JP4196668B2 - 電球形蛍光ランプ及び照明器具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電球形蛍光ランプ及びこの電球形蛍光ランプを備えた照明器具に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電球形蛍光ランプは一般白熱電球に相当する程度にまで小型化され、一般白熱電球用器具の光源を電球形蛍光ランプに置換えるという需要が進行してきている。
【0003】
この電球形蛍光ランプは、ランプ技術および点灯回路技術の発展によりランプ効率も向上してきている。しかし、電球形蛍光ランプの小型化に伴って本体の表面積が小さくなっているため、発光管の発熱量が過度に多くない場合であっても、発光管の温度は高くなる傾向にある。特に、一般白熱電球に類似した外観となる装飾効果を持たせるために発光管をグローブで覆った形態の電球形蛍光ランプは、発光管の温度が100℃を超えてしまうので、発光管に純水銀を封入した場合には発光管内の水銀蒸気圧が過度に上昇して光出力が低下する。このため、高温環境下で点灯する蛍光ランプの場合には、インジウム(In)、鉛(Pb)、錫(Sn)及びビスマス(Bi)等と水銀(Hg)との合金であるアマルガムを発光管に封入して水銀蒸気圧が低くなるように制御し、発光効率を向上させている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方、アマルガムが使用された発光管は、点灯開始から所定の光束が出力されるまでの期間が長く、いわゆる光束立上がり特性が悪いという欠点がある。これは、点灯前の発光管が室内程度の低温状態の場合には、点灯開始直後はアマルガム制御によって水銀蒸気圧が低下しているため暗く、発光管の温度が上昇するに従って水銀蒸気圧が上昇し、徐々に明るくなるように点灯するためである。この光束立上り特性を改善するために、フィラメント電極の近傍等にインジウム(In)等からなる補助アマルガムを設け、点灯開始直後の水銀蒸気圧を補う技術が知られている(例えば、特許文献2〜特許文献4参照。)
【0005】
【特許文献1】
特開2001−243913号公報(第2−4頁、図1)
【0006】
【特許文献2】
特開昭60−146444号公報(第2頁、図3,図4)
【0007】
【特許文献3】
特開平11−233065号公報(第2−3頁、図1)
【0008】
【特許文献4】
特許第3262168号公報(第2−6頁、図5)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このように主アマルガムと補助アマルガムとの両方をもった電球形蛍光ランプの消灯中の発光管内の水銀蒸気圧は、主アマルガムから補助アマルガムへと水銀が平衡状態になるまで移動を続けるが、これにはおおよそ数週間から数ヶ月の時間を要する。しかしながら、この間の管内水銀蒸気圧の変動はさほど大きくなく、例えば吸収法を用いた実験によれば、消灯後約10時間以降はほとんど大きな変動はない。また、この水銀蒸気圧は概ね同じ温度では高い水銀蒸気圧を与える主アマルガムの組成によって決定される(平成12年度照明学会全国大会講演予稿集、NO7)。そして、電極近傍の補助アマルガムから放出された水銀は、点灯開始から数十秒間に密度拡散によって発光管の放電路の中央方向へと拡散し、概ね数分でほぼ発光管内全域に行き渡り、所望の水銀蒸気圧を得られるか、または最適点を超えて水銀蒸気圧過剰の状態になることもある。そして、概ね数十分〜1時間程度でランプ全体が熱平衡に至り、水銀は主アマルガムの温度によって制御される水銀蒸気圧で一定となる。このとき、補助アマルガムは100℃以上、場合によっては200℃以上となっており、補助アマルガム(正確には補助アマルガムを形成しているインジウム(In)等の金属)に吸着されていた水銀は実質的にほとんど全て放出されている。
【0010】
しかしながら、補助アマルガムを備えた蛍光ランプであっても、点灯直後の水銀蒸気圧を速やかに上昇させて所望の明るさを確保することは困難であり、さらなる光束立上がり特性の改善が求められている。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、簡単な構成で光束の立上がり特性を改善することができ、しかも組立性が良好な電球形蛍光ランプ及び、この蛍光ランプを備えた照明器具を得ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明の電球形蛍光ランプは、屈曲形バルブを有する発光管と、基板及びこの基板に実装された電子部品を有し、高周波電力を前記発光管に出力する点灯装置と、一端側に口金が設けられ、他端側に前記発光管を保持する保持部を有し、前記基板を装着して前記点灯装置を収容したカバー体と、前記発光管のバルブ外径よりも細く形成されるように前記発光管端部から突出して中間部に屈曲部を有し、この屈曲部より先端側部分および前記屈曲部より前記発光管側の根元部が前記口金の中心を通る軸線に対していずれも略平行であり、かつ前記先端側部分が前記根元部よりも前記軸線に近づけて配置されるように前記屈曲部が形成され、前記先端側部分の内部にアマルガムを収容した細管と、を具備していることを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る発明の電球形蛍光ランプは、屈曲形バルブを有する発光管と、基板及びこの基板に実装された電子部品を有し、高周波電力を前記発光管に出力する点灯装置と、一端側に口金が設けられ、他端側に前記発光管を保持する保持部を有し、前記基板を装着して前記点灯装置を収容したカバー体と、前記発光管のバルブ外径よりも細く形成され、前記発光管の端部から突出して中間部に屈曲部を有し、この屈曲部より先端側部分が前記屈曲部より前記発光管側の根元部に対して前記口金の中心を通る軸線に近づけて配置され、かつ、内部にアマルガムを収容し、前記屈曲部を前記基板よりも前記発光管側に配置するとともに、前記先端側部分が前記口金側に延在された細管と、を具備していることを特徴とする。
【0014】
請求項3に係る発明の電球形蛍光ランプは、屈曲形バルブを有する発光管と、基板及びこの基板に実装された電子部品を有し、高周波電力を前記発光管に出力する点灯装置と、口金が一端側に設けられているとともに、前記発光管の端部が挿通可能な発光管挿通部及びこの挿通部に開放する切り欠き部を有して前記発光管を保持する保持部が他端部に設けられており、前記電子部品の大部分が前記口金側に配置されるように前記基板を装着して前記点灯装置を収容したカバー体と、前記発光管のバルブ外径よりも細く形成され、前記発光管の端部から突出して中間部に屈曲部を有し、この屈曲部より先端側部分が前記屈曲部より前記発光管側の根元部に対して前記口金の中心を通る軸線に近づけて配置され、かつ、前記先端側部分は前記電子部品のうちの発熱量が比較的多い素子よりも前記口金側に延在し内部にアマルガムを収容してなり、前記発光管の端部を前記発光管挿通部に挿通させるとき、前記屈曲部が前記切り欠き部に通される細管と、を具備していることを特徴とする。
【0015】
請求項4に係る発明の電球形蛍光ランプは、屈曲形バルブを有する発光管と、基板及びこの基板に実装された電子部品を有し、高周波電力を前記発光管に出力する点灯装置と、口金が一端側に設けられているとともに、前記発光管の端部が挿通可能な発光管挿通部を有して前記発光管を保持する保持部が他端部に設けられており、前記電子部品の大部分が前記口金側に配置されるように前記基板を装着して前記点灯装置を収容したカバー体と、前記発光管のバルブ外径よりも細く形成され、前記発光管の端部から突出して中間部に屈曲部を有し、この屈曲部より先端側部分が前記屈曲部より前記発光管側の根元部に対して前記口金の中心を通る軸線に近づけて配置され、かつ、前記先端側部分は前記電子部品のうちの発熱量が比較的多い素子よりも前記口金側まで延在するとともに内部にアマルガムを収容してなり、前記発光管の端部を前記発光管挿通部に挿通させるとき、前記屈曲部が前記挿通を前記保持部で妨げられないように屈曲している細管と、を具備していることを特徴とする。
【0016】
本発明者らは、光束立上がり特性を改善するために安定点灯時の細管の内部に収容されるアマルガム(以下、主アマルガムと言う)温度を低くすることに着目して検討を進めた。すなわち、主アマルガムは、安定点灯時に適切な水銀蒸気圧に制御するものであるため、例えばビスマス(Bi)−インジウム(In)系の主アマルガムでは、90℃〜130℃の高温化であっても、発光管の水銀蒸気圧を最適値である1Pa前後となるように制御する。しかし、このような主アマルガムは、純水銀よりも水銀蒸気圧が一桁以上低い特性を有しているため、周囲温度が約25℃の雰囲気で消灯し、発光管内の温度が外部雰囲気の温度と平衡状態となる程度まで放置した後の点灯瞬時の水銀蒸気圧は0.1Pa前後であり、自己発熱によって高温雰囲気に至るまでは光束が低い。したがって、安定点灯時の主アマルガムの温度を低くできれば、主アマルガムによって水銀蒸気圧を過度に低く制御する必要がなくなり、点灯瞬時の水銀蒸気圧を高くできるので、光束の立上がりを改善することが可能となる。
【0017】
