JP2004138644A - 非磁性一成分トナー、画像形成方法、現像装置およびプロセスカートリッジ - Google Patents

非磁性一成分トナー、画像形成方法、現像装置およびプロセスカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】高温高湿下における画像安定性に優れ、且つ低印字画像を長期に渡り印刷した場合においても画像欠陥のない良好な画像を継続して得ることのできる非磁性一成分現像剤を提供する。
【解決手段】非磁性一成分トナーを担持するトナー担持体に接触された帯電補助部材により上記トナーの帯電性を制御する工程を有する画像形成方法において、ポリエステル化合物を主成分とする結着樹脂と、着色剤と、離型剤とを少なくとも含有し、非磁性一成分トナー2gをヘキサン溶媒に5分間浸漬させたときの抽出物の質量をX(mg)とし、該抽出物の示差熱分析(DSC)測定により得られる吸熱曲線における最大吸熱ピークをY(℃)としたときに、下記式(1)〜(3)の関係を満たすことを特徴とする非磁性一成分トナーを用いる。
【数1】
X > 10            (1)
120 > Y > 70       (2)
Y > 1.25X−5       (3)
【選択図】   図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は静電複写機、レーザープリンタ等で用いられる静電荷像を現像するための非磁性一成分トナー、該トナーを用いた画像形成方法、現像装置及びプロセスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真法を用いた複写機やプリンターの普及に伴い、これらのマシンのさらなるスピードアップや小型化、フルカラー化、高画質が求められている。またユーザー層の広がりによって、複写機やプリンターの低価格化やフリーメンテナンス性も求められ、結果として機械本体としては部品点数の減少や機械構成の単純化も必要とされている。その結果、トナーやドラムなどの消費部材に対する技術的要求は年々高まる一方である。
【0003】
これらの要求を達成する現像方法として、非磁性一成分現像剤を用いた接触現像方法が知られている。非磁性一成分現像剤はトナー本体が磁性トナーと比較して低温定着性に優れている。また、不透明な磁性体を含んでいないため、フルカラーやマルチカラーといったカラー画像を得る場合にも好ましい現像剤である。消費現像剤や現像器の構成が単純であるという特徴を有するために、機械の小型化やフリーメンテナンス性を達成することも容易である。
【0004】
接触現像方法は、トナー担持体の表面に担持されているトナー層が静電潜像担持体の表面に接触することにより、静電潜像を現像してトナー像を静電潜像担持体上に形成する現像方法である。トナー担持体の表面に担持されているトナー層が静電潜像担持体の表面に接触していない非接触現像方法と比べて、細線(あるいはドット)再現性に優れる、トナー飛散に強い等のメリットがある。
【0005】
また、非磁性一成分現像剤に用いられる結着樹脂としては、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等が知られている。中でもポリエステル樹脂は耐オフセット性に優れること、オーバーヘッドプロジェクター(OHP)用フィルムを転写材としたときの画像透明性に優れること、比較的安価であること等の理由により、結着樹脂として好適に用いられている。
【0006】
一方、複写機やプリンターのより広範な普及に伴って、非磁性一成分現像剤を用いた接触現像方法において、高温高湿等の過酷環境下においても通常の環境と変わりなく良好な画像を長期に渡り安定して得ることが求められてきている。これらの課題を解決する方法として、帯電補助部材を用いる方法がある(例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3参照)。
【0007】
図1は、帯電補助部材を用いた現像装置の例を示す概略断面図である。図1において、現像装置4は、一成分現像剤として非磁性トナー8を収容した現像容器14と、現像容器14内の長手方向に延在する開口部に位置し感光ドラム1と対向設置されたトナー担持体としての現像ローラ5とを備え、感光ドラム1上の静電潜像を現像して可視化するようになっている。
【0008】
現像ローラ5は、上記開口部にて図に示す右略半周面を現像容器14内に突入し、左略半周面を現像容器14外に露出して横設されている。この現像容器14外へ露出した面は、現像装置4の図中左方に位置する感光ドラム1に当接して対向している。現像ローラ5は矢印B方向に回転駆動されている。
【0009】
現像ローラ5の上方位置には、トナー規制部材としての弾性ブレード7がブレード支持板金15に支持され、自由端側の先端近傍を現像ローラ5の外周面に面接触にて当接するように設けられており、その当接方向としては、当接部に対して先端側が現像ローラ5の回転方向上流側に位置するいわゆるカウンター方向になっている。弾性ブレード7と現像ローラ5との摺擦により、トナー粒子は帯電する。
【0010】
帯電補助部材としてのトナー帯電ローラ20は、弾性ブレード7の現像ローラ5表面との当接部に対し現像ローラ5の回転方向下流側に当接され、かつ回転可能に支持されている。このトナー帯電ローラ20に必要に応じて外部電圧を印加することにより、トナー粒子の帯電を制御することができ、高温高湿等の過酷条件においても良好な画像を長期に渡り安定して得ることができる。
【0011】
このように、機械の小型化、低価格化、フリーメンテナンス化、画像の高精細化、フルカラー化といった多様な要求と、過酷環境下においても通常の環境と変わりなく良好な画像を長期に渡り安定して得たいという要求を同時に達成するためには、トナーの結着樹脂としてポリエステル樹脂を用い、非磁性一成分接触現像方法において現像装置に帯電補助部材を用いる方法が有効であり、これにより好ましい結果が得られてきた。
【0012】
しかしながら、本発明者らが種々の検討を行った結果、上記方法の組み合わせのみでは好ましい画像が得られない場合があることが明らかとなった。具体的には、低印字率のハーフトーン画像を長期に渡り印刷した場合に、感光ドラム回転方向と垂直方向に、周期性のある画像濃淡が発生することが明らかとなった。
【0013】
画像欠陥の模式図について、図2を用いて説明する。図2は、潜像として印字率2%の一様なハーフトーン画像を印字した際に得られた、画像欠陥である。帯状に濃淡が現れており、その濃度差は印字面前方(図2においては上方)が大きく、印字面後方(図2においては下方)が小さい。目視により濃淡の出現回数を数えることが可能であり、図2では濃淡の出現回数は3回である。
【0014】
本発明者らは更なる検討を加えた結果、図2に示すような濃淡ムラは、間歇耐久評価、すなわち画像プリント終了時から次の画像プリント開始時までの時間を通常のものよりも長めに設定した場合において、より顕著になることを見いだした。加えて本発明者らは、帯電補助部材を除去して耐久評価を行った場合には、高温高湿度条件下において画質均一性には劣る画像となるものの、上記濃淡ムラについては出現しないことを見いだした。これらの検討結果は、画像濃淡ムラは帯電補助部材と相関関係があることを示唆するものである。
【0015】
【特許文献1】
特開平11−119546号公報
【特許文献2】
特開平11−119547号公報
【特許文献3】
特開2001−34047号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、高温高湿下における画像安定性に優れ、且つ低印字画像を長期に渡り印刷した場合においても画像欠陥のない良好な画像を継続して得ることのできる非磁性一成分現像剤、画像形成方法、現像装置およびプロセスカートリッジを提供することを課題とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意検討の結果、トナー表面の物性に着目し、これを特定の値とすることにより、高温高湿下における画像安定性に優れ、且つ低印字画像を長期に渡り印刷した場合においても画像欠陥のない良好な画像を継続して得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0018】
すなわち、本発明は以下の通りである。
【0019】
(1)静電潜像担持体上に担持された静電潜像を可視化するための非磁性一成分トナーであって、
前記非磁性一成分トナーを担持するトナー担持体に接触された帯電補助部材により、前記非磁性一成分トナーの帯電量を制御する帯電補助工程と;前記トナー担持体に担持された非磁性一成分トナーを前記静電潜像担持体の表面に接触させて転移させることにより、前記静電潜像を可視化してトナー像を静電潜像担持体上に形成する現像工程と;を少なくとも含む画像形成方法に用いられ、
ポリエステル化合物を主成分とする結着樹脂と、着色剤と、離型剤とを少なくとも含有し、
前記非磁性一成分トナー2gをヘキサン溶媒に5分間浸漬させたときの抽出物の質量をX(mg)とし、該抽出物の示差熱分析(DSC)測定により得られる吸熱曲線における最大吸熱ピークの温度をY(℃)としたときに、下記式(1)〜(3)の関係を満たすことを特徴とする非磁性一成分トナー。
