JP2004161120A - 多軸車両の懸架装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤ車軸を3軸以上有する多軸車両の懸架装置において、ピッチングの発生し難い走行安定性と高い段差乗り越え性能及び高い軟弱地走破性能を実現する多軸車両の懸架装置を提供することを目的としている。
【解決手段】任意の隣接する前軸と後軸(11,12)を1対とし、少なくとも1対以上の各対の前軸(11)と後軸(12)の近傍で、上端部が車体(9)にピン結合され下端部が前軸(11)近傍にある前リンク(21)と、上端部が車体(9)にピン結合され下端部が後軸(12)近傍にある後リンク(22)と、同々リンク(21,22)相互の下端部近傍を連結する連結リンク(1)とで4節リンク構造(31)を形成して、その下側の前節と後節夫々の近傍に前軸(11)と後軸(12)を取着して、且つ同4節リンク構造(31)は、連結リンク(1)側の辺長さを車体側(9)の辺長さよりも短くしている。
【選択図】 図13
【解決手段】任意の隣接する前軸と後軸(11,12)を1対とし、少なくとも1対以上の各対の前軸(11)と後軸(12)の近傍で、上端部が車体(9)にピン結合され下端部が前軸(11)近傍にある前リンク(21)と、上端部が車体(9)にピン結合され下端部が後軸(12)近傍にある後リンク(22)と、同々リンク(21,22)相互の下端部近傍を連結する連結リンク(1)とで4節リンク構造(31)を形成して、その下側の前節と後節夫々の近傍に前軸(11)と後軸(12)を取着して、且つ同4節リンク構造(31)は、連結リンク(1)側の辺長さを車体側(9)の辺長さよりも短くしている。
【選択図】 図13
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多軸車両の懸架装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
タイヤ車軸を3軸(タイヤ車輪6輪)以上有する多軸車両は、周知のとおり、車両質量を多軸に分散することが出来るから各タイヤ車輪の接地圧を低くすることが可能であり、それによって例えば軟弱地でも走行可能なタイヤ式運搬車として用いられることが多いが、その場合に同多軸車両の懸架装置は、凹凸の有る地面においても各タイヤ車輪の接地圧の均等化を図る目的で各タイヤ車輪毎の独立懸架とされるのが一般的であり、それによって、不整地の走行を可能にすると共に軟弱地においても地盤を荒らすことなく走破することを可能にしている。
【0003】
なお上記において、説明を簡潔にするために、タイヤ車軸と言うときは、左右1対のタイヤ車輪と同左右タイヤ車輪を支持する車軸を総称するものとし、更に同車軸は、左右のタイヤ車輪を連結する一体式の車軸(リジッドアクスル)に限らず、左右のタイヤ車輪夫々を単独で支持する独立懸架式の左右の車軸を含むものとし、以下においても同じとする。
【0004】
また、上記多軸車両以外に装軌式車両においても、凹凸の有る地面に対応する構造が考えられており、例えば特許文献1には、車両前部と後部の夫々に左右1対の三角形状のクローラ装置を配設する構造が記載されているが、以下では多軸車軸の懸架装置に限って、従来技術の説明をする。
【0005】
図15により、タイヤ車軸を4軸有するタイヤ式運搬車を例にして従来技術による多軸車両の懸架装置の例を説明する。
図15は従来技術による多軸車両の懸架装置を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。
【0006】
図15において、運搬車両90はフレーム95aと荷台95b及び運転室95c等で構成される車体95に、4軸のタイヤ車軸91,92,93,94が夫々懸架装置91b,92b,93b,94bを介して取着されており、同タイヤ車軸91,92,93,94は夫々タイヤ車輪91a,92a,93a,94aを有している。なお、車体右側については上記と同様であるので説明を省略し、以下を通して車体左側についてのみ説明する。
【0007】
図15における上記構成において、車体95の質量は4軸のタイヤ車軸91,92,93,94に分散されるから、タイヤ車輪91a,92a,93a,94aの接地圧が低くなっており、更に各タイヤ車軸91,92,93,94が夫々単独に懸架装置91b,92b,93b,94bを有しているから、凹凸の有る地面においても車体95の質量は各タイヤ車軸91,92,93,94に分散される。これらによって、運搬車両90は不整地の走行が可能であると共に軟弱地においても地盤を荒らすことなく走破することが可能であるとしている。
【0008】
【特許文献1】
特許第3049511号公報(第4頁、第1図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の懸架装置91b,92b,93b,94bにおいては、多軸であり且つ独立懸架であることに起因して発生する幾つかの問題があり、図16〜図18を参照してそれらを詳述する。
【0010】
先ず図16を参照して第1の問題点を説明する。
図16は従来技術による懸架装置を適用したタイヤ式運搬車の走行安定性を説明する図であり、図16(A)は発進停止時の安定性を説明する図、図16(B)は対ピッチング安定性を説明する図である。なお、図15と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0011】
図16(A)において、周知のとおり運搬車両90が発進する際には、車体95の質量Gの慣性力とその地上高H1とによるモーメントによって、車体95前部が矢印U方向に浮き上がる現象(以下、スクワットと言う。)が生じ、同様の理由で運搬車両90が停止する際には車体95前部が矢印N方向に沈み込む現象(以下、ノーズダウンと言う。)が生じる。その際に、スクワットは最後尾の懸架装置94bの、ノーズダウンは先頭の懸架装置91bの各支持力によって夫々抑制される。
【0012】
他方、運搬車両90はタイヤ車軸を4軸有しているから、車体95の質量は4軸のタイヤ車軸91,92,93,94夫々の軸荷重P1,P2,P3,P4に略4等分に分散されて小さくなっており、それに適応して各懸架装置91b,92b,93b,94b各個の支持力も小さくなっている。それらの結果、運搬車両90のスクワットとノーズダウンは、他の一般的な2軸車両のそれよりも大きくなる傾向にある。
【0013】
次に図16(B)において、前後方向に長い車体95は、前後方向の垂直面内の慣性モーメントIpが大きいから、運搬車両90が不整地を走行する際に、各タイヤ車軸91,92,93,94の動きに追従しきれずに矢印Pに示す揺動(以下、ピッチングと言う。)が発生する。
他方、上記ピッチングを抑制するべき先頭と最後尾の懸架装置91bと94b各個の支持力は前述のとおり小さく設定されており、更に、図中に示す凸状の地形においては中央部でタイヤ車軸92,93が突っ張ることによって先頭と最後尾の懸架装置91bと94bは伸びた状態となり、その支持力はより一層小さくなる現象が生じる。
【0014】
それらの結果によって、運搬車両90は不整地の走行においてピッチングを抑制しきれない場合があり、その時は走行速度を極端に遅くしてピッチングを収束させなければならないという問題がある。
【0015】
次に、図17を参照して第2の問題点を説明する。
図17は従来技術による多軸車両の懸架装置を適用したタイヤ式運搬車の段差乗り越え性能を説明する図である。なお、図15〜図16と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0016】
図17において、運搬車両90が乗り越え可能な段差の限界高さSは一般的に最前部タイヤ車輪91aの直径Dの半分D/2であるとされているから、不整地での機動性を向上させる為にはタイヤ車輪91aの直径Dを大きくする必要がある。
他方、運搬車両90は不整地での軟弱地走破を可能にする目的で、タイヤ車軸4軸を配列し、それによって1軸当たりの軸荷重を小さくしているので、タイヤ車輪91a,92a,93a,94aの直径Dを大きくするためのスペース的余裕がない。それらの結果によって、運搬車両90は大きな段差を乗り越えることができないと言う問題がある。
【0017】
次に、図18を参照して第3の問題点を説明する。
図18は従来技術による多軸車両の懸架装置を適用したタイヤ式運搬車の軟弱地走破性能を説明する図であり、図18(A)〜(D)は軟弱地段差の乗り越え過程を説明する図である。なお、図15〜図17と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0018】
先ず図18(A)において、運搬車両90が軟弱地の段差を乗り越える際にタイヤ車輪91aが、段差の先端S1にP1の力で押しつけられて上方へ持ち上がり、それによって、タイヤ車軸91の荷重分担が大きくなる。
次に図18(B)において、タイヤ車軸91の軸荷重が大きいから、タイヤ車輪91aが沈み込んでわだちT1が形成される。又、タイヤ車軸92が段差の先端S2にP2の力で押しつけられて上方へ持ち上がり、それによって、タイヤ車軸92の荷重分担が大きくなる。
【0019】
次に図18(C)において、タイヤ車軸92の軸荷重が大きいから、タイヤ車輪92aが沈み込んでわだちがT2まで深まる。又、タイヤ車軸93が段差の先端S3にP3の力で押しつけられて上方へ持ち上がり、それによって、タイヤ車軸93の荷重分担が大きくなる。
次に図18(D)において、タイヤ車軸93の軸荷重が大きいから、タイヤ車輪93aが沈み込んでわだちがT3まで深まる。その結果、左右わだちの中間部の段差先端S1がタイヤ車軸93又は同94の中央部に接触して運搬車両90が動けなくなる状態(以下、スタック状態と言う。)が発生する。
【0020】
即ち、4軸の各タイヤ車軸91,92,93,94が順次段差を乗り越える度に当該車軸に軸荷重が集中する現象が繰り返され、それによって、深いわだちT3が形成されて運搬車両90がスタック状態に陥り易いと言う問題がある。
【0021】
本発明は、上記の各問題点に着目してなされたものであり、タイヤ車軸を3軸以上有する多軸車両の懸架装置において、ピッチングの発生し難い走行安定性と高い段差乗り越え性能及び高い軟弱地走破性能を実現する多軸車両の懸架装置を提供することを目的としている。
【0022】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記の目的を達成するために、第1発明は、タイヤ車軸を3軸以上有する多軸車両の懸架装置において、任意の隣接する前軸と後軸を各1対として、少なくとも1対以上の各対の前軸と後軸の近傍で、上端部が車体にピン結合され下端部が前軸近傍にある前リンクと、上端部が車体にピン結合され下端部が後軸近傍にある後リンクと、同前リンクと後リンク相互の下端部近傍を前後に連結する連結リンクとを配設し、同車体と前リンクと後リンクと連結リンクとによって形成される4節リンク構造の下側の前節と後節の各近傍に夫々前軸と後軸を取着して、且つ前記4節リンク構造は、前記連結リンク側の辺長さが前記車体側の辺長さよりも短いことを特徴としている。
【0023】
第1発明によると、次の作用及び効果を得ることが出来る。
(1)上記4節リンク構造は下辺である連結リンク側の辺長さが上辺である車体側の辺長さよりも短い逆台形となっているから、連結リンクは、前へ揺動すると前下がりの、後へ揺動すると後下がりの各姿勢となり、それによって、下側の前節と後節相互の上下方向位置が変化する。その結果、同下側の前節と後節の各近傍に夫々取着した前軸と後軸相互の上下方向位置が変化する。
【0024】
(2)上記(1)の結果によって、1対としたタイヤ車軸の前軸と後軸は、凹凸を有する地面に対して、同前軸と後軸が共に接地するように自律的に自らの位置を決める。これによって、1対としたタイヤ車軸の前軸と後軸は、凹凸を有する地面に対して常に追従することができる。
【0025】
(3)上記(2)の場合に、前記4節リンク構造は、1対としたタイヤ車軸の前軸と後軸夫々の軸荷重が常に略等しくなるように姿勢を変位させる。これによって、地面の形状に係りなく、同前軸と後軸相互の軸荷重は常に略等しく、特定の車軸に軸荷重が集中することがない。この結果によって、高い軟弱地走破性能を得ることができる。
(4)1対としたタイヤ車軸の前軸と後軸の1セットで車体を上下伸縮なしに支持することができる。これによって、車体のピッチングを抑制することができる。
【0026】
第2発明は、タイヤ車軸を3軸以上有する多軸車両の懸架装置において、車両の前から1番目と2番目の車軸を先頭の1対とし、3番目以降の任意の隣接する前軸と後軸を各1対として、同先頭の1対を含む少なくとも1対以上の各対の前軸と後軸の近傍で、上端部が車体にピン結合され下端部が前軸近傍にある前リンクと、上端部が車体にピン結合され下端部が後軸近傍にある後リンクと、同前リンクと後リンク相互の下端部近傍を前後に連結する連結リンクとを配設し、同車体と前リンクと後リンクと連結リンクとによって形成される4節リンク構造の下側の前節と後節の各近傍に夫々前軸と後軸を取着して、且つ前記4節リンク構造は、前記連結リンク側の辺長さが前記車体側の辺長さよりも短いことを特徴としている。
【0027】
第2発明によると、上記第1発明における作用及び効果に加えて、次の作用及び効果を得ることが出来る。
(1)車両が段差を乗り越える際に、先頭にある1対のタイヤ車軸の前軸が段差に押しつけられると上記4節リンク構造の姿勢が変位して、前軸が上方へ後軸が下方へ移動する。これによって、前軸は後軸を支点にして高くなった位置から段差に乗り移ることができる。この結果、車両はタイヤ車輪直径の1/2を越える高さの段差を乗り越えることが可能となる。
【0028】
(2)先頭にある1対のタイヤ車軸の前軸と後軸が1セットで車体を上下伸縮なしに支持することができる。これによって、車体のピッチングを効果的に抑制することができる。
【0029】
第3発明は、タイヤ車軸を3軸以上有する多軸車両の懸架装置において、車両の後から1番目と2番目の車軸を最後尾の1対とし、同後から3番目より前の任意の隣接する前軸と後軸を各1対として、同最後尾の1対を含む少なくとも1対以上の各対の前軸と後軸の近傍で、上端部が車体にピン結合され下端部が前軸近傍にある前リンクと、上端部が車体にピン結合され下端部が後軸近傍にある後リンクと、同前リンクと後リンク相互の下端部近傍を前後に連結する連結リンクとを配設し、同車体と前リンクと後リンクと連結リンクとによって形成される4節リンク構造の下側の前節と後節の各近傍に夫々前軸と後軸を取着して、且つ前記4節リンク構造は、前記連結リンク側の辺長さが前記車体側の辺長さよりも短いことを特徴としている。
