JP7160632B2 - ポリカルボン酸系共重合体 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリカルボン酸系共重合体に関する。より詳しくは、セメント混和剤やセメント組成物等に好適に用いることができるポリカルボン酸系共重合体に関する。
ポリカルボン酸系共重合体は、例えば、分散剤やセメント混和剤の他、水処理剤、スケール防止剤等の各種用途に用いられており、中でも、セメント混和剤の主成分として、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物から土木・建築構造物等を構築するために欠かすことのできないものとなっている。このような共重合体を含むセメント混和剤は、減水剤等として用いられ、セメント組成物の流動性を高めてセメント組成物を減水させることにより、硬化物の強度や耐久性等を向上させる作用を有することになる。なお、減水剤としては、従来、ナフタレン系等の減水剤が使用されていたが、これに比べてポリカルボン酸系共重合体等の共重合体を主成分とするセメント混和剤は高い減水性能を発揮できるため、高性能AE減水剤として多くの使用実績を有するに至っている。
このようなセメント混和剤として種々のポリカルボン酸系共重合体が開発されており、例えば、特許文献1には、所定の構造で表される単量体1と所定の構造で表される単量体2と所定の構造で表される単量体3とを重合して得られる共重合体と、初期水和が抑制されたセメントとを含有する水硬性組成物であって、前記共重合体の構成単量体中、単量体1の含有率が25~85重量%であり、単量体2の含有率が10~70重量%であり、単量体3の含有率が5~20重量%であり、単量体2/単量体3(重量比)で1超である水硬性組成物が開示されている。また、特許文献2には、所定の構造で表される単量体1と所定の構造で表される単量体2と所定の構造で表される単量体3とを重合して得られる共重合体を含有する水硬性組成物用分散剤であって、該共重合体の構成単量体中、単量体1の比率が25~85重量%であり、単量体2の比率が10~70重量%であり、単量体3の比率が5~20重量%である水硬性組成物用分散剤が開示されている。また、特許文献3には、所定の条件A及び条件Bを満たす成分(C)を含有するセメント分散剤が開示されている。更に、特許文献4には、所定の単量体を共重合させて得られたポリカルボン酸系共重合体またはその塩を含む(A)成分およびヒドロキシエチルアクリレートの単独重合体および/またはヒドロキシプロピルアクリレートの単独重合体を含む(B)成分を含有するセメント混和剤が開示されている。
特開2009-173527号公報 特開2009-096672号公報 特開2015-212216号公報 特開2016-145127号公報
上記のとおり、セメント混和剤として長時間の流動保持性維持を目的とした種々のポリカルボン酸系共重合体が開発されているが、従来のポリカルボン酸系共重合体は、併用する混和剤の選択や使用する骨材の種類によって、セメント組成物等において初期フロー値が過度に上昇し、それに伴いコンクリート材料が分離する場合があり、改善の余地があった。また、従来、セメント混和剤としてはセメント組成物等において90~120分程度の流動性を保持できるものであればよいとされていたが、最近では、従来よりも、より長時間流動性の低下を抑制することが可能となるものも求められている。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、セメント組成物等において初期フロー値の過度な上昇やそれに伴う材料分離を抑制し、かつ、120分を超える、超長時間の流動性を保持することができるポリカルボン酸系共重合体を提供することを目的とする。
本発明者は、セメント組成物等に用いることができる重合体について種々検討し、セメント組成物等の流動保持性を向上させるためには、ポリアルキレングリコール含有(メタ)アクリレート及び不飽和カルボン酸系単量体と、セメントアルカリ中で経時的にエステル結合が加水分解しカルボキシル基を生じさせるアクリレートとを共重合させることを考えた。しかしながら、このような共重合体では、初期の流動性の過度な上昇の抑制において充分ではなかった。
上記検討を踏まえ更に検討を重ねた結果、本発明者は、上記単量体成分に更に、アクリレートと比較してエステル結合が加水分解しにくいメタクリレートを特定の割合で共重合させることにより、得られた共重合体が、初期の流動性の過度な上昇を抑制することができることを見出した。このようにして本発明者は、特定の構造のポリアルキレングリコール含有(メタ)アクリレート、不飽和カルボン酸系単量体、特定の構造のアクリレート、及び、特定の構造のメタクリレート由来の構造単位を特定の割合で有する共重合体が、セメント組成物等において初期フロー値の過度な上昇を抑制し、かつ、超長時間の流動性を保持することができることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、ポリカルボン酸系共重合体であって、上記共重合体は、下記式(1);
Figure 0007160632000001
(式(1)中、R~Rは、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表す。ROは、同一又は異なって、炭素数2~18のオキシアルキレン基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1~30の炭化水素基を表す。nは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、3~300の数である。)で表される構造単位(a)と、下記式(2);
Figure 0007160632000002
(式(2)中、R~Rは、同一又は異なって、水素原子、メチル基又は-(CHCOOZ’基を表す。ここで、pは、0~2の整数であり、Z’は、水素原子、金属原子、アンモニウム基、有機アミン基又は炭化水素基を表す。Zは、水素原子、金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基を表す。)で表される構造単位(b)と、下記式(3);
Figure 0007160632000003
(式(3)中、Rは、ヘテロ原子を有していてもよい、炭素数2~5の炭化水素基を表す。)で表される構造単位(c)と、下記式(4);
Figure 0007160632000004
(式(4)中、R10Oは、同一又は異なって、炭素数2~5のオキシアルキレン基を表す。R11は、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表す。mは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、0~2の数である。ただし、mが0の場合は、R11は炭素数1~5のアルキル基を表す。)で表される構造単位(d)とを有し、上記構造単位(a)の割合が、全構造単位100質量%に対して15~80質量%であり、上記構造単位(b)の割合が、全構造単位100質量%に対して3~30質量%であり、上記構造単位(c)の割合が、全構造単位100質量%に対して8~70質量%であり、上記構造単位(d)の割合が、全構造単位100質量%に対して8~40質量%である共重合体を含むポリカルボン酸系共重合体である。
上記式(3)においてRは、酸素原子又は窒素原子を有していてもよい、炭素数2~3の炭化水素基であることが好ましい。
上記式(4)においてR10Oは、同一又は異なって、炭素数2~3のオキシアルキレン基であり、mは、0~1の数であり、mが0の場合、R11は炭素数1~2のアルキル基であり、mが1の場合、R11は水素原子又は炭素数1~2のアルキル基であることが好ましい。
上記共重合体は、下記式(5)を満たすものであることが好ましい。
X=(〔構造単位(a)の全構造単位100質量%に対する質量%〕/〔構造単位(a)の平均分子量〕×n+〔構造単位(d)の全構造単位100質量%に対する質量%〕/〔構造単位(d)の平均分子量〕×m)/(〔構造単位(a)の全構造単位100質量%に対する質量%〕/〔構造単位(a)の平均分子量〕+〔構造単位(d)の全構造単位100質量%に対する質量%〕/〔構造単位(d)の平均分子量〕)≦50 (5)
本発明はまた、上記ポリカルボン酸系共重合体を含むセメント混和剤でもある。
更に本発明は、上記ポリカルボン酸系共重合体と、セメントとを含むセメント組成物でもある。
本発明のポリカルボン酸系共重合体は、上述の構成よりなり、セメント組成物等において初期フロー値の過度な上昇を抑制し、かつ、超長時間の流動性を保持することができるため、セメント混和剤やセメント組成物等に好適に用いることができる。
以下に本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下に記載される本発明の個々の好ましい形態を2又は3以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態に該当する。
〔ポリカルボン酸系共重合体〕
本発明のポリカルボン酸系共重合体(以下、本発明の共重合体ともいう。)は、上記式(1)で表される構造単位(a)と上記式(2)で表される構造単位(b)と上記式(3)で表される構造単位(c)と上記式(4)で表される構造単位(d)とを有する。
上記ポリカルボン酸系共重合体において、構造単位(a)の割合は、全構造単位100質量%に対して15~80質量%である。好ましくは18~75質量%であり、より好ましくは20~70質量%であり、更に好ましくは23~65質量%であり、最も好ましくは25~60質量%である。
上記ポリカルボン酸系共重合体において、構造単位(b)の割合は、全構造単位100質量%に対して3~30質量%である。好ましくは4~25質量%であり、より好ましくは4~20質量%であり、更に好ましくは5~18質量%であり、最も好ましくは6~15質量%である。
なお、本発明において、上記構造単位(b)の全構造単位100質量%に対する質量割合(質量%)を計算する場合は、対応するナトリウム塩換算で計算するものとする。例えば、アクリル酸に由来する構造単位の質量割合は、対応するナトリウム塩であるアクリル酸ナトリウムに由来する構造単位の質量割合(質量%)として計算する。
上記ポリカルボン酸系共重合体において、構造単位(c)の割合は、全構造単位100質量%に対して8~70質量%である。好ましくは10~65質量%である。これにより、セメント組成物等に対する超長時間の流動性をより向上させることができる。
