JP4310676B2 - 蛍光ランプおよび照明器具 - Google Patents

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  • Discharge Lamp (AREA)
  • Vessels And Coating Films For Discharge Lamps (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電球形蛍光ランプおよび照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年電球形蛍光ランプは、一般白熱電球に相当する程度にまで小形化され、ランプ技術および点灯回路技術の発展によりランプ効率も向上してきている。しかし、一般白熱電球に類似した外観となる装飾効果をもたせるためにバルブをグローブで覆った形態の電球形蛍光ランプの一層の小形化に伴い、本体表面積がさらに小さくなり、点灯中グローブ内の温度が高温になる傾向にある。このように高温点灯する電球形蛍光ランプのバルブ内に純水銀を封入した場合、バルブ内の水銀蒸気圧が過度に上昇し、光出力が低下する。このため、高温点灯するような電球形蛍光ランプには、インジウム(In)、鉛(Pb)、(Sn)、およびビスマス(Bi)などと水銀(Hg)との合金であるアマルガムをバルブ内に封入して水銀蒸気圧を制御し、発光効率を向上させている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
一方、アマルガムが使用されたバルブは、点灯開始から所定の光束で出力されるまで時間がかかり、光束立上り特性が悪いという欠点がある。これは、点灯前のバルブが室温程度の低温の場合には、点灯開始直後はアマルガム制御によって水銀蒸気圧が低下しているため暗く、バルブの温度が上昇するにしたがって水銀蒸気圧が上昇し、ゆっくりと明るくなるためである。この光束立上り特性を改善するために、電極近傍などにインジウム(In)などからなる補助アマルガムを設け、点灯開始直後に必要な水銀をバルブ内に供給し、始動時の光束立上り特性を向上させている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−243913号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平11−233065号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このようなアマルガムと補助アマルガムとの両者を設けた電球形蛍光ランプの消灯中のバルブ内の水銀蒸気圧は、アマルガムから補助アマルガムへと水銀が平衡状態になるまで移動する。そして、点灯直後電極近傍に設けられた補助アマルガムから放出された水銀は、バルブの放電路内に拡散し、数分でほぼバルブ内全域にわたり所望の水銀蒸気圧が得られる。
【0007】
しかしながら、補助アマルガムを備えた電球形蛍光ランプであっても、点灯直後の水銀蒸気圧を速やかに上昇させて所望の明るさを確保することは困難であり、さらなる光束立上り特性の改善が求められている。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、点灯直後の光束立ち上り特性が向上し、水銀の蒸気圧を所望に制御できる電球形蛍光ランプおよび、この電球形蛍光ランプを具備した照明装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の電球形蛍光ランプは、屈曲バルブを有する蛍光ランプと;一端側に口金が設けられ、他端側に蛍光ランプが取付けられたカバー体と;前記蛍光ランプを点灯させる点灯回路を構成する複数の電子部品が実装された回路基板を有しており、この回路基板の表面がカバー体の一端から他端に向かう軸線に対して平行となるように配置されてカバー体内の空間を少なくとも二分割するようにカバー体内に収容された点灯装置と;前記蛍光ランプを構成する屈曲バルブ端部に連通して封着され、回路基板によって分割されたカバー体内のいずれかの空間に、回路基板に対向するように突出するとともに、その先端が口金内側まで延在する細管と;前記細管内の口金内側に位置するように封入されたアマルガムと;を具備していることを特徴とするものである
