JP4151726B2 - 波形データ処理装置 - Google Patents
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Description
また、このように録音した波形データを編集する際にも、あるパートの波形データを一部だけ採用する際には、そのパートの残りの期間をミュート期間として、その旨を記録することが行われている。
なお、この明細書において、「ミュート」は、実質的に音が聞こえなくなる状態のことをいうものとし、完全な無音と、多少音が残っていても耳に聞こえない実質的な無音の両方を含むものとする。
しかし、ミュート期間には波形データを記録しないものとすると、その期間についてはこの制御をそのまま適用することはできない。
このような装置によれば、ミュート期間についても波形データのある期間と同等な制御で合成,変換,再生等の処理を行うことができる。またこの期間では、記憶手段からデータを読み出してバッファに書き込む処理が必要ないので、処理負担を低減することができる。
この発明は、このような問題を解決し、波形データ処理装置において、より負担の少ない処理で、かつ少ないバッファ容量でミュート期間を含むデータの処理を行えるようにすることを目的する。
さらに、バッファの、ミュート期間中に読み出しを行っているのと同じ領域に、次の期間のための波形データを用意することができる。
まず、この発明の波形データ処理装置の実施形態であるマルチトラックレコーダ(ハードディスクレコーダ)の構成について、図1を用いて説明する。図1は、そのマルチトラックレコーダの概略構成を示すブロック図である。
このマルチトラックレコーダは、複数のチャンネルの信号経路を有し、最大16トラックの同時録音,16トラックの同時再生,16トラックの同時再生をしながら4トラックの同時録音が可能な装置である。そして、録音は、アナログ又はデジタルの入力波形をデジタルの波形データとして記録することによって行い、再生は、この波形データを順次読み出して出力処理することによって行う。また、再生した波形データに対して、ミキシングやイコライジング等の合成,変換処理等を行うこともでき、さらにこの処理後の波形データを録音(記録)することもできる。
なお、上述したチャンネルとは、個々のトラックの波形データについて信号処理を行う信号経路(各チャンネル毎に物理的に分割された信号経路のみならず、各チャンネルの波形データが時分割処理される物理的には共通の信号経路を含む)または該信号経路を流れる波形データ自体をいう。
フェーダ12は、各チャンネルにおける入出力の音量(波形データの波高値)を調整するためのユニットである。
操作子13は、このマルチトラックレコーダの操作を行うための各種キーやスイッチであり、キーボードとスライドスイッチやダイアルスイッチ、ボタンスイッチ等によって構成することができる。なお、表示器11にグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)を表示して、そのGUI上のスイッチをこれらのスイッチ等の一部としてあるいは一部に代えて用いるようにしてもよい。
フラッシュメモリ15は、書き換え可能な不揮発性記憶手段であり、各種制御プログラムや設定等の、このマルチトラックレコーダの動作に必要な情報を記憶するユニットである。このフラッシュメモリ15に記憶しているプログラムは、例えば新しいプログラムの記録されたCD−ROMディスクをCD−RWドライブ22にセットして内容を読み込む等することにより、必要に応じて書き換えてバージョンアップを行うことができる。設定の変更も、操作子13からの操作等によって行うことができる。
PCI/F17は、このマルチトラックレコーダをPC等のコンピュータと接続するためのインタフェースである。このマルチトラックレコーダをPCに接続することにより、PC側からこのマルチトラックレコーダの動作を制御することが可能になる。
波形データ入力端子41は、マイクその他のオーディオ機器からの波形データの入力を受け付ける端子であるが、これらの波形データは、必要な場合にはA/D変換回路によってデジタルデータに変換してから入力される。波形データ出力端子42は、ミキサ18による編集後の波形データを出力する端子であり、例えばその波形データを外部のスピーカを備えたオーディオ機器に出力して発音を行わせることができる。この出力は、必要な場合にはD/A変換回路によってアナログデータに変換して行うことができ、また、光デジタル出力器によって行ってもよい。
