JP2004146331A - 電球形蛍光ランプおよび照明器具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発光管突出部を口金側に向けて突出させた一部に発光効率が最大となる水銀蒸気圧を有する温度にすることが可能となる。その結果、従来の水銀蒸気圧が低いアマルガムを使用した場合に比べて、点灯直後の光束立上り特性が向上し、点灯中の発光効率が低下することも抑えられる。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光束立上り特性を改善した電球形蛍光ランプおよび照明器具に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電球形蛍光ランプは一般白熱電球に相当する程度にまで小形化され、一般白熱電球用器具の光源を電球形蛍光ランプに置換えるという需要が促進されてきている。
【0003】
この電球形蛍光ランプは、ランプ技術および点灯回路技術の発展によりランプ効率も向上してきている。しかし、電球形蛍光ランプの小形化に伴って本体の表面積が小さくなっているため、発光管の発熱量が過度に多くない場合であっても、発光管の温度は高くなる傾向にある。特に、一般白熱電球に類似した外観とするために発光管をグローブで覆った形態の電球形蛍光ランプは、発光管の温度が100℃を超えてしまうことがある。発光管に純水銀を封入した場合には発光管内の水銀蒸気圧が過度に上昇して光出力が低下する。このため、高温環境下で点灯する蛍光ランプの場合には、インジウム(In)、鉛(Pb)、錫(Sn)およびビスマス(Bi)などと水銀(Hg)との合金であるアマルガムを発光管に封入して水銀蒸気圧が最適となるよう制御し、発光効率を向上させる技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
このようにアマルガムが使用された発光管は、点灯開始から所定の光束が出力されるまでの時間は長く、いわゆる光束立上り特性が悪いという欠点がある。これは、点灯前の発光管が室温程度の低温状態の場合には、点灯開始直後はアマルガム制御によって水銀蒸気圧が低下しているため暗く、発光管の温度が上昇するに従って水銀蒸気圧が上昇し、徐々に明るくなるように点灯するためである。この光束立上り特性を改善する方法として、フィラメント電極の近傍などにインジウム(In)などからなる補助アマルガムを設け、点灯開始直後の水銀蒸気不足を補う技術が提案されている(例えば特許文献2ないし4参照)。
【0005】
一方、水銀蒸気圧を制御するアマルガムを使用することなく光束立上り特性を改善するために、発光管の一部に最冷部を設けた電球形蛍光ランプも知られている(例えば特許文献5参照)。この従来技術は、発光管の一部に最冷部を設けることで、アマルガムを使用する必要がなくなり、消灯時の低温状態においても管内の水銀蒸気圧を高く保つことができるものである。すなわち、ほぼ密閉した状態で外囲器内に点灯装置および発光管を収容するため、外囲器の内部温度は上昇するが、一定の温度以上に高温にならないように、外囲器内空間を仕切板により点灯装置側空間と、発光管側空間に区分している。さらに、発光管端部に封着された排気管を点灯装置側空間に5〜20mm延出させることにより排気管が通常点灯時に比較的低温となり、この部分に最冷部を設けることが可能となる。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−243913号
【0007】
【特許文献2】
特開昭60−146444号
【0008】
【特許文献3】
特開平11−233065号
【0009】
【特許文献4】
特許掲載第3262168号
【0010】
【特許文献5】
実開昭61−63759号
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような特許文献1ないし4のような主アマルガムと補助アマルガムとの両者をもった電球形蛍光ランプは、消灯中発光管内の水銀蒸気圧は、おおよそ数週間から数ヶ月の時間を要して、主アマルガムから補助アマルガムへと水銀が平衡状態になるまで移動を続ける。しかしながら、この間の管内水銀蒸気圧の変動はさほど大きくなく、例えば吸収法を用いた実験によれば、消灯後約10時間以後はほとんど大きな変動はない。また、この水銀蒸気圧は概ね同じ温度では高い水銀蒸気圧を与える主アマルガムの組成によって決定される(平成12年度照明学会全国大会講演予稿集、NO.7)。また、点灯に伴って電極の近傍の補助アマルガムから放出された水銀は、点灯開始から数十秒間に密度拡散によって発光管の放電路の中央方向へと拡散し、概ね数分でほぼ発光管内全域に行き渡り、所望の水銀蒸気圧が得られるか、または最適範囲を超えて蒸気圧過剰の状態になることもある。そして、概ね数十分〜1時間程度でランプ全体が熱平衡に至り、水銀は主アマルガムの温度によって制御される蒸気圧で一定となる。このとき、補助アマルガムは100℃以上、場合によっては200℃以上となっており、補助アマルガム(正確には補助アマルガムを形成していたインジウム(In)などの金属)に吸着されていた水銀は実質的にほとんど全て放出されている。
【0012】
しかしながら、補助アマルガムを備えた蛍光ランプであっても、点灯直後の水銀蒸気圧を速やかに上昇させて所望の明るさを確保することは困難であり、さらなる光束立上り特性の改善が求められている。
【0013】
また、特許文献5のように発光管の一部に最冷部を設けた電球形蛍光ランプは、更なる小形化に伴い、外囲器内の熱容量が小さくなるので、コンパクトで狭小なほぼ密閉された外囲器内を仕切板により区分した点灯装置側空間に排気管を5〜20mm程度突出させたとしても排気管の一部に最冷部を形成するのは困難である。
【0014】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、簡単な構成により光束立上り特性を改善することができる電球形蛍光ランプおよびこの電球形蛍光ランプを使用した照明器具を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を達成するための手段】
請求項1の電球形蛍光ランプは、屈曲形バルブを有する発光管と;基板およびこの基板に実装された電子部品を有し、高周波電力を発光管に出力する点灯装置と;一端側に口金が設けられ、他端側に発光管を保持する保持部を有し、電子部品の大部分が口金側に配置されるように基板を装着して点灯装置に収容したカバー体と;前記屈曲形バルブの一部の端部からカバー体内の口金側に向けて延在し、その一部の表面温度が通常点灯時に40〜70℃となる突出部と;を具備していることを特徴とするものである。
【0016】
請求項2の電球形蛍光ランプは、屈曲形バルブを有する発光管と;基板およびこの基板に実装された電子部品を有し、高周波電力を発光管に出力する点灯装置と;一端側に口金が設けられ、他端側に発光管を保持する保持部を有し、電子部品の大部分が口金側に配置されるように基板を装着して点灯装置を収容したカバー体と;屈曲形バルブの一部の端部から前記カバー体内の口金側に向けて延在し、バルブ端部から25〜70mm突出している突出部と;を具備していることを特徴とするものである。
【0017】
このような電球形蛍光ランプは、白熱電球の大きさに近づけるため、点灯装置および発光管を覆う外囲器内のスペースはさらに密閉された狭小空間となり、熱容量が小さくなるので内部温度はさらに高温になる傾向にある。このような蛍光ランプを構成する発光管の一部をカバー体の口金側に向けて延在させたとしてもその熱影響を受けやすい。
【0018】
一般に蛍光ランプは、通常点灯時の発光管内の水銀蒸気圧が1〜2.4Paであるときに、発光効率が最大となる。純水銀を封入したランプでは、この蒸気圧を得るために発光管の一部を40〜60℃とさせることにより、管内の水銀蒸気圧を最適な状態に保つことができる。しかし、点灯中高温となるような電球形蛍光ランプは、発光管の一部に40〜70℃の部分を形成させるのは困難であるため、発光管の一部を放電路から離間することで、点灯中発光管の一部の温度を40〜70℃とすることが可能となり、純水銀に近い蒸気圧特性を有するアマルガムを使用することができる。
【0019】
そこで、本発明者らは、光束立上り特性を改善するために、安定点灯時の主アマルガムの温度および発光管突出部の温度に着目して検討を進めた。
【0020】
口金が上向きの状態で点灯した電球形蛍光ランプの各部分ごとの温度を実験により測定したところ、点灯装置の主要部品が集まっている空間の温度は100℃に近いのに対して、それら主要部品よりも口金側の空間の温度は40〜50℃と比較的低くなっていることを突き止めた。これは、収納ケース内の空気がよどんでおり、カバー体内の対流があまり起こっていないため、点灯装置の主要部品よりも口金側付近は比較的温度が低くなると考えられる。ここで、点灯装置の主要部品とは、トランジスタ、インダクタ、トランス、フィルムコンデンサ、抵抗のうち、点灯動作中の発熱量が比較的多く、容積の比較的大きい回路素子を意味し、容積が大きくても比較的発熱量が少ない例えば電解コンデンサのような回路素子は含まれない。すなわち、電解コンデンサが点灯装置の主要部品よりも口金側に突出するように配置されている場合であっても、電解コンデンサの発熱量は比較的少ないため、点灯動作中の発熱量が比較的多い素子よりも口金側であれば、電解コンデンサ付近の空間の温度は比較的低くなる。
