このような要求に応えるために、特許文献1のような電球形蛍光ランプの発光管およびカバー体の外形寸法を維持したまま単にランプへの入力電力を増大して光出力を向上させることは理論的には可能である。しかし、入力電力の増大に比例して熱損失も多くなるので、カバー体内の温度が上昇して回路部品等が熱劣化するおそれがあるため実用化は困難である。ところで、発光管の放電路長を大きくしてランプ電圧を高くすることで熱損失は改善される。カバー体の外観寸法を大形化せずに放電路長を確保するには、発光管のバルブ径を従来の電球形蛍光ランプに用いられていた発光管よりも細径化し、並設される屈曲バルブの直線部を増やせばよい。しかし、バルブ径が小さく放電路長が長くなるに従ってランプ始動電圧、ランプ点灯電圧が高くなっていくため、使用可能な高周波点灯装置には限界がある。なぜなら、高い電圧を出力するためには高耐圧の電子部品を使用する必要があり、このような部品は一般に大形化する傾向であるのでこれらを実装するスペースが必要となって結局高周波点灯装置全体の外形寸法が大形化して従来の外形寸法を有するカバー体内に収容できなくなる。また、高耐圧の電子部品は価格が高いので製品コストが上昇してしまう。
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、外径寸法を大きくすることなく、例えば従来の電球形蛍光ランプと略同寸法であり、かつ光出力の増大を可能とした電球形蛍光ランプを提供することを目的とする。
請求項1記載の電球形蛍光ランプは、内面に蛍光体層が形成された管内径が5〜8mmのバルブを有し、放電媒体が封入され、放電を生起することが可能な電極が端部に封装されて長さが400〜650mmの放電路が形成された発光管と;ランプ電流密度が4.0〜5.2mA/mm2の範囲内で発光管内に放電を生起させて14〜20Wのランプ電力で発光管を点灯させる高周波点灯装置と;一方側に口金が他方側に前記発光管がそれぞれ取付けられるとともに、高周波点灯装置を収容するカバー体と;を具備しており、口金を含む高さが98〜130mm、最大幅寸法が55〜70mmであることを特徴とする。
本発明者らは電球形蛍光ランプを大形化することなくランプ電力を大きくして光出力を高くするために、詳細を検討した。
ランプ電力は、ランプ電流とランプ電圧との積であるから、ランプ電力を大きくして光出力を増大させるためには、ランプ電圧およびランプ電流を発光管との組合わせによって適切なバランスで大きくしていかなければならない。
光出力を増大させるために、例えば電力一定条件において、管径の小さいバルブを採用し、放電路長を長くするとランプ電圧は大きくなる。ランプ電圧を大きくすると前述のように高周波点灯装置が大形化してしまう。また、放電路長を長く確保するためにバルブの管径をあまり小さくすると発光効率が悪化し、また製造が難しくなるとともに強度が低下するという不具合がある。
そこで、ランプ電力一定の条件において、コンパクトサイズを維持したままランプ電圧を大幅に大きくすることなく、ランプ電流を適正範囲内で増加させて、光出力を増加することについて検討した。
一般白熱電球60Wと略同寸法の電球形蛍光ランプ(口金を含む高さが98〜130mm、最大幅寸法が55〜70mm)のカバー体内に発光管を収容するためには、バルブ管内径を5〜8mm、放電路長を400〜650mmとする必要がある。管内径が5mm以上であっても放電路長が650mmを超えた発光管は、ランプ始動電圧が高くなりすぎるため、高周波点灯装置が大形化し、一般白熱電球60W並みの外形寸法を得ることができない。また、管内径を5mm以下にするとランプ電圧が高くなるが発光効率が低下する。一方、管内径が8mm以上であると、発光管をカバー体内に収容する程度に小形化することが困難である。
