JP2016011677A - 歯付きベルト - Google Patents

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【課題】冷間時から高温までの広い温度範囲において、背面にクラックが生じることのない歯付きベルトを得る。【解決手段】歯付きベルト10は背ゴム層12と背面帆布16を有する。背ゴム層12は、ベルト本体の背面側に設けられ、水素化ニトリルゴムを主成分とするゴム組成物から成形される。背面帆布16は、背ゴム層12の表面を被覆し、RFL処理される。【選択図】図1

Description

本発明は歯付きベルトに関し、特に背面におけるクラックの発生を防止するための改良に関する。
通常、多くの歯付きベルトの背面はゴムで構成されている。このような歯付きベルトは、例えば−40℃以下の冷間時ではゴムの柔軟性が低下するので、背面にクラックが入りやすく、これが起点となってベルトが切断するおそれがある。背面にクラックが入るのを防止することができる歯付きベルトとして、特許文献1に開示されたように、RFL液により処理された帆布によって背面を被覆する構成が従来知られている。
特開2012−25528号公報
従来の歯付きベルトは冷間時での使用を想定していないので十分な耐寒性を有しておらず、−50℃という最近の厳しい耐寒性の要求に対応することは不可能である。また耐寒性に加えて、例えば140℃の高温環境下での使用も想定した、広範囲にわたる温度環境において使用される歯付きベルトでは、上述のようなRFL処理された帆布によって背面を被覆しても、背面におけるクラックの発生を完全には防止できない。
本発明は、冷間時から高温までの広い温度範囲において、背面にクラックが生じることのない歯付きベルトを提供することを目的としている。
本発明に係る歯付きベルトは、ベルト本体の背面側に設けられ、水素化ニトリルゴムを主成分とするゴム組成物から成形される背ゴム層と、背ゴム層の表面を被覆し、RFL処理された背面帆布とを備えることを特徴としている。
背面帆布はベルト本体の長手方向に伸縮性を有する織布であることが好ましい。この伸縮性の大きさとしては例えば、背面帆布が原反の状態において、ベルト本体の長手方向の破断伸縮率が50%以上である。あるいは、RFL処理後における背面帆布の低荷重伸び率が15%以上/2Kgf・50mm幅であってもよい。
背面帆布は、ベルト本体の幅方向に対して傾斜した継ぎ目において突き合わせて縫合され、前記継ぎ目の傾斜角度が4°〜12°であることが好ましい。
背面帆布に対するRFL処理は、レゾルシン―ホルムアルデヒドとラテックスの固形分重量比が例えば1:3〜1:20の間である処理液を用いて行われる。このレゾルシン―ホルムアルデヒドとラテックスの固形分重量比は好ましくは1:5である。
背ゴム層の水素化ニトリルゴムにおける結合アクリロニトリル量は、例えば25%〜40%であり、好ましくは32%である。
背ゴム層は、ベルト本体の長手方向に配向された短繊維を有することが好ましい。また短繊維は、長さが約3mmのアラミド短繊維であることが好ましい。短繊維の含有量としては、背ゴム層の主成分であるポリマー100重量部に対して1〜20重量部である。短繊維の含有量は、好ましくは、ポリマー100重量部に対して2〜6重量部であり、より好ましくは4重量部である。
ベルト本体の表面側に一定間隔毎に形成されたベルト歯を構成する歯ゴムが背ゴム層と同一成分のゴム組成物から成形されてもよい。あるいは歯ゴムは背ゴム層と異なる成分のゴム組成物から成形されてもよい。
本発明によれば、冷間時から高温までの広い温度範囲において、背面にクラックが生じることのない歯付きベルトを得ることができる。
本発明の一実施形態である歯付きベルトを示し、ベルトの長手方向に垂直な平面で切断した斜視図である。 図1の歯付きベルトを背面側から見た平面図である。 実施例と比較例の歯付きベルトの耐寒性を評価するための試験機の概略構成を示す図である。 図3に示す試験機による耐寒試験における駆動サイクルを示す図である。 歯付きベルトに生じるクラックの位置を示す図である。
以下、図示された実施形態を参照して本発明を説明する。
図1は本発明の一実施形態である歯付きベルト10を示す。歯付きベルト10は無端状に形成され、例えば内燃機関において、原動および従動プーリに掛け回され、原動プーリの駆動力を従動プーリに伝動する。
