JP2004271638A - 画像形成方法、補給用トナー、及びトナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】オイルレス定着において剥離性の温度によるばらつきがなく、かつ良好な光沢性を維持し、被定着シートへの定着画像付着性、被定着シートの剥離性、耐高温オフセット性、定着画像折り曲げ耐性、定着画像表面光沢性、OHP透明性等の定着特性に優れた画像形成方法、補給用トナー、及びトナーの製造方法を提供することである。
【解決手段】トリクル現像方式を用いた画像形成装置により画像形成を行う画像形成方法であって、補給用トナーにおけるキャリアの含有量が5〜40質量%の範囲、前記トナーの体積平均粒径が3〜10μmの範囲、トナーの形状係数SF1が100〜140の範囲であり、かつ、トナーの最大の吸熱ピークの極大値が70〜130℃の範囲に存在し、透過型電子顕微鏡により観察される前記トナーの断面がコア/シェル構造を有しており、該シェルの厚さが10〜500nmの範囲であることを特徴とする画像形成方法である。
【選択図】 なし
【解決手段】トリクル現像方式を用いた画像形成装置により画像形成を行う画像形成方法であって、補給用トナーにおけるキャリアの含有量が5〜40質量%の範囲、前記トナーの体積平均粒径が3〜10μmの範囲、トナーの形状係数SF1が100〜140の範囲であり、かつ、トナーの最大の吸熱ピークの極大値が70〜130℃の範囲に存在し、透過型電子顕微鏡により観察される前記トナーの断面がコア/シェル構造を有しており、該シェルの厚さが10〜500nmの範囲であることを特徴とする画像形成方法である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法または静電記録法等の方式により、静電潜像を現像して画像を形成する画像形成方法、該画像形成方法に用いられる補給用トナー、及び該補給用トナーを構成するトナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法など静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法においては、帯電、露光工程により感光体(潜像担持体)表面に静電潜像を形成し、トナーを含む現像剤で該静電潜像を現像し、転写、定着工程を経て画像が可視化される。
【0003】
ここで用いられる現像剤としては、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤と、磁性トナーまたは非磁性トナーを単独で用いる1成分現像剤とが知られているが、そのトナーの製造には、通常、熱可塑性樹脂を顔料、帯電制御剤、ワックスなどの離型剤とともに溶融混練し、冷却後、微粉砕・分級する混練粉砕製法が利用されている。さらにこのトナーには、必要であれば流動性やクリーニング性を改善するための無機、有機の微粒子をトナー粒子表面に添加することもある。
これらの方法は、かなり優れたトナーを製造しうるが、以下のようないくつかの問題点を有する。
【0004】
まず、通常の混練粉砕製法では、トナー形状及びトナーの表面構造が不定型であるため、使用材料の粉砕性や粉砕工程の条件等により、微妙に変化させることができるものの、意図的なトナー形状及び表面構造の制御は困難である。また、前記混練粉砕法では材料選択の範囲に制限がある。具体的には、混練後の樹脂着色剤分散体が十分に脆く、経済的に可能な粉砕装置で微粉砕されうる物となるような材料でなければならない。
【0005】
ところが、こういった要求を満たすために樹脂着色剤分散体を脆くすると、得られたトナーにおいて、現像器中で与えられる機械的せん断力などによりさらに微粉が発生したり、トナー形状に変化をきたすことがある。これらの影響により、例えば2成分現像剤においては、前記微粉のキャリア表面への固着による現像剤の帯電劣化が加速されたり、1成分現像剤においては、粒度分布の拡大によりトナー飛散が生じたり、トナー形状の変化による現像性の低下により画質の劣化が生じやすくなる。
【0006】
また、ワックスなどの離型剤を多量に内添してトナー化する場合、熱可塑性樹脂との組み合わせによっては、トナー表面への離型剤の露出に影響することが多い。特に、高分子量成分により弾性が増したやや粉砕されにくい樹脂とポリエチレンのような脆いワックスとの組み合わせでは、トナー表面にポリエチレンの露出が多く見られる。これは定着時のトナー離型性や感光体表面からの未転写トナーのクリーニングには有利であるものの、トナー表層のポリエチレンが機械力により容易に移行するために、現像ロールや感光体、キャリアの汚染を生じやすくなり、信頼性の低下につながる。
【0007】
さらに、トナー形状が不定型であることにより、流動性助剤の添加によっても流動性が充分でないことがあり、使用中の機械的せん断力により発生する微粒子のトナー表面凹部分への移動により経時的に流動性が低下したり、流動性助剤のトナー内部への埋没が起こることで、現像性、転写性、クリーニング性が悪化したりする。また、クリーニングにより回収されたトナーを再び現像器に戻して使用すると、さらに画質の低下を生じやすい。これらを防ぐためにさらに流動性助剤を増加すると、感光体表面への黒点の発生や助剤粒子の飛散を生じる。
【0008】
近年、意図的にトナー形状及び表面構造の制御を可能とする手段として、乳化重合凝集法によるトナーの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。これらは、一般に乳化重合などにより樹脂微粒子分散液を作製し、一方溶媒に着色剤を分散した着色剤微粒子分散液を作製した後、これらを混合し、トナー粒径に相当する凝集粒子を形成し、加熱することによって融合・合一させトナーとする製造方法である。この方法によってある程度はトナー形状を制御でき、帯電性、耐久性の改善を図ることができるが、内部構造がほぼ均一になることから、定着の際の被定着シート(被記録体)の剥離性、OHPを出力した際の透明性の安定化に問題を残している。
【0009】
上記のように電子写真プロセスにおいては、様々な機械的ストレス下でもトナーが安定して性能を維持するために、トナー表面への離型剤の露出を抑制したり、定着性を損なわずに表面硬度を高くしたりすることによって、トナー自体の機械的強度を向上させ、かつ、十分な帯電性と定着性とを両立させることが必要である。
【0010】
また、近年高画質化への要求が高まり、特にカラー画像形成では、高精細な画像を実現するためにトナーの小径化傾向が著しい。しかし、従来のような粒度分布のままでの単純な小径化では、粒度分布における微粉側トナーの存在により、キャリアや感光体の汚染やトナー飛散の問題が著しくなり、高画質と高信頼性とを同時に実現することは困難である。したがって、前記高精細画像実現のためには、粒度分布をシャープ化でき、かつ小粒径化が可能となることが必要になる。
【0011】
さらに、最近のデジタルフルカラー複写機やプリンターにおいては、色画像原稿をB(ブルー)、R(レッド)、G(グリーン)の各フィルターで色分解した後に、オリジナル原稿に対応した20〜70μmのドット径からなる潜像が、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(黒)の各トナーを用い減色混合作用を利用して現像される。したがって、従来の白黒機に比べ多量のトナーを中間転写体や被記録体に転写させる必要がある上、小径のドット径に対応する必要があることから、均一帯電性、持続性、トナー強度、粒度分布のシャープネスがますます重要になりつつある。
【0012】
また、これらのマシンの高速化や省エネルギー性等に鑑みると、トナーのより一層の低温定着性も必要となる。これらの点からも、粒度分布がシャープで小粒子径の製造に適する前記融合・合一トナーは優れた特性を有している。
【0013】
一方、フルカラー機に搭載されるトナーについては、多量のトナーが十分に混色することが必要であり、この際の色再現性の向上やOHP表面の画像透明性が必須となる。このため、特に定着時における定着シートの定着部材との剥離性、オフセット性等のトナーの定着特性は、上記フルカラー画像の高画質化の重要な鍵となる。
【0014】
一般にトナーに含まれる離型剤成分としては、定着時の低温オフセットを防止する目的でポリオレフィン系ワックスが内添されている。また、これと併せて定着ローラーに微量のシリコーンオイルを均一に塗布せしめ、高温における耐オフセット性の向上を図っている。このため、出力された出力転写材(被記録体)にはシリコーンオイルが付着しており、これを取り扱う際にべたつき等の不快感があり、好ましくない。
【0015】
このため、トナー中に大量の離型剤成分を内包させたオイルレス定着用のトナーが提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、この場合多量の離型剤の添加によってある程度は剥離性の改善を行うことができるが、トナー中のバインダー樹脂成分と離型剤とが相溶してしまい、均一な離型剤のしみだしが安定的でなくなることから剥離の安定性は得にくい。さらに、トナーのバインダー樹脂の凝集力を制御する手段が、バインダー樹脂の重量平均分子量Mw、ガラス転移温度Tgに依存するため、トナーの定着時における曳糸性、凝集性を直接的に制御することは困難である。また、前記離型剤の遊離成分が帯電阻害の原因となることもある。
【0016】
これらの問題点を解決する方法として、バインダー樹脂の剛直性を高分子量成分の添加によって得る方法や(例えば、特許文献4、5参照)、化学架橋の導入によって補填し、結果的にトナーの定着温度における曳糸性を減少させるオイルレス定着における剥離性を改善する方法(例えば、特許文献6、7)参照が提案されている。
【0017】
しかし、これらの方法のように、単に架橋剤成分をバインダー樹脂内に添加した場合においては、トナーの粘性、即ち溶融時の凝集力が大きくなりバインダー樹脂自体の剛直性が増加するため、オイルレス剥離における温度依存性やトナー載り量依存性はある程度改善できるものの、定着画像の表面光沢性を同時に得ることが困難である。また、定着画像の折り曲げ耐性も乏しくなる。
【0018】
さらに、架橋剤の分子量を大きくしただけでは、確かに絡み合い点間分子量が大きくなり、定着画像自体の可とう性は若干向上するものの、弾性と粘性との適切なバランスを得ることは難しく、結果としてオイルレス定着における剥離の温度依存性やトナー載り量依存性と、定着画像表面の光沢性、OHP透明性とを両立することは困難である。特に、省エネルギータイプの定着装置やプリントスピードの早いタイプの複写機、プリンターに用いた場合、満足な定着画像を得ることができない。
【0019】
このほか、トナー中に高分子微粒子や無機微粒子を添加し、定着時の耐高温オフセット性を改善する方法が提案されている(例えば、特許文献8参照)。しかし、単にトナー中に無機微粒子を添加した場合、確かに該無機微粒子のフィラー効果により、定着の際のトナーバインダー樹脂溶融時におけるタフネスが上昇し、高温オフセット発生防止や剥離性の改善には効果を発現するが、同時に溶融トナーの流動性が低下し、低温オフセット性、定着画像の光沢性を損なうことがある。また、定着画像の折り曲げ耐性を低下させることもある。さらに、前記無機微粒子の添加量によっては、単にトナー溶融時の粘性だけを増加させ、結果として剥離性を損なうこともある。
【0020】
【特許文献1】
特開昭63−282752号公報
【特許文献2】
特開平6−250439号公報
【特許文献3】
特開平5−61239号公報
【特許文献4】
特開平4−69666号公報
【特許文献5】
特開平9−258481号公報
【特許文献6】
特開昭59−218459号公報
【特許文献7】
特開昭59−218460号公報
【特許文献8】
特開平4−69664号公報
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のトナーにおける上述の如き問題点を解決した画像形成方法、補給用トナー、及びトナー製造方法を提供するものである。
すなわち本発明の目的は、オイルレス定着において剥離性の温度によるばらつきがなく、かつ良好な光沢性を維持し、被定着シートへの定着画像付着性、被定着シートの剥離性、耐高温オフセット性、定着画像折り曲げ耐性、定着画像表面光沢性、OHP透明性等の定着特性に優れた画像形成方法、補給用トナー、及びトナーの製造方法を提供することにあり、これらにより、省エネルギータイプの定着装置やプリントスピードの速い高速複写機、プリンターに用いた場合に、満足できる定着画像を得ることが可能となる。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の本発明により達成される。すなわち本発明は、
<1> 潜像担持体と、該潜像担持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記潜像担持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、トナー及びキャリアからなる現像剤が内部に収容され、現像剤担持体表面に形成された前記現像剤の層により前記潜像を現像し、前記潜像担持体表面にトナー画像を形成する現像器と、前記トナー画像を被転写体に転写する転写手段と、を含む画像形成装置により画像形成を行う画像形成方法であって、前記画像形成装置における少なくとも1の現像器が、その内部に、前記トナーとキャリアとを含有する補給用トナーを適宜補給するとともに、過剰となった前記現像剤を内部から回収する現像剤回収機構を有し、前記補給用トナーにおけるキャリアの含有量が5〜40質量%の範囲、前記トナーの体積平均粒径が3〜10μmの範囲、下記式(1)で表されるトナーの形状係数SF1が100〜140の範囲であり、かつ、前記トナーの示差熱分析より得られる最大の吸熱ピークの極大値が70〜130℃の範囲に存在し、透過型電子顕微鏡により観察される前記トナーの断面がコア/シェル構造を有しており、該シェルの厚さが10〜500nmの範囲であることを特徴とする画像形成方法である。
【0023】
【数2】
【0024】
なお、上記式において、Lはトナーの最大長を表し、Aはトナーの投影面積を表す。
【0025】
<2> 少なくとも結着樹脂及び着色剤を含むトナーと、芯材の表面を樹脂で被覆して得られるキャリアとから構成され、前記トナーとキャリアとを含有する補給用現像剤を適宜補給するとともに、過剰となった前記現像剤を内部から回収する現像剤回収機構を有する現像器を少なくとも1つ備えた画像形成装置に用いられる補給用トナーであって、該補給用トナーにおけるキャリアの含有量が5〜40質量%の範囲、前記トナーの体積平均粒径が3〜10μmの範囲、上記式(1)で表されるトナーの形状係数SF1が100〜140の範囲であり、かつ、前記トナーの示差熱分析より得られる最大の吸熱ピークの極大値が70〜130℃の範囲に存在し、透過型電子顕微鏡により観察される前記トナーの断面がコア/シェル構造を有しており、該シェルの厚さが10〜500nmの範囲であることを特徴とする補給用トナーである。
【0026】
<3> <2>に記載の補給用トナーを構成するトナーの製造方法であって、 少なくとも粒子径が1μm以下の第1の樹脂微粒子を分散した樹脂微粒子分散液と、着色剤粒子を分散した着色剤粒子分散液と、離型剤粒子を分散した離型剤粒子分散液とを混合し、前記第1の樹脂微粒子と前記着色剤粒子と前記離型剤粒子とを含むコア凝集粒子を形成する第1の凝集工程と、前記コア凝集粒子の表面に、第2の樹脂微粒子を含むシェル層を形成しコア/シェル凝集粒子を得る第2の凝集工程と、前記コア/シェル凝集粒子を、前記第1の樹脂微粒子または前記第2の樹脂微粒子のガラス転移温度以上に加熱し融合・合一する融合・合一工程と、を少なくとも含むことを特徴とするトナーの製造方法である。
【0027】
また、前記トナーにおいては、トナー中に含まれる離型剤の180℃における粘度が、20〜500mPa・sの範囲であることが好ましい。
【0028】
また、測定周波数を6.28rad/sとして行った動的粘弾性測定において、50℃におけるトナーの貯蔵弾性率G’1が1×108〜2×109Paの範囲であって、かつ、測定周波数を62.8rad/sとした際の50℃におけるトナーの貯蔵弾性率G’2(Pa)とG’1との比G’2/G’1が4.5〜18.0の範囲であることが好ましい。
【0029】
さらに、前記トナーの製造方法における凝集工程に用いられる金属塩重合体は、4価のアルミニウム塩の重合体、または4価のアルミニウムであることが好ましい。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
<画像形成方法、補給用トナー>
本発明の画像形成方法は、潜像担持体と、該潜像担持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記潜像担持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、トナー及びキャリアからなる現像剤が内部に収容され、現像剤担持体表面に形成された前記現像剤の層により前記潜像を現像し、前記潜像担持体表面にトナー画像を形成する現像器と、前記トナー画像を被転写体に転写する転写手段と、を含む画像形成装置により画像形成を行う画像形成方法であって、
前記画像形成装置における少なくとも1の現像器が、その内部に、前記トナーとキャリアとを含有する補給用トナーを適宜補給するとともに、過剰となった前記現像剤を内部から回収する現像剤回収機構を有し、前記補給用トナーにおけるキャリアの含有量が5〜40質量%の範囲、前記トナーの体積平均粒径が3〜10μmの範囲、下記式(1)で表されるトナーの形状係数SF1が100〜140の範囲であり、かつ、前記トナーの示差熱分析より得られる最大の吸熱ピークの極大値が70〜130℃の範囲に存在し、透過型電子顕微鏡により観察される前記トナーの断面がコア/シェル構造を有しており、該シェルの厚さが10〜500nmの範囲であることを特徴とする。
【0031】
【数3】
【0032】
なお、上記式において、Lはトナーの最大長を表し、Aはトナーの投影面積を表す。
【0033】
すなわち本発明の画像形成方法は、現像によって消費されるトナーと一緒にキャリアを補給するとともに、劣化した現像器内のキャリアを少しずつ回収し、入れ替えていくことにより、現像剤寿命を延ばす、いわゆるトリクル現像システムにおいて、補給用トナーにおけるトナーの粒径、形状、熱的特性等を制御することにより、長期にわたってオイルレス定着における良好な剥離性、耐オフセット性、光沢等を達成できるものである。
なお、本発明における補給用トナーとは、現像剤中に補給される前記トナーとキャリアとを混合したものである。
【0034】
以下、本発明の画像形成方法の構成について説明しつつ、併せて本発明の補給用トナーについても説明する。
本発明に用いられる現像剤は、スタート現像剤及び補給用トナーともに、キャリア及びトナーを適当な配合割合で混合することにより調製される。スタート現像剤におけるキャリアの含有量((キャリアの質量)/(キャリア及びトナーの質量の和)×100)としては、85〜99質量%の範囲が好ましく、より好ましくは87〜98質量%の範囲がより好ましく、89〜97質量%の範囲がさらに好ましい。
【0035】
一方、補給用トナーにおけるキャリアの含有量としては、5〜40質量%の範囲であることが必須であり、6〜30質量%の範囲が好ましい。キャリアの含有量が5質量%より少ないと、トナーの帯電劣化抑制、抵抗変化防止、ひいては画質変化抑制に充分な効果を発現することができない。また、前記トリクル現像システムでは、現像器内で過剰になる現像剤は、現像器内部から回収されるが、補給用トナーにおけるキャリア含有量が40質量%より多いと、この回収量が多くなり、回収後の現像剤を収容しておくための容器の容量を大きくする必要が生じてしまうため、スペース制約が求められる装置小型化の観点からも適さない。
本発明では、コアシェル構造のトナーを用いることにより、補給用トナーにおけるキャリアへのワックスの移行が防止できるために、補給用トナーを現像器に追加した時においてもキャリアからの帯電付与性が良好で、長期にわたり良好な画像を得ることができる。
【0036】
本発明におけるトナーの粒径は、体積平均粒径D50vで3〜10μmの範囲であることが必要であり、3〜8μmの範囲がより好ましい。前記D50vが3μm未満ではトナー帯電性が不十分になり現像性が低下することがあり、10μmを超えると画像の解像性が低下する。
【0037】
なお、補給用トナーのキャリアとしては、体積平均粒径D50vが10〜500μmの範囲のキャリアが用いられる。より好ましい体積平均粒径D50vは、30〜100μmの範囲である。さらに好ましくは、25〜50μmの範囲である。
【0038】
また、本発明におけるトナー粒子径分布指標は、体積平均粒度分布指標GSDvが大きくとも1.30(GSDv≦1.30)であり、かつ、該体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpとの比GSDv/GSDpが、少なくとも0.95(0.95≦(GSDv/GSDp))であることが好ましい。
【0039】
体積平均粒度分布指標GSDvが1.30を超えると、画像における解像性が低下し、体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpとの比が0.95未満の場合は、帯電性の低下を発生させることがあると同時に、飛び散り、カブリ等の画像欠陥の原因ともなり得る。
【0040】
前記トナーの粒径、及び平均粒径分布指標は、例えば、コールターカウンターTAII(日科機社製)、マルチサイザーII(日科機社製)等の測定機を用いて測定される粒度分布を、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積、数、それぞれに小径側から累積分布を描き、例えば累積16%となる粒径を体積D16v、または数D16pと定義し、累積50%となる粒径を、体積D50v、または数D50pと定義する。さらに、累積84%となる粒径を体積D84v、または数D84pと定義する。これらを用いて、体積平均粒度分布指標GSDvは、(D84v/D16v)1/2より求められ、数平均分布粒度指標GSDpは、(D84p/D16p)1/2より算出される。
【0041】
本発明におけるトナーは、下記式(1)で表されるトナーの形状係数SF1が100〜140の範囲であることが必要である。また、トナーの形状係数SF1は、110〜135の範囲であることが好ましい。
【0042】
【数4】
【0043】
上記式において、Lはトナーの最大長を表し、Aはトナーの投影面積を表す。
形状係数SF1が140を超えるとトナーの流動性が低下し、初期から転写性に悪影響を及ぼす。
なお、トナー形状係数SF1は、スライドガラス表面に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個以上のトナー粒子の最大長と投影面積を求め、上記式(1)によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
【0044】
前記形状係数SF1を制御する方法としては、混練粉砕法により得られたトナー粒子を熱風下で球形化させる方法も用いることができるが、後述する製造方法によってトナーを製造することが、製造安定性の観点で好ましい。
【0045】
また本発明においては、前記トナーの示差熱分析より得られる最大の吸熱ピークの極大値が70〜130℃の範囲に存在することが必要である。前記最大の吸熱ピークは、後述する離型剤の吸熱ピークに相当するものであり、該吸熱ピークの極大値が70℃未満であると、定着時にオフセットを生じやすくなる。また、130℃を超えると、定着温度が高くなり定着画像表面の平滑性が得られず光沢性を損なう。
