JP2004151519A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】小スポット径化可能な青色レーザーを露光装置に用いた画像形成装置において、電子写真感光体表面層や各層間による光の散乱、スポットの劣化等が少なく、高精細で高耐久可能な画像形成装置を提供することにある。
【解決手段】感光層を有する像担持上に形成された画像を被記録媒体に転写して画像を形成する画像形成装置において、該像担持体に対して画像記録を行う露光手段に発振波長360〜510nmの青色系レーザーを用いており、該像担持体の最表層が最表層−感光層間での反射防止機能を備えた表面保護層であることを特徴とする画像形成装置。
【選択図】 なし
【解決手段】感光層を有する像担持上に形成された画像を被記録媒体に転写して画像を形成する画像形成装置において、該像担持体に対して画像記録を行う露光手段に発振波長360〜510nmの青色系レーザーを用いており、該像担持体の最表層が最表層−感光層間での反射防止機能を備えた表面保護層であることを特徴とする画像形成装置。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザビームで露光する画像形成装置に関するものであり、特に露光装置と電子写真感光体が関わるものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真装置の画質向上のために装置の高解像度化が進んでいる。高解像度化のための方法としてはいくつか考えられるが、最も簡便で効果的な方法として、レーザビームのスポットをレンズで絞り、書き込み密度を上げて高解像度化することが考えられる。しかしながら現在用いられている650〜800nm近辺に発振波長を持つレーザー(以下、赤色レーザーとする)では光学的にスポットを細く絞るのには限界に来ている。このため例えば1200dpiの記録密度といっても、1200dpiの1ドット21μmに対してレーザビームのスポットはこれよりも大きなもの、例えば60μm、で露光しているのが現状である。
【0003】
さて、レーザーのスポット径Dの下限値は下式で表される;
D=1.22×λ/NA
式中、λはレーザーの波長、NAはレンズの開口数である。
【0004】
すなわち、スポット径をより小さくするためにはレーザーの波長を短くすることが効果的であることがわかる。
【0005】
一方、電子写真感光体の立場から高精細ということを考えると、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した積層電子写真感光体において、電荷輸送層の膜厚を薄くすると電荷輸送層を移動するキャリアの拡散を少なくすることができるためよりシャープな画像が形成できることが知られている。しかしこのような電子写真感光体においては電荷輸送層の膜厚変動が問題となり、電子写真感光体の初期から耐久後まで一様な特性を示す電子写真感光体を用いることが必須である。更に、装置のトータルコストの削減、またエコロジーの観点からより高耐久の電子写真感光体が求められていることも確かである。このため安定して高画質な電子写真感光体を得るために電荷輸送層の上に表面保護層を設けることが好ましい。この表面保護層には膜の抵抗調整のために金属微粒子を、転写効率を上げるために潤滑材としてフッ素系微粒子等を添加することがある。
【0006】
以上のように、露光装置の立場からと電子写真感光体の立場から画像の高精細化に付いて述べたが、これらは単独で作用させるよりも一緒に用いることにより相乗効果でよりトータルな特性が向上すると予想される。
【0007】
上記を踏まえて、画像形成装置の高精細化、高耐久化のためには、青色レーザーならびに表面保護層を持つ電子写真感光体を用いて画像形成をすることが望ましい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
レーザーは、その位相が揃っているため、白色光に比べて散乱し易いことが知られており、その散乱強度は散乱物質が小さい場合、波長の逆数の4乗に比例することが知られている。つまり青色レーザーを用いると表面保護層に添加された微粒子や電子写真感光体各層界面による散乱が大きくなるため、高密度のスポットで電子写真感光体に書き込みをしても、電荷発生層に到達する光のスポットが乱れたり光量低下等の問題がある。
【0009】
また現在のところ、青色半導体レーザーは赤色半導体レーザーに比べて、格段に露光パワーが低く、また価格も高価である。
【0010】
従って、スポット径を小さくできるという青色レーザーの特性を十分に生かすためには、電荷発生層に到達する光量の低下やスポットの乱れ等をできるだけ小さくする必要がある。
【0011】
本発明の目的は、小スポット径化可能な青色レーザーを露光装置に用いた画像形成装置において、電子写真感光体表面層や各層間による光の散乱、スポットの劣化等が少なく、高精細で高耐久可能な画像形成装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に従って、感光層を有する像担持上に形成された画像を被記録媒体に転写して画像を形成する画像形成装置において、該像担持体に対して画像記録を行う露光手段に発振波長360〜510nmの青色系レーザーを用いており、該像担持体の最表層が表面層−感光層間の反射防止機能を備えた表面保護層であることを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
本発明の画像形成装置は、高精細な画像を得るために小スポット径化可能な青色レーザーを用いた露光装置と青色レーザーを散乱させない表面保護層を用いることを特徴とするものである。これにより、電子写真感光体表面層や各層間による光の散乱、スポットの劣化等が少なく、高精細、高耐久可能な画像形成装置を提供するものである。
【0015】
更に、電子写真感光体各層の屈折率を適切に選ぶことで最表層や電子写真感光体各層での光の反射を小さくすることが可能であり、表面保護機能のみならず反射防止機能を付加することが可能である。これは、発光エネルギーの小さい青色半導体レーザーに対しては非常に有用な機能である。電子写真装置において露光装置からの露光光量により感光体表面の電位が下がる。従って、最表層−感光層間で光が反射してしまうと電位が下がらない方向になるため、結果として得られる画像の濃度低下などの欠陥がみられる。一定した画像品位を得るためには最表層−感光層間での反射による露光量の低下分が、感光体の露光−電位曲線に影響を与えない範囲に抑えることが必要である。このため最表層−感光層間での反射光量は10%以下に抑えることが好ましい。
