JP3865005B2 - 印刷インキ用バインダー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン樹脂やポリエステル樹脂等のプラスチックに対しても優れた密着性を有し、耐水性にも優れたポリウレタン樹脂を、有機溶剤に溶解させてなるポリウレタン樹脂溶液を用いることを特徴とする、印刷インキ用バインダーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、印刷インキ用バインダーには、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等が用いられている。これらの中で、ポリウレタン樹脂は、柔軟性に優れているため、種々の材質に対する密着性に優れており、近年多く用いられるようになってきてはいるが、材質がポリオレフィン樹脂やポリエステル樹脂等であるプラスチックに対しては密着性が低く、また耐水性に劣るという問題を有していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリウレタン樹脂特有の柔軟性を有し、しかもポリオレフィン樹脂やポリエステル樹脂等のプラスチックに対しても優れた密着性を有し、かつ耐水性に優れたポリウレタン樹脂を、有機溶剤に溶解させてなるポリウレタン樹脂溶液を用いることを特徴とする、印刷インキ用バインダーを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の化合物を鎖長停止剤として使用することにより得られるポリウレタン樹脂を、有機溶剤に溶解させてなるポリウレタン樹脂溶液を用いることを特徴とする、印刷インキ用バインダーによれば、前記課題をことごとく解決することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、数平均分子量が500〜10000のポリオール(以下、高分子量ポリオールという)、ポリイソシアネート化合物、鎖伸長剤および鎖長停止剤を含有した重合成分を反応させて得られるポリウレタン樹脂であって、前記鎖長停止剤が活性水素を有する官能基とオキサゾリジン骨格とを有する化合物(以下、オキサゾリジン系化合物という)を含有するポリウレタン樹脂を、有機溶剤に溶解させてなるポリウレタン樹脂溶液を用いることを特徴とする、印刷インキ用バインダー、に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の印刷インキ用バインダーに含まれるポリウレタン樹脂は、前記したように、鎖長停止剤の全量または一部に、オキサゾリジン系化合物を使用することを特徴とする。当該ポリウレタン樹脂は、前記鎖長停止剤としてオキサゾリジン系化合物を使用することにより、ポリウレタン樹脂の分子末端にオキサゾリジン骨格が導入されたものであり、当該オキサゾリジン骨格は、通常、水分により開環して、1級または2級アミノ基および水酸基を生じる。
【0006】
前記オキサゾリジン系化合物としては、活性水素を有する官能基とオキサゾリジン骨格とを有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物が挙げられる。
【0007】
一般式(1):
【0008】
【化4】
【0009】
(R 1 およびR 2 それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、R 1
とR 2 は共有結合により結ばれていてもよい。R 3 は炭素数2または3の脂肪族炭化水素基を表す。)
【0010】
一般式(1)で表されるオキサゾリジン系化合物の具体例としては、N−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−(2−イソプロピル−1,3−オキサゾリジン−3−イル)エタノ−ル、3−(2−イソプロピル−5−メチル−1,3−オキサゾリジン−3−イル)−2−プロパノ−ル、1−オキサ−4−アザスピロ[4.5]デカン−4−エタノ−ル等が挙げられる。
【0011】
一般式(2):
【0012】
【化5】
【0013】
(R 4 およびR 5 はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、R 4 とR 5 は共有結合により結ばれていてもよい。R 6 は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。)
【0014】
一般式(2)で表されるオキサゾリジン化合物の具体例としては、3−メチルオキサゾリジン−5−メタノ−ル、3−エチルオキサゾリジン−5−メタノ−ル、3−(1,1−ジメチルエチル)オキサゾリジン−5−メタノ−ル等が挙げられる。
【0015】
一般式(3):
【0016】
【化6】
【0017】
(R 7 およびR 8 はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、R 7 とR 8 は共有結合により結ばれていてもよい。同じくR 9 およびR 10 はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、R 9 とR 10 は共有結合により結ばれていてもよい。)
【0018】
一般式(3)で表されるオキサゾリジン系化合物の具体例としては、5−ヒドロキシメチル−1−アザ−3,7−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン等が挙げられる。
【0019】
