JP5707165B2 - セメント混和剤及びこれを含むセメント組成物 - Google Patents

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本発明は、セメント混和剤及びこれを含むセメント組成物に関する。より詳しくは、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物等に好適に用いることができるセメント混和剤及びこれを含むセメント組成物に関する。
セメント混和剤は、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物等に対して減水剤等として広く用いられており、セメント組成物から土木・建築構造物等を構築するために欠かすことのできないものとなっている。このようなセメント混和剤は、セメント組成物の流動性を高めてセメント組成物を減水させることにより、硬化物の強度や耐久性等を向上させる作用を有することになる。このような減水剤の中でもポリカルボン酸系重合体を含むものは、従来のナフタレン系等の減水剤に比べて高い減水性能を発揮するため、高性能AE減水剤として多くの実績がある。
また更に、モルタルやコンクリートは、経時的にセメントと水との水和反応が進行して硬化するため、水添加後の時間経過と共にセメント組成物を取り扱う現場における作業性が低下することが一般的である。このことから、セメント混和剤には、減水性に加えて、セメント組成物の流動性の保持性(スランプ保持性)が求められ、そのようなセメント混和剤を志向して種々のセメント混和剤が開発されている。
例えば、2種類の重合体を必須として含み、それらの配合比率(質量%)が1〜99/99〜1であるセメント混和剤であって、そのうちの1種の重合体が、特定の構造を有する不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体由来の構成単位(I)と不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構成単位(II)とを必須の構成単位として含み、かつ、構成単位(I)と構成単位(II)とが各々全構成単位中の1質量%以上を占め、構成単位(I)の占める割合が全構成単位中の50モル%以下である重合体であり、もう1種の重合体が、オキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基とカルボキシル基とを有する重合体であるセメント混和剤が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、少なくとも2種類以上の共重合体を含んでなるセメント混和剤であって、そのうちの1種の共重合体は、特定の構造を有する(ポリ)アルキレングリコールモノアルケニルエーテル系単量体由来の構成単位と、不飽和カルボン酸系単量体由来の構成単位とを含み、セメント粒子への吸着率が40%以上である共重合体であり、もう1種の共重合体は、セメント粒子への吸着率が40%未満である共重合体であるセメント混和剤を開示している(例えば、特許文献2参照。)。
特表2004−519406号公報(第1−2頁) 特開2008−133176号公報(第1−2頁)
上述のように、セメント混和剤として、種々のものが検討されているが、減水性能とスランプ保持性能とを両立させることは難しく、それらを高いレベルで両立したセメント混和剤とするには更なる改良の余地があった。また、そのような優れた減水性能とスランプ保持性能とを少量のセメント混和剤の添加で達成することができることが経済性の点から好ましい。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、フライアッシュ、スラグ等を含むセメント組成物においても、優れた減水性能と、スランプ保持性能とを兼ね備え、かつ使用量が少なく、経済性の高いセメント混和剤を提供することを目的とする。
本発明者は、種々のセメント混和剤について検討し、まず、ポリカルボン酸系重合体がセメント組成物等に対して優れた減水性能を発揮することに着目し、エステル化工程が不要な不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系の共重合体を用いることでセメント混和剤を経済性の高いものとすることができ、更に当該共重合体のセメント粒子への吸着能を有する吸着基の数が1以上15未満であって、かつ、加水分解性基の数が1以上14未満の重合体と、吸着基の数が15以上70未満の重合体とを特定の割合で配合してセメント混和剤とすることによって、優れた減水性能とスランプ保持性能とを兼ね備え、特にスランプ保持性能の良好なセメント混和剤とすることができることを見出した。そしてこのようなセメント混和剤は性能に優れるために使用量を抑えても充分な作用効果を発揮することができ、使用量を少なくすることができることをも見出し、上記課題を見事に解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、重合体(A)と重合体(B)との2種類の重合体を必須成分として含むセメント混和剤であって、上記重合体(A)及び重合体(B)は、下記一般式(1);
Figure 0005707165
(式中、Yは、炭素数2〜10のアルケニル基を表す。ROは、同一若しくは異なって、炭素数2〜18のオキシアルキレン基を表す。mは、ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、1〜500の数を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基を表す。)で表される不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)由来の構成単位(I)と、カルボキシル基及び/又はその塩を吸着基として有する不飽和カルボン酸系単量体(b)由来の構成単位(II)とを必須の構成単位として含み、上記重合体(A)は、更に、加水分解性基を有する不飽和カルボン酸エステル系単量体(c)由来の構成単位(III)を必須の構成単位として含み、重合体1分子あたりの吸着基の数が1以上15未満、かつ、重合体1分子あたりの加水分解性基の数が1以上14未満であり、上記重合体(B)は、重合体1分子あたりの吸着基の数が15以上70未満であり、上記セメント混和剤における重合体(A)と重合体(B)との比率(質量%)は、40〜99/60〜1であるセメント混和剤である。
以下に本発明を詳述する。
本発明のセメント混和剤は、重合体(A)と重合体(B)との2種類の重合体を必須成分として含むものであるが、重合体(A)及び重合体(B)は各々1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
また、本発明のセメント混和剤は、重合体(A)に該当する重合体及び重合体(B)に該当する重合体の2種類の重合体を含んでいる限り、重合体(A)及び重合体(B)に該当しないその他の重合体や、その他の成分を含んでいてもよい。そのような場合にも、セメント混和剤中に重合体(A)と重合体(B)とが存在することにより、重合体(A)の加水分解性基、及び、吸着基数の異なる2種の重合体によって本発明の効果が発揮されることとなるので、この場合、重合体(A)及び重合体(B)がセメント混和剤において主成分となることが好ましく、セメント混和剤全体100質量%に対して、重合体(A)と重合体(B)との合計量が50質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、80質量%以上であり、更に好ましくは、90質量%以上である。特に好ましくは、実質的にセメント混和剤が重合体(A)及び重合体(B)のみから構成される形態である。
上記重合体(A)及び重合体(B)は、共に、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)(以下、単に「単量体(a)」ともいう。)由来の構成単位(I)と、カルボキシル基及び/又はその塩を吸着基として有する不飽和カルボン酸系単量体(b)(以下、単に「単量体(b)」ともいう。)由来の構成単位(II)とを必須の構成単位として含み、重合体(A)は、更に、加水分解性基を有する不飽和カルボン酸エステル系単量体(c)(以下、単に「単量体(c)」ともいう。)由来の構成単位(III)を必須の構成単位として含むものである。すなわち、重合体(A)は、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)由来の構成単位と、不飽和カルボン酸系単量体(b)由来の構成単位と、不飽和カルボン酸エステル系単量体(c)由来の構成単位とを有するものであり、重合体(B)は、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)由来の構成単位と、不飽和カルボン酸系単量体(b)由来の構成単位とを有するものである。後述するように、重合体(A)は、単量体(a)、単量体(b)及び単量体(c)を含む単量体成分を用いて共重合反応を行うことにより得ることができ、また、重合体(B)は、単量体(a)及び単量体(b)を含む単量体成分を用いて共重合反応を行うことにより得ることができる。
単量体(a)、単量体(b)及び単量体(c)については、後に詳述する。
上記重合体(A)は、セメント粒子への吸着能を有する吸着基の重合体1分子あたりの数(吸着基数)が1以上15未満であり、上記重合体(B)は、吸着基数が15以上70未満であるものである。セメント混和剤に含まれる2種の重合体のうち、1種の重合体における吸着基数を1以上15未満、もう1種の重合体における吸着基数を15以上70未満とすることにより、セメント混和剤に含まれる重合体の有する吸着基数に差が生じ、吸着基数の多い重合体(B)によってセメント粒子等の分散性が向上するために減水性能が発揮されることとなり、吸着基数の少ない重合体(A)によってスランプ保持性能が発揮されることとなる。これによって、これらの性能がバランス良く発揮され、減水性能とスランプ保持性能とを高いレベルで両立したセメント混和剤とすることが可能となる。
なお、本発明において、重合体1分子あたりの吸着基の数(吸着基数)とは、重合体1分子に含まれるセメント粒子に吸着可能な官能基の数を意味し、下記数式(1)に基づき算出することができる。
Figure 0005707165
上記数式(1)は、重合体を構成する構成単位の由来となる構成単量体がn種類ある場合の、重合体1分子あたりの吸着基の数を算出するものであり、式中、Pは重合体1分子あたりの吸着基の数を表している。Ajは構成単量体jの1分子あたりの吸着基の数を表している。構成単量体jが吸着基を有さない単量体である場合には、Aj=0として計算する。Njは構成単量体j由来の構成単位の重合体1分子中における個数を表し、AjNjが構成単量体j由来の構成単位が重合体1分子中に有する吸着基の数を表している。Mwiは構成単量体iの重量平均分子量を表している。Xiは構成単量体iのモル分率を表している。Mwtotalは重合体の重量平均分子量を表している。Xjは構成単量体jのモル分率を表している。
このように、重合体が有する吸着基の数は、重合体を構成する構成単位の由来となる構成単量体全体に占める吸着基を有する単量体の割合、吸着基を有する単量体が有する吸着基の数、及び、重合体の重量平均分子量によって変わることになり、構成単量体全体に占める吸着基を有する単量体の割合が同じであっても、重合体の重量平均分子量が大きくなれば、重合体が有する吸着基の数は多くなり、また、重合体の重量平均分子量が同じでも、構成単量体全体に占める吸着基を有する単量体の割合が多くなれば、重合体が有する吸着基の数は多くなる。
特に、不飽和カルボン酸系単量体(b)が後述する不飽和モノカルボン酸系単量体(b´−1)であって、重合体を構成する構成単位の由来となる構成単量体としてn種類の単量体を含む単量体成分中、吸着基を有する単量体が不飽和モノカルボン酸系単量体(b´−1)のみであり、かつ、不飽和モノカルボン酸系単量体(b´−1)として1種類の単量体のみが用いられる場合には、上記重合体1分子あたりの吸着基の数は、下記数式(2)に基づき算出することができる。
Figure 0005707165
上記数式(2)中、Pは重合体1分子あたりの吸着基の数を表している。Nb´−1は不飽和モノカルボン酸系単量体(b´−1)由来の構成単位の重合体1分子中における個数を表している。Mwiは構成単量体iの重量平均分子量を表している。Xiは構成単量体iのモル分率を表している。Xb´−1は不飽和モノカルボン酸系単量体(b´−1)のモル分率を表している。Mwtotalは重合体の重量平均分子量を表している。
また、不飽和カルボン酸系単量体(b)が後述する不飽和ジカルボン酸系単量体(b´−2)であって、重合体を構成する構成単位の由来となる構成単量体としてn種類の単量体を含む単量体成分中、吸着基を有する単量体が不飽和ジカルボン酸系単量体(b´−2)のみであり、かつ、不飽和ジカルボン酸系単量体(b´−2)として1種類の単量体のみが用いられる場合には、上記重合体1分子あたりの吸着基の数は、下記数式(3)に基づき算出することができる。
Figure 0005707165
上記数式(3)中、Pは重合体1分子あたりの吸着基の数を表している。Nb´−2は不飽和ジカルボン酸系単量体(b´−2)由来の構成単位の重合体1分子中における個数を表している。Mwiは構成単量体iの重量平均分子量を表している。Xiは構成単量体iのモル分率を表している。Xb´−2は不飽和ジカルボン酸系単量体(b´−2)のモル分率を表している。Mwtotalは重合体の重量平均分子量を表している。
上記重合体(A)における、重合体1分子あたりの吸着基の数としては、重合体(A)及び重合体(B)の配合比により一義的には決められないが、重合体(A)の配合比率が多い場合には、重合体(A)における吸着基数が少なくなるに従い、セメント混和剤のスランプ保持性能は向上する一方で、減水性能が出にくくなる傾向にあるため、1.5以上15未満であることが好ましく、より好ましくは、2以上15未満であり、更に好ましくは、2.5以上15未満である。
また、上記重合体(B)における、重合体1分子あたりの吸着基の数としては、上記重合体(A)における吸着基数と同様に、一義的には決められないが、20以上70未満であることが好ましく、より好ましくは、25以上65未満である。
上記吸着基には、単量体(b)の有するカルボキシル基及び/又はその塩や、後述する、単量体(a)、単量体(b)及び単量体(c)以外のその他の共重合可能な単量体に含まれる不飽和スルホン酸塩類及び/又はその塩の有するスルホン酸基及び/又はその塩が該当するが、単量体(b)は、1分子中に吸着基を1つ有していてもよいし、複数個有していてもよい。そして更に単量体(b)が1分子中に吸着基を複数個有する場合には、それら吸着基は全て同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記カルボキシル基の塩としては、具体的には、カルボキシル基のナトリウム塩、カリウム塩等の金属塩、アンモニウム塩、有機アンモニウム塩などが挙げられる。吸着基としてはこれらの中でも、カルボキシル基、カルボキシル基の金属塩が好ましい。
上記重合体(A)は、重合体1分子あたりの加水分解性基の数(加水分解性基数)が1以上14未満であるものである。セメント混和剤に含まれる2種の重合体のうち、吸着基数の少ない方の重合体における加水分解性基数を1以上14未満とすることにより、後述するようなメカニズムにより、スランプ保持性能に特に優れたセメント混和剤とすることが可能となる。
なお、本発明において、重合体1分子あたりの加水分解性基の数(加水分解性基数)とは、重合体1分子に含まれる後述する加水分解性基の数を意味し、下記数式(4)に基づき算出することができる。
Figure 0005707165
上記数式(4)は、重合体を構成する構成単位の由来となる構成単量体がn種類ある場合の、重合体1分子あたりの加水分解性基の数を算出するものであり、式中、Lは重合体1分子あたりの加水分解性基の数を表している。Cjは構成単量体jの1分子あたりの加水分解性基の数を表している。構成単量体jが加水分解性基を有さない単量体である場合には、Cj=0として計算する。Njは構成単量体j由来の構成単位の重合体1分子中における個数を表し、CjNjが構成単量体j由来の構成単位が重合体1分子中に有する加水分解性基の数を表している。Mwiは構成単量体iの重量平均分子量を表している。Xiは構成単量体iのモル分率を表している。Mwtotalは重合体の重量平均分子量を表している。Xjは構成単量体jのモル分率を表している。
特に、加水分解性基を有する不飽和カルボン酸エステル系単量体(c)が後述する不飽和モノカルボン酸エステル系単量体(c´)であって、重合体を構成する構成単位の由来となる構成単量体としてn種類の単量体を含む単量体成分中、加水分解性基を有する単量体が不飽和モノカルボン酸エステル系単量体(c´)のみであり、かつ、不飽和モノカルボン酸エステル系単量体(c´)として1種類の単量体のみが用いられる場合には、上記重合体1分子あたりの加水分解性基の数は、下記数式(5)に基づき算出することができる。
Figure 0005707165
上記数式(5)中、Lは重合体1分子あたりの加水分解性基の数を表している。NC´は不飽和モノカルボン酸エステル系単量体(c´)由来の構成単位の重合体1分子中における個数を表している。Mwiは構成単量体iの重量平均分子量を表している。Xiは構成単量体iのモル分率を表している。XC´は不飽和モノカルボン酸エステル系単量体(c´)のモル分率を表している。Mwtotalは重合体の重量平均分子量を表している。
そして更に、不飽和カルボン酸系単量体(b)が後述する不飽和カルボン酸系単量体(b´)、すなわち不飽和モノカルボン酸系単量体(b´−1)又は不飽和ジカルボン酸系単量体(b´−2)であって、重合体を構成する構成単位の由来となる構成単量体としてn種類の単量体を含む単量体成分中、吸着基を有する単量体が不飽和カルボン酸系単量体(b´)のみであり、かつ、不飽和カルボン酸系単量体(b´)として1種類の単量体のみが用いられる場合には、上記重合体1分子あたりの加水分解性基の数は、上記数式(2)又は(3)の結果を使って、下記数式(6)に基づき算出することができる。
Figure 0005707165
上記数式(6)中、Lは重合体1分子あたりの加水分解性基の数を表している。NC´は不飽和モノカルボン酸エステル系単量体(c´)由来の構成単位の重合体1分子中における個数を表している。XC´は不飽和モノカルボン酸エステル系単量体(c´)のモル分率を表している。Xb´は不飽和カルボン酸系単量体(b´)のモル分率を表している。Nb´は不飽和カルボン酸系単量体(b´)由来の構成単位の重合体1分子中における個数を表し、数式(2)又は(3)により求められる。
上記重合体(A)における、重合体1分子あたりの加水分解性基の数としては、重合体(A)及び重合体(B)の配合比により一義的には決められないが、1.3以上14未満であることが好ましく、より好ましくは、2以上14未満であり、更に好ましくは、2.5以上14未満である。
