JP7160632B2 - ポリカルボン酸系共重合体 - Google Patents
ポリカルボン酸系共重合体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7160632B2 JP7160632B2 JP2018203878A JP2018203878A JP7160632B2 JP 7160632 B2 JP7160632 B2 JP 7160632B2 JP 2018203878 A JP2018203878 A JP 2018203878A JP 2018203878 A JP2018203878 A JP 2018203878A JP 7160632 B2 JP7160632 B2 JP 7160632B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- mass
- structural unit
- carbon atoms
- cement
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
Description
上記検討を踏まえ更に検討を重ねた結果、本発明者は、上記単量体成分に更に、アクリレートと比較してエステル結合が加水分解しにくいメタクリレートを特定の割合で共重合させることにより、得られた共重合体が、初期の流動性の過度な上昇を抑制することができることを見出した。このようにして本発明者は、特定の構造のポリアルキレングリコール含有(メタ)アクリレート、不飽和カルボン酸系単量体、特定の構造のアクリレート、及び、特定の構造のメタクリレート由来の構造単位を特定の割合で有する共重合体が、セメント組成物等において初期フロー値の過度な上昇を抑制し、かつ、超長時間の流動性を保持することができることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
X=(〔構造単位(a)の全構造単位100質量%に対する質量%〕/〔構造単位(a)の平均分子量〕×n+〔構造単位(d)の全構造単位100質量%に対する質量%〕/〔構造単位(d)の平均分子量〕×m)/(〔構造単位(a)の全構造単位100質量%に対する質量%〕/〔構造単位(a)の平均分子量〕+〔構造単位(d)の全構造単位100質量%に対する質量%〕/〔構造単位(d)の平均分子量〕)≦50 (5)
更に本発明は、上記ポリカルボン酸系共重合体と、セメントとを含むセメント組成物でもある。
本発明のポリカルボン酸系共重合体(以下、本発明の共重合体ともいう。)は、上記式(1)で表される構造単位(a)と上記式(2)で表される構造単位(b)と上記式(3)で表される構造単位(c)と上記式(4)で表される構造単位(d)とを有する。
なお、本発明において、上記構造単位(b)の全構造単位100質量%に対する質量割合(質量%)を計算する場合は、対応するナトリウム塩換算で計算するものとする。例えば、アクリル酸に由来する構造単位の質量割合は、対応するナトリウム塩であるアクリル酸ナトリウムに由来する構造単位の質量割合(質量%)として計算する。
構造単位(c)の割合としてより好ましくは15~60質量%であり、更に好ましくは18~50質量%であり、最も好ましくは20~45質量%である。
X=(〔構造単位(a)の全構造単位100質量%に対する質量%〕/〔構造単位(a)の平均分子量〕×n+〔構造単位(d)の全構造単位100質量%に対する質量%〕/〔構造単位(d)の平均分子量〕×m)/(〔構造単位(a)の全構造単位100質量%に対する質量%〕/〔構造単位(a)の平均分子量〕+〔構造単位(d)の全構造単位100質量%に対する質量%〕/〔構造単位(d)の平均分子量〕)≦50 (5)
上記式(5)中、nは、構造単位(a)が有するオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、mは、構造単位(d)が有するオキシアルキレン基の平均付加モル数である。
上記式(5)におけるXが50以下であれば、共重合体の凝集性と分散能のバランスがより向上するため、セメント組成物等に対する超長時間の流動性と初期フロー値の過度な上昇の抑制とをよりバランス良く発揮し、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。
上記式(5)におけるXは、好ましくは40以下であり、より好ましくは35以下であり、更に好ましくは30以下であり、一層好ましくは25以下であり、特に好ましくは20以下であり、特に一層好ましくは15以下である。Xはまた、共重合体の分散能を確保する観点から4以上であることが好ましい。
本発明のポリカルボン酸系共重合体は、上記式(1)で表される構造単位(a)を1種有していてもよく、2種以上有していてもよい。
上記式(1)において、R1~R3は、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表す。好ましくはR1、R2が水素原子であって、R3が水素原子又はメチル基である。より好ましくは、R1、R2が水素原子であって、R3がメチル基である。
上記式(1)中、R4Oで表されるオキシアルキレン基は、アルキレンオキシド付加物であり、このようなアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、1-ブテンオキシド、2-ブテンオキシド、スチレンオキシド等の炭素数2~8のアルキレンオキシドが挙げられる。より好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等の炭素数2~4のアルキレンオキシドであり、更に好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシドである。
また、上記ポリアルキレングリコールが、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド等の中から選ばれる任意の2種類以上のアルキレンオキシド付加物である場合、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの形態であってもよい。なお、親水性と疎水性とのバランス確保のため、ポリアルキレングリコール中のオキシアルキレン基として、オキシエチレン基を必須成分として有することが好ましく、50モル%以上がオキシエチレン基であることがより好ましく、90モル%以上がオキシエチレン基であることが更に好ましい。
炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、3-ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、イソオクチル基、2,3,5-トリメチルヘキシル基、4-エチル-5-メチルオクチル基及び2-エチルヘキシル基、テトラデシル基、オクタデシル基、イコシル基等の直鎖または分岐鎖のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチル等の環状のアルキル基;フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、o-,m-若しくはp-トリル基、2,3-若しくは2,4-キシリル基、メシチル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニリル基、ベンズヒドリル基、トリチル基及びピレニル基等のアリール基等が挙げられる。これらの中でも、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が好ましい。
式(6)におけるR1~R5の好ましい形態、及び、nの好ましい範囲は、式(1)について述べた通りである。
本発明のポリカルボン酸系共重合体は、上記式(2)で表される構造単位(b)を1種有していてもよく、2種以上有していてもよい。
上記式(2)において、R6~R8は、同一又は異なって、水素原子、メチル基又は-(CH2)pCOOZ’基 を表す。
-(CH2)pCOOZ’基において、Z’は、水素原子、金属原子、アンモニウム基、有機アミン基又は炭化水素基を表す。ここで、一価金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。二価金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。
上記Z’が炭化水素基である場合、炭化水素基は、炭素数1~30のものが好ましい。より好ましくは炭素数1~20のものであり、更に好ましくは炭素数1~12のものである。炭素数1~30の炭化水素基としては、炭化水素基の具体例としては、式(1)におけるR5と同様の基が挙げられる。
また、上記式(2)において、pは、0~2の整数であるが、好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。
式(7)におけるR6~R8、Z、Z’の好ましい形態、及び、pの好ましい範囲は、式(2)について述べた通りである。
上記不飽和ジカルボン酸系単量体としては、分子内に不飽和基を1つとカルボアニオンを形成しうる基を2つとを有する単量体であればよく、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フマル酸等や、それらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩等、それらの無水物、又は、ハーフエステルが好ましい。
上記単量体(B)としてより好ましくは(メタ)アクリル酸であり、更に好ましくはメタクリル酸である。
本発明のポリカルボン酸系共重合体は、上記式(3)で表される構造単位(c)を1種有していてもよく、2種以上有していてもよい。
上記式(3)において、R9は、ヘテロ原子を有していてもよい、炭素数2~5の炭化水素基を表す。
上記炭化水素基の炭素数として、好ましくは2~4であり、より好ましくは2~3である。
上記炭化水素基としては例えば、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、2-メチルブチル基、tert―ペンチル基、ネオペンチル基、3-ペンチル基等の直鎖または分岐鎖のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル等の環状のアルキル基等が挙げられる。これらの中でも、直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましい。
上記炭化水素基は、ヘテロ原子を有していてもよく、ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ハロゲン原子等が挙げられる。中でも、酸素原子、窒素原子が好ましい。
上記炭化水素基がヘテロ原子を有する場合、上記炭化水素基は、水酸基、エーテル基、アミノ基、第4級アンモニウム塩基、チオール基、ハロゲノ基等の官能基を有するものであることが好ましい。上記アミノ基は、第1~3級のいずれであってもよく、これらの酸による中和物であってもよい。
上記炭化水素基がヘテロ原子を有する場合、上記官能基を有する直鎖又は分岐鎖のアルキル基であることが好ましい。
上記官能基の中でも、水酸基、アミノ基がより好ましく、更に好ましくは水酸基である。R9が水酸基を有するものであれば、本発明の共重合体をセメント組成物等に用いた場合の流動保持性がより向上する。
式(8)におけるR9の好ましい形態は、式(3)について述べた通りである。
本発明のポリカルボン酸系共重合体は、上記式(4)で表される構造単位(d)を1種有していてもよく、2種以上有していてもよい。
式(4)中、R10Oは、同一又は異なって、炭素数2~5のオキシアルキレン基を表す。
炭素数2~5のオキシアルキレン基は、炭素数2~5のアルキレンオキシド付加物であり、このようなアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、1-ブテンオキシド、2-ブテンオキシド等が挙げられる。好ましくは炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、より好ましくは炭素数2~3のオキシアルキレン基である。
上記式(4)において、R11は、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表す。
炭素数1~5のアルキル基は、直鎖であっても分岐を有していてもよく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、2-メチルブチル基、tert―ペンチル基、ネオペンチル基、3-ペンチル基等が挙げられる。
mが1又は2である場合、R11は、水素原子又は炭素数1~2のアルキル基であることが好ましい。より好ましくはR11は水素原子である。