また、本発明においては、前記活性水素を有する官能基として、水酸基とともにアミノ基が好ましく挙げられ、例えば、前記一般式(1)〜(3)における活性水素を有する官能基がアミノ基である化合物も好ましく用いることができる。
【0020】
前記オキサゾリジン系化合物は、通常、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。また、前記オキサゾリジン系化合物の使用量は鎖長停止剤の5〜100重量%であることが好ましい。5重量%未満の場合は、密着性等の改善の効果が小さくなる傾向がある。
【0021】
また、本発明では前記オキサゾリジン系化合物の他に、必要に応じて通常用いられている鎖長停止剤を使用してもよい。かかる鎖長停止剤としては、例えば、ジ−n−ブチルアミン等のジアルキルアミン類;エタノ−ル、イソプロパノ−ル等の一価アルコ−ル等が挙げられる。
【0022】
本発明における鎖長停止剤の配合量は、特に限定がないが、鎖伸長反応の制御を容易にするためには、前記高分子量ポリオールとポリイソシアネート化合物との合計量の好ましくは0.1重量%以上、特に好ましくは0.3重量%以上とすることが望ましく、良好な機械的強度を付与するためには、前記高分子量ポリオールとポリイソシアネート化合物との合計量の好ましくは5重量%以下、特に好ましくは2重量%以下とすることが望ましい。
【0023】
次に本発明のポリウレタン樹脂における他の構成成分について説明する。
【0024】
前記高分子量ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィングリコール等が挙げられる。
【0025】
前記ポリエーテルポリオールの具体例としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
【0026】
前記ポリエステルポリオールの具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチンジオール、ジプロピレングリコール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA等の低分子量グリコールと、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の二塩基酸やこれらの酸無水物とを脱水縮合させて得られる脱水縮合系ポリエステルポリオール;ε−カプロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン等のラクトンを開環重合させて得られる開環重合系ポリエステルポリオール等が挙げられる。なお、前記低分子量グリコールには、かかる低分子量グリコールの配合量の5モル%以下の範囲内において、3価以上のポリオールを用いることができる。かかる3価以上のポリオールの具体例としては、例えばグリセリン、ブタントリオール、ペンタントリオール、ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリトール等の4価アルコール;ソルビトール等の6価アルコール等が挙げられる。
【0027】
前記ポリカーボネートポリオールの具体例としては、例えば1,6−ヘキサンジオール等の前記低分子量グリコールと、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等の低分子量カーボネートを、エステル交換して得られた各種ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
【0028】
前記ポリオレフィングリコールの具体例としては、例えばポリブタジエングリコール、ポリイソプレングリコール、ポリクロロプレングリコール、ポリブタジエングリコールの水素化物、ポリイソプレングリコールの水素化物等が挙げられる。
【0029】
なお、これらの高分子量ポリオールは、通常単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
【0030】
前記高分子量ポリオールの数平均分子量があまりにも低いばあいには、得られるポリウレタン樹脂の皮膜が硬くなる傾向があるので、好ましくは700以上であることが望ましく、またあまりにも高いばあいには、乾燥性が低下する傾向があるので、好ましくは6000以下であることが望ましい。
【0031】
前記ポリイソシアネート化合物としては、ジイソシアネート化合物等があげられ、そのなかでは、鎖状脂肪族ジイソシアネート、環状脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、アミノ酸誘導体から得られるジイソシアネート等が挙げられる。
【0032】
前記鎖状脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸が有するカルボキシル基をイソシアネート基に置き換えたダイマージイソシアネート等が挙げられる。
【0033】
前記環状脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4´−ジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
【0034】
前記芳香族ジイソシアネートの具体例としては、4,4´−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート等のジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルテトラメチルメタンジイソシアネート等のテトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4´−ジベンジルイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0035】