【0020】
【数5】
X > 10            (1)
120 > Y > 70       (2)
Y > 1.25X−5       (3)
【0021】
(2)前記結着樹脂100質量部に対する前記離型剤の含有量が0.5〜15質量部であることを特徴とする(1)の非磁性一成分トナー。
【0022】
(3)静電潜像担持体上に担持された静電潜像を非磁性一成分トナーにより可視化して画像を形成する画像形成方法であって、
前記非磁性一成分トナーを担持するトナー担持体に接触された帯電補助部材により、前記非磁性一成分トナーの帯電量を制御する帯電補助工程と、
前記トナー担持体に担持された非磁性一成分トナーを前記静電潜像担持体の表面に接触させて転移させることにより、前記静電潜像を可視化してトナー像を静電潜像担持体上に形成する現像工程と、を少なくとも含み、
前記非磁性一成分トナーは、ポリエステル化合物を主成分とする結着樹脂と、着色剤と、離型剤とを少なくとも含有し、
前記非磁性一成分トナー2gをヘキサン溶媒に5分間浸漬させたときの抽出物の質量をX(mg)とし、該抽出物の示差熱分析(DSC)測定により得られる吸熱曲線における最大吸熱ピークの温度をY(℃)としたときに、下記式(1)〜(3)の関係を満たすことを特徴とする画像形成方法。
【0023】
【数6】
X > 10            (1)
120 > Y > 70       (2)
Y > 1.25X−5       (3)
【0024】
(4)前記結着樹脂100質量部に対する前記離型剤の含有量が0.5〜15質量部であることを特徴とする(3)の画像形成方法。
【0025】
(5)静電潜像担持体上に担持された静電潜像を非磁性一成分トナーにより可視化する現像装置であって、
前記非磁性一成分トナーを担持するトナー担持体と、前記トナー担持体に接触され前記非磁性一成分トナーの帯電性を制御する帯電補助部材と、を少なくとも有し、
前記非磁性一成分トナーはポリエステル化合物を主成分とする結着樹脂と、着色剤と、離型剤とを少なくとも含有し、
前記非磁性一成分トナー2gをヘキサン溶媒に5分間浸漬させたときの抽出物の質量をX(mg)とし、該抽出物の示差熱分析(DSC)測定により得られる吸熱曲線における最大吸熱ピークの温度をY(℃)としたときに、下記式(1)〜(3)の関係を満たすことを特徴とする現像装置。
【0026】
【数7】
X > 10            (1)
120 > Y > 70       (2)
Y > 1.25X−5       (3)
【0027】
(6)前記結着樹脂100質量部に対する前記離型剤の含有量が0.5〜15質量部であることを特徴とする(5)の現像装置。
【0028】
(7)静電潜像担持体上に担持された静電潜像を非磁性一成分トナーにより可視化して画像を形成する画像形成装置に着脱可能に装着されるプロセスカートリッジであって、
静電潜像を担持する静電潜像担持体と、
前記静電潜像を非磁性一成分トナーによって可視化してトナー像を形成する現像装置と、
前記静電潜像担持体を帯電させる帯電手段、前記帯電された静電潜像担持体上に静電潜像を形成する露光手段、前記現像装置によって形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段、および前記静電潜像担持体の転写残余の非磁性一成分トナーを除去するクリーニング手段から選ばれ、且つ前記現像装置と一体に支持される少なくとも1つの手段と、を有し、
前記現像装置は、前記非磁性一成分トナーを担持するトナー担持体と、前記トナー担持体に接触され前記非磁性一成分トナーの帯電性を制御する帯電補助部材と、を少なくとも有し、
前記非磁性一成分トナーはポリエステル化合物を主成分とする結着樹脂と、着色剤と、離型剤とを少なくとも含有し、
前記非磁性一成分トナー2gをヘキサン溶媒に5分間浸漬させたときの抽出物の質量をX(mg)とし、該抽出物の示差熱分析(DSC)測定により得られる吸熱曲線における最大吸熱ピークの温度をY(℃)としたときに、下記式(1)〜(3)の関係を満たすことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0029】
【数8】
X > 10            (1)
120 > Y > 70       (2)
Y > 1.25X−5       (3)
【0030】
(8)前記結着樹脂100質量部に対する前記離型剤の含有量が0.5〜15質量部であることを特徴とする(7)のプロセスカートリッジ。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明は、静電潜像担持体上に担持された静電潜像を非磁性一成分トナーによって可視化して画像を形成する画像形成方法であって、非磁性一成分トナーを担持するトナー担持体に接触された帯電補助部材により、非磁性一成分トナーの帯電性を制御する帯電補助工程と、トナー担持体に担持された非磁性一成分トナーを静電潜像担持体の表面に接触させて転移させることにより、前記静電潜像を可視化してトナー像を静電潜像担持体上に形成する現像工程と、を少なくとも含み、ポリエステル化合物を主成分とする結着樹脂と、着色剤と、離型剤とを少なくとも含有し、且つ該非磁性一成分トナー2gをヘキサン溶媒に5分間浸漬させたときの抽出物の質量をX(mg)とし、該抽出物の示差熱分析(DSC)測定により得られる吸熱曲線における最大吸熱ピークをY(℃)としたときに、下記式(1)〜(3)の関係を満たす非磁性一成分トナーを用いることを特徴とするものである。
【0032】
【数9】
X > 10            (1)
120 > Y > 70       (2)
Y > 1.25X−5       (3)
【0033】
本発明者らは鋭意検討の結果、前述のように非磁性一成分トナーによる画像形成方法において、該トナーの帯電性を制御する帯電補助部材を用いた場合に生じる、図2に示すような画像の濃淡ムラは間歇耐久評価でより顕著になること、および帯電補助部材を除去して耐久評価を行った場合には出現しないことを見いだした。
【0034】
これらの検討結果より、画像濃淡ムラは帯電補助部材と相関関係があることが推察される。その関係の詳細については不明であるが、以下のように推察される。なお、本明細書において「トナー粒子」とは、結着樹脂、着色剤及び離型剤を少なくとも含有する、本発明の非磁性一成分トナーを構成する粒子を示し、「トナー」とは、上記トナー粒子に必要に応じて外添剤が添加されてなる非磁性一成分トナーを示す。
【0035】
帯電補助部材に電圧をかけると、チッソ酸化物、オゾン等の放電生成物が極少量ではあるが発生する。これらの放電生成物がトナーの結着樹脂の主成分であるポリエステル化合物に作用し、ポリエステル化合物を変性させる。この変性の程度は初期は極微量であるため、トナー耐久評価初期には画像欠陥として現れないが、変性の程度が進むにつれて指数関数的にトナーの帯電特性を変化させるために上記画像濃淡ムラが発生する。
【0036】
ポリエステル化合物のどの部分に放電生成物が作用するのかの詳細については不明であるが、エステル結合部、末端水酸基等と反応するものと推察される。
【0037】
なお、間歇耐久評価において濃淡ムラが顕著に表れる理由は以下のように考えられる。間歇耐久評価においては通常の耐久評価に比べて帯電補助部材近傍に同一のトナー粒子が留まっている時間が長い。そのため、帯電補助部材近傍に滞留するトナー粒子が選択的に変性されているからであると思われる。
【0038】
ここで、上記のような帯電補助部材を用いてトナーの帯電性を制御する画像形成方法に用いられる本発明の非磁性一成分トナーは、ポリエステル化合物を主成分とする結着樹脂と、着色剤と、離型剤とを少なくとも含有し、非磁性一成分トナー2gをヘキサン溶媒に5分間浸漬させたときの抽出物の質量をX(mg)とし、該抽出物の示差熱分析(DSC)測定により得られる吸熱曲線における最大吸熱ピークをY(℃)としたときに、下記式(1)〜(3)の関係を満たすことを特徴とする。
【0039】
【数10】
X > 10            (1)
120 > Y > 70       (2)
Y > 1.25X−5       (3)
【0040】
すなわち、本発明においては、トナーをヘキサンにて短時間で抽出したときの抽出物の質量およびその熱的特性を好適な範囲とすることで、長期に渡る印刷においても、画像欠陥のない良好な画像を継続して得ることができる。その機構の詳細については不明であるが、以下のように推察される。
【0041】
本発明で用いる方法でヘキサンにより抽出される抽出物は、トナー粒子表面近傍に存在する離型剤であると思われる。このような離型剤は結着樹脂の主成分であるポリエステル化合物が、前述の放電生成物によって変性されるのを防ぐ働きをしている。この抽出物の質量および熱的特性を最適な範囲、具体的には前述の式(1)〜(3)を全て満たす範囲とすることで、トナーの変性を長期に渡って抑制し、画像濃淡ムラの発生しない画像を得ることができる。
【0042】
