JP3819271B2 - セメント混和剤及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セメント混和剤及びこれを用いたセメント組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
セメントに水を添加したセメントペーストや、これに細骨材である砂を混合したモルタル、さらに粗骨材である小石を混合したコンクリートは、各種構造材等に大量に使用されている。そして昨今のコンクリート業界では、コンクリート建造物の耐久性と強度の向上が強く求められており、これを達成するには単位水量の低減が重要な課題になっている。しかしながら、モルタルやコンクリートは、経時的にセメントと水との水和反応が進行して硬化するため、スランプロス、即ち、水添加後の時間経過と共に流動性が低下する現象が避けられないのが一般的である。この様なセメントの分散性を確保すべく、種々のセメント分散剤が開発されている。
【0003】
各種セメント分散剤のうち、特にポリカルボン酸系のセメント分散剤は、ナフタレン系など他のセメント分散剤に比べて高い分散性能を発揮する点で有利であり、例えば、特開昭57−118058号公報、特開平9−142905号公報等には、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル系単量体とマレイン酸系単量体とを特定の比率で用いて導かれる共重合体を含むセメント分散剤が提案されており、又、特開昭63−285140号公報等にはポリオキシアルキレンモノアルケニルアルキルエーテルと無水マレイン酸との共重合体を主成分とするセメント分散剤が提案されている。しかし、これらのポリカルボン酸系セメント分散剤でも、スランプロスを完全に解消するまでには到っておらず、さらに、高強度コンクリートに必要とされる高減水率領域においては、コンクリート組成物のワーカビリティの低下といった問題が生じている。即ち、高減水率領域では、コンクリートの流動性が低下し、特に高シェアー下における粘性が高くなり、ポンプ圧送時のポンプ負荷が極めて大きくなってポンプ圧送に弊害が生じているのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の課題は、高減水率領域において高い分散性とスランプロス防止性を発揮すると同時に、粘性低減性をも有するセメント混和剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体とマレイン酸系単量体とを共重合させて得られる、分子中に(ポリ)オキシアルキレン基とカルボキシル基とを有する特定の重合体と、特定の不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体と、水溶性ポリアルキレングリコールとの3成分を必須とする配合物が、高減水率領域において高い分散性と高いスランプロス防止性を発揮すると同時に、粘性低減性にも優れたセメント混和剤として有用であることを見い出し、本発明を完成するに到った。
【0006】
即ち、本発明は、下記1)〜3)に示す構成からなる。
【0007】
1)下記の共重合体(A)、下記一般式(1)で表わされる不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)及び水溶性ポリアルキレングリコール(B)の3成分を必須成分として含み、かつ、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)の含有量が共重合体(A)に対して1〜100重量%であり、水溶性ポリアルキレングリコール(B)の含有量が共重合体(A)に対して1〜50重量%であるセメント混和剤であって、
該共重合体(A)は、下記一般式(1);
YO(R1O)nR2 (1)
(式中、Yは炭素原子数2〜4のアルケニル基を表わし、R2は水素原子又は炭素原子数1〜30の炭化水素基を表わし、R1Oは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基の1種又は2種以上の混合物を表わし、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数であり1〜500の数を表わす。)で表わされる不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)由来の構成単位(I)とマレイン酸系単量体(b)由来の構成単位(II)とを必須の構成単位として有し、かつ、構成単位(I)と構成単位(II)とが各々全構成単位中の1重量%以上を占めることを特徴とするセメント混和剤。
【0008】
2)マレイン酸系単量体(b)が下記一般式(2)で表わされることを特徴とする、前記1)に記載のセメント混和剤。
一般式(2);
【0009】
【化2】
【0010】
(式中、Xは、−OM 2 又はZ−(R3O)qR4を表わし、M1、M2は、それぞれ独立に、水素原子、一価金属、二価金属、アンモニウム基又は有機アミノ基を表し、−Z−は、−O−又はNH−を表わし、R3Oは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基の1種又は2種以上の混合物を表わし、R4は、水素原子、炭素原子数1〜30のアルキル基、フェニル基、アミノアルキル基、アルキルフェニル基又はヒドロキシルアルキル基(アミノアルキル基、アルキルフェニル基、ヒドロキシルアルキル基中のアルキル基の炭素原子数は1〜30である)を表わし、qは、オキシアルキレン基の平均付加モル数であり、0〜500の数を表わす。但し、M1が結合している酸素と、Xが結合している炭素とが結合して酸無水物基(−CO−O−CO−)を構成しているものを含む。この場合、M1及びXは存在しない。)
3)水溶性ポリアルキレングリコール(B)を構成するオキシアルキレン基が、炭素原子数が2〜18のオキシアルキレン基の1種又は2種以上の混合物であり、水溶性ポリアルキレングリコール(B)の末端基が、水素原子、炭素原子数1〜30のアルキル基又は(アルキル)フェニル基であることを特徴とする、前記1)又は2)に記載のセメント混和剤。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明によるセメント混和剤は、共重合体(A)、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)及び水溶性ポリアルキレングリコール(B)の3成分を必須成分として含み、かつ、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)の含有量が共重合体(A)に対して1〜100重量%であり、水溶性ポリアルキレングリコール(B)の含有量が共重合体(A)に対して1〜50重量%であることを特徴としている。これをそれぞれ説明する。
【0012】
上記共重合体(A)は、上記一般式(1)で表わされる不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)由来の構成単位(I)とマレイン酸系単量体(b)由来の構成単位(II)とを必須の構成単位として有する重合体である。尚、共重合体(A)は、後述の単量体(c)由来の構成単位(III)を有していてもよい。これらの構造単位はそれぞれ1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0013】
上記共重合体(A)において、構成単位(I)と構成単位(II)とが各々全構成単位中の1重量%以上を占めることが必要である。さらに、構成単位(I)の占める割合が全構成単位中の50モル%以下であることが好ましい。上記構成単位(I)の割合が1重量%未満では、共重合体(A)中に存在する不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)由来のオキシアルキレン基の割合が少なすぎ、又、上記構成単位(II)の割合が1重量%未満では、共重合体(A)中に存在するマレイン酸系単量体(b)由来のカルボキシル基の割合が少なすぎ、充分な分散性を発揮し得ないこととなる。一方、構成単位(I)の占める割合は、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)の重合性が低いことから、分散性の高い共重合体(A)を高収率で得るために、全構成単位中の50モル%以下であることが好ましい。尚、構成単位(I)の占める割合としては、5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましく、20重量%以上がさらに好ましく、40重量%以上が最も好ましい。又、共重合体(A)における構成単位(I)と構成単位(II)との合計の比率(重量%)としては、共重合体(A)全体の50〜100重量%が好ましく、70〜100重量%がより好ましい。
【0014】
上記共重合体(A)においては、該重合体(A)中のカルボキシル基を未中和型に換算した該共重合体(A)1g当りのカルボキシル基のミリ当量数(meq/g)が0.2〜5.0となるように、各構成単位の比率を設定することが好ましい。上記カルボキシル基のミリ当量数(meq/g)としては、0.3〜4.5がより好ましく、0.3〜4.0がさらに好ましく、0.4〜3.5が特に好ましく、0.4〜3.0が最も好ましい。カルボキシル基のミリ当量数が大きくなるとスランプ保持性が低下傾向となり、他方、小さくなると初期の分散性が低下傾向となる。尚、構成単位(II)の比率の上限は、共重合体(A)中のカルボキシル基を未中和型に換算したときのカルボキシル基のミリ当量数が上記範囲となるように設定すればよい。
【0015】
上記共重合体(A)において、マレイン酸系単量体(b)由来のカルボキシル基を有する構成単位(II)以外に、その他のカルボキシル基をもつ構成単位を有していてもよいことから、共重合体(A)の上記カルボキシル基のミリ当量数は、構成単位(II)に由来するカルボキシル基に起因するとは限られない。
【0016】
上記「共重合体(A)中のカルボキシル基を未中和型に換算した該共重合体(A)1g当りのカルボキシル基のミリ当量数(meq/g)」とは、共重合体(A)が塩を形成する場合を考慮したものであり、酸の場合と塩を形成した場合の計算方法を以下に挙げる。尚、以下の計算では、構成単位(II)由来のカルボキシル基のみを例示しているが、カルボキシル基を有するその他の構成単位を含む場合には、これもカルボキシル基のミリ当量数に含めなければならない。
(計算例1):単量体(b)としてマレイン酸を用い、共重合組成比が単量体(a)/単量体(b)=90/10(重量%)の場合、マレイン酸の分子量は116であり、かつ、マレイン酸は1分子中に2個のカルボキシル基を有する2価の酸であるので、単量体(b)に由来するカルボキシル基を未中和型に換算した該重合体1g当りのカルボキシル基のミリ当量数(meq/g)=0.1/(0.9+0.1)/(116/2)×1000=1.72となる。
(計算例2):単量体(b)としてマレイン酸ジナトリウムを用い、共重合組成比が単量体(a)/単量体(b)=90/10(重量%)の場合、マレイン酸ジナトリウムの分子量は160、マレイン酸の分子量は116であり、かつ、マレイン酸は1分子中に2個のカルボキシル基を有する2価の酸であるので、単量体(b)に由来するカルボキシル基を未中和型に換算した該重合体1g当りのカルボキシル基のミリ当量数(meq/g)=(0.1×116/160)/(0.9+0.1×116/160)/(116/2)×1000=1.29となる。尚、重合時にはマレイン酸を用い、重合後にマレイン酸に由来するカルボキシル基を水酸化ナトリウムで完全に中和した場合も、この計算例と同様となる。
