JP2002006353A - 分極反転結晶 - Google Patents

分極反転結晶

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JP2002006353A
JP2002006353A JP2000185076A JP2000185076A JP2002006353A JP 2002006353 A JP2002006353 A JP 2002006353A JP 2000185076 A JP2000185076 A JP 2000185076A JP 2000185076 A JP2000185076 A JP 2000185076A JP 2002006353 A JP2002006353 A JP 2002006353A
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Koichi Taniguchi
浩一 谷口
Kazuyuki Tadatomo
一行 只友
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Mitsubishi Cable Industries Ltd
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  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度変化に起因して分極反転結晶に生じる波
長変換特性の変化を抑制すること。 【解決手段】 強誘電体結晶1に周期的分極反転構造2
を設け、さらに、該結晶に、結晶表面に現れる電荷の過
不足状態を結晶表面の異なる領域間で中和させる電荷中
和手段を設ける。電荷中和手段には大きく分けて2つの
態様がある。1つは、周期的分極反転構造を強誘電体結
晶の一部の領域に設け、その残りの領域をマルチドメイ
ン構造とする図1(a)の態様である。他の1つは、強
誘電体結晶の表面に導電性被覆層を設け、電荷の過不足
状態を短絡させて解消する態様である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学結晶の技術分
野に属し、特に、分極反転結晶(即ち、周期的分極反転
構造が形成された強誘電体結晶)に関する。
【0002】
【従来の技術】LiNbO3、LiTaO3などの強誘電
体結晶は、第2高調波発生、光パラメトリック発振・増
幅、差周波発生、和周波発生などの波長変換を行う素子
の材料として好ましく用いられている。近年、位相整合
条件を満たすための手法として、強誘電体結晶に周期的
分極反転構造を形成してなる分極反転結晶を用いて行う
擬似位相整合法が盛んに行われている。
【0003】周期的分極反転構造は、図4(a)に示す
ように、結晶中に、非反転領域(分極方向を反転しな
い、もとの結晶のままの領域)22aと、反転領域(分
極方向を反転した領域)22bとを、所定の周期にて交
互の配置パターンとなるように形成した構造である。波
長変換すべき光L21は、非反転領域22aと反転領域
22bとを交互に通過するように入射され、擬似位相整
合法に従って波長変換された光L22が発生し、出力さ
れる。
【0004】擬似位相整合法は、分極反転周期を変える
ことによって、変換結果として得るべき波長を容易に変
えることが可能であり、設計の自由度が大きく、変換効
率が高く、さらに発生波長範囲も広いのが特長である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
擬似位相整合法では、分極反転結晶の温度変化によって
波長変換特性が大きく変化することが問題となってい
る。例えば、光パラメトリック発振(OPO)に於いて
は、結晶温度が大きく変化した際に発振動作が停止する
か、または大きな出力変動が発生し、もとの動作状態に
回復するのにかなりの時間を要する等の不具合が起る。
【0006】従って、分極反転結晶を安定して使用する
ためには、結晶の温度を一定に保つことが重要であり、
そのために大掛かりな温度制御装置が必要となってい
た。
【0007】本発明の課題は、温度変化に起因して分極
反転結晶に生じる波長変換特性の変化を抑制することで
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、温度変化