そこで、口金が上向きの状態で点灯した電球形蛍光ランプの各部分ごとの温度を測定したところ、点灯装置の主要部品が集まっている空間の温度は100℃に近いのに対して、それら主要部品よりも口金側の空間の温度は40〜50℃と比較的低くなっていることを突き止めた。これは、カバー体内の対流があまり起こっていないことから、点灯装置の主要部品よりも口金側付近は比較的温度が低くなるためと考えられる。ここで、点灯装置の主要部品とは、点灯装置の電子部品のうちの発熱量が比較的多い素子、つまりトランジスタ、インデクタ、トランス、フィルムコンデンサ等、抵抗のうち、点灯動作中の発熱量が比較的多く、容積の比較的大きい回路素子を意味し、容積が大きくても比較的発熱量の少ない例えば電解コンデンサのような回路素子は含まれない。すなわち、電解コンデンサが点灯装置の主要部品よりも口金側に突出するように配置されている場合であっても、電解コンデンサの発熱量は比較的少ないため、点灯動作中の発熱量が比較的多い回路素子よりも口金側、つまり主要部品よりも口金側であれば、電解コンデンサ付近の空間の温度は比較的低い。
【0018】
ここで、「発熱量が比較的多い素子」は、その表面温度が安定点灯時において70℃以上となる素子として定義することが可能である。この場合、発熱量自体は少ないが局部的に高温となるような容積が小さい素子は含まれない。「発熱量が比較的多い素子」は、点灯装置で熱ロスを発生させる素子であって、その素子の熱ロスとしての回路損失電力の合計が回路損失電力全体の7割以上を占めることになる。
【0019】
そこで、細管の先端部が口金側に位置するように延在させた発光管を用意し、水銀蒸気圧が比較的高い主アマルガムが点灯装置の主要部品よりも口金側に位置するように細管内に封入した電球形蛍光ランプを試作して点灯させた。その結果、点灯直後の光束立上がりは良好で、かつ、安定点灯時の光束が低下することのない光出力特性が得られた。
【0020】
また、カバー体の温度は、点灯装置の基板面から離間するほど温度が低くなっていることが確認できた。これは点灯装置の基板が発光管の放射熱を遮断する効果を備えているためと考えられる。実際には、基板面から5mm以上離間した空間の温度は発光管側の基板面近傍の温度よりも低く、基板面から10mm以上離間した位置の空間の温度は約40℃〜60℃となるので、この空間に主アマルガムを位置させるのが最適である。しかし、主アマルガムから発光管までの距離が長くなるほど高さ方向の寸法が大きくなって電球形蛍光ランプが大型化し、また主アマルガムから発光管に水銀蒸気が拡散するまでの時間がかかる。そのため、主アマルガムの基板面からの離間距離を50mm以下、好ましくは40mm以下にする必要がある。
【0021】
その場合、細管の中間部に屈曲部を設け、この屈曲部より先端側部分を屈曲部より発光管側の根元部に対して口金の中心を通る軸線に近づけて配置するのが好ましい。これにより、細管がカバー体と当接しないように先端側部分を前記軸線側に寄せながらこの先端側部分を口金側に延在させることができるので、蛍光ランプが大型化を抑制しつつ主アマルガムの基板面からの離間距離を確保できる。
【0022】
また、点灯装置の基板による遮熱効果は、基板が発光管の端部を覆い、かつ、好ましくは貫通孔や切り欠き等によって基板に形成された細管挿通部を介して細管の先端側部分を口金側に延在させることにより確実に得ることができる。特に、基板が発光管の全端部を覆うことで、発光管の全端部を覆っていない場合と比べて発光管の放射熱が効率良く遮断されて口金側の空間に熱が伝わり難くなる。このとき、屈曲部を基板よりも発光管側に配置するとともに、先端側部分を細管挿通部に挿通させて口金側に延在されるように細管を設けることで、細管挿通部の大きさを細管の先端側部分が挿通する程度の大きさにすることができ、この遮熱効果が大きく損なわれることを抑制することができる。その場合、細管挿通部と細管との離間はできるだけ小さく、好ましくは1mm以下にするとよい。なお、発光管の全端部を覆うとは、発光管に複数の端部が形成されている場合には、各端部の全ての端面を完全に覆う必要はなく、基板が遮熱に必要な発光管の端部の端面の一部を覆っていればよい。例えば、発光管が複数の屈曲バルブを並設して形成されている場合には、バルブ軸中心よりも発光管の外周側に位置する部分は覆わなくても十分な遮熱効果が得られる。
【0023】
さらに、点灯装置の基板による遮熱効果は、基板が発光管の端部を覆い、かつ、好ましくは貫通孔や切り欠き等によって基板に形成された細管挿通部を介して細管の先端側部分及び屈曲部を口金側に延在させることによっても得ることができる。その場合も、細管挿通部と細管との離間はできるだけ小さく、好ましくは1mm以下にするとよい。
【0024】
また、発光管の放射熱がカバー体の口金側に伝わるのを抑制するためには、保持部に形成された発光管挿通部と発光管との間もできるだけ小さく、好ましくは1mm以下にするとよい。
【0025】
本発明及び以下の各発明において、特に指定しない限り用語の定義及び技術的意味は以下の通りである。
【0026】
屈曲バルブは、直管状のガラスバルブの略中央部を加熱溶解して屈曲するか、またはガラスバルブをモールド成形することによってU字状に屈曲した形状に形成される。ここで、「U字状に屈曲された」とは、放電路が折り返されて放電が屈曲するようにガラスバルブが形成されていることを意味し、曲管部が湾曲状または円弧状に形成されたものに限定されず、角形状や尖鋭状に形成されたものも含むという意味である。要するに、放電路が屈曲するように直管部の一端同士を連続させて形成したバルブを意味する。また、屈曲バルブは、略平行な2本の直管部の一端部同士を吹き破り等によって形成された連通管によって接続したものや、スパイラル状に形成されたものであってもよい。なお、屈曲バルブはガラス製でなくともよく、透光性気密容器を形成可能なセラミックス等の材質で形成することが許容される。
【0027】
屈曲バルブの内面には、直接的または間接的に蛍光体層が被着されている。蛍光体層は、希土類金属酸化物蛍光体、ハロリン酸塩蛍光体等が挙げられるがこれに限らない。しかし、発光効率を向上させるためには赤、青、緑の各色に発光する蛍光体を混合した三波長発光形の発光体を使用するのが好ましい。
【0028】
発光管は、屈曲バルブ単体で構成される他、複数の屈曲バルブの端部同士を連通管を介してつなぎ合わせることで内部に少なくとも1本の放電路が形成されるようにガラスバルブ間を連通させて併設したものであってもよい。
【0029】
発光管には、発光管内に形成された放電路の両端位置に電極が封装されている。電極はフィラメントからなる熱陰極、電子放電物質が担持されたセラミック電極、ニッケル等から形成された冷陰極等が挙げられる。
【0030】
発光管には、内部に放電媒体が封入されている。放電媒体としては、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン等の不活性ガス及び水銀が挙げられる。
【0031】
細管は、屈曲バルブの端部に封着されたものであり、主アマルガム封入用として使用される他、排気管として使用されるものであってもよい。主アマルガム封入用として使用される細管は、主アマルガムが点灯装置の収容空間のうち口金側に位置するように封入されるため、先端側部分が口金側に伸びるように延長されている。
【0032】
細管内に封入される主アマルガムは、点灯直後の水銀蒸気圧が純水銀に近く、安定点灯時の水銀蒸気圧も適正な値に制御可能な特性を有するものが使用される。例えば、主アマルガムの温度が25℃のときに水銀蒸気圧が0.1Pa〜0.24Pa、好ましくは0.15Pa〜0.24Paであって、主アマルガムが50℃〜60℃のときに水銀蒸気圧が1.0Pa〜2.0Paとなるものが好ましい。なお、主アマルガムを封入するにあたっては、点灯直後の水銀蒸気圧拡散を補うため、補助アマルガムを封入することが好ましいが、この補助アマルガムは必修ではなく、点灯直後に発光管内に適度な水銀蒸気圧拡散が起こる条件で発光管が構成されていれば主アマルガムのみを封入したものであってもよい。
【0033】
主アマルガムの水銀蒸気圧特性は、アマルガム形成金属の組成と水銀含有量で決定されるが、アマルガム形成金属として最適なものは、ビスマス(Bi)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、及び錫(Sn)である、例えば、ビスマス(Bi)−錫(Sn)−水銀(Hg)、ビスマス(Bi)−錫(Sn)−鉛(Pb)−水銀(Hg)、亜鉛(Zn)−水銀(Hg)等が挙げられるがこれらに限定されない。また、水銀含有量が主アマルガムの全質量に対して3質量%以上であれば、主アマルガムの表面に析出する水銀量は多くなることから、光束立上がり特性の改善に効果的である。
【0034】
カバー体は、口金が取付けられているとともに、この口金が取付けた方向と逆の部位に発光管を支持する保持体を備えたものであり、内部に点灯装置の収容空間が形成されている。保持体は、発光管の端部が挿入可能な発光管挿通部を有するホルダとしてカバー体とは別体に形成するのが好ましいが、カバー体と一体構造であっても構わない。
【0035】
口金は、白熱電球用のE形と称されるねじ込みタイプのものが通常使用されるが、これに限定されない。また、口金は、カバー体に直接装着される必要はなく、間接的に装着されるものやカバー体の一部が口金を構成するものであってもよい。
【0036】