なお、上記温度は70〜100℃の範囲がより好ましい。
【0046】
前記示差熱分析での最大吸熱ピークの測定は、例えば、示差走査型熱量計DSC−7(パーキンエルマー社製)を用い、ASTMD3418−8に準拠して行うことができる。具体的には、装置の検出部の温度補正は、インジウムと亜鉛との融点を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いた。試料セルはアルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度を10℃/minとして測定を行った。
【0047】
本発明においては、前記トナーに含まれる離型剤の180℃における粘度が、20〜500mPa・sの範囲であることが好ましい。180℃における粘度が20mPa・s未満であると、定着の際に離型剤の粘度が低くトナーから析出しやすくなる。そのために剥離性は向上するものの、表面層の離型剤が定着ロールに付着するため、定着表面層の離型剤が均一にならない。そのため、光の乱反射が発生し、グロスの低下、OHP透過性の低下が発生するする場合がある。また、500mPa・s以上であると、定着の際に離型剤の粘度が高すぎ、定着時にトナーから析出しにくくなるため剥離力が悪化する。そのためにグロスむらが発生し、グロスの低下を引き起こす場合がある。
【0048】
上記離型剤の粘度は、動的粘弾性装置ARES(レオメトリックサイエンティフィック社製)を用いて測定することができる。
【0049】
本発明における透過型電子顕微鏡により観察されるトナーの断面は、コア/シェル構造を有しており、該シェルの厚さが、10〜500nmの範囲であることが必要である。シェルの厚さが10nm未満であると、コア内に合一・融合されている顔料、離型剤が外部に析出しやすくなり、定着部材等を汚染する可能性が高い。また、500nmを超えると、実質的にコアにおける樹脂量が顔料に比べて少なくなり、コア内の顔料分散性が劣ることとなり、現像剤用トナーに求められる色域のズレ、帯電特性の低下、低グロス化を招くおそれがある。
【0050】
次に、トナーの粘弾性特性について説明する。
一般に、トナーの動的な弾性、粘性は、動的粘弾性測定の際の周波数に依存する。周波数が高い場合、トナーを構成するバインダー樹脂成分のみならず、トナー中の色材や磁性金属微粒子などの内添剤の存在による弾性に対する寄与が高くなり、硬くなる傾向を有する。一方、周波数が低い場合、これらの寄与が低下し、結果として柔らかい挙動を示すことから、測定される貯蔵弾性率は小さくなる。
【0051】
一般に、トナー等の高分子材料は、通常、その状態、すなわち分子鎖の運動状態が温度の上昇に伴って、ガラス域、遷移域、ゴム状域、流動域へと変化する。
上記ガラス域は、ガラス転移温度(Tg)以下の温度で、高分子の主鎖の運動が凍結されている状態だが、温度が上昇し分子の運動が大きくなるに従って、ガラス状態から徐々にやわらかくなり、最終的には、流動状態を示すようになる。
【0052】
これらの性質は、前記のように測定周波数にも影響され、弾性率の大きさはトナーの構造、すなわちバインダー樹脂のみで構成される表面近傍の厚さ(体積)や、トナーの内添剤の存在量・存在位置、存在状態(分散状態)、及びバインダー樹脂との親和性にも影響される。
【0053】
本発明のトナーは、トナー粒子の作製過程においてコア/シェル構造が形成されることや、色材や磁性金属微粒子、あるいは離型剤粒子のトナー粒子内部における存在状態の差が、定着、帯電性に影響を及ぼすことから、それらの差は、動的粘弾性の周波数を変化させた際の応答性の差として検出される。
【0054】
本発明においては、測定周波数を6.28rad/sとした動的粘弾性測定における50℃におけるトナーの貯蔵弾性率G’1が、1×108〜2×109Paの範囲にあって、かつ、測定周波数を62.8rad/sとした場合の50℃における貯蔵弾性率G’2(Pa)との比G’2/G’1を4.5〜18.0の範囲とすることで、本発明の目的を達成するトナー構造を規定することができる。
【0055】
測定周波数6.28rad/sの場合の50℃における貯蔵弾性率G’1が1×108Paより小さいと、トナーの溶融時における曳糸性が高く、オイルレス定着での剥離性が低下するばかりでなく、高温オフセット性が悪化する。また、2×109Paよりも大きいと、弾性が高く硬いために曳糸性はなく、高温オフセット性やオイルレス定着での剥離性は良好となるものの、被記録体として用いられる紙等との接着性、すなわち定着性が低下する。
【0056】
さらに、このときの貯蔵弾性率と、測定周波数を62.8rad/sとした場合の50℃における貯蔵弾性率の比G’2/G’1を、4.5〜18.0の範囲とすることで、トナー内部の内添剤の分散状態を良好なものとすることができる。上記比が4.5より小さいと、トナー内部の内添剤の分散が不均一であって十分な構造制御がなされていないことを表し、発色性や帯電性のトナー粒子間均一性が低下し、飛び散り等の原因となることがある。一方、18.0よりも大きいと、内添剤の分散性は良好であるが、前記シェル構造が十分に形成されていないことがあり、定着性や剥離性は良好であるが、トナー帯電性や流動性が悪化することがある。
【0057】
本発明における前記動的粘弾性の測定には、例えば、動的粘弾性測定装置ARES(レオメトリックサイエンティフィック社製)が用いられる。
上記動的粘弾性測定では、通常トナーを錠剤に成形した後、25mm径のパラレルプレートにセットし、ノーマルフォースを0とした後に所望の振動周波数で正弦波振動を与える。測定は0℃から開始し200℃まで継続する。測定時間インターバルは30秒、測定開始後の温度調整精度は±1.0℃以下とすることが測定精度の観点から好ましい。また測定中、各測定温度においてひずみ量を適切に維持し、適正な測定値が得られるように適宜調整する。
【0058】
以上のように、本発明においては、断面がコア/シェル構造を有するトナーに関し、トナーの示差熱分析より得られる最大の吸熱ピークの極大値を70〜130℃の範囲とし、前記シェルの厚さを10〜500nmの範囲とすることで、トナーのタフネスさや耐久性と、定着の際の離型剤の析出量との最適化を図ることができ、剥離、グロス、OHP透過性等の特性が維持できる。
【0059】
さらに、離型剤の180℃における粘度が20〜500mPa・sの範囲であり、測定周波数を6.28rad/sとした場合の50℃におけるトナーの貯蔵弾性率G’1が1×108〜2×109Pa・sの範囲であり、かつ測定周波数6.28rad/sと62.8rad/sとの貯蔵弾性率の比を4.5〜18.0の範囲とすることにより、前記特性をより好ましく発現させることができる。
【0060】
すなわち、トナーのタフネス、耐久性、シェル厚、及び離型剤の露出量の最適化、さらにはトナー内部の内添剤の分散性、均一性の最適化によって、離型剤の露出が均一化され、剥離性、耐高温オフセット性が向上し、特に定着圧力差、温度、湿度等に起因する種々の異なる条件下においても剥離の安定性が向上した。
さらに、剥離起因のグロスむらが低減しグロスが向上するため、OHP透過性の向上にもつながった。
【0061】
加えて、上記のようにトナーの定着性能が改善したため、フリーベルトニップフューザーのように定着圧力分布の異なる定着器や、定着圧力の異なる定着器でも統一したトナーを使用することが可能となり、トナーの汎用性が広がる効果も得られた。
【0062】
本発明におけるトナーは、その帯電量の絶対値が20〜40μC/gの範囲にあるのが好ましく、15〜35μC/gの範囲がより好ましい。前記帯電量が、20μC/g未満であると、背景部汚れが発生し易くなり、40μC/gを越えると、画像濃度の低下が発生し易くなる。また、30℃、80RH%の高温高湿度下と、10℃、20%RHの低温低湿度下とでの帯電量の比率は、0.5〜1.5の範囲が好ましく、0.7〜1.3の範囲がより好ましい。帯電量の比率が前記範囲内にあると、環境に影響されることなく鮮明な画像を得ることができる。
【0063】
次に、本発明の画像形成方法に用いられる画像形成装置について説明する。
前記のように、本発明の画像形成方法においては、潜像担持体と、該潜像担持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記潜像担持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、トナー及びキャリアからなる現像剤が内部に収容され、現像剤担持体表面に形成された前記現像剤の層により前記潜像を現像し、前記潜像担持体表面にトナー画像を形成する現像器と、前記トナー画像を被転写体に転写する転写手段と、を含む画像形成装置が用いられる。
【0064】
特に、本発明の画像形成方法において、フルカラー画像を作製する場合には、用紙汎用性、高画質の観点から、各色のカラートナー画像を、被転写体としての中間転写ベルトまたは中間転写ドラム表面に一旦転写して積層させた後、該積層されたカラートナー画像を一度に紙等の被記録体表面に転写することが好ましい。勿論、被転写体を紙等の被記録体とし、直接、各色のカラートナー画像を積層する構成としてもよい。
【0065】
また、本発明においては、前記画像形成装置における少なくとも1の現像器が、その内部に、前記トナーとキャリアとを含有する補給用トナーを適宜補給するとともに、過剰となった前記現像剤を内部から回収する現像剤回収機構を有する、いわゆるトリクル現像システムを採用している。
【0066】
本発明は、トリクル現像システムにおける補給用トナーとして、既述の形状、粒径、熱的特性等が制御されたコア/シェル構造を有するトナーを含むものを用いることにより、前記剥離、グロス、OHP透過性等の特性を長期にわたって維持できるものである。
【0067】
上記トリクル現像システムにおけるキャリア補給は、通常補給用トナー中にキャリアを混入させるため、トナー消費に伴い一定量のキャリアが補給されることとなる。さらに、その一般的な制御方法としては、現像器内のトナー濃度センサーにより、トナー濃度が一定範囲になるように逐次トナーが補給制御されるものが挙げられる。また、補給により過剰となった現像器内の現像剤は、通常オーバーフローにより回収され、回収容器に収容される。
【0068】
本発明において用いられる画像形成装置では、少なくとも1の現像器が具備されていればその構成は特に制限されないが、複数の現像ユニットを有するタンデム方式であることが好ましい。そして、この場合であっても、少なくとも1の現像ユニットの現像器がトリクル現像システムを採用しているものであれば、当該現像ユニットにおいて本発明の効果が得られ、現像剤のメンテナンスを省力化、、メンテナンスフリーに加え、長期にわたる高画質、高光沢画像等が実現できるが、勿論、より多くの現像ユニットについて、トリクル現像システムを採用することが望ましく、全ての現像ユニットについて採用することが最も望ましい。
以下に、本発明において用いられる画像形成装置について、その一例を挙げて説明する。
【0069】
図1は、本発明において用いられる画像形成装置の一例を示す概略断面図である。この画像形成装置においては、図1に示すように、それぞれイエロー、マゼンタ、シアンそしてブラックの各色の画像を形成する4つの現像ユニット40Y、40M、40C、40Kが、所定の間隔をおいて並列的に(タンデム状に)配置されている。ここで、各現像ユニット40Y、40M、40C、40Kは、収容されている現像剤中のトナーの色を除き基本的に同様に構成されているので、以下、イエローの現像ユニット40Yを代表させて説明する。
【0070】
イエローの現像ユニット40Yは、像担持体としての感光体ドラム(潜像担持体)1Yを備えており、この感光体ドラム1Yは、その中央に当該図1が描かれた紙面に垂直な方向に軸を有し、図示の矢印A方向に沿って図示しない駆動手段によって所定のプロセススピードで回転駆動されるようになっている。感光体ドラム1Y表面の感光体としては、例えば、赤外領域に感度を持つ有機感光体が用いられる。
【0071】
なお、所定の条件により自動で、あるいは、手動で、プロセススピードの切り替えが可能であってもよい。本発明の画像形成方法は、このようにプロセススピードの切り替えが途中で行われるような装置であっても、高画質な画像形成と現像剤の維持性とを実現し得るものである。ここで、「所定の条件により自動」としては、例えば、写真画像等高精細な画像部分を含む画像情報が入力された場合に、高画質な画像を得るため、自動で通常モードから低速モードに切換える場合が挙げられる。
【0072】
図1における感光体ドラム1Yの上部には、ロール帯電方式の帯電器(帯電手段)20Yが設けられており、帯電器20Yには不図示の電源により所定の電圧が印加され、感光体ドラム1Yの表面が所定の電位に帯電される(帯電器20M、20C、20Kおよび感光体ドラム1M、1C、1Kにおいても同様)。
【0073】
感光体ドラム1Yの周囲には、帯電器20Yよりも該感光体ドラム1Yの回転方向下流側に、該感光体ドラム1Yの表面に画像露光を施して静電潜像を形成する潜像形成手段3Yが配置されている。なお、ここでは潜像形成手段3Yとして、スペースの関係上、小型化が可能なLEDアレイを用いているが、これに限定されるものではなく、他のレーザービーム等による潜像形成手段を用いても勿論問題ない。
【0074】
また、感光体ドラム1Yの周囲には、潜像形成手段3Yよりも該感光体ドラム1Yの回転方向下流側に、イエロー色の現像器4Yが配置されており、感光体ドラム1Y表面に形成された静電潜像がイエロー色のトナーによって顕像化され、感光体ドラム1Y表面にトナー画像が形成される構成になっている。
【0075】
図1における感光体ドラム1Yの下方には、感光体ドラム1Y表面に形成されたトナー画像を一次転写する中間転写ベルト15が、4つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kの下方に渡って配置されており、この中間転写ベルト15は、一次転写ロール5Yによって感光体ドラム1Yの表面に押し付けられている。また、中間転写ベルト15は、駆動ロール11、支持ロール12およびバックアップロール13の3つのロールからなる駆動手段によって張架され、感光体ドラム1Yのプロセススピードと等しい移動速度で、矢印B方向に周動されるようになっている。そして、中間転写ベルト15表面には、上記のようにして一次転写されたイエローのトナー画像の他、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色のトナー画像が順次一次転写され、積層される。
【0076】
また、感光体ドラム1Yの周囲には、一次転写ロール5Yよりも感光体ドラム1Yの回転方向(矢印A方向)下流側に、感光体ドラム1Yの表面に残留したトナーやリトランスファーしたトナーを清掃するためのクリーニングブレードからなるクリーニング手段6Yが配置されており、クリーニング手段6Yにおけるクリーニングブレードは、感光体ドラム1Yの表面にカウンター方向に当接するように取り付けられている。
【0077】
中間転写ベルト15を張架するバックアップロール13には、中間転写ベルト15を介して二次転写ロール14が圧接されており、中間転写ベルト15表面に一次転写され積層されたトナー画像を、バックアップロール13と二次転写ロール14とのニップ部に、図示しない用紙カセットから給紙される被記録体16表面に、静電的に転写するように構成されている。
【0078】
さらに、中間転写ベルト15の外周には、駆動ロール11の表面に略対応した位置に、中間転写ベルト用の清掃部材17が該中間転写ベルト15の表面に接触するように配置されている。
【0079】
また、図1における中間転写ベルト15の駆動ロール11の下方には、被記録体16表面に多重転写されたトナー画像を、熱及び圧力によって被記録体16表面に定着して、永久像とするための定着器18が配置されている。
【0080】
次に、上記のように構成されたイエロー、マゼンタ、シアンそしてブラックの各色の画像を形成する各現像ユニット40Y、40M、40C、40Kの動作について説明する。各現像ユニット40Y、40M、40C、40Kの動作は、それぞれ同様であるため、ここでは、イエローの現像ユニット40Yの動作を、その代表として説明する。
【0081】
イエローの現像ユニット40Yにおいて、感光体ドラム1Yは、矢印A方向に所定のプロセススピードで回転しており、感光体ドラム1Yの表面は、不図示の電源によって帯電器20Yに所定の電圧を印加することにより、帯電器20Yと感光体ドラム1Yとの間の微小間隙に生じる放電、または電荷の注入によって、所定の電位にマイナス帯電される。その後、感光体ドラム1Yの表面には、潜像形成手段3Yによって画像露光が施され、画像情報に応じた静電潜像が形成される。続いて、感光体ドラム1Yの表面に形成された静電潜像は、現像器4Yによりマイナス帯電されたトナーが反転現像され、感光体ドラム1Y表面に可視像化され、トナー画像が形成される。その後、感光体ドラム1Y表面のトナー画像は、一次転写ロール5Yにより中間転写ベルト15表面に一次転写される。一次転写後、感光体ドラム1Yは、その表面に残留したトナー等がクリーニング手段6Yのクリーニングブレードにより掻き取られ、清掃され、次の画像形成工程に備える。
【0082】
以上の動作が各現像ユニット40Y、40M、40C、40Kで行われ、各感光体ドラム1Y、1M、1C、1K表面に可視像化されたトナー画像が、次々と中間転写ベルト15表面に多重転写されていく。フルカラーモード時は、イエロー、マゼンタ、シアンそしてブラックの順に各色のトナー画像が多重転写されるが、単色、二色、三色モード時のときも同様の順番で、必要な色のトナー画像のみが単独または多重転写されることになる。その後、中間転写ベルト15表面に単独または多重転写されたトナー画像は、二次転写ロール14により、図示しない用紙カセットから搬送されてきた被記録体16表面に二次転写され、続いて、定着器18において加熱・加圧されることにより定着される。二次転写後に中間転写ベルト15表面に残留したトナーは、中間転写ベルト15用のクリーニングブレードである清掃部材17により清掃される。
なお、本発明に用いられる画像形成装置のプロセススピードは、100〜250mm/sの範囲であることが好ましい。
【0083】
前述のように、本発明においては、現像ユニット40Y、40M、40Cおよび40Kのうち、少なくともいずれか1の現像ユニットの現像器(4Y、4M、4Cおよび4Kの少なくともいずれか1つ)が、トリクル現像システムを採用しており、かつ、かかる現像器に既述の本発明の補給用トナーが収容されている。
【0084】
以上のようなタンデム方式の画像形成装置では、ロータリー現像システムに比べカラー高速化が容易となるが、例えば、現像ユニット40Kのみを用いて黒色画像を得ようとする場合にも、他の色の現像ユニット40Y、40M、40Cも一緒に稼動してしまい、現像器4Y、4M、4Cに内蔵される現像剤担持体が、感光体ドラム1Y、1M、1Cと連動して回転するため、現像器4Y、4M、4C内部に収容された現像剤が受けるストレスは、極めて大きいものとなる。また、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K周辺のスペース、あるいは、装置の大きさの制限上、1個当たりの現像器4Y、4M、4C、4Kの大きさは制限され、スペース上各現像器内に充分な現像剤量を確保できないため、装置構造的にも現像剤が受けるストレスは大きくなりがちである。
【0085】
しかし、本発明の画像形成方法においては、現像器4Y、4M、4C、4Kの少なくともいずれか1つに、トリクル現像システムを採用し、しかも維持性の高い補給用トナーを補給することで、現像剤寿命を格段に延ばし、メンテナンスフリーをも実現し得るものとなっている。したがって、現像剤中のトナーも使用によるストレスを受けることがなく、形状、粒径、コア/シェル構造等を一定に保つことができるため、定着における剥離性、耐高温オフセット性等を安定的に維持できることとなる。
【0086】
本発明の画像形成方法に使用する画像形成装置において、各構成部材は、本発明に規定するものの他、特に制限はない。例えば、潜像担持体、中間転写ベルト(あるいは中間転写ドラム)、帯電器等の各構成要素は、公知の如何なるものをも採用することができる。
ただし、前記帯電手段としては、オゾン発生の低減による環境保全性等を高い次元で実現できる点で、ロール帯電方式の帯電器であることが好ましい。
【0087】
また、クリーニング手段6Yとしては、ブレードクリーニング方式のものが、性能安定性に優れることから、一般に好ましく使用されており、上記例においても採用している。球形に近いトナーのクリーニングを可能とするためにはブレードの物理特性制御および接触条件を最適化することが望まれるが、それとともに前記本発明に規定する現像剤、特に既述の単分散球状シリカ、研磨剤および滑剤とを組み合わせた外添剤を添加したトナーを含む現像剤を用いることにより、潜像担持体表面の残留トナーを安定的にクリーニングすることが可能となり、潜像担持体の耐摩耗性による寿命を大きく延ばすことができる。また、潜像担持体の回転方向におけるクリーニング手段の上流・下流のどちらかに、静電ブラシを配してもよい。
【0088】
前記静電ブラシとしては、カーボンブラック、金属酸化物等の導電フィラーを含有させた樹脂からなる繊維状の物質、あるいは、前記導電性フィラーを表面に被覆した繊維状の物質を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0089】
以上、本発明の画像形成方法に使用する画像形成装置の一例により、図面を用いて本発明の画像形成方法を説明したが、本発明は、本発明の構成を具備する限り、他の任意的要素については、公知の知見により如何なる変更・修正をも為し得るものであり、制限されるものではない。
【0090】
<トナーの製造方法>
次に、本発明のトナーを製造する際に好適な製造方法について説明する。
本発明のトナーの製造方法は、既述の本発明の補給用トナーを構成するトナーの製造方法であって、少なくとも粒子径が1μm以下の第1の樹脂微粒子を分散した樹脂微粒子分散液と、着色剤粒子を分散した着色剤粒子分散液と、離型剤粒子を分散した離型剤粒子分散液とを混合し、前記第1の樹脂微粒子と前記着色剤粒子と前記離型剤粒子とを含むコア凝集粒子を形成する第1の凝集工程と、前記コア凝集粒子の表面に、第2の樹脂微粒子を含むシェル層を形成しコア/シェル凝集粒子を得る第2の凝集工程と、前記コア/シェル凝集粒子を、前記第1の樹脂微粒子または前記第2の樹脂微粒子のガラス転移温度以上に加熱し融合・合一する融合・合一工程と、を少なくとも含むことを特徴とする。
【0091】
上記のような製造方法を用いることにより、既述の粒度分布、形状、粘弾性特性等を有するコア/シェル構造を有するトナーを、制御性よく容易に得ることができる。
【0092】
前記第1の凝集工程においては、まず、樹脂微粒子分散液と、着色剤粒子分散液と、離型剤粒子分散液とを準備する。樹脂微粒子分散液は、乳化重合などによって作製した第1の樹脂微粒子を、イオン性界面活性剤を用いて溶媒中に分散させることにより調製される。着色剤粒子分散液は、樹脂微粒子分散液の作製に用いたイオン性界面活性剤と反対極性イオン性界面活性剤を用いて、青色、赤色、黄色等の所望の色の着色剤粒子を溶媒中に分散させることにより調製される。また、離型剤粒子分散液は、離型剤を、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱するとともに強い剪断をかけられるホモジナイザーや圧力吐出型分散機により微粒子化することにより調製される。
【0093】
