以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。図1は本発明のオーディオデータ記録再生装置として構成されたディジタルミキシングレコーダ(ハードディスクレコーダ)のブロック図である。このハードディスクレコーダは、CPU1、フラッシュメモリ2、RAM3、転送回路4、バッファメモリ5、DSP6、ハードディスク7、操作子8、フェーダ9、表示器10、PC入出力回路(I/O)11を備えている。
CPU1は、フラッシュメモリ2に格納されたプログラムに基づいてRAM3のワーキングエリアを使用して全体の制御を行う。具体的には、転送回路4およびDSP6へ指令を出力し、ハードディスク7を用いてのソングの記録および再生制御あるいはミキシング制御を行う。また、操作子8の操作情報、フェーダ9の操作情報に基づいて、ソング、トラック、リージョンの編集あるいは波形編集制御等を行う。また、モータドライブ式のフェーダ9のモータ駆動制御、表示器10の表示制御を行う。さらに、PC入出力回路11を介して他のコンピュータと通信し、ソングデータ等の入出力を行う。
DSP6には、オーディオ信号を入力してディジタル信号に変換するアナログ/ディジタル変換器を備えたアナログ入力(AD)、ディジタル信号を入力するディジタル入力(Din L/R )、アナログ/ディジタル変換カード、ディジタル/アナログ変換カード、ディジタルI/Oカード等のオプションカード(CARD)が接続可能な入出力スロット(SL )、ディジタル信号をアナログ信号に変換して出力するディジタル/アナログ変換器を備えたアナログ出力(Aout L/R)、同じくディジタル信号をアナログ信号に変換して出力するディジタル/アナログ変換器を備えており、各種の用途に使用される多目的アナログ出力(OMNI)が接続されている。このDPS6はCPU1からの指示に従って、所定のサンプリング周期毎に、各入力や転送回路4から入力する複数ディジタル信号をそれぞれ信号処理したり選択的にミキシングしたりするミキサ処理を行い、ミキシングされた複数ディジタル信号をそれぞれ対応する出力や転送回路4へ出力する。このディジタル信号を、以下の説明ではサンプルデータ、音データ等の名前で呼んでいる。
転送回路4は、CPU1からの指示に従って、ハードディスク7とバッファメモリ5間のデータ転送と、バッファメモリ5とDSP6間のデータ転送を行う。例えば、1トラック分の録音を行う場合、サンプリング周期毎に、DSP6から1サンプルのデータを受け取って、バッファメモリ5に書き込む。そして、バッファメモリ5に1クラスタ分のサンプルデータがたまったら、それをハードディスク7の当該トラックの記憶領域へ転送する。この転送の間にもDSP6からデータを受け取る動作を継続する。これにより、音データがハードディスクの当該トラックのデータとして保存される。
また、転送回路4は、1トラック分の再生を行う場合、当該トラックの先頭の2以上のクラスタのサンプルデータ(音データ)をハードディスク7から読み出してバッファメモリ5に書き込む。次に、サンプリング周期毎に、バッファメモリ5から1サンプルのデータを読み出してDSP6に転送する。そして、バッファメモリ5に1クラスタ分の空き領域(再生し終えたサンプルの記憶領域)ができたら、ハードディスク7からその空き領域へ後続の1クラスタ分のデータを転送し、同様の処理を行う。
ハードディスク7のアドレス領域の分割例を図2に示す。ハードディスク7のアドレス領域は、先頭から固定容量のシステム管理データ用アドレス領域71と、それに続く最後尾までの共用アドレス領域72に分割されている。共用アドレス領域72には、前方側の端部からチャンネルごとの音データがテイク順にディジタル信号で順次記録されて音データ領域72−0が順次拡大して形成される。また、後方側の端部から各ソングのソング管理データが順次記録されてソング管理データ領域72−1、72−2、……が順次形成される。