による熱膨張の影響以外に、結晶が強誘電体であるため
に温度変化によって焦電効果が生じ、それが結晶自体の
波長変換特性に大きな影響を与えていることを見出し、
そして、焦電効果が発現してもその影響を速やかに解消
し得る構成を付与することによって、波長変換特性の変
化を抑制し得ることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】本発明は以下の特徴を有するものである。 (1)強誘電体結晶に周期的分極反転構造が設けられ、
かつ、該結晶には、結晶表面に現れる電荷の過不足状態
を結晶表面の異なる領域間で中和させる電荷中和手段が
さらに設けられていることを特徴とする分極反転結晶。
【0010】(2)周期的分極反転構造が、強誘電体結
晶の一部の領域に設けられており、その残りの領域に
は、電荷中和手段として、反転領域と非反転領域とが交
互に配置されてなるマルチドメイン構造が設けられてい
る上記(1)記載の分極反転結晶。
【0011】(3)電荷中和手段が、強誘電体結晶の表
面に設けられた導電性被覆層である上記(1)または
(2)記載の分極反転結晶。
【0012】(4)導電性被覆層が、光の出入りに関す
る領域を除いて、または光の出入りに関する領域を含ん
で、該強誘電体結晶の表面全体を覆う層である上記
(3)記載の分極反転結晶。
【0013】(5)導電性被覆層が、導電性の液体から
なる層である上記(3)記載の分極反転結晶。
【0014】(6)強誘電体結晶に、該結晶の導電性を
向上させる不純物がさらに添加されている上記(1)記
載の分極反転結晶。
【0015】
【作用】強誘電体に生じる焦電効果と、それに対する本
発明の作用を説明する。図4(a)に示すように、従来
の一般的な分極反転結晶では、周期的分極反転構造22
は、強誘電体結晶21の中央に、光源からの光L21の
太さに応じた幅の狭い経路として形成される場合が多
い。図5に示すように、周期的分極反転構造を、結晶の
幅方向全体にわたって形成する場合もあるが、その場
合、個々の反転領域の光路方向の長さt1を幅方向にわ
たってみたとき、t1にはバラツキが生じやすく、変換
効率も場所によって異なることになる。
【0016】図4(a)の態様において、周期的分極反
転構造22を挟む両側の領域23、24は、もとの結晶
の分極状態のままであって、同じ負号の分極だけからな
る領域(単一ドメイン)が広がっている。
【0017】結晶が通常の熱的平衡状態にある場合、結
晶表面には、図4(b)に示すように、該結晶がもつ自
発分極量に応じて電荷が付着しており、全体として電気
的に中性な状況を作っている。しかし、周囲の温度変化
や、温度制御装置の過熱や冷却によって結晶温度が変化
すると、強誘電体が示す焦電効果によって自発分極量が
変動し、中性状態を形成していた電荷の状況が新たな自
発分極量に応じて変動する。例えば自発分極量が減少す
ると表面の電荷は過剰な状況となり、また自発分極量が
増大すると電荷は不足する状況となる。
【0018】この時、分極方向が互いに反対の領域同士
の境界(例えば、領域22aと領域22bとの境界や、
領域22bと領域23、24との境界)付近では、境界
を越えて電荷が移動することにより速やかに中和が起る
が、領域23、24の中央部分のように、広い単一ドメ
インの領域では、電荷は容易に中和されず、電気的な偏
りが生じたままとなり、これによって電界も形成された
ままとなる。この電界が結晶内部の屈折率を変動させ、
その屈折率の変動が、波長変換効率を大きく変動させ
る。これが、本発明者等が着目した焦電効果の影響であ
る。
【0019】上記現象を解消すべく、本発明では、分極
反転結晶に電荷中和手段を設けることによって、結晶表
面に電荷の過不足状態が生じても、異なる領域間で相殺
させて速やかに中和し、電界を打ち消し、波長変換効率
を変動させないようにしている。
【0020】電荷中和手段には、原理的に大きく分けて
2種類の態様がある。1つは、図1(a)、図2に示す
ように、周期的分極反転構造の領域2以外の領域3、4
内に、反転領域bを複数分散させて、非反転領域aと反
転領域bとが交互に配置されてなるマルチドメイン構造
とする態様(態様A)である。これによって、図4