【0017】
上記カルボキシル基のミリ当量数(meq/g)は、上記のような単量体に基づいた計算法で算出する以外に、共重合体(A)のカルボキシル基の対イオンの種類を考慮した上で、該共重合体(A)の酸価を測定することによって算出することもできる。
【0018】
上記共重合体(A)は、例えば、構成単位(I)を与える不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)及び構成単位(II)を与えるマレイン酸系単量体(b)を必須成分として含む単量体成分を共重合して製造することができるが、これに限定されない。例えば、単量体(a)の代わりに、アルキレンオキシドを付加する前の単量体、すなわち(メタ)アリルアルコール等の不飽和アルコールを用い、これを重合開始剤の存在下で単量体(b)と共重合させた後、アルキレンオキシドを平均1〜500モル付加する方法によっても得ることができる。尚、単量体成分を共重合する際には、必要に応じ、上記単量体と共重合可能なその他の単量体をさらに共重合させてもよい。
【0019】
上記不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)を表わす一般式(1)において、オキシアルキレン基R1Oの炭素原子数としては、2〜18が適当であるが、2〜8が好ましく、2〜4がより好ましい。又、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド等の中から選ばれる任意の2種類以上のアルキレンオキシド付加物については、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの形態であってもよい。尚、親水性と疎水性とのバランス確保のため、オキシアルキレン基中にオキシエチレン基を必須成分として有することが好ましく、50モル%以上がオキシエチレン基であることがより好ましく、90モル%以上がオキシエチレン基であることがさらに好ましい。
【0020】
上記一般式(1)におけるオキシアルキレン基の平均付加モル数nは、1〜500であることが適当である。好ましくは2〜500、より好ましくは5〜500、さらに好ましくは10〜500、とりわけ好ましくは15〜500、特に好ましくは20〜500、最も好ましくは30〜300である。この平均付加モル数が小さいほど、得られる重合体の親水性が低下して分散性能が低下する傾向があり、一方、500を超えると、共重合反応性が低下する傾向となる。尚、平均付加モル数とは、単量体1モル中において付加している当該有機基のモル数の平均値を意味する。
【0021】
上記一般式(1)におけるR2は、水素原子又は炭素原子数1〜30の炭化水素基であればよく、該炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜30のアルキル基(脂肪族アルキル基又は脂環族アルキル基)、炭素原子数6〜30のフェニル基、アルキルフェニル基、フェニルアルキル基、(アルキル)フェニル基で置換されたフェニル基、ナフチル基等のベンゼン環を有する芳香族基等が挙げられる。R2においては、炭化水素基の炭素原子数が増大するに従って疎水性が大きくなり、分散性が低下するため、R2が炭化水素基の場合の炭素原子数としては、1〜22が好ましく、1〜18がより好ましく、1〜12がさらに好ましく、1〜4が特に好ましく、そしてR2が水素原子の場合が最も好ましい。
【0022】
上記一般式(1)におけるYで表わされるアルケニル基の炭素原子数としては、2〜4が適当であり、具体的には、ビニル基、アリル基、メタリル基、3−ブテニル基等が挙げられるが、炭素原子数3〜4のアルケニル基がより好ましく、アリル基又はメタリル基が特に好ましい。
【0023】
上記一般式(1)で表わされる不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)としては、例えば、アリルアルコール、メタリルアルコール等の不飽和アルコールにアルキレンオキシドを1〜500モル付加して製造することができるが、具体的には、(ポリ)エチレングリコールアリルエーテル、(ポリ)エチレングリコールメタリルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコールアリルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコールメタリルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコールアリルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコールメタリルエーテル等が挙げられる。本発明では、構成単位(I)を与える単量体(a)として、これらの1種を単独で使用できるほか、2種以上を併用することができる。
【0024】
尚、上記一般式(1)で表わされる不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)として、オキシアルキレン基の平均付加モル数nの異なる2種類以上の単量体を組み合わせて用いることができる。好適な組み合わせとして、例えば、nの差が10以上(好ましくはnの差が20以上)の2種類の単量体(a)の組み合わせ、あるいは各々の平均付加モル数nの差が10以上(好ましくはnの差が20以上)の3種類以上の単量体(a)の組み合わせ等が挙げられる。さらに、平均付加モル数nが40〜500の範囲の単量体(a)と、1〜40の範囲の単量体(a)との組み合わせ(但しnの差は10以上、好ましくは20以上)も可能であるが、この場合には、平均付加モル数nが40〜300の範囲の単量体(a)の方が、平均付加モル数nが1〜40の範囲の単量体(a)に比べて多い割合(重量比)で用いることが好ましい。
【0025】
本発明で用いられるマレイン酸系単量体(b)としては、下記一般式(2);
【0026】
【化3】
【0027】
(式(2)中、Xは、−OM 2 又はZ−(R3O)qR4を表わし、M1、M2は、それぞれ独立に、水素原子、一価金属、二価金属、アンモニウム基又は有機アミノ基を表し、−Z−は、−O−又はNH−を表わし、R3Oは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基の1種又は2種以上の混合物を表わし、R4は、水素原子、炭素原子数1〜30のアルキル基、フェニル基、アミノアルキル基、アルキルフェニル基又はヒドロキシルアルキル基(アミノアルキル基、アルキルフェニル基、ヒドロキシルアルキル基中のアルキル基の炭素原子数は1〜30である)を表わし、qは、オキシアルキレン基の平均付加モル数であり、0〜500の数を表わす。但し、M1が結合している酸素と、Xが結合している炭素とが結合して酸無水物基(−CO−O−CO−)を構成しているものを含む。この場合、M1及びXは存在しない。)で表わされる単量体が好ましい。
【0028】
上記マレイン酸系単量体(b)の例としては、特に限定はされないが、マレイン酸、及びその誘導体を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。マレイン酸の誘導体としては、特に限定はされないが、例えば、無水マレイン酸;マレイン酸と炭素原子数1〜30のアルコールとのハーフエステル類;マレイン酸と炭素原子数1〜30のアミンとのハーフアミド類;マレイン酸と炭素原子数1〜30のアミノアルコールとのハーフアミドもしくはハーフエステル類;これらのアルコールに炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを平均1〜500モル付加させた化合物(D)とマレイン酸とのハーフエステル類;該化合物(D)の片末端の水酸基をアミノ化した化合物とマレイン酸とのハーフアミド類;マレイン酸と炭素原子数2〜18のグリコールもしくはこれらのグリコールの平均付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのハーフエステル;マレアミン酸と炭素原子数2〜18のグリコールもしくはこれらのグリコールの平均付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのハーフアミド;並びに、それらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩等が挙げられる。中でもマレイン酸及びその塩、無水マレイン酸、マレイン酸エステル類からなる群より選ばれる1種以上の単量体を必須とするのが好ましく、マレイン酸又はその塩を必須とするのが特に好ましい。
【0029】
上記共重合体(A)において、必須の構成単位を与える単量体成分以外に、その他の共重合可能な単量体(c)を用いることができる。このような単量体(c)により構成単位(III)が形成されることになる。上記構成単位(III)を与える単量体(c)としては、単量体(a)及び/又は単量体(b)と共重合可能な単量体であり、例えば、下記のもの等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0030】
上記単量体(c)の例としては、例えば、マレイン酸系単量体以外の不飽和カルボン酸系単量体を用いることができる。具体的には、例えば、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸類;並びに、これらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩;及びこれらの酸と炭素原子数1〜30のアルキルアルコール、炭素原子数2〜18のグリコール、もしくはこれらのグリコールの平均付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのモノエステル類又はジエステル類;これらの酸と炭素原子数1〜30のアルキルアミン、炭素原子数2〜18のグリコールの片末端アミノ化物、もしくはこれらのグリコールの平均付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールの片末端アミノ化物とのモノアミド又はジアミド類;マレイン酸と炭素原子数1〜30のアルキルアルコール、炭素原子数2〜18のグリコール、もしくはこれらのグリコールの平均付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのジエステル類;マレイン酸と炭素原子数1〜30のアルキルアミン、炭素原子数2〜18のグリコールの片末端アミノ化物、もしくはこれらのグリコールの平均付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールの片末端アミノ化物とのジアミド類;(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸類;並びに、これらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩;及びこれらの酸と炭素原子数1〜30のアルキルアルコール、炭素原子数2〜18のグリコール、もしくはこれらのグリコールの平均付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのエステル類;及びこれらの酸と炭素原子数2〜18のグリコールの片末端アミノ化物、もしくはこれらのグリコールの平均付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールの片末端アミノ化物とのアミド類;等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0031】
