JP2004164988A - リチウム含有金属酸化物の製造方法及び該リチウム含有金属酸化物を用いたリチウム二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】出力特性を改善することができるリチウム含有金属酸化物の製造方法を提供する。
【解決手段】二酸化マンガンと炭酸リチウムとを混合し、空気中で900°C、7時間焼成してリチウムマンガン複合酸化物を合成した。合成したリチウムマンガン複合酸化物に10倍重量の蒸留水を加え、1時間撹拌することでリチウムマンガン複合酸化物を洗浄して、粒子表面からアルカリ分を除去した。アルカリ分が除去されたリチウムマンガン複合酸化物を正極活物質に用いてリチウム二次電池を作製した。充放電時のリチウムイオンの脱離・挿入が阻害されない。
【選択図】 図1
【解決手段】二酸化マンガンと炭酸リチウムとを混合し、空気中で900°C、7時間焼成してリチウムマンガン複合酸化物を合成した。合成したリチウムマンガン複合酸化物に10倍重量の蒸留水を加え、1時間撹拌することでリチウムマンガン複合酸化物を洗浄して、粒子表面からアルカリ分を除去した。アルカリ分が除去されたリチウムマンガン複合酸化物を正極活物質に用いてリチウム二次電池を作製した。充放電時のリチウムイオンの脱離・挿入が阻害されない。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はリチウム含有金属酸化物の製造方法及びリチウム二次電池に係り、特に、リチウム二次電池の正極活物質に用いられるリチウム含有金属酸化物の製造方法及び該リチウム含有金属酸化物を用いたリチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車産業界においては環境問題に対応すべく、排出ガスのない、動力源を完全に電池のみにした電気自動車(EV)や、内燃機関エンジンと電池との両方を動力源とするハイブリッド電気自動車(HEV)の開発が加速され、一部実用化の段階にきている。
【0003】
電気自動車の電源となる電池には当然高出力、高エネルギーが得られる特性が要求され、この要求にマッチした電池としてリチウム二次電池が注目されている。電気自動車の普及のためには、電池の低価格化が必須であり、そのためには、低コスト電池材料が求められ、例えば、正極活物質であれば、資源的に豊富なマンガンの酸化物(リチウムマンガン複合酸化物)が特に注目され、電池の高性能化を狙った改善がなされてきた。また、電気自動車用電池には、高容量だけではなく、短時間に大電流を要する発車時の加速性能などを左右する出力特性の改善、すなわち電池の内部抵抗の低減が求められる。例えば、一般に、リチウムマンガン複合酸化物の粒子径を小さくして反応面積を最適化することで、内部抵抗を低減させる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−203547号公報(段落番号「0009」「0034」)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、リチウム含有金属酸化物のリチウムマンガン複合酸化物の比表面積を大きくするために粒子径を小さくすると、電解液中へのマンガンの溶出が顕著となる。マンガンが溶出すると電流が流れにくくなり、溶出したマンガンのため電池の充放電サイクルや保存に伴う容量低下が大きくなり寿命特性を損なう、という問題がある。この問題を解決するために、リチウムマンガン複合酸化物結晶中のマンガン原子の一部をアルミニウム(Al)やコバルト(Co)等の異種金属で置換して、寿命特性を向上させることが種々提案されており、一応の効果が認められるものの、電気自動車用電池としては十分とはいえない。
【0006】
本発明は上記事案に鑑み、出力特性を改善することができるリチウム含有金属酸化物の製造方法及び該リチウム含有金属酸化物を用いたリチウム二次電池を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、リチウム二次電池の正極活物質に用いられるリチウム含有金属酸化物の製造方法であって、金属酸化物とリチウム塩とを混合し焼成することにより得られるリチウム含有金属酸化物の粒子を洗浄して、前記粒子の表面からアルカリ分を除去することを特徴とする。
【0008】
金属酸化物とリチウム塩とを混合し焼成することにより得られるリチウム含有金属酸化物の粒子の表面には、未反応物及び不純物として微量の炭酸リチウムや水酸化リチウムなどのアルカリ分が存在する。このアルカリ分が、リチウム含有金属酸化物を用いた電池の充放電時のリチウムイオンの脱離・挿入反応を阻害し、電池の内部抵抗を上昇させる。第1の態様では、リチウム含有金属酸化物の粒子が洗浄されて、粒子の表面からアルカリ分が除去されるので、充放電時のリチウムイオンの脱離・挿入反応が容易となることから、電池の内部抵抗が低減し、出力特性を改善することができる。
【0009】
