JP3497468B2 - アミノ酸・ミネラル含有米水飴、およびその製造方法 - Google Patents
アミノ酸・ミネラル含有米水飴、およびその製造方法Info
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ルを含有する米水飴およびその製造方法に関するもので
ある。本水飴はバランスよくアミノ酸・ミネラルを含む
食品素材であり、栄養価の高い甘味料として飲食物への
利用、あるいは活性剤として医薬向けなど培養原料など
に利用することができる。
などにより製造されてきた。酸糖化法は、澱粉を水に分
散させた生澱粉乳液に、塩酸、硫酸、シュウ酸などの酸
を添加して加熱することによりDEを30から65程度
に加水分解することにより製造される。こうした酸糖化
法により得られる水飴(酸糖化水飴)の糖組成の代表的
な例として、グルコース20%程度、マルトース15%
程度、マルトトリオース12%程度、G4以上のデキス
トリン50%程度の組成をもつものが製造できる。
ず生澱粉乳液に液化型α−アミラーゼを添加、加熱しD
E3〜30程度に加水分解(液化)する。次に、麦芽ま
たはβ−アミラーゼを作用させ、さらに加水分解(糖
化)する。酵素糖化法により、グルコース3%以下、マ
ルトース50%程度、マルトトリオース20%程度、G
4以上のデキストリン27%程度の組成をもつ水飴(酵
素糖化水飴)を製造できる。
造された水飴はその糖組成が大きく異なるため、用途が
異なる。酸糖化水飴は、グルコース含量が多くて着色し
やすく、吸湿しやすいという性質をもつため、佃煮の風
味づけなど特殊な用途に使われる。一方、酵素糖化水飴
は着色しにくい、吸湿しにくい、まろやかな味をもつな
どの性質をもつため、キャンディー、プリン、アイスク
リームなど幅広い用途に使用されている。
り精製する。まず、ケイソウ土や活性炭などを助材とし
てろ過し、タンパク質・脂肪などを除去する。次にイオ
ン交換樹脂によりイオンを除去、最後にこれを濃縮して
製品とする。製品は高度に精製されており、製品中は糖
類と水分以外の成分はまったく含まれていない。
成をもつ水飴が開発されてきた。例えば、低い甘味と高
い粘性を特徴とする、澱粉の加水分解を低く抑えた低D
E水飴、非発酵性の分技オリゴ糖を多く含むイソマルト
ースシロップ、まろやかな甘味をもつマルトースを70
%以上含むハイマルトースシロップなどである。しか
し、これらはいずれも糖組成に特徴をもつものであり、
栄養分として糖類以外のものを含むことはなかった。
る澱粉はトウモロコシや馬鈴薯、タピオカなどから作ら
れるが、水飴精製工程にできるだけ負荷をかけないよう
にするなどの理由から、澱粉中の蛋白質、脂肪、ミネラ
ルがほとんど含まれないレベルまで精製されているのが
普通である。たとえば、コーンスターチの一般成分は水
分12〜14%、粗蛋白0.25〜0.35%、粗脂肪
0.05%、粗灰分0.06%、澱粉86.5%以上と
あり(二國二郎監修、澱粉化学ハンドブック、朝倉書
店、1977年、309頁)、糖類と水分以外はほとん
ど含まれていない。
でいる。例えば、精白米の場合、タンパク質が6.8
%、灰分が0.6%と豊富に含まれており、しかも、こ
の米タンパク質のアミノ酸スコアは61であり、アミノ
酸組成が優れたタンパク質のひとつである。このこと
は、小麦粉のアミノ酸スコアの39、トウモロコシのア
ミノ酸スコアの31と比べれば明らかである(竹生新治
郎監修、米の化学、朝倉書店、1995年、21頁)。
また、米には豊富なミネラルが含まれている。ミネラル
の種類、含有量は産地や気候により異なるが、代表的な
例として可食部100g当り、リン140mg、カリウ
ム110mg、カルシウム6mg、ナトリウム2mg、
