JP2010070689A - (ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール重合体及びその用途 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(ポリ)アルキレングリコール鎖を有する重合体であって、上記重合体は、上記(ポリ)アルキレングリコール鎖の少なくとも一端に硫黄原子含有基を介して結合した不飽和単量体成分由来の構成単位を含むポリマー部位を有し、上記ポリマー部位を構成する不飽和単量体成分は、不飽和カルボン酸系単量体及び不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体を含み、上記(ポリ)アルキレングリコール鎖におけるアルキレングリコールの繰り返し単位数は、80未満である(ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール重合体である。
【選択図】なし
Description
しかしながら、セメント混和剤の使用量をより低減するために、更に高い分散性能を発揮することができるセメント混和剤の開発が求められていた。
しかしながら、これらの重合体は、昨今要望される更に高度のセメント分散性(減水性)を充分に発揮できる程度には至っていない。したがって、セメント混和剤の用途にも好適なものとすることによって、より多くの分野に有用な化合物とするための工夫の余地があった。
重合体(i):上記(ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール系重合体であって、(ポリ)アルキレングリコール鎖と、該(ポリ)アルキレングリコール鎖の片末端に硫黄原子含有基を介して結合した不飽和単量体成分由来の構成単位を含むポリマー部位とを有し、かつ該ポリマー部位を構成する不飽和単量体成分が、不飽和カルボン酸系単量体及び不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体を含む重合体。
重合体(ii):上記(ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール系重合体であって、(ポリ)アルキレングリコール鎖と、該(ポリ)アルキレングリコール鎖の一端に硫黄原子含有基を介して結合した不飽和単量体成分由来の構成単位を含むポリマー部位とを有するブロックポリマー単位を繰り返して有し、かつ該ポリマー部位を構成する不飽和単量体成分が、不飽和カルボン酸系単量体及び不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体を含む重合体。
重合体(iii):上記(ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール系重合体であって、(ポリ)アルキレングリコール鎖と、該(ポリ)アルキレングリコール鎖の両末端に硫黄原子含有基を介して結合した不飽和単量体成分由来の構成単位を含むポリマー部位とを有し、かつ該ポリマー部位を構成する不飽和単量体成分が、不飽和カルボン酸系単量体及び不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体を含む重合体。
重合体(iv):上記(ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール系重合体であって、2個の(ポリ)アルキレングリコール鎖と、該(ポリ)アルキレングリコール鎖を硫黄原子含有基を介して連結する不飽和単量体成分由来の構成単位を含むポリマー部位とを有し、かつ該ポリマー部位を構成する不飽和単量体成分が、不飽和カルボン酸系単量体及び不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体を含む重合体。
本発明はそして、セメントと、上記(ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール系重合体、又は、上記(ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール系重合体混合物とを含むセメント組成物でもある。
以下に本発明を詳述する。
なお、重量平均分子量は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
ここで、「主として」とは、例えば、(ポリ)アルキレングリコール鎖(1)を構成する全オキシアルキレン基(アルキレングリコール単位)100モル%に対し、オキシエチレン基が、50モル%以上となることが好ましい。より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
上記炭素数3以上のオキシアルキレン基としては、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシスチレン基、アルキルグリシジルエーテル残基等が挙げられる。中でも、製造の容易さからオキシプロピレン基、オキシブチレン基が好ましい。
上記炭素数3以上のオキシアルキレン基の導入量としては、求められる耐加水分解性の程度によるが、(ポリ)アルキレングリコール鎖(1)の両末端の存在数100モル%に対して、導入量が50モル%以上であることが好ましい。より好ましくは100モル%以上であり、更に好ましくは150モル%以上であり、特に好ましくは200モル%以上である。
また付加反応の際の反応温度は、二級アルコール基の導入率を高めるために50〜200℃であることが好ましい。より好ましくは70〜170℃、更に好ましくは90〜150℃、特に好ましくは100〜130℃である。
