JP2004137440A - 印刷インキ用バインダーおよび印刷インキ - Google Patents

印刷インキ用バインダーおよび印刷インキ Download PDF

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Abstract

【課題】トルエンを含有しないインキ溶剤に対しても、インキの再溶解性と印刷適性に優れ、且つプラスチックフィルムに対して、優れた接着性能を有する印刷インキを提供することにある。
【解決手段】ポリエステルジオール、ポリイソシアネート化合物および鎖伸長剤を構成成分とする、0.1〜10のアミン価を有するポリウレタン樹脂を含有してなる印刷インキ用バインダー。ポリエステルジオールは、炭素数4〜9のエーテルジオール(a1)と炭素数3〜6の分岐ジオール(a2)とをモル比でa1:a2=2:8〜8:2の割合とした混合ジオールとジカルボン酸とから合成させる。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は印刷インキ用バインダー及び印刷インキに関し、詳しくは、インキの再溶解性および接着性に優れたプラスチックフィルムのグラビア印刷に適した印刷インキ用バインダー及び印刷インキに関する。
【0002】
【従来の技術】
末端イソシアネート型ウレタンプレポリマーをジアミン等で鎖伸長させて得られるポリウレタン樹脂は、各種プラスチックフィルムに対する密着性等の物性が特に優れることから、印刷インキ用のバインダーとして多用されている。印刷インキの溶剤には、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、イソプロピルアルコールなどの溶剤が混合使用されてきた。これら溶剤のうち、トルエンは比較的高沸点であり、且つポリウレタン樹脂に対する溶解力が高い為、フィルムへ転移し切らずにグラビア版のセル中に残ったインキの乾燥を抑え、更にはセル中に残ったインキを再溶解する働きが高いのでセルの版詰まりを防ぐのに好適な溶剤で、これまで常用されてきた。これらトルエンを含有する溶剤を使用した印刷インキで再溶解性の良いバインダーとしては、ポリ(3−メチルペンタン)アジペートジオールを使用したポリウレタン樹脂(例えば、特開昭63−161065)が知られている。しかし、トルエンは大気中に蒸発,放散され、光化学反応を受けてオキシダントを形成する原因物質であり、環境汚染物質排出移動登録制度(通称PRTR法)をはじめとする厳しい法規制がとられている。
また、食品包装用フィルムの印刷物に関し、トルエン等の芳香族溶剤は印刷物に残留し易いことから、トルエンを含まない溶剤系の印刷インキの要望が大きくなってきた。だが、従来のポリウレタン樹脂をバインダーとした印刷インキではトルエンを用いずにメチルエチルケトンや酢酸エチル、イソプロピルアルコールなどの溶剤を用いた場合、グラビア版のセル中に残存したインキが乾燥、固化し、インキパン中で、充分に再溶解しないために版詰まりを起こして、深度の浅い版では印刷できなくなるという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、トルエンを含有しないインキ用溶剤に対しても、インキの再溶解性に優れ、各種プラスチックフィルムなどの印刷に適し、且つプラスチックフィルムに対して、トルエン含有品に匹敵する接着性能を有するバインダーを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するため、印刷インキ用バインダーを構成するポリウレタン樹脂の原材料成分について鋭意検討を行った。その結果、2種類のジオールを特定比率で使用したポリエステルポリオールをポリウレタン樹脂の構成材料として使用することにより、トルエンを含有しないインキ用溶剤に対してもインキの再溶解性に優れ、各種プラスチックフィルムなどの印刷に適し、且つプラスチックフィルムに対して、トルエン含有品に匹敵する接着性能が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち本発明は、炭素数4〜9のエーテルジオール(a1)と炭素数3〜6の分岐ジオール(a2)とをモル比でa1:a2=2:8〜8:2の割合とした混合ジオール(a)とジカルボン酸(b)とから合成されるポリエステルジオール(A)、ポリイソシアネート化合物(B)および鎖伸長剤(C)を反応せしめて得られる0.1〜10のアミン価を有するポリウレタン樹脂を含有してなるトルエンを含まない溶剤系の印刷インキ用バインダー、およびこのバインダーを主バインダーとして含有する、トルエンを含まない溶剤系のプラスチックフィルム用印刷インキに関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において、ポリエステルジオール(A)の原料である混合ジオール(a)を構成する炭素数4〜9のエーテルジオール(a1)としては、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコールおよびこれらの混合物が挙げられる。これらのうちで特に好ましいものはジエチレングリコールである。
【0007】