鉄0.5mgが含まれる(香川芳子監修、四訂日本食品
成分表、女子栄養大学出版部、1998年、54頁)。
これらの豊富な栄養分は炊飯等によりまるごと摂取すれ
ば利用上効率がよいが、この場合1日の摂取量には限界
があり、また炊飯米を好まない人は利用することができ
ない。したがって、米が持つアミノ酸、ミネラルをバラ
ンスよく含み、かつまろやかな甘味をもつ食品素材が求
められてきた。
から製造されているが、これらは米がもつ風味を利用し
た点に特徴があり、米がもつ栄養分を十分に利用した水
飴とは言えなかった。これらの米水飴は、米を液化した
後、麦芽やβ−アミラーゼなどの酵素を作用させること
により製造されるが、せっかく含まれる豊富なタンパク
質が高分子のまま精製工程に運ばれるため、ケイソウ土
や活性炭などを助材とするろ過によりほとんど除去され
てしまう。すなわち、従来製造されてきた米水飴は米が
もつタンパク質やタンパク質由来のアミノ酸をほとんど
含まない、すなわち、米の栄養を十分に利用していない
食品素材であった。
鑑みて開発されたものであり、その目的とするところ
は、米が持つ、優れたタンパク質、ミネラル分を十分利
用し、かつ酵素糖化水飴がもつまろやかな甘味をもつ食
品素材を提供すること、およびその様な食品素材を効率
的、経済的に生産しうる製造方法を提供することにあ
る。
砕物の液化液をβ−アミラーゼにより糖化し、次にプロ
テアーゼをpH7.0〜9.0の範囲で作用させること
により、0.2〜5%のアミノ酸、0.01〜0.2%
のミネラルを含み、かつグルコース含量が総固形量の
0.1〜10%、JAS法による着色度が0.001〜
5の水飴、すなわち米が持つ、優れたタンパク質、ミネ
ラル分を十分利用し、かつ酵素糖化水飴がもつまろやか
な甘味をもつ食品素材を製造できることを見出し、本発
明を完成した。
水飴を製造する方法について説明する。まず、精白米に
α−アミラーゼを作用させて液化する。液化の条件は特
に限定されるものではないが、例えば、精白米、もしく
はその粉砕物100部に対し水を170部添加し、シュ
ウ酸によりpH6.0に調整して十分攪拌した後に、プ
ロテアーゼ、セルラーゼを配合したα−アミラーゼを固
形分1gあたり500U添加し、55℃1時間反応後、
1時間かけて90℃まで昇温し、90℃に1時間保持す
ることにより液化できる。
化液を糖化、さらにプロテアーゼ反応することにより製
造される。糖化酵素としては主にβ−アミラーゼを用い
る。β−アミラーゼとしては大豆や大麦麦芽など植物由
来のものやBasillus属、Pseudomona
s属など微生物由来のものがあるが、いずれを用いても
よい。ただし、市販の酵素の大半はα−アミラーゼが配
合されたものであるが、これらを用いるとグルコースが
多く生成してしまうため、α−アミラーゼを配合してい
ない酵素を用いなければならない。また、β−アミラー
ゼの添加量、反応時間には特に制限がないが、好ましく
はβ−アミラーゼを固形分1gあたり0.5〜50U添
加し、8〜96時間反応させる。反応温度は、短時間で
失活しない程度に低く、雑菌汚染の恐れがない程度に高
い温度であれば特に問題はなく、通常は50〜70℃に
するが、β−アミラーゼの至適温度にするのがより好ま
しい。なお、ここで言う至適pHとは酵素活性が最も高
くなるpHのことである。また、目的に応じて、他の作
用をもつ酵素を添加してもよい。例えば、β−アミラー
ゼと共に枝切り酵素を用いればマルトース分が60〜9
0%の水飴を得ることができる。
〜5000U添加し、8〜96時間反応させる。ここで
pHは7.0〜9.0、好ましくは7.0〜8.0とす
る。プロテアーゼの至適pHは普通弱酸性から中性であ
るため、通常7.0より低いpHで反応させるが、7.
