JP2004144105A - ポリウレタン製歯付ベルト - Google Patents

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川口 正行
Arata Hasegawa
長谷川 新
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Abstract

【課題】ミスアライメント時でもベルトがフランジに乗り上げないフリースパンのポリウレタン製歯付ベルトを提供する。
【解決手段】背面アイドラープーリを使用して、少なくとも2軸間で回転駆動するポリウレタン製歯付ベルト1であって、少なくとも長手方向に沿って配置した複数の歯部2と、心線3を埋設した背部4とを有し、前記心線径が0.7mm〜0.9mmであり、ベルト背面の表面粗さRaが2.5〜100であることを特徴とする。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリウレタン製歯付ベルトに関し、特に、背面アイドラープーリを使用して少なくとも2軸間で回転駆動するフリースパンのポリウレタン製歯付ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フリースパンのポリウレタン製歯付ベルトは、標準仕様においては、表面を研磨しておらず、高い摩擦係数を有していた。また、ベルト端とベルト端部側に位置する心線の中心との間の距離が2.0mm以上あった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このため、標準仕様のフリースパンのポリウレタン製歯付ベルトは摩擦係数が高いとともに、横剛性が低く、この結果、背面アイドラープーリを使用した多軸運転の場合、ミスアライメントが発生すると、ベルトがフランジに乗り上げるトラブルが発生するという問題があった。
【0004】
本発明は、ミスアライメント時でもベルトがフランジに乗り上げないフリースパンのポリウレタン製歯付ベルトを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の請求項1に記載のポリウレタン製歯付ベルトは、背面アイドラープーリを使用して、少なくとも2軸間で回転駆動するポリウレタン製歯付ベルトであって、少なくとも長手方向に沿って配置した複数の歯部と、心線を埋設した背部とを有し、前記心線径が0.7mm〜0.9mmであり、ベルト背面の表面粗さRaが2.5〜100であることを特徴とする。
【0006】
このような構成によると、背部にベルト心線を密に配置することができ、ベルトの横剛性を高めることができる。また、ベルト背面の表面を研磨加工あるいはエンボス加工することによって表面粗さRa2.5〜100と加工しているため、ベルトと背面アイドラープーリー間の摩擦係数を小さくすることが可能となる。
【0007】
また、請求項2に記載のポリウレタン製歯付ベルトは、請求項1において、前記心線のうち、ベルト端部側に位置する心線の中心と前記ベルト端部との距離が0.8mm〜2.0mmであるものである。
【0008】
このような構成によると、ベルトをカットする際に心線をカットすることを防ぐことができ、ベルトの不良率を低減できる。また、ベルトの横剛性も高めることが可能となり、ミスアライメントの際にも、ベルトがフランジにせり上がり、フランジに乗り上げることを抑制することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態例について図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明に係るポリウレタン製歯付ベルトを示す斜視図である。また、図2は、ポリウレタン製歯付ベルトを製造するための一連の装置の概略図である。
【0010】