このマルチトラックレコーダは、前述したように再生と同時に録音が可能であるので、HDD21から読み出されてデータ転送ユニット19を経由してミキサ18に入力された16トラックの波形データをミックスダウンして2トラックの波形データを作成し、これを再びデータ転送ユニット19に出力し、CD−RWドライブ22に格納されているCD−RWディスクに記録して音楽CDを作成すること等も行うことができる。
なお、このIDEI/F20は、ここではIDEとしているが、HDD21やCD−RWドライブ22へのデータ入出力を行うインタフェースであれば特にこれに限定されるものではなく、これに代えてSCSI(Small Computer System Interface),USB2(Universal Serial Bus 2),IEEE1394(Institute of Electrical and Electronic Engineers 1394)等の他のインタフェースを用いてもよい。
以上がこのマルチトラックレコーダの概略構成である。
以後の説明においては、特に断らない限り、HDD21を記憶媒体として用いて波形データの録音及び再生を行う場合を例にしてこのマルチトラックレコーダの動作について説明する。
このうち前者の転送は、HDD21の1クラスタ分を1単位として行う。この装置においては、録音・再生を安定して行うため、通常のHDDよりもクラスタサイズを大きくしており、1クラスタは64キロワードである。そして、これは42kHzのサンプリング周期で1秒間分程度の波形データに相当する。
また後者の転送は、サンプリング周期毎に、各サンプリング周期分(1サンプル)の波形データについて行う。
ただし、上述したように、同時に入出力を行うのは最大で20トラックであるから、録音と再生の動作に応じて各記憶領域を各トラックに割り振るようにする場合には、20トラック分として40クラスタ分の記憶領域を設ければ足りる。
また、AとBの領域を併せてリングバッファとして用いることもできる。
録音を行う場合には、ミキサ18はサンプリング周期毎にそのサンプリング周期分の波形データを各トラックについてデータ転送ユニット19に転送し、データ転送ユニット19はこれをバッファメモリ30の対応する領域(例えば各トラックのA領域とする)に記憶させる。そして、1クラスタ分の波形データが記憶されると、そのデータをHDD21上のそのデータを記憶すべきクラスタに転送して記憶させる。
この間にミキサ18からデータ転送ユニット19へ転送されてくる波形データは、今度はA領域に記憶され、HDD21への転送を終えたA領域のデータを逐次新たなデータに更新する。このように、転送ユニット19は、バッファメモリ30上に設けた各トラックについての2つの記憶領域を交互に用いながら、ミキサ18から連続的に転送されてくる波形データを、クラスタ単位でHDD21に転送して記憶させる。
そして再生を開始すると、転送ユニット19はサンプリング周期毎に各トラックについてバッファメモリ30のA領域の波形データを1サンプルずつ読み出してミキサ18に転送する。そして、ミキサ18はこれらの各波形データについて処理を行う。
A領域のデータを全て転送し終わると、次は続けてB領域のデータの転送を行うが、同時にHDD21から次のクラスタの波形データを読み出し、これを必要なデータを全て転送し終えたA領域に記憶させてA領域を新たな期間の波形データで更新する。そして、B領域のデータを全て転送し終わると、次はA領域のデータの転送を行うと同時にHDD21からさらに次のクラスタの波形データを読み出し、これをB領域に記憶させてこの領域を新たな期間の波形データで更新する。
録音と再生を同時に行う場合には、それぞれについての転送を並行して行うものとする。
