着樹脂DS;味の素ファインテクノ(株)製)に、室温、SV=1で通液した。これを孔径0.45μのニトロセルロースタイプメンブランフィルター(東洋濾紙製)に通液した後、エバポレーターにてBx(ブリックス)75まで濃縮し、水飴を得た。
【0022】
実施例2
吸着樹脂DSに換えて、無極性樹脂からなる多孔性樹脂層(XRD1180;オルガノ製)を用いた以外は、実施例1と同様の条件で水飴を製造した。
【0023】
比較例1
多孔性樹脂層に通液しなかった以外は、実施例1と同様の条件で水飴を製造した。
【0024】
比較例2
吸着樹脂DSに換えて、活性炭(顆粒状、和光純薬製)を用いた以外は、実施例1と同様の条件で水飴を製造した。
【0025】
比較例3
ヌッチェに通液した濾過液を、吸着樹脂DSに換えて、強酸性イオン交換基(−SO3Na)を有する陽イオン交換樹脂(PK220;日本錬水製)を充填した直径50mm、長さ200mmのカラムと、弱塩基性イオン交換基(−CH2−N(CH3)2)を有する陰イオン交換樹脂(WA30;日本錬水製)を充填した直径50mm、長さ200mmのカラムとを直列に接続したものに通液した以外は、実施例1と同様の条件で水飴を製造した。
【0026】
比較例4
SV=10で通液した以外は、実施例1と同様の条件で水飴を製造した。
【0027】
試験例1
実施例1,2及び比較例1〜4で製造した水飴について、糖組成、アミノ酸濃度及びミネラルの分析並びに風味の評価を、以下の方法で行った。その結果を表1に示す。なお、pHは30w/v%に調製した20℃の水飴を堀場製作所製pHメーターDS−12を用いて測定した。
【0028】
<糖組成>
糖組成はHPLCを用い、以下の条件で測定した。
ポンプ:DS−4(昭和電工製)
カラム:SCR−101N(7.9mm、φ×300mm;島津製作所製)、60℃
検出:示差式屈折率計SE−61(昭和電工製)
溶媒:純水
流量:0.8mL
サンプル:Bx10を10μL
表1に、各水飴の糖組成を質量比で示す。なお、表1中、G1は単糖類(グルコース)、G2は二糖類、G3は三糖類、G4は四糖類以上の糖類を示す。
【0029】
<アミノ酸濃度>
水飴中のアミノ酸濃度はホルモール滴定法(第4回改正国税庁所定分析法注解、日本醸造協会、23頁)に基づいて行った。すなわち、Bx30に希釈した水飴10mlにフェノールフタレイン指示薬2〜3滴を加えて0.1N水酸化ナトリウムで中和し、これに中性ホルマリン液5mlを加え、これにより遊離した酸を0.1N水酸化ナトリウムで淡桃色になるまで滴定した。この滴定数(ml)をaとし、次式によりアミノ酸濃度を計算した。表1に、各水飴中のアミノ酸濃度を示す。
アミノ酸濃度(質量%)=a×0.0075×10×1.1×75÷30
ここで、中性ホルマリン溶液は、ホルマリン50mlにフェノールフタレイン指示薬数滴を加え、0.1N水酸化ナトリウム溶液で淡桃色になるまで中和したものに水を加えて100mlとしたものである。
【0030】
<ミネラル>
ミネラルは、ICP発光分光分析装置を用い、以下の条件で、下記22元素(Al、B、Ba、Ca、Co、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Mn、Mo、Na、Ni、P、Pb、S、Si、Sn、Ti、V、Zn)について定性分析を行った。
機種:SPS4000(セイコーインスツルメンツ製)
高周波出力:1.3kW
プラズマガス流量:16L/min
補助ガス流量:0.5L/min
キャリアガス流量:1.0L/min
その結果、ピーク検出された元素(K、Ca、P、Si、Mg、Na、S)について、基準サンプルとの比較によってそれらの量を算出した。表1に、各水飴1kg中に含まれるミネラルの量(mg)を示す。
【0031】
<風味の評価>
水飴の風味は、10人のパネラーによる官能評価により、以下の5段階で評価した。表1に、10人の評価点数の平均値を示す。
5点:臭いが非常に気になる、4点:臭いが気になる、3点:臭いが少し気になる、2点:臭いがあまり気にならない、1点:臭いが全く気にならない
【0032】
【表1】
【0033】
実施例1の結果と、ヌッチェ通液後、精製操作を行わなかった比較例1の結果を比較すると、糖組成やアミノ酸濃度、ミネラルが除去されることなく、風味が大幅に改善(4.1→1.7)されたことがわかる。
また、無極性樹脂を用いた実施例2でも、糖組成やアミノ酸濃度、ミネラルが除去されておらず、また、両性イオン交換樹脂を用いた実施例1には及ばないものの、風味が改善(4.1→2.3)されたことがわかる。
一方、活性炭による精製を行った比較例2では、アミノ酸及びミネラルが減少しており、また、風味もほとんど改善されなかった(4.1→3.5)。
また、陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂による精製を行った比較例2では、風味は改善(4.1→2.2)されるものの、アミノ酸濃度が半分以下に減少し、ミネラルが完全に吸着除去されてしまい、残らなかった。
【0034】
【発明の効果】
本発明においては、穀類を糖化原料とする糖化液を、両性イオン交換樹脂又は無極性樹脂からなる多孔性樹脂層に、SVが0.01〜5の範囲内となる速度で通液することにより、アミノ酸及びミネラルはほとんど除去されることなく、穀物臭やメイラード反応生成物による臭気が取り除かれた、栄養的にも風味にも優れた水飴を製造することができる。
Claims (6)