点灯装置は、カバー体内に収容されるものである。点灯装置の基板は、カバー体に対して直接的または間接的に取付けられて収容されている。点灯装置は、平滑用の電解コンデンサを備えるものが一般的であり、請求項6又は7に係る発明では電解コンデンサを備えているが、請求項1〜5に係る発明ではこれに限定されない。
【0037】
点灯装置の平滑用の電解コンデンサが点灯装置の主要部品よりも口金側に突出するように配置されている場合、点灯装置は、細管内に封入された主アマルガムが平滑用の電解コンデンサを除く電子部品よりも口金側に位置するような位置関係でカバー体内に収容されることが望ましい。
【0038】
また、点灯装置の基板が発光管の放射熱を遮断するように配置されている場合には、細管内に封入された主アマルガムが基板面から5〜50mm、好ましくは10〜50mm、最適には15〜40mm離間するような位置関係でカバー体内に収容される。
【0039】
請求項5に係る発明の電球形蛍光ランプは、請求項4に記載の電球形蛍光ランプであって、前記屈曲部が、記発光管の端部の中心と前記口金の中心とを結ぶ直線に対して−45°〜+45°の角度範囲内に、前記発光管の端部の中心と前記細管の先端部の中心とを結ぶ直線を配置させて屈曲していることを特徴とする。
【0040】
請求項1〜5の発明によれば、アマルガムを収容している細管の先端側部分が比較的温度の低いカバー体内の口金側の空間に配置されるため、水銀蒸気圧が高い特性を有するアマルガムを使用することが可能となり、簡単な構成で光束立上がり特性を向上させることができる。
【0041】
しかも、請求項2の発明によれば、細管の中間部に設けられた屈曲部を基板よりも発光管側に配置するとともに、この屈曲部より先端側部分が口金側に延在されているので、組立性が良好であるとともに基板による遮熱効果の低下を抑制することができる。
【0044】
請求項3の発明によれば、細管は、屈曲部を基板よりも発光管側に配置するとともに、先端側部分を発光管挿通部に挿通させて口金側に延在させることができる。しかも、発光管の端部を口金の中心を通る軸線に対して傾いた方向から発光管挿通部に挿入して組立てる必要がないので、組立性が良い。
【0045】
請求項4の発明によれば、発光管挿通部に開放する切り欠き部を設けており、発光管の端部を発光管挿通部に挿通させるとき、屈曲部はこの切り欠き部に通される。そのため、細管の屈曲部が発光管挿通部からはみ出すような形状であっても、発光管及び細管を傾けることなく発光管挿通部及び切り欠き部に挿通させることができるので組立性が良い。しかも、発光管挿通部を発光管の端部が挿通可能な大きさよりも大きく設定したり、発光管挿通部に開放する切り欠き部を形成する等の必要がないため、保持部による遮熱効果を低減させない。
【0046】
請求項5の発明によれば、細管の屈曲部は、発光管の端部を発光管挿通部に挿通させるとき、この挿通が保持部で妨げられないように、発光管の端部の中心と口金の中心とを結ぶ直線に対して−45°〜+45°の角度範囲内に、発光管の端部の中心と細管の先端部の中心とを結ぶ直線を配置させて屈曲している。そのため、発光管及び細管を傾けることなく発光管挿通部に挿通させることができるので組立性が良い。
【0047】
請求項6に係る発明の電球形蛍光ランプは、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電球形ランプであって、基板に実装された電子部品のうち電界コンデンサは前記基板に立設される一対のリード線を有しており、前記一対のリード線の基板接続部同士を結ぶ直線と細管の屈曲部の根元部側端部と先端側部分側端部とを結ぶ直線が直交していることを特徴とする。
【0048】
「屈曲部の根元部側端部と先端側部分側端部とを結ぶ直線が一対のリード線の基板接続部同士を結ぶ直線と直交するように」するとは、前記両直線を実質的に直交させるという意味であり、製造上のずれ等は許容されるものである。また、屈曲部の根元部側端部と先端側部分側端部とを結ぶ直線と一対のリード線の基板接続部同士を結ぶ直線とは必ずしも交わらなくてもよく、ねじれの関係にあってもよい。屈曲部とリード線との関係は、屈曲部の根元部側端部と先端側部分側端部とを結ぶ直線と一対のリード線の基板接続部同士を結ぶ直線とが口金側から俯瞰することで角度が90度すれるように配置されていればよい。
【0049】
請求項6の発明によれば、一対のリード線の基板接続部同士を結ぶ直線と細管の屈曲部の根元部側端部と先端側部分側端部とを結ぶ直線が直交している。そのため、組立の際に細管が電解コンデンサに触れたとしても、リード線が撓んで電解コンデンサが細管から離れる方向に容易に倒れるので、リード線の基板接続部に歪みがかかり難く、電解コンデンサと他の電子部品との間の電気的な接触不良を抑制することができる。
【0050】
請求項7に係る発明の電球形蛍光ランプは、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電球形ランプであって、基板に実装された電子部品のうち電界コンデンサは前記基板に立設される一対のリード線を有しており、前記一対のリード線の基板接続部同士を結ぶ直線と細管の屈曲部の根元部側端部と先端側部分側端部とを結ぶ直線が平行していることを特徴とする。
【0051】
「屈曲部の根元部側端部と先端側部分側端部とを結ぶ直線が一対のリード線の基板接続部同士を結ぶ直線と平行となるように」するとは、前記両直線を実質的に平行にするという意味であり、製造上のずれ等は許容されるものである。
【0052】
請求項7の発明によれば、一対のリード線の基板接続部同士を結ぶ直線と細管の屈曲部の根元部側端部と先端側部分側端部とを結ぶ直線が平行している。そのため、組立の際に細管が電解コンデンサに触れたとしても、リード線が撓み難く電解コンデンサが傾かないので、カバー体に点灯装置を収容させる際に、電解コンデンサがカバー体に接触して前記収容を阻害するのを抑制することができる。
【0053】
請求項8に係る発明の照明器具は、請求項1〜7の内のいずれか1項に記載の蛍光ランプと、この蛍光ランプが着脱自在に装着される器具本体と、を具備していることを特徴とする。
【0054】
器具本体は、既設の照明器具の器具本体であってもよい。また、照明器具は、ダウンライト等の埋込器具や直付器具等の器具本体と、請求項1〜7の内のいずれか1項に記載の蛍光ランプとを具備するものであればよい。
【0055】
請求項8の発明の照明器具では、簡単な構成で光束の立上がり特性を改善することができ、しかも組立性が良好な蛍光ランプを備えた照明器具を提供することができる。
【0056】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図9を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。
【0057】
この電球形蛍光ランプ10は、図1に示すように、発光管20と、細管30a〜30bと、カバー体40と、点灯装置50と、グローブ60とを備えている。カバー体40は、カバー本体41と、このカバー本体41の一端側に設けられた口金42と、カバー本体41の他端側に設けられた保持部としてのホルダ43とを備えている。カバー本体41及びホルダ43は、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)等の耐熱性合成樹脂等にて形成されている。カバー本体41は、上端から下端に拡開状に延長された略円錐状の回転体形状をなしているとともに、その上端に略円筒形状部分が一体に設けられている。カバー本体41の略円筒形状部分には略円筒形状の口金42が被され、接着またはかしめ等により固定されている。また、カバー体40は、その内部は略円錐形状の点灯装置収容空間を有している。
【0058】
カバー体40とグローブ60とから構成される外囲器11は、定格電力が60W形相当の白熱電球等の一般照明用電球の規格寸法に近似する外形に形成されている。すなわち、口金42を含む高さH1は110〜125mm程度、直径すなわちグローブ60の外形D1が50〜60mm程度、カバー体40の外形D2が40mm程度に形成されている。なお、一般照明用電球とは、JIS C 7501に定義されるものである。
【0059】
発光管20の内面には、アルミナ(Al2O3)保護膜(図示せず)とその上に蛍光体層(図示せず)とが形成されている。蛍光体層は、例えば赤、青、緑の各色に発光する蛍光体を混合した三波長発光形蛍光体により構成されている。赤色発光蛍光体としては、610nm付近にピーク波長を有するユーロピウム付活酸化イットリウム蛍光体(Y2O3:Eu3+)等が挙げられる。青色発光蛍光体としては、450nm付近にピーク波長を有するユーロピウム付活アルミン酸バリウム・マグネシウム発光体(BaMg2Al16O27:Eu2+)等が挙げられる。緑色発光蛍光体としては、540nm付近にピーク波長を有するセリウム・テルビウム付活リン酸ランタン発光体((La,Ce,Tb)PO4)等が挙げられる。なお、三波長発光形蛍光体には、赤、青、緑の各色に発光する上記発光体以外に、他の色を発光する蛍光体を混合して所望の色度に発光するように調製してもよい。なお、発光管20の発光体層は、後述する屈曲バルブ21a,21b,21cの屈曲形成後に塗布形成される。
【0060】