また、本発明の第2の態様は、リチウム二次電池の正極活物質に用いられるリチウム含有金属酸化物の製造方法であって、金属酸化物とリチウム塩とを混合し焼成することにより得られるリチウム含有金属酸化物の粒子を熱処理して、前記粒子の表面からアルカリ分を除去することを特徴とする。第2の態様では、リチウム含有金属酸化物の粒子が熱処理されて、粒子の表面からアルカリ分が除去されるので、上述した第1の態様と同様に、電池の内部抵抗が低減し、出力特性を改善することができる。
【0010】
本発明の第3の態様は、正極活物質にリチウム含有金属酸化物を用いたリチウム二次電池であって、前記リチウム含有金属酸化物は、金属酸化物とリチウム塩とを混合し焼成することにより得られたリチウム含有金属酸化物の粒子が洗浄され又は熱処理されて、前記粒子の表面からアルカリ分が除去されたものであることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して、本発明を電気自動車用電源として用いられる円筒型リチウム二次電池に適用した第1の実施の形態について説明する。
【0012】
(リチウムマンガン複合酸化物の調製)
図1に示すように、原料として金属酸化物の二酸化マンガンとリチウム塩の炭酸リチウムとを、Li/Mn(モル比)=0.57となるように混合した。混合した原料を空気中で900°C、7時間焼成した後、室温まで自然冷却させてリチウム含有金属酸化物のリチウムマンガン複合酸化物(LiMn2O4)を合成した。得られたリチウムマンガン複合酸化物についてX線回折測定を行った結果、スピネル構造を有することが確認できた。合成したリチウムマンガン複合酸化物に10倍重量の蒸留水を加え、1時間撹拌してリチウムマンガン複合酸化物を洗浄し、ろ過した後、120°Cで24時間真空乾燥を行った。その後、自然冷却させて洗浄済みのリチウムマンガン複合酸化物を得た。
【0013】
(正極の作製)
上述のように調製したリチウムマンガン複合酸化物粉末と、導電材として鱗片状黒鉛と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFという。)と、を重量比85:10:5で混合し、この混合物に分散溶媒のN−メチルピロリドン(以下、NMPという。)を添加、混練したスラリを、厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に塗布した。このとき、正極長寸方向の一方の側縁に幅30mmの未塗布部を残した。その後、乾燥、プレス、裁断することにより厚さ90μmの正極を得た。側縁に残した未塗布部に切り欠きを入れ、切り欠き残部を正極リード片(図2の符号2参照)とした。
【0014】
(負極の作製)
負極活物質の非晶質炭素粉末90質量部に対し、結着材のPVDF10質量部を添加、混合し、この混合物に分散溶媒のNMPを添加、混練したスラリを、厚さ10μmの圧延銅箔の両面に塗布した。このとき、負極長寸方向の一方の側縁に幅30mmの未塗布部を残した。その後、乾燥、プレス、裁断することにより厚さ70μmの負極を得た。側縁に残した未塗布部に正極と同様にして切り欠きを入れ、切り欠き残部を負極リード片(図2の符号3参照)とした。
【0015】
(電池の作製)
図2に示すように、作製した正負極を、これら両極が直接接触しないように、厚さ40μmのポリエチレン製セパレータと共に捲回して捲回群6を作製した。捲回の中心には、ポリプロピレン製の中空円筒状の軸芯1を用いた。このとき、正極リード片2と負極リード片3とが、それぞれ捲回群6の互いに反対側の両端面に位置するようにした。
【0016】
正極リード片2を変形させ、その全てを正極集電リング4の周囲から一体に張り出した鍔部周面付近に集合、接触させた後、正極リード片2と鍔部周面とを超音波溶接して正極リード片2を鍔部周面に接続した。一方、負極集電リング5と負極リード片3との接続操作も、正極集電リング4と正極リード片2との接続操作と同様に実施した。その後、正極集電リング4の鍔部周面全周及び捲回群6外周面全周に絶縁被覆を施し、捲回群6をニッケルメッキが施されたスチール製の電池容器7内に挿入した。
【0017】
負極集電リング5には、予め電気的導通のための負極リード板8を溶接しておき、電池容器7に捲回群6を挿入後、電池容器7の底部と負極リード板8とを溶接した。一方、正極集電リング4には、予め複数枚のアルミニウム製のリボンを重ね合わせて構成した正極リード板9の一端を溶接しておき、正極リード板9の他端を、電池容器7を封口するための電池蓋の下面に溶接した。電池蓋は、蓋ケース12と、蓋キャップ13と、気密を保つ弁押え14と、アルミニウム合金製で薄板状の内圧低減機構としての開裂弁11とで構成されており、これらが積層されて蓋ケース12の周縁をカシメることによって組立てられている。開裂弁11の開裂圧は約9×105Paに設定した。
【0018】
捲回群6全体を浸潤可能な量の非水電解液を電池容器7内に注液し、その後、正極リード板9を折りたたむようにして電池蓋で電池容器7に蓋をし、EPDM樹脂製ガスケット10を介してカシメて密封し、容量4.0Ahの円筒型リチウム二次電池20を完成させた。
【0019】
非水電解液には、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とジエチルカーボネート(DEC)とを体積比1:1:1の割合で混合した混合溶媒中へ6フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1モル/リットル溶解したものを用いた。