【0021】
そこで、点灯中高温となる発光管内に使用する水銀蒸気圧の高いアマルガムの封入場所および温度を検討した。
【0022】
例えば、Bi−In−Hgなどにより構成される主アマルガムを有する電球形蛍光ランプを、周囲空間温度25℃の室内において点灯させた。その時の主アマルガムの温度は、90〜130℃であるが、封入されたアマルガムより管内の水銀蒸気圧は1〜2.4Paに制御されているため、発光管内の水銀蒸気圧は最適であった。主アマルガムの温度が90〜130℃と高温になってしまっても、Bi−In系などにより形成された主アマルガムは、高温環境における安定点灯時においても、発光管内の水銀蒸気圧を最適値1Pa前後に制御することが可能となる。
【0023】
しかし、このような主アマルガムは常温(25℃)における水銀蒸気圧は、純水銀よりも水銀蒸気圧が一桁以上低い特性を有しているため、周囲温度約25℃の室内に消灯して放置した後点灯させてみると立ち上がりは良いものではなかった。これは点灯瞬時の水銀蒸気圧が0.1Pa前後であり、自己発熱によって高温雰囲気に至るまでは光束が低いためである。
【0024】
安定点灯時の主アマルガムの温度を低くできれば、主アマルガムによって水銀蒸気圧を過度に低く制御する必要がなくなり、点灯瞬時の水銀蒸気圧を高くできるので、光束立上りが改善することが可能となる。
【0025】
そこで、水銀蒸気圧が高い主アマルガムを封入するにために、発光管端部に封着された細管をカバー体内の比較的温度が低い口金側に延長させ、その低温空間に主アマルガムを位置させた電球形蛍光ランプを試作して点灯させた。その結果、点灯直後の光束立上りは良好で、かつ安定点灯時の光束も低下することのない光出力特性が得られた。
【0026】
次に、光束立上り特性および安定点灯時の光出力特性を改善する条件として、突出部の一部の温度および突出長について検討を進めた。
【0027】
蛍光ランプの光出力を最大とするため、発光管突出部が位置する空間温度が通常点灯時に40〜70℃となる最適温度空間に位置させるためには、点灯中高温となる発光管から離間させ、比較的温度の低いカバー体内の口金側に向けて延在する必要がありその突出長は25mm以上にする必要がある。その突出長が25mm以下であると点灯中高温となる蛍光ランプに近づくため、周囲温度が比較的高い空間に発光管突出部が位置することになり、その熱影響を受けやすくなる。一方、発光管突出部の突出長が70mm以上であると、カバー体の高さ方向全長よりも長くなってしまうため、カバー体内に収容することができなくなる。また、カバー体内の口金側であるカバー体の頂部近傍の内部空間の温度は、水銀蒸気圧が最適となる温度よりも低くなる可能性があり、十分な水銀蒸気圧が保たれず、発光効率が低下するおそれがある。したがって、発光管突出部の突出長は25〜70mmである必要がある。しかし点灯方向によっては、カバー体内の口金側に発光管突出部を突出させたとしても、その一部の温度が70℃を超えてしまうおそれもある。発光管突出部の一部に光出力が最大となる水銀蒸気圧特性を有する温度にするために、発光管突出部をカバー体内の口金側内壁に接触しない程度延在していることが望ましいが、最適蒸気圧となる温度を形成するために、カバー体内壁および口金に接触していても構わない。
【0028】
発光管突出部をカバー体内口金側に向けて25〜70mm延在することで、管内の水銀蒸気圧を過度に低く制御するアマルガムを使用しなくても、通常点灯時に最適な水銀蒸気圧を得るための温度を形成することができる。
【0029】
なお、点灯直後の水銀蒸気圧が純水銀または、純水銀に近い蒸気圧を有するアマルガムの使用が可能となるが、封入される水銀はこれに限定されない。さらに、発光管突出部に封入される主アマルガムは、発光管端部近傍に位置していても、口金側に延在する突出部の中間付近に位置していても構わず、その封入方法や位置決め手段なども特に限定されない。
【0030】
なお、主アマルガムを封入するにあたっては、点灯直後の水銀蒸気の拡散を補うため、通常補助アマルガムを発光管内に配置するが、この補助アマルガムは必須ではなく、点灯直後に発光管内に適度な水銀蒸気を供給可能な条件で発光管が構成されるものであれば本発明は適用可能である。
【0031】
なお、通常点灯時とは、点灯前の電球形蛍光ランプの周囲温度が25℃程度の常温において、照明器具などに覆われない状態を意味する。
【0032】
屈曲バルブは、直管状ガラスバルブのほぼ中央部を加熱溶融し、屈曲するか、またはガラスバルブをモールド成形することによってU字状に屈曲した形状に形成される。ここで、「U字状に屈曲形成された」とは、放電路が屈曲部で折り返されて放電が屈曲するようにガラスバルブが形成されていることを意味し、屈曲部が湾曲状または円弧状に形成されたものに限定されず、屈曲部が角形状や尖鋭状に形成されたものも含むという意味である。要するに、放電路が屈曲するように直線部の一端同士が連続するように形成されたバルブを意味する。また、屈曲バルブは、ほぼ平行な2本の直線部の一端同士を吹き破りなどによって形成された連通管によって接続されたものや、スパイラル状に形成されたものであってもよい。なお、屈曲バルブはガラス製でなくてもよく、透光性気密容器を形成可能なセラミックスなどの材質で形成することが許容される。
【0033】
発光管は、屈曲バルブ単体で構成される他、複数の屈曲バルブの端部同士を連通管を介してつなぎ合わせることで内部に少なくとも一本の放電路が形成されるようにガラスバルブ間が連通するように並設されたものであってもよい。
【0034】
発光管内面には直接または間接的に蛍光体層が被着されている。蛍光体層は、希土類金属酸化物蛍光体、ハロリン酸塩蛍光体などが挙げられるが、これに限らない。しかし、発光効率を向上させるためには赤、青、緑の各色に発光する蛍光体を混合した三波長発光形の蛍光体を使用するのが好ましい。
【0035】
発光管には、発光管内に形成された放電路の両端に電極が封装されている。電極はフィラメントからなる熱陰極、電子放射物質が坦持されたセラミック電極、ニッケルなどから形成された冷陰極などが挙げられる。
【0036】
発光管には、内部に放電媒体が封入されている。放電媒体としては、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノンなどの不活性ガスおよび水銀からなる。
【0037】
突出部は、発光管に連通するようにバルブ端部から突出するもの例えば、発光管の内径と同一径であっても、発光管よりも縮径されていても、さらには小径のガラスバルブすなわち細管を発光管端部に封着してあってもよい。さらにこのバルブの一部の端部が延在した部分は、主アマルガム封入用として使用されるものであっても、排気管として使用されるものであってもよい。
【0038】
口金は、白熱電球用のE形と称されるねじ込みタイプが通常使用されるが、これに限定されない。また、口金は、カバー体に直接装着される必要はなく、間接的にケースに装着されるものやカバー体の一部が口金を構成するものであってもよい。
【0039】
点灯装置は、カバー体内に収容されるものである。点灯装置の基板は、カバーに対して直接的または間接的にかつ、回路基板の主要面と発光管長手方向とが略直交していても、平行していてもカバー内に収納されていれば構わない。
【0040】
請求項1および2記載の電球形蛍光ランプによれば、発光管突出部を口金側に向けて突出させることによって、純水銀もしくは、純水銀とほぼ同等の水銀蒸気圧が高い主アマルガムを封入することが可能になる。その結果、従来の水銀蒸気圧が低いアマルガムを使用した場合に比べて、点灯直後の光束立上り特性が向上し、点灯中の発光効率が低下することも抑えられる。
【0041】
請求項3記載の電球形蛍光ランプは、 屈曲形バルブを有する発光管と;基板およびこの基板に実装された電子部品を有し、高周波電力を発光管に出力する点灯装置と;一端側に口金が設けられ、他端側に発光管を保持する保持部を有し、電子部品の大部分が口金側に配置されるように基板を装着して点灯装置を収容したカバー体と;屈曲形バルブの一部の端部から前記カバー体内の口金側に向けて延在し、点灯装置の電子部品のうち発熱量が比較的多い素子よりも口金側に主アマルガムが位置するように主アマルガムを収容した突出部と;を具備しているものである。
【0042】
請求項4記載の電球形蛍光ランプは、屈曲形バルブを有する発光管と;基板およびこの基板に実装された平滑用電解コンデンサを含む電子部品を有し、この電解コンデンサの直流出力を変換して高周波電力を発光管に出力する点灯装置と;一端側に口金が設けられ、他端側に発光管を保持する保持部を有し、前記電解コンデンサが口金側に配置されるように基板を装着して点灯装置を収容したカバー体と;屈曲形バルブの一部の端部から前記カバー体内の口金側に向けて延在し、前記電解コンデンサを除く電子部品よりも口金側に主アマルガムが位置するように主アマルガムを収容した突出部と;を具備していることを特徴としているものである。
【0043】
ここで、「発熱量が比較的多い素子」とは、その表面温度が安定点灯時において70℃以上となる素子として定義することが可能である。この場合、発熱量自体は少ないが局部的に高温になるような容積が小さい素子は含まれない。「発熱量が比較的多い素子」は、点灯装置で熱ロスを発生させる素子であって、その素子の熱ロスとしての回路損失電力の合計が回路損失電力全体の7割以上を占めることになる。
