JP2005323556A - グルタミン酸含有シロップ - Google Patents
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Abstract
【課題】アミノ酸、ミネラル分が豊富であり、かつ甘味と旨みのバランスがよい食品素材を提供する。
【解決手段】小麦、もしくはその粉砕物の液化液をβ−アミラーゼにより糖化し、次にプロテアーゼを作用させることにより、0.1〜5%のアミノ酸、0.01〜1%のミネラルを含み、かつアミノ酸組成としてグルタミン酸が10〜50%含有し、JAS法による着色度が0.001〜100の水飴、すなわち甘味と旨みのバランスがよい食品素材を製造することができる。
【解決手段】小麦、もしくはその粉砕物の液化液をβ−アミラーゼにより糖化し、次にプロテアーゼを作用させることにより、0.1〜5%のアミノ酸、0.01〜1%のミネラルを含み、かつアミノ酸組成としてグルタミン酸が10〜50%含有し、JAS法による着色度が0.001〜100の水飴、すなわち甘味と旨みのバランスがよい食品素材を製造することができる。
Description
本発明は、アミノ酸・ミネラルを含有し、特にアミノ酸組成としてグルタミン酸を多く含む小麦シロップに関するものである。本水飴は甘味と旨みのバランスがよい食品素材であり、加工食品や飲料への利用、特に発酵食品やアルコール飲料の原料などに利用することができる。
古くから、水飴は酸糖化法、酵素糖化法などにより製造されてきた。これらの水飴は、液化方法(酸液化、酵素液化)、糖化方法を選択することにより様々な糖組成を持つ水飴を設計することができる。その結果、甘味の質・物性に特徴をもつ水飴商品が数多く開発されている。これら水飴商品は、それぞれ目的に応じて使い分けられている。例えば、酸液化水飴により、例えばグルコース20%程度、マルトース15%程度、マルトトリオース12%程度、G4以上のデキストリン50%程度の組成をもち、高い甘味度と高いボディー感をもつ水飴が得られ、これらは佃煮の風味づけに最適である。また、酵素糖化法により、例えばグルコース3%以下、マルトース50%程度、マルトトリオース20%程度、G4以上のデキストリン27%程度の組成をもつまろやかな甘味度をもつ水飴が得られ、これらは、キャンディー、プリン、アイスクリームなどに最適である。
このように、水飴はその糖組成に特徴をもたせた商品が数多く開発された。しかし、これらの水飴は単に甘味をつけるには適するが、風味や旨みをつけるには適さない。このため、もともと原料が持つ風味やミネラル・アミノ酸などの栄養素を活かした甘味料が開発されている。例えば、さとうきびの汁をそのまま煮詰めてつくられる黒糖は、原料であるさとうきびがもつミネラルを豊富に含む食品素材であり、その独特な味と香りにより加工食品や飲料の風味を高めることができ、その商品価値は高い。このため、その用途として、家庭用甘味料のほか、高級菓子などにも使用される。
また、米に含まれるアミノ酸、ミネラルを活かした甘味料も開発されている。米を液化・糖化・プロテアーゼ反応することにより、米が持つ風味を活かし、かつアミノ酸・ミネラルを含有したまろやかな甘味をもつ米水飴を製造することができる(例えば、特許文献1参照。)。こうした米水飴を用いることにより、飲食物の栄養価を高めたり、風味付けに利用されてきた。
特許第3497468号公報
しかし、これらの水飴は、飲食物の栄養価を高めたり、風味をつけることはできるが、旨みをつけることはできなかった。例えば、焼肉のタレなどの調味料類はその甘味をつけるため、水飴やアミノ酸・ミネラル含有米水飴が用いられるが、旨みに乏しく、甘味と旨みをバランスよく含む食品素材が広く求められていた。
本発明は、上記事情に鑑みて開発されたものであり、その目的とするところは、アミノ酸、ミネラル分などの栄養価が豊富で、かつ甘味と旨みをバランスよくもつ食品素材を提供することにある。
これらの目的に適うべく酵素糖化水飴の原料を様々検討し、その結果小麦、もしくはその粉砕物の液化液をβ−アミラーゼにより糖化し、次にプロテアーゼを作用させることにより、0.1〜5%のアミノ酸、0.01〜1%のミネラルを含み、かつアミノ酸組成として旨みのもとであるグルタミン酸を10〜50%とすることにより、JAS法による着色度が0.001〜100、甘味と旨みのバランスがよい食品素材を製造できることを見出し、本発明を完成した。