上記加水分解性基は、加水分解され得る基であれば特に限定されないが、加水分解によってカルボキシル基を生成する官能基であることが好ましい。このような加水分解性基を有する単量体由来の構成単位を含む重合体(A)は、セメント組成物中で加水分解性基が経時的に加水分解され、カルボキシル基が生成することになる。従って、カルボキシル基から生じるカルボキシアニオンにより、重合体(A)のセメント粒子への吸着機能が経時的に増加することとなる。その結果、長時間にわたって良好なセメント分散性を維持することができ、セメント組成物のスランプ保持性を向上させることができる。
上記加水分解によってカルボキシル基を生成する官能基としては、例えば、エステル基、アミド基、ニトリル基等を挙げることができる。好ましくはエステル基である。
上記単量体(c)は加水分解性基を有するものであるが、単量体(c)は、1分子中に加水分解性基を1つ有していてもよいし、複数個有していてもよい。そして更に単量体(c)が1分子中に加水分解性基を複数個有する場合には、それら加水分解性基は全て同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、上記単量体(c)としては、加水分解性基の種類が同じである単量体(1分子内に2個以上の加水分解性基を有する場合にはその組合せが同じである単量体)のみを用いてもよく、加水分解性基の種類(又は組合せ)が異なる単量体を併用してもよい。
また、後述するように、重合体(B)は、単量体(a)由来の構成単位、及び、単量体(b)由来の構成単位を有するものであるが、更に、単量体(c)由来の構成単位や、その他の共重合可能な単量体に由来する構成単位を有していてもよく、すなわち、加水分解性基を有していてもよい。重合体(B)が加水分解性基を有する場合の、重合体(B)における、重合体1分子あたりの加水分解性基の数としては、重合体(A)及び重合体(B)の配合比により一義的には決められないが、1以上60未満であることが好ましく、より好ましくは、1以上47未満であり、更に好ましくは、1以上40未満である。
本発明のセメント混和剤における、重合体(A)と重合体(B)との配合比率(質量%)は、重合体(A)及び重合体(B)における重合体1分子あたりの吸着基の数、及び、重合体(A)における重合体1分子あたりに加水分解性基の数により一義的には決められないが、40〜99/60〜1である。重合体(A)と重合体(B)との質量比がこのような範囲であることも、優れた減水性能とスランプ保持性能とを兼ね備えるという本発明の効果を発揮するために重要な要素である。
上記重合体(A)と重合体(B)との配合比率(質量%)としては、45〜99/55〜1であることが好ましく、より好ましくは、50〜99/50〜1であり、更に好ましくは、50〜90/50〜10である。特に好ましくは、55〜85/45〜15である。
なお、上記質量比は、固形分換算による値である。
上記重合体(A)の重量平均分子量は、1000〜500000であることが好ましい。より好ましくは、5000〜300000であり、更に好ましくは、10000〜150000である。また、上記重合体(B)の重量平均分子量は、1000〜500000であることが好ましい。より好ましくは、5000〜300000であり、更に好ましくは、10000〜150000である。
なお、重合体の重量平均分子量は、後述する実施例において行われているように、ポリエチレングリコールを標準物質として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC、使用装置:Waters社製、Waters Alliance(2695)、使用カラム:東ソー社製、TSK guard column SWXL+TSKgel G4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL)により測定することができる。
上記不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)は、下記一般式(1);
Figure 0005707165
(式中、Yは、炭素数2〜10のアルケニル基を表す。ROは、同一若しくは異なって、炭素数2〜18のオキシアルキレン基を表す。mは、ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、1〜500の数を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基を表す。)で表されるものである。
上記一般式(1)においてYは、炭素数2〜10のアルケニル基を表すが、Yの炭素数としては2〜8が好ましく、より好ましくは、3〜5である。上記炭素数2〜10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、メタリル基、3−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−3−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1,1−ジメチル−2−プロペニル基等が挙げられる。これらの中でも、アリル基、メタリル基、3−メチル−3−ブテニル基が好ましい。
上記一般式(1)においてROは、同一若しくは異なって、炭素数2〜18のオキシアルキレン基を表し、オキシアルキレン基の1種又は2種以上を表すものであるが、2種以上のオキシアルキレン基が存在する場合には、その付加形態は、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの付加形態であってもよい。
上記ROで表されるオキシアルキレン基の炭素数としては、2〜8が好ましく、より好ましくは、2〜4である。上記炭素数2〜18のオキシアルキレン基としては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド等により形成される構造が挙げられる。これらの中でも、オキシエチレン基、オキシプロピレン基が好ましい。更に、オキシエチレン基が主体であるものが好ましい。
上記ROで表されるオキシアルキレン基は、オキシエチレン基が主体であるものが好ましい。ここで、オキシエチレン基が主体であるとは、ROで表されるオキシアルキレン基が2種以上のオキシアルキレン基により形成されるときに、オキシアルキレン基を形成する全アルキレンオキシドのモル数において、エチレンオキシドが大半を占めるものであることを意味する。ROで表されるオキシアルキレン基がオキシエチレン基を主体とするものであることにより、重合体(A)及び重合体(B)の親水性と疎水性のバランスが良好なものとなり、重合体(A)及び重合体(B)の奏する効果がより充分に発揮されることとなる。上記ROで表されるオキシアルキレン基は、全オキシアルキレン基100モル%中、50〜100モル%がオキシエチレン基であることがより好ましく、60〜100モル%がオキシエチレン基であることが更に好ましい。更により好ましくは、70〜100モル%であり、特に好ましくは、80〜100モル%であり、最も好ましくは、90〜100モル%である。
上記一般式(1)においてmは、ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、1〜500の数を表すものである。ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数がこのような範囲であることにより、単量体(a)の重合反応性、並びに、重合体(A)及び重合体(B)の親水性が充分なものとなっている。上記mとしては、2〜400であることが好ましく、5〜300がより好ましい。更に好ましくは、10〜250であり、特に好ましくは、15〜200である。最も好ましくは、20〜100である。
上記一般式(1)においてRは、水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基を表す。Rがこのような形態であることにより、重合体(A)及び重合体(B)の親水性が充分なものとなる。好ましくは、水素原子、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、炭素数3〜12の脂環式アルキル基であり、より好ましくは、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、炭素数3〜4の脂環式アルキル基であり、更に好ましくは、水素原子、炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、炭素数3の脂環式アルキル基である。特に好ましくは、水素原子である。
上記不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)としては、下記一般式(4);
Figure 0005707165
(式中、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表す。ROは、同一若しくは異なって、炭素数2〜18のオキシアルキレン基を表す。mは、ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、1〜500の数を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基を表す。Xは、炭素数1〜6の2価のアルキレン基、又は、直接結合を表す。)で表される不飽和アルコール(ポリ)アルキレングリコール付加物であることが好ましい。
上記一般式(4)においてR及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表すものである。これらの中でも、Rが水素原子であり、かつ、Rがメチル基である形態は、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記一般式(4)において、RO、m、及び、Rは、それぞれ一般式(1)におけるRO、m、及び、Rと同様である。
上記一般式(4)においてXは、炭素数1〜6の2価のアルキレン基、又は、直接結合を表すものである。Xが直接結合を表す場合、一般式(4)中のXに結合している炭素原子と酸素原子とが直接に結合した形態を有することとなる。上記Xとしては、これらの中でも、炭素数1〜4の2価のアルキレン基であることが好ましく、より好ましくは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基であり、特に好ましくは、メチレン基、エチレン基である。
上記一般式(4)で表される不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)としては、(ポリ)エチレングリコールアリルエーテル、(ポリ)エチレングリコールメタリルエーテル、(ポリ)エチレングリコール3−メチル−3−ブテニルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコールアリルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコールメタリルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコール3−メチル−3−ブテニルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコールアリルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコールメタリルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコール3−メチル−3−ブテニルエーテル、メトキシ(ポリ)エチレングリコールアリルエーテル、メトキシ(ポリ)エチレングリコールメタリルエーテル、メトキシ(ポリ)エチレングリコール3−メチル−3−ブテニルエーテル、メトキシ(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコールアリルエーテル、メトキシ(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコールメタリルエーテル、メトキシ(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコール3−メチル−3−ブテニルエーテル、メトキシ(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコールアリルエーテル、メトキシ(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコールメタリルエーテル、メトキシ(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコール3−メチル−3−ブテニルエーテルが好適である。本発明では、構成単位(I)を与える単量体(a)として、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)は、種々の方法で製造することができるが、代表的な製造方法は、次に示すとおりである。
1)上記一般式(1)中のRが水素原子である不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)の場合、アリルアルコール、メタリルアルコール、3−メチル−3−ブテン−1−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、2−メチル−2−ブテン−1−オール等の炭素数2〜10のアルケニル基を有する不飽和アルコール類に、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ触媒や、三フッ化ホウ素、四塩化スズ等の酸触媒の存在下、炭素数2〜18のアルキレンオキシドを1〜500モル付加することによって単量体(a)を得ることができる。
2)上記一般式(1)中のRが炭素数1〜18のアルキル基である不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)の場合、上記方法1)によって得られた、不飽和アルコール類に炭素数2〜18のアルキレンオキシドを1〜500モル付加した化合物に、更に、水酸化ナトリウム等のアルカリの存在下、メチルクロリド等の炭素数1〜18のハロゲン化アルキルを反応させることによって単量体を得ることができる。
3)上記一般式(1)中のRが炭素数1〜18のアルキル基である不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)の場合、上記方法2)とは逆に、メタノール、エタノール等の炭素数1〜18のアルコール類に、炭素数2〜18のアルキレンオキシドを1〜500モル付加した化合物に、更に、水酸化ナトリウム等のアルカリの存在下、アリルクロリド、メタリルクロリド等の炭素数2〜10のハロゲン化アルケニルを反応させることによって単量体を得ることができる。
上記不飽和カルボン酸系単量体(b)としては、重合性不飽和基と吸着基であるカルボキシル基及び/又はその塩の構造部分とを有する単量体であればよく、特に制限されないが、不飽和モノカルボン酸系単量体や不飽和ジカルボン酸系単量体等が好適である。本発明では、構成単位(II)を与える単量体(b)として、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、不飽和カルボン酸系単量体(b)が、下記一般式(2);
Figure 0005707165
(式中、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表す。Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム基又は有機アンモニウム基を表す。Zは、水素原子、又は、−COOMで表される基を表し、Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム基又は有機アンモニウム基を表す。)で表される不飽和カルボン酸系単量体(b´)である形態もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記一般式(2)中のM及びMは、それぞれ水素原子、金属原子、アンモニウム基又は有機アンモニウム基を表し、上記金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子等の1価の金属原子;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属原子等の2価の金属原子;アルミニウム、鉄等の3価の金属原子などが挙げられる。
上記M及びMとしては、これらの中でも、水素原子、ナトリウム、カリウムが好ましい。
上記不飽和モノカルボン酸系単量体としては、分子内に不飽和基と吸着基であるカルボキシル基及び/又はその塩の構造部分とを一つずつ有する単量体であればよく、好ましくは、下記一般式(5);
Figure 0005707165
(式中、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表す。Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム基又は有機アンモニウム基を表す。)で表される不飽和モノカルボン酸系単量体(b´−1)である。不飽和モノカルボン酸系単量体(b´−1)は、上記一般式(2)においてZが水素原子を表す形態に相当する。このように、不飽和カルボン酸系単量体(b)が上記一般式(5)で表される不飽和モノカルボン酸系単量体(b´−1)である形態もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記一般式(5)において、R、R、及び、Mは、それぞれ一般式(2)におけるR、R、及び、Mと同様である。
上記不飽和モノカルボン酸系単量体(b´−1)としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、及び、それらの1価の金属塩、2価の金属塩、アンモニウム塩、有機アンモニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、セメント減水性能の観点から、アクリル酸、メタクリル酸、又は、それらの1価の金属塩、2価の金属塩、アンモニウム塩、有機アンモニウム塩が好ましく、より好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、又は、それらの1価の金属塩、2価の金属塩であり、更に好ましくは、アクリル酸、又は、その1価の金属塩である。
上記不飽和ジカルボン酸系単量体としては、分子内に不飽和基を1つ、並びに、吸着基であるカルボキシル基及び/又はその塩の構造部分を2つ有する単量体であればよく、例えば、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸等、及び、それらの1価の金属塩、2価の金属塩、アンモニウム塩、有機アンモニウム塩、又は、それらの無水物等をはじめとする種々の構造のものが挙げられる。好ましくは、下記一般式(6);
