JP2004200048A - 電球形蛍光ランプ及び照明器具 - Google Patents
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Abstract
【課題】安価でしかも補助アマルガムの劣化を抑制できる電球形蛍光ランプを得る。
【解決手段】基板51及び電子部品53を有する点灯装置50は屈曲バルブ21a,21b,21cを有する発光管20の電極に、これら電極を予熱しないで高周波電力を出力する。カバー体40は、一端側に口金42、他端側にホルダ43を有する。発光管20の端部よりも細く形成され、この端部から突出して設けられた細管30aの先端部32aに主アマルガム31を収容する。発光管20内に、インジウムよりも融点の高い金属を主成分として形成された補助アマルガム27を封装する。
【選択図】 図1
【解決手段】基板51及び電子部品53を有する点灯装置50は屈曲バルブ21a,21b,21cを有する発光管20の電極に、これら電極を予熱しないで高周波電力を出力する。カバー体40は、一端側に口金42、他端側にホルダ43を有する。発光管20の端部よりも細く形成され、この端部から突出して設けられた細管30aの先端部32aに主アマルガム31を収容する。発光管20内に、インジウムよりも融点の高い金属を主成分として形成された補助アマルガム27を封装する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電球形蛍光ランプ及びこの電球形蛍光ランプを備えた照明器具に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電球形蛍光ランプは一般白熱電球に相当する程度にまで小型化され、一般白熱電球用器具の光源を電球形蛍光ランプに置換えるという需要が進行してきている。
【0003】
この電球形蛍光ランプは、ランプ技術および点灯回路技術の発展によりランプ効率も向上してきている。しかし、電球形蛍光ランプの小型化に伴って本体の表面積が小さくなっているため、発光管の発熱量が過度に多くない場合であっても、発光管の温度は高くなる傾向にある。特に、一般白熱電球に類似した外観となる装飾効果を持たせるために発光管をグローブで覆った形態の電球形蛍光ランプは、発光管の温度が100℃を超えてしまうので、発光管に純水銀を封入した場合には発光管内の水銀蒸気圧が過度に上昇して光出力が低下する。このため、高温環境下で点灯する蛍光ランプの場合には、インジウム(In)、鉛(Pb)、錫(Sn)及びビスマス(Bi)等と水銀(Hg)との合金であるアマルガムを発光管に封入して水銀蒸気圧が低くなるように制御し、発光効率を向上させている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
一方、アマルガムが使用された発光管は、点灯開始から所定の光束が出力されるまでの期間が長く、いわゆる光束立上がり特性が悪いという欠点がある。これは、点灯前の発光管が室内程度の低温状態の場合には、点灯開始直後はアマルガム制御によって水銀蒸気圧が低下しているため暗く、発光管の温度が上昇するに従って水銀蒸気圧が上昇し、徐々に明るくなるように点灯するためである。この光束立上り特性を改善するために、フィラメント電極の近傍等にインジウム(In)等からなる補助アマルガムを設け、点灯開始直後の水銀蒸気圧を補う技術が知られている(例えば、特許文献2〜特許文献4参照。)。
【0005】
また、蛍光ランプの点灯方式としては、フィラメント電極を予熱しないで前記電極に電圧を印加して点灯させるインスタントスタート方式と、点灯初期においてフィラメント電極に予熱電流を通電して予熱しておいてから前記電極に電圧を印加して点灯させるソフトスタート方式とが知られている。
【0006】
ところで、補助アマルガムとしては水銀蒸気圧特性からインジウム(融点約156℃)が用いられることが多いが、比較的融点の低いインジウムは点灯時の印加電圧が大きいとスパッタリングが起きて飛散して劣化し易いという問題がある。蛍光ランプをソフトスタート方式で点灯させると、インスタントスタート方式で点灯させた場合と比べて点灯時の印加電圧を低く抑えることができるため、電極或いは補助アマルガム(インジウム)の劣化が抑制でき、これに伴い、電球形蛍光ランプの寿命を長くできる。
【0007】
ソフトスタート方式で点灯させる蛍光ランプとしては、放電空間内に電極以外の発熱素子を設けたものが知られている。この蛍光ランプによれば、通電により発熱した電極及び発熱素子からの輻射熱で補助アマルガムが温まることで、点灯初期における立上がり特性を改善することができる。(例えば、特許文献5参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−243913号公報(段落0020〜段落0035、図1)
【0009】
【特許文献2】
特開昭60−146444号公報(第2頁、図3,図4)
【0010】
【特許文献3】
特開平11−233065号公報(段落0011〜段落0029、表1、表2、図1)
【0011】
【特許文献4】
特許第3262168号公報(段落0032〜段落0063、図5)
【0012】
【特許文献5】
特開平10−312772号公報(段落0021〜段落0030、図1)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、補助アマルガムを備えた蛍光ランプをソフトスタート方式で点灯させる場合、予熱期間の印加電圧を発光管の絶縁破壊が生じない程度に低く抑える必要がある。そのため、予熱時と点灯時とで印加電圧を切り替える手段として、例えばIC(集積回路)等の切換手段、或いは、電極と並列に接続されてコンデンサの容量を変化させるPTC等を設ける必要があり、製造コストが嵩むといった問題がある。
【0014】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、安価でしかも補助アマルガムの劣化を抑制できる電球形蛍光ランプ及び、この蛍光ランプを備えた照明器具を得ることにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明の電球形蛍光ランプは、屈曲形バルブを有する発光管と、前記発光管内に形成される放電路の両端に位置して前記発光管内に封装された電極と、基板及びこの基板に実装された電子部品を有し、前記電極を予熱しないで前記電極に高周波電力を入力させる点灯装置と、一端側に口金が設けられ、他端側に前記発光管を保持する保持部を有し、前記基板を装着して前記点灯装置を収容したカバー体と、前記発光管の端部の外径よりも細く形成され、前記発光管の端部から突出した内部に主アマルガムを収容してなる細管と、インジウムよりも融点の高い金属を主成分として形成されて、前記発光管内に封装された補助アマルガムと、を具備していることを特徴とする。
【0016】
屈曲バルブは、直管状のガラスバルブの略中央部を加熱溶解して屈曲するか、またはガラスバルブをモールド成形することによってU字状に屈曲した形状に形成される。ここで、「U字状に屈曲された」とは、放電路が折り返されて放電が屈曲するようにガラスバルブが形成されていることを意味し、曲管部が湾曲状または円弧状に形成されたものに限定されず、角形状や尖鋭状に形成されたものも含むという意味である。要するに、放電路が屈曲するように直管部の一端同士を連続させて形成したバルブを意味する。また、屈曲バルブは、略平行な2本の直管部の一端部同士を吹き破り等によって形成された連通管によって接続したものや、スパイラル状に形成されたものであってもよい。なお、屈曲バルブはガラス製でなくともよく、透光性気密容器を形成可能なセラミックス等の材質で形成することが許容される。
【0017】
屈曲バルブの内面には、直接的または間接的に蛍光体層が被着されている。蛍光体層は、希土類金属酸化物蛍光体、ハロリン酸塩蛍光体等が挙げられるがこれに限らない。しかし、発光効率を向上させるためには赤、青、緑の各色に発光する蛍光体を混合した三波長発光形の発光体を使用するのが好ましい。
【0018】
発光管は、屈曲バルブ単体で構成される他、複数の屈曲バルブの端部同士を連通管を介してつなぎ合わせることで内部に少なくとも1本の放電路が形成されるようにガラスバルブ間を連通させて併設したものであってもよい。
【0019】
発光管には、発光管内に形成された放電路の両端位置に電極が封装されている。電極はフィラメントからなる熱陰極、電子放電物質が担持されたセラミック電極、ニッケル等から形成された冷陰極等が挙げられる。
【0020】
発光管には、内部に放電媒体が封入されている。放電媒体としては、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン等の不活性ガス及び水銀が挙げられる。
【0021】
細管は、屈曲バルブの端部に封着されたものであり、主アマルガム封入用として使用される他、排気管として使用されるものであってもよい。主アマルガム封入用として使用される細管は、主アマルガムが点灯装置の収容空間のうち口金側に位置するように封入されるようにするのが好ましい。この際、細管を点灯装置の電子部品のうちの発熱量が比較的大きい素子が実装された側に配設されるように形成し、主アマルガムを発熱量の比較的大きい素子の近傍に配置させる(以下、短細管方式と言う)ようにしてもよいが、細管を前記発熱量が比較的大きい素子よりも口金側に延びるように長く形成し、主アマルガムを発熱量の比較的大きい素子よりも口金側に寄せて配置させる(以下、長細管方式と言う)のがさらに好ましい。
【0022】
すなわち、細管に収容される主アマルガムは、安定点灯時に適切な水銀蒸気圧に制御するものであるため、例えばビスマス(Bi)−インジウム(In)系の主アマルガムでは、90℃〜130℃の高温下であっても、発光管の水銀蒸気圧を最適値である1Pa前後となるように制御する。しかし、このような主アマルガムは、純水銀よりも水銀蒸気圧が一桁以上低い特性を有しているため、周囲温度が約25℃の雰囲気で消灯し、発光管内の温度が外部雰囲気の温度と平衡状態となる程度まで放置した後の点灯瞬時の水銀蒸気圧は0.1Pa前後であり、自己発熱によって高温雰囲気に至るまでは光束が低い。したがって、安定点灯時の主アマルガムの温度を低くできれば、主アマルガムによって水銀蒸気圧を過度に低く制御する必要がなくなり、点灯瞬時の水銀蒸気圧を高くできるので、光束の立上がりを改善することが可能となる。
【0023】
そこで、口金が上向きの状態で点灯した電球形蛍光ランプの各部分ごとの温度を測定したところ、点灯装置の主要部品が集まっている空間の温度は100℃に近いのに対して、それら主要部品よりも口金側の空間の温度は40〜50℃と比較的低くなっていることを突き止めた。これは、カバー体内の対流があまり起こっていないことから、点灯装置の主要部品よりも口金側付近は比較的温度が低くなるためと考えられる。ここで、点灯装置の主要部品とは、点灯装置の電子部品のうちの発熱量が比較的大きい素子、つまりトランジスタ、インデクタ、トランス、フィルムコンデンサ等、抵抗のうち、点灯動作中の発熱量が比較的多く、容積の比較的大きい回路素子を意味し、容積が大きくても比較的発熱量の少ない例えば電解コンデンサのような回路素子は含まれない。すなわち、電解コンデンサが点灯装置の主要部品よりも口金側に突出するように配置されている場合であっても、電解コンデンサの発熱量は比較的少ないため、点灯動作中の発熱量が比較的大きい回路素子よりも口金側、つまり主要部品よりも口金側であれば、電解コンデンサ付近の空間の温度は比較的低い。