【0044】
点灯装置の平滑用電解コンデンサが点灯装置の主要部品よりも口金側に突出するように配置されている場合、点灯装置は、バルブ端部に封入された主アマルガムが平滑用電解コンデンサを除く電子部品よりも口金側に位置するような位置関係でカバー体内に収容される。点灯装置は、平滑用電解コンデンサを備えるものが一般的であるが、これに限定されない。
【0045】
請求項3または4の発明によれば、主アマルガムを比較的温度の低いカバー体内の口金側空間まで延在させることで、水銀蒸気圧が高い特性を有する主アマルガムの使用することが可能となり、簡単な構成で光束立上り特性を向上させることが可能となる。
【0046】
請求項5記載の電球形蛍光ランプは、屈曲形バルブを有する発光管と;基板およびこの基板に実装された電子部品を有し、高周波電力を発光管に出力する点灯装置と;一端側に口金が設けられ、他端側に発光管を保持する保持部を有し、発光管長手方向と略直交するよう基板を装着して点灯装置を収容したカバー体と;屈曲形バルブの一部の端部から前記カバー体内の口金側に向けて延在し、前記基板面から5〜50mm離間して主アマルガムが位置するように主アマルガムを収容した突出部と;を具備しているものである。
【0047】
カバー体内の空間の温度は、上述したとおり発光管から離間する空間ほど温度が低くなっていることが確認されている。さらに、従来技術にも開示されているが、点灯装置の基板が発光管の放射熱を遮断する効果を備えており、点灯装置の基板面から離間するほど温度が低くなっている。
【0048】
基板面から5mm以上離間した空間の温度は発光管側の基板面近傍の温度よりも低く、基板面から10mm以上離間した位置の空間の温度は約40〜60℃となるので、この空間に発光管突出部を位置させることにより、管内の水銀蒸気圧が最大とすることが可能となる。また、基板面から10mm程度離間した空間は50〜60℃となるため、この空間に主アマルガムを位置させることで点灯中の管内最適蒸気圧が最大となり、光出力を最大とすることができる。しかし、主アマルガムから発光管までの距離が大きくなるほど高さ方向の寸法が大きくなって電球形蛍光ランプが大形化してしまう。また、水銀を放出する主アマルガムは、細く長い発光管突出部に封入されているので発光管に水銀蒸気が拡散するのに時間がかかってしまう。そのため、発光管突出部に収容された主アマルガムは、基板面からの離間距離を5〜50mm、好ましくは10〜50mm、最適には15〜40mm離間するとともに、カバー体内に収容される必要がある。
【0049】
請求項5の発明によれば、発光管突出部を口金側に突出させ、その内部に封入された主アマルガムを基板面から口金側方向に所望の距離をおくことで、水銀蒸気圧が高い特性を有する主アマルガムを使用することが可能となり、簡単な構成で光束立上り特性を向上させることが可能となる。
【0050】
請求項6記載の電球形蛍光ランプは、屈曲形バルブを有する発光管と;一端側に口金が設けられ、他端側に発光管を保持する保持部を有するカバー体と;一端に開口が形成されるとともに発光管を覆うように開口側がカバー体に取付けられたグローブと;前記発光管を点灯させる点灯回路を構成する複数の電子部品が実装された回路基板を有しており、カバー体内に収容された点灯装置と;屈曲形バルブの一部の端部から記カバー体内の口金側に向けて延在し、内部にアマルガムを収容した突出部と;を具備しており、ランプ入力電力が7〜25Wの場合において、発光管突出部は前記発光管の端部から25〜60mm突出していることを特徴とするものである。
【0051】
小形化された電球形蛍光ランプは、一般白熱電球の大きさに近づけるため、点灯装置および発光管などを覆う外囲器内のスペースは狭小な密閉空間となり、カバー体内の温度が一層上昇している。さらに、高効率、高出力にするために、発光管の管壁負荷が高くなる傾向にある。しかし、電球形蛍光ランプの熱源である蛍光ランプの発熱量の大小は、ランプ入力電力により左右される。
【0052】
そこで、ランプ入力電力を除く構造は同一とし、バルブ端部から突出した細管の一部が所望の温度を保つことが可能な入力電力の範囲を調べてみた。ランプ入力電力を7W以下の電球形蛍光ランプは、密閉され小形化された外囲器内に発光管などが収容されたとしても、発光管が発する熱量はそれほど多くないため、細管内に封入されたアマルガムの温度はさほど高温にならない。したがって、細管に封入された主アマルガムを封入した細管を口金側方向に延出し、主アマルガムを発光管から離間させる必要はない。
【0053】
一方、ランプ入力電力が25W以上になると点灯中非常に高温となる発光管端部から主アマルガムを離間させル必要がある。しかし、カバー体内の口金近傍空間まで突出させ、発光管から離間したとしても点灯中の発光管からの熱量が多いため、所望の温度を超えてしまう。したがって、ランプ電力7〜25Wである必要がある。
【0054】
請求項6記載の電球形蛍光ランプによれば、発光管突出部の突出長を25〜60mmと規制することで、カバー体内の口金側方向に突出した発光管突出部内に封入された主アマルガムの温度を、安定点灯時に最適な水銀蒸気圧となる温度に保つことができ、水銀蒸気圧が比較的高い特性を有するアマルガムの使用が可能となり、発光効率も向上する。
【0055】
請求項7記載の電球形蛍光ランプは、屈曲形バルブを有する発光管と;基板およびこの基板に実装された電子部品を有し、高周波電力を発光管に出力する点灯装置と;一端側に口金が設けられ、他端側に発光管を保持する保持部を有し、電子部品の大部分が口金側に配置されるように基板を装着して点灯装置を収容したカバー体と;屈曲形バルブの一部の端部から点灯装置の電子部品のうち発熱量が比較的多い素子よりも口金側に向けて延在しており、その内部に水銀を含み純水銀と同等の蒸気圧特性を有する放電媒体が封入された突出部と;を具備しているものである。
【0056】
請求項8記載の電球形蛍光ランプは、屈曲形バルブを有する発光管と;前記発光管を点灯させる点灯回路を構成する複数の電子部品を実装した回路基板を有しており、カバー体内に収容された点灯装置と;一端側に口金が設けられ、他端側に発光管を保持する保持部を有するカバー体と;屈曲形バルブの一部の端部から前記カバー体内の口金側に向けて延在しており、その一部の表面温度が通常点灯時に40〜60℃となるよう突出した突出部と;一端に開口が形成されるとともに前記発光管を覆うように開口側がカバー体に取付けられたグローブと;を具備しているものである。
【0057】
純水銀と同等の蒸気圧とは、常温(25℃)における水銀蒸気圧が純水銀の水銀蒸気圧のそれに近いことを意味する。
【0058】
本発明の電球形蛍光ランプは、水銀蒸気圧を制御するアマルガムを使用するものではなく、純水銀または水銀封入構体として水銀を発光管内に封入したものの使用が可能となる。ここで、水銀封入構体とは、サエス社製の商品名「GEMEDIS」のようなチタン(Ti)−水銀(Hg)合金や、亜鉛(Zn)アマルガムのように発光管点灯中に光出力に影響する程度に水銀を吸収せず、実質的に水銀蒸気圧を制御しない水銀合金の他、ガラスまたはセラミックスなどの無機質材料で形成されて内部に液状水銀が収容された水銀カプセルなどをいう。このような水銀封入構体は、発光管封入後に外部から加熱されることによって、発光管内に水銀を放出するものである。したがって、発光管は主アマルガムによって水銀蒸気圧が制御されるものではないため、水銀蒸気圧特性が一般蛍光ランプのように純水銀が封入されたものとほぼ同等となる。
【0059】
請求項7および8の電球形蛍光ランプによれば、発光管突出部をカバー体内の口金側の空間まで突出させているので、安定点灯時に最冷部を形成することが可能となり、純水銀と同等の蒸気圧特性を有することができ、安定点灯時の光出力が損われることなく、簡単な構成で光束立上り特性を向上させることが可能となる。
【0060】
請求項9記載の電球形蛍光ランプは、屈曲形バルブを有する発光管と;一端側に口金を他端側に前記発光管をそれぞれ取付けられたカバー体と;前記発光管を点灯させる点灯回路を構成する複数の電子部品が実装された回路基板を有しており、カバー体内に収容された点灯装置と;屈曲形バルブの一部の端部から前記カバー体内の口金側に向けて延在している突出部と;一端に開口が形成されるとともに前記発光管を覆うように開口側がカバー体に取付けられたグローブと;を具備しており、ランプ入力電力が7〜25Wの場合において、発光管突出部は前記発光管端部から25〜70mm突出していることを特徴とするものである。
【0061】
請求項9記載の電球形蛍光ランプによれば、発光管突出部を所定の長さ突出させることで、純水銀または純水銀に近いアマルガムを採用することが可能となり、従来の水銀蒸気圧が低いアマルガムを使用した場合に比べて、消灯時の温度状態における水銀蒸気圧が高くなり、点灯直後の光束立上り特性が向上し、点灯中の発光効率が低下することも抑えられる。
【0062】
請求項10記載の電球形蛍光ランプは、請求項1ないし9記載の電球形蛍光ランプの回路基板には、発光管突出部が貫通可能な挿通部が形成されているとともに、回路基板は発光管を構成する屈曲バルブの長手方向と略直交するようにカバー体に装着されているものである。
【0063】