すなわち具体的には、(ポリ)アルキレングリコール鎖(1)の両末端又は片末端に(硫黄原子含有基を介して)不飽和カルボン酸系単量体由来のカルボキシル基を有するため、例えばセメント粒子に対してカルボキシル基で付着し、(ポリ)アルキレングリコール鎖(1)の立体反発によって、セメント粒子を効果的に分散させることができると考えられる。また、(ポリ)アルキレングリコール鎖(1)の両末端又は片末端に(硫黄原子含有基を介して)更に不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体由来の(ポリ)アルキレングリコール鎖(2)を有するため、(ポリ)アルキレングリコール鎖(1)の立体反発に、(ポリ)アルキレングリコール鎖(2)の立体反発が加わって、その相乗効果により、例えば、セメント粒子を分散させる性能が飛躍的に向上するものと考えられる。
なお、上記ポリマー部位におけるカルボキシル基の個数や、(ポリ)アルキレングリコール鎖(2)の鎖長及び個数は、使用される不飽和カルボン酸系単量体や不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体の種類や量に依存するため、特に限定されるものではない。
なお、上記重合反応に単量体(a)を使用することにより、上記重合体に、不飽和カルボン酸系単量体由来のカルボキシル基が導入されることになり、また、上記重合反応に単量体(b)を使用することにより、不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体由来の(ポリ)アルキレングリコール鎖(2)が導入されることになる。
上記R10はまた、セメント粒子の分散性の観点から親水性基であることが好ましく、具体的には、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であることが好適である。より好ましくは、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり、更に好ましくは、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。
これらを考慮すると、上記オキシアルキレン鎖中における炭素数3以上のオキシアルキレン基の割合は、当該オキシアルキレン鎖を構成する全オキシアルキレン基100モル%に対し、1モル%以上であることが好ましく、より好ましくは3モル%以上、更に好ましくは5モル%以上、特に好ましくは7モル%以上であり、また、50モル%以下であることが好ましく、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは20モル%以下、特に好ましくは10モル%以下である。
上記炭素数3以上のオキシアルキレン基としては、導入の容易さ、セメント粒子との親和性等の観点から、炭素数3〜8のオキシアルキレン基が好適である。より好ましくは、炭素数3のオキシプロピレン基や炭素数4のオキシブチレン基等である。
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸類と、炭素数1〜20のアルキルアルコール、炭素数2〜18のグリコール若しくはこれらのグリコールの付加モル数2〜300のポリアルキレングリコール、又は、炭素数1〜20のアルキルアルコールに炭素数2〜18のアルキレンオキシドを付加してなるアルキレンオキシドの付加モル数2〜300のアルコキシポリアルキレンオキシドとのモノエステル、ジエステル類;
上記不飽和ジカルボン酸類と、炭素数1〜20のアルキルアミン及び炭素数2〜18のグリコールの片末端アミノ化物、又は、これらのグリコールの付加モル数2〜300のポリアルキレングリコールの片末端アミノ化物とのモノアミド、ジアミド類;
上記不飽和モノカルボン酸と、炭素数1〜20のアルキルアミン及び炭素数2〜18のグリコールの片末端アミノ化物、又は、これらのグリコールの付加モル数2〜300のポリアルキレングリコールの片末端アミノ化物とのアミド類;
アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリルアルキルアミド、メタクリルアルキルアミド等の不飽和アミド類;
ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の不飽和アミノ化合物類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等の炭素数3〜20のアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
スチレン等の芳香族ビニル類;等。
ここで、(ポリ)アルキレングリコール鎖(1)の量と、単量体(a)、単量体(b)及び単量体(c)の使用量との関係は、(単量体(a)+単量体(b)+単量体(c))の和を100%とした際の(ポリ)アルキレングリコール鎖(1)の比率(単位は質量%)として表すと、単量体(a)が主成分である場合には、50〜99であることが好ましく、より好ましくは55〜95、更に好ましくは60〜90、特に好ましくは65〜85である。また、単量体(b)が主成分である場合には、0.5〜50であることが好ましく、より好ましくは1〜45、更に好ましくは2〜40、より更に好ましくは3〜35、特に好ましくは4〜30、最も好ましくは5〜25である。
なお、R11及びR12は、水酸基、アミノ基、アセチルアミノ基、シアノ基、カルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン基、スルホニル基、ニトロ基、ホルミル基等で一部置換されていてもよい。
これらを考慮すると、上記オキシアルキレン鎖中における炭素数3以上のオキシアルキレン基の割合は、当該オキシアルキレン鎖を構成する全オキシアルキレン基100モル%に対し、1モル%以上であることが好ましく、より好ましくは3モル%以上、更に好ましくは5モル%以上、特に好ましくは7モル%以上であり、また、50モル%以下であることが好ましく、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは20モル%以下、特に好ましくは10モル%以下である。
