JP3981775B2 - 印刷インキ用バインダー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプラスチックフィルムの印刷インキ用バインダーに関し、詳しくはポリウレタンポリ尿素樹脂を主成分とする印刷インキ用バインダーに関する。
【0002】
【従来技術】
近年包装用材料としてプラスチックフィルムが一般的に用いられるようになってきており、それに伴いプラスチックフィルム用の印刷インキの需要もまた大きなものとなっている。プラスチックフィルムを包装材料に使用するに際しては、プラスチックフィルムの装飾または表面保護のために印刷が施されるが、かかる印刷のための印刷インキにはこれら種々のプラスチックフィルムに対し、接着性が良好である等の高度な性能が要求される。しかも印刷の高速化への対応として、その高度な性能は短い乾燥時間において発揮されなければならない。
【0003】
従来よりかかる印刷インキに用いられる印刷インキ用バインダーとして、ポリウレタンポリ尿素樹脂が多く用いられている。一般にポリウレタンポリ尿素樹脂をバインダーとする印刷インキはポリエステル及びナイロンフィルムに対しては単独で優れた接着力を有するが、汎用であるポリエチレン及びポリプロピレンに対する接着性は不十分であるため、ポリエチレン及びポリプロピレンフィルムに印刷する場合には、接着力を補うためポリウレタンポリ尿素樹脂にポリイソシアネート化合物を配合せしめた二液反応型インキが使用されている。
【0004】
しかしながら二液反応型インキは印刷直前に硬化剤を配合しなければならず、取扱いが不便であり、しかもポットライフ(可使時間)の点でも事実上種々の制限を受けるという不利を有する。そのため斯界では種々のプラスチックフィルムに対して接着性が良好であり、かつポリイソシアネート化合物を配合する必要のない一液型インキ用バインダーとして使用しうるポリウレタンポリ尿素樹脂について種々の研究開発が行われており、接着性の点に関してはある程度改善されつつあるが、同時に耐ブロッキング性を損うという結果を招いている。
【0005】
例えば分子中に特定の極性基を付与してなる変性塩素化ポリプロピレンを用いて各種プラスチックフィルムとの接着性を高める方法(特開平4−159377号、特開平7−82337号、特公平7−30278号)、ポリエステルジオールの二塩基酸成分として長鎖二塩基酸を用いて各種プラスチックフィルムとの接着性を高める方法(特公平6−68088号)、ポリオール成分に低分子トリオールを用いて各種プラスチックフィルムとの接着性及び耐ブロッキング性を高める方法(特公平5−73154号)、ジオール成分としてN,N−ジアルキルアミノアルキルアミンのアルキレンオキシド付加物を用いて各種プラスチックフィルムとの接着性を高める方法(特公平7−100771号)、鎖伸長剤としてジオールを必須成分とし、かつジアミン成分との混合物を用いて各種プラスチックフィルムとの接着性を高める方法(特開昭57−98577号)、鎖伸長剤としてアルデヒド基を有する化合物を用いて各種プラスチックフィルムとの接着性を高める方法(特開平5−222331号)、鎖伸長剤として長鎖アルキレンジアミンを用いて各種プラスチックフィルムとの接着性を高める方法(特開平8−217849号)等が開示されている。
これらはいずれも接着性及び耐ブロッキング性を改善するべく特殊な系を用いてはいるものの、これらの発明は短い乾燥時間においての良好な接着性が得られておらず、また十分な耐ブロッキング性を満足するものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上の如く一液型インキ用バインダーとして使用しうるポリウレタンポリ尿素樹脂について種々の研究開発が行われているが、結局のところ、短い乾燥時間において優れた接着性を保持しつつ、同時に十分な耐ブロッキング性を有する一液型インキは未だ得られておらず、両者の特性または何れかの特性をある程度犠牲にしたままのもので使用されているのが現状である。
本発明の目的は、一般的な高分子ポリオール成分、鎖伸長剤及び必要に応じて末端停止剤として知られている各種公知のものを使用することにより、被印刷物であるポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の各種プラスチックフィルムに対して短い乾燥時間において優れた接着性を保持しつつ、十分な耐ブロッキング性を有する一液型の印刷インキ用バインダーを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来技術における上記の如き課題について鋭意検討を重ねた結果、ジイソシアネート化合物としてビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサンを用いることにより得られる一液型印刷インキ用バインダーが、ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の各種プラスチックフィルムに対して短い乾燥時間において極めて優れた接着性を保持しつつ、十分な耐ブロッキング性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、ハロゲン元素の含有量が20ppm以下であるビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサンと、高分子ポリオール、鎖伸長剤及び必要に応じて末端反応停止剤とを反応させて得られるポリウレタンポリ尿素樹脂を含有してなる印刷インキ用バインダーである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の高分子ポリオール成分には一般にポリウレタンポリ尿素樹脂ポリウレタンの高分子ポリオール成分として知られている各種公知のものが使用される。