0より低いpHで反応させるとグルコース量が著しく増
えてしまい好ましくない。また、9.0より高いpHで
反応させると著しく着色してしまい好ましくない。反応
温度は、短時間で失活しない程度に低く、雑菌汚染の恐
れがない程度に高い温度であれば特に問題はなく、通常
は50〜70℃にするが、プロテアーゼの至適温度にす
るのがより好ましい。
反応させた後、プロテアーゼを添加してさらに反応させ
たが、β−アミラーゼとプロテアーゼを同時に添加し、
同時に反応を行ってもよい。
やフィルタープレスにより不溶部を除いた後、可溶部を
ケイソウ土や活性炭などを助材とするろ過、さらに精密
ろ過を行うことにより精製し、最後に濃縮することによ
り、目的とする透明な水飴を得ることができる。通常の
水飴は精密ろ過の前にイオン交換樹脂による脱イオン工
程を経るが、本発明ではこれを行わない。これは脱イオ
ン工程により、プロテアーゼ反応で得られたアミノ酸や
ミネラル分がイオン交換樹脂に吸着し、生成した水飴中
のアミノ酸やミネラル分の含有量が低下することを防止
するためである。
の液化液をβ−アミラーゼにより糖化し、次にプロテア
ーゼをpH7.0〜9.0の範囲で作用させることによ
り、0.2〜5%のアミノ酸、0.01〜0.2%のミ
ネラル分を含有し、かつグルコース含量が総固形量の
0.1〜10%、JAS法による着色度が0.001〜
5の水飴を製造することができる。
以下であることが重要である。グルコースには、甘味度
が高い、着色しやすい、吸湿性が高いという性質があ
る。一方、マルトースやマルトトリオース、G4以上の
デキストリンには着色しにくい、保水性が高い、まろや
かな甘味であるという性質がある。水飴のグルコース含
量が総固形量の10%より少なくすることにより、グル
コースがもつ性質を抑え、マルトースやマルトトリオー
ス、G4以上のデキストリンの性質を生かすことができ
るため、プリン、ゼリー、コーヒー飲料、アイスクリー
ムなど幅広い用途に利用することができる。
る。食品素材として着色度が5より高い水飴を加える
と、マスキングできない程度に著しく褐色を帯びること
になる。このため、水飴の用途が褐色を帯びてもよいも
のに限定されてしまい、その商品価値が著しく低いもの
になってしまう。
次の方法で行った。pHは30w/v%に調製した20
℃の水飴を堀場製作所製pHメーターDS−12を用い
て測定した。アミノ酸濃度はホルモール滴定法(第4回
改正国税庁所定分析法注解、日本醸造協会、23頁)に
基づいて行った。すなわち、30w/v%に希釈した水
飴10mlにフェノールフタレイン指示薬2〜3滴を加
えて0.1N水酸化ナトリウムで中和し、これに中性ホ
ルマリン液5mlを加えることにより遊離した酸を0.