このポリウレタン製歯付ベルト1は、図示しない背面アイドラ−プーリを使用して、少なくとも2軸間で回転駆動するものであり、図1に示すようにベルトの長手方向に沿って所定ピッチで列設された複数の歯部2と、心線3を埋設した背部4と、歯部表面5と歯底部6を被覆する歯面帆布7と、ベルトの背面に積層された背面帆布8とを備えている。なお、背面帆布8の代わりにフェルトを有するポリウレタン製歯付ベルトや歯面帆布7を有さないポリウレタン製歯付ベルトも使用可能である。
【0011】
歯面帆布7として用いられる帆布は、歯部2を覆う帆布であり、ベルト長手方向の経糸9と、ベルト幅方向の緯糸10を織成したものである。歯面帆布7の織り方は、平織、綾織、朱子織等の織り方がある。
【0012】
歯面帆布7は、マルチフィラメント糸を用い、緯糸密度が100〜150本/3cmで、経糸密度が50〜130本/3cmとなるように構成されている。帆布の経緯密度の下限を、少なくとも緯糸密度が100本/3cm以上、経糸密度が50本/3cm以上とするのは、これを下回ると、溶融樹脂が歯面帆布18の表面より滲み出すためである。一方、経緯密度の上限を、緯糸密度150本/3cm以下、経糸密度130本/3cm以下とするのは、これを上回ると、高密度化が進み、帆布の接着強さが強くなって帆布切れを起こすからである。
【0013】
背面帆布8として用いられる帆布は、背部4に積層される帆布であり、ベルト長手方向の経糸11と、ベルト幅方向の緯糸12を織成したものである。背面帆布8の織り方は、図示の平織に限らず、綾織、朱子織であってもよい。
【0014】
背面帆布8は、マルチフィラメント糸を用い、緯糸密度が80〜200本/3cm、経糸密度が100〜150本/3cmとなるように構成されている。帆布の経緯密度の下限を、緯糸密度が80本/3cm、経糸密度が100本/3cmとするのは、これを下回ると、剛性が低くなり、帆布が摩耗し易く、長期間の使用によって擦り切れが起こるからである。一方、経緯密度の上限を、緯糸密度が200本/3cm、経糸密度が150本/3cmとするのは、これを上回ると、高密度化が進み、帆布の接着強さが強くなって帆布切れを起こすからである。
【0015】
背面帆布8の経糸11及び緯糸12の太さは、共に30〜100デニールである。30デニールを下回ると、高密度化が保てず、耐久性が向上する効果が現れにくくなり、100デニールを上回ると、高密度化が進み過ぎ、ポリウレタン製歯付ベルト1が幅方向に反る。
【0016】
背面帆布8のマルチフィラメント糸の材質は、ポリエステル、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ガラス繊維等各種繊維が使用可能であるが、とりわけ6ナイロン、及びアラミド繊維は最も実用的である。このようなマルチフィラメント糸を織成した背面帆布8は、織成したままの無処理でも良いが、染色処理したものに更にディップ処理を施したものが好ましい。特に、これら処理により、堅牢度4級以上に合格した背面帆布8が最も効果的である。
【0017】
ここでディップ処理とは、RFL処理(レゾルシンーホルマリンーラテックス液)のみでの接着処理を施したものである。RFL液、レゾルシンとホルマリンとの初期縮合物をラテックスに混合したものであり、ここで使用するラテックスとしてはスチレン、ブタジエン、ビニルピリジン三次元共重合体、クロロプレンゴム、水素化ニトリルゴム、クロロスルフォン化ポリエチレン、エポクロルヒドリンなどのラテックスである。
【0018】
ベルト背面にフェルトを接合した場合のフェルトの材質としては、芳香族ポリアミド、炭素繊維、ポリエステル繊維、耐炎化繊維、天然繊維の単独又は混合が用いられ、通常、不織布に形成されている。
【0019】
また、このベルト背面の表面13は、研磨加工あるいはエンボス加工によって表面粗さをRa2.5〜100となるように加工している。これによって、ベルト背面の表面13とアイドラープーリとの間の摩擦係数を小さくすることが可能となる。なお、表面粗さがRa2.5未満であれば背面アイドラ−プーリとの摩擦が大きくなり、ミスアライメントの発生の原因となる。
【0020】