上記単量体(c)としては、上記のものに限定されず、例えば、ビニルスルホネート、(メタ)アリルスルホネート、2−(メタ)アクリロキシエチルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホフェニルエーテル、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシスルホベンゾエート、4−(メタ)アクリロキシブチルスルホネート、(メタ)アクリルアミドメチルスルホン酸、(メタ)アクリルアミドエチルスルホン酸、2−メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類、並びに、それらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアルキルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジブチルアミノエチル、ビニルピリジン等の不飽和アミノ化合物類;1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールモノ(メタ)アクリレート類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;スチレン等の芳香族ビニル類;ジビニルベンゼン等のジビニル芳香族類;トリアリルシアヌレート等のシアヌレート類;(メタ)アリルアルコール、グリシジル(メタ)アリルエーテル等のアリル類;ポリジメチルシロキサンプロピルアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサンアミノプロピレンアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサン−ビス−(プロピルアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(ジプロピレンアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−メタクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(1−プロピル−3−メタクリレート)等のシロキサン誘導体;等の1種又は2種以上も用いることができる。
【0032】
上記共重合体(A)における単量体(c)由来の構成単位(III)の割合は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば特に制限されないが、共重合体(A)全体の0〜50重量%が好ましく、0〜30重量%以下がより好ましい。
【0033】
本発明における共重合体(A)を得るには、重合開始剤を用いて上記単量体成分を共重合させればよい。共重合は、溶液重合や塊状重合等の公知の方法で行うことができる。溶液重合は回分式でも連続式でも行うことができ、その際に使用される溶媒としては特に限定されず、例えば、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の芳香族あるいは脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル化合物等が挙げられるが、原料単量体及び得られる重合体の溶解性から、水及び炭素数1〜4の低級アルコールよりなる群から選ばれた少なくとも1種を用いることが好ましく、その中でも水を溶媒に用いるのが、脱溶剤工程を省略できる点でさらに好ましい。
【0034】
上記共重合体(A)を製造するために水溶液重合を行なう場合には、ラジカル重合開始剤として、水溶性の重合開始剤、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン塩酸塩等のアゾアミジン化合物、2,2’−アゾビス−2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン塩酸塩等の環状アゾアミジン化合物、2−カルバモイルアゾイソブチロニトリル等のアゾニトリル化合物等の水溶性アゾ系開始剤等が使用され、この際、亜硫酸水素ナトリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩、メタ二亜硫酸塩、次亜燐酸ナトリウム、モール塩等のFe(II)塩、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物、ヒドロキシルアミン塩酸塩、チオ尿素、L−アスコルビン酸(塩)、エリソルビン酸(塩)等の促進剤を併用することもできる。中でも、過酸化水素とL−アスコルビン酸(塩)等の促進剤との組み合わせが好ましい。これらのラジカル重合開始剤や促進剤はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
又、低級アルコール、芳香族若しくは脂肪族炭化水素、エステル化合物、又は、ケトン化合物を溶媒とする溶液重合を行う場合、あるいは塊状重合を行う場合には、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ナトリウムパーオキシド等のパーオキシド;t−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等がラジカル重合開始剤として用いられる。この際アミン化合物等の促進剤を併用することもできる。さらに、水−低級アルコール混合溶媒を用いる場合には、上記の種々のラジカル重合開始剤、又は、ラジカル重合開始剤と促進剤の組み合わせの中から適宜選択して用いることができる。
【0036】
共重合の際の全単量体成分の使用量は、他の原料を含む全原料に対して30重量%以上であることが好ましい。より好ましくは40〜99重量%の範囲、さらに好ましくは50〜99重量%の範囲、とりわけ好ましくは55〜95重量%の範囲、最も好ましくは60〜90重量%の範囲である。特に、全単量体成分の使用量がこの範囲より低すぎると、重合率の低下や生産性低下をもたらし好ましくない。
【0037】
各単量体の反応容器への投入方法は特に限定されず、全量を反応容器に初期に一括投入する方法、全量を反応容器に分割若しくは連続投入する方法、一部を反応容器に初期に投入し、残りを反応容器に分割若しくは連続投入する方法のいずれでもよい。具体的には、単量体(a)と単量体(b)の全部を反応容器に連続投入する方法、単量体(a)の一部を反応容器に初期に投入し、単量体(a)の残りと単量体(b)の全部を反応容器に連続投入する方法、或いは、単量体(a)の一部と単量体(b)の一部を反応容器に初期に投入し、単量体(a)の残りと単量体(b)の残りをそれぞれ反応容器に交互に数回に分けて分割投入する方法等が挙げられる。さらに、反応途中で各単量体の反応容器への投入速度を連続的又は段階的に変えることにより各単量体の単位時間当りの投入重量比を連続的又は段階的に変化させて、共重合体(A)中の構成単位(I)と構成単位(II)の比率が異なる共重合体の混合物を重合反応中に合成するようにしてもよい。尚、ラジカル重合開始剤は反応容器に初めから仕込んでも良く、反応容器へ滴下しても良く、また目的に応じてこれらを組み合わせてもよい。
【0038】
上記共重合体(A)の分子量調整のため、連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されず、例えば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、2−メルカプトエタンスルホン酸等のチオール系連鎖移動剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。さらに、共重合体(A)の分子量調整のためには、単量体(c)として(メタ)アリルスルホン酸(塩)類等の連鎖移動性の高い単量体を用いることも有効である。
【0039】
所定の分子量の共重合体(A)を再現性よく得るには、共重合反応を安定に進行させることが必要であることから、溶液重合する場合には、使用する溶媒の25℃における溶存酸素濃度を5ppm以下の範囲とすることが好ましい。好ましくは0.01〜4ppmの範囲、さらに好ましくは0.01〜2ppmの範囲、最も好ましくは0.01〜1ppmの範囲である。尚、溶媒に単量体を添加後、窒素置換等を行う場合には、単量体をも含んだ系の溶存酸素濃度を上記範囲内とする。
尚、溶媒の溶存酸素濃度の調整は、重合反応槽で行ってもよく、予め溶存酸素量を調整したものを用いてもよく、溶媒中の酸素を追い出す方法としては、例えば、下記の(1)〜(5)の方法が挙げられる。
(1)溶媒を入れた密閉容器内に窒素等の不活性ガスを加圧充填後、密閉容器内の圧力を下げることで溶媒中の酸素の分圧を低くする。窒素気流下で、密閉容器内の圧力を下げてもよい。
(2)溶媒を入れた容器内の気相部分を窒素等の不活性ガスで置換したまま液相部分を長時間激しく攪拌する。
(3)容器内に入れた溶媒に窒素等の不活性ガスを長時間バブリングする。
(4)溶媒を一旦沸騰させた後、窒素等の不活性ガス雰囲気下で冷却する。
(5)配管の途中に静止型混合機(スタティックミキサー)を設置し、溶媒を重合反応槽に移送する配管内で窒素等の不活性ガスを混合する。
【0040】
共重合により得られた上記共重合体(A)は、そのままでも本発明のセメント混和剤の必須成分として用いられるが、取り扱い性の観点から、pHを5以上に調整しておくことが好ましい。しかしながら、重合をpH5以上で行なった場合、重合率の低下が起こると同時に、共重合性が悪くなり、セメントに対する分散性能が低下するため、pH5未満で共重合反応を行い、共重合後にpHを5以上に調整することが好ましい。pHの調整は、例えば、一価金属及び二価金属の水酸化物及び炭酸塩等の無機塩;アンモニア;有機アミン;等のアルカリ性物質の1種又は2種以上を用いて行なうことができる。又、反応終了後、必要ならば濃度調整を行うこともできる。
【0041】
上記共重合体(A)の重量平均分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」ともいう)によるポリエチレングリコール換算で1,000〜500,000が適当であるが、5,000〜300,000が好ましく、10,000〜150,000がより好ましい。このような重量平均分子量の範囲を選ぶことで、より高い分散性能を発揮するセメント混和剤が得られる。
【0042】
また、本発明のセメント混和剤においては、2種類以上の共重合体(A)を組み合わせて用いることができる。例えば、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)由来の構成単位(I)とマレイン酸系単量体(b)由来の構成単位(II)との割合(重量比又はモル比)の異なる2種類以上の共重合体(A)の組み合わせ、各共重合体において上記一般式(1)で示される不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)のオキシアルキレン基の平均付加モル数nの異なる2種類以上の共重合体(A)の組み合わせ等が可能である。
【0043】
