JP2004163619A - 分極反転結晶の製造方法 - Google Patents

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雅弘 湖東
Koichi Taniguchi
浩一 谷口
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重雄 前田
Kazuhiro Abe
一博 阿部
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Abstract

【課題】分極反転領域の外側へのはみ出しを積極的に抑制し得る、分極反転結晶の製造方法を提供すること.
【解決手段】強誘電体結晶基板1の板面(+Z面および/または−Z面)において、形成すべき周期的分極反転構造のうちの少なくとも分極反転すべきでない領域には、反転抑制層2を形成し、分極反転すべき領域には、直接的にまたは前記反転抑制層2を介在させて電極3を配置し、該基板1の他方の板面に配置した電極4との間で分極反転電圧を印加する。反転抑制層の材料は、+Z面に対しては、Moまたはその合金、化合物が好ましく、−Z面に対しては、Cr、Ni、Ti若しくはこれらの合金または化合物から選ばれる材料が好ましい。反転抑制層の存在によって、その部分に分極反転電界が作用しても、その材料との接触に起因して分極反転の進行が抑制され、良好な分極反転構造が得られる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学結晶の技術分野に属し、特に、分極反転結晶(即ち、周期的分極反転構造が形成された強誘電体結晶)の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、強誘電体結晶基板(以下、結晶基板ともいう)に周期的分極反転構造(以下、分極反転構造ともいう)を形成してなる分極反転結晶を用いた、擬似位相整合による波長変換が盛んに行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
分極反転構造は、図4(a)、(b)に一例を示すように、結晶基板11中の分極方向を局所的に反転させた構造であって、分極方向を反転させた反転領域R1と、もとの結晶基板の分極方向のままの非反転領域N1とが、所定の周期にてストライプ状に交互に並ぶように形成された構造である。図4(a)では、結晶基板11の表層に分極反転構造が形成され、さらに該構造を横断するように導波路12が形成されている。図4(b)では、結晶基板全体に分極反転構造が形成されており、光路が限定されない所謂バルク型となっている。波長変換すべき入力光L10が非反転領域と反転領域とを交互に通過すると、結晶の非線形光学効果、および分極反転構造の擬似位相整合によって波長変換された出力光L20が発生し出射される。
【0004】
従来の分極反転結晶の製造方法として、例えば、特許文献2に記載された方法が挙げられる。この方法では、図5に示すとおり、結晶基板(Z板)11の一方の板面(同図の基板上面;+Z面)に、分極反転すべき領域だけが露出するよう絶縁体からなるレジストパターン22を形成し、その上を金属電極材料からなる電極層23で一様に覆う。これによって、分極反転すべき領域にのみ電極層23が接触し(以下、この接触している部分の電極を「上部電極」という)、反転用の電極として作用する。同図の例では、電極層23上にさらに液状電極24を接触させており、これによって、電極層23には、全面にわたって均一な電圧を印加させることが可能になっている。
【0005】
他方の板面(図5の基板下面;−Z面)には、液状電極(液状電解質)31が全面に接触している。液状電極を接触させるための容器などは図示を省略している。両電極は、それぞれ、反転電圧印加用の電源装置S10(図示せず)に接続されており、両電極間に分極反転電圧を印加すると(+Z面に+電位、−Z面に−電位を与える)、結晶の自発分極方向が反転し、分極反転結晶が得られる。図では、分極反転電圧によって生じる電界を矢印で示している。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−110095号公報
【特許文献2】
米国特許第5800767号公報(図16)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の分極反転方法(例えば、特許文献2に記載された方法)において、本来理想とされる分極反転状態は、図6(a)に示すように、上部電極23直下の領域(逆方向のハッチング部分11a)だけの分極反転である。