構造単位(c)の割合としてより好ましくは15~60質量%であり、更に好ましくは18~50質量%であり、最も好ましくは20~45質量%である。
上記ポリカルボン酸系共重合体において、構造単位(d)の割合は、全構造単位100質量%に対して8~40質量%である。好ましくは8~35質量%であり、より好ましくは9~32質量%であり、更に好ましくは9~30質量%であり、最も好ましくは10~25質量%である。
上記ポリカルボン酸系共重合体は、構造単位(d)100質量%に対する構造単位(a)の割合が、100~2500質量%であることが好ましい。これにより、セメント組成物等において初期フロー値の過度な上昇をより充分に抑制することができる。上記構造単位(d)に対する構造単位(a)の割合としてより好ましくは100~1500質量%であり、更に好ましくは100~1000質量%であり、特に好ましくは110~700質量%であり、最も好ましくは120~500質量%である。
上記ポリカルボン酸系共重合体は、構造単位(c)100質量%に対する構造単位(b)の割合が、10~75質量%であることが好ましい。これにより、セメント組成物等に対する超長時間の流動性をより向上させることができる。上記構造単位(c)に対する構造単位(b)の割合としてより好ましくは12~70質量%であり、更に好ましくは15~65質量%であり、特に好ましくは18~60質量%であり、最も好ましくは20~50質量%である。
上記ポリカルボン酸系共重合体は、構造単位(c)100質量%に対する構造単位(d)の割合が、25~80質量%であることが好ましい。より好ましくは30~75質量%であり、更に好ましくは35~72質量%であり、特に好ましくは45~70質量%である。
上記ポリカルボン酸系共重合体は、構造単位(a)~(d)を有する限り、構造単位(a)~(d)以外のその他の構造単位(e)を有していてもよい。構造単位(e)の割合は特に制限されないが、全構造単位100質量%に対して0~10質量%であることが好ましい。より好ましくは0~5質量%であり、更に好ましくは0~3質量%であり、最も好ましくは0質量%である。
上記ポリカルボン酸系共重合体は、下記式(5)を満たすものであることが好ましい。
X=(〔構造単位(a)の全構造単位100質量%に対する質量%〕/〔構造単位(a)の平均分子量〕×n+〔構造単位(d)の全構造単位100質量%に対する質量%〕/〔構造単位(d)の平均分子量〕×m)/(〔構造単位(a)の全構造単位100質量%に対する質量%〕/〔構造単位(a)の平均分子量〕+〔構造単位(d)の全構造単位100質量%に対する質量%〕/〔構造単位(d)の平均分子量〕)≦50 (5)
上記式(5)中、nは、構造単位(a)が有するオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、mは、構造単位(d)が有するオキシアルキレン基の平均付加モル数である。
上記式(5)におけるXが50以下であれば、共重合体の凝集性と分散能のバランスがより向上するため、セメント組成物等に対する超長時間の流動性と初期フロー値の過度な上昇の抑制とをよりバランス良く発揮し、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。
上記式(5)におけるXは、好ましくは40以下であり、より好ましくは35以下であり、更に好ましくは30以下であり、一層好ましくは25以下であり、特に好ましくは20以下であり、特に一層好ましくは15以下である。Xはまた、共重合体の分散能を確保する観点から4以上であることが好ましい。
上記ポリカルボン酸系共重合体は、重量平均分子量が5000~500000であることが好ましい。より好ましくは6000~200000であり、更に好ましくは7000~100000であり、特に好ましくは8000~50000である。共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、後述する実施例に記載の条件で測定することができる。
<構造単位(a)>
本発明のポリカルボン酸系共重合体は、上記式(1)で表される構造単位(a)を1種有していてもよく、2種以上有していてもよい。
上記式(1)において、R~Rは、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表す。好ましくはR、Rが水素原子であって、Rが水素原子又はメチル基である。より好ましくは、R、Rが水素原子であって、Rがメチル基である。
上記式(1)中、ROは、「同一又は異なって、」炭素数2~18のオキシアルキレン基を表すが、これは、ポリアルキレングリコール中にn個存在するROのオキシアルキレン基が全て同一であってもよく、異なっていてもよいことを意味する。
上記式(1)中、ROで表されるオキシアルキレン基は、アルキレンオキシド付加物であり、このようなアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、1-ブテンオキシド、2-ブテンオキシド、スチレンオキシド等の炭素数2~8のアルキレンオキシドが挙げられる。より好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等の炭素数2~4のアルキレンオキシドであり、更に好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシドである。
また、上記ポリアルキレングリコールが、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド等の中から選ばれる任意の2種類以上のアルキレンオキシド付加物である場合、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの形態であってもよい。なお、親水性と疎水性とのバランス確保のため、ポリアルキレングリコール中のオキシアルキレン基として、オキシエチレン基を必須成分として有することが好ましく、50モル%以上がオキシエチレン基であることがより好ましく、90モル%以上がオキシエチレン基であることが更に好ましい。
上記式(1)中、nは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、3~300の数である。好ましくは4以上であり、より好ましくは5以上であり、更に好ましくは10以上であり、特に好ましくは15以上であり、最も好ましくは20以上であり、また、250以下であることが好ましい。より好ましくは200以下であり、更に好ましくは150以下であり、特に好ましくは100以下である。また、好適範囲としては、4~300であり、より好ましくは5~300、更に好ましくは10~250、特に好ましくは15~250、一層好ましくは20~200である。
上記式(1)におけるRは、水素原子、又は、炭素数1~30の炭化水素基を表す。好ましくは炭素数1~20の炭化水素基又は水素原子であり、より好ましくは、水素原子又は炭素数1~18の炭化水素基、更に好ましくは、水素原子又は炭素数1~12の炭化水素基、特に好ましくは、水素原子又は炭素数1~8の炭化水素基、最も好ましくは、炭素数1~3の炭化水素基である。
炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、3-ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、イソオクチル基、2,3,5-トリメチルヘキシル基、4-エチル-5-メチルオクチル基及び2-エチルヘキシル基、テトラデシル基、オクタデシル基、イコシル基等の直鎖または分岐鎖のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチル等の環状のアルキル基;フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、o-,m-若しくはp-トリル基、2,3-若しくは2,4-キシリル基、メシチル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニリル基、ベンズヒドリル基、トリチル基及びピレニル基等のアリール基等が挙げられる。これらの中でも、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が好ましい。
上記式(1)で表される構造単位(a)を形成する単量体は、特に制限されないが、下記式(6);
Figure 0007160632000005
(式(6)中、R~Rは、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表す。ROは、同一又は異なって、炭素数2~18のオキシアルキレン基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1~30の炭化水素基を表す。nは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、3~300の数である。)で表される単量体(A)であることが好ましい。
式(6)におけるR~Rの好ましい形態、及び、nの好ましい範囲は、式(1)について述べた通りである。
上記単量体(A)としては、例えば、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの付加モル数3~300のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;メトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの付加モル数3~300のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも好ましくは、アルキレングリコールの付加モル数3~300のポリアルキレングリコールメタクリレート、アルキレングリコールの付加モル数3~300のアルコキシポリアルキレングリコールメタクリレートである。
<構造単位(b)>
本発明のポリカルボン酸系共重合体は、上記式(2)で表される構造単位(b)を1種有していてもよく、2種以上有していてもよい。
上記式(2)において、R~Rは、同一又は異なって、水素原子、メチル基又は-(CHCOOZ’基 を表す。