上記炭素数3以上のオキシアルキレン基としては、導入の容易さ、セメント粒子との親和性等の観点から、炭素数3〜8のオキシアルキレン基が好適である。より好ましくは、炭素数3のオキシプロピレン基や炭素数4のオキシブチレン基等である。
上記炭素数3以上のオキシアルキレン基としては、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシスチレン基、アルキルグリシジルエーテル残基等が挙げられる。中でも、製造の容易さからオキシプロピレン基、オキシブチレン基が好ましい。
上記炭素数3以上のオキシアルキレン基の導入量としては、求められる耐加水分解性の程度によるが、−(AO)q−の両末端の存在数100モル%に対して、導入量が50モル%以上であることが好ましい。より好ましくは100モル%以上であり、更に好ましくは150モル%以上であり、特に好ましくは200モル%以上である。
また付加反応の際の反応温度は、二級アルコール基の導入率を高めるために50〜200℃であることが好ましい。より好ましくは70〜170℃、更に好ましくは90〜150℃、特に好ましくは100〜130℃である。
なお、上記エステル化反応に使用可能なメルカプトカルボン酸としては、例えば、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトイソブチル酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、メルカプトステアリン酸、メルカプト酢酸、メルカプト酪酸、メルカプトオクタン酸、メルカプト安息香酸、メルカプトニコチン酸、システイン、N−アセチルシステイン、メルカプトチアゾール酢酸等が挙げられる。中でも、チオグリコール酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、メルカプトイソブチル酸が好適である。
上記酸化防止剤としては、通常使用される酸化防止剤を使用すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、フェノチアジン及びその誘導体;ハイドロキノン、カテコール、レゾルシノール、メトキノン、ブチルハイドロキノン、ブチルカテコール、ナフトハイドロキノン、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、トコフェロール、トコトリエノール、カテキン等のフェノール化合物;トリ−p−ニトロフェニルメチル、ジフェニルピクリルヒドロジン、ピクリン酸等のニトロ化合物;ニトロソベンゼン、クペロン等のニトロソ化合物;ジフェニルアミン、ジ−p−フルオロフェニルアミン、N−(3−N−オキシアニリノ−1,3−ジメチルブチリデン)アニリンオキシド等のアミン系化合物;TEMPOラジカル(2,2,6,6−tetramethyl−1−piperidinyloxyl)、ジフェニルピクリルヒドラジル、ガルビノキシル、フェルダジル等の安定ラジカル;アルコルビン酸やエリソルビン酸及びその塩又はエステル;ジチオベンゾイルジスルフィド;塩化銅(II);メルカプトエタノール、ジチオスレイトール、グルタチオン等のチオール類;Tris(2-carboxyethyl)phosphine塩酸塩等が挙げられ、これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。中でも、ラジカル捕捉剤や重合禁止剤としての機能をより有効に発揮できる化合物である、フェノチアジン及びその誘導体、フェノール系化合物、アスコルビン酸やエリソルビン酸及びそのエステルが好適であり、フェノチアジン、ハイドロキノン、メトキノンがより好適である。
なお、上記エステル化反応に使用可能なメルカプトカルボン酸としては、例えば、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトイソブチル酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、メルカプトステアリン酸、メルカプト酢酸、メルカプト酪酸、メルカプトオクタン酸、メルカプト安息香酸、メルカプトニコチン酸、システイン、N−アセチルシステイン、メルカプトチアゾール酢酸等が挙げられる。中でも、チオグリコール酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、メルカプトイソブチル酸が好適である。
上記硫黄原子含有基としては、例えば、−S−R11−COO−、−S−R11−CO−、−S−R11−CO−NH−、−S−R11−CO−NH−CH2−CH2−、−S−R11−、−S−R11−O−、−S−R11−N−、−S−R11−S−等が挙げられる。ここで、R11は、上記一般式(11)におけるR11と同意義である。これらの硫黄原子含有基のうち、−S−R11−COO−、−S−R11−CO−がより好適である。
この場合、q個のオキシアルキレン基からなる(ポリ)アルキレングリコール鎖(1)の両末端に、硫黄原子含有基を介して、単量体(a)由来のカルボキシル基を有する構成単位と、単量体(b)由来のp個のオキシアルキレン基からなる(ポリ)アルキレングリコール鎖(2)を有する構成単位と、単量体(c)を使用した場合には更に単量体(c)由来の構成単位とを有する重合体が主として生成する。それ以外に、上記重合体の構造が2回又はそれ以上繰り返されている重合体や、単量体(a)由来のカルボキシル基を有する構成単位と、単量体(b)由来のp個のオキシアルキレン基からなる(ポリ)アルキレングリコール鎖(2)を有する構成単位と、単量体(c)を使用した場合には更に単量体(c)由来の構成単位とを有する重合体が副次的に生成する。更に、単量体(a)と単量体(b)との重合体や、単量体(a)と単量体(b)と単量体(c)との重合体が生成することもある。
このような生成物について、上述した重合体(i)〜(iv)の分類を用いて示すと、上記一般式(11)で表される化合物又は該化合物を含む混合物(上記一般式(12)〜(14)で表される含む)の存在下で重合反応を行う場合、単量体(a)と単量体(b)とを使用するか、又は、単量体(a)と単量体(b)と単量体(c)とを使用すると、重合体(ii)及び重合体(iii)が重合体混合物として生成する。