歯付きベルト10は、ベルト本体の表面側に一定間隔毎に形成されたベルト歯を構成する歯ゴム11と、ベルト本体の背面側に設けられ、ベルト本体の全体にわたって略均一の厚さを有する背ゴム層12とを備える。歯ゴム11と背ゴム層12の境界部分には、ベルト本体の長手方向に延在する心線13が埋設される。歯ゴム11の表面は接着ゴム層14を介して歯布15により被覆される。背ゴム層12の表面は背面帆布16により被覆される。
歯ゴム11は水素化ニトリルゴムを主成分とするゴム組成物によって構成され、短繊維21が混入される。背ゴム層12も同様に水素化ニトリルゴムを主成分とするゴム組成物から構成されるが、その成分は歯ゴム11と同一であってもよく、異なっていてもよい。また背ゴム層12にも短繊維22が混入される。歯ゴム11と背ゴム層12には、短繊維21、22とゴムの接着強度を高めるために内添型接着剤が含有される。
歯ゴム11と背ゴム層12は、歯付きベルト10が−50℃〜140℃の広い範囲であり、かつ油が付着するような環境下で使用されることを想定し、耐寒性、耐熱性と耐油性を兼ね備えた性能を有する水素化ニトリルゴムを用いて成形される。このような水素化ニトリルゴムとしては、アクリロニトリル含有量(結合AN量)が25%〜40%であることが必要であり、好ましくは32%である。
短繊維21、22は、歯ゴム11および背ゴム層12に成形される前のゴムシートの状態において、ゴムシートの長手方向に配向されているが、歯付きベルト10の成形工程において、歯ゴム11内の短繊維21はベルト歯の形状に従って変位する。すなわち、歯ゴム11内の短繊維21は、ベルト歯の中央領域ではベルトの厚さ方向を向いているが、中央領域から歯面に近づくに従って歯面に沿うように傾斜し、ベルト歯の頂部近傍ではベルト本体の長手方向に沿って配向される。一方、背ゴム層12内の短繊維22は全体的に、ベルト本体の長手方向に沿って配向される。
歯ゴム11内に混入される短繊維21はポリアミド繊維またはアラミド繊維等からなり、その長さは0.5〜1.0mmである。背ゴム層12内に混入される短繊維22もポリアミド繊維またはアラミド繊維等からなり、その長さは0.5〜3.0mmである。これらの短繊維21、22は、歯ゴム11と背ゴム層12の強度を高めてクラックの発生あるいは発達を防止するために設けられる。短繊維22の量として、背ゴム層12の主成分であるポリマー100重量部に対して短繊維22が1〜20重量部であるが、好ましくは2〜6重量部である。より好ましくは、ポリマー100重量部に対して短繊維22が4重量部である。
心線13は例えば高強度ガラス繊維から構成され、歯ゴム11と背ゴム層12に対する密着性を高めるために接着処理が施される。
歯布15はベルト本体の長手方向に伸縮性を有し、例えばアラミド繊維から構成された織布である。また歯布15は、その表面がエポキシ樹脂の硬い層によって被覆されている。エポキシ樹脂の層は歯布をエポキシ処理液に含浸処理することによって形成される。
接着ゴム層14は歯ゴム11と同じゴム組成物であるが短繊維21は混入されず、歯ゴム11に対する歯布15の接着力を向上させるために設けられるもので、内添型接着剤が含有される。
背面帆布16は、耐熱性に優れるポリアミド、アラミド、ポリアリレート繊維等から成る経糸および緯糸によって構成され、ベルト本体の長手方向に伸縮性を有する織布をRFL処理することによって得られる。織布にベルト本体の長手方向の伸縮性を持たせるため、その長手方向に沿って延びる緯糸は、例えばウーリー加工された捲縮糸である。織り方の種類としては、平織、綾織、朱子織が可能であるが、綾織または朱子織が好ましい。背面帆布16の伸縮性としては、原反の状態において、ベルト本体の長手方向の破断伸縮率が50%以上である。またRFL処理後における背面帆布16のベルト本体の長手方向の低荷重伸び率は、15%以上/2Kgf・50mm幅である。
背面帆布16に施すRFL処理は、背面帆布16の耐寒性、耐熱性と耐油性を向上させるためである。RFL処理は、レゾルシン―ホルムアルデヒドとラテックスの固形分重量比が1:3〜1:20の間である処理液を用いて行われ、好ましくは、レゾルシン―ホルムアルデヒドとラテックスの固形分重量比が1:5である処理液を用いて行われる。
背ゴム層12が背面帆布16によって覆われることにより、背ゴム層12の酸素や油に直接触れる箇所がベルト側面に限定されるので、背ゴム層12の劣化が防止される。また背ゴム層12の厚さを背面帆布16の厚さ分だけ薄くすることができるので、劣化しやすい材料(ゴム)を少なくすることができ、歯付きベルト10の耐久性を向上させることができる。