【0030】
第3発明によると、前記第1発明における作用及び効果に加えて、次の作用及び効果を得ることが出来る。なお、説明を簡潔にするために、タイヤ車軸を3軸有する車両、即ち、前から1番目のタイヤ車軸に従来技術による懸架装置を、同2番目と3番目のタイヤ車軸に本発明による懸架装置を適用した車両を例にして作用及び効果を説明する。
【0031】
(1)車体後部は1対のタイヤ車軸の前軸と後軸の1セットで上下伸縮なしに支持されるが、前記4節リンク構造の姿勢は自由であるから車体前部は上下方向に自由であり、同車体前部が前から1番目のタイヤ車軸の懸架装置で支持されて車体の姿勢が決まる。これによって、車体の前部に配設された運転室の乗り心地は、従来技術による懸架装置と同様の軟らかさを得ることができる。
【0032】
(2)上記(1)と同じ理由によって地面の形状に係りなく、3軸の各タイヤ車軸の軸荷重は常に当初設定した配分が維持されて特定の車軸に軸荷重が集中することがない。これによって、車両は凹凸の有る軟弱地の走行において地面を荒らすことなく走破することができる。
(3)車体後部を1対のタイヤ車軸の前軸と後軸の1セットで上下伸縮なしに支持することができる。これによって、車体のピッチングを効果的に抑制することができる。
【0033】
第4発明は、タイヤ車軸を4軸以上有する多軸車両の懸架装置において、車両の前から1番目と2番目の車軸を先頭の1対とし、車両の後から1番目と2番目の車軸を最後尾の1対とし、中間部の任意の隣接する前軸と後軸を各1対として、同先頭の1対と同最後尾の1対を含む少なくとも2対以上の各対の前軸と後軸の近傍で、上端部が車体にピン結合され下端部が前軸近傍にある前リンクと、上端部が車体にピン結合され下端部が後軸近傍にある後リンクと、同前リンクと後リンク相互の下端部近傍を前後に連結する連結リンクとを配設し、同車体と前リンクと後リンクと連結リンクとによって形成される4節リンク構造の下側の前節と後節の各近傍に夫々前軸と後軸を取着して、且つ
前記4節リンク構造は、前記連結リンク側の辺長さが前記車体側の辺長さよりも短いことを特徴としている。
【0034】
第4発明によると、前記第1発明における作用及び効果に加えて、次の作用及び効果を得ることが出来る。なお、説明を簡潔にするために、タイヤ車軸を4軸有する車両、即ち、前から1番目と2番目のタイヤ車軸を先頭の1対とし、同3番目と4番目のタイヤ車軸を最後尾の1対として夫々に本発明による懸架装置を適用した車両を例にして作用及び効果を説明する。
【0035】
(1)車体前部を、先頭の1対のタイヤ車軸の前軸と後軸の1セットで上下伸縮なしに支持し、車体後部を、最後尾の1対のタイヤ車軸の前軸と後軸の1セットで上下伸縮なしに支持しているから、車体のピッチングを効果的に抑制することができる。
(2)地面の形状に係りなく、4軸のタイヤ車軸には常に等分に軸荷重が配分されて特定の車軸に軸荷重が集中することがない。これによって、車両は凹凸の有る軟弱地の走行において地面を荒らすことなく走破することができる。
【0036】
(3)車両が段差を乗り越える際に、前側1対のタイヤ車軸の前軸が段差に押しつけられると前記4節リンク構造の姿勢が変位して、前軸が上方へ後軸が下方へ移動する。これによって、前軸は後軸を支点にして高くなった位置から段差に乗り移ることができる。この結果、車両はタイヤ車輪直径の1/2を越える高さの段差を乗り越えることが可能となる。
【0037】
第5発明は、第1発明〜第4発明のいずれか1つの発明による多軸車両の懸架装置において、連結リンクの長さを調整可能としている。
【0038】
第5発明によると、前記第1発明〜第4発明における作用及び効果に加えて、次の作用及び効果を得ることが出来る。なお、説明を簡潔にするために、タイヤ車軸を4軸有する車両、即ち、前から1番目と2番目タイヤ車軸を先頭の1対とし、同3番目と4番目タイヤ車軸を最後尾の1対として夫々に本発明による懸架装置を適用した車両を例にして作用及び効果を説明する。
【0039】
(1)前記4節リンク構造の下辺である連結リンクの長さを調整することによって、車高及びロードクリアランスを調整することができる。これによって、不整地では車高を高くしてスタックを防ぎ、平坦地では車高を低くして安定走行することが可能となる。
(2)例えば、先頭の1対のタイヤ車軸において連結リンクを長く調整し、最後尾の1対のタイヤ車軸において連結リンクを短く調整すれば、車体を後下がりに傾斜させることが可能であり、これによって、車両への荷物の積み下ろし作業を容易にすることができる。
【0040】
第6発明は、第1発明〜第5発明のいずれか1つの発明による多軸車両の懸架装置において、連結リンクを、荷重に応じて長さが伸縮するサスペンションリンクとしている。
【0041】
第6発明によると、前記第1発明〜第5発明における作用及び効果に加えて、次の作用及び効果を得ることが出来る。
(1)前軸と後軸の1対のタイヤ車軸を取着した前記4節リンク構造において、前軸又は後軸が地面の小さい凹凸に遭遇した際に、下辺である連結リンクが伸縮することによって、同前軸又は後軸が前リンク又は後リンクによって上下に揺動することができる。これによって、4節リンク構造全体の姿勢を変位させることなく地面の小さい凹凸に対応することができる。この結果、地面の小さい凹凸に対する応答性が良好となり、平坦な地面における高速走行時の乗り心地が向上する。
【0042】
(2)地面の大きな凹凸に対しては、4節リンク構造全体の姿勢を変位させることによって、対応することができる。
(3)連結リンクの長さを固定した状態を選択可能にすることによって、前述の高い段差乗り越え性能も保持することができる。
(4)連結リンクの縮み側のストロークを制限することによって、車体のピッチングを抑制することができる。
【0043】
第7発明は、第1発明〜第6発明のいずれか1つの発明による多軸車両の懸架装置において、4節リンク構造の姿勢を制御する油圧シリンダを配設している。
【0044】
第7発明によると、前記第1発明〜第6発明における作用及び効果に加えて、次の作用及び効果を得ることが出来る。なお、説明を簡潔にするために、タイヤ車軸を4軸有する車両、即ち、前から1番目と2番目タイヤ車軸を先頭の1対とし、同3番目と4番目タイヤ車軸を最後尾の1対として夫々に本発明による懸架装置を適用した車両を例にして作用及び効果を説明する。
【0045】
(1)先頭の1対のタイヤ車軸を取着した4節リンク構造の姿勢を制御して前軸を上方へ後軸を下方へ変位させ、最後尾の1対のタイヤ車軸を取着した4節リンク構造の姿勢を制御して前軸を下方へ後軸を上方へ変位させると、車両は前から2番目と3番目のタイヤ車軸のみで接地するから、ホイールベースとトレッドが略等しくなる。これによって、左側のタイヤ車輪と右側のタイヤ車輪を相互に単独駆動又は逆方向駆動することによって、車両は信地旋回又は超信地旋回を行うことができる。
【0046】
(2)上記(1)とは逆の操作によって、車両は前から1番目と4番目のタイヤ車軸のみで接地することが可能であり、これによって、必要に応じて車両の前後方向安定性を最大にすることができる。
(3)上記(2)の状態で、連結リンクに前記第6発明におけるサスペンションリンクを適用すれば、2軸走行が可能である。これによって、平坦地において駆動ロスの少ない走行が可能となる。
【0047】
第8発明は、第1発明〜第7発明のいずれか1つの発明による多軸車両の懸架装置において、連結リンクの長さを、拘束又は制御した状態と自由に開放した状態とに選択可能にすると共に、前リンクの回動を制御するサスペンションシリンダ及び後リンクの回動を制御するサスペンションシリンダを夫々配設している。
【0048】
第8発明によると、前記第1発明〜第7発明における作用及び効果に加えて、次の作用及び効果を得ることが出来る。
(1)前軸と後軸の1対のタイヤ車軸を取着した前記4節リンク構造の下辺である連結リンクの長さを自由に開放した状態(以下、フリーの状態と言う。)に選択することによって、前軸と後軸は夫々独立懸架となり、これによって、高速走行において良好な乗り心地を得ることができる。
【0049】
(2)連結リンクの長さを拘束又は制御した状態を選択することによって、前軸と後軸の動きは前記4節リンク構造によって支配される。これによって、不整地走行におけるピッチングの抑制が可能となり、大きな段差の乗り越え性能も保持することができる。
(3)上記(2)の状態で、各サスペンションシリンダを、力を生じないフリーの状態に選択可能にすれば、地面の形状に係りなく常に前軸と後軸の軸荷重が等しくなるから、軟弱地の走破性能も最大限に保持することができる。
【0050】
(4)上記(3)の状態で、連結リンクを、長さ調整機能選択可能にすれば前記第5発明における作用及び効果を、サスペンション機能選択可能にすれば前記第6発明における作用及び効果を、夫々得ることができる。
(5)上記(2)の状態で、各サスペンションシリンダを、長さ調整機能選択可能にすれば、前記第7発明における作用及び効果を得ることができる。
【0051】
第9発明は、第1発明〜第4発明のいずれか1つの発明による多軸車両の懸架装置において、各対として前記各4節リンク構造に取着とした前軸と後軸の少なくとも1対の前軸と後軸の相互のタイヤ車輪を取巻いてチェーン又は履帯を巻装している。
【0052】
第9発明によると、接地圧を更に低下させることが可能であり、更に、チェーンの形状又は履帯外周面突起の形状を選択することによって、軟弱地や草地等の地面の状況に応じた最適のトラクションを得ることが可能であり、これらによって、軟弱地の走破性能をより向上させることができる。
【0053】
以上の結果によって、タイヤ車軸を3軸以上有する多軸車両の懸架装置において、ピッチングの発生し難い走行安定性と高い段差乗り越え性能及び高い軟弱地走破性能を実現する多軸車両の懸架装置を提供することができる。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下にタイヤ式運搬車を例にして、本願発明に係る多軸車両の懸架装置の第1実施形態〜第8実施形態について、図1〜図14を参照して詳述する。
【0055】
図1〜図2により、第1実施形態の説明をする。
図1は本発明による多軸車両の懸架装置の第1実施形態を適用したタイヤ式運搬車の側面図、図2は本発明による多軸車両の懸架装置の第1実施形態に係る応用例を説明する図であり、図2(A)は第1例、図2(B)は第2例、図2(C)は第3例を夫々説明する図である。
【0056】
図1において、運搬車両10はフレーム9aと荷台9b及び運転室9c等で構成される車体9に、4軸のタイヤ車軸11,12,13,14を配設しており、車両の前から1番目と2番目の車軸11,12を先頭の1対とし、車両の後から2番目と1番目の車軸13と14を最後尾の1対として、各対の前軸11,13と後軸12,14の近傍で、上端部が車体9にピン結合され下端部が前軸11,13近傍にある前リンク21,23と、上端部が車体9にピン結合され下端部が後軸12,14近傍にある後リンク22,24と、同前リンク21,23と後リンク22,24相互の下端部近傍を前後に連結する連結リンク1,2とを配設し、同車体9,9と前リンク21,23と後リンク22,24と連結リンク1,2とによって形成される4節リンク構造31,32の下側の前節と後節の各近傍に夫々前軸11,13と後軸12,14を取着して、且つ前記4節リンク構造31,32は、前記連結リンク1,2側の辺長さL1a,L2aが前記車体9,9側の辺長さL1b,L2bよりも短いことを特徴としている。
【0057】
なお、図中において前軸11,13と後軸12,14を、4節リンク構造31,32の下側の前節と後節に同心で取着しているが、同心でなく同前節と後節の近傍に取着して良く、図2により、それらの例をを詳述する。
【0058】
図2(A)において第1例は、前軸11と後軸12を夫々、4節リンク構造31の下側の前節21a近傍と後節22a近傍で、連結リンク1上の位置11cと12cに取着している。
図2(B)において第2例は、前軸11と後軸12を夫々、4節リンク構造31の下側の前節21a近傍と後節22a近傍で、連結リンク1の前外側延長部の位置11cと同後外側延長部の位置12cに取着している。
図2(C)において第3例は、前軸11と後軸12を夫々、4節リンク構造31の下側の前節21a近傍と後節22a近傍で、前リンクの下外側延長部の位置11cと後リンクの下外側延長部の位置12cに取着している。
【0059】
なお、以上は先頭の1対のタイヤ車軸11,12を例にしてその取着位置の例を述べたが、その他の対のタイヤ車軸13,14及び11X,12X(第2実施形態で後述する。)も上記と同様にして夫々4節リンク構造32及び31X(第2実施形態で後述する。)に取着可能であり、容易に類推可能であるとして説明を省略する。
【0060】
図1〜図2による上記構成において得られる作用及び効果を、図3〜図5を参照して順次説明する。
【0061】
先ず図3を参照して、走行安定性に係る作用及び効果を説明する。
図3は本発明による多軸車両の懸架装置の第1実施形態を適用したタイヤ式運搬車の走行安定性を説明する図であり、図3(A)は平坦地走行を説明する図、図3(B)は不整地走行を説明する図である。なお、図1〜図2と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0062】
先ず図3(A)において、先頭の1対のタイヤ車軸11,12を取着した4節リンク構造31の姿勢は、車体9と地面のと関係で決まり、前軸11と後軸12の軸荷重が等しくなる姿勢に収束する。最後尾の1対のタイヤ車軸13,14を取着した4節リンク構造32においても同じである。
その結果、車体9の質量Gの中心位置を挟んで前後対称に先頭の1対のタイヤ車軸11,12と最後尾の1対のタイヤ車軸13,14を配設すると、各軸11,12,13,14の軸荷重P1,P2,P3,P4は地面の形状に係りなく常に等しくなり、特定のタイヤ車軸に軸荷重が集中することはない。
【0063】
同じく図3(A)において、先頭の1対としたタイヤ車軸の前軸11と後軸12の1セットで車体9前部を上下伸縮なしに支持し、最後尾の1対としたタイヤ車軸の前軸13と後軸14の1セットで車体9後部を上下伸縮なしに支持している。