【0010】
本発明者らは、光束立上り特性を改善するために、安定点灯時のアマルガム温度を低くすることに着目して検討を進めた。すなわち、アマルガムは、安定点灯時に最適な水銀蒸気圧に制御するものであるため、例えばビスマス(Bi)−インジウム(In)系のアマルガムでは、90〜130℃の高温下であっても、バルブ内の水銀蒸気圧を最適値に制御する。しかし、このようなアマルガムは純水銀よりも水銀蒸気圧が低い特性を有しているため、消灯後周囲温度約25℃の雰囲気で放置された後の点灯瞬時の水銀蒸気圧は非常に低く、自己発熱によって高温雰囲気に至るまでは光束が低い。したがって、安定点灯時のアマルガムの温度を低くできれば、アマルガムによって水銀蒸気圧を過度に低く制御する必要がなくなり、点灯瞬時の水銀蒸気圧を高くできるので、光束の立上りが改善することが可能となる。
【0011】
そこで、細管の先端が点灯装置側に位置するように細管を延長させ、水銀蒸気圧が比較的高いアマルガムが点灯装置の口金側に位置するように細管内に封入した電球形蛍光ランプを試作して点灯させた。その結果、点灯直後の光束立上りが良好で、かつ安定点灯時の光束が低下することのない光出力特性が得られた。
【0012】
カバー体内の空間の温度は、蛍光ランプから離間するほど温度が低くなる。これは、上述のとおりカバー体内の空気がよどんでおり、カバー体内の対流があまり起こっていないためと考えられる。実際には、バルブ端部から15mm以上離間した位置の空間の温度は約40〜60℃となるので、この空間にアマルガムを位置させるのが最適である。しかし、アマルガムからバルブまでの距離が大きくなるほど高さ方向の寸法が大きくなって電球形蛍光ランプが大形化してしまい、またアマルガムからバルブ内に水銀蒸気が拡散するまでの時間がかかってしまうので、バルブ端部からアマルガムまでの離間距離は60mm以下、好ましくは45mm以下にする必要がある。
【0013】
回路基板によりカバー体内空間を少なくとも二分割しているとは、1枚の回路基板によりカバー体内の空間を区分けしていることを意味する。ここで空間を分割するとは、両者の空間の境界位置に回路基板を設けることであり、両者の間に若干の隙間があることを許容する。また、回路基板に実装する電子部品の配置、数などにより回路基板を2枚以上使用することでカバー体内空間を3分割以上にしていても良い。すなわち、バルブ端部から延出している細管がカバー体内の口金側であり、回路基板に対向する位置まで突出するよう配置していれば、カバー体を大きくすることなく点灯装置の収容が可能であればよい。
【0014】
屈曲バルブは、直管状ガラスバルブのほぼ中央部を加熱溶融し、屈曲するか、またはガラスバルブをモールド成形することによってU字状に屈曲した形状に形成される。屈曲部が湾曲状または円弧状に形成されたものに限定されず、屈曲部が角形状や尖鋭状に形成されたものも含むという意味である。要するに、放電路が屈曲するように直線部の一端同士が連続するように形成されたバルブを意味する。また、屈曲バルブは、ほぼ平行な2本の直線部の一端同士を吹き破りなどによって形成された連通管によって接続されたものや、スパイラル状に形成されたものであってもよい。なお、屈曲バルブはガラス製でなくてもよく、透光性気密容器を形成可能なセラミックスなどの材質で形成することが許容される。
【0015】
屈曲バルブの内面には直接または間接的に蛍光体層が被着されている。
【0016】
バルブ内に形成された放電路の両端位置に電極が封装されている。電極はフィラメントからなる熱陰極、電子放射物質が坦持されたセラミック電極、ニッケルなどから形成された冷陰極などが挙げられる。
【0017】
バルブには、内部に放電媒体が封入されている。放電媒体としては、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノンなどの不活性ガスおよび水銀からなる。
【0018】