しかしながら、実際に両電極間に分極反転電圧を印加すると、図6(b)に示すように、分極反転領域は、上部電極23の直下の領域に形成されるだけではなく、同図の領域11bのように、上部電極23よりも外側へはみ出した部分まで形成されることが知られている。
【0008】
従来技術では、このような分極反転領域の外側へのはみ出しを積極的に抑制することは困難であり、はみ出し分を見越して、上部電極の幅を予め狭く設定しておくなど、はみ出しは存在するものと認めた上での対策が施されていた。即ち、分極反転領域の寸法は反転工程の結果まかせであり、高精度な周期を有する分極反転構造の製造が困難であるという問題があった。また、分極反転領域の外側へのはみ出しを抑制するためにも、印加電圧を厳しく制御することが要求され、同様の品質の分極反転結晶を製造することは容易ではなかった。
【0009】
本発明の課題は、上記問題を解決し、分極反転領域の外側へのはみ出しを積極的に抑制し得る、分極反転結晶の製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の特徴を有するものである。
(1)一方の板面にプラスの自発分極が現われ、他方の板面にマイナスの自発分極が現われるように形成された強誘電体結晶基板を用い、
(a)プラスの自発分極が現われている板面に対して、形成すべき周期的分極反転構造のうちの分極反転すべきでない領域に、Mo、Mo合金、またはMo化合物からなる反転抑制層を形成し、分極反転すべき領域には、直接的にまたは前記反転抑制層を介在させて電極を配置し、および/または、
(b)マイナスの自発分極が現われている板面に対して、形成すべき周期的分極反転構造のうちの分極反転すべきでない領域には、Cr、Ni、Ti若しくはこれらの合金または化合物から選ばれる材料を含有してなる反転抑制層を形成し、分極反転すべき領域には、直接的にまたは前記反転抑制層を介在させて電極を配置し、
前記(a)または前記(b)の態様にて配置した電極と、該基板の他方の板面に配置した電極との間に、または、
前記(a)の態様にて配置した電極と、前記(b)の態様にて配置した電極との間に、
分極反転電圧を印加する工程を有することを特徴とする、分極反転結晶の製造方法。
【0011】
(2)形成すべき周期的分極反転構造のうちの分極反転すべきでない領域だけに、上記反転抑制層を形成し、分極反転すべき領域には、直接的に電極を配置するものである、上記(1)記載の製造方法。
【0012】
(3)上記反転抑制層の上に絶縁体層を形成し、その上を、分極反転すべき領域を含めて全体的に覆うように電極材料からなる層を形成し、これによって、分極反転すべき領域に直接的に電極を配置するものである、上記(2)記載の製造方法。
【0013】
(4)強誘電体結晶基板の一方の板面のうち、少なくとも形成すべき周期的分極反転構造の領域全面に上記反転抑制層を形成し、分極反転すべき領域には、該反転抑制層を介して電極を配置するものである、上記(1)記載の製造方法。
【0014】
(5)さらに、上記反転抑制層の上面のうち、分極反転すべきでない領域の上方に対応する領域には絶縁体層を形成し、その上を、反転抑制層の露出面を含めて全体的に覆うように電極材料からなる層を形成し、これによって、分極反転すべき領域に、該反転抑制層を介して電極を配置するものである、上記(4)記載の製造方法。
【0015】
(6)上記強誘電体結晶基板が、Zカットされた結晶基板である、上記(1)記載の製造方法。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法において加工対象(素材)として用いる強誘電体結晶基板(以下、結晶基板ともいう)は、一方の板面にプラスの自発分極が現われ、他方の板面にマイナスの自発分極が現われるように形成されたものであればよい。
後述のように、結晶基板の材料としてはLiNbOが特に有用であり、この結晶ではZ軸方向と自発分極の方向とが一致している。よって、以下の説明では、一方の板面に+Zが現われ、他方の板面に−Zが現われるように形成された結晶基板を加工対象の例として挙げ、さらにそのなかでも、結晶のZ軸の方向が基板面に垂直となるようZカットされた結晶基板(Z板)を例として用い、本発明を説明する。説明に際しては、プラスの自発分極が現われている基板面を「+Z面」、マイナスの自発分極が現われている基板面を「−Z面」と呼ぶ。