【0016】
本発明の画像形成装置の露光装置は、高解像画像を得るためにスポット径をより小さくするために従来用いられていた赤色系よりもレーザー波長の短い、発振波長が360〜510nmの青色系レーザーを用いることが必須となる。青色レーザーとしては、SHG素子を用いたものやアルゴンレーザー等があるが、装置の小型化を考えると青色半導体レーザーを用いるのが最適である。
【0017】
具体的には、画像形成装置において、露光装置は青色レーザーを含み、像担持体である電子写真感光体において、最表層は反射防止機能を持った表面保護層であり、この表面保護層の屈折率をn2、感光層の屈折率をn1としたときに、下の関係式を満たすことが好ましい;
1<n2≦n1
【0018】
屈折率がn1からn2へ光が入射するとき、その反射率は(n1−n2)2/(n1+n2)2で示されることが一般に知られている。
【0019】
従って、n1=n2の場合は光が全く反射しないことを表している。電子写真プロセスを考えた場合、露光装置から出射された光はまず空気層(屈折率1)をとおり、その後感光層へと入射される。この時、最表層の屈折率が空気に比べて大きいとそれだけ光損失も大きくなる。このためより多くの光量を電荷発生層に到達させるためには、空気層、最表層、感光層の屈折率が単調増加するような構成が好ましい。
【0020】
例えば、最表層の屈折率を2、感光層の屈折率を3とした場合、この屈折率の関係が最表層と感光層とで逆にするよりも、電荷発生層に到達する光量は1.2倍も変化する。
【0021】
また、本発明の最表層である表面保護層は、コロイダルシリカとシロキサン結合を有する樹脂を含有することが好ましい。
【0022】
本発明に用いられるシロキサン結合を有する樹脂は、OH基及びOR基等の加水分解性基をケイ素原子当たり3つ有するケイ素化合物の縮合により得られるシリコーン樹脂もしくは部分縮合したオリゴマーのことを意味する。
【0023】
本発明に用いられる電子写真感光体の表面保護層は、コロイダルシリカを含むシロキサン樹脂を含有していており、この組成物を電子写真感光体の表面に塗布、乾燥、硬化することにより形成される。本発明に用いられる電子写真感光体の表面保護層用組成物は少なくとも下記の成分からなる;
(a)コロイダルシリカ
(b)R−Si(OR’)3の部分縮合により形成されるシロキサン樹脂
{式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基、ビニル基、CnF2n+1C2H4−基(n=1〜18)、γ−グリシドキシプロピル基及びγ−メタクリロオキシプロピル基からなる群より選ばれた少なくとも一つの基を表す。R’は炭素数1〜3のアルキル基からなる群より選ばれた少なくとも一つの基を表す}
(c)低級脂肪族アルコール及び水からなる群より選ばれた少なくとも一つの溶剤
【0024】
電子写真感光体の表面保護層用組成物は、コロイダルシリカ及びシロキサン樹脂が1〜50質量%低級アルコール−水混合溶液中に分散されているものが好ましい。固形分が50質量%を越えると組成物が劣化し易く、ゲル化等のために良好に塗膜が形成され難くなる。1質量%未満では形成される表面保護層の強度が十分でなくなる傾向がある。
【0025】
また、固形分におけるコロイダルシリカの割合は10〜70質量%で、シロキサン樹脂は90〜30質量%であることが好ましい。シロキサン樹脂の固形分に占める割合が30質量%未満では脆くなり良好な膜が形成され難くクラック等が生じ易くなり、コロイダルシリカの割合が10質量%未満では形成された表面保護層の硬度が十分でなくなる傾向がある。
【0026】
コロイダルシリカとしては、市販の水分散系のものが用いられる(商品名「Ludox」及び「Nalcoag」等)。粒径は5〜150nmであることが好ましく、分散安定性と光学特性の点で10〜30nmであることがより好ましい。コロイダルシリカとしては、Na2O等のアルカリ金属酸化物の含有量が2質量%未満であることが好ましい。分散溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール及びn−ブタノール等の低級脂肪族アルコールと水の混合溶剤系が好ましいが、その他のグリコール及びアセトン等の水可溶性の溶剤を更に添加してもよい。
【0027】
電子写真感光体の表面保護層用組成物は、無機酸もしくは有機酸を用いることによりpH3.0〜6.0の酸性状態に調整されることが好ましい。強酸を用いると組成物の安定性等に好ましくない影響を与え易いので、より好ましくは弱酸が用いられpH4.0〜5.5の酸性状態に調整される。
【0028】
電子写真感光体の感光層の上に塗布された表面保護用組成物は、乾燥後、熱硬化されることにより硬度、強度、低表面エネルギー及び耐放電性が発現する。熱硬化は高温であるほど完全に進行するが、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で選択される。好ましくは80℃〜180℃で熱硬化されるが、より好ましくは100℃〜150℃で行われる。
【0029】
熱硬化の時間としては長時間であるほど硬化は進むが、その処理温度において電子写真特性に悪影響を与えない範囲で選ばれる。熱硬化の処理時間は一般的には、10分〜12時間程度で行われる。
【0030】
乾燥後、熱硬化して得られた表面保護層は少なくともコロイダルシリカとしてSiO2で示される成分及びRSiO3/2で示されるところのシロキサン樹脂を含有している。
【0031】
ここで、Rは炭素数1〜3のアルキル基、ビニル基、CnF2n+1C2H4−基(n=1〜18)、γ−グリシドキシプロピル基及びγ−メタクリロオキシプロピル基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を表す。
【0032】
表面保護層の膜厚は0.1μm〜4μmであることが好ましい。0.1μm未満では表面硬度や強度が十分でなく耐久性が低下し易く、4μmを越えると現像時に潜像によって形成されるコントラストポテンシャルが劣化し易い。より好ましくは0.2μm〜3μmである。
