JP2004143362A - 低粘度エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低粘度の液状エポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂は、様々な機能を併せ持つ高機能樹脂であり、土木、建築、塗料、接着剤等の広範な分野で使用されている。特に、電気電子分野では、耐熱性、電気特性、機械的物性といったバランスの良さから、封止剤、レジストインキ、接着剤、成形材料、注型材料等として好適に用いられている。
【0003】
近年、電気機器の小型化により電気回路の高密度化が進んでおり、そこに使用されるエポキシ樹脂に対する要求もますます高くなってきている。例えば、充填剤の高含有率化や回路の微細な隙間に対する浸透性、更には塗布作業性といった性能が要求されており、これらの性能を満たすため、低粘度のエポキシ樹脂が望まれている。
【0004】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、電気材料として汎用的に使用されている液状エポキシ樹脂であるが、常温では5,000〜20,000mPa・s程度の粘度を有するため、これを含浸、注型、注入等の用途で使用する場合には、高粘度であることから、作業性の面で問題がある。
【0005】
そこで、低粘度化のための反応性希釈剤として、例えばフェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ポリオキシアルキレングリコールグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、グリシジルアミン類等が用いられている。また、エポキシ樹脂の反応性希釈剤として、フェノール類のアルキレンオキサイド付加物(特許文献1)、アルキル基の炭素数が8以上のアルキルグリシジルエーテル(特許文献2)、芳香族ビニル単量体(特許文献3)等も提案されている。
【0006】
しかしながら、これらの反応性希釈剤を多量に用いた場合には、エポキシ樹脂本来の性能が低下してしまい、樹脂に対する更なる高機能化の要求が高まる中、耐候性、耐湿性、電気的特性といった性能を満足することが困難になる。
【0007】
【特許文献1】
特開昭52−13546号公報
【特許文献2】
特開昭58−71917号公報
【特許文献3】
特開平2−86616号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、エポキシ樹脂本来の性能を低下させることなく、低粘度で作業性の良好なエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定の脂環式エポキシ化合物を液状エポキシ樹脂と混合することにより、混合後の組成物の粘度が著しく低減されることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、(A)常温で液状のエポキシ樹脂、及び(B)下記一般式(1)
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、nは1又は2を示す)
で表される脂環式エポキシ化合物を含有し、25℃における粘度が5,000mPa・s以下であるエポキシ樹脂組成物を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる成分(A)のエポキシ樹脂は、常温で液状のものであり、従来公知のものを使用することができる。例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを主成分とするビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを主成分とする水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFのジグリシジルエーテルを主成分とするビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂肪族ポリヒドロキシ化合物のポリグリシジルエーテル、多価カルボン酸のポリグリシジルエステル等が挙げられる。
【0014】
これらのうち、常温における粘度が2,000mPa・sを超え20,000mPa・s以下のエポキシ樹脂、特に常温における粘度が5,000mPa・sを超え20,000mPa・s以下のビスフェノールA型エポキシ樹脂、常温における粘度が2,000mPa・sを超え4,000mPa・s以下の水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
なお、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、例えば米国特許第3336241号明細書、特開平8−48676号公報等に記載されているように、通常、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を水素化触媒の存在下に核水素化することにより製造される。
【0015】
本発明で用いられる成分(B)の脂環式エポキシ化合物は、前記一般式(1)で表されるもので、具体的には、ジシクロペンタジエンジオキサイド、トリシクロペンタジエンジオキサイドが挙げられる。これらの1種又は2種を組み合わせて用いることができる。
【0016】
このような脂環式エポキシ化合物(1)は、対応する環状ジオレフィン化合物を、酸化剤を用いて酸化することにより製造することができる。例えば、ジシクロペンタジエンジオキサイドの場合はジシクロペンタジエンを、トリシクロペンタジエンジオキサイドの場合はトリシクロペンタジエンをそれぞれ原料とし、過酸化水素、過酢酸、有機過酸化物等を酸化剤として酸性触媒の存在下に酸化させることにより製造される。