なお、結着樹脂としてポリエステル樹脂を用い、離型剤を表面近傍に局在化させる方法としては特開2002−006541号公報に開示したものがあるが、得られたトナーのワックス分散状態、あるいは内包化の確認方法については明確に提示されていない。また、該公報はワックスを内包化させることでトナーの耐熱安定性、紛体流動性、耐久性等を向上させるものであるが、本発明者らは、ワックスがトナー粒子の表層面を含む表面近傍に存在することで、帯電補助部材を用いた長期に渡る画像形成においても良好な画像を継続して得ることができることを見いだし、且つ、該作用効果を得る為には表面近傍の離型剤存在量と熱的性質を好適な範囲にすることが必要であることを見いだしたのであって、この点において本発明は該公報に記載の技術と明確に区別されるものである。
【0043】
以下、本発明のトナーについて、更に詳細に説明する。
【0044】
まず、本発明のトナーは、トナー2gをヘキサン溶媒に5分間浸漬させたときの抽出物の質量をX(g)としたとき、下記式(1)を満足する。
【0045】
【数11】
X > 10            (1)
【0046】
この式(1)は帯電部材の放電に起因するポリエステル化合物の変性を防止するという本発明の作用効果を発揮する為に必要な、トナー粒子表面近傍に存在する離型剤の必要量閾値について記したものである。上記効果をより発揮させるためには、Xは10〜100(mg)であることが好ましく、20〜80(mg)であることがより好ましい。Xが10(mg)より小さすぎる場合にはポリエステル化合物の変性を効果的に抑制することができず、画像濃淡ムラが発生する画像となり好ましくない。
【0047】
また、本発明のトナーは、上記抽出物の示差熱分析(DSC)測定により得られる吸熱曲線における最大吸熱ピークの温度をY(℃)としたとき、下記式(2)を満足する。
【0048】
【数12】
120 > Y > 70       (2)
【0049】
式(2)は、トナー粒子表面近傍の離型剤が帯電補助部材の機能を妨げない為の、熱的性質の閾値について規定したものである。トナーに含有されるポリエステル化合物の変性を防止しつつ帯電補助部材の機能をより効果的に発揮させるためには、Yが70〜110(℃)であることが好ましく、70〜100(℃)であることがより好ましい。
【0050】
Yが70℃未満である場合には、トナー粒子表面近傍の離型剤が帯電補助部材に容易に付着してしまい、帯電補助部材の機能が満足に発揮されないこととなる。さらに、トナーに外添剤として添加されている各種無機微粒子がこのような離型剤に補足されることでトナーの帯電特性が低下してしまうため、ハーフトーンの画像均一性に劣る画像となり好ましくない。一方、Yが120℃以上である場合には、ポリエステル化合物の変性抑制効果に劣るトナーとなってしまうため好ましくない。その詳細な理由については不明であるが、ポリエステル化合物の変性抑制効果と離型剤の分子量との間に何らかの相関があるものと推察される。
【0051】
さらに、本発明のトナーは、上記XとYとの間に下記式(3)の関係を満たす。
【0052】
【数13】
Y > 1.25X−5       (3)
【0053】
トナー粒子表面近傍の離型剤存在量と、該離型剤の熱的性質との間に上記式の関係が成立することにより、帯電補助部材からの放電によるトナーの劣化を抑制するという本発明の効果が好適に発揮されることを本発明者等は見出した。上記式(3)で表される関係は本発明を強く特徴付けるものの一つである。
【0054】
すなわち、トナー粒子表面近傍に存在する離型剤の融点がある程度高いものであっても、その存在量が多すぎる場合には、トナー粒子表面に存在する離型剤によるポリエステル化合物の変性抑止効果よりも、トナー粒子表面の離型剤が外添剤粒子を捕捉することによるトナーの帯電特性を阻害する作用の方が勝ってしまい、好ましくない。
【0055】
本発明のトナーにおけるXおよびYを求める方法を以下に記す。
【0056】
精秤したトナー2.00gをビーカー中のヘキサン100mlに投入し、マグネティックスターラーを用いて5分間攪拌する。ビーカーは容量200mlの平底ビーカーを用い、スターラーチップのサイズは7.5mm×2.5mm、回転数を750rpmとする。このとき(抽出時)の温度は室温(23℃)とする。
【0057】
その後5Aの濾紙を用い、吸引濾過により濾液を速やかに分別する。濾液を容積200mlのナス型フラスコに全量移し、ロータリーエバポレーターを使用してヘキサンを除去する。フラスコを加温する水浴バスの水温は40℃とする。
【0058】
上記フラスコを40℃で2時間減圧乾燥を行い、フラスコの質量を測定し、使用前の空のフラスコの質量との差分を求めることでX(mg)を算出する。
【0059】
該抽出物の熱的測定は、TAインスツルメント社製TA5000を用いて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用いる。サンプルはアルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットする。温度シーケンスは▲1▼昇温速度10℃/min.で200℃まで昇温、▲2▼降温速度10℃/min.で25℃まで降温、▲3▼再び昇温速度10℃/min.で200℃まで昇温、とし、▲3▼の昇温時に得られた最大吸熱ピークの温度をY(℃)とする。
【0060】
本発明のトナーは、結着樹脂100質量部に対する離型剤の含有量が0.5〜15質量部であることが好ましい。上記離型剤の含有量はより好ましくは3〜15質量部である。離型剤の含有量が0.5質量%未満である場合には、上記式(1)を満たすことが困難となり、本発明の効果が好適に発揮されず好ましくない。
【0061】
一方、離型剤の含有量が15質量%を越える場合には帯電安定性に劣るトナーとなり、長期に渡る使用において好適な画像を維持することが困難となるため好ましくない。
【0062】
本発明のトナーに使用可能な離型剤としてのワックスは、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトローラクタム等の石油系ワックス及びその誘導体;モンタンワックス及びその誘導体;フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体;カルナバワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス及びその誘導体などであり、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。さらには、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸またはその化合物;酸アミドワックス;硬化ヒマシ油及びその誘導体;植物系ワックス;動物性ワックスなども使用できる。
【0063】
なお、エステルワックスおよびエステル結合を有するワックスは、本発明の特徴であるポリエステル化合物の変性を抑える効果に乏しく、使用環境によってはトナーの帯電劣化を促進することもあるため、本発明では使用しないことが好ましい。
【0064】
本発明のトナーは、結着樹脂としてポリエステル化合物を主構成成分として用いることが必須である。具体的には、ポリエステル化合物を結着樹脂のうち50質量%以上とすることで、トナーの帯電特性が好ましいものとなり、画像濃度安定性に優れたものとなる。さらに、結着樹脂中のポリエステル化合物を80質量%以上とした場合には、トナーの帯電特性がよりに好ましいものとなるため、長期の使用においても画像濃度安定性が増す。
【0065】
本発明のトナーに用いられるポリエステル化合物は、ポリエステル樹脂及び該ポリエステル樹脂を変性させたものなど、トナーの結着樹脂として従来より一般的に用いられるポリエステル化合物を用いることができ、特に限定されないが、多価アルコール成分と多価カルボン酸成分を重縮合させることにより得られるポリエステル樹脂を使用するのが好ましい。
【0066】
多価アルコール成分のうち2価アルコール成分としては、例えば、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物の他、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0067】
3価以上のアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0068】
また、多価カルボン酸成分のうち2価のカルボン酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクチルコハク酸、これらの酸の無水物あるいは低級アルキルエステルが挙げられる。
【0069】
3価以上のカルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸の無水物、低級アルキルエステル等が挙げられる。
【0070】
本発明のトナーには、着色力を付与するために着色剤が含有される。本発明に好ましく使用される有機顔料または染料として以下のものが挙げられる。
【0071】