音データはクラスタ(128Kバイト)単位で記録される。なお、1クラスタは64Kワード(サンプル)で、CDフォーマットのデータ(16ビット、44.1kHz)の場合、64Kサンプル/44.1kHzにより、約1.45秒分のデータとなる。一度録音された音データは操作者による明示の、該当するテイクの消去指令が与えられない限り消去されない。
本実施例のハードディスクレコーダは、複数トラックを同時に録音/再生可能(録音しながら再生することも可)である。複数トラックを同時に録音する場合、転送回路4は、サンプリング周期毎に、DSP6から複数トラック分の複数サンプルを受け取って、それぞれバッファメモリ5の各トラックに対応した記憶領域に書き込む。そして、転送回路4は、各トラックの記憶領域に1クラスタ分のサンプルデータがたまる毎に、該サンプルデータを当該トラックの音データとしてハードディスク7の未使用クラスタに書き込む。したがって、同時に録音される複数トラックの音データは、クラスタ単位で互いに入り雑じった状態で共用アドレス領域72に記憶される。またパンチイン、パンチアウト等で後から追加される音データ、波形編集された音データ等は、そのトラックの初期録音の音データが記録されているアドレスとは離れて、それらが記録されるので、主に編集用に設けられた仮想トラックに対応する音データは、共用アドレス領域72内にクラスタ単位で分散して記録されている。
ソング管理データはソング単位で、ハードディスク7の全アドレス領域の後方側の端部から順次記録される。ただし、個々のソング管理データ領域72−1、72−2、……内では、データは通常どおり前方側から正方向(アドレスが増加する方向)に記録される。また、個々のソング管理データ領域72−1、72−2、……の容量は固定であるので、システム管理データ用アドレス領域71にハードディスク7の全アドレス領域の最後尾のアドレス情報を記録しておくことにより、各ソング管理データ領域72−1、72−2、……の開始位置を演算で求めることができる。
以上のようなファイル構成によれば、ハードディスクレコーダの電源をオンした際に、自動的にハードディスク7の先頭のアドレスにアクセスしてシステム管理データを読み取り、ソングが指定されたときに、該システム管理データに基づき、該指定されたソングのソング管理データが記録されているソング管理データ領域にアクセスして該ソング管理データを読み取る。また、該ソングの再生が指示されたときには、該ソング管理データに基づき、該ソングの現在選択されている各仮想トラックについて音データが記録されているアドレスに順次アクセスして読み取ることにより、該仮想トラックの音データを再生することができる。
ハードディスク7に記録されるシステム管理データ、音データ、ソング管理データのより具体的な内容について、その一例を説明する。システム管理データには、ハードディスク7に保存されているソング数、共用アドレス領域72の空き容量および空いている位置、共用アドレス領域72の先頭アドレス、最後尾アドレス等の情報が含まれる。音データには、波形データのほか該音データが属するテイク名等が含まれる。
図3は1つのソングの階層構造を示す図であり、ソングは複数のトラック(例えば全16トラック)で構成され、各トラックはそれぞれ8つの仮想トラック(仮想トラック番号“1〜8”で表される。)を持っており、各仮想トラックは複数のリージョンの連鎖で構成されている。また、各仮想トラックにおいて、編集が行われる毎に編集前のリージョンのデータとは独立に編集後のリージョンのデータを記憶している。これにより、図3に積層したブロックで概念的に示したように、各仮想トラックは編集履歴に応じたリージョンのデータを持っている。
図4は1つのソングのソング管理データの構造を示す図であり、ソング管理データには、そのソングに含まれる仮想トラック毎の音データの記録位置の連鎖を示すシーケンスデータと、ミキシング機能に関するシーケンスデータが含まれる。音データの記録位置の連鎖を示すシーケンスデータは、上位からヘッダ、トラック、リージョン、ノードの階層構造を有している。
