JP2004154774A - 高分子凝集剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (メタ)アクリルアミドを必須成分とするモノマーを、特定のラジカル重合用連鎖移動剤の2種または3種以上の存在下、重合させて得られる水溶性ビニルポリマーからなる高分子凝集剤の製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明の目的は、水および塩水に対する溶解性に優れ、低添加量でも凝沈速度と脱水率に優れる高分子凝集剤を提供することにある。
Z1−R1−(Q−R1)m−Z2 (1)
[式中、Z1、Z2はそれぞれ同一または異なる連鎖移動基、QはOおよび/またはNH、mは0〜2,000の整数、(m+1)個のR1は同一または異なる炭素数1〜8のアルキレン基を表す。];該製造方法で得られ、3〜35dl/gの固有粘度、5〜200mmの曳糸長を有する水溶性ビニルポリマー(A)からなる高分子凝集剤;並びに、該高分子凝集剤からなる産業廃水凝集沈殿用、下水汚泥の脱水用、石油の3次回収用、製紙工程での濾水歩留向上用または紙力増強用薬剤である。
(1)水および塩水に対する溶解性に優れる。
(2)高分子量で分子量分布が狭いことから、低添加量でも高い凝集効果(高凝沈速度、高脱水率)を発揮する。
(3)石油の3次回収用ポリマーとして使用した場合は、油層への圧入性に優れ、石油の回収率が大幅に向上する。
(4)製紙用歩留向上剤として使用した場合は、ろ水性に優れ、歩留まり率が大幅に向上する。
(5)紙力増強剤として用いた場合は、セルロース繊維への定着性に優れ、乾燥紙力が大幅に向上する。
下記(a11)〜(a13)、およびこれらの混合物
・(a11−1) (メタ)アクリレート誘導体[炭素数3〜250、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度51〜100)モノ(メタ)アクリレート、ポリグリセロール(重合度1〜10)モノ(メタ)アクリレート]
・(a11−2) (メタ)アクリルアミド誘導体[炭素数3〜20、例えばN−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド]
・(a11−3) 不飽和アルコール[炭素数2〜20、例えばビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール]
・(a11−4) (a11−2)以外の窒素原子含有ビニルモノマー〔複素環含有モノマー[炭素数4〜20、例えばN−ビニル−2−ピロリドン、ビニルイミダゾール、N−ビニルスクシンイミド、N−ビニルカルバゾール、2−ビニルピリジン、ビニルモルホリン]、芳香族モノマー[炭素数8〜20、例えばp−アミノスチレン]、鎖状モノマー[炭素数3〜20、例えば2−シアノエチル(メタ)アクリレート]など〕
下記の酸(a12−1)〜(a12−3)、これらの塩[アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩およびアミン(炭素数1〜20)塩など]およびこれらの混合物
・(a12−1) 不飽和カルボン酸〔脂肪族カルボン酸[炭素数3〜20、例えば(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、芳香族カルボン酸[炭素数6〜20、例えばビニル安息香酸]〕
・(a12−2) 不飽和スルホン酸{脂肪族スルホン酸[炭素数2〜20、例えばビニルスルホン酸]、芳香族スルホン酸[炭素数6〜20、例えばスチレンスルホン酸]、スルホン酸基含有(メタ)アクリレート〔炭素数2〜30、例えばスルホアルキル(炭素数4〜23)(メタ)アクリレート[スルホプロピル(メタ)アクリレート、スルホエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、p−(メタ)アクリロイルオキシメチルベンゼンスルホン酸〕、スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド[炭素数3〜30、例えばN−スルホプロピル(メタ)アクリルアミド、N−スルホエチル(メタ)アクリルアミド、2−アクリロイルアミノ−2−メチルプロパンスルホン酸、p−(メタ)アクリロイルアミノメチルベンゼンスルホン酸]、アルキル(炭素数1〜20)(メタ)アリルスルホコハク酸エステル[炭素数4〜30、例えばメチル(メタ)アリルスルホコハク酸エステル]など}