-(CHCOOZ’基において、Z’は、水素原子、金属原子、アンモニウム基、有機アミン基又は炭化水素基を表す。ここで、一価金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。二価金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。
上記Z’が有機アミン基である場合、有機アミン基としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、n-ブチルアミン、sec-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン及びフェニルアミン等の第一級アミン由来の基;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ-sec-ブチルアミン、ジ-tert-ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン及びジフェニルアミン等の第二級アミン由来の基;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリベンジルアミン及びトリフェニルアミン等の第三級アミン由来の基;及びエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン由来の基が挙げられる。これらの中でも、エタノールアミン基、ジエタノールアミン基、トリエタノールアミン基等のアルカノールアミン基や、トリエチルアミン基が好ましい。
上記Z’が炭化水素基である場合、炭化水素基は、炭素数1~30のものが好ましい。より好ましくは炭素数1~20のものであり、更に好ましくは炭素数1~12のものである。炭素数1~30の炭化水素基としては、炭化水素基の具体例としては、式(1)におけるRと同様の基が挙げられる。
これらのうち、Z’は、水素原子、一価金属、二価金属、アンモニウム基又は有機アミン基であることが好ましく、水素原子、ナトリウム又はカルシウムであることが特に好ましい。
また、上記式(2)において、pは、0~2の整数であるが、好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。
上記式(2)におけるR~Rは、同一又は異なって、水素原子、メチル基又は-(CHCOOZ’基を表すが、これらの中に-(CHCOOZ’基を有する場合、Rが-(CHCOOZ’基であって、R、Rは水素原子又はメチル基であることが好ましい。また、R~Rのいずれもが水素原子又はメチル基であることも好適な形態である。より好ましくはR、Rが水素原子であって、Rが水素原子又はメチル基である形態であり、更に好ましくはR、Rが水素原子であって、Rがメチル基である形態である。
上記式(2)で表される構造単位(b)を形成する単量体は、特に制限されないが、下記式(7);
Figure 0007160632000006
(式(7)中、R~Rは、同一又は異なって、水素原子、メチル基又は-(CHCOOZ’基を表す。ここで、pは、0~2の整数であり、Z’は、水素原子、金属原子、アンモニウム基、有機アミン基又は炭化水素基を表す。Zは、水素原子、金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基を表す。)で表される単量体(B)であることが好ましい。
式(7)におけるR~R、Z、Z’の好ましい形態、及び、pの好ましい範囲は、式(2)について述べた通りである。
上記単量体(B)としては、不飽和モノカルボン酸系単量体や不飽和ジカルボン酸系単量体等が好適であり、不飽和モノカルボン酸系単量体としては、分子内に不飽和基とカルボアニオンを形成しうる基とを1つずつ有する単量体であればよく、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等;これらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩が好ましい。
上記不飽和ジカルボン酸系単量体としては、分子内に不飽和基を1つとカルボアニオンを形成しうる基を2つとを有する単量体であればよく、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フマル酸等や、それらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩等、それらの無水物、又は、ハーフエステルが好ましい。
上記単量体(B)としてより好ましくは(メタ)アクリル酸であり、更に好ましくはメタクリル酸である。
<構造単位(c)>
本発明のポリカルボン酸系共重合体は、上記式(3)で表される構造単位(c)を1種有していてもよく、2種以上有していてもよい。
上記式(3)において、Rは、ヘテロ原子を有していてもよい、炭素数2~5の炭化水素基を表す。
上記炭化水素基の炭素数として、好ましくは2~4であり、より好ましくは2~3である。
上記炭化水素基としては例えば、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、2-メチルブチル基、tert―ペンチル基、ネオペンチル基、3-ペンチル基等の直鎖または分岐鎖のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル等の環状のアルキル基等が挙げられる。これらの中でも、直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましい。
上記炭化水素基は、ヘテロ原子を有していてもよく、ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ハロゲン原子等が挙げられる。中でも、酸素原子、窒素原子が好ましい。
上記炭化水素基がヘテロ原子を有する場合、上記炭化水素基は、水酸基、エーテル基、アミノ基、第4級アンモニウム塩基、チオール基、ハロゲノ基等の官能基を有するものであることが好ましい。上記アミノ基は、第1~3級のいずれであってもよく、これらの酸による中和物であってもよい。
上記炭化水素基がヘテロ原子を有する場合、上記官能基を有する直鎖又は分岐鎖のアルキル基であることが好ましい。
上記官能基の中でも、水酸基、アミノ基がより好ましく、更に好ましくは水酸基である。Rが水酸基を有するものであれば、本発明の共重合体をセメント組成物等に用いた場合の流動保持性がより向上する。
上記式(3)で表される構造単位(c)を形成する単量体は、特に制限されないが、下記式(8);
Figure 0007160632000007
(式(8)中、Rは、ヘテロ原子を有していてもよい、炭素数2~5の炭化水素基を表す。)で表される単量体(C)であることが好ましい。
式(8)におけるRの好ましい形態は、式(3)について述べた通りである。
上記単量体(C)としては、例えば、炭素数5~8のアルキルアクリレート;炭素数5~8のヒドロキシアルキルアクリレート;炭素数5~8のアミノアルキルアクリレート;炭素数5~8のアルコキシアルキルアクリレート等が挙げられる。これらの中でも好ましくは炭素数5~8のアルキルアクリレート、炭素数5~8のヒドロキシアルキルアクリレート、炭素数5~8のアルコキシアルキルアクリレートであり、より好ましくは炭素数5~8のヒドロキシアルキルアクリレートである。
上記炭素数5~8のアルキルアクリレートとしては、直鎖アルキル基を有するものであっても分岐のアルキル基を有するものであってもよく、例えば、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、n-ペンチルアクリレート、イソペンチルアクリレート、tert-ペンチルアクリレート、sec-ペンチルアクリレート、3-ペンチルアクリレート等が挙げられる。これらの中でもエチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレートが好ましい。
上記炭素数5~8のヒドロキシアルキルアクリレートとしては、上記炭素数5~8のアルキルアクリレートのアルキル基に水酸基を有するものが挙げられ、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、2-ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-1-メチルエチルアクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、3-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシペンチルアクリレート等が挙げられる。これらの中でも2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-1-メチルエチルアクリレートが好ましく、より好ましくは2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-1-メチルエチルアクリレートである。
上記炭素数5~8のアミノアルキルアクリレートとしては、上記炭素数5~8のアルキルアクリレートのアルキル基にアミノ基を有するものが挙げられ、例えば、2-アミノエチルアクリレート、2-(モノメチルアミノ)エチルアクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2-アミノプロピルアクリレート、2-(モノメチルアミノ)プロピルアクリレート、2-(ジメチルアミノ)プロピルアクリレート、3-アミノプロピルアクリレート、3-(モノメチルアミノ)プロピルアクリレート、3-(ジメチルアミノ)プロピルアクリレート等が挙げられる。
上記炭素数5~8のアルコキシアルキルアクリレートとしては、上記炭素数5~7のアルキルアクリレートのアルキル基にアルコキシ基を有するものが挙げられ、例えば、アクリル酸2-メトキシエチル、アクリル酸1-メトキシエチル、アクリル酸メトキシメチル、アクリル酸3-メトキシプロピル、アクリル酸2-メトキシプロピル、アクリル酸1-メトキシプロピル等が挙げられる。これらの中でもアクリル酸2-メトキシエチルが好ましい。
<構造単位(d)>
本発明のポリカルボン酸系共重合体は、上記式(4)で表される構造単位(d)を1種有していてもよく、2種以上有していてもよい。
式(4)中、R10Oは、同一又は異なって、炭素数2~5のオキシアルキレン基を表す。