本発明のセメント混和剤は、上記一般式(1)で表わされる不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)を共重合体(A)に対して1〜100重量%含有することが重要である。より好ましくは2〜100重量%、さらに好ましくは3〜90重量%、とりわけ好ましくは5〜80重量%である。該不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)の含有量が1重量%未満の場合には、スランプロス防止性と粘性低減性が不十分となり好ましくなく、他方、100重量%を超える場合には、セメントに対する分散性が低下して好ましくない。尚、該不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)は、共重合体(A)の重合に用いた不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)、即ち、共重合体(A)の構成単位(I)を導いた不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)と同一であってもよいし、異なっていてもよい。さらに、2種類以上の不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)を用いてもよい。
【0044】
本発明のセメント混和剤は、水溶性ポリアルキレングリコール(B)を上記共重合体(A)に対して1〜50重量%含有することが重要である。より好ましくは2〜50重量%、さらに好ましくは2〜40重量%、とりわけ好ましくは3〜30重量%である。水溶性ポリアルキレングリコール(B)の含有量が1重量%未満の場合には、スランプロス防止性と粘性低減性が不十分となり好ましくなく、他方、50重量%を超える場合には、セメントに対する分散性が低下して好ましくない。
【0045】
又、水溶性ポリアルキレングリコール(B)のオキシアルキレン基の炭素原子数としては、2〜18の範囲が適当であるが、2〜8の範囲が好ましく、2〜4の範囲がより好ましい。さらに、水溶性ポリアルキレングリコール(B)は水溶性であることが必要であることから、親水性の高い炭素原子数が2のオキシアルキレン基、即ちオキシエチレン基を必須成分として含むことが好ましく、50モル%以上がオキシエチレン基であることがより好ましく、90モル%以上がオキシエチレン基であることがさらに好ましい。又、オキシアルキレン基の繰り返し単位は同一であってもあるいは異なっていてもよく、オキシアルキレン基が2種以上の混合物の形態である場合には、ブロック状付加、ランダム状付加、交互状付加等のいずれの付加形態でもよい。又、水溶性ポリアルキレングリコール(B)の末端基は水素原子、炭素原子数1〜30のアルキル基又は(アルキル)フェニル基が適当であるが、水素原子が好ましい。又、水溶性ポリアルキレングリコール(B)の平均分子量としては、500〜200,000の範囲が好ましいが、1,000〜100,000の範囲がより好ましく、2,000〜50,000の範囲がさらに好ましい。
【0046】
両末端基が水素原子である水溶性ポリアルキレングリコール(B)として具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンポリプロピレングリコール、ポリエチレンポリブチレングリコール等が挙げられるが、水溶性ポリアルキレングリコール(B)は水溶性であることが必要であることから、親水性の高いオキシエチレン基を必須成分として含むポリアルキレングリコールが好ましく、90モル%以上のオキシエチレン基を必須成分として含むポリアルキレングリコールがより好ましい。中でもポリエチレングリコール又はポリエチレンポリプロピレングリコールが好ましく、ポリエチレングリコールが最も好ましい。又、2種類以上の水溶性ポリアルキレングリコール(B)を用いてもよい。尚、本発明の水溶性ポリアルキレングリコール(B)は、水溶性であることが必要であることから、本質的に水不溶性である公知のオキシアルキレン系消泡剤を本発明の水溶性ポリアルキレングリコール(B)として用いることはできない。
【0047】
本発明のセメント混和剤は、上記共重合体(A)を必須成分として含有し、上記不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)を共重合体(A)に対して1〜100重量%含有し、かつ、上記水溶性ポリアルキレングリコール(B)を共重合体(A)に対して1〜50重量%含有することが重要である。これらの3成分の相乗効果により、高減水率領域において高い分散性とスランプロス防止性を発揮すると同時に、粘性低減性をも有する、ワーカビリティの優れたセメント混和剤となる。
【0048】
本発明のセメント混和剤の必須成分である上記水溶性ポリアルキレングリコール(B)は、上記共重合体(A)の製造後に配合してもよいが、共重合体(A)を製造する際に、上記不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)と上記マレイン酸系単量体(b)とを必須成分として含む単量体成分以外に、水溶性ポリアルキレングリコール(B)をも含む組成物を原料として共重合反応を行なうことによって、共重合体(A)と水溶性ポリアルキレングリコール(B)とを含有するセメント混和剤を得ることができる。
【0049】
本発明で用いられる不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)は、アリルアルコール、メタリルアルコール、3−ブテン−1−オール等の不飽和アルコール類に、アルキレンオキシドを1〜500モル付加することによって得ることができるが、この付加反応の際に、反応系に該不飽和アルコール類以外の飽和脂肪族アルコール類(メタノール、エタノール等)や水等の活性水素を有する化合物が存在していると、主生成物である該単量体(a)以外に、該活性水素を有する化合物を出発物質とするポリアルキレングリコールを副生成物として含む組成物が得られる。本発明では、該単量体(a)の製造の際に副生するポリアルキレングリコールを除去せずに、主生成物である該単量体(a)以外にポリアルキレングリコールを副生成物として含む組成物を原料として次の共重合反応を行なうことができ、この製造方法により、容易に上記共重合体(A)と水溶性ポリアルキレングリコール(B)とを含有するセメント混和剤を得ることができる。尚、単量体(a)の製造の際に副生するポリアルキレングリコールが、両末端基が水素原子のポリアルキレングリコール、即ち、ポリエチレングリコールやポリエチレンポリプロピレングリコール等の場合には、活性水素を2個有する水を出発物質としていることから、該ポリアルキレングリコールの分子量は、活性水素を1個有する不飽和アルコール類を出発物質とする単量体(a)の分子量を上回り、通常、同程度から2倍程度の平均分子量となる。又、共重合体(A)の製造後に、さらに水溶性ポリアルキレングリコール(B)を配合してもよく、配合する水溶性ポリアルキレングリコール(B)は、副生成物として含まれていた水溶性ポリアルキレングリコール(B)と同一であっても異なっていてもよい。
【0050】
尚、共重合反応を行なう際に用いる不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)と水溶性ポリアルキレングリコール(B)とを含む組成物において、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)に対する水溶性ポリアルキレングリコール(B)の割合は0.5〜50重量%が適当であるが、1〜40重量%が好ましく、2〜30重量%がより好ましく、2.5〜20重量%がさらに好ましい。特に、水溶性ポリアルキレングリコール(B)の割合が50重量%を超える場合には、重合反応時の単量体濃度が低下して共重合体(A)の分子量が低下する為、好ましくない。
【0051】
上記不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)は、共重合体(A)の製造後に配合してもよいが、共重合体(A)を製造する際に、原料として用いた不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)が、共重合体(A)に対して1〜100重量%残留している時点で重合反応を停止することによって、共重合体(A)以外に、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)を共重合体に対して1〜100重量%含有するセメント混和剤組成物を得ることができる。重合反応を停止する時点は、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)が、共重合体(A)に対して2〜100重量%残留している時点がより好ましく、3〜90重量%残留している時点がさらに好ましく、4〜80重量%残留している時点がとりわけ好ましく、5〜70重量%残留している時点が最も好ましい。この残留する不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)の比率が1重量%未満の場合には、、スランプロス防止性と粘性低減性が不十分となり好ましくなく、他方、100重量%を超える場合には、セメントに対する分散性が低下して好ましくない。尚、共重合体(A)の製造後に、さらに不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)を配合してもよく、配合する不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)は、共重合反応の単量体成分として用いた不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)と同一であっても異なっていてもよい。
【0052】
本発明のセメント混和剤を得るための上記共重合体(A)の好ましい製造方法は、上記不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)と上記マレイン酸系単量体(b)とを必須成分として含む単量体成分以外に、上記水溶性ポリアルキレングリコール(B)をも含む組成物を原料として共重合反応を行ない、かつ、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)が、共重合体(A)に対して1〜100重量%残留している時点で重合反応を停止する方法である。この方法により、共重合体(A)、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)及び水溶性ポリアルキレングリコール(B)の3成分を含む本発明のセメント混和剤を容易に得ることができる。
【0053】
本発明のセメント混和剤は、共重合体(A)、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)及び水溶性ポリアルキレングリコール(B)の3成分を必須成分として含むものであるが、水溶液の形態でそのままセメント混和剤の主成分として使用しても良いし、あるいは、カルシウム、マグネシウム等の二価金属の水酸化物で中和して多価金属塩とした後に乾燥させたり、シリカ系微粉末等の無機粉体に担持して乾燥させたりすることにより粉体化して使用してもよい。
【0054】
尚、セメント混和剤をセメント組成物に添加する場合、予め共重合体(A)、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)及び水溶性ポリアルキレングリコール(B)の3成分を混合したセメント混和剤を添加してもよいし、各成分を別々に添加してもよい。
【0055】
本発明のセメント混和剤は、各種水硬性材料、すなわちセメントや石膏等のセメント組成物やそれ以外の水硬性材料に用いることができる。このような水硬性材料と水と本発明のセメント混和剤とを含有し、さらに必要に応じて細骨材(砂等)や粗骨材(砕石等)を含む水硬性組成物の具体例としては、セメントペースト、モルタル、コンクリート、プラスター等が挙げられる。