Figure 0005707165
(式中、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表す。M及びMは、同一若しくは異なって、水素原子、金属原子、アンモニウム基又は有機アンモニウム基を表す。)で表される不飽和ジカルボン酸系単量体(b´−2)である。不飽和ジカルボン酸系単量体(b´−2)は、上記一般式(2)においてZが−COOMで表される基を表す形態に相当する。このように、不飽和カルボン酸系単量体(b)が上記一般式(6)で表される不飽和ジカルボン酸系単量体(b´−2)である形態もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記一般式(6)において、R、R、M、及び、Mは、それぞれ一般式(2)におけるR、R、M、及び、Mと同様である。
上記不飽和ジカルボン酸系単量体(b´−2)としては、具体的には、マレイン酸、シトラコン酸、又は、それらの1価の金属塩、2価の金属塩、アンモニウム塩、有機アンモニウム塩、又は、それらの無水物などが挙げられる。これらの中でも、マレイン酸、シトラコン酸、又は、それらの1価の金属塩、2価の金属塩、又は、それらの無水物が好ましく、より好ましくは、マレイン酸、又は、その1価の金属塩、2価の金属塩、又は、その無水物である。
上記不飽和ジカルボン酸系単量体としてはその他、不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数1〜30のアルコールとのハーフエステル、不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数1〜30のアミンとのハーフアミド、不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数2〜4のグリコールとのハーフエステル、マレアミン酸と炭素数2〜4のグリコールとのハーフアミドなども用いることができる。
ただし、不飽和ジカルボン酸系単量体としてこれらのハーフエステルやハーフアミドを用いる場合、上述した重合体1分子あたりの吸着基の数を計算する際には、これらの不飽和ジカルボン酸系単量体1分子あたりの吸着基の数は1つとして計算する。また、ハーフエステル、ハーフアミド部分は、加水分解性基であることから、上述した重合体1分子あたりの加水分解性基の数を計算する際には、これらの不飽和ジカルボン酸系単量体は1分子あたり加水分解性基を1つ有しているとして計算する。
上記不飽和カルボン酸エステル系単量体(c)としては、重合性不飽和基と加水分解性基に該当するカルボン酸エステル構造部分とを有する単量体であればよく、特に制限されないが、下記一般式(3);
Figure 0005707165
(式中、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表す。ROは、同一若しくは異なって、炭素数2〜18のオキシアルキレン基を表す。nは、ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、1〜10の数を表す。Rは、水素原子又はメチル基を表す。)で表される不飽和モノカルボン酸エステル系単量体(c´)であることが好ましい。
上記一般式(3)においてR及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表すものである。これらの中でも、R及びRが共に水素原子である形態は、本発明の好適な実施形態の1つである。
また、上記一般式(3)においてRは、水素原子又はメチル基を表す。
上記一般式(3)においてROは、同一若しくは異なって、炭素数2〜18のオキシアルキレン基を表し、オキシアルキレン基の1種又は2種以上を表すものであるが、2種以上のオキシアルキレン基が存在する場合には、その付加形態は、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの付加形態であってもよい。
上記ROで表されるオキシアルキレン基の炭素数としては、2〜8が好ましく、より好ましくは、2〜4である。上記炭素数2〜18のオキシアルキレン基としては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド等により形成される構造が挙げられる。これらの中でも、オキシエチレン基、オキシプロピレン基が好ましい。更に、オキシエチレン基が主体であるものが好ましい。
上記ROで表されるオキシアルキレン基は、オキシエチレン基が主体であるものが好ましい。ここで、オキシエチレン基が主体であるとは、ROで表されるオキシアルキレン基が2種以上のオキシアルキレン基により形成されるときに、オキシアルキレン基を形成する全アルキレンオキシドのモル数において、エチレンオキシドが大半を占めるものであることを意味する。上記ROで表されるオキシアルキレン基は、ROで表される全オキシアルキレン基100モル%中、50〜100モル%がオキシエチレン基であることがより好ましく、60〜100モル%がオキシエチレン基であることが更に好ましい。更により好ましくは、70〜100モル%であり、特に好ましくは、80〜100モル%であり、最も好ましくは、90〜100モル%である。
上記一般式(3)においてnは、ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、1〜10の数を表すものである。ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数がこのような範囲であることにより、立体障害が少なく、適切な加水分解速度が得られる。上記nとしては、1〜9であることが好ましく、1〜6がより好ましい。更に好ましくは、1〜3である。
上記不飽和カルボン酸エステル系単量体(c)の具体例としては、例えば、以下の化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
不飽和カルボン酸系単量体とアルコール化合物とのエステル化物、不飽和アルコール系単量体とカルボン酸化合物とのエステル化物等が挙げられる。このうち、加水分解によって重合体上にカルボキシル基を生成する前者が好ましい。
上記不飽和カルボン酸系単量体としては、不飽和モノカルボン酸系単量体や不飽和ジカルボン酸系単量体等を挙げることができる。上記不飽和モノカルボン酸系単量体としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸及びその無水物等が挙げられ、好ましくはアクリル酸である。上記不飽和ジカルボン酸系単量体としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸及びその無水物等が挙げられ、好ましくはマレイン酸及び無水マレイン酸である。
上記アルコール化合物としては、炭素原子数1〜30のモノアルコール;炭素原子数1〜30のモノアルコールに炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを1〜500モル付加させたアルキル(ポリ)アルキレングリコール;炭素原子数1〜30のジオール;炭素原子数1〜30のジオールに炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを1〜500モル付加させたヒドロキシ(ポリ)アルキレングリコール;炭素原子数1〜30のポリオール;炭素原子数1〜30のポリオールに炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを1〜500モル付加させたポリオール(ポリ)アルキレンオキシド付加物等が挙げられる。
中でも、炭素原子数1〜8のモノアルコール;炭素原子数1〜8のモノアルコールに炭素原子数2〜8のアルキレンオキシドを1〜200モル付加させたアルキル(ポリ)アルキレングリコール;炭素原子数1〜8のジオール;炭素原子数1〜8のジオールに炭素原子数2〜8のアルキレンオキシドを1〜200モル付加させたヒドロキシ(ポリ)アルキレングリコール;炭素原子数1〜15のポリオール;炭素原子数1〜15のポリオールに炭素原子数2〜8のアルキレンオキシドを1〜200モル付加させたポリオール(ポリ)アルキレンオキシド付加物が好ましく、炭素原子数1〜4のモノアルコールに炭素原子数2〜4のアルキレンオキシドを1〜50モル付加させたアルキル(ポリ)アルキレングリコール;炭素原子数1〜4のジオール;炭素原子数2〜4のジオールに炭素原子数2〜4のアルキレンオキシドを1〜50モル付加させたヒドロキシ(ポリ)アルキレングリコールがより好ましく、メタノールに炭素原子数2〜3のアルキレンオキシドを1〜25モル付加させたメトキシ(ポリ)アルキレングリコール;エチレングリコール、プロピレングリコール;炭素原子数2〜3のジオールに炭素原子数2〜3のアルキレンオキシドを1〜25モル付加させたヒドロキシ(ポリ)アルキレングリコールが更に好ましく、メタノールにエチレンオキシドを1〜10モル付加させたメトキシ(ポリ)エチレングリコール;エチレングリコール;エチレングルコールにエチレンオキシドを1〜10モル付加させたヒドロキシ(ポリ)エチレングリコールが最も好ましい。
不飽和カルボン酸系単量体とアルコール化合物のエステル化物の態様としては、モノエステル、ジエステル、ポリエステル、ハーフエステルがあり得る。このうちジエステル、ポリエステルは重合時に架橋剤として働き、重合体の分子量の調整が困難となったり、不溶性のゲルを発生させたりすることがあるため、重合体を水溶液の状態で用いる用途には、モノエステル、ハーフエステルが好適である。
上記不飽和アルコール系単量体としてはビニルアルコール、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、(メタ)アリルアルコール、3−ブテン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、2−メチル−3−ブテン−2−オール、2−メチル−2−ブテン−1−オール、2−メチル−3−ブテン−1−オール等が挙げられ、好ましくはビニルアルコールである。
上記カルボン酸化合物としてはギ酸及び炭素数1〜8のカルボン酸が挙げられ、好ましくは酢酸である。
上記重合体(A)は、単量体(a)由来の構成単位、単量体(b)由来の構成単位、及び、単量体(c)由来の構成単位を有するものであるが、これら以外の、その他の共重合可能な単量体に由来する構成単位を有していてもよい。また、上記重合体(B)は、単量体(a)由来の構成単位、及び、単量体(b)由来の構成単位を有するものであるが、更に、単量体(c)由来の構成単位や、その他の共重合可能な単量体に由来する構成単位を有していてもよい。
上記その他の共重合可能な単量体としては、上記不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素原子数1〜30のアミンとのジアミド類;マレアミド酸と炭素原子数2〜18のグリコール若しくはこれらのグリコールの付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのハーフアミド類;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリエチレングリコールジマレート、ポリエチレングリコールジマレート等の(ポリ)アルキレングリコールジマレート類;ビニルスルホネート、(メタ)アリルスルホネート、2−(メタ)アクリロキシエチルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホフェニルエーテル、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシスルホベンゾエート、4−(メタ)アクリロキシブチルスルホネート、(メタ)アクリルアミドメチルスルホン酸、(メタ)アクリルアミドエチルスルホン酸、2−メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類、並びにそれらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩;メチル(メタ)アクリルアミドのように不飽和モノカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアミンとのアミド類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン等のビニル芳香族類;1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールモノ(メタ)アクリレート類;ブタジエン、イソプレン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン等のジエン類;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアルキルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等の不飽和シアン類;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジブチルアミノエチル、ビニルピリジン等の不飽和アミン類;ジビニルベンゼン等のジビニル芳香族類;トリアリルシアヌレート等のシアヌレート類;ポリジメチルシロキサンプロピルアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサンアミノプロピレンアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサン−ビス−(プロピルアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(ジプロピレンアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−メタクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(1−プロピル−3−メタクリレート)等のシロキサン誘導体などが挙げられる。その他の共重合可能な単量体としては、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
なお、上記その他の共重合可能な単量体において、上記加水分解性基を有するものを重合体の構成単量体として用いた場合には、それらの単量体も加水分解性基を有しているものとして、重合体1分子あたりの加水分解性基の数が計算される。
上述したように、重合体(A)は、上記その他の共重合可能な単量体に由来する構成単位を有していてもよいが、単量体(a)由来の構成単位、単量体(b)由来の構成単位、及び、単量体(c)由来の構成単位が主成分であることが好ましく、重合体100質量%中、単量体(a)由来の構成単位、単量体(b)由来の構成単位、及び、単量体(c)由来の構成単位の合計が50〜100質量%であることが好ましい。より好ましくは、70〜100質量%であり、更に好ましくは、80〜100質量%であり、特に好ましくは、90〜100質量%である。そして、重合体(A)は、単量体(a)由来の構成単位、単量体(b)由来の構成単位、及び、単量体(c)由来の構成単位のみからなる重合体である形態が最も好ましい。これらの構成単位は、それぞれ1種であってもよく、2種以上であってもよい。
また、同様に、重合体(B)は、単量体(c)由来の構成単位や、上記その他の共重合可能な単量体に由来する構成単位を有していてもよいが、単量体(a)由来の構成単位、及び、単量体(b)由来の構成単位が主成分であることが好ましく、重合体100質量%中、単量体(a)由来の構成単位、及び、単量体(b)由来の構成単位の合計が50〜100質量%であることが好ましい。より好ましくは、70〜100質量%であり、更に好ましくは、80〜100質量%であり、特に好ましくは、85〜100質量%である。これらの構成単位は、それぞれ1種であってもよく、2種以上であってもよい。
上記重合体(A)及び重合体(B)を構成する構成単位中、不飽和カルボン酸系単量体(b)由来の構成単位(II)の割合が大きくなればなるほど、また、重合体の重量平均分子量が大きくなればなるほど、重合体の吸着基数は増加することとなるため、用いる不飽和カルボン酸系単量体(b)の種類、求められる重合体の重量平均分子量、及び、求められる重合体の吸着基数に応じて、重合体中の、構成単位の割合は適宜設定することができる。
また、特に重合体(A)においては、不飽和カルボン酸エステル系単量体(c)由来の構成単位(III)の割合が大きくなればなるほど、また、重合体の重量平均分子量が大きくなればなるほど、重合体の加水分解性基数は増加することとなるため、用いる不飽和カルボン酸エステル系単量体(c)の種類、求められる重合体の重量平均分子量、及び、求められる重合体の加水分解性基数に応じても、重合体中の、構成単位の割合は適宜設定することができる。
上記重合体(A)における構成単位(I)と構成単位(II)と構成単位(III)との割合としては、重合体(A)は重合体1分子あたりの吸着基の数が1以上15未満であり、かつ、重合体1分子あたりの加水分解性基の数が1以上14未満であることから、この吸着基数及び加水分解性基数を満たす範囲で、構成単位(I)/構成単位(II)/構成単位(III)(質量比)が、70/15/15〜99/0.5/0.5であることが好ましい。このような割合であることによって、重合体(A)のスランプ保持性能がより良好なものとなる。重合体(A)における構成単位(I)/構成単位(II)/構成単位(III)(質量比)としてより好ましくは、80/10/10〜98/1/1であり、更に好ましくは、85/7.5/7.5〜96/2/2である。
また、上記重合体(B)における構成単位(I)と、構成単位(II)との割合としては、重合体(B)は重合体1分子あたりの吸着基の数が15以上70未満であることから、この吸着基数を満たす範囲で、構成単位(I)/構成単位(II)(質量比)が、1/99〜99/1であることが好ましい。このような割合であることによって、重合体(B)の減水性能がより良好なものとなる。重合体(B)における構成単位(I)/構成単位(II)(質量比)としてより好ましくは、10/90〜98/2であり、更に好ましくは、20/80〜95/5である。
なお、上記重合体中の構成単位の割合(質量比)は、重合体の合成に用いた各単量体の量に各単量体の反応率を乗じたものが重合体の構成単位となっているとみなして、各構成単位の量を算出し、それらの値から質量比を求めることができる。