歯部2及び背部4に使用される樹脂は、加熱によって溶融し、押出機と接続して成形できる材料である熱可塑性ポリウレタン樹脂を使用することができる。また、この熱可塑性ポリウレタン樹脂は、特に限定されるものではなく、例えば、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性スチレン系樹脂、熱可塑性オレフィン系樹脂、又は塩化ビニール樹脂から適宜選択し歯部2及び背部4に適用することが可能である。
【0021】
ポリウレタン製歯付ベルト1本体内には、心線3がベルトの長手方向に沿って並列して埋設されており、抗張体層を形成する。この心線3は、ポリエステル、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミドあるいはガラス繊維、カーボンファイバー、アラミド繊維、金属繊維等からなる低伸度の高強力ロープである。また、この心線3の心線径は、0.7〜0.9mmである。心線径が0.7mm未満の場合は、ベルト本体の抗張力が低下し、且つ心線3切れが発生する可能性がある。また、心線径が0.9mm以上の場合は、ベルト本体の耐抗張力は向上するが、屈曲性が低下し好ましくなく、所定巾にベルトをカットする際に心線3をカットする可能性がある。また、歯面の耐摩耗性を更に向上するのに、歯面帆布7の外側に歯部2補強材としてポリエチレンシートを貼り付けることもできる。
【0022】
次に、ポリウレタン製ベルトの製造装置について図面を参照しつつ以下に説明する。図2は歯面及び背面に帆布又はフェルトが存在する歯付ベルトを製造する為の一連の装置の概略を示す図である。
【0023】
このポリウレタン製歯付ベルト1の製造装置20は、成形部21と、背面帆布繰り出し部22又はフェルト繰り出し部22aと、心線繰り出し部23と、歯面帆布繰り出し部24と、巻取部25とを有しており、成形金型ロール26にポリウレタン樹脂を流しながら、心線3と、歯面帆布7と、背面帆布8又はフェルト8aを積層させてポリウレタン製歯付ベルト1を成形するようになっている。
【0024】
成形部21は、大径の成形用金型ロール26と、4個のロール27〜30と、スチールバンド31とを有している。成形用金型ロール26は、その外周に所定のピッチで歯形が形成されている。4個のロール27〜30は、成形用金型ロール26の周りに配設され、各ロール27〜30には、スチールバンド31が張設されており、成形金型ロール26と協働して共に回動するようになっている。これにより、成形部21は、成形金型ロール26とスチールバンド31の圧力により心線3と、歯面帆布7と、背面帆布8又はフェルト8aを樹脂に沿わせながら回転し、ポリウレタン製歯付ベルト1を成形するようになっている。
【0025】
成形用金型ロール26の右側には、帆布繰り出し部22又はフェルト繰り出し部22aが設置されており、左側には、心線繰り出し部23と、歯面帆布繰り出し部24とが設置されている。帆布繰り出し部22又はフェルト繰り出し部22aは、帆布繰り出し装置32又はフェルト繰り出し装置32aと、帆布挿入装置33又はフェルト挿入装置33aとを有しており、帆布繰り出し装置32又はフェルト繰り出し装置32aから繰り出された背面帆布8又はフェルト8aを、帆布挿入装置33又はフェルト挿入装置33aの複数のローラを介してスチールバンド31と共に成形用金型ロール26に送るようになっている。又、歯面帆布7は、歯面帆布繰り出し装置34から繰り出され歯面帆布挿入装置35の複数のローラを介して成形用金型ロール26に送られるようになっている。
【0026】