mが0の場合、R11は炭素数1~5のアルキル基である。好ましくは炭素数1~4のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1~3のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数1~2のアルキル基である。
式(9)におけるR10、R11の好ましい形態は、式(4)について述べた通りである。
上記炭素数6~9のアルキルメタクリレートとしては、直鎖アルキル基を有するものであっても分岐のアルキル基を有するものであってもよく、例えば、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、n-ペンチルメタクリレート、イソペンチルメタクリレート、tert-ペンチルメタクリレート、sec-ペンチルメタクリレート、3-ペンチルアクリレート等が挙げられる。これらの中でもエチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレートが好ましい。
上記炭素数7~15のアルコキシ(ジ)アルキレングリコールメタクリレートとしては、例えば、メトキシ(ジ)エチレングリコールモノメタクリレート、エトキシ(ジ)エチレングリコールモノメタクリレート、メトキシ(ジ)プロピレグリコールモノメタクリレート、エトキシ(ジ)プロピレグリコールモノメタクリレート、メトキシエチレングリコールプロピレグリコールモノメタクリレート、メトキシプロピレングリコールエチレグリコールモノメタクリレート、エトキシエチレングリコールプロピレグリコールモノメタクリレート、エトキシプロピレングリコールエチレグリコールモノメタクリレート等が挙げられる。
本発明のポリカルボン酸系共重合体は、上記構造単位(a)~(d)以外のその他の構造単位(e)を1種有していてもよく、2種以上有していてもよい。
上記構造単位(e)を形成する単量体(E)としては、特に制限されないが、以下の単量体を挙げることができる。
ビニルアルコール、アリルアルコール、メタリルアルコール、3-メチル-3-ブテン-1-オール、3-メチル-2-ブテン-1-オール、2-メチル-3-ブテン-1-オール、2-メチル-2-ブテン-1-オール等の炭素数2~8の不飽和アルコールにアルキレンオキサイドを1~300モル付加させた化合物及びこれらの末端疎水変性物等;(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1~30のアルコールとのジエステル類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1~30のアミンとのジアミド類;上記アルコールやアミンに炭素原子数2~18のアルキレンオキシドを1~500モル付加させたアルキル(ポリ)アルキレングリコールと上記不飽和ジカルボン酸類とのジエステル類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数2~18のグリコール又はこれらのグリコールの付加モル数2~500のポリアルキレングリコールとジエステル類;(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類。ポリエチレングリコールジマレート等の(ポリ)アルキレングリコールジマレート類;ビニルスルホネート、(メタ)アリルスルホネート、2-メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸(塩)類;メチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和モノカルボン酸類と炭素原子数1~30のアミンとのアミド類;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族類;ブタジエン、イソプレン等のジエン類;(メタ)アクリル(アルキル)アミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和シアン類;酢酸ビニル等の不飽和エステル類;ジビニルベンゼン等のジビニル芳香族類;(メタ)アリルアルコール、グリシジル(メタ)アリルエーテル等のアリル類。
本発明のポリカルボン酸系共重合体の製造は特に制限されないが、単量体成分を重合することにより製造することができ、単量体成分の具体例及び好ましい例は、上述のとおりである。また、全単量体成分100質量%に対する各単量体成分の含有割合は、上述の全構造単位100質量%に対する構造単位(a)~(e)の割合と同様である。
また、共重合体の分子量調整のためには、単量体(E)として、(メタ)アリルスルホン酸(塩)類等の連鎖移動性の高い単量体を用いることも有効である。
また、低級アルコール、芳香族若しくは脂肪族炭化水素、エステル化合物又はケトン化合物を溶媒とする溶液重合を行う場合、又は、塊状重合を行う場合には、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ナトリウムパーオキシド等のパーオキシド;t-ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等がラジカル重合開始剤として用いられる。この際アミン化合物等の促進剤を併用することもできる。更に、水-低級アルコール混合溶媒を用いる場合には、上記の種々のラジカル重合開始剤又はラジカル重合開始剤と促進剤の組み合わせの中から適宜選択して用いることができる。
上記のようにして得られた各重合体は、そのままでも分散剤として用いることができるが、必要に応じて、更にアルカリ性物質で中和して用いてもよい。アルカリ性物質としては、一価金属又は二価金属の水酸化物や炭酸塩等の無機塩;アンモニア;有機アミンが好適である。また、反応終了後、必要ならば濃度調整を行うこともできる。
本発明のポリカルボン酸系共重合体は、水に難溶性の無機物又は有機物の分散剤として良好な性能を発揮する。例えば、紙コーティングに用いられる重質又は軽質炭酸カルシウム、クレイ等の無機顔料の分散剤;セメント、石炭等の水スラリー用分散剤;等として良好な性能を発揮できる。その他にも、冷却水系、ボイラー水系、海水淡水化装置、パルプ蒸解釜、黒液濃縮釜でのスケール防止の水処理剤;スケール防止剤;染色助剤や繊維の帯電防止助剤等の繊維処理剤;接着剤;シーリング剤;各種重合体への柔軟性付与成分;洗剤ビルダー等にも好適に使用することができる。更に、シャンプー、リンス、ボディーソープ等の身体用洗剤、繊維加工、建材加工、塗料、窯業等の分野において幅広く応用することが可能である。中でも、セメント混和剤用途に用いることが好適である。なお、レディーミクストコンクリート、吹付けコンクリート用のセメント混和剤として特に有用である。このように、上記共重合体がセメント混和剤用共重合体である形態は、本発明の好適な形態であり、また、上記共重合体を含むセメント混和剤、上記共重合体とセメントとを含むセメント組成物、及び、上記セメント混和剤とセメントとを含むセメント組成物もまた、本発明に含まれる。