次に、上記樹脂微粒子分散液と着色剤粒子分散液と離型剤粒子分散液とを混合し、第1の樹脂微粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ、所望のトナー粒径にほぼ近い径を持つ、第1の樹脂微粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とを含む凝集粒子(コア凝集粒子)を形成する(第1の凝集工程)。
【0094】
第2の凝集工程は、前記第1の凝集工程で得られたコア凝集粒子の表面に、第2の樹脂微粒子を含む樹脂微粒子分散液を用いて、第2の樹脂微粒子を付着させ、所望の厚みの被覆層(シェル層)を形成することによりコア凝集粒子表面にシェル層が形成されたコア/シェル構造も持つ凝集粒子(コア/シェル凝集粒子)を得る(第2の凝集工程)。なお、この際用いる第2の樹脂微粒子は、第1の樹脂微粒子と同じであってもよく、異なったものであってもよい。
【0095】
また、第1及び第2の凝集工程において用いられる、第1の樹脂微粒子、第2の樹脂微粒子、着色剤粒子、離型剤粒子の中心径は、トナー粒径及び粒度分布を所望の値に調整するのを容易とするために、1μm以下であることが必要であり、100〜300nmの範囲内であることがより好ましい。
【0096】
第1の凝集工程においては、樹脂微粒子分散液や着色剤粒子分散液に含まれる2つの極性のイオン性界面活性剤(分散剤)量のバランスを予めずらしておくことができる。例えば、硝酸カルシウム等の無機金属塩、もしくはポリ塩化アルミニウム等の無機金属塩の重合体を用いてこれをイオン的に中和し、第1の樹脂微粒子のガラス転移温度以下の温度で加熱して、コア凝集粒子を作製することができる。
【0097】
このような場合、第2の凝集工程においては、上記したような2つの極性の分散剤のバランスのずれを補填するような極性及び量の分散剤で処理された樹脂微粒子分散液を、コア凝集粒子を含む溶液中に添加し、さらに必要に応じてコア凝集粒子または第2の凝集工程において用いられる第2の樹脂微粒子のガラス転移温度以下の温度でわずかに加熱して、コア/シェル凝集粒子を作製することができる。
なお、前記第1及び第2の凝集工程は、段階的に複数回に分けて繰り返し実施したものであってもよい。
【0098】
次に、融合・合一工程において、第2の凝集工程を経て得られたコア/シェル凝集粒子を、溶液中にて、このコア/シェル凝集粒子中に含まれる第1または第2の樹脂微粒子のガラス転移温度(樹脂の種類が2種類以上の場合は最も高いガラス点移温度を有する樹脂のガラス転移温度)以上に加熱し、融合・合一することによりトナーを得る。
【0099】
前記融合・合一工程終了後は、溶液中に形成されたトナーを、公知の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て乾燥した状態のトナーとする。
なお洗浄工程は、帯電性の点から、十分にイオン交換水による置換洗浄を施すことが好ましい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好ましく用いられる。さらに乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。
【0100】
なお、上記のように本発明におけるトナーでは、離型剤はシェル層に被覆されたコア凝集粒子の部分に含まれるため、離型剤のトナー表面への流失を防ぎ、帯電性、耐久性を確保することができる。
【0101】
本発明に用いられる樹脂微粒子に使用される重合体は特に制限はないが、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのポリオレフィン類;などの単量体の重合体、またはこれらを2種以上組み合せて得られる共重合体またはこれらの混合物、さらにはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合系樹脂、あるいはこれらと前記ビニル系樹脂との混合物や、これらの共存下でビニル系単量体を重合する際に得られるグラフト重合体等を挙げることができる。
【0102】
また必要に応じて、1種または2種以上の架橋構造を有する化合物を用いて、樹脂微粒子を調製してもよい。例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレートなどのアクリレートモノマーや、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂などの多官能アクリレート樹脂を用いて、ビニル系単量体を重合する際に得られるグラフト重合体等を挙げることができる。
【0103】
前記重合体がビニル系単量体の場合は、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合を実施して樹脂粒子分散液を作製することができ、その他の樹脂の場合は、油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば、樹脂をそれらの溶剤に解かして水中にイオン性の界面活性剤や高分子電解質とともにホモジナイザーなどの分散機により水中に微粒子分散し、その後、加熱または減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂微粒子分散液を作製することができる。
【0104】
なお、得られた樹脂微粒子分散液の粒子径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置LA−700(堀場製作所社製)で測定することができる。
【0105】
本発明に用いられる離型剤としては、前記同様ASTMD3418−8に準拠して示差熱分析を行ったときの主極大吸熱ピーク(融点)が、70〜130℃の範囲にある物質が好ましい。主極大吸熱ピークが70℃未満であると、定着時にオフセットを生じやすくなる場合がある。また、130℃を超えると、定着温度が高くなり、定着画像表面の平滑性が得られず光沢性を損なう場合がある。
【0106】
前記離型剤の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス;ミツロウのごとき動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス;及びそれらの変性物を挙げることができる。
【0107】
これらの離型剤は、水中にイオン性界面活性剤や、高分子酸、高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱するとともに強い剪断をかけられるホモジナイザーや圧力吐出型分散機により微粒子化し、粒子径が1μm以下の粒子の分散液とすることができる。
また、得られた離型剤粒子分散液の粒子径は、前記同様、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置LA−700(堀場製作所社製)で測定することができる。
【0108】
本発明における離型剤配合量は、トナー中の10〜30質量%の範囲であることが望ましい。現像剤用トナーに含有される離型剤の含有量が10質量%を下回ると、感光体への離型剤成分の付着による黒点、黒筋等画像欠陥は抑制されるものの、定着性能、特に高温での剥離性能に問題が生じることがある。一方、30質量%を超えると、表面露出離型剤量が増大し、離型剤成分の付着による黒筋等画像欠陥が問題となる。さらに画像内部散乱光の割合が増大するため、OHPフィルム表面の画像の透明性低下、発色性低下を招くことがあり、またOHPに画像出力した際のいわゆるワックスオフセット等による画質低下を引き起こす場合がある。なお、好ましい含有量は11〜18質量%の範囲である。
【0109】
本発明に用いることができる着色剤としては、以下のような公知のものを挙げることができる。
例えば、黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト等が挙げられる。
【0110】
黄色顔料としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー等が挙げられる。
【0111】
橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK等が挙げられる。
【0112】
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ等が挙げられる。
【0113】
青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどが挙げられる。
【0114】
紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等が挙げられる。
緑色顔料としては、酸化クロム、クロムグリーン、ピグメントグリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等が挙げられる。
【0115】
白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等が挙げられる。
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等が挙げられる。
【0116】
また、染料としては、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料、例えば、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等が挙げられる。
また、これらを単独、もしくは混合し、さらには固溶体の状態で使用することもできる。
【0117】
これらの着色剤は、公知の方法で分散されるが、例えば、回転せん断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等が好ましく用いられる。
また、これらの着色剤は、極性を有する界面活性剤を用いることにより、前記ホモジナイザーを用いて水系溶媒中に分散され、着色剤粒子分散液を構成し得る。
【0118】
着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から選択される。上記着色剤の添加量は、樹脂100質量部に対して1〜20質量部の範囲添加されることが好ましい。なお、前記黒色着色剤として磁性体を用いた場合は、他の着色剤とは異なり、30〜100質量部の範囲で添加されることが好ましい。
【0119】
特に、トナーを磁性トナーとして用いる場合は、磁性体を含有せしめることができる。このような磁性体としては、磁場中で磁化される物質が用いられ、鉄、コバルト、ニッケルの如き強磁性の粉末、もしくはフェライト、マグネタイト等化合物である。特に本発明では、水層中でトナーを得るため、磁性体の水層移行性に注意を払う必要があり、表面改質、例えば疎水化処理等を施しておくのが好ましい。
【0120】
本発明においては、トナーの溶融時における粘弾性特性の制御の観点から、トナー中に無機微粒子を添加することができる。
上記無機微粒子としては、シリカ、疎水化処理シリカ、酸化チタン、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、コロイダルシリカ、カチオン表面処理コロイダルシリカ、アニオン表面処理コロイダルシリカ等が用いられる。これらの無機微粒子は、予め超音波分散機などを用いてイオン性界面活性剤の存在下分散処理されるが、この分散処理が必要でないコロイダルシリカの使用がより好ましい。
【0121】
用いられる無機微粒子の平均1次粒径としては、5〜100nmの範囲であることが好ましく、前記例示した無機微粒子を1種または2種以上を混合して使用してもよい。また、該無機微粒子の添加量は、樹脂100質量部に対して0.5〜10質量部の範囲であることが好ましい。無機微粒子の添加量が0.5質量部未満では、該無機微粒子の添加によってもトナー溶融時に十分なタフネスが得られず、オイルレス定着における剥離性を改善できないばかりでなく、トナー溶融時の微粒子のトナー中での粗な分散が粘性のみを増加させ、結果として曳糸性を悪化させるため、オイルレス剥離性を損なうことがある。また、10質量部を超えると、十分なタフネスは得られるものの、トナー溶融時の流動性を大きく低下させ、画像光沢性を損なう場合がある。
【0122】
本発明では、帯電性をより向上安定化させるために帯電制御剤を使用することができる。帯電制御剤としては、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロム等の錯体からなる染料やトリフェニルメタン系顔料など、通常使用される種々の帯電制御剤を使用することができるが、凝集時や合一時の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点から水に溶解しにくい材料が好適である。
【0123】
また、本発明では帯電性の安定のために湿式で無機微粒子を添加することができる。該無機微粒子の例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなど、通常トナー表面の外添剤として使うすべてのものを、イオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基で分散することにより使用することができる。
【0124】
さらに、流動性付与やクリーニング性向上の目的で、通常のトナーと同様に乾燥後、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウムなどの無機微粒子や、ビニル系樹脂、ポリエステル、シリコーンなどの樹脂微粒子を、乾燥状態でせん断をかけて表面へ添加し、流動性助剤やクリーニング助剤として用いることもできる。
【0125】
本発明において、乳化重合、顔料分散、樹脂粒子、離型剤分散、凝集、またはその安定化などに用いる界面活性剤の例としては、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤;等を挙げることができ、また、ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的である。
分散のため手段としては、回転せん断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的なものが使用可能である。
【0126】
前記第1の凝集工程において用いられる金属塩の重合体としては、4価のアルミニウム塩の重合体、または4価のアルミニウムが挙げられ、具体的にはポリ塩化アルミニウムが挙げられる。
【0127】
前記凝集工程、融合・合一工程終了後、任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て所望のトナーを得るが、上記洗浄工程は、帯電性向上の点から十分にイオン交換水による置換洗浄を施すことが好ましい。また、上記固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好ましく用いられる。さらに、上記乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。
【0128】
以上説明した製造方法により、オイルレス定着での剥離性が向上し、剥離力の温度依存性、トナー載り量依存性がなくなり、画像光沢性、OHP透明性、定着画像折り曲げ耐性等の定着特性に優れたトナーが容易に得られる。
【0129】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
まず、実施例、比較例に用いたトナーについて説明する。
【0130】
トナーは、以下の如き方法にて得られる。すなわち、まず樹脂微粒子、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液、無機微粒子分散液をそれぞれ調製する。この際、無機微粒子分散液は、これに予め所定量の無機金属塩の重合体を添加、攪拌し凝集させておいても構わない。次いで、これらを所定量混合攪拌しながらこれに無機金属塩の重合体を添加しイオン的に中和させ、前記各粒子の凝集体を形成せしめる。
【0131】
次いで、無機水酸化物を用いて系内のpHを弱酸性から中性に調整後、前記樹脂微粒子のガラス転移温度(Tg)以上に加熱し、融合・合一せしめる。反応終了後、十分な洗浄、固液分離、乾燥の各工程を経て所望のトナーを得る。
【0132】
以下に、それぞれの分散液、凝集粒子の調製、作製例を示す。
(各分散液の調製)
−樹脂微粒子分散液の調製−
・スチレン(和光純薬製) 325質量部
・n−ブチルアクリレート(和光純薬製) 75質量部
・β−カルボキシエチルアクリレート(ローディア日華製) 9質量部
・1,10−デカンジオールジアクリレート(新中村化学製) 1.5質量部
ドデカンチオール(和光純薬製) 2.7質量部
アニオン性界面活性剤ダウファックス(ローディア社製) 4質量部
イオン交換水 550質量部
【0133】
以上を混合溶解したものに、アニオン性界面活性剤ダウファックス(ローディア社製)4質量部をイオン交換水550質量部に溶解したものを加え、フラスコ中で分散、乳化し、10分間ゆっくりと攪拌・混合しながら、過硫酸アンモニウム6質量部を溶解したイオン交換水50質量部を投入した。次いで、充分に系内の窒素置換を十分に行った後、フラスコ内の溶液を攪拌しながら、オイルバスで系内が70℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。
これにより、中心径が195nm、固形分量が42質量%、ガラス転移温度が51.5℃、重量平均分子量Mwが32000のアニオン性樹脂微粒子分散液を得た。
【0134】
−着色剤粒子分散液の調製−
・シアン顔料(銅フタロシアニンC.I.Pigment Blue15:3 大日精化製) 45質量部
・カチオン性界面活性剤(Neogen RK:第一工業製薬製) 5質量部
・イオン交換水 200質量部
【0135】
以上を混合分散し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて約1時間分散して、中心粒径が168nmの着色剤粒子分散液を得た。
【0136】
−離型剤粒子分散液1の調製−
・ポリプロピレンワックスH12054 P41(融点:90℃、粘度(180℃):40mPa・s、クラリアント社製) 45質量部
・カチオン性界面活性剤Neogen RK(第一工業製薬製) 5質量部
・イオン交換水 200質量部
【0137】
以上を混合し95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、中心径が201nm、固形分量が22質量%の離型剤粒子分散液1を得た。
【0138】
−離型剤粒子分散液2の調製−
離型剤粒子分散液1の調製において、ポリプロピレンワックスH12054 P41の代わりに、POLYCOAT−3030(融点:75℃、粘度(180℃):80mPa・s、日本精蝋社製)を用いた以外は、離型剤粒子分散液1の調製と同様にして、中心粒径が196nm、固形分量が22質量%の離型剤粒子分散液2を得た。
【0139】
−離型剤粒子分散液3の調製−
離型剤粒子分散液1の調製において、ポリプロピレンワックスH12054 P41の代わりに、NEOPALAX−3555(融点:74℃、粘度(180℃):300mPa・s、日本精蝋社製)を用いた以外は、離型剤分散液1の調製と同様にして、中心粒径が210nm、固形分量が22質量%の離型剤粒子分散液4を得た。
【0140】
−離型剤粒子分散液4の調製−
離型剤粒子分散液1の調製において、ポリプロピレンワックスH12054 P41に、パラフィンワックス(融点:64℃、粘度(180℃):1.7mPa・s、日本精蝋社製)を用いた以外は、離型剤分散液1の調製と同様にして、中心粒径が187nm、固形分量が21.0質量%の離型剤粒子分散液4を得た。
【0141】
(トナーの作製)
−トナー1の作製−
あらかじめ、以下の成分を混合し、次いでこれに対し、1M塩酸水溶液を2質量部を添加し、常温雰囲気下10分間静置し、無機微粒子の凝集体を調製した。
【0142】
・コロイダルシリカA(ST−OS:日産化学社製) 6.5質量部
・コロイダルシリカB(ST−OL:日産化学社製) 6.5質量部
【0143】
次に、下記成分を丸型ステンレス製フラスコで混合し、これに前記無機微粒子の凝集体を添加し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)で分散処理を行った。その後、前記分散処理を行いながら、ポリ塩化アルミニウムを0.41質量部添加し、前記ホモジナイザーで十分に混合・分散を行った。その後、加熱用オイルバスで前記ステンレス製フラスコを攪拌しながら、47℃まで加熱し、47℃で60分間保持し、コア凝集粒子を作製した(第1の凝集工程)。
【0144】
・樹脂微粒子分散液 80質量部
・着色剤粒子分散液 30質量部
・離型剤粒子分散液2 30質量部
【0145】
さらに、ここに前記樹脂微粒子分散液を緩やかに30質量部を追加し、コア/シェル凝集粒子を作製した(第2の凝集工程)。その後、0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.5にした後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら、96℃まで加熱し5時間保持した(融合・合一工程)。
【0146】
反応終了後、冷却し、濾過、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これをさらに40℃のイオン交換水3l中に再分散し、300rpmで15分間攪拌、洗浄した。これをさらに5回繰り返し、濾液のpHが7.01、電気伝導度が9.8μS/cm、表面張力が71.1mN/mとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo.5Aのろ紙を用いて固液分離を行った。次いで、真空乾燥を12時間継続しトナー1を得た。
【0147】
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ、体積平均粒径D50vが5.4μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.21であり、数平均粒度分布指標GSDpとの比GSDv/GSDpは0.97であった。また、得られた上記トナーを透過型電子顕微鏡で観察したところ、コア/シェル構造を有しており、シェルの厚さが150nmであった。さらに、ルーゼックス画像解析装置による形状観察より求めたトナーの形状係数SF1は、118.3で球状であることが観察された。
【0148】
さらに、トナー1について動的粘弾性測定装置ARES(レオメトリックサイエンテフィック社製)にて貯蔵弾性率を測定したところ、測定周波数6.28rad/s、50℃でのトナーの貯蔵弾性率G’1は2.7×108Paであり、測定周波数62.8rad/s、50℃での貯蔵弾性率G’2との比G’2/G’1は5.9であった。
また、示差熱分析によりトナー1の最大吸熱ピークの極大値を測定したところ、93℃であった。
以上の結果を表1に示す。
【0149】
−トナー2の作製−
トナー1の作製において、初期に配合する樹脂微粒子分散液の量を65質量部とし、47℃で60分間保持した後に加える樹脂微粒子分散液の量を45質量部とした以外はトナー1の作製と同様にしてトナー2を得た。
【0150】