シアン系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62,C.I.ピグメントブルー66等が挙げられる。
【0072】
マゼンタ系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド254等が挙げられる。
【0073】
イエロー系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー111、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー176、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー191、C.I.ピグメントイエロー194等が挙げられる。
【0074】
黒色着色剤としては、カーボンブラック、上記イエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。
【0075】
これらの着色剤は、単独又は混合しさらには固溶体の状態で用いることができる。本発明のトナーに用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナーへの分散性の点から適宜選択される。
【0076】
着色剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対し1〜20質量部添加して用いられる。
【0077】
本発明のトナーには、荷電特性を安定化するために荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。
【0078】
具体的な化合物としては、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸などの芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、スルホン酸またはカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が挙げられる。ポジ系荷電制御剤としては四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。
【0079】
荷電制御剤は結着樹脂100質量部に対して0.5〜10質量部を使用することが好ましい。しかしながら、本発明の画像形成方法に関わるトナーは、荷電制御剤の添加は必須ではなく、トナーの層厚規制部材や現像剤担持体との摩擦による帯電効果や、帯電補助部材によって得られる効果を積極的に利用することで、トナー中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
【0080】
本発明においては、本発明記載の効果を妨げない範囲で、ポリエステル樹脂以外の樹脂をトナーに少量添加することができる。例えば、エポキシ系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアミド系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂、石油樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられる。
【0081】
これらの樹脂を用いる場合にはポリエステル樹脂との相溶性に注意する必要がある。相溶性を向上させるため、ポリマー末端に各種官能基を導入したものも好ましく用いることができる。これらの樹脂の添加量は、トナー質量に対し15質量%未満であることが好ましい。
【0082】
本発明においては、トナーのガラス転移温度(Tg)が50〜65℃であることが好ましい。Tgが50℃未満の場合にはトナーの保存安定性や耐久安定性の面から問題が生じやすく、65℃を超える場合にはトナーの定着点の上昇をもたらす。特にフルカラー画像を形成するためのカラートナーの場合においては各色トナーの定着時の混色性が低下し色再現性にやや劣り、OHP画像の透明性が低下する。
【0083】
尚、本発明においてTgの測定には、例えばTAインスツルメント社製TA5000を用いる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。サンプルはアルミニウム製パンを用い対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/min.で測定を行う。
【0084】
本発明のトナーにおいては、一般的に外添剤として広く知られている有機或いは無機の微粒子を添加することが可能である。具体的には無機微粒子としては例えば金属酸化物(酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化錫、酸化亜鉛など)、窒化物(窒化ケイ素など)、炭化物(炭化ケイ素など)、金属塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなど)、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなど)、カーボンブラック、シリカなどを用いることができる。
【0085】
また、有機微粒子としては、例えば乳化重合法やスプレードライ法による、スチレン、アクリル酸、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどのトナー用結着樹脂に用いられるモノマー成分の単独重合体或いは共重合体からなる微粒子を用いることができる。また、必要に応じてこれら微粒子を複数種併用することも可能である。
【0086】
これらの微粒子は、トナーに対し0.1〜3.0質量%の添加量で、本発明に記載の様々な効果を妨げない範囲で用いることができる。
【0087】
本発明のトナーの製法は特に限定されず、結着樹脂、着色剤、離型剤および必要に応じて電荷制御剤等のトナー構成材料を均一混合した後に溶融混練し、得られた混練物を冷却後、ジェットミル等にて粉砕し、流動性改質剤等を外添するいわゆる粉砕法を用いることができる。
【0088】
また他の手法として溶剤と結着樹脂からなる溶液に着色剤、離型剤および必要に応じて電荷制御剤等を混合分散した後に溶液を水系に導入し、懸濁または粗乳化させ、分級乾燥させるようなウェットプロセスによるトナー化手法を用いることができる。
【0089】
本発明のトナーを得る方法としては、トナーの製造条件における離型剤の添加方法、添加量等を好適なものとすることで、XおよびYの数値を好適に制御することができる。具体的には、トナー構成材料を溶融混練する際、フィーダーに投入する結着樹脂および離型剤の粒径を調整する;混練時の原材料フィード量、混練設定温度、混練軸の長さ(L)と直径(D)との比L/Dを調整する;混練物の熱履歴を適宜調整する;あるいはウェットプロセスにおいては乳化分散させる際の分散媒温度を適宜調整する等の方法によって、製造することが可能となる。
【0090】
また、ポリエステル樹脂のガラス転移温度を適宜調整することも上記式(1)〜(3)を満たす本発明のトナーを得る為の有効な手段の一つである。調整する方法としては、原材料である酸成分およびアルコール成分の種類およびその組み合わせ方、縮合反応時の温度、圧力および反応時間、使用する触媒の種類およびその使用量、各種原材料を添加するタイミングおよび添加スピード等を適宜調整することにより、達成することができる。
【0091】
ポリエステル樹脂の縮合重合反応の進行状況を確認する為には、反応途中でサンプリングした樹脂の酸価を測定する方法が有効である。ポリエステル樹脂の酸価は以下の方法により求められる。
【0092】
サンプル2〜10gを200〜300mlの三角フラスコに秤量し、メタノール:トルエン=30:70の混合溶媒約50mlを加えて樹脂を溶解する。溶解性が悪いようであれば少量のアセトンを加えてもよい。0.1%のブロムチモールブルーとフェノールレッドの混合指示薬を用い、あらかじめ標定されたN/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、アルコールカリ液の消費量から次の計算で酸価を求める。
【0093】
【数14】
酸価=KOH(ml数)×f×5.61/試料質量
(但し、fはN/10KOHのファクター)
【0094】
なお、本発明では得られた結着樹脂の特性を知るため、後述の実施例においてゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)によるクロマトグラムのピークトップ分子量(Mp)を求めた。Mpの測定は以下の条件で測定したものである。
【0095】
サンプルの調製として、試料中の樹脂成分が0.4〜0.6mg/mlとなるようにトナーを室温でテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、得られた溶液をポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルターでろ過する。
【0096】
