JP2004149679A - 生分解性を有する多孔性フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

生分解性を有する多孔性フィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】柔軟性に優れ、しかも透湿性、通気性に優れ、機械的特性や多孔性等の径時変化の小さい生分解性を有する多孔性フィルム及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ポリ乳酸系重合体60〜90質量%と、脂肪族−共重合芳香族ポリエステル5〜40質量%と、可塑剤1〜30質量%の合わせて100質量部の樹脂成分に対し、微粉状充填剤が30〜150質量部の範囲で配合された混合物からなるフィルムである。また、微粉状充填剤と樹脂成分との界面剥離による空孔が形成され、その空孔率は10%以上である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は生分解性を有する多孔性フィルムおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポリオレフィン系樹脂等に有機または無機の非相容物質を特定の割合で配合した後、溶融製膜し、次いで、延伸加工して、樹脂と非相容物質との界面剥離により多数の空孔を形成させた多孔性フィルムが知られている。このような多孔性フィルムは、主として使い捨て紙オムツなどの衛生材料の防漏フィルムや包装材料等として使用され、一般的には使用した後に直ちに廃棄される。
【0003】
しかし、ポリオレフィン系樹脂等から形成された多孔性フィルムは、自然環境下で加水分解しないか、または加水分解速度が極めて低いため、その使用後に埋設処理すると、半永久的に地中に残存することとなる。また、海洋投棄すると、景観を損なったり海洋生物の生活環境を破壊したりする。焼却処理した場合でも、有害ガスを発生したり炉を傷めたりすることがあり、消費の拡大と共に廃棄物の処理が社会問題となっている。
【0004】
これに対し、自然環境下で加水分解される多孔性フィルムとして、特許文献1には、ポリ乳酸または乳酸−ヒドロキシカルボン酸コポリマー80〜100質量%および可塑剤0〜20質量%を含むポリ乳酸系樹脂組成物100重量部に対し、平均粒径が0.3〜4μmの微粉状充填材40〜250質量部を添加した混合物を溶融製膜した後、少なくとも1軸方向に1.1倍以上延伸してなる多孔性フィルムが開示されている。また、特許文献2には、ポリ乳酸または乳酸−ヒドロキシカルボン酸コポリマーに、アセチルクエン酸トリエチルおよびアセチルクエン酸トリブチルから選ばれた可塑剤5〜20質量%を含むポリ乳酸系樹脂組成物を少なくとも1軸方向に1.1〜10倍延伸することを特徴とする多孔性フィルムが開示されている。
【0005】
これらの乳酸系ポリマーは、石油のように循環使用できない原料からではなく、コーンスターチやコーンシロップのように自然界で循環可能な、かつ安価な原料を発酵して得られる乳酸を基本原料として得られるものであり、使用後は、加水分解とそれに引き続く酵素分解によって水と炭酸ガスとなって、再び植物中に取り込まれ利用される、環境負荷のない材料として注目すべきものである。
【0006】
しかしながら、乳酸系ポリマーは柔軟性に欠けており、多孔性フィルムにすることは困難である。そのため、乳酸系ポリマーを多孔性のフィルムとする際には、上記のように可塑剤を添加することで、フィルムの柔軟化が図られている。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−247245号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平8−27296号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの乳酸系ポリマーに可塑剤を添加しただけのフィルムは、それに見合っただけの柔軟性しか得られず、上述の使い捨て紙オムツなどの衛生材料の防漏フィルムや包装材料等の分野においてさらなる柔軟性が要求される場合には、いまだ不十分である。
【0010】
そこで本発明は、このような問題点を解決して、特に柔軟性に優れ、しかも透湿性、通気性にも優れ、機械的特性や多孔性等の経時的変化の小さい、生分解性を有する多孔性フィルムおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に至ったものである。すなわち本発明は、ポリ乳酸系重合体60〜90質量%と、脂肪族−芳香族共重合ポリエステル5〜35質量%と、可塑剤1〜30質量%との合わせて100質量部の樹脂成分に対し、微粉状充填材が30〜150質量部の範囲で配合された混合物にて形成され、前記微粉状充填材と樹脂成分との界面剥離による空孔が形成され、その空孔率が10%以上であることを特徴とする生分解性を有する多孔性フィルムを要旨とするものである。
【0012】
また本発明は、ポリ乳酸系重合体60〜90質量%と、脂肪族−芳香族共重合ポリエステル5〜35質量%と、可塑剤1〜30質量%との合わせて100質量部の樹脂成分に対し、微粉状充填材が30〜150質量部の範囲で配合された混合物を溶融製膜し、縦延伸倍率と横延伸倍率とがそれぞれ2.0倍以上5.0倍以下となるように2軸延伸してフィルム化することを特徴とする生分解性を有する多孔性フィルムの製造方法を要旨とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の生分解性を有する多孔性フィルムは、ポリ乳酸系重合体60〜90質量%と、脂肪族−芳香族共重合ポリエステル5〜35質量%と、可塑剤1〜30質量%との合わせて100質量部の樹脂成分に対し、微粉状充填材が30〜150質量部の範囲で配合された混合物にて形成される必要がある。