【0024】
ここで、「発熱量が比較的大きい素子」は、その表面温度が安定点灯時において70℃以上となる素子として定義することが可能である。この場合、発熱量自体は少ないが局部的に高温となるような容積が小さい素子は含まれない。「発熱量が比較的大きい素子」は、点灯装置で熱ロスを発生させる素子であって、その素子の熱ロスとしての回路損失電力の合計が回路損失電力全体の7割以上を占めることになる。
【0025】
そこで、細管の先端部が口金側に位置するように延在させた発光管を用意し、水銀蒸気圧が比較的高い主アマルガムが点灯装置の主要部品よりも口金側に位置するように細管内に封入した電球形蛍光ランプを試作して点灯させた。その結果、点灯直後の光束立上がりは良好で、かつ、安定点灯時の光束が低下することのない光出力特性が得られた。
【0026】
また、カバー体の温度は、点灯装置の基板面から離間するほど温度が低くなっていることが確認できた。これは点灯装置の基板が発光管の放射熱を遮断する効果を備えているためと考えられる。実際には、基板面から5mm以上離間した空間の温度は発光管側の基板面近傍の温度よりも低く、基板面から10mm以上離間した位置の空間の温度は約40℃〜60℃となるので、この空間に主アマルガムを位置させるのが最適である。しかし、主アマルガムから発光管までの距離が長くなるほど高さ方向の寸法が大きくなって電球形蛍光ランプが大型化し、また主アマルガムから発光管に水銀蒸気が拡散するまでの時間がかかる。そのため、好ましくは、主アマルガムの基板面からの離間距離を50mm以下、さらに好ましくは40mm以下にするとよい。
【0027】
また、細管の先端部が点灯装置の電子部品のうちの発熱量が比較的大きい素子の近傍に配設されるように形成した場合であっても、前記先端部が前記発熱量が比較的大きい素子よりも口金側に延びるように形成した場合であっても、細管にはその中間部に屈曲部を設け、この屈曲部より先端側部分を屈曲部より発光管側の根元部に対して口金の中心を通る軸線に近づけて配置するのが好ましい。これにより、細管がカバー体と当接しないように先端側部分を前記軸線側に寄せながらこの先端側部分を口金側に延在させることができるので、蛍光ランプの外形状が大型化を抑制できる。また、前記先端部が前記発熱量が比較的大きい素子よりも口金側に延びるように形成した場合は、蛍光ランプの外形状が大型化を抑制しつつ主アマルガムの基板面からの離間距離を確保できる。
【0028】
細管内に封入される主アマルガムは、点灯直後の水銀蒸気圧が純水銀に近く、安定点灯時の水銀蒸気圧も適正な値に制御可能な特性を有するものが使用される。例えば、主アマルガムの温度が25℃のときに水銀蒸気圧が0.1Pa〜0.24Pa、好ましくは0.15Pa〜0.24Paであって、主アマルガムが50℃〜60℃のときに水銀蒸気圧が1.0Pa〜2.0Paとなるものが好ましい。
【0029】
主アマルガムの水銀蒸気圧特性は、アマルガム形成金属の組成と水銀含有量で決定されるが、アマルガム形成金属として最適なものは、ビスマス(Bi)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、及び錫(Sn)である、例えば、ビスマス(Bi)−錫(Sn)−水銀(Hg)、ビスマス(Bi)−錫(Sn)−鉛(Pb)−水銀(Hg)、亜鉛(Zn)−水銀(Hg)等が挙げられるがこれらに限定されない。また、水銀含有量が主アマルガムの全質量に対して3質量%以上であれば、主アマルガムの表面に析出する水銀量は多くなることから、光束立上がり特性の改善に効果的である。
【0030】
カバー体は、口金が取付けられているとともに、この口金が取付けた方向と逆の部位に発光管を支持する保持部を備えたものであり、内部に点灯装置の収容空間が形成されている。カバー体は、保持部を別体に形成するのが好ましいが、一体構造であっても構わない。
【0031】
口金は、白熱電球用のE形と称されるねじ込みタイプのものが通常使用されるが、これに限定されない。また、口金は、カバー体に直接装着される必要はなく、間接的に装着されるものやカバー体の一部が口金を構成するものであってもよい。
【0032】
この発明の電球形蛍光ランプは、電極を予熱しないで前記電極に電圧を印加して点灯させる、いわゆるインスタントスタート方式で点灯させるものである。したがって、点灯装置は、電極に予熱電流を通電する手段、具体的には、予熱時と点灯時とで印加電圧を切り替える例えばIC(集積回路)等の切換手段、或いは、電極と並列に接続されてコンデンサの容量を変化させるPTC等を備えていない。
【0033】
この点灯装置は、カバー体内に収容されるものである。点灯装置の基板は、カバー体に対して直接的または間接的に取付けられて収容されている。点灯装置は、平滑用電解コンデンサを備えるものが一般的であるが、これに限定されない。
【0034】
「インジウムよりも融点の高い金属を主成分として形成された補助アマルガム」とは、インジウムよりも融点の高い金属の箔、或いは、ステンレス等の基板表面或いはウェルズにインジウムよりも融点の高い金属をメッキ等によりコーティングしたもの等が挙げられ、電極近傍や放電路中の所望部位に取付けが可能である。なお、点灯時には、補助アマルガム近傍は300℃〜400℃程度の高温となるため、前記基板としては、例えばステンレスの他、鉄とニッケルとの合金等、300℃〜400℃程度の雰囲気中でも耐えられる物質を用いるのが好ましい。
【0035】
また、補助アマルガムは融点だけでなく水銀蒸気圧特性もまた重要である。本発明者らは、補助アマルガムの少なくとも表面を形成するインジウムよりも融点の高い金属の最適化について検討を進めた。補助アマルガムの少なくとも表面を形成するインジウムよりも融点の高い金属は水銀蒸気圧を大きく低下させないことが重要である。すなわち、従来補助アマルガムとして使用されていたインジウムのような金属は、水銀蒸気圧が高く、点灯直後に適量の水銀蒸気を放出し難いので不適当であり、むしろ、あまり水銀を吸着しない金属を水銀保有手段として補助アマルガムの少なくとも表面に用いることが好ましいことを突き止めた。
【0036】
したがって、補助アマルガムとして好ましいのは、あまり水銀を吸着しない金属、金(Au:融点約1063℃)、銀(Ag:融点約960℃)、パラジウム(Pd:融点約1555℃)、白金(Pt:融点1774℃)、鉛(Pb:融点327℃)、亜鉛、(Bi:融点約270℃)、又は錫(Sn:融点約232℃)等が挙げられる。特に金(Au)や銀(Ag)は融点の高さ及び水銀の吸着力の観点から好適である。
【0037】
例えば、白熱電球60Wに相当する12Wクラスの電球形蛍光ランプの場合、発光管内の最適水銀蒸気圧は、質量換算で約2μg程度であるから、補助アマルガムはその10倍の約20μg程度の水銀を吸着可能であれば十分ということになる。
【0038】
請求項1の発明によれば、電極を予熱しないで電極に電圧を印加して点灯させる点灯方式を採用できることから安価に製造できるにも拘らず、インジウムよりも融点の高い金属を主成分として補助アマルガムを形成することができるため、補助アマルガムの劣化を抑制できる。さらに、インジウムよりも融点の高い金属を主成分として形成された補助アマルガムを備えているため、主アマルガムが口金側に配置されていても、点灯直後の水銀不足による光束の低下を抑制でき、光束立上り特性を向上できる。
【0039】
請求項2に係る発明の電球形蛍光ランプは、前記電極が1次コイルを螺旋状に巻いて形成した2次コイルをさらに螺旋状に巻いて形成した3次コイルであり、前記1次コイルが長手方向に延びるメインワイヤーの周りにサブワイヤーを螺旋状に巻いて形成したものであるとともに、前記2次コイルにおける前記メインワイヤーの相対ピッチが150%以下に設定されていることを特徴とする。
【0040】
メインワイヤーの相対ピッチとは、1次コイルを螺旋状に巻いて2次コイルを形成する際のメインワイヤーの相対ピッチであり、隣り合うサブワイヤー同士が接触するように2次コイルを形成したときのメインワイヤーのピッチを100%と仮定した場合の相対的なピッチである。
【0041】
請求項2の発明の電球形蛍光ランプでは、点灯寿命を長くすることができる。
【0042】
請求項3に係る発明の照明器具は、請求項1又は2に記載の蛍光ランプと、この蛍光ランプが着脱自在に装着される器具本体と、を具備していることを特徴とする。
【0043】
器具本体は、既設の照明器具の器具本体であってもよい。本発明の照明器具は、ダウンライト等の埋込器具や直付器具等の器具本体と、請求項1又は2に記載の蛍光ランプとを具備するものであればよい。
【0044】
請求項3の発明の照明器具では、簡単な構成で光束の立上がり特性を改善することができるとともに、安価でしかも補助アマルガムの劣化を抑制できる蛍光ランプを備えた照明器具を提供することができる。
【0045】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図7を参照して本発明の一実施形態を説明する。
【0046】
この電球形蛍光ランプ10は、図1に示すように、発光管20と、細管30a〜30bと、カバー体40と、点灯装置50と、グローブ60とを備えている。カバー体40は、カバー本体41と、このカバー本体41の一端側に設けられた口金42と、カバー本体41の他端側に設けられた保持部としてのホルダ43とを備えている。カバー体40とグローブ60とから構成される外囲器11は、定格電力が60W形相当の白熱電球等の一般照明用電球の規格寸法に近似する外形に形成されている。すなわち、口金42を含む高さH1は110〜125mm程度、直径すなわちグローブ60の外形D1が50〜60mm程度、カバー体40の外形D2が40mm程度に形成されている。なお、一般照明用電球とは、JIS C 7501に定義されるものである。
【0047】
発光管20の内面には、アルミナ(Al2O3)保護膜(図示せず)とその上に蛍光体層(図示せず)とが形成されている。蛍光体層は、例えば赤、青、緑の各色に発光する蛍光体を混合した三波長発光形蛍光体により構成されている。赤色発光蛍光体としては、610nm付近にピーク波長を有するユーロピウム付活酸化イットリウム蛍光体(Y2O3:Eu3+)等が挙げられる。青色発光蛍光体としては、450nm付近にピーク波長を有するユーロピウム付活アルミン酸バリウム・マグネシウム発光体(BaMg2Al16O27:Eu2+)等が挙げられる。緑色発光蛍光体としては、540nm付近にピーク波長を有するセリウム・テルビウム付活リン酸ランタン発光体((La,Ce,Tb)PO4)等が挙げられる。なお、三波長発光形蛍光体には、赤、青、緑の各色に発光する上記発光体以外に、他の色を発光する蛍光体を混合して所望の色度に発光するように調製してもよい。なお、発光管20の発光体層は、後述する屈曲バルブ21a,21b,21cの屈曲形成後に塗布形成される。