細管は、屈曲バルブの端部に封着されたものであり、アマルガム封入用として使用される他、排気管として使用されるものであってもよい。細管は、アマルガムが点灯装置の収容空間のうち口金側に位置するように封入されるため、その先端が口金側に伸びるように延長されている。
【0019】
細管内に封入されるアマルガムは、点灯直後の水銀蒸気圧が純水銀に近く、安定点灯時の水銀蒸気圧も適正な値に制御可能な特性を有するものが使用される。例えば、アマルガムの温度が25℃のときに0.1〜0.24Pa、好ましくは0.15〜0.24Paであって、アマルガムの温度が50〜60℃のときに1.0〜2.0Paとなるものが好ましい。なお、アマルガムを封入するにあたっては、点灯直後の水銀蒸気拡散を補うため、補助アマルガムをバルブ内に配置することが好ましいが、この補助アマルガムは必須ではなく、点灯直後にバルブ内に適度な水銀蒸気拡散が起こる条件でバルブが構成されていればアマルガムのみを封入したものであってもよい。
【0020】
カバー体は、一端側に口金が取付けられるとともに他端側にバルブを支持する保持体を備えたものであり、内部に点灯装置の収容空間が形成されている。保持体は、バルブの端部が挿入可能な形状を有するホルダとしてカバー体とは別体構造とするのが好ましいが、カバー体と一体構造であっても構わない。
【0021】
口金は、白熱電球用のE形と称されるねじ込みタイプが通常使用されるが、これに限定されない。また、口金は、カバー体に直接装着される必要はなく、間接的にケースに装着されるものやカバー体の一部が口金を構成するものであってもよい。
【0022】
点灯装置は、カバー体内に収容されるものである。点灯装置の基板は、カバー体に対して直接的または間接的に取付けられて収納されている。点灯装置は、平滑用電解コンデンサを備えるものが一般的であるが、これに限定されない。
【0023】
請求項1の電球形蛍光ランプによれば、アマルガムが比較的温度の低いカバー体内の口金内側の空間に配置されるため、水銀蒸気圧が高い特性を有するアマルガムを使用することが可能となり、簡単な構成で光束立上り特性を向上させることが可能となる。
【0024】
請求項2記載の電球形蛍光ランプは、請求項1記載の電球形蛍光ランプの二分割されたカバー体内空間の第一の空間側には、電極が封装されたバルブ端部が位置し、第二の空間内には、アマルガムが封入している細管が配設されていることを特徴とするものである。
カバー体内空間は、カバー体の一端から他端に向かう方向に対して略平行するよう配置された回路基板によって第一の空間および第二の空間に分割される。
【0025】
一対の電極を封装したバルブ端部を第一の空間に配置すると、点灯中比較的高温となる電極の熱影響を受け、カバー体の第一の空間内は高温状態となる。したがって、第一の空間側に実装された電子部品は、その熱影響に耐えられる比較的耐熱性の高い電子部品を実装することが望ましい。
【0026】
カバー体内の第二の空間は、点灯中主に蛍光ランプに封装された電極から熱影響を受けるものの、回路基板によって比較的高温となる第一の空間と第二の空間に遮蔽される。しかし、このカバー体内空間を多少空気が通流する程度の隙間が形成されていても、回路基板が遮蔽壁となりカバー体内空間内の対流を一層抑制しうるため、第一の空間および蛍光ランプから熱影響を受けることが抑制される。
【0027】
アマルガムが封入された細管は、カバー体内第二の空間内の口金側に突出するよう設けられているため、第二の空間の蛍光ランプに近い空間は多少熱影響を受け暖められるが、蛍光ランプから比較的離間している口金側の空間は、カバー体内で比較的温度が低くなる。そのため、より純水銀に似た水銀蒸気圧特性を有するアマルガムを使用することが可能となる。
【0028】
さらに、第二の空間に実装された複数の電子部品は、熱的に弱い電子部品を実装したとしても熱影響による破損などを防止することができる。
【0029】
請求項2記載の蛍光ランプによれば、請求項1の作用に加え、電極が封装されたバルブ端部が位置していない第二の空間内にアマルガムが封入されている細管を配設することで、純水銀に近い水銀蒸気圧を有するアマルガムを確実に使用することが可能となり、光束立上り特性が向上する。また、複数の電子部品を耐熱性に合わせてそれぞれの空間に実装することで、電子部品の熱影響による破損を防止することができ、信頼性の高い点灯装置を提供することができる。