前記芳香脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0036】
前記アミノ酸誘導体から得られるジイソシアネートの具体例としては、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
【0037】
これらのジイソシアネート化合物をはじめとする前記ポリイソシアネート化合物は、通常単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
【0038】
前記高分子量ポリオールとポリイソシアネート化合物との配合割合は、特に限定がないが、得られるポリウレタン樹脂の機械的強度の観点から、高分子量ポリオールに含まれるOH基1当量に対してポリイソシアネート化合物に含まれるNCO基が1.1当量以上、好ましくは1.3当量以上とすることが望ましく、また、得られるポリウレタン樹脂の溶液安定性の観点から、前記OH基1当量に対して前記NCO基が5当量以下、好ましくは4当量以下とすることが望ましい。
【0039】
前記重合成分の1つである前記鎖伸長剤としては、前記低分子量グリコール;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4´−ジアミン等のアミン化合物;2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等の水酸基を有するジアミン化合物;ダイマー酸のカルボキシル基をアミノ基に置き換えたダイマージアミン;水等が挙げられる。
【0040】
前記鎖伸長剤の配合量は、特に限定がないが、得られるポリウレタン樹脂の機械的強度の観点から、前記高分子量ポリオールとポリイソシアネート化合物との合計量の2重量%以上、好ましくは3重量%以上とすることが望ましく、得られるポリウレタン樹脂の溶液安定性の観点から、前記高分子量ポリオールとポリイソシアネート化合物との合計量の20重量%以下、好ましくは15重量%以下とすることが望ましい。
【0041】
本発明に係わるポリウレタン樹脂は、前記高分子量ポリオール、ポリイソシアネート化合物、鎖伸長剤および鎖長停止剤を含有した重合成分を共重合させることにより得ることができる。本発明では、当該ポリウレタン樹脂が有機溶剤に溶解されてなるポリウレタン樹脂溶液として用いる。
【0042】
有機溶剤に溶解されてなるポリウレタン樹脂溶液の製造方法としては、( i )高分子量ポリオールとポリイソシアネート化合物とを、OH基に対してNCO基が過剰となる条件で反応させて、分子の末端にNCO基を有するプレポリマーを生成させ、適当な有機溶剤中において、鎖伸長剤および前記オキサゾリジン系化合物を含有してなる鎖長停止剤を用いてNCO基が消失するまで反応させる二段法、( ii )高分子量ポリオール、ポリイソシアネート化合物、鎖伸長剤および前記オキサゾリジン系化合物を含有してなる鎖長停止剤を、適当な有機溶剤中に一度に加え、NCO基が消失するまで反応させる一段法等が挙げられる。これら2つの方法のなかでは、前記( i )の二段法が均一なポリマー溶液を簡単にうることができるので好ましい。なお、前記( i )や( ii )等の方法においては、鎖長停止剤の一成分であるオキサゾリジン系化合物が分解してしまうことを防ぐために、反応系中に水分が混入しないようにすることが好ましい。
【0043】
得られたポリウレタン樹脂溶液を印刷インキ用バインダーに用いた際には、かかるポリウレタン樹脂は、被塗物に塗布されたのちに、空気中の水分によって、ポリウレタン樹脂の分子末端のオキサゾリジン骨格が開環し、アルデヒド化合物またはケトン化合物でブロックされていたアミノ基と水酸基が生じて優れた密着性や耐水性を発現するが、かかる密着性や耐水性をより効果的に向上させるためには、かかるアミノ基と水酸基を生じさせるために必要な量以上の水をポリウレタン樹脂溶液に添加し、アミノ基と水酸基を生じさせたうえで塗布することが好ましい。
【0044】
前記有機溶剤の種類には特に限定がなく、通常用いられているものであればよい。かかる有機溶剤の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル系溶剤等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
【0055】
本発明のポリウレタン樹脂の数平均分子量は、特に限定されるものではないが、通常、5000〜100000の範囲内である。
【0056】
本発明に係る印刷インキ用バインダーは、磁性塗料等の塗料、印刷インキ等のバインダーとして好適に用いることができる。
【0057】
本発明の印刷インキ用バインダーは、前記ポリウレタン樹脂に、水、有機溶剤、必要に応じて、従来公知の樹脂(例えば、本発明のポリウレタン樹脂以外のポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル酸エステル系共重合体、スチレン−マレイン酸系共重合体等のポリマー等);ブロッキング防止剤や可塑剤等の添加剤;顔料等を加えて使用することもできる。
【0058】
なお、本発明に係るポリウレタン樹脂が上記効果を発現する理由は定かではないが、アミノ基と水酸基が同時に分子中に定量的に導入されていることに基づくものと考えられる。
【0059】
【実施例】