(a)に示す領域23、24のような広い単一ドメイン
の領域は無くなり、分極方向が互いに異なる領域同士の
隣接がより多くなり、電荷の過不足状態が生じても、隣
の領域との間で速やかに相殺されて中和される。
【0021】他の1つは、図1(b)、図3に示すよう
に、強誘電体結晶1の表面に導電性被覆層5をさらに設
ける態様(態様B)である。これによって、ある領域に
電荷の過不足が生じても、逆の過不足が生じている他の
領域との間で短絡し、速やかに中和される。この態様B
は、図5に示す分極反転結晶にも有用である。また、態
様A、Bを併用することによって、より効果的に電荷の
中和を行うことができる。
【0022】本発明によって、波長変換特性の変化の抑
制のみならず、結晶の光損傷が低減されるという作用効
果も得られる。波長変換素子に用いられる強誘電体結晶
は、励起光や変換光によって光励起され、結晶内の不純
物(Fe等)が解離してイオン化し、これによる電荷
(電子、イオン)の局在化により電場が形成される。電
気光学効果を有する波長変換結晶(ニオブ酸リチウムな
ど)においては、これらの電場による屈折率変動によっ
て、波長変換特性が劣化(光損傷;フォトリフラクティ
ブ効果)することになる。分極反転結晶においては、反
転または非反転領域で上記の電荷が発生し、領域間の相
互の電荷移動で電気的中和が行われる。しかしながら、
隣り合う領域の幅は、必ずしも等しくないため、発生す
る総電荷量も同じではなく、隣り合う反転領域間でのみ
完全に中和することは困難であると考えられる。これに
対して、本発明の上記態様A、B、さらに、強誘電体結
晶に導電性を向上させる不純物がさらに添加された態様
とすることによって、結晶内に生じた電荷の局在化や、
分極反転結晶において生じる不完全な中和が、迅速にか
つ効果的に中和されるので、光損傷の抑制に対しても効
果が得られるのである。
【0023】
【発明の実施の形態】先ず、上記作用の説明で述べた態
様Aを具体的に説明する。態様Aは、図1(a)に示す
ように、強誘電体結晶1の一部の領域(入射光L1の光
路に沿った中央の帯状の領域)に周期的分極反転構造2
が設けられており、残りの両側の領域3、4には、各
々、電荷中和手段として、反転領域bが分散して設けら
れマルチドメイン構造とされた構成を有するものであ
る。即ち、擬似位相整合とは直接関係ない領域において
も、反転領域bと非反転領域aとが交互に配置されたパ
ターンが形成されている。これによって、上記作用の説
明で述べたように、結晶上のどの部分においても、その
部分とは反対の分極を示す領域が近くに存在することに
なり、これらの間で電荷の過不足状態が速やかに中和さ
れることになる。
【0024】電荷中和手段としてのマルチドメイン構造
における反転領域と非反転領域との配置パターンは、電
荷の過不足が速やかに中和されるパターンであればよ
く、2つの領域が、細かく交互に繰り返し並んだパター
ンがより好ましい。即ち、2つの領域の境界線の総和
が、より長いほうが好ましい。
【0025】図2(a)のパターンでは、周期的分極反
転構造の反転領域2bを含めて、反転領域bが、図の縦
横の方向にマトリクス状に揃っており、非反転領域aは
縦横に直線状に連続した格子状となっている。これに対
して図2(b)のパターンでは、特定の列の反転領域が
図の縦方向に半ピッチずれており、このため、非反転領
域は横方向には一直線に連続しないパターンとなってい
る。両パターンを比べると、反転領域、非反転領域の個
々の面積や総和は同じであるが、図2(b)のパターン
の方が、1つの領域を長く連続させないという点では好
ましい配置パターンである。
【0026】上記例以外にも、反転領域の大きさに大小
を設け、縦横の方向に適当にずらすことによって、非反
転領域を縦横どちらの方向にも連続させない配置パター
ンとすることもできる。また、反転領域は必ずしもドッ
ト状に分離している必要は無く、細長い反転領域を迷路
のように蛇行・分岐させることによって、非反転領域と
反転領域とが複雑に入り組んだ配置パターンとしてもよ
い。
【0027】電荷の過不足を中和する点からは、非反転
領域、反転領域の各々の面積の総和は、互いに等しい方
が好ましい。周期的分極反転構造では、反転周期の設計
上、非反転領域と反転領域とが互いに異なる面積である
場合が多い。これに対し、電荷中和手段の領域でその不