「ヘッダ領域」には、当該ソングのソング名、作成日、当該ソングで各トラック毎に現在選択されている仮想トラックの番号等の情報が含まれている。「トラック領域」には、全16トラックの各トラックについて、トラック名、8仮想トラックの各先頭リージョン番号(または先頭リージョンへのポインタ)の履歴、この履歴のうちの現在選択されている先頭リージョン番号を示すポインタが含まれている。なお、上記先頭リージョン番号の履歴は、トラックが編集される毎に1つ追加される。
「リージョン領域」には、仮想トラックを構成する複数の連鎖するリージョンの情報が含まれる。各リージョン毎に、連鎖における前のリージョンを示す前リージョン番号、連鎖における次のリージョンを示す次リージョン番号、演奏開始時間(ソングの演奏開始時点からの相対時間)、先頭ノード番号(または先頭ノードへのポインタ)、先頭ノード内の演奏開始ポイント、演奏時間(ノード数および末尾ノード内の演奏終了ポイント)が含まれている。なお、自己のリージョンが当該トラックの先頭リージョンなら、その前リージョン番号はNULLとし、自己のリージョンが当該トラックの末尾リージョンなら、その次リージョン番号はNULLとする。また、後述する再生用クラスタが用意されている場合は、当該リージョンの直前のクラスタを示す直前クラスタ番号、後述の先頭オフセット、当該リージョンの直後のクラスタを示す直後クラスタ番号および後述の末尾オフセットが含まれる。なお、再生用クラスタが用意されていない場合は、各クラスタ番号はNULL、各オフセットはゼロとする。先頭ノード内の演奏開始ポイントおよび末尾ノード内の演奏終了ポイントは、「少なくとも1つのクラスタについて再生する音データの容量を指定するデータ」に対応する。
「ノード領域」には、リージョンを構成する複数の連鎖するノードの情報が含まれ、1ノードは1クラスタの音データに相当する。各ノード毎に、連鎖における前のノードを示す前ノード番号、連鎖における次のノードを示す次ノード番号、ハードディスク7上の対応する音データのアドレス(クラスタ番号)が含まれている。なお、各ノード番号は、それぞれ当該ノードへのポインタでもよい、また、自己のノードが当該テイクの先頭ノードなら、その前ノード番号はNULLとし、自己のノードが当該テイクの末尾ノードなら、その次ノード番号はNULLとする。
ここで、「トラック領域」の先頭リージョン番号の履歴は、TR(ソング番号、トラック番号、仮想トラック番号、履歴番号)のように、ソング番号、トラック番号、仮想トラック番号、履歴番号をインデックスとするトラックデータに対応付けて記憶されている。そして、先頭リージョン番号を示すポインタにはこの履歴番号が格納される。例えばTR(1,2,1,2)は、図3に示したように、「ソング1」の「トラック2」の「仮想トラック1」の「履歴2」のデータに対応している。「履歴1」のデータはTR(1,2,1,1)に対応しており、「履歴2」のデータは、この「履歴1」に対して編集を行った後、TR(1,2,1,2)に対応つけて編集後の先頭リージョン番号を記憶したものである。これにより、アンドゥを行うと、履歴番号を“2”から“1”にしたTR(1,2,1,1)に基づいて編集前の先頭リージョン番号が選択され、編集前の状態での再生等が簡単に行うことができる。ここで編集とは、1つのトラック内ないし複数トラック間で行われる、あるリージョンの全部ないし一部をカット、コピー、移動する、他のリージョンへ挿入、足し込みする、パンチイン録音をする等の、編集処理のことを示す。
トラックの再生時には次のように処理される。1つのソングが選択されると、そのソングのソング管理データ全体がハードディスク7から読み取られてRAM3に保持され、そのソングの再生が指示されると、CPU1は、RAM3に保持されたソング管理データに基づき、「ヘッダ領域」から各トラックごとに選択されている仮想トラックを確認し、「トラック領域」から該当する仮想トラック(通常は履歴番号の一番大きい現仮想トラック。ただし、上述したアンドゥで履歴番号の小さい過去の仮想トラックを選択指定することも可。)の先頭リージョン番号を確認する。「リージョン領域」から該当するリージョンの先頭ノード番号を確認し、「ノード領域」から該当するノードのクラスタ番号を確認する。そして、ハードディスク7の該当するクラスタ番号にアクセスして、そこに記憶されている音データを読み取り、リージョンで指示される演奏開始時間が到来すると、その音データを演奏(再生)する。