【0048】
発光管20は、図2に示すように、外形が略同形状の複数本例えば3本の屈曲バルブ21a,21b,21cを備えている。これら屈曲バルブ21a,21b,21cを所定の位置に配置し、連通管23を介して順次連結することによって、1本の放電路が形成される。
【0049】
3本の屈曲バルブ21a,21b,21cは夫々、互いに略平行な一対の直管部22a及びこれら直管部22aの一端同士を連続させる曲管部22bを有してU字状に形成されている。これら屈曲バルブ21a,21b,21cは、夫々の直管部22aが円周上に位置するように配設して、3つの曲管部22bが三角形状をなすトリプルU形に形成されている。なお、屈曲バルブを4つ使用して曲管部22bが四角形状をなすように形成してもよい。
【0050】
各屈曲バルブ21a,21b,21cは、管外径が約11mm、管内径が約9.4mm、肉厚が約0.8mmの無鉛ガラス製で、110〜130mm程度の直管ガラスバルブの中間部を滑らかに湾曲するように屈曲形成したものである。屈曲バルブ21a,21b,21cの曲管部22bは、直管ガラスバルブの中間部を加熱して屈曲させた後、屈曲バルブ21a,21b,21cの屈曲箇所を成形型に入れ、バルブ内部を加圧することによって所望形状に成形される。この成形型の形状によって、曲管部22bの形状を任意に成形することが可能である。
【0051】
なお、屈曲バルブ21a,21b,21cの管外径は9.0〜13mm、バルブ肉厚は0.5〜1.5mmとするのが好ましい。また、発光管20の放電路長は250〜500mmの範囲とし、ランプ入力電力は8〜25Wとするのが好ましい。屈曲バルブ21a,21b,21cは、製造工程における加熱や点滅温度差によって変形し易く、連通管23の機械的強度が弱くなる条件は、使用するガラスバルブの管外径と肉厚との関係に大きく依存する。管外径が9.0mmよりも小さい場合または肉厚が0.5mmよりも小さい場合には、屈曲バルブ21a,21b,21cの変形以外の要因に基づき発光管20自体が破損しやすいため好ましくない。また、管外径が13mmを超えた場合または肉厚が1.5mmを超えた場合には、連通管23の機械的強度がある程度確保できる。管外径が9.0〜13mm、肉厚が0.5〜1.5mmのガラスバルブを用いた発光管20としては、放電路長が250mm〜500mm、ランプ入力電力が8〜25Wとして設計することで、白熱電球形状に近似した電球形蛍光ランプ10を構成することが可能となる。さらに、放電路長を大きくすることによって発光管20のランプ効率が改善される点灯領域について検討した結果、放電路長が250〜500mm、ランプ入力電力が8〜25Wの範囲内であれば、ランプ効率が特に改善される。
【0052】
屈曲バルブ21a,21b,21cの加熱加工を容易にするために、屈曲バルブ21a,21b,21cに使用するガラスに鉛成分を混入してガラス軟化温度を下げることが一般的に行われているが、鉛成分は環境に影響を及ぼす物質であるため、使用はできるだけ控えた方が好ましい。また、屈曲バルブ21a,21b,21cに使用するガラスにはアルカリ成分としてナトリウム成分(Na2O)が多く混入されているが、屈曲バルブ21a,21b,21cの加熱加工においてこのナトリウム成分が析出して蛍光物質と反応し、蛍光体が劣化することが考えられる。したがって、屈曲バルブ21a,21b,21cは、鉛成分を実質的に含まず、Na2Oを10質量%以下とすることで、環境への影響を低減でき、蛍光体の劣化を抑制して光束維持率を改善することが可能となる。
【0053】
屈曲バルブ21a,21b,21cに使用されるガラスは、重量比で、SiO2が60〜75%、Al2O3が1〜5%、Li2Oが1〜5%、Na2Oが5〜10%、K2Oが1〜10%、CaOが0.5〜5%、MgOが0.5〜5%、SrOが0.5〜5%、BaOが0.5〜7%であり、かつ、SrO/BaO≧1.5及びMgO+BaO≦SrOの条件を満足する組成を有している。このガラスを使用することで、理由は明らかではないが、鉛ガラスを使用した屈曲バルブ21a,21b,21cから形成された以外は同一条件で形成された発光管20よりも光束立上がりが向上することが確認された。
【0054】
屈曲バルブ21a,21b,21cは、ピンチシール等により一端部が封着されているとともに、他端部には、管外径2〜5mm、管内径1.2〜4.2mmの細管30a〜30bがピンチシール等によって発光管20の端部から突出するように封着されている。中間に配置される屈曲バルブ21bの細管30bはダミーであり、一側に配置される屈曲バルブ21cの細管30cは発光管20中の排気を行なうためのものである。また、他側に配置される屈曲バルブ21aの細管30aには、主アマルガム31が封入されている。
【0055】
発光管20の両側に位置する屈曲バルブ21a,21cの非連通管側の一端部には、電極24としてのフィラメントコイルが一対のウエルズ25に支持された状態で封止されている。一対のウエルズ25は、両側の屈曲バルブ21b,21cの端部にマウントを用いないピンチシール等により封着されたジュメット線を介して、発光管20から導出されたワイヤーに接続されている。そして、発光管20から導出された2対すなわち4本のワイヤーは、点灯装置50に電気的に接続されている。
【0056】
電極24は、図3(C)に示すように、例えばタングステン(W)ワイヤーを三重巻きにした3次コイル(トリプルコイル)に例えば酸化バリウム(BaO)等の電子を放出するエミッター(図示せず)を塗布して形成されたフィラメントコイルからなる。
【0057】
すなわち、電極24は、図3(B)に示す2次コイル71を螺旋状に巻いて形成している。2次コイル71は、図3(A)に示す1次コイル70を螺旋状に巻いて形成している。1次コイル70は、長手方向に延びるマンドレル72にメインワイヤー73を軸方向に沿わせ、これらマンドレル72とメインワイヤー73との周りにサブワイヤー74を螺旋状に巻いて形成している。
【0058】
電極の点灯寿命を評価するために、マンドレル72の線径(直径)X、メインワイヤー73の線径(直径)Y、及びメインワイヤー73のピッチPと点滅点灯寿命との関係を測定したところ、マンドレル72の線径X及びメインワイヤー73の線径Yと点灯寿命との間には顕著な相関は測定されなかったが、メインワイヤー73のピッチPすなわち2次コイルのピッチと点灯寿命との間には相関があることがわかった。
【0059】
図5は、メインワイヤー73のピッチPと点灯寿命との関係を示す図である。なお、図5の横軸は、1次コイル70を螺旋状に巻いてサブワイヤー同士が接触するように2次コイル71を形成したときのメインワイヤー73のピッチPを100%と仮定した場合のメインワイヤー73のピッチPの相対値を示している(図4参照)。図5に示すように、メインワイヤー73のピッチPは150%以下であれば点灯寿命を長くする効果が得られる。
【0060】
中間の屈曲バルブ21bの一端部及び電極24近傍のウエルズ25には、補助アマルガム27が設けられている。中間の屈曲バルブ21bに設けられた補助アマルガム27は、ピンチシール等により封着されたウエルズ25に取付けられており、放電路の中間位置に配置されている。この実施形態では、補助アマルガム27として、縦2mm、横7mm、厚さ40μmのステンレスの基板に金(Au)を約3mgメッキして形成されたものを用いている。
【0061】
他側の屈曲バルブ21aに封着された細管30aは、その先端部32aがカバー体40内の口金42側に位置するように屈曲バルブ21aの端部から突出している。この実施形態では、例えば、細管30aを点灯装置50の発熱量が比較的大きい素子よりも口金42側に延びるように長く形成し、主アマルガム31を発熱量の比較的大きい素子よりも口金42側に寄せて配置させる長細管方式を採用しており、細管30aの屈曲バルブ21aの端部からの突出長さL1を直線長さにして約45mmとしている。
【0062】
また、この細管30aの中間部は、口金42の中心C1を通る軸線lに近づく方向に屈曲するとともに再び前記軸線lと略平行な方向に屈曲するように2ヶ所で屈曲する屈曲部32bを有している。この屈曲部32bより先端側部分32cは、屈曲部32bより発光管20側の根元部32dに対して前記軸線lに近づけて配置されている。
【0063】
つまり、この屈曲部32bは、細管30aがカバー体40の内壁面に当接しないように、先端側部分32cを前記軸線l側に寄せながらこの先端側部分32cを口金42側に延在させるためのものである。屈曲バルブ21aの端部から細管30aの先端部32aまでの長さL2は約40mmである。
【0064】
主アマルガムは、ビスマス(Bi)が50〜65重量%、錫(Sn)が35〜50重量%からなる合金を基体として、この合金に対して水銀を12〜25重量%含有させたものである。
【0065】
この実施形態では、発光管20は、バルブの高さH2が50〜60mm、放電路長が200〜350mm、バルブ並設方向の最大幅D3が32〜43mmに形成されている。そして、この発光管20には、封入ガス比率が99%以上のアルゴンガスが封入圧力400〜800Paで封入されている。
【0066】
以下、口金42側を上側、グローブ60側を下側として説明する。
【0067】
カバー本体41は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の耐熱性合成樹脂等により形成されており、図1に示すように、一端側が他端側に向かって拡開する略円筒状をなしている。カバー本体41の一端側には26型等の口金42が被せられ、接着剤またはかしめ等により固定されている。カバー本体41の他端部には発光管20固定部材であるとともに点灯装置50固定部材でもあるホルダ43が取付けられている。このホルダ43は、発光管20の端部が挿通可能な発光管挿通部44を有している。発光管20はこのホルダ43に取付けられ、このホルダ43がカバー本体41の開口部を覆うようにカバー本体41に装着されている。また、ホルダ43には、点灯装置50の基板51が嵌合手段(図示せず)により取付けられている。
【0068】
点灯装置50は、図1に示すように、口金42の中心C1を通る軸線lに対して略垂直に配置される基板51及びこの基板51に実装された複数の電子部品53を有して、高周波点灯を行なうインバータ回路(高周波点灯回路)を構成している。この点灯装置50は、電子部品53の大部分が口金42側に配置されるように基板51が装着されてカバー体40に収容されている。この点灯装置50は、口金42及び蛍光ランプ10と電気的に接続され、口金42を介して給電されることにより動作して電極24を予熱しないで(電極24に予熱電流を与えないで)電極24に高周波電力を入力させて、蛍光ランプ10を点灯させる。すなわち、この蛍光ランプ10は、いわゆるインスタントスタート方式で点灯される。
【0069】