・(a12−3) (メタ)アクリロイルポリオキシアルキレン(炭素数2〜6)硫酸エステル[炭素数5〜105、例えば(メタ)アクリロイルポリオキシエチレン(エチレンオキシド付加モル数2〜50)硫酸エステル]など
下記の(a13−1)〜(a13−4)、これらの塩[無機酸(塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等)塩、4級化剤(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド等)の塩など]
・(a13−1) 窒素原子含有(メタ)アクリレート誘導体[炭素数4〜30、例えばN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート]
・(a13−2) 窒素原子(アミド基窒素を除く)含有(メタ)アクリルアミド誘導体[炭素数4〜30、例えばN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド]
・(a13−3) アミノ基を有するビニル化合物[炭素数3〜20、例えばビニルアニリン、(メタ)アリルアミン]
(a13−4) アミンイミド基を有する化合物[炭素数3〜30、例えば1,1,1−トリメチルアミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−エチルアミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2’−フェニル−2’−ヒドロキシエチル)アミン(メタ)アクリルイミド、1,1,1−トリメチルアミン(メタ)アクリルイミド]
下記の(a21)〜(a26)、およびこれらの混合物
・(a21) (メタ)アクリレート〔炭素数4〜23、例えば炭素数1〜20の脂肪族または脂環式アルコールの(メタ)アクリレート、[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート]、エポキシ基含有アルコールの(メタ)アクリレート、[炭素数4〜20、例えばグリシジル(メタ)アクリレート]〕
・(a24) 不飽和炭化水素モノマー[炭素数2〜30、例えばエチレン、ノネン、スチレン、1−メチルスチレン]
・(a25) 不飽和アルコール[炭素数2〜20,例えばビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール]とカルボン酸[炭素数1〜20、例えば酢酸、プロピオン酸]とのエステル(例えば酢酸ビニル)
・(a26) ハロゲン含有モノマー(炭素数2〜20,例えば塩化ビニル)
モノマー(a)中のその他のモノマーの割合は、高分子凝集剤がノニオン性高分子凝集剤の場合、(a1)は好ましくは0〜50モル%、さらに好ましくは0〜30モル%、(a2)は好ましくは0〜30モル%、さらに好ましくは0〜10モル%;アニオン性高分子凝集剤の場合、(a1)は好ましくは1〜99モル%、さらに好ましくは5〜50モル%、(a2)は好ましくは0〜30モル%、さらに好ましくは0〜10モル%;カチオン性高分子凝集剤の場合、(a1)は好ましくは1〜99モル%、さらに好ましくは5〜50モル%、(a2)は好ましくは0〜30モル%、さらに好ましくは0〜10モル%;両性高分子凝集剤の場合、構成モノマー中の(a1)は好ましくは1〜99モル%、さらに好ましくは5〜80モル%、(a2)は好ましくは0〜30モル%、さらに好ましくは0〜10モル%である。
上記(b)の2種または3種以上とは、別種のラジカル重合用連鎖移動剤の複数種の組み合わせであることを意味し、別種のラジカル重合用連鎖移動剤どうしは連鎖移動基Z1および/またはZ2が異なるという関係にあることを意味する。ここにおいて、別種の(b)のそれぞれは少なくともZ1およびZ2が同一であれば、タイプの異なるもの(例えばR1、Qおよび/またはmが異なるもの)を併用することができる。