【0014】
上記のポリ乳酸系重合体は室温では硬くて脆いという性質を有するため、ポリ乳酸の改質樹脂として脂肪族−芳香族共重合ポリエステルを上記の割合で配合し、かつ可塑剤を上記の割合で配合することで、フィルムに柔軟性を付与できる。また、微粉状充填材を上記の割合で配合したうえで、前記混合物を溶融製膜した未延伸フィルムに延伸処理を施してフィルム化することで、この延伸に基づく微粉状充填材と樹脂成分との界面剥離による空孔が形成される。本発明では、後述の測定方法により求めた空孔率が10%以上となるように、この空孔を形成する必要がある。このような空孔率を有することでフィルムに優れた透湿性や通気性を付与できるが、実使用に適した透湿性や通気性を考慮すると、空孔率は20%以上あることが好ましい。ただし、空孔率が80%を越えると、フィルム自体が脆くなってしまい実使用に適さなくなるため、空孔率は高々70%であることが好ましい。
【0015】
このような空孔率を有する多孔性フィルムとするには、ベースポリマーの柔軟特性が必要である。このために、ポリ乳酸系重合体と脂肪族−芳香族共重合ポリエステルと可塑剤との配合割合は、質量比(質量%)で、ポリ乳酸系重合体60〜90質量%、脂肪族−芳香族共重合ポリエステル5〜35質量%、可塑剤1〜30質量%の範囲としなければならない。脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの含有量が5質量%よりも少ないと、柔軟性に劣るフィルムとなり、また脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの含有量が35質量%より多いと、フィルムの耐熱性が低下することに加え、フィルムに粘着性が増してブロッキングを起こすため、実使用に適さないものとなる。また可塑剤の含有量が1質量%未満では、可塑剤の効果が不充分なため、得られるフィルムに優れた柔軟性を付与することができない。一方、可塑剤の含有量が30質量%を越えると、可塑剤のブリードアウトが生じてフィルム間のブロッキング現象が起こってしまう。なお、このような割合で脂肪族−芳香族共重合ポリエステルと可塑剤とを含有させるために、ポリ乳酸系重合体の含有量は、上記のように60〜90質量%であることが必要である。これが90質量%を越えると脂肪族−芳香族共重合ポリエステルと可塑剤とを所要量含有させることができなくなる。ポリ乳酸系重合体の含有量が60質量%を下回ると、所要の生分解性能を達成できなくなる。
【0016】
上記の配合割合にて配合されたポリ乳酸系重合体と脂肪族−芳香族共重合ポリエステルと可塑剤との合わせて100質量部には、微粉状充填材を配合する必要がある。微粉状充填材はフィルムの空孔率に影響を与えるものであるが、あまりに多く配合すると多孔性は十分なものとなるもののフィルム自体が脆くなって実使用に適さなくなり、さらに過剰に配合すると延伸が不可能となるため、その配合割合は、延伸倍率等を考慮して適切な領域を見出す必要がある。本発明においては、ポリ乳酸系重合体と脂肪族−芳香族共重合ポリエステル可塑剤との合わせて100質量部に対し30〜150質量部の範囲である必要がある。微粉状充填材の配合割合が30質量部未満であると、フィルム化する際の多孔化が不充分となって通気性や透湿性に劣るものとなり、微粉状充填材の配合割合が150質量部を越えると、溶融押出性や成形性や延伸性が低下する。なお、本発明における多孔性フィルムの脆さとは、ASTM−D882に記載の方法に準じて測定されたフィルムのTD方向の引張破断伸度により評価されるものであり、引張破断伸度が20%以上あるものが実使用に適しており、引張破断伸度が30%以上あるものがより好ましい。
【0017】
このように本発明の生分解性を有する多孔性フィルムは、ポリ乳酸に脂肪族−芳香族共重合ポリエステルを改質樹脂として配合するとともに可塑剤を配合することで優れた柔軟性が得られ、またこの柔軟化されたベースポリマーに微粉状充填材を配合して延伸処理を施すことにより多孔性が発現して透湿性と通気性に優れた、生分解性を有する多孔性フィルムが得られる。
【0018】
本発明におけるポリ乳酸系重合体としては、ポリ乳酸または乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体が使用できる。具体的には、ポリ(D−乳酸)とポリ(L−乳酸)と、D−乳酸とL−乳酸との共重合体と、D−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体あるいはL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体と、D−乳酸とL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体とから選ばれるいずれかの重合体、あるいはこれらのブレンド体が挙げられる。コモノマーとして用いられるヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、ヒドロキシ酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸等が挙げられる。