心線繰り出し部23は、心線繰り出し機36と、赤外線ランプ37と、張力調整装置38と、ガイドローラ39を有しており、心線繰り出し機36から繰り出された心線3を、赤外線ランプ37で水分を飛散させ、張力調整装置38に送るようになっている。張力調整装置38は、ガイドロール40〜42との間で心線3に所定の張力をかけて、成形用金型ロール26に心線3を送るようになっている。ここで、心線3及び歯面帆布7は共に成形用金型ロール26上で円周の略半分より下の位置から成形用金型ロール26上に載置される。こうすることによって心線3上に背面帆布8又はフェルト8a及びスチールバンド31が積層する迄の間、成形用金型ロール26上で心線3が少なくとも該ロールの円周の略1/4以上載置され保持されるようになる。押出機43は、ベルトを構成する樹脂を溶融し、押し出すようになっており、背面帆布8又はフェルト8aと心線3との間に溶融樹脂を流入できるように、ガイドロール27に近接して設けられている。巻取部25は、巻取り機45と、引取り機44とを有しており、形成されたポリウレタン製歯付ベルト1を巻き取るようになっている。引取り機44には、図示されない長さ検尺機構が併設されている。
【0027】
次いで、ポリウレタン製歯付ベルト1の製造装置20によるポリウレタン製歯付ベルトの製造方法を以下に説明する。
【0028】
(第1工程)
図2に示すように背面帆布8又はフェルト8aは、帆布繰り出し機32又はフェルト繰り出し機32aから繰り出され、帆布挿入装置33又はフェルト挿入装置33aからスチールバンド31へ送られると、スチールバンド31に張り合され、所定のテンションを保ちながら成形用金型ロール26へ送られる。
【0029】
(第2工程)
また、歯面帆布7は、帆布繰り出し機34から繰り出され、帆布挿入装置35から直接、成形用金型ロール26へ送られる。ここで、歯面帆布7が成形後のベルトにおいては、心線3よりも下に位置する必要がある為、歯面帆布7を成形用金型ロール26上に載置させ始める位置は、心線3が載置され始める位置よりも下側になるようにする。
【0030】
(第3工程)
ロール27等によりテンションをかけずに、歯面帆布7を非伸張状態で成形金型ロール26に送るのは、歯面帆布7を成形金型ロール26の凹部に沿わせた後、張力調整装置38により、所定の張力をかけられて、ガイドローラ40〜42を介して成形用金型ロール26に送られる。このとき、心線3は心線上に背面帆布8又はフェルト8a及びスチールバンド31が積層する迄の間、成形用金型ロール26上で心線3が少なくとも成形用金型ロール26の円周の略1/4以上載置され保持されるようにして心線3を成形金型ロール26に送る。
【0031】
(第4工程)
溶融樹脂は、押出機43から押し出され、心線3にラミネートされて背面帆布8又はフェルト8aと心線3の間に流入させる。成形用金型ロール26上で、下から歯面帆布7、心線3、背面帆布8又はフェルト8a、スチールバンド31の順に積層されると共に、溶融樹脂が心線3を内部に埋設し、ポリウレタン製歯付ベルト1の形状に成形される。また、歯面帆布7は、溶融樹脂及びスチールバンド31の圧力により成形用金型ロール26の凹部に押し込まれ、成形用金型ロール26の回動によりその外周に沿ってスチールバンド31に挟圧された状態で共に移行し、その間で背面帆布8又はフェルト8aが背面側に位置し、歯面帆布7が歯部表面5と歯底部6を形成するように一体化される。そして、引取機44を介して巻取機45に巻き取られる。
【0032】
このようなポリウレタン製歯付ベルト1の製造装置20に、歯面帆布7として、緯糸密度が100〜150本/3cm、経糸密度が50〜130本/3cmとなるように構成されている帆布を使用すると、溶融樹脂が歯面帆布7表面に滲み出すのを防止できる。また、歯面帆布7の進行方向(ベルトの長手方向)の糸に、伸縮性のある糸を使用すると、歯面帆布7を完全に成形金型ロール26の凹部に沿わせることができ、完全に歯形状を出現させることができる。さらに背面帆布8として、緯糸密度が80〜200本/3cm、経糸密度が100〜150本/3cmとなるように構成されている帆布を使用すると、より耐久性に優れたポリウレタン製歯付ベルト1を形成できる。なお、帆布繰り出し部22や心線繰り出し部23等の配設位置は、目的を逸脱しない範囲において変更可能であり、図2に示す位置に拘束されるものではない。
【0033】