例えば酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフラン等の重合体もしくは共重合体等のポリエーテルポリオール類;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の飽和及び不飽和の各種公知の低分子グリコール類またはn−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル類のアルキルグリシジルエーテル類、バーサティック酸グリシジルエステル等のモノカルボン酸グリシジルエステル類、ダイマー酸を還元して得られるダイマージオールと、アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の二塩基酸もしくはこれらに対応する酸無水物やダイマー酸等を脱水縮合させて得られるポリエステルポリオール類;環状エステル化合物を開環重合して得られるポリエステルポリオール類;その他ポリカーボネートポリオール類、ポリブタジエングリコール類、ビスフェノールAに酸化エチレンもしくは酸化プロピレンを付加して得られるグリコール類等の一般にポリウレタンポリ尿素樹脂の製造に用いられる各種公知の高分子ポリオールが挙げられる。
以上各種の高分子ポリオールの分子量は、得られるポリウレタンポリ尿素樹脂の溶解性、乾燥性、耐ブロッキング性等を考慮して適宜決定され、通常は300〜6000の範囲内であることが適当であり、好ましくは500〜3000なる範囲内が望ましい。該分子量が300未満であれば溶解性の低下に伴い印刷適性が劣る傾向にあり、他方6000を越えると乾燥性及び耐ブロッキング性が低下する傾向がある。
【0009】
本発明ではジイソシアネート化合物として、無黄変型ジイソシアネート化合物であるビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサンを使用する。このビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサンは、実質的にハロゲンを含有しないビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサンを用いることが好ましい。
本発明において実質的にハロゲンを含有しないということは、無機性及び有機性にかかわらずハロゲン元素の含有量が20ppm以下であることである。
本発明において用いられるビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサンとしては、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン及び1,4−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサンが挙げられる。
【0010】
本発明において用いられるビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサンはどの様な方法によって製造されたものであっても良いが、従来工業的に製造されているものはホスゲンを使用して製造されているため、多量のハロゲンを含有している。従ってホスゲンを用いて製造されるイソシアネート化合物をハロゲンが実質的に含有しないものにすることは多大な困難を伴う。
ハロゲン原子を含まないビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサンは、例えば、該当するウレタン化合物を熱的に分解する方法により得ることができる(特開昭50−30832号、特開昭60−231640号等)。このウレタン化合物の製造方法としてはジアミノ化合物を一酸化炭素及び有機ヒドロキシル化合物と酸化的に反応させる方法、あるいはジニトロ化合物、ジニトロソ化合物、アゾ化合物、アゾキシ化合物等を一酸化炭素及び有機ヒドロキシル化合物と還元的に反応させる方法、ジアミノ化合物とジアルキルまたはジアリールカーボネートとを反応させる方法(例えば特開平1−230550号)、ジアミノ化合物と尿素及び有機ヒドロキシル化合物とを反応させる方法(例えば特公平1−14218号)等の方法が挙げられる。
また、ハロゲン原子を含まないビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサンの製造方法として、ジアミノ化合物と炭酸ジアリールとから直接得る方法(例えば特開昭62−149654号)もある。
【0011】
本発明のビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサンという特定のジイソシアネート化合物を用いることにより得られる一液型印刷インキ用バインダーは、ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の各種プラスチックフィルムに対して極めて優れた接着性を保持しつつ、十分な耐ブロッキング性を有する。またジイソシアネート化合物として実質的にハロゲン原子を含有しないビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサンを用いることにより、ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の各種プラスチックフィルムに対する接着性及び耐ブロッキング性がさらに改善される。
