JP2003330053A - 分極反転結晶の製造方法 - Google Patents
分極反転結晶の製造方法Info
- Publication number
- JP2003330053A JP2003330053A JP2002136847A JP2002136847A JP2003330053A JP 2003330053 A JP2003330053 A JP 2003330053A JP 2002136847 A JP2002136847 A JP 2002136847A JP 2002136847 A JP2002136847 A JP 2002136847A JP 2003330053 A JP2003330053 A JP 2003330053A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polarization
- electrode
- coating layer
- domain
- inversion
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 上記反転電圧の印加等に関する制御上の問題
を改善し得る、分極反転結晶の新規な製造方法を提供す
ること。 【解決手段】 強誘電体結晶基板(例えば、LiNbO
3からなるZ板)1の、−Z面1bに対しては、分極反
転すべきでない領域に、アルミニウム系材料からなる被
覆層mを形成し、さらに該被覆層mおよびこの板面1b
の残る露出領域を覆ってマイナス側電極20を配置し、
+Z面1aに対しては、少なくとも前記マイナス側電極
に対向する領域にプラス側電極10を配置し、プラス側
電極とマイナス側電極との間に分極反転電圧を印加し周
期的分極反転構造を形成する。これによって、被覆層m
が接触している部分の分極反転が抑制され、−Z面に分
極反転構造が形成される。
を改善し得る、分極反転結晶の新規な製造方法を提供す
ること。 【解決手段】 強誘電体結晶基板(例えば、LiNbO
3からなるZ板)1の、−Z面1bに対しては、分極反
転すべきでない領域に、アルミニウム系材料からなる被
覆層mを形成し、さらに該被覆層mおよびこの板面1b
の残る露出領域を覆ってマイナス側電極20を配置し、
+Z面1aに対しては、少なくとも前記マイナス側電極
に対向する領域にプラス側電極10を配置し、プラス側
電極とマイナス側電極との間に分極反転電圧を印加し周
期的分極反転構造を形成する。これによって、被覆層m
が接触している部分の分極反転が抑制され、−Z面に分
極反転構造が形成される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学結晶の技術分
野に属し、特に、分極反転結晶(即ち、周期的分極反転
構造が形成された強誘電体結晶)の製造方法に関するも
のである。
野に属し、特に、分極反転結晶(即ち、周期的分極反転
構造が形成された強誘電体結晶)の製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】LiNbO3、LiTaO3などの強誘電
体結晶は、第2高調波発生、光パラメトリック発振・増
幅、差周波発生、和周波発生などの波長変換を行う素子
の材料として好ましく用いられている。
体結晶は、第2高調波発生、光パラメトリック発振・増
幅、差周波発生、和周波発生などの波長変換を行う素子
の材料として好ましく用いられている。
【0003】近年、強誘電体結晶基板(以下、結晶基板
ともいう)に周期的分極反転構造(以下、分極反転構造
ともいう)を形成して分極反転結晶とし、これを用いた
擬似位相整合による波長変換が盛んに行われている。
ともいう)に周期的分極反転構造(以下、分極反転構造
ともいう)を形成して分極反転結晶とし、これを用いた
擬似位相整合による波長変換が盛んに行われている。
【0004】分極反転構造は、図3(a)、(b)に一
例を示すように、結晶基板31中の分極方向を局所的に
反転させた構造であって、分極方向を反転させた反転領
域R31と、もとの結晶基板の分極方向のままの非反転
領域N31とが、所定の周期にてストライプ状に交互に
並ぶように形成した構造である。図3(a)では、結晶
基板の表層の導波路部分に局所的に分極反転構造が形成
され、図3(b)では、結晶基板の基板面全体、厚さ全
体にわたって分極反転構造が形成されている。この結晶
基板に対して、波長変換すべき入力光L31が、非反転
領域と反転領域とを交互に通過するように入射され、擬
似位相整合法に従って波長変換された出力光L32が出
射される。
例を示すように、結晶基板31中の分極方向を局所的に
反転させた構造であって、分極方向を反転させた反転領
域R31と、もとの結晶基板の分極方向のままの非反転
領域N31とが、所定の周期にてストライプ状に交互に
並ぶように形成した構造である。図3(a)では、結晶
基板の表層の導波路部分に局所的に分極反転構造が形成
され、図3(b)では、結晶基板の基板面全体、厚さ全
体にわたって分極反転構造が形成されている。この結晶
基板に対して、波長変換すべき入力光L31が、非反転
領域と反転領域とを交互に通過するように入射され、擬
似位相整合法に従って波長変換された出力光L32が出
射される。
【0005】図4は、従来の分極反転結晶の製造方法の
一例を示す図である。同図の例では、結晶基板(Z板)
31の板面のうち+Zが現われている板面(図の上面:
+Z面)を、分極反転すべき領域だけが露出するように
レジスト膜42で覆い、さらにその上を金属電極43で
一様に覆い、これによって分極反転すべき領域だけに金
属電極43を接触させている。同図の例では、該金属電
極43上にさらに液体電極44を接触させている。ま
た、他方の板面(図の下面:−Z面)には、液体電極
(液状電解質)45を接触させている。このように、結
晶基板の両面にそれぞれ電極を配置した状態で、両電極
間に分極反転電圧を印加し(+Z面に+電位、−Z面に
−電位を与える)、結晶の自発分極方向を局所的に反転
し、分極反転結晶を得る。また、分極反転時には、電圧
印加によって流れる反転電流を検出回路42で検出して
分極反転の状況を把握し、制御装置43によって電源5