ノードには次ノード番号の情報が含まれているので、連鎖するノード番号を順次確認して、該当するクラスタ番号を取得し、ハードディスク7の該当するクラスタ番号から音データを順次読み取って再生する。このようにして、選択された各仮想トラックについて、1つのリージョンに含まれる一連の音データが再生される。次ノード番号がNULLのノードに到来すると、そのノードはそのリージョンの最終ノードであるので、そのノードで指示されるクラスタ番号から音データを読み取ったら該リージョンの再生を終了する。引き続いて、今終了したリージョンに含まれている次リージョン番号を確認し、該次リージョンについても同様の処理をし、各リージョンに対応する一連の音データが再生される。なお、後述のように再生用クラスタを用いる場合は、リージョンの接続部では再生用クラスタを再生する。
このようにしてリージョンの連鎖および各リージョンに含まれるノードの連鎖から、選択されている仮想トラックを構成する音データが順次再生される。次リージョン番号がNULLのリージョンに到達すると、そのリージョンはその仮想トラックの最終リージョンであるので、その最終リージョンに含まれる一連の音データを再生して終了する。
図5は、トラック(仮想トラック)とリージョンおよびノード列(テイク)の関係を示す図であり、図5(A) のようにトラックは複数のリージョン(リージョン35、37、38)で構成されている。なお、この例のトラックの再生では、リージョン35が再生され、しばらく無音状態(実質的に非再生状態)となり、リージョン37が再生され、少し無音状態のあとリージョン38が再生される。図5(B) ,(C) ,(D) のように、リージョンは複数のノードの列(連鎖)に対応している。例えば、リージョン35はノード55〜61、リージョン37はノード33〜39、リージョン38はノード75〜89に対応している。また、図5(B) ,(C) ,(D) に縦線で各リージョンにおける演奏開始位置と終了位置を示したように、リージョンの先頭と末尾はノード(クラスタ)の途中となるのが一般的である。なお、図5(E) のように、1つのテイク(一回の録音・連続した1つのノード列に対応)に対して、複数のリージョン(複数のトラック)が設定される。
図5(A) の場合はリージョン35、37の間、リージョン37、38の間に空きがあるが、例えば図6に示したようにリージョンが接続されている場合もあり、この接続部のリージョンの先頭のクラスタについて、音データの読み出しが間に合わなくなって、安定した再生を行えない場合がある。つまり、順次再生する各クラスタに再生すべき音データが充分な時間分ある場合には、それを再生している間に次のクラスタの再生準備(ハードディスク7からバッファメモリ5への転送)を行うことができるが、充分な時間分ない場合は該次のクラスタの再生準備が完了せず音切れ、音飛び等の発生する不安定な再生となる。このように、再生すべき音データが充分な時間分ないクラスタが不足クラスタである。図6は、例えばリージョン43の再生途中でパンチイン録音を行う、ないし、リージョン43の途中に同じまたは他のリージョンから切出した音データを挿入する等の編集を行った場合の例である。このような編集は、不足クラスタを含む複数のクラスタの連鎖を編集する編集手段に対応する。編集後の音データには新たなリージョン番号が付与されて、リージョン43の前部がリージョン50、挿入された音データがリージョン51、リージョン43の後部がリージョン52となる。このとき、リージョン43を含むトラックでTR(1,2,1,2)の履歴番号“2”の次の履歴番号“3”を持つトラックでTR(1,2,1,3)が作成され、リージョン50、51、52はその新規仮想トラックに含まれている。