次に、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料として、東ソー社製TSK スタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500を用いて検量線を作成する。また、検出器は、RI(屈折率)検出器とUV(紫外線)検出器とを直列に配列し用いる。なおカラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、本発明では、昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合わせにて測定を行う。
【0097】
装置は、高速GPC HPLC8120 GPC(東ソー社製)を使用する。
【0098】
また、本発明におけるトナー、トナー粒子、ポリエステル粒子、ワックス粒子の平均粒径はレーザ回折散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製「LA−920」)により求める。
【0099】
次に、本発明の画像形成方法及び該方法が好適に用いられる本発明の現像装置に関して図面を用いて説明する。
【0100】
本発明の画像形成方法は、静電潜像担持体上に担持された静電潜像を上記本発明の非磁性一成分トナーにより可視化して画像を形成する画像形成方法であって、非磁性一成分トナーを担持するトナー担持体に接触された帯電補助部材により、非磁性一成分トナーの帯電性を制御する帯電補助工程と;トナー担持体に担持されたトナー層を静電潜像担持体の表面に接触させて転移させることにより、静電潜像を可視化してトナー像を静電潜像担持体上に形成する現像工程と;を少なくとも含むことを特徴とする。
【0101】
また、上記本発明の画像形成方法が好適に用いられる本発明の現像装置は、静電潜像担持体上に担持された静電潜像を上記本発明の非磁性一成分トナーにより可視化する現像装置であって、非磁性一成分トナーを担持するトナー担持体と、トナー担持体に接触され非磁性一成分トナーの帯電性を制御する帯電補助部材と、を少なくとも有することを特徴とする。
【0102】
本発明の画像形成方法において、トナー担持体としては弾性ローラを用い、弾性ローラ表面等にトナーをコーティングしこれを感光体表面と接触させる現像方法を用いることができる。この場合、トナーを介して、感光体と感光体表面に対向する弾性ローラとの間に働く電界によって現像が行われる。
【0103】
従って弾性ローラ表面或いは表面近傍が電位を持ち、感光体表面とトナー担持体表面の狭い間隙で電界が形成される必要性がある。このため、弾性ローラの弾性ゴムが中抵抗領域に抵抗制御されて感光体表面との導通を防ぎつつ電界を保つか、または導電性ローラの表面層に薄層の絶縁層を設ける方法が利用できる。さらには、弾性ローラを、導電性ローラの感光体表面に対向する側を絶縁性物質により被覆した導電性樹脂スリーブとしてもよいし、絶縁性スリーブで感光体に対向しない側に導電層を設けた構成としてもよい。
【0104】
また、トナー担持体として剛体ローラを用い、感光体をベルトのようなフレキシブルな物とした構成も可能である。トナー担持体としてのローラの抵抗値としては10〜10Ω・cmの範囲であることが好ましい。
【0105】
トナー担持体の表面形状としては、その表面粗度Ra(μm)を0.2〜3.0となるように設定すると、高画質及び高耐久性を両立できるため好ましい。該表面粗度Raはトナー搬送能力及びトナー帯電能力と相関する。該トナー担持体の表面粗度Raが3.0を超えると、該トナー担持体上のトナー層の薄層化が困難となるばかりか、トナーの帯電性が改善されないので画質の向上は望めない。Raを3.0以下にすることでトナー担持体表面のトナーの搬送能力を抑制し、該トナー担持体上のトナー層を薄層化すると共に、該トナー担持体とトナーの接触回数が多くなるため、該トナーの帯電性も改善されるので相乗的に画質が向上する。一方、表面粗度Raが0.2よりも小さくなると、トナーコート量の制御が難しくなる。
【0106】
本発明において、トナー担持体の表面粗度Raは、JIS表面粗さ「JIS B 0601」に基づき、表面粗さ測定器(小坂研究所社製「サーフコーダSE−30H」)を用いて測定される中心線平均粗さに相当する。具体的には、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さaとして2.5mmの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸、粗さ曲線をy=f(x)で表したとき、次式によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものを言う。
【0107】
【数15】
Figure 2004138644
【0108】
本発明の画像形成方法においては、トナー担持体は感光体の周速同方向に回転していてもよいし、逆方向に回転していてもよい。その回転が同方向である場合、トナー担持体の周速を感光体の周速に対し1.05〜3.0倍となるように設定することが好ましい。
【0109】
トナー担持体の周速が、感光体の周速に対し1.05倍未満であると、感光体上のトナーの受ける撹拌効果が不十分となり、良好な画像品質が望めない。また、周速比が3.0を超える場合には、機械的ストレスによるトナーの劣化やトナー担持体へのトナー固着が発生、促進され、好ましくない。
【0110】
上記感光体としては、アモルファスセレン(a−Se)、CdS、ZnO、OPC(有機感光体)、アモルファスシリコン(a−Si)の様な光導電絶縁物質層を持つ感光体ドラムもしくは感光体ベルトが好適に使用される。また、上記OPC感光体における有機系感光層の結着樹脂は、特に限定するものではない。中でもポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂が特に転写性に優れ、感光体へのトナーの融着、外添剤のフィルミングが起こりにくいため好ましい。
【0111】
次に本発明の画像形成方法について、添付図面を参照しながら以下に説明する。図3は本発明の画像形成方法を好適に用いられる画像形成装置の一例の構成を示す概略断面図である。図3において、静電潜像担持体としての感光ドラム1は、矢印A方向に回転し、感光ドラム1を帯電処理するための帯電手段としての帯電装置2によって一様に帯電され、感光ドラム1に静電潜像を書き込む露光手段であるレーザ光3により、その表面に静電潜像が形成される。この静電潜像を感光ドラム1に対して近接配置された現像装置4によって現像し、トナー像として可視化する。なお、本実施形態において現像装置4は、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジである。また、本実施形態ではレーザ光が照射された部分(露光部)にトナーを付着させてトナー像を形成するいわゆる反転現像を行っている。
【0112】
可視化された感光ドラム1上のトナー像は、転写手段としての転写ローラ9によって記録媒体である紙13に転写され、転写されずに感光ドラム1上に残存した転写残トナーはクリーニング手段としてのクリーニングブレード10により掻き取られて廃トナー容器11に収納され、クリーニングされた感光ドラム1に上述作用を繰り返し画像形成を行う。
【0113】
一方トナー像が転写された紙13は定着装置12により定着処理されて装置外に排紙され、プリント動作が終了する。
【0114】
以下、本発明の画像形成方法が好適に用いられる本発明の現像装置4について、図1を用いてさらに説明する。図1において、現像装置4は、非磁性一成分トナー8を収容した現像容器14と、現像容器14内の長手方向(図1の紙面に直交する方向)に沿って延在する開口部に位置し感光ドラム1と対向設置されたトナー担持体としての現像ローラ5と、現像ローラ5に担持されたトナー8からなるトナー層の厚さを規制するトナー規制部材としての弾性ブレード7と、現像ローラ5に担持されたトナーの帯電性を制御する帯電補助部材としてのトナー帯電ローラ20を備え、感光ドラム1上の静電潜像をトナーにより現像して可視化する。
【0115】
トナー担持体としての現像ローラ5は、上記開口部にて図1における右略半周面を現像容器14内に突入し、左略半周面を現像容器14外に露出して横設されている。この現像容器14外へ露出した面は、現像装置4の図中左方に位置する感光ドラム1に当接して対向している。現像ローラ5は矢印B方向に回転駆動されている。
【0116】
弾性ブレード7は、現像容器14の開口部上部に設けられたブレード支持板金15に一端を支持され、他方の自由端が現像ローラ5の外周面に面接触にて当接されている。弾性ブレード7は弾性を有する薄板であり、ウレタン、シリコーン等のゴム材料や、バネ弾性を有するSUSまたはリン青銅の金属薄板を基体とし、現像ローラ5への当接面側にゴム材料が接着したもの等からなるものを好適に用いることができる。弾性ブレード7の現像ローラ5への当接方向としては、当接部に対して先端側が現像ローラ5の回転方向上流側に位置するいわゆるカウンター方向である。現像ローラ5の回転によって弾性ブレード7と現像ローラ5とが摺擦されることにより、トナー粒子が帯電する。
【0117】