以下、代表的な分散剤として、セメント混和剤について説明する。
本発明のセメント混和剤は、本発明の共重合体を必須とするものであるが、上記共重合体を2種以上含んでいてもよく、上記共重合体と異なる共重合体を1種以上含んでいてもよい。
上記セメント混和剤における上記共重合体の含有量(2種以上の共重合体を含む場合は、その総含有量)は、特に制限されないが、セメント混和剤中の固形分(すなわち不揮発分)100質量%中、2質量%以上50質量%以下であることが好ましい。より好ましくは3質量%以上40質量%以下、更に好ましくは4質量%以上35質量%以下、特に好ましくは5質量%以上30質量%以下である。
なお、本明細書中、「セメント混和剤」とは、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物へ添加されるセメント添加剤のことをいい、上記共重合体のみからなる剤であってもよいし、また、上記共重合体だけでなく、必要に応じて更に他の成分や添加剤等を含む剤であってもよい。
本発明の共重合体と、通常使用される他のセメント分散剤(減水剤)とを併用する場合、本発明の共重合体は、流動性保持剤として、特に本発明の技術的意義を発揮することとなる。
上記セメント混和剤が本発明の共重合体と他のセメント分散剤及び/又は減水剤とを含む形態もまた、本発明の好ましい実施形態の1つである。
本発明の共重合体を他のセメント分散剤(減水剤)と併用する場合、本発明の共重合体の含有量は、他のセメント分散剤(減水剤)の含有量100質量%に対して5~100質量%であることが好ましい。より好ましくは5~40質量%である。
上記スルホン酸系分散剤(減水剤)としては、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のポリアルキルアリールスルホン酸塩系分散剤(減水剤);メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のメラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系分散剤(減水剤);アミノアリールスルホン酸-フェノール-ホルムアルデヒド縮合物等の芳香族アミノスルホン酸塩系分散剤(減水剤);リグニンスルホン酸塩、変性リグニンスルホン酸塩等のリグニンスルホン酸塩系減水剤;ポリスチレンスルホン酸塩系分散剤(減水剤)等が挙げられる。
上記スルホン酸系分散剤(減水剤)としては、ポリアルキルアリールスルホン酸塩系分散剤(減水剤)及びリグニンスルホン酸塩系分散剤(減水剤)が好ましく、より好ましくは、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物である。
不飽和カルボン酸系単量体としては、上述の単量体(B)と同様の単量体が挙げられる。
(ポリ)アルキレングリコール系単量体としては、下記式(10);
(ポリ)アルキレングリコール系単量体として、具体的には例えば、炭素数2~8の不飽和アルコールにアルキレンオキサイドを1~300モル付加させた化合物及びこれらの末端疎水変性物や、不飽和カルボン酸系単量体と平均付加モル数1~300の(ポリ)アルキレングリコールとのエステル化物及びこれらの末端疎水変性物等が挙げられる。
上記ポリカルボン酸系分散剤(減水剤)は、(ポリ)アルキレングリコール系単量体由来の構造単位の割合が、全構造単位100質量%に対して、55~95質量%であることが好ましい。より好ましくは70~90質量%である。
上記ポリカルボン酸系分散剤(減水剤)は、重量平均分子量が、5000~500000であることが好ましい。より好ましくは7000~200000であり、更に好ましくは8000~100000である。上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、後述する実施例に記載の条件で測定することができる。
リン酸系重合体としては、(ポリ)アルキレングリコール系単量体とリン酸系単量体とを含む単量体成分を共重合して得られる重合体が好ましい。
上記リン酸系単量体としては、例えば、リン酸モノ(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリル酸エステル、リン酸ジ-{(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリル酸}エステル、(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートアシッドリン酸エステル等が挙げられる。
リン酸系縮合物としては、例えば、リン酸エステルとアルデヒド化合物との縮合物が好適である。リン酸エステルとしては、リン酸類(塩であってもよい)と、水酸基含有化合物とのエステル化物であれば特に限定されず、1種又は2種以上を使用することができる。なお、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、リン酸トリエステルのいずれであってもよい。
本発明のセメント組成物において、セメントとしては、ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩及びそれぞれの低アルカリ形);各種混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント);白色ポルトランドセメント;アルミナセメント;超速硬セメント(1クリンカー速硬性セメント、2クリンカー速硬性セメント、リン酸マグネシウムセメント);グラウト用セメント;油井セメント;低発熱セメント(低発熱型高炉セメント、フライアッシュ混合低発熱型高炉セメント、ビーライト高含有セメント);超高強度セメント;セメント系固化材;エコセメント(都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の1種以上を原料として製造されたセメント)等の他、これらに高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石灰石粉末等の微粉体や石膏を添加したもの等が挙げられる。本発明のセメント組成物に含まれるセメントは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