該(b)の非存在下、または(b)のうちの1種のみの存在下では、高分子量かつ分子量分布が狭く、水および塩水に対する溶解性が良好な水溶性ビニルポリマーが得られず、また高分子凝集剤として使用した場合、高い脱水率が得られず多くの添加量が必要となる。
これらのうち、得られる(共)重合体の分子量制御の観点から好ましいのはZ1およびZ2がOH基、SH基およびNH2基からなる群から選ばれる官能基であり、さらに好ましいのはZ1およびZ2がともにOH基である連鎖移動剤(b1)、Z1およびZ2がともにSH基である連鎖移動剤(b2)およびZ1およびZ2がともにNH2基である連鎖移動剤(b3)の2種または3種の組み合わせからなるものであり、該好ましい組み合わせには、(b1)と(b2)、(b2)と(b3)、(b1)と(b3)および(b1)と(b2)と(b3)の組み合わせが含まれる。ここにおいて、(b1)、(b2)および(b3)としては、それぞれ上記の1タイプ単独でも、あるいは2タイプ以上のものを併用してもよい。
これらのうち、好ましいのはポリオキシアルキレンジオール、さらに好ましいのはポリエチレングリコールである。
これらのうち好ましいのはポリアルキレングリコールの両末端チオールエーテル、さらに好ましいのはエチレングリコール−ジ−2−メルカプトエチルエーテルである。
これらのうち好ましいのはアルキレンジアミン、さらに好ましいのはエチレンジアミンである。
水溶性アゾ系開始剤とレドックス系開始剤を併用する場合の割合は、好ましくは10,000/1〜1/100、さらに好ましくは1,000/1〜1/1である。水溶性アゾ系開始剤とレドックス系開始剤の併用の具体例としては、アゾビスシアノバレリン酸ナトリウムと過硫酸アンモニウム/硫酸水素ナトリウムとの組み合わせ;アゾビスアミジノプロパン酸ナトリウムと過硫酸アンモニウム/アスコルビン酸の組み合わせ;アゾビスシアノバレリン酸ナトリウムと過硫酸カリ/硫酸第一鉄の組み合わせなどが挙げられる。
ここで固有粘度は、30℃で1Nの硝酸ソーダ水溶液中で測定した値(単位dl/g)である。
ここにおいて、曳糸長は後述する方法で測定される値(単位mm)である。
また、曳糸長および不溶解分は下記の方法により測定した。
測定は曳糸長測定装置[協和科学(株)製]による。具体的な測定方法はつぎのとおり。
(共)重合体をイオン交換水に溶かして0.2%水溶液(液温25℃)とし、これにガラス球の下底が深さ11mmとなるようにガラス球(直径7mm)を浸漬する。約3秒間浸漬後、16mm/秒の速度でガラス球を引き上げた時、ガラス球と液面の間で形成される(共)重合体水溶液の糸(曳糸)が切れるまでの引き上げ距離を測定しこれを曳糸長(mm)とする。なお、該ガラス球は引き上げ用の糸が取り付けられた、約10mmのガラス棒付きのガラス球である。
1Lビーカーに0.1%の塩化ナトリウム水溶液500g(液温25℃)を入れ、これを長さ50mm、幅20mmの撹拌翼を取り付けたモーターにて700rpmで撹拌下、該水溶液中に2.5gの試料[(共)重合体、以下同じ]を加えて、2時間かけて溶解させる。予め秤量した100μm(150メッシュ)のステンレス製金網にて溶解液を減圧ろ過する(圧力約7kPa・s)。残渣を金網とともにアルミ皿に載せて、120℃の恒温槽で2時間乾燥させる。乾燥後の残渣を金網とともにデシケータ内で室温まで冷却後、秤量してステンレス製金網重量を差し引いた重量を[乾燥後の残渣量]とし、下記の式から不溶解分を求める。
不溶解分(%)=〔[乾燥後の残渣量(g)]/[溶解時の試料量(g)]〕×100
表1に示す、モノマーおよび連鎖移動剤と、イオン交換水280部を、撹拌機を備えたコルベンに仕込んだ。次に液温を25℃に温調し、系内を窒素で置換した。ついで重合開始剤として、アゾビスシアノバレリン酸ナトリウムの水溶液をアゾビスシアノバレリン酸ナトリウムの添加量が全モノマー重量の0.1%となるように、また、過硫酸アンモニウム水溶液を過硫酸アンモニウムの重量が全モノマー重量の0.002%となるように、さらに硫酸水素ナトリウム水溶液を硫酸水素ナトリウムの重量が全モノマー重量の0.01%となるように、撹拌しながら1分間隔で順次加えた。約1分後に重合が開始し、発熱が認められ内容物温度が70℃に到達したところで、その温度を保つよう温度調節し、10時間熟成を行なった。なお、内容物温度が70℃となったときの重合率は96%であった。重合中、内容物が高粘度となり、撹拌が困難となったため、撹拌は途中で停止した。重合完結後、内容物を取り出し、切断、破砕し、80℃で熱風乾燥した。これを、粉砕し粉末状の水溶性ビニルポリマーを得た。収率は99.8%以上であった。得られたポリマーの分析値を表1に示す。なお、ポリマーの分子量は固有粘度で、また分子量分布は曳糸長で評価したが、曳糸長が長いほど分子量分布が広く、短いほど分子量分布が狭いことを意味する。