発光管20は、図2または図3に示すように、外形が略同形状の複数本例えば3本の屈曲バルブ21a,21b,21cを備えている。これら屈曲バルブ21a,21b,21cを所定の位置に配置し、連通管23を介して順次連結することによって、1本の放電路が形成される。
【0061】
3本の屈曲バルブ21a,21b,21cは夫々、互いに略平行な一対の直管部22a及びこれら直管部22aの一端同士を連続させる曲管部22bを有してU字状に形成されている。これら屈曲バルブ21a,21b,21cは、夫々の直管部22aが円周上に位置するように配設して、3つの曲管部22bが三角形状をなすトリプルU形に形成されている。なお、屈曲バルブを4つ使用して曲管部22bが四角形状をなすように形成してもよい。
【0062】
各屈曲バルブ21a,21b,21cは、管外径が約11mm、管内径が約9.4mm、肉厚が約0.8mmの無鉛ガラス製で、110〜130mm程度の直管ガラスバルブの中間部を滑らかに湾曲するように屈曲形成したものである。屈曲バルブ21a,21b,21cの曲管部22bは、直管ガラスバルブの中間部を加熱して屈曲させた後、屈曲バルブ21a,21b,21cの屈曲箇所を成形型に入れ、バルブ内部を加圧することによって所望形状に成形される。この成形型の形状によって、曲管部22bの形状を任意に成形することが可能である。
【0063】
なお、屈曲バルブ21a,21b,21cの管外径は9.0〜13mm、バルブ肉厚は0.5〜1.5mmとするのが好ましい。また、発光管20の放電路長は250〜500mmの範囲とし、ランプ入力電力は8〜25Wとするのが好ましい。屈曲バルブ21a,21b,21cは、製造工程における加熱や点滅温度差によって変形し易く、連通管23の機械的強度が弱くなる条件は、使用するガラスバルブの管外径と肉厚との関係に大きく依存する。管外径が9.0mmよりも小さい場合または肉厚が0.5mmよりも小さい場合には、屈曲バルブ21a,21b,21cの変形以外の要因に基づき発光管20自体が破損しやすいため好ましくない。また、管外径が13mmを超えた場合または肉厚が1.5mmを超えた場合には、連通管23の機械的強度がある程度確保できる。管外径が9.0〜13mm、肉厚が0.5〜1.5mmのガラスバルブを用いた発光管20としては、放電路長が250mm〜500mm、ランプ入力電力が8〜25Wとして設計することで、白熱電球形状に近似した電球形蛍光ランプ10を構成することが可能となる。さらに、放電路長を大きくすることによって発光管20のランプ効率が改善される点灯領域について検討した結果、放電路長が250〜500mm、ランプ入力電力が8〜25Wの範囲内であれば、ランプ効率が特に改善される。
【0064】
屈曲バルブ21a,21b,21cの加熱加工を容易にするために、屈曲バルブ21a,21b,21cに使用するガラスに鉛成分を混入してガラス軟化温度を下げることが一般的に行われているが、鉛成分は環境に影響を及ぼす物質であるため、使用はできるだけ控えた方が好ましい。また、屈曲バルブ21a,21b,21cに使用するガラスにはアルカリ成分としてナトリウム成分(Na2O)が多く混入されているが、屈曲バルブ21a,21b,21cの加熱加工においてこのナトリウム成分が析出して蛍光物質と反応し、蛍光体が劣化することが考えられる。したがって、屈曲バルブ21a,21b,21cは、鉛成分を実質的に含まず、Na2Oを10質量%以下とすることで、環境への影響を低減でき、蛍光体の劣化を抑制して光束維持率を改善することが可能となる。
【0065】
屈曲バルブ21a,21b,21cに使用されるガラスは、重量比で、SiO2が60〜75%、Al2O3が1〜5%、Li2Oが1〜5%、Na2Oが5〜10%、K2Oが1〜10%、CaOが0.5〜5%、MgOが0.5〜5%、SrOが0.5〜5%、BaOが0.5〜7%であり、かつ、SrO/BaO≧1.5及びMgO+BaO≦SrOの条件を満足する組成を有している。このガラスを使用することで、理由は明らかではないが、鉛ガラスを使用した屈曲バルブ21a,21b,21cから形成された以外は同一条件で形成された発光管20よりも光束立上がりが向上することが確認された。
【0066】
屈曲バルブ21a,21b,21cは、ピンチシール等により一端部が封着されているとともに、他端部には、管外径2〜5mm、管内径1.2〜4.2mmの細管30a〜30cがピンチシール等によって発光管20の端部から突出するように封着されている。一側に配置される屈曲バルブ21bの細管30bはダミーであり、他側に配置される屈曲バルブ21cの細管30cは発光管20中の排気を行なうためのものである。また、中間に配置される屈曲バルブ21aの細管30aには、主アマルガム31が封入されている。
【0067】
発光管20の両側に位置する屈曲バルブ21b,21cの非連通管側の一端部には、電極24としてのフィラメントコイルが一対のウエルズ25に支持されて配置されている。一対のウエルズ25は、両側の屈曲バルブ21b,21cの端部にマウントを用いないピンチシール等により封着されたジュメット線を介して、屈曲バルブ21b,21cの外部に導出されたワイヤー26に接続されている。そして、発光管20から導出された2対すなわち4本のワイヤー26は、点灯装置50に電気的に接続されている。
【0068】
中間の屈曲バルブ21aの一端部及び電極24近傍のウエルズ25には、補助アマルガム27が設けられている。中間の屈曲バルブ21aに設けられた補助アマルガム27は、ピンチシール等により封着されたウエルズ25に取付けられており、放電路の中間位置に配置されている。
【0069】
なお、本実施形態では、補助アマルガム27として、水銀蒸気圧を大きく低下させない補助アマルガムを用いることが好ましい。すなわち、インジウム(In)のような金属は水銀吸着能力が高く、点灯直後に適量の水銀蒸気圧を放出し難いので不適当であり、むしろあまり水銀を吸着しない金属を補助アマルガムとするとよい。
【0070】
この種の補助アマルガムとしての最適材料としては、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、ビスマス(Bi)、または錫(Sn)等が挙げられる。特に、金(Au)や銀(Ag)が水銀吸着力の観点から好適である。白熱電球60Wに相当する12Wクラスの電球形蛍光ランプ10の場合、発光管20内の最適水銀蒸気圧を与える水銀の質量換算値の10倍程度の質量の水銀を吸着可能であれば十分である。この実施形態では、補助アマルガム27として、縦2mm、横7mm、厚さ40μmのステンレスの基板に金(Au)を約3mgメッキして形成されたものを用いている。
【0071】
中間の屈曲バルブ21aに封着された細管30aは、その先端部32aがカバー体40内の口金42側に位置するように屈曲バルブ21aの端部から突出している。この細管30aの屈曲バルブ21aの端部からの突出長さL1は15〜50mmとするのが好ましい。この実施形態では、直線長さにして約45mmで突出している。
【0072】
また、この細管30aの中間部は、口金42の中心C1を通る軸線lに近づく方向に屈曲するとともに再び前記軸線lと略平行な方向に屈曲するように2ヶ所で屈曲する屈曲部32bを有している。この屈曲部32bより先端側部分32cは、屈曲部32bより発光管20側の根元部32dに対して前記軸線lに近づけて配置されている。
【0073】
つまり、この屈曲部32bは、細管30aがカバー体40の内壁面に当接しないように、先端側部分32cを前記軸線l側に寄せながらこの先端側部分32cを口金42側に延在させるためのものである。屈曲バルブ21aの端部から細管30aの先端部32aまでの長さL2は約40mmである。
【0074】
主アマルガムは、ビスマス(Bi)が50〜65重量%、錫(Sn)が35〜50重量%からなる合金を基体として、この合金に対して水銀を12〜25重量%含有させたものである。
【0075】
この実施形態では、発光管20は、バルブの高さH2が50〜60mm、放電路長が200〜350mm、バルブ並設方向の最大幅D3が32〜43mmに形成されている。そして、この発光管20には、封入ガス比率が99%以上のアルゴンガスが封入圧力400〜800Paで封入されている。
【0076】
以下、口金42側を上側、グローブ60側を下側として説明する。
【0077】
カバー本体41は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の耐熱性合成樹脂等により形成されており、図1に示すように、一端側が他端側に向かって拡開する略円筒状をなしている。カバー本体41の一端側には26型等の口金42が被せられ、接着剤またはかしめ等により固定されている。カバー本体41の他端部には発光管20固定部材であるとともに点灯装置50固定部材でもあるホルダ43が取付けられている。このホルダ43は、図3に示すように、発光管20の端部が挿通可能な発光管挿通部44を有している。発光管20はこのホルダ43に取付けられ、このホルダ43がカバー本体41の開口部を覆うようにカバー本体41に装着されている。また、ホルダ43には、点灯装置50の基板が嵌合手段(図示せず)により取付けられている。
【0078】