つぎに、本発明を実施例にもとづいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。なお、部および%は特記しない限りいずれも重量基準である。
【0062】
実施例1
撹拌機、温度計、冷却管およびチッ素ガス導入管を備えた反応容器に、数平均分子量1636のポリヘキサメチレンアジペートグリコール104.5部(OH基0.13モル部)、イソホロンジイソシアネート21.3部(NCO基0.19モル部)およびトルエン83.9部を仕込み、チッ素気流下で110℃で6時間反応を行ない、末端にNCO基を有するプレポリマー溶液をえた。このプレポリマー溶液209.7部にメチルエチルケトン162.7部を加えた後、イソホロンジアミン4.3部および5−ヒドロキシメチル−1−アザ−3,7−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン2.0部を添加し、攪拌下で70℃で5時間反応させた後、イソプロピルアルコール61.6部を添加し、ポリウレタン樹脂溶液Aをえた。該溶液Aは、固形分30重量%、数平均分子量20000、粘度1800cP(25℃)を有するものであった。
【0064】
比較例1
実施例1で得られたプレポリマー溶液209.7部にメチルエチルケトン162.1部を加えたのち、イソホロンジアミン4.3部およびジブチルアミン1.7部を添加し、攪拌下で70℃で5時間反応させた後、イソプロピルアルコール61.5部を添加し、ポリウレタン樹脂溶液Bをえた。該溶液Bは固形分30重量%、数平均分子量20000、粘度1600cP(25℃)を有するものであった。
【0065】
(溶剤系インキの調製)
チタン白(ルチル型) 30部
ポリウレタン樹脂溶液AまたはB 40部
メチルエチルケトン 20部
イソプロピルアルコール 10部
前記インキ組成物をそれぞれペイントシェーカーで1時間練肉し、各種の白色印刷インキを調製した。これらの白色印刷インキをNo.8のバーコーターで、コロナ放電処理延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)の放電処理面およびコロナ放電処理ポリエチレンテレフタレート(PET)の放電処理面にそれぞれ塗工し、40〜50℃で乾燥し、印刷フィルムをえた。得られた印刷フィルムを以下の試験に供した。
【0066】
(密着性)
得られた印刷フィルムを24時間放置後、印刷面にセロハン粘着テープを貼り付け、ついで剥離し、印刷フィルムの外観を観察し、以下の評価基準にもとづいて評価した。その結果を表1に示す。
【0067】
(評価基準)
○:インキ皮膜の80%以上がフィルム側に残った。
△:インキ皮膜の50〜80%がフィルム側に残った。
×:インキ皮膜の50%以下しかフィルム側に残らなかった。
【0068】
(耐水性)
前記印刷フィルムを24時間放置した後、該フィルムを水に24時間浸漬した。この浸漬フィルム表面に付着した水を脱脂綿でふき取り、印刷面にセロハン粘着テープを貼り付け、ついで剥離し、印刷フィルムの外観を観察し、前記密着性の評価基準と同様の評価基準にて評価した。その結果を表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
表1に示された結果から、実施例1で得られたポリウレタン樹脂をバインダーとする溶剤系インキは、ポリプロピレンフィルムおよびポリエステルフィルムに対する密着性および耐水性に優れたものであることがわかる。
【0071】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリオレフィン樹脂やポリエステル樹脂等のプラスチックに対しても優れた密着性を示し、かつ耐水性に優れた印刷インキ用バインダーを容易に提供することができる。
Claims (6)
- 数平均分子量が500〜10000のポリオール、ポリイソシアネート化合物、鎖伸長剤および鎖長停止剤を含有した重合成分を反応させて得られるポリウレタン樹脂であって、前記鎖長停止剤が活性水素を有する官能基とオキサゾリジン骨格とを有する化合物を含有するポリウレタン樹脂を、有機溶剤に溶解させてなるポリウレタン樹脂溶液を用いることを特徴とする、印刷インキ用バインダー。
- 前記数平均分子量が500〜10000のポリオールとポリイソシアネート化合物との配合割合が該ポリオールに含まれるOH基1当量に対してポリイソシアネート化合物に含まれるNCO基1.1〜5当量、鎖伸長剤の配合量が該ポリオールとポリイソシアネート化合物との合計量の2〜20重量%、鎖長停止剤の配合量が該ポリオールとポリイソシアネート化合物との合計量の0.1〜5重量%である、請求項1記載の印刷インキ用バインダー。
- ポリウレタン樹脂の数平均分子量が5000〜100000である、請求項1または2記載の印刷インキ用バインダー。
- 前記活性水素を有する官能基とオキサゾリジン骨格とを有する化合物が、一般式(1):
とR 2 は共有結合により結ばれていてもよい。R 3 は炭素数2または3の脂肪族炭化水素基を表す。)で表される化合物、一般式(2):
- 前記活性水素を有する官能基とオキサゾリジン骨格とを有する化合物の配合量が鎖長停止剤の5〜100重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の印刷インキ用バインダー。
- 前記ポリウレタン樹脂の分子末端にアミノ基および水酸基が導入されてなる請求項1〜5のいずれかに記載の印刷インキ用バインダー。
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