JP2004142903A - 組立式ラック - Google Patents

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Abstract

【構成】支柱2に、取付部材6,6とピン8,8を介して、左右の棚受け4,5を取り付ける。一対のピン8,8を連結プレート10を貫通させて、連結する。
【効果】パレットから棚受けを介して支柱のピン取付孔に加わる水平方向の力を、左右で相殺できる。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の利用分野】
この発明は、支柱に締結部材で棚部材を固定した組立式ラックに関する。
【0002】
【従来技術】
【0003】
【特許文献1】特開2000−302213号公報
【0004】
上記特許文献1は、自動倉庫などに用いる組立式ラックについて開示している。組立式ラックは、鋼材の角パイプなどの支柱に左右の棚部材をピンで固定する。棚部材の支柱への取付部は、支柱を約その半周分抱持するように構成し、取付部と支柱とにピンを貫通させて、棚部材を取り付ける。
【0005】
棚部材にパレット等を載置すると、パレットからの荷重は棚部材を介して取り付け用のピンに、水平方向の応力を含んだ力として作用する。これはパレットからの荷重により、ピンを棚部材側に引っ張る向きの力のモーメントが生じるためである。そして発明者は、ピンには鉛直方向の力に加えて、水平方向にも大きな力が作用することに着目した。
【0006】
ピン自体は剛性の高いものを用いることができる。しかしピンを挿通した支柱にはコスト的な制約があり、ピンから働く力に充分耐えるだけの肉厚にするのは難しい。そして発明者は、パレットなどの出し入れを繰り返すと、支柱のピン取付孔に繰り返して働く力により、ピン取付孔が変形することを見出した。従ってこの種の組立式ラックにおいては、荷重の大きなパレットを棚部材に載置することはできなかなった。
【0007】
【発明の課題】
この発明の基本的課題は、棚部材取り付け用の締結部材から、組立式ラックの支柱に働く水平方向の力を、左右の棚部材間で相殺することにある。
請求項2の発明での追加の課題は、左右の棚部材から働く水平方向の力を相殺するための具体的な構成を提供することにある。
請求項3の発明での追加の課題は、ラックの端部の支柱の耐久性を増すことにある。
【0008】
【発明の構成】
この発明は、支柱に形成した左右少なくとも一対の取付孔と、左右の各棚部材の支柱取付部に設けた取付孔とを重ね、左右少なくとも一対の締結部材を上記両取付孔に貫通させて、左右の棚部材を支柱に取り付けた組立式ラックにおいて、前記左右の締結部材を連結したことを特徴とする(請求項1)。締結部材は例えばピンとし、その種類は任意で松葉ピンなどでもよい。またピンの他にボルトなどを締結部材としても良い。また締結部材間の連結は支柱自体や棚部材の支柱取付部以外のものによって行い、例えば2またピン等でも良い。
【0009】
好ましくは、前記左右の締結部材の連結を、左右の締結部材を連結プレートに挿通することにより行う(請求項2)。
【0010】
また好ましくは、ラックの端部の支柱に対して、左右片側のみに棚部材を設けると共に、該支柱には左右少なくとも一対の締結部材を挿通し、該左右の締結部材の一方を前記棚部材を挿通させ、かつ前記左右の締結部材を連結する(請求項3)。
【0011】
【発明の作用と効果】
この発明の組立式ラックでは、左右の棚部材の双方に物品を載置している場合、左右の締結部材が連結されているため、左右の棚部材の取付部から締結部材に働く水平方向の力が左右で相殺される。このため支柱に締結部材から働く水平方向の力が軽減される。また左右の棚部材の片方のみに物品を載置している場合でも、水平方向の力は左右の締結部材に分散され、支柱に働く力が減少する。これらのため、より肉薄の支柱で同じ重量の物品を保管することができ、あるいは同じ強度の支柱でより重い物品を支持することができる(請求項1)。
【0012】
締結部材を例えば2またピンとし、締結部材自体により前記の連結を行っても良い。しかしながら2またピンの曲げ部に、棚部材の取付部から水平方向の力が加わると、曲げ部が変形することが考えられる。そしてこの変形により、支柱の取付孔が拡開することが考えられる。これに対して、締結部材を連結プレートにより連結すると、締結部材に働く水平方向の力を連結プレートを介して他の締結部材に伝え、支柱の取付孔が変形するのを防止できる(請求項2)。