【0033】
以下に、本発明に用いられる電子写真感光体について更に説明する。
【0034】
本発明に用いられる電子写真感光体は、導電性支持体上に感光層と表面保護層を順次積層したものである。
【0035】
本発明に用いられる電子写真感光体の感光層の構成は、電荷発生材料と電荷輸送材料双方を含有する単層型、又は電荷発生層と電荷輸送層が積層されている積層型のいずれでもよいが、電子写真特性的には電荷発生層の上に電荷輸送層が積層された積層型が好ましい。
【0036】
支持体としては導電性を有するものであればよく、アルミニウム及びステンレス等の金属、あるいは導電層を設けた金属、プラスチック及び紙等が挙げられ、形状としては円筒状及びフィルム状等が挙げられる。
【0037】
その上に接着機能を有する中間層を設けてもよい。中間層の材料としては、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、カゼイン、ポリウレタン及びポリエーテルウレタン等が挙げられる。これらは、適当な溶剤に溶解して塗布される。中間層の膜厚は0.1〜5μmが好ましく、特には0.3〜1μmが好ましい。
【0038】
中間層の上に、フタロシアニン顔料、アゾ顔料及びアントアントロン顔料等の電荷発生材料を溶剤に溶解したバインダー樹脂中に分散した塗工液を塗工し、乾燥して電荷発生層を形成する。ここで用いるバインダー樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、塩化ビニリデン、アクリロニトリルコポリマー及びポリビニルベンザール樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と顔料の比率は1/1〜10/1が好ましく、より好ましくは1.5/1〜3/1である。
【0039】
電荷輸送層は、主として電荷輸送材料とバインダー樹脂とを溶剤中に溶解させた塗料を塗工・乾燥して形成する。用いられる電荷輸送材料としては、トリアリールアミン系化合物、ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、ピラゾリン系化合物、オキサゾール系化合物、トリアリルメタン系化合物及びチアゾール系化合物等が挙げられる。
【0040】
バインダー樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン及びトリフルオロエチレン等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0041】
感光層が単層型の場合も、上述した物質を用いることができるが、特に電荷輸送材料としては、更にポリ−N−ビニルカルバゾールとトリニトロフルオレンの組み合わせ等からなる電荷移動錯体を用いることもできる。
【0042】
【実施例】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は質量部を意味する。
【0043】
<表面層の調液例1>
フラスコにコロイダルシリカ(固形分40質量%)の水性分散液30.0部を取り、攪拌しながらメチルトリメトキシシラン21.5部と酢酸3.5部との混合物の1/3を添加した。添加後、混合溶液を55℃まで加熱し、急激な発熱が観測されたら直ちに氷冷し、フラスコ内の温度を50〜60℃に保ちながら残りの混合物を添加した。反応溶液を20℃まで冷却し、温度が安定したら30分間攪拌する。その後、イソプロピルアルコール17.8部で反応溶液を希釈し、ジブチル錫ジ−2−エチルヘキソエート2.8部を徐々に添加し、ジルトリメチルアン、更にポリエーテル変成ジメチルシリコーンの10%エタノール溶液0.16部を添加した。得られた反応混合物は沈殿物を除去した。
【0044】
<表面層の調液例2>
フラスコにコロイダルシリカ(固形分40質量%)の水性分散液3.9部を取り、攪拌しながらコロイダルシリカ(固形分30質量%)のイソプロピルアルコール分散液26.8部、メチルトリエトキシシラン1.5部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1.9部、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリメトキシシラン2.4部及び酢酸3.1部を添加した。添加後、混合溶液を65〜70℃に加熱し、2時間反応させた。その後、イソプロピルアルコール23.3部で希釈し、硬化溶媒としてベンジルトリメチルアンモニウムアセテート2.4部添加し、更にポリエーテル変成ジメチルシリコーンの10質量%エタノール溶液0.16部を添加した。
【0045】
<表面層の調液例3>
ポリテトラフルオロエチレン微粒子(商品名:ルブロンL−5、ダイキン工業(株)製)2部、ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールZ、数平均分子量40000)4部、下記式で示される電荷輸送材料4部及びモノクロロベンゼン250部をサンドミルにて分散し表面層塗料を得た。
【0046】
【化1】
【0047】
<電荷輸送層の調液例1>
下記式で示されるのアミン化合物10部及びポリカーボネート(重量平均分子量25000)10部をジクロロメタン20部/モノクロルベンゼン40部の混合溶液中に溶解し、電荷輸送層用の塗工液を得た。
【0048】
【化2】
【0049】
(実施例1)
表面層の調液例1の塗工液をガラス板にバーコートを用いて塗布し、110℃で4時間乾燥熱処理した。乾燥後、2μmの透明で均一な膜が得られた。
【0050】
この塗膜の屈折率をアッベ屈折計にて測定したところ、屈折率は1.44であり、入射光に対する反射光の割合は3.2%であった。
【0051】
次に、図2(a)に示すように表面層による光の散乱について観察した。スポットの形状は図2(a)に示すように行った。レーザーは塗膜側から入射させ、CCDカメラによりスポットの観察を行った。このときCCDカメラの焦点面を塗膜の表面とした。
【0052】
調液例1によって作られた塗膜による光散乱は殆どなく、スポットの乱れも観察されなかった。
【0053】
(実施例2)