この結果、車両10の発進時に車体9前部が矢印Uの方向に浮き上る所謂スクワット及び車両10の停止時に車体9前部が矢印Dの方向に沈み込む所謂ノーズダウンは共に極めて小さくなる。
また、同じ理由で車体9の図示しない左右揺動(以下、ローリングと言う。)に対しても抑制効果がある。
【0064】
次に図3(B)において、前後方向に長い車体9は、前後方向の垂直面内の慣性モーメントIpが大きいから、運搬車両10が不整地を走行する際に、各タイヤ車軸11,12,13,14の動きに追従しきれずに矢印Pに示す揺動所謂ピッチングが発生しようとする。
他方、タイヤ車軸11,12,13,14は、図示の凸状地面においても中央部の車軸12,13が突っ張ることなく、先頭の1対の車軸11,12と最後尾の1対の車軸13,14で、車体9の前部と後部を上下伸縮なしに支持している。
これらの結果、ピッチングを効果的に抑制することができる。
【0065】
次に図4を参照して、段差乗り越え性能に係る作用及び効果を説明する。
図4は本発明による多軸車両の懸架装置の第1実施形態を適用したタイヤ式運搬車の段差乗り越え性能を説明する図であり、図4(A)は段差乗り越え始めを説明する図、図4(B)は段差乗り越状態を説明する図である。なお、図1〜図3と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0066】
先ず図4(A)において、段差高さSがタイヤ車輪11aの直径Dの1/2に等しい場合に、同段差に向って車両10が矢印Fの方向に進むとタイヤ軸11に矢印FRで示す力が加わり、それによって、4節リンク構造31の姿勢が変位させられる。
その結果図4(B)において、タイヤ車軸11はタイヤ車軸12を支点にしてαだけ高い位置から段差に乗り移ることができる。
これによって、車両10は、直径がD+2αのタイヤ車輪を有する車両と同等の、高い段差乗り越え性能を得ることができる。
【0067】
次に図5を参照して、軟弱地走破性能に係る作用及び効果を説明する。
図5は本発明による多軸車両の懸架装置の第1実施形態を適用したタイヤ式運搬車の軟弱地走破性能を説明する図であり、図5(A)〜(D)は軟弱地走破過程を説明する図である。なお、図1〜図4と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0068】
先ず図5(A)において、車両10が軟弱地の段差に向って矢印Fの方向に進むと、段差の先端S1によって4節リンク構造31の姿勢が変位してタイヤ車軸11が上方へαだけ持ちあがる。この際に、段差の先端S1を揚程αで跨ぐことができない時には、タイヤ車軸12が浮き上ってタイヤ車軸11に矢印P1で示す如く軸荷重が集中する。
その結果図5(B)において、タイヤ車軸11によるわだちT1が生じるが、タイヤ車軸12が接地すると、各タイヤ車軸11,12,13,14の軸荷重が等しくなる。
【0069】
その結果図5(C)において、わだちT1の深さは進行することなく、車両10は滑らかに前進することができる。
それらの結果図5(D)において、わだちT1が浅いから、左右わだちT1の中間部の段差先端S1が車軸14の中央部に接触する事が無く、スタック状態は発生し難い。
以上の結果、車両10は高い軟弱地走破性能を得ることができる。
【0070】
図6により、タイヤ車軸が4軸以外の多軸車両における実施形態を第2実施形態として述べる。
図6はタイヤ車軸を3軸及び5軸以上有するタイヤ式運搬車において、本発明による多軸車両の懸架装置の第2実施形態を説明する図であり、図6(A)は3軸車両における第1例を説明する図、図6(B)は3軸車両における第2例を説明する図、図6(C)は5軸車両における例を説明する図、図6(D)は6軸車両における例を説明する図である。なお、図1〜図5及び図15と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0071】
図6(A)において、車両10は3軸のタイヤ車軸91,13,14を有しており、後から2番目と1番目のタイヤ車軸13,14を最後尾の1対として、夫々を4節リンク構造32の下側の前節と後節の各近傍に取着している。
図6(B)において、車両10は3軸のタイヤ車軸11,12,93を有しており、前から1番目と2番目のタイヤ車軸11,12を先頭の1対として、夫々を4節リンク構造31の下側の前節と後節の各近傍に取着している。
図6(C)において、車両10は5軸のタイヤ車軸11,12,93,13,14を有しており、前から1番目と2番目のタイヤ車軸11,12を先頭の1対とし、後から2番目と1番目のタイヤ車軸13,14を最後尾の1対として、夫々を各4節リンク構造31と32夫々の下側の前節と後節の各近傍に取着している。
【0072】
図6(D)において、車両10は6軸のタイヤ車軸11,12,11X,12X,13,14を有しており、前から1番目と2番目のタイヤ車軸11,12を先頭の1対とし、後から2番目と1番目のタイヤ車軸13,14を最後尾の1対として、夫々を各4節リンク構造31と32夫々の下側の前節と後節の各近傍に取着している。
【0073】
又、中間部のタイヤ車軸11X,12Xを中間部の対として、同対の前軸11Xと後軸12Xの近傍で、上端部が車体9にピン結合され下端部が前軸11X近傍にある前リンク21Xと、上端部が車体9にピン結合され下端部が後軸12X近傍にある後リンク22Xと、同前リンク21Xと後リンク22X相互の下端部近傍を前後に連結する連結リンク1Xとを配設し、同車体9と前リンク21Xと後リンク22Xと連結リンク1Xとによって形成される4節リンク構造31Xの下側の前節と後節の各近傍に夫々前軸11Xと後軸12Xを取着して、且つ前記4節リンク構造31Xは、前記連結リンク1X側の辺長さLXaが前記車体9側の辺長さLXbよりも短いことを特徴としている。
なお、前軸11Xと後軸12Xの取着位置の詳細は、前記第1実施形態で詳述したタイヤ車軸11,12の取着位置(図1〜図2)と同じである。
【0074】
なお、上記は本発明による多軸車両の懸架装置の実施の1例であり、これに限ることなく、任意の隣接するタイヤ車軸を1対として良く、また、対の数も1対以上任意で良い。
【0075】
図6(A)による上記構成において得られる作用及び効果について、図7を参照して説明する。
なお、その他の図6(B)〜(D)による構成において得られる作用及び効果図は、前記第1実施形態におけるそれ(図3〜図5)と類似であり類推可能であるとして説明を省略する。
【0076】
図7は本発明による多軸車両の懸架装置の第2実施形態を適用した3軸車両の走行性能を説明する図であり、図7(A)は平坦地走行を説明する図、図7(B)は軟弱地走行を説明する図、図7(C)は不整地走行を説明する図である。なお、図1〜図6及び図15と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0077】
先ず図7(A)において、車体9後部は1対のタイヤ車軸の前軸13と後軸14の1セットで上下伸縮なしに支持されるが、4節リンク構造32の姿勢は自由であるから、車体9前部は矢印Qで示す上下方向に自由であり、同車体9前部が前から1番目のタイヤ車軸91の懸架装置91bで支持されて車体9の姿勢が決まる。これによって、車体9の前部に配設された運転室9cの乗り心地は、従来技術による懸架装置と同様の軟らかさを得ることができる。
【0078】
次に図7(B)において、車両10が軟弱地の段差を走行する際に、上記(1)と同じ理由によって地面の形状に係りなく、3軸の各タイヤ車軸の軸荷重P1,P2,P3は常に当初設定した配分が維持されて特定の車軸に軸荷重が集中することがない。これによって、車両は凹凸の有る軟弱地の走行において地面を荒らすことなく走破することができる。
【0079】
次に図7(C)において、車両10が不整地を走行する際に、図示の凸状地面においても中央のタイヤ車軸13が突っ張ることがなく、車体9後部を1対のタイヤ車軸の前軸13と後軸14の1セットで上下伸縮なしに支持するから、車体のピッチングを効果的に抑制することができる。
【0080】
図8により、第3実施形態の説明をする。
図8は本発明による多軸車両の懸架装置の第3実施形態を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。なお、図1〜図7と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0081】
図8において、先頭と最後尾の各4節リンク構造31,32夫々の連結リンク1,2に夫々油圧シリンダ1A,2Aを適用して、同連結リンク1,2の長さを調整可能にしている。
【0082】
図8による上記構成において、前記第1実施形態における作用及び効果に加えて、次の作用及び効果を得ることができる。
(1)4節リンク構造31,32の下辺である連結リンク1,2の長さを調整することによって、車両10の車高及びロードクリアランス(図示せず)を調整することができる。これによって、不整地では車高を高くしてスタックを防ぎ、平坦地では車高を低くして安定走行することが可能となる。
(2)例えば、先頭の1対のタイヤ車軸11,12において連結リンク1を長く調整し、最後尾の1対のタイヤ車軸13,14において連結リンク2を短く調整すれば、車体9を後下がりに傾斜させることが可能であり、これによって、車両10への荷物の積み下ろし作業を容易にすることができる。
【0083】
なお上記は連結リンク1,2の長さを調整する手段として油圧シリンダ1,2を用いたが、油圧シリンダに限ることなく、ターンバックル式ネジ(図示せず)その他の手段で長さ調整可能として良い。
なお又、上記はタイヤ車軸を4軸有するタイヤ式運搬車における実施例を述べたが、これに限ることなく、前記2実施形態で既述(図6)のタイヤ車軸を3軸及び5軸以上有するタイヤ式運搬車において同様に実施して良く、その場合に4節リンク構造31X(図6(D))も上記の4節リンク構造31におけると同様に構成して良い。
【0084】
図9により、第4実施形態の説明をする。
図9は本発明による多軸車両の懸架装置の第4実施形態を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。なお、図中の一点鎖線は油圧回路を表すものとし、図1〜図8と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0085】
図9において、先頭と最後尾の各4節リンク構造31,32夫々の連結リンク1,2に各油圧シリンダ1B,2Bを配設して、同油圧シリンダ1B,2Bによって連結リンク1,2を、荷重に応じて伸縮するサスペンションリンクの状態と長さ固定リンクの状態とに選択可能にしている。
なお、図中のアキュムレータ41a,42a,43a,44aと開閉弁41b,42b,43b,44bを含む油圧回路41,42,43,44は、上記機能を視覚的に示す目的で模式的に表したものであり、周知のこととして説明を省略する。
【0086】
図9による上記構成において、前記第1実施形態における作用及び効果に加えて、次の作用及び効果を得ることができる。
(1)各タイヤ車軸を前軸11,13と後軸12,14の各対として取着した各4節リンク構造31,32において、前軸11,13又は後軸12,14が地面の小さい凹凸に遭遇した際に、下辺である各連結リンク1,2が伸縮することによって、同前軸11,13又は後軸12,14は各前リンク21,23又は各後リンク22,24によって上下に揺動することができる。これによって、4節リンク構造31,32全体の姿勢を変位させることなく地面の小さい凹凸に対応することができる。この結果、地面の小さい凹凸に対する応答性が良好となり、平坦な地面における高速走行時の乗り心地が向上する。
【0087】
(2)地面の大きな凹凸に対しては、各4節リンク構造31,32全体の姿勢を変位させることによって、対応することができる。
(3)各連結リンク1,2の縮み側のストロークを制限することによって、車体9のピッチングを抑制することができる。
(4)各連結リンク1,2を、長さ固定リンクの状態に選択することによって、前述の高い段差乗り越え性能も保持することができる。
(5)図中矢印Y及びZの位置に切換弁と油圧源を接続すれば、油圧シリンダ1B,2Bの長さ調整が可能となり、それによって、前記第3実施形態におけると同様の作用及び効果を得ることができる。
【0088】
なお上記は連結リンク1,2の長さが荷重に応じて伸縮する手段として油圧シリンダ1B,2Bとアキュムレータ41a,42a,43a,44aを含む油圧回路41,42,43,44用いたが、同油圧回路に限ることなく、又、油圧シリンダ1B,2Bに限ることなく、周知のコイルバネとダンパーを組合わせた懸架装置等の他の手段を用いて良い。
なお又、上記はタイヤ車軸を4軸有するタイヤ式運搬車における実施例を述べたが、これに限ることなく、前記2実施形態で既述(図6)のタイヤ車軸を3軸及び5軸以上有するタイヤ式運搬車において同様に実施して良く、その場合に4節リンク構造31X(図6(D))も上記の4節リンク構造31におけると同様に構成して良い。
【0089】
図10により、第5実施形態の説明をする。
図10は本発明による多軸車両の懸架装置の第5実施形態を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。なお、図1〜図9と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0090】
図10において、各4節リンク構造31,32の姿勢を制御する油圧シリンダ51と同54を配設している。
【0091】
図10による上記構成において、前記第1実施形態における作用及び効果に加えて、更に得られる作用及び効果を、図11を参照して説明する。
図11は本発明による多軸車両の懸架装置の第5実施形態の作用を説明する図であり、図11(A)は第1の作用を、図11(B)は第2の作用を夫々説明する図である。なお、図1〜図10と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0092】
先ず図11(A)において、油圧シリンダ51と同54を縮めると、車両10は中央のタイヤ車軸12と同13のみで接地する。この状態ではホイルベースL3が図示しない左右のタイヤ車輪間の幅(トレッド)と略等しくなるから、これによって、左側のタイヤ車輪12a,13aと図示しない右側のタイヤ車輪を相互に単独駆動又は逆方向駆動することによって、車両10は信地旋回又は超信地旋回を行うことができる。