なお、本発明の電球形蛍光ランプに使用される発光管は、屈曲状の放電路を形成するように構成されたものであり、U字状のバルブを繋ぎ合わされて構成されたものの他、1本のガラス管を螺旋形状に屈曲形成して構成されたもののどちらでもよい。
次に本検討における結果を示す。本検討において、一般白熱電球60Wとほぼ同等の外形寸法を有する電球形蛍光ランプのカバー体内に収容可能であって管内径を5〜8mm、放電路長を400〜650mmとした発光管のランプ電流密度と各種特性との関係について試験した。なお、本試験に使用したランプは、以下、試験品という。
まず、ランプ電流密度と発光効率との関係を求める実験を行なった。なお、最大発光効率とは、放電路長による影響をなくすため、全光束/陽光柱電力=Lm/Wpとしている。また、ランプ電流密度は、発光管内の単位断面積当たりのランプ電流を意味し、この断面積はバルブの内径から計算することができる。
グラフA中のaは試作品の特性を示し、bは東芝ライテック(株)製の電球形蛍光ランプEFA13(一般白熱電球60W相当の光出力)の特性を示し、それぞれ電流密度を変化させたときの発光効率の変化を示している。なお、EFA13は定格点灯時の電流密度が略3.3mA/mm2であり、発光効率が73lm/Wpで点灯する。したがって、試験品としてもこの発光効率を10%以上下回ることは省エネルギーに適用しない製品とみなされてしまうおそれがあることから避けなければならず、発光効率は65lm/Wpを下限とし、このときのランプ電流密度である5.2mA/mm2を上限値として設定することにした。
次に、発光効率により導きだされた最大電流密度値とランプ電圧との関係を検討した。その結果を表2(グラフB)に示す。
発光効率との関係から導きだされたランプ電流密度の上限値である5.2mA/mm2のときにはランプ電圧は約120Vであった。ランプ電圧が120V程度であれば、始動電圧も適正範囲内であるため、昇圧トランスや倍電圧整流回路等の特別な昇圧手段を用いることなく、従来の電球形蛍光ランプEFA13と同程度の耐圧の部品を使用でき、大形化を避けることができる。
次に、光束立上り特性について検討した。次に示す表3(グラフC)は、電流密度と点灯開始から安定点灯時の50%の光出力が得られる経過時間との関係を表している。
電流密度が4mA/mm2よりも低くなると、点灯開始から安定点灯時の50%の出力に達するまでの時間が長くなる。すなわち、薄暗い、いわゆるぼんやりした明るさの状態が続くこととなる。したがって、光束立上り特性に関しては、ランプ電流密度は4mA/mm2以上とする必要がある。
上述のように、発光効率および小形化、始動特性、光束立上りをそれぞれ良好とするためには、電流密度を4〜5.2mA/mm2とすることが必要であることが分かった。なお、好ましい範囲としては、4.5〜5mA/mm2、さらに好ましくは、4.7〜5mA/mm2である。
上述の検討から、ランプ電流密度の最適な範囲を規定することで、一般白熱電球60Wランプの外寸法よりも大幅に大きくすることなく、約30%全光束を向上することができた。すなわち、比較的大きなランプ電流および所定のランプ電圧によるランプ電力を入力することでランプ効率を大きく損なうことなく電球80W相当の光出力を得ることができた。なお、上記はランプ電力18Wの試作品にて本実験を行なったが、ランプ電力14〜20Wのランプにおいても程度の差はあるものの同様の結果が得られた。なお、一般白熱電球60Wとほぼ同等の外形寸法を維持するとともに光出力を向上させるためには、熱的な観点からランプ電力は最大でも20Wが限界であることが判明した。
本発明において、最大発光効率を全光束/陽光柱電力としたが、陽光柱電力とは、発光管電力から陰極降下電力を除いたものである。
なお、蛍光ランプは、紫外線または容器内に形成された蛍光体膜が照射する可視光を透過し得て、かつ内部に放電を周囲の雰囲気から隔離して包囲できる容器であればよくその材質等は限定されない。一般的には環境、経済性及び加工性などの理由からソーダライムガラスが使用されることが多い。
電極は、通常フィラメントコイルを備えた熱陰極が使用されるが、本発明は冷陰極、電子放射物質を有するセラミック電極などでも構わない。端部から一定以上の距離を有して配置された電極を支持するリード線は、バルブ端部に封装されるフレアステムまたはボタンステムなどに封着されているものの他、リード線を直接封着するピンチシールなどの方法によって封着されていてもよい。
また、蛍光ランプは、電極に電流を流すことで、電極から電子放射物質が放出される。電極から放出された電子は管内に封入された水銀原子と衝突し、その衝突のエネルギーを受けて紫外線が発生する。バルブ内壁に形成された蛍光体層は紫外線を受けて可視光線を発生する。本発明のように、バルブの単位断面積あたりのランプ電流密度が比較的多いランプは、電流密度が増すにしたがい、水銀との反応により発生する紫外線放射密度も増すため、バルブ外に透過する紫外線量も増加する傾向にある。このような場合においては、蛍光体層を従来よりも厚く形成しても構わない。バルブ内面に形成される蛍光体膜の材料は、3波長形の希土類蛍光体や連続波長発光形のハロリン酸塩蛍光体などを使用できるが、その材料などは特に限定されない。
保護膜は、バルブ内面に直接蛍光体層を形成した場合、発光管内に封入した水銀のイオンが蛍光体膜を透過してバルブと直接接触し、バルブを構成するガラス中のアルカリ、特にNaと反応してバルブ変色を生じたり、ガラス中のNaが水銀とアマルガムを生成することなどを抑制するために、ガラスバルブ内壁と蛍光体層の間に形成することが一般的であり、好ましい。しかし、バルブ内壁面に蛍光体層の下地として保護膜を形成し、さらに蛍光体層上に保護膜を形成するなど、保護膜を形成する領域は本発明において特に限定されない。保護膜の材料はZnO、TiO2、Al2O3およびB2O3など特に限定されない。
請求項1記載の電球形蛍光ランプによれば、最適な電流密度を規定することで、発光効率を大幅に低減することなくランプを大形化することなく、光束立上り特性および全光束を改善することがでる。
また、請求項1記載の電球形蛍光ランプは、口金を含む高さが98〜130mm、最大外径が55〜70mmであることを特徴としている。
この電球形蛍光ランプによれば、外形寸法が大形化することなく、放電効率が大幅に低下することなく光出力が向上した電球形蛍光ランプを提供することができる。
請求項2記載の蛍光ランプは、請求項1記載の電球形蛍光ランプのバルブの一端部からカバー体内の口金側に向けて延在し、その一部の表面温度が通常点灯時に40〜70℃となるように構成されたバルブ内に連通する細管を具備していることを特徴とするもの
である。
一般に蛍光ランプは、通常点灯時の発光管内の水銀蒸気圧が1〜2.4Paであるときに、発光効率が最大となる。純水銀を封入したランプでは、この蒸気圧を得るために発光管の一部を40〜60℃とさせることにより、管内の水銀蒸気圧を最適な状態に保つことができる。しかし、点灯中高温となるような電球形蛍光ランプは、発光管の一部に40〜60℃の部分を形成させるのは困難であるため、発光管の一部を放電路から離間することで、点灯中発光管の一部の温度を40〜70℃とすることが可能となり、純水銀に近い蒸気圧特性を有するアマルガムを使用することができる。
請求項2記載の蛍光ランプによれば、請求項1または2記載の作用に加え、細管を口金側に向けて突出させた一部に発光効率が最大となる水銀蒸気圧を有する温度にすることが可能となる。その結果、従来の水銀蒸気圧が低いアマルガムを使用した場合に比べて、点灯直後の光束立上り特性が向上し、点灯中の発光効率が低下することも抑えられる。
請求項3照明器具は、請求項1または2記載の電球形蛍光ランプと;この電球形蛍光ランプが装着された器具本体と;を具備しているものである。
請求項3記載の照明器具によれば、請求項1ない3いずれか一記載の発明の作用を有する電球形蛍光ランプを備えた照明器具を提供することができる。
請求項1記載の電球形蛍光ランプによれば、最適な電流密度を規定することで、発光効率を大幅に低減することなくランプを大形化することなく、光束立上り特性および全光束を改善することができる。
また、請求項1記載の電球形蛍光ランプによれば、外観寸法を大形化せずに、放電効率を大幅に低減することなく光出力を向上する電球形蛍光ランプを提供することができる。
請求項2記載の蛍光ランプによれば、請求項1記載の作用に加え、細管を口金側に向けて突出させた一部に発光効率が最大となる水銀蒸気圧を有する温度にすることが可能となる。その結果、従来の水銀蒸気圧が低いアマルガムを使用した場合に比べて、点灯直後の光束立上り特性が向上し、点灯中の発光効率が低下することも抑えられる。
請求項3記載の照明器具によれば、請求項1または2記載の発明の作用を有する電球形蛍光ランプを備えた照明器具を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態である電球形蛍光ランプを図面を参照して説明する。
図1は本実施の形態の電球形蛍光ランプを示す斜視図、図2は図1のグローブを外した状態を示す斜視図、図3は図1の蛍光ランプの展開図である。
図に示す電球形蛍光ランプLは、定格電力60W相当の一般照明用電球JIS C 7501に定義された外観形状に類似する外形で、口金10からグローブ20頂部までの高さ方向の寸法Hが98〜130mmであって、本実施の形態では約125mm程度、カバー体30の最大外径は35〜45mm程度に形成されている。カバー体30は、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)などの耐熱性合成樹脂などにて、蛍光ランプ40方向へ向かって拡開する略円錐状に形成されている。
蛍光ランプ(発光管)40は、ガラス製の屈曲バルブ41を有し、各バルブ41の内面には、例えば3波長発光形の蛍光体層が形成され、アルゴン、ネオンの希ガスがアルゴン100%〜アルゴン50%/ネオン50%の割合で2.5〜5Torr、本実施の形態においてはアルゴン75%/ネオン25%の割合で4.0Torr封入されている。
複数の屈曲バルブ41は、例えば管外径7〜9mm、管内径5〜8mmの直管形バルブの中間部をU字状の屈曲部を形成している。
蛍光ランプ40は、4本の屈曲バルブ41a,41b,41c,41dがそのU字状をなす面が互いに平行に対向するとともに、ランプ長手方向の中心軸を中心とする円周上に各バルブ端部が並設した状態で連結管42a,42b,42cにより連結されている。各屈曲バルブ41a,41b,41c,41dは、本実施形態では約8.7mm程度、管内径が7.1mm程度の断面略円筒状バルブによりU字状に形成されている。さらに、両端に位置する高さ55mmのバルブ41a,41dと連結管42a,42cにより連結された中間に位置する高さ64mmの2本のバルブ41b,41cは、バルブU字面の延長方向からみて2mm程度の隙間を有するよう連結管42bにより連結されている。なお、中間バルブ41b,41cと電極が封装された両端に位置するバルブ41a,41dは、バルブU字面の延長方向から見て隙間なく重なり合うよう配置されている。すなわち、各バルブ41a,41b,41c,41dの一対の直線部が蛍光ランプ長手方向中心軸を中心とする略同一円周上に配置可能なように一対の直線バルブの間隔および屈曲部の曲率を規制し成形している。
両端の屈曲バルブ41a,41dの各一端には、一対の電極が圧潰封止されている。この一対の電極は、フィラメントコイルを有し、このフィラメントコイルが一対の線状のウェルズに支持され、ジュメット線を介して外部に導出されて点灯装置に接続されている。
蛍光ランプ40は、中央の屈曲バルブ41b,41cの高さが55〜75mm、両端の屈曲バルブ41a,41dの高さ45〜65mmとなるよう構成されている。
この4本の屈曲バルブ41a,41b,41c,41dは、連結管42a,42b,42cで順次接続され、放電路長が400〜650mmの1本の連続した放電路が形成される。それぞれのバルブ41a,41b,41c,41dを連結する連結管42a,42b,42cは、蛍光ランプ40長手方向の中心軸を中心とする円周上に配置されたバルブ41a,41b,41c,41dにより形成された架空円の近接接線と略平行となるように形成されている。なお、このような構成のバルブ最大幅は38mm程度に形成されている。また、バルブ内には、後述する細管43を介して1.8mgの水銀が封入されている。
4本のバルブ端部41a,41b,41c,41dのうち、電極が封装されない少なくとも一つの端部には、管外径3.0〜5.0mm、管内径1.5〜3.5mmのガラス製バルブからなる細管43が封着されている。この細管は、水銀封入用であるとともに、排気管としても使用される。
このように製造された蛍光ランプ40を保持するホルダ31は、カバー体30の一端の開口部に取付けられるもので、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)などの耐熱性合成樹脂材料にて円板状に形成されている。このホルダ31には、蛍光ランプ40が挿通される図示しない複数の取付孔が形成され、これら取付孔に蛍光ランプ40端部が挿通された状態で例えば図示しないシリコーン樹脂などの接着剤で固定される。これにより蛍光ランプ40がホルダ31に支持される。ホルダ31の蛍光ランプ40非装着側には、図4に示す点灯装置が配置されている。
この点灯装置は、商用交流電源eにヒューズF1を介してフィルタを構成するコンデンサC1が接続され、このコンデンサC1にはフィルタを構成するインダクタL1を介して全波整流器の入力端子が接続されている。また、この全波整流器の出力端子には平滑用の電解コンデンサC2が接続されて入力電源回路Eを構成し、この入力電源回路EのコンデンサC2には高周波を発生するハーフブリッジ形のインバータ回路が構成されている。
Nチャネル形トランジスタとしてのMOS形電界効果トランジスタQ1およびPチャネル形トランジスタとしてのMOS形電界効果トランジスタQ2の直列体は、相補形のスイッチング素子としてコンデンサC2に対して並列に接続されている。Nチャネルの電界効果トランジスタQ1およびPチャネルの電界効果トランジスタQ2は互いのソースが接続されている。
さらに、電界効果トランジスタQ2のドレイン、ソース間には、帰還用のトランスの一次巻線L2、直流カット用のコンデンサC3および共振用のインダクタを兼ねたバラストチョークL3を介して、蛍光ランプの両端のフィラメント電極の一端がそれぞれ接続されており、一方のフィラメント電極の他端と他方のフィラメント電極との他端間には予熱用および始動用の共振用のコンデンサC4が接続されている。
蛍光ランプの共振用コンデンサC4とは反対側に位置する一端側には正温度特性抵抗素子PTCが並列的に接続されており、各フィラメント電極44には負温度特性抵抗素子NTC1,NTC2がそれぞれ並列的に接続されている。なお、正温度特性抵抗素子PTCには安定点灯時のランプ電圧を超えた所定電圧値以上の電圧では抵抗値の減少により導通するが、この所定電圧値以下では抵抗値が増大して導通状態を実質遮断するように機能するバリスターなどの半導体抵抗素子が一体的に接続されている。
電解コンデンサC2と電界効果トランジスタQ1のゲートおよび電界効果トランジスタQ2のゲートとの間には、起動回路を構成する起動用の抵抗R1が接続されている。すなわち、電界効果トランジスタQ1のドレインとゲートとの間に起動用の抵抗R1が接続されていることになる。
なお、起動回路は抵抗R1,R2,R4、コンデンサC6、C7の充電ループを含んで構成されているものであるが、充電ループの一部に共振用のコンデンサC4を含む負荷回路を利用したものとしてもよい。
そして、これら電界効果形トランジスタQ1 およびQ2のゲートとソースとの間には、コンデンサC6およびゲート制御回路のコンデンサC7の直列回路が接続されている。これらコンデンサC6およびC7の直列回路に対して並列に電解効果形トランジスタQ1およびQ2のゲート保護のためのツェナーダイオードZD3およびZD4の直列回路が接続されている。
なお、ゲート制御回路は、トランスの一次巻線L2、二次巻線L4、コンデンサC6およびC7、ツェナーダイオードZD3およびZD4を含んでなる自励発振形のドライブ回路であるが、他励式のドライブ回路であってもよい。
また、トランスの一次巻線L2には、二次巻線L4が磁気的に結合して設けられている。この二次巻線L4はインダクタンス素子としても機能するものであり、コンデンサC6およびコンデンサC7の接続点に接続されている。そして、コンデンサC6に対して並列に、起動回路の抵抗R2が接続されている。
さらに、電界効果形トランジスタQ2のドレインとソースとの間には、起動回路の抵抗R4およびスイッチング改善用のコンデンサC8がそれぞれ接続されている。
次に、本実施形態の作用について説明する。まず、商用交流電源eに電源が投入されると全波整流器で全波整流し、平滑コンデンサC2で平滑され、平滑コンデンサC2の両端間には直流電圧が発生する。平滑コンデンサC2の両端電圧の上昇すると点灯装置に電力が投入されると起動回路の抵抗R1、R4などを介してコンデンサC6,C7が充電されてNチャンネルの電界効果形トランジスタQ1のゲートに電圧が印加され、電界効果形トランジスタQ1がオンする。電界効果形トランジスタQ1のオンにより一次巻線L2、直流カット用のコンデンサC3、バラストチョークL3、蛍光ランプのフィラメント電極、共振用のコンデンサC4の閉路に電流が流れ、主としてバラストチョークL3および共振コンデンサC4による直列共振作用により共振電圧が生じる。
そして、一次巻線L2の帰還電流が二次巻線L4に発生して電圧が誘起され、ゲート制御回路のコンデンサC6およびコンデンサC7などが固有共振して電界効果形トランジスタQ1をオンさせ、電界効果形トランジスタQ2をオフさせる電圧を発生する。
次いで、一次巻線L2、コンデンサC3、バラストチョークL3および共振コンデンサC4の回路での共振電圧が反転すると二次巻線L4には前回と逆の電圧が発生し、ゲート制御回路は電界効果形トランジスタQ1をオフさせ、電界効果形トランジスタQ2をオンさせる電圧を発生させて、自励発振が開始される。
さらに、一次巻線L2、コンデンサC3、バラストチョークL3および共振コンデンサC4の回路での共振電圧が反転すると電界効果形トランジスタQ1がオンするとともに、電界効果形トランジスタQ2がオフする。
以後、同様に、電界効果形トランジスタQ1および電界効果形トランジスタQ2が交互にオン、オフして、共振電圧が発生し、コンデンサC4に並列接続された蛍光ランプ40のフィラメント電極44が予熱される。
ところで、蛍光ランプ40の点滅寿命を延ばすためにはフィラメント電極44を十分予熱してから蛍光ランプ40に始動電圧を印加する必要がある。本実施形態では、正温度特性抵抗素子PTCのインピーダンスが変化する時間を適当な値に選択することによって共振コンデンサC4の両端に発生する共振電圧の上昇時間を調整し、フィラメント電極の予熱時間を確保している。
まず、フィラメント電極の予熱が開始された直後に共振コンデンサC4の両端に共振電圧が発生するが、この共振電圧が正温度特性抵抗素子PTCの半導体抵抗素子が導通する電圧値を超えているので、正温度特性抵抗素子PTCは導通して電流が流れる。すると、正温度特性抵抗素子PTCは主に自己発熱作用によって徐々にインピーダンスが上昇し、主にバラストチョークL3および共振コンデンサC4からなる共振回路の共振成分が変化して共振電圧が上昇する。この共振電圧が蛍光ランプの始動電圧に達するまでの時間が正温度特性抵抗素子PTCの特性を選択することで調整されている。
そして、蛍光ランプ40に始動電圧が印加されると、蛍光ランプ40は点灯を開始し、共振電圧も低下する。ここで、蛍光ランプ40の点灯時のランプ電圧は正温度特性抵抗素子PTCの半導体抵抗素子が導通する電圧値以下であるので、正温度特性抵抗素子PTCは導通しなくなって正温度特性抵抗素子PTCでの電力消費は実質なくなる。
一方、フィラメント予熱を開始してから各フィラメント電極44に並列的に接続された負温度特性抵抗素子NTC1,NTC2にも電流が流れ、自己発熱により徐々にインピーダンスが低下する。そして、蛍光ランプ40の点灯後は、負温度特性抵抗素子NTC1,NTC2の方がフィラメント電極44よりもインピーダンスが低下するので、フィラメント電極44にほとんど電流が流れなくなり、フィラメント電極44での電力消費は実質なくなる。なお、点灯装置は14〜19Wのランプ電力により蛍光ランプ40内の電流密度(単位断面積当りのランプ電流)が4.0〜5.5mA/mm2で点灯されるように構成されている。
このように構成された電球形蛍光ランプは、入力電力定格18Wで、3波長発光形蛍光体の使用により、電球色で1050lmの全光束が得られる。
以上のような電球形蛍光ランプによれば、本実施の形態のように一般白熱電球の外観寸法を維持可能な程度にランプ電流密度を規定することにより、ランプ発光効率を大幅に低減することなく、従来の電球形蛍光ランプ60Wタイプに比べて約30%光出力を改善することができた。また、一般白熱電球の外観類似するような形状の頂部球形状のグローブ20により蛍光ランプ40を囲んだ場合には、このグローブ20の高さが最も高くなる頂部下方に、中間バルブ41b,41cの頂部が位置し、グローブ20湾曲に沿って両端バルブ41a,41dが中間バルブ41b,41cと段違いに配置しているので、グローブ20と蛍光ランプ40の隙間を均一に形成することで鉛直下方向の配光が均一となる。さらに、蛍光ランプ40長手軸方向中心とした円周縁部にバルブ端部を配置しているので、バルブ対角線方向の幅が均一になり、回転方向の配光も均一となる。またU字形屈曲バルブ41a,41b,41c,41dを連結するバルブ端部がそれぞれ近接しているので、接続加工を容易に行なうことができるとともに接続強度が向上するとともに、一層小形化された限られたスペースにバルブを配置するホルダ31上の容積収容率が向上する。
本実施の形態において電球形蛍光ランプを形成するバルブは4本であったがこれに限らず、3本以下または4本以上でも同様の作用効果が得られる。また、電球形蛍光ランプに限らず、コンパクト蛍光ランプなどであっても構わない。さらには、直管バルブの略中央が頂部となるようなスパイラル状に形成されたものであってもよい。
次に本発明の第2の実施形態である電球形蛍光ランプを図5を用いて説明する。図5は第2の実施形態の電球形蛍光ランプの一部断面側面図である。
なお、図5に示す電球形蛍光ランプは、第1の実施形態に示す電球形蛍光ランプを構成するバルブ端部に封着された細管43のうち、中間に位置するバルブ端部41bに封着された細管43をカバー体側空間に延在させていること、およびカバー体30内に収容された点灯装置26の一部とカバー体30内壁を放熱手段としてのシリコーン樹脂60により接続していることを除き構成を同一とする。なお、上述した第1の実施の形態と同様の構成については同一符号を用いてその説明を省略する。
中間の屈曲形バルブ41bに封着された細管43は、その先端がカバー体30内の口金10側に位置するように屈曲形バルブの端部からの突出長は15〜50mmの長さでするのが好ましく、本実施形態では直線長さにして約48mmで突出している。
カバー体30側まで延在した細管43内には、主アマルガム70が封入されていおり、この主アマルガム70は、ビスマス(Bi)が50〜65質量%、錫(Sn)が35〜50質量%からなる合金を基体とし、この合金に対して水銀を12〜25質量%含有させたものである。
また点灯装置を構成する図示しない回路基板には、挿通部としての円径状の挿通孔が形成されており、この挿通孔を介して細管43の先端を口金側まで延在させている。また、熱伝導性物質としてのシリコーン樹脂60を、点灯装置26に実装されている複数の電子部品の一部を覆うように充填している。なお、本実施の形態においては、複数の電子部品のうち相対的に体積が大きいとともに、自己発熱量が多い直流カットコンデンサC3とドラストL3をシリコーン樹脂60により被覆するとともに、カバー体内壁に接触するようシリコーン樹脂60を充填している。なお、本実施の形態における放熱用シリコーン樹脂は、硬度40〜60JISA、カリウムおよびシリカを含んでいる。
以上のような構成により、電球形蛍光ランプの点灯装置26に電源が投入されると点灯装置26によって蛍光ランプ41の一対の電極44間に始動電圧が印加されて蛍光ランプが放電を開始し電球形蛍光ランプが点灯する。
上述のように組み立てられたランプは、消費電力に対する蛍光ランプ内面積が比較的小さく、点灯中高温となるような単位面積あたりの紫外線強度、イオン衝撃および温度負荷が大きくなる電球形蛍光ランプであっても、カバー体30の温度はある程度上昇するが、カバー体30内に放熱シリコーン樹脂60を充填しているので、効率的に放熱が可能となる。
これにより、点灯装置26を構成する複数の電子部品を熱影響から確実に保護し、信頼性の高い点灯装置26を提供することが可能となる。これにより寿命特性の改善を図ることが可能となり、商品性に優れた電球形蛍光ランプを提供することができる。さらに、主アマルガム70を比較的温度の低いカバー体30内の口金側空間まで延在させることで、水銀蒸気圧が高い特性を有する主アマルガム70の使用することが可能となり、簡単な構成で光束立上り特性を向上させることが可能となる
次に本発明の第3の実施形態である電球形蛍光ランプを図6を用いて説明する。図6は第3の実施形態の電球形蛍光ランプの断面側面図である。
なお、図6に示す電球形蛍光ランプは、第2の実施形態に示す電球形蛍光ランプを構成する蛍光ランプ41のバルブ形状を螺旋状にしたものであり、その他の構成は同一である。したがって、上述した第1および第2の実施の形態と同様の構成については同一符号を用いてその説明を省略する。
第3実施形態の電球形蛍光ランプ1は、定格電力80W相当の一般照明用電球JIS C 7501に定義された外観形状に類似する外形で、口金10の頂部からグローブ20の頂部までの高さ寸法Hが120mm〜130mmの範囲になっている。また、最大外径W、すなわち、グローブ20の最大外径Wが60mm〜70mmの範囲になっている。
螺旋発光管からなる蛍光ランプ41は、管内径が7〜8mmの範囲で、電極間の放電路長が400〜550mmの範囲になっている。また、外径が35〜42mmの範囲で、高さが60〜70mmの範囲になっている。そして、蛍光ランプ41の一端部に、この一端部から突出し、その先端部が前記口金10付近まで延出した細管43を形成し、その先端部に例えば水銀比が15%以上のアマルガム70を収容している。
第3実施形態の電球形蛍光ランプ1においても、入力電力定格18Wで、3波長発光形蛍光体の使用により、電球色で1050lmの全光束が得られる。
次に本発明の第4の実施形態である照明器具を図7を用いて説明する。図7は本発明の埋め込み形照明器具の一実施形態を示す断面概略図である。図においてLは電球形蛍光ランプ、器具本体は、基体51と反射板52などより構成されている。