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ、体積平均粒径D50vが5.4μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.21であり、数平均粒度分布指標GSDpとの比GSDv/GSDpは0.97であった。また、得られた上記トナーを透過型電子顕微鏡で観察したところ、コア/シェル構造を有しており、シェルの厚さが300nmであった。さらに、ルーゼックス画像解析装置による形状観察より求めたトナーの形状係数SF1は、118.3で球状であることが観察された。
【0151】
さらに、トナー2について動的粘弾性測定装置ARES(レオメトリックサイエンテフィック社製)にて貯蔵弾性率を測定したところ、測定周波数6.28rad/s、50℃でのトナーの貯蔵弾性率G’1は4.6×108Paであり、測定周波数62.8rad/s、50℃での貯蔵弾性率G’2との比G’2/G’1は8.3であった。
また、示差熱分析によりトナー2の最大吸熱ピークの極大値を測定したところ、94℃であった。
以上の結果を表1に示す。
【0152】
−トナー3の作製−
トナー1の作製において、初期に配合する離型剤粒子分散液1の代わりに、離型剤粒子分散液2を30質量部とした以外はトナー1の作製と同様にしてトナー3を得た。
【0153】
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ、体積平均粒径D50vが5.4μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.20であり、数平均粒度分布指標GSDpとの比GSDv/GSDpは0.97であった。また、得られた上記トナーを透過型電子顕微鏡で観察したところ、コア/シェル構造を有しており、シェルの厚さが150nmであった。さらに、ルーゼックス画像解析装置による形状観察より求めたトナーの形状係数SF1は、116.3で球状であることが観察された。
【0154】
さらに、トナー3について動的粘弾性測定装置ARES(レオメトリックサイエンテフィック社製)にて貯蔵弾性率を測定したところ、測定周波数6.28rad/s、50℃でのトナーの貯蔵弾性率G’1は6.2×108Paであり、測定周波数62.8rad/s、50℃での貯蔵弾性率G’2との比G’2/G’1は10.7であった。
また、示差熱分析によりトナー3の最大吸熱ピークの極大値を測定したところ、75℃であった。
以上の結果を表1に示す。
【0155】
−トナー4の作製−
トナー3の作製において、初期に配合する樹脂微粒子分散液の量を65質量部とし、47℃で60分間保持した後に加える樹脂微粒子分散液の量を45質量部とした以外はトナー3の作製と同様にしてトナー4を得た。
【0156】
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ、体積平均粒径D50vが5.4μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.23であり、数平均粒度分布指標GSDpとの比GSDv/GSDpは0.98であった。また、得られた上記トナーを透過型電子顕微鏡で観察したところ、コア/シェル構造を有しており、シェルの厚さが300nmであった。さらに、ルーゼックス画像解析装置による形状観察より求めたトナーの形状係数SF1は、115.6で球状であることが観察された。
【0157】
さらに、トナー4について動的粘弾性測定装置ARES(レオメトリックサイエンテフィック社製)にて貯蔵弾性率を測定したところ、測定周波数6.28rad/s、50℃でのトナーの貯蔵弾性率G’1は7.8×108Paであり、測定周波数62.8rad/s、50℃での貯蔵弾性率G’2との比G’2/G’1は12.1であった。
また、示差熱分析によりトナー4の最大吸熱ピークの極大値を測定したところ、74℃であった。
以上の結果を表1に示す。
【0158】
−トナー5の作製−
トナー1の作製において、初期に配合する離型剤粒子分散液1の代わりに、離型剤粒子分散液3を30質量部とした以外はトナー1の作製と同様にしてトナー5を得た。
【0159】
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ、体積平均粒径D50vが5.4μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.21であり、数平均粒度分布指標GSDpとの比GSDv/GSDpは0.97であった。また、得られた上記トナーを透過型電子顕微鏡で観察したところ、コア/シェル構造を有しており、シェルの厚さが150nmであった。さらに、ルーゼックス画像解析装置による形状観察より求めたトナーの形状係数SF1は、115.3で球状であることが観察された。
【0160】
さらに、トナー5について動的粘弾性測定装置ARES(レオメトリックサイエンテフィック社製)にて貯蔵弾性率を測定したところ、測定周波数6.28rad/s、50℃でのトナーの貯蔵弾性率G’1は8.4×108Paであり、測定周波数62.8rad/s、50℃での貯蔵弾性率G’2との比G’2/G’1は14.5であった。
また、示差熱分析によりトナー5の最大吸熱ピークの極大値を測定したところ、74℃であった。
以上の結果を表1に示す。
【0161】
−トナー6の作製−
トナー5の作製において、初期に配合する樹脂微粒子分散液の量を65質量部とし、47℃で60分間保持した後に加える樹脂微粒子分散液の量を45質量部とした以外はトナー5の作製と同様にしてトナー6を得た。
【0162】
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ、体積平均粒径D50vが5.4μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.20であり、数平均粒度分布指標GSDpとの比GSDv/GSDpは0.97であった。また、得られた上記トナーを透過型電子顕微鏡で観察したところ、コア/シェル構造を有しており、シェルの厚さが300nmであった。さらに、ルーゼックス画像解析装置による形状観察より求めたトナーの形状係数SF1は、119.1で球状であることが観察された。
【0163】
さらに、トナー6について動的粘弾性測定装置ARES(レオメトリックサイエンテフィック社製)にて貯蔵弾性率を測定したところ、測定周波数6.28rad/s、50℃でのトナーの貯蔵弾性率G’1は9.1×108Paであり、測定周波数62.8rad/s、50℃での貯蔵弾性率G’2との比G’2/G’1は15.9であった。
また、示差熱分析によりトナー6の最大吸熱ピークの極大値を測定したところ、73℃であった。
以上の結果を表1に示す。
【0164】
−トナー7の作製−
トナー3の作製において、初期に配合する樹脂微粒子分散液の量を105質量部とし、47℃で60分間保持した後に加える樹脂微粒子分散液の量を5質量部とした以外はトナー3の作製と同様にしてトナー7を得た。
【0165】
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ、体積平均粒径D50vが5.4μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.22であり、数平均粒度分布指標GSDpとの比GSDv/GSDpは0.98であった。また、得られた上記トナーを透過型電子顕微鏡で観察したところ、コア/シェル構造を有しており、シェルの厚さが5nmであった。さらに、ルーゼックス画像解析装置による形状観察より求めたトナーの形状係数SF1は、122.3で球状であることが観察された。
【0166】
さらに、トナー7について動的粘弾性測定装置ARES(レオメトリックサイエンテフィック社製)にて貯蔵弾性率を測定したところ、測定周波数6.28rad/s、50℃でのトナーの貯蔵弾性率G’1は6.3×107Paであり、測定周波数62.8rad/s、50℃での貯蔵弾性率G’2との比G’2/G’1は3.3であった。
また、示差熱分析によりトナー7の最大吸熱ピークの極大値を測定したところ、75℃であった。
以上の結果を表1に示す。
【0167】
−トナー8の作製−
トナー3の作製において、初期に配合する樹脂微粒子分散液の量を55質量部とし、47℃で60分間保持した後に加える樹脂微粒子分散液の量を55質量部とした以外はトナー3の作製と同様にしてトナー8を得た。
【0168】
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ、体積平均粒径D50vが5.4μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.20であり、数平均粒度分布指標GSDpとの比GSDv/GSDpは0.98であった。また、得られた上記トナーを透過型電子顕微鏡で観察したところ、コア/シェル構造を有しており、シェルの厚さが550nmであった。さらに、ルーゼックス画像解析装置による形状観察より求めたトナーの形状係数SF1は、115.7で球状であることが観察された。
【0169】
さらに、トナー8について動的粘弾性測定装置ARES(レオメトリックサイエンテフィック社製)にて貯蔵弾性率を測定したところ、測定周波数6.28rad/s、50℃でのトナーの貯蔵弾性率G’1は6.2×109Paであり、測定周波数62.8rad/s、50℃での貯蔵弾性率G’2との比G’2/G’1は20.4であった。
また、示差熱分析によりトナー8の最大吸熱ピークの極大値を測定したところ、76℃であった。
以上の結果を表1に示す。
【0170】
−トナー9の作製−
トナー3と同様に作製を行ったが、融合・合一工程において形状を操作せず、トナー9を得た。
【0171】
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ、体積平均粒径D50vが5.4μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.20であり、数平均粒度分布指標GSDpとの比GSDv/GSDpは0.97であった。また、得られた上記トナーを透過型電子顕微鏡で観察したところ、コア/シェル構造を有しており、シェルの厚さが150nmであった。さらに、ルーゼックス画像解析装置による形状観察より求めたトナーの形状係数SF1は、142.2で球状であることが観察された。
【0172】
さらに、トナー9について動的粘弾性測定装置ARES(レオメトリックサイエンテフィック社製)にて貯蔵弾性率を測定したところ、測定周波数6.28rad/s、50℃でのトナーの貯蔵弾性率G’1は6.3×108Paであり、測定周波数62.8rad/s、50℃での貯蔵弾性率G’2との比G’2/G’1は10.6であった。
また、示差熱分析によりトナー9の最大吸熱ピークの極大値を測定したところ、75℃であった。
以上の結果を表1に示す。
【0173】
−トナー10の作製−
トナー3の作製において、初期に配合する離型剤粒子分散液2の代わりに、離型剤粒子分散液4を30質量部とした以外はトナー3の作製と同様にしてトナー3を得た。
【0174】
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ、体積平均粒径D50vが5.4μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.21であり、数平均粒度分布指標GSDpとの比GSDv/GSDpは0.97であった。また、得られた上記トナーを透過型電子顕微鏡で観察したところ、コア/シェル構造を有しており、シェルの厚さが150nmであった。さらに、ルーゼックス画像解析装置による形状観察より求めたトナーの形状係数SF1は、120.2で球状であることが観察された。
【0175】
さらに、トナー10について動的粘弾性測定装置ARES(レオメトリックサイエンテフィック社製)にて貯蔵弾性率を測定したところ、測定周波数6.28rad/s、50℃でのトナーの貯蔵弾性率G’1は2.7×108Paであり、測定周波数62.8rad/s、50℃での貯蔵弾性率G’2との比G’2/G’1は4.3であった。
また、示差熱分析によりトナー10の最大吸熱ピークの極大値を測定したところ、65℃であった。
以上の結果を表1に示す。
【0176】
【表1】
【0177】
(現像剤、補給用トナーの作製)
作製したトナー1〜10各50質量部に対し、疎水性シリカ(TS720:キャボット社製)を1質量部添加し、サンプルミルにてブレンドした。これをポリメチルメタアクリレート(総研化学社製)を1質量%コートした体積平均粒径50μmのフェライトキャリアに対し、トナー濃度が5質量%になるように秤量し、ボールミルで5分間攪拌・混合し現像剤1〜10を調製した。
また、上記現像剤の作製において、キャリアの含有量が20質量%となるように秤量した以外は同様にして補給用トナー1〜10を作製した。
【0178】
(実施例1)
評価装置として、タンデム方式でトリクル現像システムを採用した富士ゼロックス社製C2220改造機(スタート現像剤及び補給用トナーカートリッジを試験ごとに交換することが可能で、プロセススピードを外部から調節できるように改造したもの)を用い、現像器に現像剤1、補給用トナーカートリッジに補給用トナー1を充填し、トナー載り量が3色(シアン、マゼンタ、イエロー)分で10.5g/m2となるように調整した。
【0179】
なお、前記C2220改造機は、潜像担持体と、該潜像担持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記潜像担持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、トナー及びキャリアからなる現像剤が内部に収容され、現像剤担持体表面に形成された前記現像剤の層により前記潜像を現像し、前記潜像担持体表面にトナー画像を形成する現像器と、前記トナー画像を被転写体に転写する転写手段と、を含む画像形成装置である。また、プロセススピード(潜像担持体の周速度)は、200mm/sとした。
【0180】
上記評価装置及び条件にて10万枚まで画像出しを行い、初期及び10万枚後画像について定着試験を行った。なお、定着条件は、定着ニップ幅を6.5mm、定着速度を200mm/sとして行った。定着後の画像について各項目を以下の判断基準により評価した。
【0181】
−剥離性−
定着後のソリッド部の画像について、定着ロールとの剥離不良による画像表面のムラが発生したかを目視により観察し、以下のように判断した。
○:ムラが全くなく良好
×:ムラがある
【0182】
−耐オフセット性−
基準チャート画像において、定着ロール周長ピッチでオフセットが発生しているかを目視で観察し、以下のように判断した。
○:オフセットがなく良好
△:ややオフセット発生
×:オフセットが明らかに発生
【0183】
−定着画像折り曲げ耐性−
定着後のソリッド部の画像について、2つに折り曲げ再度画像を開いた際に画像中に剥がれなどの画像欠損が生じるかを、目視により以下のように判断した。
○:剥がれなどの画像欠損が全くない
×:画像欠損が生じた
【0184】
−画像光沢(初期画像)−
JIS P8142に準じて、75度光沢度を測定し、以下のように判断した。
○:光沢度が80度を超える値
△:光沢度が60〜80度の範囲
×:光沢度が60度未満
【0185】
−画像光沢(10万枚後画像)−
JIS P8142に準じて、75度光沢度を測定し、初期画像時の光沢度と比較し以下のように判断した。
○:光沢度が初期画像の90%以上の光沢度
△:光沢度が初期画像の80%〜90%の範囲の光沢度
×:光沢度が初期画像の80%未満の光沢度
【0186】
−OHP透過性−
OHP表面に画像形成した定着後のソリッド部の画像について、可視光を通して目視で見た場合の透過性を評価し、以下のように判断した。
○:透過性が良好である
△:画像中にやや濁りが見られる
×:画像中にかなり濁りが見られる
以上の結果を表2に示す。
【0187】
(実施例2〜6)
実施例1において、現像剤1及び補給用トナー1の代わりに、各々現像剤2〜6及び補給用トナー2〜6を用いた以外は実施例1と同様にして評価を行った。
結果を表2に示す。
【0188】
(比較例1〜4)
実施例1において、現像剤1及び補給用トナー1の代わりに、各々現像剤7、〜10及び補給用トナー7〜10を用いた以外は実施例1と同様にして評価を行った。
結果を表2に示す。
【0189】
(比較例5)
実施例3において、現像剤3を用いて評価を行ったが、補給用トナー3を添加せずに実施した以外は、実施例3と同様にして評価を行った。
結果を表2に示す。
【0190】
【表2】
【0191】
トナー1〜6を現像剤1〜6及び補給用トナー1〜6として用いた場合(実施例1〜6)、前記定着条件における初期画像評価結果は、剥離性が良好で、何ら抵抗なく剥離していることが確認され、オフセットも全く発生しなかった。また、定着画像を2つに折り曲げ再度引き伸ばした際の画像欠損も観察されなかった。さらに、これらの定着画像の表面光沢性も良好であり、OHPシートの透過性も優れ、濁りのない透過像が確認された。
【0192】
また、トナー1〜6を現像剤1〜6及び補給用トナー1〜6として用いた場合(実施例1〜6)、前記定着条件における10万枚コピー後の評価結果は、剥離性は良好で、何ら抵抗なく剥離していることが確認され、オフセットも全く発生しなかった。また、定着画像を2つに折り曲げ再度引き伸ばした際の画像欠損も観察されなかった。さらに、これらの定着画像の表面光沢性も良好であり、OHPシートの透過性も優れ、濁りのない透過像が確認された。
【0193】
一方、トナー7を現像剤7及び補給用トナー7として用いた場合(比較例1)は、初期画像において、定着画像の剥離不良に起因する光沢ムラが発生した。さらに、わずかにオフセットも発生した。しかし、定着画像を2つに折り曲げ再度引き伸ばした際に画像欠損は観察されず、これらの定着画像の表面光沢性も良好であり、OHPシートでも濁りのない透過像が確認された。
【0194】
また、前記同様にトナー7を現像剤7及び補給用トナー7として用いた場合(比較例1)、前記定着条件における10万枚コピー後の評価結果は、定着画像の剥離不良に起因する光沢ムラが発生し、オフセットも発生した。さらに、定着画像を2つに折り曲げ再度引き伸ばした際の画像欠損もわずかに観察された。しかし、これらの定着画像の表面光沢性も良好であり、OHPシートでも濁りのない透過像が確認された。
【0195】
トナー8を現像剤8及び補給用トナー8として用いた場合(比較例2)は、初期画像において剥離性が良好で、何ら抵抗なく剥離していることが確認され、オフセットも全く発生しなかった。しかし、定着画像を2つに折り曲げ再度引き伸ばした際の画像欠損がわずかに観察された。また、これらの定着画像の表面光沢性は低く、OHPシートの画像にも濁りが確認された。
【0196】
また、前記同様にトナー8を現像剤8及び補給用トナー8として用いた場合(比較例2)、前記定着条件における10万枚コピー後の評価結果は、定着画像において剥離性が良好で何ら抵抗なく剥離していることが確認され、オフセットも全く発生しなかった。しかし、定着画像を2つに折り曲げ再度引き伸ばした際の画像欠損が観察された。また、これらの定着画像の表面光沢性は低く、OHPシートの画像にも濁りが確認された。
【0197】
トナー9を現像剤9及び補給用トナー9として用いた場合(比較例3)は、初期画像において剥離性が良好で何ら抵抗なく剥離していることが確認され、オフセットも全く発生しなかった。しかし、定着画像を2つに折り曲げ再度引き伸ばした際の画像欠損がわずかに観察された。また、これらの定着画像の表面光沢性は低く、OHPシートの画像にも濁りが確認された。
【0198】
また、前記同様にトナー9を現像剤9及び補給用トナー9として用いた場合(比較例3)、前記定着条件における10万枚コピー後の評価結果は、定着画像において剥離性が良好で何ら抵抗なく剥離していることが確認され、オフセットも全く発生しなかった。しかし、定着画像を2つに折り曲げ再度引き伸ばした際の画像欠損が観察された。また、これらの定着画像の表面光沢性は低く、OHPシートの画像にも濁りが確認された。
【0199】
トナー10を現像剤10及び補給用トナー10として用いた場合(比較例4)は、初期画像において定着画像の剥離不良に起因する光沢ムラが発生した。さらに、オフセットも発生した。しかし、定着画像を2つに折り曲げ再度引き伸ばした際に画像欠損は観察されず、これらの定着画像の表面光沢性も良好であり、OHPシートでも濁りのない透過像が確認された。
【0200】
また、前記同様にトナー10を現像剤10及び補給用トナー10として用いた場合(比較例4)、前記定着条件における10万枚コピー後の評価結果は、定着画像の剥離不良に起因する光沢ムラが発生した。さらに、オフセットも発生した。さらに、定着画像を2つに折り曲げ再度引き伸ばした際の画像欠損がわずかに観察された。また、これらの定着画像の表面光沢性はやや低く、OHPシートの画像にもやや濁りが確認された。
【0201】
トナー3を現像剤3として用い、補給トナー3を用いなかった場合(比較例5)、前記定着条件における初期画像評価結果は、剥離性は良好で、何ら抵抗なく剥離していることが確認され、オフセットも全く発生しなかった。また、定着画像を2つに折り曲げ再度引き伸ばした際の画像欠損も観察されなかった。さらに、これらの定着画像の表面光沢性も良好であり、OHPシートの透過性も優れ、濁りのない透過像が確認された。
【0202】
また、トナー3を現像剤3として用い、補給トナー3を用いなかった場合(比較例5)、前記定着条件における10万枚コピー後の評価結果は、定着画像の剥離不良に起因する光沢ムラがやや発生し、わずかにオフセットも発生した。さらに、これらの定着画像の表面光沢性はやや低く、OHPシートの画像にもやや濁りが確認された。しかし、定着画像を2つに折り曲げ再度引き伸ばした際の画像欠損は観察されなかった。
【0203】
【発明の効果】
本発明の実施によれば、オイルレス定着において剥離性の温度によるばらつきがなく、かつ良好な光沢性を維持し、被定着シートへの定着画像付着性、被定着シートの剥離性、耐高温オフセット性、定着画像折り曲げ耐性、定着画像表面光沢性、OHP透明性等の定着特性に優れた画像形成方法、補給用トナー、及びトナーの製造方法を提供することが可能である。
その結果、本発明の実施により得られた補給用用トナーを、省エネルギータイプの定着装置、プリントスピードの速い高速複写機やプリンターに用いた場合に、満足できる定着画像を得ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において用いられる画像形成装置の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1Y、1M、1C、1K 感光体ドラム(潜像担持体)
3Y、3M、3C、3K 潜像形成手段
4Y、4M、4C、4K 現像器
5Y、5M、5C、5K 一次転写ロール
6Y、6M、6C、6K クリーニング手段
11 駆動ロール
12 支持ロール
13 バックアップロール
14 二次転写ロール
15 中間転写ベルト
16 被記録体
17 清掃部材
18 定着器
20Y、20M、20C、20K 帯電器(帯電手段)
40Y、40M、40C、40K 現像ユニット
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法または静電記録法等の方式により、静電潜像を現像して画像を形成する画像形成方法、該画像形成方法に用いられる補給用トナー、及び該補給用トナーを構成するトナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法など静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法においては、帯電、露光工程により感光体(潜像担持体)表面に静電潜像を形成し、トナーを含む現像剤で該静電潜像を現像し、転写、定着工程を経て画像が可視化される。