本実施形態においては、弾性ブレード7は、厚さ1.0mmの板状のウレタンゴムをブレード支持板金15に接着した構成であり、現像ローラ5に対する当接圧は、22.5〜34.3N/m(23〜35g/cm)としている。なお、弾性ブレード7の現像ローラ5への当接圧は、摩擦係数が既知の金属薄板を3枚当接部に挿入し、中央の1枚をばねばかりで引き抜いた時の値から換算して測定する。
【0118】
現像容器14に収容されたトナー8を現像ローラ5に搬送して該トナー8を帯電させるための弾性ローラ6は、弾性ブレード7と現像ローラ5表面の当接部に対し現像ローラ5の回転方向上流側に当接され、かつ回転可能に支持されている。この構造としては、発泡骨格状スポンジ構造や芯金上にレーヨン、ナイロン等の繊維を植毛したファーブラシ構造のものが、現像ローラ5へのトナー8の供給および未現像トナーの剥ぎ取りの点から好ましく、本実施形態においては、芯金6a上にポリウレタンフォームを設けた直径12mmの弾性ローラ6を用いている。
【0119】
また、弾性ローラ6の現像ローラ5に対する当接幅としては、1〜8mmが有効で、また現像ローラ5に対してその当接部において相対速度差を持たせることが好ましい。本実施形態においては、当接幅を3mmに設定し、弾性ローラ6の周速として現像動作時に50mm/s(現像ローラ5との相対速度は130mm/s)となるように不図示の駆動手段により所定のタイミングで回転駆動させている。
【0120】
以上のような現像装置4において、現像容器14内のトナー8は、該現像容器14内に設けられた攪拌部材16の矢印C方向の回転に伴い弾性ローラ6に向けて送られる。次にこのトナー8は弾性ローラ6が矢印D方向に回転することにより、現像ローラ5近傍に運ばれる。弾性ローラ6上に担持されているトナー8は、現像ローラ5と弾性ローラ6との当接部において、現像ローラ5と摺擦されることによって、摩擦帯電を受け、現像ローラ5上に付着する。
【0121】
その後、トナー8は、現像ローラ5の矢印B方向の回転に伴い、弾性ブレード7との当接部に送られ、ここで適正なトリボ(摩擦帯電量)を受けるとともに現像ローラ5上に薄層のトナー層を形成する(トナー層形成工程)。本実施形態では、トナーの良好な帯電電荷量は−60〜−20μC/g、良好なトナーコート量は0.4〜1.0mg/cm、良好はトナー層厚は10〜20μmであり、これらの各値が満足されるよう各種設定がなされている。
【0122】
帯電補助部材としてのトナー帯電ローラ20は、トナー8の帯電が不十分である部分を放電により制御してトナーに帯電付与する(帯電補助工程)。トナー帯電ローラ20への電圧の印加は、電源18によって現像ローラ5と感光ドラム1の両者間に印加された直流を重畳した交流電圧(現像AC電圧)を分岐した、図5に示すような等価回路によって行う。
【0123】
現像ローラ5とトナー帯電ローラ20の電圧の波形は図6に示す通りであり、トナー引き戻し電圧印加時に現像ローラ5とトナー帯電ローラ20の電位差が生じるように図5中のコンデンサC1、C2の容量を調整する。以上により、現像ローラ5上のトナー8はトナー帯電ローラ20より電荷付与を受ける。
【0124】
電荷付与の方法としては放電を用いている。図4にトナー帯電ローラ20に印加した電圧とトナー現像ローラ5上のトナーの表面電位との関係を示す。本発明における放電開始電圧とは、図4に示すA点の電圧を示す。
【0125】
なお、ここでは、直流電圧および交流電圧の双方を用いて、現像ローラおよびトナー帯電ローラへ電圧印加を行う場合の説明を行ったが、直流電圧のみを用いて該両部材に電圧印加を行っても良い。
【0126】
トナー帯電ローラ20はブタジエンアクリロニトリロゴム(NBR)、シリコーンゴム等からなるゴムローラであり、押圧部材21に取り付けられている。押圧部材21によるトナー帯電ローラ20の現像ローラ5への当接荷重は0.49〜4.9N(50〜500gf)であることが好ましい。トナー帯電ローラ20の現像ローラ5への当接により、現像ローラ5上のトナーは細密充填され均一コートされる。
【0127】
トナー帯電ローラ20は、現像ローラ5上の長手方向(図1の紙面に直交する方向)において、現像ローラ5上の非トナーコート部とトナーコート部の双方に当接されている。これは、トナー帯電ローラ20が現像ローラ5のトナーコート部のみに当接した場合、トナーの流動性が高いためにトナー帯電ローラ20がスリップし、安定した従動回転が得られにくい。そのため非トナーコート部への当接が必須となる。
【0128】
トナー帯電ローラ20は、現像ローラに対して従動駆動するかまたは同周速で回転することが必須である。トナー帯電ローラ20と現像ローラ5との間に周速差が生じると現像ローラ5上におけるトナーコートが不均一になり、現像時に感光体1へトナーがカブリとして転移したり、トナーの飛散や漏れの原因になる。
【0129】
このようにして十分に帯電付与されたトナー8は、現像ローラ5と感光ドラムとの最近接部(現像部)において感光ドラム1の表面に接触し、感光ドラム1上の露光がなされた部分にトナー8が転移することにより、静電潜像が可視化されてトナー像が形成される(現像工程)。
【0130】
現像部(感光ドラム1と現像ローラ5との当接部)において消費されなかった未現像トナーは、現像ローラ5の回転とともに現像ローラ5の下部より回収される。この回収部分には可撓性のシートからなるシール部材17が設けられ、未現像トナーの現像容器14内への通過を許容するともに、現像容器14内のトナー8が現像ローラ5の下部から漏出するのを防止する。
【0131】
この回収された現像ローラ5上の未現像トナーは、弾性ローラ6と現像ローラ5との当接部において、各ローラ5、6の回転に伴い現像ローラ5表面から剥ぎとられる。この剥ぎとられたトナーの大部分は、弾性ローラ6の回転に伴い搬送されて現像容器14内のトナー8と混じりあい、トナー8の帯電電荷が分散される。同時に弾性ローラ6の回転により現像ローラ5上に新たなトナーが供給され前述の作用を繰り返す。
【0132】
上述したように、トナー帯電ローラ20を設ける構成にすることにより、トナー8が弾性ブレード7通過後、現像ローラ5長手方向においてトナー帯電電荷量低下によるトナーの帯電量の不均一が発生しても、トナー帯電ローラ20によるトナー帯電電荷量低下部分への放電によるトナーへの電荷付与が行われ、トナーの帯電量が均一化できる。よって、現像ローラ5の長手方向において、現像時に感光体へトナーがカブリとして転移したり、トナーの帯電電荷量の不均一による画像濃度ムラの発生を確実に防止できるとともに、現像ローラ上のトナー薄層形成を安定して良好に形成することが可能となる。
【0133】
このように、本発明の画像形成方法では上記特定の物性を有する本発明のトナーを上記現像方法とともに用いることにより、長期にわたる画像形成を行った場合や、前の画像形成終了時から次の画像形成開始時までの時間が長い間歇的な画像形成を行った場合でも、低印字率画像における濃淡ムラなどの画像不良の発生を防止し、長期にわたって良好な画像を安定して形成することができる。
【0134】
なお、本実施形態においては、本発明を画像形成装置本体に着脱可能な現像装置からなるプロセスカートリッジに適用した場合について説明したが、画像形成装置本体内に固定され、トナーのみを補給するような構成の現像装置に適用してもよく、また上記現像装置と感光ドラム、クリーニングブレード、廃トナー収容容器、および帯電装置を一体で形成して画像形成装置本体に対し着脱可能なプロセスカートリッジに適用してもよい。
【0135】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0136】
〈ポリエステル樹脂合成例〉
各種材料を表1に示すようなモル比率になるように計量し、これらを2リットルの4つ口フラスコ内に入れた。この4つ口フラスコに還流冷却器と水分離装置と窒素ガス導入管と温度計と撹拌装置とを取り付けて、窒素ガス導入管からこのフラスコ内に窒素を導入すると共にマントルヒーターで加熱しながら、これらを撹拌して反応させるようにした。この時の反応温度は180〜240℃であった。この反応中に酸価を測定しながら反応状態を追跡し、所定の酸価に達した時点でそれぞれ反応を終了させてポリエステル樹脂(1)および(2)を合成した。この時の反応時間は5〜8時間であった。なお、表1中の略号は以下のとおりである。
【0137】
PG    :プロピレングリコール
BPA−PO:ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
BPA−EO:ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
TPA   :テレフタル酸
IPA   :イソフタル酸
FA    :フマル酸
TMA   :トリメリット酸
得られたポリエステル樹脂の酸価、ガラス転移温度、GPC測定によるTHF可溶成分のピークトップ分子量を表1に示す。
【0138】
【表1】
Figure 2004138644
【0139】
〈ポリエステル粒子の製造例1〉
ポリエステル樹脂(1)を二軸式押出し機PCM−30((株)池貝)を用いて溶融させた後、ハンマーミルを用いて粒径約1〜2mm程度の粒子に粗粉砕した。次いでこの粒子をエアージェット方式による微粉砕機により微粉砕した。更に得られた微粉砕物を乾式分級装置を用いて分級して重量平均粒径350μmのポリエステル粒子(1)を得た。