【0017】
本発明の製造方法は、上記(1)に示したとおり、次の▲1▼〜▲3▼のいずれかの電極配置にて分極反転電圧を印加するものである。
▲1▼上記(a)の態様にて+Z面に電極を配置し、これに対向する電極を−Z面に配置し、これら両面の電極間に分極反転電圧を印加する。
▲2▼上記(b)の態様にて−Z面に電極を配置し、これに対向する電極を+Z面に配置し、これら両面の電極間に分極反転電圧を印加する。
▲3▼上記(a)の態様にて+Z面に電極を配置し、かつ上記(b)の態様にて−Z面に電極を配置し、これら両面の電極間に分極反転電圧を印加する。
【0018】
上記▲1▼の態様を説明する。
この態様では、図1に電極構造の一例を示すように、結晶基板1の+Z面(基板の上面)のうち、形成すべき周期的分極反転構造のうちの少なくとも分極反転すべきでない領域に、Mo、Mo合金、またはMo化合物を含有してなる反転抑制層2を形成する。好ましくは、Mo、Mo合金、またはMo化合物からなる反転抑制層2を形成する。図1では、+Z面のうち、反転抑制層2が接している部分が、分極反転すべきでない領域である。
そして、+Z面のうち、分極反転すべき領域には、電極3を配置する。この場合、電極3の配置は、分極反転すべき領域に対して直接的な配置であっても前記反転抑制層を介在させた配置であってもよい。同図の例は、直接的な配置の一例である。この状態で、該基板の他方の板面に配置した電極4との間で分極反転電圧を印加し、分極反転結晶を製造する。図では、分極反転電圧の印加によって結晶基板中に形成される電界を、太い矢印で示している。
【0019】
上記▲2▼の態様では、上記▲1▼の説明における+Z面を−Z面に置き換え、かつ、反転抑制層の材料を、Cr、Ni、Ti若しくはこれらの合金または化合物から選ばれる材料を含有する材料に置き換えること以外は、上記▲1▼の態様と同様である。好ましい反転抑制層の材料は、Cr、Ni、Ti若しくはこれらの合金または化合物から選ばれる材料、即ち、Cr、Cr合金、Cr化合物、Ni、Ni合金、Ni化合物、Ti、Ti合金、Ti化合物である。ここでいう、Cr合金(化合物)、Ni合金(化合物)、Ti合金(化合物)には、例えばCr−Ni合金などのように、(Cr、Ni、Ti)から選ばれた2以上の材料による合金や化合物が含まれる。
電極の配置構成自体は図1のとおりであるが、図1を上記▲2▼の態様を示す図として見る場合には、基板の上面が−Z面となる。
【0020】
上記▲3▼の態様は、上記▲1▼の態様における+Z面への反転抑制層形成・電極形成と、上記▲2▼の態様における−Z面への反転抑制層形成・電極形成とを、両面同時に実施する態様である。この場合、上記▲1▼の態様の分極反転すべき領域と、上記▲2▼の態様の分極反転すべき領域とが、表裏で分極反転方向に対応する関係にあればよい(図示せず)。
【0021】
以下、上記▲1▼の態様を代表として本発明を説明し、必要に応じて上記▲2▼にも言及する。
結晶基板の両板面(主面)のうち、分極反転構造のパターンに従って電極を配置する側の板面を「上面」、該上面に配置する電極を「上部電極」とも呼ぶ。図1の例では、固体の電極3上にさらに液状電極5を接触させている。結晶基板1の他方の板面(下面)には、前記電極3に対向する電極(「下部電極」とも呼ぶ)4を配置する。下部電極は、上部電極と1対1で対応するストライプ状の電極であってもよいが、形成工程の手間と反転パターンに与える影響を鑑みれば、下面全体に接触させる態様が好ましい。下部電極については、公知技術を参照してよい。以下、下部電極の例として、下面全体に液状電極を接触させる態様を挙げて本発明を説明する。図1中、Sは分極反転電圧を印加するための電源装置であって、両極の電極が、電源装置Sのそれぞれの端子に接続されている状態を示しているが、電源への配線、接続法も、公知技術を参照してよい。
【0022】
図1のように、分極反転すべきでない領域に反転抑制層2を形成しておくことによって、該層2が接した領域は、その反転抑制層の材料の作用によって分極反転の進行が阻害される。この結果、分極反転領域が上部電極からはみ出すという現象が抑制され、形成した上部電極のパターンにより近い周期を有する高精度の分極反転構造が得られる。
また、分極反転領域のはみ出しを積極的に抑制できることから、分極反転電圧が、反転に必要な電圧値から大きい側にばらついたとしても、そのことが分極反転領域の広がりとして顕著に現われなくなる。よって、反転時の印加電圧の許容幅が広がり、それによって厳しい電圧値の制御が必要なくなり、容易に、安定して、再現性よく、分極反転結晶を製造できるようになる。