【0003】
ここで用いられる現像剤としては、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤と、磁性トナーまたは非磁性トナーを単独で用いる1成分現像剤とが知られているが、そのトナーの製造には、通常、熱可塑性樹脂を顔料、帯電制御剤、ワックスなどの離型剤とともに溶融混練し、冷却後、微粉砕・分級する混練粉砕製法が利用されている。さらにこのトナーには、必要であれば流動性やクリーニング性を改善するための無機、有機の微粒子をトナー粒子表面に添加することもある。
これらの方法は、かなり優れたトナーを製造しうるが、以下のようないくつかの問題点を有する。
【0004】
まず、通常の混練粉砕製法では、トナー形状及びトナーの表面構造が不定型であるため、使用材料の粉砕性や粉砕工程の条件等により、微妙に変化させることができるものの、意図的なトナー形状及び表面構造の制御は困難である。また、前記混練粉砕法では材料選択の範囲に制限がある。具体的には、混練後の樹脂着色剤分散体が十分に脆く、経済的に可能な粉砕装置で微粉砕されうる物となるような材料でなければならない。
【0005】
ところが、こういった要求を満たすために樹脂着色剤分散体を脆くすると、得られたトナーにおいて、現像器中で与えられる機械的せん断力などによりさらに微粉が発生したり、トナー形状に変化をきたすことがある。これらの影響により、例えば2成分現像剤においては、前記微粉のキャリア表面への固着による現像剤の帯電劣化が加速されたり、1成分現像剤においては、粒度分布の拡大によりトナー飛散が生じたり、トナー形状の変化による現像性の低下により画質の劣化が生じやすくなる。
【0006】
また、ワックスなどの離型剤を多量に内添してトナー化する場合、熱可塑性樹脂との組み合わせによっては、トナー表面への離型剤の露出に影響することが多い。特に、高分子量成分により弾性が増したやや粉砕されにくい樹脂とポリエチレンのような脆いワックスとの組み合わせでは、トナー表面にポリエチレンの露出が多く見られる。これは定着時のトナー離型性や感光体表面からの未転写トナーのクリーニングには有利であるものの、トナー表層のポリエチレンが機械力により容易に移行するために、現像ロールや感光体、キャリアの汚染を生じやすくなり、信頼性の低下につながる。
【0007】
さらに、トナー形状が不定型であることにより、流動性助剤の添加によっても流動性が充分でないことがあり、使用中の機械的せん断力により発生する微粒子のトナー表面凹部分への移動により経時的に流動性が低下したり、流動性助剤のトナー内部への埋没が起こることで、現像性、転写性、クリーニング性が悪化したりする。また、クリーニングにより回収されたトナーを再び現像器に戻して使用すると、さらに画質の低下を生じやすい。これらを防ぐためにさらに流動性助剤を増加すると、感光体表面への黒点の発生や助剤粒子の飛散を生じる。
【0008】
近年、意図的にトナー形状及び表面構造の制御を可能とする手段として、乳化重合凝集法によるトナーの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。これらは、一般に乳化重合などにより樹脂微粒子分散液を作製し、一方溶媒に着色剤を分散した着色剤微粒子分散液を作製した後、これらを混合し、トナー粒径に相当する凝集粒子を形成し、加熱することによって融合・合一させトナーとする製造方法である。この方法によってある程度はトナー形状を制御でき、帯電性、耐久性の改善を図ることができるが、内部構造がほぼ均一になることから、定着の際の被定着シート(被記録体)の剥離性、OHPを出力した際の透明性の安定化に問題を残している。
【0009】
上記のように電子写真プロセスにおいては、様々な機械的ストレス下でもトナーが安定して性能を維持するために、トナー表面への離型剤の露出を抑制したり、定着性を損なわずに表面硬度を高くしたりすることによって、トナー自体の機械的強度を向上させ、かつ、十分な帯電性と定着性とを両立させることが必要である。
【0010】
また、近年高画質化への要求が高まり、特にカラー画像形成では、高精細な画像を実現するためにトナーの小径化傾向が著しい。しかし、従来のような粒度分布のままでの単純な小径化では、粒度分布における微粉側トナーの存在により、キャリアや感光体の汚染やトナー飛散の問題が著しくなり、高画質と高信頼性とを同時に実現することは困難である。したがって、前記高精細画像実現のためには、粒度分布をシャープ化でき、かつ小粒径化が可能となることが必要になる。
【0011】
さらに、最近のデジタルフルカラー複写機やプリンターにおいては、色画像原稿をB(ブルー)、R(レッド)、G(グリーン)の各フィルターで色分解した後に、オリジナル原稿に対応した20〜70μmのドット径からなる潜像が、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(黒)の各トナーを用い減色混合作用を利用して現像される。したがって、従来の白黒機に比べ多量のトナーを中間転写体や被記録体に転写させる必要がある上、小径のドット径に対応する必要があることから、均一帯電性、持続性、トナー強度、粒度分布のシャープネスがますます重要になりつつある。
【0012】
また、これらのマシンの高速化や省エネルギー性等に鑑みると、トナーのより一層の低温定着性も必要となる。これらの点からも、粒度分布がシャープで小粒子径の製造に適する前記融合・合一トナーは優れた特性を有している。
【0013】
一方、フルカラー機に搭載されるトナーについては、多量のトナーが十分に混色することが必要であり、この際の色再現性の向上やOHP表面の画像透明性が必須となる。このため、特に定着時における定着シートの定着部材との剥離性、オフセット性等のトナーの定着特性は、上記フルカラー画像の高画質化の重要な鍵となる。
【0014】
一般にトナーに含まれる離型剤成分としては、定着時の低温オフセットを防止する目的でポリオレフィン系ワックスが内添されている。また、これと併せて定着ローラーに微量のシリコーンオイルを均一に塗布せしめ、高温における耐オフセット性の向上を図っている。このため、出力された出力転写材(被記録体)にはシリコーンオイルが付着しており、これを取り扱う際にべたつき等の不快感があり、好ましくない。
【0015】
このため、トナー中に大量の離型剤成分を内包させたオイルレス定着用のトナーが提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、この場合多量の離型剤の添加によってある程度は剥離性の改善を行うことができるが、トナー中のバインダー樹脂成分と離型剤とが相溶してしまい、均一な離型剤のしみだしが安定的でなくなることから剥離の安定性は得にくい。さらに、トナーのバインダー樹脂の凝集力を制御する手段が、バインダー樹脂の重量平均分子量Mw、ガラス転移温度Tgに依存するため、トナーの定着時における曳糸性、凝集性を直接的に制御することは困難である。また、前記離型剤の遊離成分が帯電阻害の原因となることもある。
【0016】
これらの問題点を解決する方法として、バインダー樹脂の剛直性を高分子量成分の添加によって得る方法や(例えば、特許文献4、5参照)、化学架橋の導入によって補填し、結果的にトナーの定着温度における曳糸性を減少させるオイルレス定着における剥離性を改善する方法(例えば、特許文献6、7)参照が提案されている。
【0017】
しかし、これらの方法のように、単に架橋剤成分をバインダー樹脂内に添加した場合においては、トナーの粘性、即ち溶融時の凝集力が大きくなりバインダー樹脂自体の剛直性が増加するため、オイルレス剥離における温度依存性やトナー載り量依存性はある程度改善できるものの、定着画像の表面光沢性を同時に得ることが困難である。また、定着画像の折り曲げ耐性も乏しくなる。
【0018】
さらに、架橋剤の分子量を大きくしただけでは、確かに絡み合い点間分子量が大きくなり、定着画像自体の可とう性は若干向上するものの、弾性と粘性との適切なバランスを得ることは難しく、結果としてオイルレス定着における剥離の温度依存性やトナー載り量依存性と、定着画像表面の光沢性、OHP透明性とを両立することは困難である。特に、省エネルギータイプの定着装置やプリントスピードの早いタイプの複写機、プリンターに用いた場合、満足な定着画像を得ることができない。
【0019】
このほか、トナー中に高分子微粒子や無機微粒子を添加し、定着時の耐高温オフセット性を改善する方法が提案されている(例えば、特許文献8参照)。しかし、単にトナー中に無機微粒子を添加した場合、確かに該無機微粒子のフィラー効果により、定着の際のトナーバインダー樹脂溶融時におけるタフネスが上昇し、高温オフセット発生防止や剥離性の改善には効果を発現するが、同時に溶融トナーの流動性が低下し、低温オフセット性、定着画像の光沢性を損なうことがある。また、定着画像の折り曲げ耐性を低下させることもある。さらに、前記無機微粒子の添加量によっては、単にトナー溶融時の粘性だけを増加させ、結果として剥離性を損なうこともある。
【0020】
【特許文献1】
特開昭63−282752号公報
【特許文献2】
特開平6−250439号公報
【特許文献3】
特開平5−61239号公報
【特許文献4】
特開平4−69666号公報
【特許文献5】
特開平9−258481号公報
【特許文献6】
特開昭59−218459号公報
【特許文献7】
特開昭59−218460号公報
【特許文献8】
特開平4−69664号公報
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のトナーにおける上述の如き問題点を解決した画像形成方法、補給用トナー、及びトナー製造方法を提供するものである。
すなわち本発明の目的は、オイルレス定着において剥離性の温度によるばらつきがなく、かつ良好な光沢性を維持し、被定着シートへの定着画像付着性、被定着シートの剥離性、耐高温オフセット性、定着画像折り曲げ耐性、定着画像表面光沢性、OHP透明性等の定着特性に優れた画像形成方法、補給用トナー、及びトナーの製造方法を提供することにあり、これらにより、省エネルギータイプの定着装置やプリントスピードの速い高速複写機、プリンターに用いた場合に、満足できる定着画像を得ることが可能となる。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の本発明により達成される。すなわち本発明は、
<1> 潜像担持体と、該潜像担持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記潜像担持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、トナー及びキャリアからなる現像剤が内部に収容され、現像剤担持体表面に形成された前記現像剤の層により前記潜像を現像し、前記潜像担持体表面にトナー画像を形成する現像器と、前記トナー画像を被転写体に転写する転写手段と、を含む画像形成装置により画像形成を行う画像形成方法であって、前記画像形成装置における少なくとも1の現像器が、その内部に、前記トナーとキャリアとを含有する補給用トナーを適宜補給するとともに、過剰となった前記現像剤を内部から回収する現像剤回収機構を有し、前記補給用トナーにおけるキャリアの含有量が5〜40質量%の範囲、前記トナーの体積平均粒径が3〜10μmの範囲、下記式(1)で表されるトナーの形状係数SF1が100〜140の範囲であり、かつ、前記トナーの示差熱分析より得られる最大の吸熱ピークの極大値が70〜130℃の範囲に存在し、透過型電子顕微鏡により観察される前記トナーの断面がコア/シェル構造を有しており、該シェルの厚さが10〜500nmの範囲であることを特徴とする画像形成方法である。
【0023】
【数2】
【0024】
なお、上記式において、Lはトナーの最大長を表し、Aはトナーの投影面積を表す。
【0025】
<2> 少なくとも結着樹脂及び着色剤を含むトナーと、芯材の表面を樹脂で被覆して得られるキャリアとから構成され、前記トナーとキャリアとを含有する補給用現像剤を適宜補給するとともに、過剰となった前記現像剤を内部から回収する現像剤回収機構を有する現像器を少なくとも1つ備えた画像形成装置に用いられる補給用トナーであって、該補給用トナーにおけるキャリアの含有量が5〜40質量%の範囲、前記トナーの体積平均粒径が3〜10μmの範囲、上記式(1)で表されるトナーの形状係数SF1が100〜140の範囲であり、かつ、前記トナーの示差熱分析より得られる最大の吸熱ピークの極大値が70〜130℃の範囲に存在し、透過型電子顕微鏡により観察される前記トナーの断面がコア/シェル構造を有しており、該シェルの厚さが10〜500nmの範囲であることを特徴とする補給用トナーである。
【0026】
<3> <2>に記載の補給用トナーを構成するトナーの製造方法であって、 少なくとも粒子径が1μm以下の第1の樹脂微粒子を分散した樹脂微粒子分散液と、着色剤粒子を分散した着色剤粒子分散液と、離型剤粒子を分散した離型剤粒子分散液とを混合し、前記第1の樹脂微粒子と前記着色剤粒子と前記離型剤粒子とを含むコア凝集粒子を形成する第1の凝集工程と、前記コア凝集粒子の表面に、第2の樹脂微粒子を含むシェル層を形成しコア/シェル凝集粒子を得る第2の凝集工程と、前記コア/シェル凝集粒子を、前記第1の樹脂微粒子または前記第2の樹脂微粒子のガラス転移温度以上に加熱し融合・合一する融合・合一工程と、を少なくとも含むことを特徴とするトナーの製造方法である。
【0027】
また、前記トナーにおいては、トナー中に含まれる離型剤の180℃における粘度が、20〜500mPa・sの範囲であることが好ましい。
【0028】
また、測定周波数を6.28rad/sとして行った動的粘弾性測定において、50℃におけるトナーの貯蔵弾性率G’1が1×108〜2×109Paの範囲であって、かつ、測定周波数を62.8rad/sとした際の50℃におけるトナーの貯蔵弾性率G’2(Pa)とG’1との比G’2/G’1が4.5〜18.0の範囲であることが好ましい。
【0029】
さらに、前記トナーの製造方法における凝集工程に用いられる金属塩重合体は、4価のアルミニウム塩の重合体、または4価のアルミニウムであることが好ましい。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
<画像形成方法、補給用トナー>
本発明の画像形成方法は、潜像担持体と、該潜像担持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記潜像担持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、トナー及びキャリアからなる現像剤が内部に収容され、現像剤担持体表面に形成された前記現像剤の層により前記潜像を現像し、前記潜像担持体表面にトナー画像を形成する現像器と、前記トナー画像を被転写体に転写する転写手段と、を含む画像形成装置により画像形成を行う画像形成方法であって、
前記画像形成装置における少なくとも1の現像器が、その内部に、前記トナーとキャリアとを含有する補給用トナーを適宜補給するとともに、過剰となった前記現像剤を内部から回収する現像剤回収機構を有し、前記補給用トナーにおけるキャリアの含有量が5〜40質量%の範囲、前記トナーの体積平均粒径が3〜10μmの範囲、下記式(1)で表されるトナーの形状係数SF1が100〜140の範囲であり、かつ、前記トナーの示差熱分析より得られる最大の吸熱ピークの極大値が70〜130℃の範囲に存在し、透過型電子顕微鏡により観察される前記トナーの断面がコア/シェル構造を有しており、該シェルの厚さが10〜500nmの範囲であることを特徴とする。
【0031】
【数3】
【0032】
なお、上記式において、Lはトナーの最大長を表し、Aはトナーの投影面積を表す。
【0033】
すなわち本発明の画像形成方法は、現像によって消費されるトナーと一緒にキャリアを補給するとともに、劣化した現像器内のキャリアを少しずつ回収し、入れ替えていくことにより、現像剤寿命を延ばす、いわゆるトリクル現像システムにおいて、補給用トナーにおけるトナーの粒径、形状、熱的特性等を制御することにより、長期にわたってオイルレス定着における良好な剥離性、耐オフセット性、光沢等を達成できるものである。
なお、本発明における補給用トナーとは、現像剤中に補給される前記トナーとキャリアとを混合したものである。
【0034】
以下、本発明の画像形成方法の構成について説明しつつ、併せて本発明の補給用トナーについても説明する。
本発明に用いられる現像剤は、スタート現像剤及び補給用トナーともに、キャリア及びトナーを適当な配合割合で混合することにより調製される。スタート現像剤におけるキャリアの含有量((キャリアの質量)/(キャリア及びトナーの質量の和)×100)としては、85〜99質量%の範囲が好ましく、より好ましくは87〜98質量%の範囲がより好ましく、89〜97質量%の範囲がさらに好ましい。
【0035】
一方、補給用トナーにおけるキャリアの含有量としては、5〜40質量%の範囲であることが必須であり、6〜30質量%の範囲が好ましい。キャリアの含有量が5質量%より少ないと、トナーの帯電劣化抑制、抵抗変化防止、ひいては画質変化抑制に充分な効果を発現することができない。また、前記トリクル現像システムでは、現像器内で過剰になる現像剤は、現像器内部から回収されるが、補給用トナーにおけるキャリア含有量が40質量%より多いと、この回収量が多くなり、回収後の現像剤を収容しておくための容器の容量を大きくする必要が生じてしまうため、スペース制約が求められる装置小型化の観点からも適さない。
本発明では、コアシェル構造のトナーを用いることにより、補給用トナーにおけるキャリアへのワックスの移行が防止できるために、補給用トナーを現像器に追加した時においてもキャリアからの帯電付与性が良好で、長期にわたり良好な画像を得ることができる。
【0036】
本発明におけるトナーの粒径は、体積平均粒径D50vで3〜10μmの範囲であることが必要であり、3〜8μmの範囲がより好ましい。前記D50vが3μm未満ではトナー帯電性が不十分になり現像性が低下することがあり、10μmを超えると画像の解像性が低下する。
【0037】
なお、補給用トナーのキャリアとしては、体積平均粒径D50vが10〜500μmの範囲のキャリアが用いられる。より好ましい体積平均粒径D50vは、30〜100μmの範囲である。さらに好ましくは、25〜50μmの範囲である。
【0038】
また、本発明におけるトナー粒子径分布指標は、体積平均粒度分布指標GSDvが大きくとも1.30(GSDv≦1.30)であり、かつ、該体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpとの比GSDv/GSDpが、少なくとも0.95(0.95≦(GSDv/GSDp))であることが好ましい。
【0039】
体積平均粒度分布指標GSDvが1.30を超えると、画像における解像性が低下し、体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpとの比が0.95未満の場合は、帯電性の低下を発生させることがあると同時に、飛び散り、カブリ等の画像欠陥の原因ともなり得る。
【0040】
前記トナーの粒径、及び平均粒径分布指標は、例えば、コールターカウンターTAII(日科機社製)、マルチサイザーII(日科機社製)等の測定機を用いて測定される粒度分布を、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積、数、それぞれに小径側から累積分布を描き、例えば累積16%となる粒径を体積D16v、または数D16pと定義し、累積50%となる粒径を、体積D50v、または数D50pと定義する。さらに、累積84%となる粒径を体積D84v、または数D84pと定義する。これらを用いて、体積平均粒度分布指標GSDvは、(D84v/D16v)1/2より求められ、数平均分布粒度指標GSDpは、(D84p/D16p)1/2より算出される。
【0041】
本発明におけるトナーは、下記式(1)で表されるトナーの形状係数SF1が100〜140の範囲であることが必要である。また、トナーの形状係数SF1は、110〜135の範囲であることが好ましい。
【0042】
【数4】
【0043】
上記式において、Lはトナーの最大長を表し、Aはトナーの投影面積を表す。
形状係数SF1が140を超えるとトナーの流動性が低下し、初期から転写性に悪影響を及ぼす。
なお、トナー形状係数SF1は、スライドガラス表面に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個以上のトナー粒子の最大長と投影面積を求め、上記式(1)によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
【0044】
前記形状係数SF1を制御する方法としては、混練粉砕法により得られたトナー粒子を熱風下で球形化させる方法も用いることができるが、後述する製造方法によってトナーを製造することが、製造安定性の観点で好ましい。
【0045】
また本発明においては、前記トナーの示差熱分析より得られる最大の吸熱ピークの極大値が70〜130℃の範囲に存在することが必要である。前記最大の吸熱ピークは、後述する離型剤の吸熱ピークに相当するものであり、該吸熱ピークの極大値が70℃未満であると、定着時にオフセットを生じやすくなる。また、130℃を超えると、定着温度が高くなり定着画像表面の平滑性が得られず光沢性を損なう。
なお、上記温度は70〜100℃の範囲がより好ましい。
【0046】
前記示差熱分析での最大吸熱ピークの測定は、例えば、示差走査型熱量計DSC−7(パーキンエルマー社製)を用い、ASTMD3418−8に準拠して行うことができる。具体的には、装置の検出部の温度補正は、インジウムと亜鉛との融点を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いた。試料セルはアルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度を10℃/minとして測定を行った。
【0047】
本発明においては、前記トナーに含まれる離型剤の180℃における粘度が、20〜500mPa・sの範囲であることが好ましい。180℃における粘度が20mPa・s未満であると、定着の際に離型剤の粘度が低くトナーから析出しやすくなる。そのために剥離性は向上するものの、表面層の離型剤が定着ロールに付着するため、定着表面層の離型剤が均一にならない。そのため、光の乱反射が発生し、グロスの低下、OHP透過性の低下が発生するする場合がある。また、500mPa・s以上であると、定着の際に離型剤の粘度が高すぎ、定着時にトナーから析出しにくくなるため剥離力が悪化する。そのためにグロスむらが発生し、グロスの低下を引き起こす場合がある。
【0048】
上記離型剤の粘度は、動的粘弾性装置ARES(レオメトリックサイエンティフィック社製)を用いて測定することができる。
【0049】
本発明における透過型電子顕微鏡により観察されるトナーの断面は、コア/シェル構造を有しており、該シェルの厚さが、10〜500nmの範囲であることが必要である。シェルの厚さが10nm未満であると、コア内に合一・融合されている顔料、離型剤が外部に析出しやすくなり、定着部材等を汚染する可能性が高い。また、500nmを超えると、実質的にコアにおける樹脂量が顔料に比べて少なくなり、コア内の顔料分散性が劣ることとなり、現像剤用トナーに求められる色域のズレ、帯電特性の低下、低グロス化を招くおそれがある。
【0050】
次に、トナーの粘弾性特性について説明する。