【0012】
本発明では鎖伸長剤成分として、各種公知のものを使用することができる。例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4´−ジアミン、メタキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等がその代表例として挙げられる。その他、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等の分子内に水酸基を有するジアミン類等も挙げられる。
【0013】
また本発明の印刷インキ用バインダーにおいて使用するポリウレタンポリ尿素樹脂として所望の分子量の印刷インキ用バインダーを調製する際に、末端反応停止剤が必要に応じ使用される。
末端反応停止剤としては具体的に、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の一価のアルコール、モノエチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン等のモノアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられる。
【0014】
本発明の印刷インキ用バインダーにおいて使用するポリウレタンポリ尿素樹脂を製造する方法は、例えば高分子ポリオール成分と有機ジイソシアネート化合物であるビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサンとを、イソシアネート基過剰のモル比にて反応させ、高分子ポリオールの両末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを調製し、溶剤で希釈し、次いで鎖伸長剤で高分子量化するプレポリマー法、あるいは高分子ポリオール、有機ジイソシアネート及び鎖伸長剤を一括で反応させるワンショット法等により行うことができるが、均一なポリマー溶液を得る目的には前者のプレポリマー法が好ましい。
【0015】
このプレポリマー法において、末端イソシアナート基のプレポリマー化反応時の構成成分の添加順序には特に制限はなく、各成分の全量を逐次または同時に混合し、あるいは必要に応じてプレポリマー化反応途中に適宜、有機ジイソシアネートモノマーを再添加することなど、従来本分野で用いられている種々の方法を採用することができる。
プレポリマーを製造するに当たり、イソシアネート基数と高分子ポリオール成分中の水酸基数の比は、1.1/1〜3/1であることが望ましい。この比が1.1/1より小さいと耐熱性、被膜強度が低下し、3/1より大きい場合には各種プラスチックフィルムに対する接着性が低下する。
【0016】
また、ポリウレタンポリ尿素樹脂を製造するに際しての鎖伸長剤のアミン当量は、プレポリマーのイソシアネート基1当量に対して0.8〜1.3当量、好ましくは0.9〜1.2当量である。このアミン当量が0.8より小さいと乾燥性、耐ブロッキング性、被膜強度が十分でなく、このアミン当量が1.3より大きい場合には、鎖伸長剤が未反応のまま残存し、印刷物に臭気が残り易くなる。
【0017】
鎖伸長剤中のジアミンのアミン当量と、鎖長停止剤中のモノアルコールの水酸基当量またはモノアミンのアミン当量との当量比は、1/2〜100/2の範囲内にある。該当量比が1/2より小さい場合、耐薬品性が低下し、100/2より大きい場合には、高分子量化し樹脂粘度が増大して作業性が低下する。また鎖長停止剤は、鎖伸長反応前に反応させる、または鎖伸長剤と同時に添加する、あるいは鎖伸長反応終了後添加し反応を完結する等のいずれの方法でもよい。
【0018】
これらポリウレタンポリ尿素樹脂溶液の製造に使用される溶剤としては、通常印刷インキ用の溶剤としてよく知られているもの、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒及びそれら二種類以上の混合物が挙げられる。
反応は触媒を用いることも可能である。ウレタン化反応を促進する触媒としては、例えばトリエチルアミン、ジメチルアニリン等の三級アミン系触媒または有機スズ、有機亜鉛等の有機金属系触媒等が挙げられる。
【0019】
このようにして得られた本発明のポリウレタンポリ尿素樹脂の重量平均分子量は、5000〜500000、好ましくは10000〜300000である。
重量平均分子量が5000未満の場合には、これをバインダーとして用いた印刷インキ及び塗膜の乾燥性、耐ブロッキング性、耐油性が不良となる。一方500000を越える場合には、ポリウレタンポリ尿素溶液の粘度が高いため取扱いが困難となり、得られる印刷インキ及び塗膜の光沢が低下し、再溶解性も不良となる。
【0020】
本発明により得られるポリウレタンポリ尿素溶液中の樹脂固形分(ポリウレタンポリ尿素)濃度は、その用途における作業性を考慮して適宜使用する溶剤量を調整することにより幅広く設定することができるが、通常は15〜60重量%であり、該溶液の粘度は、50〜100000mPa・sが実用上好適である。
本発明の印刷インキ用バインダーは、特に特殊グラビアインキ用バインダーとして優れた性能を有する。適用する対象としてはポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレンフィルム等が好適である.