HDD21のアドレス領域は先頭から、固定容量のシステム管理データ用アドレス領域51と、それに続く最後尾までの共用アドレス領域52に分割されている。そして、共用アドレス領域52には、前方側の端部から波形データがテイク(録音の単位で、1テイク=1回分の録音)順にトラック毎にクラスタ単位で分散して記憶されて蓄積され、その蓄積された領域が波形データ領域53となり、一度録音された波形データは操作者による明示の、該当するテイクの消去指令が与えられない限り消去されない。そして、後方側の端部から、このクラスタ単位で分散記憶された波形データを管理するためのソング管理データが複数ソング分順次記憶されて、ソング管理データ領域54−1,54−2,……(以下、総称する場合には符号54で示す)が順次形成される。
ここで、個々のソング管理データ領域54内では、データは通常どおり前方側から正方向(アドレスが増加する方向)に記憶されることを注記しておく。
なお、演算で求める代わりに、システム管理データ用アドレス領域51に、各ソングのソング管理データ領域54の開始位置のアドレスを記憶しておくこともできる。また、上記の例では、共用アドレス領域の最後尾のアドレスがHDD21の全アドレス領域の最後尾のアドレスに一致する例を示したが、一致しないようにしてもよい。
そして、例えば複数トラックを同時に録音する場合、各トラックの波形データはそれらが記憶される時点での共用アドレス領域52における波形データ記憶済み領域の最後尾に続けて記憶されるので、各(仮想)トラックの波形データは、波形データ領域53内にクラスタ単位で分散して記憶されることになる。
従って、例えば、初めて録音の行われた仮想トラックには、その録音の終了時にはリージョンが1つだけ存在することになる。そして、そのリージョンの再生開始時刻は、ソングの時間軸においてそのリージョンの録音が開始された位置であり、再生時間は、録音開始から録音終了までの時間である。
さらに、このマルチトラックレコーダにおいては、このように録音した各仮想トラックの各リージョンを編集することもできる。例えば、各リージョンについて、波形データ領域53に記憶されたそのリージョンに対応する波形データの読み出し開始位置や終了位置を変更したり、再生開始時刻や再生時間を変更したりすることができる。
まず、波形データは上述したようにクラスタ単位で分散して記憶されるので、これを連結するため、1クラスタ分の波形データをノードとし、各ノードについて、波形データ領域53におけるそのノードの波形データを記憶したクラスタのアドレス(後述するクラスタ番号)と、次のノードを連結するための連結情報(後述する後のノードのノード番号)とを含む情報を記憶するようにしている。そして、各ノードの連結情報に基づいてノードを辿り、各ノードの波形データを記憶したクラスタから波形データを順次読み出すことにより、録音した波形データを再現することができる。なお、図5において、各ノードに付した数字はそのノードのノード番号を示す。
これに加えて、仮想トラックの情報として先頭のリージョンを示す先頭情報(後述する先頭リージョンのリージョン番号)を含む情報を記憶しておき、再生時に、先頭情報の示すリージョンから連結情報に基づいてリージョンを辿り、各リージョンについて記憶している再生開始時刻から再生時間だけ、再生開始位置から波形データを順次再生することにより、仮想トラックの波形データを再生することができる。
このマルチトラックレコーダにおいては、上述した各仮想トラック,リージョン,ノードについての情報をソング管理データ領域54に記憶し、これらの情報に基づいて波形データの再生順序及び再生タイミングを決定して再生している。その意味で、これらの情報をシーケンスデータと呼ぶ。
このうちヘッダ領域には、そのソングのソング名及び作成日の情報の他、各トラックについて現在選択されている仮想トラックの番号が記憶される。
トラック領域には、各トラックの名前と、各トラックの有する全ての仮想トラックそれぞれについての先頭リージョンのリージョン番号(又は先頭リージョンのリージョン情報へのポインタ)が記憶される。このうち、先頭リージョンのリージョン番号については、例えば図5に示した例の場合では、第5トラックの第2仮想トラックについて119が記憶されることになる。
ここで、再生開始時刻から再生時間だけ経過した時刻が再生終了時刻であるので、実質的に再生終了時刻の情報もリージョン情報として記憶されていることになる。