上記重合体(A)は、構成単位(I)を与える不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)、構成単位(II)を与える不飽和カルボン酸系単量体(b)、及び、構成単位(III)を与える不飽和カルボン酸エステル系単量体(c)を必須成分として含む単量体成分を共重合して製造することができ、上記重合体(B)は、構成単位(I)を与える不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)、及び、構成単位(II)を与える不飽和カルボン酸系単量体(b)を必須成分として含む単量体成分を共重合して製造することができるが、製造方法としてはこれに限定されない。例えば、単量体(a)の代わりに、アルキレンオキシドを付加する前の単量体、すなわちメタリルアルコール等の不飽和アルコールを用い、これを重合開始剤の存在下で単量体(b)と共重合させた後(必要に応じ、これらの単量体と共重合可能なその他の単量体を更に共重合させてもよい)、アルキレンオキシドを平均1〜500モル付加する方法によっても得ることができる。
上記共重合反応は、重合開始剤を用いて行うことができ、溶媒中での重合や塊状重合等の方法により行うことができる。
なお、上記共重合反応における各単量体の使用量は、重合体における各構成単位の割合が上述した範囲となるように、各単量体の共重合反応時の反応率を考慮して、適宜設定するのが好ましい。
上記溶媒中での重合は回分式でも連続式でも行うことができ、その際使用される溶媒としては、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の芳香族又は脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。原料単量体及び得られる重合体(A)及び(B)の溶解性並びに上記重合体の使用時の便からは、水及び炭素原子数1〜4の低級アルコールよりなる群から選ばれた少なくとも1種を用いることが好ましい。その場合、炭素数1〜4の低級アルコールの中でもメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等が特に有効である。
上記水溶液重合を行う場合は、ラジカル重合開始剤として、水溶性の重合開始剤、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;2,2′−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン塩酸塩等のアゾアミジン化合物、2,2′−アゾビス−2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン塩酸塩等の環状アゾアミジン化合物、2−カルバモイルアゾイソブチロニトリル等のアゾニトリル化合物等の水溶性アゾ系開始剤等が使用され、この際、亜硫酸水素ナトリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩、メタ二亜硫酸塩、次亜燐酸ナトリウム、モール塩等のFe(II)塩、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物、ヒドロキシルアミン塩酸塩、チオ尿素、L−アスコルビン酸(塩)、エリソルビン酸(塩)等の促進剤を併用することもできる。なお、水溶性の重合開始剤として過酸化水素を用いる場合は、L−アスコルビン酸(塩)等の促進剤と組み合わせて用いるのが好ましい。
また、低級アルコール、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、エステル化合物又はケトン化合物を溶媒とする重合には、ベンゾイルパーオキシドやラウロイルパーオキシド等のパーオキシド;クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が重合開始剤として用いられる。この際アミン化合物等の促進剤を併用することもできる。更に、水−低級アルコール混合溶剤を用いる場合には、上述した種々の重合開始剤又は重合開始剤と促進剤との組み合わせの中から適宜選択して用いることができる。重合温度は、用いる溶媒や重合開始剤により適宜定められるが、通常0〜120℃で行われる。
上記塊状重合は、重合開始剤としてベンゾイルパーオキシドやラウロイルパーオキシド等のパーオキシド;クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等を用い、50〜200℃の温度で行われる。
各単量体の反応容器への投入方法は特に限定されず、全量を反応容器に初期に一括投入する方法、全量を反応容器に分割若しくは連続投入する方法、一部を反応容器に初期に投入し、残りを反応容器に分割若しくは連続投入する方法のいずれもよい。好適な投入方法として、具体的には、下記の(1)〜(4)の方法が挙げられる。
(1)単量体の全部を反応容器に連続投入する方法。
(2)単量体(a)の全部を反応容器に初期に投入し、その他の単量体の全部を反応容器に連続投入する方法。
(3)単量体(a)の一部を反応容器に初期に投入し、単量体(a)の残りとその他の単量体の全部を反応容器に連続投入する方法。
(4)単量体(a)の一部とその他の単量体の一部を反応容器に初期に投入し、単量体(a)の残りとその他の単量体の残りをそれぞれ反応容器に交互に数回に分けて分割投入する方法。
更に、反応途中で各単量体の反応容器への投入速度を連続的又は段階的に変えることにより各単量体の単位時間当りの投入質量比を連続的又は段階的に変化させて、共重合体中の各構成単位の比率が異なる共重合体の混合物を重合反応中に合成するようにしてもよい。なお、ラジカル重合開始剤は反応容器に初めから仕込んでもよく、反応容器へ滴下してもよく、また目的に応じてこれらを組み合わせてもよい。
また、得られる重合体(A)及び(B)の分子量調節のために、連鎖移動剤を併用することもできる。連鎖移動剤としては、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトエタンスルホン酸等のチオール系連鎖移動剤;イソプロピルアルコール等の2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸及びその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)、亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸及びその塩(亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム等)の低級酸化物及びその塩;等の公知の親水性連鎖移動剤を用いることができる。更に、疎水性連鎖移動剤を用いると、セメント組成物の粘性改善に有効である。疎水性連鎖移動剤としては、ブタンチオール、オクタンチオール、デカンチオール、ドデカンチオール、ヘキサデカンチオール、オクタデカンチオール、シクロヘキシルメルカプタン、チオフェノール、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル等の炭素原子数3以上の炭化水素基を有するチオール系連鎖移動剤を用いることが好ましい。2種類以上の連鎖移動剤の併用も可能であり、親水性連鎖移動剤と疎水性連鎖移動剤とを組み合わせて用いてもよい。更に、重合体の分子量調整のためには、上記その他の共重合可能な単量体として、(メタ)アリルスルホン酸(塩)類等の連鎖移動性の高い単量体を用いることも有効である。
上記重合において、所定の分子量の重合体(A)及び(B)を再現性よく得るには、重合反応を安定に進行させることが必要であることから、溶液重合する場合には、使用する溶媒の25℃における溶存酸素濃度を5ppm以下とすることが好ましい。より好ましくは0.01〜4ppm、更に好ましくは0.01〜2ppm、最も好ましくは0.01〜1ppmである。なお、溶媒に単量体を添加後、窒素置換等を行う場合には、単量体をも含んだ系の溶存酸素濃度を上記範囲内とすることが好ましい。
上記溶媒の溶存酸素濃度の調整は、重合反応槽で行ってもよく、予め溶存酸素量を調整したものを用いてもよく、溶媒中の酸素を追い出す方法としては、下記の(1)〜(5)の方法が好適である。
(1)溶媒を入れた密閉容器内に窒素等の不活性ガスを加圧充填後、密閉容器内の圧力を下げることで溶媒中の酸素の分圧を低くする。窒素気流下で、密閉容器内の圧力を下げてもよい。
(2)溶媒を入れた容器内の気相部分を窒素等の不活性ガスで置換したまま液相部分を長時間激しく攪拌する。
(3)容器内に入れた溶媒に窒素等の不活性ガスを長時間バブリングする。
(4)溶媒を一旦沸騰させた後、窒素等の不活性ガス雰囲気下で冷却する。
(5)配管の途中に静止型混合機(スタティックミキサー)を設置し、溶媒を重合反応槽に移送する配管内で窒素等の不活性ガスを混合する。
上述のようにして得られた各重合体は、そのままセメント混和剤に配合して用いることができるが、必要に応じて、更にアルカリ性物質で中和して用いてもよい。アルカリ性物質としては、一価金属又は二価金属の水酸化物や炭酸塩等の無機塩;アンモニア;有機アミンが好適である。また、反応終了後、必要ならば濃度調整を行うこともできる。なお、不飽和カルボン酸系単量体(b)を単量体成分として用いずに、対応する不飽和カルボン酸エステル系単量体(c)を用いて共重合反応を行った後、pHを調整することによって、不飽和カルボン酸エステル系単量体(c)に由来する構成単位のエステル結合部分を部分的に又は全て加水分解させて、不飽和カルボン酸系単量体(b)に由来する構成単位(II)及び不飽和カルボン酸エステル系単量体(c)に由来する構成単位(III)を重合体に導入することもできる。
本発明のセメント混和剤は、必須成分である重合体(A)又は重合体(B)以外に、アルケニル基を有しない非重合性の(ポリ)アルキレングリコール(P)を含有していてもよい。
本発明では、上述した不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)の製造の際の主生成物である単量体(a)以外に、副生成物である(ポリ)アルキレングリコール(P)をも含む組成物を原料として次の重合反応を行うことができ、この結果、必須成分である重合体(A)又は重合体(B)以外に、アルケニル基を有しない非重合性の(ポリ)アルキレングリコール(P)をも含有するセメント混和剤となる。なお、重合反応を行う際に用いる単量体(a)と(ポリ)アルキレングリコール(P)とを含む単量体組成物において、単量体(a)に対する(ポリ)アルキレングリコール(P)の割合は0.5質量%以上であることが適当である。副生する(ポリ)アルキレングリコール(P)の割合を小さくしようとするためには、不飽和アルコール類等のアルキレンオキシドの付加反応の際に用いる各種原料中又は反応装置の壁面や気相部に存在する水等の活性水素を有する不純物を反応系から除去する為の脱水処理工程等に長時間を要したり、アルキレンオキシドの付加反応終了後に(ポリ)アルキレングリコール(P)を除去するための精製工程が必要となり、単量体(a)の生産性が低下したりするため好ましくない。一方、単量体(a)に対する(ポリ)アルキレングリコール(P)の割合が100質量%を超えるような場合には、重合反応時の単量体濃度が低下し、重合体(A)又は重合体(B)の分子量が低下するため好ましくない。従って、上記割合の下限としては1質量%以上が好ましく、1.5質量%以上がより好ましく、2質量%以上が更に好ましく、2.5質量%以上が特に好ましい。一方、上記割合の上限としては80質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましく、20質量%以下が特に好ましい。
また、重合反応の際に用いる単量体成分中の不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)の使用割合及び各単量体の重合率(反応率)によって、重合体(A)又は重合体(B)に対する(ポリ)アルキレングリコール(P)の割合は変わってくるが、上記割合の下限としては1質量%以上が好ましく、1.5質量%以上がより好ましく、2質量%以上が更に好ましく、2.5質量%以上が特に好ましい。一方、上記割合の上限としては50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましく、20質量%以下が特に好ましい。
なお、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)の製造工程の終了後に、別途合成した(ポリ)アルキレングリコール(P)を、重合反応時の単量体濃度の低下による重合体(A)又は重合体(B)の分子量の低下を招かない上記割合の範囲内になるように配合してもよく、更に、重合反応の終了後に別途合成した(ポリ)アルキレングリコール(P)を配合してもよい。配合する(ポリ)アルキレングリコール(P)は、副生成物として含まれていた(ポリ)アルキレングリコール(P)と同一構造であっても異なっていてもよい。従って、本発明のセメント混和剤は、2種類以上の(ポリ)アルキレングリコール(P)を含んでいてもよい。
上記(ポリ)アルキレングリコール(P)のオキシアルキレン基の炭素数は、該(ポリ)アルキレングリコール(P)が不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)の製造の際の副生成物である場合には、単量体(a)の製造に用いるアルキレンオキシドと一致する。一方、別途合成した(ポリ)アルキレングリコール(P)を配合する場合には、2〜18が適当であるが、2〜8が好ましく、2〜4がより好ましい。また、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド等の中から選ばれる任意の2種類以上のアルキレンオキシド付加物については、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれでも用いることができる。なお、親水性と疎水性のバランス確保のため、オキシアルキレン基中にオキシエチレン基を必須成分として含むことが好ましく、50モル%以上がオキシエチレン基であることがより好ましく、90モル%以上がオキシエチレン基であることが更に好ましい。
上記(ポリ)アルキレングリコール(P)の末端基は、該(ポリ)アルキレングリコール(P)が不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)の製造の際の副生成物である場合には、単量体(a)の製造方法に依存し、通常は上記一般式(1)におけるRと一致して水素原子又は炭素原子数1〜18のアルキル基となる。その具体例は、上記一般式(1)におけるRと同一であるが、通常、片末端又は両末端が水素原子となる。一方、別途合成した(ポリ)アルキレングリコール(P)を配合する場合には、単量体(a)の製造方法には依存しないが、上記一般式(1)におけるRと同様に水素原子又は炭素原子数1〜18のアルキル基であることが好ましい。なお、水を出発物質とする、両末端が水素原子である(ポリ)アルキレングリコール(P)として、具体的には、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコール等が挙げられるが、水溶性であることが好ましいことから、(ポリ)エチレングリコール又は(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコールがより好ましく、(ポリ)エチレングリコールが更に好ましい。
上記(ポリ)アルキレングリコール(P)の重量平均分子量(GPCによるポリエチレングリコール換算)としては、(ポリ)アルキレングリコール(P)が単量体(a)の製造の際の副生成物である場合には、単量体(a)の製造条件、特にオキシアルキレン基の平均付加モル数mに依存するが、通常50〜50000の範囲となる。また、別途合成した(ポリ)アルキレングリコール(P)を配合する場合には、100〜200000の範囲が好ましいが、500〜100000の範囲がより好ましく、1000〜50000の範囲が更に好ましい。
本発明のセメント混和剤は、必須成分である重合体(A)及び重合体(B)以外に、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)を含有していてもよい。
上記不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)は単独重合性がないことから、重合反応後に残留し易く、検出限界値以下まで含有量を減らすためには、開始剤使用量を増やしたり、重合後半で開始剤を追加添加したり、重合反応時間を長くしたりする必要があるが、分子量の抑制が難しくなったり、生産性が低下したりするため、単量体(a)が残留している時点で重合反応を停止することが好ましい。一方、重合体(A)又は重合体(B)に対する単量体(a)の割合が100質量%を超えるような湯合には、セメントに対する分散性が低下して好ましくない。従って、重合体(A)又は重合体(B)に対する単量体(a)の割合の下限としては、0.5質量%以上が適当であるが、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましく、4質量%以上が特に好ましい。一方、上記割合の上限としては、100質量%以下が適当であるが、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下が更に好ましく、60質量%以下が特に好ましい。なお、重合体(A)又は重合体(B)の重合工程の終了後に、単量体(a)を、セメントに対する分散性の低下を招かない上記割合の範囲内になるように配合してもよく、配合する単量体(a)は、未反応単量体として残留していた単量体(a)と同一構造であっても異なっていてもよい。
本発明の重合体(A)及び重合体(B)の好ましい製造方法は、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)を必須成分として含む単量体成分以外に、アルケニル基を有しない非重合性の(ポリ)アルキレングリコール(P)をも含む組成物を原料として重合反応を行い、かつ、単量体(a)が残留している時点で重合反応を停止する方法である。この方法により、重合体(A)及び重合体(B)以外に、単量体(a)、及び、(ポリ)アルキレングリコール(P)をも含む本発明のセメント混和剤を容易に得ることができる。不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)と共に、アルケニル基を有しない非重合性の(ポリ)アルキレングリコール(P)をも含む組成物は、上述した不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)の製造方法により得ることができる。
本発明のセメント混和剤は、重合体(A)及び重合体(B)の2種類の重合体を必須成分として含むものであるが、各重合体は、水溶液の形態でそのままセメント混和剤の主成分として使用してもよいし、又は、カルシウム、マグネシウム等の二価金属の水酸化物で中和して多価金属塩とした後に乾燥させたり、シリカ系微粉末等の無機粉体に担持して乾燥させたりすることにより粉体化して使用してもよい。
本発明のセメント混和剤は、各種水硬性材料、すなわち、セメントや、石膏等のセメント以外の水硬性材料に用いることができる。そして、水硬性材料と水と本発明のセメント混和剤とを含有し、更に必要に応じて細骨材(砂等)や粗骨材(砕石等)を含む水硬性組成物としては、セメントペースト、モルタル、コンクリート、プラスターが好適である。