上記骨材としては、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材等以外に、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材等が挙げられる。
<固形分測定方法>
1.アルミ皿を精秤する。
2.1で精秤したアルミ皿に固形分測定物を精秤する。
3.窒素雰囲気下130℃に調温した乾燥機に2で精秤した固形分測定物を1時間入れる。
4.1時間後、乾燥機から取り出し、室温のデシケーター内で15分間放冷する。
5.15分後、デシケーターから取り出し、アルミ皿+測定物を精秤する。
6.5で得られた質量から1で得られたアルミ皿の質量を差し引き、2で得られた固形分測定物の質量で除することで固形分を測定する。
使用カラム:東ソー社製、TSK guard column SWXL+TSKge1 G4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL 溶離液:水10999g、アセトニトリル6001gの混合溶媒に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶かし、更に酢酸でpH6.0に調整した溶離液溶液を用いる。
打込み量:0.5%溶離液溶液100μL
溶離液流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃
標準物質:ポリエチレングリコール、ピークトップ分子量(Mp) 255000、200000、107000、72750、44900、31440、21300、11840、6450、4020、1470
検量線次数:三次式
検出器:日本Waters社製 410 示差屈折検出器
解析ソフト:日本Waters社製 MILLENNIUM Ver.3.21。
セメントとして普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)、細骨材として大井川水系産陸砂、粗骨材として青海産砕石、混練水として水道水を用い、セメント:382kg/m3、水(共重合体を含む):172kg/m3、細骨材:796kg/m3、粗骨材:930kg/m3、細骨材率(細骨材/細粗骨材+粗骨材)(容積比):47%、水/セメント比(質量比)=0.45の配合にてセメント組成物を調製した。
なお、セメント組成物の温度が20℃の測定温度になるように、測定に使用する材料、強制練りミキサー、測定器具類を上記の測定温度雰囲気下で調温し、混練及び各測定は上記の測定温度雰囲気下で行った。また、セメント組成物中の気泡がセメント組成物の流動性に及ぼす影響を避けるために、必要に応じてオキシアルキレン系消泡剤及びアニオン性界面活性剤系AE剤を用い、空気量が4.5±0.5%となるように調整した。
上記条件下に強制練りミキサーを用いて混練時間90秒間でコンクリートを製造し、スランプ値、フロー値と空気量を測定した。なお、スランプ値、フロー値と空気量の測定は、日本工業規格(JIS-A-1101(2014年)、1128(2014年))に準拠して行った。混練開始5分後にフロー値と空気量を測定し、これを初期値とした。以後、コンクリートの全量を容器内で所定時間静置後、上と同様の操作を繰り返し、スランプ値、フロー値と空気量の経時変化を測定した。また、減水剤の添加量は、フロー値が375~425mmになる添加量とした。
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水80.0部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら80℃まで加温した。次に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数9個)133.4部、メタクリル酸26.6部、メルカプトプロピオン酸1.53部及びイオン交換水106.7部の混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に過硫酸アンモニウム1.19部とイオン交換水50.6部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、80℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量20000の共重合体(減水剤(1))の水溶液を得た。
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水182.0部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら80℃まで加温した。次に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数23個)85.9部、メタクリル酸19.5部、メルカプトプロピオン酸2.73部、ヒドロキシプロピルアクリレート(2-ヒドロキシプロピルアクリレートと2-ヒドロキシ-1-メチルエチルアクリレートの混合物)60.2部、ヒドロキシエチルメタクリレート34.1部、30%水酸化ナトリウム水溶液1.51部及びイオン交換水65.4部の混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に過硫酸アンモニウム2.11部とイオン交換水46.5部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、80℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量20000の共重合体(1)の水溶液を得た。共重合体(1)について、上記式(5)で表されるXは6.0であった。