【0140】
〈ポリエステル粒子の製造例2〉
ポリエステル粒子の製造例1において乾式分級装置による分級条件を変更した以外は上記製造例1と同様の方法を用いて、重量平均粒径100μmのポリエステル粒子(2)を得た。
【0141】
〈ポリエステル粒子の製造例3〉
ポリエステル粒子の製造例1において乾式分級装置による分級条件を変更した以外は上記製造例1と同様の方法を用いて、重量平均粒径60μmのポリエステル粒子(3)を得た。
【0142】
〈ポリエステル粒子の製造例4〉
ポリエステル樹脂(2)を二軸式押出し機PCM−30((株)池貝)を用いて溶融させた後、ハンマーミルを用いて粒径約1〜2mm程度の粒子に粗粉砕した。次いでこの粒子をエアージェット方式による微粉砕機により微粉砕した。更に得られた微粉砕物を乾式分級装置を用いて分級して重量平均粒径200μmのポリエステル粒子(4)を得た。
【0143】
〈ポリエステル粒子の製造例5〉
ポリエステル粒子の製造例4において乾式分級装置による分級条件を変更した以外は上記製造例4と同様の方法を用いて、重量平均粒径60μmのポリエステル粒子(5)を得た。
【0144】
得られた各ポリエステル粒子の原材料と重量平均粒径を表2に示す。
【0145】
【表2】
Figure 2004138644
【0146】
〈ワックス粒子の製造例1〉
パラフィンワックス(1)(融点76℃)を二軸式押出し機PCM−30((株)池貝)を用いて溶融させた後、ハンマーミルを用いて粒径約1〜2mm程度の粒子に粗粉砕した。次いでこの粒子をエアージェット方式による微粉砕機により微粉砕した。更に得られた微粉砕物を乾式分級装置を用いて分級して重量平均粒径60μmのワックス粒子(1)を得た。
【0147】
〈ワックス粒子の製造例2〜6〉
ワックス粒子の製造例1において、表3に示すような融点を有するパラフィンワックス(2)〜(4)を用い、乾式分級装置による分級条件を変更した以外は上記製造例1と同様の方法を用いて、ワックス粒子(2)〜(6)を得た。
【0148】
得られた各ワックス粒子の原材料と重量平均粒径を表3に示す。
【0149】
【表3】
Figure 2004138644
【0150】
〈トナーの製造例1〉
(結着樹脂)ポリエステル粒子(1)            100質量部
(着色剤)C.I.ピグメントブルー15:3          8質量部
(荷電制御剤)負荷電性制御剤(ジアルキルサリチル酸の亜鉛化合物)5質量部
(離型剤)ワックス粒子(1)                 5質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(三井鉱山(株))により十分予備混合を行った後、混合物を二軸式押出し機PCM−30で溶融混練した。混練温度を120℃、スクリュー径を30mm、混練軸の長さ(L)と直径(D)との比L/Dを30、吐出量を8kg/Hrとした。
【0151】
混練物は特別な冷却装置を設けることなく空気冷却し、室温まで冷却後、ハンマーミルを用いて粒径約1〜2mm程度の粒子に粗粉砕した。次いで、この粗粉砕物をエアージェット方式による微粉砕機により微粉砕した。更に得られた微粉砕物を乾式分級して重量平均粒径7.9μmのトナー粒子(1)を得た。
【0152】
このトナー粒子(1)100質量部に、BET値が350m/g、一次粒径が7nmである疎水化処理シリカ微粒子1.2質量部を加え、これらをヘンシェルミキサー(三井鉱山(株))で混合して、トナー(1)を得た。
【0153】
トナー(1)を2.00g精秤し、上述した方法によりXおよびYの値を求めた。トナー(1)の原材料および混練条件を表4に、粒径およびX、Yの値を表5に示す。
【0154】
〈トナーの製造例2〜6〉
トナーの製造例1において、表4に示すような原材料および混練条件を用い、分級条件を適宜調整した以外は上記製造例1と同様の方法を用いてトナー(2)〜(6)を得た。
【0155】
トナー(2)〜(6)を2.00g精秤し、上述した方法によりXおよびYの値を求めた。得られた各トナー(2)〜(6)の原材料および混練条件を表4に、粒径およびX、Yの値について表5に示す。
【0156】
〈トナーの製造例7〉
(着色剤)   C.I.ピグメントブルーB15:3     20質量部
(顔料分散剤) ソルスパース5000(ゼネカ(株)社製)   1質量部
(分散媒)   酢酸エチル                 75質量部
上記材料をハンディミルで溶解/分散して、着色剤分散液を調整した。
【0157】
離型剤としてパラフィンワックス(1)30質量部を用い、これを60℃に加温保持した酢酸エチル270質量部に溶解させた後、5℃に急冷し、ワックス微分散液を作製した。結着樹脂としてのポリエステル樹脂(1)100質量部と、上記の着色剤分散液34質量部とを、30℃に保持した酢酸エチル56質量部に加えて攪拌後、これに30℃に保持したワックス微分散液75質量部を加え、均一になるまでよく攪拌した。この液を油相成分とした。
【0158】
一方、イオン交換水700質量部に0.1M−NaPO水溶液450質量部を投入し、50℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、10,000rpmにて攪拌した。これに50℃に加温した1.0M−CaCl水溶液70質量部を徐々に添加し、リン酸カルシウム塩を含む水系媒体を得た。この水性媒体345質量部に、上記油相成分250質量部を加えて、TK式ホモミキサーで10,000rpmにて攪拌し、混合懸濁液を得た。
【0159】
10℃/min.の昇温速度にて上記混合懸濁液を73℃の液温にまで加温した後、73℃の密閉系にて24時間攪拌した。所定時間経過後、系を開放し液温40℃になるまで冷却した。40℃、常圧で48時間プロペラ型攪拌機で攪拌し溶媒を除去した。次に、塩酸を加えてリン酸カルシウム塩を除去した後、水洗、乾燥、分級して、重量平均粒径7.1μmのトナー粒子(7)を得た。
【0160】
このトナー粒子(7)100質量部に、BET値が350m/g、一次粒径が7nmである疎水化処理シリカ微粒子1.2質量部を加え、これらをヘンシェルミキサーで混合して、トナー(7)を得た。
【0161】
トナー(7)を2.00g精秤し、上述した方法によりXおよびYの値を求めた。得られたトナー(7)の粒径およびX、Yの値を表5に示す。
【0162】
【表4】
Figure 2004138644
【0163】
【表5】
Figure 2004138644
【0164】
〈実施例1〉
得られたトナー(1)を用い、以下の方法に従って画像評価を行った。
【0165】
図3に示す画像形成装置を用い、高湿高湿度条件下(温度30℃、湿度80%RH)においてA4サイズのCLC用紙(キヤノン製;80g/m)に画像濃度2%のハーフトーン画像を5000枚プリントした。なお、一枚毎にプリント操作が終わってから次のプリント操作を開始するまでの時間は2分間とした。1枚目、4000枚目、4500枚目、5000枚目の画像を用いて高温高湿度条件下におけるハーフトーン画像の濃度ムラ評価を行った。
【0166】
使用した画像形成装置について、以下に説明する。図3は非磁性一成分系接触現像方式の電子写真プロセスを利用した、レーザービームプリンタ(キヤノン社製「LBP−840」)改造機の概略図である。この画像形成装置に関しての説明は上述した通りである。本実施例では、上記画像形成装置において、現像装置からなるプロセスカートリッジを以下の(a)〜(i)のように改造して用いた。
【0167】
(a)プロセススピードを135mm/sに変更した。
【0168】
(b)帯電方式をゴムローラを当接して行う直接帯電とし、印加電圧を直流成分(−1200V)とした。
【0169】
(c)トナー担持体(現像ローラ)5をカーボンブラックを分散したシリコーンゴムからなる中抵抗ゴムローラ(直径16mm、硬度ASKER−C45度、抵抗10Ω・cm)に変更し、感光ドラム1に当接させた。
【0170】
(d)トナー担持体5の回転周速は、感光ドラム1との接触部分において同方向であり、該感光ドラム1の回転周速に対し155%となるように駆動させた。
【0171】
(e)感光体を以下のものに変更した。
Alシリンダーを基体とし、これに以下に示すような構成の層を順次浸漬塗布することにより積層して、感光ドラム1を作製した。
(1)導電性被覆層:酸化錫及び酸化チタンの粉末をフェノール樹脂に分散したものを主体とする。膜厚15μm。
(2)下引き層:変性ナイロン及び共重合ナイロンを主体とする。膜厚0.6μm。
(3)電荷発生層:長波長域に吸収を持つチタニルフタロシアニン顔料をブチラール樹脂に分散したものを主体とする。膜厚0.6μm。
(4)電荷輸送層:ホール搬送性トリフェニルアミン化合物をポリカーボネート樹脂(オストワルド粘度法による分子量20000)に8:10の質量比で溶解したものを主体とする。膜厚20μm。
【0172】
(f)トナー担持体5にトナーを塗布する手段として、現像装置4内に発泡ウレタンゴムからなる塗布ローラ6を設け、トナー担持体5に当接させた。塗布ローラ6には約−550Vの電圧を印加した。