炭素数3〜6の分岐ジオール(a2)としては、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールおよびこれらの2種類以上の混合物が挙げられる。これらのうちで特に好ましいものはネオペンチルグリコールである。
【0008】
この(a)中の(a1)と(a2)の比率はモル比で、2:8〜8:2である必要があり、好ましくは3:7〜7:3である。(a1)の比率が20モル%未満ではインキの再溶解性が劣り、印刷時に版詰りによる印刷不良が生じ、80モル%を超えると接着性が低下する。
【0009】
このポリエステルジオール(A)を構成するジカルボン酸(b)としては、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等の二塩基酸およびこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。
【0010】
このポリエステルジオール(A)の数平均分子量は本発明の印刷インキ用樹脂の性能を鑑み、600〜7,000であることが好ましい。さらに好ましくはその数平均分子量は1,000〜5,000である。数平均分子量が500未満になると樹脂が硬くて脆いものとなり、また5,000を超えると接着性が低下する傾向がある。
【0011】
本発明におけるポリウレタン樹脂において、ポリエステルジオール(A)と共に他の高分子ポリオールを併用することが出来る。この場合、ポリエステルジオール(A)と他の高分子ポリオールを足し合わせた中の(A)の含有量は50質量%以上が好ましく、さらに好ましくは70質量%以上である。この含有量が50質量%未満では接着性やインキの再溶解性が低下し、印刷時に版詰りによる印刷不良が生じる。
【0012】
併用できる高分子ポリオールとしては一般にポリウレタン樹脂用として知られている従来公知の、数平均分子量は200〜7,000の高分子ポリオールを使用しうる。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチンジオール、ジプロピレングリコール等の飽和および不飽和の各種公知の低分子グリコール類、n−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル類、バーサティック酸グリシジルエステル等のモノカルボン酸グリシジルエステル類、ダイマー酸を還元して得られるダイマージオールなどと、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等の二塩基酸、これらに対応する酸無水物、ダイマー酸などとを脱水縮合せしめて得られるポリエステルポリオール類、環状エステル化合物を開環重合して得られるポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリブタジエングリコール類等の、高分子ポリオールがあげられる。
【0013】
なお、前記高分子ポリオールのうち、グリコール類と二塩基酸とから得られる高分子ポリオールの場合には、該グリコール類の一部を以下の各種ポリオールに置換することができる。各種ポリオールとしては、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエリスリトール等があげられる。
【0014】
本発明において、ポリイソシアネート化合物(B)とは、芳香族、脂肪族または脂環族の各種公知のポリイソシアネート類を使用することができる。たとえば、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4′−ジベンジルジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネートやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等がその代表例としてあげられる。これらのポリイソシアネート化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0015】
本発明において、鎖伸長剤(C)は各種公知のものを使用することができる。たとえばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミン、ダイマージアミンなどがあげられる。その他、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等の分子内に水酸基を有するジアミン類、前記ポリエステルポリオールの項で述べたグリコールおよびそれ以外のグリコール等があげられる。これら鎖伸長剤は1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0016】
さらに本発明においては鎖長停止剤を必要に応じて用いることもできる。かかる鎖長停止剤としては、モノアルコール(メタノール、プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノールなど)、モノアミン[炭素数2〜8のモノもしくはジアルキルアミン(ブチルアミン、ジブチルアミンなど)、炭素数2〜6のモノもしくはジアルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、プロパノールアミンなど)]などが挙げられる。
【0017】