AAm:アクリルアミド
NaA:アクリル酸ソーダ
DAAQ:塩化トリメチルアミノエチルアクリレート
PEG:ポリエチレングリコール(分子量6,000)
EGDM:エチレングリコールジメルカプトエチルエーテル
EDA:エチレンジアミン
表1の結果から、実施例1〜4の水溶性ビニルポリマーはそれぞれ対応する比較例1〜5の水溶性ビニルポリマーと同程度の固有粘度(同程度の分子量)でありながら、曳糸長が短い(分子量分布が狭い)ことが解る。
実施例1〜3および比較例1〜4で得た水溶性ビニルポリマーを用い、K砂利洗浄場廃水(懸濁物質0.33%、pH6.2)の凝沈試験を行った。試験結果を表2に示す。
なお、凝沈試験は廃水300mlを栓付き300mlメスシリンダー(沈降管)に入れ、これに水溶性ビニルポリマーの0.1%イオン交換水溶液を室温にて所定量添加した 。次にこの沈降管を10回転倒させて廃水と水溶性ビニルポリマー水溶液とを混合させ、フロックを形成させた後、沈降管を静置してフロック層の界面の沈降速度(凝沈速度、単位m/hr)を測定した。
水溶性ビニルポリマーに比較して、低添加量で、高い凝沈速度(凝沈性)が得られることがわかる。
実施例4および比較例5で得た水溶性ビニルポリマーを用い、T下水処理場混合生汚泥(固形分濃度1.0%、pH6.9、有機分79%)の脱水試験を行った。
なお、脱水試験は汚泥200mlを300mlビーカーにとり、これに水溶性ビニルポリマーの0.1%イオン交換水溶液を室温にて所定量加え、ジャーテスターにて180rpmで1分間撹拌してフロックを形成させた。これを小型遠心脱水機(1,500G)で脱水して、得られた脱水ケーキの含水率(%)を測定した。
Claims (9)
- (メタ)アクリルアミドを必須成分とするモノマー(a)を、一般式(1)で表されるラジカル重合用連鎖移動剤(b)の2種または3種以上の存在下、重合させて得られる水溶性ビニルポリマー(A)からなる高分子凝集剤の製造方法。
Z1−R1−(Q−R1)m−Z2 (1)
[式中、Z1、Z2はそれぞれ同一または異なる連鎖移動基、QはOおよび/またはNH、mは0〜2,000の整数、(m+1)個のR1は同一または異なる炭素数1〜8のアルキレン基を表す。] - (a)の重量に基づく(b)の割合が0.01〜10重量%である請求項1記載の製造方法。
- Z1およびZ2がOH、SHおよびNH2からなる群から選ばれる官能基である請求項1または2記載の製造方法。
- (b)が、Z1、Z2がともにOHである連鎖移動剤(b1)、Z1、Z2がともにSHである連鎖移動剤(b2)およびZ1、Z2がともにNH2である連鎖移動剤(b3)を2種または3種組み合わせてなる連鎖移動剤である請求項1〜3のいずれか記載の製造方法。
- (b1)と(b2)の重量比が10/1〜1,000,000/1である請求項4記載の製造方法。
- (b1)と(b3)の重量比が0.1/1〜1,000/1である請求項4または5記載の製造方法。
- (b2)と(b3)の重量比が0.00001/1〜1/1である請求項4〜6のいずれか記載の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか記載の製造方法で得られ、3〜35dl/gの固有粘度、5〜200mmの曳糸長を有する水溶性ビニルポリマー(A)からなる高分子凝集剤。
- 請求項8記載の高分子凝集剤からなる産業廃水凝集沈殿用、下水汚泥の脱水用、石油の3次回収用、製紙工程での濾水歩留向上用または紙力増強用薬剤。
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