JP2004139830A - 誘導加熱調理器 - Google Patents
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Abstract
【課題】食材が投入される調理鍋を誘導加熱して、適切に調理を行なうことができる誘導加熱調理器を得る。
【解決手段】商用交流電源9の入力電力を検知する入力電力検知手段10を設け、全波整流回路11の出力電圧を高周波電圧に変換するインバータ回路12を設け、鍋21の温度を検知するサーミスタ22を設け、操作情報を入力する操作入力手段24を設け、加熱ON/OFF入力手段24a、火力調整入力手段24b、調理シーケンスの記憶を指示する調理記憶指示入力手段24c、調理の実行を指示する調理実行指示入力手段24dを設けた。
【選択図】 図1
【解決手段】商用交流電源9の入力電力を検知する入力電力検知手段10を設け、全波整流回路11の出力電圧を高周波電圧に変換するインバータ回路12を設け、鍋21の温度を検知するサーミスタ22を設け、操作情報を入力する操作入力手段24を設け、加熱ON/OFF入力手段24a、火力調整入力手段24b、調理シーケンスの記憶を指示する調理記憶指示入力手段24c、調理の実行を指示する調理実行指示入力手段24dを設けた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、鍋を誘導加熱する誘導加熱調理器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図21は、特開平11−123140号公報に開示された従来の誘導加熱調理器の回路ブロック図を示す。1は調理物の種類の選択情報を出力する選択手段、2は選択手段1の出力により加熱パターンを決定する加熱パターン決定手段、3は加熱パターン決定手段2の加熱パターンに応じて誘導加熱コイルから成る加熱手段4への通電量を制御する制御手段、5は調理物の種類に対する煮込み工程時の制御温度、沸騰持続時間、煮込み時間を記憶する加熱パターン記憶手段、6は調理時間をカウントする時間積算手段、7は温度検出手段8の検知温度と時間積算手段6のカウント時間とから温度勾配を算出する演算手段である。
【0003】
次に、加熱調理器の動作を図21と図22に示す加熱パターン記憶手段5の加熱パターン図を併用して説明する。時間積算手段6のカウント時間と温度検出手段8の検出温度から鍋(図示なし)の温度勾配を求めて沸騰検知を行う。沸騰検知方法は、所定時間T2内の温度検出手段8からの検出温度の上昇幅θ2が、その直前の所定時間T1内の検出温度の上昇幅θ1と比べて小さい場合に沸騰したと判断する。そして、沸騰工程終了後、温度検出手段8の検出温度が80℃〜99℃の範囲内の所定温度θ3を保つよう制御手段3により加熱手段4を制御する。この後で、煮込み時間T3に到達した場合、入力電源が断電されて加熱動作が終了する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の誘導加熱調理器は、予め記憶設定された幾つかの加熱パターンの中から一つを選択し、選択された加熱パターンに応じた加熱制御を行うものである。しかしながら、予め記憶設定されていない加熱パターンの調理に関しては、調理を行う毎に火力を調整する必要があって、その調整に手間がかかるという問題点があった。
【0005】
この発明は、前述のような問題点を解決するためになされたもので、同じ調理を行なう毎に火力を調整する必要がなく、繰返し調理の操作を容易にした誘導加熱調理器を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る誘導加熱調理器は、加熱コイルとスイッチング素子とを含む誘導加熱手段と、火力レベルを入力設定する操作入力手段と、鍋の温度を検知する温度検知手段と、誘導加熱手段の入力電力或いは出力電力を検知する電力検知手段と、電力検知手段の検知電力が前記操作入力手段で入力設定された火力レベルに対応する電力値になるように誘導加熱手段を制御する制御手段とを備えた誘導加熱調理器において、温度検知手段の検知温度のパターンを記憶する調理シーケンス記憶手段を設け、記憶調理実行指示手段からの入力が有った場合に調理シーケンス記憶手段から温度パターンを読み出し、温度パターンに基づいて誘導加熱手段の加熱動作を制御する記憶調理シーケンス実行手段を設けるようにしたものである。
【0007】
また、加熱コイルとスイッチング素子とを含む誘導加熱手段と、火力レベルを入力設定する操作入力手段と、鍋の温度を検知する温度検知手段と、誘導加熱手段の入力電力或いは出力電力を検知する電力検知手段と、電力検知手段の検知電力が操作入力手段で入力設定された火力レベルに対応する電力値になるように誘導加熱手段を制御する制御手段とを備えた誘導加熱調理器において、火力のパターンおよび温度検知手段の検知温度のパターンを記憶する調理シーケンス記憶手段と、記憶調理実行指示手段からの入力が有った場合に前記調理シーケンス記憶手段から火力のパターンおよび温度パターンを読み出し、これらのパターンに基づいて誘導加熱手段の加熱動作を制御する記憶調理シーケンス実行手段を設けるようにしたものである。
【0008】
また、加熱コイルとスイッチング素子とを含む誘導加熱手段と、火力レベルを設定する操作入力手段と、鍋の温度を検知する温度検知手段と、誘導加熱手段の入力電力或いは出力電力を検知する電力検知手段と、電力検知手段の検知電力が操作入力手段で入力設定された火力レベルに対応する電力値になるように誘導加熱手段を制御する制御手段とを備えた誘導加熱調理器において、火力のパターンを記憶し、火力パターンから積算加熱電力を算出し、積算加熱電力と温度検知手段の検知温度のパターンとに基づいて鍋の熱容量を検知する鍋熱容量検知手段と、記憶調理実行指示手段からの入力が有った場合に火力パターンを読み出し、火力パターンを鍋熱容量検知手段からの熱容量に基づいて更新し、更新された火力パターンに基づいて誘導加熱手段の加熱動作を制御する記憶調理シーケンス実行手段を設けるようにしたものである。
【0009】
また、鍋内への食材の投入情報を音声信号に変換して記憶する音声記憶手段を設け、記憶調理実行指示手段から入力が有った場合に音声記憶手段から食材の投入情報の音声信号を読み出し、その音声信号を出力する出力手段を設けるようにしたものである。
【0010】
また、電力検知手段の出力変動に基づいて鍋が揺動されたことを検知する鍋揺動検知手段を設け、鍋揺動検知手段で鍋の揺動を検知したときの時間を記憶する鍋揺動時間記憶手段を設け、記憶調理実行指示手段から入力が有った場合に鍋揺動時間記憶手段で記憶された時間に達したとき、報知音を発する報知手段を設けるようにしたものである。
【0011】
また、温度検知手段の検知知温度の変化量に基づいて鍋内への食材の投入を検知する食材投入検知手段を設け、食材投入検知手段で食材の投入を検知したときの時間を記憶する食材投入時間記憶手段を設け、記憶調理実行指示手段から入力が有った場合に食材投入時間記憶手段に記憶された時間に達したとき、報知音を発生する報知手段を設けるようにしたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は実施の形態1の誘導加熱調理器を示す回路ブロック図である。図1において、9は商用交流電源、10は商用交流電源9の入力電力を検知する入力電力検知手段、11は商用交流電源9の交流電圧を全波整流する全波整流回路、12は全波整流回路11の出力電圧を高周波電圧に変換するスイッチング素子13,14、スイッチング素子13,14に並列接続するダイオード15,16、インバータ駆動手段17から成るインバータ回路、18は加熱コイル19と共振コンデンサ20から成る共振回路、21は加熱コイル19と磁気結合して渦電流により誘導加熱される鍋、22は鍋21の温度を検知するサーミスタ、23はサーミスタ22の出力から鍋21の温度を検知する温度検知手段である。24は操作情報を入力する操作入力手段であり、加熱ON/OFF入力手段24a、火力調整入力手段24b、調理シーケンスの記憶を指示する調理記憶指示入力手段24c、調理の実行を指示する調理実行指示入力手段24dから構成する。
【0013】
25は加熱調理器の加熱状態を表示する加熱状態表示手段であり、火力レベルをLEDの点灯数で表示する火力表示LED25a、調理シーケンスを記憶中であることを表示する調理記憶中LED25b、調理シーケンスを実行中であることを表示する調理実行中LED25c、調理時間を表示する時間表示部25dから構成する。26は温度検知手段23の検知温度の変化を記憶する調理シーケンス記憶手段27およびその検知温度の変化即ち記憶調理シーケンスを再実行する記憶調理シーケンス再実行手段28を格納し、入力電力検知手段10の検知電力が操作入力手段24から設定された火力レベルに対応した電力値となるようにインバータ回路12を制御する制御手段、29は制御手段26に所定時間例えば1分間毎にタイマ信号を出力するタイマである。
【0014】
次に、こうした構成を有する誘導加熱調理器の動作を、図2に示すタイミングチャート図を併用して説明する。先ず、調理記憶指示入力手段24cから調理記憶の指示入力が有った場合、調理シーケンス記憶手段27は火力調整入力手段25bから設定される図2の(a)に示す火力パターン、即ちインバータ回路12から加熱コイル19へ供給する加熱電力のパターンに対応した温度検知手段23からの図2の(b)に示す温度パターン、即ち調理シーケンスを記憶する。この調理シーケンスは、鍋21内に例えば標準量の食材が投入され、その投入量に見合った火力調整を行ない、適切な加熱調理即ち加熱し過ぎ或いは加熱不足がなく、美味しい調理を行なうことを実現するものである。
【0015】
次に、調理実行指示入力手段24dから調理実行の指示入力が有った場合、記憶調理シーケンス実行手段28は調理シーケンス記憶手段27に記憶された図3の(a)に示す温度検知手段23の温度パターンを再現するように、インバータ回路12の出力周波数或いはオンデューティを制御する。例えば、鍋21内への食材投入量が調理シーケンス記憶時と同様に標準の場合には、図3の(b)に示すように第1の加熱電力パターン(図中のA)に基づいて火力制御を行うことで、前回と同じように適切な調理シーケンスを実行することができる。また、鍋21内への食材投入量が調理シーケンス記憶時と比べて多い場合には熱負荷容量が大きくなるので、第1の加熱電力パターンと比較して、高目である第2の加熱電力パターン(図中のB)に基づいて火力制御を行うことにより、適切な調理シーケンスを実行することができる。さらに、鍋21内への食材投入量が少ない場合には熱負荷容量が小さくなるので、第1の加熱電力パターンと比較して、低目である第3の加熱電力パターン(図中のC)に基づいて火力制御を行うことにより、適切な調理シーケンスを実行することができる。
【0016】
次に、加熱調理器の具体的な動作を図1、図4〜図6に示すフローチャート図を併用して説明する。図4は制御手段26の動作を示すメインフローチャート図、図5は調理シーケンス記憶手段27の動作を示すフローチャート図、図6は記憶調理シーケンス再実行手段28の動作を示すフローチャート図である。図4において、電源をONした場合に制御手段26が動作を開始し、操作入力手段24や入力電力検知手段10の入力処理、加熱状態表示手段25やインバータ回路12の出力処理を所定時間毎に繰り返し実行するために、タイマ29の起動などの初期設定処理を行う(ステップ1)。
【0017】
次に、制御手段26は調理記憶指示入力手段24cからの入力の有無を判定し(ステップ2)、入力が有れば調理シーケンス記憶手段27の動作(ステップ16)へ移行する。もし、入力が無ければ調理再実行指示入力手段24dからの入力の有無を判定し(ステップ3)、その入力が有れば記憶調理シーケンス再実行手段28の動作(ステップ18)へ移行し、その入力が無ければ加熱ON/OFF入力手段24aからのON入力の有無を判定する(ステップ4)。そして、加熱ON/OFF入力手段24aからのON入力が無ければ、タイマ29の信号出力の待ち工程(ステップ16)へ移行し、ON入力が有れば加熱動作が開始することで(ステップ5)、インバータ回路12が起動する(ステップ6)。
【0018】