【0173】
(g)トナー担持体5上のトナーのコート層制御のために、厚さ1.0mmの板状のウレタンゴムを接着したステンレス製ブレード(弾性規制部材7)を用いた。
【0174】
(h)現像時の感光ドラム1とトナー担持体5との間の印加電圧をDC成分(−450V)のみとした。
【0175】
(i)トナー帯電ローラ20はNBR製ゴムローラ(抵抗10Ω・cm)とした。押圧部材21によるトナー帯電ローラ20のトナー担持体5への当接により、0.4mmのニップ(当接幅)を形成している。トナー帯電ローラ20はトナー担持体5に従動させた。トナー担持体5に印加されるバイアスを−270V、トナー帯電ローラ20に印加されるバイアスを−1870Vとした。
【0176】
上記プロセスカートリッジの改造に適合するよう、電子写真装置に以下のように改造及びプロセス条件設定を行った。
【0177】
改造された装置はローラ帯電器(2)(直流のみを印加)を用い、静電潜像担持体である感光ドラム1を一様に帯電した。帯電に次いで、レーザー光22で画像部分を露光することにより静電潜像を形成し、トナー8により可視画像とした後に、電圧を+700V印加した転写ローラ9によりトナー像を紙13に転写した。なお、感光ドラム1の帯電電位は、暗部電位を−580Vとし、明部電位を−150Vとした。
【0178】
得られた画像サンプルを用い、ハーフトーン画像濃度ムラの評価を以下の方法を用いて行った。得られた画像サンプルを目視にて観察し、濃淡のオビが何本認められるかを測定した。濃淡オビの本数が0本であるものが良好な画像であり、本数が増えるにつれて画像品質は低下する。
【0179】
〈実施例2〜4〉
実施例1において、用いたトナーを表6に示すように変えた以外は上記実施例と同様の方法を用いて画像評価を行った。
【0180】
〈比較例1〜3〉
実施例1において、用いたトナーを表6に示すように変えた以外は上記実施例と同様の方法を用いて画像評価を行った。
【0181】
実施例1〜4及び比較例1〜3の評価結果を表6に示す。
【0182】
【表6】
Figure 2004138644
【0183】
〈参考例1〉
トナーの製造例1において、PCM−30で溶融混練する前の混合物を2.00g精秤し、上述した方法を用いてXおよびYの値を求めたところ、Xは82mg、Yは75℃となった。ちなみに用いたワックスが全てヘキサンによって抽出された場合のXの計算値は84mgであり、測定誤差等を鑑みると参考例1については用いたワックスの全量が抽出されていることが分かる。
【0184】
この結果より、本発明記載のXの値はトナー中の離型剤の含有量と同一ではないことが確認される。また、このことから、本発明で用いられるXの測定方法において、ヘキサンの使用量はXの値には影響を与えていない(飽和溶解量に達する抽出条件ではない)ことが確認される。
【0185】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、静電複写機、レーザープリンタ等において、低印字率画像を長期に渡り印刷した場合においても、画像欠陥のない良好な画像を継続して得ることのできる非磁性一成分トナー、画像形成方法、現像装置及びプロセスカートリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】非磁性一成分接触現像を行う現像装置の構成を示す概略断面図
【図2】画像欠陥である画像濃淡ムラの例を示す図
【図3】本発明の画像形成方法が好適に用いられる画像形成装置の概略断面図
【図4】トナー帯電ローラに印加した電圧と、トナー担持体上のトナー表面電位との関係を表すグラフ
【図5】図1の現像装置内の等価回路を示す図
【図6】図1の現像装置に印加される電圧の波形図
【符号の説明】
1 感光ドラム(潜像担持体)
4 現像装置
5 現像ローラ(トナー担持体)
6 弾性ローラ
7 弾性ブレード(トナー規制部材)
8 非磁性一成分トナー
15 ブレード支持板金
18 電源
20 トナー帯電ローラ(帯電補助部材)
21 押圧部材

Claims (8)

  1. 静電潜像担持体上に担持された静電潜像を可視化するための非磁性一成分トナーであって、
    前記非磁性一成分トナーを担持するトナー担持体に接触された帯電補助部材により、前記非磁性一成分トナーの帯電量を制御する帯電補助工程と;前記トナー担持体に担持された非磁性一成分トナーを前記静電潜像担持体の表面に接触させて転移させることにより、前記静電潜像を可視化してトナー像を静電潜像担持体上に形成する現像工程と;を少なくとも含む画像形成方法に用いられ、
    ポリエステル化合物を主成分とする結着樹脂と、着色剤と、離型剤とを少なくとも含有し、
    前記非磁性一成分トナー2gをヘキサン溶媒に5分間浸漬させたときの抽出物の質量をX(mg)とし、該抽出物の示差熱分析(DSC)測定により得られる吸熱曲線における最大吸熱ピークの温度をY(℃)としたときに、下記式(1)〜(3)の関係を満たすことを特徴とする非磁性一成分トナー。
    Figure 2004138644
  2. 前記結着樹脂100質量部に対する前記離型剤の含有量が0.5〜15質量部であることを特徴とする請求項1記載の非磁性一成分トナー。
  3. 静電潜像担持体上に担持された静電潜像を非磁性一成分トナーにより可視化して画像を形成する画像形成方法であって、
    前記非磁性一成分トナーを担持するトナー担持体に接触された帯電補助部材により、前記非磁性一成分トナーの帯電量を制御する帯電補助工程と、
    前記トナー担持体に担持された非磁性一成分トナーを前記静電潜像担持体の表面に接触させて転移させることにより、前記静電潜像を可視化してトナー像を静電潜像担持体上に形成する現像工程と、を少なくとも含み、
    前記非磁性一成分トナーは、ポリエステル化合物を主成分とする結着樹脂と、着色剤と、離型剤とを少なくとも含有し、
    前記非磁性一成分トナー2gをヘキサン溶媒に5分間浸漬させたときの抽出物の質量をX(mg)とし、該抽出物の示差熱分析(DSC)測定により得られる吸熱曲線における最大吸熱ピークの温度をY(℃)としたときに、下記式(1)〜(3)の関係を満たすことを特徴とする画像形成方法。
    Figure 2004138644
  4. 前記結着樹脂100質量部に対する前記離型剤の含有量が0.5〜15質量部であることを特徴とする請求項3記載の画像形成方法。
  5. 静電潜像担持体上に担持された静電潜像を非磁性一成分トナーにより可視化する現像装置であって、
    前記非磁性一成分トナーを担持するトナー担持体と、前記トナー担持体に接触され前記非磁性一成分トナーの帯電性を制御する帯電補助部材と、を少なくとも有し、
    前記非磁性一成分トナーはポリエステル化合物を主成分とする結着樹脂と、着色剤と、離型剤とを少なくとも含有し、
    前記非磁性一成分トナー2gをヘキサン溶媒に5分間浸漬させたときの抽出物の質量をX(mg)とし、該抽出物の示差熱分析(DSC)測定により得られる吸熱曲線における最大吸熱ピークの温度をY(℃)としたときに、下記式(1)〜(3)の関係を満たすことを特徴とする現像装置。
    Figure 2004138644
  6. 前記結着樹脂100質量部に対する前記離型剤の含有量が0.5〜15質量部であることを特徴とする請求項5記載の現像装置。
  7. 静電潜像担持体上に担持された静電潜像を非磁性一成分トナーにより可視化して画像を形成する画像形成装置に着脱可能に装着されるプロセスカートリッジであって、
    静電潜像を担持する静電潜像担持体と、
    前記静電潜像を非磁性一成分トナーによって可視化してトナー像を形成する現像装置と、
    前記静電潜像担持体を帯電させる帯電手段、前記帯電された静電潜像担持体上に静電潜像を形成する露光手段、前記現像装置によって形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段、および前記静電潜像担持体の転写残余の非磁性一成分トナーを除去するクリーニング手段から選ばれ、且つ前記現像装置と一体に支持される少なくとも1つの手段と、を有し、
    前記現像装置は、前記非磁性一成分トナーを担持するトナー担持体と、前記トナー担持体に接触され前記非磁性一成分トナーの帯電性を制御する帯電補助部材と、を少なくとも有し、
    前記非磁性一成分トナーはポリエステル化合物を主成分とする結着樹脂と、着色剤と、離型剤とを少なくとも含有し、
    前記非磁性一成分トナー2gをヘキサン溶媒に5分間浸漬させたときの抽出物の質量をX(mg)とし、該抽出物の示差熱分析(DSC)測定により得られる吸熱曲線における最大吸熱ピークの温度をY(℃)としたときに、下記式(1)〜(3)の関係を満たすことを特徴とするプロセスカートリッジ。
    Figure 2004138644
  8. 前記結着樹脂100質量部に対する前記離型剤の含有量が0.5〜15質量部であることを特徴とする請求項7記載のプロセスカートリッジ。
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