例えば、図5に示したノード5019の場合には、前のノードのノード番号として5011,後のノードのノード番号として5023,そして適切なクラスタ番号を記憶することになる。
そして、各リージョンにおいてHDD21中のどの位置に記憶されている波形データを再生するかを示す情報、すなわち再生するリージョンの先頭ノードの情報,再生するノードの後のノードのノード番号,再生開始ポイントと再生終了ポイントの情報が、波形選択情報である。ただし、波形選択情報の表現および記憶の形式は、上述したものに限られるものではない。
なお、このマルチトラックレコーダにおいては、波形データを録音する際には、1つのリージョンの波形データは連鎖するノードの波形データとして記憶する。この連鎖を示すのが、図5でノード間を繋ぐ矢印であり、連鎖の先頭のノードにおいては常にその先頭から波形データが記憶される。最終ノードにおいては、録音の中止された時点までしか波形データが存在しないが、それ以降にもミュート状態を示す波形データを書き込み、大きさはやはり1クラスタ分としている。
このようにしても、CPU14が編集後のシーケンスデータを参照して波形データの転送タイミングを制御すれば、各ノードの波形データ自体を切り貼り編集して得た波形データを再生する場合と同様の再生を行うことができる。
このマルチトラックレコーダにおいて、HDD21に記憶されている波形データを再生する際には、ソング管理データに従ってHDD21からクラスタ単位で波形データを順次読み出してデータ転送ユニット19のバッファメモリに記憶させ、ここからサンプリング周期毎に1サンプルずつ読み出してミキサ18に転送することは既に述べた。
さらに、ミュートの指示があったミュート期間はバッファメモリ30から読み出された波形データをミュートしてミキサ18に転送するミュート手段としてミュート回路32を設けている。
さらに、録再カウンタ35,比較回路36,レジスタ群38は、録音及び再生を行うトラック毎に同じものを1組ずつ設けている。すなわち、このマルチトラックレコーダは、最大で16トラックの再生と4トラックの録音を同時に行うので、録再カウンタ35,比較回路36,レジスタ群38の組を20組備えている。
図7においては、図示の都合上代表して1組のみを示しており、ここではこの1組の動作を代表して説明するが、実際には最大20組の録再カウンタが並列してマルチプレクサ31及びミュート回路32に信号を出力することになる。どの録再カウンタをどのトラックに対応させるかは、録音/再生の開始時にCPU14が決定するものとする。
20組の録再カウンタ35はそれぞれ、ミュート回路32にミュートを指示する場合、その録再カウンタ35の出力する読出アドレスから波形データを読み出して転送を行うタイミング、すなわち、その録再カウンタ35に対応付けられたトラックの波形データがミュート回路32を通過するタイミングでミュートを指示する。
このマルチトラックレコーダでは、データ転送ユニット19による波形データの転送タイミングに同期してミュートを行うようにしているので、時分割化され転送される複数のトラックの波形データのうちの任意のトラックの波形データをミュートするための構成が簡単である。
なお、録音時にHDD21への波形データの書き込みを行う場合も、IDEI/F20に書き込みを行う旨を設定することにより、同様の動作で、バッファメモリ30上の開始アドレスレジスタSADと終了アドレスレジスタEADとで指定した領域に記憶された波形データをHDD21上の指定したクラスタに書き込むことができる。
そして、バッファメモリ30から波形データを読み出してミキサ18に転送する場合には、CPU14はレジスタDest0,Dest1,Tar0,Tar1,ZDest,ZTarのうち必要なレジスタにそれぞれ適切な値を設定することによって、バッファメモリ30上の波形データを読み出すべきアドレスを指定する。
このとき、ミュート回路32にミュートが指示されていれば、ミュート回路32は、波形データをミュートし、無音状態を示すデータに変更してからミキサ18に対して出力する。このミュートは、例えばミュート回路32をアンドゲートによって構成し、入力端子の一方に波形データを入力するようにし、ミュート指示を行う場合には入力端子のもう一方に0を入力するようにして行うことができる。