炭素数2~5のオキシアルキレン基は、炭素数2~5のアルキレンオキシド付加物であり、このようなアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、1-ブテンオキシド、2-ブテンオキシド等が挙げられる。好ましくは炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、より好ましくは炭素数2~3のオキシアルキレン基である。
上記式(4)において、mはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、0~2の数である。好ましくはmは0~1の数である。
上記式(4)において、R11は、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表す。
炭素数1~5のアルキル基は、直鎖であっても分岐を有していてもよく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、2-メチルブチル基、tert―ペンチル基、ネオペンチル基、3-ペンチル基等が挙げられる。
mが1又は2である場合、R11は、水素原子又は炭素数1~2のアルキル基であることが好ましい。より好ましくはR11は水素原子である。
mが0の場合、R11は炭素数1~5のアルキル基である。好ましくは炭素数1~4のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1~3のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数1~2のアルキル基である。
上記式(4)で表される構造単位(d)を形成する単量体は、特に制限されないが、下記式(9);
Figure 0007160632000008
(式(9)中、R10Oは、同一又は異なって、炭素数2~5のオキシアルキレン基を表す。R11は、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表す。mは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、0~2の数である。ただし、mが0の場合は、R11は炭素数1~5のアルキル基を表す。)で表される単量体(D)であることが好ましい。
式(9)におけるR10、R11の好ましい形態は、式(4)について述べた通りである。
上記単量体(D)としては、例えば、炭素数6~9のアルキルメタクリレート;炭素数6~9のヒドロキシアルキルメタクリレート;炭素数8~14のジアルキレングリコールモノメタクリレート;炭素数7~15のアルコキシ(ジ)アルキレングリコールメタクリレート等が挙げられる。
上記炭素数6~9のアルキルメタクリレートとしては、直鎖アルキル基を有するものであっても分岐のアルキル基を有するものであってもよく、例えば、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、n-ペンチルメタクリレート、イソペンチルメタクリレート、tert-ペンチルメタクリレート、sec-ペンチルメタクリレート、3-ペンチルアクリレート等が挙げられる。これらの中でもエチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレートが好ましい。
上記炭素数6~9のヒドロキシアルキルメタクリレートとしては、上記炭素数6~9のアルキルメタクリレートのアルキル基に水酸基を有するものが挙げられ、例えば、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-1-メチルエチルメタクリレート、2-ヒドロキシブチルメタクリレート、3-ヒドロキシブチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート等が挙げられる。これらの中でも2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-1-メチルエチルメタクリレート等が好ましく、より好ましくは2-ヒドロキシエチルメタクリレートである。
上記炭素数8~14のジアルキレングリコールモノメタクリレートとしては、例えば、ジエチレングリコールモノメタクリレート、ジプロピレングリコールモノメタクリレート、プロピレングリコールエチレングリコールモノメタクリレート、エチレングリコールプロピレングリコールモノメタクリレート等が挙げられる。
上記炭素数7~15のアルコキシ(ジ)アルキレングリコールメタクリレートとしては、例えば、メトキシ(ジ)エチレングリコールモノメタクリレート、エトキシ(ジ)エチレングリコールモノメタクリレート、メトキシ(ジ)プロピレグリコールモノメタクリレート、エトキシ(ジ)プロピレグリコールモノメタクリレート、メトキシエチレングリコールプロピレグリコールモノメタクリレート、メトキシプロピレングリコールエチレグリコールモノメタクリレート、エトキシエチレングリコールプロピレグリコールモノメタクリレート、エトキシプロピレングリコールエチレグリコールモノメタクリレート等が挙げられる。
上記単量体(D)としては、炭素数6~9のヒドロキシアルキルメタクリレート、炭素数8~14のジアルキレングリコールモノメタクリレートが好ましく、より好ましくは炭素数6~9のヒドロキシアルキルメタクリレートであり、更に好ましくは2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-1-メチルエチルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレートであり、特に好ましくは2-ヒドロキシエチルメタクリレートである。
<その他の構造単位(e)>
本発明のポリカルボン酸系共重合体は、上記構造単位(a)~(d)以外のその他の構造単位(e)を1種有していてもよく、2種以上有していてもよい。
上記構造単位(e)を形成する単量体(E)としては、特に制限されないが、以下の単量体を挙げることができる。
ビニルアルコール、アリルアルコール、メタリルアルコール、3-メチル-3-ブテン-1-オール、3-メチル-2-ブテン-1-オール、2-メチル-3-ブテン-1-オール、2-メチル-2-ブテン-1-オール等の炭素数2~8の不飽和アルコールにアルキレンオキサイドを1~300モル付加させた化合物及びこれらの末端疎水変性物等;(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1~30のアルコールとのジエステル類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1~30のアミンとのジアミド類;上記アルコールやアミンに炭素原子数2~18のアルキレンオキシドを1~500モル付加させたアルキル(ポリ)アルキレングリコールと上記不飽和ジカルボン酸類とのジエステル類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数2~18のグリコール又はこれらのグリコールの付加モル数2~500のポリアルキレングリコールとジエステル類;(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類。ポリエチレングリコールジマレート等の(ポリ)アルキレングリコールジマレート類;ビニルスルホネート、(メタ)アリルスルホネート、2-メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸(塩)類;メチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和モノカルボン酸類と炭素原子数1~30のアミンとのアミド類;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族類;ブタジエン、イソプレン等のジエン類;(メタ)アクリル(アルキル)アミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和シアン類;酢酸ビニル等の不飽和エステル類;ジビニルベンゼン等のジビニル芳香族類;(メタ)アリルアルコール、グリシジル(メタ)アリルエーテル等のアリル類。
〔共重合体の製造方法〕
本発明のポリカルボン酸系共重合体の製造は特に制限されないが、単量体成分を重合することにより製造することができ、単量体成分の具体例及び好ましい例は、上述のとおりである。また、全単量体成分100質量%に対する各単量体成分の含有割合は、上述の全構造単位100質量%に対する構造単位(a)~(e)の割合と同様である。
得られる重合体の分子量調整のために、連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤としては、例えば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、3-メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、2-メルカプトエタンスルホン酸等のチオール系連鎖移動剤;イソプロピルアルコール等の2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸及びその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)、亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸及びその塩(亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム等)の低級酸化物及びその塩等の親水性連鎖移動剤が挙げられる。
上記連鎖移動剤としてはまた、疎水性連鎖移動剤を使用することもできる。疎水性連鎖移動剤としては、例えば、ブタンチオール、オクタンチオール、デカンチオール、ドデカンチオール、ヘキサデカンチオール、オクタデカンチオール、シクロヘキシルメルカプタン、チオフェノール、チオグリコール酸オクチル、3-メルカプトプロピオン酸オクチル等の炭素数3以上の炭化水素基を有するチオール系連鎖移動剤が好適に使用される。
また、共重合体の分子量調整のためには、単量体(E)として、(メタ)アリルスルホン酸(塩)類等の連鎖移動性の高い単量体を用いることも有効である。
上記連鎖移動剤の使用量は、適宜設定すればよいが、単量体成分の総量100モルに対し、好ましくは0.1モル以上、より好ましくは0.25モル以上、更に好ましくは0.5モル以上であり、また、好ましくは20モル以下、より好ましくは15モル以下、更に好ましくは10モル以下である。