次に図11(B)において、油圧シリンダ51と同54を伸ばすと、車両10は先頭と最後尾の各タイヤ車軸11と同14のみで接地する。これによって、必要に応じて車両の前後方向安定性を最大にすることができる。
【0093】
なお、上記の油圧シリンダ51と54は図示の配設位置に限ることなく、夫々4節リンク構造31と32の姿勢を制御可能な任意の位置に配設して良い。
なお又、上記はタイヤ車軸を4軸有するタイヤ式運搬車における実施例を述べたが、これに限ることなく、前記2実施形態で既述(図6)のタイヤ車軸を3軸及び5軸以上有するタイヤ式運搬車において同様に実施して良く、その場合に4節リンク構造31X(図6(D))も上記の4節リンク構造31におけると同様に構成して良い。また上記の油圧シリンダ51と54に、バネ機能、または減衰力発生機能、またはバネ機能および減衰力発生機能の両方の機能を持たせたサスペンションシリンダとすると、4節リンク構造31と32の姿勢変化のスピードを和らげられ乗心地が良くなる。
【0094】
図12により、第6実施形態の説明をする。
図12は本発明による多軸車両の懸架装置の第6実施形態を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。なお、図1〜図11と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0095】
図12において、各4節リンク構造31,32夫々の連結リンク1,2に、前記第4実施形態(図9)における各油圧シリンダ1B,2Bを適用し、更に、各4節リンク構造31,32夫々の姿勢を制御する油圧シリンダ52と同53を配設している。
【0096】
図12による上記構成において、前記第5実施形態における作用及び効果に加えて、次の作用及び効果を得ることができる。
(1)図示の如く、先頭と最後尾の各タイヤ車軸11、14で接地した状態とし、各油圧シリンダ1B,2Bを、サスペンションリンクの状態に選択すれば、2軸走行が可能である。これによって、駆動ロスの少ない走行が可能となる。
(2)上記(1)の状態において、各油圧シリンダ1B,2Bを、長さ固定リンクの状態に選択すれば、車両の前後方向安定性を最大にすることができる。
【0097】
なお、上記はタイヤ車軸を4軸有するタイヤ式運搬車における実施例を述べたが、これに限ることなく、前記2実施形態で既述(図6)のタイヤ車軸を3軸及び5軸以上有するタイヤ式運搬車において同様に実施して良く、その場合に4節リンク構造31X(図6(D))も上記の4節リンク構造31におけると同様に構成して良い。
【0098】
図13により、第7実施形態の説明をする。
図13は本発明による多軸車両の懸架装置の第7実施形態を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。なお、図1〜図12と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0099】
図13において、各4節リンク構造31,32夫々の連結リンク1,2に各油圧シリンダ1C,2Cを適用して、同油圧シリンダ1C,2Cによって連結リンク1,2の長さを、拘束又は制御の状態とフリーの状態とに選択可能にすると共に、各4節リンク構造31,32夫々の各前リンク21,23と各後リンク22,24夫々の回動を制御するサスペンションシリンダ61,63と同62,64を配設している。なお、各サスペンションシリンダ61,62,63,64に長さ調整機能及び又は力を生じないフリー状態の機能を付与して良い。
【0100】
図13による上記構成において、前記第1実施形態及び第3〜4実施形態における作用及び効果に加えて、次の作用及び効果を得ることが出来る。
(1)各連結リンク1,2の長さを、フリーの状態に選択することによって、各前軸11,13と各後軸12,14は夫々独立懸架となり、これによって、高速走行において良好な乗り心地を得ることができる。
【0101】
(2)各連結リンク1,2の長さを、固定又は制御した状態に選択することによって、各前軸11,13と後軸12,14の動きは夫々4節リンク構造31,32によって支配される。これによって、不整地走行におけるピッチングの抑制が可能となり、大きな段差の乗り越え性能も保持することができる。
(3)上記(2)の状態で、各サスペンションシリンダ61,62,63,64を、力を生じないフリーの状態に選択可能にすれば、地面の形状に係りなく常に各前軸11,13と各後軸12,14の軸荷重が等しくなるから、軟弱地の走破性能も最大限に保持することができる。
【0102】
(4)上記(3)の状態で各油圧シリンダ1C,2Cを、長さ調整機能選択可能にすれば前記第3実施形態における作用及び効果を、サスペンション機能選択可能にすれば前記第4実施形態における作用及び効果を、夫々得ることができる。
(5)上記(2)の状態で、各サスペンションシリンダ61,62,63,64を長さ調節機能選択可能にすれば、前記第5実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
(6)上記(5)の状態において、各油圧シリンダ1C,2Cをサスペンション機能選択可能にすれば、前記第6実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0103】
なお上記は、連結リンク1,2の長さを、固定又は制御の状態とフリーの状態とに選択可能にする手段として油圧シリンダ1C,2Cを用いたが、油圧シリンダ1C,2Cに限ることなく、例えばスリーブ内を摺動するロッドで伸縮自由とし横断ピンで固定する(何れも図示せず。)等他の手段を用いて良い。
なお又、上記サスペンションシリンダ61,62,63,64に代えて、例えば周知のコイルバネとダンパーを組合わせた懸架装置又はトーションバー等他の懸架手段を用いて良い。
【0104】
なお更に、上記はタイヤ車軸を4軸有するタイヤ式運搬車における実施例を述べたが、これに限ることなく、前記2実施形態で既述(図6)のタイヤ車軸を3軸及び5軸以上有するタイヤ式運搬車において同様に実施して良く、その場合に4節リンク構造31X(図6(D))も上記の4節リンク構造31におけると同様に構成して良い。
【0105】
図14により、第8実施形態の説明をする。
図14は本発明による多軸車両の懸架装置の第8実施形態を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。なお、図1〜図13及び図15と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0106】
図14において、対として4節リンク構造32に取着とした前軸13と後軸14の相互のタイヤ車輪13aと14aを取巻いて履帯19を巻装している。
【0107】
図14による上記構成において、車両10の接地圧を更に低下させることが可能であり、更に、履帯19外周面突起19aの形状を選択することによって、軟弱地や草地等の地面の状況に応じた最適のトラクションを得ることが可能であり、これらによって、軟弱地の走破性能をより向上させることができる。
【0108】
なお上記は、タイヤ車軸を3軸有する多軸車両の唯一の対である前軸13と後軸14に履帯19を巻装しているが、これに限ることなく、タイヤ車軸を4軸以上有する多軸車両で任意の対の前軸と後軸に、任意の対数で履帯19を巻装して良い。又、履帯19に代えてチェーンを巻装して良い。
【0109】
以上の結果によって、タイヤ車軸を3軸以上有する多軸車両の懸架装置において、ピッチングの発生し難い走行安定性と高い段差乗り越え性能及び高い軟弱地走破性能を実現する多軸車両の懸架装置を提供することができる。
【0110】
以上はタイヤ式運搬車を例にして、多軸車両の懸架装置の実施形態について説明したが、タイヤ式運搬車に限ることなく、他の多軸車両の懸架装置においても普遍的に、上記と同様に実施する事が可能であり、上記と同様の作用及び効果を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による多軸車両の懸架装置の第1実施形態を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。
【図2】本発明による多軸車両の懸架装置の第1実施形態に係る応用例を説明する図である。
【図3】本発明による多軸車両の懸架装置の第1実施形態を適用したタイヤ式運搬車の走行安定性を説明する図である。
【図4】本発明による多軸車両の懸架装置の第1実施形態を適用したタイヤ式運搬車の段差乗り越え性能を説明する図である。
【図5】本発明による多軸車両の懸架装置の第1実施形態を適用したタイヤ式運搬車の軟弱地走破性能を説明する図である。
【図6】タイヤ車軸を3軸及び5軸以上有するタイヤ式運搬車において、本発明による多軸車両の懸架装置の第2実施形態を説明する図である。
【図7】本発明による多軸車両の懸架装置の第2実施形態を適用した3軸車両の走行性能を説明する図である。
【図8】本発明による多軸車両の懸架装置の第3実施形態を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。
【図9】本発明による多軸車両の懸架装置の第4実施形態を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。
【図10】本発明による多軸車両の懸架装置の第5実施形態を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。
【図11】本発明による多軸車両の懸架装置の第5実施形態の作用を説明する図である。
【図12】本発明による多軸車両の懸架装置の第6実施形態を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。
【図13】本発明による多軸車両の懸架装置の第7実施形態を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。
【図14】本発明による多軸車両の懸架装置の第8実施形態を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。
【図15】従来技術による多軸車両の懸架装置を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。
【図16】従来技術による多軸車両の懸架装置を適用したタイヤ式運搬車の走行安定性を説明する図である。
【図17】従来技術による多軸車両の懸架装置を適用したタイヤ式運搬車の段差乗り越え性能を説明する図である。
【図18】従来技術による多軸車両の懸架装置を適用したタイヤ式運搬車の軟弱地走破性能を説明する図である。
【符号の説明】
1…連結リンク、1A…油圧シリンダ、1B…油圧シリンダ(サスペンションリンク)、1C…油圧シリンダ、2…連結リンク、2A…油圧シリンダ、2B…油圧シリンダ(サスペンションリンク)、2C…油圧シリンダ、9…車体、11…タイヤ車軸(前軸)、11a…タイヤ車輪、12…タイヤ車軸(後軸)、12a…タイヤ車輪、13…タイヤ車軸(前軸)、13a…タイヤ車輪、14…タイヤ車軸(後軸)、14a…タイヤ車輪、19…履帯、19a…突起、21…前リンク、22…後リンク、23…前リンク、24…後リンク、31…4節リンク構造、32…4節リンク構造、51…油圧シリンダ、52…油圧シリンダ、53…油圧シリンダ、54…油圧シリンダ、61…サスペンションシリンダ、62…サスペンションシリンダ、63…サスペンションシリンダ、64…サスペンションシリンダ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、多軸車両の懸架装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
タイヤ車軸を3軸(タイヤ車輪6輪)以上有する多軸車両は、周知のとおり、車両質量を多軸に分散することが出来るから各タイヤ車輪の接地圧を低くすることが可能であり、それによって例えば軟弱地でも走行可能なタイヤ式運搬車として用いられることが多いが、その場合に同多軸車両の懸架装置は、凹凸の有る地面においても各タイヤ車輪の接地圧の均等化を図る目的で各タイヤ車輪毎の独立懸架とされるのが一般的であり、それによって、不整地の走行を可能にすると共に軟弱地においても地盤を荒らすことなく走破することを可能にしている。
【0003】
なお上記において、説明を簡潔にするために、タイヤ車軸と言うときは、左右1対のタイヤ車輪と同左右タイヤ車輪を支持する車軸を総称するものとし、更に同車軸は、左右のタイヤ車輪を連結する一体式の車軸(リジッドアクスル)に限らず、左右のタイヤ車輪夫々を単独で支持する独立懸架式の左右の車軸を含むものとし、以下においても同じとする。
【0004】
また、上記多軸車両以外に装軌式車両においても、凹凸の有る地面に対応する構造が考えられており、例えば特許文献1には、車両前部と後部の夫々に左右1対の三角形状のクローラ装置を配設する構造が記載されているが、以下では多軸車軸の懸架装置に限って、従来技術の説明をする。
【0005】
図15により、タイヤ車軸を4軸有するタイヤ式運搬車を例にして従来技術による多軸車両の懸架装置の例を説明する。
図15は従来技術による多軸車両の懸架装置を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。
【0006】
図15において、運搬車両90はフレーム95aと荷台95b及び運転室95c等で構成される車体95に、4軸のタイヤ車軸91,92,93,94が夫々懸架装置91b,92b,93b,94bを介して取着されており、同タイヤ車軸91,92,93,94は夫々タイヤ車輪91a,92a,93a,94aを有している。なお、車体右側については上記と同様であるので説明を省略し、以下を通して車体左側についてのみ説明する。
【0007】
図15における上記構成において、車体95の質量は4軸のタイヤ車軸91,92,93,94に分散されるから、タイヤ車輪91a,92a,93a,94aの接地圧が低くなっており、更に各タイヤ車軸91,92,93,94が夫々単独に懸架装置91b,92b,93b,94bを有しているから、凹凸の有る地面においても車体95の質量は各タイヤ車軸91,92,93,94に分散される。これらによって、運搬車両90は不整地の走行が可能であると共に軟弱地においても地盤を荒らすことなく走破することが可能であるとしている。