均衡を相殺し、結晶全体として各々の面積の総和を互い
に等しくしてもよいし、または、周期的分極反転構造で
の不均衡は無視し、他の領域だけで各々の面積の総和を
互いに等しくしてもよい。
【0028】電荷中和手段として形成する反転領域の形
状や、反転領域の配置によって残される非反転領域の形
状は限定されず、三角形、四角形などの多角形、円形、
異形などであってよい。
【0029】反転領域、非反転領域の形状を、これらの
ようなドット状とする場合、1つ1つの反転領域の面積
は、0.7μm2〜0.7mm2程度が好ましい範囲であ
る。ただし、反転領域、非反転領域の形状がドット状以
外の場合、例えば、蛇行パターンなどでは、反転領域、
非反転領域は細長く延びるために大面積となる場合があ
るが、本発明の技術的思想に沿ってドット状の場合と同
様の電荷を中和する効果を示すのであれば、面積が前記
範囲を越えても良い。
【0030】周期的分極反転構造と、電荷中和手段とし
ての反転領域とを、強誘電体結晶に形成する際の手順や
方法に限定はないが、例えば、結晶全体がマルチドメ
イン構造となっているものを用い、その結晶に周期的分
極反転構造を形成する方法、結晶全体が単一ドメイン
構造となっているものを用い、その結晶に周期的分極反
転構造を形成し、その前後または同時に、それ以外の領
域に電荷中和手段としての反転領域を分散させて形成す
る方法などが挙げられる。分極方向を反転させるための
方法は、周期的分極反転構造の形成技術を用いてよい。
前記の方法のなかでも、周期的分極反転構造を形成す
る工程を利用して同時にマルチドメイン構造を形成すれ
ば、別工程を追加する必要が無く、好ましい。
【0031】LiNbO3などの強誘電体結晶は、元
来、結晶成長させた時点では分極方向が結晶軸に対して
揃っておらず、自然発生的でランダムなマルチドメイン
構造となっている。従来、その状態の結晶に周期的分極
反転構造を形成するには、いったん分極方向を同一に揃
え、全体を単一ドメイン化する処理を施してから行う。
これに対して本発明では、前記結晶成長後のままの自然
発生的なマルチドメイン構造を単一ドメイン化せず、そ
のまま電荷中和手段として用いることを提唱する。例え
ば、上記の方法における「結晶全体がマルチドメイン
構造となっているもの」として、前記自然発生的なマル
チドメイン構造をそのまま利用することによって、電荷
中和手段とすべき領域に関しては、単一ドメイン化と再
度のマルチドメイン化を行う必要が無くなる。
【0032】次に、上記作用の説明で述べた態様Bを具
体的に説明する。態様Bは、図1(b)に示すように、
電荷中和手段として、強誘電体結晶1の表面に導電性被
覆層5が設けられた構成を有するものである。
【0033】態様Bにおける導電性被覆層は、同じ温度
変化において、電荷が過剰となる領域と不足する領域と
を結んで、速やかに中和し得るように被覆すればよい。
該被覆層は細かいパターンとして形成してもよいが、結
晶面全体をべったりと覆う態様の方が、電荷を短絡させ
て中和する点、放熱の点で好ましい。例えば、結晶の分
極が現れる両面だけを各々覆う態様、さらには側面をも
含んで結晶全体を覆う態様が挙げられる。また、表裏の
面を短絡させる態様は、電荷を短絡させて中和する点で
好ましい。結晶への入射光の入り口となる面と、結晶か
ら出力される光の出口となる面は、露出させてもよい
し、また、該面に導電性膜(金属膜、不純物ドーピング
によって導電性を持たせた誘電体膜、ITOなどの導電
性酸化膜など)からなる共振器を形成し、これを電荷中
和用の導電性被覆層としても利用して、結晶全体を完全
に導電性被覆層で覆う態様としてもよい。
【0034】導電性被覆層の材料は、導電性を有するも
のであればよく、固体、流体を問わない。例えば、金属
としては、Au、Al、Pt、Cr、Cu、Ag、Ti
などの良導体金属が挙げられ、これらのうちから任意の
材料を用いた多層膜としてもよい。金属からなる導電性
被覆層の形成法としては、スパッタリング法、真空蒸着
法、イオンプレーティング法、ディップ法などが挙げら
れる。その他、導電性を有する有機薄膜であってもよ
い。その場合の層の厚さは、実使用上、0.1μm〜1
0μm程度が好ましいが、上限は特に限定されない。
【0035】導電性被覆層を液体で形成することによっ