上記重合反応は、必要に応じてラジカル重合開始剤を使用し、溶液重合や塊状重合等の方法により行うことができる。溶液重合は、回分式でも連続式でも又はそれらの組み合わせでも行うことができ、その際に使用される溶媒としては、例えば、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n-ヘキサン等の芳香族又は脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル化合物等が挙げられる。中でも、水溶液重合法によって重合することが好適である。
上記水溶液重合を行う場合は、ラジカル重合開始剤として、水溶性の重合開始剤、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;2,2′-アゾビス-2-メチルプロピオンアミジン塩酸塩等のアゾアミジン化合物、2,2′-アゾビス-2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン塩酸塩等の環状アゾアミジン化合物、2-カルバモイルアゾイソブチロニトリル等のアゾニトリル化合物等の水溶性アゾ系開始剤等が使用され、この際、亜硫酸水素ナトリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩、メタ二亜硫酸塩、次亜燐酸ナトリウム、モール塩等のFe(II)塩、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物、ヒドロキシルアミン塩酸塩、チオ尿素、L-アスコルビン酸(塩)、エリソルビン酸(塩)等の促進剤を併用することもできる。中でも、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、過酸化水素とL-アスコルビン酸(塩)等の促進剤との組み合わせが好ましい。これらのラジカル重合開始剤や促進剤はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、低級アルコール、芳香族若しくは脂肪族炭化水素、エステル化合物又はケトン化合物を溶媒とする溶液重合を行う場合、又は、塊状重合を行う場合には、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ナトリウムパーオキシド等のパーオキシド;t-ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等がラジカル重合開始剤として用いられる。この際アミン化合物等の促進剤を併用することもできる。更に、水-低級アルコール混合溶媒を用いる場合には、上記の種々のラジカル重合開始剤又はラジカル重合開始剤と促進剤の組み合わせの中から適宜選択して用いることができる。
上記ラジカル重合開始剤の使用量は、単量体成分の総量100モルに対し、好ましくは0.001モル以上、より好ましくは0.01モル以上、更に好ましくは0.1モル以上、特に好ましくは0.2モル以上であり、また、好ましくは20モル以下、更により好ましくは10モル以下、特に好ましくは5モル以下、最も好ましくは3モル以下である。
上記重合反応において、重合温度等の重合条件としては、用いられる重合方法、溶媒、重合開始剤、連鎖移動剤により適宜定められるが、重合温度としては、0℃以上であることが好ましく、また、150℃以下であることが好ましい。より好ましくは30℃以上であり、更に好ましくは50℃以上である。また、より好ましくは120℃以下であり、更に好ましくは100℃以下である。
各単量体成分の反応容器への投入方法は特に限定されず、全量を反応容器に初期に一括投入する方法;全量を反応容器に分割又は連続投入する方法;一部を反応容器に初期に投入し、残りを反応容器に分割又は連続投入する方法等が挙げられる。また、反応途中で各モノマーの反応容器への投入速度を連続的又は段階的に変えて、各単量体の単位時間あたりの投入重量比を連続的又は段階的に変化させることにより、モノマー比が異なる2種以上の共重合体を重合反応中に同時に合成するようにしてもよい。なお、ラジカル重合開始剤は反応容器に初めから仕込んでもよく、反応容器へ滴下してもよく、また目的に応じてこれらを組み合わせてもよい。
上記のようにして得られた各重合体は、そのままでも分散剤として用いることができるが、必要に応じて、更にアルカリ性物質で中和して用いてもよい。アルカリ性物質としては、一価金属又は二価金属の水酸化物や炭酸塩等の無機塩;アンモニア;有機アミンが好適である。また、反応終了後、必要ならば濃度調整を行うこともできる。
〔共重合体の用途〕
本発明のポリカルボン酸系共重合体は、水に難溶性の無機物又は有機物の分散剤として良好な性能を発揮する。例えば、紙コーティングに用いられる重質又は軽質炭酸カルシウム、クレイ等の無機顔料の分散剤;セメント、石炭等の水スラリー用分散剤;等として良好な性能を発揮できる。その他にも、冷却水系、ボイラー水系、海水淡水化装置、パルプ蒸解釜、黒液濃縮釜でのスケール防止の水処理剤;スケール防止剤;染色助剤や繊維の帯電防止助剤等の繊維処理剤;接着剤;シーリング剤;各種重合体への柔軟性付与成分;洗剤ビルダー等にも好適に使用することができる。更に、シャンプー、リンス、ボディーソープ等の身体用洗剤、繊維加工、建材加工、塗料、窯業等の分野において幅広く応用することが可能である。中でも、セメント混和剤用途に用いることが好適である。なお、レディーミクストコンクリート、吹付けコンクリート用のセメント混和剤として特に有用である。このように、上記共重合体がセメント混和剤用共重合体である形態は、本発明の好適な形態であり、また、上記共重合体を含むセメント混和剤、上記共重合体とセメントとを含むセメント組成物、及び、上記セメント混和剤とセメントとを含むセメント組成物もまた、本発明に含まれる。
以下、代表的な分散剤として、セメント混和剤について説明する。
<セメント混和剤>
本発明のセメント混和剤は、本発明の共重合体を必須とするものであるが、上記共重合体を2種以上含んでいてもよく、上記共重合体と異なる共重合体を1種以上含んでいてもよい。
上記セメント混和剤における上記共重合体の含有量(2種以上の共重合体を含む場合は、その総含有量)は、特に制限されないが、セメント混和剤中の固形分(すなわち不揮発分)100質量%中、2質量%以上50質量%以下であることが好ましい。より好ましくは3質量%以上40質量%以下、更に好ましくは4質量%以上35質量%以下、特に好ましくは5質量%以上30質量%以下である。
なお、本明細書中、「セメント混和剤」とは、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物へ添加されるセメント添加剤のことをいい、上記共重合体のみからなる剤であってもよいし、また、上記共重合体だけでなく、必要に応じて更に他の成分や添加剤等を含む剤であってもよい。
上記セメント混和剤はまた、通常使用される他のセメント分散剤や減水剤を更に含有していてもよく、複数の併用も可能である。他のセメント分散剤(減水剤)としては特に限定されず、例えば、分子中にスルホン酸基を有する各種スルホン酸系分散剤(減水剤)や、分子中にポリオキシアルキレン鎖とカルボキシル基とを有する各種ポリカルボン酸系分散剤(減水剤)、分子中にリン酸基を有する各種リン酸系分散剤(減水剤)等が挙げられる。
本発明の共重合体と、通常使用される他のセメント分散剤(減水剤)とを併用する場合、本発明の共重合体は、流動性保持剤として、特に本発明の技術的意義を発揮することとなる。
上記セメント混和剤が本発明の共重合体と他のセメント分散剤及び/又は減水剤とを含む形態もまた、本発明の好ましい実施形態の1つである。
本発明の共重合体を他のセメント分散剤(減水剤)と併用する場合、本発明の共重合体の含有量は、他のセメント分散剤(減水剤)の含有量100質量%に対して5~100質量%であることが好ましい。より好ましくは5~40質量%である。
上記スルホン酸系分散剤(減水剤)としては、分子中にスルホン酸基又はスルホン酸の塩の基を有する化合物を含むものであればよい。スルホン酸基又はスルホン酸の塩の基を有する化合物としては、分子中に芳香環を有するものであることが好ましい。
上記スルホン酸系分散剤(減水剤)としては、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のポリアルキルアリールスルホン酸塩系分散剤(減水剤);メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のメラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系分散剤(減水剤);アミノアリールスルホン酸-フェノール-ホルムアルデヒド縮合物等の芳香族アミノスルホン酸塩系分散剤(減水剤);リグニンスルホン酸塩、変性リグニンスルホン酸塩等のリグニンスルホン酸塩系減水剤;ポリスチレンスルホン酸塩系分散剤(減水剤)等が挙げられる。
上記スルホン酸系分散剤(減水剤)としては、ポリアルキルアリールスルホン酸塩系分散剤(減水剤)及びリグニンスルホン酸塩系分散剤(減水剤)が好ましく、より好ましくは、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物である。
上記ポリカルボン酸系分散剤(減水剤)としては、不飽和カルボン酸系単量体と(ポリ)アルキレングリコール系単量体とを含む単量体成分を共重合して得られる重合体が好ましい。
不飽和カルボン酸系単量体としては、上述の単量体(B)と同様の単量体が挙げられる。
(ポリ)アルキレングリコール系単量体としては、下記式(10);
Figure 0007160632000009
(式中、R12、R13及びR14は、同一又は異なって、水素原子、又は、メチル基を表す。R16は、水素原子、又は、炭素数1~30の炭化水素基を表す。R15Oは、同一又は異なって、オキシアルキレン基を表す。rは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1~300の数である。yは、0~2の数を表す。zは、0又は1である。)で表される単量体が挙げられる。
(ポリ)アルキレングリコール系単量体として、具体的には例えば、炭素数2~8の不飽和アルコールにアルキレンオキサイドを1~300モル付加させた化合物及びこれらの末端疎水変性物や、不飽和カルボン酸系単量体と平均付加モル数1~300の(ポリ)アルキレングリコールとのエステル化物及びこれらの末端疎水変性物等が挙げられる。