【0017】
成分(A)の液状エポキシ樹脂と成分(B)の脂環式エポキシ化合物とは、相溶性が良好であるため、任意の割合で混合できるが、通常は成分(A)100重量部に対して、成分(B)1〜100重量部、特に5〜50重量部の範囲で用いるのが好ましい。この範囲内で混合することにより、常温における粘度を著しく低減することができる。
【0018】
なお、成分(B)の脂環式エポキシ化合物(1)は、分子内に嵩高い脂環構造を有する物質であり、それ自体でも耐熱性、耐湿性、電気的特性に優れるものと考えられる。従って、成分(B)の配合量が多い場合においても、エポキシ樹脂本来の性能を損なうことなく、使用することができる。
【0019】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、使用目的やその用途に応じて、更に通常用いられる充填剤や添加剤を適宜配合することができる。充填剤としては、例えばシリカ、アルミナ、タルク、ガラス繊維、カーボン繊維等が挙げられ、添加剤としては、例えば可塑剤、染料、顔料、離型剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、レベリング剤、消泡剤、たれ止め剤、溶剤等が挙げられる。
【0020】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、25℃における粘度が5,000mPa・s以下、好ましくは2,000mPa・s以下である。本発明において、粘度は、B型回転粘度計により測定したものである。
【0021】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、通常の方法により硬化させることができる。例えば、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤等の硬化剤を用いて硬化させることができる。
酸無水物系硬化剤としては、例えばヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ドデセニル無水コハク酸、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、アミン系硬化剤としては、例えばジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン等が挙げられ、フェノール系硬化剤としては、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフタレン系ノボラック樹脂等が挙げられる。
【0022】
これらの硬化剤には、必要に応じて硬化促進剤を併用することができ、かかる硬化促進剤としては、例えばベンジルジメチルアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジメチルシクロヘキシルアミン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、オクチル酸亜鉛、アルミニウムアセチルアセトン錯体等が挙げられる。
硬化に際しては、例えば、本発明のエポキシ樹脂組成物と、通常これとほぼ当量の硬化剤、更に必要に応じて硬化促進剤を均一になるまで混合し、この混合物を20〜250℃で加熱すればよい。
【0023】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、カチオン重合触媒を用いて硬化させることができる。カチオン重合触媒としては、例えばBF3、PF5、AsF5、SbF6等のルイス酸が挙げられ、特にBF3が好ましい。例えば、本発明のエポキシ樹脂組成物とカチオン重合触媒を、エポキシ樹脂組成物100重量部に対して触媒0.01〜15重量部、好ましくは0.05〜5重量部の割合で混合し、50〜150℃に加熱することにより、硬化させることができる。
【0024】
さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物は、光重合触媒を用いて光硬化させることもできる。光重合触媒は、エポキシ樹脂組成物に配合した状態で紫外線又は可視光線を照射することにより、該触媒が分解して硬化剤として作用する触媒であり、例えば芳香族ジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、トリアリールセレニウム塩等が挙げられる。例えば、本発明のエポキシ樹脂組成物と光重合触媒を、エポキシ樹脂組成物100重量部に対して触媒0.01〜15重量部、好ましくは0.05〜5重量部の割合で混合し、紫外線又は可視光線を照射することにより、硬化させることができる。
【0025】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0026】
参考例1(ジシクロペンタジエンジオキサイドの製造)
内容量10Lのガラス製フラスコに、ジシクロペンタジエン1000g及びアセトニトリル900gを入れ、攪拌しながら65℃に昇温した。ここに、水酸化カリウムでpH8に調整した50%ピロリン酸カリウム水溶液1000gと35%過酸化水素水3000gの混合液を、約30時間かけて滴下し、その後同温度で20時間攪拌を継続した。反応液を室温まで冷却し、析出してきた結晶を濾過分離し、水洗、乾燥して、ジシクロペンタジエンジオキサイド(DCPD−DO)の白色結晶を得た。得られた結晶の収量は800gであり、ガスクロマトグラフにより測定した純度は98%であった。
【0027】
参考例2(トリシクロペンタジエンジオキサイドの製造)