【0030】
請求項3記載の照明器具は、請求項1または2記載の電球形蛍光ランプと;この電球形蛍光ランプが装着された器具本体と;を具備していることを特徴とするものである。
【0031】
請求項3記載の照明器具によれば、請求項1または2記載の発明の作用を有する電球形蛍光ランプを備えた照明器具を提供することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電球形蛍光ランプの一実施形態を図面を参照して説明する。
【0033】
図1は第一の実施形態である電球形蛍光ランプの断面図、図2は図1のカバー体部分を示す拡大断面図、図3は図1の回路基板組立拡大図である。
【0034】
図1において、10は電球形蛍光ランプで、この電球形蛍光ランプ10は、口金11を有するカバー体12と、カバー体12の一部としてカバー体12の開口部に装着された保持部としてのホルダ13と、カバー体12に収納された点灯装置20と、透光性を有するグローブ30と、このグローブ30に収納された蛍光ランプ40を構成する複数のバルブ41とを備えている。そして、グローブ30とカバー体12とから構成される外囲器は、定格電力60W形相当の白熱電球などの一般照明用電球の規格寸法に近似する外形に形成されている。すなわち、口金11を含む高さは110〜125mm程度、直径すなわちグローブ30の最大外径が50〜60mm程度、カバー体12の最大外径が40mm程度に形成されている。なお、一般照明用電球とはJIS C 7501に定義されるものである。
【0035】
バルブ41の内面には、アルミナ(Al2O3)微粒子からなる保護膜(図示しない)とその上に蛍光体層(図示しない)が形成されている。蛍光体層は三波長発光形蛍光体から構成されている。なお、三波長発光形蛍光体には、赤、青、緑の各色に発光する上記蛍光体以外に、他の色に発光する蛍光体を混合して所望の色度に発光するように調製してもよい。
【0036】
蛍光ランプ40は、略同形状の3本のU字状屈曲形バルブ41を所定の位置に配置し、連通管42を介して順次接続することによって、1本の放電路が形成されている。
【0037】
3本のガラスバルブ41は、バルブ41の直線部が円周上に位置するように配設しており、各屈曲部が三角形状をなすよう構成されている。なお、屈曲バルブ41を4本使用して屈曲部が四角形状をなすように構成してもよい。
【0038】
各バルブ41は、管外径が約11mm、管内径が約9.4mm、肉厚が約0.8mmの無鉛ガラス製で、110〜130mm程度の直管ガラスバルブの中間部を滑らかに湾曲するように屈曲形成したものであり、屈曲部を備えた略U字状に形成されている。この屈曲部は、直管ガラスバルブの中間部を加熱して屈曲した後、屈曲バルブの屈曲箇所を成形型に入れ、バルブ内部を加圧することによって所望形状に成形される。この成形型の形状によって、屈曲部の形状を任意に成形することが可能である。
【0039】
屈曲バルブ41の端部41aは、ピンチシールなどにより、一端部が封着されているとともに、他端部には内径2〜5mmの細管43がピンチシールによって封着されている。中間の屈曲バルブ41に封着された細管43内には主アマルガム50が封入されている。
【0040】
蛍光ランプ40の両側に位置する屈曲バルブ41の非連通管側の一端部には、電極44としてのフィラメントコイルが、一対のウエルズに支持されて配置されている。一対のウエルズは、両端の屈曲バルブ41の端部41aにマウントを用いないピンチシールなどにより封着されたジュメット線を介して、屈曲バルブ41の外部に導出されたランプ側ワイヤーに接続されている。そして蛍光ランプ40から導出された2対すなわち4本のランプ側ワイヤーは、点灯装置20の図示しないラッピングピンに電気的に接続されている。
【0041】
中間の屈曲バルブ41の所望の一端部および電極44近傍のウエルズには図示しない補助アマルガムが設けられている。中間の屈曲バルブ41に設けられた補助アマルガムは、ピンチシールなどにより封着されたウエルズに取付けられており、放電路の中間位置に配設される。補助アマルガムは例えばステンレスの基板金(Au)または銀(Ag)を約3mgメッキしたものである。