上記水硬性組成物の中では、水硬性材料としてセメントを使用するセメント組成物が最も一般的であり、そのようなセメント組成物は、本発明のセメント混和剤、セメント及び水を必須成分として含むことになる。このようなセメント組成物もまた、本発明の1つである。
本発明のセメント組成物において使用されるセメントとしては、ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩及びそれぞれの低アルカリ形)、各種混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント)、白色ポルトランドセメント、アルミナセメント、超速硬セメント(1クリンカー速硬性セメント、2クリンカー速硬性セメント、リン酸マグネシウムセメント)、グラウト用セメント、油井セメント、低発熱セメント(低発熱型高炉セメント、フライアッシュ混合低発熱型高炉セメント、ビーライト高含有セメント)、超高強度セメント、セメント系固化材、エコセメント(都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の一種以上を原料として製造されたセメント)が好適であり、更に、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石灰石粉末等の微粉体や石膏を添加してもよい。また、骨材としては、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材等以外に、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材が使用可能である。
本発明のセメント組成物における、その1mあたりの単位水量、セメント、フライアッシュ及びスラグ(これらを合わせて以降、「B」とも表す。)の合計使用量、並びに、水/B比としては、単位水量100〜185kg/m、使用B量250〜800kg/m、水/B比(質量比)=0.1〜0.7とすることが好ましく、より好ましくは、単位水量120〜175kg/m、使用B量270〜800kg/m、水/B比(質量比)=0.2〜0.65であり、貧配合〜富配合まで幅広く使用可能であり、単位B量の多い高強度コンクリート、単位B量が300kg/m以下の貧配合コンクリートのいずれにも有効である。
本発明のセメント組成物における本発明のセメント混和剤の配合割合としては、例えば、水硬セメントを用いるモルタルやコンクリート等に使用する場合には、セメント、フライアッシュ及びスラグの合計質量に対して0.01〜5.0%とすることが好ましい。この添加により、単位水量の低減、強度の増大、耐久性の向上等の各種の好ましい諸効果がもたらされる。上記配合割合が0.01%未満では性能的に不充分となるおそれがあり、逆に5.0%を超える多量を使用しても、その効果は実質上頭打ちとなり経済性の面からも不利となるおそれがある。より好ましくは0.02%以上であり、また、2.0%以下であり、更に好ましくは0.05%以上であり、また、1.0%以下であり、このような比率の量を添加すればよい。また、配合割合の好適範囲としては、より好ましくは0.02〜2.0%であり、更に好ましくは0.05〜1.0%である。
本発明のセメント混和剤は、従来セメント分散剤として用いられているものと併用することが可能であり、従来より用いられている複数のセメント分散剤との併用も可能である。なお、従来より用いられているセメント分散剤を用いる場合、本発明のセメント混和剤と該セメント分散剤との配合質量比は、該セメント分散剤の種類、配合及び試験条件等の違いにより一義的には決められないが、1〜99/99〜1が好ましく、5〜95/95〜5がより好ましく、10〜90/90〜10が更に好ましい。
本発明のセメント組成物はまた、レディーミクストコンクリート、コンクリート2次製品(プレキャストコンクリート)用のコンクリート、遠心成形コンクリート、振動締め固めコンクリート、蒸気養生コンクリート、吹付けコンクリート等に有効であり、更に、中流動コンクリート(スランプ値が22〜25cmのコンクリート)、高流動コンクリート(スランプ値が25cm以上で、スランプフロー値が50〜70cmのコンクリート)、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材等の高い流動性を要求されるモルタルやコンクリートにも有効である。
更に、本発明のセメント組成物は、以下の(1)〜(20)に例示するような他の従来よりセメント添加剤(材)として用いられているものを含有することができる。
(1)水溶性高分子物質:ポリアクリル酸(ナトリウム)、ポリメタクリル酸(ナトリウム)、ポリマレイン酸(ナトリウム)、アクリル酸・マレイン酸共重合物のナトリウム塩等の不飽和カルボン酸重合物;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の非イオン性セルロースエーテル類;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の多糖類のアルキル化若しくはヒドロキシアルキル化誘導体の一部又は全部の水酸基の水素原子が、炭素数8〜40の炭化水素鎖を部分構造として有する疎水性置換基と、スルホン酸基又はそれらの塩を部分構造として含有するイオン性親水性置換基で置換されてなる多糖誘導体;酵母グルカンやキサンタンガム、β−1.3グルカン類(直鎖状、分岐鎖状のいずれでも良く、一例を挙げれば、カードラン、パラミロン、パキマン、スクレログルカン、ラミナラン等)等の微生物醗酵によって製造される多糖類;ポリアクリルアミド;ポリビニルアルコール;デンプン;デンプンリン酸エステル;アルギン酸ナトリウム;ゼラチン;分子内にアミノ基を有するアクリル酸のコポリマー及びその四級化合物等。
(2)高分子エマルジョン:(メタ)アクリル酸アルキル等の各種ビニル単量体の共重合物等。
(3)遅延剤:グルコン酸、グルコヘプトン酸、アラボン酸、リンゴ酸又はクエン酸、及び、これらの、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、トリエタノールアミン等の無機塩又は有機塩等のオキシカルボン酸;グルコース、フラクトース、ガラクトース、サッカロース、キシロース、アピオース、リボース、異性化糖等の単糖類や、二糖、三糖等のオリゴ糖、又はデキストリン等のオリゴ糖、又はデキストラン等の多糖類、これらを含む糖蜜類等の糖類;ソルビトール等の糖アルコール;珪弗化マグネシウム;リン酸並びにその塩又はホウ酸エステル類;アミノカルボン酸とその塩;アルカリ可溶タンパク質;フミン酸;タンニン酸;フェノール;グリセリン等の多価アルコール;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等のホスホン酸及びその誘導体等。
(4)早強剤・促進剤:塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム等の可溶性カルシウム塩;塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸塩;水酸化カリウム;水酸化ナトリウム;炭酸塩;チオ硫酸塩;ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩;アルカノールアミン;アルミナセメント;カルシウムアルミネートシリケート等。
(5)鉱油系消泡剤:燈油、流動パラフィン等。
(6)油脂系消泡剤:動植物油、ごま油、ひまし油、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(7)脂肪酸系消泡剤:オレイン酸、ステアリン酸、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(8)脂肪酸エステル系消泡剤:グリセリンモノリシノレート、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールトリオレエート、天然ワックス等。
(9)オキシアルキレン系消泡剤:(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン付加物等のポリオキシアルキレン類;ジエチレングリコールヘプチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン2−エチルヘキシルエーテル、炭素数12〜14の高級アルコールへのオキシエチレンオキシプロピレン付加物等の(ポリ)オキシアルキルエーテル類;ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の(ポリ)オキシアルキレン(アルキル)アリールエーテル類;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール,3−メチル−1−ブチン−3−オール等のアセチレンアルコールにアルキレンオキシドを付加重合させたアセチレンエーテル類;ジエチレングリコールオレイン酸エステル、ジエチレングリコールラウリル酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシプロピレンメチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェノールエーテル硫酸ナトリウム等の(ポリ)オキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;(ポリ)オキシエチレンステアリルリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミン等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド等。
(10)アルコール系消泡剤:オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、アセチレンアルコール、グリコール類等。
(11)アミド系消泡剤:アクリレートポリアミン等。
(12)リン酸エステル系消泡剤:リン酸トリブチル、ナトリウムオクチルホスフェート等。
(13)金属石鹸系消泡剤:アルミニウムステアレート、カルシウムオレエート等。
(14)シリコーン系消泡剤:ジメチルシリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機変性ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサン等のポリオルガノシロキサン)、フルオロシリコーン油等。
(15)AE剤:樹脂石鹸、飽和又は不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸)、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸)、アルカンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステル又はその塩、蛋白質材料、アルケニルスルホコハク酸、α−オレフィンスルホネート等。
(16)その他界面活性剤:オクタデシルアルコールやステアリルアルコール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する脂肪族1価アルコール、アビエチルアルコール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する脂環式1価アルコール、ドデシルメルカプタン等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する1価メルカプタン、ノニルフェノール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するアルキルフェノール、ドデシルアミン等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するアミン、ラウリン酸やステアリン酸等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するカルボン酸に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを10モル以上付加させたポリアルキレンオキシド誘導体類;アルキル基又はアルコキシ基を置換基として有してもよい、スルホン基を有する2個のフェニル基がエーテル結合した、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩類;各種アニオン性界面活性剤;アルキルアミンアセテート、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の各種カチオン性界面活性剤;各種ノニオン性界面活性剤;各種両性界面活性剤等。
(17)防水剤:脂肪酸(塩)、脂肪酸エステル、油脂、シリコン、パラフィン、アスファルト、ワックス等。
(18)防錆剤:亜硝酸塩、リン酸塩、酸化亜鉛等。
(19)ひび割れ低減剤:ポリオキシアルキルエーテル等。
(20)膨張材;エトリンガイト系、石炭系等。
その他の従来より用いられているセメント添加剤(材)としては、セメント湿潤剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、防錆剤、着色剤、防カビ剤等を挙げることができる。なお、上述した従来より用いられているセメント添加剤(材)は、複数の併用も可能である。
本発明のセメント組成物において、セメント及び水以外の成分についての特に好適な実施形態としては、次の1)〜4)が挙げられる。
1)(1)本発明のセメント混和剤、(2)オキシアルキレン系消泡剤の2成分を必須とする組み合わせ。なお、(2)のオキシアルキレン系消泡剤の配合質量比としては、(1)のセメント混和剤に対して0.01〜10質量%が好ましい。
2)(1)本発明のセメント混和剤、(2)材料分離低減剤の2成分を必須とする組み合わせ。材料分離低減剤としては、非イオン性セルロースエーテル類等の各種増粘剤、部分構造として炭素数4〜30の炭化水素鎖からなる疎水性置換基と炭素数2〜18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2〜300付加したポリオキシアルキレン鎖とを有する化合物等が使用可能である。なお、(1)のセメント混和剤と(2)の材料分離低減剤との配合質量比としては、10/90〜99.99/0.01が好ましく、50/50〜99.9/0.1がより好ましい。この組み合わせからなるセメント組成物は、高流動コンクリート、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材として好適である。
3)(1)本発明のセメント混和剤、(2)遅延剤の2成分を必須とする組み合わせ。遅延剤としては、グルコン酸(塩)、クエン酸(塩)等のオキシカルボン酸類、グルコース等の糖類、ソルビトール等の糖アルコール類、アミノトリ(メチレンホスホン酸)等のホスホン酸類等が使用可能である。なお、(1)のセメント混和剤と(2)の遅延剤との配合質量比としては、50/50〜99.9/0.1が好ましく、70/30〜99/1がより好ましい。
4)(1)本発明のセメント混和剤、(2)促進剤の2成分を必須とする組み合わせ。促進剤としては、塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム等の可溶性カルシウム塩類、塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物類、チオ硫酸塩、ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩類等が使用可能である。なお、(1)のセメント混和剤と(2)の促進剤との配合質量比としては、10/90〜99.9/0.1が好ましく、20/80〜99/1がより好ましい。
本発明のセメント混和剤は、上述の構成よりなり、フライアッシュ、スラグ等を含むセメント組成物においても、優れた減水性能と、スランプ保持性能とを兼ね備え、かつ使用量が少なく、経済性の高いセメント混和剤である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
以下の実施例及び比較例においては、以下のようにして測定、評価を行った。
<重合体の固形分(不揮発分)の測定法>
試料約0.5gをアルミ皿に量り採り、水約1gで希釈して均一に広げた。窒素雰囲気下、130℃で1時間乾燥させ、デシケーター中で放冷した後、乾燥後質量を量った。乾燥前後の質量差により固形分(不揮発分)濃度を計算した。
<重量平均分子量(Mw)測定条件>
重合体の重量平均分子量は、ポリエチレングリコール換算によるゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって以下の測定条件で測定した。
測定条件
装置:Waters社製、Waters Alliance(2695)
解析ソフト:Waters社製、Empowerプロフェッショナル+GPCオプション
使用カラム:東ソー社製、TSK guard column SWXL+TSKgel G4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL
検出器:示差屈折率計(RI)検出器(Waters社製、Waters 2414)
溶離液:水10,999g、アセトニトリル6,001gの混合溶媒に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶解し、さらに酢酸でpH6.0に調整した溶液
較正曲線作成用標準物質:ポリエチレングリコール[ピークトップ分子量(Mp)300000、200000、107000、50000、27700、11840、6450、1470]
較正曲線:上記ポリエチレングリコールのMp値と溶出時間とを基礎にして3次式で作成
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
測定時間:45分
試料液注入量:100μL(試料濃度0.5wt%の溶離液調製溶液)
<原料単量体の反応率測定>
不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)の定量は、以下の条件の高速液体クロマトグラフィで行った。
測定条件
装置:Waters社製、Waters Alliance(2695)
解析ソフト:Waters社製、Empowerプロフェッショナル
使用カラム:Waters社製、Atlantis dC18 5μm Guard Column 2PK(4.6mm×20mm)+Waters社製、Atlantis dC18 5μm(4.6mm×250mm)
検出器:示差屈折率計(RI)検出器(Waters社製、Waters 2414)、多波長可視紫外(PDA)検出器(Waters社製、Waters 2996)
溶離液:水10800g、アセトニトリル7200gの混合溶媒に酢酸ナトリウム三水和物4.5g、さらに酢酸63gを溶解させたpH4.0−4.5に調整した溶液
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