【0019】
好ましいポリ乳酸の分子構造は、L−乳酸またはD−乳酸のいずれかの単位85〜100モル%およびそれぞれの対掌体の乳酸単位0〜15モル%からなるものであり、さらに好ましくはL−乳酸またはD−乳酸のいずれかの単位85〜98モル%およびそれぞれの対掌体の乳酸単位2〜15モル%からなるものである。また、乳酸とヒドロキシカルボン酸とのコポリマーは、L−乳酸またはD−乳酸のいずれかの単位85〜100モル%およびヒドロキシカルボン酸単位0〜15モル%からなるものであり、より好ましくはL−乳酸またはD−乳酸のいずれかの単位85〜98モル%とヒドロキシカルボン酸単位2〜15モル%からなるものである。好ましいヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、ヒドロキシカプロン酸が挙げられる。
【0020】
これらの乳酸系ポリマーは、L−乳酸、D−乳酸およびヒドロキシカルボン酸の中から必要とする構造のものを選んで原料とし、脱水重縮合することにより得ることができる。好ましくは、乳酸の環状二量体であるラクチド、グリコール酸の環状二量体であるグリコリドおよびカプロラクトン等から必要とする構造のものを選んで開環重合することにより得ることができる。
【0021】
ラクチドには、L−乳酸の環状二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の環状二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸とが環状二量化したメソ−ラクチドおよびD−ラクチドとL−ラクチドとのラセミ混合物であるDL−ラクチドがある。本発明ではいずれのラクチドも用いることができるが、主原料は、D−ラクチドまたはL−ラクチドであることが好ましい。
【0022】
本発明においては、ポリ乳酸系重合体の共重合組成物および分子量を必要に応じて適宜調整することが重要である。ポリ乳酸系重合体として共重合体を用いる場合には、使用される主モノマーとしてはL−またはD−乳酸が挙げられる。また、これと共重合されるモノマーとしては、上述のように、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対してはD−乳酸、D−乳酸に対してはL−乳酸)、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸、カプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類等が挙げられる。
【0023】
上記のポリ乳酸系重合体の重量平均分子量は、5万以上であるのが好ましく、8万以上であるのがより好ましい。重量平均分子量が5万未満であると、得られるフィルムが機械的物性に劣ったものとなる。
【0024】
本発明における脂肪族−芳香族共重合ポリエステルは、ポリ乳酸系重合体に柔軟性を付与するために改質樹脂として働くものである。
本発明における脂肪族−芳香族共重合ポリエステルは、脂肪族成分および芳香族成分を有するものであればよく、例えば、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシカプロン酸等のヒドロキシカプロン酸類、カプロラクトン、ブチロラクトン、ラクチド、グリコリド等の環状ラクトン類、エチレングリコール、ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビス−ヒドロキシメチルベンゼン、トルエンジオール等のジオール類、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸類、環状酸無水物類、オキシラン類を成分とし、脂肪族成分と芳香族成分を有する共重合体等が挙げられる。中でも、脂肪族成分として1,4−ブタンジオールとアジピン酸、芳香族成分としてテレフタル酸を有する共重合ポリエステルが好ましい。また、生分解性に影響を与えない範囲で、ウレタン結合、アミド結合、エーテル結合等を導入することもできる。これらの脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの重合方法としては、特に限定されるものでないが、例えば、縮合重合法、開環重合法等が適用できる。また、重合時もしくは重合直後に他の重合体、モノマー、オリゴマー成分等の1種以上の副成分を加え、さらに重合を進める方法も可能である。
【0025】
上記のように構成された脂肪族−芳香族共重合ポリエステルは、その重量平均分子量が2万以上であることが好ましく、5万〜30万の高分子量であるものがより好ましい。重量平均分子量が2万より小さいと、フィルムの機械的特性が劣ったものとなる。
【0026】
本発明においては、優れた柔軟性を付与する目的で、脂肪族−芳香族共重合ポリエステル以外に、可塑剤を添加する。可塑剤は、主成分であるポリ乳酸と相容性が良好であることが好ましい。このような可塑剤としては、脂肪族多価カルボン酸エステル、脂肪族多価アルコールエステル、脂肪族多価アルコールエーテル、オキシ酸エステルなどが挙げられる。
【0027】
脂肪族多価カルボン酸エステルとしては、例えば、ジメチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ビスメチルジエチレングリコールアジペート、ビスブチルジエチレングリコールアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、などが挙げられる。