次に、制御手段26は火力調整入力手段25bからの火力設定データを読み込み(ステップ7)、火力表示LED25aに加熱火力レベルを表示する(ステップ8)。そして、商用交流電源9の入力電力を入力電力検知手段10で検知し(ステップ9)、その検知電力が設定火力に対応した入力電力値となるようにインバータ回路12の動作を制御する(ステップ10)。次に、加熱ON/OFF入力手段24aからのOFF入力の有無を判定し(ステップ11)、OFF入力が無ければ火力調整入力手段25bから火力データの読み込み動作(ステップ7)へ戻り、前述と同様の動作を繰り返し実行する。もし、OFF入力が有れば加熱動作が停止し(ステップ12)、これによってインバータ回路12が停止し(ステップ13)、火力表示LED25aが消灯する(ステップ14)。そして、調理記憶指示入力手段24cからの入力の有無の判定処理(ステップ2)へ戻る。
【0019】
次に、調理シーケンス記憶手段27の動作を図5に示すフローチャート図を併用して説明する。調理記憶中LED25bを点灯し(ステップ21)、時間表示部25dに「0秒」と表示する(ステップ22)。そして、調理過程で鍋21の温度を温度検知手段23により所定時間毎に検知し(ステップ23)、その温度のデータを調理シーケンス記憶手段27に記憶する(ステップ24)。この後で、加熱停止或いは加熱動作中であるかを判定する(ステップ25)。もし、加熱停止であると判定された場合には調理記憶指示入力手段24cから調理記憶終了の入力が有るかどうかを判定し(ステップ26)、その入力が有っ場合に調理記憶中LED25bを消灯する(ステップ27)。
【0020】
そして、調理シーケンス記憶手段27に時間表示部25dに表示された調理時間を記憶し(ステップ28)、調理記憶制御手段27の動作を終了する。また、調理記憶終了の入力が無かった場合に加熱ON/OFF入力手段24aからのON入力の有無を判定し(ステップ29)、ON入力が無かった場合にタイマ29の信号出力を待つ工程(ステップ40)へ移行する。また、ON入力が有った場合に加熱動作を開始し(ステップ30)、インバータ回路12を起動し(ステップ31)、その後で火力調整入力処理(ステップ36)へ移行する。
【0021】
また、前述の加熱動作/停止の判定で(ステップ25)、加熱動作と判定された場合には、加熱ON/OFF入力手段24aからのOFF入力の有無を判定する(ステップ32)。ここで、OFF入力が有った場合には加熱動作を停止し(ステップ33)、火力表示LED25aを消灯し(ステップ34)、インバータ回路12の動作を停止し(ステップ35)、さらにタイマ29の信号出力の待ち工程(ステップ40)へ移行する。また、加熱ON/OFF入力手段24aからのOFF入力が無い場合に、火力調整入力手段25bからの火力設定データを読み込み(ステップ36)、火力表示LED25aに火力を表示する(ステップ37)。
【0022】
次に、商用交流電源9からの入力電力を入力電力検知手段10で検知し(ステップ38)、その検知電力が設定火力に対応した電力値となるようにインバータ回路12の動作を制御する(ステップ39)。そして、タイマ29からの信号出力を待ち(ステップ40)、この後で時間表示部25dに表示されている調理時間を1秒だけ加算し(ステップ41)、温度検知工程(ステップ23)へ戻る。これ以降は、前述と同様の動作を繰り返す。
【0023】
次に、記憶調理シーケンス再実行手段28の動作を、図6に示すフローチャート図を併用して説明する。調理再実行中LED25cを点灯し(ステップ51)、調理シーケンス記憶手段27に記憶されている調理時間を時間表示部25dに調理残り時間として表示する(ステップ52)。そして、インバータ回路12を起動し(ステップ53)、この後で調理シーケンス記憶手段27に記憶された先頭温度データを読み出す(ステップ54)。次に、温度検知手段23で鍋21の温度を所定時間毎に検知し(ステップ55)、その検知温度と読み出された先頭温度データとの差分に基づいてインバータ回路12の設定火力を更新する(ステップ56)。その更新方法は、商用交流電源9からの入力電力が設定火力に対応した電力値となるようにインバータ回路12の動作を制御するものである(ステップ57)。このとき、火力表示LED25aを表示する(ステップ58)。
【0024】
次に、タイマ29からの信号出力を待ち(ステップS59)、この後で加熱ON/OFF入力手段24aからのOFF入力の有無を判定し(ステップ60)、ここでOFF入力が有った場合には調理終了の工程(ステップ69〜ステップS71)へ移行する。また、OFF入力が無い場合には調理実行中断指示の有無を判定する(ステップ61)。もし、中断指示が無い場合には時間表示部25dに表示されている調理の残り時間を判定する(ステップ62)。ここで、残り時間が0秒のとき、加熱調理終了の工程(ステップ71)へ移行する。また、残り時間が0秒でないとき、その残り時間から1秒だけ減算して時間表示を行う(ステップ63)。次に、調理シーケンス記憶手段27に記憶されている温度データから次の温度データを読み出し(ステップ64)、鍋21の温度検出処理(ステップ55)へ戻る。
【0025】
次に、調理再実行中断指示が有った場合には、調理再実行中LED25cを点滅表示させ(ステップ65)、インバータ回路12の動作を停止させる(ステップ66)。そして、加熱ON/OFF入力手段24aからのOFF入力の有無(ステップ67)を行なった後で、調理再実行指示の有無を判定する(ステップ68)。ここで、それらの入力が無い場合には加熱ON/OFF入力手段24aからのOFF入力の有無(ステップ67)へ戻る。また、加熱ON/OFF入力手段24aからのOFF入力が有った場合、調理再実行中LED25cを消灯し(ステップ70)、火力表示LED25aを消灯し(ステップ71)、記憶調理実行動作を終了する。なお、調理実行再開指示の入力が有った場合、調理残り時間の判定処理(ステップ62)へ移行する。
【0026】
以上のように、調理シーケンス記憶時に設定火力に対応した鍋21の温度パターンを記憶し、記憶調理シーケンス再実行時に記憶された温度パターンに基づいて火力を制御する調理シーケンスを具備していることにより、調理実行時には鍋21内への食材投入量が記憶時と異なった場合でも、火力調整が不要な状態で前回と同じような適切な加熱調理、即ち加熱し過ぎ、加熱不足がなく美味しい調理を実現することができる。また、調理記憶時において調理時間を表示し、調理実行時には調理の残り時間を表示するようにしたので、調理に費やされる時間を把握することができ、利便性が高まる。
【0027】
実施の形態2.
図7は、実施の形態2の誘導加熱調理器を示す回路ブロック図である。図7において、実施の形態1と同一の符号は同一または相当部分を示す。30はインバータ回路12の出力電力を検知する出力電力検知手段31、温度検知手段23の検知温度のパターンおよび火力調整入力手段25bからの設定火力に対応した出力電力検知手段31の検知電力のパターン即ち調理シーケンスを記憶する調理シーケンス記憶手段32、記憶調理シーケンスを再実行する記憶調理シーケンス再実行手段33を格納する制御手段、34は調理記憶時に例えば“大根、人参の食材を追加投入しました”、或いは“何の調味量を追加投入しました”などの必要事項を音声入力するマイクロホン、35はマイクロホン33の音声出力を記憶する音声記憶手段、36は音声記憶手段35に記憶された音声を調理再実行中に出力するスピーカである。
【0028】
次に、こうした構成を有する誘導加熱調理器の動作を、図8に示すタイミングチャート図を併用して説明する。先ず、調理記憶指示入力手段24cから調理記憶の指示入力が有った場合、調理シーケンス記憶手段32は火力調整入力手段25bから設定される図8の(a)に示す火力パターン即ちインバータ回路12からの加熱電力パターンを記憶する。これと同時に、この火力パターンに対応した図8の(b)に示す温度検知手段23からの検知温度のパターンを記憶する。なお、図8の(b)において火力動作をスタートした場合、鍋21自体は誘導加熱されることで、その温度が上昇し始める(図中のA)。しかし、温度検知手段23であるサーミスタ22は、熱伝達性の低いプレート(図示なし)を介して鍋21の温度を検知するために所定時間tだけ遅れて上昇し、それ以降ではサーミスタ22の検知温度が鍋21の温度に追従する(図中のB)。
【0029】
次に、調理実行指示入力手段24dから調理実行の指示入力が有った場合、記憶調理シーケンス実行手段33は調理シーケンス記憶手段32に記憶された、図8の(a)に示す火力調整入力手段25bからの火力パターンを所定時間tだけ再現するように、インバータ回路12の出力周波数或いはオンデューティを制御する。これにより、サーミスタ22の検知温度の遅れをカバーして火力制御を行なうことができる。そして、所定時間t以降では図8の(b)に示す温度検知手段23の検知温度のパターンを再現するように、インバータ回路12の出力周波数或いはオンデューティを制御する。これ以降は、実施の形態1と同様である。こうした調理シーケンスにより、記憶調理再実行時に加熱動作の開始直後から火力動作を即座に開始して鍋21を予備加熱することができる。そして、所定時間t以降はサーミスタ22の検知温度に基づいて鍋21の温度を適切に制御する。
【0030】
次に、加熱調理器の動作を図9と図10に示すフローチャート図を併用して説明する。電源が投入してから調理シーケンス記憶手段32の動作が開始するまでの工程は、実施の形態1と同等であるので説明を省略する。
図9の調理シーケンス記憶手段32の動作を示すフローチャート図において、先ず調理記憶中LED25bを点灯し(ステップ80)、時間表示部25dに「0秒」と表示し(ステップ81)、さらにマイクロホン33から音声記憶手段34に例えば”大根と人参を入れました”などの録音動作を開始する(ステップ82)。そして、鍋21の温度を温度検知手段23で検出し(ステップ83)、その検知温度を調理シーケンス記憶手段32に記憶し(ステップ84)、この後で加熱動作中で有るかどうかを判定する(ステップ85)。もし、加熱動作中で無い場合には、調理記憶指示入力手段24cからの調理記憶終了の入力の有無を判定する(ステップ86)。ここで、その入力が有った場合には調理記憶中LED25bを消灯し(ステップ87)、マイクロホン34から音声記憶手段35への録音を停止し(ステップ88)、さらに調理シーケンス記憶手段32に調理時間を記憶処理(ステップ89)する一連の工程が終了する。
【0031】
次に、調理記憶終了の入力の有無を判定する過程で(ステップ86)、その入力が無かった場合には加熱ON/OFF入力手段24aからのON入力の有無を判定する(ステップ90)。もし、ON入力が無かった場合にはタイマ29の信号出力を待つ工程(ステップ102)へ移行する。また、ON入力が有った場合には加熱動作を開始し(ステップ91)、インバータ回路12を起動し(ステップ92)、この後で火力調整入力手段25bからの設定火力を読み込む工程(ステップ97)へ移行する。そして、火力表示LED25aを点灯し(ステップ98)、火力データを調理シーケンス記憶手段32に記憶し(ステップ99)、さらに出力電力検出検知手段31でインバータ回路12の出力電力を検出する(ステップS100)。これ以降は、実施の形態1で述べた動作内容と同様である。
【0032】
次に、記憶調理シーケンス実行手段33の動作を図10に示すフローチャート図を併用して説明する。先ず、調理実行中LED25cを点灯し(ステップ200)、調理シーケンス記憶手段32に記憶されていた全調理時間を時間表示部25dに表示し(ステップ201)、音声記憶手段35に録音されている音声をスピーカ36から再生出力する動作を開始する(ステップ202)。そして、インバータ回路12を起動し(ステップ203)、調理シーケンス記憶手段32に記憶されている先頭の温度データおよび先頭の火力データを読み出す(ステップ204)。
【0033】
次に、その火力データに対応したインバータ回路12の火力初期設定を行い(ステップ205)、出力電力検知手段31からの検出電力を制御する(ステップ206)。そして、その火力レベルを火力表示LED25aに表示し(ステップ207)、タイマ29からの信号出力を待ち(ステップ208)、この後で加熱ON/OFF入力手段24aからのOFF入力の有無を判定する(ステップ209)。もし、OFF入力が有った場合には調理実行動作の一連の終了処理(ステップ225〜ステップS228)へ移行する。また、その入力が無い場合には調理再実行中断指示の入力の有無を判定する(ステップ210)。ここで、その入力が無い場合には調理残り時間を判定し(ステップ211)、残り時間が0秒のときは調理再実行動作の一連の終了処理(ステップ225〜ステップS228)へ移行する。