このような手順でサンプリング周期毎にバッファメモリ30から1サンプルずつ波形データを読み出してミキサ18に転送し、録再カウンタ35がレジスタTar0の値までカウントアップすると、比較回路36での比較が一致する。この時点でA領域の終わりまで読み出しが終了したことになるので、比較回路36はCPU14の処理に割り込みを発生させ、その旨を伝達する。そして、CPU14はこれを認識すると、HDD21に記憶されている次に再生すべきノードの1クラスタ分の波形データを読み出しを終了したA領域に書き込む指示を行う。また、そのノードのうちの再生すべき部分に応じてレジスタDest0及びTar0の内容を更新する。
また、比較回路36での比較対象はB領域の読み出し中はTar1の値である。そして、録再カウンタ35がレジスタTar1の値までカウントアップし、比較回路36での比較結果が一致すると、その時点でB領域の終わりまで読み出しが終了したことになるので、比較回路36はCPU14の処理に割り込みを発生させ、その旨を伝達する。そして、CPU14はこれを認識すると、HDD21に記憶されている次に再生すべきノードの1クラスタ分の波形データを読み出しを終了したB領域に書き込む指示を行う。また、そのノードのうちの再生すべき部分に応じてレジスタDest1及びTar1の内容を更新する。
以後このような処理を繰り返すことにより、図7(a)に示すように録再カウンタ35のカウント値を変化させ、A領域とB領域の波形データを交互に読み出してミキサ18に転送することができ、波形データを連続的に再生することができる。
以上のうち、HDD21からバッファメモリ30への波形データの転送の処理においては、CPU14とマルチプレクサ31と転送カウンタ33とが波形データ転送手段として機能する。
なお、ユーザから再生中止の指示があると、CPU14はトリガフラグstopに1を書き込み、その時点で録再カウンタ35のカウントアップ動作が停止される。
この場合も、録再カウンタ35はカウント値をマルチプレクサ31に出力し、バッファメモリ30からの波形データの読み出しは行われるが、読み出された波形データはミュート回路32によってミュートされるため、バッファメモリ30に記憶されている波形データに関わりなく、ミキサ18に対しては無音状態を示す波形データが出力される。
さらにミュート期間を継続させる場合には、この時点までにCPU14は再びレジスタmuteにミュートを指示する旨の情報を設定しておくので、この場合には録再カウンタ35は再度カウンタZDestの値からカウントを開始し、ミュート回路32に対してミュートを指示すると共に、レジスタmuteをクリアする。
ミュートが設定されていなければ、録再カウンタ35は、図7(b)又は(c)に示すように、ミュート期間に入る直前に読み出しを行っていた領域でない方の領域から波形データを読み出すべく、Dest0又はDest1からカウントを開始すると共に、ミュート回路32に対するミュート指示を取り消す。従って、以後は再びバッファメモリ30から読み出した波形データがそのままミキサ18に転送されることになる。
しかし、ミュート期間以外では1クラスタ分の波形データを読み出す毎に割り込みを発生させて読み出し領域を切り換える制御を行っているので、制御を簡単にするため、ここではミュート期間についても1クラスタ分毎に区切って割り込みを発生させるようにしている。そして、このような制御を行うため、レジスタZDestの値はA領域の先頭アドレスに固定し、レジスタZTarの値は基本的にA領域の最終アドレスとしている。そして、指定すべきミュート期間の長さが1クラスタ分の期間より短い場合に、レジスタZTarの値としてレジスタZDestの値により近い値を設定している。
これらのミュート期間の指定に関する処理においては、CPU14がミュート指示手段として機能する。
また、各リージョンの末尾においては、Tar0レジスタあるいはTar1レジスタは、そのリージョンの(ここでは再生終了ポイントを用いて指定される)再生終了時刻に応じた値に設定されるので、読出アドレスがここまで進行したタイミングで次のミュートのクラスタ期間に移行することになる。その後、ミュート区間の最後のクラスタ期間では、ZTarレジスタは、次のリージョンの再生開始時刻に応じた値に設定されるので、読出アドレスがここまで進行したタイミングで次の有音のクラスタ期間に移行することになる。