測定時間:30分
試料液注入量:100μL(試料濃度1.0wt%の溶離液調製溶液)
また、不飽和カルボン酸系単量体(b)の定量は、以下の条件の高速液体クロマトグラフィで行った。
測定条件
装置:Waters社製、Waters Alliance(2695)
解析ソフト:Waters社製、Empowerプロフェッショナル
使用カラム:資生堂社製、CAPCELL PAK AQ C18 3μm(4.6mm×100mm)
検出器:示差屈折率計(RI)検出器(Waters社製、Waters 2414)、多波長可視紫外(PDA)検出器(Waters社製、Waters 2996)
溶離液:水18480g、アセトニトリル380gの混合溶媒に酢酸ナトリウム三水和物51g、さらに酢酸90gを溶解させたpH4.0−4.5に調整した溶液
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
測定時間:60分
試料液注入量:100μL(試料濃度1.0wt%の溶離液調製溶液)
また、不飽和カルボン酸エステル系単量体(c)の定量は、以下の条件の高速液体クロマトグラフィで行った。
測定条件
装置:Waters社製、Waters Alliance(2695)
解析ソフト:Waters社製、Empowerプロフェッショナル
使用カラム:資生堂社製、CAPCELL PAK C1 UG120 5μm(4.6mm×250mm)
検出器:示差屈折率計(RI)検出器(Waters社製、Waters 2414)、多波長可視紫外(PDA)検出器(Waters社製、Waters 2996)
溶離液:水3573g、アセトニトリル4400gの混合溶媒に酢酸ナトリウム三水和物10g、さらに酢酸17gを溶解させた溶液
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
測定時間:60分
試料液注入量:100μL(試料濃度1.0wt%の溶離液調製溶液)
[重合体(A)及び重合体(B)の調整]
<製造例1>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水303.0gとイソプレノールにエチレンオキシド(EO)を平均50モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−50)247.9gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液24.4gを加えた。次に、アクリル酸7.8g、アクリル酸2−ヒドロキシエチルを20.5g、イオン交換水7.1gで希釈した水溶液、およびIPN−50 743.8gをイオン交換水318.8gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水333.7gにL−アスコルビン酸1.3gおよび3−メルカプトプロピオン酸4.6gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、濃度調整用のイオン交換水を加えて、重量平均分子量(Mw)が10000のポリカルボン酸系共重合体(A−1)の水溶液を得た。不揮発分は45.5%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
ここで、上記有効成分濃度とは、重合性モノマーである不飽和カルボン酸系単量体、不飽和カルボン酸エステル系単量体および不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体の各々の反応率を用いて算出される有効成分割合に固形分をかけた値であり、次式で定義される値とする。
有効成分濃度=[(a+b+c)/(A+B+C)]×NV
上記式中の略号は以下の通りである。
A:不飽和カルボン酸系単量体の使用量
B:不飽和カルボン酸エステル系単量体の使用量
C:不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体の使用量
a:不飽和カルボン酸系単量体の使用量×反応率
b:不飽和カルボン酸エステル系単量体の使用量×反応率
c:不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体の使用量×反応率
NV:固形分
例えば、製造例1では、不飽和カルボン酸系単量体がアクリル酸のナトリウム塩、不飽和カルボン酸エステル系単量体がアクリル酸2−ヒドロキシエチル、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体がIPN−50に相当する。
原料単量体であるアクリル酸のナトリウム塩/アクリル酸2−ヒドロキシエチル/IPN−50の重量組成比が1.0/2.0/97.0であり、アクリル酸のナトリウム塩の反応率が99.0%、アクリル酸2−ヒドロキシエチルの反応率が99.2%、IPN−50の反応率が54.3%であることから、1.0%×0.990+2.0%×0.992+97.0%×0.543=55.7%が原料単量体合計量に対する有効成分割合となる。よって、有効成分濃度は、不揮発分45.5%×0.557=25.3%となる。
なお、製造例1〜31では不飽和カルボン酸系単量体としてアクリル酸又はマレイン酸を用いているが、共重合体を製造した後、水酸化ナトリウムで中和することから、便宜上、原料単量体の重量組成比、反応率および共重合体組成比は、アクリル酸のナトリウム塩又はマレイン酸のナトリウム塩に換算し表1および表2に示す。
<製造例2>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水306.0gとイソプレノールにエチレンオキシド(EO)を平均50モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−50)248.8gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液24.9gを加えた。次に、アクリル酸19.7g、AM−30G(新中村化学社製、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(EO 3モル))を3.6g、イオン交換水5.8gで希釈した水溶液、およびIPN−50 746.4gをイオン交換水319.9gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水320.5gにL−アスコルビン酸1.3gおよび3−メルカプトプロピオン酸1.6gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、濃度調整用のイオン交換水を加えて、重量平均分子量(Mw)が30000のポリカルボン酸系共重合体(A−2)の水溶液を得た。不揮発分は45.5%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例3>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水297.9gとイソプレノールにエチレンオキシド(EO)を平均50モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−50)243.7gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液14.2gを加えた。次に、アクリル酸4.3gおよびアクリル酸2−ヒドロキシエチル40.9gをイオン交換水11.3gで希釈した水溶液、およびIPN−50 731.3gをイオン交換水313.3gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水169.7gに3−メルカプトプロピオン酸2.0gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。さらに同時に、イオン交換水170.9gにL−アスコルビン酸0.7gに溶解させた水溶液を前半2時間で90.7g、後半2.5時間で81.0gを合計4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、濃度調整用のイオン交換水を加えて、重量平均分子量(Mw)が24000のポリカルボン酸系共重合体(A−3)の水溶液を得た。不揮発分は45.6%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例4>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水290.4gとイソプレノールにエチレンオキシド(EO)を平均50モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−50)231.9gと、アクリル酸2−ヒドロキシエチル5.7gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液47.2gを加えた。次に、アクリル酸35.5gおよびアクリル酸2−ヒドロキシエチル51.0gをイオン交換水21.6gで希釈した水溶液、およびIPN−50 695.8gをイオン交換水298.0gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水316.6gに3−メルカプトプロピオン酸3.5gおよびL−アスコルビン酸2.4gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、濃度調整用のイオン交換水を加えて、重量平均分子量(Mw)が25300のポリカルボン酸系共重合体(A−4)の水溶液を得た。不揮発分は45.3%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例5>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水310.2gとイソプレノールにエチレンオキシド(EO)を平均25モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−25)249.2gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液36.7gを加えた。次に、アクリル酸7.8g、アクリル酸2−ヒドロキシエチルを15.3g、イオン交換水5.8gで希釈した水溶液、およびIPN−25 747.6gをイオン交換水320.4gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水303.9gにL−アスコルビン酸1.9gおよび3−メルカプトプロピオン酸6.7gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、濃度調整用のイオン交換水を加えて、重量平均分子量(Mw)が12000のポリカルボン酸系共重合体(A−5)の水溶液を得た。不揮発分は45.9%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例6>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水296.4gとメタリルアルコールにエチレンオキシド(EO)を平均25モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(MLA−25)242.5gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液49.5gを加えた。次に、アクリル酸39.5g、アクリル酸2−ヒドロキシエチルを10.3g、イオン交換水12.5gで希釈した水溶液、およびMLA−25 727.6gをイオン交換水311.8gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水299.7gにL−アスコルビン酸2.6gおよび3−メルカプトプロピオン酸7.6gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、濃度調整用のイオン交換水を加えて、重量平均分子量(Mw)が18500のポリカルボン酸系共重合体(A−6)の水溶液を得た。不揮発分は45.2%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例7>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水293.7gとイソプレノールにエチレンオキシド(EO)を平均25モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−25)240.3gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液46.2gを加えた。次に、アクリル酸7.8g、アクリル酸2−ヒドロキシエチルを51.1g、イオン交換水14.7gで希釈した水溶液を後述の滴下水溶液(1)及び(2)に対して10分先駆けて滴下を開始し、4時間10分かけて滴下した。IPN−25 720.8gをイオン交換水308.9gに溶解させた水溶液(1)を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水307.6gにL−アスコルビン酸2.4gおよび3−メルカプトプロピオン酸6.5gを溶解させた水溶液(2)を4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、濃度調整用のイオン交換水を加えて、重量平均分子量(Mw)が20800のポリカルボン酸系共重合体(A−7)の水溶液を得た。不揮発分は45.2%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例8>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水280.0gとメタリルアルコールにエチレンオキシド(EO)を平均25モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(MLA−25)229.1gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液52.4gを加えた。次に、アクリル酸31.6g、AM−30G(新中村化学社製、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(EO 3モル))を72.1g、イオン交換水25.9gで希釈した水溶液、およびMLA−25 687.3gをイオン交換水294.5gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水319.9gにL−アスコルビン酸2.7gおよび3−メルカプトプロピオン酸4.6gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、濃度調整用のイオン交換水を加えて、重量平均分子量(Mw)が32100のポリカルボン酸系共重合体(A−8)の水溶液を得た。不揮発分は45.5%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例9>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水305.5gとメタリルアルコールにエチレンオキシド(EO)を平均75モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(MLA−75)250.0gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液5.6gを加えた。次に、アクリル酸7.8g、AM−30G(新中村化学社製、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(EO 3モル))を12.3g、イオン交換水5.0gで希釈した水溶液、およびMLA−75 749.9gをイオン交換水321.4gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水341.1gにL−アスコルビン酸0.3gおよび3−メルカプトプロピオン酸1.0gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、濃度調整用のイオン交換水を加えて、重量平均分子量(Mw)が12700のポリカルボン酸系共重合体(A−9)の水溶液を得た。不揮発分は45.6%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例10>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水297.7gとイソプレノールにエチレンオキシド(EO)を平均75モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−75)243.5gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液19.8gを加えた。次に、アクリル酸35.5g、アクリル酸2−ヒドロキシエチルを8.9g、イオン交換水11.5gで希釈した水溶液を後述の滴下水溶液(1)及び(2)に対して1時間先駆けて滴下を開始し、5時間かけて滴下した。IPN−75 730.6gをイオン交換水313.1gに溶解させた水溶液(1)を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水334.5gにL−アスコルビン酸1.0gおよび3−メルカプトプロピオン酸2.5gを溶解させた水溶液(2)を4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、濃度調整用のイオン交換水を加えて、重量平均分子量(Mw)が20000のポリカルボン酸系共重合体(A−10)の水溶液を得た。不揮発分は45.7%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例11>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水292.1gとイソプレノールにエチレンオキシド(EO)を平均75モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−75)239.0gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液20.2gを加えた。次に、アクリル酸7.8g、アクリル酸2−ヒドロキシエチルを56.2g、イオン交換水16.0gで希釈した水溶液、およびIPN−75 717.0gをイオン交換水307.3gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水340.7gにL−アスコルビン酸1.0gおよび3−メルカプトプロピオン酸2.7gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、濃度調整用のイオン交換水を加えて、重量平均分子量(Mw)が17600のポリカルボン酸系共重合体(A−11)の水溶液を得た。