また本発明の印刷インキ用バインダーは、従来のインキバインダーの場合と同様の方法で使用できる。すなわち、本発明のバインダーに顔料や必要に応じて顔料分散剤等の添加剤を加え、ボールミル等の通常のインキ製造装置を用いて混練することによって印刷インキとすることができる。
【0021】
【実施例】
以下に実施例、比較例、製造例および試験例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお各例中、部及び%は重量基準である。
【0022】
実施例1
撹拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに平均分子量2000のポリ(1,4−ブチレンアジペート)グリコールを468.8部、ハロゲン含有量が2ppmである1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサンを80部仕込み、窒素気流下に90℃で18時間反応させ、遊離イソシアネート含量1.6%のプレポリマーを製造した後、メチルエチルケトン365.9部を加えウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いでイソホロンジアミン21.1部,ジ−n−ブチルアミン5.3部、メチルエチルケトン488.1部、イソプロパノール488.1部からなる混合物を前記ウレタンプレポリマー溶液914.7部に添加し、50℃で6時間反応させた。こうして得られたポリウレタンポリ尿素樹脂溶液は、樹脂固形分濃度が30%、粘度が1650cps/25℃であった。
【0023】
参考例1
撹拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、平均分子量2000のポリ(1,4−ブチレンアジペート)グリコールを468.8部、加水分解性塩素含有量が254ppm(酸度HCl:40ppmを含む)である1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサンを80部仕込み、窒素気流下に90℃で18時間反応させ、遊離イソシアネート含量1.6%のプレポリマーを製造した後、メチルエチルケトン365.9部を加え、ウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いでイソホロンジアミン21.0部,ジ−n−ブチルアミン5.3部、メチルエチルケトン488部、イソプロパノール488部からなる混合物を前記ウレタンプレポリマー溶液914.7部に添加し、50℃で6時間反応させた。こうして得られたポリウレタンポリ尿素樹脂溶液は、樹脂固形分濃度が30%、粘度が2300cps/25℃であった。
【0024】
比較例1
撹拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、平均分子量2000のポリ(1,4−ブチレンアジペート)グリコールを739.7部イソホロンジイソシアネートを170部仕込み、窒素気流下に90℃で8時間反応させ、遊離イソシアネート含量2.8%のプレポリマーを製造した後、メチルエチルケトン606.5部を加え、ウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いでイソホロンジアミン52.9部、ジ−n−ブチルアミン13.4部、メチルエチルケトン835.4部、イソプロパノール835.4部からなる混合物を前記ウレタンプレポリマー溶液1516.2部に添加し、50℃で4時間反応させた。こうして得られたポリウレタンポリ尿素樹脂溶液は、樹脂固形分濃度が30%、粘度が450cps/25℃であった。
【0025】
比較例2
撹拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、平均分子量2000のポリ(1,4−ブチレンアジペート)グリコールを460.7部、イソホロンジイソシアネートを90部仕込み、窒素気流下に90℃で27時間反応させ遊離イソシアネート含量0.5%のプレポリマーを製造した後、メチルエチルケトン367.1部を加え、ウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次にイソホロンジアミン21部、ジ−n−ブチルアミン5.3部、メチルエチルケトン489.6部、イソプロパノール489.6部からなる混合物を前記ウレタンプレポリマー溶液550.7部に添加し、50℃で6時間反応させた。こうして得られたポリウレタンポリ尿素樹脂溶液は、樹脂固形分濃度が30%、粘度が950cps/25℃であった。
【0026】
比較例3