また、この点灯装置50では、平滑用電解コンデンサ53aが点灯装置50の主要部品よりも口金42側に突出するように配置されている。点灯装置50は、細管30a内に封入された主アマルガム31が平滑用電解コンデンサ53aを除く電子部品よりも口金42側に位置するような位置関係でカバー体40内に収容されている。
【0070】
基板51は、略円板状で、発光管20の最大幅の1.2倍以下の直径(最大幅寸法)に形成されている。基板51の口金42側の一面には、平滑用電解コンデンサ53a、インダクタ、トランス、抵抗やフィルムコンデンサ等からなる電子部品53の大部分が実装されている。基板51の発光管20側の他面には、電解効果形トランジスタや整流ダイオード、チップ抵抗等、比較的耐熱温度が高い小型電子素子が実装されている。基板51の発光管20側の他面には、電界効果型トランジスタ(FET)や整流ダイオード(REC)、チップ抵抗等、比較的低熱温度が高い小形電子素子が実装されている。
【0071】
平滑用電解コンデンサ53aの先端部は、限流インダクタ、トランス、抵抗、共振コンデンサ等の発熱量が比較的大きい電子部品53よりも口金42側に突出している。前記主アマルガム31は、電解コンデンサ53aを除く電子部品53よりも口金42側にあって、電解コンデンサ53aに隣接して位置するように細管30aの先端側部分32c内に収容されている。このとき、主アマルガム31は基板51の口金42側の面から距離L3が約40mmとなるように離間している。
【0072】
グローブ60は、透明或いは光拡散性を有する乳白色等であって透光性を有している。このグローブ60は、ガラス或いは合成樹脂等により、一般照明電球のガラス球と略同形状の滑らかな曲面状に形成されている。このグローブ60は、蛍光ランプ10を内包するとともに、開口部をカバー体40の他端側に嵌合させてカバー体40の他端側に取付けられている。なお、グローブ60は、拡散膜等の別部材を組み合わせ、輝度の均一性を向上させることもできる。
【0073】
そして、点灯装置50は、7〜15Wのランプ電力により発光管20内の電流密度(断面積当たりの電流)が3〜5mA/mm2で点灯させるように構成されている。本実施形態の電球形蛍光ランプ10は入力電力規格12Wで、発光管20には10.5Wの電力の高周波で加わり、ランプ電流は190mA、ランプ電圧は58Vとなり、発光管20からの光出力により全光束が約810lmとなっている。
【0074】
この電球形蛍光ランプ10は、例えば、図6に例示する照明器具に用いることができる。
この照明器具1は、天井Cに埋め込まれたダウンライトであり、機器本体2に取付けられたソケット3に蛍光ランプ10が取付けられている。
【0075】
上述のように規定された電球形蛍光ランプ10を一般照明用電球の照明装置1に用いた場合、電球形蛍光ランプ10の配光が一般照明用電球の配光と近似することで、器具本体2内に配設されたソケット3近傍の反射体への光照射量が十分に確保され、反射体の光学設計どおりの機器特性を得ることができる。しかも電球スタンドのように内部光源のイメージが布製等の光拡散性カバーに映し出される照明器具であっても、電球形蛍光ランプ10の配光が一般照明用電球の配光と近似することで違和感なく使用できる。
【0076】
なお、器具本体2は新設のものであっても既設のものであっても、蛍光ランプ10の口金42が着脱自在に接続されるソケット3を有するものであれば蛍光ランプ10を装着して収容できる。また、照明器具1は、ダウンライトの他にも直付器具等の種々の器具本体2を用いることができる。
【0077】
次に、本実施形態の作用について説明する。点灯時の温度分布を図7に示す。温度測定条件は、周囲温度25℃の無風状態にて口金42上向き点灯とした。このとき、電球形蛍光ランプ10は入力電力12.1Wの約1割が点灯回路で消費されている。
【0078】
各部の温度は夫々次の通りであった。主アマルガム31近傍の細管30a温度T1は55℃、口金42の内側空間温度T2は53℃、カバー体40中央部の空間温度(発熱部品の上端が位置する空間温度)T3は62℃、基板51の上面温度T4は98℃、カバー体40外面の上部温度T5は62℃、中間部温度T6は62℃、発光管20の電極24近傍温度T7は158℃、陽光柱温度T8は136℃、屈曲部32bの温度T9は106℃、グローブ60外面の上部温度T10は81℃、最大外径部温度T11は60℃、頂部温度T12は57℃。
【0079】
このように、点灯装置50の近傍は、主発熱要素である発光管20の上部に位置するため、温度が高くなる。これは熱が上部方向及び外径方向へと拡散すること、及び、点灯装置50のうち主たる発熱部品であるパラスト巻線やトランジスタ近傍には高温の空間ができることを意味している。このような高温領域に実装された部品群よりも口金42側のカバー体40内の空間は比較的温度が低く、この空間に主アマルガム31を位置させることによって、主アマルガム31の温度を低下させている。主アマルガム31に近接する電界コンデンサはほとんど発熱しない部品であり、また、口金42近傍の内部は50〜60℃程度である。ちなみに、主アマルガム31が封入された細管の突出長が約10mmの発光管20を備えた従来例(短細管方式)の主アマルガム31の温度を測定したところ約90℃であった。このように、本実施形態のように長細管方式では、主アマルガム31の温度を約30〜40℃低下させる効果がある。
【0080】
また、点灯装置50の基板51が発光管20の端部を覆い、かつ、貫通孔や切り欠き等によって細管30aの先端側部分32cを口金42側に延在させることにより良好な遮熱効果を得ることができる。特に、基板51が発光管20の全端部を覆うことで、発光管20の全端部を覆っていない場合と比べて発光管20の放射熱が効率良く遮断されて口金42側の空間に熱が伝わり難くなる。なお、「発光管20の全端部を覆う」とは、発光20管に複数の端部が形成されている場合には、各端部の全ての端面を完全に覆う必要はなく、基板51が遮熱に必要な発光管20の端部の端面の一部を覆っていればよい。例えば、発光管20が複数の屈曲バルブ21a〜21cを並設して形成されている本実施形態では、バルブ軸中心よりも発光管20の外周側に位置する部分は覆わなくても十分な遮熱効果を得ることができる。
【0081】
次に、光束立上がり特性を評価するために、本実施形態、従来例、及び比較例の電球形蛍光ランプ10を夫々利用して点灯させた。従来例は、ビスマス(Bi)−インジウム(In)系の主アマルガム31が封入された細管の突出長が約10mmの発光管20(短細管方式)を備えたもの、比較例1は、長細管方式のもので補助アマルガム27をインジウムからなる補助アマルガムに変えたもの、比較例2は、上記実施形態(長細管方式)のもので補助アマルガム27を取り除いたものであり、本実施形態とともに夫々の光束立上がり特性を測定した。測定の条件は、100Vの商用交流電源による点灯、周囲温度を25℃とし、無風状態にて口金42上向き点灯とした。このときの入力電流と消費電力は全て194mA、12.1Wであった。
【0082】
図8は、その測定結果を示す図であり、点灯開始から経過時間毎の光束の変化を表している。図8において、線aが本実施形態を、線bが比較例1を、線cが比較例2を、線dが比較例3を夫々示している。点灯直後の光束は、
比較例2>本実施形態>比較例1>従来例
の順番となった。
【0083】
しかし、点灯開始から2〜3秒経過したあたりから、
本実施形態>比較例1>従来例>比較例2
の順番となった。比較例2はその後の数分間いわゆる薄ぼんやりとした明るさの状態が続く結果となった。
【0084】
一方、比較例1は、水銀蒸気圧が速やかに上昇して従来例よりも立上がり特性が改善されることがわかるが、点灯直後の光束は従来例と大差がなかった。
【0085】
これに対し、本実施形態の電球形蛍光ランプ10は、点灯直後に補助アマルガム27から適量の水銀が放出されるので、水銀不足現象が起こることがなく、光束が早期に立上がり、点灯開始から5秒経過時点で安定点灯時の約50%の光出力が得られ、約25秒経過時点では同約85%の光出力が得られることが確認された。
【0086】
以上のように、本実施形態によれば、補助アマルガム27を備えているため、主アマルガム31が口金42側に配置されていても、点灯直後の水銀不足による光束の低下を抑制できる。
【0087】
さらに、本実施形態によれば、インジウムよりも融点の高い金属、例えば金(Au)を主成分として補助アマルガム27を形成することができるため、インスタント点灯方式で設定される程度の印加電圧で点灯させた場合であっても、スパッタリングによる補助アマルガム27の劣化を抑制できる。したがって、電極24を予熱しないで電極24に電圧を印加して点灯させるインスタント点灯方式を採用できるので、安価に製造できる。
【0088】
また、本実施形態では、主アマルガム31が比較的温度の低いカバー体40内の口金42側の空間に配置されるため、水銀蒸気圧が高い特性を有する主アマルガム31を使用することが可能となり、簡単な構成で光束立上がり特性を向上させることができる。
【0089】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、安価でしかも補助アマルガムの劣化を抑制できる電球形蛍光ランプが得られる。
【0090】
請求項2に係る発明によれば、点灯寿命を長くすることができる。
【0091】
請求項3に係る発明の照明器具によれば、請求項1又は2に記載の電球形蛍光ランプを備えるので、安価でしかも補助アマルガムの劣化を抑制できる電球形蛍光ランプを備えた照明器具が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る電球形蛍光ランプを一部断面して示す側面図。
【図2】図1の電球形蛍光ランプが備える発光管の構造を説明する展開図。
【図3】(A)〜(C)は図1の電球形蛍光ランプが備える電極の構造を説明する図。
【図4】電極のメインワイヤー間のピッチを100%にした状態を示す図。
【図5】電極のメインワイヤー間のピッチと電球形蛍光ランプとの関係を示す図。
【図6】図1の電球形蛍光ランプを備えた本発明の一実施形態に係る照明器具を一部断面して示す側面図。
【図7】図1の電球形蛍光ランプの点灯時の温度分布を説明する一部断面した側面図。
【図8】図1の電球形蛍光ランプの点灯時の光束立上がり特性を説明する図。
【符号の説明】
1…照明器具、 10…蛍光ランプ、 20…発光管、 21a,21b,21c…屈曲バルブ、 24…電極 27…補助アマルガム、 30a…細管、 31…主アマルガム、 40…カバー体、 42…口金、 43…保持部(ホルダ)、 50…点灯装置、 51…基板、 53…電子部品
【発明の属する技術分野】本発明は、電球形蛍光ランプ及びこの電球形蛍光ランプを備えた照明器具に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電球形蛍光ランプは一般白熱電球に相当する程度にまで小型化され、一般白熱電球用器具の光源を電球形蛍光ランプに置換えるという需要が進行してきている。
【0003】