不揮発分は45.6%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例12>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水299.7gとイソプレノールにエチレンオキシド(EO)を平均75モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−75)245.2gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液14.3gを加えた。次に、アクリル酸15.7g、アクリル酸2−ヒドロキシエチルを23.6g、イオン交換水9.8gで希釈した水溶液、およびIPN−75 735.5gをイオン交換水315.2gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水338.3gにL−アスコルビン酸0.7gおよび3−メルカプトプロピオン酸1.9gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、濃度調整用のイオン交換水を加えて、重量平均分子量(Mw)が40000のポリカルボン酸系共重合体(A−12)の水溶液を得た。不揮発分は45.6%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例13>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水284.0gとイソプレノールにエチレンオキシド(EO)を平均50モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−50)232.4gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液40.3gを加えた。次に、マレイン酸33.7g、アクリル酸2−ヒドロキシエチルを56.8g、イオン交換水50.0gで希釈した水溶液、およびIPN−50 697.1gをイオン交換水298.8gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水299.3gにL−アスコルビン酸2.1gおよび3−メルカプトプロピオン酸5.3gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、濃度調整用のイオン交換水を加えて、重量平均分子量(Mw)が17500のポリカルボン酸系共重合体(A−13)の水溶液を得た。不揮発分は45.6%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例14>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水294.7gとイソプレノールにエチレンオキシド(EO)を平均50モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−50)241.1gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液20.3gを加えた。次に、アクリル酸55.6gをイオン交換水13.9gで希釈した水溶液、およびIPN−50 723.3gをイオン交換水310.0gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水167.3gに3−メルカプトプロピオン酸3.3gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。さらに同時に、イオン交換水169.5gにL−アスコルビン酸1.1gに溶解させた水溶液を前半1時間で62.0g、後半3.5時間で108.5gを合計4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、濃度調整用のイオン交換水を加えて、重量平均分子量(Mw)が22000のポリカルボン酸系共重合体(B−1)の水溶液を得た。不揮発分は45.7%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例15>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水293.4gとイソプレノールにエチレンオキシド(EO)を平均50モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−50)240.1gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液21.2gを加えた。次に、アクリル酸59.7gをイオン交換水14.9gで希釈した水溶液、およびIPN−50 720.3gをイオン交換水308.7gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水168.5gに3−メルカプトプロピオン酸2.4gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。さらに同時に、イオン交換水169.8gにL−アスコルビン酸1.1gに溶解させた水溶液を前半2時間で83.7g、後半3.5時間で87.2gを合計4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、濃度調整用のイオン交換水を加えて、重量平均分子量(Mw)が30000のポリカルボン酸系共重合体(B−2)の水溶液を得た。不揮発分は45.6%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例16>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水282.1gとイソプレノールにエチレンオキシド(EO)を平均50モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−50)230.9gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液59.3gを加えた。次に、アクリル酸96.5gをイオン交換水24.1gで希釈した水溶液、およびIPN−50 692.6gをイオン交換水296.8gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水155.7gに3−メルカプトプロピオン酸3.5gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。さらに同時に、イオン交換水155.3gにL−アスコルビン酸3.1gに溶解させた水溶液を前半30分で19.2g、後半4時間で139.6gを合計4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、濃度調整用のイオン交換水を加えて、重量平均分子量(Mw)が34500のポリカルボン酸系共重合体(B−3)の水溶液を得た。不揮発分は45.2%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例17>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水274.5gとイソプレノールにエチレンオキシド(EO)を平均50モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−50)224.6gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液70.7gを加えた。次に、アクリル酸121.5gをイオン交換水30.4gで希釈した水溶液、およびIPN−50 673.9gをイオン交換水288.8gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水308.4gにL−アスコルビン酸3.7gおよび3−メルカプトプロピオン酸3.5gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、重量平均分子量(Mw)が40000のポリカルボン酸系共重合体(B−4)の水溶液を得た。不揮発分は45.3%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例18>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水294.7gとメタリルアルコールにエチレンオキシド(EO)を平均25モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(MLA−25)241.1gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液20.3gを加えた。次に、アクリル酸55.6gをイオン交換水13.9gで希釈した水溶液、およびMLA−25 723.3gをイオン交換水310.0gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水167.3gに3−メルカプトプロピオン酸3.3gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。さらに同時に、イオン交換水169.5gにL−アスコルビン酸1.1gに溶解させた水溶液を前半1時間で62.0g、後半3.5時間で108.5gを合計4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、濃度調整用のイオン交換水を加えて、重量平均分子量(Mw)が25000のポリカルボン酸系共重合体(B−5)の水溶液を得た。不揮発分は45.8%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例19>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水287.2gとイソプレノールにエチレンオキシド(EO)を平均25モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−25)235.0gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液64.7gを加えた。次に、アクリル酸80.0gをイオン交換水20.0gで希釈した水溶液、およびIPN−25 705.0gをイオン交換水302.1gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水296.7gにL−アスコルビン酸3.4gおよび3−メルカプトプロピオン酸5.9gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、重量平均分子量(Mw)が25000のポリカルボン酸系共重合体(B−6)の水溶液を得た。不揮発分は45.1%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例20>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水278.4gとメタリルアルコールにエチレンオキシド(EO)を平均25モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(MLA−25)227.8gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液77.5gを加えた。次に、アクリル酸109.0gをイオン交換水27.2gで希釈した水溶液、およびMLA−25 683.3gをイオン交換水292.8gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水294.2gにL−アスコルビン酸4.0gおよび3−メルカプトプロピオン酸5.8gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、重量平均分子量(Mw)が29000のポリカルボン酸系共重合体(B−7)の水溶液を得た。不揮発分は45.6%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例21>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水278.4gとイソプレノールにエチレンオキシド(EO)を平均25モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−25)227.8gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液77.5gを加えた。次に、アクリル酸109.0gをイオン交換水27.2gで希釈した水溶液、およびIPN−25 683.3gをイオン交換水292.8gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水296.1gにL−アスコルビン酸4.0gおよび3−メルカプトプロピオン酸3.9gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、重量平均分子量(Mw)が45000のポリカルボン酸系共重合体(B−8)の水溶液を得た。不揮発分は45.7%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例22>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水291.0gとメタリルアルコールにエチレンオキシド(EO)を平均75モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(MLA−75)238.1gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液32.0gを加えた。次に、アクリル酸67.8gをイオン交換水16.9gで希釈した水溶液、およびMLA−75 714.2gをイオン交換水306.1gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水329.1gにL−アスコルビン酸1.7gおよび3−メルカプトプロピオン酸3.3gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、重量平均分子量(Mw)が19500のポリカルボン酸系共重合体(B−9)の水溶液を得た。不揮発分は45.8であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例23>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水287.2gとイソプレノールにエチレンオキシド(EO)を平均75モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−75)235.0gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液37.8gを加えた。次に、アクリル酸80.0gをイオン交換水20.0gで希釈した水溶液、およびIPN−75 705.0gをイオン交換水302.1gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水296.4gにL−アスコルビン酸2.0gおよび3−メルカプトプロピオン酸3.6gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、重量平均分子量(Mw)が25000のポリカルボン酸系共重合体(B−10)の水溶液を得た。不揮発分は45.8%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例24>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水291.0gとイソプレノールにエチレンオキシド(EO)を平均75モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−75)238.1gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液32.0gを加えた。次に、アクリル酸67.8gをイオン交換水16.9gで希釈した水溶液、およびIPN−75 714.2gをイオン交換水306.1gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水330.1gにL−アスコルビン酸1.7gおよび3−メルカプトプロピオン酸2.3gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、重量平均分子量(Mw)が35000のポリカルボン酸系共重合体(B−11)の水溶液を得た。不揮発分は45.8%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例25>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水275.8gとメタリルアルコールにエチレンオキシド(EO)を平均75モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(MLA−75)225.7gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液55.4gを加えた。次に、アクリル酸117.3gをイオン交換水29.3gで希釈した水溶液、およびMLA−75 677.0gをイオン交換水290.2gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水323.1gにL−アスコルビン酸2.9gおよび3−メルカプトプロピオン酸3.4gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、重量平均分子量(Mw)が41500のポリカルボン酸系共重合体(B−12)の水溶液を得た。不揮発分は45.6%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例26>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水274.5gとイソプレノールにエチレンオキシド(EO)を平均50モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−50)224.6gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液70.7gを加えた。