【0008】
【特許文献1】
特許第3049511号公報(第4頁、第1図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の懸架装置91b,92b,93b,94bにおいては、多軸であり且つ独立懸架であることに起因して発生する幾つかの問題があり、図16〜図18を参照してそれらを詳述する。
【0010】
先ず図16を参照して第1の問題点を説明する。
図16は従来技術による懸架装置を適用したタイヤ式運搬車の走行安定性を説明する図であり、図16(A)は発進停止時の安定性を説明する図、図16(B)は対ピッチング安定性を説明する図である。なお、図15と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0011】
図16(A)において、周知のとおり運搬車両90が発進する際には、車体95の質量Gの慣性力とその地上高H1とによるモーメントによって、車体95前部が矢印U方向に浮き上がる現象(以下、スクワットと言う。)が生じ、同様の理由で運搬車両90が停止する際には車体95前部が矢印N方向に沈み込む現象(以下、ノーズダウンと言う。)が生じる。その際に、スクワットは最後尾の懸架装置94bの、ノーズダウンは先頭の懸架装置91bの各支持力によって夫々抑制される。
【0012】
他方、運搬車両90はタイヤ車軸を4軸有しているから、車体95の質量は4軸のタイヤ車軸91,92,93,94夫々の軸荷重P1,P2,P3,P4に略4等分に分散されて小さくなっており、それに適応して各懸架装置91b,92b,93b,94b各個の支持力も小さくなっている。それらの結果、運搬車両90のスクワットとノーズダウンは、他の一般的な2軸車両のそれよりも大きくなる傾向にある。
【0013】
次に図16(B)において、前後方向に長い車体95は、前後方向の垂直面内の慣性モーメントIpが大きいから、運搬車両90が不整地を走行する際に、各タイヤ車軸91,92,93,94の動きに追従しきれずに矢印Pに示す揺動(以下、ピッチングと言う。)が発生する。
他方、上記ピッチングを抑制するべき先頭と最後尾の懸架装置91bと94b各個の支持力は前述のとおり小さく設定されており、更に、図中に示す凸状の地形においては中央部でタイヤ車軸92,93が突っ張ることによって先頭と最後尾の懸架装置91bと94bは伸びた状態となり、その支持力はより一層小さくなる現象が生じる。
【0014】
それらの結果によって、運搬車両90は不整地の走行においてピッチングを抑制しきれない場合があり、その時は走行速度を極端に遅くしてピッチングを収束させなければならないという問題がある。
【0015】
次に、図17を参照して第2の問題点を説明する。
図17は従来技術による多軸車両の懸架装置を適用したタイヤ式運搬車の段差乗り越え性能を説明する図である。なお、図15〜図16と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0016】
図17において、運搬車両90が乗り越え可能な段差の限界高さSは一般的に最前部タイヤ車輪91aの直径Dの半分D/2であるとされているから、不整地での機動性を向上させる為にはタイヤ車輪91aの直径Dを大きくする必要がある。
他方、運搬車両90は不整地での軟弱地走破を可能にする目的で、タイヤ車軸4軸を配列し、それによって1軸当たりの軸荷重を小さくしているので、タイヤ車輪91a,92a,93a,94aの直径Dを大きくするためのスペース的余裕がない。それらの結果によって、運搬車両90は大きな段差を乗り越えることができないと言う問題がある。
【0017】
次に、図18を参照して第3の問題点を説明する。
図18は従来技術による多軸車両の懸架装置を適用したタイヤ式運搬車の軟弱地走破性能を説明する図であり、図18(A)〜(D)は軟弱地段差の乗り越え過程を説明する図である。なお、図15〜図17と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0018】
先ず図18(A)において、運搬車両90が軟弱地の段差を乗り越える際にタイヤ車輪91aが、段差の先端S1にP1の力で押しつけられて上方へ持ち上がり、それによって、タイヤ車軸91の荷重分担が大きくなる。
次に図18(B)において、タイヤ車軸91の軸荷重が大きいから、タイヤ車輪91aが沈み込んでわだちT1が形成される。又、タイヤ車軸92が段差の先端S2にP2の力で押しつけられて上方へ持ち上がり、それによって、タイヤ車軸92の荷重分担が大きくなる。
【0019】
次に図18(C)において、タイヤ車軸92の軸荷重が大きいから、タイヤ車輪92aが沈み込んでわだちがT2まで深まる。又、タイヤ車軸93が段差の先端S3にP3の力で押しつけられて上方へ持ち上がり、それによって、タイヤ車軸93の荷重分担が大きくなる。
次に図18(D)において、タイヤ車軸93の軸荷重が大きいから、タイヤ車輪93aが沈み込んでわだちがT3まで深まる。その結果、左右わだちの中間部の段差先端S1がタイヤ車軸93又は同94の中央部に接触して運搬車両90が動けなくなる状態(以下、スタック状態と言う。)が発生する。
【0020】
即ち、4軸の各タイヤ車軸91,92,93,94が順次段差を乗り越える度に当該車軸に軸荷重が集中する現象が繰り返され、それによって、深いわだちT3が形成されて運搬車両90がスタック状態に陥り易いと言う問題がある。
【0021】
本発明は、上記の各問題点に着目してなされたものであり、タイヤ車軸を3軸以上有する多軸車両の懸架装置において、ピッチングの発生し難い走行安定性と高い段差乗り越え性能及び高い軟弱地走破性能を実現する多軸車両の懸架装置を提供することを目的としている。
【0022】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記の目的を達成するために、第1発明は、タイヤ車軸を3軸以上有する多軸車両の懸架装置において、任意の隣接する前軸と後軸を各1対として、少なくとも1対以上の各対の前軸と後軸の近傍で、上端部が車体にピン結合され下端部が前軸近傍にある前リンクと、上端部が車体にピン結合され下端部が後軸近傍にある後リンクと、同前リンクと後リンク相互の下端部近傍を前後に連結する連結リンクとを配設し、同車体と前リンクと後リンクと連結リンクとによって形成される4節リンク構造の下側の前節と後節の各近傍に夫々前軸と後軸を取着して、且つ前記4節リンク構造は、前記連結リンク側の辺長さが前記車体側の辺長さよりも短いことを特徴としている。
【0023】
第1発明によると、次の作用及び効果を得ることが出来る。
(1)上記4節リンク構造は下辺である連結リンク側の辺長さが上辺である車体側の辺長さよりも短い逆台形となっているから、連結リンクは、前へ揺動すると前下がりの、後へ揺動すると後下がりの各姿勢となり、それによって、下側の前節と後節相互の上下方向位置が変化する。その結果、同下側の前節と後節の各近傍に夫々取着した前軸と後軸相互の上下方向位置が変化する。
【0024】
(2)上記(1)の結果によって、1対としたタイヤ車軸の前軸と後軸は、凹凸を有する地面に対して、同前軸と後軸が共に接地するように自律的に自らの位置を決める。これによって、1対としたタイヤ車軸の前軸と後軸は、凹凸を有する地面に対して常に追従することができる。
【0025】
(3)上記(2)の場合に、前記4節リンク構造は、1対としたタイヤ車軸の前軸と後軸夫々の軸荷重が常に略等しくなるように姿勢を変位させる。これによって、地面の形状に係りなく、同前軸と後軸相互の軸荷重は常に略等しく、特定の車軸に軸荷重が集中することがない。この結果によって、高い軟弱地走破性能を得ることができる。
(4)1対としたタイヤ車軸の前軸と後軸の1セットで車体を上下伸縮なしに支持することができる。これによって、車体のピッチングを抑制することができる。
【0026】
第2発明は、タイヤ車軸を3軸以上有する多軸車両の懸架装置において、車両の前から1番目と2番目の車軸を先頭の1対とし、3番目以降の任意の隣接する前軸と後軸を各1対として、同先頭の1対を含む少なくとも1対以上の各対の前軸と後軸の近傍で、上端部が車体にピン結合され下端部が前軸近傍にある前リンクと、上端部が車体にピン結合され下端部が後軸近傍にある後リンクと、同前リンクと後リンク相互の下端部近傍を前後に連結する連結リンクとを配設し、同車体と前リンクと後リンクと連結リンクとによって形成される4節リンク構造の下側の前節と後節の各近傍に夫々前軸と後軸を取着して、且つ前記4節リンク構造は、前記連結リンク側の辺長さが前記車体側の辺長さよりも短いことを特徴としている。
【0027】
第2発明によると、上記第1発明における作用及び効果に加えて、次の作用及び効果を得ることが出来る。
(1)車両が段差を乗り越える際に、先頭にある1対のタイヤ車軸の前軸が段差に押しつけられると上記4節リンク構造の姿勢が変位して、前軸が上方へ後軸が下方へ移動する。これによって、前軸は後軸を支点にして高くなった位置から段差に乗り移ることができる。この結果、車両はタイヤ車輪直径の1/2を越える高さの段差を乗り越えることが可能となる。
【0028】
(2)先頭にある1対のタイヤ車軸の前軸と後軸が1セットで車体を上下伸縮なしに支持することができる。これによって、車体のピッチングを効果的に抑制することができる。
【0029】
第3発明は、タイヤ車軸を3軸以上有する多軸車両の懸架装置において、車両の後から1番目と2番目の車軸を最後尾の1対とし、同後から3番目より前の任意の隣接する前軸と後軸を各1対として、同最後尾の1対を含む少なくとも1対以上の各対の前軸と後軸の近傍で、上端部が車体にピン結合され下端部が前軸近傍にある前リンクと、上端部が車体にピン結合され下端部が後軸近傍にある後リンクと、同前リンクと後リンク相互の下端部近傍を前後に連結する連結リンクとを配設し、同車体と前リンクと後リンクと連結リンクとによって形成される4節リンク構造の下側の前節と後節の各近傍に夫々前軸と後軸を取着して、且つ前記4節リンク構造は、前記連結リンク側の辺長さが前記車体側の辺長さよりも短いことを特徴としている。
【0030】
第3発明によると、前記第1発明における作用及び効果に加えて、次の作用及び効果を得ることが出来る。なお、説明を簡潔にするために、タイヤ車軸を3軸有する車両、即ち、前から1番目のタイヤ車軸に従来技術による懸架装置を、同2番目と3番目のタイヤ車軸に本発明による懸架装置を適用した車両を例にして作用及び効果を説明する。
【0031】
(1)車体後部は1対のタイヤ車軸の前軸と後軸の1セットで上下伸縮なしに支持されるが、前記4節リンク構造の姿勢は自由であるから車体前部は上下方向に自由であり、同車体前部が前から1番目のタイヤ車軸の懸架装置で支持されて車体の姿勢が決まる。これによって、車体の前部に配設された運転室の乗り心地は、従来技術による懸架装置と同様の軟らかさを得ることができる。
【0032】
(2)上記(1)と同じ理由によって地面の形状に係りなく、3軸の各タイヤ車軸の軸荷重は常に当初設定した配分が維持されて特定の車軸に軸荷重が集中することがない。これによって、車両は凹凸の有る軟弱地の走行において地面を荒らすことなく走破することができる。
(3)車体後部を1対のタイヤ車軸の前軸と後軸の1セットで上下伸縮なしに支持することができる。これによって、車体のピッチングを効果的に抑制することができる。
【0033】
第4発明は、タイヤ車軸を4軸以上有する多軸車両の懸架装置において、車両の前から1番目と2番目の車軸を先頭の1対とし、車両の後から1番目と2番目の車軸を最後尾の1対とし、中間部の任意の隣接する前軸と後軸を各1対として、同先頭の1対と同最後尾の1対を含む少なくとも2対以上の各対の前軸と後軸の近傍で、上端部が車体にピン結合され下端部が前軸近傍にある前リンクと、上端部が車体にピン結合され下端部が後軸近傍にある後リンクと、同前リンクと後リンク相互の下端部近傍を前後に連結する連結リンクとを配設し、同車体と前リンクと後リンクと連結リンクとによって形成される4節リンク構造の下側の前節と後節の各近傍に夫々前軸と後軸を取着して、且つ
前記4節リンク構造は、前記連結リンク側の辺長さが前記車体側の辺長さよりも短いことを特徴としている。
【0034】
第4発明によると、前記第1発明における作用及び効果に加えて、次の作用及び効果を得ることが出来る。なお、説明を簡潔にするために、タイヤ車軸を4軸有する車両、即ち、前から1番目と2番目のタイヤ車軸を先頭の1対とし、同3番目と4番目のタイヤ車軸を最後尾の1対として夫々に本発明による懸架装置を適用した車両を例にして作用及び効果を説明する。
【0035】
(1)車体前部を、先頭の1対のタイヤ車軸の前軸と後軸の1セットで上下伸縮なしに支持し、車体後部を、最後尾の1対のタイヤ車軸の前軸と後軸の1セットで上下伸縮なしに支持しているから、車体のピッチングを効果的に抑制することができる。
(2)地面の形状に係りなく、4軸のタイヤ車軸には常に等分に軸荷重が配分されて特定の車軸に軸荷重が集中することがない。これによって、車両は凹凸の有る軟弱地の走行において地面を荒らすことなく走破することができる。
【0036】
(3)車両が段差を乗り越える際に、前側1対のタイヤ車軸の前軸が段差に押しつけられると前記4節リンク構造の姿勢が変位して、前軸が上方へ後軸が下方へ移動する。これによって、前軸は後軸を支点にして高くなった位置から段差に乗り移ることができる。この結果、車両はタイヤ車輪直径の1/2を越える高さの段差を乗り越えることが可能となる。
【0037】
第5発明は、第1発明〜第4発明のいずれか1つの発明による多軸車両の懸架装置において、連結リンクの長さを調整可能としている。
【0038】
第5発明によると、前記第1発明〜第4発明における作用及び効果に加えて、次の作用及び効果を得ることが出来る。なお、説明を簡潔にするために、タイヤ車軸を4軸有する車両、即ち、前から1番目と2番目タイヤ車軸を先頭の1対とし、同3番目と4番目タイヤ車軸を最後尾の1対として夫々に本発明による懸架装置を適用した車両を例にして作用及び効果を説明する。
【0039】
(1)前記4節リンク構造の下辺である連結リンクの長さを調整することによって、車高及びロードクリアランスを調整することができる。これによって、不整地では車高を高くしてスタックを防ぎ、平坦地では車高を低くして安定走行することが可能となる。
(2)例えば、先頭の1対のタイヤ車軸において連結リンクを長く調整し、最後尾の1対のタイヤ車軸において連結リンクを短く調整すれば、車体を後下がりに傾斜させることが可能であり、これによって、車両への荷物の積み下ろし作業を容易にすることができる。
【0040】
第6発明は、第1発明〜第5発明のいずれか1つの発明による多軸車両の懸架装置において、連結リンクを、荷重に応じて長さが伸縮するサスペンションリンクとしている。
【0041】
第6発明によると、前記第1発明〜第5発明における作用及び効果に加えて、次の作用及び効果を得ることが出来る。
(1)前軸と後軸の1対のタイヤ車軸を取着した前記4節リンク構造において、前軸又は後軸が地面の小さい凹凸に遭遇した際に、下辺である連結リンクが伸縮することによって、同前軸又は後軸が前リンク又は後リンクによって上下に揺動することができる。これによって、4節リンク構造全体の姿勢を変位させることなく地面の小さい凹凸に対応することができる。この結果、地面の小さい凹凸に対する応答性が良好となり、平坦な地面における高速走行時の乗り心地が向上する。
【0042】
(2)地面の大きな凹凸に対しては、4節リンク構造全体の姿勢を変位させることによって、対応することができる。
(3)連結リンクの長さを固定した状態を選択可能にすることによって、前述の高い段差乗り越え性能も保持することができる。
(4)連結リンクの縮み側のストロークを制限することによって、車体のピッチングを抑制することができる。
【0043】
第7発明は、第1発明〜第6発明のいずれか1つの発明による多軸車両の懸架装置において、4節リンク構造の姿勢を制御する油圧シリンダを配設している。
【0044】
第7発明によると、前記第1発明〜第6発明における作用及び効果に加えて、次の作用及び効果を得ることが出来る。なお、説明を簡潔にするために、タイヤ車軸を4軸有する車両、即ち、前から1番目と2番目タイヤ車軸を先頭の1対とし、同3番目と4番目タイヤ車軸を最後尾の1対として夫々に本発明による懸架装置を適用した車両を例にして作用及び効果を説明する。
【0045】
(1)先頭の1対のタイヤ車軸を取着した4節リンク構造の姿勢を制御して前軸を上方へ後軸を下方へ変位させ、最後尾の1対のタイヤ車軸を取着した4節リンク構造の姿勢を制御して前軸を下方へ後軸を上方へ変位させると、車両は前から2番目と3番目のタイヤ車軸のみで接地するから、ホイールベースとトレッドが略等しくなる。これによって、左側のタイヤ車輪と右側のタイヤ車輪を相互に単独駆動又は逆方向駆動することによって、車両は信地旋回又は超信地旋回を行うことができる。
【0046】
(2)上記(1)とは逆の操作によって、車両は前から1番目と4番目のタイヤ車軸のみで接地することが可能であり、これによって、必要に応じて車両の前後方向安定性を最大にすることができる。
(3)上記(2)の状態で、連結リンクに前記第6発明におけるサスペンションリンクを適用すれば、2軸走行が可能である。これによって、平坦地において駆動ロスの少ない走行が可能となる。
【0047】
第8発明は、第1発明〜第7発明のいずれか1つの発明による多軸車両の懸架装置において、連結リンクの長さを、拘束又は制御した状態と自由に開放した状態とに選択可能にすると共に、前リンクの回動を制御するサスペンションシリンダ及び後リンクの回動を制御するサスペンションシリンダを夫々配設している。
【0048】
第8発明によると、前記第1発明〜第7発明における作用及び効果に加えて、次の作用及び効果を得ることが出来る。
(1)前軸と後軸の1対のタイヤ車軸を取着した前記4節リンク構造の下辺である連結リンクの長さを自由に開放した状態(以下、フリーの状態と言う。)に選択することによって、前軸と後軸は夫々独立懸架となり、これによって、高速走行において良好な乗り心地を得ることができる。
【0049】
(2)連結リンクの長さを拘束又は制御した状態を選択することによって、前軸と後軸の動きは前記4節リンク構造によって支配される。これによって、不整地走行におけるピッチングの抑制が可能となり、大きな段差の乗り越え性能も保持することができる。
(3)上記(2)の状態で、各サスペンションシリンダを、力を生じないフリーの状態に選択可能にすれば、地面の形状に係りなく常に前軸と後軸の軸荷重が等しくなるから、軟弱地の走破性能も最大限に保持することができる。
【0050】
(4)上記(3)の状態で、連結リンクを、長さ調整機能選択可能にすれば前記第5発明における作用及び効果を、サスペンション機能選択可能にすれば前記第6発明における作用及び効果を、夫々得ることができる。
(5)上記(2)の状態で、各サスペンションシリンダを、長さ調整機能選択可能にすれば、前記第7発明における作用及び効果を得ることができる。
【0051】
第9発明は、第1発明〜第4発明のいずれか1つの発明による多軸車両の懸架装置において、各対として前記各4節リンク構造に取着とした前軸と後軸の少なくとも1対の前軸と後軸の相互のタイヤ車輪を取巻いてチェーン又は履帯を巻装している。
【0052】
第9発明によると、接地圧を更に低下させることが可能であり、更に、チェーンの形状又は履帯外周面突起の形状を選択することによって、軟弱地や草地等の地面の状況に応じた最適のトラクションを得ることが可能であり、これらによって、軟弱地の走破性能をより向上させることができる。
【0053】
以上の結果によって、タイヤ車軸を3軸以上有する多軸車両の懸架装置において、ピッチングの発生し難い走行安定性と高い段差乗り越え性能及び高い軟弱地走破性能を実現する多軸車両の懸架装置を提供することができる。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下にタイヤ式運搬車を例にして、本願発明に係る多軸車両の懸架装置の第1実施形態〜第8実施形態について、図1〜図14を参照して詳述する。
【0055】
図1〜図2により、第1実施形態の説明をする。
図1は本発明による多軸車両の懸架装置の第1実施形態を適用したタイヤ式運搬車の側面図、図2は本発明による多軸車両の懸架装置の第1実施形態に係る応用例を説明する図であり、図2(A)は第1例、図2(B)は第2例、図2(C)は第3例を夫々説明する図である。
【0056】
図1において、運搬車両10はフレーム9aと荷台9b及び運転室9c等で構成される車体9に、4軸のタイヤ車軸11,12,13,14を配設しており、車両の前から1番目と2番目の車軸11,12を先頭の1対とし、車両の後から2番目と1番目の車軸13と14を最後尾の1対として、各対の前軸11,13と後軸12,14の近傍で、上端部が車体9にピン結合され下端部が前軸11,13近傍にある前リンク21,23と、上端部が車体9にピン結合され下端部が後軸12,14近傍にある後リンク22,24と、同前リンク21,23と後リンク22,24相互の下端部近傍を前後に連結する連結リンク1,2とを配設し、同車体9,9と前リンク21,23と後リンク22,24と連結リンク1,2とによって形成される4節リンク構造31,32の下側の前節と後節の各近傍に夫々前軸11,13と後軸12,14を取着して、且つ前記4節リンク構造31,32は、前記連結リンク1,2側の辺長さL1a,L2aが前記車体9,9側の辺長さL1b,L2bよりも短いことを特徴としている。
【0057】
なお、図中において前軸11,13と後軸12,14を、4節リンク構造31,32の下側の前節と後節に同心で取着しているが、同心でなく同前節と後節の近傍に取着して良く、図2により、それらの例をを詳述する。
【0058】
図2(A)において第1例は、前軸11と後軸12を夫々、4節リンク構造31の下側の前節21a近傍と後節22a近傍で、連結リンク1上の位置11cと12cに取着している。
図2(B)において第2例は、前軸11と後軸12を夫々、4節リンク構造31の下側の前節21a近傍と後節22a近傍で、連結リンク1の前外側延長部の位置11cと同後外側延長部の位置12cに取着している。
図2(C)において第3例は、前軸11と後軸12を夫々、4節リンク構造31の下側の前節21a近傍と後節22a近傍で、前リンクの下外側延長部の位置11cと後リンクの下外側延長部の位置12cに取着している。
【0059】
なお、以上は先頭の1対のタイヤ車軸11,12を例にしてその取着位置の例を述べたが、その他の対のタイヤ車軸13,14及び11X,12X(第2実施形態で後述する。)も上記と同様にして夫々4節リンク構造32及び31X(第2実施形態で後述する。)に取着可能であり、容易に類推可能であるとして説明を省略する。
【0060】
図1〜図2による上記構成において得られる作用及び効果を、図3〜図5を参照して順次説明する。
【0061】
先ず図3を参照して、走行安定性に係る作用及び効果を説明する。
図3は本発明による多軸車両の懸架装置の第1実施形態を適用したタイヤ式運搬車の走行安定性を説明する図であり、図3(A)は平坦地走行を説明する図、図3(B)は不整地走行を説明する図である。なお、図1〜図2と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0062】
先ず図3(A)において、先頭の1対のタイヤ車軸11,12を取着した4節リンク構造31の姿勢は、車体9と地面のと関係で決まり、前軸11と後軸12の軸荷重が等しくなる姿勢に収束する。最後尾の1対のタイヤ車軸13,14を取着した4節リンク構造32においても同じである。
その結果、車体9の質量Gの中心位置を挟んで前後対称に先頭の1対のタイヤ車軸11,12と最後尾の1対のタイヤ車軸13,14を配設すると、各軸11,12,13,14の軸荷重P1,P2,P3,P4は地面の形状に係りなく常に等しくなり、特定のタイヤ車軸に軸荷重が集中することはない。
【0063】
同じく図3(A)において、先頭の1対としたタイヤ車軸の前軸11と後軸12の1セットで車体9前部を上下伸縮なしに支持し、最後尾の1対としたタイヤ車軸の前軸13と後軸14の1セットで車体9後部を上下伸縮なしに支持している。
この結果、車両10の発進時に車体9前部が矢印Uの方向に浮き上る所謂スクワット及び車両10の停止時に車体9前部が矢印Dの方向に沈み込む所謂ノーズダウンは共に極めて小さくなる。
また、同じ理由で車体9の図示しない左右揺動(以下、ローリングと言う。)に対しても抑制効果がある。
【0064】
次に図3(B)において、前後方向に長い車体9は、前後方向の垂直面内の慣性モーメントIpが大きいから、運搬車両10が不整地を走行する際に、各タイヤ車軸11,12,13,14の動きに追従しきれずに矢印Pに示す揺動所謂ピッチングが発生しようとする。
他方、タイヤ車軸11,12,13,14は、図示の凸状地面においても中央部の車軸12,13が突っ張ることなく、先頭の1対の車軸11,12と最後尾の1対の車軸13,14で、車体9の前部と後部を上下伸縮なしに支持している。
これらの結果、ピッチングを効果的に抑制することができる。
【0065】
次に図4を参照して、段差乗り越え性能に係る作用及び効果を説明する。
図4は本発明による多軸車両の懸架装置の第1実施形態を適用したタイヤ式運搬車の段差乗り越え性能を説明する図であり、図4(A)は段差乗り越え始めを説明する図、図4(B)は段差乗り越状態を説明する図である。なお、図1〜図3と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0066】
先ず図4(A)において、段差高さSがタイヤ車輪11aの直径Dの1/2に等しい場合に、同段差に向って車両10が矢印Fの方向に進むとタイヤ軸11に矢印FRで示す力が加わり、それによって、4節リンク構造31の姿勢が変位させられる。
その結果図4(B)において、タイヤ車軸11はタイヤ車軸12を支点にしてαだけ高い位置から段差に乗り移ることができる。
これによって、車両10は、直径がD+2αのタイヤ車輪を有する車両と同等の、高い段差乗り越え性能を得ることができる。
【0067】
次に図5を参照して、軟弱地走破性能に係る作用及び効果を説明する。
図5は本発明による多軸車両の懸架装置の第1実施形態を適用したタイヤ式運搬車の軟弱地走破性能を説明する図であり、図5(A)〜(D)は軟弱地走破過程を説明する図である。なお、図1〜図4と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0068】
先ず図5(A)において、車両10が軟弱地の段差に向って矢印Fの方向に進むと、段差の先端S1によって4節リンク構造31の姿勢が変位してタイヤ車軸11が上方へαだけ持ちあがる。この際に、段差の先端S1を揚程αで跨ぐことができない時には、タイヤ車軸12が浮き上ってタイヤ車軸11に矢印P1で示す如く軸荷重が集中する。
その結果図5(B)において、タイヤ車軸11によるわだちT1が生じるが、タイヤ車軸12が接地すると、各タイヤ車軸11,12,13,14の軸荷重が等しくなる。
【0069】
その結果図5(C)において、わだちT1の深さは進行することなく、車両10は滑らかに前進することができる。
それらの結果図5(D)において、わだちT1が浅いから、左右わだちT1の中間部の段差先端S1が車軸14の中央部に接触する事が無く、スタック状態は発生し難い。
以上の結果、車両10は高い軟弱地走破性能を得ることができる。
【0070】
図6により、タイヤ車軸が4軸以外の多軸車両における実施形態を第2実施形態として述べる。
図6はタイヤ車軸を3軸及び5軸以上有するタイヤ式運搬車において、本発明による多軸車両の懸架装置の第2実施形態を説明する図であり、図6(A)は3軸車両における第1例を説明する図、図6(B)は3軸車両における第2例を説明する図、図6(C)は5軸車両における例を説明する図、図6(D)は6軸車両における例を説明する図である。なお、図1〜図5及び図15と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0071】
図6(A)において、車両10は3軸のタイヤ車軸91,13,14を有しており、後から2番目と1番目のタイヤ車軸13,14を最後尾の1対として、夫々を4節リンク構造32の下側の前節と後節の各近傍に取着している。
図6(B)において、車両10は3軸のタイヤ車軸11,12,93を有しており、前から1番目と2番目のタイヤ車軸11,12を先頭の1対として、夫々を4節リンク構造31の下側の前節と後節の各近傍に取着している。