この電球形蛍光ランプは、ランプ技術および点灯回路技術の発展によりランプ効率も向上してきている。しかし、電球形蛍光ランプの小型化に伴って本体の表面積が小さくなっているため、発光管の発熱量が過度に多くない場合であっても、発光管の温度は高くなる傾向にある。特に、一般白熱電球に類似した外観となる装飾効果を持たせるために発光管をグローブで覆った形態の電球形蛍光ランプは、発光管の温度が100℃を超えてしまうので、発光管に純水銀を封入した場合には発光管内の水銀蒸気圧が過度に上昇して光出力が低下する。このため、高温環境下で点灯する蛍光ランプの場合には、インジウム(In)、鉛(Pb)、錫(Sn)及びビスマス(Bi)等と水銀(Hg)との合金であるアマルガムを発光管に封入して水銀蒸気圧が低くなるように制御し、発光効率を向上させている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
一方、アマルガムが使用された発光管は、点灯開始から所定の光束が出力されるまでの期間が長く、いわゆる光束立上がり特性が悪いという欠点がある。これは、点灯前の発光管が室内程度の低温状態の場合には、点灯開始直後はアマルガム制御によって水銀蒸気圧が低下しているため暗く、発光管の温度が上昇するに従って水銀蒸気圧が上昇し、徐々に明るくなるように点灯するためである。この光束立上り特性を改善するために、フィラメント電極の近傍等にインジウム(In)等からなる補助アマルガムを設け、点灯開始直後の水銀蒸気圧を補う技術が知られている(例えば、特許文献2〜特許文献4参照。)。
【0005】
また、蛍光ランプの点灯方式としては、フィラメント電極を予熱しないで前記電極に電圧を印加して点灯させるインスタントスタート方式と、点灯初期においてフィラメント電極に予熱電流を通電して予熱しておいてから前記電極に電圧を印加して点灯させるソフトスタート方式とが知られている。
【0006】
ところで、補助アマルガムとしては水銀蒸気圧特性からインジウム(融点約156℃)が用いられることが多いが、比較的融点の低いインジウムは点灯時の印加電圧が大きいとスパッタリングが起きて飛散して劣化し易いという問題がある。蛍光ランプをソフトスタート方式で点灯させると、インスタントスタート方式で点灯させた場合と比べて点灯時の印加電圧を低く抑えることができるため、電極或いは補助アマルガム(インジウム)の劣化が抑制でき、これに伴い、電球形蛍光ランプの寿命を長くできる。
【0007】
ソフトスタート方式で点灯させる蛍光ランプとしては、放電空間内に電極以外の発熱素子を設けたものが知られている。この蛍光ランプによれば、通電により発熱した電極及び発熱素子からの輻射熱で補助アマルガムが温まることで、点灯初期における立上がり特性を改善することができる。(例えば、特許文献5参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−243913号公報(段落0020〜段落0035、図1)
【0009】
【特許文献2】
特開昭60−146444号公報(第2頁、図3,図4)
【0010】
【特許文献3】
特開平11−233065号公報(段落0011〜段落0029、表1、表2、図1)
【0011】
【特許文献4】
特許第3262168号公報(段落0032〜段落0063、図5)
【0012】
【特許文献5】
特開平10−312772号公報(段落0021〜段落0030、図1)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、補助アマルガムを備えた蛍光ランプをソフトスタート方式で点灯させる場合、予熱期間の印加電圧を発光管の絶縁破壊が生じない程度に低く抑える必要がある。そのため、予熱時と点灯時とで印加電圧を切り替える手段として、例えばIC(集積回路)等の切換手段、或いは、電極と並列に接続されてコンデンサの容量を変化させるPTC等を設ける必要があり、製造コストが嵩むといった問題がある。
【0014】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、安価でしかも補助アマルガムの劣化を抑制できる電球形蛍光ランプ及び、この蛍光ランプを備えた照明器具を得ることにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明の電球形蛍光ランプは、屈曲形バルブを有する発光管と、前記発光管内に形成される放電路の両端に位置して前記発光管内に封装された電極と、基板及びこの基板に実装された電子部品を有し、前記電極を予熱しないで前記電極に高周波電力を入力させる点灯装置と、一端側に口金が設けられ、他端側に前記発光管を保持する保持部を有し、前記基板を装着して前記点灯装置を収容したカバー体と、前記発光管の端部の外径よりも細く形成され、前記発光管の端部から突出した内部に主アマルガムを収容してなる細管と、インジウムよりも融点の高い金属を主成分として形成されて、前記発光管内に封装された補助アマルガムと、を具備していることを特徴とする。
【0016】
屈曲バルブは、直管状のガラスバルブの略中央部を加熱溶解して屈曲するか、またはガラスバルブをモールド成形することによってU字状に屈曲した形状に形成される。ここで、「U字状に屈曲された」とは、放電路が折り返されて放電が屈曲するようにガラスバルブが形成されていることを意味し、曲管部が湾曲状または円弧状に形成されたものに限定されず、角形状や尖鋭状に形成されたものも含むという意味である。要するに、放電路が屈曲するように直管部の一端同士を連続させて形成したバルブを意味する。また、屈曲バルブは、略平行な2本の直管部の一端部同士を吹き破り等によって形成された連通管によって接続したものや、スパイラル状に形成されたものであってもよい。なお、屈曲バルブはガラス製でなくともよく、透光性気密容器を形成可能なセラミックス等の材質で形成することが許容される。
【0017】
屈曲バルブの内面には、直接的または間接的に蛍光体層が被着されている。蛍光体層は、希土類金属酸化物蛍光体、ハロリン酸塩蛍光体等が挙げられるがこれに限らない。しかし、発光効率を向上させるためには赤、青、緑の各色に発光する蛍光体を混合した三波長発光形の発光体を使用するのが好ましい。
【0018】
発光管は、屈曲バルブ単体で構成される他、複数の屈曲バルブの端部同士を連通管を介してつなぎ合わせることで内部に少なくとも1本の放電路が形成されるようにガラスバルブ間を連通させて併設したものであってもよい。
【0019】
発光管には、発光管内に形成された放電路の両端位置に電極が封装されている。電極はフィラメントからなる熱陰極、電子放電物質が担持されたセラミック電極、ニッケル等から形成された冷陰極等が挙げられる。
【0020】
発光管には、内部に放電媒体が封入されている。放電媒体としては、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン等の不活性ガス及び水銀が挙げられる。
【0021】
細管は、屈曲バルブの端部に封着されたものであり、主アマルガム封入用として使用される他、排気管として使用されるものであってもよい。主アマルガム封入用として使用される細管は、主アマルガムが点灯装置の収容空間のうち口金側に位置するように封入されるようにするのが好ましい。この際、細管を点灯装置の電子部品のうちの発熱量が比較的大きい素子が実装された側に配設されるように形成し、主アマルガムを発熱量の比較的大きい素子の近傍に配置させる(以下、短細管方式と言う)ようにしてもよいが、細管を前記発熱量が比較的大きい素子よりも口金側に延びるように長く形成し、主アマルガムを発熱量の比較的大きい素子よりも口金側に寄せて配置させる(以下、長細管方式と言う)のがさらに好ましい。
【0022】
すなわち、細管に収容される主アマルガムは、安定点灯時に適切な水銀蒸気圧に制御するものであるため、例えばビスマス(Bi)−インジウム(In)系の主アマルガムでは、90℃〜130℃の高温下であっても、発光管の水銀蒸気圧を最適値である1Pa前後となるように制御する。しかし、このような主アマルガムは、純水銀よりも水銀蒸気圧が一桁以上低い特性を有しているため、周囲温度が約25℃の雰囲気で消灯し、発光管内の温度が外部雰囲気の温度と平衡状態となる程度まで放置した後の点灯瞬時の水銀蒸気圧は0.1Pa前後であり、自己発熱によって高温雰囲気に至るまでは光束が低い。したがって、安定点灯時の主アマルガムの温度を低くできれば、主アマルガムによって水銀蒸気圧を過度に低く制御する必要がなくなり、点灯瞬時の水銀蒸気圧を高くできるので、光束の立上がりを改善することが可能となる。
【0023】
そこで、口金が上向きの状態で点灯した電球形蛍光ランプの各部分ごとの温度を測定したところ、点灯装置の主要部品が集まっている空間の温度は100℃に近いのに対して、それら主要部品よりも口金側の空間の温度は40〜50℃と比較的低くなっていることを突き止めた。これは、カバー体内の対流があまり起こっていないことから、点灯装置の主要部品よりも口金側付近は比較的温度が低くなるためと考えられる。ここで、点灯装置の主要部品とは、点灯装置の電子部品のうちの発熱量が比較的大きい素子、つまりトランジスタ、インデクタ、トランス、フィルムコンデンサ等、抵抗のうち、点灯動作中の発熱量が比較的多く、容積の比較的大きい回路素子を意味し、容積が大きくても比較的発熱量の少ない例えば電解コンデンサのような回路素子は含まれない。すなわち、電解コンデンサが点灯装置の主要部品よりも口金側に突出するように配置されている場合であっても、電解コンデンサの発熱量は比較的少ないため、点灯動作中の発熱量が比較的大きい回路素子よりも口金側、つまり主要部品よりも口金側であれば、電解コンデンサ付近の空間の温度は比較的低い。
【0024】
ここで、「発熱量が比較的大きい素子」は、その表面温度が安定点灯時において70℃以上となる素子として定義することが可能である。この場合、発熱量自体は少ないが局部的に高温となるような容積が小さい素子は含まれない。「発熱量が比較的大きい素子」は、点灯装置で熱ロスを発生させる素子であって、その素子の熱ロスとしての回路損失電力の合計が回路損失電力全体の7割以上を占めることになる。
【0025】
そこで、細管の先端部が口金側に位置するように延在させた発光管を用意し、水銀蒸気圧が比較的高い主アマルガムが点灯装置の主要部品よりも口金側に位置するように細管内に封入した電球形蛍光ランプを試作して点灯させた。その結果、点灯直後の光束立上がりは良好で、かつ、安定点灯時の光束が低下することのない光出力特性が得られた。
【0026】
また、カバー体の温度は、点灯装置の基板面から離間するほど温度が低くなっていることが確認できた。これは点灯装置の基板が発光管の放射熱を遮断する効果を備えているためと考えられる。実際には、基板面から5mm以上離間した空間の温度は発光管側の基板面近傍の温度よりも低く、基板面から10mm以上離間した位置の空間の温度は約40℃〜60℃となるので、この空間に主アマルガムを位置させるのが最適である。しかし、主アマルガムから発光管までの距離が長くなるほど高さ方向の寸法が大きくなって電球形蛍光ランプが大型化し、また主アマルガムから発光管に水銀蒸気が拡散するまでの時間がかかる。そのため、好ましくは、主アマルガムの基板面からの離間距離を50mm以下、さらに好ましくは40mm以下にするとよい。