【0020】
<第2実施形態>
次に、本発明を電気自動車用電源として用いられる円筒型リチウム二次電池に適用した第2の実施の形態について説明する。本実施形態では、リチウムマンガン複合酸化物を焼成した後、熱処理して正極活物質に用いるものである。なお、本実施形態において、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付してその説明を省略し、異なる箇所のみ説明する。
【0021】
図3に示すように、焼成後、自然冷却させたリチウムマンガン複合酸化物を空気中で300°C、24時間熱処理(再焼成)した。その後、室温まで自然冷却させて熱処理済みのリチウムマンガン複合酸化物を得た。
【0022】
【実施例】
次に、上記実施形態に従って作製した円筒型リチウム二次電池20の実施例について説明する。なお、比較のために作製した比較例の電池についても併記する。
【0023】
(実施例1)
下表1に示すように、実施例1では、第1実施形態に従い、洗浄済みのリチウムマンガン複合酸化物を正極活物質に用いて電池を作製した。
【0024】
【表1】
【0025】
(実施例2)
表1に示すように、実施例2では、第2実施形態に従い熱処理済みのリチウムマンガン複合酸化物を正極活物質に用いて電池を作製した。
【0026】
(実施例3)
表1に示すように、実施例3では、リチウムマンガン複合酸化物を焼成した後、室温まで自然冷却させずに300°Cに達したときから実施例2と同様の熱処理を行い得られたリチウムマンガン複合酸化物を正極活物質に用いて電池を作製した。
【0027】
(比較例1)
表1に示すように、比較例1では、焼成したリチウムマンガン複合酸化物を、洗浄、熱処理しないまま正極活物質に用いて電池を作製した。
【0028】
(出力測定)
次に、作製した実施例及び比較例の各(複数個の)電池について充放電試験を実施し、出力を測定した。
【0029】
出力の測定は、25±2°Cの雰囲気において4.1Vの満充電状態から10A、30A、90Aの電流値で各10秒間放電し、横軸電流に対して、各5秒目の電池電圧を縦軸にプロットし、3点を直線近似した直線が終止電圧である2.7Vと交差する点の電流値を読み取り、この電流値と2.7Vとの積をその電池の出力とした。下表2に、出力の測定結果を示す。
【0030】
【表2】
【0031】
表2に示すように、焼成後に洗浄、熱処理をしていないリチウムマンガン複合酸化物を用いた比較例1の電池では、820Wと十分な出力を得ることができなかった。これに対し、洗浄処理したリチウムマンガン複合酸化物を用いた実施例1の電池では、900Wの優れた出力を持つ電池となった。また、焼成後、300°Cで熱処理(再焼成)したリチウムマンガン複合酸化物を用いた実施例2の電池でも、出力が900Wと優れた性能を示した。更に、焼成後室温まで冷却せずに300°Cに保持して熱処理したリチウムマンガン複合酸化物を用いた実施例3の電池でも、900Wの高出力を示した。
【0032】
二酸化マンガンと炭酸リチウムとを混合し焼成して得たリチウムマンガン複合酸化物の粒子の表面には、未反応物及び不純物として微量の炭酸リチウムなどのアルカリ分が存在する。このようなリチウムマンガン複合酸化物をリチウム二次電池の正極活物質に用いると、アルカリ分が充放電時のリチウムイオンの脱離・挿入反応を阻害し、内部抵抗を上昇させる。詳細なメカニズムはまだ明らかではないが、アルカリ分がリチウムマンガン複合酸化物の粒子の表面に電極反応の抵抗となる被膜を形成するために内部抵抗を上昇させると推察される。第1実施形態のリチウム二次電池20では、正極活物質に、洗浄されて粒子表面からアルカリ分が除去されたリチウムマンガン複合酸化物が用いられる。このため、充放電時のリチウムイオンの脱離・挿入反応が阻害されないので、電池の内部抵抗が低減する。従って、出力特性を改善したリチウム二次電池を実現することができる。また、第2実施形態では、熱処理されたリチウムマンガン複合酸化物が用いられる。このため、アルカリ分が熱変性することからアルカリ分としては存在しなくなるので、上述した被膜が形成されず充放電時のリチウムイオンの脱離・挿入反応が阻害されない。従って、電池の内部抵抗が低減し、出力特性を改善したリチウム二次電池を実現することができる。
【0033】
なお、第1実施形態では、リチウムマンガン複合酸化物の洗浄に10倍重量の蒸留水を用いる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、リチウムマンガン複合酸化物の粒子表面からアルカリ分を除去することができる溶媒を用いてもよい。また、洗浄時間についても制限されるものではなく、更に、加熱して洗浄することもできる。
【0034】
また、第2実施形態では、リチウムマンガン複合酸化物の熱処理条件を300°C、24時間とする例を示したが、本発明は熱処理の温度、時間に制限されるものではなく、リチウムマンガン複合酸化物の粒子表面からアルカリ分を除去することができる条件であればよい。また、焼成後、室温まで自然冷却してから熱処理する以外に、焼成後の自然冷却で熱処理温度に達したときから引き続き熱処理することもできる。