【0042】
中間の屈曲バルブ41に封着された細管43は、その先端がカバー体12内の口金11側に位置するように屈曲バルブ41の端部からの突出長が15〜50mmの長さであることが好ましく、本実施形態では直線長さにして約45mmで突出している。細管43は、カバー体12の内壁に当接しないよう屈曲バルブ41の端部から細管43先端までの突出高さは約40mmである。
【0043】
アマルガム50は、ビスマス(Bi)が50〜65質量%、錫(Sn)が35〜50質量%からなる合金を基体とし、この合金に対して水銀を12〜25質量%含有させたものである。
【0044】
そして、蛍光ランプ40は、バルブの高さが50〜60mm、放電路長が200〜350mm、バルブ並設方向の最大幅が32〜43mmに形成されている。
【0045】
そして、蛍光ランプ40内には、封入ガス比率が99%以上のアルゴンガスが封入圧力400〜800Paで封入される。
【0046】
前記蛍光ランプ40を点灯させる点灯装置20は点灯回路を構成する複数の電子部品が両面に実装された回路基板21を有しており、高周波点灯を行なうインバータ回路が構成されている。
【0047】
点灯装置20は、回路基板21の表面がカバー体12の一端から他端に向かう軸線に対して平行となるように配置されており、回路基板21によってカバー体12内を第一および第二の空間に二分割しており、第一および第二の空間は回路基板21によって遮蔽されている。この回路基板21の形状は、カバー体12の一端から他端側に向かう長手軸方向に対して略平行する方向に遮蔽された面形状に類似した略台形状をなしている。この回路基板21はカバー体12内の他端側の円筒部を除く本体内に配置され、回路基板21の側面部21aの大部分がカバー体12内壁に接触し、回路基板21の他端側の直線部21bはホルダ13に支持されたバルブ41a端部に接触することなく近接配設されている。
【0048】
回路基板21のホルダ13側端部に位置する側面部21a近傍には、ロの字状に切り欠いた切り欠き部21cがそれぞれ形成されている。この切り起こし部21cをホルダ13に圧接させることにより、ホルダ13内壁に突出形成された回路基板保持溝13a内の嵌合部(図示しない)に差し込まれる。
【0049】
以下、口金11側を上側、グローブ30側を下側として説明する。
【0050】
蛍光ランプ40は、バルブ固定部材であり、また点灯装置固定部材でもあるホルダ13に取り付けられ、このホルダ13がカバー体12の開口部を覆うようにカバー体12に装着されている。また、ホルダ13には点灯装置20の回路基板21が嵌合手段により取り付けられている。
【0051】
回路基板21の一面側21cには、平滑用電解コンデンサや、インダクタ、トランス、抵抗やフィルムコンデンサなどからなる比較的耐熱性の低い電子部品22aの大部分が実装されている。回路基板21の他面21d側には、電界効果形トランジスタ(FET)や整流ダイオード(REC)、チップ抵抗など、比較的耐熱温度が高い電子部品22bが実装されている。アマルガム50は、細管43内に封入され回路基板21の一面側21cに実装した電子部品22aおよびカバー体12内壁に接触することなくカバー体12内の口金11側の回路基板に対向するよう位置されている。このとき、アマルガム50はバルブ端部41aから約40mm程度離間している。両面に電子部品を実装した回路基板21をホルダ13に取付ける際の方向は、比較的耐熱性が低い電子部品22aが実装された一面側21cには、アマルガム50が封入された細管43が位置するように、反対に比較的耐熱性の高い電子部品22bを実装した側には電極44と同一空間になるよう取付けられる。これは、点灯中比較的発熱量の多い電極44と耐熱性の低い電子部品21cを同一空間とすると、回路基板21に仕切られた空間はその熱影響を受け、高温となるため電子部品21cが熱損傷するおそれがある。また、アマルガム50も電極44側の高温となる空間内に配置してしまうと、水銀蒸気圧の高いアマルガム50の使用ができなくなる。そのため、点灯中比較的高温となる電極44が位置する空間には、比較的耐熱性の高い電子部品22bを実装した他面側21dに配置する必要がある。