点灯装置の基板による遮熱効果は、発光管の長手方向と回路基板面が略直交するよう配設され、かつ、一部のバルブ端部が口金側に延出するための貫通孔や切欠きなどによって基板に形成された挿通部を介して口金側に延在させることでより確実に得ることができる。特に、基板が発光管の長手方向と略直交する方向に配置され、少なくともバルブに囲まれた中心空間部分を回路基板により覆っていない場合に比べ、発光管の放射熱が効率よく遮断されて口金側の空間に熱が伝わりにくくなる。さらに、挿通部を介して細管を突出させるのでこの遮熱効果が大きく損なわれることがない。このとき、挿通部と細管との隙間はできるだけ小さく、好ましくは1mm以下にするとよい。
【0064】
なお、発光管長手方向と回路基板面が略直交している場合において、例えば、発光管が複数の屈曲バルブを並設して形成され、発光管に複数の端部が形成された蛍光ランプは、基板が遮熱に必要な発光管の端部により形成された空想面の一部分を全て覆っていればよいが、各端部の全てが回路基板面に覆われるよう配置することで十分な遮熱効果が得られる。
【0065】
請求項10の発明によれば、発光管長手方向と回路基板面が略直交するようにカバー体に装着され、発光管突出部は基板に形成された挿通部を介して口金側に延在されているので、カバー体内の口金側の空間の温度を上昇させることなく、発光管突出部の温度を所望の温度にすることが可能となる。
【0066】
請求項11は、請求項1ないし10いずれか一記載の電球形蛍光ランプにおいて、発光管内には主アマルガムが封入されており、この主アマルガムの合金全体に対する水銀(Hg)の含有量が3質量%以上であり、合金を形成する金属はビスマス(Bi)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)および錫(Sn)からなる群のうち少なくとも一種からなることを特徴とする。
【0067】
主アマルガムの水銀蒸気圧特性は、アマルガム形成金属の組成と水銀含有量で決定されるが、アマルガム形成金属として最適なものは、ビスマス(Bi)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)および錫(Sn)である。例えば、ビスマス(Bi)−錫(Sn)−水銀(Hg)、ビスマス(Bi)−錫(Sn)−鉛(Pb)−水銀(Hg)、亜鉛(Zn)−水銀(Hg)などが挙げられるがこれに限らない。また、水銀含有量が主アマルガムの全質量に対して、3質量%以上であれば、主アマルガムの表面に析出する水銀量が多くなることから、光束立上り特性の改善に効果的である。
【0068】
発光管内に封入される水銀は、高温環境において点灯する電球形蛍光ランプにおいて、アマルガムの封入が一般的であるがこれに限定されない。
【0069】
請求項11の電球形蛍光ランプによれば、主アマルガムの組成を最適化することによって、光束立上り特性をより向上させることができる。
【0070】
請求項12は、請求項1ないし11いずれか一記載の電球形蛍光ランプにおいて、発光管内には補助アマルガムが配設されており、この補助アマルガムを形成する金属基体は、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、ビスマス(Bi)または錫(Sn)を主成分として形成されたものであることを特徴とする。
【0071】
本発明は、発光管に配設する補助アマルガムを最適化したものである。まず、主アマルガムを口金側に配置し、補助アマルガムが配設されていない発光管を備えた電球形蛍光ランプの光束立上り特性を調べた。すると、点灯直後は一定の明るさが得られるものの、その後光束が低下してしばらく暗い点灯状態が続き、数分経過の後、主アマルガムで制御された水銀蒸気圧で安定点灯することがあった。この現象は、水銀蒸気がバルブ内面に吸着されて一時的に放電空間内に水銀蒸気が不足した状態が続くためと考えられる。すなわち、点灯開始とともにバルブ内に残留していた液状水銀が放電空間内に蒸発して水銀蒸気となるが、バルブ内面の蛍光体材料、保護膜材料またはガラス面などには水銀蒸気を吸着する性質を有するものがあるため、水銀の蒸発量よりも吸着量のほうが多いと水銀蒸気が不足した状態が起き、発光管が暗く点灯する現象が生じる。
【0072】
この現象は、従来の電球形蛍光ランプの発光管の端部に封着した細管を5〜15mm突出させ、その先端部が回路基板に到達していない細管内に主アマルガムを封入した場合には生じにくく、主アマルガムを口金側に配置まで突出させた場合に生じやすい。すなわち、主アマルガムが口金側に配置されていると、主アマルガムから放出する水銀は、発光管内を介し放電空間に密度拡散によって運ばれてくる。主アマルガムと放電空間との間の発光管突出部分は水銀蒸気拡散経路が長く比較的小径であるため、拡散速度は大変遅く、結果として発光管が薄ぼんやりと光るように点灯する状態が数分間続くこととになる。
【0073】
そこで、電球形蛍光ランプの消灯中に放電路内にある程度の水銀量を保有し、点灯開始後に水銀蒸気を供給する手段を設けるために、発光管に補助アマルガムを使用することを検討した。まず、光出力特性を調べるため、主アマルガムおよび補助アマルガムの組成、細管の長さを種々変えて、全光束と光束立上り特性を測定した。その結果、水銀蒸気圧の高い主アマルガムを口金側に配置した電球形蛍光ランプは、安定点灯時の全光束は適正化できることが確認されたが、光束立上がり特性については、補助アマルガムの組成によって改善効果に差があることが分かった。これは、主アマルガムが発光管突出部を介して点灯装置よりも口金側に位置されているため小径の水銀蒸気拡散経路が長くなり、点灯直後の発光管内の水銀蒸気圧が補助アマルガムの水銀吸着力に支配されやすくなるためである。従来の電球形蛍光ランプの場合、点灯直後の発光管内の水銀蒸気圧は、小径の水銀蒸気拡散経路が5〜15mm程度であるので、概ね主アマルガムの水銀蒸気圧特性によって決定される。これに対し、主アマルガムを口金側に配置した電球形蛍光ランプの場合、点灯直後の発光管内の水銀蒸気圧は、補助アマルガムの水銀蒸気圧特性によって決定されやすいと考えられる。
【0074】
次に、補助アマルガムの最適化について検討した。補助アマルガムは、水銀蒸気圧を大きく低下させないことが重要である。すなわち、従来補助アマルガムとして使用されていたインジウム(In)のような金属は水銀吸着能力が高く、点灯直後に適量の水銀蒸気を放出しにくいので不適当であり、むしろあまり水銀を吸着しない金属を水銀保有手段としての補助アマルガムに使用することが好ましいことを突き止めた。この種の補助アマルガムとしての最適材料としては、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、ビスマス(Bi)または錫(Sn)等が挙げられる。特に、金(Au)や銀(Ag)が水銀吸着力の観点から好適である。例えば、白熱電球60Wに相当する12Wクラスの電球形蛍光ランプの場合、発光管内の最適水銀蒸気は、質量換算で約2μg程度であるから、補助アマルガムはその10倍の約20μg程度の水銀を吸着可能であれば十分ということになる。
【0075】
補助アマルガムは、金または銀などの金属箔、ステンレスなどの基体表面またはウエルズにメッキしたもので構成可能であり、電極近傍や放電路中の所望部位に取付けられる。なお、補助アマルガムを形成する金属基体の主成分とは、例えばステンレス、鉄−ニッケル合金などの耐熱性金属などからなる金属板の表面に上述の発光管内の水銀を吸収することでアマルガムを形成する金属をメッキ、塗布、蒸着などにより金属板の表面に塗られた金属を意味し、メッキ、塗布、蒸着する金属板である基体部分は含まれない。
【0076】
請求項12の電球形蛍光ランプによれば、補助アマルガムの組成を最適化しているので、主アマルガムを口金側に配置した場合であっても、点灯直後の水銀不足による光束の低下が抑制され、光束立上り特性を確実に向上させることができる。
【0077】
請求項13は、請求項1ないし12いずれか一記載の電球形蛍光ランプにおいて、発光管はカバー体に装着されたグローブに覆われていることを特徴とする。
【0078】
発光管を覆うグローブは、光透過性を有していれば、光拡散性、透明性のいずれであってもよく、模様または着色が施してあるものでもよい。グローブの材質はガラス、プラスチックのいずれでもよい。グローブの形状は任意であるが、一般に普及している白熱電球形状に類似するいわゆるA形と称される形状、ほぼ球形状のいわゆるG形と称される形状、先端球形で円筒状のいわゆるT形と称される形状等を採用することができる。
【0079】
このようにグローブ付の電球形蛍光ランプの場合、カバー体内の空間の温度が上昇しやすく、水銀蒸気圧の低いアマルガムを使用する必要があり、光束立上り特性が特に悪かった。
【0080】
請求項13の電球形蛍光ランプによれば、請求項1ないし12いずれか一記載のように主アマルガムを口金側に配置しているので、グローブ付の電球形蛍光ランプであっても水銀蒸気圧の高いアマルガムを使用することが可能となり、光束立上り特性の改善効果が顕著となる。
【0081】
請求項14の照明器具は、請求項1ないし13いずれか一記載の電球形蛍光ランプと;この電球形蛍光ランプが装着される器具本体と;を具備していることを特徴とする。
【0082】
請求項14の照明器具は、請求項1ないし13いずれか一記載の電球形蛍光ランプを備えた照明器具を提供することができる。