を制御し、印加電圧や印加時間を制御している。
一例を示す図である。同図の例では、結晶基板(Z板)
31の板面のうち+Zが現われている板面(図の上面:
+Z面)を、分極反転すべき領域だけが露出するように
レジスト膜42で覆い、さらにその上を金属電極43で
一様に覆い、これによって分極反転すべき領域だけに金
属電極43を接触させている。同図の例では、該金属電
極43上にさらに液体電極44を接触させている。ま
た、他方の板面(図の下面:−Z面)には、液体電極
(液状電解質)45を接触させている。このように、結
晶基板の両面にそれぞれ電極を配置した状態で、両電極
間に分極反転電圧を印加し(+Z面に+電位、−Z面に
−電位を与える)、結晶の自発分極方向を局所的に反転
し、分極反転結晶を得る。また、分極反転時には、電圧
印加によって流れる反転電流を検出回路42で検出して
分極反転の状況を把握し、制御装置43によって電源5
を制御し、印加電圧や印加時間を制御している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らが、上記のような従来の分極反転時の電圧・電流の
制御状態を詳細に検討したところ、プラス側電極から、
基板表面から基板側面を経てマイナス側電極に至るリー
ク電流や、基板内部の結晶欠陥を経てマイナス側電極に
至るリーク電流があるために、反転電流の検出に誤差が
生じ、目的とする分極反転構造の仕様にも誤差が生じる
ことがわかった。また、形成すべき反転周期が短い(分
極反転構造のストライプの帯幅が狭い)場合などでは瞬
時に反転が完了して印加時間の制御が間に合わず、反転
層が意図せず広がってしまい、目的とする反転比率の分
極反転構造が形成できないという問題も存在することが
わかった。
者らが、上記のような従来の分極反転時の電圧・電流の
制御状態を詳細に検討したところ、プラス側電極から、
基板表面から基板側面を経てマイナス側電極に至るリー
ク電流や、基板内部の結晶欠陥を経てマイナス側電極に
至るリーク電流があるために、反転電流の検出に誤差が
生じ、目的とする分極反転構造の仕様にも誤差が生じる
ことがわかった。また、形成すべき反転周期が短い(分
極反転構造のストライプの帯幅が狭い)場合などでは瞬
時に反転が完了して印加時間の制御が間に合わず、反転
層が意図せず広がってしまい、目的とする反転比率の分
極反転構造が形成できないという問題も存在することが
わかった。
【0007】本発明の課題は、上記反転電圧の印加等に
関する制御上の問題を改善し得る、分極反転結晶の新規
な製造方法を提供することにある。
関する制御上の問題を改善し得る、分極反転結晶の新規
な製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は以下の特徴を有
するものである。 (1)一方の板面にプラスの自発分極が現われ、他方の
板面にマイナスの自発分極が現われるように形成された
強誘電体結晶基板を用い、マイナスの自発分極が現われ
ている板面に対しては、分極反転すべきでない領域に、
アルミニウム、アルミニウム合金、またはアルミニウム
化合物からなる被覆層を形成し、さらに該被覆層および
この板面の残る露出領域を覆ってマイナス側電極を配置
し、プラスの自発分極が現われている板面に対しては、
少なくとも前記マイナス側電極に対向する領域にプラス
側電極を配置し、プラス側電極とマイナス側電極との間
に分極反転電圧を印加し周期的分極反転構造を形成する
工程を有することを特徴とする、分極反転結晶の製造方
法。 (2)上記強誘電体結晶基板が、LiNbO3からなる
結晶基板、または不純物を添加されたLiNbO3から
なる結晶基板である、上記(1)記載の製造方法。 (3)プラス側電極および/またはマイナス側電極が、
液体電解質からなる電極である、上記(1)記載の製造
方法。 (4)プラスの自発分極が現われている板面に対して、
少なくとも分極反転構造を形成すべき領域に全体に、C
r層、Al層を順に形成し、該Al層に液体電解質を介
してプラス電圧を印加する、上記(1)または(3)記
載の製造方法。 (5)マイナスの自発分極が現われている板面の表層に
対して、上記周期的分極反転構造が形成される予定の領
域、または上記周期的分極反転構造が形成された領域
に、導波路を形成する工程をさらに有する、上記(1)
〜(4)のいずれかに記載の製造方法。
するものである。 (1)一方の板面にプラスの自発分極が現われ、他方の
板面にマイナスの自発分極が現われるように形成された
強誘電体結晶基板を用い、マイナスの自発分極が現われ
ている板面に対しては、分極反転すべきでない領域に、
アルミニウム、アルミニウム合金、またはアルミニウム
化合物からなる被覆層を形成し、さらに該被覆層および
この板面の残る露出領域を覆ってマイナス側電極を配置
し、プラスの自発分極が現われている板面に対しては、
少なくとも前記マイナス側電極に対向する領域にプラス
側電極を配置し、プラス側電極とマイナス側電極との間
に分極反転電圧を印加し周期的分極反転構造を形成する
工程を有することを特徴とする、分極反転結晶の製造方
法。 (2)上記強誘電体結晶基板が、LiNbO3からなる
結晶基板、または不純物を添加されたLiNbO3から
なる結晶基板である、上記(1)記載の製造方法。 (3)プラス側電極および/またはマイナス側電極が、
液体電解質からなる電極である、上記(1)記載の製造
方法。 (4)プラスの自発分極が現われている板面に対して、
少なくとも分極反転構造を形成すべき領域に全体に、C
r層、Al層を順に形成し、該Al層に液体電解質を介
してプラス電圧を印加する、上記(1)または(3)記
載の製造方法。 (5)マイナスの自発分極が現われている板面の表層に
対して、上記周期的分極反転構造が形成される予定の領
域、または上記周期的分極反転構造が形成された領域
に、導波路を形成する工程をさらに有する、上記(1)
〜(4)のいずれかに記載の製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法において加工対
象(素材)として用いる強誘電体結晶基板(以下、結晶
基板ともいう)は、一方の板面にプラスの自発分極が現