電荷輸送層の調液例1の溶液をガラス上に塗工し、120℃で30分間乾燥させて、膜厚が6μmの塗膜を得た。
【0054】
この塗膜の屈折率をアッベ屈折計にて測定したところ、屈折率は1.54であった。更に、図2(b)に示すように反射率の測定を行った。CCDカメラの代わりにパワーメータを置きこの塗膜の入射光に対する反射光強度を測定したところ、その割合は4.6%であった。
【0055】
(実施例3)
<電子写真感光体の作製例>
φ80mmのアルミニウムシリンダーを基体とし、それに以下の材料より構成される塗料を基体上に浸漬法で塗布し、140℃で30分間熱硬化し、膜厚が15μmの導電層を形成した。
【0056】
導電性顔料:酸化スズコート処理酸化チタン 10部
抵抗調節用顔料:酸化チタン 10部
結着樹脂:フェノール樹脂 10部
レベリング剤:シリコーンオイル 0.001部
溶剤:メタノール/メチルセロソルブ=1/1 20部
【0057】
次に、この上にN−メトキシメチル化ナイロン3部と共重合ナイロン3部とをメタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解した溶液を浸漬法で塗布し、膜厚が0.5μmの中間層を形成した。
【0058】
次に、CuKαの特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の23.9°及び27.1°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン(TiOPc)4部とポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM−2、積水化学製)2部及びシクロヘキサノン80部をサンドミル装置で4時間分散した後、メチルエチルケトン115部を加えて電荷発生層用分散液を得た。これを前記中間層上に浸漬法で塗布し、膜厚が0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0059】
次に、電荷輸送層の調液例1の溶液を前記電荷発生層上に浸漬塗布し、120℃で60分間乾燥させ、膜厚が15μmの電荷輸送層を形成した。
【0060】
次に、表面層の調合液1の塗工液を前述の電荷輸送層上に浸漬法で塗布し、120℃で2時間乾燥し、膜厚3μmの表面保護層を形成し、電子写真感光体を得た。このとき電荷輸送層に入射する光量はレーザーの入射光量に対して96.7%であった。
【0061】
この電子写真感光体をキヤノン製複写機(商品名:CLC500、コロナ帯電方式)の改造機に搭載した。露光系には405nmの青色半導体レーザーを25μmスポットに絞ったものを用いた。
【0062】
上記の装置にて画像出力を行ったところ、スポットも散乱せず、保護層による光損失も少ない高精細な画像を得ることができた。
【0063】
また、5000枚出力後に表面保護層の膜厚を測定したところ、削れ量は0.35μmと非常に少ない量であり十分に表面保護機能を果たしていることがわかった。
【0064】
(実施例4)
表面層の調液例2の塗工液をガラス板にバーコートを用いて塗布し、110℃で4時間乾燥熱処理した。乾燥後、膜厚2μmの透明で均一な膜が得られた。この膜の屈折率をアッベ屈折計にて測定したところ1.41であり、入射光に対する反射光の割合は2.9%であった。
【0065】
(実施例5)
実施例2と同様に電荷輸送層まで塗工し、電荷輸送層上に表面層の調合液2を浸漬法で塗布し、120℃で2時間乾燥し、膜厚2μmの表面保護層を形成して電子写真感光体を得た。このとき電荷輸送層に入射する光量は、レーザーの入射光量に対して97%であった。
【0066】
この電子写真感光体をキヤノン製複写機(商品名:CLC500、コロナ帯電方式)の改造機に搭載した。露光系には405nmの青色半導体レーザーを25μmスポットに絞ったものを用いた。
【0067】
上記の装置にて画像出力を行ったところ、スポットの散乱もなく、高精細な画像を得ることができた。
【0068】
また、5000枚出力後に表面保護層の膜厚測定を行ったところ、削れ量は0.46μmと少なく表面保護機能が見られた。
【0069】
(比較例1)
実施例3と同様にして電荷輸送層まで作製し、電荷輸送層上に表面層の調液例3の塗工液をスプレー塗工により塗布し、120℃で60分間乾燥し、膜厚が4μmの表面保護層を得た。
【0070】
表面層の調液例3の塗工液をガラス板にスプレー塗布し、120℃で60分乾燥熱処理した。乾燥後、膜厚4μmの透明で均一な膜が得られた。この膜の屈折率をアッベ屈折計にて測定したところ1.37であった。
【0071】
この電子写真感光体をキヤノン製複写機(商品名:CLC500、コロナ帯電方式)の改造機に搭載した。露光系には405nmの青色半導体レーザーを25μmスポットに絞ったものを用いた。
【0072】
2000枚出力後に表面保護層の膜厚測定を行ったところ、削れ量は1.2μmであった。
【0073】
この表面層中のポリテトラフルオロエチレン粒子による散乱の効果を確認したところ、図3に示すような結果になった。入射スポットは綺麗な円形であるのに対し、反射光はスポットの周囲への散乱が非常に大きく、青色レーザーを用いて小スポット化した効果が見られなかった。
【0074】
確認のため図2(b)により反射率の測定を行った。理論的には反射光は入射光に対して2.4%であるが、光源に波長405nmのレーザー光を用いたころ、反射率は22%と非常に大きかった。次に、光源に波長680nmのレーザー光を用いたところ反射率は13%であった。このことより光源に青色レーザーを用いる場合、最表層にポリテトラフルオロエチレン粒子のような微粒子が含まれると、より入射光が散乱されてしまい、青色レーザーの小スポット化の効果が減少してしまうことがわかった。
【0075】
【発明の効果】
上述したように、本発明によって、表面層による画像劣化が無く、高耐久、高精細で光散乱等の光損失の影響のない画像を得ることができる画像形成装置を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す電子写真感光体の模式図である。
【図2】(a)表面保護層によるスポット形状の観察系を示す図である。
(b)表面保護層による反射光量の測定計を示す図である。
【図3】比較例1の(a)入射スポットと(b)反射スポットの観察結果を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザビームで露光する画像形成装置に関するものであり、特に露光装置と電子写真感光体が関わるものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真装置の画質向上のために装置の高解像度化が進んでいる。高解像度化のための方法としてはいくつか考えられるが、最も簡便で効果的な方法として、レーザビームのスポットをレンズで絞り、書き込み密度を上げて高解像度化することが考えられる。しかしながら現在用いられている650〜800nm近辺に発振波長を持つレーザー(以下、赤色レーザーとする)では光学的にスポットを細く絞るのには限界に来ている。このため例えば1200dpiの記録密度といっても、1200dpiの1ドット21μmに対してレーザビームのスポットはこれよりも大きなもの、例えば60μm、で露光しているのが現状である。
【0003】
さて、レーザーのスポット径Dの下限値は下式で表される;
D=1.22×λ/NA
式中、λはレーザーの波長、NAはレンズの開口数である。
【0004】
すなわち、スポット径をより小さくするためにはレーザーの波長を短くすることが効果的であることがわかる。
【0005】
一方、電子写真感光体の立場から高精細ということを考えると、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した積層電子写真感光体において、電荷輸送層の膜厚を薄くすると電荷輸送層を移動するキャリアの拡散を少なくすることができるためよりシャープな画像が形成できることが知られている。しかしこのような電子写真感光体においては電荷輸送層の膜厚変動が問題となり、電子写真感光体の初期から耐久後まで一様な特性を示す電子写真感光体を用いることが必須である。更に、装置のトータルコストの削減、またエコロジーの観点からより高耐久の電子写真感光体が求められていることも確かである。このため安定して高画質な電子写真感光体を得るために電荷輸送層の上に表面保護層を設けることが好ましい。この表面保護層には膜の抵抗調整のために金属微粒子を、転写効率を上げるために潤滑材としてフッ素系微粒子等を添加することがある。
【0006】
以上のように、露光装置の立場からと電子写真感光体の立場から画像の高精細化に付いて述べたが、これらは単独で作用させるよりも一緒に用いることにより相乗効果でよりトータルな特性が向上すると予想される。
【0007】
上記を踏まえて、画像形成装置の高精細化、高耐久化のためには、青色レーザーならびに表面保護層を持つ電子写真感光体を用いて画像形成をすることが望ましい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
レーザーは、その位相が揃っているため、白色光に比べて散乱し易いことが知られており、その散乱強度は散乱物質が小さい場合、波長の逆数の4乗に比例することが知られている。つまり青色レーザーを用いると表面保護層に添加された微粒子や電子写真感光体各層界面による散乱が大きくなるため、高密度のスポットで電子写真感光体に書き込みをしても、電荷発生層に到達する光のスポットが乱れたり光量低下等の問題がある。
【0009】
また現在のところ、青色半導体レーザーは赤色半導体レーザーに比べて、格段に露光パワーが低く、また価格も高価である。
【0010】
従って、スポット径を小さくできるという青色レーザーの特性を十分に生かすためには、電荷発生層に到達する光量の低下やスポットの乱れ等をできるだけ小さくする必要がある。
【0011】
本発明の目的は、小スポット径化可能な青色レーザーを露光装置に用いた画像形成装置において、電子写真感光体表面層や各層間による光の散乱、スポットの劣化等が少なく、高精細で高耐久可能な画像形成装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に従って、感光層を有する像担持上に形成された画像を被記録媒体に転写して画像を形成する画像形成装置において、該像担持体に対して画像記録を行う露光手段に発振波長360〜510nmの青色系レーザーを用いており、該像担持体の最表層が表面層−感光層間の反射防止機能を備えた表面保護層であることを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
本発明の画像形成装置は、高精細な画像を得るために小スポット径化可能な青色レーザーを用いた露光装置と青色レーザーを散乱させない表面保護層を用いることを特徴とするものである。これにより、電子写真感光体表面層や各層間による光の散乱、スポットの劣化等が少なく、高精細、高耐久可能な画像形成装置を提供するものである。
【0015】
更に、電子写真感光体各層の屈折率を適切に選ぶことで最表層や電子写真感光体各層での光の反射を小さくすることが可能であり、表面保護機能のみならず反射防止機能を付加することが可能である。これは、発光エネルギーの小さい青色半導体レーザーに対しては非常に有用な機能である。電子写真装置において露光装置からの露光光量により感光体表面の電位が下がる。従って、最表層−感光層間で光が反射してしまうと電位が下がらない方向になるため、結果として得られる画像の濃度低下などの欠陥がみられる。一定した画像品位を得るためには最表層−感光層間での反射による露光量の低下分が、感光体の露光−電位曲線に影響を与えない範囲に抑えることが必要である。このため最表層−感光層間での反射光量は10%以下に抑えることが好ましい。
【0016】
本発明の画像形成装置の露光装置は、高解像画像を得るためにスポット径をより小さくするために従来用いられていた赤色系よりもレーザー波長の短い、発振波長が360〜510nmの青色系レーザーを用いることが必須となる。青色レーザーとしては、SHG素子を用いたものやアルゴンレーザー等があるが、装置の小型化を考えると青色半導体レーザーを用いるのが最適である。
【0017】
具体的には、画像形成装置において、露光装置は青色レーザーを含み、像担持体である電子写真感光体において、最表層は反射防止機能を持った表面保護層であり、この表面保護層の屈折率をn2、感光層の屈折率をn1としたときに、下の関係式を満たすことが好ましい;
1<n2≦n1
【0018】