この場合、q個のオキシアルキレン基からなる(ポリ)アルキレングリコール鎖(1)の一端に、硫黄原子含有基を介して、単量体(a)由来のカルボキシル基を有する構成単位と、単量体(b)由来のp個のオキシアルキレン基からなる(ポリ)アルキレングリコール鎖(2)を有する構成単位と、単量体(c)を使用した場合には更に単量体(c)由来の構成単位とを有する重合体が主として生成する。それ以外に、単量体(a)由来のカルボキシル基を有する構成単位と、単量体(b)由来のp個のオキシアルキレン基からなる(ポリ)アルキレングリコール鎖(2)を有する構成単位と、単量体(c)を使用した場合には更に単量体(c)由来の構成単位とを有するポリマー部位の両末端に、硫黄原子含有基を介して、q個のオキシアルキレン基からなる(ポリ)アルキレングリコール鎖(1)が結合した重合体や、単量体(a)由来のカルボキシル基を有する構成単位と、単量体(b)由来のp個のオキシアルキレン基からなる(ポリ)アルキレングリコール鎖(2)を有する構成単位と、単量体(c)を使用した場合には更に単量体(c)由来の構成単位とを有する重合体が副次的に生成する。更に、単量体(a)と単量体(b)との重合体や、単量体(a)と単量体(b)と単量体(c)との重合体が生成することもある。
このような生成物について、上述した重合体(i)〜(iv)の分類を用いて示すと、上記一般式(12)で表される化合物又は該化合物を含む混合物(上記一般式(14)で表される化合物を含む)の存在下で重合反応を行う場合、単量体(a)と単量体(b)とを使用するか、又は、単量体(a)と単量体(b)と単量体(c)とを使用すると、重合体(i)及び重合体(iv)が重合体混合物として生成する。
上記重合開始剤の使用量は、上記一般式(11)又は(12)で表される化合物の種類や量に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、ラジカル重合開始剤が重合する単量体に対して少なすぎると、ラジカル濃度が低すぎて重合反応が遅くなり、逆に多すぎると、ラジカル濃度が高すぎて、メルカプト基やジスルフィド結合からの重合より単量体からの重合が優先し、ブロックポリマーの収率が充分とはならないおそれがある。それゆえ、ラジカル重合開始剤の使用量は、不飽和単量体成分100モル%に対して、好ましくは0.001モル%以上、より好ましくは0.01モル%以上、更に好ましくは0.1モル%以上、特に好ましくは0.2モル%以上であり、また、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下、更に好ましくは2モル%以下、特に好ましくは1モル%以下である。
例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩等のアゾアミジン化合物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩等の環状アゾアミジン化合物、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル等のアゾニトリル化合物、2,4’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}等のアゾアミド化合物、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)と(アルコキシ)ポリエチレングリコールとのエステル等のマクロアゾ化合物等の水溶性アゾ開始剤;等が使用される。これらの重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの重合開始剤のうち、メルカプト基やジスルフィド結合からラジカルを発生させやすい水溶性アゾ開始剤が好適である。
なお、上記連鎖移動剤としては、1種又は2種以上使用することができ、また、親水性連鎖移動剤と疎水性連鎖移動剤とを組み合わせて用いてもよい。
また不飽和単量体成分の反応容器への添加方法としては特に限定されず、例えば、全量を反応容器に初期に一括投入する方法;全量を反応容器に分割又は連続投入する方法;一部を反応容器に初期に投入し、残りを反応容器に分割又は連続投入する方法;のいずれであってもよい。また、ラジカル重合開始剤や連鎖移動剤は、反応容器に初めから仕込んでもよく、反応容器へ滴下してもよく、また、目的に応じてこれらを組み合わせてもよい。
(1)溶媒を入れた密閉容器内に窒素等の不活性ガスを加圧充填後、密閉容器内の圧力を下げることで溶媒中の酸素の分圧を低くする。窒素気流下で、密閉容器内の圧力を下げてもよい。
(2)溶媒を入れた容器内の気相部分を窒素等の不活性ガスで置換したまま液相部分を長時間激しく攪拌する。
(3)容器内に入れた溶媒に窒素等の不活性ガスを長時間バブリングする。
(4)溶媒を一旦沸騰させた後、窒素等の不活性ガス雰囲気下で冷却する。
(5)配管の途中に静止型混合機(スタティックミキサー)を設置し、溶媒を重合反応槽に移送する配管内で窒素等の不活性ガスを混合する。
従って、低いpHで重合反応を行った後にアルカリ性物質を添加してより高いpHに調整することが好ましい。
なお、このように上記(ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール重合体又はその重合体混合物(以下、「重合体成分」ともいう。)を含む分散剤及びセメント混和剤もまた、本発明の1つである。
以下、代表的な分散剤として、セメント混和剤について説明する。
上記セメント混和剤にはまた、必要に応じて、重合体成分以外に、ポリカルボン酸系重合体を配合してもよい。その際、配合量は、重合体成分/ポリカルボン酸系重合体の比率(単位は質量%)で、90/10〜10/90とすることが好適である。より好ましくは80/20〜20/80、更に好ましくは70/30〜30/70、特に好ましくは60/40〜40/60である。