【0034】
また、残り時間が0秒でないときには1秒減算して調理残り時間の表示を行い(ステップ212)、この後で調理シーケンス記憶手段32から次の温度データおよび次の火力データを読み出す(ステップ213)。そして、温度検知手段23により鍋21の温度を検出し(ステップ214)、インバータ回路12の設定火力の更新処理(ステップ215)を行ない、出力電力の制御工程(ステップ206)へ戻る。ここで、ステップ215の設定火力の更新処理を設けた理由について、以下に述べる。鍋21の温度を検知するサーミスタ22は、プレート(図示なし)を介して鍋21の温度を検知するために、調理記憶時において鍋21の加熱直後の温度変化に対してサーミスタ22は所定時間だけ遅れて、その温度変化を検知する。
【0035】
したがって、調理実行時に温度検知手段25の検知温度に基づいてインバータ回路12の火力が設定されるため、鍋21の加熱直後の温度変化は調理記憶時の温度変化とは異なる。即ち、調理記憶時においてインバータ回路12の火力動作が開始すると、鍋21の温度が即座に上昇し始めるのに対し、記憶調理実行時には記憶されている加熱開始直後の温度データが上昇していないため、火力が設定されないという問題点を生じる。
【0036】
これを解決するために、ステップ215のインバータ回路12の設定火力の更新処理が提案される。ここで、設定火力の更新処理の内容を具体的に説明する。調理実行の動作を開始し、調理シーケンス記憶手段32から読み出した温度データの変化値(今回の読み出し温度と前回の読み出し温度との差分)が所定値以下の場合に、調理記憶時の火力データが変化した場合に、その変化値に基づいてインバータ回路12の設定火力を更新する。これにより、鍋21が予備加熱される。そして、読み出しの温度データの変化値が所定値以上となったとき、即ちサーミスタ22が鍋21の温度を検知した場合、サーミスタ22の検知温度に基づいてインバータ回路12の設定火力が更新され、調理記憶時の鍋21の加熱温度パターンを再現し、設定火力を適切に制御することができる。なお、ステップ215のインバータ回路12の設定火力の更新処理方法を、加熱調理時における火力変更時(増減とも)にも適用することにより、火力調整の遅れを補償することができる。
【0037】
次に、調理再実行中断指示の入力有無の判定の過程で(ステップS210)、その入力が有った場合には音声記憶手段35からの音声出力の再生を一時停止し(ステップ216)、調理再実行中LED25cの表示を点滅状態とし(ステップ217)、さらにインバータ回路12の火力動作を停止させる(ステップ218)。そして、タイマ29の信号出力を待ち(ステップ218)、この後で加熱ON/OFF入力手段24aからのOFF入力の有無を判定し(ステップ220)、その入力が有った場合には調理再実行の一連の動作が終了する工程(ステップ225〜ステップS228)へ移行する。もし、OFF入力が無い場合には調理再実行指示の入力の有無を判定し(ステップ221)、その入力がない場合にはタイマ29の信号出力を待つ工程(ステップ219)へ戻る。
【0038】
また、調理実行指示の入力が有った場合には、調理実行中LED25cを点灯状態にして(ステップ222)、インバータ回路12の火力動作を起動し(ステップ223)、さらにスピーカ36から音声データを再生出力する(ステップ224)。そして、調理実行時の残り時間が0秒に達したとき、調理再実行の一連の動作が終了する工程(ステップ225〜ステップS228)へ移行し、記憶調理シーケンス実行手段33の動作が終了する。
【0039】
以上のように、制御手段30は調理記憶時に鍋21の温度パターンを記憶し、かつ火力データを記憶する調理シーケンスと、記憶調理実行時に鍋21の予備加熱を行ない、かつ調理記憶時の鍋21の温度パターンを再現する記憶調理シーケンスを具備したことにより、実施の形態1と同様に適切な調理を再現することができる。さらに、調理過程で食材などの追加投入の情報を音声で伝達する手段を設けたので、追加の食材投入が有った場合でもその投入タイミングを把握することができ、前回と同じ調理を再現することができる
【0040】
実施の形態3
図11は、実施の形態3の誘導加熱調理器を示す回路ブロック図である。図11において、実施の形態1および実施の形態2と同一の符号は同一または相当部分を示す。37は温度検知手段23の検知温度のパターンを記憶する調理シーケンス記憶手段38、記憶調理シーケンスを再実行する記憶調理シーケンス再実行手段39、食材が投入された状態の鍋21の熱容量を負荷熱容量検知手段40から取り入れて記憶する負荷熱容量記憶手段41を格納する制御手段である。
【0041】
次に、加熱調理器の動作を図12〜図14に示すフローチャート図を併用して説明する。電源が投入してから調理記憶動作や記憶調理再実行動作が開始するまでの一連の調理動作は、実施の形態1と同等であるので説明を省略する。図12と図13の調理記憶の動作を示すフローチャート図において、調理シーケンス記憶手段38は先ず調理記憶中LED25bを点灯し(ステップ300)、時間表示部25dに「0秒」と表示し(ステップ301)、さらに加熱ON/OFF入力手段24aからのON入力の有無を判定する(ステップ302)。もし、ON入力が無い場合には調理記憶終了の入力の有無を判定し(ステップ303)、その入力が無ければステップ302の工程へ移行する。また、ON入力が有った場合には温度検知手段23により調理記憶開始時の鍋21の初期温度を検出し(ステップ304)、この後で加熱動作を開始させ(ステップ305)、インバータ回路12を起動させる(ステップ306)。
【0042】
次に、火力調整入力手段25bからの設定火力を読み込み(ステップ307)、その火力レベルに応じて火力表示LED25aの点灯状態を更新する(ステップ308)。そして、入力電力検出手段10により入力電力を検出し(ステップ309)、検出電力が設定火力に応じた電力値になるようにインバータ駆動手段17を制御し(ステップ310)、さらにその検出電力を火力データとして調理シーケンス記憶手段38に記憶する(ステップ311)。この後で、負荷熱容量検知手段40により負荷熱容量即ち食材が投入された鍋21の熱容量の検出が済んだかどうかを判定し(ステップ3712)、検出済みでない場合には調理記憶開始時以降の入力電力量即ち加熱電力を積算する(ステップ313)。
【0043】
次に、積算加熱電力が所定値以上であるかどうかを判定し(ステップ314)、所定値以上の場合には鍋21の温度を検知し(ステップ314)、この後で検知温度と初期温度との差分、積算加熱電力の双方のデータに基づいて、鍋21の熱容量を負荷熱容量検知手段40により検出する(ステップ316)。例えば、温度の差分が大きい場合に鍋21の熱容量が小さく、その差分が小さい場合に鍋21の熱容量が大きいと推測する。そして、負荷熱量を負荷熱容量記憶手段41に記憶する(ステップ317)。次に、タイマ29からの信号出力を待ち(ステップ318)、この後で時間表示部25dに表示している調理時間を1秒だけ加算し(ステップ319)、加熱動作中であるかどうかを判定する(ステップ320)。もし、加熱動作中であれば加熱ON/OFF入力手段24aからのOFF入力の有無を判定し(ステップ321)、OFF入力が無い場合にステップ707の設定火力の読み込み工程に移行する。
【0044】
また、OFF入力が有る場合に加熱動作を停止し(ステップ322)、火力表示LED25dを消灯する(ステップ323)。さらに、インバータ回路12の動作を停止し(ステップ324)、入力電力データを0Wとし(ステップ325)、ステップ711の火力データ記憶処理の工程に移行する。次に、ステップ720で加熱動作が停止である場合、調理記憶指示入力手段24cからの調理記憶終了の入力の有無を判定し(ステップ326)、その入力が無い場合には加熱ON/OFF入力手段24aからのON入力の有無を判定する(ステップ327)。もし、ON入力が有れば加熱動作が開始し(ステップ305)、インバータ回路12の動作を起動し(ステップ306)、ON入力が無ければステップ311の工程に移行して入力電力データを零Wとして火力データを記憶する。また、ステップ326で調理記憶終了の入力が有った場合に調理記憶中LED25bを消灯し(ステップ328)、調理シーケンス記憶手段38に記憶されている調理時間を記憶し(ステップ329)、調理記憶制御の一連の動作を終了する。
【0045】
次に、記憶調理実行の動作を図14に示すフローチャート図を併用して説明する。記憶調理再実行手段28は、先ず調理実行中LED25cを点灯し(ステップ400)、調理シーケンス記憶手段38に記憶されている調理全時間を時間表示部25dに調理残り時間として表示する(ステップ401)。そして、温度検知手段23により記憶調理再実行開始時の鍋21の初期温度を検出し(ステップ402)、調理シーケンス記憶手段38から先頭の火力データを読み出して加熱出力データとし(ステップ403)、インバータ回路12を起動する(ステップ404)。次に、入力電力検出手段10によりインバータ回路12への入力電力を検出し(ステップ405)、その検出電力が加熱出力データと対応するようにインバータ回路12の動作を制御する(ステップ406)。
【0046】
そして、負荷熱容量検知手段40により鍋21の熱容量の検出が済んだかどうかを判断し(ステップ407)、検出済みでない場合には調理実行時以降の加熱電力を積算し(ステップ408)、積算加熱電力が所定値以上であるかどうかを判定する(ステップ409)。もし、積算加熱電力が所定値以上でない場合にタイマ29からの信号出力を待ち(ステップ410)、調理残り時間が0であるかどうかを判断する(ステップ411)。ここで、調理残り時間が0秒である場合は、インバータ回路12の動作停止(ステップ412)〜火力表示LED25aの消灯(ステップ414)の終了工程へ移行する。
【0047】
また、残り時間が0秒で無い場合に調理残り時間を1秒だけ減算して表示し(ステップ415)、調理シーケンス記憶手段38から次の火力データを読み出し(ステップ416)、これを加熱出力データとする。これ以降は、前述の工程と同様である。次に、ステップ409で積算加熱電力が所定値以上の場合に温度検知手段23により鍋21の温度を検出し(ステップ417)、検出温度と初期温度との差分、積算加熱電力の双方のデータに基づいて鍋21の熱容量を検出する(ステップ418)。
【0048】
次に、負荷熱容量を負荷熱容量記憶手段41に記憶し(ステップ419)、タイマ29からの信号出力を待ち(ステップ420)、時間表示部25dに表示されている調理残り時間を判定する(ステップ421)。もし、残り時間が0秒で無い場合には表示時間を1秒だけ減算して表示し(ステップ422)、次の火力データを読み出し(ステップ823)、この後で負荷熱容量記憶手段41から調理記憶時と記憶調理再実行時の鍋21の熱容量を読み出す(ステップ422)。そして、それらの熱容量の対比に基づいて加熱出力データを更新する(ステップ425)。例えば、調理記憶時と記憶調理再実行時との負荷熱容量の比率が1.5である場合、読み出し火力データにその比率1.5を乗じた火力に設定し、これに対応した加熱電力となるようにインバータ回路12の動作を制御する。
【0049】
これにより、調理記憶時と記憶調理実行時とで食材が投入された状態の鍋21の熱容量が異なった場合でも、適宜火力データを自動調整して適切な調理を行なうことができる。また、ステップ421の工程で残り時間が0秒である場合は、インバータ回路12の動作を停止し(ステップ412)、調理再実行中LED25cを消灯し(ステップ413)、さらに火力表示LED25aを消灯し(ステップ414)、調理再実行動作を終了する。
【0050】
以上のように、調理記憶時と記憶調理実行時とで食材投入量が違って鍋21の熱容量が異なった場合でも、その熱容量の変化率に基づいて設定火力を更新する調理シーケンスを具備し、前回と同じような適切な調理を再現することができる。
【0051】
実施の形態4.