われ、他方の板面にマイナスの自発分極が現われるよう
に形成されたものであればよい。
象(素材)として用いる強誘電体結晶基板(以下、結晶
基板ともいう)は、一方の板面にプラスの自発分極が現
われ、他方の板面にマイナスの自発分極が現われるよう
に形成されたものであればよい。
【0010】後述のように、結晶基板の材料としてはL
iNbO3が特に有用であり、この結晶ではZ軸方向と
自発分極の方向とが一致している。よって、以下の説明
では、一方の板面に+Zが現われ、他方の板面に−Zが
現われるように形成された結晶基板を加工対象の例とし
て挙げ、さらにそのなかでも、結晶のZ軸の方向が基板
面に垂直となるようカット(Zカット)された結晶基板
(Z板)を図の例として用い、本発明を説明する。説明
に際しては、プラスの自発分極が現われている基板面を
「+Z面」、マイナスの自発分極が現われている基板面
を「−Z面」と呼ぶ。図面では、結晶基板中の分極方向
を、マイナス分極からプラス分極へ向かう矢印によって
模式的に示している。
iNbO3が特に有用であり、この結晶ではZ軸方向と
自発分極の方向とが一致している。よって、以下の説明
では、一方の板面に+Zが現われ、他方の板面に−Zが
現われるように形成された結晶基板を加工対象の例とし
て挙げ、さらにそのなかでも、結晶のZ軸の方向が基板
面に垂直となるようカット(Zカット)された結晶基板
(Z板)を図の例として用い、本発明を説明する。説明
に際しては、プラスの自発分極が現われている基板面を
「+Z面」、マイナスの自発分極が現われている基板面
を「−Z面」と呼ぶ。図面では、結晶基板中の分極方向
を、マイナス分極からプラス分極へ向かう矢印によって
模式的に示している。
【0011】本発明の製造方法では、従来のような+Z
面主体の加工ではなく、図1(a)に電極配置構成の一
例を示すように、強誘電体結晶基板(図の例ではZ板)
1の−Z面1bに対して、分極反転すべきでない領域
(非反転領域)に、後述のアルミニウム系材料からなる
被覆層mを形成し、該被覆層mおよび残りの−Z面1b
を覆ってマイナス側電極(液体電解質)20を配置す
る。これによって、−Z面1bには、分極反転すべき領
域のみにマイナス側電極20が接触している。
面主体の加工ではなく、図1(a)に電極配置構成の一
例を示すように、強誘電体結晶基板(図の例ではZ板)
1の−Z面1bに対して、分極反転すべきでない領域
(非反転領域)に、後述のアルミニウム系材料からなる
被覆層mを形成し、該被覆層mおよび残りの−Z面1b
を覆ってマイナス側電極(液体電解質)20を配置す
る。これによって、−Z面1bには、分極反転すべき領
域のみにマイナス側電極20が接触している。
【0012】また、他方の+Z面1aに対しては、少な
くとも前記マイナス側電極に対向する領域にプラス側電
極10を配置する。同図の例では、プラス側電極として
液体電解質10を+Z面1a全体に接触させている。
くとも前記マイナス側電極に対向する領域にプラス側電
極10を配置する。同図の例では、プラス側電極として
液体電解質10を+Z面1a全体に接触させている。
【0013】上記のように−Z面にアルミニウム系材料
からなる被覆層mを形成して両電極10、20を配置
し、分極反転電圧を印加すると、−Z面において該被覆
層mが接触している領域では、該被覆層mのアルミニウ
ム系材料の作用によって分極反転の進行が阻害される。
この結果、−Z面の表層には、分極反転が阻害された領
域(即ち、非反転領域)が形成される。即ち、アルミニ
ウム系材料からなる被覆層mを周期的なパターンとして
形成することで、−Z面の表層には周期的分極反転構造
が得られる。より具体的には、図1(b)に示すよう
に、−Z面には、基板面から特定の深さまで分極反転し
ていない領域2が残り、該領域2とそれ以外の分極反転
された領域3(ハッチング領域)とによって、−Z面の
表層には分極反転構造が形成されることになる。
からなる被覆層mを形成して両電極10、20を配置
し、分極反転電圧を印加すると、−Z面において該被覆
層mが接触している領域では、該被覆層mのアルミニウ
ム系材料の作用によって分極反転の進行が阻害される。
この結果、−Z面の表層には、分極反転が阻害された領
域(即ち、非反転領域)が形成される。即ち、アルミニ
ウム系材料からなる被覆層mを周期的なパターンとして
形成することで、−Z面の表層には周期的分極反転構造
が得られる。より具体的には、図1(b)に示すよう
に、−Z面には、基板面から特定の深さまで分極反転し
ていない領域2が残り、該領域2とそれ以外の分極反転
された領域3(ハッチング領域)とによって、−Z面の
表層には分極反転構造が形成されることになる。
【0014】〔−Z面にアルミニウム系材料を接触させ
ると、その接触部分の分極反転が阻害される〕という上
記作用は、本発明者等の研究によって得られた知見であ
って、本発明では、この作用を積極的に反転抑制手段と
して利用し、分極反転構造の製造方法としている。
ると、その接触部分の分極反転が阻害される〕という上
記作用は、本発明者等の研究によって得られた知見であ
って、本発明では、この作用を積極的に反転抑制手段と
して利用し、分極反転構造の製造方法としている。
【0015】本発明による製造方法、特に、−Z面への
上記被覆層の付与による分極反転によって、次の作用効
果が得られる。 外乱を受け易かった従来の分極反転制御が必要無くな
る。 従来の分極反転方法では、反転電流は分極反転構造の形
成進歩状況を表す指標であり、そのために、該反転電流
を精密にモニターし、反転電圧をフィードバック制御す
る必要があった。従来技術の説明で述べたとおり、この
フィードバック制御は、反転電流の精密なモニターに依
存しているために、この反転電流そのものがリーク等に
よって乱れると、反転電圧のフィードバック制御自体も
乱れることになる。これに対して、本発明の製造方法で
は、被覆層が分極反転を抑制するという性質を利用して
いるために、印加すべき反転電圧は、十分に分極反転可
能な特定の範囲に収まっていればよく、反転電圧のフィ
ードバック制御を省略することが可能である。よって、
モニター値の誤差・変動・外乱の影響を受けることも無