上記ポリカルボン酸系分散剤(減水剤)は、不飽和カルボン酸系単量体由来の構造単位の割合が、全構造単位100質量%に対して、5~45質量%であることが好ましい。より好ましくは10~30質量%である。
上記ポリカルボン酸系分散剤(減水剤)は、(ポリ)アルキレングリコール系単量体由来の構造単位の割合が、全構造単位100質量%に対して、55~95質量%であることが好ましい。より好ましくは70~90質量%である。
上記ポリカルボン酸系分散剤(減水剤)は、重量平均分子量が、5000~500000であることが好ましい。より好ましくは7000~200000であり、更に好ましくは8000~100000である。上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、後述する実施例に記載の条件で測定することができる。
上記リン酸系分散剤(減水剤)としては、例えば、ポリアルキレングリコールを含むリン酸系重合体、リン酸系縮合物が挙げられる。
リン酸系重合体としては、(ポリ)アルキレングリコール系単量体とリン酸系単量体とを含む単量体成分を共重合して得られる重合体が好ましい。
上記リン酸系単量体としては、例えば、リン酸モノ(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリル酸エステル、リン酸ジ-{(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリル酸}エステル、(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートアシッドリン酸エステル等が挙げられる。
リン酸系縮合物としては、例えば、リン酸エステルとアルデヒド化合物との縮合物が好適である。リン酸エステルとしては、リン酸類(塩であってもよい)と、水酸基含有化合物とのエステル化物であれば特に限定されず、1種又は2種以上を使用することができる。なお、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、リン酸トリエステルのいずれであってもよい。
また、上記セメント混和剤は、例えば、水溶性高分子物質、高分子エマルジョン、遅延剤、早強剤・促進剤、鉱油系消泡剤、油脂系消泡剤、脂肪酸系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤、オキシアルキレン系消泡剤、アルコール系消泡剤、アミド系消泡剤、リン酸エステル系消泡剤、金属石鹸系消泡剤、シリコーン系消泡剤、AE剤、界面活性剤、防水剤、防錆剤、ひび割れ低減剤、膨張材、セメント湿潤剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、防錆剤、着色剤、防カビ剤、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石膏等のセメント添加剤(材)の1種又は2種以上を含んでいてもよい。
上記セメント混和剤は、各種水硬性材料、すなわちセメントや石膏等のセメント組成物やそれ以外の水硬性材料に用いることができる。このような水硬性材料と水と上記セメント混和剤とを含有し、更に必要に応じて細骨材(砂等)や粗骨材(砕石等)を含む水硬性組成物の具体例としては、セメントペースト、モルタル、コンクリート、プラスター等が挙げられる。これらの水硬性組成物の中でも、水硬性材料としてセメントを使用するセメント組成物が最も好ましく、上記セメント混和剤と、セメントとを含むセメント組成物もまた、本発明の1つである。
<セメント組成物>
本発明のセメント組成物において、セメントとしては、ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩及びそれぞれの低アルカリ形);各種混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント);白色ポルトランドセメント;アルミナセメント;超速硬セメント(1クリンカー速硬性セメント、2クリンカー速硬性セメント、リン酸マグネシウムセメント);グラウト用セメント;油井セメント;低発熱セメント(低発熱型高炉セメント、フライアッシュ混合低発熱型高炉セメント、ビーライト高含有セメント);超高強度セメント;セメント系固化材;エコセメント(都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の1種以上を原料として製造されたセメント)等の他、これらに高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石灰石粉末等の微粉体や石膏を添加したもの等が挙げられる。本発明のセメント組成物に含まれるセメントは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
上記骨材としては、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材等以外に、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材等が挙げられる。
上記セメント組成物においては、その1mあたりの単位水量、セメント使用量及び水/セメント比は特に限定されず、例えば、単位水量100~185kg/m、使用セメント量250~800kg/m、水/セメント比(重量比)=0.12~0.74であることが好ましい。より好ましくは、単位水量120~175kg/m、使用セメント量270~800kg/m、水/セメント比(重量比)=0.15~0.65である。このように本発明のセメント組成物は、貧配合~富配合まで幅広く使用可能であり、単位セメント量の多い高強度コンクリート、単位セメント量が300kg/m以下の貧配合コンクリートのいずれにも有効である。また、本発明のセメント組成物は、比較的高減水率の領域、すなわち、水/セメント比(重量比)=0.15~0.5(好ましくは0.15~0.4)といった水/セメント比の低い領域においても、良好に使用することができる。
また本発明のセメント混和剤を使用することにより、得られるセメント組成物は幅広い配合において長時間の優れた作業性を有することから、特にレディーミクストコンクリート、吹付けコンクリート等に有効に適用できる。その一方で、コンクリート2次製品用のコンクリート(プレキャストコンクリート)、遠心成形用コンクリート、振動締め固め用コンクリート、蒸気養生コンクリート等にも適用可能である。また、中流動コンクリート(スランプ値が22~25cmの範囲のコンクリート)、高流動コンクリート(スランプ値が25cm以上で、スランプフロー値が500~700mmの範囲のコンクリート)、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材等の高い流動性を要求されるモルタルやコンクリートにも本発明のセメント混和剤は有効である。
上記セメント組成物において、本発明のセメント混和剤の配合割合としては、例えば、本発明の必須成分である共重合体(複数含む場合はその合計量)が、固形分換算で、セメント質量の全量100質量%に対して、0.005~10質量%となるように設定することが好ましい。0.005質量%未満では性能的に充分とはならないおそれがあり、逆に10質量%を超えると、その効果は実質上頭打ちとなり経済性の面からも不利となるおそれがある。より好ましくは0.01~5質量%であり、更に好ましくは0.02~3質量%である。なお、本明細書中、固形分含量は、以下のようにして測定することができる。
<固形分測定方法>
1.アルミ皿を精秤する。
2.1で精秤したアルミ皿に固形分測定物を精秤する。
3.窒素雰囲気下130℃に調温した乾燥機に2で精秤した固形分測定物を1時間入れる。
4.1時間後、乾燥機から取り出し、室温のデシケーター内で15分間放冷する。
5.15分後、デシケーターから取り出し、アルミ皿+測定物を精秤する。
6.5で得られた質量から1で得られたアルミ皿の質量を差し引き、2で得られた固形分測定物の質量で除することで固形分を測定する。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<重量平均分子量分析条件>
使用カラム:東ソー社製、TSK guard column SWXL+TSKge1 G4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL 溶離液:水10999g、アセトニトリル6001gの混合溶媒に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶かし、更に酢酸でpH6.0に調整した溶離液溶液を用いる。
打込み量:0.5%溶離液溶液100μL
溶離液流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃
標準物質:ポリエチレングリコール、ピークトップ分子量(Mp) 255000、200000、107000、72750、44900、31440、21300、11840、6450、4020、1470
検量線次数:三次式
検出器:日本Waters社製 410 示差屈折検出器
解析ソフト:日本Waters社製 MILLENNIUM Ver.3.21。
<コンクリート試験>
セメントとして普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)、細骨材として大井川水系産陸砂、粗骨材として青海産砕石、混練水として水道水を用い、セメント:382kg/m、水(共重合体を含む):172kg/m、細骨材:796kg/m、粗骨材:930kg/m、細骨材率(細骨材/細粗骨材+粗骨材)(容積比):47%、水/セメント比(質量比)=0.45の配合にてセメント組成物を調製した。
なお、セメント組成物の温度が20℃の測定温度になるように、測定に使用する材料、強制練りミキサー、測定器具類を上記の測定温度雰囲気下で調温し、混練及び各測定は上記の測定温度雰囲気下で行った。また、セメント組成物中の気泡がセメント組成物の流動性に及ぼす影響を避けるために、必要に応じてオキシアルキレン系消泡剤及びアニオン性界面活性剤系AE剤を用い、空気量が4.5±0.5%となるように調整した。