本発明において、ポリウレタン樹脂は1級または2級アミノ基を分子鎖中に有するものが好適で、そのアミン価は0.1〜10である必要があり、好ましくは0.2〜5である。アミン価を上記範囲とすることで、表面処理(コロナ処理等)ポリプロピレンフィルムに対する良好な接着性を付与することが可能となる。
【0018】
本発明において、ポリウレタン樹脂を製造する方法としては、まずポリエステルジオールとポリイソシアネート化合物を、イソシアネート基過剰の条件で反応させ、イソシアネート基を有するプレポリマーを調製し、次いでこれを適当な溶媒中で鎖伸長剤および必要により鎖長停止剤と反応させる2段法ならびに各成分を一度に反応させる1段法のいずれの方法をも採用しうるが、制御されたポリマー構造を得る目的には前者の方法が好ましい。
【0019】
本発明に用いられるポリウレタン樹脂を2段法で製造する場合、高分子ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させる際の条件は、イソシアネート過剰になるようにするほか限定はされないが、活性水素基/イソシアネート基が当量比で1/1.4〜1/3の範囲になるように反応させるのが好ましい。また、得られたプレポリマーと鎖伸長剤及び必要に応じて鎖長停止剤とを反応させる際の条件は、プレポリマーの末端に有するイソシアネート基1当量当り、鎖伸長剤中のイソシアネート基と反応しうる活性水素の合計当量が1.0〜2.0当量の範囲内とするのが好ましい(特に、活性水素がアミノ基の場合には、1.0〜1.5当量の範囲内であるのがよい)。前記活性水素が1.0当量未満の場合、接着性、耐ブロッキング性が十分でなく、前記活性水素が2.0当量より過剰になった場合には鎖伸長剤が未反応のまま残存し、印刷後臭気が残りやすくなる。
【0020】
上記反応に際しては、反応を促進させるため、必要により通常のウレタン反応において使用される触媒[アミン触媒(トリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミンなど)、錫系触媒(ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、オクチル酸錫など)、チタン系触媒(テトラブチルチタネートなど)]などを使用してもよい。触媒の使用量はポリウレタン樹脂に対して通常0.1質量%以下である。
【0021】
なお、これら製造法において使用される溶剤としてはメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤などがあげられ、これらは単独または2種以上の混合物として用いる。
【0022】
本発明において、ポリウレタン樹脂の数平均分子量は、通常5,000〜100,000の範囲とするのがよい。数平均分子量が5,000に満たない場合には、これをバインダーとして用いた印刷インキの乾燥性、耐ブロッキング性、皮膜強度などが低下しやすくなり、一方、100,000を超える場合にはポリウレタン樹脂の粘度が上昇したり、印刷インキの光沢が低下しやすくなる。また、ポリウレタン樹脂の樹脂固形分濃度は特に制限はされないが、インキ製造時の作業性等を考慮して適宜決定すればよく、通常は15〜60質量%、粘度は50〜100,000mPa・s/25℃の範囲に調整するのが実用上好適である。また、本発明では必要に応じて、本発明の主成分である前記ポリウレタン樹脂の他に以下に示すような樹脂を副成分として併用しうる。例えば、本発明以外のポリウレタン樹脂、ポリアミド、ニトロセルロース、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ロジン系樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。
【0023】
かくして得られた本発明のバインダーには、着色剤、溶剤、さらに必要に応じてインキ流動性およびインキ表面皮膜を改良するための界面活性剤、ワックス、その他添加剤を適宜配合しボールミル、アトライター、サンドミル等の通常のインキ製造装置を用いて混練することにより印刷インキ組成物を製造することができる。なお、印刷インキ組成物中の本発明のバインダーの配合量は印刷インキ組成物中、その樹脂固形分で3〜20質量%になるように配合するのが好ましい。
【0024】
【実施例】
以下に製造例、実施例および比較例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、部および%は質量基準である。
【0025】
製造例1(ポリウレタン樹脂Aの合成)
撹拌機、温度計及び窒素ガス導入管を備えた丸底フラスコに、数平均分子2,000のポリ(ジエチレン・ネオペンチル)アジペートジオール[ジエチレングリコールとネオペンチルグリコールのモル比が4/6]1,000部とイソホロンジイソシアネート222部を仕込み、窒素気流下に90℃で6時間反応させイソシアネート含量3.4%のプレポリマーを製造したのちメチルエチルケトン815部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いでイソホロンジアミン91.7部、メチルエチルケトン1,331部及びイソプロピルアルコール920部からなる混合物に前記ウレタンプレポリマー溶液2,037部を加え、次いで50℃で3時間反応させた。こうして得られたポリウレタン樹脂(以下、ポリウレタン樹脂Aという)は、樹脂固形分濃度が30%、粘度が900mPa・s/25℃であった。また、樹脂のアミン価は1.0mgKOH/gであった。