点灯装置50は、図1及び図4に示すように、口金42の中心C1を通る軸線lに対して略垂直に配置される基板51及びこの基板51に実装された複数の電子部品53を有して、高周波点灯を行なうインバータ回路(高周波点灯回路)を構成している。この点灯装置50は、電気部品の大部分が口金42側に配置されるように基板51が装着されてカバー体40に収容されている。この点灯装置50は、口金42及び蛍光ランプ10と電気的に接続され、口金42を介して給電されることにより動作して高周波電力を出力し、この出力を蛍光ランプ10に印加して点灯させる。
【0079】
基板51は、略円板状で、発光管20の最大幅の1.2倍以下の直径(最大幅寸法)に形成されている。基板51の口金42側の一面には、平滑用の電解コンデンサ53a、インダクタ、トランス、抵抗やフィルムコンデンサ等からなる電子部品53の大部分が実装されている。電解コンデンサ53aは、一対のリード線55を介して他の電子部品53と電気的に接続された状態で基板51の略中心に立設されている。なお、電解コンデンサ53aは、後述する第4及び第5の実施形態のように、挿通孔52bから離れるように基板51の中心からずらして立設させてもよい。
【0080】
また、基板51には、図4に示すように、細管挿通部としての円形状の細管挿通孔52が形成されている。この細管挿通孔52の大きさは、細管30aの先端側部分32cが挿通可能な大きさに形成されている。このとき、基板51の遮熱効果をできるだけ低減させないためには、細管挿通孔52と細管30aとの間dが1mm以下となるように細管挿通孔52を形成するのが好ましい。
【0081】
この細管挿通孔52は、組立て後において、後述する第2〜第5の実施形態のように、屈曲部32aの根元部32b側端部と先端側部分32c側端部とを結ぶ直線mが電解コンデンサ53aと他の電子部品53とを電気的に接続する一対のリード線55の基板接続部55a同士を結ぶ直線nと平行又は直交する位置に設けるのが好ましい。
【0082】
基板51の発光管20側の他面には、電界効果型トランジスタ(FET)や整流ダイオード(REC)、チップ抵抗等、比較的低熱温度が高い小形電子素子が実装されている。
【0083】
平滑用の電解コンデンサ53aの先端部は、限流インダクタ、トランス、抵抗、共振コンデンサ等の発熱量が比較的多い電子部品53よりも口金42側に突出している。主アマルガム31は、電解コンデンサ53aを除く電子部品53よりも口金42側にあって、電解コンデンサ53aに隣接して位置するように細管30aの先端側部分32c内に収容されている。このとき、主アマルガム31は基板51の口金42側の面から距離L3が約40mmとなるように離間している。
【0084】
グローブ60は、透明或いは光拡散性を有する乳白色等であって透光性を有している。このグローブ60は、ガラス或いは合成樹脂等により、一般照明電球のガラス球と略同形状の滑らかな曲面状に形成されている。このグローブ60は、蛍光ランプ10を内包するとともに、開口部をカバー体40の他端側に嵌合させてカバー体40の他端側に取付けられている。なお、グローブ60は、拡散膜等の別部材を組み合わせ、輝度の均一性を向上させることもできる。
【0085】
そして、点灯装置50は、7〜15Wのランプ電力により発光管20内の電流密度(断面積当たりの電流)が3〜5mA/mm2で点灯させるように構成されている。本実施形態の電球形蛍光ランプ10は入力電力規格12Wで、発光管20には10.5Wの電力の高周波で加わり、ランプ電流は190mA、ランプ電圧は58Vとなり、発光管20からの光出力により全光束が約810lmとなっている。
【0086】
この電球形蛍光ランプ10は、図1に示すように、細管30aの屈曲部32bを基板51よりも発光管20側に配置するとともに、先端側部分32cを細管挿通孔52に挿通させて口金42側に延在させるものである。つまり、この電球形蛍光ランプ10では、細管30aを基板51の細管挿通孔52に挿通させる場合、細管30aの先端側部分32cを口金42の中心C1を通る軸線lと平行な方向(発光管20の長さ方向と平行な方向)に相対移動させて基板51の細管挿通孔52に挿通させることができる。
【0087】
なお、組立性をさらに良好にするためには、屈曲部32bは、発光管20の端部を前記軸線lと平行な方向に相対移動させてホルダ43の発光管挿通部44に挿通させるとき、この発光管挿通部44を通ることができるように屈曲させるのが好ましい。しかし、電子部品53を避ける、或いは、主アマルガム31の位置(細管30aの先端部32aの位置)を所望の位置に設定する等で、図3に示すように、屈曲部32bが、発光管20の端部を前記軸線lと平行に相対移動させて発光管挿通部44に挿通させるとき、発光管挿通部44に干渉するように屈曲している場合には、発光管20の端部を前記軸線lに対して傾いた方向から発光管挿通部44に挿し込み、その後、発光管20の端部を前記軸線lに対して平行な方向に向けるようにして挿通させればよい。
【0088】
ところで、本実施形態のように、比較的水銀蒸気圧の高い主アマルガム31を用いた電球形蛍光ランプ10では、一部の水銀が主アマルガム31に吸着されずに細管30a内で金属水銀として析出することがわかった。そのため、直管形の細管30aを用いた場合、細管30aの先端部32aを上側に向けると析出した金属水銀が自重により移動して発光管20内に入り込んでしまうおそれがある。析出した金属水銀が発光管20内に入り込むと発光管20内の水銀蒸気圧が安定しなくなり、これに伴い光束も安定しなくなるという不具合が生じる。
【0089】
細管30a内で析出した金属水銀が発光管20内に入り込むのを抑制するためには、屈曲部32bの傾斜角度θ1(図5(A)参照)は、細管30aの長手方向に対して10°〜90°に設定するのが好ましい。最も好ましくは90°である。このように設定することにより、金属水銀が発光管20内に入り込むのを抑制することができる。
【0090】
細管30aに封入した主アマルガム31もまた、この細管30a内で移動可能である。そのため、直管形の細管30aを用いた場合、細管30aの先端部32aを上側に向けると主アマルガム31が自重により移動して発光管20内に入り込んでしまうおそれがある。主アマルガム31が発光管20内に入り込むと、析出した金属水銀が発光管20内に入り込んだ場合と同様に水銀蒸気圧が安定しなくなり、これに伴い光束も安定しなくなるという不具合が生じる。
【0091】
しかし、この実施形態では、細管30aの中間部に屈曲部32bを形成しているため、先端側部分32c内に収容された主アマルガム31は、発光管20内に入り込み難い。好ましくは、ガラス管を加熱屈曲させる際、屈曲部32bでは内側にガラスが溜まってガラス管の内径が小さくなることを利用し、屈曲部32bの口金42側の入口を主アマルガム31が通過できない程度に狭くするとよい(図5(A)参照)。このようにすることにより、主アマルガム31が発光管20内に入り込むのをより確実に抑制することができる。
【0092】
なお、図5(A)のようにすると、主アマルガム31は屈曲部32bの口金42側の入口までは移動できることになるが、この主アマルガム31はできるだけ温度の低い位置、すなわち、できるだけ先端部32aに保持されるのが好ましい。
【0093】
主アマルガム31をできるだけ先端部32aに保持させるためには、図5(B)或いは(C)で示したように、細管30aの先端側部分32cに内側に凹む凹部33を形成し、主アマルガム31が発光管20側に移動しないようにするとよい。このようにすることにより、簡単な構成で主アマルガム31を細管30aの先端部32aに保持することができる。なお、凹部33は、図5(B)に示すように1個でも、複数個(図5(C)では2個)でもよい。
【0094】
また、図5(D)に示すように、外径が細管30aの内径よりも小さく設定された管体34を先端側部分32cに封入し、主アマルガム31が発光管20側に移動しないように管体34で保持してもよい。さらに、図5(E)に示すように、先端側部分32cに内側に凹む凹部33を形成し、この凹部33よりも口金42側に外径が細管30aの内径よりも小さく設定された管体34を封入してもよい。このようにすることにより、主アマルガム31が発光管20側に移動しないように管体34で保持するとともに、管体34が発光管20側に移動しないように凹部33で保持できるため、図5(D)と比べて管体34を短くし、管体34のコストを節約することができる。以上のように、図5(B)〜(E)に示すように細管30aを形成することで、主アマルガム31を温度の比較的低い先端部32a、つまり口金42側に保持することができる。
【0095】
また、光束の立上がり特性を良好にするには、点灯直後の主アマルガム31の温度はできるだけ高いのが好ましい。そのためには、消灯後の主アマルガム31の時間当たりの温度低下をできるだけ遅くすることが有効である。消灯後の主アマルガム31の時間当たりの温度低下を緩やかにするためには、主アマルガム31の近傍に、大きな熱容量を持った物質、或いは、ランプ点灯時に液化して消灯時に凝固するような物質やランプ点灯時に気化してランプ消灯時に凝縮するような物質を配置するとよい。つまり、熱容量の大きな物質は金属等の熱容量の小さな物質と比べて時間当たりの温度変化が緩やかであるため、この熱容量の大きな物質の保温効果により主アマルガム31の時間当たりの温度低下を緩やかにすることができる。また、ランプ点灯時に液化して消灯時に凝固するような物質やランプ点灯時に気化してランプ消灯時に凝縮するような物質は、ランプ消灯後、熱エネルギーを発生させながら凝固或いは凝縮するため、この放出した熱エネルギーにより主アマルガム31が保温されて時間当たりの温度低下を緩やかにすることができる。