背面帆布16がベルト本体の長手方向に伸縮性を有するため、歯付きベルト10の屈曲性が改良され、長期の使用によってベルト背面にクラックが生じることが防止される。また背面帆布16が、RFL処理されているので、背面帆布16の耐久性が向上し、これによってもクラックの発生を防止する効果が得られる。
背面帆布16は背ゴム層12を効果的に保護するため、目の詰まった密度の高い織布であることが好ましいが、実際には極小の空孔が存在する。しかし、この空孔は歯付きベルト10の成形工程において背ゴム層12のゴムによって閉塞される。
図2(a)、図2(b)に示されるように、背面帆布16は継ぎ目31において突き合わせてミシン縫い等により縫合される。継ぎ目31は背面帆布16の表面と同一平面上にあり、突出していない。継ぎ目31は、通常、図2(a)に示されるように背面帆布16の表面において、ベルト本体の長手方向に直交する方向、すなわちベルト本体の幅方向に延在させるが、図2(b)に示されるように、ベルト本体の幅方向に対して傾斜角度αだけ傾けて延在させてもよい。傾斜角度αの好適な範囲は4°〜12°である。
継ぎ目31をベルト本体の幅方向に対して角度αだけ傾斜させて延在させるのは以下の理由による。歯付きベルト10がプーリ軸周りに曲げられるとき、ベルト背面に発生する応力は心線を挟んでベルト歯の歯頂部に相対するベルト背面位置において最も小さく、ベルト歯の歯底部または歯元部に相対するベルト背面位置において最も大きい。したがって継ぎ目31はベルト歯の歯頂部に相対するベルト背面位置に位置するように定めることが理想的であるが、製造誤差等により、継ぎ目31はベルト歯の歯頂部に相対するベルト背面位置からずれる可能性があり、ベルト歯の歯底部または歯元部に相対するベルト背面位置に位置するかもしれない。そこで本実施形態では、継ぎ目31はベルト本体の幅方向に対して角度αだけ傾斜するように設定している。これにより、継ぎ目31の位置がどこにあっても、継ぎ目31の全体がベルト歯の歯底部または歯元部に相対するベルト背面位置に一致することはなく、大きな応力が継ぎ目31に生じることが防止される。
次に、本発明の実施例である歯付きベルトと比較例の歯付きベルトとの作用効果を説明する。実施例と比較例の歯付きベルトの各構成要素は表1に示す通りである。
Figure 2016011677
実施例1の歯付きベルトは、歯布とベルト歯を予成型して得られる。歯布はナイロン/アラミド繊維からなる織布でエポキシ処理が施される。ゴムは上述した実施形態と同様に、接着ゴム層と歯ゴムと背ゴム層から成る。いずれもHNBRゴムから成るが、接着ゴム層には歯ゴムと歯布を接着させるための内添型接着剤が添加される。歯ゴムにはアラミド繊維から成る短繊維が混入されている。歯ゴム中のアラミド短繊維は、長さが1.0mmで、ゴム100重量部に対して12重量部配合され、ベルト歯の中央領域ではベルト厚さ方向を向いているが、中央領域から歯面に近づくに従って歯面に沿うように傾斜し、ベルト歯の頂部近傍ではベルト本体の長手方向に沿って配向される。背ゴム層は結合アクリロニトリル量が32%のHNBRのパーオキサイド加硫ゴムであり、ゴムの中にはアラミド短繊維が混入されている。背ゴム層中のアラミド短繊維は、長さが3.0mmで、ゴム100重量部に対して4重量部配合され、ベルト本体の長手方向に沿うように配向されている。歯ゴムと背ゴム層には短繊維とゴムとの接着を高めるために内添型接着剤が添加される。
背面帆布はナイロン帆布をRFL処理して得られる。RFL処理液におけるラテックスはNBRであり、レゾルシン―ホルムアルデヒドとラテックスの重量比は1:5である。背面帆布はナイロン繊維から成るフィラメント糸を経糸とし、またナイロン繊維から成るウーリー加工糸を緯糸として、2/2綾織によって得られる。背面帆布は、原反の状態において、ベルト本体の長手方向の破断伸縮率が50%以上であり、RFL処理後において、低荷重伸び率が15%以上/2Kgf・50mm幅である。背面帆布の継ぎ目は、本体ベルトの長手方向に直交する方向に延在するようにミシン縫いされる。心線は高強度ガラス繊維から成り、RFL処理が施されている。