図7はリージョンのデータ構造(クラスタの連鎖)および再生用クラスタを示す図であり、再生用クラスタはハードディスク7に設けられ、リージョンの接続部の再生を安定にするために用いられる。リージョンによってクラスタがn個連鎖されており、図中斜線で示した部分の音データが、再生のため、ハードディスク7からバッファメモリ5にクラスタ単位で順次読み出される。該クラスタ単位の読み出しにおいて、途中のクラスタはそれぞれ1クラスタ分の音データが再生用に読み出されるが、1番目のクラスタとn番目のクラスタは1クラスタ分に満たない音データが再生用に読み出される。この1クラスタ分に満たない音データがある程度少ないと、バッファメモリ5に読み込まれたこの音データの再生時間が短いために、これに続くクラスタの音データの読み出し開始を直ぐに始めなければならないので、ハードディスクの速度やCPUの処理能力等によっては、上手く再生できなくなる。
そこで、CPU1が編集処理等を行った結果、リージョンの先頭ないし末尾に音データが所定量(この例では1クラスタの50%)に満たないクラスタが出来てしまった場合には、CPU1は編集処理の後処理においてその状態を検出して再生用クラスタを作成する(再生用クラスタ作成手段)。例えば、1番目のクラスタの音データ(一部または全部)と前のリージョンの末尾クラスタの音データ(一部または全部)とを合わせて所定量以上となるようにし、再生用クラスタに書き込む。また、n番目のクラスタの音データ(一部または全部)と次のリージョンの先頭クラスタの音データ(一部または全部)とを合わせて所定量以上となるようにし、再生用クラスタに書き込む。そして、リージョンの接続部ではこの再生用クラスタの音データを再生する。
なお、再生用クラスタを用いる場合は、リージョンのデータとして、前の再生用クラスタを指示するための直前クラスタ番号と、後の再生用クラスタを指示するための直後クラスタ番号が記憶される。また、1番目のクラスタから前の再生用クラスタに記録する音データの量を示す先頭オフセット(部分音データの切出範囲のデータ)、および、n番目のクラスタから後の再生用クラスタに記録する音データの量を示す末尾オフセット(部分音データの切出範囲のデータ)が記憶される。
図8および図9は、それぞれ前のリージョンと後のリージョンが直接接続されるような編集処理の結果、各リージョンに1クラスタ分に満たない音データが作成され、必要に応じて再生用クラスタが用意された例である。図8(A) は接続部の前のリージョン(前リージョン)の末尾クラスタと、接続部の後のリージョン(後リージョン)の先頭クラスタの音データが、ぞれぞれ50%以上の場合である。図の縦の破線は50%の位置を示している。この場合は再生用クラスタを用いないで、そのまま再生する。なお、図において横向きの太い矢印は音データの再生の進行を示す。ここでは、前リージョンの音データがその接続部まで再生された後、後リージョンの音データがその接続部より続けて再生されることを表している。
図8(B) は前リージョンの末尾クラスタと後リージョンの先頭クラスタの少なくとも一方が50%未満で、かつ、両方の音データを足すと(合わせると)100%以上となる場合を示している。この場合は、前リージョンの末尾クラスタが50%未満の例であり、この末尾クラスタの全部の音データが末尾オフセットに対応している。また、後リージョンの先頭クラスタの音データのうち後半に50%を残すような前の部分の音データが先頭オフセットに対応している。そして、前リージョンの末尾オフセットが示す音データと後リージョンの先頭オフセットが示す音データとを合わせて再生用クラスタに書き込む。そして、再生時には前リージョンの音データを末尾クラスタの1つ前のクラスタまで再生した後、続いて再生用クラスタの音データを再生し、さらに続いて後リージョンの音データを先頭クラスタの残り50%の音データから再生する。