内容量10Lのガラス製フラスコに、シクロペンタジエンの3量体であるトリシクロペンタジエン1300g及びアセトニトリル1100gを入れ、攪拌しながら65℃に昇温した。ここに、水酸化カリウムでpH8に調整した50%ピロリン酸カリウム水溶液1000gと35%過酸化水素水2600gの混合液を、約30時間かけて滴下し、その後同温度で20時間攪拌を継続した。反応液を室温まで冷却し、析出してきた結晶を濾過分離した。得られた結晶を水洗後、さらに1300gのメタノールを用いて再結晶処理し、結晶を濾過、乾燥して、トリシクロペンタジエンジオキサイド(TCPD−DO)の白色結晶を得た。得られた結晶の収量は700gであり、ガスクロマトグラフにより測定した純度は99%であった。
【0028】
実施例1〜5
表1に示す組成の成分を混合することにより、エポキシ樹脂組成物を製造した。得られた組成物の25℃における粘度は、表1に示すとおりである。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、いずれも25℃における粘度が2000mPa・s以下の均一な液状のものであった。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、低粘度で液状であり、作業性が良好で、電気電子部品用途などにおいて有用である。また、耐熱性、耐湿性、電気的特性といったエポキシ樹脂本来の性能を損なうことなく使用することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、低粘度の液状エポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂は、様々な機能を併せ持つ高機能樹脂であり、土木、建築、塗料、接着剤等の広範な分野で使用されている。特に、電気電子分野では、耐熱性、電気特性、機械的物性といったバランスの良さから、封止剤、レジストインキ、接着剤、成形材料、注型材料等として好適に用いられている。
【0003】
近年、電気機器の小型化により電気回路の高密度化が進んでおり、そこに使用されるエポキシ樹脂に対する要求もますます高くなってきている。例えば、充填剤の高含有率化や回路の微細な隙間に対する浸透性、更には塗布作業性といった性能が要求されており、これらの性能を満たすため、低粘度のエポキシ樹脂が望まれている。
【0004】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、電気材料として汎用的に使用されている液状エポキシ樹脂であるが、常温では5,000〜20,000mPa・s程度の粘度を有するため、これを含浸、注型、注入等の用途で使用する場合には、高粘度であることから、作業性の面で問題がある。
【0005】
そこで、低粘度化のための反応性希釈剤として、例えばフェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ポリオキシアルキレングリコールグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、グリシジルアミン類等が用いられている。また、エポキシ樹脂の反応性希釈剤として、フェノール類のアルキレンオキサイド付加物(特許文献1)、アルキル基の炭素数が8以上のアルキルグリシジルエーテル(特許文献2)、芳香族ビニル単量体(特許文献3)等も提案されている。
【0006】
しかしながら、これらの反応性希釈剤を多量に用いた場合には、エポキシ樹脂本来の性能が低下してしまい、樹脂に対する更なる高機能化の要求が高まる中、耐候性、耐湿性、電気的特性といった性能を満足することが困難になる。
【0007】
【特許文献1】
特開昭52−13546号公報
【特許文献2】
特開昭58−71917号公報
【特許文献3】
特開平2−86616号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、エポキシ樹脂本来の性能を低下させることなく、低粘度で作業性の良好なエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定の脂環式エポキシ化合物を液状エポキシ樹脂と混合することにより、混合後の組成物の粘度が著しく低減されることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、(A)常温で液状のエポキシ樹脂、及び(B)下記一般式(1)
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、nは1又は2を示す)
で表される脂環式エポキシ化合物を含有し、25℃における粘度が5,000mPa・s以下であるエポキシ樹脂組成物を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる成分(A)のエポキシ樹脂は、常温で液状のものであり、従来公知のものを使用することができる。例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを主成分とするビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを主成分とする水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFのジグリシジルエーテルを主成分とするビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂肪族ポリヒドロキシ化合物のポリグリシジルエーテル、多価カルボン酸のポリグリシジルエステル等が挙げられる。
【0014】