図15は、実施の形態4の誘導加熱調理器を示す回路ブロック図である。図15において、実施の形態1〜実施の形態3と同一の符号は同一または相当部分を示す。42は調理シーケンス記憶手段43、記憶調理シーケンスを実行する記憶調理シーケンス実行手段44、調理記憶時に出力電力検知手段31の検出電力の変動量に基づいて、例えばフライパンなどの鍋21が食材を混ぜ合わせるために揺動されたことを鍋揺動検知手段45で検知し、そのときの時間を記憶する鍋揺動時間記憶手段46を格納する制御手段である。
【0052】
次に、加熱調理器の動作を図16と図17に示すフローチャート図を併用して説明する。図16の調理記憶の動作を示すフローチャート図において、全体の動作内容は実施の形態1、実施の形態2と同様である。ここでは、鍋21の揺動工程のみを説明する。先ず、入力電力検知手段10により入力電力を検知し(ステップ518)、さらに出力電力検知手段31により出力電力を検知し(ステップ519)、それらの検知電力の変動量から鍋21の揺動検知を行なう(ステップ520)。そして、鍋21が揺動したかどうかを判定し(ステップ521)、鍋21が揺動した場合にはその発生時間を鍋揺動時間記憶手段46で記憶する(ステップ522)。次に、入力電力検知手段10で検知した入力電力が火力調整入力手段25bで設定された設定火力とを比較し、インバータ回路12を制御する(ステップ523)。
【0053】
次に、図17の記憶調理再実行の動作を示すフローチャート図において、全体の動作内容は実施の形態1、実施の形態2と同様である。ここでは、新たな工程の動作内容のみを説明する。先ず、制御手段42は調理再実行中LED25cを点灯し(ステップ400)、調理シーケンス記憶手段43に記憶されている調理全時間を調理残り時間として時間表示部25dに表示する(ステップ601)。そして、鍋揺動時間記憶手段46に記憶されている鍋21の揺動の発生時間を読み出し(ステップ602)、この後でインバータ回路12を起動する(ステップ603)。次に、調理再実行中断指示の入力の有無を判定する過程で(ステップ622)、その入力が無い場合には調理残り時間を判定する(ステップ611)。
【0054】
もし、残り時間が0秒で無い場合には1秒減算して調理残り時間の表示を行い(ステップ612)、この後で鍋21の揺動発生時間に達したかどうかを判定する(ステップ613)。ここで、揺動発生時間に達したときに、スピーカ35から報知音を発生させて揺動タイミングを知らしめる(ステップ614)。
【0055】
以上のように、制御手段42が記憶調理実行時に前回と同じ調理を行なうことが出来るように、鍋21の温度を適切に制御する調理シーケンスを具備し、かつ鍋21を揺動させるタイミングをスピーカ36から音声出力により報知させるようにしたので、前回と同じような適切な調理を再現することができる。
【0056】
実施の形態5
図18は、実施の形態5の誘導加熱調理器を示す回路ブロック図である。図18において、実施の形態1〜実施の形態4と同一の符号は同一または相当部分を示す。25eは調理再実行時に鍋21内に食材が投入要求されていることを表示する食材投入LED、47は調理シーケンス記憶手段48、記憶調理シーケンス再実行手段49、調理記憶時に温度検知手段23の検知温度の下降変化により、鍋21内に食材が投入されたことを食材投入検知手段50で検知し、そのときの時間を記憶する食材投入時間記憶手段51を格納する制御手段である。
【0057】
次に、加熱調理器の動作を図19と図20に示すフローチャート図を併用して説明する。図19の調理記憶の動作を示すフローチャート図において、全体の動作内容は実施の形態1と同様である。ここでは、新たな工程の動作内容のみを説明する。先ず、鍋21の温度を温度検知手段23により検知し(ステップ702)、検知温度を調理シーケンス記憶手段48で記憶し(ステップ703)、さらに食材投入検知手段50は鍋21の温度の低下に基づいて鍋21内の食材投入を検知する(ステップ704)。そして、鍋21内に食材が投入されたかどうか判定し(ステップS705)、ここで食材が投入された場合には、そのときの時間を食材投入時間記憶手段51で記憶する(ステップ706)。
【0058】
次に、図20の記憶調理再実行の動作を示すフローチャート図において、全体の動作内容は実施の形態1と同様である。ここでは、新たな工程の動作内容のみを説明する。先ず、制御手段47は理再実行中LED25cを点灯し(ステップ800)、調理シーケンス記憶手段48に記憶されいる調理全時間を調理残り時間として表示し(ステップ801)、さらに食材投入時間記憶手段51に記憶されている時間を読み出す(ステップ802)。次に、時間表示部25dに表示されている調理残り時間を判定する過程で(ステップ811)、残り時間が0秒で無いときには1秒減算して調理残り時間を表示する(ステップ812)。そして、食材投入のタイミング時間に達したかどうかを判定し(ステップ813)、そのタイミング時間に達した場合にはスピーカ36から食材投入の報知音を発生すると共に、食材投入LED25eを点灯するなどの動作が行なわれる(ステップ814)。
【0059】
次に、鍋21の温度を検知し(ステップ815)、食材投入の待ち状態即ち食材投入の前述の報知動作が行なわれたかどうかを判定する(ステップ816)。もし、食材投入の待ち状態で無い場合には調理シーケンス記憶手段48から、次の温度データや火力データを読み出し(ステップ817)、インバータ回路10の設定火力を更新する(ステップ818)。また、食材投入の待ち状態で有れば食材の投入検知(ステップ819)とその結果を判定し(ステップ820)、かつ記憶調理実行動作の続行指示の入力有無を判定する(ステップ821)。ここで、何れかを検出した場合には食材投入の待ち状態を解除して食材投入LED25eを消灯し(ステップ822)、次の温度データや火力データの読み出し工程(ステップ817)へ移行する。
【0060】
次に、食材投入検知および調理実行動作の続行指示が無かった場合には、食材投入検知待ちのタイマを更新し(ステップ823)、タイムアウトしたかどうかを判定する(ステップ824)。もし、タイムアウトしていない場合には次のデータの読み出し工程(ステップ817)へ戻り、タイムアウトした場合には食材投入LED25eを点滅状態とし、食材投入待ちの報知音をスピーカ35から再度発生し(ステップ825)する。そして、インバータ回路12の動作を停止させ(ステップ826)、タイマ29からの信号出力を待ち(ステップ827)、鍋21の温度を検出する(ステップ828)。
【0061】
この後で、食材投入検知処理(ステップ829)およびその結果判定(ステップ830)と、調理再実行動作の続行指示の入力有無を判定する(ステップ831)。ここで、何れかを検出した場合にはインバータ回路12の動作を再起動して(ステップ833)、食材投入待ちの解除(ステップ822)へ移行する。また、食材投入検知および調理再実行動作の続行指示が検出されない場合には、加熱ON/OFF入力手段24aからのOFF入力の有無を判定する(ステップ832)。これ以降の動作内容は、実施の形態1と同様である。
【0062】
以上のように、制御手段47が記憶調理実行時に前回と同じような調理を行なうことが出来るように、鍋21の温度を適切に制御する調理シーケンスを具備し、かつ鍋21内に食材を投入するタイミングをスピーカ36から音の発生により報知するようにしたので、適切な調理を再現することができる。
【0063】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0064】
この発明に係る誘導加熱調理器は、加熱コイルとスイッチング素子とを含む誘導加熱手段と、火力レベルを入力設定する操作入力手段と、鍋の温度を検知する温度検知手段と、誘導加熱手段の入力電力或いは出力電力を検知する電力検知手段と、電力検知手段の検知電力が前記操作入力手段で入力設定された火力レベルに対応する電力値になるように誘導加熱手段を制御する制御手段とを備えた誘導加熱調理器において、温度検知手段の検知温度のパターンを記憶する調理シーケンス記憶手段を設け、記憶調理実行指示手段からの入力が有った場合に調理シーケンス記憶手段から温度パターンを読み出し、温度パターンに基づいて誘導加熱手段の加熱動作を制御する記憶調理シーケンス実行手段を設けるようにしたので、記憶調理実行時において食材投入量が調理記憶時と異なった場合でも、火力レベルを食材投入量に応じて自動調整するように構成しているために、前回と同じような適切な調理を再現することができる。
【0065】
また、加熱コイルとスイッチング素子とを含む誘導加熱手段と、火力レベルを入力設定する操作入力手段と、鍋の温度を検知する温度検知手段と、誘導加熱手段の入力電力或いは出力電力を検知する電力検知手段と、電力検知手段の検知電力が操作入力手段で入力設定された火力レベルに対応する電力値になるように誘導加熱手段を制御する制御手段とを備えた誘導加熱調理器において、火力のパターンおよび温度検知手段の検知温度のパターンを記憶する調理シーケンス記憶手段と、記憶調理実行指示手段からの入力が有った場合に前記調理シーケンス記憶手段から火力のパターンおよび温度パターンを読み出し、これらのパターンに基づいて誘導加熱手段の加熱動作を制御する記憶調理シーケンス実行手段を設けるようにしたので、記憶調理実行時において開始直後に火力レベルを強制的に上げて鍋の温度上昇速度を高める共に、火力調整を行なわずに前回と同じような適切な調理を再現することができる。
【0066】
また、加熱コイルとスイッチング素子とを含む誘導加熱手段と、火力レベルを設定する操作入力手段と、鍋の温度を検知する温度検知手段と、誘導加熱手段の入力電力或いは出力電力を検知する電力検知手段と、電力検知手段の検知電力が操作入力手段で入力設定された火力レベルに対応する電力値になるように誘導加熱手段を制御する制御手段とを備えた誘導加熱調理器において、火力のパターンを記憶し、火力パターンから積算加熱電力を算出し、積算加熱電力と温度検知手段の検知温度のパターンとに基づいて鍋の熱容量を検知する鍋熱容量検知手段と、記憶調理実行指示手段からの入力が有った場合に火力パターンを読み出し、火力パターンを鍋熱容量検知手段からの熱容量に基づいて更新し、更新された火力パターンに基づいて誘導加熱手段の加熱動作を制御する記憶調理シーケンス実行手段を設けるようにしたので、記憶調理再実行時において食材投入量が違って鍋の熱容量が異なった場合でも、その熱容量の変化率に基づいて設定火力を自動的に調整し、前回と同じような適切な調理の仕上げを再現することができる。
【0067】
また、鍋内への食材の投入情報を音声信号に変換して記憶する音声記憶手段を設け、記憶調理実行指示手段から入力が有った場合に音声記憶手段から食材の投入情報の音声信号を読み出し、その音声信号を出力する出力手段を設けるようにしたので、調理記憶時に食材などの追加投入が有った場合でも、記憶調理再実行時に食材の種類やその投入タイミングを報知させることが可能であり、前回と同じような適切な調理を再現することができる
【0068】
また、電力検知手段の出力変動に基づいて鍋が揺動されたことを検知する鍋揺動検知手段を設け、鍋揺動検知手段で鍋の揺動を検知したときの時間を記憶する鍋揺動時間記憶手段を設け、記憶調理実行指示手段から入力が有った場合に鍋揺動時間記憶手段で記憶された時間に達したとき、報知音を発する報知手段を設けるようにしたので、記憶調理実行時に鍋を揺動させて食材を混ぜ合せるタイミングを調理記憶時と同じにすることができ、前回と同じような適切な調理を再現することができる。
【0069】
また、温度検知手段の検知知温度の変化量に基づいて鍋内への食材の投入を検知する食材投入検知手段を設け、食材投入検知手段で食材の投入を検知したときの時間を記憶する食材投入時間記憶手段を設け、記憶調理実行指示手段から入力が有った場合に食材投入時間記憶手段に記憶された時間に達したとき、報知音を発生する報知手段を設けるようにしたので、記憶調理実行時に鍋内に食材を投入するタイミングを調理記憶時と同じにすることができ、前回と同じような適切な調理を再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係る誘導加熱調理器の回路ブロック図を示す。
【図2】実施の形態1のタイミングチャート図を示す。
【図3】実施の形態1の他のタイミングチャート図を示す。
【図4】実施の形態1の加熱調理器の動作を示すメインフローチャート図である。
【図5】実施の形態1の調理記憶の動作を示すフローチャート図である。
【図6】実施の形態1の記憶調理実行動作を示すフローチャート図である。
【図7】実施の形態2に係る誘導加熱調理器の回路ブロック図を示す。
【図8】実施の形態2のタイミングチャート図を示す。
【図9】実施の形態2の調理記憶の動作を示すフローチャート図である。
【図10】実施の形態2の記憶調理実行動作を示すフローチャート図である。
【図11】実施の形態3に係る誘導加熱調理器の回路ブロック図を示す。
【図12】実施の形態3の調理記憶の動作を示すフローチャート図である。
【図13】実施の形態3の調理記憶の動作を示すフローチャート図である。
【図14】実施の形態3の記憶調理実行動作を示すフローチャート図である。
【図15】実施の形態4に係る誘導加熱調理器の回路ブロック図を示す。
【図16】実施の形態4の調理記憶の動作を示すフローチャート図である。
【図17】実施の形態4の記憶調理実行動作を示すフローチャート図である。
【図18】実施の形態5に係る誘導加熱調理器の回路ブロック図を示す。
【図19】実施の形態5の調理記憶の動作を示すフローチャート図である。
【図20】実施の形態5の記憶調理実行動作を示すフローチャート図である。
【図21】従来の誘導加熱調理器の構成を示す回路ブロック図である。
【図22】従来の加熱出力パターンの一例を示す図である。
【符号の説明】
1 選択手段、2 加熱パターン決定手段、3 制御手段、4 加熱手段、5加熱パターン記憶手段、6 時間積算手段、7 演算手段、8 温度検出手段、9 商用交流電源、10 入力電力検知手段、11 全波整流回路、12 インバータ回路、13 第1のスイッチング素子、14 第2のスイッチング素子、15 第1のダイオード、16 第2のダイオード、17 インバータ駆動手段、18 共振回路、19 加熱コイル、20 共振コンデンサ、21 鍋、22 サーミスタ、23 温度検知手段、24 操作入力手段、25 加熱状態表示手段、26 制御手段、27 調理シーケンス記憶手段、28 記憶調理シーケンス実行手段、29 タイマ、30 制御手段、31 出力電力検知手段、32 調理シーケンス記憶手段、33
記憶調理シーケンス実行手段、34 マイク、35 音声記憶手段、36 スピーカ、37 制御手段、38 調理シーケンス記憶手段、39 記憶調理シーケンス実行手段、40 負荷熱容量検知手段、41 負荷熱容量記憶手段、42 制御手段、43 調理シーケンス記憶手段、44 記憶調理シーケンス再実行手段、45 鍋揺動検知手段、46 鍋揺動時間記憶手段、47 制御手段、48調理シーケンス記憶手段、49 記憶調理シーケンス実行手段、50 食材投入検知手段、51 食材投入時間記憶手段。
【発明の属する技術分野】
この発明は、鍋を誘導加熱する誘導加熱調理器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図21は、特開平11−123140号公報に開示された従来の誘導加熱調理器の回路ブロック図を示す。1は調理物の種類の選択情報を出力する選択手段、2は選択手段1の出力により加熱パターンを決定する加熱パターン決定手段、3は加熱パターン決定手段2の加熱パターンに応じて誘導加熱コイルから成る加熱手段4への通電量を制御する制御手段、5は調理物の種類に対する煮込み工程時の制御温度、沸騰持続時間、煮込み時間を記憶する加熱パターン記憶手段、6は調理時間をカウントする時間積算手段、7は温度検出手段8の検知温度と時間積算手段6のカウント時間とから温度勾配を算出する演算手段である。
【0003】