屈折率がn1からn2へ光が入射するとき、その反射率は(n1−n2)2/(n1+n2)2で示されることが一般に知られている。
【0019】
従って、n1=n2の場合は光が全く反射しないことを表している。電子写真プロセスを考えた場合、露光装置から出射された光はまず空気層(屈折率1)をとおり、その後感光層へと入射される。この時、最表層の屈折率が空気に比べて大きいとそれだけ光損失も大きくなる。このためより多くの光量を電荷発生層に到達させるためには、空気層、最表層、感光層の屈折率が単調増加するような構成が好ましい。
【0020】
例えば、最表層の屈折率を2、感光層の屈折率を3とした場合、この屈折率の関係が最表層と感光層とで逆にするよりも、電荷発生層に到達する光量は1.2倍も変化する。
【0021】
また、本発明の最表層である表面保護層は、コロイダルシリカとシロキサン結合を有する樹脂を含有することが好ましい。
【0022】
本発明に用いられるシロキサン結合を有する樹脂は、OH基及びOR基等の加水分解性基をケイ素原子当たり3つ有するケイ素化合物の縮合により得られるシリコーン樹脂もしくは部分縮合したオリゴマーのことを意味する。
【0023】
本発明に用いられる電子写真感光体の表面保護層は、コロイダルシリカを含むシロキサン樹脂を含有していており、この組成物を電子写真感光体の表面に塗布、乾燥、硬化することにより形成される。本発明に用いられる電子写真感光体の表面保護層用組成物は少なくとも下記の成分からなる;
(a)コロイダルシリカ
(b)R−Si(OR’)3の部分縮合により形成されるシロキサン樹脂
{式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基、ビニル基、CnF2n+1C2H4−基(n=1〜18)、γ−グリシドキシプロピル基及びγ−メタクリロオキシプロピル基からなる群より選ばれた少なくとも一つの基を表す。R’は炭素数1〜3のアルキル基からなる群より選ばれた少なくとも一つの基を表す}
(c)低級脂肪族アルコール及び水からなる群より選ばれた少なくとも一つの溶剤
【0024】
電子写真感光体の表面保護層用組成物は、コロイダルシリカ及びシロキサン樹脂が1〜50質量%低級アルコール−水混合溶液中に分散されているものが好ましい。固形分が50質量%を越えると組成物が劣化し易く、ゲル化等のために良好に塗膜が形成され難くなる。1質量%未満では形成される表面保護層の強度が十分でなくなる傾向がある。
【0025】
また、固形分におけるコロイダルシリカの割合は10〜70質量%で、シロキサン樹脂は90〜30質量%であることが好ましい。シロキサン樹脂の固形分に占める割合が30質量%未満では脆くなり良好な膜が形成され難くクラック等が生じ易くなり、コロイダルシリカの割合が10質量%未満では形成された表面保護層の硬度が十分でなくなる傾向がある。
【0026】
コロイダルシリカとしては、市販の水分散系のものが用いられる(商品名「Ludox」及び「Nalcoag」等)。粒径は5〜150nmであることが好ましく、分散安定性と光学特性の点で10〜30nmであることがより好ましい。コロイダルシリカとしては、Na2O等のアルカリ金属酸化物の含有量が2質量%未満であることが好ましい。分散溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール及びn−ブタノール等の低級脂肪族アルコールと水の混合溶剤系が好ましいが、その他のグリコール及びアセトン等の水可溶性の溶剤を更に添加してもよい。
【0027】
電子写真感光体の表面保護層用組成物は、無機酸もしくは有機酸を用いることによりpH3.0〜6.0の酸性状態に調整されることが好ましい。強酸を用いると組成物の安定性等に好ましくない影響を与え易いので、より好ましくは弱酸が用いられpH4.0〜5.5の酸性状態に調整される。
【0028】
電子写真感光体の感光層の上に塗布された表面保護用組成物は、乾燥後、熱硬化されることにより硬度、強度、低表面エネルギー及び耐放電性が発現する。熱硬化は高温であるほど完全に進行するが、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で選択される。好ましくは80℃〜180℃で熱硬化されるが、より好ましくは100℃〜150℃で行われる。
【0029】
熱硬化の時間としては長時間であるほど硬化は進むが、その処理温度において電子写真特性に悪影響を与えない範囲で選ばれる。熱硬化の処理時間は一般的には、10分〜12時間程度で行われる。
【0030】
乾燥後、熱硬化して得られた表面保護層は少なくともコロイダルシリカとしてSiO2で示される成分及びRSiO3/2で示されるところのシロキサン樹脂を含有している。
【0031】
ここで、Rは炭素数1〜3のアルキル基、ビニル基、CnF2n+1C2H4−基(n=1〜18)、γ−グリシドキシプロピル基及びγ−メタクリロオキシプロピル基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を表す。
【0032】
表面保護層の膜厚は0.1μm〜4μmであることが好ましい。0.1μm未満では表面硬度や強度が十分でなく耐久性が低下し易く、4μmを越えると現像時に潜像によって形成されるコントラストポテンシャルが劣化し易い。より好ましくは0.2μm〜3μmである。
【0033】
以下に、本発明に用いられる電子写真感光体について更に説明する。
【0034】
本発明に用いられる電子写真感光体は、導電性支持体上に感光層と表面保護層を順次積層したものである。
【0035】
本発明に用いられる電子写真感光体の感光層の構成は、電荷発生材料と電荷輸送材料双方を含有する単層型、又は電荷発生層と電荷輸送層が積層されている積層型のいずれでもよいが、電子写真特性的には電荷発生層の上に電荷輸送層が積層された積層型が好ましい。
【0036】
支持体としては導電性を有するものであればよく、アルミニウム及びステンレス等の金属、あるいは導電層を設けた金属、プラスチック及び紙等が挙げられ、形状としては円筒状及びフィルム状等が挙げられる。
【0037】
その上に接着機能を有する中間層を設けてもよい。中間層の材料としては、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、カゼイン、ポリウレタン及びポリエーテルウレタン等が挙げられる。これらは、適当な溶剤に溶解して塗布される。中間層の膜厚は0.1〜5μmが好ましく、特には0.3〜1μmが好ましい。