- 穀類を糖化原料とする水飴の製造において、前記穀類を加水分解することにより得られる糖化液を、両性イオン交換樹脂又は無極性樹脂からなる多孔性樹脂層に、SVが0.01〜5の範囲内となる速度で通液することを特徴とする水飴の風味改良方法。
- 前記多孔性樹脂層が、弱塩基性イオン交換基及び弱酸性イオン交換基を有する両性イオン交換樹脂からなるものである請求項1記載の水飴の風味改良方法。
- 前記多孔性樹脂層が、アミノ基及びフェノール性ヒドロキシ基を有する両性イオン交換樹脂からなるものである請求項2記載の水飴の風味改良方法。
- 前記多孔性樹脂層に通液する前に、前記糖化液に対し、前処理として、遠心分離、フィルタープレス及び/又は濾過助剤を用いた濾過を行う請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水飴の風味改良方法。
- 前記濾過助剤がケイソウ土及び/又は活性炭である請求項4記載の水飴の風味改良方法。
- 前記穀類が、米、大麦、小麦、そば、あわ、えんばく、きび、とうもろこし、はとむぎ、ひえ、もろこし及びライむぎからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水飴の風味改良方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002342222A JP2004173551A (ja) | 2002-11-26 | 2002-11-26 | 水飴の風味改良方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002342222A JP2004173551A (ja) | 2002-11-26 | 2002-11-26 | 水飴の風味改良方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004173551A true JP2004173551A (ja) | 2004-06-24 |
Family
ID=32704341
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002342222A Pending JP2004173551A (ja) | 2002-11-26 | 2002-11-26 | 水飴の風味改良方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004173551A (ja) |
Citations (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS508368A (ja) * | 1973-05-24 | 1975-01-28 | ||
JPS62120394A (ja) * | 1985-11-20 | 1987-06-01 | Kurita Water Ind Ltd | オリゴ糖液の処理方法 |
JPH01256400A (ja) * | 1988-04-05 | 1989-10-12 | Nippon Shokuhin Kako Co Ltd | 糖液処理に用いるカチオン塔 |
JPH02503634A (ja) * | 1988-03-17 | 1990-11-01 | ザ ダウ ケミカル カンパニー | 吸着剤樹脂による糖水溶液の脱色法および該吸着剤樹脂からの着色体の脱着法 |
JPH067084A (ja) * | 1992-06-23 | 1994-01-18 | Snow Brand Milk Prod Co Ltd | 再構成液状乳脂肪の風味改良方法 |
JPH06276955A (ja) * | 1993-03-23 | 1994-10-04 | Snow Brand Milk Prod Co Ltd | 大豆蛋白質の脱臭方法 |
JP2000169502A (ja) * | 1998-12-04 | 2000-06-20 | Roquette Freres | 分枝マルトデキストリンとその製造方法 |
JP2000333692A (ja) * | 1999-03-23 | 2000-12-05 | Oji Paper Co Ltd | キシロオリゴ糖の製造方法 |
JP2002191316A (ja) * | 2000-12-25 | 2002-07-09 | Gun Ei Chem Ind Co Ltd | アミノ酸・ミネラル含有米水飴、およびその製造方法 |
JP2002238600A (ja) * | 2001-02-22 | 2002-08-27 | Japan Organo Co Ltd | 糖液精製方法及び精製装置 |
JP2002238462A (ja) * | 2001-02-14 | 2002-08-27 | Morinaga Milk Ind Co Ltd | 乳清蛋白質加水分解物及びその製造方法 |
JP2002315506A (ja) * | 2001-04-23 | 2002-10-29 | Morinaga Milk Ind Co Ltd | ホエーマザーリキッド粉末の製造方法 |
-
2002
- 2002-11-26 JP JP2002342222A patent/JP2004173551A/ja active Pending
Patent Citations (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS508368A (ja) * | 1973-05-24 | 1975-01-28 | ||