【0035】
更に、上記実施形態では、リチウムマンガン複合酸化物の原料として二酸化マンガンと炭酸リチウムとを用いる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。リチウム含有金属酸化物としては、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウム鉄複合酸化物等でもよい。原料の金属酸化物としては、マンガンの価数の異なる酸化マンガンや酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化鉄等を用いてもよく、また、リチウム塩としては水酸化リチウム等を用いてもよく、得られるリチウム含有金属酸化物が、リチウムイオンを挿入・脱離可能であり、予め十分な量のリチウムイオンを挿入されたものであればよい。また、Li/Mn比についても制限されるものではなく、酸化マンガンとリチウム塩との仕込み比により所望のLi/Mn比とすることができる。更に、原料として、Fe、Co、Ni、Cr、Al、Mg等の遷移金属の酸化物等を添加混合することで、結晶中のリチウムや、マンガン等の遷移金属元素の一部をこれらの遷移金属元素で置換又はドープしたリチウム含有金属酸化物としてもよく、結晶中の酸素をS、P等で置換又はドープした材料や層状岩塩型構造を有する材料(LiMnO2)としてもよい。また、上記実施形態では焼成条件を900°C、7時間とする例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、リチウム含有金属酸化物を合成することができる条件であればよい。
【0036】
また更に、上記実施形態では、円筒型電池について例示したが、本発明は電池の形状については限定されず、角形、その他の多角形の電池にも適用可能である。また、本発明の適用可能な構造としては、上述した電池容器に電池蓋がカシメによって封口されている構造の電池以外であっても構わない。このような構造の一例として正負外部端子が電池蓋を貫通し、電池容器内で軸芯を介して正負外部端子が押し合っている状態の電池を挙げることができる。更に本発明は、正極及び負極を捲回式の構造とせず、積層式の構造としたリチウム二次電池にも適用可能である。
【0037】
更にまた、上記実施形態では、負極活物質に、晶質の炭素材料を用いた場合と比べて負極集電体への密着性に優れる非晶質炭素を用いる例を示したが、天然黒鉛や、人造の各種黒鉛材、コークスなどの炭素材料等を使用してもよく、その粒子形状についても、鱗片状、球状、繊維状、塊状等、特に制限されるものではない。このような炭素材を負極活物質に用いると、断面渦巻状に捲回して電極群を形成するときの可撓性に優れ、負極からの負極活物質層の剥離離脱を防止することができる。
【0038】
また、本発明は、上記実施形態で例示した導電材、バインダ(結着材)には限定されず、通常用いられているいずれのものも使用可能である。本実施形態以外で用いることのできるリチウム二次電池用極板活物質結着材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレン/ブタジエンゴム、多硫化ゴム、ニトロセルロース、シアノエチルセルロース、各種ラテックス、アクリロニトリル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、フッ化プロピレン、フッ化クロロプレン等の重合体及びこれらの混合体などがある。
【0039】
更に、本実施形態では、EC、DMC、DECを体積比1:1:1で混合した混合溶媒にLiPF6を溶解した非水電解液を例示したが、一般的なリチウム塩を電解質とし、これを有機溶媒に溶解した非水電解液を用いてもよく、本発明は用いられるリチウム塩や有機溶媒には特に制限されない。例えば、電解質としては、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、CH3SO3Li、CF3SO3Li等やこれらの混合物を用いることができる。また、有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル等、又はこれらの2種類以上を混合した混合溶媒を用いることができ、更に、混合配合比についても限定されるものではない。このような非水電解液を用いることにより電池容量の向上や寒冷地での使用にも適合させることが可能となる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、リチウム含有金属酸化物の粒子が洗浄されて、粒子の表面からアルカリ分が除去されるので、充放電時のリチウムイオンの脱離・挿入反応が容易となることから、電池の内部抵抗が低減し、出力特性を改善することができる、という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用可能な第1実施形態の円筒型リチウム二次電池の正極活物質に用いたリチウムマンガン複合酸化物の製造工程の要部を示す工程図である。
【図2】第1実施形態の円筒型リチウム二次電池の断面図である。