【0096】
これは、例えば、図6(a)に示すように、細管30aの先端側部分32cにポリエチレングリコール(融点70℃)等の低融点物質35を液密状態で封入する、または、図6(b)に示すように、ガラス製の中空キャップ36に低融点物質35を充填し、この中空キャップ36の開口部と先端側部分32cとを溶着することで実現できる。ランプ点灯時は、発光管20から照射される熱により液化する。ランプを消灯して細管30aの先端側部分32cの温度が下がってくると、ポリエチレングリコール等の低融点物質35は熱エネルギーを放出しながら凝固する。この熱エネルギーにより、主アマルガム31は保温されて時間当たりの温度低下は緩やかになり、再点灯後の光束の立上がり特性が改善される。
【0097】
この電球形蛍光ランプ10は、例えば、図7に例示する照明器具に用いることができる。
【0098】
この照明器具1は、天井Cに埋め込まれたダウンライトであり、その器具本体2に取付けられたソケット3には蛍光ランプ10が取付けられている。
【0099】
上述のように規定された電球形蛍光ランプ10を一般照明用電球の照明器具1に用いた場合、電球形蛍光ランプ10の配光が一般照明用電球の配光と近似することで、器具本体2内に配設されたソケット3近傍の反射体への光照射量が十分に確保され、反射体の光学設計どおりの機器特性を得ることができる。しかも電球スタンドのように内部光源のイメージが布製等の光拡散性カバーに映し出される照明器具であっても、電球形蛍光ランプ10の配光が一般照明用電球の配光と近似することで違和感なく使用できる。
【0100】
なお、器具本体2は新設のものであっても既設のものであっても、蛍光ランプ10の口金42が着脱自在に接続されるソケット3を有するものであれば蛍光ランプ10を装着して収容できる。また、照明器具1は、ダウンライトの他にも直付器具等の種々の器具本体2を用いることができる。
【0101】
次に、本実施形態の作用について説明する。点灯時の温度測定箇所を図8に示す。温度測定条件は、周囲温度25℃の無風状態にて口金42上向き点灯とした。このとき、電球形蛍光ランプ10は入力電力12.1Wの約1割が点灯回路で消費されている。
【0102】
各部の温度は夫々次の通りであった。主アマルガム31近傍の細管30a温度T1は55℃、口金42の内側空間温度T2は53℃、カバー体40中央部の空間温度(発熱部品の上端が位置する空間温度)T3は62℃、基板51の上面温度T4は98℃、カバー体40外面の上部温度T5は62℃、中間部温度T6は62℃、発光管20の電極24近傍温度T7は158℃、陽光柱温度T8は136℃、屈曲部32bの温度T9は106℃、グローブ60外面の上部温度T10は81℃、最大外径部温度T11は60℃、頂部温度T12は57℃。
【0103】
このように、点灯装置50の近傍は、主発熱要素である発光管20の上部に位置するため、温度が高くなる。これは熱が上部方向及び外径方向へと拡散すること、及び、点灯装置50のうち主たる発熱部品であるパラスト巻線やトランジスタ近傍には高温の空間ができることを意味している。このような高温領域に実装された部品群よりも口金42側のカバー体40内の空間は比較的温度が低く、この空間に主アマルガム31を位置させることによって、主アマルガム31の温度を低下させている。主アマルガム31に近接する電界コンデンサはほとんど発熱しない部品であり、また、口金42近傍の内部は50〜60℃程度である。ちなみに、主アマルガム31が封入された細管の突出長が約10mmの発光管20を備えた従来例(ショートチップ方式)の主アマルガム31の温度を測定したところ約90℃であった。このように、本実施形態のように主アマルガム31を口金42側に配置させたロングチップ方式では、主アマルガム31の温度を約30〜40℃低下させる効果がある。
【0104】
次に、光束立上がり特性を評価するために、本実施形態、従来例、及び比較例の電球形蛍光ランプ10を夫々利用して点灯させた。従来例は、ビスマス(Bi)−インジウム(In)系の主アマルガム31が封入された細管の突出長が約10mmの発光管20(ショートチップ方式)を備えたもの、比較例1は、上記実施形態(ロングチップ方式)のもので補助アマルガム27をインジウムからなる補助アマルガムに変えたもの、比較例2は、上記実施形態(ロングチップ方式)のもので補助アマルガム27を取り除いたものであり、本実施形態とともに夫々の光束立上がり特性を測定した。測定の条件は、100Vの商用交流電源による点灯、周囲温度を25℃とし、無風状態にて口金42上向き点灯とした。このときの入力電流と消費電力は全て194mA、12.1Wであった。
【0105】
図9は、その測定結果を示す図であり、点灯開始から経過時間毎の光束の変化を表している。図において、線aが本実施形態を、線bが比較例1を、線cが比較例2を、線dが従来例を夫々示している。点灯直後の光束は、
比較例2>本実施形態>比較例1>従来例
の順番となった。
【0106】
しかし、点灯開始から2〜3秒経過したあたりから、
本実施形態>比較例1>従来例>比較例2
の順番となった。比較例2はその後の数分間いわゆる薄ぼんやりとした明るさの状態が続く結果となった。
【0107】
一方、比較例1は、水銀蒸気圧が速やかに上昇して従来例よりも立上がり特性が改善されることがわかるが、点灯直後の光束は従来例と大差がなかった。
【0108】
これに対し、本実施形態の電球形蛍光ランプ10は、点灯直後に補助アマルガム27から適量の水銀が放出されるので、水銀不足現象が起こることがなく、光束が早期に立上がり、点灯開始から5秒経過時点で安定点灯時の約50%の光出力が得られ、約25秒経過時点では同約85%の光出力が得られることが確認された。
【0109】
以上のように、本実施形態では、主アマルガム31が比較的温度の低いカバー体40内の口金42側の空間に配置されるため、水銀蒸気圧が高い特性を有する主アマルガム31を使用することが可能となり、簡単な構成で光束立上がり特性を向上させることができる。
【0110】
また、本実施形態によれば、細管の屈曲部32bより先端側部分32cを屈曲部32bより発光管側の根元部32dに対して口金42の中心C1を通る軸線lに近づけて配置したので、細管30aの先端側部分32cを前記軸線l側に寄せることができ、電球形蛍光ランプ10の外形状を大形化させることなく主アマルガム31を口金42側に配置させることができる。
【0111】
しかも、細管30aの屈曲部32bを基板51よりも発光管20側に配置するとともに、細管30aの先端側部分32cを細管挿通孔52に挿通させて口金42側に延在させているため、細管挿通孔52の大きさは先端側部分32cが挿通可能な大きさでよく、基板51の遮熱効果の低減を抑制することができる。
【0112】
さらに、屈曲部32bを基板51よりも発光管20側に配置しているため、細管30aの先端側部分32cを口金42の中心C1を通る軸線lと平行な方向に相対移動させて基板51の細管挿通孔52に挿通させ、口金42側に延在させることができる。したがって、中間部に屈曲部32bが形成されていても、細管30aの先端側部分32cを前記軸線lに対して傾いた方向から細管挿通孔52に挿し込んで組立てる必要がないため、組立性が良好である。
【0113】
以下、図10〜図13を参照して本発明の第2の実施形態を説明する。
【0114】
本実施形態の電球形蛍光ランプ10では、図10に示すように、発光管20の端部を口金42の中心C1を通る軸線lと平行な方向に相対移動させてホルダ43の発光管挿通部44に挿通させると、細管30aの屈曲部32bが発光管挿通部44からはみ出る形状に形成されている。そのため、図11に示すように、発光管挿通部44に開放する切り欠き部45を形成している。この切り欠き部は、発光管20の端部を前記軸線lと平行な方向に相対移動させてこの挿通部44に挿通させるとき、細管30aの屈曲部32bが挿通部44からはみ出してホルダ43に接触する領域に対応させて形成されている。したがって、発光管20の端部を発光管挿通部44に挿通させるとき、屈曲部32bは切り欠き部45に通される。
【0115】
また、本実施形態では、細管30aの屈曲部32bを基板51よりも口金42側に配置させている。そのため、基板51の細管挿通部は、細管30aの先端側部分32cを前記軸線lと平行な方向に相対移動させたとき、細管30aの先端側部分32cだけでなく、細管30aの屈曲部32bも挿通可能であるように長円形状に形成するとよい。この実施形態では、細管挿通部を長円形状の切り欠き部52aとしている。なお、細管挿通部は孔部としてもよい。
【0116】
また、本実施形態では、図13に示すように、屈曲部32bの根元部32d側端部と先端側部分32c側端部とを結ぶ直線mが電解コンデンサ53aと他の電子部品53とを電気的に接続する一対のリード線55の基板接続部55a同士を結ぶ直線nと平行且つ同一線上となるように、基板51の切り欠き部52aの位置が設定されている。そして、この基板51の切り欠き部52aが発光管挿通部44に開放する切り欠き部45の上方に位置するように、基板51とホルダ43との位置関係が設定されている。他の構成は、上述した第1の実施形態と同じであるから、重複する説明は図10〜図12に同符号を付して省略する。