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水182.0部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら80℃まで加温した。次に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数23個)89.1部、メタクリル酸10.5部、メルカプトプロピオン酸2.58部、ヒドロキシプロピルアクリレート(2-ヒドロキシプロピルアクリレートと2-ヒドロキシ-1-メチルエチルアクリレートの混合物)66.6部、ヒドロキシエチルメタクリレート33.6部、30%水酸化ナトリウム水溶液0.81部及びイオン交換水66.0部の混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に過硫酸アンモニウム2.00部とイオン交換水46.8部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、80℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量15000の共重合体(2)の水溶液を得た。共重合体(2)について、上記式(5)で表されるXは6.2であった。
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水182.0部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら80℃まで加温した。次に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数23個)101.3部、メタクリル酸10.5部、メルカプトプロピオン酸2.36部、ヒドロキシプロピルアクリレート(2-ヒドロキシプロピルアクリレートと2-ヒドロキシ-1-メチルエチルアクリレートの混合物)70.7部、ヒドロキシエチルメタクリレート17.4部、30%水酸化ナトリウム水溶液0.81部及びイオン交換水66.0部の混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に過硫酸アンモニウム1.83部とイオン交換水47.2部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、80℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量15000の共重合体(3)の水溶液を得た。共重合体(3)について、上記式(5)で表されるXは9.9であった。
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水182.0部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら80℃まで加温した。次に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数23個)112.8部、メタクリル酸10.5部、メルカプトプロピオン酸3.88部、ヒドロキシプロピルアクリレート(2-ヒドロキシプロピルアクリレートと2-ヒドロキシ-1-メチルエチルアクリレートの混合物)55.5部、ヒドロキシエチルメタクリレート21.1部、30%水酸化ナトリウム水溶液0.81部及びイオン交換水66.0部の混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に過硫酸アンモニウム1.67部とイオン交換水45.8部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、80℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量8500の共重合体(4)の水溶液を得た。共重合体(4)について、上記式(5)で表されるXは9.5であった。
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水182.0部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら80℃まで加温した。次に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数23個)84.8部、メタクリル酸7.6部、メルカプトプロピオン酸3.68部、ヒドロキシプロピルアクリレート(2-ヒドロキシプロピルアクリレートと2-ヒドロキシ-1-メチルエチルアクリレートの混合物)73.9部、ヒドロキシエチルメタクリレート33.7部、30%水酸化ナトリウム水溶液0.59部及びイオン交換水66.2部の混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に過硫酸アンモニウム2.03部とイオン交換水45.7部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、80℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量11000の共重合体(5)の水溶液を得た。共重合体(5)について、上記式(5)で表されるXは6.0であった。
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水182.0部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら80℃まで加温した。次に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数23個)131.2部、メタクリル酸10.5部、メルカプトプロピオン酸1.02部、ヒドロキシプロピルアクリレート(2-ヒドロキシプロピルアクリレートと2-ヒドロキシ-1-メチルエチルアクリレートの混合物)36.5部、ヒドロキシエチルメタクリレート21.7部、30%水酸化ナトリウム水溶液0.81部及びイオン交換水66.0部の混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に過硫酸アンモニウム1.41部とイオン交換水49.0部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、80℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量30000の共重合体(6)の水溶液を得た。共重合体(6)について、上記式(5)で表されるXは10.1であった。