上記条件下に強制練りミキサーを用いて混練時間90秒間でコンクリートを製造し、スランプ値、フロー値と空気量を測定した。なお、スランプ値、フロー値と空気量の測定は、日本工業規格(JIS-A-1101(2014年)、1128(2014年))に準拠して行った。混練開始5分後にフロー値と空気量を測定し、これを初期値とした。以後、コンクリートの全量を容器内で所定時間静置後、上と同様の操作を繰り返し、スランプ値、フロー値と空気量の経時変化を測定した。また、減水剤の添加量は、フロー値が375~425mmになる添加量とした。
<製造例1>:減水剤(1)の製造
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水80.0部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら80℃まで加温した。次に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数9個)133.4部、メタクリル酸26.6部、メルカプトプロピオン酸1.53部及びイオン交換水106.7部の混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に過硫酸アンモニウム1.19部とイオン交換水50.6部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、80℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量20000の共重合体(減水剤(1))の水溶液を得た。
<実施例1>:セメント混和剤用共重合体(1)の製造
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水182.0部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら80℃まで加温した。次に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数23個)85.9部、メタクリル酸19.5部、メルカプトプロピオン酸2.73部、ヒドロキシプロピルアクリレート(2-ヒドロキシプロピルアクリレートと2-ヒドロキシ-1-メチルエチルアクリレートの混合物)60.2部、ヒドロキシエチルメタクリレート34.1部、30%水酸化ナトリウム水溶液1.51部及びイオン交換水65.4部の混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に過硫酸アンモニウム2.11部とイオン交換水46.5部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、80℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量20000の共重合体(1)の水溶液を得た。共重合体(1)について、上記式(5)で表されるXは6.0であった。
<実施例2>:セメント混和剤用共重合体(2)の製造
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水182.0部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら80℃まで加温した。次に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数23個)89.1部、メタクリル酸10.5部、メルカプトプロピオン酸2.58部、ヒドロキシプロピルアクリレート(2-ヒドロキシプロピルアクリレートと2-ヒドロキシ-1-メチルエチルアクリレートの混合物)66.6部、ヒドロキシエチルメタクリレート33.6部、30%水酸化ナトリウム水溶液0.81部及びイオン交換水66.0部の混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に過硫酸アンモニウム2.00部とイオン交換水46.8部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、80℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量15000の共重合体(2)の水溶液を得た。共重合体(2)について、上記式(5)で表されるXは6.2であった。
<実施例3>:セメント混和剤用共重合体(3)の製造
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水182.0部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら80℃まで加温した。次に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数23個)101.3部、メタクリル酸10.5部、メルカプトプロピオン酸2.36部、ヒドロキシプロピルアクリレート(2-ヒドロキシプロピルアクリレートと2-ヒドロキシ-1-メチルエチルアクリレートの混合物)70.7部、ヒドロキシエチルメタクリレート17.4部、30%水酸化ナトリウム水溶液0.81部及びイオン交換水66.0部の混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に過硫酸アンモニウム1.83部とイオン交換水47.2部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、80℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量15000の共重合体(3)の水溶液を得た。共重合体(3)について、上記式(5)で表されるXは9.9であった。
<実施例4>:セメント混和剤用共重合体(4)の製造
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水182.0部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら80℃まで加温した。次に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数23個)112.8部、メタクリル酸10.5部、メルカプトプロピオン酸3.88部、ヒドロキシプロピルアクリレート(2-ヒドロキシプロピルアクリレートと2-ヒドロキシ-1-メチルエチルアクリレートの混合物)55.5部、ヒドロキシエチルメタクリレート21.1部、30%水酸化ナトリウム水溶液0.81部及びイオン交換水66.0部の混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に過硫酸アンモニウム1.67部とイオン交換水45.8部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、80℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量8500の共重合体(4)の水溶液を得た。共重合体(4)について、上記式(5)で表されるXは9.5であった。
<実施例5>:セメント混和剤用共重合体(5)の製造
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水182.0部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら80℃まで加温した。次に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数23個)84.8部、メタクリル酸7.6部、メルカプトプロピオン酸3.68部、ヒドロキシプロピルアクリレート(2-ヒドロキシプロピルアクリレートと2-ヒドロキシ-1-メチルエチルアクリレートの混合物)73.9部、ヒドロキシエチルメタクリレート33.7部、30%水酸化ナトリウム水溶液0.59部及びイオン交換水66.2部の混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に過硫酸アンモニウム2.03部とイオン交換水45.7部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、80℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量11000の共重合体(5)の水溶液を得た。共重合体(5)について、上記式(5)で表されるXは6.0であった。
<実施例6>:セメント混和剤用共重合体(6)の製造
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水182.0部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら80℃まで加温した。次に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数23個)131.2部、メタクリル酸10.5部、メルカプトプロピオン酸1.02部、ヒドロキシプロピルアクリレート(2-ヒドロキシプロピルアクリレートと2-ヒドロキシ-1-メチルエチルアクリレートの混合物)36.5部、ヒドロキシエチルメタクリレート21.7部、30%水酸化ナトリウム水溶液0.81部及びイオン交換水66.0部の混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に過硫酸アンモニウム1.41部とイオン交換水49.0部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、80℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量30000の共重合体(6)の水溶液を得た。共重合体(6)について、上記式(5)で表されるXは10.1であった。
<実施例7>:セメント混和剤用共重合体(7)の製造
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水182.0部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら80℃まで加温した。次に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数23個)74.3部、メタクリル酸7.6部、メルカプトプロピオン酸2.82部、ヒドロキシプロピルアクリレート(2-ヒドロキシプロピルアクリレートと2-ヒドロキシ-1-メチルエチルアクリレートの混合物)96.9部、ヒドロキシエチルメタクリレート21.2部、30%水酸化ナトリウム水溶液0.59部及びイオン交換水66.2部の混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に過硫酸アンモニウム2.18部とイオン交換水46.4部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、80℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量15000の共重合体(7)の水溶液を得た。共重合体(7)について、上記式(5)で表されるXは7.4であった。