【0117】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様、主アマルガム31が比較的温度の低いカバー体40内の口金42側の空間に配置されるため、水銀蒸気圧が高い特性を有する主アマルガム31を使用することが可能となり、簡単な構成で光束立上がり特性を向上させることができる。
【0118】
また、本実施形態では、発光管20の端部を発光管挿通部44に挿通させるとき、屈曲部32bは切り欠き部45に通されるため、図12に示すように、発光管20の端部を口金42の中心C1を通る軸線lと平行な方向に相対移動させて発光管挿通部44に挿通させることができる。つまり、発光管20の端部を前記軸線lに対して傾いた方向から発光管挿通部44に挿し込んで組立てる必要がないため、組立性が良好である。
【0119】
したがって、本実施形態によれば、電子部品53を避ける、或いは、主アマルガム31の位置すなわち細管30aの先端部32aの位置を所望の位置にさせる等、屈曲部32bが発光管挿通部44からはみ出すような場合であっても、良好に組立てることができる。
【0120】
さらに、本実施形態によれば、屈曲部32bの根元部32d側端部と先端側部分32c側端部とを結ぶ直線mが電解コンデンサ53aと他の電子部品53とを電気的に接続する一対のリード線55の基板接続部55a同士を結ぶ直線nと平行となるように、屈曲部32bが保持部の切り欠き部45に通されるとともに、基板51の切り欠き部52aに通される。そのため、組立の際に細管30aが電解コンデンサ53aに触れたとしても、一対のリード線55は直線nと平行な方向からの力では撓み難いことから、電解コンデンサ53aが傾き難い。したがって、カバー体40に点灯装置50を収容させる際に、電解コンデンサ53aがカバー体40の内壁面に接触して前記収容を阻害するのを抑制することができるので、組立性がさらに向上する。
【0121】
以下、図14を参照して本発明の第3の実施形態を説明する。
【0122】
本実施形態では、屈曲部32bの根元部32d側端部と先端側部分32c側端部とを結ぶ直線mが電解コンデンサ53aと他の電子部品53とを電気的に接続する一対のリード線55の基板接続部55a同士を結ぶ直線nと直交するように、基板51の切り欠き部52aの位置が設定されている。他の構成は、上述した第2の実施形態と同じであるから、重複する説明は図14に同符号を付して省略する。
【0123】
本実施形態によれば、第2の実施形態と同様の効果が得られる。また、本実施形態によれば、屈曲部32bの根元部32d側端部と先端側部分32c側端部とを結ぶ直線mが電解コンデンサ53aと他の電子部品53とを電気的に接続する一対のリード線55の基板接続部55a同士を結ぶ直線nと直交するように、屈曲部32bが保持部の切り欠き部45に通されるとともに、基板51の切り欠き部52aに通される。そのため、組立の際に細管30aが電解コンデンサ53aに触れたとしても、一対のリード線55は直線nと直交する方向からの力では撓み易いことから、リード線55が撓んで電解コンデンサ53aが細管30aから離れる方向に容易に倒れる。したがって、リード線55の基板接続部55aに歪みがかかり難く、リード線55と基板51上の配線とを電気的に接続するはんだ等に与えるストレスが低減されるので、電解コンデンサ53aと他の電子部品53との間の電気的な接触不良を抑制することができる。
【0124】
以下、図15〜図17を参照して本発明の第4の実施形態を説明する。
【0125】
本実施形態の電球形蛍光ランプ10では、図14に示すように、発光管20の端部の中心C2と細管30aの先端部32aの中心C3とを結ぶ線が、発光管20の端部の中心C2と口金42の中心C1とを結ぶ直線に対して、−45°〜+45°の角度範囲内、最も好ましくは0°に設定されている。また、細管30aの屈曲部32bは、発光管20の端部を口金42の中心C1を通る軸線lと平行な方向に相対移動させてホルダ43の発光管挿通部44に挿通させるとき、この発光管挿通部44を挿通できるように屈曲している。
【0126】
また、本実施形態では、細管30aの屈曲部32bを基板51よりも口金42側に配置させている。そのため、基板51の細管挿通部は、細管30aの先端側部分32cを前記軸線lと平行な方向に相対移動させたときに細管30aの先端側部分32cだけでなく、細管30aの屈曲部32bも挿通可能であるように長円形状に形成するとよい。この実施形態では、細管挿通部を長円形状の挿通孔52bとしている。なお、細管挿通部は切り欠き部としてもよい。
【0127】
また、本実施形態では、図17に示すように、電解コンデンサ53aは挿通孔52bから離れるように基板51の中心Oからずらして立設されている。さらに、屈曲部32bの根元部32d側端部と先端側部分32c側端部とを結ぶ直線mが電解コンデンサ53aと他の電子部品53とを電気的に接続する一対のリード線55の基板接続部55a同士を結ぶ直線nと平行且つ同一線上となるように、基板51の挿通孔52bの位置が設定されている。他の構成は、上述した第1の実施形態と同じであるから、重複する説明は図15〜図17に同符号を付して省略する。
【0128】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、主アマルガム31が比較的温度の低いカバー体40内の口金42側の空間に配置されるため、水銀蒸気圧が高い特性を有する主アマルガム31を使用することが可能となり、簡単な構成で光束立上がり特性を向上させることができる。
【0129】
また、本実施形態によれば、細管30aの屈曲部32bは、発光管20の端部を発光管挿通部44に挿通させるとき、この挿通をホルダ43で妨げられないように、発光管20の端部の中心C2と口金42の中心C1とを結ぶ直線に対して−45°〜+45°の角度範囲内に、発光管20の端部の中心C2と細管30aの先端部32aの中心C3とを結ぶ直線を配置させて屈曲している。そのため、発光管20の端部を口金42の中心C1を通る軸線lと平行な方向に相対移動させて発光管挿通部44に挿通させることができる。つまり、発光管20の端部を前記軸線lに対して傾いた方向から発光管挿通部44に挿し込んで組立てる必要がないため、組立性が良好である。しかも、発光管挿通部44を発光管20の端部が挿通可能な大きさよりも大きく設定したり、発光管挿通部44に切り欠き部を形成する等の必要がなく、ホルダ43による遮熱効果を低減させることもない。
【0130】
さらに、本実施形態によれば、細管30aは、発光管20の端部を発光管挿通部44に挿通させるとき、この挿通をホルダ43で妨げられないように、発光管20の端部の中心C2と口金42の中心C1とを結ぶ直線に対して−45°〜+45°の角度範囲内に、発光管20の端部の中心C2と細管30aの先端部32aの中心C3とを結ぶ直線を配置させて屈曲部32bを屈曲させたものであれば、組立性が良好な状態で、電子部品53を避ける、或いは、主アマルガム31の位置すなわち細管30aの先端部32aの位置を所望の位置にする等、細管30aを所望の位置に配置することが可能である。
【0131】
また、本実施形態によれば、電解コンデンサ53aが基板51の略中心から挿通孔52bから離れるようにずれて立設されているので、電解コンデンサ53aと細管30aとの間を広く確保でき、組立時に電解コンデンサ53aと細管30aとが接触するのを抑制できるため組立性を向上させることができる。
【0132】
また、基板51の略中央に夫々配設された電解コンデンサ53a及び細管30aの先端側部分32cはカバー本体41の上端円筒状部分の内側に位置するため、この内壁に接触することなく収容することができる。
【0133】
さらに、本実施形態によれば、発光管20の端部を発光管挿通部44に挿通させるとき、前記直線mが前記直線nと平行となるように、屈曲部32bが基板51の挿通孔52bに通される。そのため、電解コンデンサ53aと細管30aとが接触したとしても、第2の実施形態と同様に、電解コンデンサ53aが傾き難いので、組立性をさらに向上させることができる。
【0134】
以下、図18を参照して本発明の第5の実施形態を説明する。
【0135】
本実施形態では、屈曲部32bの根元部32d側端部と先端側部分32c側端部とを結ぶ直線mが電解コンデンサ53aと他の電子部品53とを電気的に接続する一対のリード線55の基板接続部55a同士を結ぶ直線nと直交するように、基板51の切り欠き部52aの位置が設定されている。他の構成は、上述した第4の実施形態と同じであるから、重複する説明は図18に同符号を付して省略する。
【0136】
本実施形態によれば、第4の実施形態と同様の効果が得られる。また、本実施形態によれば、発光管20の端部を発光管挿通部44に挿通させるとき、前記直線mが前記直線nと平行となるように、屈曲部32bが基板51の挿通孔52bに通される。そのため、電解コンデンサ53aと細管30aとが接触したとしても、第3の実施形態と同様に、リード線55の基板接続部55aに歪みがかかり難いので、電解コンデンサ53aと他の電子部品53との間の電気的な接触不良を抑制することができる。
【0137】