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水182.0部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら80℃まで加温した。次に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数23個)74.3部、メタクリル酸7.6部、メルカプトプロピオン酸2.82部、ヒドロキシプロピルアクリレート(2-ヒドロキシプロピルアクリレートと2-ヒドロキシ-1-メチルエチルアクリレートの混合物)96.9部、ヒドロキシエチルメタクリレート21.2部、30%水酸化ナトリウム水溶液0.59部及びイオン交換水66.2部の混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に過硫酸アンモニウム2.18部とイオン交換水46.4部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、80℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量15000の共重合体(7)の水溶液を得た。共重合体(7)について、上記式(5)で表されるXは7.4であった。
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水182.0部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら80℃まで加温した。次に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数23個)83.0部、メタクリル酸31.4部、メルカプトプロピオン酸2.32部、アクリル酸メトキシエチル63.3部、ヒドロキシエチルメタクリレート21.8部、30%水酸化ナトリウム水溶液2.43部及びイオン交換水64.6部の混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に過硫酸アンモニウム2.25部とイオン交換水46.8部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、80℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量12000の共重合体(8)の水溶液を得た。共重合体(8)について、上記式(5)で表されるXは7.8であった。
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水182.0部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら80℃まで加温した。次に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数23個)165.1部、メタクリル酸8.52部、メルカプトプロピオン酸1.38部、ヒドロキシプロピルアクリレート(2-ヒドロキシプロピルアクリレートと2-ヒドロキシ-1-メチルエチルアクリレートの混合物)26.3部、30%水酸化ナトリウム水溶液0.66部及びイオン交換水66.1部の混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に過硫酸アンモニウム0.92部とイオン交換水49.1部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、80℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量27000の比較共重合体(1)の水溶液を得た。
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水182.0部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら80℃まで加温した。次に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数23個)165.1部、メタクリル酸8.52部、メルカプトプロピオン酸1.64部、ヒドロキシプロピルアクリレート(2-ヒドロキシプロピルアクリレートと2-ヒドロキシ-1-メチルエチルアクリレートの混合物)26.3部、30%水酸化ナトリウム水溶液0.66部及びイオン交換水66.1部の混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に過硫酸アンモニウム0.92部とイオン交換水48.8部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、80℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、重量平均分子量22000の比較共重合体(2)の水溶液を得た。
実施例9では減水剤(1)及び共重合体(1)を、表1に記載するとおり配合し、比較例3では減水剤(1)のみを用いて、前述の試験方法に基づき、フロー値、空気量及びスランプ値の測定を実施した。結果を表1に示す。
実施例10~16では減水剤(1)及び共重合体(2)~(8)を、表2に記載するとおり配合し、比較例4では減水剤(1)のみを用いて、前述の試験方法に基づき、フロー値、空気量及びスランプ値の測定を実施した。結果を表2に示す。
比較例5では減水剤(1)のみを用い、比較例6では減水剤(1)及び比較共重合体(1)を、比較例7では減水剤(1)及び比較共重合体(2)を表3に記載するとおり配合し、前述の試験方法に基づき、フロー値及びスランプ値の測定を実施した。結果を表3に示す。
Claims (5)
- ポリカルボン酸系共重合体を含むセメント混和剤であって、
該共重合体は、下記式(1);
該構造単位(a)の割合が、全構造単位100質量%に対して15~80質量%であり、
該構造単位(b)の割合が、全構造単位100質量%に対して3~30質量%であり、
該構造単位(c)の割合が、全構造単位100質量%に対して8~70質量%であり、
該構造単位(d)の割合が、全構造単位100質量%に対して8~40質量%である共重合体を含むことを特徴とするセメント混和剤。 - 前記式(3)において、R9は、酸素原子又は窒素原子を有していてもよい、炭素数2~3の炭化水素基であることを特徴とする請求項1に記載のセメント混和剤。
- 前式(4)において、R10Oは、同一又は異なって、炭素数2~3のオキシアルキレン基であり、
mは、0~1の数であり、
mが0の場合、R11は炭素数1~2のアルキル基であり、mが1の場合、R11は水素原子又は炭素数1~2のアルキル基であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセメント混和剤。 - 前記共重合体は、下記式(5)を満たすものであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のセメント混和剤。