上記スルホン酸系混和剤は、主にスルホン酸基によってもたらされる静電的反発によりセメントに対する分散性を発現する混和剤であって、従来公知の各種スルホン酸系混和剤を用いることができるが、分子中に芳香族基を有する化合物であることが好ましい。例えば、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のポリアルキルアリールスルホン酸塩系;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のメラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系;アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等の芳香族アミノスルホン酸塩系;リグニンスルホン酸塩、変性リグニンスルホン酸塩等のリグニンスルホン酸塩系;ポリスチレンスルホン酸塩系等の各種スルホン酸系混和剤が挙げられる。水/セメント比が高いコンクリートの場合には、リグニンスルホン酸塩系の混和剤が好適に使用され、一方、より高い分散性能が要求される水/セメント比が中程度のコンクリートの場合には、ポリアルキルアリールスルホン酸塩系、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系、芳香族アミノスルホン酸塩系、ポリスチレンスルホン酸塩系等の混和剤が好適に使用される。なお、分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系混和剤は、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
上記オキシカルボン酸系化合物としては、炭素数4〜10のオキシカルボン酸又はその塩が好ましく、オキシカルボン酸系化合物としてグルコン酸又はその塩を使用することが好ましい。
(1)水溶性高分子物質
(2)高分子エマルジョン
(4)早強剤・促進剤
(5)オキシアルキレン系以外の消泡剤
(6)AE剤
(7)その他界面活性剤
(8)防水剤
(9)防錆剤
(10)ひび割れ低減剤
(11)膨張材
上記水硬性組成物の中では、水硬性材料としてセメントを使用するセメント組成物が最も一般的であり、該セメント組成物は、本発明のセメント混和剤、セメント及び水を必須成分として含有する。このようなセメント組成物もまた、本発明の1つである。すなわち、セメントと、上記(ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール系重合体又は上記(ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール系重合体混合物とを含むセメント組成物もまた、本発明の1つである。
本明細書に記載の各略号について、表1に示す。
原料PAGは、下記条件で数平均分子量(Mn)を分析し、このMnから、PAG中のオキシアルキレン基(AO)の平均付加モル数(AO繰り返し単位数)を算出した。また、実施例で得た本発明重合体及び比較例で得た比較重合体の重量平均分子量及び数平均分子量は、以下のような測定条件を用いて測定した。
装置:Waters Alliance(2695)
解析ソフト:Waters社製、Empowerプロフェッショナル+GPCオプション
使用カラム:東ソー(株)製、TSK guard column SWXL+TSKgel G4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL
検出器:示差屈折率計(RI)検出器(Waters 2414)、多波長可視紫外(PDA)検出器(Waters 2996)
溶離液:水10999g、アセトニトリル6001gの混合溶媒に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶解し、更に酢酸でpH6.0に調整した溶液を使用した。
較正曲線作成用標準物質:ポリエチレングリコール(ピークトップ分子量(Mp)272500、219300、107000、50000、24000、12600、7100、4250、1470)
較正曲線:上記ポリエチレングリコールのMp値と溶出時間とを基礎にして3次式で作成した。
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
測定時間:45分
試料液注入量:100μL(PAG、PAGチオールは試料濃度0.4質量%、重合体は試料濃度0.5質量%の溶離液溶液)
RIクロマトグラムにおいて、溶出直前・溶出直後のベースラインにおいて平らに安定している部分を直線で結び、ピークを検出・解析した。多量体や不純物が目的ピークに一部重なって測定された場合は、ピークの重なり部分の最凹部において垂直分割し、目的物の分子量を測定した。アルキレンオキシド(AO)の平均付加モル数(繰り返し単位数)は、Mnの値から計算した。
RIクロマトグラムにおいて、溶出直前・溶出直後のベースラインにおいて平らに安定している部分を直線で結び、ピークを検出・解析した。多量体や不純物が目的物ピークに一部重なって検出された場合は、ピークの重なり部分の最凹部において垂直分割し、目的物の分子量を測定した。
単量体純分量及び多量化物量の計算;
RI検出器によるピーク面積の比より、下記のようにして計算した。
単量体純分量=(PAGチオール面積)/(多量化物ピーク面積+PAGチオール面積)
多量化物量=(多量化物ピーク面積)/(多量化物ピーク面積+PAGチオール面積)
得られたRIクロマトグラムにおいて、ポリマー溶出直前・溶出直後のベースラインにおいて平らに安定している部分を直線で結び、ポリマーを検出・解析した。ただし、単量体、単量体由来の不純物、PAGチオール由来と思われる低分子量体ピーク等がポリマーピークに一部重なって測定された場合、それらとポリマーの重なり部分の最凹部において垂直分割して重合体部と単量体部とを分離し、重合体部のみの分子量・分子量分布を測定した。重合体部とそれ以外が完全に重なり分離できない場合はまとめて計算した。
重合体純分の計算:
RI検出器によるピーク面積の比より、下記のようにして計算した。
重合体純分=(重合体ピーク面積)/(重合体ピーク面積+重合体以外のピーク面積)
LCによる分析法の一例を示す。但し、PAGチオールの構造によってはこの条件で分析できないものがあり、その際は適宜LCカラムや溶離液等の条件を変更して分析を行った。
装置:Waters Alliance(2695)
解析ソフト:Waters社製 Empowerプロフェッショナル+GPCオプション
カラム:GLサイエンス Inertsil ODS−2 ガードカラム+カラム(内径4.6mm×250mm×3本)
検出器:示差屈折率計(RI)検出器(Waters 2414)、多波長可視紫外(PDA)検出器(Waters 2996)
溶離液:アセトニトリル/100mM酢酸イオン交換水溶液=40/60(質量%)の混合物に30%NaOH水溶液を加えてpH4.0に調整した溶液を使用した。
流量:0.6mL/min
カラム温度:40℃
試料液注入量:100μL(試料濃度1質量%の溶離液溶液)
総エステル化率の計算:
RI検出器によるピーク面積の比より、下記のようにして計算した。
総エステル化率=(モノエステルピーク面積+ジエステルピーク面積)/(原料PAG面積+モノエステルピーク面積+ジエステルピーク面積)
ジエステル/総エステル比の計算:
RI検出器によるピーク面積の比より、下記のようにして計算した。
ジエステル/総エステル比=(ジエステルピーク面積)/(モノエステルピーク面積+ジエステルピーク面積)
なお、ここでのモノエステルとは、モノチオール変性単量体であり、ジエステルとは、ジチオール変性体である。
試料約0.5gをアルミ皿に量り採り、水約1gで希釈して均一に広げた。窒素雰囲気下、130℃で1時間乾燥させ、デシケーター中で放冷した後、乾燥後質量を量った。乾燥前後の質量差により固形分(不揮発分)濃度を計算した。
PAGチオールや、重合体の水溶液の濃度としては、特に断りがない限り、上記の手順で測定した固形分を用いた。
原料PAG(PAG No.G−3、G−11及びGF−1)について、表2に示す。
比較製造例P13、製造例P24及びP31
表4−1〜4−2に示すように、所定のPAG、チオール基含有化合物(メルカプトカルボン酸)、酸触媒及び酸化防止剤を原料として、所定の仕込み量(単位:g)を仕込み、所定の反応温度・反応時間で、チオール変性単量体(PAGチオール)を調製した。なお、表4−2中、「−」とは、該当する原料を添加しなかったこと、又は、該当する有機残基が存在しないことを意味する。
また表4−1中の製法PT−1は、以下の通りである。
(1)エステル化工程
ジムロート冷却管付の水分定量受器、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、ガラス保護管付温度センサーを備えたガラス製反応器内に原料を仕込んだ。水分定量受器をシクロヘキサン(溶媒)で満たした後、反応系内を撹拌しながら、還流するまで加温した。反応系内の温度が110±5℃になるように途中でシクロヘキサンを加えながら所定時間加温し、脱水エステル化反応を行った。
なお、反応時間は、理論脱水量への到達及びLCとGPCの分析結果により決定した。
(2)脱溶媒工程
エステル化工程後、固化しないように撹拌しながら反応溶液を60℃以下に放冷した後、所定量の30%NaOH水溶液と水の混合物を速やかに反応器内に投入した。次に、この反応溶液を約70℃まで昇温し、還流が落ち着いてから徐々に約100℃まで加温してシクロヘキサンを留去した。溶媒留去後、加温を停止し、放冷しながら窒素を30mL/分で90分バブリングして残存シクロヘキサンを除去し、チオール変性単量体(PAGチオール)の水溶液を得た。
(3)1H−NMR分析
PAGチオールのエステル化工程後のサンプルを一部採取し、溶媒を重クロロホルムに置換して1H−NMRスペクトルを測定した。
(i)測定条件
機器:Varian 400MHz−NMR Unity plus
溶媒:CDCl3(TMSを0.05体積%含有)
温度:30℃
積算:32回
(ii)結果
下記表3のようになった。
なお、表3では、比較例P13で得たT−9についての解析結果しか記載していないが、製造例P24及びP31で得た生成物も同様の解析結果となる。
次に、比較製造例P13、製造例P24及びP31で得たチオール変性単量体(PAGチオール)を用いて、不飽和カルボン酸系単量体としての(メタ)アクリル酸と、不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体としてのポリアルキレンエチレングリコール系モノマー(以下、「PEGモノマー」ともいう。)とを重合して得られる本発明の重合体、比較用重合体の実施例並びに比較例について説明する。
表5及び表6に記載する重合条件で、重合体を合成した。各重合体についての分析結果は表5に記載する通りである。
なお、これらの実施例及び比較例では、重合体の組成は、SMAA換算(不飽和カルボン酸系単量体をNaOHで完全中和した場合)の質量比で表しており、PAGチオールは外割で考慮しているので、合計は100%になっていない。
<製法F−1>
単量体溶液として、所定量の単量体、PAGチオール、水酸化ナトリウムの水溶液を調製した。開始剤溶液として、所定量の開始剤水溶液を調製した。
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素ガス導入管、温度センサーを備えたガラス製反応器内に所定量の水を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素ガスを100〜200mL/minで導入しながら所定温度まで加温した。続いて、所定量の単量体溶液を4時間、開始剤溶液を5時間かけて反応器内に滴下し、滴下完了後、所定温度で1時間保持して重合反応を完結させた。室温まで冷却後、必要に応じて、30%NaOH水溶液を加えてpHを調整し、重合体の水溶液を得た。
(ポリ)アルキレングリコール鎖(1)の両末端に硫黄原子含有基を介して結合したポリマー部位を有し、該ポリマー部位が不飽和カルボン酸系単量体(メタクリル酸)由来のカルボキシル基と、不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体(メトキシポリエチレングリコールメタクリレート)由来の(ポリ)アルキレングリコール鎖(2)とを有する重合体(iii)を主成分とし、(ポリ)アルキレングリコール鎖(1)の片末端に硫黄原子含有基を介して結合したポリマー部位(前記と同様の構造)を有する重合体(i)と、(ポリ)アルキレングリコール鎖(1)の片末端に硫黄原子含有基を介して結合したポリマー部位(前記と同様の構造)を有する構成単位を、繰り返して有する重合体(ii)と、ポリマー部位(前記と同様の構造)の両末端に硫黄原子含有基を介して結合した(ポリ)アルキレングリコール鎖(1)を有する重合体(iv)とを、少量含む混合物であった。
比較例F4、参考例L5
表7−1〜7−2及び8−1〜8−2に記載する重合条件で、重合体F−4及び重合体L−5を各々合成した。これらの分析結果は表7−1及び8−1に記載する通りである。
表7−1中の製法F−4は、以下の通りである。
<製法F−4>
単量体/連鎖移動剤溶液として、所定量の単量体及び連鎖移動剤を含む水溶液を調製した。また、開始剤溶液として、所定量の開始剤水溶液を調製した。
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素ガス導入管、温度センサーを備えたガラス製反応器内に所定量の水を仕込み、200rpmで撹拌下、窒素ガスを100〜200mL/minで導入しながら所定温度まで加温した。続いて、所定量の単量体溶液を4時間、開始剤溶液を5時間かけて反応器内に滴下し、滴下完了後、所定温度で1時間保持して重合反応を完結させた。室温まで冷却後、必要に応じて、30%NaOH水溶液を加えてpHを調整し、比較重合体の水溶液を得た。
得られた比較重合体は、不飽和カルボン酸系単量体(メタクリル酸)由来のカルボキシル基と不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体(メトキシポリエチレングリコールメタクリレート)由来の(ポリ)アルキレングリコール鎖(2)とを有するが、(ポリ)アルキレングリコール鎖(1)を有しない重合体である。
<製法I−3>
単量体溶液として、所定量の単量体水溶液を調製した。反応器仕込開始剤溶液として、所定量の開始剤水溶液を調製した。滴下開始剤/連鎖移動剤溶液として、所定量の開始剤/移動剤水溶液を調製した。
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素ガス導入管、温度センサーを備えたガラス製反応器に所定量の単量体、水を仕込み、200rpmで撹拌下、窒素ガスを100〜200mL/minで導入しながら所定温度まで加温した。次いで、所定量のH2O2水溶液を全量投入し、所定温度まで加温した。続いて、所定量のモノマー溶液を3時間、開始剤/移動剤溶液を3.5時間かけて反応器内に滴下した。滴下完了後、所定温度で1時間保持して重合反応を完結させた。室温まで冷却後、必要に応じて、30%NaOH水溶液を加えてpHを調整し、比較重合体の水溶液を得た。
得られた比較重合体は、不飽和カルボン酸系単量体(アクリル酸)由来のカルボキシル基と、不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体(3−メチル−3−ブテン−1−オールのエチレンオキシド(EO)付加体)由来の(ポリ)アルキレングリコール鎖(2)とを有するが、(ポリ)アルキレングリコール鎖(1)を有しない重合体である。
試験例142〜166、190〜195
次に、実施例で得た本発明の重合体及び比較例で得た比較重合体のコンクリート試験による性能評価を行った試験例について説明する。
コンクリート配合:
実施例で得た本発明重合体及び比較例で得た比較重合体をセメント混和剤として用いて、表9に示すコンクリートNo.3〜5をそれぞれ調合・混練した。
表9に示す配合で、容量50Lの強制練りパン型ミキサーにセメント(C)及び砂(S)を仕込み、10秒間空練を行った後、水及びセメント混和剤(W)を添加し、表9に記載の時間混練を行い、石(G)を添加してコンクリートNo.3〜5を調製した。
評価方法及び評価基準:
日本工業規格(JIS A1101−2005年、1128−2005年、6204−2006年)に準拠し、各コンクリート配合で得たコンクリートのスランプ値及びスランプフロー値の測定を行った。結果を表10−1〜10−3に示す。
なお、スランプ値、スランプフロー値は大きいほど、コンクリートの流動性が高いことを示す。スランプ値やスランプフロー値が同等であれば、添加量が少ない混和剤ほど、セメント分散性能が良好であり、減水性能が高いことを示す。
表10−1〜10−3から明らかなように、実施例で得られた本発明の重合体を用いたコンクリートは、いずれのコンクリート配合においても、比較例で得られた比較重合体を用いたコンクリートに比べて、セメント混和剤としての重合体の配合量が同一の場合には、より優れたフロー値を示し、重合体の配合量が少ない場合でも、同等又はそれ以上のフロー値を示している。言い換えると、比較重合体を用いたコンクリートは、本発明の重合体を用いたコンクリートと同程度のフロー値を示すには、より多くの重合体配合量が必要である。それゆえ、本発明の重合体は、低減水率領域であっても、比較用重合体に比較して極めて優れた分散性能を発揮することが分かる。
Claims (8)
- (ポリ)アルキレングリコール鎖を有する重合体であって、
該重合体は、該(ポリ)アルキレングリコール鎖の少なくとも一端に硫黄原子含有基を介して結合した不飽和単量体成分由来の構成単位を含むポリマー部位を有し、
該ポリマー部位を構成する不飽和単量体成分は、不飽和カルボン酸系単量体及び不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体を含み、