【0026】
製造例2(ポリウレタン樹脂Bの合成)
製造例1と同様の丸底フラスコに、数平均分子3,000のポリ(ジエチレン・ネオペンチル)アジペートジオール[ジエチレングリコールとネオペンチルグリコールのモル比が4/6]1,000部とイソホロンジイソシアネート148部を仕込み、窒素気流下に90℃で6時間反応させイソシアネート含量2.4%のプレポリマーを製造したのちメチルエチルケトン765部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いでイソホロンジアミン59.7部、メチルエチルケトン1,207部及びイソプロピルアルコール846部からなる混合物に前記ウレタンプレポリマー溶液1,913部を加え、次いで50℃で3時間反応させた。こうして得られたポリウレタン樹脂(以下、ポリウレタン樹脂Bという)は、樹脂固形分濃度が30%、粘度が800mPa・s/25℃であった。また、樹脂のアミン価は0.5mgKOH/gであった。
【0027】
製造例3(ポリウレタン樹脂Cの合成)
製造例1と同様の丸底フラスコに、数平均分子4,000のポリ(ジエチレン・ネオペンチル)アジペートジオール[ジエチレングリコールとネオペンチルグリコールのモル比が4/6]1,000部とイソホロンジイソシアネート111部を仕込み、窒素気流下に90℃で6時間反応させイソシアネート含量1.9%のプレポリマーを製造したのちメチルエチルケトン741部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いでイソホロンジアミン43.6部、メチルエチルケトン1,145部及びイソプロピルアルコール808部からなる混合物に前記ウレタンプレポリマー溶液1,852部を加え、次いで50℃で3時間反応させた。こうして得られたポリウレタン樹脂(以下、ポリウレタン樹脂Cという)は、樹脂固形分濃度が30%、粘度が900mPa・s/25℃であった。また、樹脂のアミン価は1.1mgKOH/gであった。
【0028】
製造例4(ポリウレタン樹脂Dの合成)
製造例1と同様の丸底フラスコに、数平均分子3,000のポリネオペンチルアジペートジオール1,000部とイソホロンジイソシアネート148部を仕込み、窒素気流下に90℃で6時間反応させイソシアネート含量2.4%のプレポリマーを製造したのちメチルエチルケトン765部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いでイソホロンジアミン61.5部、メチルエチルケトン1,210部及びイソプロピルアルコール847部からなる混合物に前記ウレタンプレポリマー溶液1,913部を加え、次いで50℃で3時間反応させた。こうして得られたポリウレタン樹脂(以下、ポリウレタン樹脂Dという)は、樹脂固形分濃度が30%、粘度が800mPa・s/25℃であった。また、樹脂のアミン価は0.8mgKOH/gであった。
【0029】
製造例5(ポリウレタン樹脂Eの合成)
製造例1と同様の丸底フラスコに、数平均分子3,000のポリジエチレンアジペートジオール1,000部とイソホロンジイソシアネート148部を仕込み、窒素気流下に90℃で6時間反応させイソシアネート含量2.4%のプレポリマーを製造したのちメチルエチルケトン765部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いでイソホロンジアミン58.5部、メチルエチルケトン1,205部及びイソプロピルアルコール845部からなる混合物に前記ウレタンプレポリマー溶液1,913部を加え、次いで50℃で3時間反応させた。こうして得られたポリウレタン樹脂(以下、ポリウレタン樹脂Eという)は、樹脂固形分濃度が30%、粘度が900mPa・s/25℃であった。また、樹脂のアミン価は0.3mgKOH/gであった。
【0030】
製造例6(ポリウレタン樹脂Fの合成)
製造例1と同様の丸底フラスコに、数平均分子3,000のポリ(3−メチルペンタン)アジペートジオール1,000部とイソホロンジイソシアネート148部を仕込み、窒素気流下に90℃で6時間反応させイソシアネート含量2.4%のプレポリマーを製造したのちメチルエチルケトン765部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いでイソホロンジアミン59.7部、メチルエチルケトン1,207部及びイソプロピルアルコール846部からなる混合物に前記ウレタンプレポリマー溶液1,913部を加え、次いで50℃で3時間反応させた。こうして得られたポリウレタン樹脂(以下、ポリウレタン樹脂Fという)は、樹脂固形分濃度が30%、粘度が1,300mPa・s/25℃であった。また、樹脂のアミン価は0.5mgKOH/gであった。
【0031】
製造例7(ポリウレタン樹脂Gの合成)