【0023】
図4の分極反転結晶では、分極反転構造が結晶基板面全体にわたって形成されているが、同図の例以外に、結晶基板の一部だけに分極反転構造が形成される態様もある。その場合、分極反転構造の周囲(即ち、周期に関係のない部分)にも反転抑制層を形成するか否かは、製造工程を鑑みて適宜選択すればよい。即ち、本発明では、〔形成すべき分極反転構造のうちの少なくとも分極反転すべきでない領域〕に、必ず反転抑制層を形成することが重要である。
【0024】
結晶基板面に反転抑制層と電極とを配置する際の、種々のバリエーションを次に例示する。ただし、配置パターンはそれらの例示には限定されず、それらの複合、組合わせ、さらなる他の機能層の挿入、追加を行なってもよい。
【0025】
図1、2の例は、上記(2)の態様であって、いずれも、結晶基板1の一方の板面のうち、分極反転すべきでない領域だけに反転抑制層2を形成し、分極反転すべき領域には、種々の態様にて、直接的に電極3を配置している。
【0026】
図1の例は、反転抑制層2の上を、分極反転すべき領域を含めて、全体的に覆うように金属電極材料からなる層3を形成し、これによって、分極反転すべき領域に直接的に電極を配置する態様である。この一様な電極層3に対しては、図1に示すように、さらに液状電極5を接触させて電源と接続する態様が好ましく、これによって、どの位置でも略均等に反転電圧を印加することができる。
【0027】
図2(a)の例では、分極反転すべきでない領域だけに反転抑制層2を形成し、分極反転すべき領域だけに電極3を配置している。
【0028】
図2(b)の例は、上記(3)の態様であって、図1の例と似ているが、分極反転すべきでない領域だけに形成した反転抑制層2の上にさらに絶縁体層Rを形成している点で異なる。さらに、該接縁体層の上を、分極反転すべき領域を含めて全体的に覆うように電極材料からなる層3が形成されている。この態様は、図1の態様とは異なり、絶縁体層Rの存在によって、反転抑制層2と電極とが全面密着していないので、反転抑制層2に電流が流れ難く、反転領域の広がりをより高度に抑制できるという利点がある。
この態様の場合、反転抑制層2に電流が流れないように、絶縁膜Rによって反転抑制層の上面のみならず側面までも覆うように形成し、反転抑制層2と電極3とを電気的に接触させないように絶縁膜を形成すれば、より反転抑制の効果が大きくなる。また、絶縁膜Rによって反転抑制層の側面までも覆う場合には、該絶縁膜Rがその厚さの分だけ両側に張り出すために、電極幅がその分狭くなってします。従って、予め張り出す絶縁層の厚みを考慮して、その分だけ電極幅を広くしておくことが好ましい。
【0029】
図3の例は、上記(4)の態様であって、分極反転すべきでない領域に反転抑制層2を形成し、かつ、分極反転すべき領域にも反転抑制層2を形成し、その上に電極3を配置している。
反転抑制層は、分極反転を抑制するための層であるが、分極反転を完全に抑制し得る層ではない。上記(4)の態様では、これを利用し、反転抑制層の上に電極を形成して、反転抑制層ごしに結晶基板に反転電界を作用させている。この態様では、反転抑制層のパターン形成を省略できるという利点がある。
【0030】
上記(4)の態様では、分極反転すべきでない領域、および分極反転すべき領域の、それぞれの反転抑制層の厚さは互いに同一でもそれぞれに応じた厚さでもよいが、形成が簡単であるという点からは、厚さを互いに同一とすることが好ましい。図3(a)、(b)の例では、結晶基板1の一方の板面全面に均一な厚さの反転抑制層2を形成している。
【0031】
図3(a)の例では、均一厚さに形成した反転抑制層2の上面のうち、分極反転すべき領域の上方に対応する領域に電極を形成している。電極直下の領域を分極反転させるためにはより大きな電圧が必要となるが、分極反転すべきでない領域上の反転抑制層によって分極反転のはみ出しが抑制される。
【0032】
図3(b)の例は、上記(5)の態様であって、均一厚さに形成した反転抑制層2の上面のうち、分極反転すべきでない領域の上方に対応する領域には絶縁体層Rを形成し、その上を、反転抑制層の露出面を含めて全体的に覆うように金属電極材料からなる層3を形成している。
この態様では、反転抑制層の材料として用いるMoが高融点材料であるために、電極材料が+Z面から基板内に拡散するのを抑制できる。この利点は、上記▲2▼の場合も同様であって、Cr、Ni、Tiの介在によって、電極材料が−Z面から基板内に拡散するのを抑制できる。