実施例2の歯付きベルトは一体成型して成るもので、歯布は実施例1と比較して繊維種と織構成は共通であるが、ベルト本体の長手方向に相対的に大きい伸縮性を有し、実施例1と同様にエポキシ処理が施される。ベルト本体を構成するゴムは、実施例1の背ゴム層と同じく、結合AN量が32%のHNBR・PO加硫ゴムから成る。ゴムの中にはアラミド繊維から成る短繊維が混入されている。短繊維の長さは0.5mm、短繊維の量はゴム100重量部に対して16重量部であり、短繊維は背ゴム層においてベルト本体の長手方向に沿うように配向されるが、歯ゴムにおいてはベルト成型時にゴムが流動してベルト背面側から心線の間隙を通過して歯ゴム側に移動するので歯ゴム中央部ではベルト厚さ方向に配向するが、ベルト歯の表面に近づくにつれてベルト歯の輪郭に沿うように配向する。なお、背面帆布、心線は実施例1と同じである。
比較例1の歯付きベルトは、実施例1と同様に歯布とベルト歯を予成型して成るもので、歯布の構成は実施例1と同じである。ゴムは実施例1と同様に、接着ゴム層と歯ゴムと背ゴム層から成る。接着ゴム層と歯ゴムと背ゴム層は実施例1と同じ構成を有するが、背ゴム層は実施例1と異なり、短繊維は混入されていない。また比較例1の歯付きベルトでは、背面帆布は設けられておらず、ベルト背面は背ゴム層で構成される。心線は実施例1、2と同じである。
比較例2の歯付きベルトは、実施例2と同様に一体成型して成るもので、歯布の構成は実施例2と同じである。ゴムは実施例2と同様に、結合AN量が32%のHNBR・PO加硫ゴムから成る。ゴムの中にはアラミド繊維から成る短繊維が混入されている。短繊維の長さ、量および配向についても実施例2と同様である。比較例2の歯付きベルトでは、比較例1と同様に背面帆布は設けられておらず、ベルト背面は背ゴム層(歯ゴム)で構成される。なお心線は実施例1、2および比較例1と同じである。
比較例3の歯付きベルトは、実施例1と同様に歯布とベルト歯を予成型して成るもので、歯布の構成は実施例1と同じである。ゴムは実施例1と同様に、接着ゴム層と歯ゴムと背ゴム層から成り、各ゴムの構成は実施例1と同じである。背面帆布は実施例1と同じナイロン帆布をゴム糊処理して得られる。このゴム糊は接合アクリロニトリル量が32%のHNBRゴムに硫黄加硫剤等を配合したゴム配合物を溶剤に溶かして作成した。なお心線は実施例1、2および比較例1、2と同じである。
以上の構成を有する実施例1、2と比較例1、2、3の各歯付きベルトをそれぞれ、図3に示す試験機に掛けて耐寒試験を行った。各歯付きベルトの寸法は、長さ876.3mm、幅19.1mmで、歯ピッチ9.525mmの円弧歯形のベルト歯を有する。試験機は駆動プーリ41と被駆動プーリ42とテンショナ43を有し、駆動プーリ41は図示しない駆動モータの出力軸に連結される。駆動プーリ41の歯数は24、被駆動プーリ42の歯数は48、テンショナ43の外径は52mmである。歯付きベルトが設けられた環境の温度を−40℃、−45℃、−50℃の3通りに定め、駆動プーリ41を300rpmの回転速度で回転させて試験を行った。この試験では、図4に示すように、3時間放置した後、1分間駆動して10分間放置するというサイクルを10サイクル行って、いったん中断し、目視で歯付きベルトの様子を確認した後、再び試験機を起動して、50サイクルだけ駆動した。
比較例1、2の歯付きベルトでは、−45℃および−40℃の環境において、図5(a)に示すように背ゴム層12の表面側に多数の部位Aにおいて大クラックが発生した。また比較例3の歯付きベルトでは、−40℃の環境において、図5(b)に示すように背面帆布16の表面側の多数の部位Bにおいて小〜中クラックが発生し、内側の背ゴム層12にまでクラックが広がった。これに対して実施例1、2の歯付きベルトでは、−45℃および−50℃の環境において、図5(c)に示すように、背面帆布16および内側の背ゴム層12にクラックが発生しなかった。
実施例1、2の歯付きベルトにおいてクラックが発生しなかった理由は以下のように考えられる。すなわち、実施例1、2の歯付きベルトでは、HNBRゴム糊よりも耐寒性能の良いRFLによって処理された背面帆布が低温でも脆化せず、伸びが保持されることにより、クラックの発生が抑制され、さらに背ゴム層に添加されベルトの長手方向に配向した短繊維によりゴムクラックの発生・広がりを抑制されたためと考えられる。また比較例1、2の歯付きベルトに対しては、背面帆布を設ける分、背ゴム層の厚さを薄くすることができるので、背ゴム層の曲げ量が少なくなり、クラックが発生しにくくなったと考えられる。