く分極反転を行うことができる。
上記被覆層の付与による分極反転によって、次の作用効
果が得られる。 外乱を受け易かった従来の分極反転制御が必要無くな
る。 従来の分極反転方法では、反転電流は分極反転構造の形
成進歩状況を表す指標であり、そのために、該反転電流
を精密にモニターし、反転電圧をフィードバック制御す
る必要があった。従来技術の説明で述べたとおり、この
フィードバック制御は、反転電流の精密なモニターに依
存しているために、この反転電流そのものがリーク等に
よって乱れると、反転電圧のフィードバック制御自体も
乱れることになる。これに対して、本発明の製造方法で
は、被覆層が分極反転を抑制するという性質を利用して
いるために、印加すべき反転電圧は、十分に分極反転可
能な特定の範囲に収まっていればよく、反転電圧のフィ
ードバック制御を省略することが可能である。よって、
モニター値の誤差・変動・外乱の影響を受けることも無
く分極反転を行うことができる。
【0016】短周期の分極反転構造が容易に形成でき
る。 従来はプラス側電極の周辺部での電界集中が主な原因と
なって、分極反転層の広がりが生じ易く、短い周期の分
極反転構造の形成は容易ではなかった。これに対して、
本発明の製造方法では、プラス側全面から進行した分極
反転構造がマイナス側の被覆層のパターンに応じて停止
するため電界集中パターンを反映しないという特徴があ
る。
る。 従来はプラス側電極の周辺部での電界集中が主な原因と
なって、分極反転層の広がりが生じ易く、短い周期の分
極反転構造の形成は容易ではなかった。これに対して、
本発明の製造方法では、プラス側全面から進行した分極
反転構造がマイナス側の被覆層のパターンに応じて停止
するため電界集中パターンを反映しないという特徴があ
る。
【0017】より具体的に例示すると、従来の分極反転
法では、電極指(帯状電極)の幅よりも分極反転幅が1
〜3μm程度広がって形成されていた。従って、例えば
分極反転周期6μmの反転構造を得ようとする場合に
は、分極反転幅の広がりを見込んで、電極指の幅を1μ
m程度にまで減らす必要があり、短い周期の分極反転構
造の形成には課題が多かった。これに対して本発明は被
覆層のパターン幅とほぼ同じ幅の反転構造が得られるた
め非常に歩留まりが向上する。 電極構造が単純となり得るので量産性が向上する。
法では、電極指(帯状電極)の幅よりも分極反転幅が1
〜3μm程度広がって形成されていた。従って、例えば
分極反転周期6μmの反転構造を得ようとする場合に
は、分極反転幅の広がりを見込んで、電極指の幅を1μ
m程度にまで減らす必要があり、短い周期の分極反転構
造の形成には課題が多かった。これに対して本発明は被
覆層のパターン幅とほぼ同じ幅の反転構造が得られるた
め非常に歩留まりが向上する。 電極構造が単純となり得るので量産性が向上する。
【0018】従来は電極指間(+Z面の縞状の電極の各
間隙)の電気絶縁が必要であったが、本発明では、その
ような電気絶縁が不要となったので、電極全体の構造が
簡単になり、結晶基板に対する電極形成も容易となる。
よって、分極反転結晶の量産性も向上する。
間隙)の電気絶縁が必要であったが、本発明では、その
ような電気絶縁が不要となったので、電極全体の構造が
簡単になり、結晶基板に対する電極形成も容易となる。
よって、分極反転結晶の量産性も向上する。
【0019】本発明に用いられる強誘電体結晶基板の材
料は、公知のものであってよく、例えば、LiNb
O3、LiTaO3、XATiOXBO4(XA=K、Rb、
Tl、Cs、XB=P、As)などの代表的なものや、
これらにMgなどの種々の元素をドープしたものが挙げ
られる。LiNbO3やLiTaO3は、コングルーエン
ト組成であってもストイキオメトリック組成であっても
よい。これらの材料のなかでも、LiNbO3やLiT
aO3は好ましい材料であり、特にMgOドープLiN
bO3は、耐光損傷性に優れた材料である。
料は、公知のものであってよく、例えば、LiNb
O3、LiTaO3、XATiOXBO4(XA=K、Rb、
Tl、Cs、XB=P、As)などの代表的なものや、
これらにMgなどの種々の元素をドープしたものが挙げ
られる。LiNbO3やLiTaO3は、コングルーエン
ト組成であってもストイキオメトリック組成であっても
よい。これらの材料のなかでも、LiNbO3やLiT
aO3は好ましい材料であり、特にMgOドープLiN
bO3は、耐光損傷性に優れた材料である。
【0020】上記材料からなる結晶基板には、説明の例
として用いているZ板の他、Z軸が基板面の法線と特定
の角度(オフ角度)をなすようにカット(オフカット)
された結晶基板(オフカット板)などがある。いずれの
結晶基板も、分極反転用の素材として、基板内の分極方
向は全て同一方向に揃えられている。これらの結晶基板
のなかでも、Z板は、本発明の作用効果が顕著となる素
材である。
として用いているZ板の他、Z軸が基板面の法線と特定
の角度(オフ角度)をなすようにカット(オフカット)
された結晶基板(オフカット板)などがある。いずれの
結晶基板も、分極反転用の素材として、基板内の分極方
向は全て同一方向に揃えられている。これらの結晶基板
のなかでも、Z板は、本発明の作用効果が顕著となる素
材である。
【0021】結晶基板の寸法は限定されないが、板状の
直方体である場合の寸法例を挙げると、光路方向(図1
において紙面の左右方向)の基板寸法が5mm〜60m
m程度、光路方向に垂直な断面の寸法が(0.1mm×
0.1mm)〜(10mm×60mm)程度である。こ
れら寸法にて形成した分極反転結晶を、そのまま、また
は任意に分断・加工して用いればよい。
直方体である場合の寸法例を挙げると、光路方向(図1
において紙面の左右方向)の基板寸法が5mm〜60m
m程度、光路方向に垂直な断面の寸法が(0.1mm×
0.1mm)〜(10mm×60mm)程度である。こ
れら寸法にて形成した分極反転結晶を、そのまま、また
は任意に分断・加工して用いればよい。
【0022】上記被覆層の材料であるアルミニウム系材
料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、または