【0083】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電球形蛍光ランプの一実施形態を図面を参照して説明する。
【0084】
図1は第1の本実施形態の電球形蛍光ランプの断面図、図2は発光管の構造を説明する展開図である。
【0085】
図1および図2において、10は電球形蛍光ランプで、この電球形蛍光ランプ10は、口金12を有するカバー体14と、カバー体14の一部としてカバー体14の開口部に装着された保持部としてのホルダ15と、カバー体14に収納された点灯装置16と、透光性を有するグローブ17と、このグローブ17に収納された蛍光ランプとしての発光管18とを備えている。そして、グローブ17とカバー体14とから構成される外囲器は、定格電力60W形相当の白熱電球などの一般照明用電球の規格寸法に近似する外形に形成されている。すなわち、口金12を含む高さH1 は110〜125mm程度、直径すなわちグローブ17の外形D1 が50〜60mm程度、カバー体14の外形D2 が40mm程度に形成されている。なお、一般照明用電球とはJIS C 7501に定義されるものである。
【0086】
発光管18の内面には、アルミナ(Al2O3)保護膜(図示しない)とその上に蛍光体層(図示しない)が形成されている。蛍光体層は三波長発光形蛍光体から構成されている。赤色発光蛍光体としては、610nm付近にピーク波長を有するユーロピウム付活酸化イットリウム蛍光体(Y2O3:Eu3+)等が挙げられる。青色発光蛍光体としては、450nm付近にピーク波長を有するユーロピウム付活アルミン酸バリウム・マグネシウム蛍光体(BaMg2Al16O27:Eu2+)等が挙げられる。緑色発光蛍光体としては、540nm付近にピーク波長を有するセリウム・テルビウム付活リン酸ランタン蛍光体((La,Ce,Tb)PO4)等が挙げられる。なお、三波長発光形蛍光体には、赤、青、緑の各色に発光する上記蛍光体以外に、他の色に発光する蛍光体を混合して所望の色度に発光するように調製してもよい。なお、発光管18の蛍光体層は、後述する屈曲形バルブ31…の屈曲形成後に塗布、形成されたものである。
【0087】
発光管18は、略同形状の3本のU字状屈曲形バルブ31,31,31を所定の位置に配置し、連通管32を介して順次接続することによって、1本の放電路が形成されている。
【0088】
3本のガラスバルブ31,31,31は、バルブの直線部31a…が円周上に位置するように配設して3つの屈曲部31b…が三角形状をなすトリプルU形に構成されている。なお、ガラスバルブ31を4本使用して屈曲部31b…が四角形状をなすように構成してもよい。
【0089】
各バルブ31,31,31は、管外径が約11mm、管内径が約9.4mm、肉厚が約0.8mmの無鉛ガラス製で、110〜130mm程度の直管ガラスバルブの中間部を滑らかに湾曲するように屈曲形成したものであり、屈曲部31bを備えた略U字状に形成されている。この屈曲部31bは、直管ガラスバルブの中間部を加熱して屈曲した後、屈曲バルブの屈曲箇所を成形型に入れ、バルブ内部を加圧することによって所望形状に成形される。この成形型の形状によって、屈曲部31bの形状を任意に成形することが可能である。
【0090】
なお、屈曲バルブ31の管外径は9.0〜13mm、肉厚は0.5〜1.5mmとするのが好ましい。また、発光管18の放電路長は250〜500mmの範囲とし、ランプ入力電力は8〜25Wとするのが好ましい。屈曲形バルブ31は、製造工程における加熱や点滅温度差によって変形しやすく、連通管32の機械的強度が低くなる条件は、ガラスバルブの管外径と肉厚との関係に大きく依存する。管外径が9.0mmよりも小さい場合、またはバルブ肉厚が0.5mmよりも小さい場合には、屈曲形バルブ31の変形以外の要因に基づき発光管自体が破損しやすいため好ましくない。また、管外径が13mmを超えた場合、またはバルブ肉厚が1.5mmを超えた場合には、連通管32の機械的強度がある程度確保できる。管外径が9.0〜13mm、肉厚が0.5〜1.5mmのガラスバルブを用いた発光管としては、放電路長が250〜500mm、ランプ入力電力が8〜25Wとして設計することで、白熱電球形状に近似した電球形蛍光ランプを構成することが可能となる。さらに、放電路長が大きくなることによって発光管のランプ効率が改善される点灯領域について検討した結果、放電路長が250〜500mm、ランプ入力電力が8〜25Wの範囲内であれば、ランプ効率が特に改善される。
【0091】
屈曲形バルブ31の加熱加工を容易にするために、屈曲形バルブ31に使用するガラスに鉛成分を混入してガラスの軟化温度を下げることが一般的に行われているが、鉛成分は環境に影響を及ぼす物質であるため、使用はできるだけ控えるのが好ましい。また、屈曲形バルブ31に使用するガラスにはアルカリ成分としてナトリウム成分(Na2O)が多く混入されているが、屈曲形バルブ31の加熱加工においてこのナトリウム成分が析出して蛍光体物質と反応し、蛍光体が劣化することが考えられる。したがって、屈曲形バルブ31には鉛成分を実質的に含まず、Na2Oを10質量%以下とすることで、環境への影響を低減でき、蛍光体の劣化を抑制して光束維持率を改善することが可能となる。屈曲形バルブ31に使用されるガラスは、質量比で、SiO2が60〜75%、Al2O3が1〜5%、Li2Oが1〜5%、Na2Oが5から10%、K2Oが1〜10%、CaOが0.5〜5%、MgOが0.5〜5%、SrOが0.5〜5%、BaOが0.5〜7%であり、かつSrO/BaO≧1.5およびMgO+BaO≦SrOの条件を満足する組成を有している。このガラスを使用することで、理由は明らかではないが、鉛ガラスを使用した屈曲形バルブ31から形成された以外は同一条件で製造された発光管よりも光束立上りが向上することが確認された。
【0092】
屈曲形バルブ31,31,31は、ピンチシール部40…などにより、一端部が封着されているとともに、他端部には内径2〜5mmの細管41a,41b,41cがピンチシールによって封着されている。中間の屈曲形バルブ31に封着された細管41b内には主アマルガム42が封入されている。
【0093】
発光管18の両側に位置する屈曲形バルブ31の非連通管32側の一端部には、電極としてのフィラメントコイル44が、一対のウエルズ45,45に支持されて配置されている。一対のウエルズ45,45は、両端の屈曲形バルブ31,31の端部にマウントを用いないピンチシールなどにより封着されたジュメット線を介して、屈曲形バルブ31,31の外部に導出されたランプ側ワイヤーに接続されている。そして、発光管18から導出された2対すなわち4本のランプ側ワイヤーは、点灯装置16に電気的に接続されている。
【0094】
中間の屈曲バルブ31の所望の一端部および電極近傍のウエルズ45には補助アマルガム46が設けられている。中間の屈曲形バルブ31に設けられた補助アマルガム46は、ピンチシールなどにより封着されたウエルズに取付けられており、放電路の中間位置に配設される。補助アマルガム46は、縦2mm、横7mm、厚さ40μmのステンレスの基板に金(Au)または銀(Ag)を約3mgメッキした形成されたものである。
【0095】
中間の屈曲形バルブ31に封着された突出部としての細管41bは、その先端がカバー体14内の口金12側に位置するように屈曲形バルブ31の端部からの突出長L1は25〜50mmの長さでするのが好ましく、本実施形態では直線長さにして約45mmで突出している。細管41bは、カバー体14の内壁に当接しないように先端がやや内側に位置するように2箇所で屈曲された屈曲形状を有しており、屈曲形バルブ31の端部から細管41b先端までの突出高さL2は約40mmである。
【0096】
主アマルガム42は、ビスマス(Bi)が50〜65質量%、錫(Sn)が35〜50質量%からなる合金を基体とし、この合金に対して水銀を12〜25質量%含有させたものである。
【0097】
そして、発光管18は、バルブの高さH2 が50〜60mm、放電路長が200〜350mm、バルブ並設方向の最大幅D3が32〜43mmに形成されている。
【0098】
そして、発光管18には、封入ガス比率が99%以上のアルゴンガスが封入圧力300〜800Paで封入される。
【0099】
以下、口金12側を上側、グローブ17側を下側として説明する。
【0100】
発光管18は、発光管固定部材であり、また点灯装置固定部材でもあるホルダ15に取り付けられ、このホルダ15がカバー体14の開口部を覆うようにカバー体14に装着されている。また、ホルダ15には点灯装置16の回路基板24が嵌合手段(図示しない)により取り付けられている。点灯装置16は、水平状、すなわち発光管18の長手方向と垂直に配置される円板状の回路基板24を備え、この回路基板24の両面すなわち口金12側である上面および発光管18側である下面に、複数の部品(電気部品)が実装されて、高周波点灯を行なうインバータ回路(高周波点灯回路)が構成されている。
【0101】