一般に、トナーの動的な弾性、粘性は、動的粘弾性測定の際の周波数に依存する。周波数が高い場合、トナーを構成するバインダー樹脂成分のみならず、トナー中の色材や磁性金属微粒子などの内添剤の存在による弾性に対する寄与が高くなり、硬くなる傾向を有する。一方、周波数が低い場合、これらの寄与が低下し、結果として柔らかい挙動を示すことから、測定される貯蔵弾性率は小さくなる。
【0051】
一般に、トナー等の高分子材料は、通常、その状態、すなわち分子鎖の運動状態が温度の上昇に伴って、ガラス域、遷移域、ゴム状域、流動域へと変化する。
上記ガラス域は、ガラス転移温度(Tg)以下の温度で、高分子の主鎖の運動が凍結されている状態だが、温度が上昇し分子の運動が大きくなるに従って、ガラス状態から徐々にやわらかくなり、最終的には、流動状態を示すようになる。
【0052】
これらの性質は、前記のように測定周波数にも影響され、弾性率の大きさはトナーの構造、すなわちバインダー樹脂のみで構成される表面近傍の厚さ(体積)や、トナーの内添剤の存在量・存在位置、存在状態(分散状態)、及びバインダー樹脂との親和性にも影響される。
【0053】
本発明のトナーは、トナー粒子の作製過程においてコア/シェル構造が形成されることや、色材や磁性金属微粒子、あるいは離型剤粒子のトナー粒子内部における存在状態の差が、定着、帯電性に影響を及ぼすことから、それらの差は、動的粘弾性の周波数を変化させた際の応答性の差として検出される。
【0054】
本発明においては、測定周波数を6.28rad/sとした動的粘弾性測定における50℃におけるトナーの貯蔵弾性率G’1が、1×108〜2×109Paの範囲にあって、かつ、測定周波数を62.8rad/sとした場合の50℃における貯蔵弾性率G’2(Pa)との比G’2/G’1を4.5〜18.0の範囲とすることで、本発明の目的を達成するトナー構造を規定することができる。
【0055】
測定周波数6.28rad/sの場合の50℃における貯蔵弾性率G’1が1×108Paより小さいと、トナーの溶融時における曳糸性が高く、オイルレス定着での剥離性が低下するばかりでなく、高温オフセット性が悪化する。また、2×109Paよりも大きいと、弾性が高く硬いために曳糸性はなく、高温オフセット性やオイルレス定着での剥離性は良好となるものの、被記録体として用いられる紙等との接着性、すなわち定着性が低下する。
【0056】
さらに、このときの貯蔵弾性率と、測定周波数を62.8rad/sとした場合の50℃における貯蔵弾性率の比G’2/G’1を、4.5〜18.0の範囲とすることで、トナー内部の内添剤の分散状態を良好なものとすることができる。上記比が4.5より小さいと、トナー内部の内添剤の分散が不均一であって十分な構造制御がなされていないことを表し、発色性や帯電性のトナー粒子間均一性が低下し、飛び散り等の原因となることがある。一方、18.0よりも大きいと、内添剤の分散性は良好であるが、前記シェル構造が十分に形成されていないことがあり、定着性や剥離性は良好であるが、トナー帯電性や流動性が悪化することがある。
【0057】
本発明における前記動的粘弾性の測定には、例えば、動的粘弾性測定装置ARES(レオメトリックサイエンティフィック社製)が用いられる。
上記動的粘弾性測定では、通常トナーを錠剤に成形した後、25mm径のパラレルプレートにセットし、ノーマルフォースを0とした後に所望の振動周波数で正弦波振動を与える。測定は0℃から開始し200℃まで継続する。測定時間インターバルは30秒、測定開始後の温度調整精度は±1.0℃以下とすることが測定精度の観点から好ましい。また測定中、各測定温度においてひずみ量を適切に維持し、適正な測定値が得られるように適宜調整する。
【0058】
以上のように、本発明においては、断面がコア/シェル構造を有するトナーに関し、トナーの示差熱分析より得られる最大の吸熱ピークの極大値を70〜130℃の範囲とし、前記シェルの厚さを10〜500nmの範囲とすることで、トナーのタフネスさや耐久性と、定着の際の離型剤の析出量との最適化を図ることができ、剥離、グロス、OHP透過性等の特性が維持できる。
【0059】
さらに、離型剤の180℃における粘度が20〜500mPa・sの範囲であり、測定周波数を6.28rad/sとした場合の50℃におけるトナーの貯蔵弾性率G’1が1×108〜2×109Pa・sの範囲であり、かつ測定周波数6.28rad/sと62.8rad/sとの貯蔵弾性率の比を4.5〜18.0の範囲とすることにより、前記特性をより好ましく発現させることができる。
【0060】
すなわち、トナーのタフネス、耐久性、シェル厚、及び離型剤の露出量の最適化、さらにはトナー内部の内添剤の分散性、均一性の最適化によって、離型剤の露出が均一化され、剥離性、耐高温オフセット性が向上し、特に定着圧力差、温度、湿度等に起因する種々の異なる条件下においても剥離の安定性が向上した。
さらに、剥離起因のグロスむらが低減しグロスが向上するため、OHP透過性の向上にもつながった。
【0061】
加えて、上記のようにトナーの定着性能が改善したため、フリーベルトニップフューザーのように定着圧力分布の異なる定着器や、定着圧力の異なる定着器でも統一したトナーを使用することが可能となり、トナーの汎用性が広がる効果も得られた。
【0062】
本発明におけるトナーは、その帯電量の絶対値が20〜40μC/gの範囲にあるのが好ましく、15〜35μC/gの範囲がより好ましい。前記帯電量が、20μC/g未満であると、背景部汚れが発生し易くなり、40μC/gを越えると、画像濃度の低下が発生し易くなる。また、30℃、80RH%の高温高湿度下と、10℃、20%RHの低温低湿度下とでの帯電量の比率は、0.5〜1.5の範囲が好ましく、0.7〜1.3の範囲がより好ましい。帯電量の比率が前記範囲内にあると、環境に影響されることなく鮮明な画像を得ることができる。
【0063】
次に、本発明の画像形成方法に用いられる画像形成装置について説明する。
前記のように、本発明の画像形成方法においては、潜像担持体と、該潜像担持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記潜像担持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、トナー及びキャリアからなる現像剤が内部に収容され、現像剤担持体表面に形成された前記現像剤の層により前記潜像を現像し、前記潜像担持体表面にトナー画像を形成する現像器と、前記トナー画像を被転写体に転写する転写手段と、を含む画像形成装置が用いられる。
【0064】
特に、本発明の画像形成方法において、フルカラー画像を作製する場合には、用紙汎用性、高画質の観点から、各色のカラートナー画像を、被転写体としての中間転写ベルトまたは中間転写ドラム表面に一旦転写して積層させた後、該積層されたカラートナー画像を一度に紙等の被記録体表面に転写することが好ましい。勿論、被転写体を紙等の被記録体とし、直接、各色のカラートナー画像を積層する構成としてもよい。
【0065】
また、本発明においては、前記画像形成装置における少なくとも1の現像器が、その内部に、前記トナーとキャリアとを含有する補給用トナーを適宜補給するとともに、過剰となった前記現像剤を内部から回収する現像剤回収機構を有する、いわゆるトリクル現像システムを採用している。
【0066】
本発明は、トリクル現像システムにおける補給用トナーとして、既述の形状、粒径、熱的特性等が制御されたコア/シェル構造を有するトナーを含むものを用いることにより、前記剥離、グロス、OHP透過性等の特性を長期にわたって維持できるものである。
【0067】
上記トリクル現像システムにおけるキャリア補給は、通常補給用トナー中にキャリアを混入させるため、トナー消費に伴い一定量のキャリアが補給されることとなる。さらに、その一般的な制御方法としては、現像器内のトナー濃度センサーにより、トナー濃度が一定範囲になるように逐次トナーが補給制御されるものが挙げられる。また、補給により過剰となった現像器内の現像剤は、通常オーバーフローにより回収され、回収容器に収容される。
【0068】
本発明において用いられる画像形成装置では、少なくとも1の現像器が具備されていればその構成は特に制限されないが、複数の現像ユニットを有するタンデム方式であることが好ましい。そして、この場合であっても、少なくとも1の現像ユニットの現像器がトリクル現像システムを採用しているものであれば、当該現像ユニットにおいて本発明の効果が得られ、現像剤のメンテナンスを省力化、、メンテナンスフリーに加え、長期にわたる高画質、高光沢画像等が実現できるが、勿論、より多くの現像ユニットについて、トリクル現像システムを採用することが望ましく、全ての現像ユニットについて採用することが最も望ましい。
以下に、本発明において用いられる画像形成装置について、その一例を挙げて説明する。
【0069】
図1は、本発明において用いられる画像形成装置の一例を示す概略断面図である。この画像形成装置においては、図1に示すように、それぞれイエロー、マゼンタ、シアンそしてブラックの各色の画像を形成する4つの現像ユニット40Y、40M、40C、40Kが、所定の間隔をおいて並列的に(タンデム状に)配置されている。ここで、各現像ユニット40Y、40M、40C、40Kは、収容されている現像剤中のトナーの色を除き基本的に同様に構成されているので、以下、イエローの現像ユニット40Yを代表させて説明する。
【0070】
イエローの現像ユニット40Yは、像担持体としての感光体ドラム(潜像担持体)1Yを備えており、この感光体ドラム1Yは、その中央に当該図1が描かれた紙面に垂直な方向に軸を有し、図示の矢印A方向に沿って図示しない駆動手段によって所定のプロセススピードで回転駆動されるようになっている。感光体ドラム1Y表面の感光体としては、例えば、赤外領域に感度を持つ有機感光体が用いられる。
【0071】
なお、所定の条件により自動で、あるいは、手動で、プロセススピードの切り替えが可能であってもよい。本発明の画像形成方法は、このようにプロセススピードの切り替えが途中で行われるような装置であっても、高画質な画像形成と現像剤の維持性とを実現し得るものである。ここで、「所定の条件により自動」としては、例えば、写真画像等高精細な画像部分を含む画像情報が入力された場合に、高画質な画像を得るため、自動で通常モードから低速モードに切換える場合が挙げられる。
【0072】
図1における感光体ドラム1Yの上部には、ロール帯電方式の帯電器(帯電手段)20Yが設けられており、帯電器20Yには不図示の電源により所定の電圧が印加され、感光体ドラム1Yの表面が所定の電位に帯電される(帯電器20M、20C、20Kおよび感光体ドラム1M、1C、1Kにおいても同様)。
【0073】
感光体ドラム1Yの周囲には、帯電器20Yよりも該感光体ドラム1Yの回転方向下流側に、該感光体ドラム1Yの表面に画像露光を施して静電潜像を形成する潜像形成手段3Yが配置されている。なお、ここでは潜像形成手段3Yとして、スペースの関係上、小型化が可能なLEDアレイを用いているが、これに限定されるものではなく、他のレーザービーム等による潜像形成手段を用いても勿論問題ない。
【0074】
また、感光体ドラム1Yの周囲には、潜像形成手段3Yよりも該感光体ドラム1Yの回転方向下流側に、イエロー色の現像器4Yが配置されており、感光体ドラム1Y表面に形成された静電潜像がイエロー色のトナーによって顕像化され、感光体ドラム1Y表面にトナー画像が形成される構成になっている。
【0075】
図1における感光体ドラム1Yの下方には、感光体ドラム1Y表面に形成されたトナー画像を一次転写する中間転写ベルト15が、4つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kの下方に渡って配置されており、この中間転写ベルト15は、一次転写ロール5Yによって感光体ドラム1Yの表面に押し付けられている。また、中間転写ベルト15は、駆動ロール11、支持ロール12およびバックアップロール13の3つのロールからなる駆動手段によって張架され、感光体ドラム1Yのプロセススピードと等しい移動速度で、矢印B方向に周動されるようになっている。そして、中間転写ベルト15表面には、上記のようにして一次転写されたイエローのトナー画像の他、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色のトナー画像が順次一次転写され、積層される。
【0076】
また、感光体ドラム1Yの周囲には、一次転写ロール5Yよりも感光体ドラム1Yの回転方向(矢印A方向)下流側に、感光体ドラム1Yの表面に残留したトナーやリトランスファーしたトナーを清掃するためのクリーニングブレードからなるクリーニング手段6Yが配置されており、クリーニング手段6Yにおけるクリーニングブレードは、感光体ドラム1Yの表面にカウンター方向に当接するように取り付けられている。
【0077】
中間転写ベルト15を張架するバックアップロール13には、中間転写ベルト15を介して二次転写ロール14が圧接されており、中間転写ベルト15表面に一次転写され積層されたトナー画像を、バックアップロール13と二次転写ロール14とのニップ部に、図示しない用紙カセットから給紙される被記録体16表面に、静電的に転写するように構成されている。
【0078】
さらに、中間転写ベルト15の外周には、駆動ロール11の表面に略対応した位置に、中間転写ベルト用の清掃部材17が該中間転写ベルト15の表面に接触するように配置されている。
【0079】
また、図1における中間転写ベルト15の駆動ロール11の下方には、被記録体16表面に多重転写されたトナー画像を、熱及び圧力によって被記録体16表面に定着して、永久像とするための定着器18が配置されている。
【0080】
次に、上記のように構成されたイエロー、マゼンタ、シアンそしてブラックの各色の画像を形成する各現像ユニット40Y、40M、40C、40Kの動作について説明する。各現像ユニット40Y、40M、40C、40Kの動作は、それぞれ同様であるため、ここでは、イエローの現像ユニット40Yの動作を、その代表として説明する。
【0081】
イエローの現像ユニット40Yにおいて、感光体ドラム1Yは、矢印A方向に所定のプロセススピードで回転しており、感光体ドラム1Yの表面は、不図示の電源によって帯電器20Yに所定の電圧を印加することにより、帯電器20Yと感光体ドラム1Yとの間の微小間隙に生じる放電、または電荷の注入によって、所定の電位にマイナス帯電される。その後、感光体ドラム1Yの表面には、潜像形成手段3Yによって画像露光が施され、画像情報に応じた静電潜像が形成される。続いて、感光体ドラム1Yの表面に形成された静電潜像は、現像器4Yによりマイナス帯電されたトナーが反転現像され、感光体ドラム1Y表面に可視像化され、トナー画像が形成される。その後、感光体ドラム1Y表面のトナー画像は、一次転写ロール5Yにより中間転写ベルト15表面に一次転写される。一次転写後、感光体ドラム1Yは、その表面に残留したトナー等がクリーニング手段6Yのクリーニングブレードにより掻き取られ、清掃され、次の画像形成工程に備える。
【0082】
以上の動作が各現像ユニット40Y、40M、40C、40Kで行われ、各感光体ドラム1Y、1M、1C、1K表面に可視像化されたトナー画像が、次々と中間転写ベルト15表面に多重転写されていく。フルカラーモード時は、イエロー、マゼンタ、シアンそしてブラックの順に各色のトナー画像が多重転写されるが、単色、二色、三色モード時のときも同様の順番で、必要な色のトナー画像のみが単独または多重転写されることになる。その後、中間転写ベルト15表面に単独または多重転写されたトナー画像は、二次転写ロール14により、図示しない用紙カセットから搬送されてきた被記録体16表面に二次転写され、続いて、定着器18において加熱・加圧されることにより定着される。二次転写後に中間転写ベルト15表面に残留したトナーは、中間転写ベルト15用のクリーニングブレードである清掃部材17により清掃される。
なお、本発明に用いられる画像形成装置のプロセススピードは、100〜250mm/sの範囲であることが好ましい。
【0083】
前述のように、本発明においては、現像ユニット40Y、40M、40Cおよび40Kのうち、少なくともいずれか1の現像ユニットの現像器(4Y、4M、4Cおよび4Kの少なくともいずれか1つ)が、トリクル現像システムを採用しており、かつ、かかる現像器に既述の本発明の補給用トナーが収容されている。
【0084】
以上のようなタンデム方式の画像形成装置では、ロータリー現像システムに比べカラー高速化が容易となるが、例えば、現像ユニット40Kのみを用いて黒色画像を得ようとする場合にも、他の色の現像ユニット40Y、40M、40Cも一緒に稼動してしまい、現像器4Y、4M、4Cに内蔵される現像剤担持体が、感光体ドラム1Y、1M、1Cと連動して回転するため、現像器4Y、4M、4C内部に収容された現像剤が受けるストレスは、極めて大きいものとなる。また、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K周辺のスペース、あるいは、装置の大きさの制限上、1個当たりの現像器4Y、4M、4C、4Kの大きさは制限され、スペース上各現像器内に充分な現像剤量を確保できないため、装置構造的にも現像剤が受けるストレスは大きくなりがちである。
【0085】
しかし、本発明の画像形成方法においては、現像器4Y、4M、4C、4Kの少なくともいずれか1つに、トリクル現像システムを採用し、しかも維持性の高い補給用トナーを補給することで、現像剤寿命を格段に延ばし、メンテナンスフリーをも実現し得るものとなっている。したがって、現像剤中のトナーも使用によるストレスを受けることがなく、形状、粒径、コア/シェル構造等を一定に保つことができるため、定着における剥離性、耐高温オフセット性等を安定的に維持できることとなる。
【0086】
本発明の画像形成方法に使用する画像形成装置において、各構成部材は、本発明に規定するものの他、特に制限はない。例えば、潜像担持体、中間転写ベルト(あるいは中間転写ドラム)、帯電器等の各構成要素は、公知の如何なるものをも採用することができる。
ただし、前記帯電手段としては、オゾン発生の低減による環境保全性等を高い次元で実現できる点で、ロール帯電方式の帯電器であることが好ましい。
【0087】
また、クリーニング手段6Yとしては、ブレードクリーニング方式のものが、性能安定性に優れることから、一般に好ましく使用されており、上記例においても採用している。球形に近いトナーのクリーニングを可能とするためにはブレードの物理特性制御および接触条件を最適化することが望まれるが、それとともに前記本発明に規定する現像剤、特に既述の単分散球状シリカ、研磨剤および滑剤とを組み合わせた外添剤を添加したトナーを含む現像剤を用いることにより、潜像担持体表面の残留トナーを安定的にクリーニングすることが可能となり、潜像担持体の耐摩耗性による寿命を大きく延ばすことができる。また、潜像担持体の回転方向におけるクリーニング手段の上流・下流のどちらかに、静電ブラシを配してもよい。
【0088】
前記静電ブラシとしては、カーボンブラック、金属酸化物等の導電フィラーを含有させた樹脂からなる繊維状の物質、あるいは、前記導電性フィラーを表面に被覆した繊維状の物質を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0089】
以上、本発明の画像形成方法に使用する画像形成装置の一例により、図面を用いて本発明の画像形成方法を説明したが、本発明は、本発明の構成を具備する限り、他の任意的要素については、公知の知見により如何なる変更・修正をも為し得るものであり、制限されるものではない。
【0090】
<トナーの製造方法>
次に、本発明のトナーを製造する際に好適な製造方法について説明する。
本発明のトナーの製造方法は、既述の本発明の補給用トナーを構成するトナーの製造方法であって、少なくとも粒子径が1μm以下の第1の樹脂微粒子を分散した樹脂微粒子分散液と、着色剤粒子を分散した着色剤粒子分散液と、離型剤粒子を分散した離型剤粒子分散液とを混合し、前記第1の樹脂微粒子と前記着色剤粒子と前記離型剤粒子とを含むコア凝集粒子を形成する第1の凝集工程と、前記コア凝集粒子の表面に、第2の樹脂微粒子を含むシェル層を形成しコア/シェル凝集粒子を得る第2の凝集工程と、前記コア/シェル凝集粒子を、前記第1の樹脂微粒子または前記第2の樹脂微粒子のガラス転移温度以上に加熱し融合・合一する融合・合一工程と、を少なくとも含むことを特徴とする。
【0091】
上記のような製造方法を用いることにより、既述の粒度分布、形状、粘弾性特性等を有するコア/シェル構造を有するトナーを、制御性よく容易に得ることができる。
【0092】
前記第1の凝集工程においては、まず、樹脂微粒子分散液と、着色剤粒子分散液と、離型剤粒子分散液とを準備する。樹脂微粒子分散液は、乳化重合などによって作製した第1の樹脂微粒子を、イオン性界面活性剤を用いて溶媒中に分散させることにより調製される。着色剤粒子分散液は、樹脂微粒子分散液の作製に用いたイオン性界面活性剤と反対極性イオン性界面活性剤を用いて、青色、赤色、黄色等の所望の色の着色剤粒子を溶媒中に分散させることにより調製される。また、離型剤粒子分散液は、離型剤を、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱するとともに強い剪断をかけられるホモジナイザーや圧力吐出型分散機により微粒子化することにより調製される。
【0093】
次に、上記樹脂微粒子分散液と着色剤粒子分散液と離型剤粒子分散液とを混合し、第1の樹脂微粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ、所望のトナー粒径にほぼ近い径を持つ、第1の樹脂微粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とを含む凝集粒子(コア凝集粒子)を形成する(第1の凝集工程)。
【0094】
第2の凝集工程は、前記第1の凝集工程で得られたコア凝集粒子の表面に、第2の樹脂微粒子を含む樹脂微粒子分散液を用いて、第2の樹脂微粒子を付着させ、所望の厚みの被覆層(シェル層)を形成することによりコア凝集粒子表面にシェル層が形成されたコア/シェル構造も持つ凝集粒子(コア/シェル凝集粒子)を得る(第2の凝集工程)。なお、この際用いる第2の樹脂微粒子は、第1の樹脂微粒子と同じであってもよく、異なったものであってもよい。
【0095】
また、第1及び第2の凝集工程において用いられる、第1の樹脂微粒子、第2の樹脂微粒子、着色剤粒子、離型剤粒子の中心径は、トナー粒径及び粒度分布を所望の値に調整するのを容易とするために、1μm以下であることが必要であり、100〜300nmの範囲内であることがより好ましい。
【0096】
第1の凝集工程においては、樹脂微粒子分散液や着色剤粒子分散液に含まれる2つの極性のイオン性界面活性剤(分散剤)量のバランスを予めずらしておくことができる。例えば、硝酸カルシウム等の無機金属塩、もしくはポリ塩化アルミニウム等の無機金属塩の重合体を用いてこれをイオン的に中和し、第1の樹脂微粒子のガラス転移温度以下の温度で加熱して、コア凝集粒子を作製することができる。
【0097】
このような場合、第2の凝集工程においては、上記したような2つの極性の分散剤のバランスのずれを補填するような極性及び量の分散剤で処理された樹脂微粒子分散液を、コア凝集粒子を含む溶液中に添加し、さらに必要に応じてコア凝集粒子または第2の凝集工程において用いられる第2の樹脂微粒子のガラス転移温度以下の温度でわずかに加熱して、コア/シェル凝集粒子を作製することができる。
なお、前記第1及び第2の凝集工程は、段階的に複数回に分けて繰り返し実施したものであってもよい。
【0098】