アルミニウム化合物などが挙げられ、これらのうちのい
ずれかを単独的に用いても、または複合的に用いてもよ
いが、分極反転抑制の作用効果や、当該被覆層を形成す
る方法を鑑みれば、アルミニウムが好ましい材料であ
る。
料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、または
アルミニウム化合物などが挙げられ、これらのうちのい
ずれかを単独的に用いても、または複合的に用いてもよ
いが、分極反転抑制の作用効果や、当該被覆層を形成す
る方法を鑑みれば、アルミニウムが好ましい材料であ
る。
【0023】アルミニウムは、分極反転の抑制作用を示
す範囲内であれば、不純物が含まれていてもよく、被覆
層の形成工程における酸化などが生じていてもよい。ま
た、アルミニウム合金やアルミニウム化合物は、分極反
転の抑制作用を示す範囲のアルミニウム含有比率であれ
ばよい。
す範囲内であれば、不純物が含まれていてもよく、被覆
層の形成工程における酸化などが生じていてもよい。ま
た、アルミニウム合金やアルミニウム化合物は、分極反
転の抑制作用を示す範囲のアルミニウム含有比率であれ
ばよい。
【0024】上記被覆層を成膜・堆積させる方法として
は、スパッタリング法、電子ビーム加熱蒸着法、抵抗加
熱蒸着法、イオンビーム法、CVD法などが挙げられ
る。また、被覆層を分極反転構造の周期的パターンとす
るために、フォトリソグラフィーなど公知のパターン形
成技術を併用してよい。
は、スパッタリング法、電子ビーム加熱蒸着法、抵抗加
熱蒸着法、イオンビーム法、CVD法などが挙げられ
る。また、被覆層を分極反転構造の周期的パターンとす
るために、フォトリソグラフィーなど公知のパターン形
成技術を併用してよい。
【0025】上記被覆層の層厚さに限定は無いが、数十
オングストローム以上が好ましく、膜の化学的、機械的
な安定性などの点からは、100オングストローム〜数
μm程度が好ましい厚さである。
オングストローム以上が好ましく、膜の化学的、機械的
な安定性などの点からは、100オングストローム〜数
μm程度が好ましい厚さである。
【0026】被覆層の形成パターン(帯幅、間隔など)
は、形成目的の分極反転構造に従って決定すればよい。
上記したとおり、帯幅20μm以下、特に10μm以下
の短い周期のものを形成する場合には、本発明の有用性
はより顕著となる。
は、形成目的の分極反転構造に従って決定すればよい。
上記したとおり、帯幅20μm以下、特に10μm以下
の短い周期のものを形成する場合には、本発明の有用性
はより顕著となる。
【0027】プラス側電極の態様、および被覆層mを覆
って配置されるマイナス側電極の態様には限定はなく、
各々の電極構造、電極材料は、従来公知の技術を適宜参
照してよい。
って配置されるマイナス側電極の態様には限定はなく、
各々の電極構造、電極材料は、従来公知の技術を適宜参
照してよい。
【0028】プラス側電極の態様は、従来+Z面に設け
られていた周期的なパターン化電極であってもよいが、
−Z面の被覆層の作用を利用して+Z面側の電極形成工
程を簡素化することや、+Z面のパターン化電極と−Z
面の被覆層との表裏の位置合わせに高度な技術を要する
ことを考慮すると、プラス側電極は、液体電解質(液体
電極)や金属層などによる一様な電極とすることが好ま
しい。また、マイナス側電極も、被覆層および結晶基板
面に均等に接触する点から液体電解質が好ましい態様で
ある。なお、液体電解質を接触させる場合には直接液体
だけを接触させてもよいし、濾紙などにいったん液体電
解質を含浸させてその濾紙を結晶基板面に接触させても
良い。
られていた周期的なパターン化電極であってもよいが、
−Z面の被覆層の作用を利用して+Z面側の電極形成工
程を簡素化することや、+Z面のパターン化電極と−Z
面の被覆層との表裏の位置合わせに高度な技術を要する
ことを考慮すると、プラス側電極は、液体電解質(液体
電極)や金属層などによる一様な電極とすることが好ま
しい。また、マイナス側電極も、被覆層および結晶基板
面に均等に接触する点から液体電解質が好ましい態様で
ある。なお、液体電解質を接触させる場合には直接液体
だけを接触させてもよいし、濾紙などにいったん液体電
解質を含浸させてその濾紙を結晶基板面に接触させても
良い。
【0029】電極として利用し得る液体電解質として
は、公知の液体電極法で用いられている材料を用いてよ
い。高温下での電圧印加を行うのであれば、その温度に
応じて、沸騰せず、利用可能なものを選択すればよい。
例えば、電解液を構成する溶媒としては、水、ポリオー
ル、またはこれらの混合物などが挙げられる。また、電
解質材料としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩
化カリウムなどが挙げられる。またガリウム、インジウ
ム、水銀などの液体金属などを用いることも可能であ
る。
は、公知の液体電極法で用いられている材料を用いてよ
い。高温下での電圧印加を行うのであれば、その温度に
応じて、沸騰せず、利用可能なものを選択すればよい。
例えば、電解液を構成する溶媒としては、水、ポリオー
ル、またはこれらの混合物などが挙げられる。また、電
解質材料としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩
化カリウムなどが挙げられる。またガリウム、インジウ
ム、水銀などの液体金属などを用いることも可能であ
る。
【0030】プラス側電極として液体電解質を用いる場
合、+Z面に対して、分極反転構造を形成すべき領域
に、または単純に+Z面全体に、Cr層、Al層を順に
形成し、該Al層上面に液体電解質を接触させてプラス
電圧を印加する電極構造としてもよい。このような金属
層の介在によって、液体電解質を直接接触させる場合よ
りも結晶基板と電極との接触抵抗がより低くなり、反転
電圧も低くなる。反転電圧が低くなることによって、−
Z面に形成するアルミニウム系材料からなる被覆層mの
反転抑制効果が大きくなり、より良好な分極反転構造が
より容易に得られるようになる。
合、+Z面に対して、分極反転構造を形成すべき領域