次に、加熱調理器の動作を図21と図22に示す加熱パターン記憶手段5の加熱パターン図を併用して説明する。時間積算手段6のカウント時間と温度検出手段8の検出温度から鍋(図示なし)の温度勾配を求めて沸騰検知を行う。沸騰検知方法は、所定時間T2内の温度検出手段8からの検出温度の上昇幅θ2が、その直前の所定時間T1内の検出温度の上昇幅θ1と比べて小さい場合に沸騰したと判断する。そして、沸騰工程終了後、温度検出手段8の検出温度が80℃〜99℃の範囲内の所定温度θ3を保つよう制御手段3により加熱手段4を制御する。この後で、煮込み時間T3に到達した場合、入力電源が断電されて加熱動作が終了する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の誘導加熱調理器は、予め記憶設定された幾つかの加熱パターンの中から一つを選択し、選択された加熱パターンに応じた加熱制御を行うものである。しかしながら、予め記憶設定されていない加熱パターンの調理に関しては、調理を行う毎に火力を調整する必要があって、その調整に手間がかかるという問題点があった。
【0005】
この発明は、前述のような問題点を解決するためになされたもので、同じ調理を行なう毎に火力を調整する必要がなく、繰返し調理の操作を容易にした誘導加熱調理器を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る誘導加熱調理器は、加熱コイルとスイッチング素子とを含む誘導加熱手段と、火力レベルを入力設定する操作入力手段と、鍋の温度を検知する温度検知手段と、誘導加熱手段の入力電力或いは出力電力を検知する電力検知手段と、電力検知手段の検知電力が前記操作入力手段で入力設定された火力レベルに対応する電力値になるように誘導加熱手段を制御する制御手段とを備えた誘導加熱調理器において、温度検知手段の検知温度のパターンを記憶する調理シーケンス記憶手段を設け、記憶調理実行指示手段からの入力が有った場合に調理シーケンス記憶手段から温度パターンを読み出し、温度パターンに基づいて誘導加熱手段の加熱動作を制御する記憶調理シーケンス実行手段を設けるようにしたものである。
【0007】
また、加熱コイルとスイッチング素子とを含む誘導加熱手段と、火力レベルを入力設定する操作入力手段と、鍋の温度を検知する温度検知手段と、誘導加熱手段の入力電力或いは出力電力を検知する電力検知手段と、電力検知手段の検知電力が操作入力手段で入力設定された火力レベルに対応する電力値になるように誘導加熱手段を制御する制御手段とを備えた誘導加熱調理器において、火力のパターンおよび温度検知手段の検知温度のパターンを記憶する調理シーケンス記憶手段と、記憶調理実行指示手段からの入力が有った場合に前記調理シーケンス記憶手段から火力のパターンおよび温度パターンを読み出し、これらのパターンに基づいて誘導加熱手段の加熱動作を制御する記憶調理シーケンス実行手段を設けるようにしたものである。
【0008】
また、加熱コイルとスイッチング素子とを含む誘導加熱手段と、火力レベルを設定する操作入力手段と、鍋の温度を検知する温度検知手段と、誘導加熱手段の入力電力或いは出力電力を検知する電力検知手段と、電力検知手段の検知電力が操作入力手段で入力設定された火力レベルに対応する電力値になるように誘導加熱手段を制御する制御手段とを備えた誘導加熱調理器において、火力のパターンを記憶し、火力パターンから積算加熱電力を算出し、積算加熱電力と温度検知手段の検知温度のパターンとに基づいて鍋の熱容量を検知する鍋熱容量検知手段と、記憶調理実行指示手段からの入力が有った場合に火力パターンを読み出し、火力パターンを鍋熱容量検知手段からの熱容量に基づいて更新し、更新された火力パターンに基づいて誘導加熱手段の加熱動作を制御する記憶調理シーケンス実行手段を設けるようにしたものである。
【0009】
また、鍋内への食材の投入情報を音声信号に変換して記憶する音声記憶手段を設け、記憶調理実行指示手段から入力が有った場合に音声記憶手段から食材の投入情報の音声信号を読み出し、その音声信号を出力する出力手段を設けるようにしたものである。
【0010】
また、電力検知手段の出力変動に基づいて鍋が揺動されたことを検知する鍋揺動検知手段を設け、鍋揺動検知手段で鍋の揺動を検知したときの時間を記憶する鍋揺動時間記憶手段を設け、記憶調理実行指示手段から入力が有った場合に鍋揺動時間記憶手段で記憶された時間に達したとき、報知音を発する報知手段を設けるようにしたものである。
【0011】
また、温度検知手段の検知知温度の変化量に基づいて鍋内への食材の投入を検知する食材投入検知手段を設け、食材投入検知手段で食材の投入を検知したときの時間を記憶する食材投入時間記憶手段を設け、記憶調理実行指示手段から入力が有った場合に食材投入時間記憶手段に記憶された時間に達したとき、報知音を発生する報知手段を設けるようにしたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は実施の形態1の誘導加熱調理器を示す回路ブロック図である。図1において、9は商用交流電源、10は商用交流電源9の入力電力を検知する入力電力検知手段、11は商用交流電源9の交流電圧を全波整流する全波整流回路、12は全波整流回路11の出力電圧を高周波電圧に変換するスイッチング素子13,14、スイッチング素子13,14に並列接続するダイオード15,16、インバータ駆動手段17から成るインバータ回路、18は加熱コイル19と共振コンデンサ20から成る共振回路、21は加熱コイル19と磁気結合して渦電流により誘導加熱される鍋、22は鍋21の温度を検知するサーミスタ、23はサーミスタ22の出力から鍋21の温度を検知する温度検知手段である。24は操作情報を入力する操作入力手段であり、加熱ON/OFF入力手段24a、火力調整入力手段24b、調理シーケンスの記憶を指示する調理記憶指示入力手段24c、調理の実行を指示する調理実行指示入力手段24dから構成する。
【0013】
25は加熱調理器の加熱状態を表示する加熱状態表示手段であり、火力レベルをLEDの点灯数で表示する火力表示LED25a、調理シーケンスを記憶中であることを表示する調理記憶中LED25b、調理シーケンスを実行中であることを表示する調理実行中LED25c、調理時間を表示する時間表示部25dから構成する。26は温度検知手段23の検知温度の変化を記憶する調理シーケンス記憶手段27およびその検知温度の変化即ち記憶調理シーケンスを再実行する記憶調理シーケンス再実行手段28を格納し、入力電力検知手段10の検知電力が操作入力手段24から設定された火力レベルに対応した電力値となるようにインバータ回路12を制御する制御手段、29は制御手段26に所定時間例えば1分間毎にタイマ信号を出力するタイマである。
【0014】
次に、こうした構成を有する誘導加熱調理器の動作を、図2に示すタイミングチャート図を併用して説明する。先ず、調理記憶指示入力手段24cから調理記憶の指示入力が有った場合、調理シーケンス記憶手段27は火力調整入力手段25bから設定される図2の(a)に示す火力パターン、即ちインバータ回路12から加熱コイル19へ供給する加熱電力のパターンに対応した温度検知手段23からの図2の(b)に示す温度パターン、即ち調理シーケンスを記憶する。この調理シーケンスは、鍋21内に例えば標準量の食材が投入され、その投入量に見合った火力調整を行ない、適切な加熱調理即ち加熱し過ぎ或いは加熱不足がなく、美味しい調理を行なうことを実現するものである。
【0015】
次に、調理実行指示入力手段24dから調理実行の指示入力が有った場合、記憶調理シーケンス実行手段28は調理シーケンス記憶手段27に記憶された図3の(a)に示す温度検知手段23の温度パターンを再現するように、インバータ回路12の出力周波数或いはオンデューティを制御する。例えば、鍋21内への食材投入量が調理シーケンス記憶時と同様に標準の場合には、図3の(b)に示すように第1の加熱電力パターン(図中のA)に基づいて火力制御を行うことで、前回と同じように適切な調理シーケンスを実行することができる。また、鍋21内への食材投入量が調理シーケンス記憶時と比べて多い場合には熱負荷容量が大きくなるので、第1の加熱電力パターンと比較して、高目である第2の加熱電力パターン(図中のB)に基づいて火力制御を行うことにより、適切な調理シーケンスを実行することができる。さらに、鍋21内への食材投入量が少ない場合には熱負荷容量が小さくなるので、第1の加熱電力パターンと比較して、低目である第3の加熱電力パターン(図中のC)に基づいて火力制御を行うことにより、適切な調理シーケンスを実行することができる。
【0016】
次に、加熱調理器の具体的な動作を図1、図4〜図6に示すフローチャート図を併用して説明する。図4は制御手段26の動作を示すメインフローチャート図、図5は調理シーケンス記憶手段27の動作を示すフローチャート図、図6は記憶調理シーケンス再実行手段28の動作を示すフローチャート図である。図4において、電源をONした場合に制御手段26が動作を開始し、操作入力手段24や入力電力検知手段10の入力処理、加熱状態表示手段25やインバータ回路12の出力処理を所定時間毎に繰り返し実行するために、タイマ29の起動などの初期設定処理を行う(ステップ1)。
【0017】
次に、制御手段26は調理記憶指示入力手段24cからの入力の有無を判定し(ステップ2)、入力が有れば調理シーケンス記憶手段27の動作(ステップ16)へ移行する。もし、入力が無ければ調理再実行指示入力手段24dからの入力の有無を判定し(ステップ3)、その入力が有れば記憶調理シーケンス再実行手段28の動作(ステップ18)へ移行し、その入力が無ければ加熱ON/OFF入力手段24aからのON入力の有無を判定する(ステップ4)。そして、加熱ON/OFF入力手段24aからのON入力が無ければ、タイマ29の信号出力の待ち工程(ステップ16)へ移行し、ON入力が有れば加熱動作が開始することで(ステップ5)、インバータ回路12が起動する(ステップ6)。
【0018】
次に、制御手段26は火力調整入力手段25bからの火力設定データを読み込み(ステップ7)、火力表示LED25aに加熱火力レベルを表示する(ステップ8)。そして、商用交流電源9の入力電力を入力電力検知手段10で検知し(ステップ9)、その検知電力が設定火力に対応した入力電力値となるようにインバータ回路12の動作を制御する(ステップ10)。次に、加熱ON/OFF入力手段24aからのOFF入力の有無を判定し(ステップ11)、OFF入力が無ければ火力調整入力手段25bから火力データの読み込み動作(ステップ7)へ戻り、前述と同様の動作を繰り返し実行する。もし、OFF入力が有れば加熱動作が停止し(ステップ12)、これによってインバータ回路12が停止し(ステップ13)、火力表示LED25aが消灯する(ステップ14)。そして、調理記憶指示入力手段24cからの入力の有無の判定処理(ステップ2)へ戻る。
【0019】
次に、調理シーケンス記憶手段27の動作を図5に示すフローチャート図を併用して説明する。調理記憶中LED25bを点灯し(ステップ21)、時間表示部25dに「0秒」と表示する(ステップ22)。そして、調理過程で鍋21の温度を温度検知手段23により所定時間毎に検知し(ステップ23)、その温度のデータを調理シーケンス記憶手段27に記憶する(ステップ24)。この後で、加熱停止或いは加熱動作中であるかを判定する(ステップ25)。もし、加熱停止であると判定された場合には調理記憶指示入力手段24cから調理記憶終了の入力が有るかどうかを判定し(ステップ26)、その入力が有っ場合に調理記憶中LED25bを消灯する(ステップ27)。
【0020】
そして、調理シーケンス記憶手段27に時間表示部25dに表示された調理時間を記憶し(ステップ28)、調理記憶制御手段27の動作を終了する。また、調理記憶終了の入力が無かった場合に加熱ON/OFF入力手段24aからのON入力の有無を判定し(ステップ29)、ON入力が無かった場合にタイマ29の信号出力を待つ工程(ステップ40)へ移行する。また、ON入力が有った場合に加熱動作を開始し(ステップ30)、インバータ回路12を起動し(ステップ31)、その後で火力調整入力処理(ステップ36)へ移行する。
【0021】
また、前述の加熱動作/停止の判定で(ステップ25)、加熱動作と判定された場合には、加熱ON/OFF入力手段24aからのOFF入力の有無を判定する(ステップ32)。ここで、OFF入力が有った場合には加熱動作を停止し(ステップ33)、火力表示LED25aを消灯し(ステップ34)、インバータ回路12の動作を停止し(ステップ35)、さらにタイマ29の信号出力の待ち工程(ステップ40)へ移行する。また、加熱ON/OFF入力手段24aからのOFF入力が無い場合に、火力調整入力手段25bからの火力設定データを読み込み(ステップ36)、火力表示LED25aに火力を表示する(ステップ37)。
【0022】
次に、商用交流電源9からの入力電力を入力電力検知手段10で検知し(ステップ38)、その検知電力が設定火力に対応した電力値となるようにインバータ回路12の動作を制御する(ステップ39)。そして、タイマ29からの信号出力を待ち(ステップ40)、この後で時間表示部25dに表示されている調理時間を1秒だけ加算し(ステップ41)、温度検知工程(ステップ23)へ戻る。これ以降は、前述と同様の動作を繰り返す。
【0023】
次に、記憶調理シーケンス再実行手段28の動作を、図6に示すフローチャート図を併用して説明する。調理再実行中LED25cを点灯し(ステップ51)、調理シーケンス記憶手段27に記憶されている調理時間を時間表示部25dに調理残り時間として表示する(ステップ52)。そして、インバータ回路12を起動し(ステップ53)、この後で調理シーケンス記憶手段27に記憶された先頭温度データを読み出す(ステップ54)。次に、温度検知手段23で鍋21の温度を所定時間毎に検知し(ステップ55)、その検知温度と読み出された先頭温度データとの差分に基づいてインバータ回路12の設定火力を更新する(ステップ56)。その更新方法は、商用交流電源9からの入力電力が設定火力に対応した電力値となるようにインバータ回路12の動作を制御するものである(ステップ57)。このとき、火力表示LED25aを表示する(ステップ58)。
【0024】
次に、タイマ29からの信号出力を待ち(ステップS59)、この後で加熱ON/OFF入力手段24aからのOFF入力の有無を判定し(ステップ60)、ここでOFF入力が有った場合には調理終了の工程(ステップ69〜ステップS71)へ移行する。また、OFF入力が無い場合には調理実行中断指示の有無を判定する(ステップ61)。もし、中断指示が無い場合には時間表示部25dに表示されている調理の残り時間を判定する(ステップ62)。ここで、残り時間が0秒のとき、加熱調理終了の工程(ステップ71)へ移行する。また、残り時間が0秒でないとき、その残り時間から1秒だけ減算して時間表示を行う(ステップ63)。次に、調理シーケンス記憶手段27に記憶されている温度データから次の温度データを読み出し(ステップ64)、鍋21の温度検出処理(ステップ55)へ戻る。
【0025】
次に、調理再実行中断指示が有った場合には、調理再実行中LED25cを点滅表示させ(ステップ65)、インバータ回路12の動作を停止させる(ステップ66)。そして、加熱ON/OFF入力手段24aからのOFF入力の有無(ステップ67)を行なった後で、調理再実行指示の有無を判定する(ステップ68)。ここで、それらの入力が無い場合には加熱ON/OFF入力手段24aからのOFF入力の有無(ステップ67)へ戻る。また、加熱ON/OFF入力手段24aからのOFF入力が有った場合、調理再実行中LED25cを消灯し(ステップ70)、火力表示LED25aを消灯し(ステップ71)、記憶調理実行動作を終了する。なお、調理実行再開指示の入力が有った場合、調理残り時間の判定処理(ステップ62)へ移行する。
【0026】
以上のように、調理シーケンス記憶時に設定火力に対応した鍋21の温度パターンを記憶し、記憶調理シーケンス再実行時に記憶された温度パターンに基づいて火力を制御する調理シーケンスを具備していることにより、調理実行時には鍋21内への食材投入量が記憶時と異なった場合でも、火力調整が不要な状態で前回と同じような適切な加熱調理、即ち加熱し過ぎ、加熱不足がなく美味しい調理を実現することができる。また、調理記憶時において調理時間を表示し、調理実行時には調理の残り時間を表示するようにしたので、調理に費やされる時間を把握することができ、利便性が高まる。
【0027】
実施の形態2.