本発明により、小麦、もしくはその粉砕物の液化液をβ−アミラーゼにより糖化し、次にプロテアーゼを作用させることにより、0.1〜5%のアミノ酸、0.01〜1%のミネラルを含み、かつアミノ酸組成としてグルタミン酸が10〜50%含有し、JAS法による着色度が0.001〜100の水飴が提供される。従来、アミノ酸、ミネラルなど栄養分を豊富に含み、甘味と旨みのバランスがよい食品素材が求められてきた。本発明品はバランスよくアミノ酸とミネラル分を含み、まろやかな甘味をもち、新しい食品素材として加工食品や飲料に広く利用することができる。
以下にアミノ酸・ミネラル含有小麦シロップを製造する方法について説明する。まず、小麦にα−アミラーゼを作用させて液化する。液化の条件は特に限定されるものではないが、例えば、小麦、もしくはその粉砕物100部に対し水を170部添加し、シュウ酸によりpH6.0に調整して十分攪拌した後に、プロテアーゼ、セルラーゼを配合したα−アミラーゼを固形分1gあたり500U添加し、55℃1時間反応後、1時間かけて90℃まで昇温し、90℃に1時間保持することにより液化できる。
本発明はこうした方法により製造された液化液を糖化、さらにプロテアーゼ反応することにより製造される。糖化酵素としては主にβ−アミラーゼを用いる。β−アミラーゼとしては大豆や大麦麦芽など植物由来のものやBasillus属、Pseudomonas属など微生物由来のものがあるが、いずれを用いてもよい。また、β−アミラーゼの添加量、反応時間には特に制限がないが、好ましくはβ−アミラーゼを固形分1gあたり0.5〜50U添加し、8〜96時間反応させる。反応温度は、短時間で失活しない程度に低く、雑菌汚染の恐れがない程度に高い温度であれば特に問題はなく、通常は50〜70℃にするが、β−アミラーゼの至適温度にするのがより好ましい。なお、ここで言う至適pHとは酵素活性が最も高くなるpHのことである。また、目的に応じて、他の作用をもつ酵素を添加してもよい。例えば、β−アミラーゼと共に枝切り酵素を用いればマルトース分が60〜90%の水飴を得ることができる。
次に、プロテアーゼを固形分1gあたり5〜5000U添加し、8〜96時間反応させる。プロテアーゼにはそれぞれ酸性、中性、アルカリ性に至的pHをもつものがあるが、いずれを用いても良い。また、パパインなど植物由来のもの、パンクレアチンなど動物由来のもの、Aspergillus属など微生物由来のものがあるが、いずれを用いてもよい。しかし、糖化反応の後pH調整を行うことは煩雑であるため、糖化反応のpHに至的pHをもつプロテアーゼをもつほうがより好ましい。反応温度は、短時間で失活しない程度に低く、雑菌汚染の恐れがない程度に高い温度であれば特に問題はなく、通常は50〜70℃にするが、プロテアーゼの至適温度にするのがより好ましい。
こうしたプロテアーゼ反応をすることにより、0.1〜5%のアミノ酸を含む水飴を得ることができる。プロテアーゼ反応を行わなければ、アミノ酸が0.1%以下の水飴しか得ることができない。
なお、ここではβ−アミラーゼにより十分反応させた後、プロテアーゼを添加してさらに反応させたが、β−アミラーゼとプロテアーゼを同時に添加し、同時に反応を行ってもよい。
この様にして製造した糖化液から遠心分離やフィルタープレスにより不溶部を除いた後、可溶部をケイソウ土を助材とするろ過、さらに精密ろ過を行うことにより精製し、最後に濃縮することにより、目的とする水飴を得ることができる。また、遠心分離、フィルタープレスをかけることなく直接珪藻土を助剤とする濾過を行うことも出来る。
このように、小麦、もしくはその粉砕物の液化液をβ−アミラーゼにより糖化し、次にプロテアーゼを作用させることにより、0.1〜5%のアミノ酸、0.01〜1%のミネラルを含み、アミノ酸組成としてグルタミン酸を10〜50%含む、JAS法による着色度が0.001〜100の水飴を製造することが出来る。
水飴の着色度が100より低いことが重要である。加工食品や飲料に着色度が100より高い水飴を用いると、マスキングできない程度に著しく褐色を帯びることになる。このため、水飴の用途が褐色を帯びてもよいものに限定されてしまい、その商品価値が著しく低いものになってしまう。