に、または単純に+Z面全体に、Cr層、Al層を順に
形成し、該Al層上面に液体電解質を接触させてプラス
電圧を印加する電極構造としてもよい。このような金属
層の介在によって、液体電解質を直接接触させる場合よ
りも結晶基板と電極との接触抵抗がより低くなり、反転
電圧も低くなる。反転電圧が低くなることによって、−
Z面に形成するアルミニウム系材料からなる被覆層mの
反転抑制効果が大きくなり、より良好な分極反転構造が
より容易に得られるようになる。
【0031】被覆層による分極反転抑制作用は、結晶基
板の−Z面から特定の深さまでとなる。分極反転が抑制
される深さは、分極反転電圧などの反転条件によって変
化するが、概ね、表面から0.1〜10μm程度であ
る。
板の−Z面から特定の深さまでとなる。分極反転が抑制
される深さは、分極反転電圧などの反転条件によって変
化するが、概ね、表面から0.1〜10μm程度であ
る。
【0032】よって、図2に示すように、結晶基板1の
−Z面1bの表層に形成された分極反転構造(反転領域
3と非反転領域2との交互の構造)を有効に利用するよ
う、該−Z面1bに、該分極反転構造を通過する光導波
路4を形成するのが好ましい態様である。
−Z面1bの表層に形成された分極反転構造(反転領域
3と非反転領域2との交互の構造)を有効に利用するよ
う、該−Z面1bに、該分極反転構造を通過する光導波
路4を形成するのが好ましい態様である。
【0033】該光導波路4は公知の製造方法による光導
波路構造であってよく、例えば、イオン交換法などによ
って該光導波路部分の屈折率を周囲よりも高くした埋め
込み型導波路構造、該光導波路部分だけをリッジ状(尾
根状)に残して周囲を除去したリッジ導波路構造、表面
に誘電体や金属を装荷した装荷型導波路構造などが挙げ
られる。光導波路の形成工程は、分極反転構造の形成
前、後のいずれであってもよく、光導波路の形成方法に
応じて、また、分極反転構造の形成工程への影響を考慮
して、適宜決定すればよい。
波路構造であってよく、例えば、イオン交換法などによ
って該光導波路部分の屈折率を周囲よりも高くした埋め
込み型導波路構造、該光導波路部分だけをリッジ状(尾
根状)に残して周囲を除去したリッジ導波路構造、表面
に誘電体や金属を装荷した装荷型導波路構造などが挙げ
られる。光導波路の形成工程は、分極反転構造の形成
前、後のいずれであってもよく、光導波路の形成方法に
応じて、また、分極反転構造の形成工程への影響を考慮
して、適宜決定すればよい。
【0034】
【実施例】実施例1
本実施例では、強誘電体結晶基板として、MgOドープ
LiNbO3からなる単分極化処理されたZ板を用い、
被覆層を金属アルミニウム薄膜(ストライプパターン)
とし、図1に示す態様に従って直接的に液体電極を接触
させ、分極反転電圧を印加し、図3(b)に示すタイプ
の分極反転結晶を得た。
LiNbO3からなる単分極化処理されたZ板を用い、
被覆層を金属アルミニウム薄膜(ストライプパターン)
とし、図1に示す態様に従って直接的に液体電極を接触
させ、分極反転電圧を印加し、図3(b)に示すタイプ
の分極反転結晶を得た。
【0035】該結晶基板の寸法は、板厚が0.3mm、
板面が(幅)20mm×(光路方向)40mmである。
該結晶基板1の+z面、−z面は、光学研磨されてい
る。 (被覆層の形成)結晶基板1の下面(−Z面)の分極反
転すべきでない領域に、スパッタリング法によって厚さ
0.3μmのアルミニウム膜を形成し被覆層とした。該
被覆層の形成パターンは、帯状のアルミニウム被覆部分
(幅3μm)と、帯状の露出部分(幅3μm)とが交互
に配置された縞状パターンである。
板面が(幅)20mm×(光路方向)40mmである。
該結晶基板1の+z面、−z面は、光学研磨されてい
る。 (被覆層の形成)結晶基板1の下面(−Z面)の分極反
転すべきでない領域に、スパッタリング法によって厚さ
0.3μmのアルミニウム膜を形成し被覆層とした。該
被覆層の形成パターンは、帯状のアルミニウム被覆部分
(幅3μm)と、帯状の露出部分(幅3μm)とが交互
に配置された縞状パターンである。
【0036】次に、+Z面、−Z面(被覆層付き)に、
それぞれ液体電解質10、20を接触させ、各液体電解
質と電源とを接続した。液体電解質は、エチレングリコ
ールに塩化リチウムを溶かしたものである。配線は、図
4に示す態様と同様であるが、反転電流を検出する回路
42や、制御装置43は排除し、フィードバック制御は
行わず、電源装置と電圧計とによって単純に印加電圧を
設定する構成とした。
それぞれ液体電解質10、20を接触させ、各液体電解
質と電源とを接続した。液体電解質は、エチレングリコ
ールに塩化リチウムを溶かしたものである。配線は、図
4に示す態様と同様であるが、反転電流を検出する回路
42や、制御装置43は排除し、フィードバック制御は
行わず、電源装置と電圧計とによって単純に印加電圧を
設定する構成とした。
【0037】このような電極構成とした状態で、液体電
解質、結晶基板の温度を100℃に保ち、両電極間に結
晶の抗電界に相当する直流電圧(分極反転電圧)を印加
し、分極反転を行った。
解質、結晶基板の温度を100℃に保ち、両電極間に結
晶の抗電界に相当する直流電圧(分極反転電圧)を印加
し、分極反転を行った。
【0038】−Z面に形成した被覆層を除去し、基板表
面および断面をフッ酸+硝酸の混合液でエッチングした
後、金属顕微鏡にて観察したところ、被覆層の除去した
ところは分極反転しておらず、その幅は被覆層の幅3μ
mよりも僅かに0.1〜0.3μm程度狭いものであっ
た。実施例2本実施例では、+Z面にCr層/Al層を
形成した上に液体電解質10を接触させたこと以外は、
上記実施例1と同様に分極反転結晶を製作した。
面および断面をフッ酸+硝酸の混合液でエッチングした
後、金属顕微鏡にて観察したところ、被覆層の除去した
ところは分極反転しておらず、その幅は被覆層の幅3μ
mよりも僅かに0.1〜0.3μm程度狭いものであっ
た。実施例2本実施例では、+Z面にCr層/Al層を
形成した上に液体電解質10を接触させたこと以外は、
上記実施例1と同様に分極反転結晶を製作した。