【0027】
また、細管の先端部が点灯装置の電子部品のうちの発熱量が比較的大きい素子の近傍に配設されるように形成した場合であっても、前記先端部が前記発熱量が比較的大きい素子よりも口金側に延びるように形成した場合であっても、細管にはその中間部に屈曲部を設け、この屈曲部より先端側部分を屈曲部より発光管側の根元部に対して口金の中心を通る軸線に近づけて配置するのが好ましい。これにより、細管がカバー体と当接しないように先端側部分を前記軸線側に寄せながらこの先端側部分を口金側に延在させることができるので、蛍光ランプの外形状が大型化を抑制できる。また、前記先端部が前記発熱量が比較的大きい素子よりも口金側に延びるように形成した場合は、蛍光ランプの外形状が大型化を抑制しつつ主アマルガムの基板面からの離間距離を確保できる。
【0028】
細管内に封入される主アマルガムは、点灯直後の水銀蒸気圧が純水銀に近く、安定点灯時の水銀蒸気圧も適正な値に制御可能な特性を有するものが使用される。例えば、主アマルガムの温度が25℃のときに水銀蒸気圧が0.1Pa〜0.24Pa、好ましくは0.15Pa〜0.24Paであって、主アマルガムが50℃〜60℃のときに水銀蒸気圧が1.0Pa〜2.0Paとなるものが好ましい。
【0029】
主アマルガムの水銀蒸気圧特性は、アマルガム形成金属の組成と水銀含有量で決定されるが、アマルガム形成金属として最適なものは、ビスマス(Bi)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、及び錫(Sn)である、例えば、ビスマス(Bi)−錫(Sn)−水銀(Hg)、ビスマス(Bi)−錫(Sn)−鉛(Pb)−水銀(Hg)、亜鉛(Zn)−水銀(Hg)等が挙げられるがこれらに限定されない。また、水銀含有量が主アマルガムの全質量に対して3質量%以上であれば、主アマルガムの表面に析出する水銀量は多くなることから、光束立上がり特性の改善に効果的である。
【0030】
カバー体は、口金が取付けられているとともに、この口金が取付けた方向と逆の部位に発光管を支持する保持部を備えたものであり、内部に点灯装置の収容空間が形成されている。カバー体は、保持部を別体に形成するのが好ましいが、一体構造であっても構わない。
【0031】
口金は、白熱電球用のE形と称されるねじ込みタイプのものが通常使用されるが、これに限定されない。また、口金は、カバー体に直接装着される必要はなく、間接的に装着されるものやカバー体の一部が口金を構成するものであってもよい。
【0032】
この発明の電球形蛍光ランプは、電極を予熱しないで前記電極に電圧を印加して点灯させる、いわゆるインスタントスタート方式で点灯させるものである。したがって、点灯装置は、電極に予熱電流を通電する手段、具体的には、予熱時と点灯時とで印加電圧を切り替える例えばIC(集積回路)等の切換手段、或いは、電極と並列に接続されてコンデンサの容量を変化させるPTC等を備えていない。
【0033】
この点灯装置は、カバー体内に収容されるものである。点灯装置の基板は、カバー体に対して直接的または間接的に取付けられて収容されている。点灯装置は、平滑用電解コンデンサを備えるものが一般的であるが、これに限定されない。
【0034】
「インジウムよりも融点の高い金属を主成分として形成された補助アマルガム」とは、インジウムよりも融点の高い金属の箔、或いは、ステンレス等の基板表面或いはウェルズにインジウムよりも融点の高い金属をメッキ等によりコーティングしたもの等が挙げられ、電極近傍や放電路中の所望部位に取付けが可能である。なお、点灯時には、補助アマルガム近傍は300℃〜400℃程度の高温となるため、前記基板としては、例えばステンレスの他、鉄とニッケルとの合金等、300℃〜400℃程度の雰囲気中でも耐えられる物質を用いるのが好ましい。
【0035】
また、補助アマルガムは融点だけでなく水銀蒸気圧特性もまた重要である。本発明者らは、補助アマルガムの少なくとも表面を形成するインジウムよりも融点の高い金属の最適化について検討を進めた。補助アマルガムの少なくとも表面を形成するインジウムよりも融点の高い金属は水銀蒸気圧を大きく低下させないことが重要である。すなわち、従来補助アマルガムとして使用されていたインジウムのような金属は、水銀蒸気圧が高く、点灯直後に適量の水銀蒸気を放出し難いので不適当であり、むしろ、あまり水銀を吸着しない金属を水銀保有手段として補助アマルガムの少なくとも表面に用いることが好ましいことを突き止めた。
【0036】
したがって、補助アマルガムとして好ましいのは、あまり水銀を吸着しない金属、金(Au:融点約1063℃)、銀(Ag:融点約960℃)、パラジウム(Pd:融点約1555℃)、白金(Pt:融点1774℃)、鉛(Pb:融点327℃)、亜鉛、(Bi:融点約270℃)、又は錫(Sn:融点約232℃)等が挙げられる。特に金(Au)や銀(Ag)は融点の高さ及び水銀の吸着力の観点から好適である。
【0037】
例えば、白熱電球60Wに相当する12Wクラスの電球形蛍光ランプの場合、発光管内の最適水銀蒸気圧は、質量換算で約2μg程度であるから、補助アマルガムはその10倍の約20μg程度の水銀を吸着可能であれば十分ということになる。
【0038】
請求項1の発明によれば、電極を予熱しないで電極に電圧を印加して点灯させる点灯方式を採用できることから安価に製造できるにも拘らず、インジウムよりも融点の高い金属を主成分として補助アマルガムを形成することができるため、補助アマルガムの劣化を抑制できる。さらに、インジウムよりも融点の高い金属を主成分として形成された補助アマルガムを備えているため、主アマルガムが口金側に配置されていても、点灯直後の水銀不足による光束の低下を抑制でき、光束立上り特性を向上できる。
【0039】
請求項2に係る発明の電球形蛍光ランプは、前記電極が1次コイルを螺旋状に巻いて形成した2次コイルをさらに螺旋状に巻いて形成した3次コイルであり、前記1次コイルが長手方向に延びるメインワイヤーの周りにサブワイヤーを螺旋状に巻いて形成したものであるとともに、前記2次コイルにおける前記メインワイヤーの相対ピッチが150%以下に設定されていることを特徴とする。
【0040】
メインワイヤーの相対ピッチとは、1次コイルを螺旋状に巻いて2次コイルを形成する際のメインワイヤーの相対ピッチであり、隣り合うサブワイヤー同士が接触するように2次コイルを形成したときのメインワイヤーのピッチを100%と仮定した場合の相対的なピッチである。
【0041】
請求項2の発明の電球形蛍光ランプでは、点灯寿命を長くすることができる。
【0042】
請求項3に係る発明の照明器具は、請求項1又は2に記載の蛍光ランプと、この蛍光ランプが着脱自在に装着される器具本体と、を具備していることを特徴とする。
【0043】
器具本体は、既設の照明器具の器具本体であってもよい。本発明の照明器具は、ダウンライト等の埋込器具や直付器具等の器具本体と、請求項1又は2に記載の蛍光ランプとを具備するものであればよい。
【0044】
請求項3の発明の照明器具では、簡単な構成で光束の立上がり特性を改善することができるとともに、安価でしかも補助アマルガムの劣化を抑制できる蛍光ランプを備えた照明器具を提供することができる。
【0045】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図7を参照して本発明の一実施形態を説明する。
【0046】
この電球形蛍光ランプ10は、図1に示すように、発光管20と、細管30a〜30bと、カバー体40と、点灯装置50と、グローブ60とを備えている。カバー体40は、カバー本体41と、このカバー本体41の一端側に設けられた口金42と、カバー本体41の他端側に設けられた保持部としてのホルダ43とを備えている。カバー体40とグローブ60とから構成される外囲器11は、定格電力が60W形相当の白熱電球等の一般照明用電球の規格寸法に近似する外形に形成されている。すなわち、口金42を含む高さH1は110〜125mm程度、直径すなわちグローブ60の外形D1が50〜60mm程度、カバー体40の外形D2が40mm程度に形成されている。なお、一般照明用電球とは、JIS C 7501に定義されるものである。
【0047】
発光管20の内面には、アルミナ(Al2O3)保護膜(図示せず)とその上に蛍光体層(図示せず)とが形成されている。蛍光体層は、例えば赤、青、緑の各色に発光する蛍光体を混合した三波長発光形蛍光体により構成されている。赤色発光蛍光体としては、610nm付近にピーク波長を有するユーロピウム付活酸化イットリウム蛍光体(Y2O3:Eu3+)等が挙げられる。青色発光蛍光体としては、450nm付近にピーク波長を有するユーロピウム付活アルミン酸バリウム・マグネシウム発光体(BaMg2Al16O27:Eu2+)等が挙げられる。緑色発光蛍光体としては、540nm付近にピーク波長を有するセリウム・テルビウム付活リン酸ランタン発光体((La,Ce,Tb)PO4)等が挙げられる。なお、三波長発光形蛍光体には、赤、青、緑の各色に発光する上記発光体以外に、他の色を発光する蛍光体を混合して所望の色度に発光するように調製してもよい。なお、発光管20の発光体層は、後述する屈曲バルブ21a,21b,21cの屈曲形成後に塗布形成される。
【0048】
発光管20は、図2に示すように、外形が略同形状の複数本例えば3本の屈曲バルブ21a,21b,21cを備えている。これら屈曲バルブ21a,21b,21cを所定の位置に配置し、連通管23を介して順次連結することによって、1本の放電路が形成される。
【0049】
3本の屈曲バルブ21a,21b,21cは夫々、互いに略平行な一対の直管部22a及びこれら直管部22aの一端同士を連続させる曲管部22bを有してU字状に形成されている。これら屈曲バルブ21a,21b,21cは、夫々の直管部22aが円周上に位置するように配設して、3つの曲管部22bが三角形状をなすトリプルU形に形成されている。なお、屈曲バルブを4つ使用して曲管部22bが四角形状をなすように形成してもよい。
【0050】
各屈曲バルブ21a,21b,21cは、管外径が約11mm、管内径が約9.4mm、肉厚が約0.8mmの無鉛ガラス製で、110〜130mm程度の直管ガラスバルブの中間部を滑らかに湾曲するように屈曲形成したものである。屈曲バルブ21a,21b,21cの曲管部22bは、直管ガラスバルブの中間部を加熱して屈曲させた後、屈曲バルブ21a,21b,21cの屈曲箇所を成形型に入れ、バルブ内部を加圧することによって所望形状に成形される。この成形型の形状によって、曲管部22bの形状を任意に成形することが可能である。
【0051】