また、巻取機45に巻き取られたポリウレタン製歯付ベルト1を所定巾にカットする前に、ベルト背面を図示しない研磨加工機でベルト背面の表面13を研磨加工して、表面粗さをRa2.5以上にした後、ベルトカットを行う。このポリウレタン製歯付ベルト1を所定巾にカットする際に図1に示すポリウレタン製歯付ベルト1のベルト端部14とベルト端部14側に位置する心線3の中心との距離Aが0.8〜2.0mmとなるようにベルトをカットする。この距離Aが0.8mm以下の場合では、ベルト1をカットする際に心線3をカットする可能性が高く不良率が多くなる。また、距離Aが2.0mm以上の場合では、プーリ間で回転駆動する平行度が少しでも狂うとベルト1がプーリフランジにせり上がり、フランジに乗り上げる可能性がある。
【0034】
このように距離Aを0.8〜2.0mmとなるようにベルトをカットすることによって、ベルト1をカットする際に心線3をカットすることを防ぐことができ、ベルト1の不良率を低減できる。また、ベルト端部14とベルト端部14側に位置する心線3の中心との距離を小さくすることでベルト1の横剛性も高めることが可能となり、ミスアライメントの際にも、ベルト1がフランジにせり上がり、フランジに乗り上げることを抑制することができる。
【0035】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0036】
前述した製造装置20を用いてフリースパンS8Mの試験用ベルトを製造する。試験用ベルトを製造する際に、以下に示す表1に基づいて統計手法の実験計画法のひとつである3水準−4因子の直行表(L9直行表)の1実験法に基づいて製造する。なお、表1は各ベルトの因子である心線、主原料、B寸法(ベルト端部とベルト端部側の心線の中心との距離)、背面研磨状態(歯部が形成されていないベルト背面状態を示す)にそれぞれ水準1〜3を設けたものである。また、以下に示す表2は、表1の心線の構成を示し、表3は、表1の主原料の名称である。
【0037】
【表1】
Figure 2004144105
【0038】
【表2】
Figure 2004144105
【0039】
【表3】
Figure 2004144105
【0040】
また、図3に示す往復走行試験装置50は、試験用ベルト56の歯部が形成されている表面と接する側に24歯の従動タイミングプーリ51と、24歯の駆動タイミングプーリ52と、40歯のアイドラータイミングプーリ53と、が配置され、ベルト56の背面56aと接する側にφ40mmのフランジ付背面アイドラー54、55がアイドラータイミングプーリ53を挟むような位置に配置されてなるものである。
【0041】
このような往復走行試験装置50に各試験用ベルト56を図3に示すように取付け、端部をクランプ57で固定してベルト速度23m/分で往復走行して試験を行い、各試験用ベルト56のプーリフランジ乗り上げ性に対する心線、主原料、B寸法、背面研磨状態のそれぞれの寄与度を調査し、最適なものを選定して実施例1とし、現行品を比較例1として表4に示す。また、背面アイドラー54、55に3°のミスアライメントを設け、背面アイドラーフランジ乗り上げ発生までの走行試験結果を表4に合わせて示す。なお、図4に各ベルト56のプーリフランジ乗り上げ性に対する心線、主原料、B寸法、背面研磨状態のそれぞれの寄与度の結果を示す。
【0042】
【表4】
Figure 2004144105
【0043】
図4の縦軸に示すdB値は、数値が高いほど効果が大きいことを表しており、図4に示すように心線ではZ−90のdB値が大きく、主原料ではPBA、PCL1およびPCL2ともにdB値が横ばいでほとんど変化がなく、B寸法では2.0mmの状態のdB値が大きく、背面研磨による粗さ2の状態のdB値が大きい結果となった。なお、ここでいうdB値とは、バラツキの大きさをSN比で表した単位のことをいう。
【0044】
また、主原料の寄与度は図4に示すようにそれぞれの結果が横ばいとなったため、回転式摩擦係数測定機60で動的摩擦係数の測定を行った。この回転式摩擦係数測定機60は、図5に示すようにφ60の径を有し42rpmで回転する滑車61を備えてなる。そして、滑車61に各主原料からなる各試験体62の一端部に1kgfのウエイト63を固定して試験体62が動かないようにした状態で滑車61を回転させて各試験体62の動摩擦係数の測定を行った。