【0033】
本発明において分極反転加工の対象となる結晶基板の材料は、公知のものであってよく、例えば、LiNbO、LiTaO、XTiOX(X=K、Rb、Tl、Cs、X=P、As)などの代表的なものや、これらにMgなどの種々の元素をドープしたものが挙げられる。LiNbOやLiTaOは、コングルーエント組成であってもストイキオメトリック組成であってもよい。
LiNbO、LiTaOなどの強誘電体結晶は、第2高調波発生、光パラメトリック発振・増幅、差周波発生、和周波発生などの波長変換を行う素子の材料として好ましく用いられている。また、MgOドープLiNbOは、特に耐光損傷性に優れた材料である。
【0034】
加工対象とする結晶基板は、Z板や、特定の結晶軸が基板面の法線と特定の角度(オフ角度)をなすようにカットされたオフカット板であってもよい。Z板は、結晶のZ軸の方向が基板面に垂直となるようにカット(所謂、Zカット)された結晶基板であり、本発明の有用性が最も顕著となる素材である。
結晶基板は、分極方向を同一に揃えて、全体を単一ドメイン化(単分極化処理)したものが好ましい。
【0035】
結晶基板の寸法は限定されないが、板状の直方体である場合の寸法例を挙げると、光路方向(図1において紙面の左右方向)の基板寸法が5mm〜70mm程度、光路方向に垂直な断面の寸法が(3mm×70mm)〜(0.2mm×5mm)程度である。これら寸法にて形成した分極反転結晶を、そのまま、または任意に分断・加工して用いればよい。
【0036】
上記▲1▼の態様の場合、+Z面に配置するための反転抑制層の材料であるMo(モリブデン)、Mo合金、Mo化合物としては、例えば、Mo−Ti、Mo−Cなどが挙げられる。
また、上記▲2▼の態様の場合、Cr合金、Cr化合物としてはCr−Ni、Cr−Tiなどが挙げられ、Ni合金、Ni化合物としてはNi−Cr、Ni−Tiなどが挙げられ、Ti合金、Ti化合物としてはTi−Cr、Ti−Niなどが挙げられる。
〔+Z面、または−Z面に上記の反転抑制層の材料を接触させることによってその接触部分の分極反転が阻害される〕という作用は、本発明者等の研究によって得られた知見であって、本発明では、この作用を積極的に反転抑制手段として利用し、分極反転構造の製造方法としている。
【0037】
分極反転すべきでない領域に形成される反転抑制層の厚さは、特に限定されないが、充分な反転抑制作用を得るには5nm以上とすることが好ましく、5nm〜1μm程度、特に50nm〜0.1μmが好ましい厚さである。
また、上記(4)、(5)の態様のように、分極反転すべき領域に形成される反転抑制層の厚さは、2nm〜100nm程度、特に2nm〜50nmが好ましい厚さである。
【0038】
反転抑制層(パターニングなし)の形成方法は、従来公知の成膜法を用いればよく、例えば、スパッタリング、電子ビーム蒸着などが挙げられる。
【0039】
結晶基板の+Z面に設けられる電極は、金属電極材料を用いたものが好ましく、従来公知の材料であるAl、Au、Cr、Ti、Niなどを用いてよく、これらの金属材料を多層に積層した電極構造、例えば(下層NiCl/上層Al)などとしてもよい。また、−Z面の電極として金属電極を用いる場合、Auなどが好ましい材料として挙げられる。
電極の形成方法には、スパッタ・電子ビーム蒸着など公知の成膜技術を用いてよい。
【0040】
絶縁層Rの材料には、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)など公知の材料を用いてよく、形成方法にはスピンコートなどの成膜法を用いてよい。
【0041】
反転抑制層、上部電極、絶縁層の形成においてパターニングが必要な場合には、フォトリソグラフィ技術など、公知のパターニング技術を用いてよい。
【0042】
液状電極としては、公知の液体電極法で用いられている液状電解質や、ガリウム、インジウム、水銀などの液体金属などを用いてよい。
液状電解質を構成する溶媒としては、水、ポリオール、またはこれらの混合物などが挙げられる。また、電解質材料としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどが挙げられる。
また、図1に示すように、液状電極4、5を、それぞれ金属電極3の上面や結晶基板1の裏面に接触させるために必要な容器(図示せず)、液状電極に接続される配線構造、電源装置(制御回路等を含む)も、公知の液体電極法で用いられているものを用いてよい。