また、上述した読出手段とミュート手段と波形処理手段とによって波形データ処理手段を構成するものとする。
そして、各リージョンの先頭においては、Dest0レジスタあるいはDest1レジスタは、波形選択情報である再生開始ポイントに応じた値に設定されるので、読出アドレスはこの値からカウントされ、処理手段による波形データの読み出しと処理も、このアドレスから行われることになる。
なお、図8において、HDD21からバッファメモリ30への1クラスタ分の波形データの転送終了時の割り込みは図示を省略しているが、この割り込みは、複数トラックの同時録音及び/又は同時再生にかかる転送カウンタ33による波形データの転送を効率よく行うための割込みである。
このように最初の2つのクラスタ期間がミュート期間である場合には、再生開始準備の時点においてバッファメモリ30に波形データを記憶させておく必要はない。また、最初の1つのクラスタ期間のみミュート期間である場合には、1クラスタ分のみ記憶させておけばよい。
また、次の割り込み後のクラスタ期間はノード5011を再生する期間であるので、CPU14はノード5011の波形データを記憶しているHDD21のクラスタ5011を読み出してその内容をバッファメモリ30のA領域に書き込む指示を行う。ここで、図5に示したようにノード5011にはオフセットが設定されており、再生開始ポイントが7210番目の波形データであるので、再生開始位置を示すレジスタDest0にA領域の7210番目のアドレスを設定する。また、このノードは最後まで再生するので、再生終了位置を示すレジスタTar0にはA領域の最終アドレスを設定する。
また、次の割り込み後のクラスタ期間はノード5019を再生する期間であるので、CPU14はHDD21のクラスタ5019を読み出してその内容をバッファメモリ30のB領域に書き込む指示を行う。そして、ノード5019については全体を再生するので、レジスタDest1にはB領域の先頭アドレスを、Tar1にはB領域の最終アドレスを設定する。
また、CPU14は次の割り込み後のクラスタ期間に再生するノード5023の波形データを、読み出しが終了したバッファメモリ30のA領域に書き込む指示を行う。そして、レジスタDest0にA領域の先頭アドレスを設定すると共に、レジスタTar0には再生終了ポイントであるA領域の56617番目のアドレスを設定する。
また、次の割り込み後のクラスタ期間はミュート区間であるので、CPU14はレジスタmuteにミュートを設定する。そして、丸々1クラスタ分のミュート期間を指定するため、レジスタZTarにA領域の最終アドレスを設定する。
また、CPU14は次の割り込み後のクラスタ期間に再生するノード5038の波形データを、バッファメモリ30の直前に読み出しを行った領域でないB領域に書き込む指示を行う。そして、ノード5038にもオフセットが設定されているので、レジスタDest1に再生開始ポイントであるB領域の34080番目のアドレスを設定する。レジスタTar1の内容は変更する必要がないのでそのままである。
また、CPU14は次の割り込み後のクラスタ期間に再生するノード5040の波形データを、読み出しが終了しているバッファメモリ30のA領域に書き込む指示を行う。そして、レジスタTar0にA領域の最終アドレスを設定する。レジスタDest0の内容は変更する必要がないのでそのままである。
ここでは1トラックを再生する場合の動作について説明したが、複数トラックの同時再生を行う場合には、複数の録再カウンタ35の出力が、マルチプレクサ31とミュート回路32に入力されることになる。この場合、マルチプレクサ31は各録再カウンタ35の出力するアドレスを、適宜タイミングを調整してバッファメモリ30に出力して波形データを読み出させ、1サンプリング期間内に全てのトラックについての波形データをミキサ18に転送できるようにする。
ミュート回路32についても、録再カウンタ35からミュート指示の出ているトラックの波形データのみミュートしてミキサ18に転送し、そうでないトラックの波形データはそのままミキサ18に転送するものとする。