【図3】本発明が適用可能な第2実施形態の円筒型リチウム二次電池の正極活物質に用いたリチウムマンガン複合酸化物の製造工程の要部を示す工程図である。
【符号の説明】
20 円筒型リチウム二次電池(リチウム二次電池)
【発明の属する技術分野】
本発明はリチウム含有金属酸化物の製造方法及びリチウム二次電池に係り、特に、リチウム二次電池の正極活物質に用いられるリチウム含有金属酸化物の製造方法及び該リチウム含有金属酸化物を用いたリチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車産業界においては環境問題に対応すべく、排出ガスのない、動力源を完全に電池のみにした電気自動車(EV)や、内燃機関エンジンと電池との両方を動力源とするハイブリッド電気自動車(HEV)の開発が加速され、一部実用化の段階にきている。
【0003】
電気自動車の電源となる電池には当然高出力、高エネルギーが得られる特性が要求され、この要求にマッチした電池としてリチウム二次電池が注目されている。電気自動車の普及のためには、電池の低価格化が必須であり、そのためには、低コスト電池材料が求められ、例えば、正極活物質であれば、資源的に豊富なマンガンの酸化物(リチウムマンガン複合酸化物)が特に注目され、電池の高性能化を狙った改善がなされてきた。また、電気自動車用電池には、高容量だけではなく、短時間に大電流を要する発車時の加速性能などを左右する出力特性の改善、すなわち電池の内部抵抗の低減が求められる。例えば、一般に、リチウムマンガン複合酸化物の粒子径を小さくして反応面積を最適化することで、内部抵抗を低減させる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−203547号公報(段落番号「0009」「0034」)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、リチウム含有金属酸化物のリチウムマンガン複合酸化物の比表面積を大きくするために粒子径を小さくすると、電解液中へのマンガンの溶出が顕著となる。マンガンが溶出すると電流が流れにくくなり、溶出したマンガンのため電池の充放電サイクルや保存に伴う容量低下が大きくなり寿命特性を損なう、という問題がある。この問題を解決するために、リチウムマンガン複合酸化物結晶中のマンガン原子の一部をアルミニウム(Al)やコバルト(Co)等の異種金属で置換して、寿命特性を向上させることが種々提案されており、一応の効果が認められるものの、電気自動車用電池としては十分とはいえない。
【0006】
本発明は上記事案に鑑み、出力特性を改善することができるリチウム含有金属酸化物の製造方法及び該リチウム含有金属酸化物を用いたリチウム二次電池を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、リチウム二次電池の正極活物質に用いられるリチウム含有金属酸化物の製造方法であって、金属酸化物とリチウム塩とを混合し焼成することにより得られるリチウム含有金属酸化物の粒子を洗浄して、前記粒子の表面からアルカリ分を除去することを特徴とする。
【0008】
金属酸化物とリチウム塩とを混合し焼成することにより得られるリチウム含有金属酸化物の粒子の表面には、未反応物及び不純物として微量の炭酸リチウムや水酸化リチウムなどのアルカリ分が存在する。このアルカリ分が、リチウム含有金属酸化物を用いた電池の充放電時のリチウムイオンの脱離・挿入反応を阻害し、電池の内部抵抗を上昇させる。第1の態様では、リチウム含有金属酸化物の粒子が洗浄されて、粒子の表面からアルカリ分が除去されるので、充放電時のリチウムイオンの脱離・挿入反応が容易となることから、電池の内部抵抗が低減し、出力特性を改善することができる。
【0009】
また、本発明の第2の態様は、リチウム二次電池の正極活物質に用いられるリチウム含有金属酸化物の製造方法であって、金属酸化物とリチウム塩とを混合し焼成することにより得られるリチウム含有金属酸化物の粒子を熱処理して、前記粒子の表面からアルカリ分を除去することを特徴とする。第2の態様では、リチウム含有金属酸化物の粒子が熱処理されて、粒子の表面からアルカリ分が除去されるので、上述した第1の態様と同様に、電池の内部抵抗が低減し、出力特性を改善することができる。
【0010】
本発明の第3の態様は、正極活物質にリチウム含有金属酸化物を用いたリチウム二次電池であって、前記リチウム含有金属酸化物は、金属酸化物とリチウム塩とを混合し焼成することにより得られたリチウム含有金属酸化物の粒子が洗浄され又は熱処理されて、前記粒子の表面からアルカリ分が除去されたものであることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して、本発明を電気自動車用電源として用いられる円筒型リチウム二次電池に適用した第1の実施の形態について説明する。
【0012】
(リチウムマンガン複合酸化物の調製)