【0013】
組立式ラックの両端以外の支柱について、棚部材から加わる水平方向の力への耐久性を増しても、両端の支柱の取付孔に棚部材から加わる水平方向の力への耐久性を増すことができないと、ラックの耐久性は全体として余り向上しない。そこで請求項3の発明では、ラックの両端の支柱に対しても左右少なくとも一対の締結部材を用いるようにし、かつこれらの締結部材間を連結する。この結果、両端の支柱に働く水平方向の力を左右の締結部材に分散させ、これによって取付孔に加わる水平方向の力を軽減して、左右両端の支柱の耐久性を増す。またこのようにすると、両端の支柱もそれ以外の支柱も棚部材の取付条件が同等になり、組立式ラックの施工性も増す(請求項3)。
【0014】
【実施例】
図1〜図8に、実施例の組立式ラックとその変形とを示す。これらの図において、2は組立式ラックの支柱で、角パイプの鋼材などで構成する。4,5は左右の棚受けで、6は水平断面がコの字状の取付部材で、支柱2を左右から抱持するように配置してあり、棚受け4,5に溶接などで固定してある。また取付部材6の鉛直方向下側には、板状の支持部7を設けて、支柱2の側面に当接させる。8はピンで、締結部材の例であり、松葉ピンや2またピンなどでも良く、あるいはボルトなどの他の締結部材でも良い。10は連結プレートで、左右のピン8,8を挿通させて、ピン8,8を連結し、形状は例えば厚板状で、材質は例えば鋼である。
【0015】
図2に示すように、ピン8,8は、取付部材6に設けた取付孔15,15から、支柱2に設けた取付孔14,14を貫通し、再度取付部材6に設けた取付孔15,15、及び連結プレート10に設けた取付孔16,16を貫通している。またこれらの取付孔14〜16はピン8との遊びをなくして、ピン8が遊動しないようにしてある。なおピン8を松葉ピンなどとして抜け落ちを防止しても良く、あるいはた連結プレート10にワッシャ作用を持たせて、ピン8の抜け落ちを防止しても良い。
【0016】
図1〜図3の実施例では、連結プレート10を支柱2の前後の一方にのみ設けたが、図4に示すように、前後一対の連結プレート10,11を設けて、ピン8,8を2枚の連結プレート10,11で連結しても良い。あるいはまた、連結プレートを、取付部材6,6を囲む角筒状の部材としても良い。
【0017】
実施例の作用を、図5などを参照して説明する。棚受け4,5は支柱2の左右にあり、そこにパレット20などの物品を載置する。パレット20から棚受け4,5に働く力(図の黒抜き矢印方向)は、ピン8に対して、支点12を中心とする水平方向の力のモーメントとして作用する。発明者の解析によれば、パレットの荷重によりピン8,8に働く力は、鉛直方向の成分よりも水平方向成分の方が大きかった。
【0018】
ピン8,8は、棚受け4,5から働く水平方向の力や鉛直方向の力に耐えるだけの剛性があるものにできる。また取付部材6,6は、支柱2の一部を覆うだけなので、剛性の高い部材とすることができる。しかしながら支柱2を、ピン8の取付孔の周囲のみを肉厚にする、などにより補強することは困難である。支柱2の全体を肉厚にするなどのことは、組立式ラックのコストを増加させる。そして連結プレート10を設けない場合、ピン8から支柱2の取付孔に左右方向の力が繰り返して加わると、取付孔が左右方向に拡開する。支柱2のピン取付孔には、パレット20の出し入れ毎に水平方向の衝撃が加わるので、1つの棚に数万回程度パレット20を出し入れすると、支柱2のピン取付孔が拡開し、組立式ラックの寿命が来ることになる。
【0019】
これに対して実施例では、一対のピン8,8に加わる左右方向の力は連結プレート10を介して相殺され、支柱2のピン取付孔に加わる水平方向の力は僅かとなる。このため支柱でのピン8の取付孔は、鉛直方向の力に耐えるだけの剛性があれば良いことになる。
【0020】
左右の棚受け4,5のうち片方のみにパレット20を載置する場合でも、左右のピン8,8が連結プレート10で連結されているので、ピン8の取付孔に加わる力は、連結プレート10が無い場合の1/2となる。これらのことを合計すると、連結プレート10を設けることにより、支柱2を同じ肉厚と同じサイズとして、約2倍の重量のパレットを支えることができる。
【0021】