製造例1と同様の丸底フラスコに、数平均分子3,000のポリ(3−メチルペンタン)アジペートジオール1,000部とイソホロンジイソシアネート148部を仕込み、窒素気流下に90℃で6時間反応させイソシアネート含量2.4%のプレポリマーを製造したのちメチルエチルケトン765部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いでイソホロンジアミン58.5部、トルエン1,205部及びイソプロピルアルコール845部からなる混合物に前記ウレタンプレポリマー溶液1,913部を加え、次いで50℃で3時間反応させた。こうして得られたポリウレタン樹脂(以下、ポリウレタン樹脂Gという)は、樹脂固形分濃度が30%、粘度が900mPa・s/25℃であった。また、樹脂のアミン価は0.3mgKOH/gであった。
【0032】
実施例1〜3及び比較例1〜4
製造例1〜6のバインダー樹脂50部、チタン白(ルチル型)30部、メチルエチルケトン10部、イソプロピルアルコール10部からなる組成の混合物をそれぞれ練肉して白色元インキを調製した。この白色元インキ100部に、メチルエチルケトン35部及びイソプロピルアルコール15部を加えて粘度を調整し、6点のトルエンを含有しない白色印刷インキを調製した。一方、製造例7のバインダー樹脂50部、チタン白(ルチル型)30部、メチルエチルケトン10部、イソプロピルアルコール10部からなる組成の混合物をそれぞれ練肉して白色元インキを調製した。この白色元インキ100部に、トルエン28部,メチルエチルケトン11部及びイソプロピルアルコール11部を加えて粘度を調整し、トルエンを含有する白色印刷インキを調製した。
【0033】
得られた7点の白色印刷インキを、グラビア印刷機(ロータリーコーター,RKプリントコートインスツルメント社製)により、厚さ15μmのコロナ放電処理ナイロンフィルム(NY)の放電処理面及び厚さ11μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)の片面に印刷して、80℃で乾燥し、印刷フィルムを得た。得られた印刷フィルムを以下の試験に供した。
【0034】
接着性
上記印刷フィルムを24時間放置後、印刷面にセロファンテープを貼り付け、角度90°で急速に剥したときの印刷皮膜の外観を観察評価した。評価結果は表1に示す。
○−−−−印刷皮膜の80%以上がフィルムに残った。
△−−−−印刷皮膜の50〜80%がフィルムに残った。
×−−−−印刷皮膜の50%以下がフィルムに残った。
【0035】
耐ブロッキング性
上記印刷フィルムの印刷面が内側になるように折り曲げ、200gf/cm2の荷重をかけ、40℃で24時間放置した後の印刷面の付着状態を観察し、以下の基準で評価した。評価結果は表1に示す。
○−−−−接触面積のうち0%以上〜20%未満の付着あり。
△−−−−接触面積のうち20%以上〜50%未満の付着あり。
×−−−−接触面積のうち50%以上の付着あり。
【0036】
再溶解性
PETに印刷をした上記フィルムを混合溶剤に浸漬して印刷面の再溶解性を観察した。製造例1〜6のバインダー樹脂を使用した白色印刷インキをPETに印刷した上記フィルムを混合溶剤(メチルエチルケトン/イソプロピルアルコール=7/3 重量比)に浸漬して印刷面の再溶解性を観察した。なお、製造例7のバインダー樹脂を用いた白色印刷インキのPET印刷物については、トルエン/メチルエチルケトン/イソプロピルアルコール=4/3/3(重量比)の混合溶剤を用いて同様の評価を行った。
○−−−−浸漬面積の70%以上が再溶解する。
△−−−−浸漬面積の20%以上〜70%未満が再溶解する。
×−−−−浸漬面積の0%以上〜20%未満が再溶解する。
【0037】
印刷適性
印刷適性の評価は、版詰り性および瓶かぶり性により判断した。評価結果は表1に示す。
版詰り性:グラビア版で印刷し、セル詰りによる印刷パターンの欠落を目視判定した。
版かぶり性:印刷スピードを変化させ、印刷物の版かぶりの程度を目視判定した。評価基準は以下の通り。
○−−−−適性が印刷時に良好なもの。
△−−−−適性が不十分なもの。
×−−−−適性が極めて劣るもの。
【0038】
【表1】
Figure 2004137440
【0039】
【発明の効果】
以上、実施例を用いて具体的に示したように、本発明のバインダーはトルエンを含有しないインキ溶剤に対しても、インキの再溶解性に優れ、ナイロンフィルム(NY)、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)に対して、トルエン含有品に匹敵する印刷適性を有する印刷インキを与える。また本発明のバインダーは接着性や耐ブロッキング性にも優れた、トルエンを含有しない印刷インキを提供できるという効果を奏する。

Claims (3)

  1. 炭素数4〜9のエーテルジオール(a1)と炭素数3〜6の分岐ジオール(a2)とをモル比でa1:a2=2:8〜8:2の割合とした混合ジオール(a)とジカルボン酸(b)とから合成されるポリエステルジオール(A)、ポリイソシアネート化合物(B)および鎖伸長剤(C)を反応せしめて得られる0.1〜10のアミン価を有するポリウレタン樹脂を含有してなるトルエンを含まない溶剤系の印刷インキ用バインダー。
  2. (a1)がジエチレングリコールであり、(a2)がネオペンチルグリコールである請求項1記載の印刷インキ用バインダー。
  3. 請求項1または2記載のバインダーを主バインダーとして含有する、トルエンを含まない溶剤系のプラスチックフィルム用印刷インキ。
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