次に歯付きベルトの背面帆布の継ぎ目を本体ベルトの幅方向に対して傾斜させて延在させた場合の歯付きベルトの耐寒性能を確認するため、実施例1の歯付きベルトと同一のベルト構成・寸法で背面帆布の継ぎ目の延在方向のみ本体ベルトの幅方向に対して傾斜角度αを0°、4°、12°に設定した歯付きベルトをそれぞれ作成し、140℃の油に72時間浸漬させて歯付きベルトを耐油劣化させたあとで、上述の耐寒試験を行った。
耐寒試験において、傾斜角度αが0°の歯付きベルトの場合、背面帆布の継ぎ目が心線を挟んでベルト歯の歯頂部に相対するベルト背面の位置にあるときは、−40℃の環境でもベルト背面にクラックは発生しなかったが、背面帆布の継ぎ目が心線を挟んでベルトの歯底部または歯元部に相対する背面位置にあるときは、−40℃の環境でベルト背面の背面帆布継ぎ目部においてクラックが発生し、内部の背ゴム層にまでクラックが広がった。一方、傾斜角度αが4°および12°の歯付きベルトの場合、−40℃の環境でも背面帆布の継ぎ目位置も含めてベルト背面にクラックは発生しなかった。
この結果は、以下の理由によると考えられる。すなわち、歯付きベルトの背面帆布継ぎ目部から背ゴム層に高温の油が浸透することにより、背面帆布継ぎ目部付近の背ゴム層が耐油劣化して伸び性能が低下し、耐寒試験において、歯付きベルトがプーリ軸周りに曲げられるとき、ベルト背面に発生する応力は、心線を挟んでベルト歯の歯底部または歯元部に相対するベルト背面位置において最も大きい。このため、背面帆布の継ぎ目の傾斜角度αが0°である歯付きベルトにおいて、背面帆布の継ぎ目全体が心線を挟んでベルトの歯底部または歯元部に相対するベルト背面位置にある場合は、背面帆布の継ぎ目全体に大きな応力が生じて、この継ぎ目部でクラックが発生したのに対し、背面帆布の継ぎ目全体が心線を挟んでベルトの歯頂部に相対するベルト背面位置にある場合は、背面帆布の継ぎ目に大きな応力を受けないため背面帆布の継ぎ目を含むベルト背面にクラックが発生しなかったと考えられる。これに対して背面帆布の継ぎ目の傾斜角度αが4°および12°の歯付きベルトの場合、背面帆布の継ぎ目の一部は心線を挟んでベルトの歯底部または歯元部に相対するベルト背面位置にあるが、この継ぎ目部の他の部分は心線を挟んでベルトの歯頂部に相対するベルト背面位置にあるので、大きな応力がこの継ぎ目部全体に生じることはないため、背面帆布の継ぎ目部を含むベルト背面にクラックが発生しなかったと考えられる。
以上の結果および考察から、歯付きベルトの耐寒性能をより向上させるためには、背面帆布の継ぎ目をベルト幅方向に平行に延在させる場合は、背面帆布の継ぎ目を、心線を挟んでベルトの歯頂部に相対する背面の位置に配置させる必要がある。これに対して背面帆布の継ぎ目をベルト幅方向に対して傾斜角度4°〜12°傾けて延在させる場合は、背面帆布の継ぎ目位置を調整する必要なく、歯付きベルトの耐寒性能をより向上させることができる。
12 背ゴム層
16 背面帆布

Claims (6)

  1. ベルト本体の背面側に設けられ、水素化ニトリルゴムを主成分とするゴム組成物から成形される背ゴム層と、
    前記背ゴム層の表面を被覆し、RFL処理された背面帆布とを備えることを特徴とする歯付きベルト。
  2. 前記背面帆布が前記ベルト本体の長手方向に伸縮性を有する織布であることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
  3. 前記背面帆布は、前記ベルト本体の幅方向に対して傾斜した継ぎ目において突き合わせて縫合され、前記幅方向に対する前記継ぎ目の傾斜角度が4°〜12°であることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
  4. 前記RFL処理が、レゾルシン―ホルムアルデヒドとラテックスの固形分重量比が1:3〜1:20の間である処理液を用いて行われることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
  5. 前記水素化ニトリルゴムにおける結合アクリロニトリル量が25%〜40%であることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
  6. 前記背ゴム層が、前記ベルト本体の長手方向に配向された短繊維を有することを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
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