なお、細管30aの屈曲部32bと電解コンデンサ53aとの位置関係は、組立性を優先させるか、電解コンデンサ53aと他の電子部品53との間の電気的な接触不良の抑制を優先させるかによって、前記直線mと前記直線nとを直交させるか平行にするかを選択して実施すればよい。
【0138】
第2及び第4の実施形態では、屈曲部32bの根元部32d側端部と先端側部分32c側端部とを結ぶ直線m及び一対のリード線55の基板接続部55a同士を結ぶ直線nとが同一線上となるように設定されているが、前記直線mと前記直線nとは平行であれば同一線上になくてもよい。
【0139】
第2〜第5の実施形態では、前記直線mと前記直線nとの位置関係が所定の位置関係(平行或いは直交)となっていればよく、その際、前記直線m及び前記直線nは基板51の中心Oを通っても通らなくてもよい。
【0140】
第4及び第5の実施形態のように、電解コンデンサ53aを挿通孔52bから離れるように基板51の中心Oからずらして立設させる際、電解コンデンサ53aは前記直線m上であってもなくてもよい。
【0141】
第2〜第5の実施形態では、第1の実施形態のように、細管30aの屈曲部32bを基板51よりも発光管20側に配置させるものとし、基板51の細管挿通孔52を細管30aの先端側部分32cが挿通可能な円形状に形成してもよく、このようにすることにより、基板51の遮熱効果の低減を抑制できる。その場合、細管30aの屈曲部32bと電解コンデンサ53aとの位置関係を留意する必要はない。
【0142】
【発明の効果】
請求項1〜7に係る発明によれば、簡単な構成で光束の立上がり特性を改善することができ、しかも組立性が良好な電球形蛍光ランプが得られる。
【0143】
請求項8に係る発明の照明器具によれば、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の蛍光ランプを備えるので、簡単な構成で光束の立上がり特性を改善することができ、しかも組立性が良好な蛍光ランプを備えた照明器具が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る電球形蛍光ランプを一部断面して示す側面図。
【図2】 図1の蛍光ランプが備える発光管の構造を説明する展開図。
【図3】 図1のX−X線に沿って示す断面図。
【図4】 図1の蛍光ランプが備える点灯装置の基板を示す正面図。
【図5】 (A)〜(E)は図1の蛍光ランプが備える細管の構造を示す側面図。
【図6】 (a)及び(b)は図1の蛍光ランプが備える他の細管の構造を示す断面図。
【図7】 図1の蛍光ランプを備えた本発明の第1実施形態に係る照明器具を示す断面図。
【図8】 図1の蛍光ランプの点灯時の温度分布を説明する一部断面した側面図。
【図9】 図1の蛍光ランプの点灯時の光束立上がり特性を説明する図。
【図10】 本発明の第2の実施形態に係る電球形蛍光ランプを一部断面して示す側面図。
【図11】 図10のY−Y線に沿って示す断面図。
【図12】 図10の蛍光ランプが備える細管とホルダの挿通孔との関係を示す断面図。
【図13】 図10の蛍光ランプが備える基板に実装された電解コンデンサと細管の屈曲部との位置関係を説明する平面図。
【図14】 本発明の第3の実施形態に係る電球形蛍光ランプが備える基板に実装された電解コンデンサと細管の屈曲部との位置関係を説明する平面図。
【図15】 本発明の第4の実施形態に係る電球形蛍光ランプを一部断面して示す側面図。
【図16】 図15のZ−Z線に沿って示す断面図。
【図17】 図15の蛍光ランプが備える基板に実装された電解コンデンサと細管との位置関係を説明する平面図。
【図18】 本発明の第5の実施形態に係る電球形蛍光ランプが備える基板に実装された電解コンデンサと細管の屈曲部との位置関係を説明する平面図。
【符号の説明】
1…照明器具、 10…蛍光ランプ、 20…発光管、 21a,21b,21c…屈曲バルブ、 30a…細管、 31…主アマルガム、 32b…屈曲部、 40…カバー体、 42…口金、 43…保持部(ホルダ)、 44…発光管挿通部、 45…切り欠き部、 50…点灯装置、 51…基板、 52…細管挿通部(細管挿通孔)、 53…電子部品、l…軸線、 C1…口金の中心、 C2…発光管の端部の中心、 C3…細管の先端部の中心
Claims (8)
- 屈曲形バルブを有する発光管と、
基板及びこの基板に実装された電子部品を有し、高周波電力を前記発光管に出力する点灯装置と、
一端側に口金が設けられ、他端側に前記発光管を保持する保持部を有し、前記基板を装着して前記点灯装置を収容したカバー体と、
前記発光管のバルブ外径よりも細く形成されるように前記発光管端部から突出して中間部に屈曲部を有し、この屈曲部より先端側部分および前記屈曲部より前記発光管側の根元部が前記口金の中心を通る軸線に対していずれも略平行であり、かつ前記先端側部分が前記根元部よりも前記軸線に近づけて配置されるように前記屈曲部が形成され、前記先端側部分の内部にアマルガムを収容した細管と、を具備していることを特徴とする電球形蛍光ランプ。 - 屈曲形バルブを有する発光管と、
基板及びこの基板に実装された電子部品を有し、高周波電力を前記発光管に出力する点灯装置と、
一端側に口金が設けられ、他端側に前記発光管を保持する保持部を有し、前記基板を装着して前記点灯装置を収容したカバー体と、
前記発光管のバルブ外径よりも細く形成され、前記発光管の端部から突出して中間部に屈曲部を有し、この屈曲部より先端側部分が前記屈曲部より前記発光管側の根元部に対して前記口金の中心を通る軸線に近づけて配置され、かつ、内部にアマルガムを収容し、前記屈曲部を前記基板よりも前記発光管側に配置するとともに、前記先端側部分が前記口金側に延在された細管と、を具備していることを特徴とする電球形蛍光ランプ。 - 屈曲形バルブを有する発光管と、
基板及びこの基板に実装された電子部品を有し、高周波電力を前記発光管に出力する点灯装置と、
口金が一端側に設けられているとともに、前記発光管の端部が挿通可能な発光管挿通部及びこの挿通部に開放する切り欠き部を有して前記発光管を保持する保持部が他端部に設けられており、前記電子部品の大部分が前記口金側に配置されるように前記基板を装着して前記点灯装置を収容したカバー体と、
前記発光管のバルブ外径よりも細く形成され、前記発光管の端部から突出して中間部に屈曲部を有し、この屈曲部より先端側部分が前記屈曲部より前記発光管側の根元部に対して前記口金の中心を通る軸線に近づけて配置され、かつ、前記先端側部分は前記電子部品のうちの発熱量が比較的多い素子よりも前記口金側に延在し内部にアマルガムを収容してなり、前記発光管の端部を前記発光管挿通部に挿通させるとき、前記屈曲部が前記切り欠き部に通される細管と、を具備していることを特徴とする電球形蛍光ランプ。 - 屈曲形バルブを有する発光管と、
基板及びこの基板に実装された電子部品を有し、高周波電力を前記発光管に出力する点灯装置と、
口金が一端側に設けられているとともに、前記発光管の端部が挿通可能な発光管挿通部を有して前記発光管を保持する保持部が他端部に設けられており、前記電子部品の大部分が前記口金側に配置されるように前記基板を装着して前記点灯装置を収容したカバー体と、
前記発光管のバルブ外径よりも細く形成され、前記発光管の端部から突出して中間部に屈曲部を有し、この屈曲部より先端側部分が前記屈曲部より前記発光管側の根元部に対して前記口金の中心を通る軸線に近づけて配置され、かつ、前記先端側部分は前記電子部品のうちの発熱量が比較的多い素子よりも前記口金側まで延在するとともに内部にアマルガムを収容してなり、前記発光管の端部を前記発光管挿通部に挿通させるとき、前記屈曲部が前記挿通を前記保持部で妨げられないように屈曲している細管と、を具備していることを特徴とする電球形蛍光ランプ。 - 屈曲部が、発光管の端部の中心と口金の中心とを結ぶ直線に対して−45°〜+45°の角度範囲内に、前記発光管の端部の中心と細管の先端部の中心とを結ぶ直線を配置させて屈曲していることを特徴とする請求項4に記載の電球形蛍光ランプ。
- 基板に実装された電子部品のうち電界コンデンサは前記基板に立設される一対のリード線を有しており、前記一対のリード線の基板接続部同士を結ぶ直線と細管の屈曲部の根元部側端部と先端側部分側端部とを結ぶ直線が直交していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電球形蛍光ランプ。
- 基板に実装された電子部品のうち電界コンデンサは前記基板に立設される一対のリード線を有しており、前記一対のリード線の基板接続部同士を結ぶ直線と細管の屈曲部の根元部側端部と先端側部分側端部とを結ぶ直線が平行していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電球形蛍光ランプ。
- 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の蛍光ランプと、この蛍光ランプが着脱自在に装着される器具本体と、を具備していることを特徴とする照明器具。
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JP2004165122A (ja) | 2004-06-10 |
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