なお、屈曲バルブ21a,21b,21cの管外径は9.0〜13mm、バルブ肉厚は0.5〜1.5mmとするのが好ましい。また、発光管20の放電路長は250〜500mmの範囲とし、ランプ入力電力は8〜25Wとするのが好ましい。屈曲バルブ21a,21b,21cは、製造工程における加熱や点滅温度差によって変形し易く、連通管23の機械的強度が弱くなる条件は、使用するガラスバルブの管外径と肉厚との関係に大きく依存する。管外径が9.0mmよりも小さい場合または肉厚が0.5mmよりも小さい場合には、屈曲バルブ21a,21b,21cの変形以外の要因に基づき発光管20自体が破損しやすいため好ましくない。また、管外径が13mmを超えた場合または肉厚が1.5mmを超えた場合には、連通管23の機械的強度がある程度確保できる。管外径が9.0〜13mm、肉厚が0.5〜1.5mmのガラスバルブを用いた発光管20としては、放電路長が250mm〜500mm、ランプ入力電力が8〜25Wとして設計することで、白熱電球形状に近似した電球形蛍光ランプ10を構成することが可能となる。さらに、放電路長を大きくすることによって発光管20のランプ効率が改善される点灯領域について検討した結果、放電路長が250〜500mm、ランプ入力電力が8〜25Wの範囲内であれば、ランプ効率が特に改善される。
【0052】
屈曲バルブ21a,21b,21cの加熱加工を容易にするために、屈曲バルブ21a,21b,21cに使用するガラスに鉛成分を混入してガラス軟化温度を下げることが一般的に行われているが、鉛成分は環境に影響を及ぼす物質であるため、使用はできるだけ控えた方が好ましい。また、屈曲バルブ21a,21b,21cに使用するガラスにはアルカリ成分としてナトリウム成分(Na2O)が多く混入されているが、屈曲バルブ21a,21b,21cの加熱加工においてこのナトリウム成分が析出して蛍光物質と反応し、蛍光体が劣化することが考えられる。したがって、屈曲バルブ21a,21b,21cは、鉛成分を実質的に含まず、Na2Oを10質量%以下とすることで、環境への影響を低減でき、蛍光体の劣化を抑制して光束維持率を改善することが可能となる。
【0053】
屈曲バルブ21a,21b,21cに使用されるガラスは、重量比で、SiO2が60〜75%、Al2O3が1〜5%、Li2Oが1〜5%、Na2Oが5〜10%、K2Oが1〜10%、CaOが0.5〜5%、MgOが0.5〜5%、SrOが0.5〜5%、BaOが0.5〜7%であり、かつ、SrO/BaO≧1.5及びMgO+BaO≦SrOの条件を満足する組成を有している。このガラスを使用することで、理由は明らかではないが、鉛ガラスを使用した屈曲バルブ21a,21b,21cから形成された以外は同一条件で形成された発光管20よりも光束立上がりが向上することが確認された。
【0054】
屈曲バルブ21a,21b,21cは、ピンチシール等により一端部が封着されているとともに、他端部には、管外径2〜5mm、管内径1.2〜4.2mmの細管30a〜30bがピンチシール等によって発光管20の端部から突出するように封着されている。中間に配置される屈曲バルブ21bの細管30bはダミーであり、一側に配置される屈曲バルブ21cの細管30cは発光管20中の排気を行なうためのものである。また、他側に配置される屈曲バルブ21aの細管30aには、主アマルガム31が封入されている。
【0055】
発光管20の両側に位置する屈曲バルブ21a,21cの非連通管側の一端部には、電極24としてのフィラメントコイルが一対のウエルズ25に支持された状態で封止されている。一対のウエルズ25は、両側の屈曲バルブ21b,21cの端部にマウントを用いないピンチシール等により封着されたジュメット線を介して、発光管20から導出されたワイヤーに接続されている。そして、発光管20から導出された2対すなわち4本のワイヤーは、点灯装置50に電気的に接続されている。
【0056】
電極24は、図3(C)に示すように、例えばタングステン(W)ワイヤーを三重巻きにした3次コイル(トリプルコイル)に例えば酸化バリウム(BaO)等の電子を放出するエミッター(図示せず)を塗布して形成されたフィラメントコイルからなる。
【0057】
すなわち、電極24は、図3(B)に示す2次コイル71を螺旋状に巻いて形成している。2次コイル71は、図3(A)に示す1次コイル70を螺旋状に巻いて形成している。1次コイル70は、長手方向に延びるマンドレル72にメインワイヤー73を軸方向に沿わせ、これらマンドレル72とメインワイヤー73との周りにサブワイヤー74を螺旋状に巻いて形成している。
【0058】
電極の点灯寿命を評価するために、マンドレル72の線径(直径)X、メインワイヤー73の線径(直径)Y、及びメインワイヤー73のピッチPと点滅点灯寿命との関係を測定したところ、マンドレル72の線径X及びメインワイヤー73の線径Yと点灯寿命との間には顕著な相関は測定されなかったが、メインワイヤー73のピッチPすなわち2次コイルのピッチと点灯寿命との間には相関があることがわかった。
【0059】
図5は、メインワイヤー73のピッチPと点灯寿命との関係を示す図である。なお、図5の横軸は、1次コイル70を螺旋状に巻いてサブワイヤー同士が接触するように2次コイル71を形成したときのメインワイヤー73のピッチPを100%と仮定した場合のメインワイヤー73のピッチPの相対値を示している(図4参照)。図5に示すように、メインワイヤー73のピッチPは150%以下であれば点灯寿命を長くする効果が得られる。
【0060】
中間の屈曲バルブ21bの一端部及び電極24近傍のウエルズ25には、補助アマルガム27が設けられている。中間の屈曲バルブ21bに設けられた補助アマルガム27は、ピンチシール等により封着されたウエルズ25に取付けられており、放電路の中間位置に配置されている。この実施形態では、補助アマルガム27として、縦2mm、横7mm、厚さ40μmのステンレスの基板に金(Au)を約3mgメッキして形成されたものを用いている。
【0061】
他側の屈曲バルブ21aに封着された細管30aは、その先端部32aがカバー体40内の口金42側に位置するように屈曲バルブ21aの端部から突出している。この実施形態では、例えば、細管30aを点灯装置50の発熱量が比較的大きい素子よりも口金42側に延びるように長く形成し、主アマルガム31を発熱量の比較的大きい素子よりも口金42側に寄せて配置させる長細管方式を採用しており、細管30aの屈曲バルブ21aの端部からの突出長さL1を直線長さにして約45mmとしている。
【0062】
また、この細管30aの中間部は、口金42の中心C1を通る軸線lに近づく方向に屈曲するとともに再び前記軸線lと略平行な方向に屈曲するように2ヶ所で屈曲する屈曲部32bを有している。この屈曲部32bより先端側部分32cは、屈曲部32bより発光管20側の根元部32dに対して前記軸線lに近づけて配置されている。
【0063】
つまり、この屈曲部32bは、細管30aがカバー体40の内壁面に当接しないように、先端側部分32cを前記軸線l側に寄せながらこの先端側部分32cを口金42側に延在させるためのものである。屈曲バルブ21aの端部から細管30aの先端部32aまでの長さL2は約40mmである。
【0064】
主アマルガムは、ビスマス(Bi)が50〜65重量%、錫(Sn)が35〜50重量%からなる合金を基体として、この合金に対して水銀を12〜25重量%含有させたものである。
【0065】
この実施形態では、発光管20は、バルブの高さH2が50〜60mm、放電路長が200〜350mm、バルブ並設方向の最大幅D3が32〜43mmに形成されている。そして、この発光管20には、封入ガス比率が99%以上のアルゴンガスが封入圧力400〜800Paで封入されている。
【0066】
以下、口金42側を上側、グローブ60側を下側として説明する。
【0067】
カバー本体41は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の耐熱性合成樹脂等により形成されており、図1に示すように、一端側が他端側に向かって拡開する略円筒状をなしている。カバー本体41の一端側には26型等の口金42が被せられ、接着剤またはかしめ等により固定されている。カバー本体41の他端部には発光管20固定部材であるとともに点灯装置50固定部材でもあるホルダ43が取付けられている。このホルダ43は、発光管20の端部が挿通可能な発光管挿通部44を有している。発光管20はこのホルダ43に取付けられ、このホルダ43がカバー本体41の開口部を覆うようにカバー本体41に装着されている。また、ホルダ43には、点灯装置50の基板51が嵌合手段(図示せず)により取付けられている。
【0068】
点灯装置50は、図1に示すように、口金42の中心C1を通る軸線lに対して略垂直に配置される基板51及びこの基板51に実装された複数の電子部品53を有して、高周波点灯を行なうインバータ回路(高周波点灯回路)を構成している。この点灯装置50は、電子部品53の大部分が口金42側に配置されるように基板51が装着されてカバー体40に収容されている。この点灯装置50は、口金42及び蛍光ランプ10と電気的に接続され、口金42を介して給電されることにより動作して電極24を予熱しないで(電極24に予熱電流を与えないで)電極24に高周波電力を入力させて、蛍光ランプ10を点灯させる。すなわち、この蛍光ランプ10は、いわゆるインスタントスタート方式で点灯される。
【0069】
また、この点灯装置50では、平滑用電解コンデンサ53aが点灯装置50の主要部品よりも口金42側に突出するように配置されている。点灯装置50は、細管30a内に封入された主アマルガム31が平滑用電解コンデンサ53aを除く電子部品よりも口金42側に位置するような位置関係でカバー体40内に収容されている。
【0070】
基板51は、略円板状で、発光管20の最大幅の1.2倍以下の直径(最大幅寸法)に形成されている。基板51の口金42側の一面には、平滑用電解コンデンサ53a、インダクタ、トランス、抵抗やフィルムコンデンサ等からなる電子部品53の大部分が実装されている。基板51の発光管20側の他面には、電解効果形トランジスタや整流ダイオード、チップ抵抗等、比較的耐熱温度が高い小型電子素子が実装されている。基板51の発光管20側の他面には、電界効果型トランジスタ(FET)や整流ダイオード(REC)、チップ抵抗等、比較的低熱温度が高い小形電子素子が実装されている。
【0071】
平滑用電解コンデンサ53aの先端部は、限流インダクタ、トランス、抵抗、共振コンデンサ等の発熱量が比較的大きい電子部品53よりも口金42側に突出している。前記主アマルガム31は、電解コンデンサ53aを除く電子部品53よりも口金42側にあって、電解コンデンサ53aに隣接して位置するように細管30aの先端側部分32c内に収容されている。このとき、主アマルガム31は基板51の口金42側の面から距離L3が約40mmとなるように離間している。
【0072】
グローブ60は、透明或いは光拡散性を有する乳白色等であって透光性を有している。このグローブ60は、ガラス或いは合成樹脂等により、一般照明電球のガラス球と略同形状の滑らかな曲面状に形成されている。このグローブ60は、蛍光ランプ10を内包するとともに、開口部をカバー体40の他端側に嵌合させてカバー体40の他端側に取付けられている。なお、グローブ60は、拡散膜等の別部材を組み合わせ、輝度の均一性を向上させることもできる。
【0073】