【0056】
上記水硬性組成物の中では、水硬性材料としてセメントを使用するセメント組成物が最も一般的であり、該セメント組成物は、本発明のセメント混和剤、セメント及び水を必須成分として含んでなる。このようなセメント組成物は、本発明の好ましい実施形態の1つである。
【0057】
上記セメント組成物において使用されるセメントとしては、特に限定はない。例えば、ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩及びそれぞれの低アルカリ形)、各種混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント)、白色ポルトランドセメント、アルミナセメント、超速硬セメント(1クリンカー速硬性セメント、2クリンカー速硬性セメント、リン酸マグネシウムセメント)、グラウト用セメント、油井セメント、低発熱セメント(低発熱型高炉セメント、フライアッシュ混合低発熱型高炉セメント、ビーライト高含有セメント)、超高強度セメント、セメント系固化材、エコセメント(都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の一種以上を原料として製造されたセメント)等が挙げられ、さらに、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石灰石粉末等の微粉体や石膏を添加してもよい。また、骨材としては、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材等以外に、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材が使用可能である。
【0058】
上記セメント組成物においては、その1m3あたりの単位水量、セメント使用量及び水/セメント比には特に制限はなく、単位水量100〜185kg/m3、使用セメント量250〜800kg/m3、水/セメント比(重量比)=0.1〜0.7、好ましくは単位水量120〜175kg/m3、使用セメント量270〜800kg/m3、水/セメント比(重量比)=0.2〜0.65が推奨され、貧配合〜富配合まで幅広く使用可能であり、比較的高減水率の領域、即ち、水/セメント比(重量比)=0.15〜0.5(好ましくは0.15〜0.4)といった水/セメント比の低い領域においても使用可能であり、さらに、単位セメント量の多い高強度コンクリート、単位セメント量が300kg/m3以下の貧配合コンクリートのいずれにも有効である。
【0059】
上記セメント組成物における本発明のセメント混和剤の配合割合については、特に限定はないが、水硬セメントを用いるモルタルやコンクリート等に使用する場合には、固形分換算でセメント重量の0.01〜10.0重量%、好ましくは0.02〜5.0重量%、より好ましくは0.05〜3.0重量%、さらに好ましくは0.1〜2.0重量%となる比率の量を添加すればよい。このような添加量により、単位水量の低減、強度の増大、耐久性の向上等の各種の好ましい諸効果がもたらされる。上記配合割合が0.01%未満では、性能的に充分とはならないおそれがあり、逆に10.0%を超える多量を使用しても、その効果は実質上頭打ちとなり経済性の面からも不利となる。
【0060】
上記セメント組成物は、ポンプ圧送性にも優れ、施工時の作業性を著しく改善し、高い流動性を有していることから、レディーミクストコンクリート、コンクリート2次製品(プレキャストコンクリート)用のコンクリート、遠心成形用コンクリート、振動締め固め用コンクリート、蒸気養生コンクリート、吹付けコンクリート等に有効であり、さらに、中流動コンクリート(スランプ値が22〜25cmの範囲のコンクリート)、高流動コンクリート(スランプ値が25cm以上で、スランプフロー値が50〜70cmの範囲のコンクリート)、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材等の高い流動性を要求されるモルタルやコンクリートにも有効である。
【0061】
又、本発明のセメント混和剤は、公知のセメント分散剤と併用することが可能である。併用する公知のセメント分散剤としては、例えばリグニンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物;ポリスチレンスルホン酸塩;特開平1−113419号公報に記載の如くアミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物、などのアミノスルホン酸系;特公昭59−18338号公報に記載の如くポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体、(メタ)アクリル酸系単量体、及び、これらの単量体と共重合可能な単量体からなる共重合体;特開昭62−119147号公報に記載の如くスルホン酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル及び必要によりこれと共重合可能な単量体からなる共重合体、又は、その塩;特開平1−226757号公報に記載の如く(メタ)アクリル酸のポリエチレン(プロピレン)グリコールエステル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)、及び、(メタ)アクリル酸(塩)からなる共重合体;特公平5−36377号公報に記載の如く(メタ)アクリル酸のポリエチレン(プロピレン)グリコールエステル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)若しくはp−(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸(塩)、並びに、(メタ)アクリル酸(塩)からなる共重合体;特開平5−170501号公報に記載の如く(メタ)アクリル酸のポリエチレングリコールエステル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)、(メタ)アクリル酸(塩)、アルカンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及び、分子中にアミド基を有するα,β−不飽和単量体からなる共重合体;等を挙げることができ、これら公知のセメント分散剤の複数の併用も可能である。
【0062】
尚、上記公知のセメント分散剤を用いる場合、本発明のセメント混和剤と公知のセメント分散剤との比率、すなわち固形分換算での重量割合(重量%)としては、使用する公知のセメント分散剤の種類、配合及び試験条件等の違いにより一義的には決められないが、好ましくは5/95〜95/5、より好ましくは10/90〜90/10の範囲内である。
【0063】
又、上記セメント組成物は、以下の(1)〜(20)に例示するような他の公知のセメント添加剤(材)を含有することができる。
(1)水溶性高分子物質:ポリアクリル酸(ナトリウム)、ポリメタクリル酸(ナトリウム)、ポリマレイン酸(ナトリウム)、アクリル酸・マレイン酸共重合物のナトリウム塩等の不飽和カルボン酸重合物;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリオキシエチレンあるいはポリオキシプロピレンのポリマー又はそれらのコポリマー;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の非イオン性セルロースエーテル類;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の多糖類のアルキル化又はヒドロキシアルキル化誘導体の一部又は全部の水酸基の水素原子が、炭素数8〜40の炭化水素鎖を部分構造として有する疎水性置換基と、スルホン酸基又はそれらの塩を部分構造として有するイオン性親水性置換基で置換されてなる多糖誘導体;酵母グルカンやキサンタンガム、β−1.3グルカン類(直鎖状、分岐鎖状の何れでも良く、一例を挙げれば、カードラン、パラミロン、パキマン、スクレログルカン、ラミナラン等)等の微生物醗酵によって製造される多糖類;ポリアクリルアミド;ポリビニルアルコール;デンプン;デンプンリン酸エステル;アルギン酸ナトリウム;ゼラチン;分子内にアミノ基を有するアクリル酸のコポリマー及びその四級化合物等。
(2)高分子エマルジョン:(メタ)アクリル酸アルキル等の各種ビニル単量体の共重合物等。
(3)硬化遅延剤:グルコン酸、グルコヘプトン酸、アラボン酸、リンゴ酸又はクエン酸、及び、これらの、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、トリエタノールアミン等の無機塩又は有機塩等のオキシカルボン酸;グルコース、フラクトース、ガラクトース、サッカロース、キシロース、アピオース、リボース、異性化糖等の単糖類や、二糖、三糖等のオリゴ糖、又はデキストリン等のオリゴ糖、又はデキストラン等の多糖類、これらを含む糖蜜類等の糖類;ソルビトール等の糖アルコール;珪弗化マグネシウム;リン酸並びにその塩又はホウ酸エステル類;アミノカルボン酸とその塩;アルカリ可溶タンパク質;フミン酸;タンニン酸;フェノール;グリセリン等の多価アルコール;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等のホスホン酸及びその誘導体等。
(4)早強剤・促進剤:塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム等の可溶性カルシウム塩;塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸塩;水酸化カリウム;水酸化ナトリウム;炭酸塩;チオ硫酸塩;ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩;アルカノールアミン;アルミナセメント;カルシウムアルミネートシリケート等。
(5)鉱油系消泡剤:燈油、流動パラフィン等。
(6)油脂系消泡剤:動植物油、ごま油、ひまし油、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(7)脂肪酸系消泡剤:オレイン酸、ステアリン酸、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(8)脂肪酸エステル系消泡剤:グリセリンモノリシノレート、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールトリオレエート、天然ワックス等。