【0052】
カバー体12は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの耐熱性合成樹脂などにて形成されたカバー本体は、下方に拡開する略円筒状をなし、上端部に、E26形などの口金11が被せられ、接着剤またはかしめなどにより固定されている。
【0053】
グローブ30は、透明あるいは光拡散性を有する乳白色などで、ガラスあるいは合成樹脂により、定格電力60W形相当の一般照明用電球のガラス球とほぼ同一形状の滑らかな曲面状に形成されているとともに、開口部の縁部には、カバー体12の下端の開口部の内側に嵌合する図示しない嵌合縁部が形成されている。なお、このグローブ30は、拡散膜などの別部材を組み合わせ、輝度の均一性を向上することもできる。
【0054】
そして、点灯装置20は、7〜15Wのランプ電力により蛍光ランプ40内の電流密度(断面積当たりの電流)が3〜5 mA/mm2で点灯させるように構成されている。本実施形態の電球形蛍光ランプ10は、入力電力定格13Wで、3波長発光形蛍光体の使用により、蛍光ランプ40からの光出力により全光束が約810lmとなっている。
【0055】
このように規定された電球形蛍光ランプ10を、一般照明用電球の照明器具に用いた場合、電球形蛍光ランプ10の配光が一般照明用電球の配光に近似することで、照明器具内に配設されたソケット近傍の反射体への光照射量が十分に確保され、反射体の光学設計どおりの器具特性を得ることができる。しかも、電球スタンドのように、内部光源のイメージが布製などの光拡散性カバーに映し出される照明器具であっても、電球形蛍光ランプ10の配光が一般照明用電球の配光に近似することで、違和感なく使用できる。
【0056】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0057】
上述のように組み立てられた電球形蛍光ランプによれば、アマルガム50が比較的温度の低いカバー体12内の口金11側の空間に配置されるため、水銀蒸気圧が高い特性を有するアマルガム50を使用することが可能となり、簡単な構成で光束立上り特性を向上させることが可能となる。また、アマルガム50を封入した細管43を口金11側に配置する際、従来のように細管内にアマルガム50を封入した細管を貫通させるための開口を、回路基板21に設けるなど、電子部品が実装される回路基板21の実装面積を減少させることが抑制される。さらに、点灯装置20をカバー体12内に収容する際、カバー体12内空間を有効に利用することができ、実装する電子部品数が増加しても、カバー体12の寸法を大きくすることを抑制することができるとともに、電子部品に規制されることなくアマルガム50を封入した細管43を口金11側空間に延出することが容易となる。
【0058】
また、このようにさらに小形化された電球形蛍光ランプ10は、主発熱要素である蛍光ランプ40の近傍である空間は温度が高くなり特に、電極44側の空間は高温となる。この高温空間に収容された点灯装置20のうちバラスト巻線やトランジスタなどの主たる電気的損失により発熱する電子部品を実装しているため、一層高温となると予想される。しかし、高温領域に実装された部品群は、比較的耐熱性が高いため、熱損傷による破損は抑制される。
【0059】
一方、回路基板21の一面側21cに実装された電子部品2cおよびアマルガム50を封入した細管43がバルブ端部41aから延出して位置する空間は、点灯中高温となる蛍光ランプ40に近い空間は温度が高くなるが、蛍光ランプ40から離間するカバー体12内空間比較的温度が低いので、この空間にアマルガム50を位置させることによって、アマルガム50の温度上昇は抑制される(ロングチップ方式)。アマルガム50が位置する口金11近傍の内部は50〜60℃程度である。ちなみに、アマルガムが封入された細管の突出長が約10mmの蛍光ランプを備えた従来例(ショートチップ方式)のアマルガムの温度を測定したところ約90℃であった。
【0060】