回路基板24には、直径約6mmの挿通部としての円径状の挿通孔26が形成されており、この挿通孔26を介して細管41bの先端が口金12側まで延在している。回路基板24の一面側には、平滑用電解コンデンサ16aや、インダクタ、トランス、抵抗やフィルムコンデンサなどからなる電子部品の大部分が実装されている。回路基板24の発光管18側の他面には、電界効果形トランジスタ(FET)や整流ダイオード(REC)、チップ抵抗など、比較的耐熱温度が高い小形電子素子が実装されている。平滑用電解コンデンサ16aは、電界効果形トランジスタ、トランス、限流インダクタ、抵抗、共振コンデンサなどの発熱量が比較的多い電子部品よりもその先端部が口金12側に突出している。主アマルガム42は、電解コンデンサ16aを除く電子部品よりも口金12側であって、電解コンデンサ16aに隣接して位置するように細管41b内に収容されている。このとき、主アマルガム42は回路基板24の口金12側の面からの距離L3が約40mmになるように離間している。
【0102】
そして、カバー体14は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの耐熱性合成樹脂などにて形成されたカバー本体21を備えている。そして、このカバー本体21は、下方に拡開する略円筒状をなし、上端部にE26形などの口金12が被せられ、接着剤またはかしめなどにより固定されている。
【0103】
また、グローブ17は、透明あるいは光拡散性を有する乳白色などで、ガラスあるいは合成樹脂により、定格電力60W形相当の一般照明用電球のガラス球とほぼ同一形状の滑らかな曲面状に形成されているとともに、開口部の縁部には、カバー本体21の下端の開口部の内側に嵌合する嵌合縁部17a が形成されている。なお、このグローブ17は、拡散膜などの別部材を組み合わせ、輝度の均一性を向上することもできる。
【0104】
回路基板24は、略円板状で、発光管18の最大幅D3 の1.2倍以下の直径(最大幅寸法)に形成されている。
【0105】
そして、点灯装置16は、7〜15Wのランプ電力により発光管18内の電流密度(断面積当たりの電流)が3〜5 mA/mm2で点灯させるように構成されている。本実施形態の電球形蛍光ランプ10は、入力電力定格12Wで、発光管18には、10.5Wの電力が高周波で加わり、ランプ電流は190mA、ランプ電圧は58Vとなり、発光管18からの光出力により全光束が約810lmとなっている。
【0106】
このように規定された電球形蛍光ランプ10を、一般照明用電球の照明器具に用いた場合、電球形蛍光ランプ10の配光が一般照明用電球の配光に近似することで、照明器具内に配設されたソケット近傍の反射体への光照射量が十分に確保され、反射体の光学設計どおりの器具特性を得ることができる。しかも、電球スタンドのように、内部光源のイメージが布製などの光拡散性カバーに映し出される照明器具であっても、電球形蛍光ランプ10の配光が一般照明用電球の配光に近似することで、違和感なく使用できる。
【0107】
次に、本実施形態の作用について説明する。図3は、本実施形態の温度分布を示す概略断面図である。この温度分布の測定条件は、周囲温度を25℃の無風状態にて口金上向き点灯とした。このとき、電球形蛍光ランプ10は入力電力12.1Wの約1割が点灯回路で消費されている。
【0108】
各部の温度はそれぞれ次のとおりであった。アマルガム近傍の細管表面温度T1は55℃、口金12の内側空間温度T2は53℃、カバー中央の空間温度(発熱部品の上端が位置する空間温度)T3は62℃、基板24の上面温度T4は98℃、カバー体14の外表面の上部温度T5は62℃、カバー体14外表面中間部温度T6は62℃、発光管18の電極近傍バルブ31表面温度T7は158℃、バルブ13直線部部の表面温度T8は136℃、屈曲部13b表面温度T9は106℃、グローブ17外面の上部温度T10は81℃、最大外径部外面温度T11は60℃、頂部外面温度T12は57℃。
【0109】
このように、点灯装置16の近傍は、主発熱要素である発光管18の上部に位置するために温度が高くなる。これは熱が上部方向および外径方向へと拡散すること、および点灯装置16のうち主たる発熱部品であるバラスト巻線やトランジスタの近傍には高温の空間ができることを意味している。このような高温領域に実装された部品群よりも口金12側のカバー体14内の空間は比較的温度が低く、この空間に主アマルガム42を位置させることによって、主アマルガム42の温度を低下させている。主アマルガム42に近接する電解コンデンサ16aはほとんど発熱しない部品であり、また口金近傍の内部空間は50〜60℃程度である。ちなみに、主アマルガムが封入された細管の突出長が約10mmの発光管を備えた従来例(短細管方式)の主アマルガムの温度を測定したところ約90℃であった。このように、本実施形態のように主アマルガム42を口金12側に配置させた長細管方式では、主アマルガム42の温度を約30〜40℃低減する効果がある。
【0110】
次に、光束立ち上がり特性を評価するために、本実施形態、従来例および比較例の電球形蛍光ランプをそれぞれ用意し、点灯させた。従来例は、ビスマス(Bi)−インジウム(In)系の主アマルガムが封入された細管の突出長が約10mmの発光管(短細管方式)を備えたもの、比較例1は、上記実施形態(長細管方式)の補助アマルガムに代えてインジウムからなる補助アマルガムを使用したもの、比較例2は、上記実施形態(長細管方式)から補助アマルガムを取除いたものであり、本実施形態とともにそれぞれの光束立ち上がり特性を測定した。測定の条件は100V商用交流電源による点灯、周囲温度を25℃とし、無風状態にて口金上向き点灯とした。このときの入力電流と消費電力は全て194mA、12.1Wであった。
【0111】
図4は、その測定結果を示すグラフであり、点灯開始からの経過時間ごとの光束の変化を表している。グラフは、線aが本実施形態を、線bが比較例1を、線cが比較例2を、線dが従来例をそれぞれ示している。点灯直後の光束は、
【0112】
比較例2>本実施形態>比較例1>従来例の順番となった。
【0113】
しかし、点灯開始から2〜3秒経過したあたりから、比較例2の光束が低下し始め、点灯開始から30秒経過までは、
【0114】
本実施形態>比較例1>従来例>比較例2
の順番となった。比較例2は、その後の数分間いわゆる薄ぼんやりした明るさの状態が続く結果となった。
【0115】
一方、比較例1は、水銀蒸気圧が速やかに上昇して従来例よりも光束立上り特性が改善されることが分かるが、点灯直後の光束は従来例と大差がなかった。
【0116】
これに対し、本実施形態の電球形蛍光ランプ10は、点灯直後に補助アマルガム46から適量の水銀が放出されるので、水銀不足現象が起こることがなく、光束が早期に立上り、点灯開始から5秒経過時点で安定点灯時の約50%の光出力が得られ、約25秒経過時点で同約85%の光出力が得られることが確認された。
【0117】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0118】
図5は、第2実施形態の電球形蛍光ランプを示す一部切欠き断面図である。なお、第1の実施形態と同一の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0119】
本実施形態の電球形蛍光ランプ10は、水銀蒸気圧制御するための主アマルガムを封入せず、亜鉛(Zn)アマルガムからなる水銀封入構体としての定量封入用水銀ペレット47を使用して発光管18内に10mg以下の水銀を封入したものである。このペレット47は細管41bに形成された絞り部(縮径部)に載置された後、細管41bの先端に溶融などの手段によって固着されている。また、細管41bは排気管として使用されるものであり、第1の実施形態で使用された細管41a,41cは発光管18の製造時に使用された後、端部付近でチップオフされている。したがって、発光管18の端部から突出しているのは実質的に細管41bのみとなり、ホルダ15と発光管18との距離を小さくできるので、電球形蛍光ランプ10の高さ寸法を短くすることが可能である。
【0120】
本実施形態の発光管18は、主アマルガムによって水銀蒸気圧が制御されるものではないため、水銀蒸気圧特性が一般蛍光ランプのように純水銀が封入されたものとほぼ同等となる。したがって、細管41bの先端が安定点灯時の空間温度が約50〜60℃であるカバー体14内の口金12側に配置されるため、安定点灯時に最冷部を細管内に確保される。したがって、安定点灯時の光出力が損われることなく、かつ光束立上り特性も向上させることが可能となる。
【0121】
次に、図6は、第3実施の形態の電球形蛍光ランプを示す一部切欠き断面図、図7は図6の蛍光ランプの一部切欠き拡大断面図である。なお、第1および第2の実施形態と同一の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0122】
一対の電極のいずれか一方の電極に最も近い細管41aはバルブ31端部から6mm程度突設しており、この細管41a内に主アマルガム42が封入されている。この主アマルガム42は、純水銀または、純水銀と同等の水銀蒸気圧特性を有しており、Bi−Sn−Hgで構成される合金で、細管41a内からバルブ31内へ移動しないよう収容されている。
【0123】
一対の電極が封装された屈曲形バルブ31の残りの細管41bは、排気用の細管41bであり、バルブ31端部から30mm程度突設しており、その先端部は、バルブ内の負圧により封止の際に細管41b内側に吸い込まれ、特に中央部が突出し肉厚の薄い封止部が形成される。
【0124】