【0039】Cr層/Al層は、スパッタリング法によ
って厚さ20nmのCr層を+Z面上に一様に形成し、
その上に同じ方法によって厚さ300nmのAl層を形
成することによって得た。
って厚さ20nmのCr層を+Z面上に一様に形成し、
その上に同じ方法によって厚さ300nmのAl層を形
成することによって得た。
【0040】このような電極構成とした状態で、上記実
施例1と同様に、分極反転電圧を印加したところ、本実
施例では、実施例1よりも100V程度低い電圧で、分
極反転が得られることがわかった。
施例1と同様に、分極反転電圧を印加したところ、本実
施例では、実施例1よりも100V程度低い電圧で、分
極反転が得られることがわかった。
【0041】また、得られた分極反転構造の分極反転領
域の帯幅は、分極反転電圧が低くなったことによって、
被覆層の幅3μmと略同じであった。
域の帯幅は、分極反転電圧が低くなったことによって、
被覆層の幅3μmと略同じであった。
【0042】
【発明の効果】以上のように、アルミニウム系材料から
なる被覆層を−Z面に形成することによって、該被覆層
が接した部分では分極反転が抑制される。これを利用し
−Z面への分極反転構造の形成を行うことによって、結
晶基板全体に対する精密な印加電圧の制御が必要無くな
り、リーク電流などの影響によって印加電圧が乱される
ことも根本的に無くなる。また、分極反転抑制作用を利
用した方法であるために、短周期の分極反転構造であっ
ても容易に形成できるようになった。
なる被覆層を−Z面に形成することによって、該被覆層
が接した部分では分極反転が抑制される。これを利用し
−Z面への分極反転構造の形成を行うことによって、結
晶基板全体に対する精密な印加電圧の制御が必要無くな
り、リーク電流などの影響によって印加電圧が乱される
ことも根本的に無くなる。また、分極反転抑制作用を利
用した方法であるために、短周期の分極反転構造であっ
ても容易に形成できるようになった。
【図1】本発明の製造方法を説明する模式図である。図
1(a)は、分極反転電圧を印加するための電極配置構
成を示す断面図であり、図1(b)は、分極反転後の反
転領域、非反転領域と被覆層との関係を模式的に示す断
面図である。
1(a)は、分極反転電圧を印加するための電極配置構
成を示す断面図であり、図1(b)は、分極反転後の反
転領域、非反転領域と被覆層との関係を模式的に示す断
面図である。
【図2】本発明の製造方法によって得られた分極反転結
晶に、さらに光導波路を形成した状態を示す断面図であ
る。
晶に、さらに光導波路を形成した状態を示す断面図であ
る。
【図3】結晶基板に形成した分極反転構造の例を模式的
に示す斜視図である。
に示す斜視図である。
【図4】従来の分極反転結晶の製造方法における電極配
置構成、電圧制御の一例を示す図である。
置構成、電圧制御の一例を示す図である。
m 被覆層
1 強誘電体結晶基板
1a プラスの自発分極が現われている面(+Z面)
1b マイナスの自発分極が現われている面(−Z
面) 2 非反転領域 3 反転領域 10 プラス側電極(液体電解質) 20 マイナス側電極(液体電解質)
面) 2 非反転領域 3 反転領域 10 プラス側電極(液体電解質) 20 マイナス側電極(液体電解質)
Claims (5)
- 【請求項1】 一方の板面にプラスの自発分極が現わ
れ、他方の板面にマイナスの自発分極が現われるように
形成された強誘電体結晶基板を用い、 マイナスの自発分極が現われている板面に対しては、分
極反転すべきでない領域に、アルミニウム、アルミニウ
ム合金、またはアルミニウム化合物からなる被覆層を形
成し、さらに該被覆層およびこの板面の残る露出領域を
覆ってマイナス側電極を配置し、 プラスの自発分極が現われている板面に対しては、少な
くとも前記マイナス側電極に対向する領域にプラス側電
極を配置し、 プラス側電極とマイナス側電極との間に分極反転電圧を
印加し周期的分極反転構造を形成する工程を有すること
を特徴とする、分極反転結晶の製造方法。 - 【請求項2】 上記強誘電体結晶基板が、LiNbO3
からなる結晶基板、または不純物を添加されたLiNb
O3からなる結晶基板である、請求項1記載の製造方
法。 - 【請求項3】 プラス側電極および/またはマイナス側
電極が、液体電解質からなる電極である、請求項1記載
の製造方法。 - 【請求項4】 プラスの自発分極が現われている板面に
対して、少なくとも分極反転構造を形成すべき領域に全
体に、Cr層、Al層を順に形成し、該Al層に液体電
解質を介してプラス電圧を印加する、請求項1または3
記載の製造方法。 - 【請求項5】 マイナスの自発分極が現われている板面
の表層に対して、上記周期的分極反転構造が形成される
予定の領域、または上記周期的分極反転構造が形成され
た領域に、光導波路を形成する工程をさらに有する、請
求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002136847A JP2003330053A (ja) | 2002-05-13 | 2002-05-13 | 分極反転結晶の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002136847A JP2003330053A (ja) | 2002-05-13 | 2002-05-13 | 分極反転結晶の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003330053A true JP2003330053A (ja) | 2003-11-19 |
Family
ID=29698775
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002136847A Pending JP2003330053A (ja) | 2002-05-13 | 2002-05-13 | 分極反転結晶の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003330053A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20050052915A (ko) * | 2003-12-01 | 2005-06-07 | 전자부품연구원 | 비대칭적인 전극 전도도를 이용한 리튬니오베이트 기판의분극 반전 방법 |