なお、前リージョンから再生用クラスタに再生を以降する際の前リージョンの再生終了ポイントは前リージョンの末尾オフセットのデータに基づいて決定され、再生用クラスタから後リージョンに再生を以降する際の後リージョンの再生開始ポイントは後リージョンの先頭オフセットに基づいて決定される。また、再生用クラスタの再生終了ポイントは、該末尾オフセットと該先頭オフセットの和に基づいて決定できる。
図8(C) は上記同様に末尾クラスタと先頭クラスタの少なくとも一方が50%未満で、かつ、両方の音データを足すと100%以上となる場合を示し、後リージョンの先頭クラスタが50%未満の例を示している。この場合は、前リージョンの末尾クラスタの音データのうちの前半50%を残した残りの音データ(末尾オフセット分)と、後リージョンの先頭クラスタの全部の音データ(先頭オフセット分)とを合わせて再生用クラスタに書き込む。そして、再生時には前リージョンの末尾クラスタの50%の音データの再生が終了すると再生用クラスタを再生し、後リージョンの先頭クラスタの次のクラスタから引き続いて再生する。
なお、図8(B) の例では後リージョンの先頭クラスタに50%残し、図8(C) の例では前リージョンの末尾クラスタに50%残すようにしているが(この場合、再生用クラスタは50%以上となる。)、例えば図8(D) に示したように再生用クラスタが50%となるようにしてもよい。
図9(A) は前リージョンの末尾クラスタと後リージョンの先頭クラスタの少なくとも一方が50%未満で、かつ、両方の音データを足すと50%以上100%未満となる場合を示している。この場合は、前リージョンの末尾クラスタの全部の音データ(末尾オフセット分)と、後リージョンの先頭クラスタの全部の音データ(先頭オフセット分)とを合わせて再生用クラスタに書き込む。そして、再生時には前リージョンの末尾クラスタの一つ前のクラスタの再生が終了すると再生用クラスタを再生し、後リージョンの先頭クラスタの次のクラスタから引き続いて再生する。
図9(B) は前リージョンの末尾クラスタと後リージョンの先頭クラスタの音データの少なくとも一方が50%未満で、かつ、足しても50%未満となる場合を示している。この場合は、前リージョンの末尾クラスタの全部の音データ(末尾オフセット分)と、後リージョンの先頭クラスタの全部および次のクラスタの一部の音データ(先頭オフセット分)を合わせて再生用クラスタに書き込む。そして、再生時には前リージョンの末尾クラスタの一つ前のクラスタの再生が終了すると再生用クラスタを再生し、後リージョンの先頭クラスタの次のクラスタの残りの音データ(先頭オフセットで指示される)から引き続いて再生する。なお、このような場合、例えば図9(C) に示したように、前リージョンの末尾クラスタの一つ前のクラスタの一部の音データと末尾クラスタの全部の音データ(末尾オフセット分)、および、後リージョンの先頭クラスタの全部の音データ(先頭オフセット分)を合わせて再生用クラスタに書き込むようにしてもよい。
なお、上記の実施例では、各クラスタで再生される領域を少なくとも50%以上とするように制御しているが、この所定量は50%に限らない。例えば、30%以上、60%以上等、ハードディスクの速度、CPUの処理能力等に応じて適宜設定すればよい。例えば、30%以上とすれば、前記実施例と同様に、(前リージョンの末尾クラスタ、後リージョンの先頭クラスタが両方とも30%以上の場合、少なくとも一方が30%未満で足すと100%以上の場合、少なくとも一方が30%未満で足すと30%以上100%未満の場合、両方が30%未満で足しても30%未満の場合に、それぞれ場合分けして制御すればよい。また、この所定量の設定については、ユーザの操作子操作に応じてマニュアル設定してもよいし、あるいは、CPU1がハードディスク5、転送回路4、CPU1等のハードウエアの能力検出処理を行ってその検出結果に従って自動設定してもよい。