次に、アクリル酸121.5gをイオン交換水30.4gで希釈した水溶液、およびIPN−50 673.9gをイオン交換水288.8gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水309.5gにL−アスコルビン酸3.7gおよび3−メルカプトプロピオン酸2.4gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、重量平均分子量(Mw)が60000のポリカルボン酸系共重合体(B−13)の水溶液を得た。不揮発分は45.5%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例27>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水265.5gとイソプレノールにエチレンオキシド(EO)を平均50モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−50)217.2gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液84.2gを加えた。次に、アクリル酸151.1gをイオン交換水37.8gで希釈した水溶液、およびIPN−50 651.7gをイオン交換水279.3gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水304.1gにL−アスコルビン酸4.4gおよび3−メルカプトプロピオン酸4.7gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、重量平均分子量(Mw)が41500のポリカルボン酸系共重合体(B−14)の水溶液を得た。不揮発分は45.4%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例28>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水303.4gとイソプレノールにエチレンオキシド(EO)を平均50モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−50)229.6gと、アクリル酸2−ヒドロキシエチル18.6gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液50.4gを加えた。次に、アクリル酸39.5gおよびアクリル酸2−ヒドロキシエチル43.3gをイオン交換水20.7gで希釈した水溶液、およびIPN−50 688.9gをイオン交換水295.2gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水304.1gに3−メルカプトプロピオン酸3.5gおよびL−アスコルビン酸2.6gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、濃度調整用のイオン交換水を加えて、重量平均分子量(Mw)が26000のポリカルボン酸系共重合体(B−15)の水溶液を得た。不揮発分は45.8%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例29>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水278.7gとイソプレノールにエチレンオキシド(EO)を平均50モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−50)195.7gと、アクリル酸5.5gと、アクリル酸2−ヒドロキシエチル27.3gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液94.8gを加えた。次に、アクリル酸95.6g、アクリル酸2−ヒドロキシプロピルを109.3g、イオン交換水51.2gで希釈した水溶液、およびIPN−50 587.1gをイオン交換水251.6gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水289.5gにL−アスコルビン酸4.9gおよび3−メルカプトプロピオン酸4.7gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、濃度調整用のイオン交換水を加えて、重量平均分子量(Mw)が40000のポリカルボン酸系共重合体(B−16)の水溶液を得た。不揮発分は45.4%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例30>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水286.5gとイソプレノールにエチレンオキシド(EO)を平均50モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−50)234.4gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液50.9gを加えた。次に、アクリル酸71.96g、アクリル酸2−ヒドロキシエチルを10.4g、イオン交換水20.6gで希釈した水溶液、およびIPN−50 703.3gをイオン交換水301.4gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水314.1gにL−アスコルビン酸2.6gおよび3−メルカプトプロピオン酸3.8gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、濃度調整用のイオン交換水を加えて、重量平均分子量(Mw)が30000のポリカルボン酸系共重合体(B−17)の水溶液を得た。不揮発分は45.6%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
<製造例31>
温度計、拡販機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水283.3gとイソプレノールにエチレンオキシド(EO)を平均50モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−50)231.8gとを仕込み、60℃に昇温した後、そこへ4%過酸化水素水溶液53.8gを加えた。次に、アクリル酸71.9g、アクリル酸2−ヒドロキシエチルを18.0g、イオン交換水23.2gで希釈した水溶液、およびIPN−50 695.5gをイオン交換水298.1gに溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水315.3gにL−アスコルビン酸2.8gおよび3−メルカプトプロピオン酸3.5gを溶解させた水溶液を4.5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度で、水酸化ナトリウム30%水溶液を用いて反応溶液をpH6に中和し、濃度調整用のイオン交換水を加えて、重量平均分子量(Mw)が32000のポリカルボン酸系共重合体(B−18)の水溶液を得た。不揮発分は45.6%であった。得られた水溶液は、有効成分濃度が10.0%となるように希釈水を加えて調整した。
[重合体(A)及び重合体(B)の製造例一覧]
表1にポリカルボン酸系共重合体A、表2にポリカルボン酸系共重合体Bの調整に用いた各原料単量体の重量組成比、各原料単量体の反応率、共重合体組成比、重量平均分子量(Mw)、吸着基数及び加水分解性基数を示した。
表1及び表2中の単量体(a)は不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体を、単量体(b)は不飽和カルボン酸系単量体を、単量体(c)は不飽和カルボン酸エステル系単量体を表す。
なお、表1及び表2に記載されている単量体(b)は、アクリル酸のナトリウム塩又はマレイン酸のナトリウム塩である。便宜上、製造例1〜31ではアクリル酸又はマレイン酸を用いている。
[吸着基数、加水分解性基数の計算例]
表1及び表2に各共重合体AおよびBの共重合体組成比(質量%)を示している。製造例1〜31においては、吸着基を有する単量体が不飽和カルボン酸系単量体(b)1種類であるので、製造例1〜31で製造される共重合体の吸着基数は、上記数式(2)又は(3)を用いて算出される。
また、製造例14〜27においては、加水分解性基を有する単量体が用いられていないことから、製造例14〜27で製造される共重合体の加水分解性基数は、0であり、製造例1〜13、28〜31においては、加水分解性基を有する単量体が不飽和カルボン酸エステル系単量体(c)1種類であり、いずれも特に不飽和モノカルボン酸エステル系単量体が用いられており、かつ、吸着基を有する単量体が不飽和カルボン酸系単量体(b)1種類であるので、製造例1〜13、28〜31で製造される共重合体の加水分解性基数は、上記数式(6)を用いて算出される。
具体的には、例えば、製造例1の共重合体A−1の組成比は、単量体(b)(Mw:94.04、アクリル酸のナトリウム塩)/単量体(c)(Mw:116.12、アクリル酸2−ヒドロキシエチル)/単量体(a)(Mw:2288.78、IPN−50)=1.78/3.56/94.66(質量%)である。
単量体(b)のモル分率は、(1.78/94.04)/{(1.78/94.04)+(3.56/116.12)+(94.66/2288.78)}=0.244となる。同様に計算して、単量体(c)のモル分率は0.396、単量体(a)のモル分率は0.360となる。
共重合体A−1のMwが10000であることから、吸着基数Pは、10000/(94.04+116.12×0.396/0.244+2288.78×0.360/0.244)=1.9となる。また、加水分解性基数Lは、1.9×0.396/0.244=3.1となる。
以下、製造例2〜31の共重合体A−2〜13、B−1〜18についても同様に計算し求められる。
Figure 0005707165
Figure 0005707165
[コンクリート試験]
<実施例1〜36、比較例1〜6>
(コンクリート組成物の調整)
コンクリート組成物の調整は、試験温度が20℃となるように、試験に使用する材料、強制練りミキサー、測定器具類を20℃の試験温度雰囲気下で調温し、混練および各測定は20℃の温度雰囲気下で行った。なお、コンクリート組成物中の気泡がコンクリート組成物の流動性に及ぼす影響を避けるために、市販のAE剤(商品名「MA202」、ポゾリス社製)を用い、空気量が4±0.5%となるように調整した。
セメント混和剤として、上記の製造例で得られた共重合体を表3及び表4に示す配合比で配合したものを用い、下記に示すコンクリート配合にて調合して、水を加えた時間を0分として強制練りミキサーを用いて3分間混練し、コンクリートを製造し、所定のフロー値を得るための混和剤有効成分添加量と、5分後および60分後のフロー値を評価した。フロー値、フロー値の経時変化および空気量の測定は、日本工業規格(JIS−A−1101、1128)に準拠して行った。実施例の試験結果、配合サンプルおよび配合比は、表3に示した。比較例の試験結果、配合サンプルおよび配合比は、表4に示した。
(コンクリート配合)
配合単位量は、W:147kg/m、C:151kg/m、FA:146kg/m、SL:71kg/m、G:1028kg/m、S:737kg/mとした。
上記略語は、下記の通りである。
W:セメント混和剤、AE剤(空気連行剤)、水(水道水)
C:太平洋セメント社製の普通ポルトランドセメント
FA:中部電力社製、フライアッシュ
SL:日鉄セメント社製、スピリッツ4000(スラグ)
G:粗骨材、青梅産硬質砂岩(比重2.65)
S:細骨材、掛川産川砂(大井川水系、比重2.59)
(コンクリート試験性能評価)
初期フロー500±50mmになるようにするために必要な有効成分添加量/B(質量%)により求められる添加量を指標として減水性を下記評価基準に基づいて評価した。有効成分添加量/Bが少ないほど減水性に優れていることを意味する。なお、有効成分添加量は配合共重合体(X)と(Y)との有効成分量の合計を示し、BはC+FA+SLの合計量を示す。
減水性の評価基準
評価◎:添加量が0.110%未満
評価○:添加量が0.110%以上0.135%未満
評価○〜△:添加量が0.135%以上0.160%未満
評価△:添加量が0.160%以上0.185%未満
評価×:添加量が0.185%以上
また、初期5分でのフロー値で、60分後のフロー値を割った値として定義される保持率を指標として保持性を下記評価基準に基づいて評価した。保持率が高いほど保持性に優れていることを意味する。
保持性の評価基準
評価◎:保持率が105%以上
評価○:保持率が105%未満85%以上
評価○〜△:保持率が85%未満70%以上
評価△:保持率が70%未満60%以上
評価×:保持率が60%未満
Figure 0005707165
Figure 0005707165
上記実施例及び比較例の結果から、以下のことが分かった。
不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)由来の構成単位(I)と、不飽和カルボン酸系単量体(b)由来の構成単位(II)と、不飽和カルボン酸エステル系単量体(c)由来の構成単位(III)とを必須の構成単位として含み、重合体1分子あたりの吸着基の数が1以上15未満であり、かつ、重合体1分子あたりの加水分解性基の数が1以上14未満である重合体(A)、及び、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)由来の構成単位(I)と、不飽和カルボン酸系単量体(b)由来の構成単位(II)とを必須の構成単位として含み、重合体1分子あたりの吸着基の数が15以上70未満である重合体(B)を40〜99/60〜1(重合体(A)/重合体(B))の配合比率で含むものとすることによって、減水性とスランプ保持性とに優れたセメント混和剤とすることができることが分かった。
なお、上記実施例においては、重合体(A)及び重合体(B)として特定の構成単位を特定割合で有するものが用いられているが、重合体(A)の吸着基数を1以上15未満とし、重合体(A)の加水分解性基数を1以上14未満とし、重合体(B)の吸着基数を15以上70未満として、40〜99/60〜1(重合体(A)/重合体(B))の配合比率で配合したセメント混和剤において減水性とスランプ保持性とが優れたものとなる機構は、全て同様である。
従って、上記実施例の結果から、本発明の技術的範囲全般において、また、本明細書において開示した種々の形態において本発明が適用でき、有利な作用効果を発揮することができると言える。

Claims (5)

  1. 重合体(A)と重合体(B)との2種類の重合体を必須成分として含むセメント混和剤であって、
    該重合体(A)及び重合体(B)は、下記一般式(1);
    Figure 0005707165
    (式中、Yは、炭素数2〜10のアルケニル基を表す。ROは、同一若しくは異なって、炭素数2〜18のオキシアルキレン基を表す。mは、ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、1〜500の数を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基を表す。)で表される不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)由来の構成単位(I)と、カルボキシル基及び/又はその塩を吸着基として有する不飽和カルボン酸系単量体(b)由来の構成単位(II)とを必須の構成単位として含み、
    該重合体(A)は、更に、加水分解性基を有する不飽和カルボン酸エステル系単量体(c)由来の構成単位(III)を必須の構成単位として含み、重合体1分子あたりの吸着基の数が1以上14.9以下、かつ、重合体1分子あたりの加水分解性基の数が1以上13.9以下であり、
    該重合体(B)は、重合体1分子あたりの吸着基の数が15以上70未満であり、
    該セメント混和剤における重合体(A)と重合体(B)との比率(質量%)は、40〜99/60〜1であることを特徴とするセメント混和剤。
  2. 前記不飽和カルボン酸系単量体(b)は、下記一般式(2);
    Figure 0005707165
    (式中、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表す。Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム基又は有機アンモニウム基を表す。Zは、水素原子、又は、−COOMで表される基を表し、Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム基又は有機アンモニウム基を表す。)で表される不飽和カルボン酸系単量体(b´)であることを特徴とする請求項1に記載のセメント混和剤。
  3. 前記不飽和カルボン酸エステル系単量体(c)は、下記一般式(3);
    Figure 0005707165
    (式中、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表す。ROは、同一若しくは異なって、炭素数2〜18のオキシアルキレン基を表す。nは、ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、1〜10の数を表す。Rは、水素原子又はメチル基を表す。)で表される不飽和モノカルボン酸エステル系単量体(c´)であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセメント混和剤。
  4. 前記不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)は、下記一般式(4);
    Figure 0005707165
    (式中、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表す。ROは、同一若しくは異なって、炭素数2〜18のオキシアルキレン基を表す。mは、ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、1〜500の数を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基を表す。Xは、炭素数1〜6の2価のアルキレン基、又は、直接結合を表す。)で表される不飽和アルコール(ポリ)アルキレングリコール付加物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセメント混和剤。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のセメント混和剤、セメント、及び、水を必須成分として含むことを特徴とするセメント組成物。
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