【0028】
脂肪族多価アルコールエステルとしては、例えば、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリアセチン、トリブチレンなどが挙げられる。
脂肪族多価アルコールエーテルとしては、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンジメチルエーテル、ポリオキシプロピレンジメチルエーテル、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
【0029】
オキシ酸エステルとしては、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、アセチルトリブチルクエン酸などが挙げられる。
上記可塑剤において、特に、ビスメチルジエチレングリコールアジペート、ビスブチルジエチレングリコールアジペート、トリアセチン、ポリオキシエチレンジメチルエーテル、ポリオキシプロピレンジメチルエーテル、アセチルトリブチルクエン酸などがポリ乳酸との相容性に優れ好適に用いられる。また、これらは一種または二種以上混合物として用いられる。
【0030】
本発明における微粉状充填材は、フィルム化する際の製膜性や延伸性に寄与するだけでなく、多孔性の発現にも寄与するものである。すなわち、ポリ乳酸と改質樹脂と可塑剤とこの微粉状充填材とを混合した混合物を延伸処理することで、この延伸に基づく微粉状充填材の表面と樹脂成分との界面剥離が生じ、それによってフィルムに多孔性が付与される。
【0031】
このような微粉状充填材としては、無機質微粉体または有機質微粉体が使用される。無機質微粉体としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、マイカ、タルク、カオリン、クレー、ガラス粉、アスベスト粉、ゼオライト、珪酸白土等が用いられ、中でも炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、タルク、シリカ、珪酸白土等が好適に使用でき、タルク、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウムから選ばれた少なくとも1種であることがより好ましい。また、有機質微粉体としては、木粉、パルプ粉等のセルロース系粉末等が用いられる。
【0032】
微粉状充填材の平均粒径は、0.3〜4μmの範囲であることが好ましい。平均粒径が0.3μm未満であると、微粉状充填材をベースポリマーに高充填できなくなりフィルムの多孔化が困難になる。また、微粉状充填材の平均粒径が4μmを越えると、フィルムの延伸性が悪くなってフィルム切れが発生することがあり、作業安定性に劣るものとなる。
【0033】
また、微粉状充填材は、上記範囲の平均粒径を有するとともにその比表面積が15m/g以下であることが好ましい。比表面積が15m/gを越えると、微粉状充填材の形状が無定型、板状、針状などとなって粒径分布が広くなり、このためフィルムの延伸性が低下し、フィルムを多孔化するための成形性が低下する。そのため、微粉状充填材の比表面積は、0.5〜5m/gの範囲にあることがより好ましい。
【0034】
本発明の生分解性を有する多孔性フィルムは、水蒸気透過度が500〜5000g/(m・d)の範囲にあることが好ましく、1000〜4000g/(m・d)の範囲にあることがより好ましい。このような多孔性にもとづく水蒸気透過度を有するものであると、野菜包装材料や濾過材料、衛生材料などのように、水蒸気やエチレンガス等の透過性を必要とする分野に好適に使用できる。水蒸気透過度が500g/(m・d)未満であると、前記のような用途に使用するには水蒸気やガス等の透過性が低すぎ、水蒸気透過度が5000g/(m・d)を越えると、孔の数や大きさが過剰となって、実質的にフィルムを安定に生産することが困難となる。
【0035】
また、生分解性を有する多孔性フィルムの100℃における縦方向(MD)の熱収縮率は、20%以下であることが好ましい。熱収縮率が20%を越えると、他の材料とのラミネート加工や印刷加工などのフィルム加工時の変形が大きくなり、最終フィルムに歪みを与えてしまう。そのため、熱収縮率は15%以下であることが好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。
【0036】
なお、本発明の生分解性を有する多孔性フィルムは、生分解性を有するとともに、ある期間はフィルムの物性が比較的安定であることが好ましい。従って、実用的には、高温、高湿度下で貯蔵される場合を想定して40℃、80%RH雰囲気下での環境で貯蔵されたフィルムの強度保持率は、75%以上であることが好ましい。ここにいう強度保持率とは、ASTM−882に記載の方法に準じて測定したものをいう。
【0037】
本発明の多孔性フィルムには、用途に応じて紫外線防止剤、光安定剤、防曇剤、防露剤、耐電防止剤、難燃剤、着色防止剤、酸化防止剤、顔料、など上記以外の添加剤も添加できる。
【0038】
次に、本発明の生分解性を有する多孔性フィルムの製造方法を説明する。
ポリ乳酸系重合体と、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルと、可塑剤と、微粉状充填材とを構成成分とする混合物は溶融製膜され、縦延伸倍率と横延伸倍率とがそれぞれ2.0倍以上、5.0倍以下となるように同時または逐次2軸延伸されてフィルム化される。なお、縦延伸に引き続き横延伸を行う逐次2軸延伸では、多量の微粉状充填材を含む場合にはフィルムを横延伸する際にフィルムの切断が発生しやすくなるため、同時2軸延伸の方が好ましい。また同時2軸延伸を行う際には、予め、縦延伸倍率が0.5倍以上、3.0倍以下となるように予備延伸を行うと、多孔化の点から好ましい。