主アマルガム42の組成をBi−Sn−Hgとしたため、常温時においても発光管18内の水銀蒸気圧を比較的高くでき、点灯安定時には、グローブ17に覆われた発光管18の温度が上昇し、高温となる。しかし、発光管18の電極の熱影響を受けないように排気管41bをカバー体14内の口金12側に延出させることで、排気管41b先端付近の温度を60℃以上にならないよう抑制している。すなわち、回路基板24によって発光管18の熱が遮断され、対流も起きにくいので口金12側の内部空間温度は、発光管18側の内部空間ほど高温にはならない。
【0125】
このように、点灯中発光管18が高温となっても発光管18内の水銀蒸気圧が過剰にならないよう、余分な水銀は、カバー体14内に延出した排気管41b先端付近の最冷部に吸収され、水銀蒸気を適正値に保ち発光効率の低下を防ぐことができる。さらに、水銀蒸気圧が低い主アマルガム42を使用した場合に比べて、消灯時の温度状態における水銀蒸気圧が高くなり、点灯直後の光束立上り特性が向上し、点灯中の発光効率が低下することも抑えられる。
【0126】
以上のような電球形蛍光ランプ10によると、発光管18がグローブ17に覆われ、電極から離間し、排気管41bを回路基板24の口金12側へ貫通し、カバー体14内まで延出することで、その一部の温度が50〜60℃になるので、グローブ17に覆われた発光管18の温度が上昇しても、排気管41bに形成された最冷部により、バルブ31内の水銀蒸気を吸収してバルブ31内の水銀蒸気圧を所望の圧力に保つことが可能となる。
【0127】
また、バルブ31端部の細管封着付近に排気管41b封止部を形成すると、封止時の加熱によりクラックが発生して蛍光ランプがスローリークを起こすおそれがあるが、排気管41bを長くすることで、封止部にクラックが発生することを抑制できる。
【0128】
なお、本実施の形態の電球形蛍光ランプは、口金12側を上側に、蛍光ランプ18側を下側において説明したが、ベースダウン点灯時、すなわち、口金12側を下側に、蛍光ランプ18側を上側点灯などの点灯姿勢にかかわらず、同様の作用を得ることができる。
【0129】
以下、本発明の電球形蛍光ランプの第4の実施形態を図面を参照して説明する。
【0130】
図8は第4の本実施形態の電球形蛍光ランプ10の一部断面図である。なお、第1ないし第3の実施形態と同一の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0131】
図8において、中間に位置する屈曲形バルブ31内には、発光管18内の水銀蒸気圧を所望の圧力に制御する例えばBi−Sn−Inからなる主アマルガム42が発光管18内を移動可能なように粒状、螺粒状に封入されているとともに、カバー体内まで延出した細管41b内にも封入されている。
【0132】
また、中間の発光管18に封着された細管41bは、その先端がカバー14内の口金12側に位置するように発光管18の端部から突出しており、その突出長は25〜70mmの長さとするのが好ましい。本実施形態では細管41bの封着部分からの細管41b先端までの突出長は高さにして約40mmである。
【0133】
主アマルガム42は、ビスマス(Bi)が50〜65質量%、錫(Sn)が35〜50質量%からなる合金を基体とし、この合金に対して水銀を12〜25質量%含有させたものである。
【0134】
回路基板24には、直径約6mmの挿通部としての円形又は楕円の挿通孔26が形成されており、この挿通孔26を介して細管41b先端部がカバー体14内の口金12側空間まで延在している。
【0135】
上記のように組み立てられた電球形蛍光ランプ10は、点灯中発光管が発する熱によって細管内41bに封入された主アマルガム42が加熱され、水銀を放出する。放出された水銀は、発光管18内に拡散される。また、始動直後は、発光管18内に封入された主アマルガム42ら水銀を放出する。点灯時間とともに発光管18内の水銀の蒸気圧が高まっていくと発光管18内に水銀蒸気が充満され、発光管18内を移動可能なように封入された主アマルガム42は水銀を吸収して発光管18内の水銀蒸気圧を一定に保たれ、定格のランプ特性が得られる。
【0136】
図9は、全光束が最大となる最適細管長を示したグラフである。(A)は、水銀蒸気圧が高く水銀に近い蒸気圧を有する主アマルガム42を封入した細管41bの長さを22〜45mmと変化させ、入力電力が12W一定で点灯させた本発明第一実施形態である電球形蛍光ランプ。(B)は、主アマルガム42を封入していない細管41b長を22〜45mmと変化させ、この細管41bを除く細管41aに水銀蒸気圧の高く水銀に近い蒸気圧を有する主アマルガム42を封入した本発明第3の実施の形態の電球形蛍光ランプを入力電力12W一定点灯させたものである。
【0137】
図9のグラフから明らかなように、純水銀に近い水銀蒸気圧の高い主アマルガム42を封入した細管41bの長さを22〜45mmの電球形蛍光ランプ(A)は、細管長35mmのときに最大全光束720lmであり、35mmを超えると全光束は低くなっている。これは、点灯中高温となる蛍光ランプ18から離れるにつれて、カバー体14内の温度が低くなっているため、細管41b先端が位置する周囲空間が主アマルガムの最適な水銀蒸気圧となる温度よりも低くなっているためである。一方、細管41b長が35mm以下の場合、反対に主アマルガム42が位置する細管41b先端部分が蛍光ランプ18に近い空間に位置するため、最適な水銀蒸気圧となる温度よりも高くなってしまうので発光効率が低下してしまう。
【0138】
細管41b長が22〜45mmの細管41bを除く細管41aにアマルガム42を封入した電球形蛍光ランプ(B)が最大全光束720lmとなるのは、細管長が45mmのときであり、この細管41bの一部に水銀蒸気圧を制御する最冷部が形成されていることになる。電球形蛍光ランプ(A)、(B)を比べると、(A)は(B)に対し、最適水銀蒸気圧となる最適温度が約10℃程度高く出来るため、細管41bは(B)より(A)の方が10mm短くすることができる。
【0139】
図10は、主アマルガムを封入した細管41b長を22〜45mmと変化させた本発明の第一の実施の形態の電球形蛍光ランプ(a)(b)を入力電力12Wおよび13Wで点灯させたグラフである。
【0140】
図10のグラフからは、(a)(b)電球形蛍光ランプにおいても、細管長を長くするにしたがい内部に封入したアマルガムの温度が低くなっている。これは、点灯中高温となる発光管から離間するほどその熱影響をうけにくくなる。さらに、細管長を長くすることで、カバー体内の比較的温度が低い口金側に位置することが可能となり、互いの相乗効果を伴ったものと考えられる。
【0141】
以上の実験結果により発明者は、ランプ電力をX(W)、細管長をY(mm)とした場合、発光管18端部から突出した細管42がカバー体14内の口金12側に向けて突出した長細管41b内に主アマルガム42を封入した場合の細管41bの長さを、
【0142】
5X−37≧Y≧5X−17
【0143】
の関係式で表される。
【0144】
発光管18端部から突出した短細管41aにアマルガム42を封入した場合、カバー体14内の口金12側に突出する細管41a長を、
【0145】
5X−27≧Y≧5X−7
【0146】
の関係式から求めることができることを判明した。
【0147】
次に本発明の一実施形態である照明器具を図10を用いて説明する。図10は本発明の照明器具の一実施形態を示す断面概略図である。図において51は電球形蛍光ランプ、50は埋め込み形照明器具本体である。器具本体50は、基体52と反射板53などより構成されている。
【0148】
【発明の効果】
請求項1および2記載の電球形蛍光ランプによれば、発光管突出部を口金側に向けて突出させることによって、純水銀もしくは、純水銀とほぼ同等の水銀蒸気圧が高い主アマルガムを封入することが可能になる。その結果、従来の水銀蒸気圧が低いアマルガムを使用した場合に比べて、点灯直後の光束立上り特性が向上し、点灯中の発光効率が低下することも抑えられる。
【0149】
請求項3または4の発明によれば、主アマルガムを比較的温度の低いカバー体内の口金側空間まで延在させることで、水銀蒸気圧が高い特性を有する主アマルガムの使用することが可能となり、簡単な構成で光束立上り特性を向上させることが可能となる。
【0150】
請求項5の発明によれば、発光管突出部を口金側に突出させ、その内部に封入された主アマルガムを基板面から口金側方向に所望の距離をおくことで、水銀蒸気圧が高い特性を有する主アマルガムを使用することが可能となり、簡単な構成で光束立上り特性を向上させることが可能となる。
【0151】
請求項6記載の電球形蛍光ランプによれば、発光管突出部の突出長を25〜60mmと規制することで、カバー体内の口金側方向に突出した発光管突出部内に封入された主アマルガムの温度を、安定点灯時に最適な水銀蒸気圧となる温度に保つことができ、水銀蒸気圧が比較的高い特性を有するアマルガムの使用が可能となり、発光効率も向上する。
【0152】
請求項7および8の電球形蛍光ランプによれば、発光管突出部をカバー体内の口金側の空間まで突出させているので、安定点灯時に最冷部を形成することが可能となり、純水銀と同等の蒸気圧特性を有することができ、安定点灯時の光出力が損われることなく、簡単な構成で光束立上り特性を向上させることが可能となる。
【0153】
請求項9記載の電球形蛍光ランプによれば、発光管突出部を所望の長さ突出させることで、純水銀または純水銀に近いアマルガムを採用することが可能となり、従来の水銀蒸気圧が低いアマルガムを使用した場合に比べて、消灯時の温度状態における水銀蒸気圧が高くなり、点灯直後の光束立上り特性が向上し、点灯中の発光効率が低下することも抑えられる。