次に、融合・合一工程において、第2の凝集工程を経て得られたコア/シェル凝集粒子を、溶液中にて、このコア/シェル凝集粒子中に含まれる第1または第2の樹脂微粒子のガラス転移温度(樹脂の種類が2種類以上の場合は最も高いガラス点移温度を有する樹脂のガラス転移温度)以上に加熱し、融合・合一することによりトナーを得る。
【0099】
前記融合・合一工程終了後は、溶液中に形成されたトナーを、公知の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て乾燥した状態のトナーとする。
なお洗浄工程は、帯電性の点から、十分にイオン交換水による置換洗浄を施すことが好ましい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好ましく用いられる。さらに乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。
【0100】
なお、上記のように本発明におけるトナーでは、離型剤はシェル層に被覆されたコア凝集粒子の部分に含まれるため、離型剤のトナー表面への流失を防ぎ、帯電性、耐久性を確保することができる。
【0101】
本発明に用いられる樹脂微粒子に使用される重合体は特に制限はないが、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのポリオレフィン類;などの単量体の重合体、またはこれらを2種以上組み合せて得られる共重合体またはこれらの混合物、さらにはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合系樹脂、あるいはこれらと前記ビニル系樹脂との混合物や、これらの共存下でビニル系単量体を重合する際に得られるグラフト重合体等を挙げることができる。
【0102】
また必要に応じて、1種または2種以上の架橋構造を有する化合物を用いて、樹脂微粒子を調製してもよい。例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレートなどのアクリレートモノマーや、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂などの多官能アクリレート樹脂を用いて、ビニル系単量体を重合する際に得られるグラフト重合体等を挙げることができる。
【0103】
前記重合体がビニル系単量体の場合は、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合を実施して樹脂粒子分散液を作製することができ、その他の樹脂の場合は、油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば、樹脂をそれらの溶剤に解かして水中にイオン性の界面活性剤や高分子電解質とともにホモジナイザーなどの分散機により水中に微粒子分散し、その後、加熱または減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂微粒子分散液を作製することができる。
【0104】
なお、得られた樹脂微粒子分散液の粒子径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置LA−700(堀場製作所社製)で測定することができる。
【0105】
本発明に用いられる離型剤としては、前記同様ASTMD3418−8に準拠して示差熱分析を行ったときの主極大吸熱ピーク(融点)が、70〜130℃の範囲にある物質が好ましい。主極大吸熱ピークが70℃未満であると、定着時にオフセットを生じやすくなる場合がある。また、130℃を超えると、定着温度が高くなり、定着画像表面の平滑性が得られず光沢性を損なう場合がある。
【0106】
前記離型剤の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス;ミツロウのごとき動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス;及びそれらの変性物を挙げることができる。
【0107】
これらの離型剤は、水中にイオン性界面活性剤や、高分子酸、高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱するとともに強い剪断をかけられるホモジナイザーや圧力吐出型分散機により微粒子化し、粒子径が1μm以下の粒子の分散液とすることができる。
また、得られた離型剤粒子分散液の粒子径は、前記同様、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置LA−700(堀場製作所社製)で測定することができる。
【0108】
本発明における離型剤配合量は、トナー中の10〜30質量%の範囲であることが望ましい。現像剤用トナーに含有される離型剤の含有量が10質量%を下回ると、感光体への離型剤成分の付着による黒点、黒筋等画像欠陥は抑制されるものの、定着性能、特に高温での剥離性能に問題が生じることがある。一方、30質量%を超えると、表面露出離型剤量が増大し、離型剤成分の付着による黒筋等画像欠陥が問題となる。さらに画像内部散乱光の割合が増大するため、OHPフィルム表面の画像の透明性低下、発色性低下を招くことがあり、またOHPに画像出力した際のいわゆるワックスオフセット等による画質低下を引き起こす場合がある。なお、好ましい含有量は11〜18質量%の範囲である。
【0109】
本発明に用いることができる着色剤としては、以下のような公知のものを挙げることができる。
例えば、黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト等が挙げられる。
【0110】
黄色顔料としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー等が挙げられる。
【0111】
橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK等が挙げられる。
【0112】
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ等が挙げられる。
【0113】
青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどが挙げられる。
【0114】
紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等が挙げられる。
緑色顔料としては、酸化クロム、クロムグリーン、ピグメントグリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等が挙げられる。
【0115】
白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等が挙げられる。
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等が挙げられる。
【0116】
また、染料としては、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料、例えば、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等が挙げられる。
また、これらを単独、もしくは混合し、さらには固溶体の状態で使用することもできる。
【0117】
これらの着色剤は、公知の方法で分散されるが、例えば、回転せん断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等が好ましく用いられる。
また、これらの着色剤は、極性を有する界面活性剤を用いることにより、前記ホモジナイザーを用いて水系溶媒中に分散され、着色剤粒子分散液を構成し得る。
【0118】
着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から選択される。上記着色剤の添加量は、樹脂100質量部に対して1〜20質量部の範囲添加されることが好ましい。なお、前記黒色着色剤として磁性体を用いた場合は、他の着色剤とは異なり、30〜100質量部の範囲で添加されることが好ましい。
【0119】
特に、トナーを磁性トナーとして用いる場合は、磁性体を含有せしめることができる。このような磁性体としては、磁場中で磁化される物質が用いられ、鉄、コバルト、ニッケルの如き強磁性の粉末、もしくはフェライト、マグネタイト等化合物である。特に本発明では、水層中でトナーを得るため、磁性体の水層移行性に注意を払う必要があり、表面改質、例えば疎水化処理等を施しておくのが好ましい。
【0120】
本発明においては、トナーの溶融時における粘弾性特性の制御の観点から、トナー中に無機微粒子を添加することができる。
上記無機微粒子としては、シリカ、疎水化処理シリカ、酸化チタン、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、コロイダルシリカ、カチオン表面処理コロイダルシリカ、アニオン表面処理コロイダルシリカ等が用いられる。これらの無機微粒子は、予め超音波分散機などを用いてイオン性界面活性剤の存在下分散処理されるが、この分散処理が必要でないコロイダルシリカの使用がより好ましい。
【0121】
用いられる無機微粒子の平均1次粒径としては、5〜100nmの範囲であることが好ましく、前記例示した無機微粒子を1種または2種以上を混合して使用してもよい。また、該無機微粒子の添加量は、樹脂100質量部に対して0.5〜10質量部の範囲であることが好ましい。無機微粒子の添加量が0.5質量部未満では、該無機微粒子の添加によってもトナー溶融時に十分なタフネスが得られず、オイルレス定着における剥離性を改善できないばかりでなく、トナー溶融時の微粒子のトナー中での粗な分散が粘性のみを増加させ、結果として曳糸性を悪化させるため、オイルレス剥離性を損なうことがある。また、10質量部を超えると、十分なタフネスは得られるものの、トナー溶融時の流動性を大きく低下させ、画像光沢性を損なう場合がある。
【0122】
本発明では、帯電性をより向上安定化させるために帯電制御剤を使用することができる。帯電制御剤としては、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロム等の錯体からなる染料やトリフェニルメタン系顔料など、通常使用される種々の帯電制御剤を使用することができるが、凝集時や合一時の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点から水に溶解しにくい材料が好適である。
【0123】
また、本発明では帯電性の安定のために湿式で無機微粒子を添加することができる。該無機微粒子の例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなど、通常トナー表面の外添剤として使うすべてのものを、イオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基で分散することにより使用することができる。
【0124】
さらに、流動性付与やクリーニング性向上の目的で、通常のトナーと同様に乾燥後、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウムなどの無機微粒子や、ビニル系樹脂、ポリエステル、シリコーンなどの樹脂微粒子を、乾燥状態でせん断をかけて表面へ添加し、流動性助剤やクリーニング助剤として用いることもできる。
【0125】
本発明において、乳化重合、顔料分散、樹脂粒子、離型剤分散、凝集、またはその安定化などに用いる界面活性剤の例としては、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤;等を挙げることができ、また、ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的である。
分散のため手段としては、回転せん断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的なものが使用可能である。
【0126】
前記第1の凝集工程において用いられる金属塩の重合体としては、4価のアルミニウム塩の重合体、または4価のアルミニウムが挙げられ、具体的にはポリ塩化アルミニウムが挙げられる。
【0127】
前記凝集工程、融合・合一工程終了後、任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て所望のトナーを得るが、上記洗浄工程は、帯電性向上の点から十分にイオン交換水による置換洗浄を施すことが好ましい。また、上記固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好ましく用いられる。さらに、上記乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。
【0128】
以上説明した製造方法により、オイルレス定着での剥離性が向上し、剥離力の温度依存性、トナー載り量依存性がなくなり、画像光沢性、OHP透明性、定着画像折り曲げ耐性等の定着特性に優れたトナーが容易に得られる。
【0129】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
まず、実施例、比較例に用いたトナーについて説明する。
【0130】
トナーは、以下の如き方法にて得られる。すなわち、まず樹脂微粒子、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液、無機微粒子分散液をそれぞれ調製する。この際、無機微粒子分散液は、これに予め所定量の無機金属塩の重合体を添加、攪拌し凝集させておいても構わない。次いで、これらを所定量混合攪拌しながらこれに無機金属塩の重合体を添加しイオン的に中和させ、前記各粒子の凝集体を形成せしめる。
【0131】
次いで、無機水酸化物を用いて系内のpHを弱酸性から中性に調整後、前記樹脂微粒子のガラス転移温度(Tg)以上に加熱し、融合・合一せしめる。反応終了後、十分な洗浄、固液分離、乾燥の各工程を経て所望のトナーを得る。
【0132】
以下に、それぞれの分散液、凝集粒子の調製、作製例を示す。
(各分散液の調製)
−樹脂微粒子分散液の調製−
・スチレン(和光純薬製) 325質量部
・n−ブチルアクリレート(和光純薬製) 75質量部
・β−カルボキシエチルアクリレート(ローディア日華製) 9質量部
・1,10−デカンジオールジアクリレート(新中村化学製) 1.5質量部
ドデカンチオール(和光純薬製) 2.7質量部
アニオン性界面活性剤ダウファックス(ローディア社製) 4質量部
イオン交換水 550質量部
【0133】
以上を混合溶解したものに、アニオン性界面活性剤ダウファックス(ローディア社製)4質量部をイオン交換水550質量部に溶解したものを加え、フラスコ中で分散、乳化し、10分間ゆっくりと攪拌・混合しながら、過硫酸アンモニウム6質量部を溶解したイオン交換水50質量部を投入した。次いで、充分に系内の窒素置換を十分に行った後、フラスコ内の溶液を攪拌しながら、オイルバスで系内が70℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。
これにより、中心径が195nm、固形分量が42質量%、ガラス転移温度が51.5℃、重量平均分子量Mwが32000のアニオン性樹脂微粒子分散液を得た。
【0134】
−着色剤粒子分散液の調製−
・シアン顔料(銅フタロシアニンC.I.Pigment Blue15:3 大日精化製) 45質量部
・カチオン性界面活性剤(Neogen RK:第一工業製薬製) 5質量部
・イオン交換水 200質量部
【0135】
以上を混合分散し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて約1時間分散して、中心粒径が168nmの着色剤粒子分散液を得た。
【0136】
−離型剤粒子分散液1の調製−
・ポリプロピレンワックスH12054 P41(融点:90℃、粘度(180℃):40mPa・s、クラリアント社製) 45質量部
・カチオン性界面活性剤Neogen RK(第一工業製薬製) 5質量部
・イオン交換水 200質量部
【0137】
以上を混合し95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、中心径が201nm、固形分量が22質量%の離型剤粒子分散液1を得た。
【0138】
−離型剤粒子分散液2の調製−
離型剤粒子分散液1の調製において、ポリプロピレンワックスH12054 P41の代わりに、POLYCOAT−3030(融点:75℃、粘度(180℃):80mPa・s、日本精蝋社製)を用いた以外は、離型剤粒子分散液1の調製と同様にして、中心粒径が196nm、固形分量が22質量%の離型剤粒子分散液2を得た。
【0139】
−離型剤粒子分散液3の調製−
離型剤粒子分散液1の調製において、ポリプロピレンワックスH12054 P41の代わりに、NEOPALAX−3555(融点:74℃、粘度(180℃):300mPa・s、日本精蝋社製)を用いた以外は、離型剤分散液1の調製と同様にして、中心粒径が210nm、固形分量が22質量%の離型剤粒子分散液4を得た。
【0140】
−離型剤粒子分散液4の調製−
離型剤粒子分散液1の調製において、ポリプロピレンワックスH12054 P41に、パラフィンワックス(融点:64℃、粘度(180℃):1.7mPa・s、日本精蝋社製)を用いた以外は、離型剤分散液1の調製と同様にして、中心粒径が187nm、固形分量が21.0質量%の離型剤粒子分散液4を得た。
【0141】
(トナーの作製)
−トナー1の作製−
あらかじめ、以下の成分を混合し、次いでこれに対し、1M塩酸水溶液を2質量部を添加し、常温雰囲気下10分間静置し、無機微粒子の凝集体を調製した。
【0142】
・コロイダルシリカA(ST−OS:日産化学社製) 6.5質量部
・コロイダルシリカB(ST−OL:日産化学社製) 6.5質量部
【0143】
次に、下記成分を丸型ステンレス製フラスコで混合し、これに前記無機微粒子の凝集体を添加し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)で分散処理を行った。その後、前記分散処理を行いながら、ポリ塩化アルミニウムを0.41質量部添加し、前記ホモジナイザーで十分に混合・分散を行った。その後、加熱用オイルバスで前記ステンレス製フラスコを攪拌しながら、47℃まで加熱し、47℃で60分間保持し、コア凝集粒子を作製した(第1の凝集工程)。
【0144】
・樹脂微粒子分散液 80質量部
・着色剤粒子分散液 30質量部
・離型剤粒子分散液2 30質量部
【0145】
さらに、ここに前記樹脂微粒子分散液を緩やかに30質量部を追加し、コア/シェル凝集粒子を作製した(第2の凝集工程)。その後、0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.5にした後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら、96℃まで加熱し5時間保持した(融合・合一工程)。
【0146】
反応終了後、冷却し、濾過、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これをさらに40℃のイオン交換水3l中に再分散し、300rpmで15分間攪拌、洗浄した。これをさらに5回繰り返し、濾液のpHが7.01、電気伝導度が9.8μS/cm、表面張力が71.1mN/mとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo.5Aのろ紙を用いて固液分離を行った。次いで、真空乾燥を12時間継続しトナー1を得た。
【0147】
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ、体積平均粒径D50vが5.4μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.21であり、数平均粒度分布指標GSDpとの比GSDv/GSDpは0.97であった。また、得られた上記トナーを透過型電子顕微鏡で観察したところ、コア/シェル構造を有しており、シェルの厚さが150nmであった。さらに、ルーゼックス画像解析装置による形状観察より求めたトナーの形状係数SF1は、118.3で球状であることが観察された。
【0148】
さらに、トナー1について動的粘弾性測定装置ARES(レオメトリックサイエンテフィック社製)にて貯蔵弾性率を測定したところ、測定周波数6.28rad/s、50℃でのトナーの貯蔵弾性率G’1は2.7×108Paであり、測定周波数62.8rad/s、50℃での貯蔵弾性率G’2との比G’2/G’1は5.9であった。
また、示差熱分析によりトナー1の最大吸熱ピークの極大値を測定したところ、93℃であった。
以上の結果を表1に示す。
【0149】
−トナー2の作製−
トナー1の作製において、初期に配合する樹脂微粒子分散液の量を65質量部とし、47℃で60分間保持した後に加える樹脂微粒子分散液の量を45質量部とした以外はトナー1の作製と同様にしてトナー2を得た。
【0150】
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ、体積平均粒径D50vが5.4μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.21であり、数平均粒度分布指標GSDpとの比GSDv/GSDpは0.97であった。また、得られた上記トナーを透過型電子顕微鏡で観察したところ、コア/シェル構造を有しており、シェルの厚さが300nmであった。さらに、ルーゼックス画像解析装置による形状観察より求めたトナーの形状係数SF1は、118.3で球状であることが観察された。
【0151】
さらに、トナー2について動的粘弾性測定装置ARES(レオメトリックサイエンテフィック社製)にて貯蔵弾性率を測定したところ、測定周波数6.28rad/s、50℃でのトナーの貯蔵弾性率G’1は4.6×108Paであり、測定周波数62.8rad/s、50℃での貯蔵弾性率G’2との比G’2/G’1は8.3であった。
また、示差熱分析によりトナー2の最大吸熱ピークの極大値を測定したところ、94℃であった。
以上の結果を表1に示す。
【0152】
−トナー3の作製−
トナー1の作製において、初期に配合する離型剤粒子分散液1の代わりに、離型剤粒子分散液2を30質量部とした以外はトナー1の作製と同様にしてトナー3を得た。
【0153】
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ、体積平均粒径D50vが5.4μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.20であり、数平均粒度分布指標GSDpとの比GSDv/GSDpは0.97であった。また、得られた上記トナーを透過型電子顕微鏡で観察したところ、コア/シェル構造を有しており、シェルの厚さが150nmであった。さらに、ルーゼックス画像解析装置による形状観察より求めたトナーの形状係数SF1は、116.3で球状であることが観察された。
【0154】
さらに、トナー3について動的粘弾性測定装置ARES(レオメトリックサイエンテフィック社製)にて貯蔵弾性率を測定したところ、測定周波数6.28rad/s、50℃でのトナーの貯蔵弾性率G’1は6.2×108Paであり、測定周波数62.8rad/s、50℃での貯蔵弾性率G’2との比G’2/G’1は10.7であった。
また、示差熱分析によりトナー3の最大吸熱ピークの極大値を測定したところ、75℃であった。
以上の結果を表1に示す。
【0155】
−トナー4の作製−