また、ここで示した例では、HDD21からの波形データの読み込みは、各ノードを再生するクラスタ期間の前のクラスタ期間に行うようにしたが、ミュート期間を挟む場合でも、ミュート期間中、すなわちミュート回路32によるミュートが行われている間、の最初のクラスタ期間に、ミュート期間後に再生する予定のクラスタ(ノード)の波形データをHDD21から読み出してバッファメモリ30に書き込んでおくようにしてもよい。
さらに、ミュート期間中に、ミュート期間後に再生する予定の2クラスタ分の波形データをバッファメモリ30に書き込んでおくようにしてもよい。このようにすれば、ミュート期間後のリージョンにおける初めのクラスタ期間が極端に短い場合でも、問題なく再生を行うことができる。
また、CPU14によるレジスタmuteへのミュート指示の設定は、ミュート期間にすべきクラスタ期間の直前のクラスタ期間に行うようにしたが、2期間前あるいは3期間前にこの設定を行うことができるようにしてもよい。
また、ここで示した例では、レジスタDest0,Tar0,Dest1,Tar1,ZDest,ZTarに基づいて録再カウンタの生成するアドレスをジャンプさせつつミュートを行っていたが、このようなアドレスのジャンプは行わずに、無音としたいアドレスの範囲を指定してその範囲でミュートを行わせるようにしてもよい。
これ以外にも、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができることも、いうまでもない。
Claims (1)
- クラスタ単位で波形データを読み書き可能な波形データ記憶手段に、再生すべき波形データの存在するリージョン区間と該リージョン区間以外のミュート区間とからなるトラックの波形データとして記憶されている波形データを連続的に処理する波形データ処理装置であって、
前記トラックを構成する各リージョン区間について、該リージョン区間の処理開始時刻情報と処理終了時刻情報と波形選択情報とを含むリージョン情報を記憶するリージョン情報記憶手段と、
前記波形データのサンプリング周期毎に進行する読出アドレスを発生させるアドレス発生手段と、
該アドレス発生手段が読出アドレスを進行させる範囲を開始位置と最終位置により定める複数対のアドレスレジスタと、
前記波形データ記憶手段から読み出した前記リージョン区間の波形データを一時的に記憶する記憶領域を複数有するリングバッファと、
CPUにより構成され、読み出しアドレスがある1対のアドレスレジスタにより示される範囲を進行している間に、前記読出アドレスと、前記リージョン情報に含まれる各リージョン区間の処理開始時刻情報と処理終了時刻情報とに基づいて、前記トラックにおける次に読み出しアドレスを進行させる範囲が前記リージョン区間か前記ミュート区間かを判定し、前記ミュート区間である場合には該次に読み出しアドレスを進行させる範囲でミュートを行う旨をミュートレジスタに設定すると共に、次に使用するアドレスレジスタに開始位置と終了位置とを設定することにより、ミュートを行う期間の長さを設定してミュートを指示するミュート指示手段と、
前記ミュートレジスタを備えた波形データ処理手段であって、前記リングバッファから前記読出アドレスに基づいて波形データを読み出し、前記ミュート指示手段によって前記ミュートレジスタに読み出し中のアドレス範囲でミュートを行う旨が設定されていない場合にはそのまま、ミュートを行う旨が設定されている場合には読み出した波形データを無音波形データに変換して処理する波形データ処理手段と、
該波形データ処理手段による前記リングバッファからの波形データの読み出しが1クラスタ分終了した場合に、前記波形選択情報に基づいて前記波形データ記憶手段から1クラスタ分の波形データを読み出して、前記リングバッファの前記波形データ処理手段による波形データの読み出しが終了した領域に記憶させる波形データ転送手段とを有し、
ミュートを行うか否かに関わらず、前記アドレスレジスタには、前記リングバッファの、前記リージョン区間の波形データを記憶させる記憶領域内のアドレスを設定することを特徴とする波形データ処理装置。
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