また、上記実施例では外部記憶装置をハードディスクとしたが、光ディスク装置、光磁気ディスク装置、その他の外部記憶装置を使用することもできる。また、上記実施の形態では外部記憶装置が内蔵されているオーディオデータ記録再生装置にこの発明を適用した場合について説明したが、外部記憶装置を外付けして使用するオーディオデータ記録再生装置にもこの発明を適用することができる。また、上記実施の形態ではディジタルミキシングレコーダ(ハードディスクレコーダ)にこの発明を適用した場合について説明したが、ミキシング機能を備えていないディジタルレコーダ、その他のオーディオデータの記録再生装置にもこの発明を適用することができる。
ハードディスク7のアドレス領域の分割方法は、図2の例に限らない。各領域は任意の順番で配置することができるし、ここに示されていないその他の領域が含まれていてもよい。
また、前記実施の形態では、n番目のクラスタの音データ(一部または全部)と次のリージョンの先頭クラスタの音データ(一部または全部)とを合わせて所定量以上にするようになっていたが、それに限らず、n番面のクラスタの音データとn−1番面のクラスタの音データとを合わせて所定量以上にしたり、1番目のクラスタの音データと2番目のクラスタの音データを合わせて所定量以上にしてもよい。
また、実施の形態では、2つのリージョンを直接接続する接続部について必要に応じて再生用クラスタを用意するようになっていたが、それに限らず、あるリージョンとその後の無音部の接続部分、無音部とその後のリージョンの接続部分について本発明を適用してもよい。本出願人が先に出願した特願2000−024637のように、無音区間について音データのハードディスクからの転送を省略しバッファメモリ5の中の無音波形をループ読出しするようにしている場合、該無音区間の一回のループをリージョンの1つのクラスタに対応させれば、リージョンとリージョンの接続部と全く同じに本発明を適用することができる。
なお、従来は、編集時に、その後にアンドゥできるように編集操作の手順の履歴を記憶するようにしている。このため、操作手順の履歴を記憶するための管理が大変であり、ソフトウエアに負担がかかるという問題があったが、次のような好適例1〜3の構成にすると、編集操作後のアンドゥを簡単なデータ管理で行える。
好適例1は、オーディオデータ記録再生装置は、複数のトラックで構成されるオーディオデータを編集可能なオーディオデータ記録再生装置において、前記編集が行われる毎に、該編集後のトラックのデータを、該編集前のトラックのデータとは独立した新規なトラックとして記憶するようにする。これにより、編集後のトラックと編集前のトラックのデータが記憶されているので、アンドゥの指示に応じて、対応するトラックを選択するだけでよく、煩雑な管理を必要とせず、ソフトウエアの負担が軽減する。
好適例2は、複数のトラックで構成されるオーディオデータを編集可能なオーディオデータ記録再生装置において、複数の音データを記憶する音データ記憶手段と、複数のトラックの各トラックに関し、複数の音データの中の当該トラックで再生する1ないし複数の部分音データの切出範囲、および、該1ないし複数の部分音データの各再生タイミングを示すトラックデータを記憶するトラックデータ記憶手段と、編集指示に応じて、上記トラックデータの少なくとも1つの部分音データを変更、追加ないし削除することによりトラックデータを編集するとともに、編集されたトラックデータを新たなトラックとして前記トラックデータ記憶手段に記憶するトラック編集手段と、トラックデータ記憶手段に記憶されたトラックデータに従って、前記音データ記憶手段から該トラックデータの示す切出範囲の部分音データを該トラックデータの示す再生タイミングで読み出して再生するトラック再生手段と、を備える。これにより、トラック編集手段で編集した編集後のトラックデータが新たなトラックとしてトラックデータ記憶手段に記憶されるので、アンドゥの指示に応じて、対応する編集前のトラックを選択するだけでよく、煩雑な管理を必要とせず、ソフトウエアの負担が軽減する。
好適例3は、好適例2の構成を備え、前記トラック編集手段における部分音データの変更とは、当該部分音データの切出範囲ないし再生タイミングを変更する。これにより、好適例2と同様な作用効果が得られるとともに、クラスタ内での音データの再生タイミングを編集することができる。