図1に示すように、原料として金属酸化物の二酸化マンガンとリチウム塩の炭酸リチウムとを、Li/Mn(モル比)=0.57となるように混合した。混合した原料を空気中で900°C、7時間焼成した後、室温まで自然冷却させてリチウム含有金属酸化物のリチウムマンガン複合酸化物(LiMn2O4)を合成した。得られたリチウムマンガン複合酸化物についてX線回折測定を行った結果、スピネル構造を有することが確認できた。合成したリチウムマンガン複合酸化物に10倍重量の蒸留水を加え、1時間撹拌してリチウムマンガン複合酸化物を洗浄し、ろ過した後、120°Cで24時間真空乾燥を行った。その後、自然冷却させて洗浄済みのリチウムマンガン複合酸化物を得た。
【0013】
(正極の作製)
上述のように調製したリチウムマンガン複合酸化物粉末と、導電材として鱗片状黒鉛と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFという。)と、を重量比85:10:5で混合し、この混合物に分散溶媒のN−メチルピロリドン(以下、NMPという。)を添加、混練したスラリを、厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に塗布した。このとき、正極長寸方向の一方の側縁に幅30mmの未塗布部を残した。その後、乾燥、プレス、裁断することにより厚さ90μmの正極を得た。側縁に残した未塗布部に切り欠きを入れ、切り欠き残部を正極リード片(図2の符号2参照)とした。
【0014】
(負極の作製)
負極活物質の非晶質炭素粉末90質量部に対し、結着材のPVDF10質量部を添加、混合し、この混合物に分散溶媒のNMPを添加、混練したスラリを、厚さ10μmの圧延銅箔の両面に塗布した。このとき、負極長寸方向の一方の側縁に幅30mmの未塗布部を残した。その後、乾燥、プレス、裁断することにより厚さ70μmの負極を得た。側縁に残した未塗布部に正極と同様にして切り欠きを入れ、切り欠き残部を負極リード片(図2の符号3参照)とした。
【0015】
(電池の作製)
図2に示すように、作製した正負極を、これら両極が直接接触しないように、厚さ40μmのポリエチレン製セパレータと共に捲回して捲回群6を作製した。捲回の中心には、ポリプロピレン製の中空円筒状の軸芯1を用いた。このとき、正極リード片2と負極リード片3とが、それぞれ捲回群6の互いに反対側の両端面に位置するようにした。
【0016】
正極リード片2を変形させ、その全てを正極集電リング4の周囲から一体に張り出した鍔部周面付近に集合、接触させた後、正極リード片2と鍔部周面とを超音波溶接して正極リード片2を鍔部周面に接続した。一方、負極集電リング5と負極リード片3との接続操作も、正極集電リング4と正極リード片2との接続操作と同様に実施した。その後、正極集電リング4の鍔部周面全周及び捲回群6外周面全周に絶縁被覆を施し、捲回群6をニッケルメッキが施されたスチール製の電池容器7内に挿入した。
【0017】
負極集電リング5には、予め電気的導通のための負極リード板8を溶接しておき、電池容器7に捲回群6を挿入後、電池容器7の底部と負極リード板8とを溶接した。一方、正極集電リング4には、予め複数枚のアルミニウム製のリボンを重ね合わせて構成した正極リード板9の一端を溶接しておき、正極リード板9の他端を、電池容器7を封口するための電池蓋の下面に溶接した。電池蓋は、蓋ケース12と、蓋キャップ13と、気密を保つ弁押え14と、アルミニウム合金製で薄板状の内圧低減機構としての開裂弁11とで構成されており、これらが積層されて蓋ケース12の周縁をカシメることによって組立てられている。開裂弁11の開裂圧は約9×105Paに設定した。
【0018】
捲回群6全体を浸潤可能な量の非水電解液を電池容器7内に注液し、その後、正極リード板9を折りたたむようにして電池蓋で電池容器7に蓋をし、EPDM樹脂製ガスケット10を介してカシメて密封し、容量4.0Ahの円筒型リチウム二次電池20を完成させた。
【0019】
非水電解液には、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とジエチルカーボネート(DEC)とを体積比1:1:1の割合で混合した混合溶媒中へ6フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1モル/リットル溶解したものを用いた。
【0020】
<第2実施形態>
次に、本発明を電気自動車用電源として用いられる円筒型リチウム二次電池に適用した第2の実施の形態について説明する。本実施形態では、リチウムマンガン複合酸化物を焼成した後、熱処理して正極活物質に用いるものである。なお、本実施形態において、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付してその説明を省略し、異なる箇所のみ説明する。
【0021】
図3に示すように、焼成後、自然冷却させたリチウムマンガン複合酸化物を空気中で300°C、24時間熱処理(再焼成)した。その後、室温まで自然冷却させて熱処理済みのリチウムマンガン複合酸化物を得た。
【0022】
【実施例】
次に、上記実施形態に従って作製した円筒型リチウム二次電池20の実施例について説明する。なお、比較のために作製した比較例の電池についても併記する。
【0023】
(実施例1)
下表1に示すように、実施例1では、第1実施形態に従い、洗浄済みのリチウムマンガン複合酸化物を正極活物質に用いて電池を作製した。
【0024】
【表1】
【0025】