1N水酸化ナトリウムで淡桃色になるまで滴定する。
(滴定値)×0.0075×10×1.108×75÷
30よりアミノ酸濃度を計算した。糖組成はHPLCに
より測定した。HPLCの構成は、ポンプが昭和電工製
DS−4、カラムが島津製作所製SCR−101N、溶
媒が純水、検出器が昭和電工製示差式屈折率計SE−6
1である。JAS法による着色度は30w/v%に調製
した水飴を10mmの長さのガラス製セルに充填し、日
立製作所製U−3210U型自記分光光度計420nm
の吸光度(OD420)、720nm(OD720)の
吸光度を測定し、(OD420)−(OD720)の値
を10倍することにより求めた(澱粉糖技術部会編、澱
粉等関連工業分析法、食品化学新聞社、平成3年、10
8頁)。
る。
米の粉砕物345gを純水655gに分散させる。これ
にシュウ酸を加えて、pHを6.0に調整する。さら
に、アミラーゼSアマノ(天野製薬製、Bacillu
s Subtilis由来α−アミラーゼ)を1000
00U添加し、55℃で1時間反応する。次に加熱し、
1時間かけて90℃に昇温し、もう一度アミラーゼSア
マノを100000U添加して、90℃で1時間反応す
る。次に、60℃まで冷却し、pHを変えずにハイマル
トシン(阪急共栄物産製、小麦由来β−アミラーゼ)を
1000U添加し、60℃で24時間反応させる。反応
後、pHを7.0に調整し、Pアマノ3G(天野製薬
製、Aspergillus melleus由来プロ
テアーゼ)を5000U添加して、60℃で24時間反
応する。
し、その上清を加熱する。これをろ紙No.5C(東洋
濾紙製)上に10gの活性炭白鷺A(武田薬品工業製)
をコートしたヌッチェに通液する。このろ過液を孔径
0.45μのニトロセルロースタイプメンブランフィル
ター(東洋濾紙製)に通液した後、エバポレーターにて
Bx75まで濃縮した。結果を表1に示す。
トシンGLによる24時間反応後、pH8.0に調整
し、Pアマノ3Gを50000U添加して、60℃、2
4時間反応する。実施例1と同じ方法で遠心、ろ過、濃
縮を行う。結果を表1に示す。
トシンGLの24時間反応後、pH7.0に調整し、P
アマノ3Gを100000U添加して、60℃、24時
間反応する。実施例1と同じ方法で遠心、ろ過、濃縮を
行う。結果を表1に示す。
7.0に調整し、ハイマルトシンGLを2000U、P
アマノ3Gを100000U添加し48時間反応する。
実施例1と同じ方法で遠心、ろ過、濃縮を行う。結果を
表1に示す。
トシンGLの24時間反応後、pH7.0に調整し、そ
のまま酵素を添加せず、60℃、24時間反応する。実
施例1と同じ方法で遠心、ろ過、濃縮を行う。結果を表
2に示す。
トシンGLの24時間反応後、pH9.5に調整し、P
アマノ3Gを50000U添加して、60℃、24時間
反応する。実施例1と同じ方法で遠心、ろ過、濃縮を行
う。結果を表2に示す。
トシンGLの24時間反応後、pH6.0に調整し、P
アマノ3Gを50000U添加して、60℃、24時間
反応する。実施例1と同じ方法で遠心、ろ過、濃縮を行
う。結果を表2に示す。
2〜5%のアミノ酸、0.01〜0.2%のミネラル分
を含有し、かつグルコース含量が総固形量の0.1〜1
0%、JAS法による着色度が0.001〜5の水飴の
製造方法が提供される。従来、米がもつアミノ酸スコア
が高いタンパク質、ミネラルなど栄養分を含み、かつま
ろやかな甘味をもつ食品素材が求められてきた。本発明
品はバランスよくアミノ酸とミネラル分を含むまろやか
な甘味をもつ水飴であり、新しい食品素材として加工食
品に広く利用することができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 米を糖化原料とし、0.2〜5%のアミ
ノ酸、0.01〜0.2%のミネラル分を含有し、かつ
グルコース含量が総固形量の0.1〜10%、JAS法
による着色度が0.001〜5であることを特徴とする
水飴 - 【請求項2】 精白米、もしくはその粉砕物の液化液を
β−アミラーゼにより糖化し、次にプロテアーゼをpH
7.0〜9.0の範囲で作用させることにより得られる
請求項1記載の水飴の製造方法 - 【請求項3】 精白米、もしくはその粉砕物の液化液を
β−アミラーゼとプロテアーゼを同時にpH7.0〜
9.0の範囲で作用させることにより得られる請求項1
記載の水飴の製造方法
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