図7は、実施の形態2の誘導加熱調理器を示す回路ブロック図である。図7において、実施の形態1と同一の符号は同一または相当部分を示す。30はインバータ回路12の出力電力を検知する出力電力検知手段31、温度検知手段23の検知温度のパターンおよび火力調整入力手段25bからの設定火力に対応した出力電力検知手段31の検知電力のパターン即ち調理シーケンスを記憶する調理シーケンス記憶手段32、記憶調理シーケンスを再実行する記憶調理シーケンス再実行手段33を格納する制御手段、34は調理記憶時に例えば“大根、人参の食材を追加投入しました”、或いは“何の調味量を追加投入しました”などの必要事項を音声入力するマイクロホン、35はマイクロホン33の音声出力を記憶する音声記憶手段、36は音声記憶手段35に記憶された音声を調理再実行中に出力するスピーカである。
【0028】
次に、こうした構成を有する誘導加熱調理器の動作を、図8に示すタイミングチャート図を併用して説明する。先ず、調理記憶指示入力手段24cから調理記憶の指示入力が有った場合、調理シーケンス記憶手段32は火力調整入力手段25bから設定される図8の(a)に示す火力パターン即ちインバータ回路12からの加熱電力パターンを記憶する。これと同時に、この火力パターンに対応した図8の(b)に示す温度検知手段23からの検知温度のパターンを記憶する。なお、図8の(b)において火力動作をスタートした場合、鍋21自体は誘導加熱されることで、その温度が上昇し始める(図中のA)。しかし、温度検知手段23であるサーミスタ22は、熱伝達性の低いプレート(図示なし)を介して鍋21の温度を検知するために所定時間tだけ遅れて上昇し、それ以降ではサーミスタ22の検知温度が鍋21の温度に追従する(図中のB)。
【0029】
次に、調理実行指示入力手段24dから調理実行の指示入力が有った場合、記憶調理シーケンス実行手段33は調理シーケンス記憶手段32に記憶された、図8の(a)に示す火力調整入力手段25bからの火力パターンを所定時間tだけ再現するように、インバータ回路12の出力周波数或いはオンデューティを制御する。これにより、サーミスタ22の検知温度の遅れをカバーして火力制御を行なうことができる。そして、所定時間t以降では図8の(b)に示す温度検知手段23の検知温度のパターンを再現するように、インバータ回路12の出力周波数或いはオンデューティを制御する。これ以降は、実施の形態1と同様である。こうした調理シーケンスにより、記憶調理再実行時に加熱動作の開始直後から火力動作を即座に開始して鍋21を予備加熱することができる。そして、所定時間t以降はサーミスタ22の検知温度に基づいて鍋21の温度を適切に制御する。
【0030】
次に、加熱調理器の動作を図9と図10に示すフローチャート図を併用して説明する。電源が投入してから調理シーケンス記憶手段32の動作が開始するまでの工程は、実施の形態1と同等であるので説明を省略する。
図9の調理シーケンス記憶手段32の動作を示すフローチャート図において、先ず調理記憶中LED25bを点灯し(ステップ80)、時間表示部25dに「0秒」と表示し(ステップ81)、さらにマイクロホン33から音声記憶手段34に例えば”大根と人参を入れました”などの録音動作を開始する(ステップ82)。そして、鍋21の温度を温度検知手段23で検出し(ステップ83)、その検知温度を調理シーケンス記憶手段32に記憶し(ステップ84)、この後で加熱動作中で有るかどうかを判定する(ステップ85)。もし、加熱動作中で無い場合には、調理記憶指示入力手段24cからの調理記憶終了の入力の有無を判定する(ステップ86)。ここで、その入力が有った場合には調理記憶中LED25bを消灯し(ステップ87)、マイクロホン34から音声記憶手段35への録音を停止し(ステップ88)、さらに調理シーケンス記憶手段32に調理時間を記憶処理(ステップ89)する一連の工程が終了する。
【0031】
次に、調理記憶終了の入力の有無を判定する過程で(ステップ86)、その入力が無かった場合には加熱ON/OFF入力手段24aからのON入力の有無を判定する(ステップ90)。もし、ON入力が無かった場合にはタイマ29の信号出力を待つ工程(ステップ102)へ移行する。また、ON入力が有った場合には加熱動作を開始し(ステップ91)、インバータ回路12を起動し(ステップ92)、この後で火力調整入力手段25bからの設定火力を読み込む工程(ステップ97)へ移行する。そして、火力表示LED25aを点灯し(ステップ98)、火力データを調理シーケンス記憶手段32に記憶し(ステップ99)、さらに出力電力検出検知手段31でインバータ回路12の出力電力を検出する(ステップS100)。これ以降は、実施の形態1で述べた動作内容と同様である。
【0032】
次に、記憶調理シーケンス実行手段33の動作を図10に示すフローチャート図を併用して説明する。先ず、調理実行中LED25cを点灯し(ステップ200)、調理シーケンス記憶手段32に記憶されていた全調理時間を時間表示部25dに表示し(ステップ201)、音声記憶手段35に録音されている音声をスピーカ36から再生出力する動作を開始する(ステップ202)。そして、インバータ回路12を起動し(ステップ203)、調理シーケンス記憶手段32に記憶されている先頭の温度データおよび先頭の火力データを読み出す(ステップ204)。
【0033】
次に、その火力データに対応したインバータ回路12の火力初期設定を行い(ステップ205)、出力電力検知手段31からの検出電力を制御する(ステップ206)。そして、その火力レベルを火力表示LED25aに表示し(ステップ207)、タイマ29からの信号出力を待ち(ステップ208)、この後で加熱ON/OFF入力手段24aからのOFF入力の有無を判定する(ステップ209)。もし、OFF入力が有った場合には調理実行動作の一連の終了処理(ステップ225〜ステップS228)へ移行する。また、その入力が無い場合には調理再実行中断指示の入力の有無を判定する(ステップ210)。ここで、その入力が無い場合には調理残り時間を判定し(ステップ211)、残り時間が0秒のときは調理再実行動作の一連の終了処理(ステップ225〜ステップS228)へ移行する。
【0034】
また、残り時間が0秒でないときには1秒減算して調理残り時間の表示を行い(ステップ212)、この後で調理シーケンス記憶手段32から次の温度データおよび次の火力データを読み出す(ステップ213)。そして、温度検知手段23により鍋21の温度を検出し(ステップ214)、インバータ回路12の設定火力の更新処理(ステップ215)を行ない、出力電力の制御工程(ステップ206)へ戻る。ここで、ステップ215の設定火力の更新処理を設けた理由について、以下に述べる。鍋21の温度を検知するサーミスタ22は、プレート(図示なし)を介して鍋21の温度を検知するために、調理記憶時において鍋21の加熱直後の温度変化に対してサーミスタ22は所定時間だけ遅れて、その温度変化を検知する。
【0035】
したがって、調理実行時に温度検知手段25の検知温度に基づいてインバータ回路12の火力が設定されるため、鍋21の加熱直後の温度変化は調理記憶時の温度変化とは異なる。即ち、調理記憶時においてインバータ回路12の火力動作が開始すると、鍋21の温度が即座に上昇し始めるのに対し、記憶調理実行時には記憶されている加熱開始直後の温度データが上昇していないため、火力が設定されないという問題点を生じる。
【0036】
これを解決するために、ステップ215のインバータ回路12の設定火力の更新処理が提案される。ここで、設定火力の更新処理の内容を具体的に説明する。調理実行の動作を開始し、調理シーケンス記憶手段32から読み出した温度データの変化値(今回の読み出し温度と前回の読み出し温度との差分)が所定値以下の場合に、調理記憶時の火力データが変化した場合に、その変化値に基づいてインバータ回路12の設定火力を更新する。これにより、鍋21が予備加熱される。そして、読み出しの温度データの変化値が所定値以上となったとき、即ちサーミスタ22が鍋21の温度を検知した場合、サーミスタ22の検知温度に基づいてインバータ回路12の設定火力が更新され、調理記憶時の鍋21の加熱温度パターンを再現し、設定火力を適切に制御することができる。なお、ステップ215のインバータ回路12の設定火力の更新処理方法を、加熱調理時における火力変更時(増減とも)にも適用することにより、火力調整の遅れを補償することができる。
【0037】
次に、調理再実行中断指示の入力有無の判定の過程で(ステップS210)、その入力が有った場合には音声記憶手段35からの音声出力の再生を一時停止し(ステップ216)、調理再実行中LED25cの表示を点滅状態とし(ステップ217)、さらにインバータ回路12の火力動作を停止させる(ステップ218)。そして、タイマ29の信号出力を待ち(ステップ218)、この後で加熱ON/OFF入力手段24aからのOFF入力の有無を判定し(ステップ220)、その入力が有った場合には調理再実行の一連の動作が終了する工程(ステップ225〜ステップS228)へ移行する。もし、OFF入力が無い場合には調理再実行指示の入力の有無を判定し(ステップ221)、その入力がない場合にはタイマ29の信号出力を待つ工程(ステップ219)へ戻る。
【0038】
また、調理実行指示の入力が有った場合には、調理実行中LED25cを点灯状態にして(ステップ222)、インバータ回路12の火力動作を起動し(ステップ223)、さらにスピーカ36から音声データを再生出力する(ステップ224)。そして、調理実行時の残り時間が0秒に達したとき、調理再実行の一連の動作が終了する工程(ステップ225〜ステップS228)へ移行し、記憶調理シーケンス実行手段33の動作が終了する。
【0039】
以上のように、制御手段30は調理記憶時に鍋21の温度パターンを記憶し、かつ火力データを記憶する調理シーケンスと、記憶調理実行時に鍋21の予備加熱を行ない、かつ調理記憶時の鍋21の温度パターンを再現する記憶調理シーケンスを具備したことにより、実施の形態1と同様に適切な調理を再現することができる。さらに、調理過程で食材などの追加投入の情報を音声で伝達する手段を設けたので、追加の食材投入が有った場合でもその投入タイミングを把握することができ、前回と同じ調理を再現することができる
【0040】
実施の形態3
図11は、実施の形態3の誘導加熱調理器を示す回路ブロック図である。図11において、実施の形態1および実施の形態2と同一の符号は同一または相当部分を示す。37は温度検知手段23の検知温度のパターンを記憶する調理シーケンス記憶手段38、記憶調理シーケンスを再実行する記憶調理シーケンス再実行手段39、食材が投入された状態の鍋21の熱容量を負荷熱容量検知手段40から取り入れて記憶する負荷熱容量記憶手段41を格納する制御手段である。
【0041】
次に、加熱調理器の動作を図12〜図14に示すフローチャート図を併用して説明する。電源が投入してから調理記憶動作や記憶調理再実行動作が開始するまでの一連の調理動作は、実施の形態1と同等であるので説明を省略する。図12と図13の調理記憶の動作を示すフローチャート図において、調理シーケンス記憶手段38は先ず調理記憶中LED25bを点灯し(ステップ300)、時間表示部25dに「0秒」と表示し(ステップ301)、さらに加熱ON/OFF入力手段24aからのON入力の有無を判定する(ステップ302)。もし、ON入力が無い場合には調理記憶終了の入力の有無を判定し(ステップ303)、その入力が無ければステップ302の工程へ移行する。また、ON入力が有った場合には温度検知手段23により調理記憶開始時の鍋21の初期温度を検出し(ステップ304)、この後で加熱動作を開始させ(ステップ305)、インバータ回路12を起動させる(ステップ306)。
【0042】
次に、火力調整入力手段25bからの設定火力を読み込み(ステップ307)、その火力レベルに応じて火力表示LED25aの点灯状態を更新する(ステップ308)。そして、入力電力検出手段10により入力電力を検出し(ステップ309)、検出電力が設定火力に応じた電力値になるようにインバータ駆動手段17を制御し(ステップ310)、さらにその検出電力を火力データとして調理シーケンス記憶手段38に記憶する(ステップ311)。この後で、負荷熱容量検知手段40により負荷熱容量即ち食材が投入された鍋21の熱容量の検出が済んだかどうかを判定し(ステップ3712)、検出済みでない場合には調理記憶開始時以降の入力電力量即ち加熱電力を積算する(ステップ313)。