【0039】
具体的には、ポリ乳酸と脂肪族−芳香族共重合ポリエステルと可塑剤とを所定の割合で配合し、さらに本発明の配合割合となるように微粉状充填材を加えて、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラー型混合機等を用いて常温にて5〜30分程度混合し、その後、通常の1軸または2軸スクリュー押し出し機によって混練し、ペレット化する。この際、液注ポンプにて、可塑剤を所定量注入することもできる。次いで、得られたペレットをTダイ成型機を用いて製膜する。あるいは、ペレット化せず直接押し出し機で製膜することも可能である。
【0040】
押し出し機にて溶融混練されたポリマーは、そのまま口金より押し出されて直接フィルム化される方法、あるいはストランド形状に押し出されてペレット化された後、再度、押し出し機により押し出しされてフィルム化される方法のいずれかによりフィルム化される。いずれの方法によっても、分解による分子量の低下を考慮しなければならないが、各ポリマーを均一に混合させるには後者の方法を選択する方がよい。後者の方法を選択する場合には、ポリ乳酸系重合体と、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルと可塑剤とは十分に乾燥され、水分を除去した後に、押し出し機にて溶融される。ポリ乳酸系重合体はL−乳酸構造とD−乳酸構造の組成比によって融点が変化するため、押し出し機中におけるポリマーの溶融温度は、その他の添加樹脂の融点と混合の割合を考慮して適宜選択され、通常は、100〜250℃の温度範囲が選ばれる。
【0041】
また、溶融した樹脂の押し出し温度は、100〜270℃の範囲にあることが好ましい。押し出し温度が100℃未満であると、押し出し安定性が得難くなるだけでなく過負荷に陥りやすくなり、押し出し温度が270℃を越えると、ポリマーの分解が激しくなる。
【0042】
押し出し機のダイは、線状のスリットを有するものが好適に使用でき、ダイの温度は押し出し温度の範囲と同じ程度でよい。上記ダイによりシート状に押し出されたポリ乳酸系重合体の溶融シートは、表面温度が10〜40℃の間に制御されたキャストロール表面に、エアーナイフ法等によって押しつけられ、未延伸フィルムとなる。未延伸フィルムには上述のように同時または逐次2軸延伸処理が施される。同時2軸延伸に先立つ予備延伸は、上記の未延伸シートをロール式の縦1軸延伸機に導き、ポリマーのガラス転移温度以上で縦方向に1.05倍以上3.0倍以下の延伸倍率となるように1軸延伸して行われる。縦延伸倍率が3.0倍を越えると、続く2軸延伸工程での延伸性に劣るものとなる。
【0043】
2軸延伸処理は、縦延伸倍率と横延伸倍率とがそれぞれ2.0倍以上5.0倍以下となるように施される。延伸倍率が縦方向および横方向についてそれぞれ2倍未満であると、フィルムの多孔化が不充分となり10%以上の空孔率が得られず、また5倍を越えるとフィルムの破れが多発する。
【0044】
上記の延伸処理は、延伸温度をポリ乳酸系重合体のガラス転移温度(Tg)〜Tg+70℃の範囲として行うのが好ましい。2軸延伸を行った後は、孔の形態安定性を増すとともに100℃での縦方向の熱収縮率が20%以下となるように、熱固定が行われる。熱固定は、延伸後、熱風を吹き付ける方法、赤外線を照射する方法、マイクロ波を照射する方法、加熱されたロール面上を接触走行させる方法が好ましく、70〜170℃の範囲で3秒以上熱処理する。
【0045】
上記のように製造される生分解性を有する多孔性フィルムの厚さは、用途によって異なるが、一般的には10〜100μm程度である。
【0046】
【実施例】
次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例、比較例における各種物性の測定は以下の方法により実施した。
【0047】
(1)フィルム厚み(μm):ハイデンハイン社製のマイクロメーターを用いて測定した。
【0048】
(2)延伸性:予熱温度70℃、延伸温度85℃、延伸倍率3×3.3倍、延伸速度20m/分という条件のもとで5分間以上延伸が継続したものを良好とし、1分以上継続したが5分以内に延伸切断が発生したものをやや不良とし、1分未満で切断したものを不良とした。
【0049】
(3)空孔率(%):測定対象の生分解性を有する多孔性フィルムを直径6cmの円状に切り抜き、その体積と質量を求め、下記式に基づいて計算した。
空孔率(%)=100×[体積(cm)−[質量(g)/ポリマー密度
(g/cm)]]/体積(cm
【0050】
(4)水蒸気透過度(g/m・d):JIS−K7129に記載の方法に準じて、40℃、90%RH雰囲気下で測定した。
【0051】
(5)柔軟性:東洋精機製作所社製のフィルム衝撃試験器を用い、測定温度23℃、50%RHの雰囲気中で振り子容量30kg・cm、12.7mmの衝撃頭を用いて、実施例、比較例で得られたフィルムの衝撃強度を測定して、柔軟性の指標とした。具体的には衝撃強度の値が0.1J未満のものを柔軟性不良として×で評価し、0.1〜0.15Jのものを柔軟性やや劣るとして△で評価し、0.15を越えるものを柔軟性良好として○で評価した。
【0052】