【0045】
この動摩擦係数測定試験によって得られた各試験体62の動摩擦係数の結果を図6に示す。図6よりPCL2を主原料とする試験体の摩擦係数の最大値と最小値の振れ幅が、他のPBAやPCL1より小さく安定していることからPCL2が最適であると判断できる。
【0046】
こうして図4から寄与度が最適なものを選定し、表4の実施例1として示している。そして、表4の実施例1と比較例1の各試験用ベルト62に3°のミスアライメントが設けられた状態で背面アイドラーフランジ乗り上げ発生までの往復走行試験装置50にて試験を行い、時間を計測した。表4より実施例1では、24時間異常がなく走行することができた。しかし、比較例1では、2時間後に背面アイドラー54、55のフランジに乗り上げが発生した。
【0047】
以上の各試験の結果より、表4に示す心線がZ−90、主原料がPCL2、B寸法が2.0mm、背面研磨状態が粗さ2である実施例1が比較例1よりも背面アイドラーフランジに乗り上げる可能性が小さいことがわかった。つまり、ベルト背面の表面の粗さをRa2.5以上とすることで摩擦係数が小さくなり、B寸法を2.0mmにすることで横剛性を高めることができる。従って、ミスアライメントの際にもベルトがアイドラ−フランジにせり上がり、フランジに乗り上げることを抑制することができる。
【0048】
また、ベルト背面にエンボス加工を施し、表面粗さRaを100として、以下、実施例1に使用したベルトと同様にして作製したベルトについても、同様に往復走行試験装置50によって、往復走行試験を行った。走行試験結果は、実施例1と同様に、24時間異常なく走行でき、背面アイドラーフランジへの乗り上げもなかった。
【0049】
【発明の効果】
請求項1の発明によると、背部にベルト心線を密に配置することができ、ベルトの横剛性を高めることができる。また、ベルト背面の表面を研磨加工あるいはエンボス加工によって表面粗さRa2.5〜100と加工しているため、背面アイドラープーリーとの間の摩擦係数を小さくすることが可能となる。
【0050】
請求項2の発明によると、ベルトをカットする際に心線をカットすることを防ぐことができ、ベルトの不良率を低減できる。また、ベルトの横剛性も高めることが可能となり、ミスアライメントの際にも、ベルトがフランジにせり上がり、フランジに乗り上げることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るポリウレタン製歯付ベルトを示す斜視図である。
【図2】ポリウレタン製歯付ベルトを製造するための一連の装置の概略図である。
【図3】歯付ベルトの往復走行試験装置の概略図である。
【図4】歯付ベルトのプーリフランジ乗り上げ性に対する寄与度の結果を示すグラフである。
【図5】歯付ベルトの回転式摩擦係数測定機の概略図である。
【図6】各主原料からなる歯付ベルトの動摩擦係数の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ベルト
2 歯部
3 心線
4 背部
5 歯部表面
6 歯底部
7 歯面帆布
8 背面帆布
9、11 経糸
10、12 緯糸
13 表面
14 ベルト端部

Claims (2)

  1. 背面アイドラープーリを使用して、少なくとも2軸間で回転駆動するポリウレタン製歯付ベルトであって、少なくとも長手方向に沿って配置した複数の歯部と、心線を埋設した背部とを有し、前記心線径が0.7mm〜0.9mmであり、ベルト背面の表面粗さRaが2.5〜100であることを特徴とするポリウレタン製歯付ベルト。
  2. 前記心線のうち、ベルト端部側に位置する心線の中心と前記ベルト端部との距離が0.8mm〜2.0mmである請求項1に記載のポリウレタン製歯付ベルト。
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