【0043】
【実施例】
実施例1
本実施例では、上記▲1▼の態様として、図1に示す態様の電極構造を形成し、これによって実際に分極反転結晶を製造した。
結晶基板として、単分極化処理されたZカットのMgOドープLiNbO結晶基板を用いた。該結晶基板の寸法は、板厚が0.5mm、板面が(幅)10mm×(光路方向)50mmである。該結晶基板1の+Z面、−Z面は、光学研磨されている。
【0044】
先ず、結晶基板の+Z面全面に、スパッタリングによって厚さ0.1μmのMo反転抑制層を形成し、その上に、成膜法スピンコートとフォトリソグラフィとによって、製造目的の周期を有するストライプ状のレジスト絶縁膜(材料:PMMA、厚さ1μm)を形成した。
【0045】
次に、レジスト絶縁膜のストライプの間隙に露出したMo反転抑制層2をエッチングによって除去し、結晶基板面を露出させた。
結晶基板面上にストライプ状に残ったMo反転抑制層2と、間に露出した結晶基板面とを含んで、結晶基板上面全体を覆うように、スパッタリングによって、NiCl膜(厚さ20nm)を成膜し、その上にAl膜(厚さ400nm)をさらに成膜し、上部電極3として、図1に示す態様の電極構造を得た(同図では、上部電極は2層構造(NiCl下層/Al上層)としては描いていない。
【0046】
図1に示すように、上下の液状電極としてLiCl電解液を用い、分極反転電圧を印加して分極反転結晶を得た。
【0047】
(評価)
得られた分極反転結晶の基板上面に設けられた電極構造を除去し、結晶基板上面に対してフッ硝酸を用いて選択エッチング(反転した−Z領域の高速エッチング)を行い、基板上面に現われた反転形状を観察した。
その結果、上部電極(NiCl/Al)と結晶基板が直接接触した部分のみ分極反転が行なわれ、Mo膜を形成した領域には反転が従来のものほどは広がっておらず、図6(a)に示すように、ほぼ電極パターンどおりの周期を有する分極反転構造が形成されていることがわかった。
【0048】
実施例2
本実施例では、上記▲1▼の態様として、図2(b)に示す態様の電極構造を形成し、これによって実際に分極反転結晶を製造した。用いた結晶基板、各層の成膜法、パターニング法は上記実施例1と同様である。
【0049】
先ず、結晶基板の+Z面全面に、スパッタリングによって厚さ50nmのMo反転抑制層を形成し、その上に、スピンコートとフォトリソグラフィとによって、製造目的の周期を有するストライプ状のレジスト絶縁膜(材料:PMMA、厚さ1μm)Rを形成した。
【0050】
次に、レジスト絶縁膜Rのストライプの間隙に露出したMo反転抑制層2をエッチングによって除去し、結晶基板面を露出させた。
結晶基板面上にストライプ状に残ったMo反転抑制層2とレジスト絶縁膜Rとの積層構造と、露出した結晶基板面とを含んで、結晶基板上面全体を覆うように、スパッタリングによって、NiCl膜(厚さ50nm)を成膜し、その上にAl膜(厚さ200nm)さらにを成膜し、上部電極3として、図2(b)に示す態様の電極構造を得た。
【0051】
図1に示すように、上下の液状電極としてLiCl電解液を用い、分極反転電圧を印加して分極反転結晶を得た。
【0052】
(評価)
上記実施例1と同様に基板上面の反転形状を観察したところ、上記実施例1で形成した分極反転構造よりもさらに反転の広がりが抑制されており、より高品質な分極反転構造が形成されていることがわかった。
【0053】
実施例3
本実施例では、図3(b)に示す態様の電極構造を形成し、これによって実際に分極反転結晶を製造した。
用いた結晶基板の材料と仕様、および、反転抑制層、レジスト絶縁膜、上部電極の各材料は、上記実施例と同様である。
【0054】
図3(b)において、先ず、結晶基板1の+Z面全面に、スパッタリングによって厚さ20nmの一様なMo膜2を形成した。
さらにその上にレジスト絶縁膜(厚さ3μm)を全面一様に形成し、これをフォトリソグラフィによって、製造目的の周期を有するストライプ状のレジスト絶縁膜Rとした。
【0055】
上記ストライプ状のレジスト絶縁膜Rと、その間に露出した反転抑制層2とを含んだ全体を覆うように、スパッタリングによって、Al膜、さらにNiCl膜を成膜し、図3(b)に示す態様の電極構造を得た(実施例1と同様、同図では、上部電極は2層構造としては描いていない)。
【0056】
図1に示すように、上下の液状電極としてLiCl電解液を用い、分極反転電圧を印加して分極反転結晶を得た。