(6)熱収縮率(%):得られたフィルムを80℃の熱風乾燥機中で10分間放置し、熱風処理前後のフィルムの寸法変化を測定し、下記式にもとづいて計算した。
熱収縮率(%)=(処理前の寸法−処理後の寸法)/処理前の寸法×100
【0053】
(7)強度保持率(%):試験片を40℃、70%RHの環境試験室に2ヶ月間放置した後、ASTM−D882に記載の方法に準じて引張り強度を測定し、引張り強度の保持率が80%以上あるものを良とし、80%未満であるものを不可とした。
【0054】
実施例1
ポリ乳酸系重合体として融点が167℃、D−乳酸含有量が1.2モル%、重量平均分子量が195000のポリ乳酸(カーギル・ダウ社製、ネイチャーワークス)を用い、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとして、BASF社製、エコフレックス(ガラス転移温度、−35℃)を用いた。そして、このポリ乳酸65質量%と、脂肪族−芳香族共重合ポリエステル25質量%と、可塑剤としてアセチルトリブチルクエン酸(ATBC)10質量%との合わせて100質量部に対し、微粉状充填材として平均粒径が1.0μmのタルクを50質量部配合しマスターバッチを作成した。
【0055】
このマスターバッチを、50mmφの口径を有する押し出し機で210℃で溶融し、幅400mmのTダイにてシート状に押し出し、同時に表面温度が15℃のキャストロールで10m/分の引き取り速度で急冷固化して未延伸シートを作成した。ポリマーの押し出し量は、後述の延伸倍率を考慮して、フィルム厚みが最終的に30μmとなるように調整した。
【0056】
この未延伸シートを倍率可変型の同時2軸延伸機に供給して、温度85℃で縦(MD)方向に3.0倍、横(TD)方向に3.3倍の延伸倍率となるように同時2軸延伸を行い、また130℃で熱処理を行い、リラックス率を5%として、生分解性を有する多孔性フィルムを作成した。得られたフィルムの組成を表1に示し、その物性を表2に示す。
【0057】
【表1】
Figure 2004149679
【0058】
【表2】
Figure 2004149679
【0059】
実施例2
ポリ乳酸としてのネイチャーワークス70質量%と、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとしてのエコフレックス20質量%と、可塑剤としてATBC10質量%との合わせて100質量部に対し、タルクを50質量部配合しマスターバッチを作成した。そして、それ以外は実施例1と同様にして製膜、延伸を行い、厚さ30μmの生分解性を有する多孔性フィルムを作成した。得られたフィルムの組成を表1に示し、その物性を表2に示す。
【0060】
実施例3
ポリ乳酸としてのネイチャーワークス85質量%と、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとしてのエコフレックス5質量%と、可塑剤としてのATBC10質量%との合わせて100質量部に対し、タルクを50質量部配合しマスターバッチを作成した。そして、それ以外は実施例1と同様にして製膜、延伸を行い、厚さ30μmの生分解性を有する多孔性フィルムを作成した。得られたフィルムの組成を表1に示し、その物性を表2に示す。
【0061】
実施例4
ポリ乳酸としてのネイチャーワークス60質量%と、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとしてのエコフレックス35質量%と、可塑剤としてのATBC5質量%との合わせて100質量部に対し、タルクを50質量部配合しマスターバッチを作成した。そして、それ以外は実施例1と同様にして製膜、延伸を行い厚さ30μmの生分解性を有する多孔性フィルムを作成した。得られたフィルムの組成を表1に示し、物性を表2に示す。
【0062】
実施例5
ポリ乳酸としてのネイチャーワークス80質量%と、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとしてのエコフレックス18質量%と、可塑剤としてのATBC2質量%との合わせて100質量部に対し、タルクを50質量部配合してマスターバッチを作成した。そして、それ以外は実施例1と同様にして製膜、延伸を行い、厚さ30μmの生分解性を有する多孔性フィルムを作成した。得られたフィルムの組成を表1に示し、その物性を表2に示す。
【0063】
実施例6
ポリ乳酸としてのネイチャーワークス65質量%と、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとしてのエコフレックス10質量%と、可塑剤としてのATBCを25質量%との合わせて100質量部に対し、タルクを50質量部配合してマスターバッチを作成した。そして、それ以外は実施例1と同様にして製膜、延伸を行い、厚さ30μmの生分解性を有する多孔性フィルムを作成した。得られたフィルムの組成を表1に示し、その物性を表2に示す。
【0064】
実施例7
ポリ乳酸としてのネイチャーワークス70質量%と、エコフレックス20質量%と、可塑剤としてのジブチルジグリコールアジペート(BXA)10質量%との合わせて100質量部に対し、タルクを50質量部配合してマスターバッチを作成した。そして、それ以外は実施例1と同様にして製膜、延伸を行い、厚さ30μmの生分解性を有する多孔性フィルムを作成した。得られたフィルムの組成を表1に示し、その物性を表2に示す。
【0065】
実施例8