て、電荷中和の効果だけでなく、結晶の冷却、結晶内の
温度分布の均一化に対して優れた効果が期待できる。図
3は、導電性被覆層を導電性の液体で形成する場合の構
成例を示している。これらの構成を、結晶の断面形状が
四角形である場合を例として説明する。
【0036】図3(a)の例では、結晶1を角柱形の筒
状ケース6内に挿入し、該ケース6の両端付近をOリン
グなどのシール部材7a、7bによってシールすると共
に、結晶1とケース6と間に均一な間隙を確保し、この
密閉空間に導電性の液体を充填して導電性被覆層5とし
ている。図示していないが、ケース6には、導電性の液
体を流入・排出するためのバルブや配管を適宜設けてよ
い。図3(b)の例は、図3(a)の例における筒状ケ
ースやシール部材の代わりに、フレキシブルなフィルム
で結晶の胴体周囲を覆い、内部に導電性の液体を充填し
た例である。図3(c)の例は、入力光L1、出力光L
2が透過可能な槽9内に収容された導電性の液体中に強
誘電体結晶1を保持し、槽内の導電性液体を導電性被覆
層5とした例である。液体中に結晶を保持する方法は限
定されず、上・下・側方のいずれの方向からどのように
支持してもよい。いずれの例でも、導電性の液体を、冷
却装置などの外部装置との間で循環させる構成としてよ
い。
【0037】導電性被覆層に用い得る導電性の液体とし
ては、液体金属、各種電解液などが挙げられる。
【0038】上記態様A、Bの両方において、強誘電体
結晶に、該結晶の導電性を向上させる不純物を添加し、
結晶内での電荷の移動性を向上させ、中和に寄与する態
様としてもよい。このような目的で添加し得る不純物と
しては、Mg、Zn、Sc、Kなどが挙げられる。
【0039】強誘電体結晶は、公知のものを用いてよ
く、例えば、LiNbO3、LiTaO3、XATiOXB
4(XA=K、Rb、Tl、Cs、XB=P、As)な
どの代表的なものや、これらにMgなどの種々の元素を
ドープしたものが挙げられる。LiNbO3やLiTa
3は、コングルーエント組成であってもストイキオメ
トリック組成であってもよい。これらの結晶のなかでも
特に、耐光損傷性に優れている点で、MgOドープLi
NbO3が好ましい。
【0040】結晶の形状や寸法は限定されず、一般的に
用いられている形状、寸法のものでも、特殊な用途のた
めの異形のものでもよい。一般的に用いられている結晶
の形状は、通常、直方体であって、光路方向の寸法は1
mm〜50mm程度、光路方向に垂直な断面の寸法は
0.5mm×1mm〜5mm×50mm程度である。図
1(a)の態様における周期的分極反転構造の経路の幅
は、入射光の太さによっても異なるが、通常は、0.5
mm〜5mm程度である。
【0041】本発明の分極反転結晶を用いて行う波長変
換は、光パラメトリック発振、第2高調波発生、和周波
発生、差周波発生など、擬似位相整合法可能なものであ
ればよい。当該分極反転結晶は、単独で波長変換素子と
して機能するが、該結晶に光共振器を加えて1つの素子
としてもよい。光共振器は、非線形光学結晶とは別個の
ミラー部材を用いたものでも、非線形光学結晶の端面を
そのまま用いて構成したものでも、非線形光学結晶の端
面にコーティングなどを施して構成したものなどでもよ
い。ミラー自体の態様、一対のミラーの配置関係など
は、公知技術を参照してよい。
【0042】
【実施例】実施例1 本実施例では、図2(b)に示す態様の分極反転結晶を
実際に作製し、温度変化に伴う波長変換効率の変化を観
察した。また、比較例として、電荷中和手段を設けない
もの(即ち、図4(a)に示す態様の分極反転結晶)を
作製し、同じ温度変化での波長変換効率の変化を、本実
施例のものと比較した。
【0043】分極反転結晶としての仕様は次の通りであ
る。 強誘電体結晶:Mg添加LiNbO3、光路方向の寸法
30mm、光路方向に垂直な断面の寸法1mm×1m
m。 波長変換:波長1.047μmのレーザー光を入力し、
擬似位相整合法によって光パラメトリック発振を行い、
波長3.3μmの光を発生させて出力する変換。結晶に
形成した周期的分極反転構造の分極反転周期は30.2
μmである。
【0044】電荷中和手段としてのマルチドメイン構造
を構成する反転領域の個々の形状を15μm×15μm
の正方形とし、該マルチドメイン構造の領域における反