これらのうち、常温における粘度が2,000mPa・sを超え20,000mPa・s以下のエポキシ樹脂、特に常温における粘度が5,000mPa・sを超え20,000mPa・s以下のビスフェノールA型エポキシ樹脂、常温における粘度が2,000mPa・sを超え4,000mPa・s以下の水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
なお、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、例えば米国特許第3336241号明細書、特開平8−48676号公報等に記載されているように、通常、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を水素化触媒の存在下に核水素化することにより製造される。
【0015】
本発明で用いられる成分(B)の脂環式エポキシ化合物は、前記一般式(1)で表されるもので、具体的には、ジシクロペンタジエンジオキサイド、トリシクロペンタジエンジオキサイドが挙げられる。これらの1種又は2種を組み合わせて用いることができる。
【0016】
このような脂環式エポキシ化合物(1)は、対応する環状ジオレフィン化合物を、酸化剤を用いて酸化することにより製造することができる。例えば、ジシクロペンタジエンジオキサイドの場合はジシクロペンタジエンを、トリシクロペンタジエンジオキサイドの場合はトリシクロペンタジエンをそれぞれ原料とし、過酸化水素、過酢酸、有機過酸化物等を酸化剤として酸性触媒の存在下に酸化させることにより製造される。
【0017】
成分(A)の液状エポキシ樹脂と成分(B)の脂環式エポキシ化合物とは、相溶性が良好であるため、任意の割合で混合できるが、通常は成分(A)100重量部に対して、成分(B)1〜100重量部、特に5〜50重量部の範囲で用いるのが好ましい。この範囲内で混合することにより、常温における粘度を著しく低減することができる。
【0018】
なお、成分(B)の脂環式エポキシ化合物(1)は、分子内に嵩高い脂環構造を有する物質であり、それ自体でも耐熱性、耐湿性、電気的特性に優れるものと考えられる。従って、成分(B)の配合量が多い場合においても、エポキシ樹脂本来の性能を損なうことなく、使用することができる。
【0019】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、使用目的やその用途に応じて、更に通常用いられる充填剤や添加剤を適宜配合することができる。充填剤としては、例えばシリカ、アルミナ、タルク、ガラス繊維、カーボン繊維等が挙げられ、添加剤としては、例えば可塑剤、染料、顔料、離型剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、レベリング剤、消泡剤、たれ止め剤、溶剤等が挙げられる。
【0020】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、25℃における粘度が5,000mPa・s以下、好ましくは2,000mPa・s以下である。本発明において、粘度は、B型回転粘度計により測定したものである。
【0021】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、通常の方法により硬化させることができる。例えば、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤等の硬化剤を用いて硬化させることができる。
酸無水物系硬化剤としては、例えばヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ドデセニル無水コハク酸、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、アミン系硬化剤としては、例えばジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン等が挙げられ、フェノール系硬化剤としては、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフタレン系ノボラック樹脂等が挙げられる。
【0022】
これらの硬化剤には、必要に応じて硬化促進剤を併用することができ、かかる硬化促進剤としては、例えばベンジルジメチルアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジメチルシクロヘキシルアミン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、オクチル酸亜鉛、アルミニウムアセチルアセトン錯体等が挙げられる。
硬化に際しては、例えば、本発明のエポキシ樹脂組成物と、通常これとほぼ当量の硬化剤、更に必要に応じて硬化促進剤を均一になるまで混合し、この混合物を20〜250℃で加熱すればよい。
【0023】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、カチオン重合触媒を用いて硬化させることができる。カチオン重合触媒としては、例えばBF3、PF5、AsF5、SbF6等のルイス酸が挙げられ、特にBF3が好ましい。例えば、本発明のエポキシ樹脂組成物とカチオン重合触媒を、エポキシ樹脂組成物100重量部に対して触媒0.01〜15重量部、好ましくは0.05〜5重量部の割合で混合し、50〜150℃に加熱することにより、硬化させることができる。
【0024】
さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物は、光重合触媒を用いて光硬化させることもできる。光重合触媒は、エポキシ樹脂組成物に配合した状態で紫外線又は可視光線を照射することにより、該触媒が分解して硬化剤として作用する触媒であり、例えば芳香族ジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、トリアリールセレニウム塩等が挙げられる。例えば、本発明のエポキシ樹脂組成物と光重合触媒を、エポキシ樹脂組成物100重量部に対して触媒0.01〜15重量部、好ましくは0.05〜5重量部の割合で混合し、紫外線又は可視光線を照射することにより、硬化させることができる。
【0025】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0026】
参考例1(ジシクロペンタジエンジオキサイドの製造)
内容量10Lのガラス製フラスコに、ジシクロペンタジエン1000g及びアセトニトリル900gを入れ、攪拌しながら65℃に昇温した。ここに、水酸化カリウムでpH8に調整した50%ピロリン酸カリウム水溶液1000gと35%過酸化水素水3000gの混合液を、約30時間かけて滴下し、その後同温度で20時間攪拌を継続した。反応液を室温まで冷却し、析出してきた結晶を濾過分離し、水洗、乾燥して、ジシクロペンタジエンジオキサイド(DCPD−DO)の白色結晶を得た。得られた結晶の収量は800gであり、ガスクロマトグラフにより測定した純度は98%であった。
【0027】
参考例2(トリシクロペンタジエンジオキサイドの製造)
内容量10Lのガラス製フラスコに、シクロペンタジエンの3量体であるトリシクロペンタジエン1300g及びアセトニトリル1100gを入れ、攪拌しながら65℃に昇温した。ここに、水酸化カリウムでpH8に調整した50%ピロリン酸カリウム水溶液1000gと35%過酸化水素水2600gの混合液を、約30時間かけて滴下し、その後同温度で20時間攪拌を継続した。反応液を室温まで冷却し、析出してきた結晶を濾過分離した。得られた結晶を水洗後、さらに1300gのメタノールを用いて再結晶処理し、結晶を濾過、乾燥して、トリシクロペンタジエンジオキサイド(TCPD−DO)の白色結晶を得た。得られた結晶の収量は700gであり、ガスクロマトグラフにより測定した純度は99%であった。
【0028】
実施例1〜5
表1に示す組成の成分を混合することにより、エポキシ樹脂組成物を製造した。得られた組成物の25℃における粘度は、表1に示すとおりである。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、いずれも25℃における粘度が2000mPa・s以下の均一な液状のものであった。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、低粘度で液状であり、作業性が良好で、電気電子部品用途などにおいて有用である。また、耐熱性、耐湿性、電気的特性といったエポキシ樹脂本来の性能を損なうことなく使用することができる。
Claims (4)
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002312181A JP2004143362A (ja) | 2002-10-28 | 2002-10-28 | 低粘度エポキシ樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002312181A JP2004143362A (ja) | 2002-10-28 | 2002-10-28 | 低粘度エポキシ樹脂組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004143362A true JP2004143362A (ja) | 2004-05-20 |
Family
ID=32457148
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002312181A Pending JP2004143362A (ja) | 2002-10-28 | 2002-10-28 | 低粘度エポキシ樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004143362A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012136577A (ja) * | 2010-12-24 | 2012-07-19 | Nippon Zeon Co Ltd | 半導体封止材料及び半導体装置 |
JP2017165705A (ja) * | 2016-03-14 | 2017-09-21 | Jxtgエネルギー株式会社 | エポキシ化合物、硬化性組成物、硬化物、エポキシ化合物の製造方法および反応性希釈剤 |
WO2017164238A1 (ja) * | 2016-03-23 | 2017-09-28 | Jxエネルギー株式会社 | 硬化性組成物およびこれを硬化させた硬化物 |
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WO2017213205A1 (ja) * | 2016-06-10 | 2017-12-14 | Jxtgエネルギー株式会社 | エポキシ化合物、これを含む硬化性組成物および硬化性組成物を硬化させた硬化物 |
WO2017213206A1 (ja) | 2016-06-10 | 2017-12-14 | Jxtgエネルギー株式会社 | エポキシ化合物、これを含む硬化性組成物および硬化性組成物を硬化させた硬化物 |
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2002
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