【0038】
中間層の上に、フタロシアニン顔料、アゾ顔料及びアントアントロン顔料等の電荷発生材料を溶剤に溶解したバインダー樹脂中に分散した塗工液を塗工し、乾燥して電荷発生層を形成する。ここで用いるバインダー樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、塩化ビニリデン、アクリロニトリルコポリマー及びポリビニルベンザール樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と顔料の比率は1/1〜10/1が好ましく、より好ましくは1.5/1〜3/1である。
【0039】
電荷輸送層は、主として電荷輸送材料とバインダー樹脂とを溶剤中に溶解させた塗料を塗工・乾燥して形成する。用いられる電荷輸送材料としては、トリアリールアミン系化合物、ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、ピラゾリン系化合物、オキサゾール系化合物、トリアリルメタン系化合物及びチアゾール系化合物等が挙げられる。
【0040】
バインダー樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン及びトリフルオロエチレン等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0041】
感光層が単層型の場合も、上述した物質を用いることができるが、特に電荷輸送材料としては、更にポリ−N−ビニルカルバゾールとトリニトロフルオレンの組み合わせ等からなる電荷移動錯体を用いることもできる。
【0042】
【実施例】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は質量部を意味する。
【0043】
<表面層の調液例1>
フラスコにコロイダルシリカ(固形分40質量%)の水性分散液30.0部を取り、攪拌しながらメチルトリメトキシシラン21.5部と酢酸3.5部との混合物の1/3を添加した。添加後、混合溶液を55℃まで加熱し、急激な発熱が観測されたら直ちに氷冷し、フラスコ内の温度を50〜60℃に保ちながら残りの混合物を添加した。反応溶液を20℃まで冷却し、温度が安定したら30分間攪拌する。その後、イソプロピルアルコール17.8部で反応溶液を希釈し、ジブチル錫ジ−2−エチルヘキソエート2.8部を徐々に添加し、ジルトリメチルアン、更にポリエーテル変成ジメチルシリコーンの10%エタノール溶液0.16部を添加した。得られた反応混合物は沈殿物を除去した。
【0044】
<表面層の調液例2>
フラスコにコロイダルシリカ(固形分40質量%)の水性分散液3.9部を取り、攪拌しながらコロイダルシリカ(固形分30質量%)のイソプロピルアルコール分散液26.8部、メチルトリエトキシシラン1.5部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1.9部、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリメトキシシラン2.4部及び酢酸3.1部を添加した。添加後、混合溶液を65〜70℃に加熱し、2時間反応させた。その後、イソプロピルアルコール23.3部で希釈し、硬化溶媒としてベンジルトリメチルアンモニウムアセテート2.4部添加し、更にポリエーテル変成ジメチルシリコーンの10質量%エタノール溶液0.16部を添加した。
【0045】
<表面層の調液例3>
ポリテトラフルオロエチレン微粒子(商品名:ルブロンL−5、ダイキン工業(株)製)2部、ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールZ、数平均分子量40000)4部、下記式で示される電荷輸送材料4部及びモノクロロベンゼン250部をサンドミルにて分散し表面層塗料を得た。
【0046】
【化1】
【0047】
<電荷輸送層の調液例1>
下記式で示されるのアミン化合物10部及びポリカーボネート(重量平均分子量25000)10部をジクロロメタン20部/モノクロルベンゼン40部の混合溶液中に溶解し、電荷輸送層用の塗工液を得た。
【0048】
【化2】
【0049】
(実施例1)
表面層の調液例1の塗工液をガラス板にバーコートを用いて塗布し、110℃で4時間乾燥熱処理した。乾燥後、2μmの透明で均一な膜が得られた。
【0050】
この塗膜の屈折率をアッベ屈折計にて測定したところ、屈折率は1.44であり、入射光に対する反射光の割合は3.2%であった。
【0051】
次に、図2(a)に示すように表面層による光の散乱について観察した。スポットの形状は図2(a)に示すように行った。レーザーは塗膜側から入射させ、CCDカメラによりスポットの観察を行った。このときCCDカメラの焦点面を塗膜の表面とした。
【0052】
調液例1によって作られた塗膜による光散乱は殆どなく、スポットの乱れも観察されなかった。
【0053】
(実施例2)
電荷輸送層の調液例1の溶液をガラス上に塗工し、120℃で30分間乾燥させて、膜厚が6μmの塗膜を得た。
【0054】
この塗膜の屈折率をアッベ屈折計にて測定したところ、屈折率は1.54であった。更に、図2(b)に示すように反射率の測定を行った。CCDカメラの代わりにパワーメータを置きこの塗膜の入射光に対する反射光強度を測定したところ、その割合は4.6%であった。
【0055】
(実施例3)
<電子写真感光体の作製例>
φ80mmのアルミニウムシリンダーを基体とし、それに以下の材料より構成される塗料を基体上に浸漬法で塗布し、140℃で30分間熱硬化し、膜厚が15μmの導電層を形成した。
【0056】
導電性顔料:酸化スズコート処理酸化チタン 10部
抵抗調節用顔料:酸化チタン 10部
結着樹脂:フェノール樹脂 10部
レベリング剤:シリコーンオイル 0.001部
溶剤:メタノール/メチルセロソルブ=1/1 20部
【0057】
次に、この上にN−メトキシメチル化ナイロン3部と共重合ナイロン3部とをメタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解した溶液を浸漬法で塗布し、膜厚が0.5μmの中間層を形成した。