そして、点灯装置50は、7〜15Wのランプ電力により発光管20内の電流密度(断面積当たりの電流)が3〜5mA/mm2で点灯させるように構成されている。本実施形態の電球形蛍光ランプ10は入力電力規格12Wで、発光管20には10.5Wの電力の高周波で加わり、ランプ電流は190mA、ランプ電圧は58Vとなり、発光管20からの光出力により全光束が約810lmとなっている。
【0074】
この電球形蛍光ランプ10は、例えば、図6に例示する照明器具に用いることができる。
この照明器具1は、天井Cに埋め込まれたダウンライトであり、機器本体2に取付けられたソケット3に蛍光ランプ10が取付けられている。
【0075】
上述のように規定された電球形蛍光ランプ10を一般照明用電球の照明装置1に用いた場合、電球形蛍光ランプ10の配光が一般照明用電球の配光と近似することで、器具本体2内に配設されたソケット3近傍の反射体への光照射量が十分に確保され、反射体の光学設計どおりの機器特性を得ることができる。しかも電球スタンドのように内部光源のイメージが布製等の光拡散性カバーに映し出される照明器具であっても、電球形蛍光ランプ10の配光が一般照明用電球の配光と近似することで違和感なく使用できる。
【0076】
なお、器具本体2は新設のものであっても既設のものであっても、蛍光ランプ10の口金42が着脱自在に接続されるソケット3を有するものであれば蛍光ランプ10を装着して収容できる。また、照明器具1は、ダウンライトの他にも直付器具等の種々の器具本体2を用いることができる。
【0077】
次に、本実施形態の作用について説明する。点灯時の温度分布を図7に示す。温度測定条件は、周囲温度25℃の無風状態にて口金42上向き点灯とした。このとき、電球形蛍光ランプ10は入力電力12.1Wの約1割が点灯回路で消費されている。
【0078】
各部の温度は夫々次の通りであった。主アマルガム31近傍の細管30a温度T1は55℃、口金42の内側空間温度T2は53℃、カバー体40中央部の空間温度(発熱部品の上端が位置する空間温度)T3は62℃、基板51の上面温度T4は98℃、カバー体40外面の上部温度T5は62℃、中間部温度T6は62℃、発光管20の電極24近傍温度T7は158℃、陽光柱温度T8は136℃、屈曲部32bの温度T9は106℃、グローブ60外面の上部温度T10は81℃、最大外径部温度T11は60℃、頂部温度T12は57℃。
【0079】
このように、点灯装置50の近傍は、主発熱要素である発光管20の上部に位置するため、温度が高くなる。これは熱が上部方向及び外径方向へと拡散すること、及び、点灯装置50のうち主たる発熱部品であるパラスト巻線やトランジスタ近傍には高温の空間ができることを意味している。このような高温領域に実装された部品群よりも口金42側のカバー体40内の空間は比較的温度が低く、この空間に主アマルガム31を位置させることによって、主アマルガム31の温度を低下させている。主アマルガム31に近接する電界コンデンサはほとんど発熱しない部品であり、また、口金42近傍の内部は50〜60℃程度である。ちなみに、主アマルガム31が封入された細管の突出長が約10mmの発光管20を備えた従来例(短細管方式)の主アマルガム31の温度を測定したところ約90℃であった。このように、本実施形態のように長細管方式では、主アマルガム31の温度を約30〜40℃低下させる効果がある。
【0080】
また、点灯装置50の基板51が発光管20の端部を覆い、かつ、貫通孔や切り欠き等によって細管30aの先端側部分32cを口金42側に延在させることにより良好な遮熱効果を得ることができる。特に、基板51が発光管20の全端部を覆うことで、発光管20の全端部を覆っていない場合と比べて発光管20の放射熱が効率良く遮断されて口金42側の空間に熱が伝わり難くなる。なお、「発光管20の全端部を覆う」とは、発光20管に複数の端部が形成されている場合には、各端部の全ての端面を完全に覆う必要はなく、基板51が遮熱に必要な発光管20の端部の端面の一部を覆っていればよい。例えば、発光管20が複数の屈曲バルブ21a〜21cを並設して形成されている本実施形態では、バルブ軸中心よりも発光管20の外周側に位置する部分は覆わなくても十分な遮熱効果を得ることができる。
【0081】
次に、光束立上がり特性を評価するために、本実施形態、従来例、及び比較例の電球形蛍光ランプ10を夫々利用して点灯させた。従来例は、ビスマス(Bi)−インジウム(In)系の主アマルガム31が封入された細管の突出長が約10mmの発光管20(短細管方式)を備えたもの、比較例1は、長細管方式のもので補助アマルガム27をインジウムからなる補助アマルガムに変えたもの、比較例2は、上記実施形態(長細管方式)のもので補助アマルガム27を取り除いたものであり、本実施形態とともに夫々の光束立上がり特性を測定した。測定の条件は、100Vの商用交流電源による点灯、周囲温度を25℃とし、無風状態にて口金42上向き点灯とした。このときの入力電流と消費電力は全て194mA、12.1Wであった。
【0082】
図8は、その測定結果を示す図であり、点灯開始から経過時間毎の光束の変化を表している。図8において、線aが本実施形態を、線bが比較例1を、線cが比較例2を、線dが比較例3を夫々示している。点灯直後の光束は、
比較例2>本実施形態>比較例1>従来例
の順番となった。
【0083】
しかし、点灯開始から2〜3秒経過したあたりから、
本実施形態>比較例1>従来例>比較例2
の順番となった。比較例2はその後の数分間いわゆる薄ぼんやりとした明るさの状態が続く結果となった。
【0084】
一方、比較例1は、水銀蒸気圧が速やかに上昇して従来例よりも立上がり特性が改善されることがわかるが、点灯直後の光束は従来例と大差がなかった。
【0085】
これに対し、本実施形態の電球形蛍光ランプ10は、点灯直後に補助アマルガム27から適量の水銀が放出されるので、水銀不足現象が起こることがなく、光束が早期に立上がり、点灯開始から5秒経過時点で安定点灯時の約50%の光出力が得られ、約25秒経過時点では同約85%の光出力が得られることが確認された。
【0086】
以上のように、本実施形態によれば、補助アマルガム27を備えているため、主アマルガム31が口金42側に配置されていても、点灯直後の水銀不足による光束の低下を抑制できる。
【0087】
さらに、本実施形態によれば、インジウムよりも融点の高い金属、例えば金(Au)を主成分として補助アマルガム27を形成することができるため、インスタント点灯方式で設定される程度の印加電圧で点灯させた場合であっても、スパッタリングによる補助アマルガム27の劣化を抑制できる。したがって、電極24を予熱しないで電極24に電圧を印加して点灯させるインスタント点灯方式を採用できるので、安価に製造できる。
【0088】
また、本実施形態では、主アマルガム31が比較的温度の低いカバー体40内の口金42側の空間に配置されるため、水銀蒸気圧が高い特性を有する主アマルガム31を使用することが可能となり、簡単な構成で光束立上がり特性を向上させることができる。
【0089】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、安価でしかも補助アマルガムの劣化を抑制できる電球形蛍光ランプが得られる。
【0090】
請求項2に係る発明によれば、点灯寿命を長くすることができる。
【0091】
請求項3に係る発明の照明器具によれば、請求項1又は2に記載の電球形蛍光ランプを備えるので、安価でしかも補助アマルガムの劣化を抑制できる電球形蛍光ランプを備えた照明器具が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る電球形蛍光ランプを一部断面して示す側面図。
【図2】図1の電球形蛍光ランプが備える発光管の構造を説明する展開図。
【図3】(A)〜(C)は図1の電球形蛍光ランプが備える電極の構造を説明する図。
【図4】電極のメインワイヤー間のピッチを100%にした状態を示す図。
【図5】電極のメインワイヤー間のピッチと電球形蛍光ランプとの関係を示す図。
【図6】図1の電球形蛍光ランプを備えた本発明の一実施形態に係る照明器具を一部断面して示す側面図。
【図7】図1の電球形蛍光ランプの点灯時の温度分布を説明する一部断面した側面図。
【図8】図1の電球形蛍光ランプの点灯時の光束立上がり特性を説明する図。
【符号の説明】
1…照明器具、 10…蛍光ランプ、 20…発光管、 21a,21b,21c…屈曲バルブ、 24…電極 27…補助アマルガム、 30a…細管、 31…主アマルガム、 40…カバー体、 42…口金、 43…保持部(ホルダ)、 50…点灯装置、 51…基板、 53…電子部品
Claims (3)
- 屈曲形バルブを有する発光管と、
前記発光管内に形成される放電路の両端に位置して前記発光管内に封装された電極と、
基板及びこの基板に実装された電子部品を有し、前記電極を予熱しないで前記電極に高周波電力を入力させる点灯装置と、
一端側に口金が設けられ、他端側に前記発光管を保持する保持部を有し、前記基板を装着して前記点灯装置を収容したカバー体と、
前記発光管の端部の外径よりも細く形成され、前記発光管の端部から突出した内部に主アマルガムを収容してなる細管と、
インジウムよりも融点の高い金属を主成分として形成されて、前記発光管内に封装された補助アマルガムと、を具備していることを特徴とする電球形蛍光ランプ。 - 前記電極が1次コイルを螺旋状に巻いて形成した2次コイルをさらに螺旋状に巻いて形成した3次コイルであり、前記1次コイルが長手方向に延びるメインワイヤーの周りにサブワイヤーを螺旋状に巻いて形成したものであるとともに、前記2次コイルにおける前記メインワイヤーの相対ピッチが150%以下に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の電球形蛍光ランプ。
- 請求項1又は2に記載の蛍光ランプと、この蛍光ランプが着脱自在に装着される器具本体と、を具備していることを特徴とする照明器具。
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JP2002368175A JP2004200048A (ja) | 2002-12-19 | 2002-12-19 | 電球形蛍光ランプ及び照明器具 |
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JP2002368175A Pending JP2004200048A (ja) | 2002-12-19 | 2002-12-19 | 電球形蛍光ランプ及び照明器具 |
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JP (1) | JP2004200048A (ja) |
-
2002
- 2002-12-19 JP JP2002368175A patent/JP2004200048A/ja active Pending
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