転領域の総面積と、非反転領域の総面積とが等しくなる
ように配置した。該マルチドメイン構造形成のための分
極反転は、波長変換に係る周期的分極反転構造の形成と
同時に行った。
【0045】比較例の分極反転結晶の仕様は、電荷中和
手段としての反転領域を形成しないこと以外は、上記実
施例の試料と同様である。
【0046】本実施例および比較例の分極反転結晶に、
各々、波長1.047μmのレーザー光を入力して波長
変換を行い、結晶温度を急激に変化させたところ、比較
例の分極反転結晶では発振が停止した。これに対して、
本発明の分極反転結晶では、発振が停止することはない
か、または繰り返しの実験のなかで発振が停止すること
があっても早期に回復し発振が可能となった。
【0047】実施例2 本実施例では、実施例1で作製した分極反転結晶に対し
て、さらにその表面に導電性被覆層を設け、電荷の中和
作用を高めた。導電性被覆層は、厚さ0.5μmのAu
被膜をスパッタリングによって結晶表面に成膜した。た
だし、光の入出にかかる部分は除いた。得られた試料に
波長1.047μmのレーザー光を入力して波長変換を
行い、結晶温度を急激に変化させたところ、実施例1の
結果に比べて、さらに温度変動に対する安定性が高くな
っていることがわかった。
【0048】
【発明の効果】以上のように、本発明の分極反転結晶に
電荷中和手段を付与したことによって、焦電効果で結晶
表面に生じる電荷の過不足状態を速やかに中和し解消で
きるようになり、意図せぬ電界が結晶に作用することが
なく、波長変換の効率をより安定させることが可能とな
った。また、電荷中和手段の付加的な作用として、結晶
の光損傷をも抑制できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分極反転結晶を示す模式図である。図
1(a)は態様Aを示しており、結晶の分極が現れる面
を見たときの図である。図1(b)は態様Bを示してい
おり、強誘電体結晶1については、図4(b)の場合と
同じものを同じ方向から見た状態として示しており、こ
れに導電性被覆層5が加えられている。
【図2】本発明の態様Aにおける、反転領域の配置パタ
ーンの一例を模式的に示す図である。
【図3】本発明の態様Bにおいて、導電性被覆層を導電
性の液体で形成する場合の構成例を模式的に示す図であ
る。
【図4】従来の一般的な分極反転結晶の態様を示した図
である。図4(a)は、結晶の分極が現れる面を見たと
きの図であり、図4(b)は、図4(a)のX−X断面
を示す図である。
【図5】従来の分極反転結晶の、他の態様を示した図で
ある。
【符号の説明】
1 強誘電体結晶 2 周期的分極反転構造 3、4 周期的分極反転構造以外の領域 a 非反転領域 b 反転領域 5 導電性被覆層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強誘電体結晶に周期的分極反転構造が設
    けられ、かつ、該結晶には、結晶表面に現れる電荷の過
    不足状態を結晶表面の異なる領域間で中和させる電荷中
    和手段がさらに設けられていることを特徴とする分極反
    転結晶。
  2. 【請求項2】 周期的分極反転構造が、強誘電体結晶の
    一部の領域に設けられており、その残りの領域には、電
    荷中和手段として、反転領域と非反転領域とが交互に配
    置されてなるマルチドメイン構造が設けられている請求
    項1記載の分極反転結晶。
  3. 【請求項3】 電荷中和手段が、強誘電体結晶の表面に
    設けられた導電性被覆層である請求項1または2記載の
    分極反転結晶。
  4. 【請求項4】 導電性被覆層が、光の出入りに関する領
    域を除いて、または光の出入りに関する領域を含んで、
    該強誘電体結晶の表面全体を覆う層である請求項3記載
    の分極反転結晶。
  5. 【請求項5】 導電性被覆層が、導電性の液体からなる
    層である請求項3記載の分極反転結晶。
  6. 【請求項6】 強誘電体結晶に、該結晶の導電性を向上
    させる不純物がさらに添加されている請求項1記載の分
    極反転結晶。
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