(実施例2)
表1に示すように、実施例2では、第2実施形態に従い熱処理済みのリチウムマンガン複合酸化物を正極活物質に用いて電池を作製した。
【0026】
(実施例3)
表1に示すように、実施例3では、リチウムマンガン複合酸化物を焼成した後、室温まで自然冷却させずに300°Cに達したときから実施例2と同様の熱処理を行い得られたリチウムマンガン複合酸化物を正極活物質に用いて電池を作製した。
【0027】
(比較例1)
表1に示すように、比較例1では、焼成したリチウムマンガン複合酸化物を、洗浄、熱処理しないまま正極活物質に用いて電池を作製した。
【0028】
(出力測定)
次に、作製した実施例及び比較例の各(複数個の)電池について充放電試験を実施し、出力を測定した。
【0029】
出力の測定は、25±2°Cの雰囲気において4.1Vの満充電状態から10A、30A、90Aの電流値で各10秒間放電し、横軸電流に対して、各5秒目の電池電圧を縦軸にプロットし、3点を直線近似した直線が終止電圧である2.7Vと交差する点の電流値を読み取り、この電流値と2.7Vとの積をその電池の出力とした。下表2に、出力の測定結果を示す。
【0030】
【表2】
【0031】
表2に示すように、焼成後に洗浄、熱処理をしていないリチウムマンガン複合酸化物を用いた比較例1の電池では、820Wと十分な出力を得ることができなかった。これに対し、洗浄処理したリチウムマンガン複合酸化物を用いた実施例1の電池では、900Wの優れた出力を持つ電池となった。また、焼成後、300°Cで熱処理(再焼成)したリチウムマンガン複合酸化物を用いた実施例2の電池でも、出力が900Wと優れた性能を示した。更に、焼成後室温まで冷却せずに300°Cに保持して熱処理したリチウムマンガン複合酸化物を用いた実施例3の電池でも、900Wの高出力を示した。
【0032】
二酸化マンガンと炭酸リチウムとを混合し焼成して得たリチウムマンガン複合酸化物の粒子の表面には、未反応物及び不純物として微量の炭酸リチウムなどのアルカリ分が存在する。このようなリチウムマンガン複合酸化物をリチウム二次電池の正極活物質に用いると、アルカリ分が充放電時のリチウムイオンの脱離・挿入反応を阻害し、内部抵抗を上昇させる。詳細なメカニズムはまだ明らかではないが、アルカリ分がリチウムマンガン複合酸化物の粒子の表面に電極反応の抵抗となる被膜を形成するために内部抵抗を上昇させると推察される。第1実施形態のリチウム二次電池20では、正極活物質に、洗浄されて粒子表面からアルカリ分が除去されたリチウムマンガン複合酸化物が用いられる。このため、充放電時のリチウムイオンの脱離・挿入反応が阻害されないので、電池の内部抵抗が低減する。従って、出力特性を改善したリチウム二次電池を実現することができる。また、第2実施形態では、熱処理されたリチウムマンガン複合酸化物が用いられる。このため、アルカリ分が熱変性することからアルカリ分としては存在しなくなるので、上述した被膜が形成されず充放電時のリチウムイオンの脱離・挿入反応が阻害されない。従って、電池の内部抵抗が低減し、出力特性を改善したリチウム二次電池を実現することができる。
【0033】
なお、第1実施形態では、リチウムマンガン複合酸化物の洗浄に10倍重量の蒸留水を用いる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、リチウムマンガン複合酸化物の粒子表面からアルカリ分を除去することができる溶媒を用いてもよい。また、洗浄時間についても制限されるものではなく、更に、加熱して洗浄することもできる。
【0034】
また、第2実施形態では、リチウムマンガン複合酸化物の熱処理条件を300°C、24時間とする例を示したが、本発明は熱処理の温度、時間に制限されるものではなく、リチウムマンガン複合酸化物の粒子表面からアルカリ分を除去することができる条件であればよい。また、焼成後、室温まで自然冷却してから熱処理する以外に、焼成後の自然冷却で熱処理温度に達したときから引き続き熱処理することもできる。
【0035】
更に、上記実施形態では、リチウムマンガン複合酸化物の原料として二酸化マンガンと炭酸リチウムとを用いる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。リチウム含有金属酸化物としては、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウム鉄複合酸化物等でもよい。原料の金属酸化物としては、マンガンの価数の異なる酸化マンガンや酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化鉄等を用いてもよく、また、リチウム塩としては水酸化リチウム等を用いてもよく、得られるリチウム含有金属酸化物が、リチウムイオンを挿入・脱離可能であり、予め十分な量のリチウムイオンを挿入されたものであればよい。また、Li/Mn比についても制限されるものではなく、酸化マンガンとリチウム塩との仕込み比により所望のLi/Mn比とすることができる。更に、原料として、Fe、Co、Ni、Cr、Al、Mg等の遷移金属の酸化物等を添加混合することで、結晶中のリチウムや、マンガン等の遷移金属元素の一部をこれらの遷移金属元素で置換又はドープしたリチウム含有金属酸化物としてもよく、結晶中の酸素をS、P等で置換又はドープした材料や層状岩塩型構造を有する材料(LiMnO2)としてもよい。また、上記実施形態では焼成条件を900°C、7時間とする例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、リチウム含有金属酸化物を合成することができる条件であればよい。