撹拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、平均分子量2000のポリ(1,4−ブチレンアジペート)グリコールを473.6部、ヘキサメチレンジイソシアネートを70部仕込み、窒素気流下に90℃で16時間反応させ遊離イソシアネート含量0.5%のプレポリマーを製造した後、メチルエチルケトン362.4部を加えウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いでイソホロンジアミン19.3部、ジ−n−ブチルアミン4.9部、メチルエチルケトン481.2部、イソプロパノール481.2部からなる混合物を前記ウレタンプレポリマー溶液906部に添加し、50℃で6時間反応させた。こうして得られたポリウレタンポリ尿素樹脂溶液は、樹脂固形分濃度が30%、粘度が28000cps/25℃であった。
【0027】
実施例2
撹拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、平均分子量2000のポリ−3−メチルペンチレンアジペートグリコールを270.5部、ハロゲン含有量が2ppmである1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサンを53部仕込み、窒素気流下に70℃で15時間反応させ遊離イソシアネート含量2.9%のプレポリマーを製造した後、メチルエチルケトン362.4部を加えウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いでイソホロンジアミン17.9部、ジ−n−ブチルアミン4.5部、メチルエチルケトン222.4部、イソプロパノール222.4部からなる混合物を前記ウレタンプレポリマー溶液685.9部に添加し、50℃で6時間反応させた。こうして得られたポリウレタンポリ尿素樹脂溶液は、樹脂固形分濃度が30%、粘度が550cps/25℃であった。
【0028】
製造例
上記実施例1〜2、参考例1、比較例1〜3で得られたポリウレタンポリ尿素樹脂溶液をバインダーとして用い、次の処方にて印刷インキを調製した。
ポリウレタンポリ尿素樹脂溶液 100部
顔料(ルチル型酸化チタン) 50部
メチルエチルケトン 15部
トルエン 15部
イソプロパノール 20部
アルミナビーズ 200部
【0029】
上記の原料をそれぞれペントシェイカー(レッドデビル社製)にて4h練肉し白色印刷インキを得た。
これらの印刷インキを使用し、バーコーターNo.4にて片面コロナ放電処理されたポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PET)及びナイロン−6(NY)の各フィルムの処理面に印刷を施し印刷物を得、乾燥した。乾燥条件は温度50℃で30秒加熱した後、温度23℃湿度50%で60秒静置した。
【0030】
試験例
得られた印刷物について次のような試験を行った。結果を表1に示す。
(i) 接着性
印刷面にニチバンセロテープ(18mm巾)を貼り、このセロテープの一端を印刷面に対して垂直方向に急速に引き剥がした時の印刷面の状態を観察した。
◎:極めて良好(剥離なし)
○:良好(0〜10%剥離)
□:中程度(10〜30%剥離)
△:やや不良(30〜50%剥離)
×:不良(50〜100%剥離)
【0031】
(ii) 耐ブロッキング性
印刷面と非印刷面(処理面または未処理面)を重ね合わせ、温度40℃湿度60%RH中で1.0kg/cm2 の荷重をかけ、24時間後それを剥がし表面状態を観察した。乾燥条件は温度50℃30秒加熱した後、温度23℃湿度50%で60秒静置した。
◎:全くブロッキングしていない。
○:殆どブロッキングしていない。
△:かなりブロッキングしている。
×:著しくブロッキングしている。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】
以上の試験結果からも明らかなように、本発明の印刷インキ用バインダーを用いたインキは、各種プラスチックフィルムに対し、短い乾燥時間において極めて優れた接着性を保持しつつ、十分な耐ブロッキング性を有する。
また本発明の印刷インキ用バインダーは一液型であるので、該バインダーを用いた印刷インキは二液型ように印刷直前に硬化剤を配合必要がなく取扱が容易であり、被印刷物であるポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の各種プラスチックフィルムに対して極めて有利に用いることができる。
Claims (1)
- ハロゲン元素の含有量が20ppm以下であるビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサンと、高分子ポリオール、鎖伸長剤及び必要に応じて末端反応停止剤とを反応させて得られるポリウレタンポリ尿素樹脂を含有してなる印刷インキ用バインダー。
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