(9)オキシアルキレン系消泡剤:(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン付加物等のポリオキシアルキレン類;ジエチレングリコールヘプチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン2−エチルヘキシルエーテル、炭素原子数12〜14の高級アルコールへのオキシエチレンオキシプロピレン付加物等の(ポリ)オキシアルキルエーテル類;ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の(ポリ)オキシアルキレン(アルキル)アリールエーテル類;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール,3−メチル−1−ブチン−3−オール等のアセチレンアルコールにアルキレンオキシドを付加重合させたアセチレンエーテル類;ジエチレングリコールオレイン酸エステル、ジエチレングリコールラウリル酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシプロピレンメチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェノールエーテル硫酸ナトリウム等の(ポリ)オキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;(ポリ)オキシエチレンステアリルリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミン等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド等。
(10)アルコール系消泡剤:オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、アセチレンアルコール、グリコール類等。
(11)アミド系消泡剤:アクリレートポリアミン等。
(12)リン酸エステル系消泡剤:リン酸トリブチル、ナトリウムオクチルホスフェート等。
(13)金属石鹸系消泡剤:アルミニウムステアレート、カルシウムオレエート等。
(14)シリコーン系消泡剤:ジメチルシリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機変性ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサン等のポリオルガノシロキサン)、フルオロシリコーン油等。
(15)AE剤:樹脂石鹸、飽和あるいは不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸)、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸)、アルカンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステル又はその塩、蛋白質材料、アルケニルスルホコハク酸、α−オレフィンスルホネート等。
(16)その他界面活性剤:ドデシルメルカプタン等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する1価メルカプタン、ドデシルアミン等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するアミン、ラウリン酸やステアリン酸等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するカルボン酸に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを10モル以上付加させたポリアルキレンオキシド誘導体類;アルキル基又はアルコキシ基を置換基として有しても良い、スルホン基を有する2個のフェニル基がエーテル結合した、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩類;各種アニオン性界面活性剤;アルキルアミンアセテート、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の各種カチオン性界面活性剤;各種ノニオン性界面活性剤;各種両性界面活性剤等。
(17)防水剤:脂肪酸(塩)、脂肪酸エステル、油脂、シリコン、パラフィン、アスファルト、ワックス等。
(18)防錆剤:亜硝酸塩、リン酸塩、酸化亜鉛等。
(19)ひび割れ低減剤:ポリオキシアルキルエーテル等。
(20)膨張材;エトリンガイト系、石炭系等。
その他の公知のセメント添加剤(材)としては、セメント湿潤剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、防錆剤、着色剤、防カビ剤等を挙げることができる。これら公知のセメント添加剤(材)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0064】
上記セメント組成物において、セメント及び水以外の成分についての特に好適な実施形態としては、次の(1)〜(7)が挙げられる。
(1)▲1▼本発明のセメント混和剤、及び、▲2▼オキシアルキレン系消泡剤の2成分を必須とする組み合わせ。尚、▲2▼のオキシアルキレン系消泡剤の配合重量比としては、▲1▼のセメント混和剤に対して0.001〜10重量%の範囲が好ましい。
(2)▲1▼本発明のセメント混和剤、▲2▼炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2〜300付加したポリオキシアルキレン鎖を有するポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体と、(メタ)アクリル酸系単量体及びこれらの単量体と共重合可能な単量体からなる共重合体(特公昭59−18338号公報、特開平7−223852号公報、特開平9−241056号公報等に記載)、▲3▼オキシアルキレン系消泡剤の3成分を必須とする組み合わせ。尚、▲1▼のセメント混和剤と▲2▼の共重合体との配合重量比としては、5/95〜95/5の範囲が好ましく、10/90〜90/10の範囲がより好ましい。▲3▼のオキシアルキレン系消泡剤の配合重量比としては、▲1▼のセメント混和剤と▲2▼の共重合体との合計量に対して0.001〜10重量%の範囲が好ましい。
(3)▲1▼本発明のセメント混和剤、及び、▲2▼分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤の2成分を必須とする組み合わせ。スルホン酸系分散剤としては、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸塩、アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等のアミノスルホン酸系の分散剤等が使用可能である。尚、▲1▼のセメント混和剤と▲2▼の分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤との配合重量比としては、5/95〜95/5が好ましく、10/90〜90/10がより好ましい。
(4)▲1▼本発明のセメント混和剤、及び、▲2▼リグニンスルホン酸塩の2成分を必須とする組み合わせ。尚、▲1▼のセメント混和剤と▲2▼のリグニンスルホン酸塩との配合重量比としては、5/95〜95/5が好ましく、10/90〜90/10がより好ましい。
(5)▲1▼本発明のセメント混和剤、及び、▲2▼材料分離低減剤の2成分を必須とする組み合わせ。材料分離低減剤としては、非イオン性セルロースエーテル類等の各種増粘剤、部分構造として炭素数4〜30の炭化水素鎖からなる疎水性置換基と炭素数2〜18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2〜300付加したポリオキシアルキレン鎖とを有する化合物等が使用可能である。尚、▲1▼のセメント混和剤と▲2▼の材料分離低減剤との配合重量比としては、10/90〜99.99/0.01が好ましく、50/50〜99.9/0.1がより好ましい。この組み合わせのセメント組成物は、高流動コンクリート、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材として好適である。
(6)▲1▼本発明のセメント混和剤、▲2▼遅延剤の2成分を必須とする組み合わせ。遅延剤としては、グルコン酸(塩)、クエン酸(塩)等のオキシカルボン酸類、グルコース等の糖類、ソルビトール等の糖アルコール類、アミノトリ(メチレンホスホン酸)等のホスホン酸類等が使用可能である。尚、▲1▼のセメント混和剤と▲2▼の遅延剤との配合重量比としては、50/50〜99.9/0.1の範囲が好ましく、70/30〜99/1の範囲がより好ましい。
(7)▲1▼本発明のセメント混和剤、▲2▼促進剤の2成分を必須とする組み合わせ。促進剤としては、塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム等の可溶性カルシウム塩類、塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物類、チオ硫酸塩、ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩類等が使用可能である。尚、▲1▼のセメント混和剤と▲2▼の促進剤との配合重量比としては、10/90〜99.9/0.1の範囲が好ましく、20/80〜99/1の範囲がより好ましい。
【0065】
【実施例】
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれだけに限定されるものではない。尚、下記実施例、比較例及び表中、特にことわりのない限り、「%」は重量%を、「部」は重量部を表わすものとする。
【0066】
製造例において、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体の製造時に副生するポリアルキレングリコールの生成量は、下記の条件で測定した。
【0067】
実施例及び比較例における各単量体の反応率及び得られた共重合体の重量平均分子量は、下記の条件で測定した。
【0068】
<製造例1>
温度計、攪拌機、窒素及びアルキレンオキシド導入管を備えたステンレス製高圧反応器に不飽和アルコールとしてメタリルアルコール(2−メチル−2−プロペン−1−オール)196部、付加反応触媒として水酸化ナトリウム3.1部を仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で150℃まで加熱した。そして、安全圧下で150℃を保持したままエチレンオキシド6310部を反応器内に導入し、アルキレンオキシド付加反応が完結するまでその温度を保持して反応を終了した。得られた反応生成物(以下、M−1と称す。)は、メタリルアルコールに平均50モルのエチレンオキシドが付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(以下、MAL−50と称す。)とともに、副生成物としてポリアルキレングリコール(ポリエチレングリコール)を含むものであり、ポリエチレングリコールの生成量は、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体に対して5.0%であった。
【0069】
<製造例2〜7>
不飽和アルコール、付加反応触媒である水酸化ナトリウム、アルキレンオキシドの種類及び使用量を表1に示すように変更したこと以外は製造例1と同様にして、不飽和アルコールへのアルキレンオキシド付加反応を行ない、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体とポリアルキレングリコールとを含む反応生成物(M−2)〜(M−7)を得た。尚、アルキレンオキシド付加反応は全て150℃で行ない、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの2種類のアルキレンオキシドを用いた場合は、不飽和アルコールにまずエチレンオキシド全量を付加させた後、次にプロピレンオキシドを付加させるという方法でブロック状付加物を得た。得られた反応生成物における不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体に対する副生ポリアルキレングリコール生成量は表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