【0058】
次に、CuKαの特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の23.9°及び27.1°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン(TiOPc)4部とポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM−2、積水化学製)2部及びシクロヘキサノン80部をサンドミル装置で4時間分散した後、メチルエチルケトン115部を加えて電荷発生層用分散液を得た。これを前記中間層上に浸漬法で塗布し、膜厚が0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0059】
次に、電荷輸送層の調液例1の溶液を前記電荷発生層上に浸漬塗布し、120℃で60分間乾燥させ、膜厚が15μmの電荷輸送層を形成した。
【0060】
次に、表面層の調合液1の塗工液を前述の電荷輸送層上に浸漬法で塗布し、120℃で2時間乾燥し、膜厚3μmの表面保護層を形成し、電子写真感光体を得た。このとき電荷輸送層に入射する光量はレーザーの入射光量に対して96.7%であった。
【0061】
この電子写真感光体をキヤノン製複写機(商品名:CLC500、コロナ帯電方式)の改造機に搭載した。露光系には405nmの青色半導体レーザーを25μmスポットに絞ったものを用いた。
【0062】
上記の装置にて画像出力を行ったところ、スポットも散乱せず、保護層による光損失も少ない高精細な画像を得ることができた。
【0063】
また、5000枚出力後に表面保護層の膜厚を測定したところ、削れ量は0.35μmと非常に少ない量であり十分に表面保護機能を果たしていることがわかった。
【0064】
(実施例4)
表面層の調液例2の塗工液をガラス板にバーコートを用いて塗布し、110℃で4時間乾燥熱処理した。乾燥後、膜厚2μmの透明で均一な膜が得られた。この膜の屈折率をアッベ屈折計にて測定したところ1.41であり、入射光に対する反射光の割合は2.9%であった。
【0065】
(実施例5)
実施例2と同様に電荷輸送層まで塗工し、電荷輸送層上に表面層の調合液2を浸漬法で塗布し、120℃で2時間乾燥し、膜厚2μmの表面保護層を形成して電子写真感光体を得た。このとき電荷輸送層に入射する光量は、レーザーの入射光量に対して97%であった。
【0066】
この電子写真感光体をキヤノン製複写機(商品名:CLC500、コロナ帯電方式)の改造機に搭載した。露光系には405nmの青色半導体レーザーを25μmスポットに絞ったものを用いた。
【0067】
上記の装置にて画像出力を行ったところ、スポットの散乱もなく、高精細な画像を得ることができた。
【0068】
また、5000枚出力後に表面保護層の膜厚測定を行ったところ、削れ量は0.46μmと少なく表面保護機能が見られた。
【0069】
(比較例1)
実施例3と同様にして電荷輸送層まで作製し、電荷輸送層上に表面層の調液例3の塗工液をスプレー塗工により塗布し、120℃で60分間乾燥し、膜厚が4μmの表面保護層を得た。
【0070】
表面層の調液例3の塗工液をガラス板にスプレー塗布し、120℃で60分乾燥熱処理した。乾燥後、膜厚4μmの透明で均一な膜が得られた。この膜の屈折率をアッベ屈折計にて測定したところ1.37であった。
【0071】
この電子写真感光体をキヤノン製複写機(商品名:CLC500、コロナ帯電方式)の改造機に搭載した。露光系には405nmの青色半導体レーザーを25μmスポットに絞ったものを用いた。
【0072】
2000枚出力後に表面保護層の膜厚測定を行ったところ、削れ量は1.2μmであった。
【0073】
この表面層中のポリテトラフルオロエチレン粒子による散乱の効果を確認したところ、図3に示すような結果になった。入射スポットは綺麗な円形であるのに対し、反射光はスポットの周囲への散乱が非常に大きく、青色レーザーを用いて小スポット化した効果が見られなかった。
【0074】
確認のため図2(b)により反射率の測定を行った。理論的には反射光は入射光に対して2.4%であるが、光源に波長405nmのレーザー光を用いたころ、反射率は22%と非常に大きかった。次に、光源に波長680nmのレーザー光を用いたところ反射率は13%であった。このことより光源に青色レーザーを用いる場合、最表層にポリテトラフルオロエチレン粒子のような微粒子が含まれると、より入射光が散乱されてしまい、青色レーザーの小スポット化の効果が減少してしまうことがわかった。
【0075】
【発明の効果】
上述したように、本発明によって、表面層による画像劣化が無く、高耐久、高精細で光散乱等の光損失の影響のない画像を得ることができる画像形成装置を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す電子写真感光体の模式図である。
【図2】(a)表面保護層によるスポット形状の観察系を示す図である。
(b)表面保護層による反射光量の測定計を示す図である。
【図3】比較例1の(a)入射スポットと(b)反射スポットの観察結果を示す図である。
Claims (3)
- 感光層を有する像担持上に形成された画像を被記録媒体に転写して画像を形成する画像形成装置において、該像担持体に対して画像記録を行う露光手段に発振波長360〜510nmの青色系レーザーを用いており、該像担持体の最表層が最表層−感光層間での反射防止機能を備えた表面保護層であることを特徴とする画像形成装置。
- 像形成手段に用いられる青色系レーザーが青色半導体レーザーである請求項1に記載の画像形成装置。
- 像担持体において感光層の屈折率をn1、最表層の屈折率をn2とした場合に、両者の間に
1<n2≦n1
なる関係が成り立つ像担持体を用いる請求項1又は2に記載の画像形成装置。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050209 |
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A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20050811 |