連結プレート10の効果に関する、発明者の試験例を説明する。支柱2として肉厚が約2mmで、1辺が約80mmの断面正方形状の角鋼パイプを用いた。実施例では、肉厚が約5mmで、鉛直方向の幅が約30mmの連結プレートを用い、比較例として連結プレートを設けないものを用いた。そして支柱と取付部材とをピンで固定し、重量約1トンのパレットを棚受けに1万回出し入れした。実施例では、支柱でのピンの取付孔の拡開は0.1mm未満であった。これに対して比較例では、支柱でのピンの取付孔は約0.5mm拡開していた。ピンの取付孔がさらに拡開すると、取付孔内でピンが自由に動き回るようになり、取付孔が拡開する速度が増していく。このためピンの取付孔の拡開は、組立式ラックの寿命を定める要素であり、実施例では左右の棚受けから取付孔に加わる水平方向の力を相殺し、あるいは片側のみの棚受けから加わる水平方向の力を2つのピンに分散させ、支柱の寿命を延ばすことができる。
【0022】
図6,図7に、2またピン22を用いた変形例を示す。この変形例は、連結プレート10に代えて、2またピン22を用いたものである。図7に示すように、2またピン22が棚受け4,5から水平方向の左右に引かれると、曲げ部25を中心に、ピンが拡がるように曲がろうとする。この力は支柱2の取付孔24に加わり、取付孔24が拡開する原因となる。このため連結部材は、2またピンなどよりも、連結プレート10などの方が好ましい。
【0023】
図8に実施例の組立式ラックの運用例を示す。2a,2b,2cは支柱で、このうち支柱2cはラックの左右方向の端部の支柱である。支柱2cには片側にのみ棚受け4が存在するが、取付部材6は支柱2cの左右双方に設け、ピン取付孔も左右一対設けて、左右一対のピンを挿通し、連結プレート10で左右のピンを連結する。このようにすると、両端の支柱2cでのピンの取付孔には、片側の棚受け4からの力が働くが、この力は一対のピンに分散されて強度を増すことができる。
【0024】
次に、パレット20などの物品の載置では、高さ方向の同じ列に多数のパレット20を載置する例が多い。しかしながらこれよりも、水平方向に沿った同じ列にパレット20を載置することが好ましい。これは支柱2a,2bの棚受け4,5の取付部から見て、左右双方にパレット20を載置するように、組立式ラックを運用し、支柱のピン取り付け孔に加わる水平方向の力を相殺するためである。
以上の運用のためには、例えば組立式ラックを用いた自動倉庫などの制御手段で、支柱の左右の同じ高さレベルの棚受けの双方に物品を載置するように、物品の入出庫を運用すればよい。
【0025】
実施例の組立式ラックは、自動倉庫のラックとして用いても良く、あるいは平置きラックやドライブインラックなどとして用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の組立式ラックでの支柱への棚受けの取付を示す、一部切欠部付き要部平面図
【図2】図1の水平方向要部断面図
【図3】図1の組立式ラックの要部正面図
【図4】変形例の組立式ラックの、一部切欠部付き要部平面図
【図5】実施例で支柱に加わる力の向きを模式的に示す図
【図6】第2の変形例の組立式ラックの、一部切欠部付き要部平面図
【図7】第2の変形例の組立式ラックの、一部切欠部付き要部平面図
【図8】実施例の組立式ラックでのパレットの載置状況を模式的に示す図
【符号の説明】
2     支柱
4,5   棚受け
6     取付部材
7     支持部
8     ピン
10,11 連結プレート
12    支点
14〜16 取付孔
20    パレット
22    2またピン
24    取付孔
25    曲げ部

Claims (3)

  1. 支柱に形成した左右少なくとも一対の取付孔と、左右の各棚部材の支柱取付部に設けた取付孔とを重ね、左右少なくとも一対の締結部材を上記両取付孔に貫通させて、左右の棚部材を支柱に取り付けた組立式ラックにおいて、
    前記左右の締結部材を連結したことを特徴とする組立式ラック。
  2. 前記左右の締結部材の連結を、左右の締結部材を連結プレートに挿通することによって行ったことを特徴とする請求項1の組立式ラック。
  3. ラックの端部の支柱に対して、左右片側のみに棚部材を設けると共に、該支柱には左右少なくとも一対の締結部材を挿通し、該左右の締結部材の一方を前記棚部材を挿通させ、かつ前記左右の締結部材を連結したことを特徴とする、請求項1または2の組立式ラック。
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