本発明において行った一連の実験の分析は次の方法で行った。アミノ酸組成はHPLCにより測定した。HPLCの構成は、ポンプが日本ウォーターズ製600コントローラー、カラムが日本ウォーターズ製PICO−Tag、溶媒がPICO−TagA液、PICO−TagB液のグラジエント、検出器が日本ウォーターズ製UV検出器486である。糖組成はHPLCにより測定した。HPLCの構成は、ポンプが日本ウォーターズ製600コントローラー、カラムが島津製作所製SCR−101N、溶媒が純水、検出器が日本ウォーターズ製示差式屈折率計2414である。JAS法による着色度は30w/v%に調製した水飴を10mmの長さのガラス製セルに充填し、日立製作所製U−3210U型自記分光光度計420nmの吸光度(OD420)、720nm(OD720)の吸光度を測定し、(OD420)−(OD720)の値を10倍することにより求めた(澱粉糖技術部会編、澱粉等関連工業分析法、食品化学新聞社、平成3年、108頁)。ミネラル分は、白金るつぼにて加熱して灰化し、これに36%塩酸5ml、さらに純水を加えて全量を25mlとしたものをICP(セイコーインスツルメンツ製、SPS4000)にて分析した元素量を総和して求めた。
シロップを加工食品に添加した際の旨みの評価は、10人のパネラーによる官能検査により行った。サンプルは、ヨーグルト10部とシロップ1部をよく混ぜたものを官能検査に供した。官能検査は、5:旨みを強く感じる、4:旨みを感じる、3:やや旨みを感じる、2:ほとんど旨みを感じない、1:全く旨みを感じない、との5段階で評価し、評価点数の平均値を求めた。
次に本発明を実施例により具体的に説明する。
〔実施例1〕
国内産小麦の粉砕物345gを純水655gに分散させる。これにシュウ酸を加えて、pHを6.0に調整する。さらに、アミラーゼSアマノ(天野製薬製、Bacillus Subtilis由来α−アミラーゼ)を100000U添加し、55℃で1時間反応する。次に加熱し、1時間かけて90℃に昇温し、もう一度アミラーゼSアマノを100000U添加して、90℃で1時間反応する。
次に、60℃まで冷却し、pHを変えずにハイマルトシンGL(阪急共栄物産製、小麦由来β−アミラーゼ)を1000U添加し、60℃で24時間反応させる。これに、Pアマノ3G(天野製薬製、Aspergillus melleus由来プロテアーゼ)を5000U添加して、60℃で24時間反応する。
反応液を遠心分離(9000G、20分)し、その上清を加熱する。これをろ紙No.5C(東洋濾紙製)上に10gのラヂオライト500S(昭和化学工業製)をコートしたヌッチェに通液する。このろ過液を孔径0.45μのニトロセルロースタイプメンブランフィルター(東洋濾紙製)に通液した後、エバポレーターにてBx75まで濃縮した。結果を表1に示す。
国内産小麦の粉砕物345gを純水655gに分散させる。これにシュウ酸を加えて、pHを6.0に調整する。さらに、アミラーゼSアマノ(天野製薬製、Bacillus Subtilis由来α−アミラーゼ)を100000U添加し、55℃で1時間反応する。次に加熱し、1時間かけて90℃に昇温し、もう一度アミラーゼSアマノを100000U添加して、90℃で1時間反応する。
次に、60℃まで冷却し、pHを変えずにハイマルトシンGL(阪急共栄物産製、小麦由来β−アミラーゼ)を1000U添加し、60℃で24時間反応させる。これに、Pアマノ3G(天野製薬製、Aspergillus melleus由来プロテアーゼ)を5000U添加して、60℃で24時間反応する。
反応液を遠心分離(9000G、20分)し、その上清を加熱する。これをろ紙No.5C(東洋濾紙製)上に10gのラヂオライト500S(昭和化学工業製)をコートしたヌッチェに通液する。このろ過液を孔径0.45μのニトロセルロースタイプメンブランフィルター(東洋濾紙製)に通液した後、エバポレーターにてBx75まで濃縮した。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
実施例1において、ハイマルトシンGLの24時間反応後、Pアマノ3Gを100000U添加して、60℃、24時間反応する。実施例1と同じ方法で遠心、ろ過、濃縮を行う。結果を表1に示す。