図6(C)において、車両10は5軸のタイヤ車軸11,12,93,13,14を有しており、前から1番目と2番目のタイヤ車軸11,12を先頭の1対とし、後から2番目と1番目のタイヤ車軸13,14を最後尾の1対として、夫々を各4節リンク構造31と32夫々の下側の前節と後節の各近傍に取着している。
【0072】
図6(D)において、車両10は6軸のタイヤ車軸11,12,11X,12X,13,14を有しており、前から1番目と2番目のタイヤ車軸11,12を先頭の1対とし、後から2番目と1番目のタイヤ車軸13,14を最後尾の1対として、夫々を各4節リンク構造31と32夫々の下側の前節と後節の各近傍に取着している。
【0073】
又、中間部のタイヤ車軸11X,12Xを中間部の対として、同対の前軸11Xと後軸12Xの近傍で、上端部が車体9にピン結合され下端部が前軸11X近傍にある前リンク21Xと、上端部が車体9にピン結合され下端部が後軸12X近傍にある後リンク22Xと、同前リンク21Xと後リンク22X相互の下端部近傍を前後に連結する連結リンク1Xとを配設し、同車体9と前リンク21Xと後リンク22Xと連結リンク1Xとによって形成される4節リンク構造31Xの下側の前節と後節の各近傍に夫々前軸11Xと後軸12Xを取着して、且つ前記4節リンク構造31Xは、前記連結リンク1X側の辺長さLXaが前記車体9側の辺長さLXbよりも短いことを特徴としている。
なお、前軸11Xと後軸12Xの取着位置の詳細は、前記第1実施形態で詳述したタイヤ車軸11,12の取着位置(図1〜図2)と同じである。
【0074】
なお、上記は本発明による多軸車両の懸架装置の実施の1例であり、これに限ることなく、任意の隣接するタイヤ車軸を1対として良く、また、対の数も1対以上任意で良い。
【0075】
図6(A)による上記構成において得られる作用及び効果について、図7を参照して説明する。
なお、その他の図6(B)〜(D)による構成において得られる作用及び効果図は、前記第1実施形態におけるそれ(図3〜図5)と類似であり類推可能であるとして説明を省略する。
【0076】
図7は本発明による多軸車両の懸架装置の第2実施形態を適用した3軸車両の走行性能を説明する図であり、図7(A)は平坦地走行を説明する図、図7(B)は軟弱地走行を説明する図、図7(C)は不整地走行を説明する図である。なお、図1〜図6及び図15と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0077】
先ず図7(A)において、車体9後部は1対のタイヤ車軸の前軸13と後軸14の1セットで上下伸縮なしに支持されるが、4節リンク構造32の姿勢は自由であるから、車体9前部は矢印Qで示す上下方向に自由であり、同車体9前部が前から1番目のタイヤ車軸91の懸架装置91bで支持されて車体9の姿勢が決まる。これによって、車体9の前部に配設された運転室9cの乗り心地は、従来技術による懸架装置と同様の軟らかさを得ることができる。
【0078】
次に図7(B)において、車両10が軟弱地の段差を走行する際に、上記(1)と同じ理由によって地面の形状に係りなく、3軸の各タイヤ車軸の軸荷重P1,P2,P3は常に当初設定した配分が維持されて特定の車軸に軸荷重が集中することがない。これによって、車両は凹凸の有る軟弱地の走行において地面を荒らすことなく走破することができる。
【0079】
次に図7(C)において、車両10が不整地を走行する際に、図示の凸状地面においても中央のタイヤ車軸13が突っ張ることがなく、車体9後部を1対のタイヤ車軸の前軸13と後軸14の1セットで上下伸縮なしに支持するから、車体のピッチングを効果的に抑制することができる。
【0080】
図8により、第3実施形態の説明をする。
図8は本発明による多軸車両の懸架装置の第3実施形態を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。なお、図1〜図7と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0081】
図8において、先頭と最後尾の各4節リンク構造31,32夫々の連結リンク1,2に夫々油圧シリンダ1A,2Aを適用して、同連結リンク1,2の長さを調整可能にしている。
【0082】
図8による上記構成において、前記第1実施形態における作用及び効果に加えて、次の作用及び効果を得ることができる。
(1)4節リンク構造31,32の下辺である連結リンク1,2の長さを調整することによって、車両10の車高及びロードクリアランス(図示せず)を調整することができる。これによって、不整地では車高を高くしてスタックを防ぎ、平坦地では車高を低くして安定走行することが可能となる。
(2)例えば、先頭の1対のタイヤ車軸11,12において連結リンク1を長く調整し、最後尾の1対のタイヤ車軸13,14において連結リンク2を短く調整すれば、車体9を後下がりに傾斜させることが可能であり、これによって、車両10への荷物の積み下ろし作業を容易にすることができる。
【0083】
なお上記は連結リンク1,2の長さを調整する手段として油圧シリンダ1,2を用いたが、油圧シリンダに限ることなく、ターンバックル式ネジ(図示せず)その他の手段で長さ調整可能として良い。
なお又、上記はタイヤ車軸を4軸有するタイヤ式運搬車における実施例を述べたが、これに限ることなく、前記2実施形態で既述(図6)のタイヤ車軸を3軸及び5軸以上有するタイヤ式運搬車において同様に実施して良く、その場合に4節リンク構造31X(図6(D))も上記の4節リンク構造31におけると同様に構成して良い。
【0084】
図9により、第4実施形態の説明をする。
図9は本発明による多軸車両の懸架装置の第4実施形態を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。なお、図中の一点鎖線は油圧回路を表すものとし、図1〜図8と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0085】
図9において、先頭と最後尾の各4節リンク構造31,32夫々の連結リンク1,2に各油圧シリンダ1B,2Bを配設して、同油圧シリンダ1B,2Bによって連結リンク1,2を、荷重に応じて伸縮するサスペンションリンクの状態と長さ固定リンクの状態とに選択可能にしている。
なお、図中のアキュムレータ41a,42a,43a,44aと開閉弁41b,42b,43b,44bを含む油圧回路41,42,43,44は、上記機能を視覚的に示す目的で模式的に表したものであり、周知のこととして説明を省略する。
【0086】
図9による上記構成において、前記第1実施形態における作用及び効果に加えて、次の作用及び効果を得ることができる。
(1)各タイヤ車軸を前軸11,13と後軸12,14の各対として取着した各4節リンク構造31,32において、前軸11,13又は後軸12,14が地面の小さい凹凸に遭遇した際に、下辺である各連結リンク1,2が伸縮することによって、同前軸11,13又は後軸12,14は各前リンク21,23又は各後リンク22,24によって上下に揺動することができる。これによって、4節リンク構造31,32全体の姿勢を変位させることなく地面の小さい凹凸に対応することができる。この結果、地面の小さい凹凸に対する応答性が良好となり、平坦な地面における高速走行時の乗り心地が向上する。
【0087】
(2)地面の大きな凹凸に対しては、各4節リンク構造31,32全体の姿勢を変位させることによって、対応することができる。
(3)各連結リンク1,2の縮み側のストロークを制限することによって、車体9のピッチングを抑制することができる。
(4)各連結リンク1,2を、長さ固定リンクの状態に選択することによって、前述の高い段差乗り越え性能も保持することができる。
(5)図中矢印Y及びZの位置に切換弁と油圧源を接続すれば、油圧シリンダ1B,2Bの長さ調整が可能となり、それによって、前記第3実施形態におけると同様の作用及び効果を得ることができる。
【0088】
なお上記は連結リンク1,2の長さが荷重に応じて伸縮する手段として油圧シリンダ1B,2Bとアキュムレータ41a,42a,43a,44aを含む油圧回路41,42,43,44用いたが、同油圧回路に限ることなく、又、油圧シリンダ1B,2Bに限ることなく、周知のコイルバネとダンパーを組合わせた懸架装置等の他の手段を用いて良い。
なお又、上記はタイヤ車軸を4軸有するタイヤ式運搬車における実施例を述べたが、これに限ることなく、前記2実施形態で既述(図6)のタイヤ車軸を3軸及び5軸以上有するタイヤ式運搬車において同様に実施して良く、その場合に4節リンク構造31X(図6(D))も上記の4節リンク構造31におけると同様に構成して良い。
【0089】
図10により、第5実施形態の説明をする。
図10は本発明による多軸車両の懸架装置の第5実施形態を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。なお、図1〜図9と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0090】
図10において、各4節リンク構造31,32の姿勢を制御する油圧シリンダ51と同54を配設している。
【0091】
図10による上記構成において、前記第1実施形態における作用及び効果に加えて、更に得られる作用及び効果を、図11を参照して説明する。
図11は本発明による多軸車両の懸架装置の第5実施形態の作用を説明する図であり、図11(A)は第1の作用を、図11(B)は第2の作用を夫々説明する図である。なお、図1〜図10と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0092】
先ず図11(A)において、油圧シリンダ51と同54を縮めると、車両10は中央のタイヤ車軸12と同13のみで接地する。この状態ではホイルベースL3が図示しない左右のタイヤ車輪間の幅(トレッド)と略等しくなるから、これによって、左側のタイヤ車輪12a,13aと図示しない右側のタイヤ車輪を相互に単独駆動又は逆方向駆動することによって、車両10は信地旋回又は超信地旋回を行うことができる。
次に図11(B)において、油圧シリンダ51と同54を伸ばすと、車両10は先頭と最後尾の各タイヤ車軸11と同14のみで接地する。これによって、必要に応じて車両の前後方向安定性を最大にすることができる。
【0093】
なお、上記の油圧シリンダ51と54は図示の配設位置に限ることなく、夫々4節リンク構造31と32の姿勢を制御可能な任意の位置に配設して良い。
なお又、上記はタイヤ車軸を4軸有するタイヤ式運搬車における実施例を述べたが、これに限ることなく、前記2実施形態で既述(図6)のタイヤ車軸を3軸及び5軸以上有するタイヤ式運搬車において同様に実施して良く、その場合に4節リンク構造31X(図6(D))も上記の4節リンク構造31におけると同様に構成して良い。また上記の油圧シリンダ51と54に、バネ機能、または減衰力発生機能、またはバネ機能および減衰力発生機能の両方の機能を持たせたサスペンションシリンダとすると、4節リンク構造31と32の姿勢変化のスピードを和らげられ乗心地が良くなる。
【0094】
図12により、第6実施形態の説明をする。
図12は本発明による多軸車両の懸架装置の第6実施形態を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。なお、図1〜図11と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0095】
図12において、各4節リンク構造31,32夫々の連結リンク1,2に、前記第4実施形態(図9)における各油圧シリンダ1B,2Bを適用し、更に、各4節リンク構造31,32夫々の姿勢を制御する油圧シリンダ52と同53を配設している。
【0096】
図12による上記構成において、前記第5実施形態における作用及び効果に加えて、次の作用及び効果を得ることができる。
(1)図示の如く、先頭と最後尾の各タイヤ車軸11、14で接地した状態とし、各油圧シリンダ1B,2Bを、サスペンションリンクの状態に選択すれば、2軸走行が可能である。これによって、駆動ロスの少ない走行が可能となる。
(2)上記(1)の状態において、各油圧シリンダ1B,2Bを、長さ固定リンクの状態に選択すれば、車両の前後方向安定性を最大にすることができる。
【0097】
なお、上記はタイヤ車軸を4軸有するタイヤ式運搬車における実施例を述べたが、これに限ることなく、前記2実施形態で既述(図6)のタイヤ車軸を3軸及び5軸以上有するタイヤ式運搬車において同様に実施して良く、その場合に4節リンク構造31X(図6(D))も上記の4節リンク構造31におけると同様に構成して良い。
【0098】
図13により、第7実施形態の説明をする。
図13は本発明による多軸車両の懸架装置の第7実施形態を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。なお、図1〜図12と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0099】
図13において、各4節リンク構造31,32夫々の連結リンク1,2に各油圧シリンダ1C,2Cを適用して、同油圧シリンダ1C,2Cによって連結リンク1,2の長さを、拘束又は制御の状態とフリーの状態とに選択可能にすると共に、各4節リンク構造31,32夫々の各前リンク21,23と各後リンク22,24夫々の回動を制御するサスペンションシリンダ61,63と同62,64を配設している。なお、各サスペンションシリンダ61,62,63,64に長さ調整機能及び又は力を生じないフリー状態の機能を付与して良い。
【0100】
図13による上記構成において、前記第1実施形態及び第3〜4実施形態における作用及び効果に加えて、次の作用及び効果を得ることが出来る。
(1)各連結リンク1,2の長さを、フリーの状態に選択することによって、各前軸11,13と各後軸12,14は夫々独立懸架となり、これによって、高速走行において良好な乗り心地を得ることができる。
【0101】
(2)各連結リンク1,2の長さを、固定又は制御した状態に選択することによって、各前軸11,13と後軸12,14の動きは夫々4節リンク構造31,32によって支配される。これによって、不整地走行におけるピッチングの抑制が可能となり、大きな段差の乗り越え性能も保持することができる。