【0036】
また更に、上記実施形態では、円筒型電池について例示したが、本発明は電池の形状については限定されず、角形、その他の多角形の電池にも適用可能である。また、本発明の適用可能な構造としては、上述した電池容器に電池蓋がカシメによって封口されている構造の電池以外であっても構わない。このような構造の一例として正負外部端子が電池蓋を貫通し、電池容器内で軸芯を介して正負外部端子が押し合っている状態の電池を挙げることができる。更に本発明は、正極及び負極を捲回式の構造とせず、積層式の構造としたリチウム二次電池にも適用可能である。
【0037】
更にまた、上記実施形態では、負極活物質に、晶質の炭素材料を用いた場合と比べて負極集電体への密着性に優れる非晶質炭素を用いる例を示したが、天然黒鉛や、人造の各種黒鉛材、コークスなどの炭素材料等を使用してもよく、その粒子形状についても、鱗片状、球状、繊維状、塊状等、特に制限されるものではない。このような炭素材を負極活物質に用いると、断面渦巻状に捲回して電極群を形成するときの可撓性に優れ、負極からの負極活物質層の剥離離脱を防止することができる。
【0038】
また、本発明は、上記実施形態で例示した導電材、バインダ(結着材)には限定されず、通常用いられているいずれのものも使用可能である。本実施形態以外で用いることのできるリチウム二次電池用極板活物質結着材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレン/ブタジエンゴム、多硫化ゴム、ニトロセルロース、シアノエチルセルロース、各種ラテックス、アクリロニトリル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、フッ化プロピレン、フッ化クロロプレン等の重合体及びこれらの混合体などがある。
【0039】
更に、本実施形態では、EC、DMC、DECを体積比1:1:1で混合した混合溶媒にLiPF6を溶解した非水電解液を例示したが、一般的なリチウム塩を電解質とし、これを有機溶媒に溶解した非水電解液を用いてもよく、本発明は用いられるリチウム塩や有機溶媒には特に制限されない。例えば、電解質としては、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、CH3SO3Li、CF3SO3Li等やこれらの混合物を用いることができる。また、有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル等、又はこれらの2種類以上を混合した混合溶媒を用いることができ、更に、混合配合比についても限定されるものではない。このような非水電解液を用いることにより電池容量の向上や寒冷地での使用にも適合させることが可能となる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、リチウム含有金属酸化物の粒子が洗浄されて、粒子の表面からアルカリ分が除去されるので、充放電時のリチウムイオンの脱離・挿入反応が容易となることから、電池の内部抵抗が低減し、出力特性を改善することができる、という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用可能な第1実施形態の円筒型リチウム二次電池の正極活物質に用いたリチウムマンガン複合酸化物の製造工程の要部を示す工程図である。
【図2】第1実施形態の円筒型リチウム二次電池の断面図である。
【図3】本発明が適用可能な第2実施形態の円筒型リチウム二次電池の正極活物質に用いたリチウムマンガン複合酸化物の製造工程の要部を示す工程図である。
【符号の説明】
20 円筒型リチウム二次電池(リチウム二次電池)
Claims (3)
- リチウム二次電池の正極活物質に用いられるリチウム含有金属酸化物の製造方法であって、金属酸化物とリチウム塩とを混合し焼成することにより得られるリチウム含有金属酸化物の粒子を洗浄して、前記粒子の表面からアルカリ分を除去することを特徴とする製造方法。
- リチウム二次電池の正極活物質に用いられるリチウム含有金属酸化物の製造方法であって、金属酸化物とリチウム塩とを混合し焼成することにより得られるリチウム含有金属酸化物の粒子を熱処理して、前記粒子の表面からアルカリ分を除去することを特徴とする製造方法。
- 正極活物質にリチウム含有金属酸化物を用いたリチウム二次電池であって、前記リチウム含有金属酸化物は、金属酸化物とリチウム塩とを混合し焼成することにより得られたリチウム含有金属酸化物の粒子が洗浄され又は熱処理されて、前記粒子の表面からアルカリ分が除去されたものであることを特徴とするリチウム二次電池。
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