JP2005275121A (ja) * | 2004-03-25 | 2005-10-06 | Sumitomo Osaka Cement Co Ltd | 分極反転形成方法 |
US8193004B2 (en) | 2004-03-18 | 2012-06-05 | Sumitomo Osaka Cement Co., Ltd. | Method for forming ferroelectric spontaneous polarization reversal |
JP2017003632A (ja) * | 2015-06-05 | 2017-01-05 | 株式会社Screenホールディングス | 分極反転構造の製造方法、光学デバイスの製造方法、反転用電極および電気光学結晶基板 |
-
2002
- 2002-05-13 JP JP2002136847A patent/JP2003330053A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20050052915A (ko) * | 2003-12-01 | 2005-06-07 | 전자부품연구원 | 비대칭적인 전극 전도도를 이용한 리튬니오베이트 기판의분극 반전 방법 |
US8193004B2 (en) | 2004-03-18 | 2012-06-05 | Sumitomo Osaka Cement Co., Ltd. | Method for forming ferroelectric spontaneous polarization reversal |
US8293543B2 (en) | 2004-03-18 | 2012-10-23 | Sumitomo Osaka Cement Co., Ltd. | Method for forming polarization reversal |
US8524509B2 (en) | 2004-03-18 | 2013-09-03 | Sumitomo Osaka Cement Co., Ltd. | Method for forming polarization reversal |
US8669121B2 (en) | 2004-03-18 | 2014-03-11 | Sumitomo Osaka Cement Co., Ltd. | Method for forming polarization reversal |
JP2005275121A (ja) * | 2004-03-25 | 2005-10-06 | Sumitomo Osaka Cement Co Ltd | 分極反転形成方法 |
JP4521859B2 (ja) * | 2004-03-25 | 2010-08-11 | 住友大阪セメント株式会社 | 分極反転形成方法 |
JP2017003632A (ja) * | 2015-06-05 | 2017-01-05 | 株式会社Screenホールディングス | 分極反転構造の製造方法、光学デバイスの製造方法、反転用電極および電気光学結晶基板 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPH04212132A (ja) | 周期ドメイン反転構造を有する光デバイス装置の製造方法 | |
JPH06242478A (ja) | 強誘電体のドメイン反転構造形成方法 | |
JP2011514552A (ja) | 金属をドープされた強誘電体材料を分極させる方法 | |
JP2003330053A (ja) | 分極反転結晶の製造方法 | |
US6195191B1 (en) | Optical devices having improved temperature stability | |
JPH1172809A (ja) | 光波長変換素子とその製造方法、この素子を用いた光発生装置および光ピックアップ、回折素子、ならびに分極反転部の製造方法 | |
JP3999362B2 (ja) | 周期的分極反転構造を有する強誘電体結晶の製造方法 | |
JP3303346B2 (ja) | ニオブ酸リチウム及びタンタル酸リチウムの分極制御方法とこれによる光導波路デバイスの製造方法及び光導波路デバイス | |
JP2963989B1 (ja) | 光変調器 | |
JP2004070207A (ja) | 分極反転結晶の製造方法 | |
US6806113B2 (en) | Optical waveguide device and method for forming optical waveguide device | |
JP4639963B2 (ja) | 光波長変換素子の製造方法 | |
JP2002006353A (ja) | 分極反転結晶 | |
JP2004163619A (ja) | 分極反転結晶の製造方法 | |
US7394588B2 (en) | Wavelength converter structure and method for preparing the same | |
JP2003207811A (ja) | 分極反転結晶およびその製造方法 | |
JPH08304862A (ja) | 光デバイス | |
JP2004302191A (ja) | 光制御素子 | |
JP2017083560A (ja) | 積層体および光学素子の製造方法 | |
JP2003215379A (ja) | 光導波路素子の製造方法 | |
JP6019618B2 (ja) | 周期的分極反転構造の形成方法及び波長変換素子の形成方法 | |
JPH08304863A (ja) | 光デバイスの製造方法 | |
JP3932242B2 (ja) | 光導波路素子の形成方法 | |
JP2006133594A (ja) | 周期分極反転構造の形成方法及び周期分極反転構造 | |
JP2011048206A (ja) | 波長変換素子の製造方法 |