(3)上記(2)の状態で、各サスペンションシリンダ61,62,63,64を、力を生じないフリーの状態に選択可能にすれば、地面の形状に係りなく常に各前軸11,13と各後軸12,14の軸荷重が等しくなるから、軟弱地の走破性能も最大限に保持することができる。
【0102】
(4)上記(3)の状態で各油圧シリンダ1C,2Cを、長さ調整機能選択可能にすれば前記第3実施形態における作用及び効果を、サスペンション機能選択可能にすれば前記第4実施形態における作用及び効果を、夫々得ることができる。
(5)上記(2)の状態で、各サスペンションシリンダ61,62,63,64を長さ調節機能選択可能にすれば、前記第5実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
(6)上記(5)の状態において、各油圧シリンダ1C,2Cをサスペンション機能選択可能にすれば、前記第6実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0103】
なお上記は、連結リンク1,2の長さを、固定又は制御の状態とフリーの状態とに選択可能にする手段として油圧シリンダ1C,2Cを用いたが、油圧シリンダ1C,2Cに限ることなく、例えばスリーブ内を摺動するロッドで伸縮自由とし横断ピンで固定する(何れも図示せず。)等他の手段を用いて良い。
なお又、上記サスペンションシリンダ61,62,63,64に代えて、例えば周知のコイルバネとダンパーを組合わせた懸架装置又はトーションバー等他の懸架手段を用いて良い。
【0104】
なお更に、上記はタイヤ車軸を4軸有するタイヤ式運搬車における実施例を述べたが、これに限ることなく、前記2実施形態で既述(図6)のタイヤ車軸を3軸及び5軸以上有するタイヤ式運搬車において同様に実施して良く、その場合に4節リンク構造31X(図6(D))も上記の4節リンク構造31におけると同様に構成して良い。
【0105】
図14により、第8実施形態の説明をする。
図14は本発明による多軸車両の懸架装置の第8実施形態を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。なお、図1〜図13及び図15と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0106】
図14において、対として4節リンク構造32に取着とした前軸13と後軸14の相互のタイヤ車輪13aと14aを取巻いて履帯19を巻装している。
【0107】
図14による上記構成において、車両10の接地圧を更に低下させることが可能であり、更に、履帯19外周面突起19aの形状を選択することによって、軟弱地や草地等の地面の状況に応じた最適のトラクションを得ることが可能であり、これらによって、軟弱地の走破性能をより向上させることができる。
【0108】
なお上記は、タイヤ車軸を3軸有する多軸車両の唯一の対である前軸13と後軸14に履帯19を巻装しているが、これに限ることなく、タイヤ車軸を4軸以上有する多軸車両で任意の対の前軸と後軸に、任意の対数で履帯19を巻装して良い。又、履帯19に代えてチェーンを巻装して良い。
【0109】
以上の結果によって、タイヤ車軸を3軸以上有する多軸車両の懸架装置において、ピッチングの発生し難い走行安定性と高い段差乗り越え性能及び高い軟弱地走破性能を実現する多軸車両の懸架装置を提供することができる。
【0110】
以上はタイヤ式運搬車を例にして、多軸車両の懸架装置の実施形態について説明したが、タイヤ式運搬車に限ることなく、他の多軸車両の懸架装置においても普遍的に、上記と同様に実施する事が可能であり、上記と同様の作用及び効果を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による多軸車両の懸架装置の第1実施形態を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。
【図2】本発明による多軸車両の懸架装置の第1実施形態に係る応用例を説明する図である。
【図3】本発明による多軸車両の懸架装置の第1実施形態を適用したタイヤ式運搬車の走行安定性を説明する図である。
【図4】本発明による多軸車両の懸架装置の第1実施形態を適用したタイヤ式運搬車の段差乗り越え性能を説明する図である。
【図5】本発明による多軸車両の懸架装置の第1実施形態を適用したタイヤ式運搬車の軟弱地走破性能を説明する図である。
【図6】タイヤ車軸を3軸及び5軸以上有するタイヤ式運搬車において、本発明による多軸車両の懸架装置の第2実施形態を説明する図である。
【図7】本発明による多軸車両の懸架装置の第2実施形態を適用した3軸車両の走行性能を説明する図である。
【図8】本発明による多軸車両の懸架装置の第3実施形態を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。
【図9】本発明による多軸車両の懸架装置の第4実施形態を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。
【図10】本発明による多軸車両の懸架装置の第5実施形態を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。
【図11】本発明による多軸車両の懸架装置の第5実施形態の作用を説明する図である。
【図12】本発明による多軸車両の懸架装置の第6実施形態を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。
【図13】本発明による多軸車両の懸架装置の第7実施形態を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。
【図14】本発明による多軸車両の懸架装置の第8実施形態を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。
【図15】従来技術による多軸車両の懸架装置を適用したタイヤ式運搬車の側面図である。
【図16】従来技術による多軸車両の懸架装置を適用したタイヤ式運搬車の走行安定性を説明する図である。
【図17】従来技術による多軸車両の懸架装置を適用したタイヤ式運搬車の段差乗り越え性能を説明する図である。
【図18】従来技術による多軸車両の懸架装置を適用したタイヤ式運搬車の軟弱地走破性能を説明する図である。
【符号の説明】
1…連結リンク、1A…油圧シリンダ、1B…油圧シリンダ(サスペンションリンク)、1C…油圧シリンダ、2…連結リンク、2A…油圧シリンダ、2B…油圧シリンダ(サスペンションリンク)、2C…油圧シリンダ、9…車体、11…タイヤ車軸(前軸)、11a…タイヤ車輪、12…タイヤ車軸(後軸)、12a…タイヤ車輪、13…タイヤ車軸(前軸)、13a…タイヤ車輪、14…タイヤ車軸(後軸)、14a…タイヤ車輪、19…履帯、19a…突起、21…前リンク、22…後リンク、23…前リンク、24…後リンク、31…4節リンク構造、32…4節リンク構造、51…油圧シリンダ、52…油圧シリンダ、53…油圧シリンダ、54…油圧シリンダ、61…サスペンションシリンダ、62…サスペンションシリンダ、63…サスペンションシリンダ、64…サスペンションシリンダ。
Claims (9)
- タイヤ車軸を3軸以上有する多軸車両の懸架装置において、任意の隣接する前軸(11,11X,13)と後軸(12,12X,14)を各1対として、少なくとも1対以上の各対の前軸(11,11X,13)と後軸(12,12X,14)の近傍で、
上端部が車体(9)にピン結合され下端部が前軸(11,11X,13)近傍にある前リンク(21,21X,23)と、上端部が車体(9)にピン結合され下端部が後軸(12,12X,14)近傍にある後リンク(22,22X,24)と、同前リンク(21,21X,23)と後リンク(22,22X,24)相互の下端部近傍を前後に連結する連結リンク(1,1X,2)とを配設し、同車体(9,9,9)と前リンク(21,21X,23)と後リンク(22,22X,24)と連結リンク(1,1X,2)とによって形成される各4節リンク構造(31,31X,32)の下側の前節と後節の各近傍に夫々前軸(11,11X,13)と後軸(12,12X,14)を取着して、且つ
前記4節リンク構造(31,31X,32)は、前記連結リンク(1,1X,2)側の辺長さ(L1a,LXa,L2a)が前記車体(9,9,9)側の辺長さ(L1b,LXb,L2b)よりも短いことを特徴とする多軸車両の懸架装置。 - タイヤ車軸を3軸以上有する多軸車両の懸架装置において、車両の前から1番目と2番目の車軸(11,12)を先頭の1対とし、3番目以降の任意の隣接する前軸(11X,13)と後軸(12X,14)を各1対として、同先頭の1対を含む少なくとも1対以上の各対の前軸(11,11X,13)と後軸(12,12X,14)の近傍で、
上端部が車体(9)にピン結合され下端部が前軸(11,11X,13)近傍にある前リンク(21,21X,23)と、上端部が車体(9)にピン結合され下端部が後軸(12,12X,14)近傍にある後リンク(22,22X,24)と、同前リンク(21,21X,23)と後リンク(22,22X,24)相互の下端部近傍を前後に連結する連結リンク(1,1X,2)とを配設し、同車体(9,9,9)と前リンク(21,21X,23)と後リンク(22,22X,24)と連結リンク(1,1X,2)とによって形成される各4節リンク構造(31,31X,32)の下側の前節と後節の各近傍に夫々前軸(11,11X,13)と後軸(12,12X,14)を取着して、且つ
前記4節リンク構造(31,31X,32)は、前記連結リンク(1,1X,2)側の辺長さ(L1a,LXa,L2a)が前記車体(9,9,9)側の辺長さ(L1b,LXb,L2b)よりも短いことを特徴とする多軸車両の懸架装置。 - タイヤ車軸を3軸以上有する多軸車両の懸架装置において、車両の後から2番目と1番目の車軸(13,14)を最後尾の1対とし、同後から3番目より前の任意の隣接する前軸(11,11X)と後軸(12,12X)を各1対として、同最後尾の1対を含む少なくとも1対以上の各対の前軸(11,11X,13)と後軸(12,12X,14)の近傍で、
上端部が車体(9)にピン結合され下端部が前軸(11,11X,13)近傍にある前リンク(21,21X,23)と、上端部が車体(9)にピン結合され下端部が後軸(12,12X,14)近傍にある後リンク(22,22X,24)と、同前リンク(21,21X,23)と後リンク(22,22X,24)相互の下端部近傍を前後に連結する連結リンク(1,1X,2)とを配設し、同車体(9,9,9)と前リンク(21,21X,23)と後リンク(22,22X,24)と連結リンク(1,1X,2)とによって形成される各4節リンク構造(31,31X,32)の下側の前節と後節の各近傍に夫々前軸(11,11X,13)と後軸(12,12X,14)を取着して、且つ
前記4節リンク構造(31,31X,32)は、前記連結リンク(1,1X,2)側の辺長さ(L1a,LXa,L2a)が前記車体(9,9,9)側の辺長さ(L1b,LXb,L2b)よりも短いことを特徴とする多軸車両の懸架装置。 - タイヤ車軸を4軸以上有する多軸車両の懸架装置において、車両の前から1番目と2番目の車軸(11,12)を先頭の1対とし、車両の後から2番目と1番目の車軸(13,14)を最後尾の1対とし、中間部の任意の隣接する前軸(11X)と後軸(12X)を各1対として、同先頭の1対と同最後尾の1対を含む少なくとも2対以上の各対の前軸(11,11X,13)と後軸(12,12X,14)の近傍で、
上端部が車体(9)にピン結合され下端部が前軸(11,11X,13)近傍にある前リンク(21,21X,23)と、上端部が車体(9)にピン結合され下端部が後軸(12,12X,14)近傍にある後リンク(22,22X,24)と、同前リンク(21,21X,23)と後リンク(22,22X,24)相互の下端部近傍を前後に連結する連結リンク(1,1X,2)とを配設し、同車体(9,9,9)と前リンク(21,21X,23)と後リンク(22,22X,24)と連結リンク(1,1X,2)とによって形成される各4節リンク構造(31,31X,32)の下側の前節と後節の各近傍に夫々前軸(11,11X,13)と後軸(12,12X,14)を取着して、且つ
前記4節リンク構造(31,31X,32)は、前記連結リンク(1,1X,2)側の辺長さ(L1a,LXa,L2a)が前記車体(9,9,9)側の辺長さ(L1b,LXb,L2b)よりも短いことを特徴とする多軸車両の懸架装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の多軸車両の懸架装置において、
連結リンク(1,1X,2)の長さを調整可能とした
ことを特徴とする、多軸車両の懸架装置。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の多軸車両の懸架装置において、
連結リンク(1,1X,2)を、荷重に応じて長さが伸縮するサスペンションリンクとした
ことを特徴とする、多軸車両の懸架装置。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の多軸車両の懸架装置において、
4節リンク構造(31,31X,32)の姿勢を制御する油圧シリンダ(51,52,53,54)またはサスペンションシリンダを配設した
ことを特徴とする、多軸車両の懸架装置。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の多軸車両の懸架装置において、
連結リンク(1,1X,2)の長さを、拘束又は制御した状態と自由に開放した状態とに選択可能にすると共に、前リンク(21,21X,23)の回動を制御するサスペンションシリンダ(61,63)及び後リンク(22,21X,24)の回動を制御するサスペンションシリンダ(62,64)を夫々配設した
ことを特徴とする、多軸車両の懸架装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の多軸車両の懸架装置において、
各対とした前軸(11,11X,13)と後軸(12,12X,14)の少なくとも1対の前軸(13)と後軸(14)相互のタイヤ車輪(13a,14a)を取巻いてチェーン又は履帯(19)を巻装したことを特徴とする、多軸車両の懸架装置。
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