トナー3の作製において、初期に配合する樹脂微粒子分散液の量を65質量部とし、47℃で60分間保持した後に加える樹脂微粒子分散液の量を45質量部とした以外はトナー3の作製と同様にしてトナー4を得た。
【0156】
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ、体積平均粒径D50vが5.4μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.23であり、数平均粒度分布指標GSDpとの比GSDv/GSDpは0.98であった。また、得られた上記トナーを透過型電子顕微鏡で観察したところ、コア/シェル構造を有しており、シェルの厚さが300nmであった。さらに、ルーゼックス画像解析装置による形状観察より求めたトナーの形状係数SF1は、115.6で球状であることが観察された。
【0157】
さらに、トナー4について動的粘弾性測定装置ARES(レオメトリックサイエンテフィック社製)にて貯蔵弾性率を測定したところ、測定周波数6.28rad/s、50℃でのトナーの貯蔵弾性率G’1は7.8×108Paであり、測定周波数62.8rad/s、50℃での貯蔵弾性率G’2との比G’2/G’1は12.1であった。
また、示差熱分析によりトナー4の最大吸熱ピークの極大値を測定したところ、74℃であった。
以上の結果を表1に示す。
【0158】
−トナー5の作製−
トナー1の作製において、初期に配合する離型剤粒子分散液1の代わりに、離型剤粒子分散液3を30質量部とした以外はトナー1の作製と同様にしてトナー5を得た。
【0159】
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ、体積平均粒径D50vが5.4μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.21であり、数平均粒度分布指標GSDpとの比GSDv/GSDpは0.97であった。また、得られた上記トナーを透過型電子顕微鏡で観察したところ、コア/シェル構造を有しており、シェルの厚さが150nmであった。さらに、ルーゼックス画像解析装置による形状観察より求めたトナーの形状係数SF1は、115.3で球状であることが観察された。
【0160】
さらに、トナー5について動的粘弾性測定装置ARES(レオメトリックサイエンテフィック社製)にて貯蔵弾性率を測定したところ、測定周波数6.28rad/s、50℃でのトナーの貯蔵弾性率G’1は8.4×108Paであり、測定周波数62.8rad/s、50℃での貯蔵弾性率G’2との比G’2/G’1は14.5であった。
また、示差熱分析によりトナー5の最大吸熱ピークの極大値を測定したところ、74℃であった。
以上の結果を表1に示す。
【0161】
−トナー6の作製−
トナー5の作製において、初期に配合する樹脂微粒子分散液の量を65質量部とし、47℃で60分間保持した後に加える樹脂微粒子分散液の量を45質量部とした以外はトナー5の作製と同様にしてトナー6を得た。
【0162】
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ、体積平均粒径D50vが5.4μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.20であり、数平均粒度分布指標GSDpとの比GSDv/GSDpは0.97であった。また、得られた上記トナーを透過型電子顕微鏡で観察したところ、コア/シェル構造を有しており、シェルの厚さが300nmであった。さらに、ルーゼックス画像解析装置による形状観察より求めたトナーの形状係数SF1は、119.1で球状であることが観察された。
【0163】
さらに、トナー6について動的粘弾性測定装置ARES(レオメトリックサイエンテフィック社製)にて貯蔵弾性率を測定したところ、測定周波数6.28rad/s、50℃でのトナーの貯蔵弾性率G’1は9.1×108Paであり、測定周波数62.8rad/s、50℃での貯蔵弾性率G’2との比G’2/G’1は15.9であった。
また、示差熱分析によりトナー6の最大吸熱ピークの極大値を測定したところ、73℃であった。
以上の結果を表1に示す。
【0164】
−トナー7の作製−
トナー3の作製において、初期に配合する樹脂微粒子分散液の量を105質量部とし、47℃で60分間保持した後に加える樹脂微粒子分散液の量を5質量部とした以外はトナー3の作製と同様にしてトナー7を得た。
【0165】
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ、体積平均粒径D50vが5.4μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.22であり、数平均粒度分布指標GSDpとの比GSDv/GSDpは0.98であった。また、得られた上記トナーを透過型電子顕微鏡で観察したところ、コア/シェル構造を有しており、シェルの厚さが5nmであった。さらに、ルーゼックス画像解析装置による形状観察より求めたトナーの形状係数SF1は、122.3で球状であることが観察された。
【0166】
さらに、トナー7について動的粘弾性測定装置ARES(レオメトリックサイエンテフィック社製)にて貯蔵弾性率を測定したところ、測定周波数6.28rad/s、50℃でのトナーの貯蔵弾性率G’1は6.3×107Paであり、測定周波数62.8rad/s、50℃での貯蔵弾性率G’2との比G’2/G’1は3.3であった。
また、示差熱分析によりトナー7の最大吸熱ピークの極大値を測定したところ、75℃であった。
以上の結果を表1に示す。
【0167】
−トナー8の作製−
トナー3の作製において、初期に配合する樹脂微粒子分散液の量を55質量部とし、47℃で60分間保持した後に加える樹脂微粒子分散液の量を55質量部とした以外はトナー3の作製と同様にしてトナー8を得た。
【0168】
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ、体積平均粒径D50vが5.4μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.20であり、数平均粒度分布指標GSDpとの比GSDv/GSDpは0.98であった。また、得られた上記トナーを透過型電子顕微鏡で観察したところ、コア/シェル構造を有しており、シェルの厚さが550nmであった。さらに、ルーゼックス画像解析装置による形状観察より求めたトナーの形状係数SF1は、115.7で球状であることが観察された。
【0169】
さらに、トナー8について動的粘弾性測定装置ARES(レオメトリックサイエンテフィック社製)にて貯蔵弾性率を測定したところ、測定周波数6.28rad/s、50℃でのトナーの貯蔵弾性率G’1は6.2×109Paであり、測定周波数62.8rad/s、50℃での貯蔵弾性率G’2との比G’2/G’1は20.4であった。
また、示差熱分析によりトナー8の最大吸熱ピークの極大値を測定したところ、76℃であった。
以上の結果を表1に示す。
【0170】
−トナー9の作製−
トナー3と同様に作製を行ったが、融合・合一工程において形状を操作せず、トナー9を得た。
【0171】
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ、体積平均粒径D50vが5.4μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.20であり、数平均粒度分布指標GSDpとの比GSDv/GSDpは0.97であった。また、得られた上記トナーを透過型電子顕微鏡で観察したところ、コア/シェル構造を有しており、シェルの厚さが150nmであった。さらに、ルーゼックス画像解析装置による形状観察より求めたトナーの形状係数SF1は、142.2で球状であることが観察された。
【0172】
さらに、トナー9について動的粘弾性測定装置ARES(レオメトリックサイエンテフィック社製)にて貯蔵弾性率を測定したところ、測定周波数6.28rad/s、50℃でのトナーの貯蔵弾性率G’1は6.3×108Paであり、測定周波数62.8rad/s、50℃での貯蔵弾性率G’2との比G’2/G’1は10.6であった。
また、示差熱分析によりトナー9の最大吸熱ピークの極大値を測定したところ、75℃であった。
以上の結果を表1に示す。
【0173】
−トナー10の作製−
トナー3の作製において、初期に配合する離型剤粒子分散液2の代わりに、離型剤粒子分散液4を30質量部とした以外はトナー3の作製と同様にしてトナー3を得た。
【0174】
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ、体積平均粒径D50vが5.4μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.21であり、数平均粒度分布指標GSDpとの比GSDv/GSDpは0.97であった。また、得られた上記トナーを透過型電子顕微鏡で観察したところ、コア/シェル構造を有しており、シェルの厚さが150nmであった。さらに、ルーゼックス画像解析装置による形状観察より求めたトナーの形状係数SF1は、120.2で球状であることが観察された。
【0175】
さらに、トナー10について動的粘弾性測定装置ARES(レオメトリックサイエンテフィック社製)にて貯蔵弾性率を測定したところ、測定周波数6.28rad/s、50℃でのトナーの貯蔵弾性率G’1は2.7×108Paであり、測定周波数62.8rad/s、50℃での貯蔵弾性率G’2との比G’2/G’1は4.3であった。
また、示差熱分析によりトナー10の最大吸熱ピークの極大値を測定したところ、65℃であった。
以上の結果を表1に示す。
【0176】
【表1】
【0177】
(現像剤、補給用トナーの作製)
作製したトナー1〜10各50質量部に対し、疎水性シリカ(TS720:キャボット社製)を1質量部添加し、サンプルミルにてブレンドした。これをポリメチルメタアクリレート(総研化学社製)を1質量%コートした体積平均粒径50μmのフェライトキャリアに対し、トナー濃度が5質量%になるように秤量し、ボールミルで5分間攪拌・混合し現像剤1〜10を調製した。
また、上記現像剤の作製において、キャリアの含有量が20質量%となるように秤量した以外は同様にして補給用トナー1〜10を作製した。
【0178】
(実施例1)
評価装置として、タンデム方式でトリクル現像システムを採用した富士ゼロックス社製C2220改造機(スタート現像剤及び補給用トナーカートリッジを試験ごとに交換することが可能で、プロセススピードを外部から調節できるように改造したもの)を用い、現像器に現像剤1、補給用トナーカートリッジに補給用トナー1を充填し、トナー載り量が3色(シアン、マゼンタ、イエロー)分で10.5g/m2となるように調整した。
【0179】
なお、前記C2220改造機は、潜像担持体と、該潜像担持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記潜像担持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、トナー及びキャリアからなる現像剤が内部に収容され、現像剤担持体表面に形成された前記現像剤の層により前記潜像を現像し、前記潜像担持体表面にトナー画像を形成する現像器と、前記トナー画像を被転写体に転写する転写手段と、を含む画像形成装置である。また、プロセススピード(潜像担持体の周速度)は、200mm/sとした。
【0180】
上記評価装置及び条件にて10万枚まで画像出しを行い、初期及び10万枚後画像について定着試験を行った。なお、定着条件は、定着ニップ幅を6.5mm、定着速度を200mm/sとして行った。定着後の画像について各項目を以下の判断基準により評価した。
【0181】
−剥離性−
定着後のソリッド部の画像について、定着ロールとの剥離不良による画像表面のムラが発生したかを目視により観察し、以下のように判断した。
○:ムラが全くなく良好
×:ムラがある
【0182】
−耐オフセット性−
基準チャート画像において、定着ロール周長ピッチでオフセットが発生しているかを目視で観察し、以下のように判断した。
○:オフセットがなく良好
△:ややオフセット発生
×:オフセットが明らかに発生
【0183】
−定着画像折り曲げ耐性−
定着後のソリッド部の画像について、2つに折り曲げ再度画像を開いた際に画像中に剥がれなどの画像欠損が生じるかを、目視により以下のように判断した。
○:剥がれなどの画像欠損が全くない
×:画像欠損が生じた
【0184】
−画像光沢(初期画像)−
JIS P8142に準じて、75度光沢度を測定し、以下のように判断した。
○:光沢度が80度を超える値
△:光沢度が60〜80度の範囲
×:光沢度が60度未満
【0185】
−画像光沢(10万枚後画像)−
JIS P8142に準じて、75度光沢度を測定し、初期画像時の光沢度と比較し以下のように判断した。
○:光沢度が初期画像の90%以上の光沢度
△:光沢度が初期画像の80%〜90%の範囲の光沢度
×:光沢度が初期画像の80%未満の光沢度
【0186】
−OHP透過性−
OHP表面に画像形成した定着後のソリッド部の画像について、可視光を通して目視で見た場合の透過性を評価し、以下のように判断した。
○:透過性が良好である
△:画像中にやや濁りが見られる
×:画像中にかなり濁りが見られる
以上の結果を表2に示す。
【0187】
(実施例2〜6)
実施例1において、現像剤1及び補給用トナー1の代わりに、各々現像剤2〜6及び補給用トナー2〜6を用いた以外は実施例1と同様にして評価を行った。
結果を表2に示す。
【0188】
(比較例1〜4)
実施例1において、現像剤1及び補給用トナー1の代わりに、各々現像剤7、〜10及び補給用トナー7〜10を用いた以外は実施例1と同様にして評価を行った。
結果を表2に示す。
【0189】
(比較例5)
実施例3において、現像剤3を用いて評価を行ったが、補給用トナー3を添加せずに実施した以外は、実施例3と同様にして評価を行った。
結果を表2に示す。
【0190】
【表2】
【0191】
トナー1〜6を現像剤1〜6及び補給用トナー1〜6として用いた場合(実施例1〜6)、前記定着条件における初期画像評価結果は、剥離性が良好で、何ら抵抗なく剥離していることが確認され、オフセットも全く発生しなかった。また、定着画像を2つに折り曲げ再度引き伸ばした際の画像欠損も観察されなかった。さらに、これらの定着画像の表面光沢性も良好であり、OHPシートの透過性も優れ、濁りのない透過像が確認された。
【0192】
また、トナー1〜6を現像剤1〜6及び補給用トナー1〜6として用いた場合(実施例1〜6)、前記定着条件における10万枚コピー後の評価結果は、剥離性は良好で、何ら抵抗なく剥離していることが確認され、オフセットも全く発生しなかった。また、定着画像を2つに折り曲げ再度引き伸ばした際の画像欠損も観察されなかった。さらに、これらの定着画像の表面光沢性も良好であり、OHPシートの透過性も優れ、濁りのない透過像が確認された。
【0193】
一方、トナー7を現像剤7及び補給用トナー7として用いた場合(比較例1)は、初期画像において、定着画像の剥離不良に起因する光沢ムラが発生した。さらに、わずかにオフセットも発生した。しかし、定着画像を2つに折り曲げ再度引き伸ばした際に画像欠損は観察されず、これらの定着画像の表面光沢性も良好であり、OHPシートでも濁りのない透過像が確認された。
【0194】
また、前記同様にトナー7を現像剤7及び補給用トナー7として用いた場合(比較例1)、前記定着条件における10万枚コピー後の評価結果は、定着画像の剥離不良に起因する光沢ムラが発生し、オフセットも発生した。さらに、定着画像を2つに折り曲げ再度引き伸ばした際の画像欠損もわずかに観察された。しかし、これらの定着画像の表面光沢性も良好であり、OHPシートでも濁りのない透過像が確認された。
【0195】
トナー8を現像剤8及び補給用トナー8として用いた場合(比較例2)は、初期画像において剥離性が良好で、何ら抵抗なく剥離していることが確認され、オフセットも全く発生しなかった。しかし、定着画像を2つに折り曲げ再度引き伸ばした際の画像欠損がわずかに観察された。また、これらの定着画像の表面光沢性は低く、OHPシートの画像にも濁りが確認された。
【0196】
また、前記同様にトナー8を現像剤8及び補給用トナー8として用いた場合(比較例2)、前記定着条件における10万枚コピー後の評価結果は、定着画像において剥離性が良好で何ら抵抗なく剥離していることが確認され、オフセットも全く発生しなかった。しかし、定着画像を2つに折り曲げ再度引き伸ばした際の画像欠損が観察された。また、これらの定着画像の表面光沢性は低く、OHPシートの画像にも濁りが確認された。
【0197】
トナー9を現像剤9及び補給用トナー9として用いた場合(比較例3)は、初期画像において剥離性が良好で何ら抵抗なく剥離していることが確認され、オフセットも全く発生しなかった。しかし、定着画像を2つに折り曲げ再度引き伸ばした際の画像欠損がわずかに観察された。また、これらの定着画像の表面光沢性は低く、OHPシートの画像にも濁りが確認された。
【0198】
また、前記同様にトナー9を現像剤9及び補給用トナー9として用いた場合(比較例3)、前記定着条件における10万枚コピー後の評価結果は、定着画像において剥離性が良好で何ら抵抗なく剥離していることが確認され、オフセットも全く発生しなかった。しかし、定着画像を2つに折り曲げ再度引き伸ばした際の画像欠損が観察された。また、これらの定着画像の表面光沢性は低く、OHPシートの画像にも濁りが確認された。
【0199】
トナー10を現像剤10及び補給用トナー10として用いた場合(比較例4)は、初期画像において定着画像の剥離不良に起因する光沢ムラが発生した。さらに、オフセットも発生した。しかし、定着画像を2つに折り曲げ再度引き伸ばした際に画像欠損は観察されず、これらの定着画像の表面光沢性も良好であり、OHPシートでも濁りのない透過像が確認された。
【0200】
また、前記同様にトナー10を現像剤10及び補給用トナー10として用いた場合(比較例4)、前記定着条件における10万枚コピー後の評価結果は、定着画像の剥離不良に起因する光沢ムラが発生した。さらに、オフセットも発生した。さらに、定着画像を2つに折り曲げ再度引き伸ばした際の画像欠損がわずかに観察された。また、これらの定着画像の表面光沢性はやや低く、OHPシートの画像にもやや濁りが確認された。
【0201】
トナー3を現像剤3として用い、補給トナー3を用いなかった場合(比較例5)、前記定着条件における初期画像評価結果は、剥離性は良好で、何ら抵抗なく剥離していることが確認され、オフセットも全く発生しなかった。また、定着画像を2つに折り曲げ再度引き伸ばした際の画像欠損も観察されなかった。さらに、これらの定着画像の表面光沢性も良好であり、OHPシートの透過性も優れ、濁りのない透過像が確認された。
【0202】
また、トナー3を現像剤3として用い、補給トナー3を用いなかった場合(比較例5)、前記定着条件における10万枚コピー後の評価結果は、定着画像の剥離不良に起因する光沢ムラがやや発生し、わずかにオフセットも発生した。さらに、これらの定着画像の表面光沢性はやや低く、OHPシートの画像にもやや濁りが確認された。しかし、定着画像を2つに折り曲げ再度引き伸ばした際の画像欠損は観察されなかった。
【0203】
【発明の効果】
本発明の実施によれば、オイルレス定着において剥離性の温度によるばらつきがなく、かつ良好な光沢性を維持し、被定着シートへの定着画像付着性、被定着シートの剥離性、耐高温オフセット性、定着画像折り曲げ耐性、定着画像表面光沢性、OHP透明性等の定着特性に優れた画像形成方法、補給用トナー、及びトナーの製造方法を提供することが可能である。
その結果、本発明の実施により得られた補給用用トナーを、省エネルギータイプの定着装置、プリントスピードの速い高速複写機やプリンターに用いた場合に、満足できる定着画像を得ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において用いられる画像形成装置の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1Y、1M、1C、1K 感光体ドラム(潜像担持体)
3Y、3M、3C、3K 潜像形成手段
4Y、4M、4C、4K 現像器
5Y、5M、5C、5K 一次転写ロール
6Y、6M、6C、6K クリーニング手段
11 駆動ロール
12 支持ロール
13 バックアップロール
14 二次転写ロール
15 中間転写ベルト
16 被記録体
17 清掃部材
18 定着器
20Y、20M、20C、20K 帯電器(帯電手段)
40Y、40M、40C、40K 現像ユニット
Claims (3)
- 潜像担持体と、該潜像担持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記潜像担持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、トナー及びキャリアからなる現像剤が内部に収容され、現像剤担持体表面に形成された前記現像剤の層により前記潜像を現像し、前記潜像担持体表面にトナー画像を形成する現像器と、前記トナー画像を被転写体に転写する転写手段と、を含む画像形成装置により画像形成を行う画像形成方法であって、
前記画像形成装置における少なくとも1の現像器が、その内部に、前記トナーとキャリアとを含有する補給用トナーを適宜補給するとともに、過剰となった前記現像剤を内部から回収する現像剤回収機構を有し、前記補給用トナーにおけるキャリアの含有量が5〜40質量%の範囲、前記トナーの体積平均粒径が3〜10μmの範囲、下記式(1)で表されるトナーの形状係数SF1が100〜140の範囲であり、かつ、前記トナーの示差熱分析より得られる最大の吸熱ピークの極大値が70〜130℃の範囲に存在し、透過型電子顕微鏡により観察される前記トナーの断面がコア/シェル構造を有しており、該シェルの厚さが10〜500nmの範囲であることを特徴とする画像形成方法。
- 少なくとも結着樹脂及び着色剤を含むトナーと、芯材の表面を樹脂で被覆して得られるキャリアとから構成され、前記トナーとキャリアとを含有する補給用現像剤を適宜補給するとともに、過剰となった前記現像剤を内部から回収する現像剤回収機構を有する現像器を少なくとも1つ備えた画像形成装置に用いられる補給用トナーであって、
該補給用トナーにおけるキャリアの含有量が5〜40質量%の範囲、前記トナーの体積平均粒径が3〜10μmの範囲、上記式(1)で表されるトナーの形状係数SF1が100〜140の範囲であり、かつ、前記トナーの示差熱分析より得られる最大の吸熱ピークの極大値が70〜130℃の範囲に存在し、透過型電子顕微鏡により観察される前記トナーの断面がコア/シェル構造を有しており、該シェルの厚さが10〜500nmの範囲であることを特徴とする補給用トナー。 - 請求項2に記載の補給用トナーを構成するトナーの製造方法であって、
少なくとも粒子径が1μm以下の第1の樹脂微粒子を分散した樹脂微粒子分散液と、着色剤粒子を分散した着色剤粒子分散液と、離型剤粒子を分散した離型剤粒子分散液とを混合し、前記第1の樹脂微粒子と前記着色剤粒子と前記離型剤粒子とを含むコア凝集粒子を形成する第1の凝集工程と、前記コア凝集粒子の表面に、第2の樹脂微粒子を含むシェル層を形成しコア/シェル凝集粒子を得る第2の凝集工程と、前記コア/シェル凝集粒子を、前記第1の樹脂微粒子または前記第2の樹脂微粒子のガラス転移温度以上に加熱し融合・合一する融合・合一工程と、を少なくとも含むことを特徴とするトナーの製造方法。
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