該(ポリ)アルキレングリコール鎖におけるアルキレングリコールの繰り返し単位数は、80未満であることを特徴とする(ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール重合体。 - 前記(ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール重合体は、分子内に(ポリ)アルキレングリコール鎖と少なくとも1個のメルカプト基及び/又はジスルフィド結合とを有する化合物の存在下で、不飽和カルボン酸系単量体及び不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体を含む不飽和単量体成分を重合して得られるものであることを特徴とする請求項1に記載の(ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール重合体。
- 請求項1又は2に記載の(ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール系重合体を製造する方法であって、
該製造方法は、1分子中に(ポリ)アルキレングリコール鎖とメルカプト基及び/又はジスルフィド結合とを有する化合物の存在下で、不飽和カルボン酸系単量体及び不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体を含む不飽和単量体成分を重合する工程を含むことを特徴とする(ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール系重合体の製造方法。 - 請求項1又は2に記載の(ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール系重合体を含む重合体混合物であって、
該重合体混合物は、下記重合体(i)〜(iv)のうちいずれか2以上の重合体を含むことを特徴とする(ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール重合体混合物。
重合体(i):請求項1又は2に記載の(ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール系重合体であって、(ポリ)アルキレングリコール鎖と、該(ポリ)アルキレングリコール鎖の片末端に硫黄原子含有基を介して結合した不飽和単量体成分由来の構成単位を含むポリマー部位とを有し、かつ該ポリマー部位を構成する不飽和単量体成分が、不飽和カルボン酸系単量体及び不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体を含む重合体。
重合体(ii):請求項1又は2に記載の(ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール系重合体であって、(ポリ)アルキレングリコール鎖と、該(ポリ)アルキレングリコール鎖の一端に硫黄原子含有基を介して結合した不飽和単量体成分由来の構成単位を含むポリマー部位とを有するブロックポリマー単位を繰り返して有し、かつ該ポリマー部位を構成する不飽和単量体成分が、不飽和カルボン酸系単量体及び不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体を含む重合体。
重合体(iii):請求項1又は2に記載の(ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール系重合体であって、(ポリ)アルキレングリコール鎖と、該(ポリ)アルキレングリコール鎖の両末端に硫黄原子含有基を介して結合した不飽和単量体成分由来の構成単位を含むポリマー部位とを有し、かつ該ポリマー部位を構成する不飽和単量体成分が、不飽和カルボン酸系単量体及び不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体を含む重合体。
重合体(iv):請求項1又は2に記載の(ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール系重合体であって、2個の(ポリ)アルキレングリコール鎖と、該(ポリ)アルキレングリコール鎖を硫黄原子含有基を介して連結する不飽和単量体成分由来の構成単位を含むポリマー部位とを有し、かつ該ポリマー部位を構成する不飽和単量体成分が、不飽和カルボン酸系単量体及び不飽和(ポリ)アルキレングリコール系単量体を含む重合体。 - 更に、不飽和カルボン酸系単量体及び(ポリ)アルキレングリコール系単量体を含む単量体成分を重合してなる重合体を含有することを特徴とする請求項4に記載の(ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール系重合体混合物。
- 請求項1若しくは2に記載の(ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール系重合体、又は、請求項4若しくは5に記載の(ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール系重合体混合物を含むことを特徴とする分散剤。
- 請求項1若しくは2に記載の(ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール系重合体、又は、請求項4若しくは5に記載の(ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール系重合体混合物を含むことを特徴とするセメント混和剤。
- セメントと、請求項1若しくは2に記載の(ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール系重合体、又は、請求項4若しくは5に記載の(ポリ)アルキレングリコール鎖含有チオール系重合体混合物とを含むことを特徴とするセメント組成物。
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