ポリ乳酸としてのネイチャーワークス70質量%と、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとしてのエコフレックス20質量%と、可塑剤としてのATBC10質量%との合わせて100質量部に対し、微粉状充填材として平均粒径が1.0μmのシリカを50質量部配合してマスターバッチを作成した。そして、それ以外は実施例1と同様にして製膜、延伸を行い、厚さ30μmの生分解性を有する多孔性フィルムを作成した。得られたフィルムの組成を表1に示し、その物性を表2に示す。
【0066】
実施例9
ポリ乳酸としてのネイチャーワークス70質量%と、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとしてのエコフレックス20質量%と、可塑剤としてのATBC10質量%との合わせて100質量部に対し、タルクを30質量部配合してマスターバッチを作成した。そして、それ以外は実施例1と同様にして製膜、延伸を行い、厚さ30μmの生分解性を有する多孔性フィルムを作成した。得られたフィルムの組成を表1に示し、その物性を表2に示す。
【0067】
実施例10
ポリ乳酸としてのネイチャーワークス70質量%と、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとしてのエコフレックス20質量%と、可塑剤としてのATBC10質量%との合わせて100質量部に対し、タルクを120質量部配合してマスターバッチを作成した。そして、それ以外は実施例1と同様にして製膜、延伸を行い、厚さ30μmの生分解性を有する多孔性フィルムを作成した。得られたフィルムの組成を表1に示し、その物性を表2に示す。
【0068】
比較例1
ポリ乳酸の配合割合を、本発明の範囲よりも少なくした。すなわち、ポリ乳酸としてのネイチャーワークス55質量%と、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとしてのエコフレックス30質量%と、可塑剤としてのATBC15質量%との合わせて100質量部に対し、タルクを50質量部配合してマスターバッチを作成した。そして、それ以外は実施例1と同様にして製膜、延伸を行い、厚さ30μmの生分解性を有する多孔性フィルムを作成した。得られたフィルムの組成を表1に示し、その物性を表2に示す。
【0069】
比較例2
ポリ乳酸の配合割合を、本発明の範囲よりも多くした。すなわち、ポリ乳酸としてのネイチャーワークス94質量%と、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとしてのエコフレックス5質量%と、可塑剤としてのATBC1質量%との合わせて100質量部に対し、タルクを50質量部配合してマスターバッチを作成した。そして、それ以外は実施例1と同様にして製膜、延伸を行い、厚さ30μmの生分解性を有する多孔性フィルムを作成した。得られたフィルムの組成を表1に示し、その物性を表2に示す。
【0070】
比較例3
脂肪族−芳香族共重合ポリエステルは用いずに、ポリ乳酸としてのネイチャーワークス85質量%と、可塑剤としてのATBC15質量%との合わせて100質量部に対し、タルクを50質量部配合しマスターバッチを作成した。そして、それ以外は実施例1と同様にして製膜、延伸を行い、厚さ30μmの生分解性を有する多孔性フィルムを作成した、得られたフィルムの組成を表1に示し、その物性を表2に示す。
【0071】
比較例4
脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの配合割合を、本発明の範囲より多くした。すなわち、ポリ乳酸としてのネイチャーワークス40質量%と、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとしてのエコフレックス50質量%と、可塑剤としてのATBC10質量%との、合わせて100質量部に対し、タルクを50質量部配合してマスターバッチを作成した。そして、それ以外は実施例1と同様にして製膜、延伸を行い、厚さ30μmの生分解性を有する多孔性フィルムを作成した。得られたフィルムの組成を表1に示し、その物性を表2に示す。
【0072】
比較例5
可塑剤は用いずに、ポリ乳酸としてのネイチャーワークス80質量%と、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとしてのエコフレックス20質量%との合わせて100質量部に対し、タルクを50質量部配合してマスターバッチを作成した。そして、それ以外は実施例1と同様にして製膜、延伸を行い、厚さ30μmの生分解性を有する多孔性フィルムを作成した。得られたフィルムの組成を表1に示し、その物性を表2に示す。
【0073】
比較例6
可塑剤の配合割合を、本発明の範囲よりも多くした。すなわち、ポリ乳酸としてのネイチャーワークス60質量%と、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとしてのエコフレックス5質量%と可塑剤としてのATBC35質量%との合わせて100質量部に対し、タルクを50質量部配合してマスターバッチを作成した。そして、それ以外は実施例1と同様にして製膜、延伸を行い、厚さ30μmの生分解性を有する多孔性フィルムを作成した。得られたフィルムの組成を表1に示し、その物性を表2に示す。
【0074】
比較例7