【0057】
(評価)
得られた分極反転結晶の基板上面に設けられた電極構造を除去し、結晶基板上面に対してフッ硝酸を用いて選択エッチングを行い、基板上面に現われた反転形状を観察した。
その結果、Mo反転抑制層を介した電圧印加でありながら、上部電極(NiCl/Al)の直下に対応する部分のみ分極反転が行なわれ、その外側の領域には分極反転が広がっておらず、ほぼ電極パターンどおりの周期を有する分極反転構造が形成されていることがわかった。
【0058】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、分極反転加工の際に、分極反転すべきでない領域に反転抑制層を設けているので、分極反転領域の外側へのはみ出しを積極的に抑制することができる。これによって、高精度な周期を有する分極反転構造の製造が可能になり、また、印加電圧の制御すべき範囲も緩やかになり、同様の品質の分極反転結晶を容易に製造することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法において、分極反転電極を印加するために形成される電極構造の一例を示す断面図である。同図では、分極反転電圧によって生じる電界を矢印で示している。また、ハッチングは領域を区別するために施している。以下、同様。
【図2】本発明の製造方法において、分極反転電極を印加するために形成される電極構造の他の例を示す断面図である。
【図3】本発明の製造方法において、分極反転電極を印加するために形成される電極構造の他の例を示す断面図である。
【図4】分極反転結晶を模式的に例示する斜視図である。
【図5】従来の分極反転結晶の製造方法において、分極反転電極を印加するために形成される電極構造の例を示す断面図である。
【図6】従来の分極反転結晶の製造方法において問題となっていた分極反転領域の広がりを示す断面図である。
【符号の説明】
1 強誘電体結晶基板
2 反転抑制層
3 上部電極
4 下部電極(液状電解質)
5 液状電解質
S 電源装置

Claims (6)

  1. 一方の板面にプラスの自発分極が現われ、他方の板面にマイナスの自発分極が現われるように形成された強誘電体結晶基板を用い、
    (a)プラスの自発分極が現われている板面に対して、形成すべき周期的分極反転構造のうちの分極反転すべきでない領域に、Mo、Mo合金、またはMo化合物からなる反転抑制層を形成し、分極反転すべき領域には、直接的にまたは前記反転抑制層を介在させて電極を配置し、および/または、
    (b)マイナスの自発分極が現われている板面に対して、形成すべき周期的分極反転構造のうちの分極反転すべきでない領域には、Cr、Ni、Ti若しくはこれらの合金または化合物から選ばれる材料を含有してなる反転抑制層を形成し、分極反転すべき領域には、直接的にまたは前記反転抑制層を介在させて電極を配置し、
    前記(a)または前記(b)の態様にて配置した電極と、該基板の他方の板面に配置した電極との間に、または、
    前記(a)の態様にて配置した電極と、前記(b)の態様にて配置した電極との間に、
    分極反転電圧を印加する工程を有することを特徴とする、分極反転結晶の製造方法。
  2. 形成すべき周期的分極反転構造のうちの分極反転すべきでない領域だけに、上記反転抑制層を形成し、分極反転すべき領域には、直接的に電極を配置するものである、請求項1記載の製造方法。
  3. 上記反転抑制層の上に絶縁体層を形成し、その上を、分極反転すべき領域を含めて全体的に覆うように電極材料からなる層を形成し、これによって、分極反転すべき領域に直接的に電極を配置するものである、請求項2記載の製造方法。
  4. 強誘電体結晶基板の一方の板面のうち、
    少なくとも形成すべき周期的分極反転構造の領域全面に上記反転抑制層を形成し、分極反転すべき領域には、該反転抑制層を介して電極を配置するものである、請求項1記載の製造方法。
  5. さらに、上記反転抑制層の上面のうち、分極反転すべきでない領域の上方に対応する領域には絶縁体層を形成し、その上を、反転抑制層の露出面を含めて全体的に覆うように電極材料からなる層を形成し、これによって、分極反転すべき領域に、該反転抑制層を介して電極を配置するものである、請求項4記載の製造方法。
  6. 上記強誘電体結晶基板が、Zカットされた結晶基板である、請求項1記載の製造方法。
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