<実施例1−セメント混和剤(1)の製造>
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水279部、製造例1で得られた反応生成物(M−1)420.0部(MAL−50を400部、ポリエチレングリコールを20.0部含有)、及びマレイン酸41.4部を仕込み、65℃に昇温した。反応容器を65℃に保った状態で過酸化水素0.363部とイオン交換水6.89部とからなる過酸化水素水溶液を添加した。次いで、イオン交換水8.92部にL−アスコルビン酸0.470部を溶解させた水溶液を反応容器内に1時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて65℃に温度を維持した後、重合反応を終了した。尚、重合成分濃度(全単量体成分の全原料に対する重量%濃度)は60%であった。その後、重合反応温度以下の温度で水酸化ナトリウム水溶液を用いて反応溶液をpH7に中和し、本発明のセメント混和剤(1)を得た。
【0072】
<実施例2−セメント混和剤(2)の製造>
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水275部、製造例2で得られた反応生成物(M−2)421.2部(MAL−75を400部、ポリエチレングリコールを21.2部含有)、及びマレイン酸28.7部を仕込み、65℃に昇温した。反応容器を65℃に保った状態で過酸化水素0.249部とイオン交換水4.73部とからなる過酸化水素水溶液を添加した。次いで、イオン交換水6.12部にL−アスコルビン酸0.322部を溶解させた水溶液を反応容器内に1時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて65℃に温度を維持した後、重合反応を終了した。尚、重合成分濃度(全単量体成分の全原料に対する重量%濃度)は60%であった。その後、重合反応温度以下の温度で水酸化ナトリウム水溶液を用いて反応溶液をpH7に中和し、本発明のセメント混和剤(2)を得た。
【0073】
<実施例3−セメント混和剤(3)の製造>
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水273部、製造例3で得られた反応生成物(M−3)425.6部(MAL−100を400部、ポリエチレングリコールを25.6部含有)、及びマレイン酸21.8部を仕込み、65℃に昇温した。反応容器を65℃に保った状態で過酸化水素0.189部とイオン交換水3.59部とからなる過酸化水素水溶液を添加した。次いで、イオン交換水4.65部にL−アスコルビン酸0.245部を溶解させた水溶液を反応容器内に1時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて65℃に温度を維持した後、重合反応を終了した。尚、重合成分濃度(全単量体成分の全原料に対する重量%濃度)は60%であった。その後、重合反応温度以下の温度で水酸化ナトリウム水溶液を用いて反応溶液をpH7に中和し、本発明のセメント混和剤(3)を得た。
【0074】
<実施例4−セメント混和剤(4)の製造>
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水270部、製造例4で得られた反応生成物(M−4)448.0部(MAL−200を400部、ポリエチレングリコールを48.0部含有)、及びマレイン酸12.1部を仕込み、65℃に昇温した。反応容器を65℃に保った状態で過酸化水素0.102部とイオン交換水1.93部とからなる過酸化水素水溶液を添加した。次いで、イオン交換水2.50部にL−アスコルビン酸0.131部を溶解させた水溶液を反応容器内に1時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて65℃に温度を維持した後、重合反応を終了した。尚、重合成分濃度(全単量体成分の全原料に対する重量%濃度)は60%であった。その後、重合反応温度以下の温度で水酸化ナトリウム水溶液を用いて反応溶液をpH7に中和し、本発明のセメント混和剤(4)を得た。
【0075】
<実施例5−セメント混和剤(5)の製造>
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水275部、製造例5で得られた反応生成物(M−5)422.0部(MAL−70EO5POを400部、ポリエチレンポリプロピレングリコールを22.0部含有)、及びマレイン酸28.7部を仕込み、65℃に昇温した。反応容器を65℃に保った状態で過酸化水素0.247部とイオン交換水4.70部とからなる過酸化水素水溶液を添加した。次いで、イオン交換水6.08部にL−アスコルビン酸0.320部を溶解させた水溶液を反応容器内に1時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて65℃に温度を維持した後、重合反応を終了した。尚、重合成分濃度(全単量体成分の全原料に対する重量%濃度)は60%であった。その後、重合反応温度以下の温度で水酸化ナトリウム水溶液を用いて反応溶液をpH7に中和し、本発明のセメント混和剤(5)を得た。
【0076】
<実施例6−セメント混和剤(6)の製造>
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水280部、製造例1で得られた反応生成物(M−1)420.0部(MAL−50を400部、ポリエチレングリコールを20.0部含有)、及びマレイン酸34.1部を仕込み、65℃に昇温した。反応容器を65℃に保った状態で過酸化水素0.490部とイオン交換水9.31部とからなる過酸化水素水溶液を添加した。次いで、アクリル酸18.0部を反応容器内に3時間かけて滴下し、それと同時に、イオン交換水12.06部にL−アスコルビン酸0.635部を溶解させた水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて65℃に温度を維持した後、重合反応を終了した。尚、重合成分濃度(全単量体成分の全原料に対する重量%濃度)は60%であった。その後、重合反応温度以下の温度で水酸化ナトリウム水溶液を用いて反応溶液をpH7に中和し、本発明のセメント混和剤(6)を得た。
【0077】
<実施例7−セメント混和剤(7)の製造>
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水284部、製造例1で得られた反応生成物(M−1)420.0部(MAL−50を400部、ポリエチレングリコールを20.0部含有)、及びマレイン酸42.7部を仕込み、65℃に昇温した。反応容器を65℃に保った状態で過酸化水素0.439部とイオン交換水8.34部とからなる過酸化水素水溶液を添加した。次いで、2−ヒドロキシエチルアクリレート11.8部を反応容器内に3時間かけて滴下し、それと同時に、イオン交換水10.79部にL−アスコルビン酸0.568部を溶解させた水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて65℃に温度を維持した後、重合反応を終了した。尚、重合成分濃度(全単量体成分の全原料に対する重量%濃度)は60%であった。その後、重合反応温度以下の温度で水酸化ナトリウム水溶液を用いて反応溶液をpH7に中和し、本発明のセメント混和剤(7)を得た。
【0078】
<実施例8−セメント混和剤(8)の製造>
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水126部、製造例6で得られた反応生成物(M−6)410.0部(AL−50を400部、ポリエチレングリコールを10.0部含有)、及びマレイン酸41.4部を仕込み、65℃に昇温した。反応容器を65℃に保った状態で過酸化水素1.453部とイオン交換水27.61部とからなる過酸化水素水溶液を添加した。次いで、イオン交換水35.76部にL−アスコルビン酸1.882部を溶解させた水溶液を反応容器内に1時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて65℃に温度を維持した後、重合反応を終了した。尚、重合成分濃度(全単量体成分の全原料に対する重量%濃度)は70%であった。その後、重合反応温度以下の温度で水酸化ナトリウム水溶液を用いて反応溶液をpH7に中和し、本発明のセメント混和剤(8)を得た。
【0079】
<実施例9−セメント混和剤(9)の製造>
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水140部、製造例6で得られた反応生成物(M−7)412.8部(AL−75を400部、ポリエチレングリコールを12.8部含有)、及びマレイン酸28.7部を仕込み、65℃に昇温した。反応容器を65℃に保った状態で過酸化水素0.997部とイオン交換水18.93部とからなる過酸化水素水溶液を添加した。次いで、イオン交換水24.52部にL−アスコルビン酸1.291部を溶解させた水溶液を反応容器内に1時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて65℃に温度を維持した後、重合反応を終了した。尚、重合成分濃度(全単量体成分の全原料に対する重量%濃度)は70%であった。その後、重合反応温度以下の温度で水酸化ナトリウム水溶液を用いて反応溶液をpH7に中和し、本発明のセメント混和剤(9)を得た。
【0080】
<実施例10−セメント混和剤(10)の製造>
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水108部、製造例6で得られた反応生成物(M−6)410.0部(AL−50を400部、ポリエチレングリコールを10.0部含有)、及びマレイン酸34.1部を仕込み、65℃に昇温した。反応容器を65℃に保った状態で過酸化水素1.963部とイオン交換水37.29部とからなる過酸化水素水溶液を添加した。次いで、アクリル酸18.0部を反応容器内に3時間かけて滴下し、それと同時に、イオン交換水48.29部にL−アスコルビン酸2.542部を溶解させた水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて65℃に温度を維持した後、重合反応を終了した。尚、重合成分濃度(全単量体成分の全原料に対する重量%濃度)は70%であった。その後、重合反応温度以下の温度で水酸化ナトリウム水溶液を用いて反応溶液をpH7に中和し、本発明のセメント混和剤(10)を得た。
【0081】
<実施例11−セメント混和剤(11)の製造>
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水118部、製造例6で得られた反応生成物(M−6)410.0部(AL−50を400部、ポリエチレングリコールを10.0部含有)、及びマレイン酸42.7部を仕込み、65℃に昇温した。反応容器を65℃に保った状態で過酸化水素1.758部とイオン交換水33.40部とからなる過酸化水素水溶液を添加した。次いで、2−ヒドロキシエチルアクリレート11.8部を反応容器内に3時間かけて滴下し、それと同時に、イオン交換水43.25部にL−アスコルビン酸2.276部を溶解させた水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて65℃に温度を維持した後、重合反応を終了した。尚、重合成分濃度(全単量体成分の全原料に対する重量%濃度)は70%であった。その後、重合反応温度以下の温度で水酸化ナトリウム水溶液を用いて反応溶液をpH7に中和し、本発明のセメント混和剤(11)を得た。