実施例1において、ハイマルトシンGLの24時間反応後、Pアマノ3Gを100000U添加して、60℃、24時間反応する。実施例1と同じ方法で遠心、ろ過、濃縮を行う。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
実施例1において、ハイマルトシンGLを2000U、Pアマノ3Gを100000U添加し48時間反応する。実施例1と同じ方法で遠心、ろ過、濃縮を行う。結果を表1に示す。
実施例1において、ハイマルトシンGLを2000U、Pアマノ3Gを100000U添加し48時間反応する。実施例1と同じ方法で遠心、ろ過、濃縮を行う。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
実施例1において、ハイマルトシンGLの24時間反応後、Pアマノ3Gを添加することなく、さらに60℃、24時間反応する。実施例1と同じ方法で遠心、ろ過、濃縮を行う。結果を表1に示す。
実施例1において、ハイマルトシンGLの24時間反応後、Pアマノ3Gを添加することなく、さらに60℃、24時間反応する。実施例1と同じ方法で遠心、ろ過、濃縮を行う。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
実施例1において、国内産小麦の代わりに、カリフォル二ア産米粉砕物を用い、同様のシュウ酸によるpH調整、アミラーゼSアマノによる液化反応、ハイマルトシンGLによる糖化反応、Pアマノ3Gによるプロテアーゼ反応を行う。実施例1と同じ方法で遠心、ろ過、濃縮を行う。結果を表1に示す。
実施例1において、国内産小麦の代わりに、カリフォル二ア産米粉砕物を用い、同様のシュウ酸によるpH調整、アミラーゼSアマノによる液化反応、ハイマルトシンGLによる糖化反応、Pアマノ3Gによるプロテアーゼ反応を行う。実施例1と同じ方法で遠心、ろ過、濃縮を行う。結果を表1に示す。
Claims (4)
- 小麦を糖化原料とし、0.1〜5%のアミノ酸、0.01〜2%のミネラル分を含有し、JAS法による着色度が0.001〜100であることを特徴とする水飴。
- アミノ酸中のグルタミン酸含有割合が10〜50%であることを特徴とする請求項1記載の水飴。
- アミノ酸生成において、プロテアーゼを用いることを特徴とする請求項1乃至請求項2記載の水飴。
- 糖化反応として、β−アミラーゼを用いることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の水飴。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008000100A (ja) * | 2006-06-26 | 2008-01-10 | Gun Ei Chem Ind Co Ltd | 新規糖化物、およびその製造方法 |
JP2011097855A (ja) * | 2009-11-05 | 2011-05-19 | T Hasegawa Co Ltd | ビール風味飲料用風味改善剤 |
JP2012034654A (ja) * | 2010-08-10 | 2012-02-23 | T Hasegawa Co Ltd | 飲食品の呈味改善剤 |
JP2014230494A (ja) * | 2013-05-28 | 2014-12-11 | 豊誠 大森 | 調味料 |
EP3170408A1 (fr) | 2015-11-23 | 2017-05-24 | Chamtor S.A. | Procede de preparation de sirops de glucose a faible taux de gluten |
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2004
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EP3170408A1 (fr) | 2015-11-23 | 2017-05-24 | Chamtor S.A. | Procede de preparation de sirops de glucose a faible taux de gluten |
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