X=(〔構造単位(a)の全構造単位100質量%に対する質量%〕/〔構造単位(a)の平均分子量〕×n+〔構造単位(d)の全構造単位100質量%に対する質量%〕/〔構造単位(d)の平均分子量〕×m)/(〔構造単位(a)の全構造単位100質量%に対する質量%〕/〔構造単位(a)の平均分子量〕+〔構造単位(d)の全構造単位100質量%に対する質量%〕/〔構造単位(d)の平均分子量 )≦50 (5) - 請求項1~4のいずれかに記載のセメント混和剤と、セメントとを含むことを特徴とするセメント組成物。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017209816 | 2017-10-30 | ||
JP2017209816 | 2017-10-30 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019081692A JP2019081692A (ja) | 2019-05-30 |
JP7160632B2 true JP7160632B2 (ja) | 2022-10-25 |
Family
ID=66670035
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018203878A Active JP7160632B2 (ja) | 2017-10-30 | 2018-10-30 | ポリカルボン酸系共重合体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7160632B2 (ja) |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009114351A (ja) | 2007-11-07 | 2009-05-28 | San Nopco Ltd | 粘性改良剤 |
-
2018
- 2018-10-30 JP JP2018203878A patent/JP7160632B2/ja active Active
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009114351A (ja) | 2007-11-07 | 2009-05-28 | San Nopco Ltd | 粘性改良剤 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2019081692A (ja) | 2019-05-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8076396B2 (en) | Ultrarapid hardening cement composition and dispersant for ultrarapid hardening cement composition | |
JP2004519406A (ja) | セメント混和剤及びセメント組成物 | |
JP2003171156A (ja) | セメント混和剤及びセメント組成物 | |
JP5584638B2 (ja) | セメント混和剤およびセメント組成物 | |
JP2012166978A (ja) | セメント混和剤及びセメント組成物 | |
JP2007112703A (ja) | セメント混和剤用ポリカルボン酸系重合体およびセメント混和剤 | |
JP5707165B2 (ja) | セメント混和剤及びこれを含むセメント組成物 | |
JP3780456B2 (ja) | セメント分散剤および該分散剤を含むコンクリ―ト組成物 | |
JP6649811B2 (ja) | 水硬性組成物用添加剤およびコンクリート組成物 | |
JP6570432B2 (ja) | ポゾラン性物質含有水硬性組成物用粘性低減剤 | |
JP6587853B2 (ja) | セメント分散剤組成物およびセメント組成物 | |
JP2014218618A (ja) | 共重合体とその用途 | |
JP4883901B2 (ja) | セメント混和剤 | |
JP4274838B2 (ja) | セメント混和剤及びその製造方法 | |
JP4470365B2 (ja) | セメント用添加剤組成物 | |
JP6747962B2 (ja) | セメント用添加剤およびセメント組成物 | |
JP7160632B2 (ja) | ポリカルボン酸系共重合体 | |
JP6649810B2 (ja) | ポゾラン性物質含有水硬性組成物用強度向上剤、ポゾラン性物質含有水硬性組成物用添加剤、およびコンクリート組成物 | |
JP6626376B2 (ja) | 水硬性組成物用強度向上剤、水硬性組成物用添加剤、およびコンクリート組成物 | |
JP6109240B2 (ja) | セメント混和剤及びセメント組成物 | |
JP5422105B2 (ja) | コンクリート混和剤用ポリカルボン酸系共重合体及び共重合体組成物 | |
JP6602612B2 (ja) | セメント用添加剤およびセメント組成物 | |
JPWO2019221002A1 (ja) | (ポリ)アルキレングリコール含有共重合体 | |
JP4094341B2 (ja) | セメント混和剤 | |
JP2014125366A (ja) | 共重合体並びにその用途 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210707 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220422 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220531 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220725 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20221004 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20221013 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7160632 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |