以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
図1ないし図9に第1の実施の形態を示し、図1は電球形蛍光ランプにおけるバルブの並設方向から見た断面図、図2は電球形蛍光ランプにおけるバルブの並設方向に対して交差する方向から見た断面図、図3は電球形蛍光ランプのカバーおよびグローブを外してホルダ側から見た断面図、図4は電球形蛍光ランプのホルダの斜視図、図5は電球形蛍光ランプの発光管と組み合わせたホルダの内側の斜視図、図6は電球形蛍光ランプの点灯装置の回路図、図7は電球形蛍光ランプを用いた照明装置の概略図、図8は電球形蛍光ランプの配光特性図、図9は電球形蛍光ランプのグローブが露出する領域でかつホルダの周囲に対向して暗部が生じやすい領域の寸法h5(h3−h4)と点灯回路の平均温度との関係を測定したグラフである。
図1および図2において、11は電球形蛍光ランプで、この電球形蛍光ランプ11は、高さ方向(管軸方向)の一端に口金12を有するカバー13、このカバー13の他端側に支持された発光管14、この発光管14の一端側を支持してカバー13に取り付けられたホルダ15、発光管14を覆うとともに一端側でホルダ15の周囲も覆ってカバー13に取り付けられたグローブ16、口金12およびカバー13の内側に収納された点灯装置17を備えている。そして、定格電力が例えば40Wタイプ、60Wタイプ、100Wタイプの白熱電球などの一般照明用電球に近い外観に形成されている。この一般照明用電球とは、JIS C 7501に定義されている。
口金12は、エジソンタイプのE26形などで、ねじ山を備えた筒状のシェル21、このシェル21の一端側の頂部に絶縁部22を介して設けられたアイレット23を備えている。シェル21の他端側をカバー13の一端部に被せて接着剤またはかしめなどにより固定されている。
また、カバー13は、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)などの耐熱性合成樹脂にて形成され、一端側には口金12のシェル21が取り付けられる円筒状の口金取付部26が形成され、他端側には拡開した円環状のカバー部27が形成され、内側にはホルダ15を取り付けるホルダ取付部28が形成されている。
また、発光管14は、少なくとも3本のU字形屈曲バルブであるバルブ31,32,33を有し、これらバルブ31,32,33が連通管34で順次接続されて1本の連続した放電路35が形成されている。各連通管34は、バルブ31,32,33の接続する端部近傍を加熱溶融した後、吹き破ることによって形成された開口同士をつなぎ合わせて形成されている。
バルブ31,32,33は、管外径が3〜8mmのガラス製の断面略円筒状の管体が、中間部で湾曲されて頂部を有する略U字状に形成されている。すなわち、バルブ31,32,33は、湾曲する屈曲部とこの屈曲部に連続する互いに平行な一対の直管部とを備えている。中央のバルブ32の高さが、両側のバルブ31,33の高さより高い関係を有している。そして、バルブ31,32,33は、そのU字形をなす面が互いに平行に対向するように並設されている。
発光管14の内面には例えば3波長形の蛍光体が形成され、発光管14の内部にはアルゴン(Ar)やクリプトン(Kr)などの希ガスや水銀などを含む封入ガスが封入されている。
放電路35の両端に位置する両側のバルブ31,33の各一端部にはステムシールまたはピンチシールによって一対の電極36が封装されている。各電極36は、フィラメントコイルを有し、このフィラメントコイルが一対の線状のウエルズに支持されている。各ウエルズは、例えば、両側のバルブ31,33の一端部に封装されたジュメット線を介して両側のバルブ31,33の一端部から外部に導出されて点灯装置17に接続される一対のワイヤ37(図5参照)に接続されている。
両側のバルブ31,33の電極36が封装された各一端部、および中央のバルブ32の両端部には、ステムシールまたはピンチシールによって封装されて排気管とも呼ばれる円筒状の細管38が連通状態に突設されている。これら各細管38は、発光管14の製造過程で溶断によって順次封止され、各細管38のうちの封止されていない一部を通じて発光管14内の排気がなされるとともに、封入ガスが封入されて置換された後に、その各細管38のうちの封止されていない一部を溶断することによって封止される。
中央のバルブ32の両端部の細管38のうち、一方の細管38は、先端部が口金12の内側まで延設されるように長く形成されているとともにバルブ32の直管部と平行な直線状に形成され、その先端部には封止する際にアマルガムとしての主アマルガム39が封入されている。この主アマルガム39は、ビスマス、錫および水銀にて構成される合金であり、略球形状に形成され、発光管14内の水銀蒸気圧を適正な範囲に制御する作用を有している。なお、主アマルガム39としては、ビスマス、錫の他に、インジウム、鉛などを組み合わせた合金によって形成したものを用いてもよい。また、両端のバルブ31,33の電極36のウエルズには、水銀吸着放出作用を有する補助アマルガムが取り付けられて封入されている。さらに、中央のバルブ32の他端にも両端のバルブ31,33に設けられた補助アマルガムと同様の補助アマルガムが封入されている。
発光管14は、バルブ31,32,33の一対の電極36が封装された一対の電極側端部40が高さ方向の一端側に位置している。バルブ31,32,33の管外径が3〜8mm、高さ方向に対して交差する幅方向の最大幅b1が30mm以下に形成されている。
また、図1ないし図5に示すように、ホルダ15は、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)などの耐熱性合成樹脂材料にて形成され、円板状の基板部42、この基板部42の周縁部から一端側に突出する円筒状の筒部43を備えている。
基板部42の中央部には発光管14のバルブ31,32,33の内側間に挿入可能とする突部44が突出形成され、この突部44の周面には各バルブ31,32,33の各端部側であって発光管14の中心側に対向する周面部が嵌合するバルブ取付部としての円弧状の窪み部45が形成され、これら各窪み部45にはホルダ15の内側に連通する取付孔46が形成されている。
基板部42には各バルブ31,32,33の端面に対向して各挿通孔47が形成され、これら各挿通孔47に各バルブ31,32,33の端部から突出する各ワイヤ37や各細管38が挿通される。挿通孔47の径はバルブ31,32,33の径より小さく、バルブ31,32,33の端部は挿通孔47に入り込まない。
そして、発光管14をホルダ15に組み合わせた後、ホルダ15の内側から各取付孔46および各挿通孔47を通じて例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂などの接着剤を注入することにより、各バルブ31,32,33の端部側であって発光管14の中心側に対向する内周面側および各バルブ31,32,33の端面がホルダ15に接着固定されている。
筒部43の一端部には、カバー13のホルダ取付部28に取り付けられる爪部48が形成されている。筒部43の内側には、ホルダ15の中心線からオフセットした位置で互いに対向する一対の基板取付溝49を有する一対の基板取付部50が形成されている。基板取付溝49は、ホルダ15の中心線と平行に形成されていて筒部43の一端部側に開口形成されている。また、筒部43には、一対の基板取付部50がオフセットして形成された側に対して反対側に、一対の切欠部51が形成されている。
また、グローブ16は、透明または光拡散性を有するガラスや合成樹脂などの材質により、白熱電球などの一般照明用電球のガラス球の形状に近い滑らかな曲面状に形成されている。グローブ16の一端部に開口部54が形成され、この開口部54の縁部55がカバー13のカバー部27の内側に嵌合されて例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂などの接着剤により接着固定されている。
また、点灯装置17は、基板58を備え、この基板58に点灯回路59を構成する複数の電子部品60が実装されている。基板58は、口金12の内側に挿入可能とする幅寸法で、幅寸法に対して高さ寸法が長い矩形状に形成されており、この基板58の両側縁部がホルダ15の一対の基板取付溝49に差し込み係合されてホルダ15の中心軸の方向に沿って縦形に配置されるとともに、ホルダ15の中心線に対してオフセットした位置に配置されている。すなわち、口金12とカバー13とホルダ15とを組み合わせた状態において、基板58は、口金12の内側に対して、その口金12の中心線の方向に沿って縦形に配置されるとともに、口金12の中心線に対してオフセットした位置に配置されている。基板58は、ホルダ15の基板取付部50によって高さ方向と交差する方向の位置が仮固定され、発光管14のワイヤ37とラッピングピン61との接続によって、または口金12とホルダ15との間での挟み込みによって高さ方向の位置が位置決め保持されている。
基板58の両面側に電子部品60が実装されるが、基板58の口金12との間隔が広い側の一面には、電子部品60のうちの限流インダクタとしてのバラストチョークなどのトランスCT、コンデンサC1、平滑用コンデンサとしての電解コンデンサC2などの大形の電子部品60が実装され、また、基板58の口金12との間隔が狭い側の他面には、電子部品60のうちの高さの低いトランジスタ、チップ形のコンデンサや整流素子などの面実装タイプの電子部品60が実装されている。
なお、トランジスタとしてのMOS形のNチャネルの電界効果トランジスタQ1およびMOS形のPチャネルの電界効果トランジスタQ2は1つのパッケージ部品として他面に面実装されている。
平滑用の電解コンデンサC2は、基板58の一面の幅方向中央域で基板58に対して垂直方向に向けて実装されている。これにより、基板58の実装効率が向上し、基板58の小形化が可能となる。
口金12に接近する基板58の幅方向縁部側に位置する電子部品60として例えばコンデンサC1は、基板58の幅方向中央部側に向けて傾斜されている。これにより、コンデンサC1が口金12の内側に当たることなく挿入でき、口金12の内側に点灯装置17を効率よく収納できる。コンデンサC1などの傾斜させる電子部品60は、ディスクリート部品であって、2本のリード線で基板58に立つ状態に実装されるラジアル部品である。
基板58には、発光管14側である他端側に、発光管14の各電極36の一対のワイヤ37をそれぞれ巻き付けて接続する4本のラッピングピン61が突設されている。
また、基板58の口金12との間隔が狭い面側との間には、主アマルガム39を封入した細管38が配置されている。これにより、口金12の内側に点灯装置17と細管38とが効率よく配置される。
そして、口金12の中心軸に対する基板58のオフセット量は、口金12の内径の3/4の位置までの範囲が好ましい。このオフセット量が3/4の位置よりも口金12の内面側に接近した場合には、基板58の幅が狭くなり、基板58の実装面積が小さくなって電子部品60の実装効率が低下するので好ましくない。
また、口金12の内側には例えば熱伝導性シリコーン樹脂などの熱伝導性部材が注入され、この熱伝導性部材によって少なくとも発熱量の大きいトランスCTなどの電子部品60と口金12側とが熱的に接続されている。熱伝導性部材は、口金12の内側全体に点灯装置17の基板58や電子部品60を覆うように充填してもよい。
また、図6に点灯装置の回路図を示す。商用交流電源eにヒューズF1を介してフィルタを構成するコンデンサC1が接続され、このコンデンサC1にはフィルタを構成するインダクタL1を介して全波整流器71の入力端子が接続されている。また、この全波整流器71の出力端子には平滑用の電解コンデンサC2が接続されて入力電源回路Eを構成し、この入力電源回路Eの平滑用の電解コンデンサC2には高周波を発生する交流電源としてのハーフブリッジ形のインバータ回路72のインバータ主回路73が接続されている。
そして、このインバータ主回路73は、平滑用の電解コンデンサC2に対して並列に、スイッチング素子である互いに相補形となるMOS形のNチャネルのトランジスタとしての電界効果トランジスタQ1およびMOS形のPチャネルのトランジスタとしての電界効果トランジスタQ2が直列に接続されている。Nチャネルの電界効果トランジスタQ1およびPチャネルの電界効果トランジスタQ2は互いのソースが接続されている。
電界効果トランジスタQ2のドレイン、ソース間には、共振インダクタとしてのバラストチョークを構成するトランスCTの一次巻線L2、直流カット用のコンデンサC3、共振コンデンサC4の直列回路が接続され、この共振コンデンサC4には発光管14としての蛍光ランプFLの両端のフィラメントとしての電極フィラメントコイルFLa,FLbの一端がそれぞれ接続され、一方の電極フィラメントコイルFLaの他端と他方の電極フィラメントコイルFLbとの他端間には共振コンデンサC4とともに共振に寄与する始動用のコンデンサC5が接続されている。なお、電極フィラメントコイルFLa,FLbにはエミッタが塗布されている。また、共振コンデンサC4に対して並列に正温度特性抵抗素子(Positive Temperature Coefficient)PTC1が接続されている。
そして、平滑用の電解コンデンサC2と電界効果トランジスタQ1のゲートおよび電界効果トランジスタQ2のゲートとの間には、起動回路75を構成する起動用の抵抗R1が接続され、これら電界効果トランジスタQ1のゲートおよび電界効果トランジスタQ2のゲートと電界効果トランジスタQ1および電界効果トランジスタQ2のソースとの間に、コンデンサC6およびコンデンサC7の直列回路が接続され、これらコンデンサC6およびゲート制御手段としてのゲート制御回路76のコンデンサC7の直列回路に対して並列に電界効果トランジスタQ1および電界効果トランジスタQ2のゲート保護のためのツェナダイオードZD1およびツェナダイオードZD2の直列回路が接続されている。また、トランスCTの一次巻線L2には、二次巻線L3が磁気的に結合して設けられ、この二次巻線L3は一端がコンデンサC6およびコンデンサC7の接続点に接続されたインダクタL4の他端と放電用抵抗R2との接続点に接続されている。また、コンデンサC6は起動回路75のトリガ素子を構成するものでもあり、このコンデンサC6とインダクタL4との直列回路に対して並列に、起動回路75の放電用抵抗R2が接続されている。
また、電界効果トランジスタQ2のドレイン、ソース間には、起動回路75の抵抗R3およびスイッチング改善用のコンデンサC8の並列回路が接続されている。
また、蛍光ランプFLの電極フィラメントコイルFLa,FLbのそれぞれの一端および他端間に負温度特性抵抗素子(Negative Temperature Coefficient)NTC1,NTC2が接続されている。
なお、正温度特性抵抗素子PTC1や負温度特性抵抗素子NTC1,NTC2などは、基板58のラッピングピン61に巻き付け、発光管14に近づけるように接続配置してもよい。
そして、点灯装置17の動作について説明する。
まず、電源が投入されると、商用交流電源eの電圧を全波整流器71で全波整流し、平滑用の電解コンデンサC2で平滑する。
抵抗R1を介してNチャネルの電界効果トランジスタQ1のゲートに電圧が印加され、電界効果トランジスタQ1がオンする。電界効果トランジスタQ1のオンにより、トランスCTの一次巻線L2、コンデンサC3、共振コンデンサC4およびコンデンサC5の閉路に電圧が印加され、トランスCTの一次巻線L2、コンデンサC3、共振コンデンサC4およびコンデンサC5は共振する。このとき、正温度特性抵抗素子PTC1のインピーダンス成分も共振合成成分の一部に含まれている。また、トランスCTの一次巻線L2のインダクタンス成分の共振波形に応じた電圧がトランスCTの二次巻線L3に誘起され、ゲート制御回路76のコンデンサC7とインダクタL4とのLC直列回路が固有共振して略一定の周波数で電界効果トランジスタQ1をオンさせ、電界効果トランジスタQ2をオフさせる電圧を発生する。
ついで、トランスCTの一次巻線L2、コンデンサC3、共振コンデンサC4およびコンデンサC5の共振電圧が反転すると二次巻線L3には前回と逆の電圧が発生し、ゲート制御回路76は電界効果トランジスタQ1をオフさせ、電界効果トランジスタQ2をオンさせる電圧を発生する。さらに、トランスCTの一次巻線L2、コンデンサC3、共振コンデンサC4およびコンデンサC5の共振電圧が反転すると、電界効果トランジスタQ1がオンするとともに、電界効果トランジスタQ2がオフする。以後、同様に、電界効果トランジスタQ1および電界効果トランジスタQ2が交互にオン、オフして、共振電圧が発生し、共振電流が流れる。
この共振電流が流れ出した状態では、正温度特性抵抗素子PTC1は温度が低いため抵抗値が、たとえば3kΩ〜5kΩ程度と低く正温度特性抵抗素子PTC1に流れる電流が大きい。このときの共振コンデンサC4の両端間に発生する共振電圧は低くなる。
正温度特性抵抗素子PTC1に電流が流れることによりジュール熱が発生し、正温度特性抵抗素子PTC1の抵抗値が上昇して正温度特性抵抗素子PTC1に流れる電流が減少すると、共振合成成分が変化するので、共振コンデンサC4に流れる電流が増加するように共振動作も変化し、共振電圧が徐々に高くなるようにソフトスタート動作を行う。
なお、蛍光ランプFLの電極フィラメントコイルFLa,FLbを介して、共振コンデンサの一部であるコンデンサC5にも共振電流の一部が流れるため、電極フィラメントコイルFLa,FLbは共振電圧が上昇するまで十分な時間をかけて直接予熱される。また、共振コンデンサC4とは別個に共振用のコンデンサC5を設けることにより、共振のための容量を分割することになり、コンデンサC5の容量を電極フィラメントコイルFLa,FLbの予熱および蛍光ランプFLの点灯時に流れる電流を適切にした値にすることが可能となり、効率良く電極フィラメントコイルFLa,FLbを予熱できるとともに、蛍光ランプFLの点灯後にコンデンサC5に流れる電流を小さくできるため、点灯後の効率の低下も防止できる。
さらに、正温度特性抵抗素子PTC1の抵抗値が増加して共振成分の変化により共振電流が増加するとともに、バラストチョークを構成するトランスCTの一次巻線L2が飽和し、ランプ始動に必要な電圧まで電圧が上昇すると、蛍光ランプFLは放電を開始し、始動、点灯する。
蛍光ランプFLが点灯した後は、正温度特性抵抗素子PTC1の抵抗値が数10kΩ程度に蛍光ランプFLの等価抵抗値が正温度特性抵抗素子PTC1の抵抗値より十分に小さいため、共振電圧が低下して、蛍光ランプFLが点灯維持される。また、このように、正温度特性抵抗素子PTC1をコンデンサC5ではなく、共振コンデンサC4に対して並列に接続することにより、電極フィラメントコイルFLa,FLbに流れる電流を小さくできるため、その分電力損失を抑制できる。
このように、正温度特性抵抗素子PTC1の抵抗値の変化により、蛍光ランプFLの電極フィラメントコイルFLa,FLbの予熱を適性にできるため、エミッタが不所望に飛散(スパッタ)することを防止できるため、蛍光ランプFLの点滅寿命回数を向上できる。
また、蛍光ランプFLが始動する以前の負温度特性抵抗素子NTC1,NTC2の温度が低い状態では、負温度特性抵抗素子NTC1,NTC2の抵抗値が高いため、共振電流の一部は蛍光ランプFLの電極フィラメントコイルFLa,FLbに流れ、電極フィラメントコイルFLa,FLbを適切に予熱する。さらに、共振電流が大きくなるに従い、負温度特性抵抗素子NTC1,NTC2にも若干流れていた共振電流の一部によって負温度特性抵抗素子NTC1,NTC2がジュール熱により発熱し、さらに、蛍光ランプFLからの熱影響を受けながら温度上昇して負温度特性抵抗素子NTC1,NTC2の抵抗値が低下する。これにより、電極フィラメントコイルFLa,FLbに流れていた電流が次第に負温度特性抵抗素子NTC1,NTC2に流れるようになる。
さらに、蛍光ランプFLが点灯した後に負温度特性抵抗素子NTC1,NTC2の温度が高くなって、抵抗値が限りなく低下すると、共振電流のほとんどは負温度特性抵抗素子NTC1,NTC2に流れ、電極フィラメントコイルFLa,FLbにはほとんど流れなくなるため、電極フィラメントコイルFLa,FLbによる電力損失を限りなく低下できる。
また、基板58には、口金12側である一端側から発光管14側である他端側にかけて、口金12に接続された入力電源回路E、入力電源回路Eに接続されたインバータ回路72、発光管14に接続されたインバータ回路72の出力部が順に形成されている。これにより、基板58に形成する配線パターンが入力側から出力側にかけて一方向に順序よく配設され、基板58を小形化できる。
次に、電球形蛍光ランプ11を組み立てるには、発光管14の一端側とホルダ15とを組み合わせ、ホルダ15の内側から各取付孔46および挿通孔47を通じて接着剤を注入し、発光管14の一端側とホルダ15とを接着固定する。続いて、ホルダ15の一対の基板取付溝49に基板58の両側縁部を差し込んで、ホルダ15の内側に基板58を挿入し、ホルダ15の内側に引き出されている発光管14の各ワイヤ37を基板58の各ラッピングピン61に巻き付けて接続する(この巻き付け状態の図示は省略している)。続いて、ホルダ15とカバー13とを組み合わせて結合する。続いて、基板58の入力部側から予め接続されている図示しない電線を口金12のシェル21およびアイレット23に接続し、カバー13に口金12を嵌合してかしめや接着によって固定する。続いて、口金12を下側、発光管14を上方に向けた状態で、ホルダ15の切欠部51を通じて口金12の内側に熱伝導性部材を注入することにより、少なくともホルダ15の切欠部51側に対向して位置するトランスCTなどの電子部品60と口金12およびカバー13側との間に熱伝導性部材を充填するか、口金12の内側全体に熱伝導性部材を充填する。続いて、発光管14にグローブ16を被せ、グローブ16をカバー13に接着剤によって固定する。
そして、図7に示すように、例えばダウンライトである照明装置81は、照明器具本体82を有し、この照明器具本体82内にソケット83および反射体84が取り付けられ、ソケット83には電球形蛍光ランプ11が装着される。
この電球形蛍光ランプ11では、口金12の内側に挿入可能とする幅寸法に形成された基板58を、口金12の中心線の方向に沿って縦形に配置するとともに口金12の中心線に対してオフセットした位置に配置したことにより、基板58の口金12との間隔が広い一面に電子部品60のうちの大形の電子部品60を配置できるので、口金12の内側に点灯装置17を効率よく収納でき、それにより、カバー13を小形化できる。
口金12に接近する基板58の幅方向縁部側に位置する電子部品60を、基板58の幅方向中央部側に向けて傾斜させたので、その電子部品60が口金12の内側に当たることなく挿入でき、口金12の内側に点灯装置17を効率よく収納できる。
基板58に実装する電子部品60のうち比較的高さが高い平滑用の電解コンデンサC2を、基板58の一面の幅方向中央域で基板58に対して垂直方向に向けて実装できるので、基板58の実装効率が向上し、基板58を小形化できる。
口金12側である基板58の一端側から発光管14側である基板58の他端側にかけて、入力電源回路E、インバータ回路72、インバータ回路72の出力部を順に形成したので、基板58に形成する配線パターンを入力側から出力側にかけて一方向に順序よく配設でき、基板58を小形化できる。
口金12の内側に挿入可能とする幅寸法に形成された基板58を口金12の中心線の方向に沿って縦形に配置することにより、発光管14の細管38の主アマルガム39が封入された先端部を口金12の内側で基板58との間に配置でき、主アマルガム39への点灯中の発光管14からの熱影響を低減しながら、口金12の内側に点灯装置17と細管38とを効率よく配置でき、それにより、カバー13を小形化できる。
基板58を口金12の中心線に対してオフセットした位置に配置し、細管38を基板58の口金12との間隔が狭い面側との間に配置したので、基板58の口金12との間隔が広い面側に大形の電子部品60を配置でき、口金12の内側に点灯装置17と細管38とを効率よく配置できる。
口金12の内側に熱伝導性部材を注入し、この熱伝導性部材によって少なくとも発熱量の大きいトランスCTなどの電子部品60と口金12側とを熱的に接続するので、電子部品60の熱を効率よく放熱できる。
そして、このような構成の電球形蛍光ランプ11は、図1に示すように、管外径が3〜8mm、好ましくは6〜7mmのバルブ31,32,33を有する発光管14の幅方向の最大幅b1を30mm以下、例えば20〜35mmに形成し、口金12を除いたランプ長寸法h1に対して口金12から露出するカバー13の寸法h2の比率を0〜25%、カバー13の最大外径b2を口金12の外径寸法b3の1.0〜1.5倍またはグローブ16の最大外径b4の0.48〜0.73倍、グローブ16の口金12側の外径寸法(b2と同じ)を40mm以下、例えば30〜35mmに形成することができる。これにより、白熱電球などの一般照明用電球と略同じ外観が得られる。例えば、本実施の形態の場合、口金12を含めた全体の高さ寸法は105〜115mmであり、60W形の白熱電球サイズと同等である。なお、バルブ31,32,33の管外径が3mmより小さいと、始動電圧が上昇するとともに発光効率が低下し、バルブ31,32,33の製作も困難になり、一方、8mmより大きいと、カバー13の最大外径を小さくすることが困難となる。また、発光管14の最大幅が30mmより大きいと、カバー13の最大外径を小さくすることが困難となる。口金12を除いたランプ長寸法h1は80〜90mmであり、この寸法h1に対して口金12から露出するカバー13の寸法h2の比率が0%とは、電球形蛍光ランプ11を幅方向から見て、カバー13が口金12から全く露出していない状態をいい、この場合、グローブ16の開口部54の縁部55が口金12のシェル21に嵌合され、一方、25%より大きいと、一般照明用電球に近い外観と配光特性が得られにくくなる。本実施の形態の場合、h2は6〜11mm、最適は約8mmであり、グローブ16の保持と機械的強度とを確保している。また、カバー13の最大外径b2が口金12の外径寸法b3の1.0倍またはグローブ16の最大外径b4の0.48倍より小さいと、発光管14の一端側の支持や点灯装置17の収納が困難になり、一方、口金12の外径寸法の1.5倍またはグローブ16の最大外径の0.73倍より大きいと、一般照明用電球に近い外観と配光特性が得られにくくなる。なお、グローブ16の最大外径b4は50〜60mm、最適には約55mmであり、口金12の外径b3は26〜28mmである。
また、ホルダ15の最大外径b5は、発光管14を支持するホルダ15の他端側の端部15aに対向するグローブ16の部分における内径寸法b6の70〜90%の比率に形成するのが好ましい。例えば、ホルダ15の他端側の端部15aに対向するグローブ16の部分における外径が38〜42mm程度であって内径b6は肉厚分を引いた36〜40mm程度である場合に、ホルダ15の最大外径b5は30〜35mm程度とすれば、ホルダ15の周囲とグローブ16の内面との間に2.5〜3mm程度の間隙が形成される。この間隙により、ホルダ15の周囲に対向するグローブ16の部分にも発光管14からの光が到達しやすく、そのグローブ16の部分が光って暗部となるのを防止できる。なお、その比率が70%より小さいと、ホルダ15を細くする場合には製造がしにくくなり、グローブ16を広くする場合には一般照明用電球に近い外観が得られにくくなり、一方、90%より大きいと、隙間が小さくなり、ホルダ15の周囲に対向するグローブ16の部分に発光管14からの光が到達しにくく、そのグローブ16の部分が暗部となって目立ちやすくなる。グローブ16のホルダ15の周囲に対向する部分の形状はその外径寸法が変化することのない略円筒形状とすることが外観上好ましいが、隙間を大きくするために若干上方に向かうに従い若干径大化するような盃状の回転体形状をなしてもよい。
さらに、電球形蛍光ランプ11は、発光管14の中心側からバルブ31,32,33に対向するホルダ15の窪み部45に、バルブ31,32,33の一端側の内周面側を接着剤で固定しているので、バルブ31,32,33の一端側の外周面側がホルダ15で遮られることがなく、バルブ31,32,33の一端側の外周面側から出る光を利用でき、発光効率を向上できる。
そして、この電球形蛍光ランプ11の配光特性を測定した結果を図8の配光特性図を示す。図8には、この電球形蛍光ランプ11の配光曲線をA、比較例として従来の電球形蛍光ランプの配光曲線をB、および白熱電球の配光曲線をCとし、口金12を上方へ向けて点灯させたときの配光特性図を示す。この電球形蛍光ランプ11の配光曲線Aでは、口金12側への配光が、従来品の配光曲線Bに比べて向上し、白熱電球の配光曲線Cに近くなった。
したがって、この電球形蛍光ランプ11は、白熱電球などの一般照明用電球に近い外観と配光特性が得られ、白熱電球などの一般照明用電球を使用する照明器具への適用率を向上できる。
また、電球形蛍光ランプ11は、グローブ16の他端側からカバー13の他端側までのグローブ16が露出する寸法をh3、グローブ16の他端側からホルダ15の他端側までの寸法をh4としたとき、グローブ16が露出する領域でかつホルダ15の周囲に対向して暗部が生じやすい領域の寸法であるh5(h3−h4)は0〜11mmに形成するのが好ましい。なお、h4は60〜70mmである。
h5(h3−h4)が0mm、6mm、11mmの場合でグローブ16に生じる暗部の視覚試験した結果、h5(h3−h4)が0mmのときにはグローブ16に暗部が生じず、6mmのときにはグローブ16に生じる暗部は目立たず、11mmのときにはグローブ16に生じる暗部はやや目立つ程度であった。また、グローブ16の外観高さ寸法h3との関係において(h3−h4)/h3は15%以下、好ましくは10%以下にすると、グローブ16全体における暗部がほとんど目立たなくなる。
図9には、h5(h3−h4)の寸法と点灯回路59の平均温度との関係を測定したグラフを示し、h5(h3−h4)が0mmのときには点灯回路59の平均温度の規格ラインの付近にあるが、h5(h3−h4)の寸法が大きくなるほど点灯回路59の平均温度が高くなる傾向がある。これは、発光管14の点灯時の熱がグローブ16内で対流するため、グローブ16内にホルダ15が入り込む寸法が多くなるほどホルダ15の内側に配置されている点灯回路59に熱が伝わりやすくなることによる。
そのため、h5(h3−h4)が0mmより小さいと、すなわちh3<h4の関係になると、点灯回路59の平均温度が規格ラインよりも低いものの、カバー13で口金12側へ向かう光が遮断され、一方、h5(h3−h4)が11mmより大きいと、グローブ16の暗部が目立つようになるとともに、点灯回路59の平均温度が規格ラインより大幅に高くなり、熱的影響が問題となる。そのため、h5(h3−h4)は0〜11mmに形成するのが好ましく、より好ましくは3〜8mm程度としている。
なお、発光管14のバルブ31,32,33の数は、3本に限られず、2本でも、あるいは4本以上を並設して放電路長をより長くすることもできる。
また、図10に第2の実施の形態を示し、図10は電球形蛍光ランプにおけるバルブの並設方向から見た断面図である。
いわゆるT形と呼ばれる電球形蛍光ランプ11であり、グローブ16が一端側から他端側の高さ方向にわたって略同じ外径寸法で直線状に形成されているとともに他端側が球面状に形成されている。
この電球形蛍光ランプ11の場合にも、第1の実施の形態と同様の構成および寸法関係を適用することにより、同様の作用効果を奏する。
また、図11に第3の実施の形態を示し、図11は電球形蛍光ランプにおけるバルブの並設方向から見た一部の拡大断面図である。
カバー13は、口金12内に収容されており、口金12の内側で口金12のねじ部との螺合により係合して固定されている。カバー13は、ホルダ取付部28にホルダ15の爪部48を固定してホルダ15を支持している。グローブ16は、口金12の開口部とホルダ15との間に形成された隙間にその基端開口縁部が嵌入され、ホルダ15、カバー13および口金12に対してシリコーン接着剤により固定されている。このような構成により、カバー13が外部に露出することなく、外観上は白熱電球とほとんど同一にすることができる。
また、線Aは基板58の上部の高さ位置を示し、口金12の開口縁部の高さ寸法を示す線Bよりもグローブ16側に位置している。
基板58の高さ寸法を抑えて線Aが線Bと同じ位置か、それよりも下方へ位置させる(基板58全体を口金12内に収容させる)ことにより、発光管14の端部位置を示す線Cも線Bに近付けることが可能となる。このような構成を採用することで、グローブ16全体が光るように点灯が可能となる。
また、図12ないし図14に第4の実施の形態を示し、図12は電球形蛍光ランプの発光管の側面図、図13は電球形蛍光ランプのホルダを示す斜視図、図14は電球形蛍光ランプのホルダの他の例を示す斜視図である。
図12に示すように、発光管14は、放電路長が250〜500mmとなる長さで管外径が3〜8mmのバルブ91を用い、一対の電極36が封装される一対の電極側端部40が高さ方向の一端側に位置するように螺旋状に屈曲されている。一対の電極側端部40は、高さ方向に平行に突出され、先端からは一対のワイヤ37および細管38がそれぞれ突設されている。一方の細管38は口金12の内側に配置されるように長く延設され、その先端部に主アマルガム39が封入されている。
図13に示すように、ホルダ15には、突部44の周面にバルブ91の各端部側であって発光管14の中心側に対向する内周面側が嵌合する円弧状の窪み部45が形成され、これら各窪み部45にはホルダ15の内側に連通する取付孔46が形成されている。
なお、図14に示すように、発光管14が一対の電極側端部40まで螺旋状に屈曲されている場合には、ホルダ15の突部44の周面に、それら螺旋状の各電極側端部40の内周側が係合する窪み部45および取付孔46が形成される。
そして、発光管14をホルダ15に組み合わせた後、ホルダ15の内側から各取付孔46を通じて例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂などの接着剤を注入することにより、バルブ91の端部側であって発光管14の中心側に対向する周面部がホルダ15に接着固定される。
この螺旋状の発光管14を用いた電球形蛍光ランプ11でも、上述した第1の実施の形態と同様の寸法関係に形成でき、白熱電球などの一般照明用電球に近い外観と配光特性が得られ、白熱電球などの一般照明用電球を使用する照明器具への適用率を向上できる。
なお、前記各実施の形態において、グローブ16を省略し、発光管14が露出するタイプにも構成でき、この場合にも、白熱電球などの一般照明用電球に近い外観寸法と配光特性が得られ、白熱電球などの一般照明用電球を使用する照明器具への適用率を向上できる。
また、前記各実施の形態において、カバー13を省略し、点灯装置17を口金12に収納するとともに、グローブ16の開口部54の縁部55を口金12のシェル21の内側に嵌合して接着剤などを用いて固定してもよく、この場合、白熱電球などの一般照明用電球により近い外観と配光特性を得ることができる。