<実施例8>:セメント混和剤用共重合体(8)の製造
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水182.0部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら80℃まで加温した。次に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数23個)83.0部、メタクリル酸31.4部、メルカプトプロピオン酸2.32部、アクリル酸メトキシエチル63.3部、ヒドロキシエチルメタクリレート21.8部、30%水酸化ナトリウム水溶液2.43部及びイオン交換水64.6部の混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に過硫酸アンモニウム2.25部とイオン交換水46.8部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、80℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量12000の共重合体(8)の水溶液を得た。共重合体(8)について、上記式(5)で表されるXは7.8であった。
<比較例1>:セメント混和剤用比較共重合体(1)の製造
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水182.0部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら80℃まで加温した。次に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数23個)165.1部、メタクリル酸8.52部、メルカプトプロピオン酸1.38部、ヒドロキシプロピルアクリレート(2-ヒドロキシプロピルアクリレートと2-ヒドロキシ-1-メチルエチルアクリレートの混合物)26.3部、30%水酸化ナトリウム水溶液0.66部及びイオン交換水66.1部の混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に過硫酸アンモニウム0.92部とイオン交換水49.1部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、80℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量27000の比較共重合体(1)の水溶液を得た。
<比較例2>:セメント混和剤用比較共重合体(2)の製造
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水182.0部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら80℃まで加温した。次に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数23個)165.1部、メタクリル酸8.52部、メルカプトプロピオン酸1.64部、ヒドロキシプロピルアクリレート(2-ヒドロキシプロピルアクリレートと2-ヒドロキシ-1-メチルエチルアクリレートの混合物)26.3部、30%水酸化ナトリウム水溶液0.66部及びイオン交換水66.1部の混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に過硫酸アンモニウム0.92部とイオン交換水48.8部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、80℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量22000の比較共重合体(2)の水溶液を得た。
<実施例9及び比較例3>
実施例9では減水剤(1)及び共重合体(1)を、表1に記載するとおり配合し、比較例3では減水剤(1)のみを用いて、前述の試験方法に基づき、フロー値、空気量及びスランプ値の測定を実施した。結果を表1に示す。
Figure 0007160632000010
本発明のポリカルボン酸系共重合体を使用した実施例9においては混練開始後180分時点のコンクリートの流動性指標であるスランプ及びフロー値が、未使用の場合(比較例3)の混練開始後90分時点のそれと同等であり、本発明の有用性が示された。
<実施例10~16及び比較例4>
実施例10~16では減水剤(1)及び共重合体(2)~(8)を、表2に記載するとおり配合し、比較例4では減水剤(1)のみを用いて、前述の試験方法に基づき、フロー値、空気量及びスランプ値の測定を実施した。結果を表2に示す。
Figure 0007160632000011
本発明のポリカルボン酸系共重合体を使用した実施例10~16においては、混練開始後180分時点のコンクリートの流動性指標であるスランプ及びフロー値が、未使用の場合(比較例4)のそれを大きく上回っており、本発明の有用性が示された。
<比較例5~7>
比較例5では減水剤(1)のみを用い、比較例6では減水剤(1)及び比較共重合体(1)を、比較例7では減水剤(1)及び比較共重合体(2)を表3に記載するとおり配合し、前述の試験方法に基づき、フロー値及びスランプ値の測定を実施した。結果を表3に示す。
Figure 0007160632000012
比較共重合体(1)、(2)を減水剤(1)と併用した比較例6、7のコンクリートの流動性は混練開始後5分~30分にかけて著しく上昇し、特に比較例6の混練開始後5分~60分測定時及び比較例7の混練開始後30分測定時にコンクリートの材料分離が観察された。一方、上記実施例9では、このようなコンクリートの材料分離は認められず、本発明のポリカルボン酸系共重合体を用いた場合、コンクリートの安定性が向上することが示された。

Claims (5)

  1. ポリカルボン酸系共重合体を含むセメント混和剤であって、
    該共重合体は、下記式(1);
    Figure 0007160632000013
    (式(1)中、R~Rは、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表す。ROは、同一又は異なって、炭素数2~18のオキシアルキレン基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1~30の炭化水素基を表す。nは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、3~300の数である。)で表される構造単位(a)と、下記式(2);
    Figure 0007160632000014
    (式(2)中、R~Rは、同一又は異なって、水素原子、メチル基又は-(CHCOOZ’基を表す。ここで、pは、0~2の整数であり、Z’は、水素原子、金属原子、アンモニウム基、有機アミン基又は炭化水素基を表す。Zは、水素原子、金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基を表す。)で表される構造単位(b)と、下記式(3);
    Figure 0007160632000015
    (式(3)中、Rは、ヘテロ原子を有していてもよい、炭素数2~5の炭化水素基を表す。)で表される構造単位(c)と、下記式(4);
    Figure 0007160632000016
    (式(4)中、R10Oは、同一又は異なって、炭素数2~5のオキシアルキレン基を表す。R11は、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表す。mは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、0~2の数である。ただし、mが0の場合は、R11は炭素数1~5のアルキル基を表す。)で表される構造単位(d)とを有し、
    該構造単位(a)の割合が、全構造単位100質量%に対して15~80質量%であり、
    該構造単位(b)の割合が、全構造単位100質量%に対して3~30質量%であり、
    該構造単位(c)の割合が、全構造単位100質量%に対して8~70質量%であり、
    該構造単位(d)の割合が、全構造単位100質量%に対して8~40質量%である共重合体を含むことを特徴とするセメント混和剤
  2. 前記式(3)において、Rは、酸素原子又は窒素原子を有していてもよい、炭素数2~3の炭化水素基であることを特徴とする請求項1に記載のセメント混和剤
  3. 前式(4)において、R10Oは、同一又は異なって、炭素数2~3のオキシアルキレン基であり、
    mは、0~1の数であり、
    mが0の場合、R11は炭素数1~2のアルキル基であり、mが1の場合、R11は水素原子又は炭素数1~2のアルキル基であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセメント混和剤
  4. 前記共重合体は、下記式(5)を満たすものであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のセメント混和剤
    X=(〔構造単位(a)の全構造単位100質量%に対する質量%〕/〔構造単位(a)の平均分子量〕×n+〔構造単位(d)の全構造単位100質量%に対する質量%〕/〔構造単位(d)の平均分子量〕×m)/(〔構造単位(a)の全構造単位100質量%に対する質量%〕/〔構造単位(a)の平均分子量〕+〔構造単位(d)の全構造単位100質量%に対する質量%〕/〔構造単位(d)の平均分子量 )≦50 (5)
  5. 請求項1~4のいずれかに記載のセメント混和剤と、セメントとを含むことを特徴とするセメント組成物。
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