【0154】
請求項10の電球形蛍光ランプによれば、発光管長手方向と回路基板面が略直交するようにカバー体に装着され、発光管突出部は基板に形成された挿通部を介して口金側に延在されているので、カバー体内の口金側の空間の温度を上昇させることなく、発光管突出部の温度を所望の温度にすることが可能となる。
【0155】
請求項11の発明によれば、主アマルガムの組成を最適化することによって、光束立上り特性をより向上させることができる。
【0156】
請求項12の電球形蛍光ランプによれば、補助アマルガムの組成を最適化しているので、主アマルガムを口金側に配置した場合であっても、点灯直後の水銀不足による光束の低下が抑制され、光束立上り特性を確実に向上させることができる。
【0157】
請求項13の電球形蛍光ランプによれば、請求項1ないし12いずれか一記載のように主アマルガムを口金側に配置しているので、グローブ付の電球形蛍光ランプであっても水銀蒸気圧の高いアマルガムを使用することが可能となり、光束立上り特性の改善効果が顕著となる。
【0158】
請求項14の電球形蛍光ランプによれば、請求項1ないし13いずれか一記載の電球形蛍光ランプを備えた照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の電球形蛍光ランプの一部断面図。
【図2】図1の電球形蛍光ランプの発光管の構造を説明する展開図。
【図3】図1の電球形蛍光ランプの点灯時の温度分布を説明する概略断面図。
【図4】第1の実施形態の光束立上り特性を説明するグラフ。
【図5】第2の実施形態の電球形蛍光ランプの一部断面図。
【図6】第3の実施形態の電球形蛍光ランプの一部切欠き側面図。
【図7】図6の電球形蛍光ランプの一部切欠き拡大断面図。
【図8】第4の実施の形態の電球形蛍光ランプの一部切欠き側面図。
【図9】全光束が最大となる最適細管長および最適アマルガム封入位置を示した実験結果を示す相対グラフ。
【図10】細管突出長とアマルガム温度を示した実験結果を示すグラフ。
【図11】本実施の形態照明器具の一実施形態を示す側面一部断面図。
【符号の説明】10…電球形蛍光ランプ、12…口金、14…カバー体、16…点灯回路、18…発光管、24…基板、26…挿通孔、
31…屈曲バルブ、41b…細管、42…主アマルガム、46…補助アマルガム。
Claims (14)
- 屈曲形バルブを有する発光管と;
基板およびこの基板に実装された電子部品を有し、高周波電力を発光管に出力する点灯装置と;
一端側に口金が設けられ、他端側に発光管を保持する保持部を有し、電子部品の大部分が口金側に配置されるように基板を装着して点灯装置に収容したカバー体と;
前記屈曲形バルブの一部の端部からカバー体内の口金側に向けて延在し、その一部の表面温度が通常点灯時に40〜70℃となるように構成された突出部と;
を具備していることを特徴とする電球形蛍光ランプ。 - 屈曲形バルブを有する発光管と;
基板およびこの基板に実装された電子部品を有し、高周波電力を発光管に出力する点灯装置と;
一端側に口金が設けられ、他端側に発光管を保持する保持部を有し、電子部品の大部分が口金側に配置されるように基板を装着して点灯装置を収容したカバー体と;
屈曲形バルブの一部の端部から前記カバー体内の口金側に向けて延在し、バルブ端部から25〜70mm突出している突出部と;
を具備していることを特徴とする電球形蛍光ランプ。 - 屈曲形バルブを有する発光管と;
基板およびこの基板に実装された電子部品を有し、高周波電力を発光管に出力する点灯装置と;
一端側に口金が設けられ、他端側に発光管を保持する保持部を有し、電子部品の大部分が口金側に配置されるように基板を装着して点灯装置を収容したカバー体と;
屈曲形バルブの一部の端部から前記カバー体内の口金側に向けて延在し、点灯装置の電子部品のうち発熱量が比較的多い素子よりも口金側に主アマルガムが位置するように主アマルガムを収容した突出部と;
を具備していることを特徴とする電球形蛍光ランプ。 - 屈曲形バルブを有する発光管と;
基板およびこの基板に実装された平滑用電解コンデンサを含む電子部品を有し、この電解コンデンサの直流出力を変換して高周波電力を発光管に出力する点灯装置と;
一端側に口金が設けられ、他端側に発光管を保持する保持部を有し、前記電解コンデンサが口金側に配置されるように基板を装着して点灯装置を収容したカバー体と;
屈曲形バルブの一部の端部から前記カバー体内の口金側に向けて延在し、前記電解コンデンサを除く電子部品よりも口金側に主アマルガムが位置するように主アマルガムを収容した突出部と;
を具備していることを特徴とする電球形蛍光ランプ。 - 屈曲形バルブを有する発光管と;
基板およびこの基板に実装された電子部品を有し、高周波電力を発光管に出力する点灯装置と;
一端側に口金が設けられ、他端側に発光管を保持する保持部を有し、発光管長手方向と略直交するよう基板を装着して点灯装置を収容したカバー体と;
屈曲形バルブの一部の端部から前記カバー体内の口金側に向けて延在し、前記基板面から5〜50mm離間して主アマルガムが位置するように主アマルガムを収容した突出部と;
を具備していることを特徴とする電球形蛍光ランプ。 - 屈曲形バルブを有する発光管と;
一端側に口金が設けられ、他端側に発光管を保持する保持部を有するカバー体と;
一端に開口が形成されるとともに発光管を覆うように開口側がカバー体に取付けられたグローブと;
前記発光管を点灯させる点灯回路を構成する複数の電子部品が実装された回路基板を有しており、カバー体内に収容された点灯装置と;
屈曲形バルブの一部の端部から前記カバー体内の口金側に向けて延在し、内部にアマルガムを収容した突出部と;
を具備しており、ランプ入力電力が7〜25Wの場合において、発光管突出部は前記発光管の端部から25〜60mm突出していることを特徴とする電球形蛍光ランプ。 - 屈曲形バルブを有する発光管と;
基板およびこの基板に実装された電子部品を有し、高周波電力を発光管に出力する点灯装置と;
一端側に口金が設けられ、他端側に発光管を保持する保持部を有し、電子部品の大部分が口金側に配置されるように基板を装着して点灯装置を収容したカバー体と;
屈曲形バルブの一部の端部から点灯装置の電子部品のうち発熱量が比較的多い素子よりも口金側に向けて延在しており、その内部に水銀を含み純水銀と同等の蒸気圧特性を有する放電媒体が封入された突出部と;
を具備していることを特徴とする電球形蛍光ランプ。 - 屈曲形バルブを有する発光管と;
前記発光管を点灯させる点灯回路を構成する複数の電子部品を実装した回路基板を有しており、カバー体内に収容された点灯装置と;
一端側に口金を他端側に発光管を保持する保持部を有するカバー体と;
屈曲形バルブの一部の端部から前記カバー体内の口金側に向けて延在しており、その一部の表面温度が通常点灯時に40〜60℃となるよう突出した突出部と;
一端に開口が形成されるとともに前記発光管を覆うように開口側がカバー体に取付けられたグローブと;
を具備していることを特徴とする電球形蛍光ランプ。 - 屈曲形バルブを有する発光管と;
一端側に口金が設けられ、他端側に発光管を保持する保持部を有するカバー体と;
前記発光管を点灯させる点灯回路を構成する複数の電子部品が実装された回路基板を有しており、カバー体内に収容された点灯装置と;
屈曲形バルブの一部の端部から前記カバー体内の口金側に向けて延在している突出部と;
一端に開口が形成されるとともに前記発光管を覆うように開口側がカバー体に取付けられたグローブと;
を具備しており、ランプ入力電力が7〜25Wの場合において、発光管突出部は前記発光管端部から25〜70mm突出していることを特徴とする電球形蛍光ランプ。 - 回路基板には、前記突出部が貫通可能な挿通部が形成されているとともに、回路基板は発光管を構成する屈曲バルブの長手方向と略直交するようにカバー体に装着されていることを特徴とする請求項1ないし9いずれか一記載の電球形蛍光ランプ。
- 発光管内には主アマルガムが封入されており、この主アマルガムの合金全体に対する水銀(Hg)の含有量が3質量%以上であり、合金を形成する金属はビスマス(Bi)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)および錫(Sn)からなる群のうち少なくとも一種からなることを特徴とする請求項1ないし10いずれか一記載の電球形蛍光ランプ。
- 発光管内には補助アマルガムが配設されており、この補助アマルガムを形成する金属基体は、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、ビスマス(Bi)または錫(Sn)を主成分として形成されたものであることを特徴とする請求項1ないし11いずれか一記載の電球形蛍光ランプ。
- 発光管はカバー体に装着されたグローブに覆われており、その最大径が65mm以下であることを特徴とする請求項1ないし12いずれか一記載の電球形蛍光ランプ。
- 請求項1ないし13いずれか一記載の電球形蛍光ランプと;
この電球形蛍光ランプが装着される器具本体と;
を具備していることを特徴とする照明器具。
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