微粉状充填材の配合割合を、本発明の範囲よりも少なくした。すなわち、ポリ乳酸としてのネイチャーワークス70質量%と、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとしてのエコフレックス20質量%と、可塑剤としてのATBC10質量%との合わせて100質量部に対し、タルクを20質量部配合してマスターバッチを作成した。そして、それ以外は実施例1と同様にして製膜、延伸を行い、厚さ30μmの生分解性を有する多孔性フィルムを作成した。得られたフィルムの組成を表1に示し、その物性を表2に示す。
【0075】
比較例8
微粉状充填材の配合割合を、本発明の範囲よりも多くした。すなわち、ポリ乳酸としてのネイチャーワークス70質量%と、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとしてのエコフレックス20質量%と、可塑剤としてのATBC10質量%との合わせて100質量部に対し、タルクを200質量部配合してマスターバッチを作成した。そして、それ以外は実施例1と同様にして製膜、延伸を行い、厚さ30μmの生分解性を有する多孔性フィルムを作成した。得られたフィルムの組成を表1に示し、その物性を表2に示す。
【0076】
実施例1〜10のフィルムは、いずれも本発明で規定されるものであったため、柔軟性にすぐれ、水蒸気透過度が良好であるために透湿性や通気性にもすぐれ、また、強度保持率にも優れたものであった。
【0077】
比較例1のフィルムは、ポリ乳酸の配合割合が本発明の範囲に満たなかったため、強度保持率に劣るものであった。
比較例2のフィルムは、ポリ乳酸の配合割合が本発明の範囲よりも多かったため、やや柔軟性に劣るものであった。
【0078】
比較例3のフィルムは、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルを用いなかったため、柔軟性に劣るものであった。また製造時の延伸性もやや不良であった。
比較例4のフィルムは、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルが本発明の範囲より多かったため、強度保持率に劣るものであった。
【0079】
比較例5のフィルムは、可塑剤を用いなかったため、やや柔軟性に劣るものであった。
比較例6のフィルムは、可塑剤の配合割合が本発明の範囲より多かったため、やや強度保持率に劣るものであった。また可塑剤のブリードアウトによりフィルムはややブロッキング気味であった。
【0080】
比較例7のフィルムは、タルクの配合割合が本発明の範囲に満たなかったため、穿孔率が小さく、その結果、通気性に劣るものであった。
比較例8のフィルムは、本発明の範囲に比べてタルクを過剰に配合しすぎたため、フィルム自体が脆くなり、そのため非常に延伸性が悪く、延伸フィルムを得ることは不可能であった。
【0081】
【発明の効果】
本発明の生分解性を有する多孔性フィルムは、ポリ乳酸系重合体と、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルと、可塑剤と、微粉状充填材とを所定の割合にて配合した混合物からなり、微粉状充填材と樹脂成分との界面剥離により形成された空孔の空孔率が10%以上となるように延伸処理が施されてなることで、生分解性を有するとともに、きわめて優れた柔軟性を有し、しかも透湿性と通気性を兼ね備えた生分解性を有する多孔性フィルムが実現できる。
【0082】
従って、本発明の生分解性を有する多孔性フィルムは、包装材料や、濾過材料、衛生材料等のように、その使用期間がある程度長期にわたるものであっても好適に使用できる。
【0083】
また、本発明の生分解性を有する多孔性フィルムの製造方法は、ポリ乳酸系重合体と、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルと、可塑剤と、微粉状充填材とを所定の割合にて配合した混合物を溶融製膜し、縦延伸倍率と横延伸倍率とがそれぞれ2.0倍以上、5.0倍以下となるように2軸延伸することで、延伸時におけるフィルム切れを低減でき、生産性の向上が図れ、本発明の生分解性を有する多孔性フィルムを容易に作成できる。

Claims (5)

  1. ポリ乳酸系重合体60〜90質量%と、脂肪族−芳香族共重合ポリエステル5〜35質量%と、可塑剤1〜30質量%との合わせて100質量部の樹脂成分に対し、微粉状充填材が30〜150質量部の範囲で配合された混合物にて形成され、前記微粉状充填材と樹脂成分との界面剥離による空孔が形成され、その空孔率が10%以上であることを特徴とする生分解性を有する多孔性フィルム。
  2. 微粉状充填材の平均粒径が0.3〜4μmであることを特徴とする請求項1記載の生分解性を有する多孔性フィルム。
  3. 水蒸気透過度が500〜5000g/(m・d)であることを特徴とする請求項1または2記載の生分解性を有する多孔性フィルム。
  4. 微粉状充填材が、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載の生分解性を有する多孔性フィルム。
  5. ポリ乳酸系重合体60〜90質量%と、脂肪族−芳香族共重合ポリエステル5〜35質量%と、可塑剤1〜30質量%との合わせて100質量部の樹脂成分に対し、微粉状充填材が30〜150質量部の範囲で配合された混合物を溶融製膜し、縦延伸倍率と横延伸倍率とがそれぞれ2.0倍以上5.0倍以下となるように2軸延伸してフィルム化することを特徴とする生分解性を有する多孔性フィルムの製造方法。
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