JPS62120394A (ja) * | 1985-11-20 | 1987-06-01 | Kurita Water Ind Ltd | オリゴ糖液の処理方法 |
JPH02503634A (ja) * | 1988-03-17 | 1990-11-01 | ザ ダウ ケミカル カンパニー | 吸着剤樹脂による糖水溶液の脱色法および該吸着剤樹脂からの着色体の脱着法 |
JPH01256400A (ja) * | 1988-04-05 | 1989-10-12 | Nippon Shokuhin Kako Co Ltd | 糖液処理に用いるカチオン塔 |
JPH067084A (ja) * | 1992-06-23 | 1994-01-18 | Snow Brand Milk Prod Co Ltd | 再構成液状乳脂肪の風味改良方法 |
JPH06276955A (ja) * | 1993-03-23 | 1994-10-04 | Snow Brand Milk Prod Co Ltd | 大豆蛋白質の脱臭方法 |
JP2000169502A (ja) * | 1998-12-04 | 2000-06-20 | Roquette Freres | 分枝マルトデキストリンとその製造方法 |
JP2000333692A (ja) * | 1999-03-23 | 2000-12-05 | Oji Paper Co Ltd | キシロオリゴ糖の製造方法 |
JP2002191316A (ja) * | 2000-12-25 | 2002-07-09 | Gun Ei Chem Ind Co Ltd | アミノ酸・ミネラル含有米水飴、およびその製造方法 |
JP2002238462A (ja) * | 2001-02-14 | 2002-08-27 | Morinaga Milk Ind Co Ltd | 乳清蛋白質加水分解物及びその製造方法 |
JP2002238600A (ja) * | 2001-02-22 | 2002-08-27 | Japan Organo Co Ltd | 糖液精製方法及び精製装置 |
JP2002315506A (ja) * | 2001-04-23 | 2002-10-29 | Morinaga Milk Ind Co Ltd | ホエーマザーリキッド粉末の製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4435721B2 (ja) | 食物繊維を含有する発酵飲料の製造方法。 | |
JP2949019B2 (ja) | 食塩味増強組成物および増強方法 | |
JP5735133B2 (ja) | 非発酵ビール風味飲料及びその製造方法 | |
JP3533239B2 (ja) | マルトヘキサオース・マルトヘプタオース生成アミラーゼとその製造方法並びに用途 | |
EP1811863B1 (en) | Process for the production of maltodextrins | |
JP6495031B2 (ja) | 飲み応えと厚みを有するノンアルコールビールテイスト飲料 | |
JPH06209784A (ja) | 澱粉を非ランダムに開裂する為の方法およびそれによって製造される低いd.e.の転化生成物 | |
JPH036783B2 (ja) | ||
JPS58870A (ja) | 飲食物及びその製造方法 | |
JP2006304764A (ja) | 残存窒素量を調整した発酵飲料の製造方法 | |
JP4755450B2 (ja) | 酵母エキスを用いた発酵飲料の製造方法 | |
KR960011095B1 (ko) | 말토테트라오스 생성 아밀라아제와 그의 제조 방법 및 용도 | |
JP5793628B2 (ja) | 非発酵ビール風味飲料及びその製造方法 | |
JP2004173552A (ja) | 酒類製造用の米糖化液の製造方法 | |
JP2004173551A (ja) | 水飴の風味改良方法 | |
JP6906346B2 (ja) | 香気成分保持剤及び飲食品の香気成分保持方法 | |
JP2003164265A (ja) | 発酵食品の製造方法 | |
JPS6030695A (ja) | 吸湿性良好なイソマルト−スを主成分として含有する非発酵性糖の製造法 | |
JP3497468B2 (ja) | アミノ酸・ミネラル含有米水飴、およびその製造方法 | |
JP2858177B2 (ja) | 新規な食酢 | |
JP2005323556A (ja) | グルタミン酸含有シロップ | |
JP3148935B2 (ja) | 新規な粉末食酢 | |
JP2005323555A (ja) | アミノ酸・ミネラル含有シロップ | |
JPH0427823B2 (ja) | ||
JPH0368664B2 (ja) |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050119 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060413 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060418 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20060815 |