このように、本実施形態のようにアマルガム50を口金11側に配置させたロングチップ方式では、アマルガム50の温度を約30〜40℃低減する効果がある。これは、既述のとおり、カバー体12内空間は、上述のとおりカバー体12内の空気がよどんでおり、カバー体12内の対流があまり起こっていないためと考えられる。
【0061】
このように、回路基板21によってカバー体12内空間を仕切ることにより、回路基板21が壁となりカバー体12内空間内の対流を一層抑制することが可能となり、比較的高温空間および高温空間よりも低温空間が互いに熱影響を受け与えることが抑制されることが期待される。
【0062】
また、点灯装置をカバー体内に収容する際、カバー体内空間を有効に利用することができ、実装する電子部品数が増加しても、カバー体の寸法を大きくすることを抑制することができる。また、回路基板をカバー体の一端から他端に沿ってカバー体内空間に配置したので、電子部品に規制されることなくアマルガムを封入した細管を口金側空間に延出することが容易となる。
【0063】
次に、本発明の一実施形態である照明器具を図4を用いて説明する。図4は本発明の照明器具の一実施形態を示す断面概略図である。図において51は電球形蛍光ランプ、50は埋め込み形照明器具本体である。器具本体50は、基体52と反射板53などより構成されている。
【0064】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、アマルガムが比較的温度の低いカバー体内の口金内側の空間に配置されるため、水銀蒸気圧が高い特性を有するアマルガムを使用することが可能となり、簡単な構成で光束立上り特性を向上させることが可能となる。
【0065】
請求項2記載の発明によれば、請求項1の作用に加え、カバー体内空間を回路基板により第一の空間および第二の空間に仕切られているので、カバー体内の対流を一層抑制することが可能となり純水銀に近い水銀蒸気圧を有するアマルガムの使用が可能となり、光束立上り特性が向上する。また、複数の電子部品をそれぞれの空間に実装することで、電子部品の熱影響による破損を防止することができ、信頼性の高い点灯装置を提供することができる。
【0066】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の発明の作用を有する蛍光ランプを備えた照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態のコンパクト蛍光ランプの一部切欠側面図、
【図2】図1のカバー体部分を示す拡大断面図。
【図3】図1の回路基板組立拡大図。
【図4】本実施の形態照明器具の一実施形態を示す側面一部断面図。
【符号の説明】
10…電球形蛍光ランプ、12…カバー体、13…ホルダ、
20…点灯装置、21…回路基板、30…グローブ、
40…蛍光ランプ、41…屈曲バルブ、50…アマルガム

Claims (3)

  1. 屈曲バルブを有する蛍光ランプと;
    一端側に口金が設けられ、他端側に蛍光ランプが取付けられたカバー体と;
    前記蛍光ランプを点灯させる点灯回路を構成する複数の電子部品が実装された回路基板を有しており、この回路基板の表面がカバー体の一端から他端に向かう軸線に対して平行となるように配置されてカバー体内の空間を少なくとも二分割するようにカバー体内に収容された点灯装置と;
    前記蛍光ランプを構成する屈曲バルブ端部に連通して封着され、回路基板によって分割されたカバー体内のいずれかの空間に、回路基板に対向するように突出するとともに、その先端が口金内側まで延在する細管と;
    前記細管内の口金内側に位置するように封入されたアマルガムと;
    を具備していることを特徴とする電球形蛍光ランプ。
  2. 二分割されたカバー体内空間の第一の空間側には、電極が封装されたバルブ端部が位置し、第二の空間内には、アマルガムが封入している細管が配設されていることを特徴とする請求項1記載の電球形蛍光ランプ。
  3. 請求項1または2記載の電球形蛍光ランプと;
    この電球形蛍光ランプが装着された器具本体と;
    を具備していることを特徴とする照明装置。
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