【0043】
次に、積算加熱電力が所定値以上であるかどうかを判定し(ステップ314)、所定値以上の場合には鍋21の温度を検知し(ステップ314)、この後で検知温度と初期温度との差分、積算加熱電力の双方のデータに基づいて、鍋21の熱容量を負荷熱容量検知手段40により検出する(ステップ316)。例えば、温度の差分が大きい場合に鍋21の熱容量が小さく、その差分が小さい場合に鍋21の熱容量が大きいと推測する。そして、負荷熱量を負荷熱容量記憶手段41に記憶する(ステップ317)。次に、タイマ29からの信号出力を待ち(ステップ318)、この後で時間表示部25dに表示している調理時間を1秒だけ加算し(ステップ319)、加熱動作中であるかどうかを判定する(ステップ320)。もし、加熱動作中であれば加熱ON/OFF入力手段24aからのOFF入力の有無を判定し(ステップ321)、OFF入力が無い場合にステップ707の設定火力の読み込み工程に移行する。
【0044】
また、OFF入力が有る場合に加熱動作を停止し(ステップ322)、火力表示LED25dを消灯する(ステップ323)。さらに、インバータ回路12の動作を停止し(ステップ324)、入力電力データを0Wとし(ステップ325)、ステップ711の火力データ記憶処理の工程に移行する。次に、ステップ720で加熱動作が停止である場合、調理記憶指示入力手段24cからの調理記憶終了の入力の有無を判定し(ステップ326)、その入力が無い場合には加熱ON/OFF入力手段24aからのON入力の有無を判定する(ステップ327)。もし、ON入力が有れば加熱動作が開始し(ステップ305)、インバータ回路12の動作を起動し(ステップ306)、ON入力が無ければステップ311の工程に移行して入力電力データを零Wとして火力データを記憶する。また、ステップ326で調理記憶終了の入力が有った場合に調理記憶中LED25bを消灯し(ステップ328)、調理シーケンス記憶手段38に記憶されている調理時間を記憶し(ステップ329)、調理記憶制御の一連の動作を終了する。
【0045】
次に、記憶調理実行の動作を図14に示すフローチャート図を併用して説明する。記憶調理再実行手段28は、先ず調理実行中LED25cを点灯し(ステップ400)、調理シーケンス記憶手段38に記憶されている調理全時間を時間表示部25dに調理残り時間として表示する(ステップ401)。そして、温度検知手段23により記憶調理再実行開始時の鍋21の初期温度を検出し(ステップ402)、調理シーケンス記憶手段38から先頭の火力データを読み出して加熱出力データとし(ステップ403)、インバータ回路12を起動する(ステップ404)。次に、入力電力検出手段10によりインバータ回路12への入力電力を検出し(ステップ405)、その検出電力が加熱出力データと対応するようにインバータ回路12の動作を制御する(ステップ406)。
【0046】
そして、負荷熱容量検知手段40により鍋21の熱容量の検出が済んだかどうかを判断し(ステップ407)、検出済みでない場合には調理実行時以降の加熱電力を積算し(ステップ408)、積算加熱電力が所定値以上であるかどうかを判定する(ステップ409)。もし、積算加熱電力が所定値以上でない場合にタイマ29からの信号出力を待ち(ステップ410)、調理残り時間が0であるかどうかを判断する(ステップ411)。ここで、調理残り時間が0秒である場合は、インバータ回路12の動作停止(ステップ412)〜火力表示LED25aの消灯(ステップ414)の終了工程へ移行する。
【0047】
また、残り時間が0秒で無い場合に調理残り時間を1秒だけ減算して表示し(ステップ415)、調理シーケンス記憶手段38から次の火力データを読み出し(ステップ416)、これを加熱出力データとする。これ以降は、前述の工程と同様である。次に、ステップ409で積算加熱電力が所定値以上の場合に温度検知手段23により鍋21の温度を検出し(ステップ417)、検出温度と初期温度との差分、積算加熱電力の双方のデータに基づいて鍋21の熱容量を検出する(ステップ418)。
【0048】
次に、負荷熱容量を負荷熱容量記憶手段41に記憶し(ステップ419)、タイマ29からの信号出力を待ち(ステップ420)、時間表示部25dに表示されている調理残り時間を判定する(ステップ421)。もし、残り時間が0秒で無い場合には表示時間を1秒だけ減算して表示し(ステップ422)、次の火力データを読み出し(ステップ823)、この後で負荷熱容量記憶手段41から調理記憶時と記憶調理再実行時の鍋21の熱容量を読み出す(ステップ422)。そして、それらの熱容量の対比に基づいて加熱出力データを更新する(ステップ425)。例えば、調理記憶時と記憶調理再実行時との負荷熱容量の比率が1.5である場合、読み出し火力データにその比率1.5を乗じた火力に設定し、これに対応した加熱電力となるようにインバータ回路12の動作を制御する。
【0049】
これにより、調理記憶時と記憶調理実行時とで食材が投入された状態の鍋21の熱容量が異なった場合でも、適宜火力データを自動調整して適切な調理を行なうことができる。また、ステップ421の工程で残り時間が0秒である場合は、インバータ回路12の動作を停止し(ステップ412)、調理再実行中LED25cを消灯し(ステップ413)、さらに火力表示LED25aを消灯し(ステップ414)、調理再実行動作を終了する。
【0050】
以上のように、調理記憶時と記憶調理実行時とで食材投入量が違って鍋21の熱容量が異なった場合でも、その熱容量の変化率に基づいて設定火力を更新する調理シーケンスを具備し、前回と同じような適切な調理を再現することができる。
【0051】
実施の形態4.
図15は、実施の形態4の誘導加熱調理器を示す回路ブロック図である。図15において、実施の形態1〜実施の形態3と同一の符号は同一または相当部分を示す。42は調理シーケンス記憶手段43、記憶調理シーケンスを実行する記憶調理シーケンス実行手段44、調理記憶時に出力電力検知手段31の検出電力の変動量に基づいて、例えばフライパンなどの鍋21が食材を混ぜ合わせるために揺動されたことを鍋揺動検知手段45で検知し、そのときの時間を記憶する鍋揺動時間記憶手段46を格納する制御手段である。
【0052】
次に、加熱調理器の動作を図16と図17に示すフローチャート図を併用して説明する。図16の調理記憶の動作を示すフローチャート図において、全体の動作内容は実施の形態1、実施の形態2と同様である。ここでは、鍋21の揺動工程のみを説明する。先ず、入力電力検知手段10により入力電力を検知し(ステップ518)、さらに出力電力検知手段31により出力電力を検知し(ステップ519)、それらの検知電力の変動量から鍋21の揺動検知を行なう(ステップ520)。そして、鍋21が揺動したかどうかを判定し(ステップ521)、鍋21が揺動した場合にはその発生時間を鍋揺動時間記憶手段46で記憶する(ステップ522)。次に、入力電力検知手段10で検知した入力電力が火力調整入力手段25bで設定された設定火力とを比較し、インバータ回路12を制御する(ステップ523)。
【0053】
次に、図17の記憶調理再実行の動作を示すフローチャート図において、全体の動作内容は実施の形態1、実施の形態2と同様である。ここでは、新たな工程の動作内容のみを説明する。先ず、制御手段42は調理再実行中LED25cを点灯し(ステップ400)、調理シーケンス記憶手段43に記憶されている調理全時間を調理残り時間として時間表示部25dに表示する(ステップ601)。そして、鍋揺動時間記憶手段46に記憶されている鍋21の揺動の発生時間を読み出し(ステップ602)、この後でインバータ回路12を起動する(ステップ603)。次に、調理再実行中断指示の入力の有無を判定する過程で(ステップ622)、その入力が無い場合には調理残り時間を判定する(ステップ611)。
【0054】
もし、残り時間が0秒で無い場合には1秒減算して調理残り時間の表示を行い(ステップ612)、この後で鍋21の揺動発生時間に達したかどうかを判定する(ステップ613)。ここで、揺動発生時間に達したときに、スピーカ35から報知音を発生させて揺動タイミングを知らしめる(ステップ614)。
【0055】
以上のように、制御手段42が記憶調理実行時に前回と同じ調理を行なうことが出来るように、鍋21の温度を適切に制御する調理シーケンスを具備し、かつ鍋21を揺動させるタイミングをスピーカ36から音声出力により報知させるようにしたので、前回と同じような適切な調理を再現することができる。
【0056】
実施の形態5
図18は、実施の形態5の誘導加熱調理器を示す回路ブロック図である。図18において、実施の形態1〜実施の形態4と同一の符号は同一または相当部分を示す。25eは調理再実行時に鍋21内に食材が投入要求されていることを表示する食材投入LED、47は調理シーケンス記憶手段48、記憶調理シーケンス再実行手段49、調理記憶時に温度検知手段23の検知温度の下降変化により、鍋21内に食材が投入されたことを食材投入検知手段50で検知し、そのときの時間を記憶する食材投入時間記憶手段51を格納する制御手段である。
【0057】
次に、加熱調理器の動作を図19と図20に示すフローチャート図を併用して説明する。図19の調理記憶の動作を示すフローチャート図において、全体の動作内容は実施の形態1と同様である。ここでは、新たな工程の動作内容のみを説明する。先ず、鍋21の温度を温度検知手段23により検知し(ステップ702)、検知温度を調理シーケンス記憶手段48で記憶し(ステップ703)、さらに食材投入検知手段50は鍋21の温度の低下に基づいて鍋21内の食材投入を検知する(ステップ704)。そして、鍋21内に食材が投入されたかどうか判定し(ステップS705)、ここで食材が投入された場合には、そのときの時間を食材投入時間記憶手段51で記憶する(ステップ706)。
【0058】
次に、図20の記憶調理再実行の動作を示すフローチャート図において、全体の動作内容は実施の形態1と同様である。ここでは、新たな工程の動作内容のみを説明する。先ず、制御手段47は理再実行中LED25cを点灯し(ステップ800)、調理シーケンス記憶手段48に記憶されいる調理全時間を調理残り時間として表示し(ステップ801)、さらに食材投入時間記憶手段51に記憶されている時間を読み出す(ステップ802)。次に、時間表示部25dに表示されている調理残り時間を判定する過程で(ステップ811)、残り時間が0秒で無いときには1秒減算して調理残り時間を表示する(ステップ812)。そして、食材投入のタイミング時間に達したかどうかを判定し(ステップ813)、そのタイミング時間に達した場合にはスピーカ36から食材投入の報知音を発生すると共に、食材投入LED25eを点灯するなどの動作が行なわれる(ステップ814)。
【0059】
次に、鍋21の温度を検知し(ステップ815)、食材投入の待ち状態即ち食材投入の前述の報知動作が行なわれたかどうかを判定する(ステップ816)。もし、食材投入の待ち状態で無い場合には調理シーケンス記憶手段48から、次の温度データや火力データを読み出し(ステップ817)、インバータ回路10の設定火力を更新する(ステップ818)。また、食材投入の待ち状態で有れば食材の投入検知(ステップ819)とその結果を判定し(ステップ820)、かつ記憶調理実行動作の続行指示の入力有無を判定する(ステップ821)。ここで、何れかを検出した場合には食材投入の待ち状態を解除して食材投入LED25eを消灯し(ステップ822)、次の温度データや火力データの読み出し工程(ステップ817)へ移行する。
【0060】
次に、食材投入検知および調理実行動作の続行指示が無かった場合には、食材投入検知待ちのタイマを更新し(ステップ823)、タイムアウトしたかどうかを判定する(ステップ824)。もし、タイムアウトしていない場合には次のデータの読み出し工程(ステップ817)へ戻り、タイムアウトした場合には食材投入LED25eを点滅状態とし、食材投入待ちの報知音をスピーカ35から再度発生し(ステップ825)する。そして、インバータ回路12の動作を停止させ(ステップ826)、タイマ29からの信号出力を待ち(ステップ827)、鍋21の温度を検出する(ステップ828)。
【0061】