【0082】
<比較例1−比較セメント混和剤(1)の製造>
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水117部、メタリルアルコールに平均10モルのエチレンオキシドが付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(ポリアルキレングリコール含まず)400部、及びマレイン酸193.3部を仕込み、65℃に昇温した。反応容器を65℃に保った状態で過酸化水素6.658部とイオン交換水59.93部とからなる過酸化水素水溶液を添加した。次いで、イオン交換水77.61部にL−アスコルビン酸8.623部を溶解させた水溶液を反応容器内に1時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて65℃に温度を維持した後、重合反応を終了した。尚、重合成分濃度(全単量体成分の全原料に対する重量%濃度)は70%であった。その後、重合反応温度以下の温度で水酸化ナトリウム水溶液を用いて反応溶液をpH7に中和し、比較セメント混和剤(1)を得た。
【0083】
<比較例2−比較セメント混和剤(2)の製造>
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水1575部を仕込み、65℃に昇温した。反応容器を65℃に保った状態で過酸化水素1.237部とイオン交換水23.51部とからなる過酸化水素水溶液を添加した。次いで、マレイン酸32.2部、及び、イオン交換水100部とアリルアルコールに平均50モルのエチレンオキシドが付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(ポリアルキレングリコール含まず)400部との混合物を、それぞれ反応容器内に3時間かけて滴下し、それと同時に、イオン交換水30.45部にL−アスコルビン酸1.603部を溶解させた水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて65℃に温度を維持した後、重合反応を終了した。尚、重合成分濃度(全単量体成分の全原料に対する重量%濃度)は20%であった。その後、重合反応温度以下の温度で水酸化ナトリウム水溶液を用いて反応溶液をpH7に中和し、比較セメント混和剤(2)を得た。
【0084】
<比較例3−比較セメント混和剤(3)の調製>
上記の比較例2で合成した中和前の反応溶液100部に対して、ポリエチレングリコール(重量平均分子量20,000)を6.19部の割合で配合した後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて反応溶液をpH7に中和し、比較セメント混和剤(3)を調製した。
【0085】
各実施例及び比較例における、各原料単量体の反応率(%)及び得られた混和剤に含まれる共重合体の分析結果[共重合組成比(%)、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体由来の構成単位量(モル%)、未中和型共重合体換算のカルボン酸量(meq/g)、重量平均分子量、中和型共重合体に対する不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体の含有量(%)、中和型共重合体に対するポリアルキレングリコールの含有量(%)]を表2に示す。
【0086】
【表2】
【0087】
尚、表2においては、下記の略号を用いた。
AO体:不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体
MA:マレイン酸
AA:アクリル酸
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
<コンクリート試験>
以上のようにして得られた本発明のセメント混和剤(1)〜(11)、及び比較セメント混和剤(1)〜(3)を用いてコンクリート組成物を調製し、下記の方法でスランプフロー値の経時変化、拡がり速度、及び空気量を測定した。結果を表3に示す。
【0088】
コンクリート組成物の調製は、次のようにして行なった。まず、細骨材(大井川水系産陸砂)658kg/m3を50L強制式パン型ミキサーにより10秒間混練した後、セメント(太平洋セメント社製普通ポルトランドセメント)580kg/m3を加えて10秒間混練した。その後、初期のスランプフロー値が600±50mmとなる量のセメント混和剤を含む水道水174kg/m3を加えて150秒間混練した。その後、さらに、粗骨材(青梅産砕石)895kg/m3を加えて90秒間混練して、コンクリート組成物を得た。尚、コンクリート組成物中の気泡がコンクリート組成物の流動性に及ぼす影響を避けるために、市販のオキシアルキレン系消泡剤を用いて、空気量が2.0±0.5vol%となるように調整した。尚、水/セメント比(重量比)=0.30、細骨材率[細骨材/(細骨材+粗骨材)](容積比)=0.424であった。セメントに対するセメント混和剤の使用量(セメントに対するセメント混和剤中の固形分[不揮発分]の量)(重量%)及びセメントに対するセメント混和剤中の共重合体の量(重量%)は表3に示す。尚、セメント混和剤中の固形分[不揮発分]は、適量のセメント混和剤を130℃で加熱乾燥することにより揮発成分を除去して測定し、セメントと配合する際に所定量の固形分[不揮発分]が含まれるように混和剤を計量して使用した。
【0089】
1)スランプフロー値の経時変化;JIS−A−1101に準じて測定した。
【0090】
2)拡がり速度(コンクリート組成物の粘性低下の効果の評価試験法);初期のスランプフロー値の測定の際に、スランプコーンを引き上げてからフロー値500mmに達するまでに要する時間を測定し、この時間を拡がり速度(秒)とした。尚、この時間の短いものほど、高シェアー下での粘性低減効果が優れていることを示す。
【0091】
3)空気量;JIS−A−1128に準じて測定した。
【0092】
【表3】
【0093】
表3から、比較セメント混和剤(1)を用いた場合は、スランプフロー値の経時変化が著しく大きく、拡がり速度が著しく遅いことがわかる。一方、比較セメント混和剤(2)又は(3)を用いた場合は、所定のスランプフロー値を得るための添加量が多く、スランプフロー値の経時変化が大きく、拡がり速度が遅いことがわかる。これに対し、本発明のセメント混和剤を用いた場合はいずれも、少ない添加量で高い分散性能を示しており、スランプフロー値の経時変化が小さく、拡がり速度も速いことから、コンクリート組成物の経時での流動性の低下が少なく、かつ高シェアー下での粘性低減効果に優れていることがわかる。
【0094】
【発明の効果】
本発明のセメント混和剤は、特に高減水率領域においても高い分散性とスランプロス防止性を発揮すると同時に、粘性低減性をも有している。又、本発明のセメント混和剤を配合したセメント組成物によれば、ポンプ圧送が容易でワーカビリティが優れたコンクリートが得られることから、作業性並びに施工上の障害を改善することができる。
Claims (6)
- 下記の共重合体(A)、下記一般式(1)で表わされる不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)及び水溶性ポリアルキレングリコール(B)の3成分を必須成分として含み、かつ、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)の含有量が共重合体(A)に対して5〜70重量%であり、水溶性ポリアルキレングリコール(B)の含有量が共重合体(A)に対して3〜30重量%であるセメント混和剤であって、
該共重合体(A)は、下記一般式(1);
YO(R1O)nR2 (1)
(式中、Yは炭素原子数2〜4のアルケニル基を表わし、R2は水素原子又は炭素原子数1〜30の炭化水素基を表わし、R1Oは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基の1種又は2種以上の混合物を表わし、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数であり1〜500の数を表わす。)で表わされる不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)由来の構成単位(I)とマレイン酸系単量体(b)由来の構成単位(II)とを必須の構成単位として有し、かつ、構成単位(I)と構成単位(II)とが各々全構成単位中の1重量%以上を占めるとともに、
構成単位(I)の占める割合が全構成単位中の50モル%以下であり、
オキシアルキレン基中の50モル%以上がオキシエチレン基である
ことを特徴とするセメント混和剤。 - 前記マレイン酸系単量体(b)が下記一般式(2)で表わされることを特徴とする、請求項1に記載のセメント混和剤。
一般式(2);
- 前記水溶性ポリアルキレングリコール(B)を構成するオキシアルキレン基が、炭素原子数が2〜18のオキシアルキレン基の1種又は2種以上の混合物であり、該水溶性ポリアルキレングリコールの末端基が、水素原子、炭素原子数1〜30のアルキル基又は(アルキル)フェニル基であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のセメント混和剤。
- 請求項1、2又は3記載のセメント混和剤を製造する方法であって、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)とマレイン酸系単量体(b)とを必須成分として含む単量体成分及び水溶性ポリアルキレングリコール(B)を含む組成物を原料として共重合反応を行うことによってセメント混和剤を得る方法であり、
不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)が不飽和アルコール類以外の活性水素を有する化合物の存在下で調製されたものであることを特徴とするセメント混和剤の製造方法。 - 請求項1、2又は3に記載のセメント混和剤を製造する方法であって、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)とマレイン酸系単量体(b)とを必須成分として含む単量体成分及び水溶性ポリアルキレングリコール(B)を含む組成物を原料として共重合体反応を行ない、かつ、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)が、共重合体(A)に対して5〜70重量%残留している時点で重合反応を停止することによってセメント混和剤を得る方法であり、
不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)が不飽和アルコール類以外の活性水素を有する化合物の存在下で調製されたものであることを特徴とするセメント混和剤の製造方法。 - 前記不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体(a)とマレイン酸系単量体(b)とを必須成分として含む単量体成分及び水溶性ポリアルキレングリコール(B)を含む組成物は、該単量体(a)の製造の際に副生するポリアルキレングリコール(B)を含む組成物であることを特徴とする請求項4又は5に記載のセメント混和剤の製造方法。
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