この後で、食材投入検知処理(ステップ829)およびその結果判定(ステップ830)と、調理再実行動作の続行指示の入力有無を判定する(ステップ831)。ここで、何れかを検出した場合にはインバータ回路12の動作を再起動して(ステップ833)、食材投入待ちの解除(ステップ822)へ移行する。また、食材投入検知および調理再実行動作の続行指示が検出されない場合には、加熱ON/OFF入力手段24aからのOFF入力の有無を判定する(ステップ832)。これ以降の動作内容は、実施の形態1と同様である。
【0062】
以上のように、制御手段47が記憶調理実行時に前回と同じような調理を行なうことが出来るように、鍋21の温度を適切に制御する調理シーケンスを具備し、かつ鍋21内に食材を投入するタイミングをスピーカ36から音の発生により報知するようにしたので、適切な調理を再現することができる。
【0063】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0064】
この発明に係る誘導加熱調理器は、加熱コイルとスイッチング素子とを含む誘導加熱手段と、火力レベルを入力設定する操作入力手段と、鍋の温度を検知する温度検知手段と、誘導加熱手段の入力電力或いは出力電力を検知する電力検知手段と、電力検知手段の検知電力が前記操作入力手段で入力設定された火力レベルに対応する電力値になるように誘導加熱手段を制御する制御手段とを備えた誘導加熱調理器において、温度検知手段の検知温度のパターンを記憶する調理シーケンス記憶手段を設け、記憶調理実行指示手段からの入力が有った場合に調理シーケンス記憶手段から温度パターンを読み出し、温度パターンに基づいて誘導加熱手段の加熱動作を制御する記憶調理シーケンス実行手段を設けるようにしたので、記憶調理実行時において食材投入量が調理記憶時と異なった場合でも、火力レベルを食材投入量に応じて自動調整するように構成しているために、前回と同じような適切な調理を再現することができる。
【0065】
また、加熱コイルとスイッチング素子とを含む誘導加熱手段と、火力レベルを入力設定する操作入力手段と、鍋の温度を検知する温度検知手段と、誘導加熱手段の入力電力或いは出力電力を検知する電力検知手段と、電力検知手段の検知電力が操作入力手段で入力設定された火力レベルに対応する電力値になるように誘導加熱手段を制御する制御手段とを備えた誘導加熱調理器において、火力のパターンおよび温度検知手段の検知温度のパターンを記憶する調理シーケンス記憶手段と、記憶調理実行指示手段からの入力が有った場合に前記調理シーケンス記憶手段から火力のパターンおよび温度パターンを読み出し、これらのパターンに基づいて誘導加熱手段の加熱動作を制御する記憶調理シーケンス実行手段を設けるようにしたので、記憶調理実行時において開始直後に火力レベルを強制的に上げて鍋の温度上昇速度を高める共に、火力調整を行なわずに前回と同じような適切な調理を再現することができる。
【0066】
また、加熱コイルとスイッチング素子とを含む誘導加熱手段と、火力レベルを設定する操作入力手段と、鍋の温度を検知する温度検知手段と、誘導加熱手段の入力電力或いは出力電力を検知する電力検知手段と、電力検知手段の検知電力が操作入力手段で入力設定された火力レベルに対応する電力値になるように誘導加熱手段を制御する制御手段とを備えた誘導加熱調理器において、火力のパターンを記憶し、火力パターンから積算加熱電力を算出し、積算加熱電力と温度検知手段の検知温度のパターンとに基づいて鍋の熱容量を検知する鍋熱容量検知手段と、記憶調理実行指示手段からの入力が有った場合に火力パターンを読み出し、火力パターンを鍋熱容量検知手段からの熱容量に基づいて更新し、更新された火力パターンに基づいて誘導加熱手段の加熱動作を制御する記憶調理シーケンス実行手段を設けるようにしたので、記憶調理再実行時において食材投入量が違って鍋の熱容量が異なった場合でも、その熱容量の変化率に基づいて設定火力を自動的に調整し、前回と同じような適切な調理の仕上げを再現することができる。
【0067】
また、鍋内への食材の投入情報を音声信号に変換して記憶する音声記憶手段を設け、記憶調理実行指示手段から入力が有った場合に音声記憶手段から食材の投入情報の音声信号を読み出し、その音声信号を出力する出力手段を設けるようにしたので、調理記憶時に食材などの追加投入が有った場合でも、記憶調理再実行時に食材の種類やその投入タイミングを報知させることが可能であり、前回と同じような適切な調理を再現することができる
【0068】
また、電力検知手段の出力変動に基づいて鍋が揺動されたことを検知する鍋揺動検知手段を設け、鍋揺動検知手段で鍋の揺動を検知したときの時間を記憶する鍋揺動時間記憶手段を設け、記憶調理実行指示手段から入力が有った場合に鍋揺動時間記憶手段で記憶された時間に達したとき、報知音を発する報知手段を設けるようにしたので、記憶調理実行時に鍋を揺動させて食材を混ぜ合せるタイミングを調理記憶時と同じにすることができ、前回と同じような適切な調理を再現することができる。
【0069】
また、温度検知手段の検知知温度の変化量に基づいて鍋内への食材の投入を検知する食材投入検知手段を設け、食材投入検知手段で食材の投入を検知したときの時間を記憶する食材投入時間記憶手段を設け、記憶調理実行指示手段から入力が有った場合に食材投入時間記憶手段に記憶された時間に達したとき、報知音を発生する報知手段を設けるようにしたので、記憶調理実行時に鍋内に食材を投入するタイミングを調理記憶時と同じにすることができ、前回と同じような適切な調理を再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係る誘導加熱調理器の回路ブロック図を示す。
【図2】実施の形態1のタイミングチャート図を示す。
【図3】実施の形態1の他のタイミングチャート図を示す。
【図4】実施の形態1の加熱調理器の動作を示すメインフローチャート図である。
【図5】実施の形態1の調理記憶の動作を示すフローチャート図である。
【図6】実施の形態1の記憶調理実行動作を示すフローチャート図である。
【図7】実施の形態2に係る誘導加熱調理器の回路ブロック図を示す。
【図8】実施の形態2のタイミングチャート図を示す。
【図9】実施の形態2の調理記憶の動作を示すフローチャート図である。
【図10】実施の形態2の記憶調理実行動作を示すフローチャート図である。
【図11】実施の形態3に係る誘導加熱調理器の回路ブロック図を示す。
【図12】実施の形態3の調理記憶の動作を示すフローチャート図である。
【図13】実施の形態3の調理記憶の動作を示すフローチャート図である。
【図14】実施の形態3の記憶調理実行動作を示すフローチャート図である。
【図15】実施の形態4に係る誘導加熱調理器の回路ブロック図を示す。
【図16】実施の形態4の調理記憶の動作を示すフローチャート図である。
【図17】実施の形態4の記憶調理実行動作を示すフローチャート図である。
【図18】実施の形態5に係る誘導加熱調理器の回路ブロック図を示す。
【図19】実施の形態5の調理記憶の動作を示すフローチャート図である。
【図20】実施の形態5の記憶調理実行動作を示すフローチャート図である。
【図21】従来の誘導加熱調理器の構成を示す回路ブロック図である。
【図22】従来の加熱出力パターンの一例を示す図である。
【符号の説明】
1 選択手段、2 加熱パターン決定手段、3 制御手段、4 加熱手段、5加熱パターン記憶手段、6 時間積算手段、7 演算手段、8 温度検出手段、9 商用交流電源、10 入力電力検知手段、11 全波整流回路、12 インバータ回路、13 第1のスイッチング素子、14 第2のスイッチング素子、15 第1のダイオード、16 第2のダイオード、17 インバータ駆動手段、18 共振回路、19 加熱コイル、20 共振コンデンサ、21 鍋、22 サーミスタ、23 温度検知手段、24 操作入力手段、25 加熱状態表示手段、26 制御手段、27 調理シーケンス記憶手段、28 記憶調理シーケンス実行手段、29 タイマ、30 制御手段、31 出力電力検知手段、32 調理シーケンス記憶手段、33
記憶調理シーケンス実行手段、34 マイク、35 音声記憶手段、36 スピーカ、37 制御手段、38 調理シーケンス記憶手段、39 記憶調理シーケンス実行手段、40 負荷熱容量検知手段、41 負荷熱容量記憶手段、42 制御手段、43 調理シーケンス記憶手段、44 記憶調理シーケンス再実行手段、45 鍋揺動検知手段、46 鍋揺動時間記憶手段、47 制御手段、48調理シーケンス記憶手段、49 記憶調理シーケンス実行手段、50 食材投入検知手段、51 食材投入時間記憶手段。
Claims (6)
- 加熱コイルとスイッチング素子とを含む誘導加熱手段と、火力レベルを入力設定する操作入力手段と、鍋の温度を検知する温度検知手段と、前記誘導加熱手段の入力電力或いは出力電力を検知する電力検知手段と、この電力検知手段の検知電力が前記操作入力手段で入力設定された火力レベルに対応する電力値になるように誘導加熱手段を制御する制御手段とを備えた誘導加熱調理器において、前記温度検知手段の検知温度のパターンを記憶する調理シーケンス記憶手段と、記憶調理実行指示手段からの入力が有った場合に前記調理シーケンス記憶手段から温度パターンを読み出し、この温度パターンに基づいて前記誘導加熱手段の加熱動作を制御する記憶調理シーケンス実行手段とを備えたことを特徴とする誘導加熱調理器。
- 加熱コイルとスイッチング素子とを含む誘導加熱手段と、火力レベルを入力設定する操作入力手段と、鍋の温度を検知する温度検知手段と、前記誘導加熱手段の入力電力或いは出力電力を検知する電力検知手段と、この電力検知手段の検知電力が前記操作入力手段で入力設定された火力レベルに対応する電力値になるように誘導加熱手段を制御する制御手段とを備えた誘導加熱調理器において、火力のパターンおよび前記温度検知手段の検知温度のパターンを記憶する調理シーケンス記憶手段と、記憶調理実行指示手段からの入力が有った場合に前記調理シーケンス記憶手段から火力のパターンおよび温度パターンを読み出し、これらのパターンに基づいて前記誘導加熱手段の加熱動作を制御する記憶調理シーケンス実行手段とを備えたことを特徴とする誘導加熱調理器。
- 加熱コイルとスイッチング素子とを含む誘導加熱手段と、火力レベルを設定する操作入力手段と、鍋の温度を検知する温度検知手段と、前記誘導加熱手段の入力電力或いは出力電力を検知する電力検知手段と、この電力検知手段の検知電力が前記操作入力手段で入力設定された火力レベルに対応する電力値になるように誘導加熱手段を制御する制御手段とを備えた誘導加熱調理器において、火力のパターンを記憶し、この火力パターンから積算加熱電力を算出し、この積算加熱電力と前記温度検知手段の検知温度のパターンとに基づいて鍋の熱容量を検知する鍋熱容量検知手段と、記憶調理実行指示手段からの入力が有った場合に火力パターンを読み出し、この火力パターンを前記鍋熱容量検知手段からの熱容量に基づいて更新し、更新された火力パターンに基づいて前記誘導加熱手段の加熱動作を制御する記憶調理シーケンス実行手段とを備えたことを特徴とする誘導加熱調理器。
- 前記鍋内への食材の投入情報を音声信号に変換して記憶する音声記憶手段と、前記記憶調理実行指示手段から入力が有った場合に前記音声記憶手段から食材の投入情報の音声信号を読み出し、その音声信号を出力する出力手段とを備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の誘導加熱調理器。
- 前記電力検知手段の出力変動に基づいて鍋が揺動されたことを検知する鍋揺動検知手段と、この鍋揺動検知手段で鍋の揺動を検知したときの時間を記憶する鍋揺動時間記憶手段と、前記記憶調理実行指示手段から入力が有った場合に前記鍋揺動時間記憶手段で記憶された時間に達したとき、報知音を発する報知手段とを備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の誘導加熱調理器。
- 前記温度検知手段の検知知温度の変化量に基づいて鍋内への食材の投入を検知する食材投入検知手段と、この食材投入検知手段で食材の投入を検知したときの時間を記憶する食材投入時間記憶手段と、前記記憶調理実行指示手段から入力が有った場合に前記食材投入時間記憶手段に記憶された時間に達したとき、報知音を発生する報知手段とを備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の誘導加熱調理器。
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